(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-23
(45)【発行日】2023-07-03
(54)【発明の名称】燃料ノズルおよびガスタービンエンジン
(51)【国際特許分類】
F23R 3/28 20060101AFI20230626BHJP
F02C 3/24 20060101ALI20230626BHJP
F02C 7/232 20060101ALI20230626BHJP
F23R 3/30 20060101ALI20230626BHJP
F23R 3/14 20060101ALI20230626BHJP
F23R 3/10 20060101ALI20230626BHJP
F23D 11/38 20060101ALI20230626BHJP
【FI】
F23R3/28 B
F02C3/24 A
F02C7/232
F23R3/30
F23R3/14
F23R3/10
F23D11/38 B
(21)【出願番号】P 2019136119
(22)【出願日】2019-07-24
【審査請求日】2022-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】514275772
【氏名又は名称】三菱重工航空エンジン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】森合 秀樹
【審査官】所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-095128(JP,A)
【文献】特開2013-177990(JP,A)
【文献】実開昭56-117275(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23R 3/28
F02C 3/24
F02C 7/232
F23R 3/30
F23R 3/14
F23R 3/10
F23D 11/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線に沿って配置されるとともに第1液体燃料を噴射孔から燃焼室へ向けて噴射して微粒化させる圧力噴射型の第1ノズル部と、
前記軸線に沿って筒状に形成されるとともに前記第1ノズル部の外周側に配置され、前記第1ノズル部との間に燃焼用空気を流通させる空気流路を形成する筒部と、
前記空気流路に配置されるとともに前記空気流路を流通する燃焼用空気が前記軸線回りに旋回する旋回力を付与する旋回器と、
前記旋回器を通過した燃焼用空気を前記第1ノズル部が前記第1液体燃料を噴射する噴射領域を取り囲む開口部へ案内するガイド部と、
前記軸線に沿って筒状に形成されるとともに前記筒部の外周側に配置され、前記筒部との間に微粒化した第2液体燃料と燃焼用空気とを混合させた混合気を流通させる第2ノズル部と、を備え、
前記ガイド部は、前記ガイド部により前記
開口部へ案内される燃焼用空気の一部を、前記開口部を通過させることなく
前記ガイド部の前記燃焼室
側の外周面へ直接的に導く空気流通機構を有する燃料ノズル。
【請求項2】
前記ガイド部は、前記軸線に沿って前記開口部へ向けて外径が漸次縮小する凸形状の外周面を有する請求項1に記載の燃料ノズル。
【請求項3】
軸線に沿って配置されるとともに第1液体燃料を噴射孔から燃焼室へ向けて噴射して微粒化させる圧力噴射型の第1ノズル部と、
前記軸線に沿って筒状に形成されるとともに前記第1ノズル部の外周側に配置され、前記第1ノズル部との間に燃焼用空気を流通させる空気流路を形成する筒部と、
前記空気流路に配置されるとともに前記空気流路を流通する燃焼用空気が前記軸線回りに旋回する旋回力を付与する旋回器と、
前記旋回器を通過した燃焼用空気を前記第1ノズル部が前記第1液体燃料を噴射する噴射領域を取り囲む開口部へ案内するガイド部と、
前記軸線に沿って筒状に形成されるとともに前記筒部の外周側に配置され、前記筒部との間に微粒化した第2液体燃料と燃焼用空気とを混合させた混合気を流通させる第2ノズル部と、を備え、
前記ガイド部は、前記ガイド部により前記噴射領域へ案内される燃焼用空気の一部を、前記開口部を通過させることなく前記燃焼室へ直接的に導く空気流通機構を有し、
前記空気流通機構は、前記燃焼室に導かれる燃焼用空気に前記軸線回りに旋回する旋回力を付与す
る燃料ノズル。
【請求項4】
軸線に沿って配置されるとともに第1液体燃料を噴射孔から燃焼室へ向けて噴射して微粒化させる圧力噴射型の第1ノズル部と、
前記軸線に沿って筒状に形成されるとともに前記第1ノズル部の外周側に配置され、前記第1ノズル部との間に燃焼用空気を流通させる空気流路を形成する筒部と、
前記空気流路に配置されるとともに前記空気流路を流通する燃焼用空気が前記軸線回りに旋回する旋回力を付与する旋回器と、
前記旋回器を通過した燃焼用空気を前記第1ノズル部が前記第1液体燃料を噴射する噴射領域を取り囲む開口部へ案内するガイド部と、
前記軸線に沿って筒状に形成されるとともに前記筒部の外周側に配置され、前記筒部との間に微粒化した第2液体燃料と燃焼用空気とを混合させた混合気を流通させる第2ノズル部と、
前記筒部の前記燃焼室側の端部と、前記ガイド部の前記筒部側の端部とを連結するとともに前記第2ノズル部から前記燃焼室へ導かれる前記混合気を前記軸線から遠ざかる方向へ導くように前記燃焼室へ向けて外径が漸次拡大する拡径部
と、を備え
、
前記ガイド部は、前記ガイド部により前記噴射領域へ案内される燃焼用空気の一部を、前記開口部を通過させることなく前記燃焼室へ直接的に導く空気流通機構を有する燃料ノズル。
【請求項5】
前記空気流通機構は、燃焼用空
気を通過させない構造体の複数箇所に形成された貫通穴である請求項1から請求項4のいずれかに記載の燃料ノズル。
【請求項6】
軸線に沿って配置されるとともに第1液体燃料を噴射孔から燃焼室へ向けて噴射して微粒化させる圧力噴射型の第1ノズル部と、
前記軸線に沿って筒状に形成されるとともに前記第1ノズル部の外周側に配置され、前記第1ノズル部との間に燃焼用空気を流通させる空気流路を形成する筒部と、
前記空気流路に配置されるとともに前記空気流路を流通する燃焼用空気が前記軸線回りに旋回する旋回力を付与する旋回器と、
前記旋回器を通過した燃焼用空気を前記第1ノズル部が前記第1液体燃料を噴射する噴射領域を取り囲む開口部へ案内するガイド部と、
前記軸線に沿って筒状に形成されるとともに前記筒部の外周側に配置され、前記筒部との間に微粒化した第2液体燃料と燃焼用空気とを混合させた混合気を流通させる第2ノズル部と、を備え、
前記ガイド部は、前記ガイド部により前記噴射領域へ案内される燃焼用空気の一部を、前記開口部を通過させることなく前記燃焼室へ直接的に導く空気流通機構を有し、
前記空気流通機構は、前記噴射領域へ案内される燃焼用空気の一部を前記燃焼室へ直接的に導く空気流通孔が一様に形成された多孔質構造体であ
る燃料ノズル。
【請求項7】
軸線に沿って配置されるとともに第1液体燃料を噴射孔から燃焼室へ向けて噴射して微粒化させる圧力噴射型の第1ノズル部と、
前記軸線に沿って筒状に形成されるとともに前記第1ノズル部の外周側に配置され、前記第1ノズル部との間に燃焼用空気を流通させる空気流路を形成する筒部と、
前記空気流路に配置されるとともに前記空気流路を流通する燃焼用空気が前記軸線回りに旋回する旋回力を付与する旋回器と、
前記旋回器を通過した燃焼用空気を前記第1ノズル部が前記第1液体燃料を噴射する噴射領域を取り囲む開口部へ案内するガイド部と、
前記軸線に沿って筒状に形成されるとともに前記筒部の外周側に配置され、前記筒部との間に微粒化した第2液体燃料と燃焼用空気とを混合させた混合気を流通させる第2ノズル部と、を備え、
前記ガイド部は、前記ガイド部により前記噴射領域へ案内される燃焼用空気の一部を、前記開口部を通過させることなく前記燃焼室へ直接的に導く空気流通機構を有し、
前記旋回器は、前記軸線回りの周方向に沿って間隔を空けて配置された複数の旋回羽根を備え
る燃料ノズル。
【請求項8】
軸線に沿って配置されるとともに第1液体燃料を噴射孔から燃焼室へ向けて噴射して微粒化させる圧力噴射型の第1ノズル部と、
前記軸線に沿って筒状に形成されるとともに前記第1ノズル部の外周側に配置され、前記第1ノズル部との間に燃焼用空気を流通させる空気流路を形成する筒部と、
前記空気流路に配置されるとともに前記空気流路を流通する燃焼用空気が前記軸線回りに旋回する旋回力を付与する旋回器と、
前記旋回器を通過した燃焼用空気を前記第1ノズル部が前記第1液体燃料を噴射する噴射領域を取り囲む開口部へ案内するガイド部と、
前記軸線に沿って筒状に形成されるとともに前記筒部の外周側に配置され、前記筒部との間に微粒化した第2液体燃料と燃焼用空気とを混合させた混合気を流通させる第2ノズル部と、を備え、
前記ガイド部は、前記ガイド部により前記噴射領域へ案内される燃焼用空気の一部を、前記開口部を通過させることなく前記燃焼室へ直接的に導く空気流通機構を有し、
前記旋回器は、前記第1ノズル部の外周面と前記筒部の内周面との間に配置される環状部材であり、
前記環状部材には、前記軸線回りの周方向に沿って間隔を空けて配置された複数の旋回穴が形成されてい
る燃料ノズル。
【請求項9】
前記第1液体燃料および前記第2液体燃料を微粒化して燃焼させる請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の燃料ノズルを備える燃焼器と、
前記燃焼器が前記第1液体燃料および前記第2液体燃料を燃焼させることにより生成された燃焼ガスにより駆動されるタービンと、を備えるガスタービンエンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、燃料ノズルおよびガスタービンエンジンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、液体燃料を使用するガスタービンに用いられる燃料ノズルにおいて、圧力噴霧型燃料ノズル、または圧力噴霧型燃料ノズルとエアブラスト型燃料ノズルを組み合わせたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。圧力噴霧型燃料ノズルは、液体燃料を噴射孔から噴霧して微粒化させるものである。エアブラスト型燃料ノズルは、液体燃料を膜状に広げ、液膜表面に接して流れる気流のせん断作用によって液膜を微粒化するものである。
【0003】
特許文献1の
図2に記載されるガスタービン用燃料ノズルは、エアブラスト型ノズル(気流微粒化ノズル)の内側に同軸に圧力噴霧型燃料ノズル(圧力スワールノズル)を配置したものである。特許文献1には、気流微粒化ノズルと圧力スワールノズルの間に配置した偏流筒体の内径を流路下流において一旦極小とし、その後に先端に向けて拡大することが開示されている。特許文献1によれば、圧力スワールノズルの先端部表面で流れが剥離することがなく逆流領域が形成されないため、噴霧された燃料が逆流して圧力スワールノズルの先端部表面に付着しカーボンとして堆積する問題を解消することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示される燃料ノズルは、偏流筒体の内径が拡大する壁面に燃料が付着してカーボンとして堆積した場合、燃料噴射を阻害するとともに燃焼器の始動時に燃焼効率が上昇しにくくなってしまう。そのため、堆積したカーボンを除去するために洗浄作業を定期的に行う必要がある。特に、偏流筒体の内径が拡大する壁面の広がりが急すぎる場合には、偏流筒体を流通する気流によって壁面を覆うことができず、カーボンの堆積の問題が顕著となる。
【0006】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、ガイド部により圧力噴霧型燃料ノズルの噴射領域を含む開口部へ燃焼用空気を案内して噴射孔の近傍にカーボンが堆積することを抑制し、かつガイド部の表面にカーボンが堆積することを抑制することができる燃料ノズルおよびそれを備えたガスタービンエンジンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示の一態様に係る燃料ノズルは、軸線に沿って配置されるとともに第1液体燃料を噴射孔から燃焼室へ向けて噴射して微粒化させる圧力噴射型の第1ノズル部と、前記軸線に沿って筒状に形成されるとともに前記第1ノズル部の外周側に配置され、前記第1ノズル部との間に燃焼用空気を流通させる空気流路を形成する筒部と、前記空気流路に配置されるとともに前記空気流路を流通する燃焼用空気が前記軸線回りに旋回する旋回力を付与する旋回器と、前記旋回器を通過した燃焼用空気を前記第1ノズル部が前記第1液体燃料を噴射する噴射領域を取り囲む開口部へ案内するガイド部と、前記軸線に沿って筒状に形成されるとともに前記筒部の外周側に配置され、前記筒部との間に微粒化した第2液体燃料と燃焼用空気とを混合させた混合気を流通させる第2ノズル部と、を備え、前記ガイド部は、前記ガイド部により前記噴射領域へ案内される燃焼用空気の一部を、前記開口部を通過させることなく前記燃焼室へ直接的に導く空気流通機構を有する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、ガイド部により圧力噴霧型燃料ノズルの噴射領域を含む開口部へ燃焼用空気を案内して噴射孔の近傍にカーボンが堆積することを抑制し、かつガイド部の表面にカーボンが堆積することを抑制することができる燃料ノズルおよびそれを備えたガスタービンエンジンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の第1実施形態に係る燃料ノズルを示す縦断面図である。
【
図2】
図1に示す筒部、ガイド部、およびフランジ部を示す縦断面図である。
【
図3】
図1に示す燃料ノズルのA-A矢視断面である。
【
図5】
図2に示す燃料ノズルを軸線に沿って燃焼室側からみた正面図である。
【
図6】本開示の第2実施形態に係る燃料ノズルを軸線に沿って燃焼室側からみた正面図である。
【
図7】本開示の第3実施形態に係る燃料ノズルを示す縦断面図である。
【
図8】
図7に示す燃料ノズルのB-B矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔第1実施形態〕
以下、本開示の第1実施形態に係る燃料ノズル100について、図面を参照して説明する。
図1は、本開示の第1実施形態に係る燃料ノズル100を示す縦断面図である。
図2は、
図1に示す筒部20、ガイド部30、およびフランジ部(拡径部)40を示す縦断面図である。
図3は、
図1に示す燃料ノズル100のA-A矢視断面である。
図4は、
図1に示す燃料ノズル100の部分断面図である。
図5は、
図2に示す燃料ノズル100を軸線Xに沿って燃焼室CC側からみた正面図である。
【0011】
本実施形態の燃料ノズル100は、例えば、小型航空機等に用いられるガスタービンエンジンの燃焼器が備えるものである。本実施形態の燃料ノズル100が備えられた燃焼器を有するガスタービンエンジンは、液体燃料を燃焼させることにより燃焼器で生成された燃焼ガスにより駆動されるタービンと、タービンの駆動力によって駆動される駆動軸を備える。タービンから駆動軸に伝達された駆動力は、駆動軸に連結されたプロペラ等を回転させる動力として用いられる。
【0012】
図1に示すように、本実施形態の燃料ノズル100は、圧力噴射型の第1ノズル部10と、筒部20と、ガイド部30と、フランジ部(拡径部)40と、旋回器50と、エアブラスト型の第2ノズル部60と、を備える。
【0013】
第1ノズル部10は、軸線Xに沿って配置されるとともに第1液体燃料供給源(図示略)から供給される第1液体燃料を噴射孔11から燃焼室CCへ向けて噴射して微粒化させる圧力噴射型の燃料ノズルである。第1ノズル部10は、高圧の第1液体燃料を噴射孔11から燃焼室CCへ噴射する際に第1液体燃料を微粒化し、軸線Xを中心とした放射状の噴射領域JAへ向けて微粒化した第1液体燃料を噴射する。
【0014】
筒部20は、軸線Xに沿って筒状に形成されるとともに第1ノズル部10の外周側に同軸に配置される筒体である。筒部20は、第1ノズル部10との間に燃焼用空気CAを流通させる空気流路APを形成する。空気流路APは、軸線X回りに環状に形成される流路である。空気流路APには、燃焼用空気供給源(図示略)から燃焼用空気CAが供給される。
【0015】
ガイド部30は、後述する旋回器50を通過した燃焼用空気CAを第1ノズル部10が第1液体燃料を噴射する噴射領域JAを取り囲む開口部31へ案内する部材である。
図2に示すように、ガイド部30は、軸線Xに沿って開口部31へ向けて外径OD1が漸次縮小する凸形状の外周面30bを有する。
【0016】
ガイド部30は、旋回器50を通過して軸線X回りの旋回成分を持った燃焼用空気CAの気流を軸線Xに直交する径方向の外周側から内周側へ導き、燃焼用空気CAを微粒化した第1液体燃料とともに開口部31から燃焼室CCへ導く。旋回成分を持った燃焼用空気CAが径方向の内周側へ収束されてから開口部31を通過するので、燃焼室CCへ噴霧された第1液体燃料が開口部31から第1ノズル部10の先端へ逆流することが防止される。これにより、噴射孔11の近傍にカーボンが堆積することが抑制される。
【0017】
フランジ部40は、
図2に示すように、筒部20の燃焼室CCの端部と、ガイド部30の筒部20側の端部とを連結する部材である。フランジ部40は、筒部20およびガイド部30とともに単一種の材料により一体に形成されている。フランジ部40は、第2ノズル部60から導かれる第2液体燃料と燃焼用空気との混合気MAを軸線Xから遠ざかる方向へ導くように燃焼室CCへ向けて外径OD2が漸次拡大する形状を有する。
図1に示すように、第2ノズル部60の混合気流路MPを軸線Xに沿って筒部20の外周側を流通する混合気MAは、フランジ部40を通過する際に、軸線Xから遠ざかる方向へ導かれる。
【0018】
旋回器50は、空気流路APに配置されるとともに空気流路APを流通する燃焼用空気CAが軸線X回りに旋回する旋回力を付与する装置である。旋回器50は、軸線X回りの周方向に環状に配置されている。
図3に示すように、旋回器50は、軸線X回りの周方向に沿って間隔を空けて配置された複数の旋回羽根51を備える。
図3に示すように、旋回羽根51は、燃料ノズル100を軸線Xに沿って燃焼室CC側からみた場合に、軸線X回りに時計回りに旋回する旋回力を燃焼用空気CAに付与する。
【0019】
図4は、
図1に示す燃料ノズル100の部分断面図であり、第1ノズル部10、筒部20、ガイド部30、フランジ部40の一部を切断した状態を斜視で示したものである。
図4に示すように、燃料ノズル100は、第1ノズル部10と筒部20の間に、複数の旋回羽根51を、周方向に沿って間隔を空けて配置した構造となっている。
【0020】
第2ノズル部60は、軸線Xに沿って筒状に形成されるとともに筒部20の外周側に配置される装置である。第2ノズル部60は、第2液体燃料供給源(図示略)から供給される第2液体燃料を膜状に広げ、液膜表面に接して流れる燃焼用空気の気流のせん断作用によって液膜を微粒化するものである。第2ノズル部60は、筒部20との間に形成される混合気流路MPに微粒化した第2液体燃料と燃焼用空気とを混合させた混合気MAを流通させる。
【0021】
次に、ガイド部30が備える貫通穴(空気流通機構)32および貫通穴(空気流通機構)33について説明する。前述したようにガイド部30は、燃焼用空気CAの気流を軸線Xに直交する径方向の外周側から内周側へ導き、旋回成分を持った燃焼用空気CAを径方向の内周側へ収束されてから開口部31を通過させることにより、噴射孔11の近傍にカーボンが堆積することを抑制することができる。
【0022】
ガイド部30は、以上のような利点がある一方、ガイド部30の表面(燃焼室CCに対向する面)に燃料等が付着してカーボンが堆積してしまう可能性がある。そこで、本実施形態では、ガイド部30に貫通穴32および貫通穴33を設けることにより、ガイド部30の表面に堆積するカーボンに向けて燃焼用空気CAを吹き出すことにより、ガイド部30の表面へのカーボンの堆積を防止している。
【0023】
図2および
図5に示すように、ガイド部30は、ガイド部30により噴射領域JAに案内される燃焼用空気CAの一部を、開口部31を通過させることなく燃焼室CCへ直接的に導く貫通穴32および貫通穴33を有する。貫通穴32および貫通穴33は、燃焼用空気CAを通過させない金属材料により形成された構造体の複数箇所に形成され、開口部31を通過させることなく燃焼用空気CAを燃焼室CCへ直接的に導く機構である。
【0024】
図4に示すように、貫通穴32は、ガイド部30の内周面30aに形成される導入口32aと、ガイド部30の外周面30bに形成される排出口32bとを連通させる穴である。同様に、貫通穴33は、ガイド部30の内周面30aに形成される導入口33aと、ガイド部30の外周面30bに形成される排出口33bとを連通させる穴である。
【0025】
図5に示すように、ガイド部30の外周面30bには、軸線Xを中心とした半径R1の円を中心位置とし、軸線X回りの周方向に沿って間隔を空けて配置された複数の排出口32bが形成されている。ガイド部30の内周面30aには、軸線Xを中心とした半径R2の円を中心位置とし、軸線X回りの周方向に沿って間隔を空けて配置された複数の導入口32aが形成されている。
【0026】
半径R1が半径R2よりも大きいため、導入口32aから貫通穴32へ流入した燃焼用空気CAは、軸線Xを中心とした径方向の外側へ向けた速度成分を持った状態で排出口32bから燃焼室CCに排出される。また、導入口32aよりも排出口32bが周方向の時計回り方向の下流側に存在する。そのため、導入口32aから貫通穴32へ流入した燃焼用空気CAは、軸線Xに沿って燃焼室CC側からガイド部30をみた場合、軸線Xを中心とした時計回り方向の速度成分を持った状態で排出口32bから燃焼室CCに排出される。このように、貫通穴32は、燃焼室CCに導かれる燃焼用空気CAに軸線X回りに旋回する旋回力を付与する。
【0027】
図5に示すように、ガイド部30の外周面30bには、軸線Xを中心とした半径R3の円を中心位置とし、軸線X回りの周方向に沿って間隔を空けて配置された複数の排出口33bが形成されている。ガイド部30の内周面30aには、軸線Xを中心とした半径R4の円を中心位置とし、軸線X回りの周方向に沿って間隔を空けて配置された複数の導入口33aが形成されている。
【0028】
半径R3が半径R4よりも大きいため、導入口33aから貫通穴33へ流入した燃焼用空気CAは、軸線Xを中心とした径方向の外側へ向けた速度成分を持った状態で排出口33bから燃焼室CCに排出される。また、導入口33aよりも排出口33bが周方向の時計回り方向の下流側に存在する。そのため、導入口33aから貫通穴33へ流入した燃焼用空気CAは、軸線Xに沿って燃焼室CC側からガイド部30をみた場合、軸線Xを中心とした時計回り方向の速度成分を持った状態で排出口33bから燃焼室CCに排出される。このように、貫通穴33は、燃焼室CCに導かれる燃焼用空気CAに軸線X回りに旋回する旋回力を付与する。
【0029】
図5に示すように、ガイド部30は、軸線X回りの旋回力が付与された燃焼用空気CAを、外周面30bに形成された複数の排出口32bおよび複数の排出口33bから燃焼室CCへ導く。軸線Xに沿って燃焼室CC側からガイド部30をみた場合、複数の排出口32bおよび複数の排出口33bから排出される燃焼用空気CAは、複数の排出口32bおよび複数の排出口33bよりも外周側のガイド部30の外周面30bに沿って流通する。そのため、複数の排出口32bおよび複数の排出口33bよりも外周側のガイド部30の外周面30bへのカーボンの堆積が防止される。
【0030】
図5に示すように、軸線Xに沿って燃焼室CC側からガイド部30をみた場合、複数の排出口32bおよび複数の排出口33bよりも内周側の領域には、複数の排出口32bおよび複数の排出口33bから排出された燃焼用空気CAが導かれない。しかしながら、複数の排出口32bおよび複数の排出口33bよりも内周側の領域へのカーボンの堆積は防止される。これは、複数の排出口32bおよび複数の排出口33bよりも内周側の領域には、開口部31から噴出する旋回力が付与された燃焼用空気CAが流通するからである。
【0031】
以上説明した本実施形態に係る燃料ノズル100が奏する作用および効果について説明する。
本実施形態の燃料ノズル100によれば、ガイド部30により旋回器50を通過して旋回力が付与された燃焼用空気CAが、第1ノズル部10が第1液体燃料を噴射する噴射領域JAを取り囲む開口部31へ案内され、開口部31から燃焼室CCへ噴出する。旋回力が付与されて開口部31に収束した燃焼用空気CAにより、第1ノズル部10から噴射された第1液体燃料が逆流して噴射孔11の近傍に付着することが抑制され、噴射孔11の近傍にカーボンが堆積することを抑制することができる。
【0032】
また、本実施形態に係る燃料ノズル100によれば、ガイド部30が、噴射領域JAへ案内される燃焼用空気CAの一部を、開口部31を通過させることなく燃焼室CCへ直接的に導く貫通穴32,33を有するため、ガイド部30の燃焼室CC側の表面(外周面30b)に沿って貫通穴32,33から導かれる燃焼用空気CAが流通する。これにより、ガイド部30の表面にカーボンが堆積することを抑制することができる。
【0033】
本実施形態の燃料ノズル100において、ガイド部30は、軸線Xに沿って開口部31へ向けて外径OD1が漸次縮小する凸形状の外周面30bを有する。凸形状の外周面30bを有するガイド部30は、開口部31から離れるほど開口部31から噴出する燃焼用空気CAが流通しない状態となり、燃料の付着等によるカーボンの堆積の可能性が高まる。本実施形態の燃料ノズル100によれば、ガイド部30が貫通穴32,33を有するため、凸形状の外周面30bを有する場合であっても、ガイド部30の表面にカーボンが堆積することを確実に抑制することができる。
【0034】
本実施形態の燃料ノズル100において、貫通穴32,33は、燃焼室CCに導かれる燃焼用空気CAに軸線X回りに旋回する旋回力を付与する。
貫通穴32,33から噴出する燃焼用空気CAに軸線X回りに旋回する旋回力が付与されるため、ガイド部30の燃焼室CC側の外周面に付着するカーボンをより確実に除去することができる。
【0035】
本実施形態に係る燃料ノズル100は、筒部20の燃焼室CC側の端部と、ガイド部30の筒部20側の端部とを連結するとともに第2ノズル部60から燃焼室CCへ導かれる混合気を軸線Xから遠ざかる方向へ導くように燃焼室CCへ向けて外径OD2が漸次拡大するフランジ部40を備える。
【0036】
本実施形態に係る燃料ノズル100によれば、フランジ部40によって第2ノズル部60から導かれる混合気MAが軸線Xから遠ざかる方向へ導かれ、それに伴ってフランジ部40の下流側に気流の流れが抑制されたよどみ領域が形成される。よどみ領域では、燃料の付着等によるカーボンの堆積の可能性が高まる。本実施形態に係る燃料ノズル100によれば、ガイド部30が貫通穴32,33を有するため、フランジ部40を有する場合であっても、ガイド部30の表面にカーボンが堆積することを確実に抑制することができる。
【0037】
本実施形態に係る燃料ノズル100によれば、軸線X回りの周方向に沿って間隔を空けて配置された複数の旋回羽根51により、通過する燃焼用空気CAに軸線X回りに旋回する旋回力を付与することができる。
【0038】
〔第2実施形態〕
次に、本開示の第2実施形態に係る燃料ノズル100Aについて説明する。本実施形態は、第1実施形態の変形例であり、以下で特に説明する場合を除き、第1実施形態と同様であるものとし、以下での説明を省略する。
【0039】
第1実施形態の燃料ノズル100は、ガイド部30の燃焼室CC側の表面に堆積するカーボンを除去する燃焼用空気CAを、開口部31を通過させることなく燃焼室CCへ直接的に導く空気流通機構として、ガイド部30に形成された複数の貫通穴32,33を採用したものであった。それに対して、本実施形態の燃料ノズル100Aは、ガイド部30Aの空気流通機構を構成する構造体として、空気流通孔が一様に形成された多孔質構造体を採用したものである。
【0040】
図6は、本実施形態に係る燃料ノズル100Aを軸線Xに沿って燃焼室CC側からみた正面図である。本実施形態のガイド部30Aは、軸線Xからの距離が半径R5以上かつ半径R6以下の領域PAに、噴射領域JAへ案内される燃焼用空気CAの一部を燃焼室CCへ直接的に導く空気流通孔34が一様に形成された多孔質構造体を採用したものである。
【0041】
図6に示すガイド部30の領域PAは、空気流通孔34が一様に形成された多孔質構造体により形成されている。ガイド部30Aの領域PAに形成される空気流通孔34は、第1実施形態の貫通穴32および貫通穴33と同様に、燃焼室CCに導かれる燃焼用空気CAに軸線X回りに旋回する旋回力を付与する。
【0042】
図6に示すように、ガイド部30Aは、軸線X回りの旋回力が付与された燃焼用空気CAを、外周面30bに形成された複数の空気流通孔34から燃焼室CCへ導く。軸線Xに沿って燃焼室CC側からガイド部30Aをみた場合、複数の空気流通孔34から排出される燃焼用空気CAは、複数の空気流通孔34よりも外周側のガイド部30の外周面30bに沿って流通する。そのため、複数の空気流通孔34よりも外周側のガイド部30の外周面30bへのカーボンの堆積が防止される。
【0043】
図6に示すように、軸線Xに沿って燃焼室CC側からガイド部30Aをみた場合、領域PAよりも内周側の領域には、複数の空気流通孔34から排出された燃焼用空気CAが導かれない。しかしながら、領域PAよりも内周側の領域へのカーボンの堆積は防止される。これは、領域PAよりも内周側の領域には、開口部31から噴出する旋回力が付与された燃焼用空気CAが流通するからである。
【0044】
なお、以上の説明において、領域PAよりも内周側の領域には、空気流通孔34が一様に形成された多孔質構造体を採用しないものとしたが、他の態様であってもよい。例えば、空気流通孔34が一様に形成された多孔質構造体を、領域PAよりも内周側の領域を含むガイド部30Aの全領域に採用してもよい。
【0045】
本実施形態の燃料ノズル100Aによれば、ガイド部30Aとして空気流通孔34が一様に形成された多孔質構造体を採用することにより、多孔質構造体に形成された空気流通孔34を介して、燃焼用空気CAの一部を燃焼室CCへ直接的に導くことができる。
【0046】
〔第3実施形態〕
次に、本開示の第3実施形態に係る燃料ノズル100Bについて説明する。本実施形態は、第1実施形態および第2実施形態の変形例であり、以下で特に説明する場合を除き、第1実施形態と同様であるものとし、以下での説明を省略する。
【0047】
第1実施形態の燃料ノズル100が備える旋回器50は、軸線X回りの周方向に沿って間隔を空けて配置された複数の旋回羽根51を備えるものであった。それに対して、本実施形態の燃料ノズル100Bが備える旋回器50Aは、軸線X回りの周方向に沿って間隔を空けて配置された複数の旋回穴52が形成されている環状部材を用いたものである。
【0048】
図7は、本実施形態に係る燃料ノズル100Bを示す縦断面図である。
図8は、
図7に示す燃料ノズル100BのB-B矢視断面図である。
図7に示すように、本実施形態の旋回器50Aは、第1ノズル部10の外周面と筒部20の内周面との間に配置される環状部材である。
図8に示すように、旋回器50Aは、軸線X回りの周方向に沿って環状に形成される部材である。
【0049】
図8に示すように、旋回器50Aには、軸線X回りに周方向に沿って間隔を空けて配置された複数の旋回穴52が形成されている。各旋回穴52は、第1実施形態の旋回羽根51と同様に、通過する燃焼用空気CAに対して、燃料ノズル100を軸線Xに沿って燃焼室CC側からみた場合に、軸線X回りに時計回りに旋回する旋回力を付与する。
【0050】
本実施形態に係る燃料ノズル100Bによれば、軸線X回りの周方向に沿って間隔を空けて旋回穴52が形成された環状部材により、旋回穴52を通過する燃焼用空気CAに軸線X回りに旋回する旋回力を付与することができる。
【0051】
以上の説明において、燃料ノズル100Bが有する旋回器50Aは、軸線X回りの周方向に沿って間隔を空けて配置された複数の旋回穴52が形成されている環状部材を用いたものであったが、他の変形例としてもよい。
【0052】
例えば、
図9に示す燃料ノズル100Cのように、旋回器50Bは、通過する燃焼用空気CAに軸線X回りに旋回する旋回力を付与する旋回力付与孔53が一様に形成された多孔質構造体からなる環状部材としてもよい。変形例に係る燃料ノズル100Cによれば、旋回力付与孔53が一様に形成された多孔質構造体からなる旋回器50Bにより、旋回力付与孔53を通過する燃焼用空気CAに軸線X回りに旋回する旋回力を付与することができる。
【0053】
〔他の実施形態〕
以上の説明において、燃料ノズル100,100A,100B,100Cを構成する各部は、それぞれ独立した部品を組み合わせたものとしてもよい。また、燃料ノズル100,100A,100B,100Cを構成する各部を、単一または複数の材料(金属材料等)により一体に形成してもよい。単一または複数の材料により一体に形成する場合、金属材料を積層して三次元形状を積層造形する3Dプリンタを用いた付加製造(Additive Manufacturing)を採用してもよい。
【0054】
以上説明した各実施形態に記載の燃料ノズルは、例えば以下のように把握される。
本開示に係る燃料ノズル(100)は、軸線(X)に沿って配置されるとともに第1液体燃料を噴射孔(11)から燃焼室(CC)へ向けて噴射して微粒化させる圧力噴射型の第1ノズル部(10)と、軸線(X)に沿って筒状に形成されるとともに第1ノズル部(10)の外周側に配置され、第1ノズル部(10)との間に燃焼用空気を流通させる空気流路(AP)を形成する筒部(20)と、空気流路(AP)に配置されるとともに空気流路(AP)を流通する燃焼用空気が軸線(X)回りに旋回する旋回力を付与する旋回器(50)と、旋回器(50)を通過した燃焼用空気(CA)を前記第1ノズル部(10)が第1液体燃料を噴射する噴射領域(JA)を取り囲む開口部(31)へ案内するガイド部(30)と、軸線(X)に沿って筒状に形成されるとともに筒部(20)の外周側に配置され、筒部(20)との間に微粒化した第2液体燃料と燃焼用空気とを混合させた混合気を流通させる第2ノズル部(60)と、を備え、ガイド部(30)は、ガイド部(30)により噴射領域(JA)へ案内される燃焼用空気の一部を、開口部(31)を通過させることなく燃焼室(CC)へ直接的に導く空気流通機構(32,33)を有する。
【0055】
本開示に係る燃料ノズル(100)によれば、ガイド部(30)により旋回器(50)を通過して旋回力が付与された燃焼用空気(CA)が、第1ノズル部(10)が第1液体燃料を噴射する噴射領域(JA)を取り囲む開口部(31)へ案内され、開口部(31)から燃焼室(CC)へ噴出する。旋回力が付与されて開口部(31)に収束した燃焼用空気(CA)により、第1ノズル部(10)から噴射された第1液体燃料が逆流して噴射孔(11)の近傍に付着することが抑制され、噴射孔(11)の近傍にカーボンが堆積することを抑制することができる。
【0056】
また、本開示に係る燃料ノズル(100)によれば、ガイド部(30)が、空気流通機構(32,33)を有するため、ガイド部(30)の燃焼室(CC)側の外周面に沿って空気流通機構(32,33)から導かれる燃焼用空気(CA)が流通する。これにより、ガイド部の表面にカーボンが堆積することを抑制することができる。
【0057】
本開示に係る燃料ノズル(100)において、ガイド部(30)は、軸線(X)に沿って開口部(31)へ向けて外径(OD1)が漸次縮小する凸形状の外周面(30a)を有する。
凸形状の外周面(30a)を有するガイド部(30)は、開口部31から離れるほど開口部31から噴出する燃焼用空気(CA)が流通しない状態となり、燃料の付着等によるカーボンの堆積の可能性が高まる。本開示に係る燃料ノズル(100)によれば、ガイド部(30)が空気流通機構(32,33)を有するため、凸形状の外周面(30a)を有する場合であっても、ガイド部(30)の表面にカーボンが堆積することを確実に抑制することができる。
【0058】
本開示に係る燃料ノズル(100)において、空気流通機構(32,33)は、燃焼室(CC)に導かれる燃焼用空気(CA)に軸線(X)回りに旋回する旋回力を付与する。
空気流通機構(32,33)から噴出する燃焼用空気(CA)に軸線(X)回りに旋回する旋回力が付与されるため、ガイド部(30)の燃焼室(CC)側の外周面に付着するカーボンをより確実に除去することができる。
【0059】
本開示に係る燃料ノズル(100)は、筒部(20)の燃焼室(CC)側の端部と、ガイド部(30)の筒部(20)側の端部とを連結するとともに第2ノズル部(60)から燃焼室(CC)へ導かれる混合気を軸線(X)から遠ざかる方向へ導くように燃焼室(CC)へ向けて外径(OD2)が漸次拡大する拡径部(40)を備える。
【0060】
本開示に係る燃料ノズル(100)によれば、拡径部(40)によって第2ノズル部(60)から導かれる混合気が軸線(X)から遠ざかる方向へ導かれ、それに伴って拡径部(40)の下流側に気流の流れが抑制されたよどみ領域が形成される。よどみ領域では、燃料の付着等によるカーボンの堆積の可能性が高まる。本開示に係る燃料ノズル(100)によれば、ガイド部(30)が空気流通機構(32,33)を有するため、拡径部(40)を有する場合であっても、ガイド部(30)の表面にカーボンが堆積することを確実に抑制することができる。
【0061】
本開示に係る燃料ノズル(100)は、空気流通機構(32,33)は、燃焼用空気(CA)を通過させない構造体の複数箇所に形成された貫通穴(32,33)である。
本開示に係る燃料ノズル(100)によれば、燃焼用空気(CA)を通過させない構造体を用いて燃焼用空気(CA)を確実に開口部31へ導くとともに、構造体に形成された貫通穴(32,33)を介して、燃焼用空気(CA)の一部を燃焼室(CC)へ直接的に導くことができる。
【0062】
本開示に係る燃料ノズル(100A)において、空気流通機構は、噴射領域(JA)へ案内される燃焼用空気の一部を燃焼室(CC)へ直接的に導く空気流通孔(34)が一様に形成された多孔質構造体である。
本開示に係る燃料ノズル(100A)によれば、空気流通孔(34)が一様に形成された多孔質構造体を採用することにより、多孔質構造体に形成された空気流通孔(34)を介して、燃焼用空気(CA)の一部を燃焼室(CC)へ直接的に導くことができる。
【0063】
本開示に係る燃料ノズル(100)において、旋回器(50)は、軸線(X)回りの周方向に沿って間隔を空けて配置された複数の旋回羽根(51)を備える。
本開示に係る燃料ノズル(100)によれば、軸線(X)回りの周方向に沿って間隔を空けて配置された複数の旋回羽根(51)により、通過する燃焼用空気(CA)に軸線(X)回りに旋回する旋回力を付与することができる。
【0064】
本開示に係る燃料ノズル(100B)において、旋回器(50A)は、第1ノズル部(10)の外周面と筒部(20)の内周面との間に配置される環状部材であり、環状部材には、軸線(X)回りの周方向に沿って間隔を空けて配置された複数の旋回穴(52)が形成されている。
本開示に係る燃料ノズル(100B)によれば、軸線(X)回りの周方向に沿って間隔を空けて旋回穴(52)が形成された環状部材により、旋回穴(52)を通過する燃焼用空気(CA)に軸線(X)回りに旋回する旋回力を付与することができる。
【0065】
以上説明した各実施形態に記載のガスタービンエンジンは、例えば以下のように把握される。
本開示に係るガスタービンエンジンは、第1液体燃料および第2液体燃料を微粒化して燃焼させる燃料ノズル(100)を備える燃焼器と、燃焼器が第1液体燃料および第2液体燃料を燃焼させることにより生成された燃焼ガスにより駆動されるタービンと、を備える。
本開示によれば、ガイド部(30)により圧力噴霧型燃料ノズルの噴射領域(JA)を含む開口部(31)へ燃焼用空気(CA)を案内して噴射孔(11)の近傍にカーボンが堆積することを抑制し、かつガイド部(30)の表面にカーボンが堆積することを抑制することができる燃料ノズル(100)を備えたガスタービンエンジンを提供することができる。
【符号の説明】
【0066】
10 第1ノズル部
11 噴射孔
20 筒部
30,30A ガイド部
30a 内周面
30b 外周面
31 開口部
32,33 貫通穴(空気流通機構)
34 空気流通孔
40 フランジ部(拡径部)
50,50A,50B 旋回器
51 旋回羽根
52 旋回穴
53 旋回力付与孔
60 第2ノズル部
100,100A,100B,100C 燃料ノズル
AP 空気流路
CA 燃焼用空気
CC 燃焼室
JA 噴射領域
MA 混合気
MP 混合気流路
OD1,OD2 外径
PA 領域
X 軸線