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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-23
(45)【発行日】2023-07-03
(54)【発明の名称】車両用外装品の取付構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 13/04 20060101AFI20230626BHJP
   B62D 25/18 20060101ALI20230626BHJP
【FI】
B60R13/04 B
B62D25/18 G
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019196621
(22)【出願日】2019-10-29
(65)【公開番号】P2021070354
(43)【公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-07-26
(73)【特許権者】
【識別番号】390026538
【氏名又は名称】ダイキョーニシカワ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 哲也
【審査官】浅野 麻木
(56)【参考文献】
【文献】特許第4156000(JP,B2)
【文献】特開2012-096720(JP,A)
【文献】特開2011-111047(JP,A)
【文献】特開平10-226285(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 13/04
B62D 25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅方向一端面が車体(B)に間隔を空けた状態で対向するように該車体(B)に取り付けられる長尺状の車両用外装品(10)の取付構造であって、
前記外装品(10)の幅方向一端部の裏面(10a)に該外装品(10)の長さ方向に互いに間隔を空けて取り付けられ、弾性材からなる複数のプロテクタ片(20)を備え、
前記外装品(10)の幅方向一端部には、該外装品(10)の長さ方向に沿って延びて該外装品(10)の表面側に屈曲する屈曲部(16)が形成され、
前記各プロテクタ片(20)は、前記屈曲部(16)を跨ぐように前記外装品(10)の裏面(10a) に沿って延び、該裏面(10a)に接着又は粘着で取り付けられる板部(22)と、該板部(22)における該外装品(10)の幅方向一端側の端部から該外装品(10)の表面側に突出し、該外装品(10)の幅方向一端面(15)と前記車体(B)における該外装品(10)の幅方向一端面(15)に対向する対向面(A)との間に挟まれる突出部(23)とを有し、
前記外装品(10)の裏面(10a)における前記プロテクタ片(20)の前記板部(22)の取付部位は、前記屈曲部(16)よりも該外装品(10)の幅方向他端側の平面部位(17)にのみ設けられていることを特徴とする車両用外装品の取付構造。
【請求項2】
請求項1記載の車両用外装品の取付構造において、
前記外装品(10)及び前記各プロテクタ片(20)の少なくとも一方には、該プロテクタ片(20)における前記突出部(23)が形成された端部とは反対側の端部の、該外装品(10)の裏面(10a)に対する取付位置の基準となる基準部(24)が設けられていることを特徴とする車両用外装品の取付構造。
【請求項3】
請求項1又は2記載の車両用外装品の取付構造において、
前記外装品(10)は、該外装品(10)の長さ方向中央部が両端部よりも該外装品(10)の幅方向一端側に位置するように湾曲形成され、
前記外装品(10)の幅方向一端は、該外装品(10)の外周端であり、
前記外装品(10)の幅方向他端は、該外装品(10)の内周端であることを特徴とする車両用外装品の取付構造。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の車両用外装品の取付構造において、
前記複数のプロテクタ片(12)は、互いに同形状に形成されていることを特徴とする車両用外装品の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用外装品の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の取付構造として、例えば特許文献1のものが知られている。
【0003】
特許文献1の取付構造は、サイドシル・ガーニッシュ(車両用外装品)に取り付けられた弾性シール部材を車体のサイドシルに弾接させることにより、サイドシル・ガーニッシュ及びサイドシル間にシールを形成するシール構造である。
【0004】
このシール構造では、弾性シール部材によってサイドシルとの間に形成されるシール部分に沿って、サイドシル・ガーニッシュに、サイドシルに向かって突出する上部壁と下部壁を形成すると共に上部壁と下部壁の間にシール部分に沿って延在する凹溝を画成し、弾性シール部材に、この凹溝の内部からサイドシルの表面まで連続して延在する平板状のリップ部とサイドシルとの間に空隙を保持した状態でリップ部の下面の略中央部から下部壁の端面に沿って延びる連結部と、この連結部から下部壁の下面(裏面)に沿って延在する固定部(板部)を形成し、この固定部を下部壁の下面に固定し、リップ部をサイドシル及びサイドシル・ガーニッシュ間で圧縮する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第4156000号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、例えば、車両用外装品が車体に直接接触して傷が付くことを抑制することを目的に、外装品と車体との間に、弾性材からなるプロテクタを挟んで、外装品を車体に取り付けることが考えられる。
【0007】
このように、外装品と車体との間にプロテクタを挟むと、外装品と車体との間に間隔が空くが、外装品の取付構造の見栄えをよくすべく、この間隔が外装品の長さ方向全体に亘って一定になるように、プロテクタの外装品への取付精度を高くすることが望ましい。
【0008】
しかし、特許文献1に示す弾性シール部材のように、プロテクタを外装品の長さ方向全体に亘って延びる単一物にすると、長尺状の単一物である分、プロテクタの外装品への取付精度が低くなり、取付構造の見栄えが悪くなるという問題がある。
【0009】
本発明は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両用外装品の取付構造の見栄えをよくすることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、この発明では、弾性材からなる複数のプロテクタ片を、外装品の幅方向一端部の裏面に外装品の長さ方向に互いに間隔を空けて取り付けた。
【0011】
具体的に、第1の発明は、幅方向一端面が車体に間隔を空けた状態で対向するように該車体に取り付けられる長尺状の車両用外装品の取付構造であって、前記外装品の幅方向一端部の裏面に該外装品の長さ方向に互いに間隔を空けて取り付けられ、弾性材からなる複数のプロテクタ片を備え、前記外装品の幅方向一端部には、該外装品の長さ方向に沿って延びて該外装品の表面側に屈曲する屈曲部が形成され、前記各プロテクタ片は、前記屈曲部を跨ぐように前記外装品の裏面に沿って延び、該裏面に接着又は粘着で取り付けられる板部と、該板部における該外装品の幅方向一端側の端部から該外装品の表面側に突出し、該外装品の幅方向一端面と前記車体における該外装品の幅方向一端面に対向する対向面との間に挟まれる突出部とを有し、前記外装品の裏面における前記プロテクタ片の前記板部の取付部位は、前記屈曲部よりも該外装品の幅方向他端側の平面部位にのみ設けられていることを特徴とする。
【0012】
第2の発明は、第1の発明において、前記外装品及び前記各プロテクタ片の少なくとも一方には、該プロテクタ片における前記突出部が形成された端部とは反対側の端部の、該外装品の裏面に対する取付位置の基準となる基準部が設けられていることを特徴とする。
【0013】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記外装品は、該外装品の長さ方向中央部が両端部よりも該外装品の幅方向一端側に位置するように湾曲形成され、前記外装品の幅方向一端は、該外装品の外周端であり、前記外装品の幅方向他端は、該外装品の内周端であることを特徴とする。
【0014】
第4の発明は、第1~第3の発明のいずれか1つにおいて、前記複数のプロテクタ片は、互いに同形状に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
第1の発明では、弾性材からなる複数のプロテクタ片が、外装品の幅方向一端部の裏面に外装品の長さ方向に互いに間隔を空けて取り付けられているので、プロテクタが長尺状の単一物である場合と比較して、プロテクタの外装品への取付精度が高くなる。
【0016】
また、外装品の裏面におけるプロテクタ片の板部の取付部位が、外装品の屈曲部よりも外装品の幅方向他端側の平面部位にのみ設けられているので、その取付部位が外装品の屈曲部に設けられている場合と比較して、プロテクタ片の外装品への取付精度が高くなる。
【0017】
以上より、車両用外装品の取付構造の見栄えをよくすることができる。
【0018】
第2の発明では、外装品及び各プロテクタ片少なくとも一方に、プロテクタ片における突出部が形成された端部とは反対側の端部の、外装品の裏面に対する取付位置の基準となる基準部が設けられているので、プロテクタ片の外装品への取付精度を更に高くすることができる。従って、車両用外装品の取付構造の見栄えを更によくすることができる。
【0019】
第3の発明では、湾曲状の車両用外装品の取付構造の見栄えをよくすることができる。
【0020】
第4の発明では、外装品の長さ方向に互いに間隔を空けて取り付けられる複数のプロテクタ片が、互いに同形状に形成されているので、外装品において複数のプロテクタ片を取り付ける複数の取付位置のうち、いずれの取付位置にいずれのプロテクタ片を取り付けても、外観上の違いがない。すなわち、どのプロテクタ片をどの取付位置に取り付けるかを間違えて見栄えを悪くなるおそれがない。また、各プロテクタ片の外装品への取付位置を外装品の幅方向で互いに揃えやすくなる。従って、両用外装品の取付構造の見栄えを更によくすることができる。
【0021】
以上説明したように、本発明によると、車両用外装品の取付構造の見栄えをよくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態に係るフロントオーバーフェンダの取付構造を採用した車両を示す図である。
図2】プロテクタ小片が取り付けられたフロントオーバーフェンダを裏面側から見た平面図である。
図3図2のIII-III断面図である。
図4】プロテクタ小片の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0024】
(実施形態)
―フロントオーバーフェンダの取付構造―
―フロントオーバーフェンダ―
図1は、実施形態に係る取付構造を採用して、フロントオーバーフェンダ10(車両用外装品)が車体Bに取り付けられた車両Cを示している(以下、「フロントオーバーフェンダ」を単に「オーバーフェンダ」という。)。オーバーフェンダ10は、例えば、車両Cの走行中に、石や泥などのはねから車体Bを保護するためのものであり、フロントタイヤTのタイヤハウスの縁を覆うように取り付けられている。オーバーフェンダ10は、樹脂製で、フロントタイヤTの外周に沿う長尺状且つ板状に形成されており、その裏面10aを車体Bに向けた状態で取り付けられている。
【0025】
図2は、後述するプロテクタ小片20,20,…が取り付けられたオーバーフェンダ10を、オーバーフェンダ10の裏面側から見た平面図である。オーバーフェンダ10は、その長さ方向中央部が両端部よりもその幅方向一端側に位置するように湾曲形成されている。以下、オーバーフェンダ10の幅方向一端を外周端といい、幅方向他端を内周端という。
【0026】
オーバーフェンダ10は、その後端部11を除いて、幅方向の長さが略一定である。オーバーフェンダ10の後端部11は、その外周端部が、この後端部11以外の部分よりも外周端側に突出している。また、オーバーフェンダ10の長さ方向に沿う、オーバーフェンダ10の内周端部を含む一定幅の内周領域12は、オーバーフェンダ10の裏面側に向かって略垂直に立ち上がって形成されている。すなわち、この内周領域12における両面12a,12bはオーバーフェンダ10の内周端側及び外周端側を向いている(図2参照)。
【0027】
オーバーフェンダ10の裏面10a及び内周領域12の外周端側の面12aには、ファスナ座13,13,…が、互いに間隔を空けて突出形成されており、各ファスナ座13には、オーバーフェンダ10が車体Bに固定されるためのファスナ14が設けられている。また、車体Bには、オーバーフェンダ10のファスナ14,14,…を挿入するための、不図示の挿入孔が設けられており、ファスナ14,14,…がこの挿入孔に挿入されて、オーバーフェンダ10が車体Bに取り付けられている。
【0028】
図3は、オーバーフェンダ10の取付構造の要部を示す、図2のIII-III断面図である。オーバーフェンダ10は、車体Bに接触して車体Bに傷がつかないように、その外周端面15(幅方向一端面)が車体Bに間隔を空けた状態で対向するように車体Bに取り付けられている。また、オーバーフェンダ10の外周端面15は、その長さ方向に沿ってオーバーフェンダ10の裏面側が切り欠き形成されており、外周端面15を構成する裏面側端面15a及び表面側端面15bには段差がある。このため、裏面側端面15aと車体Bとの間隔が、表面側端面15bと車体Bとの間隔よりも大きくなっている。
【0029】
オーバーフェンダ10の外周端部には、その長さ方向に沿って延びてオーバーフェンダ10の表面側に屈曲する屈曲部16が形成されている。この屈曲部16の屈曲角度は、オーバーフェンダ10の長さ方向で異なっており、図1で上方に行くほど屈曲角度が小さく、下方に行くほど屈曲角度が大きく形成されている。尚、屈曲部16が「表面側に屈曲する」とは、屈曲部16が、屈曲部16の外周端側及び内周端側よりも、オーバーフェンダ10の表面側に位置していることを意味する(図3参照)。そして、屈曲部16よりも内周端側には、平面部位17が形成されている。
【0030】
オーバーフェンダ10の裏面10aには、プロテクタ小片20,20,…の取付位置を示すケガキ線が描かれている。ケガキ線は、各プロテクタ小片20のオーバーフェンダ10における長さ方向の位置を示すための、不図示の長さ方向基準線と、プロテクタ小片20のオーバーフェンダ10における幅方向の位置を示すための幅方向基準線Lとからなる(図2参照)。
【0031】
―プロテクタ小片―
オーバーフェンダ10の取付構造は、弾性材からなり、互いに同形状で形成された複数のプロテクタ小片20(プロテクタ片)を備えている。
【0032】
図4は、プロテクタ小片20の斜視図である。各プロテクタ小片20は、略長方形状に形成されている。以下、プロテクタ小片20の長辺と平行な方向をプロテクタ小片20の長さ方向といい、短辺と平行な方向をプロテクタ小片20の幅方向という。
【0033】
プロテクタ小片20,20,…は、オーバーフェンダ10の外周端部の裏面10aにその長さ方向に互いに間隔を空けて取り付けられている。各プロテクタ小片20は、その長さ方向が、オーバーフェンダ10の長さ方向に沿うような向きで配置されている(図2参照)。各プロテクタ小片20が取り付けられるオーバーフェンダ10の長さ方向の位置は、オーバーフェンダ10の外周端部の近くで長さ方向に隣り合うファスナ14,14の間の中間部である。このように、各プロテクタ小片20は、オーバーフェンダ10の外周端部の近くのファスナ14,14,…からできるだけ離間した構成となっている。
【0034】
各プロテクタ小片20は、オーバーフェンダ10の屈曲部16を跨ぐようにオーバーフェンダ10の裏面10aに沿って延び、この裏面10aに両面テープ21による粘着で取り付けられる長方形状の板部22と、この板部22におけるオーバーフェンダ10の外周端側の端部からオーバーフェンダ10の表面側に突出し、オーバーフェンダ10の外周端面15と車体Bにおけるオーバーフェンダ10の外周端面15に対向する対向面Aとの間に挟まれる突出部23とを有している。突出部23の突出長さは、オーバーフェンダ10の外周端面15における裏面側端面15aの厚さ方向の長さよりも少し小さく形成されている。
【0035】
各プロテクタ小片20の板部22は、オーバーフェンダ10に取り付けられていない自然の状態では平らであり(図4参照)、オーバーフェンダ10に取り付けられた状態では、オーバーフェンダ10の屈曲部16に応じた形状に弾性変形している(図3参照)。「屈曲部16に応じた形状」とは、図3に示すように、屈曲部16に沿って湾曲しているが、必ずしも屈曲部16にぴったり沿ってはいない形状を意味する。この変形状態においても、板部22の、オーバーフェンダ10の屈曲部16よりもオーバーフェンダ10の内周端側に対応する部位は、変形の少ない平坦部22aとなっている。
【0036】
オーバーフェンダ10の裏面10aにおけるプロテクタ小片20の板部22の取付部位(すなわち、両面テープ21が粘着する部位)は、オーバーフェンダ10の屈曲部16よりもオーバーフェンダ10の内周端側の平面部位17にのみ設けられており、屈曲部16には設けられていない。
【0037】
各プロテクタ小片20の両面テープ21の厚さは、板部22の厚さの略半分であり、平坦部22aは、両面テープ21の厚さの分だけ、オーバーフェンダ10の裏面10aと間隔が空いている。
【0038】
各プロテクタ小片20には、プロテクタ小片20における突出部23が形成された端部とは反対側の端部の、オーバーフェンダ10の裏面10aに対する取付位置の基準となる基準部24が設けられている。この基準部24は、プロテクタ小片20の板部22において、突出部23が形成された端部とは反対側の端部に沿って形成されており、オーバーフェンダ10側に突出している(図3及び図4参照)。基準部24の突出長さは、平坦部22aとオーバーフェンダ10の裏面10aとの間隔の大きさよりも少し小さい。
【0039】
―フロントオーバーフェンダの取付方法―
まず、プロテクタ小片20,20,…をオーバーフェンダ10に取り付ける。具体的に、各プロテクタ小片20の突出部23の内側面23aをオーバーフェンダ10外周端面15における裏面側端面15aに引っ掛けると同時に、板部22を屈曲部16に応じて撓ませてプロテクタ小片20の長さ方向両端面が長さ方向基準線に沿うように、且つ、基準部24の先端部がケガキ線の幅方向基準線Lに沿うようにプロテクタ小片20を配置する。そして、板部22における両面テープ21が設けられた平坦部22aを、裏面側から指で押すことにより、プロテクタ小片20をオーバーフェンダ10の裏面10aに両面テープ21による粘着で取り付けることができる。
【0040】
次に、プロテクタ小片20,20,…が取り付けられたオーバーフェンダ10の裏面10aを車体B側に向け、各ファスナ14を、車体Bに設けられた挿入孔に挿入することにより、オーバーフェンダ10を車体Bに取り付ける。
【0041】
―作用・効果―
実施形態では、弾性材からなる複数のプロテクタ小片20,20,…が、オーバーフェンダ10の外周端部の裏面10aにオーバーフェンダ10の長さ方向に互いに間隔を空けて取り付けられているので、プロテクタが長尺状の単一物である場合と比較して、プロテクタ小片20,20,…のオーバーフェンダ10への取付精度が高くなる。
【0042】
ところで、オーバーフェンダ10の裏面10aにおけるプロテクタ小片20の板部22の取付部位が、オーバーフェンダ10の屈曲部16に設けられていると、プロテクタ小片20を屈曲部16に粘着させてオーバーフェンダ10に取り付ける際、板部22を屈曲部16に沿わせるためにプロテクタ小片20を内周端側へ無理に引っ張ったり、粘着させた板部22が一部剥がれたりするおそれがある。その結果、プロテクタ小片20の位置ずれが生じるなど、取付精度が低くなるおそれがある。
【0043】
ここで、実施形態では、オーバーフェンダ10の裏面10aにおけるプロテクタ小片20の板部22の取付部位が、オーバーフェンダ10の屈曲部16よりもオーバーフェンダ10の内周端側の平面部位17にのみ設けられている(すなわち、板部22は屈曲部16とは粘着させない)ので、取付部位がオーバーフェンダ10の屈曲部16に設けられている場合と比較して、プロテクタ小片20のオーバーフェンダ10への取付精度が高くなる。
【0044】
以上より、オーバーフェンダ10の取付構造の見栄えをよくすることができる。
【0045】
ところで、プロテクタ小片20の板部22は、オーバーフェンダ10の屈曲部16に応じて変形しているので、プロテクタ小片20における突出部23が形成された端部とは反対側の端部の、オーバーフェンダ10の裏面10aに対する取付位置は、屈曲部16の屈曲角度によって異なる。
【0046】
ここで、実施形態では、各プロテクタ小片20に、プロテクタ小片20における突出部23が形成された端部とは反対側の端部の、オーバーフェンダ10の裏面10aに対する取付位置の基準となる基準部24が設けられているので、プロテクタ小片20がオーバーフェンダ10の屈曲部16に応じて変形していても、板部22を屈曲部16に応じて撓ませた際の、突出部23が形成された端部とは反対側の端部の、オーバーフェンダ10の裏面10aに対する取付位置を予め設定することができる。従って、プロテクタ小片20がオーバーフェンダ10の屈曲部16に応じて変形していても、プロテクタ小片20のオーバーフェンダ10への取付精度を高くすることができる。その結果、オーバーフェンダ10の取付構造の見栄えを更によくすることができる。
【0047】
また、実施形態では、基準部24は、各プロテクタ小片20の板部22において、突出部23とは反対側の端部に沿って形成されて、オーバーフェンダ10側に突出している。従って、板部22とオーバーフェンダ10の裏面10aとの間に間隔があったとしても、この基準部24の先端部は、その突出長さの分だけオーバーフェンダ10に近くなるので、基準部24を幅方向基準線Lに対して位置を合わせやすくなる。その結果、プロテクタ小片20のオーバーフェンダ10への取付精度を高くするという効果を奏する基準部24の構成が具体的に得られる。
【0048】
また、実施形態では、オーバーフェンダ10の長さ方向に互いに間隔を空けて取り付けられる複数のプロテクタ小片20,20,…が、互いに同形状に形成されているので、オーバーフェンダ10において複数のプロテクタ小片20,20,…を取り付ける複数の取付位置のうち、いずれの取付位置にいずれのプロテクタ小片20を取り付けても、外観上の違いがない。すなわち、どのプロテクタ小片20をどの取付位置に取り付けるかを間違えて見栄えが悪くなるおそれがない。また、各プロテクタ小片20のオーバーフェンダ10への取付位置をオーバーフェンダ10の幅方向で互いに揃えやすくなる。従って、オーバーフェンダ10の取付構造の見栄えを更によくすることができる。
【0049】
また、実施形態では、湾曲状のオーバーフェンダ10の取付構造の見栄えをよくすることができる。
【0050】
ところで、プロテクタが長尺状の単一物である場合、オーバーフェンダ10の長さ方向に沿う形状のものが必要となるので、長さや曲率などがオーバーフェンダ10とは異なるオーバーフェンダには取り付けることができないなど、汎用性がない。
【0051】
ここで、実施形態では、プロテクタが、オーバーフェンダ10の長さ方向に互いに間隔を空けて取り付けられた複数のプロテクタ小片20,20,…であるので、長さや曲率などがオーバーフェンダ10とは異なるオーバーフェンダにも取り付けることができ、汎用性がある。
【0052】
また、実施形態では、各プロテクタ小片20は、オーバーフェンダ10の外周端部の近くのファスナ14,14,…からできるだけ離間した構成にしている。このため、オーバーフェンダ10を車体Bに取り付ける際、ファスナ14,14,…の挿入方向にオーバーフェンダ10が撓みやすくなり、ファスナ14,14,…を挿入孔に挿入するために必要な外力が小さくなるので、オーバーフェンダ10を車体Bに取り付けやすくなる。
【0053】
(その他の実施形態)
前記実施形態において、基準部24は、プロテクタ小片20に設けられているが、オーバーフェンダ10に設けられていてもよい。この基準部は、例えば、オーバーフェンダ10の裏面10aにおいて、幅方向基準線Lよりも少し内周端側の部位からプロテクタ小片20側に突出した、オーバーフェンダ10の長さ方向に長い壁部であってもよい。この壁部におけるオーバーフェンダ10の外周端側の壁面に、プロテクタ小片20の板部22におけるオーバーフェンダ10の内周端側の端部を沿わせることで、プロテクタ小片20を位置決めすることができる。
【0054】
更に、基準部は、例えば、オーバーフェンダ10の裏面10aにおいて、プロテクタ小片20の板部22の位置に対応する部位のうち屈曲部16よりも内周端側の部位から、プロテクタ小片20側に突出した突起であってもよい。この場合、各プロテクタ小片20の板部22におけるこの突起に対応する部分に、突起が嵌合する嵌合孔を設けておく。そうすると、突起を板部22の嵌合孔に嵌合させることで、プロテクタ小片20を位置決めすることができる。
【0055】
また、前記実施形態では、プロテクタ小片20の板部22が、両面テープ21による粘着でオーバーフェンダ10に取り付けられるが、接着剤によって接着されていてもよい。
【0056】
また、前記実施形態では、オーバーフェンダ10は屈曲部16を有するが、屈曲部16は必須ではない。
【0057】
また、前記実施形態では、複数のプロテクタ小片20,20,…は、互いに同形状であるが、同形状でなくてもよい。
【0058】
また、前記実施形態は、フロントオーバーフェンダ10の取付構造であるが、フロントオーバーフェンダ10以外の車両用外装品、例えば、リアオーバーフェンダやサイドシルプロテクタの取付構造であってもよい。また、取り付けられる外装品は、湾曲していなくてもよい。
【0059】
また、前記実施形態では、オーバーフェンダ10の外周端面15には、その長さ方向に沿ってオーバーフェンダ10の裏面側が切り欠き形成されているが、切り欠き形成されていなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、車両用外装品の取付構造として有用である。
【符号の説明】
【0061】
C 車両
B 車体
A 対向面
10 フロントオーバーフェンダ(車両用外装品)
10a フロントオーバーフェンダの裏面
15 外周端面(幅方向一端面)
16 屈曲部
17 平面部位
20 プロテクタ小片(プロテクタ片)
22 板部
23 突出部
24 基準部
図1
図2
図3
図4