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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-23
(45)【発行日】2023-07-03
(54)【発明の名称】カゴ車搬送補助装置
(51)【国際特許分類】
   B62B 3/04 20060101AFI20230626BHJP
   B62B 3/10 20060101ALI20230626BHJP
【FI】
B62B3/04 B
B62B3/10 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019210421
(22)【出願日】2019-11-21
(65)【公開番号】P2021079874
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-08-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000110217
【氏名又は名称】TOPPANエッジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】工藤 卓
(72)【発明者】
【氏名】金子 光司
【審査官】林 政道
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-108795(JP,A)
【文献】特開2002-002493(JP,A)
【文献】特開2005-075642(JP,A)
【文献】実開昭60-007271(JP,U)
【文献】特開昭63-137075(JP,A)
【文献】特開2001-206227(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 1/00- 5/08
B66F 9/00-11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カゴ車の搬送をアシストするカゴ車搬送補助装置であって、
下面に車輪が取り付けられ、前記カゴ車の底面の裏側に差し込まれる長尺のフォークと、
前記フォークの長尺方向における一方の端部と連結し、該フォークを移動させる移動車と、
前記フォークの上面に搭載され、前記カゴ車が載置される固定フレームと、
前記固定フレームの前記移動車とは反対側の端部において、前記固定フレームの上面から突出する状態と突出しない状態とに上下動可能な第1のストッパーと、
前記移動車に設けられ、前記第1のストッパーを前記固定フレームの上面から突出する状態から突出しない状態に下げるレバーと、を有し、
前記第1のストッパーは、前記固定フレームの上面から突出しない状態から突出する状態に向かって付勢されているとともに、当該第1のストッパーの高さが前記移動車とは反対側の方向に向かって低くなる傾斜部を有し、前記フォークが前記カゴ車の底面の裏側に差し込まれていく際、前記カゴ車の底面の端辺が前記傾斜部上を滑っていくことで、前記固定フレームの上面から突出する状態から突出しない状態となることができるカゴ車搬送補助装置。
【請求項2】
請求項に記載のカゴ車搬送補助装置において、
前記第1のストッパーは、前記フォークの長尺方向に移動可能に前記固定フレームに取り付けられている、カゴ車搬送補助装置。
【請求項3】
請求項2に記載のカゴ車搬送補助装置において、
前記固定フレームの前記移動車側の端部に、前記フォークの長尺方向に移動可能に取り付けられた第2のストッパーを有する、カゴ車搬送補助装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カゴ車の搬送をアシストするカゴ車搬送補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、スーパー等の小売販売店や物流センター、あるいは工場等においては、商品や物品、部品を搬送、保管するために、金属製のパイプが縦横に組み合わされてなるかご体にキャスターが取り付けられたカゴ車が利用されている。このようなカゴ車においては、積載される物品等のサイズや、運搬トラックの貨物室のサイズに応じて適宜選定されているが、その移動は人力で行われていることが多い。
【0003】
ところが、人力でのカゴ車の移動は、特に積載される物品等の総重量が大きな場合、取り回しが困難となるばかりでなく、事故が発生する虞もある。
【0004】
ここで、カゴ車の搬送をアシストする仕組みが、特許文献1に開示されている。特許文献1に開示された仕組みは、カゴ車の底面の裏側に挿入される長尺のフォークに牽引駆動部を固定し、フォーク上に載置されたカゴ車の搬送を牽引駆動部によってアシストするものである。また、特許文献1に開示された仕組みでは、フォークの先端に係止部を取り付け可能に構成し、それにより、フォーク上に載置されたカゴ車がフォークの移動に伴ってフォーク上からすべり落ちることを回避できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-108795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、特許文献1に開示された仕組みでは、フォークの先端に係止部を取り付け可能に構成し、それにより、フォーク上に載置されたカゴ車がフォークの移動に伴ってフォーク上からすべり落ちることを回避できるようになっている。そのため、使用時に係止部をフォークの先端に取り付けたり取り外したりするという作業が生じ、手間がかかってしまうという問題点がある。また、カゴ車の搬送時に、カゴ車とそのカゴ車が搬送されるスペースの壁との間に隙間がない場合、係止部をフォークの先端に取り付けたり取り外したりすることができないという問題点がある。これは、特許文献1に開示された仕組みが、カゴ車を牽引するためのものであり、カゴ車を押しながら移動させるものではないことによるものでもある。
【0007】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、手間をかけずに簡易な操作で、また、カゴ車とそのカゴ車が搬送されるスペースの壁との間に隙間がない場合でも、フォーク上にカゴ車を載置し、フォーク上に載置されたカゴ車がフォークの移動に伴ってフォーク上からすべり落ちることを回避できるカゴ車搬送補助装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、
カゴ車の搬送をアシストするカゴ車搬送補助装置であって、
下面に車輪が取り付けられ、前記カゴ車の底面の裏側に差し込まれる長尺のフォークと、
前記フォークの長尺方向における一方の端部と連結し、該フォークを移動させる移動車と、
前記フォークの上面に搭載され、前記カゴ車が載置される固定フレームと、
前記固定フレームの前記移動車とは反対側の端部において、前記固定フレームの上面から突出する状態と突出しない状態とに上下動可能な第1のストッパーと、
前記移動車に設けられ、前記第1のストッパーを前記固定フレームの上面から突出する状態から突出しない状態に下げるレバーと、を有し、
前記第1のストッパーは、前記固定フレームの上面から突出しない状態から突出する状態に向かって付勢されているとともに、当該第1のストッパーの高さが前記移動車とは反対側の方向に向かって低くなる傾斜部を有し、前記フォークが前記カゴ車の底面の裏側に差し込まれていく際、前記カゴ車の底面の端辺が前記傾斜部上を滑っていくことで、前記固定フレームの上面から突出する状態から突出しない状態となることができる
【0009】
上記のように構成された本発明においては、フォークをカゴ車の底面の裏側に差し込んでフォークの上面に載置された固定フレーム上にカゴ車を載置し、フォークの長尺方向における一方の端部と連結した移動車によってフォークを移動させることでカゴ車の搬送をアシストすることになるが、固定フレームの移動車とは反対側の端部において、固定フレームの上面から突出する状態と突出しない状態とに上下動可能なストッパーが設けられており、移動車に設けられたレバーを操作することでストッパーが固定フレームの上面から突出する状態から突出しない状態に下げられるので、カゴ車を固定フレーム上に載置する際や、固定フレーム上に載置されたカゴ車を固定フレームから降ろす際には、レバーを操作することでストッパーを固定フレームの上面から突出しない状態に下げることになる。また、ストッパーが、固定フレームの上面から突出しない状態から突出する状態に向かって付勢されていることで、カゴ車を固定フレーム上に載置する際にストッパーを固定フレームの上面から突出しない状態に下げた後、フォークをカゴ車の底面の裏側に差し込んでいき、ストッパーがカゴ車の底面の裏側を通過し終わると、ストッパーが固定フレームの上面から突出した状態に自動的に戻ることとなる。これにより、手間をかけずに簡単な操作で、また、カゴ車とそのカゴ車が搬送されるスペースの壁との間に隙間がない場合でも、フォーク上にカゴ車を載置したりカゴ車をフォークから降ろしたりすることができながらも、フォーク上に載置されたカゴ車がフォークの移動に伴ってフォーク上からすべり落ちることを回避できる。
【0010】
また、第1のストッパーが、第1のストッパーの高さが移動車とは反対側の方向に向かって低くなる傾斜部を有することにより、フォークをカゴ車の底面の裏側に差し込んでいく際、第1のストッパーの傾斜部がカゴ車の底面の裏側と当接することで、レバーを操作しなくても、フォークをカゴ車の底面の裏側に差し込んでいくことに伴って、第1のストッパーが固定フレームの上面から突出しない状態となっていき、フォーク上にカゴ車を載置する際の操作がさらに簡易となる。
【0011】
また、ストッパーがフォークの長尺方向に移動可能に固定フレームに取り付けられていれば、搬送するカゴ車のサイズに応じてストッパーの位置を調節することで、サイズが異なるカゴ車の搬送をアシストすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、フォークの上面に搭載された固定フレーム上にカゴ車が載置され、フォークに連結した移動車によってフォークを移動させることでカゴ車の搬送をアシストする構成において、移動車に設けられたレバーに対する操作によって、固定フレームの端部においてストッパーが固定フレームの上面から突出する状態から突出しない状態に下げられ、さらに、ストッパーが、固定フレームの上面から突出しない状態から突出する状態に向かって付勢されているため、手間をかけずに簡易な操作で、また、カゴ車とそのカゴ車が搬送されるスペースの壁との間に隙間がない場合でも、フォーク上にカゴ車を載置し、フォーク上に載置されたカゴ車がフォークの移動に伴ってフォーク上からすべり落ちることを回避できる。
【0013】
また、第1のストッパーが、第1のストッパーの高さが移動車とは反対側の方向に向かって低くなる傾斜部を有することにより、フォークをカゴ車の底面の裏側に差し込んでいく際、レバーを操作しなくても、フォークをカゴ車の底面の裏側に差し込んでいくことに伴って、第1のストッパーが固定フレームの上面から突出しない状態となっていき、フォーク上にカゴ車を載置する際の操作をさらに簡易なものとすることができる。
【0014】
また、ストッパーがフォークの長尺方向に移動可能に固定フレームに取り付けられているものにおいては、搬送するカゴ車のサイズに応じてストッパーの位置を調節することで、サイズが異なるカゴ車の搬送をアシストすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明のカゴ車搬送補助装置の実施の一形態を示す図であり、(a)は側方から見た図、(b)は上方から見た図である。
図2図1に示したカゴ車搬送補助装置におけるストッパーの詳細な構成を説明するための図である。
図3図1に示したカゴ車搬送補助装置を用いて搬送されるカゴ車の一例を示す図である。
図4図1に示したカゴ車搬送補助装置を用いて図2に示したカゴ車を搬送する際の作用を説明するための図である。
図5図1に示したカゴ車搬送補助装置を用いて図2に示したカゴ車を搬送する際の作用を説明するための図である。
図6図1に示したカゴ車搬送補助装置を用いて図2に示したカゴ車を搬送する際の作用を説明するための図である。
図7図1に示したカゴ車搬送補助装置を用いて搬送したカゴ車を固定フレーム上から降ろす際の作用を説明するための図である。
図8図1に示したカゴ車搬送補助装置を用いて搬送したカゴ車を固定フレーム上から降ろす際の作用を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、本発明のカゴ車搬送補助装置の実施の一形態を示す図であり、(a)は側方から見た図、(b)は上方から見た図である。
【0018】
本形態のカゴ車搬送補助装置は図1に示すように、パワーアシスト車20に長尺の2本のフォーク10が連結され、フォーク10上に固定フレーム30が搭載されて構成されている。
【0019】
2本のフォーク10のそれぞれは、長尺方向における一方の端部がパワーアシスト車20に連結し、他方の端部の下面に車輪11が取り付けられている。車輪11は、その向きがフォーク10の長尺方向に固定されている。
【0020】
固定フレーム30は、2本のフォーク10上にそれぞれ搭載されている。固定フレーム30上のパワーアシスト車20側の端部には、2本の固定フレーム30間を跨るように、所定の高さを有する棒状のストッパー32が搭載されている。ストッパー32は、2本の固定フレーム30の互いに対向する面にビス等によって、フォーク10の長尺方向に移動可能に取り付けられている。固定クレーム30のパワーアシスト車20とは反対側の端部側には、ストッパー31が取り付けられている。ストッパー31は、固定クレーム30のパワーアシスト車20とは反対側の端部において、固定フレーム30の上面から突出する状態と突出しない状態とに上下動可能に固定フレーム30に取り付けられており、その詳細は後述する。ストッパー31は、2本の固定フレーム30の互いに対向する面にビス等によって、フォーク10の長尺方向に移動可能に取り付けられている。
【0021】
パワーアシスト車20は、本願発明にて移動車となるものであって、モーター等を内蔵した駆動部21と、駆動部21による駆動によって回転する車輪24と、フォーク10を牽引したり押したりして移動させるためのハンドル22とを有している。駆動部21は、ハンドル22に取り付けられたスティックやボタンが操作されることや、車輪24に取り付けられたセンサーにて車輪24の回転が検知されることで、車輪24を回転させてフォーク10の移動をアシストする。車輪24は、ハンドル22に対してその向きが固定されているが、ハンドル22がフォーク10に対してその向きを変えることができる構成となっていることで、フォーク10に対してその向きを変えることができる。ハンドル22には、レバー23が取り付けられている。レバー23には、一端がストッパー31の可動軸33に繋がれたワイヤー25の他端が固定されている。ワイヤー25は被覆されており、その被覆材の一端が、2本のフォーク10に跨って取り付けられた固定軸12に固定されているとともに、他端がレバー23に固定されている。
【0022】
ここで、図1に示したストッパー31の詳細な構成について説明する。
【0023】
図2は、図1に示したカゴ車搬送補助装置1におけるストッパー31の詳細な構成を説明するための図であり、ストッパー31近傍の構造を示す。
【0024】
図1に示したカゴ車搬送補助装置1におけるストッパー31は、上述したように、固定クレーム30のパワーアシスト車20とは反対側の端部において、固定フレーム30の上面から突出する状態と突出しない状態とに上下動可能に固定フレーム30に取り付けられている。ストッパー31は図1及び図2に示すように、2本の固定フレーム30の互いに対向する面にそれぞれ取り付けられた板部31bと、2枚の板部31b間を跨るようにして板部31bに取り付けられた2枚の板部31c,31d及び可動軸33とを有している。2枚の板部31bはそれぞれ、パワーアシスト車20とは反対側の端部に、上側に突出した係止部31eを有している。係止部31eは、その高さが、パワーアシスト車20とは反対側の方向に向かって低くなる傾斜部31aを有している。板部31cは、板部31bの傾斜部31aにて2枚の板部31b間を跨るようにして板部31bに取り付けられている。板部31bは、固定軸34を中心として回転可能に固定フレーム30に取り付けられており、可動軸33に繋がれたワイヤー25が引っ張られることで固定軸34を中心として回転し、それにより、係止部31eが固定フレーム30の上面から突出する状態と突出しない状態とに上下動可能となっている。可動軸33には、ワイヤー25が引っ張られる方向とは反対側に、その一端が固定フレーム30に固定されたばね26が取り付けられている。そのため、ワイヤー25が引っ張られていない状態においては、図2(a)に示すように、ばね26の復元力によって係止部31eが固定フレーム30の上面から突出した状態となっており、また、ワイヤー25が引っ張られている状態においては、図2(b)に示すように、ばね26が伸びて板部31bが固定軸34を中心として回転し、係止部31eが固定フレーム30の上面から突出しない状態となる。ワイヤー25は、パワーアシスト車20のハンドル22に取り付けられたレバー23が操作されることで引っ張られることになるが、ワイヤー25の一端が繋がれた可動軸33にばね26の一端が固定されていることで、板部31bは、ばね26の復元力によって係止部31eが固定フレーム30の上面から突出しない状態から突出する状態に向かって付勢されている。そのため、係止部31eが固定フレーム30の上面から突出しない状態においてワイヤー25が引っ張られない状態となると、係止部31eが固定フレーム30の上面から突出した状態に戻る。また、ストッパー31は、板部31bが、固定軸34を中心として回転可能に固定フレーム30に取り付けられており、ばね26の復元力によって係止部31eが固定フレーム30の上面から突出しない状態から突出する状態に向かって付勢されていることにより、係止部31eが固定フレーム30の上面から突出した状態において上方から下方に外力が加わることによっても、回転軸34を中心として回転し、係止部31eが固定フレーム30の上面から突出しない状態になる。
【0025】
以下に、上記のように構成されたカゴ車搬送補助装置1の使用方法について説明する。
【0026】
まず、図1に示したカゴ車搬送補助装置1を用いて搬送されるカゴ車について説明する。
【0027】
図3は、図1に示したカゴ車搬送補助装置1を用いて搬送されるカゴ車の一例を示す図である。
【0028】
図1に示したカゴ車搬送補助装置1によって搬送されるカゴ車としては、図3に示すように、底面41の上に3つの側面42が起立して構成されたカゴ車40が挙げられる。3つの側面42は、金属製のパイプが縦横に組み合わされて構成され、矩形状の底面41の3つの端辺にて起立するように取り付けられている。底面41は、その裏側に図1に示したカゴ車搬送補助装置1のフォーク10が差し込まれた際に、ストッパー31が底面41に当接することで図2(b)に示したように固定フレーム30の上面から突出しない状態を維持可能なように1枚の板または細かな網状になっている。底面41の裏側には、その四隅にそれぞれキャスター43が取り付けられている。また、図1に示したカゴ車搬送補助装置1の固定フレーム30の高さは、底面41の裏側の面の高さよりも低くなるように設定されている。
【0029】
次に、図1に示したカゴ車搬送補助装置1を用いて図2に示したカゴ車40を搬送する際の作用について説明する。
【0030】
図4図6は、図1に示したカゴ車搬送補助装置1を用いて図2に示したカゴ車40を搬送する際の作用を説明するための図である。
【0031】
図1に示したカゴ車搬送補助装置1を用いて図2に示したカゴ車40を搬送する場合は、まず、図4に示すように、カゴ車搬送補助装置1をカゴ車40に向かって移動させていく。すると、上述したように、カゴ車40の底面41の裏側の面の高さが、カゴ車搬送補助装置1の固定フレーム30の高さよりも高いものの、固定フレーム30のパワーアシスト車20とは反対側には、固定フレーム30の上面から突出した係止部31eを有するストッパー31が取り付けられているため、このストッパー31が係止部31eにおいてカゴ車40の底面41の端辺に当接する。
【0032】
ストッパー31の係止部31eは、その高さが、傾斜部31aによってパワーアシスト車20とは反対側の方向に向かって低くなっており、さらに、係止部31eを有する板部31bが、固定軸34を中心として回転可能に固定フレーム30に取り付けられていることで、係止部31eがカゴ車40の底面41の端辺に当接した後、カゴ車搬送補助装置1をカゴ車40に向かってさらに移動させていき、フォーク10をカゴ車40の底面41の裏側に差し込んでいくと、カゴ車40の底面41の端辺が係止部31eの傾斜部31a上を滑っていくようにして、板部31bが固定軸34を中心として回転し、図5に示すように、係止部31eが固定フレーム30の上面から突出しない状態になる。
【0033】
それにより、そのままカゴ車搬送補助装置1をカゴ車40に向かって移動させていくことで、固定フレーム30が搭載されたフォーク10をカゴ車40の底面41の裏側に差し込むことができる。そして、ストッパー31が、ストッパー31の高さがパワーアシスト車20とは反対側の方向に向かって低くなる傾斜部31aを有することにより、フォーク10をカゴ車40の底面41の裏側に差し込んでいく際、パワーアシスト車20のレバー23を操作してワイヤー25を引っ張らなくても、フォーク10をカゴ車40の底面41の裏側に差し込んでいくことに伴って、ストッパー31が固定フレーム30の上面から突出しない状態となっていき、フォーク10上にカゴ車40を載置する際の操作が簡易なものとなる。
【0034】
カゴ車搬送補助装置1をカゴ車40に向かってさらに移動させていき、ストッパー31の係止部31eがカゴ車40の底面41の裏側を通過し終わると、板部31bが、ばね26の復元力によって係止部31eが固定フレーム30の上面から突出しない状態から突出する状態に向かって付勢されていることにより、回転軸34を中心として回転し、図6に示すように係止部31eが固定フレーム30の上面から突出した状態に戻る。
【0035】
このようにしてフォーク10上に搭載された固定フレーム30上にカゴ車40が載置されることになるが、係止部31eが固定フレーム30の上面から突出した状態となることで、カゴ車40の底面41のパワーアシスト車2とは反対側の端辺が、固定フレーム30の上面から突出した係止部31eに引っ掛かるようにして固定されることとなり、それにより、固定フレーム30上に載置されたカゴ車40がフォーク10の移動に伴って固定フレーム30上からすべり落ちてしまうことが回避されることになる。
【0036】
固定フレーム30上には、上述したように、パワーアシスト車20側の端部に、2本の固定フレーム30間を跨るように、所定の高さを有する棒状のストッパー32が搭載されている。そのため、図4に示したように、ストッパー31とストッパー32との間隔Tをカゴ車40の奥行Dと同等のものとすれば、固定フレーム30上に載置されたカゴ車40をストッパー31とストッパー32とによって前後から挟み込むような状態となり、カゴ車搬送補助装置1を用いてカゴ車40を搬送する際に、固定フレーム30上に載置されたカゴ車40がフォーク10の移動に伴って固定フレーム30上にて不安定となってしまうことを回避できる。また、搬送するカゴ車40のサイズに応じて、ストッパー31,32をフォーク10の長尺方向に移動させることで、サイズが異なるカゴ車の搬送をアシストすることができる。
【0037】
このようにしてフォーク10上に搭載された固定フレーム30上にカゴ車40が載置された状態で、カゴ車搬送補助装置1を用いてカゴ車40を搬送することになるが、固定フレーム30上にカゴ車40を載置した後、例えばハンドル22を上下に操作すること等によってフォーク10の高さを高くすれば、カゴ車40のキャスター43の車輪が若干浮いたり、キャスター43にかかる荷重が抜重されたりすることにより、カゴ車40がパワーアシスト車20の車輪24と固定輪となるフォーク10の車輪11とで描く軌跡通りに動くことになる。それにより、カゴ車40の取り回しが安定し、フォーク10上にカゴ車40を載置して移動している最中に、カーブ等でカゴ車40に対して進行方向に直交する方向に力が加わった場合でも、カゴ車40が固定フレーム30上で横方向にずれてしまうことを回避できる。その場合、フォーク10上に固定フレーム30を搭載し、その固定フレーム30上にカゴ車40を載置することで、フォーク10上にカゴ車40を直接載置する場合と比べて、フォーク10の高さを高くする操作を少なくすることができる。
【0038】
カゴ車搬送補助装置1を用いてカゴ車40を搬送している状態においては、パワーアシスト車20が、駆動部21によってフォーク10の移動に応じて車輪24を回転させることで、小さな力でカゴ車40を搬送することができる。
【0039】
次に、図1に示したカゴ車搬送補助装置1を用いて搬送したカゴ車40を固定フレーム30上から降ろす際の作用について説明する。
【0040】
図7及び図8は、図1に示したカゴ車搬送補助装置1を用いて搬送したカゴ車40を固定フレーム30上から降ろす際の作用を説明するための図である。
【0041】
上述したようにしてカゴ車搬送補助装置1を用いて搬送したカゴ車40は、ストッパー31aの係止部31eが固定フレーム30の上面から突出した状態となることで、カゴ車40の底面41のパワーアシスト車2とは反対側の端辺が、固定フレーム30の上面から突出した係止部31eに引っ掛かるようにして固定されているため、このままでは固定フレーム30上から降ろすことができない。
【0042】
そこで、カゴ車40を固定フレーム30上から降ろす場合は、パワーアシスト車20のハンドル22に取り付けられたレバー23を操作し、ワイヤー25が引っ張られている状態とする。すると、図2(b)に示したように、ばね26が伸びて板部31bが固定軸34を中心として回転し、図7に示すように係止部31eが固定フレーム30の上面から突出しない状態となる。なお、上述したように、フォーク10の高さを高くしている場合は、フォーク10の高さを元の高さに戻してからレバー23を操作することになる。
【0043】
係止部31eが固定フレーム30の上面から突出しない状態において、パワーアシスト車20がカゴ車40から離れる方向にカゴ車搬送補助装置1を移動させると、図8に示すように、カゴ車40が固定フレーム30上から降ろされていく。その際、ストッパー31の係止部31eがカゴ車40の底面41の裏側の面上を滑っていくような状態となることで、係止部31eに対して上方から下方に外力が加わった状態が維持され、それにより、レバー23の操作を止めても、係止部31eが固定フレーム30の上面から突出しない状態が保たれ、カゴ車40を固定フレーム30上から降ろしていくことができる。
【0044】
このように、本形態においては、フォーク10をカゴ車40の底面41の裏側に差し込んでフォーク10の上面に載置された固定フレーム30上にカゴ車40を載置し、フォーク10と連結したパワーアシスト車20によってフォーク10を移動させることでカゴ車40の搬送をアシストすることになるが、固定フレーム30のパワーアシスト車20とは反対側の端部において、固定フレーム30の上面から突出する状態と突出しない状態とに上下動可能なストッパー31が設けられており、パワーアシスト車20に設けられたレバー23を操作することでストッパー31が固定フレーム30の上面から突出する状態から突出しない状態に下げられるので、カゴ車40を固定フレーム30上に載置する際や、固定フレーム30上に載置されたカゴ車40を固定フレーム30から降ろす際には、レバー23を操作することでストッパー31を固定フレーム30の上面から突出しない状態に下げることになる。また、ストッパー31が、固定フレーム30の上面から突出しない状態から突出する状態に向かって付勢されていることで、カゴ車40を固定フレーム30上に載置する際にストッパー31を固定フレーム30の上面から突出しない状態に下げた後、フォーク10をカゴ車40の底面の裏側に差し込んでいき、ストッパー31の係止部31eがカゴ車40の底面の裏側を通過し終わると、ストッパー31が固定フレーム30の上面から突出した状態に自動的に戻ることとなる。これにより、手間をかけずに簡単な操作で、また、カゴ車40とそのカゴ車40が搬送されるスペースの壁との間に隙間がない場合でも、フォーク10上にカゴ車40を載置したりカゴ車40をフォーク10から降ろしたりすることができながらも、フォーク10上に載置されたカゴ車40がフォーク10の移動に伴ってフォーク10上からすべり落ちることを回避できる。
【符号の説明】
【0045】
1 カゴ車搬送補助装置
11,24 車輪
12,34 固定軸
20 パワーアシスト車
21 駆動部
22 ハンドル
23 レバー
25 ワイヤー
26 ばね
30 固定フレーム
31,32 ストッパー
31a 傾斜部
31b~31d 板部
31e 係止部
33 可動軸
40 カゴ車
41 底面
42 側面
43 キャスター
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8