(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-23
(45)【発行日】2023-07-03
(54)【発明の名称】監視カメラ利用車両システムに適用される状態予測サーバおよび注意喚起装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20230626BHJP
G08G 1/14 20060101ALI20230626BHJP
G08G 1/01 20060101ALI20230626BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20230626BHJP
【FI】
G08G1/00 A
G08G1/14 A
G08G1/01 D
G08G1/01 K
G08G1/09 F
G08G1/00 X
(21)【出願番号】P 2019196366
(22)【出願日】2019-10-29
【審査請求日】2021-08-06
(73)【特許権者】
【識別番号】391016358
【氏名又は名称】東芝情報システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】明井 正治
【審査官】田中 将一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-168953(JP,A)
【文献】特開2019-121040(JP,A)
【文献】特開2009-064276(JP,A)
【文献】特開2015-230478(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車場内における車両や人の状態を予測するためのサーバであって、
前記駐車場内の人や車両の位置、移動方向、速さ、
属性の内容、および、時刻情報からなる状況記録レコードを状況記録データベースに記録する状況記録処理部と、
前記状況記録レコードの時系列に基づいて搭乗可能性を推測し、前記搭乗可能性を含む状況記録レコードの内容と、車両情報とに基づいて、優先度決定ルールに従い、前記状況記録レコードごとに注意喚起に関する優先度を算出し、前記優先度が1より大きな値の対象物について、注意喚起のための説明および音声データである注意喚起情報データを生成する注意喚起作成処理部とを備え、
前記属性の内容は、車両固有の項目として、前記車両の搭乗者の有無、前記搭乗者の動作、ドアの開放の有無、および周辺作業の有無を含み、人固有の項目として、前記人の姿勢、年齢、歩行補助具の有無、および体の向きを含み、
前記優先度決定ルールは、車両の状態と、車両以外の状態と、車両と人および物との関連推定結果との3つに分類されて設けられている、状態予測サーバ。
【請求項2】
前記生成された注意喚起情報データを、前記駐車場内における各車両に送信する注意喚起情報送信処理部をさらに備えた、請求項1に記載の状態予測サーバ。
【請求項3】
前記車両情報は、前記駐車場内の車両の位置、移動経路、および移動の速さを含む、請求項1または2に記載の状態予測サーバ。
【請求項4】
前記状況記録処理部は、前記駐車場へ進入し、所定位置へ停車後に、ドアの開閉および周辺の歩行者が観測されていない車両に、搭乗者がいると判定し、判定結果である状況記録レコードを、前記状況記録データベースに記録
する、請求項1乃至3のうち何れか1項に記載の状態予測サーバ。
【請求項5】
前記状況記録処理部は、前記駐車場に停車中の車両の近辺での歩行者の消失、およびこの車両のドアの開閉が観測された場合、この車両に搭乗者がいると判定し、判定結果である状況記録レコードを、前記状況記録データベースに記録
する、請求項1乃至3のうち何れか1項に記載の状態予測サーバ。
【請求項6】
駐車場内における車両に注意喚起を行うために、前記車両に搭載された装置であって、
前記車両に搭載されたECUから、当該車両に関する車両情報を収集する車両情報収集処理部と、
前記駐車場内における車両や人の将来の状態を予測するための状態予測サーバから、前記駐車場内の車両および人の位置、移動方向、速さ、
属性の内容、および、時刻情報からなる状況記録レコードを受信する受信処理部と、
前記受信した状況記録レコードの時系列に基づいて搭乗可能性を推測し、前記搭乗可能性を含む状況記録レコードの内容と、車両情報とに基づいて、優先度決定ルールに従い、前記状況記録レコードごとに注意喚起に関する優先度を算出し、前記優先度が1より大きな値の対象物について、注意喚起のための説明および音声データである注意喚起情報データを生成する注意喚起作成処理部と、
前記注意喚起情報データに基づいて、テキスト表示または音声出力により、当該車両の運転者に、当該車両の周辺環境に関する注意を促す制御処理部と
を備え、
前記属性の内容は、車両固有の項目として、前記車両の搭乗者の有無、前記搭乗者の動作、ドアの開放の有無、および周辺作業の有無を含み、人固有の項目として、前記人の姿勢、年齢、歩行補助具の有無、および体の向きを含み、
前記優先度決定ルールは、車両の状態と、車両以外の状態と、車両と人および物との関連推定結果との3つに分類されて設けられている、注意喚起装置。
【請求項7】
前記車両情報は、当該車両の位置、移動経路、および移動の速さを含む、請求項
6に記載の注意喚起装置。
【請求項8】
当該車両に、自動運転システムが搭載されている場合、前記制御処理部は、前記注意喚起情報データを、自動運転のための車両制御用情報として、前記自動運転システムへ出力する、請求項
6または
7に記載の注意喚起装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、監視カメラ利用車両システムに適用される状態予測サーバおよび注意喚起装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の事故防止のために、車両の死角対策が重要である。
【0003】
車両の死角対策としては、当該車両に備えられた車載カメラを用いて、当該車両の周辺監視を行う車載装置が既に実用化され、市販されている。
【0004】
また、他の車両の死角や、建築物等による死角に対する対策として、例えば交差点では、カーブミラーの設置を前提として、特許文献1には、車載カメラによりカーブミラーを認識する技術が開示されている。
【0005】
また、カーブミラーに代わって、地上設置のカメラを用いて、車載側に映像等を送信することで、死角対策を行う技術が、特許文献2、特許文献3、特許文献4に開示されている。
【0006】
このうち、特許文献4では、地上設置のカメラの映像とは別に、車載カメラの映像を車両間で送受することで、車両自身の影になる部分を相互に補完する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2006-199055号公報
【文献】特開2001-101566号公報
【文献】特許第2947947号明細書
【文献】特開平7-73400号公報
【非特許文献】
【0008】
【文献】Pham, Viet-Quoc, Tatsuo Kozakaya, and Ryuzo Okada. "DIET: Dynamic Integration of Extended Tracklets for Tracking Multiple Persons." ICPR. 2014.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、以上の記載は、何れも路上走行時における死角対策に関するものであり、駐車場内走行時における死角対策に関するものではない。
【0010】
駐車場内走行時には、路上走行時とは異なる事情がある。このため、下記の様な状況が、同時に複数発生することが想定される。
【0011】
駐車場内では、搭乗者の降車や、無統制な歩行者等の存在がある。また、駐車場内で停車している車両は、継続して停車することが期待され、停車状態からの走行開始は、ある時点で稀な頻度で発生するものとなる。さらには、荷卸しや清掃等、車両周辺での作業や、しゃがんで作業をする人等の存在も想定される。
【0012】
交差点では、車両が一時的に通過するので、運転者は、現状の映像/状況から、次に予測される状況を運転者自身が把握する必要がある。駐車場では、それに加えて、運転者は、運転操作および目視の周辺監視を行いつつ、前述したように同時に複数発生している状況の把握も要求される。
【0013】
このように、駐車場では、運転者は、多くの複雑な状況を一度に把握することが要求される。当然ながら、これは容易なことではなく、運転者の負担を増大させる。
【0014】
したがって、特に、駐車場内での事故を防止するために、車両の影等の死角からの歩行者の飛び出しや、運転者から見えない場所に停車している車両の移動に関する情報を、運転者へ通知することによって、運転者の負担を軽減する技術の提供が望まれている。
【0015】
本発明が解決しようとする課題は、駐車場内での事故の可能性を低減することができる監視カメラ利用車両システムに適用される状態予測サーバおよび注意喚起装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
実施形態の状態予測サーバは、駐車場内の人や車両の位置、移動方向、速さ、属性の内容、および、時刻情報からなる状況記録レコードを状況記録データベースに記録する状況記録処理部と、状況記録レコードの時系列に基づいて搭乗可能性を推測し、搭乗可能性を含む状況記録レコードの内容と、車両情報とに基づいて、優先度決定ルールに従い、状況記録レコードごとに注意喚起に関する優先度を算出し、優先度が1より大きな値の対象物について、注意喚起のための説明および音声データである注意喚起情報データを生成する注意喚起作成処理部とを備え、属性の内容は、車両固有の項目として、車両の搭乗者の有無、搭乗者の動作、ドアの開放の有無、および周辺作業の有無を含み、人固有の項目として、人の姿勢、年齢、歩行補助具の有無、および体の向きを含み、優先度決定ルールは、車両の状態と、車両以外の状態と、車両と人および物との関連推定結果との3つに分類されて設けられている。
【0017】
実施形態の注意喚起装置は、車両に搭載されたECUから、当該車両に関する車両情報を収集する車両情報収集処理部と、駐車場内における車両や人の将来の状態を予測するため状態予測サーバから、駐車場内の車両および人の位置、移動方向、速さ、属性の内容、および、時刻情報からなる状況記録レコードを受信する受信処理部と、受信した状況記録レコードの時系列に基づいて搭乗可能性を推定し、搭乗可能性を含む状況記録レコードの内容と、車両情報とに基づいて、優先度決定ルールに従い、状況記録レコードごとに注意喚起に関する優先度を算出し、優先度が1より大きな値の対象物について、注意喚起のための説明および音声データである注意喚起情報データを生成する注意喚起情報作成処理部と、注意喚起情報データに基づいて、テキスト表示または音声出力により、当該車両の運転者に、当該車両の周辺環境に関する注意を促す制御処理部とを備え、属性の内容は、車両固有の項目として、車両の搭乗者の有無、搭乗者の動作、ドアの開放の有無、および周辺作業の有無を含み、人固有の項目として、人の姿勢、年齢、歩行補助具の有無、および体の向きを含み、優先度決定ルールは、車両の状態と、車両以外の状態と、車両と人および物との関連推定結果との3つに分類されて設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態の監視カメラ利用車両システムの一例を示すシステム構成図である。
【
図2】
図2は、状態予測サーバおよび注意喚起装置の構成例を示す機能ブロック図である。
【
図3】
図3は、駐車場のレイアウトの一例を示す平面図である。
【
図4】
図4は、表示器から表示される映像の表示例を示す模式図である。
【
図5】
図5は、状況記録処理部において行われる搭乗者の有無状態を推測するための状態遷移図である。
【
図6】
図6は、変形例で適用される状態予測サーバおよび注意喚起装置の構成例を示す機能ブロック図である。
【
図7】
図7は、注意喚起装置が携帯端末で実現された監視カメラ利用車両システムの一例を示すシステム構成図である。
【
図8】
図8は、実施例1における状態予測サーバおよび注意喚起装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、実施例2における状態予測サーバおよび注意喚起装置の構成例を示す機能ブロック図である。
【
図10】
図10は、実施例3の状況を例示するための駐車場の部分拡大平面図である。
【
図11】
図11は、実施例4の状況を説明するための駐車場の部分拡大平面図である。
【
図12】
図12は、実施例4における状態予測サーバおよび注意喚起装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、実施例5の状況を説明するための駐車場の部分拡大平面図である。
【
図14】
図14は、注意喚起情報データに基づいて表示器から出力されるAR表示の一例を示す図である。
【
図15】
図15は、実施例6の状況を説明するための駐車場の部分拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明の各実施形態を、図面を参照して説明する。
【0021】
なお、以下の実施形態の説明において、同一部分については、同一符号を用いて示し、重複説明を避ける。
【0022】
(監視カメラ利用車両システムの構成例)
図1は、本発明の実施形態の監視カメラ利用車両システムの一例を示すシステム構成図である。
【0023】
本発明の実施形態の監視カメラ利用車両システムは、駐車場Pに設置された1つまたは複数の監視カメラ20と、駐車場Pに設置され、駐車場P内の車両を有効範囲とする1つまたは複数のビーコン発信機30と、監視カメラ20によって撮像された映像データを取得し、映像データに基づいて、将来の状態を予測するための所定の処理を行う状態予測サーバ40と、車両Cに搭載された注意喚起装置50とを備えている。注意喚起装置50は、車両Cに搭載された表示器60、スピーカ62、および車載ECU64に接続されている。
【0024】
図2は、状態予測サーバおよび注意喚起装置の構成例を示す機能ブロック図である。
【0025】
ビーコン発信機30は、状態予測サーバ40へのアクセス情報aを、例えばBluetooth(登録商標)のBEACONとして、駐車場P内に存在する車両Cに搭載された注意喚起装置50へ送信する。
【0026】
駐車場P内に存在する車両Cに搭載された注意喚起装置50は、ビーコン受信処理部51、車両情報収集処理部52、車両情報送信処理部53、注意喚起情報受信処理部54、および表示制御処理部55を備えている。
【0027】
ビーコン受信処理部51は、ビーコン発信機30から送信されたアクセス情報aを受信し、車両情報送信処理部53に出力する。
【0028】
車両情報収集処理部52は、車両Cに搭載されたカーナビゲーションシステム等の車載ECU64から、駐車場P内の車両Cの位置b、駐車場P内の車両Cの移動経路c、駐車場P内の車両Cの移動の速さdを取得し、車両情報送信処理部53に出力する。
【0029】
図3は、駐車場のレイアウトの一例を示す平面図である。
【0030】
車両Cの位置(A,B)は、
図3に示すように、駐車場Pの入口を原点Oとし、東西方向をX軸、南北方向をY軸とする座標系で規定される。
【0031】
車両情報送信処理部53は、車両情報収集処理部52から出力された位置b、移動経路c、および移動の速さdを取得する。そして、位置b、移動経路c、および移動の速さdを、アクセス情報aを用いて、無線LANあるいは携帯通信網等の無線通信網70を介して、状態予測サーバ40へ送信する。
【0032】
なお、移動経路cは、特定の経路が分かっている場合には、特定の経路が考慮される一方、特定の経路が分かっていない場合は、利用可能な全ての経路が考慮されるものとする。
【0033】
注意喚起情報受信処理部54は、表1に示すデータ構造を有する注意喚起情報データeを、状態予測サーバ40から受信し、表示制御処理部55へ出力する。
【0034】
【0035】
表示制御処理部55は、注意喚起情報データeから、表2に示すデータ構造の注意喚起情報レコードfを取り出し、注意喚起情報レコードfから文字情報f1および音声情報f2を作成し、表示器60に文字情報f1を、スピーカ62に音声情報f2を出力する。
【0036】
【0037】
表示制御処理部55は、表示器60から、文字情報f1を、優先度の高いものから順に、距離、方位に合わせて表示させることができる。表示制御処理部55は、このようにして表示器60から文字情報f1を表示させることができることに加えて、文字情報f1の内容に応じて、付加的な情報が重畳された映像を表示することもできる。
【0038】
図4は、表示器から表示される映像の表示例を示す模式図である。
【0039】
表示制御処理部55は、文字情報f1の内容に応じて、表示器60から、
図4(a)に例示するように、図中矢印で示すような進行方向に対する方位、距離、および種別を表示させ、さらに、色によりその優先度を表示させることができる。
【0040】
表示制御処理部55はさらに、表示器60から、
図4(b)に例示するように、
図4(a)と同様の内容を、車両Cの前方のカメラ(図示せず)の映像に重畳する拡張現実(Argumented Reality)として表示させることができる。
【0041】
表示制御処理部55はさらにまた、表示器60から、
図4(c)に例示するように、自車(車両C)の位置を示した駐車場Pの平面図を表示させることもできる。
【0042】
表示制御処理部55は、スピーカ62から、音声情報f2を再生出力させることができる。
【0043】
状態予測サーバ40は、車両Cの外部に設置され、駐車場P内に設置された監視カメラ20によって撮像された映像データgを処理し、車両C向けの注意喚起情報を生成する部位であって、映像受信処理部41、人・物検知処理部42、状況記録処理部43、状況記録データベース44(以降、「状況記録DB44」と称する)、車両情報受信処理部45、注意喚起作成処理部46、状態判定ルールデータベース47(以降、「状態判定ルールDB47」と称する)、および注意喚起情報送信処理部48を備えている。
【0044】
映像受信処理部41は、1つまたは複数の監視カメラ20からの映像データgを受信し、人・物検知処理部42に出力する。
【0045】
人・物検知処理部42は、映像データgから、駐車場P内の人や車両Cを識別し、その位置h、移動方向i、速さj、および表3に示すような属性の内容kを推定し、位置h、移動方向i、速さj、および属性の内容kを、状況記録処理部43へ出力する。
【0046】
【0047】
なお、表3における対象物ID(#1)とは、検知された人・物に割り振られたIDであり、例えば、非特許文献1に示す方法等により、カメラ視界外の人・物についても同一性を確保しつつ、割り振ることができる。また、位置hにしたがって、駐車場P内における存在位置を、
図4(c)のように表示することができる。また、表3における周辺作業(#9)とは、車両Cからの荷卸し等、車両周辺での作業を指す。周辺作業(#9)が「有り」と推定された車両W1については、
図4(c)に示すように、車両Cの運転者が認識できるように、表示器60から表示することができる。
【0048】
状況記録処理部43は、人・物検知処理部42から入力された位置h、移動方向i、速さj、内容kと、時刻情報mとからなる表4に示す状況記録レコードnを、表5に示すようなデータ構造pを有する状況記録DB44に記録する。
【0049】
【0050】
【0051】
なお、表5における搭乗者可能性(#5)という項目の内容には、人・物検知処理部42から入力された情報位置h、移動方向i、速さj、内容kの時系列に基づいて、例えば
図5に示す状態遷移図に従って推測された結果である、搭乗者の可能性の大中小が記録される。
【0052】
図5は、状況記録処理部において行われる状態遷移推測の流れを示す状態遷移図である。
【0053】
状況記録処理部43は、車両への乗車が確認された場合(S11、S12)、および車両の移動が開始された場合(S13、S14)は、搭乗者ありの可能性大(S1)と判定し、降車の確認または近辺での人物の検知がなされた場合(S21)、およびドアの解放の確認または近辺での人物(歩行者)が見失われた場合(S22)は、搭乗者ありの可能性中(S2)と判定し、搭乗者ありの可能性中(S2)の場合であっても、例えば10分のように所定時間の経過が確認された場合(S31)は、搭乗者ありの可能性小(S3)と判定する。
【0054】
また、状況記録処理部43は、車両が駐車場Pへ進入し、所定位置へ停車後に、ドアの開閉および周辺の歩行者が観測されていない状況から、当該車両の搭乗者ありと判定することもできる。
【0055】
なお、本明細書において、人の動作とは、同一人物の位置の時間経過を追跡することで、移動速度が5km/h以上で、走っている、5km/h未満で、歩いているまたは止まっているとして判定したものであり、車両Cの動作とは、同一車両の位置の時間経過を追跡することで、駐車場P内の走行状態、駐車枠への駐車作業中等の特定位置周辺での停車以外の動作、停車状態のいずれであるかを判定したものである。
【0056】
車両情報受信処理部45は、車両情報送信処理部53からアクセス情報aとともに送信された位置b、移動経路c、および移動の速さdを受信し、位置b、移動経路c、および移動の速さdをまとめて車両情報qとして、注意喚起作成処理部46に出力する。
【0057】
注意喚起作成処理部46は、状況記録DB44に記録されたレコード(対象物)毎に、表6に示す優先度決定ルールrに従い、注意喚起に関する優先度Fを算出する。優先度Fの算出方法は後述する通りである。
【0058】
【0059】
注意喚起作成処理部46は、表6(a)に示す優先度決定ルールraに従い、車両C以外の対象物(人、動物、物)の各属性の優先度を示す数値を求め、乗算し、結果Gを得る。なお、対象物が車両Cの場合、注意喚起作成処理部46は、表6(b)に示す優先度決定ルールrbに従い、は、各属性の優先度を示す数値を求め、乗算し、結果Gを得る。
【0060】
次に、車両と人・物との関連性を推定するために、注意喚起作成処理部46は、表6(c)に示す優先度決定ルールrcに従い、車両情報qと対象物の属性から、各優先度を求め、乗算し、結果Hを得る。なお、表6(c)に示す優先度決定ルールrcにおける各項目の内容は、表7に示す通りである。
【0061】
【0062】
注意喚起作成処理部46はさらに、自車両Cの位置と、対象物位置の情報から距離Lを求め、下記式に示すように、結果Gおよび結果Hを使用することによって、対象物の優先度Fを算出する。下記式において、Fの値が大きいほど、優先度が高くなる。
【0063】
【0064】
【0065】
ここで、α、βは、駐車場Pの広さや、通行用道路の幅、利用頻度を勘案して予め与えられるパラメータである(例:α=2、β=10)。
【0066】
上記式は、フェルミ統計分布を事故発生の度合い係数として使用したものである。安全性からの進路周辺注意の度合いを絶対温度に対応するものとして、正面方向のみに注意する場合をT=0(α=Kb*T)とした場合、ある距離(β)以下では、飛び出しなどの条件が成立すれば必ず事故を起こす、周辺へ注意を払った場合は注意力が散逸するため、制動距離以降でも事故率が上がると仮定している。
【0067】
続いて、注意喚起作成処理部46は、算出された対象物優先度Fが、1より大きな値の対象物について、注意喚起のための説明および音声データである、注意喚起情報データeを生成する。表8は、注意喚起情報データeの内容の一例を示している。
【0068】
【0069】
注意喚起作成処理部46は、このようにして作成した注意喚起情報データeを、注意喚起情報送信処理部48へ出力する。
【0070】
注意喚起情報送信処理部48は、無線通信網70を介して、注意喚起装置50の注意喚起情報受信処理部54へ注意喚起情報データeを送信する。
【0071】
このような注意喚起情報データeにしたがって、表示制御処理部55では、例えば、以下のような文字情報f1が生成され、表示器60から表示されるとともに、以下のような文字情報f1を音声として出力するための音声情報f2が生成され、スピーカ62から再生出力される。
【0072】
「前方の車両等の影にしゃがんだ大人か子供と思われる人物がいます。こちらを認識せずに突然立ち上がったり、飛び出してくる可能性があります。注意してください」。
【0073】
なお、この例における注意喚起情報データeは、文字および音声を、同一内容としている。このように、文字情報f1と音声情報f2とは、同一内容であっても良いし、あるいは、文字表示/音声読み出しに応じて異なるものとしてもよい。あるいはまた、文字情報f1および音声情報f2は、予め登録された固定された情報を使用するようにしてもよい。
【0074】
(監視カメラ利用車両システムの変形例)
次に、本発明の実施形態の監視カメラ利用車両システムの変形例について説明する。
【0075】
図6は、変形例で適用される状態予測サーバおよび注意喚起装置の構成例を示す機能ブロック図である。
【0076】
本変形例では、状態予測サーバ40の構成を、
図6に示す様に、
図2に示す車両情報受信処理部45、注意喚起作成処理部46、状態判定ルールDB47、および注意喚起情報送信処理部48を省略し、状況送信処理部49を付加した構成とする。また、注意喚起装置50の構成を、
図6に示す様に、
図2に示す車両情報送信処理部53、および注意喚起情報受信処理部54を省略し、車両情報送信処理部53の代わりに状況受信処理部56を付加するとともに、状態予測サーバ40から省略された注意喚起作成処理部46、および状態判定ルールDB47を、注意喚起作成処理部46が、状況受信処理部56と状態判定ルールDB47と表示制御処理部55との間に配置されるように付加した構成とする。
【0077】
このような構成の注意喚起装置50、表示器60、およびスピーカ62を、
図7に示すように、スマートフォン等の携帯端末65で実現することもできる。
【0078】
図7は、注意喚起装置が携帯端末65で実現された監視カメラ利用車両システムの一例を示すシステム構成図である。
【0079】
図7に示すように、注意喚起装置50としてスマートフォン等の携帯端末65で実現する場合、状態予測サーバ40へのアクセス情報aを、ビーコン発信機30から取得することに代えて、QRコード(登録商標)等から取得してもよく、表示器60およびスピーカ62を、携帯端末65に装備された機能で代替利用することができる。なお、この場合、携帯端末65では、車載ECU64から車両Cの位置b、駐車場P内の車両Cの移動経路c、および駐車場P内の車両Cの移動の速さdを取得することが困難となるが、携帯端末65に装備されたGPS機能およびナビゲーション機能を利用して、車載ECU64から車両Cの位置b、駐車場P内の車両Cの移動経路c、および駐車場P内の車両Cの移動の速さdを取得することができる。
【0080】
上述したような構成を有する本発明の実施形態の監視カメラ利用車両システムの具体的な実施例について以下の通り説明する。なお、以下の各実施例の説明において、同一部分については、同一符号を用いて示し、重複説明を避ける。
【0081】
(実施例1)
実施例1では、
図1に示すようなシステム構成において、ビーコン発信機30としてBluetooth LE(登録商標)を用い、
図2に示すような構成を有する状態予測サーバ40への監視カメラ20からの映像データgの入力は、HDMI(登録商標)等の専用線により行い、状態予測サーバ40と、
図2に示すような構成を有する注意喚起装置50との間の無線通信網70は、駐車場P内を通信可能領域とするWiFi通信、または携帯通信網により構築する。
【0082】
ビーコン発信機30は、駐車場P内を通信可能領域とするように、複数設置する。
【0083】
状態予測サーバ40は、
図8に示すフローに従って、映像受信処理部41において、駐車場P内の監視カメラ20から映像データgを取得し、人・物検知処理部42を介して状況記録処理部43において、駐車場P内の状況を把握し、把握した結果である状況記録レコードnを、状況記録DB44に記録する。
【0084】
駐車場P内へ進入してきた車両Cの注意喚起装置50もまた、
図8に示すフローに従って、ビーコン発信機30から、アクセス情報aとして、状態予測サーバ40のアドレス(例えば、URL)を取得し、このアドレス(URL)を使って状態予測サーバ40にアクセスし、状態予測サーバ40の注意喚起情報送信処理部48から、駐車場P内の状態に応じた注意喚起情報データeを取得し、注意喚起情報データeに基づいて、表示制御処理部55が、表示器60に対して文字情報f1を表示させ、スピーカ62に対して音声情報f2を再生出力させることによって、車両Cの運転者に対して、注意を喚起することができる。
【0085】
図8は、実施例1における状態予測サーバおよび注意喚起装置の動作例を示すフローチャートである。
【0086】
先ず、1つまたは複数の監視カメラ20からの映像データgを、状態予測サーバ40の映像受信処理部41が収集し、人・物検知処理部42に出力する(S41)。
【0087】
次に、人・物検知処理部42が、映像データgから、人や物を検知し、検知した人や物の状態(例えば、位置h、移動方向i、速さj、および表3に示す項目に対する内容k)を認識し、認識結果を状況記録処理部43へ出力する(S42)。
【0088】
これに応じて、状況記録処理部43は、位置h、移動方向i、速さj、内容kと、時刻情報mとからなる表4に示す状況記録レコードnを、表5に示すようなデータ構造pを有する状況記録DB44に記録する(S43)。
【0089】
このタイミングで、車両Cが駐車場Pに進入したとする(S44)。
【0090】
すると、車両Cの注意喚起装置50に備えられたビーコン受信処理部51は、駐車場Pに設置されたビーコン発信機30からのビーコンを受信し、これに応じて、車両情報送信処理部53を起動する(S45)。
【0091】
車両情報収集処理部52は、車載ECU64から、駐車場P内の車両Cの位置b、駐車場P内の車両Cの移動経路c、駐車場P内の車両Cの移動の速さdを取得し、車両情報送信処理部53に出力する(S47)。
【0092】
車両情報送信処理部53は、車両情報収集処理部52から出力された位置b、移動経路c、および移動の速さdを状態予測サーバ40へ送信する(S48)。
【0093】
状態予測サーバ40では、車両情報受信処理部45が、車両情報送信処理部53から送信された位置b、移動経路c、および移動の速さdを、車両情報qとして、注意喚起作成処理部46に出力する(S49)。
【0094】
注意喚起作成処理部46は、状況記録DB44から、人・物の状態情報を取得し、現在時刻、車両情報qから、注意喚起情報データeを作成し、注意喚起情報送信処理部48へ出力する(S50)。
【0095】
注意喚起情報送信処理部48は、注意喚起装置50の注意喚起情報受信処理部54へ注意喚起情報データeを送信する(S51)。
【0096】
注意喚起情報受信処理部54は、注意喚起情報データeを、状態予測サーバ40から受信し、表示制御処理部55へ出力する(S52)。
【0097】
表示制御処理部55は、注意喚起情報データeから、注意喚起情報レコードfを取り出し、注意喚起情報レコードfから文字情報f1および音声情報f2を作成し、表示器60から文字情報f1を表示させ、スピーカ62から音声情報f2を再生出力させる(S53)。
【0098】
これによって、車両Cの運転者に対して、駐車場P内の状況に応じた注意を喚起することができる。
【0099】
ステップS53の後は、エンジンが停止されれば
図8に示す処理は終了し、エンジンの動作が継続している場合には、処理はステップS46に戻る(S54)。
【0100】
(実施例2)
実施例2では、車両Cとして、自動運転システムを搭載した車両を想定する。
【0101】
図9は、実施例2における状態予測サーバおよび注意喚起装置の構成例を示す機能ブロック図である。
【0102】
図9に示す機能ブロック図は、
図2に示す機能ブロック図における表示器60およびスピーカ62を、自動運転システム80に置き換えた構成をしている。
【0103】
このような構成によって、注意喚起作成処理部46によって、表1に示すような注意喚起情報データeが作成される。表示制御処理部55は、表示器60へ文字情報f1を出力し、スピーカ62へ音声情報f2を出力する代わりに、表1に示すような注意喚起情報データeを、自動運転システム80へ出力する。
【0104】
このように、注意喚起情報データeを、自動運転システム80へ出力することによって、自動運転システム80による安全確保を実現することができる。
【0105】
(実施例3)
実施例3では、駐車場Pにおいて、駐車中の車両の間を移動する歩行者がいる場合を想定する。
【0106】
図10は、実施例3の状況を例示するための駐車場Pの部分拡大平面図である。
【0107】
図10に示す例では、駐車場Pに駐車されている車両D1と車両D2との間を歩いている子供Kがいることを想定する。子供Kは身長が小さいので、車両D1と車両D2との間に隠れてしまうために、駐車場Pを走行している車両Cからは、死角になって見えない。
【0108】
このような場合、
図2に例示する構成を有する状態予測サーバ40は、監視カメラ20の映像データgから、前述したような処理を行い、結果的に、注意喚起作成処理部46において、表9に例示するような対象物情報を推定し、推定結果に基づいて、注意喚起情報データeを作成する。
【0109】
【0110】
これに応じて、
図2に例示する構成を有する注意喚起装置50は、表示制御処理部55において、注意喚起情報データeに基づいて、例えば、「前方に、こちらの経路を歩いて横切ろうとしている子供がいます。こちらからは車両等の影のため見えないと思われます。また、子供も横方向を向いているため、こちらを認識できていないと思われます。子供は、しゃがんでいるか、歩行補助具を使っている可能性があります。」といった文字情報f1および音声情報f2を作成し、文字情報f1を表示器60から表示させ、音声情報f2をスピーカ62から音声出力させる。これによって車両Cの運転者に対して注意喚起することができる。
【0111】
(実施例4)
実施例4では、駐車場Pにおいて、駐車していた車両が発進する場合を想定する。
【0112】
図11は、実施例4の状況を説明するための駐車場Pの部分拡大平面図である。
【0113】
図11に示す例では、車両Cの走行方向に、駐車場Pから発進する車両D3がある。このような場合、監視カメラ20の映像データgから、状態予測サーバ40は、
図12に示すフローにしたがう処理を行う。
【0114】
図12は、実施例4における状態予測サーバおよび注意喚起装置の動作例を示すフローチャートである。
【0115】
図12では、
図8のフローチャートにおける処理と同じ処理は、同じステップ番号で示されており、
図8のフローチャートと異なる処理は、ステップS44aおよびステップS54aのみである。したがって、以下では、同じステップ番号で示される処理の説明は省略し、ステップS44aおよびステップS54aの処理および関連するステップの処理について説明する。
【0116】
ステップS44aでは、車両D3のエンジンが始動される。これに応じて、ステップS45以降の処理が行われ、結果的に、ステップS50において、注意喚起作成処理部46において、表10に例示するような対象物情報が推定され、推定結果に基づいて、注意喚起情報データeが作成される。
【0117】
【0118】
その後、ステップS53では、表示制御処理部55において、注意喚起情報データeに基づいて、例えば、「前方に、こちらの経路を横切る方向に駐車作業中と思われる車両がいます。こちらからは車両等の影のため見えないと思われます。また、車両の進行方向が、こちらとは反対方向を向いているため、先方もこちらを認識できていないと思われます。」といった文字情報f1および音声情報f2が作成され、文字情報f1が表示器60から表示され、音声情報f2がスピーカ62から音声出力される。これによって車両Cの運転者に対して注意喚起することができる。
【0119】
その後、ステップS54aでは、車両D4が駐車場Pの外に移動すれば
図12に示す処理は終了し、車両D4がまだ駐車場P内にあれば、処理はステップS46に戻る。
【0120】
(実施例5)
実施例5では、駐車場Pにおいて、車両Cの進行方向に、直前に他の車両が駐車し、搭乗者がまだ降車していない場合を想定する。
【0121】
図13は、実施例5の状況を説明するための駐車場Pの部分拡大平面図であり、
図13(a)は、他の車両がまだ駐車していない10分前の状態、
図13(b)は、他の車両である車両D4が駐車入れしている5分前の状態、
図13(c)は、車両D4が駐車入れを完了し、車両D4の搭乗者がまだ降車していない場合に、自車両Cが、車両D4に向かって走行している現在の状態を示す。
【0122】
このような場合も、監視カメラ20の映像データgから、
図2に示すような構成を有する状態予測サーバ40および注意喚起装置50が、
図8のフローのように動作することによって、結果的に、注意喚起作成処理部46において、表11に例示するような対象物情報を推定し、推定結果に基づいて、注意喚起情報データeを作成する。
【0123】
【0124】
これに応じて、注意喚起装置50は、表示制御処理部55において、注意喚起情報データeに基づいて、例えば、「前方の停車中の車両は、先ほど駐車したばかりで、中に人が乗っている可能性があります。搭乗者が、ドアを開け、降りてくる可能性があります。ドアの開け閉めおよび降りてくる人に注意してください。」といった文字情報f1および音声情報f2を作成し、文字情報f1を表示器60から表示させ、音声情報f2をスピーカ62から音声出力させる。さらに、表示制御処理部55は、表示器60から、
図14(a)に示すように、進行方向に人がいることを示すAR表示、
図14(b)に示すように、進行方向に駐車中の車両内に人がいることを示すAR表示、および
図14(c)に示すように、駐車場Pの全体平面表示を行うことができる。これによって車両Cの運転者に対して、どの車両に人が乗っているのかを知らせることができ、効果的な注意喚起が可能となる。
【0125】
(実施例6)
実施例6では、駐車場Pにおいて、自車両Cの進行方向にある駐車中の車両に対して、人が接近し、駐車中の車両のドアが開閉されたものの、いまだにこの車両が停車中である場合を想定する。
【0126】
図15は、実施例6の状況を説明するための駐車場Pの部分拡大平面図であり、
図15(a)は、駐車中の車両D5に対して人Kが接近している10分前の状態、
図15(b)は、人Kが車両D5のドアを開けて、車両D5に乗り込んだ5分前の状態、
図15(c)は、人Kが車両D5のドアを閉めたが、車両D5はまだ発進しておらず、この車両D5に向かって自車両Cが接近している現在の状態を示す。
【0127】
このような場合も、監視カメラ20の映像データgから、
図2に示すような構成を有する状態予測サーバ40および注意喚起装置50が、
図8のフローのように動作することによって、結果的に、注意喚起作成処理部46において、表12に例示するような対象物情報を推定し、推定結果に基づいて、注意喚起情報データeを作成する。
【0128】
【0129】
これに応じて、注意喚起装置50は、表示制御処理部55において、注意喚起情報データeに基づいて、例えば、「前方の停車中の車両は、先ほど中に人が乗車したと思われます。搭乗者は、こちらを見ていない可能性があり、車両の発進、ドアが開いて、人が降りてくる等の可能性があります。」といった文字情報f1および音声情報f2を作成し、文字情報f1を表示器60から表示させ、音声情報f2をスピーカ62から音声出力させる。さらに、表示制御処理部55は、表示器60から、
図14(a)に示すように、進行方向に人Kがいることを示すAR表示、
図14(b)に示すように、進行方向に駐車中の車両D内に人Kがいることを示すAR表示、および
図14(c)に示すように、駐車場Pの全体平面表示を行うことができる。これによって車両Cの運転者に対して、どの車両Dに人Kが乗っているのかを知らせることができ、効果的な注意喚起が可能となる。
【0130】
以上説明したように、本発明の実施形態の監視カメラ利用車両システムによれば、駐車場Pという特定の領域内で、監視カメラ20からの映像データgおよび時刻情報に基づいて、車両、搭乗者、および周辺等について、現在の状態のみならず、次に起きると推定される状態をも時系列的に考慮して、具体的かつ適切な注意喚起を運転者に対して行うことができる。また、推定される状態が複数ある場合には、事故発生の可能性および重大度に基づいて決定された優先度を考慮して、注意喚起の内容を決定することもできる。
【0131】
注意喚起の内容は、文字または音声によって、運転者に確実に通知されるので、運転者は、個人の力量や体調に依存する人間的な判断能力に依存することなく、注意すべき点を的確に把握できるようになり、事故につながるような事象を事前に回避することが可能となる。
【0132】
さらに、このような具体的かつ適切な注意喚起のおかげで、運転者の負担が大幅に軽減されるため、運転者は、運転操作および目視の周辺監視により集中できるようなり、駐車場内の安全性がより一層向上されることになる。
【0133】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0134】
20・・監視カメラ、30・・ビーコン発信機、40・・状態予測サーバ、41・・映像受信処理部、42・・人・物検知処理部、43・・状況記録処理部、44・・状況記録データベース、45・・車両情報受信処理部、46・・注意喚起作成処理部、47・・状態判定ルールデータベース、48・・注意喚起情報送信処理部、49・・状況送信処理部、50・・注意喚起装置、51・・ビーコン受信処理部、52・・車両情報収集処理部、53・・車両情報送信処理部、54・・注意喚起情報受信処理部、55・・表示制御処理部、56・・状況受信処理部、60・・表示器、62・・スピーカ、64・・車載ECU、65・・携帯端末、70・・無線通信網、80・・自動運転システム