(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-23
(45)【発行日】2023-07-03
(54)【発明の名称】放熱モジュール及び投影装置
(51)【国際特許分類】
G03B 21/16 20060101AFI20230626BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20230626BHJP
H04N 5/74 20060101ALI20230626BHJP
H04N 9/31 20060101ALI20230626BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20230626BHJP
【FI】
G03B21/16
G03B21/00 D
H04N5/74 Z
H04N9/31 440
H05K7/20 H
H05K7/20 R
(21)【出願番号】P 2019161645
(22)【出願日】2019-09-05
【審査請求日】2022-01-31
(31)【優先権主張番号】201821460990.7
(32)【優先日】2018-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】500093133
【氏名又は名称】中強光電股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】鐘 文▲彦▼
(72)【発明者】
【氏名】▲頼▼ 奕翰
【審査官】川俣 郁子
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-025212(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0019161(US,A1)
【文献】特開2017-033779(JP,A)
【文献】特開2007-133300(JP,A)
【文献】特開昭57-084989(JP,A)
【文献】特開2015-185551(JP,A)
【文献】特開2008-058626(JP,A)
【文献】国際公開第2015/015552(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0211477(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0053567(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B21/00-21/10
21/12-21/13
21/134-21/30
33/00-33/16
H04N5/66-5/74
9/12-9/31
H05K7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発熱素子を放熱するための放熱モジュールであって、
前記放熱モジュールは、ヒートパイプ、放熱板、第一放熱フィン、及び第二放熱フィンを含み、
前記ヒートパイプは、第一部分、第二部分、並びに前記第一部分及び前記第二部分に接続される第三部分を含み、前記第一部分は、前記第二部分と平行に設置され、
前記ヒートパイプの前記第三部分及び前記複数の発熱素子は、前記放熱板に接続され、
前記ヒートパイプの前記第一部分は、前記第一放熱フィンに穿設され、
前記ヒートパイプの前記第二部分は、前記第二放熱フィンに穿設され、
前記複数の発熱素子は、前記放熱板、前記第一放熱フィン、及び前記第二放熱フィンにより、熱伝導及び熱対流の方式で放熱を行
い、
前記第二放熱フィンの、前記第二部分の延伸方向上の長さは、前記第一放熱フィンの、前記第一部分の延伸方向上の長さよりも大きく、冷却気流の風進入方向は、前記第一部分の前記延伸方向に平行でなく、前記風進入方向上では、前記第一放熱フィンは、前記放熱板をブロックしない、放熱モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の放熱モジュールであって、
前記ヒートパイプの前記第三部分は、接触部、第一接続部、及び第二接続部を含み、
前記接触部は、前記放熱板に接触し、且つ前記第一接続部及び前記第二接続部に接続され、
前記第一接続部は、前記ヒートパイプの前記第一部分及び前記接触部に接続され、前記第二接続部は、前記ヒートパイプの前記第二部分及び前記接触部に接続される、放熱モジュール。
【請求項3】
請求項1に記載の放熱モジュールであって、
前記第一放熱フィンの幅は、前記第二放熱フィンの幅よりも大きい、放熱モジュール。
【請求項4】
請求項1に記載の放熱モジュールであって、
前記第二放熱フィンの体積は、前記第一放熱フィンの体積よりも大きい、放熱モジュール。
【請求項5】
請求項1に記載の放熱モジュールであって、
前記放熱板は、前記ヒートパイプの前記第二部分に近い、放熱モジュール。
【請求項6】
ケーシング、光学エンジン、投影レンズ、及び放熱モジュールを含む投影装置であって、
前記ケーシングは、風進入口及び風排出口を有し、
前記光学エンジンは、前記ケーシング内に配置され、且つ複数の発熱素子を含み、
前記投影レンズは、前記ケーシング内に配置され、且つ前記光学エンジンに接続され、
前記放熱モジュールは、前記ケーシング内に配置され、且つヒートパイプ、放熱板、第一放熱フィン、及び第二放熱フィンを含み、
前記ヒートパイプは、第一部分、第二部分、並びに前記第一部分及び前記第二部分に接続される第三部分を含み、前記第一部分及び前記第二部分は、平行に設置され、
前記ヒートパイプの前記第三部分及び前記複数の発熱素子は、前記放熱板に接続され、
前記ヒートパイプの前記第一部分は、前記第一放熱フィンに穿設され、
前記ヒートパイプの前記第二部分は、前記第二放熱フィンに穿設され、
前記複数の発熱素子は、前記放熱板、前記第一放熱フィン、及び前記第二放熱フィンにより、熱伝導及び熱対流の方式で放熱を行
い、
前記第二放熱フィンの、前記第二部分の延伸方向上の長さは、前記第一放熱フィンの、前記第一部分の延伸方向上の長さよりも大きく、冷却気流の風進入方向は、前記第一部分の前記延伸方向に平行でなく、前記風進入方向上では、前記第一放熱フィンは、前記放熱板をブロックしない、投影装置。
【請求項7】
ケーシング、光学エンジン、投影レンズ、及び放熱モジュールを含む投影装置であって、
前記ケーシングは、風進入口及び風排出口を有し、
前記光学エンジンは、前記ケーシング内に配置され、且つ複数の発熱素子を含み、
前記投影レンズは、前記ケーシング内に配置され、且つ前記光学エンジンに接続され、
前記放熱モジュールは、前記ケーシング内に配置され、且つヒートパイプ、放熱板、第一放熱フィン、及び第二放熱フィンを含み、
前記ヒートパイプは、第一部分、第二部分、並びに前記第一部分及び前記第二部分に接続される第三部分を含み、前記第一部分及び前記第二部分は、平行に設置され、
前記ヒートパイプの前記第三部分及び前記複数の発熱素子は、前記放熱板に接続され、
前記ヒートパイプの前記第一部分は、前記第一放熱フィンに穿設され、
前記ヒートパイプの前記第二部分は、前記第二放熱フィンに穿設され、
前記複数の発熱素子は、前記放熱板、前記第一放熱フィン、及び前記第二放熱フィンにより、熱伝導及び熱対流の方式で放熱を行い、
前記複数の発熱素子は、
前記放熱板の一方側に設置され、且つ前記ヒートパイプの前記第二部分に近い複数の光源;及び
前記放熱板の他方側に設置され、且つ前記ヒートパイプの前記第一部分に近いライトバルブを含み、
前記複数の光源は、照明光束を発し、
前記ライトバルブは、前記照明光束の光伝播経路に位置し、前記照明光束を映像光束に変換する、投影装置。
【請求項8】
請求項
7に記載の投影装置であって、
前記ライトバルブの能動表面の法線は、前記投影レンズの投影方向に垂直である、投影装置。
【請求項9】
請求項
7に記載の投影装置であって、
前記複数の光源は、赤色発光ダイオード、緑色発光ダイオード、及び青色発光ダイオードを含み、前記赤色発光ダイオード及び前記青色発光ダイオードは、前記放熱板のコーナーの両側に位置し、前記緑色発光ダイオード及び前記赤色発光ダイオードは、隣接して設置され、前記緑色発光ダイオードは、前記ライトバルブに近い、投影装置。
【請求項10】
請求項
9に記載の投影装置であって、
前記赤色発光ダイオードに接続される放熱器をさらに含む、投影装置。
【請求項11】
請求項7に記載の投影装置であって、
前記ヒートパイプの前記第三部分は、接触部、第一接続部、及び第二接続部を含み、前記接触部は、前記放熱板に接触し、且つ前記第一接続部及び前記第二接続部に接続され、前記第一接続部は、前記ヒートパイプの前記第一部分及び前記接触部に接続され、前記第二接続部は、前記ヒートパイプの前記第二部分及び前記接触部に接続される、投影装置。
【請求項12】
請求項7に記載の投影装置であって、
前記第一放熱フィンの幅は、前記第二放熱フィンの幅よりも大きい、投影装置。
【請求項13】
請求項7に記載の投影装置であって、
前記第二放熱フィンの体積は、前記第一放熱フィンの体積よりも大きい、投影装置。
【請求項14】
請求項7に記載の投影装置であって、
前記放熱板は、前記ヒートパイプの前記第二部分に近い、投影装置。
【請求項15】
請求項7に記載の投影装置であって、
前記放熱板は、前記投影レンズと前記ヒートパイプの前記第三部分との間に位置する、投影装置。
【請求項16】
請求項7に記載の投影装置であって、
前記風進入口の風進入方向及び前記風排出口の風排出方向は、前記投影レンズの投影方向に平行でない、投影装置。
【請求項17】
ケーシング、光学エンジン、投影レンズ、及び放熱モジュールを含む投影装置であって、
前記ケーシングは、風進入口及び風排出口を有し、
前記光学エンジンは、前記ケーシング内に配置され、且つ複数の発熱素子を含み、
前記投影レンズは、前記ケーシング内に配置され、且つ前記光学エンジンに接続され、
前記放熱モジュールは、前記ケーシング内に配置され、且つヒートパイプ、放熱板、第一放熱フィン、及び第二放熱フィンを含み、
前記ヒートパイプは、第一部分、第二部分、並びに前記第一部分及び前記第二部分に接続される第三部分を含み、前記第一部分及び前記第二部分は、平行に設置され、
前記ヒートパイプの前記第三部分及び前記複数の発熱素子は、前記放熱板に接続され、
前記ヒートパイプの前記第一部分は、前記第一放熱フィンに穿設され、
前記ヒートパイプの前記第二部分は、前記第二放熱フィンに穿設され、
前記複数の発熱素子は、前記放熱板、前記第一放熱フィン、及び前記第二放熱フィンにより、熱伝導及び熱対流の方式で放熱を行い、
前記ケーシング内に配置され、且つ前記ヒートパイプの前記第一部分と
前記放熱板との間に位置する複数の第一ファン;及び
前記ケーシング内に配置され、且つ前記ヒートパイプの前記第二部分と前記風排出口との間に位置する複数の第二ファンをさらに含む、投影装置。
【請求項18】
請求項
17に記載の投影装置であって、
前記風進入口と、ライトバルブに近い前記第一ファンとの間に、前記第一放熱フィンがない、投影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放熱モジュール及び投影装置に関し、特に、優れた放熱効果を有する放熱モジュール及びこの放熱モジュールを用いる投影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に言えば、投影装置中の主な熱源が光源及びライトバルブ(light valve)である。従来の投影装置における放熱装置の熱伝達レイアウトでは、これらの熱源は、それぞれ、放熱を行うために放熱器に接続される。しかし、このような方法では、投影装置のシステム全体のレイアウトがコンパクトにならず、より多くの導風構造を用いて風の流れの問題を解決する必要がある。また、投影装置のシステム全体の風量も減少し、これにより、投影装置の放熱能力に影響を与えることがある。
【0003】
なお、この“背景技術”の部分は、本発明の内容への理解を助けるためだけのものであるため、この“背景技術”の部分に開示されている内容は、当業者に知られていない技術を含む可能性がある。よって、この“背景技術”の部分に開示されている内容は、該内容、又は、本発明の1つ又は複数の実施例が解決しようとする課題が本発明の出願前に既に当業者に周知されていることを意味しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、より良い放熱効果を有する放熱モジュールを提供することにある。
【0005】
本発明のもう1つの目的は、上述の放熱モジュールを含み、スペースを節約し、且つ優れた放熱効果を有する投影装置を提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的及び利点は、本発明に開示されている技術的特徴からさらに理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の1つ又は一部又は全部の目的或いは他の目的を達成するために、本発明の一実施例では、放熱モジュールが提供され、それは、複数の発熱素子に対して放熱を行うために用いられ、且つヒートパイプ、放熱板、第一放熱フィン、及び第二放熱フィンを含む。ヒートパイプは、第一部分、第二部分、並びに第一部分及び第二部分に接続される第三部分を含む。第一部分及び第二部分は、平行に設置される。ヒートパイプの第三部分及び発熱素子は、放熱板に接続される。ヒートパイプの第一部分は、第一放熱フィンに穿設される。ヒートパイプの第二部分は、第二放熱フィンに穿設される。複数の発熱素子は、放熱板、第一放熱フィン、及び第二放熱フィンにより、熱伝導及び熱対流の方式で放熱を行う。
【0008】
本発明の他の実施例では、投影装置が提供され、それは、ケーシング、光学エンジン、投影レンズ、及び放熱モジュールを含む。ケーシングは、風進入口及び風排出口を有する。光学エンジンは、ケーシング内に配置され、且つ複数の発熱素子を含む。投影レンズは、ケーシング内に配置され、且つ光学エンジンに接続される。放熱モジュールは、ケーシング内に配置され、且つヒートパイプ、放熱板、第一放熱フィン、及び第二放熱フィンを含む。ヒートパイプは、第一部分、第二部分、並びに第一部分及び第二部分に接続される第三部分を含む。第一部分及び第二部分は、平行に設置される。ヒートパイプの第三部分及び発熱素子は、放熱板に接続される。ヒートパイプの第一部分は、第一放熱フィンに穿設される。ヒートパイプの第二部分は、第二放熱フィンに穿設される。複数の発熱素子は、放熱板、第一放熱フィン、及び第二放熱フィンにより、熱伝導及び熱対流の方式で放熱を行う。
【0009】
上述により、本発明の実施例は、少なくとも次のような1つの利点又は効果を有する。本発明の放熱モジュールでは、放熱板に設置され、且つヒートパイプの第一部分に比較的に近い発熱素子は、放熱板により熱伝導及び熱対流の方式で放熱を行うことができるだけでなく、熱対流の方式で直接放熱を行うこともできる。言い換えると、本発明の放熱モジュールは、1つの熱対流の放熱経路を増設することで、より良い放熱効果を有する。また、本発明の放熱モジュールを用いる投影装置は、より良い放熱効果を有する他に、その発熱素子が全て放熱板に設置され、即ち、熱源が一箇所に集中するため、システムのスペースを有効に節約し、システムの体積及びノイズを小さくすることもできる。
【0010】
本発明の上述の特徴及び利点をより明らかにするために、以下、実施例を挙げて、添付した図面を参照することにより、詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】
図1中の投影装置の放熱モジュールを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の上述及び他の技術的内容、特徴、機能及び効果は、添付した図面に基づく以下のような好ましい実施例における詳細な説明により明確になる。なお、以下の実施例に言及されている方向についての用語、例えば、上、下、左、右、前、後などは、添付した図面の方向に過ぎない。よって、使用されている方向の用語は、本発明を説明するためだけのものであり、本発明を限定するためのものではない。
【0013】
図1は、本発明による投影装置を示す図である。
図2は、
図1中の投影装置の放熱モジュールを示す図である。なお、明確且つ便宜のために、
図1では、一部の部品(例えば、一部のケーシングなど)の図示が省略され、且つ一部のケーシングが点線で表される場合がある。
図1及び
図2を同時に参照する。本実施例では、投影装置10は、ケーシング100、光学エンジン200、投影レンズ(projection lens)300、及び放熱モジュール400を含む。ケーシング100の1つの側面に風進入口102があり、ケーシング100のもう1つの側面に風排出口104があり、そのうち、風進入口102及び風排出口104は、それぞれ、ケーシング100の相対する両側に位置する。光学エンジン200は、ケーシング100内に配置され、且つ複数の発熱素子210、220、230、240を含み、そのうち、発熱素子220、230、240は、例えば、照明光束を発するための複数の光源、及び、照明光束の光伝播経路に位置し、且つ照明光束を映像光束に変換する発熱素子210、例えば、ライトバルブを含む。ここで、ライトバルブ210は、光変調素子であり、それは、例えば、DMD(Digital Micromirror DeviceD)であるが、これに限定されない。他の実施例では、光変調素子は、反射型LCOS(Liquid Crystal on Silicon)又は透過型液晶パネル(Transparent Liquid Crystal Panel)であっても良い。光源は、例えば、固体光源(solid-state illumination source)、例えば、発光ダイオード(light emitting diode)又はレーザーダイオード(laser diode)である。ここで、光源が赤色発光ダイオード220、緑色発光発光ダイオード230、及び青色発光発光ダイオード240であることを例として説明する。投影レンズ300は、ケーシング100内に配置され、且つ光学エンジン200に接続され、映像光束をケーシング100の外へ投射するために用いられる。
図1に示すように、ケーシング100の風進入口102の風進入方向D1及び風排出口104の風排出方向D2は、投影レンズ300の投影方向D3に平行でない。例えば、ケーシング100の風進入口102の風進入方向D1及び風排出口104の風排出方向D2は、投影レンズ300の投影方向D3に垂直であるが、これに限定されず、設計者が行う投影装置10中の各素子の配列によれば良い。そのうち、風進入方向D1及び風排出方向D2は、冷却気流の流動方向と定義される。
【0014】
再び
図1及び
図2を参照する。本実施例の放熱モジュール400は、ケーシング100内に配置され、放熱モジュール400は、ヒートパイプ410、放熱板420、第一放熱フィン430、及び第二放熱フィン440を含む。ヒートパイプ410は、第一部分412、第二部分414、並びに第一部分412及び第二部分414に接続される第三部分416を含み、そのうち、第一部分412及び第二部分414は、平行に設置される。ここで、ヒートパイプ410の形状は、具体的には、U字形であり、第一部分412は、第二部分41と対称的に設けられ、また、第二部分414の長さは、第一部分412の長さに等しいが、本発明は、これに限定されず、他の実施例では、第二部分414の長さは、第二放熱フィン440のサイズに合わせるために、第一部分412の長さよりも大きくても良い。ヒートパイプ410の第三部分416は、放熱板420に接続される。ヒートパイプ410の第三部分416及び発熱素子210、220、230、240は、放熱板420に位置し、発熱素子210、220、230、240は、放熱板420に接続され、そのうち、ヒートパイプ410の第三部分416は、接触部416a、第一接続部416b、及び第二接続部416cを含む。接触部416aは、放熱板420に接触し、且つ第一接続部416b及び第二接続部416cに接続され、そのうち、接触部416aの管径は、第一接続部416bの管径及び第二接続部416cの管径よりも大きく、これにより、放熱面積を増大し、放熱効率を向上させることができる。第一接続部416bは、ヒートパイプ410の第一部分412及び接触部416aに接続され、第二接続部416cは、ヒートパイプ410の第二部分414及び接触部416aに接続される。ヒートパイプ410の第一部分412は、第一放熱フィン430に穿設され、ヒートパイプ410の第二部分414は、第二放熱フィン440に穿設される。発熱素子220、230、240は、放熱板420の一方側に設置され、且つヒートパイプ410の第二部分414に近く、発熱素子210は、放熱板420の他方側に設置され、且つヒートパイプ410の第一部分412に近い。
【0015】
なお、ヒートパイプ410は、中空管であり、材質(材料)は、金属、例えば、銅である。ヒートパイプ410の内部には、冷却液体、例えば、水が充填され、管壁には、毛細管構造があり、又は、多孔質材料が増設され、毛細現象で冷却液体を発熱端に返すことができ、ヒートパイプ410は、熱を伝達するために用いられる。U字形ヒートパイプ410の特別な点は、ヒートパイプ410の第一部分412が第一放熱フィン430から出ること、及び、ヒートパイプ410の第二部分414が第二放熱フィン440から出ることにある。特に、第二放熱フィン440の、第二部分414の延伸方向E2上の長さL2は、第一放熱フィン430の、第一部分412の延伸方向E1上の長さL1よりも大きい。即ち、第二放熱フィン440の長さL2は、第一放熱フィン430の長さL1よりも大きい。ヒートパイプ410の第二部分414の長さが第一部分412の長さに等しく又はそれより少し大きく、これは、ヒートパイプ410の第一部分412の一部の領域が第一放熱フィン430により覆われないことを意味する。ここで、第一部分412の延伸方向E1及び第二部分414の延伸方向E2は、ともに、風進入口102の風進入方向D1及び風排出口104の風排出方向D2に垂直である。
図1に示すように、風進入方向D1上では、第一放熱フィン430が放熱板420をブロック(block)しないため、冷却気流が風進入口102からケーシング100に進入するときに、発熱素子210、220、230、240のうちの発熱素子210は、熱対流、及び、熱伝導プラス熱対流の方式で外部へ放熱することができる。言い換えると、発熱素子210、220、230、240は、放熱板420により提供される熱伝導、及び、第一放熱フィン430及び第二放熱フィン440により提供される熱対流の方式で放熱することができる以外に、ヒートパイプ410の第一部分412に近い発熱素子210は、風進入口102から入る一部の冷却気流が、第一放熱フィン430を流れず、直接、熱対流の方式で冷却することもできる。簡単に言うと、本実施例の放熱モジュール400の設計により、1つの熱対流の放熱経路を増設することで、より良い放熱効果を有する。また、発熱素子210(即ち、ライトバルブ)の耐熱性が低いから、冷却気流により直接発熱素子210を冷却することで、その使用寿命及び信頼性を有効に向上させることもできる。
【0016】
さらに言えば、放熱モジュール400の放熱板420は、投影レンズ300とヒートパイプ410の第三部分416との間に位置し、且つ光学エンジン200の底部に位置する。即ち、ヒートパイプ410は、投影レンズ300を離れることで、ヒートパイプ410の周囲の熱い空気が投影レンズ300を加熱するによる光学品質への影響を避けることができる。放熱板420は、光学エンジン200の底部に接続される。高輝度のニーズに応じて、放熱面で有利になるように緑色発光ダイオード230を流れ場の上流側に設け、熱に敏感でない青色発光ダイオード240を流れ場の下流側に設けることで、他の熱源又は光学素子への影響を避けることができ、そのうち、流れ場の上下流とは、冷却気流が発熱素子の複数の光源を流れる前後の順序を指す。よって、
図1に示すように、赤色発光ダイオード220及び青色発光ダイオード240は、放熱板420のコーナーの両側に位置し、赤色発光ダイオード220及び青色発光ダイオード240は、垂直に設置される。緑色発光ダイオード230及び赤色発光ダイオード220は、隣接して設置され、且つ緑色発光ダイオード230は、他の発光ダイオードよりも、ライトバルブ210に近い。また、赤色発光ダイオード220の効果が温度と高い負の相関を有するため、赤色発光ダイオード220の放熱効率を向上させるために、投影装置10は、さらに、放熱器500を含んでも良く、放熱器500は、赤色発光ダイオード220に接続されることで、熱伝導の放熱手段を増やすことができる。
【0017】
また、投影装置10全体の冷却気流の強度を向上させるために、投影装置10は、さらに、複数の第一ファン600(
図1では、一例として、2つがある)及び複数の第二ファン700(
図1では、一例として、2つがある)を含んでも良い。第一ファン600は、ケーシング100内に配置され、且つヒートパイプ410の第一部分412と放熱板420との間に位置する。第二ファン700は、ケーシング100内に配置され、且つヒートパイプ410の第二部分414と風排出口104との間に位置する。また、第二ファン700は、ヒートパイプ410の第二部分414と風排出口104との間に配置され、これにより、熱源(複数の発熱素子)と第二ファン700との間に一定の距離を保つことで、気流(熱気)は、このようなスペースで集まった後に、第二ファン700により投影装置10の外へ排出することができる。一部の冷却気流は、風進入口102からケーシング100内に進入するときに、順に、第一放熱フィン430/ヒートパイプ410の第一部分412、第一ファン600、ライトバルブ210/投影レンズ300、緑色発光ダイオード230/赤色発光ダイオード220/青色発光ダイオード240、第二放熱フィン440、第二ファン700、及び風排出口104を流れることで、ケーシング100内の発熱素子210、220、230、240に対して放熱を行うことができる。
【0018】
なお、第二放熱フィン440の長さL2が第一放熱フィン430の長さL1よりも大きく、その目的は、一部の冷却気流が風進入口102からケーシング100内に入るときに、この一部の冷却気流が、第一放熱フィン430を流れず、直接、ライトバルブ210に近い第一ファン600によりライトバルブ210へ吹かれ、これにより、より多くの冷却気流を導入して直接ライトバルブ210へ吹かせることで、ライトバルブ210の温度を低くすることができる。言い換えると、風進入口102と、ライトバルブ210に近い第一ファン600との間には、第一放熱フィン430を有しない。また、ライトバルブ210の能動表面(マイクロレンズがある表面)の法線は、投影レンズの投影方向D3に垂直である。
【0019】
図2に示すように、第一放熱フィン430の幅W1が第二放熱フィン440の幅W2よりも大きい。好ましくは、本実施例の第二放熱フィン440の体積が第一放熱フィン430の体積よりも大きく、そのため、第二放熱フィン440は、第一放熱フィン430に比べ、ケーシング100内のより多くの熱を放出することができる。よって、冷却気流が第一放熱フィン430を流れた後に、下流側の投影レンズ300を加熱することがないから、その光学品質に影響を与えることがない。
【0020】
以上のことから、本発明の実施例は、少なくとも次のような1つの利点又は効果を有する。即ち、本発明の放熱モジュールでは、第二放熱フィンの、ヒートパイプの第二部分の延伸方向上の長さは、第一放熱フィンの、ヒートパイプの第一部分の延伸方向上の長さよりも大きく、且つ風進入方向上では、第一放熱フィンは、放熱板をブロックしない。よって、放熱板に設置され、且つヒートパイプの第一部分に近い発熱素子は、放熱板により熱伝導及び熱対流の方式で放熱を行うことができるだけでなく、熱対流の方式で直接放熱を行うこともできる。つまり、本発明の放熱モジュールは、1つの熱対流の放熱経路を増設することで、より良い放熱効果を有する。また、本発明の放熱モジュールを用いる投影装置は、より良い放熱効果を有する他に、その発熱素子が全て放熱板に設置され、即ち、熱源が一箇所に統合されることで、システムのスペースを有効に節約し、システムの体積及びノイズを小さくすることもできる。
【0021】
本発明は、前述した好適な実施例に基づいて以上のように開示されたが、前述した好適な実施例は、本発明を限定するためのものでなく、当業者は、本発明の技術的思想と範囲を離脱しない限り、本発明に対して些細な変更と潤色を行うことができるので、本発明の保護範囲は、添付した特許請求の範囲に定まったものを基準とする。また、本発明の何れの実施例又は特許請求の範囲は、本発明に開示されたすべての目的又は利点又は特徴を達成する必要がない。また、要約の一部と発明の名称は、文献の検索を助けるためのみのものであり、本発明の技術的範囲を限定するものでない。また、本明細書又は特許請求の範囲に言及されている「第一」、「第二」などの用語は、要素(element)に名前を付け、又は、異なる実施例又は範囲を区別するためのものみであり、要素の数量上での上限又は下限を限定するためのものでない。
【符号の説明】
【0022】
10:投影装置
100:ケーシング
102:風進入口
104:風排出口
200:光学エンジン
210:発熱素子/ライトバルブ
220:発熱素子/赤色発光ダイオード
230:発熱素子/緑色発光ダイオード
240:発熱素子/青色発光ダイオード
300:投影レンズ
400:放熱モジュール
410:ヒートパイプ
412:第一部分
414:第二部分
416:第三部分
416a:接触部
416b:第一接続部
416c:第二接続部
420:放熱板
430:第一放熱フィン
440:第二放熱フィン
500:放熱器
600:第一ファン
700:第二ファン
D1:風進入方向
D2:風排出方向
D3:投影方向
E1、E2:延伸方向
L1、L2:長さ
W1、W2:幅