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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-23
(45)【発行日】2023-07-03
(54)【発明の名称】ディスプレイスピーカ
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/02 20060101AFI20230626BHJP
   H04R 1/00 20060101ALI20230626BHJP
   H04R 7/04 20060101ALI20230626BHJP
【FI】
H04R1/02 102Z
H04R1/00 310F
H04R7/04
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019220604
(22)【出願日】2019-12-05
(65)【公開番号】P2021090167
(43)【公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-01-07
(73)【特許権者】
【識別番号】501426046
【氏名又は名称】エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】市川 勉
【審査官】西村 純
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0198052(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0054441(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0163234(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0045286(US,A1)
【文献】特開2005-303938(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0141424(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0177719(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイパネルと、
振動子と、
複数の振動錘と、を備え、
前記振動子は、前記ディスプレイパネルに面接合され、
前記振動錘は、前記振動子に結合され、前記振動子の中心近傍に結合される前記振動錘は、前記振動子の周辺近傍に結合される前記振動錘より重く設定されるディスプレイスピーカ。
【請求項2】
ディスプレイパネルと、
振動子と、
一つの接合部材と、
一つ以上の振動錘と、を備え、
前記振動子は、前記接合部材を介して前記振動子の一部が前記ディスプレイパネルに接合され、
前記振動錘は、前記振動子の前記ディスプレイパネルが接合される面の反対面に結合されるディスプレイスピーカ。
【請求項3】
前記振動子は、前記接合部材を介して前記振動子の中心近傍が前記ディスプレイパネルに接合され、
前記振動錘は、前記振動子の周辺近傍に結合される請求項2に記載のディスプレイスピーカ。
【請求項4】
ディスプレイパネルと、
振動子と、
ディスプレイパネルの裏面から離間して位置する押圧支持構造と、
複数の押圧部材と、を備え、
前記振動子は、前記ディスプレイパネルに面接合され、
前記押圧部材は、前記押圧支持構造と前記振動子との間に結合され、前記振動子の中心近傍に結合される前記押圧部材は、前記振動子の周辺近傍に結合される前記押圧部材よりその弾性力が強く設定されるディスプレイスピーカ。
【請求項5】
前記ディスプレイパネルは、OLED(有機LED)パネルである請求項1からのいずれか1項に記載のディスプレイスピーカ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイスピーカに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶、OLED等によって構成されるディスプレイパネルは、その厚さを薄く製造されるようになって来ており、その使用用途もテレビやPCのモニタだけではなくタブレットやスマートフォンの画面にも広く利用されている。テレビやモニタではその大画面化もあり、搭載するスピーカにも薄型化および小面積であることが強く求められてきており、また、スマートフォンやタブレットでは、簡便かつ小型の機器構成でスピーカを搭載するという要請が高まっている。
例えばOLEDテレビにおいては、動電型スピーカの構造を応用したアクチュエータをディスプレイパネルの裏面に設置し、パネルそのものを振動させて音を再生するものも出てきている。ただしこのアクチュエータは、OLEDパネルに対して厚さが数十倍もあるのが現状である。
【0003】
このような状況に対応して、特許文献1では、ディスプレイの裏面に設けて利用できる電気音響変換フィルムについて、開示している。この文献には、フィルムの構造や使用される材料の種類の選択、さらにはその組合せの特性を吟味することによって、肉声および楽器の音を安定に再現することを考察した電気音響変換フィルムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2013/047875号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の電気音響変換フィルムのように、薄いフィルム状の振動子を機器に装着して音を出す技術分野においては、低音領域の音を充分な強さで出力できるか否かが技術的課題の一つとされている。特許文献1に記載の電気音響変換フィルムは、フィルムの構造や使用される材料の選択、およびそれらの組合せによる特性の吟味によって、実験環境においては、良い特性が得られたとしても、実装される機器の状態によっては、その特性を充分発揮できない恐れがある。すなわち振動させる対象のディスプレイの構成や構造についていろいろな場合が考えられる為、その出力特性が実験段階と同等に再現できない恐れがある。このように、この電気音響変換フィルムを実施するためには、検討事項が複数あり、容易な試行によって所望の特性を得ることは、困難をともなう恐れがある。
【0006】
本発明は、上述した実情に鑑みてなされたものであり、簡便な構成によって低音域まで充分に出力することが可能なディスプレイスピーカを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明のディスプレイスピーカは、ディスプレイパネルと、振動子と、一つ以上の振動錘と、を備え、前記振動子は、前記ディスプレイパネルに面接合され、前記振動錘は、前記振動子に結合される。
このような発明によれば、振動子がディスプレイパネルに面接合され、振動錘が振動子に結合されるので、低音域まで充分に出力可能なディスプレイスピーカが実現できる。
【0008】
また、本発明のディスプレイスピーカは、ディスプレイパネルと、振動子と、一つの接合部材と、一つ以上の振動錘と、を備え、前記振動子は、前記接合部材を介して前記振動子の一部が前記ディスプレイパネルに接合され、前記振動錘は、前記振動子に結合される。
このような発明によれば、振動子が接合部材を介して振動子の一部がディスプレイパネルに接合され、振動錘が振動子に結合されるので、低音域まで充分に出力可能なディスプレイスピーカが実現できる。
【0009】
本発明の一態様においては、前段のディスプレイスピーカにおいて、前記振動子は、前記接合部材を介して前記振動子の中心近傍が前記ディスプレイパネルに接合され、前記振動錘は、前記振動子の周辺近傍に結合される。
このような構成によれば、振動子が接合部材を介して振動子の中心近傍がディスプレイパネルに接合され、振動錘が振動子の周辺近傍に結合されるので、振動子の出力をディスプレイパネルに効率良く伝えることができる。
【0010】
本発明のディスプレイスピーカは、ディスプレイパネルと、振動子と、ディスプレイパネルの裏面から離間して位置する押圧支持構造と、一つ以上の押圧部材と、を備え、前記振動子は、前記ディスプレイパネルに面接合され、前記押圧部材は、前記押圧支持構造と前記振動子との間に結合される。
このような発明によれば、振動子がディスプレイパネルに面接合され、押圧部材が押圧支持構造と前記振動子との間に結合されるので、低音域まで充分に出力可能なディスプレイスピーカが実現できる。
【0011】
また、本発明のディスプレイスピーカは、ディスプレイパネルと、振動子と、一つの接合部材と、ディスプレイパネルの裏面から離間して位置する押圧支持構造と、一つ以上の押圧部材と、を備え、前記振動子は、前記接合部材を介して前記振動子の一部が前記ディスプレイパネルに接合され、前記押圧部材は、前記押圧支持構造と前記振動子との間に結合される。
このような発明によれば、振動子が接合部材を介して振動子の一部がディスプレイパネルに接合され、押圧部材が押圧支持構造と振動子との間に結合されるので、低音域まで充分に出力可能なディスプレイスピーカが実現できる。
【0012】
本発明の一態様においては、前段のディスプレイスピーカにおいて、前記振動子は、前記接合部材を介して前記振動子の中心近傍が前記ディスプレイパネルに接合され、前記押圧部材は、前記振動子の周辺近傍に結合される。
このような構成によれば、振動子が接合部材を介して振動子の中心近傍がディスプレイパネルに接合され、押圧部材が振動子の周辺近傍に結合されるので、振動子の出力をディスプレイパネルに効率良く伝えることができる。
【0013】
本発明の一態様においては、前記ディスプレイパネルは、OLED(有機LED)パネルである。
このような構成によれば、本発明を効果的に実現することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、簡便な構成によって低音域まで充分に出力することが可能なディスプレイスピーカを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係るディスプレイスピーカの要部平断面図である。
図2】本発明の実施形態に係るディスプレイスピーカの効果を説明するためのグラフである。
図3】本発明の実施形態に係るディスプレイスピーカの全体構成を示す模式図である。
図4】本発明の実施形態に係るディスプレイスピーカの要部平断面図である。
図5】本発明の実施形態に係るディスプレイスピーカの要部平断面図である。
図6】本発明の実施形態に係るディスプレイスピーカの要部平断面図である。
図7】本発明の実施形態に係るディスプレイスピーカの要部平断面図である。
図8】本発明の実施形態に係るディスプレイスピーカの要部平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
(第1実施形態)
図1に、本発明の第1実施形態に係るディスプレイスピーカの要部平断面図を示す。
本実施形態に係るディスプレイスピーカ1は、ディスプレイパネル2、振動子3、および振動錘4を備えている。振動子3は、ディスプレイパネル2の背面21に面接合されており、振動錘4は、振動子3の背面31に結合されている。
【0017】
図1には、ディスプレイパネル2は、振動子3が面接合されている部分の拡大断面図が示されている。振動子3は、電気信号を物理的振動に代える素子であって、本実施の形態ではピエゾ素子を採用する。ピエゾ素子は、電界を印加すると形状が変化する圧電効果を利用した素子である。振動子3に電気信号が印加されると、その信号波形に従った物理的振動すなわち主として厚さの変化が振動子3に発生する。ここで電気信号は、肉声、楽器、あるいは環境音等を含む人間の可聴域にある音を振動子3に発生させるための信号であり、これを振動子3に印加することによって所望の音源を再生することを目的としている。
【0018】
電気信号の印加によって振動子3に発生した物理振動は、その裏面に振動子3が面接合されているディスプレイパネル2に伝達されてディスプレイパネル2自身を振動させる。すなわち、ディスプレイパネル2全体が、従来のスピーカのコーン紙等の振動面としての動作を兼ねることになる。このとき、振動子3の裏面には振動錘4が結合されているので、この構成により、振動子3が、重量のある振動錘4に反力をとって、振動子3からディスプレイパネル2へと伝達する物理振動を効率良く伝達し、従来出力できなかった、低音域の音を出力できるようにするという効果を得ることができる。
【0019】
図2は、上述の効果を説明するための実験データのグラフ5である。この実験とは、まず、評価用のマイクロフォンをディスプレイスピーカ1から距離を置いた位置に設置する(図示せず)。次に、振動子3に電気信号を印加することによって、ディスプレイスピーカ1に所定の周波数の音を一定振幅で出力させ、ディスプレイスピーカ1から距離を置いた位置に設置したマイクロフォンがディスプレイスピーカ1から発生した音を受信した際にマイクロフォンに生じた電気信号の大きさを記録する。図2のグラフ5は、この実験のデータが、横軸51にディスプレイスピーカ1から出力される音の周波数、縦軸52に前記のマイクロフォンの出力を表している。
【0020】
グラフ5には、3種類のディスプレイスピーカ1のデータ53、54、55がプロットされており、それぞれ、振動錘4をもたないディスプレイスピーカ1の出力データ53、振動錘4を結合させたディスプレイスピーカ1の出力データ54、およびデータ54よりも重い振動錘4を結合させたディスプレイスピーカ1の出力データ55を示している。
【0021】
グラフ5からわかるとおり、振動錘4をもたないディスプレイスピーカ1のデータ53は、周波数500Hz(56)より低い帯域では出力が得られていない。また、周波数500Hz(56)の出力についても、データ53の出力は、10程度なのに対して、振動錘4が結合されたディスプレイスピーカ1のデータ54、55は、50以上の出力が得られている。そして、データ54、55では、さらに低い周波数200Hz(57)でも、出力が得られており、以上の結果により、振動錘4を結合させることによって、あきらかにディスプレイスピーカ1の音の出力が大きくなるように改善できることがわかる。
【0022】
図3は、このようなディスプレイスピーカ1の全体構成を示す模式図である。ここでディスプレイスピーカ1は、ディスプレイパネル2全体で、三カ所に、振動錘4を備えた振動子32、33、34が面接合されている。ディスプレイスピーカ1の入力電気信号としては、ステレオのL信号(左音源)61とR信号(右音源)62が入力される。L信号61とR信号62のそれぞれは、高域フィルタ(HPF)と低域フィルタ(LPF)でフィルタリングするため2系統の入力に分離される。
【0023】
ここで、L信号61の高域フィルタ(HPF)を通過した信号63は、ディスプレイパネル2の左に配置された振動子32に印加され、R信号62の高域フィルタ(HPF)を通過した信号64は、ディスプレイパネル2の右に配置された振動子34に印加される。L信号61の低域フィルタ(LPF)を通過した信号65とR信号62の低域フィルタ(LPF)を通過した信号66は、ミキサ67で混合されてその出力68は、ディスプレイパネル2の中央に配置された振動子33に印加される。このような構成によって、振動子32、34の振動によって、左右のステレオサウンドを実現すると共に、ディスプレイパネルの中央に備えられ振動子33から低音を出力し低音域用スピーカウーファーの作用を実現する。
【0024】
以上述べたように、本実施形態においては、振動子3がディスプレイパネル2に面接合され、振動錘4が振動子3に結合されるので、振動錘4に反力をとって振動子3の物理振動を効率良くディスプレイパネル2に伝達することが可能となる。すなわち、振動子3に振動錘4を結合させるという簡便な構成によって、ディスプレイパネル2の振動板としての機能を有効に活用し、低音域まで充分に出力可能なディスプレイスピーカが実現できる。
【0025】
本実施形態では、ディスプレイパネル2の面内の三カ所に振動子3を設ける構成としたが、これに限定されず、出力特性を考慮して、ディスプレイパネル2の面内にいくつ設けも良い。その際、それぞれの振動子3に印加する音の帯域のフィルタリングや図示していないゲイン調整なども任意に構成して良い。
【0026】
(第2実施形態)
図4に、本発明の第2実施形態に係るディスプレイスピーカの要部平断面図を示す。
本実施形態に係るディスプレイスピーカ10は、ディスプレイパネル2、振動子3、および複数の振動錘4を備えている。本実施形態が、第1実施形態と異なっている点は、振動錘4として、1個ではなく、複数個の振動錘4が振動子3の背面31に結合されている点である。本実施形態では、ディスプレイスピーカ10の特性を考慮しながら、最適な位置に最適な重さの振動錘4を結合することができる。例えば、振動力が強い振動子3の中心部分では、反力を増加させるため重い振動錘4を結合させ、振動力が弱まる周辺部分では、中心に比べて軽い振動錘4を結合させる等の調整が可能である。したがって、第1実施形態の作用、効果に加えて、振動錘4によるディスプレイスピーカ10のさらに細かい特性の調節が可能となる。
【0027】
(第3実施形態)
図5に、本発明の第3実施形態に係るディスプレイスピーカの要部平断面図を示す。
本実施形態に係るディスプレイスピーカ11は、ディスプレイパネル2、振動子3、接合部材6と、および振動錘4を備えている。振動子3は、接合部材6を介して振動子3の一部がディスプレイパネル2に接合され、振動錘4は、振動子に結合されている。図5に示すように、本実施形態では、振動子3は、接合部材6を介して振動子3の中心近傍がディスプレイパネル2に接合され、振動錘4は、振動子3の周辺近傍に結合されている。本実施形態に係る振動子3としては、平面形状が長方形状の薄板であり、電気信号の印加に伴って主として長方形状の長手方向に沿って反りが発生するものを適用する。
【0028】
本実施形態では、振動子3が、接合部材6を介してその中心近傍の一部がディスプレイパネル2に接合され、振動錘4は、振動子3の長手方向の端近傍に結合されるので、第1実施形態の作用、効果に加えて、振動子3の振動をさらに効率よくディスプレイパネル2に伝達可能となっている。
【0029】
(第4実施形態)
図6に、本発明の第4実施形態に係るディスプレイスピーカの要部平断面図を示す。
本実施形態に係るディスプレイスピーカ12は、ディスプレイパネル2と、振動子3と、ディスプレイパネル2の裏面から離間して位置する押圧支持構造71と、押圧部材72と、を備え、振動子3は、ディスプレイパネル2に面接合され、押圧部材72は、押圧支持構造71と振動子3との間に結合されている。本実施形態に係る振動子3は、第1および第2の実施形態に係る振動子3と同じく、電気信号の印加に伴って主に厚さの変化が発生するものである。
【0030】
押圧支持構造71と、押圧部材72は、押圧機構7を構成している。押圧支持構造71は、ディスプレイパネル2の裏面から距離を置いて設けられた剛体の面で形成されており、押圧部材72は、弾性部材で形成されている。本実施形態では、この押圧機構7により、振動子3をディスプレイパネル2に対して押しつける力を付与し、第1実施形態の振動錘4と同様の効果が得られるように構成されている。このように押圧機構7を採用しているので、本実施形態では、第1実施形態の作用、効果に加えて、第1実施形態の振動錘4の重量を用いることが必要なくなり、ディスプレイスピーカ12を軽量化可能となる。
なお、本実施形態では、押圧支持構造71は、剛体の面で形成されたが、これに限定されず、押圧部材72によって、振動子3に押圧力を付与できる構造であれば良い。例えば格子状のフレームで構成しても良い。
【0031】
(第5実施形態)
図7に、本発明の第5実施形態に係るディスプレイスピーカの拡大断面図を示す。
本実施形態に係るディスプレイスピーカ13は、ディスプレイパネル2と、振動子3と、ディスプレイパネル2の裏面から離間して位置する押圧支持構造71と、押圧部材72と、を備え、振動子3は、ディスプレイパネル2に面接合され、押圧部材72は、押圧支持構造71と振動子3との間に結合されている。
【0032】
押圧支持構造71と、押圧部材72は、押圧機構7を構成している。本実施形態が第4実施形態と異なっている点は、押圧部材72として、1個ではなく、複数個の押圧部材72が、押圧支持構造71と振動子3との間に結合されている点である。本実施形態では、複数の押圧部材72をディスプレイスピーカ13の特性を考慮しながら、最適な位置に最適な弾性力の押圧部材72を結合することができる。例えば、振動力が強い振動子3の中心部分では、押圧力を増加させるため弾性力の高い押圧部材722を結合させ、振動力が弱まる周辺部分では、中心に比べて弾性力の弱い押圧部材721を結合させる等の調整が可能である。したがって、第4実施形態の作用、効果に加えて、押圧部材72によるディスプレイスピーカ13のさらに細かい特性の調節が可能となる。
【0033】
(第6実施形態)
図8に、本発明の第6実施形態に係るディスプレイスピーカの要部平断面図を示す。
本実施形態に係るディスプレイスピーカ14は、ディスプレイパネル2、振動子3、接合部材6と、ディスプレイパネル2の裏面から離間して位置する押圧支持構造71と、押圧部材72と、を備えている。振動子3は、接合部材6を介して振動子3の一部がディスプレイパネル2に接合され、押圧部材72は、押圧支持構造71と振動子3との間に結合されている。本実施形態に係る振動子3は、第3の実施形態に係る振動子3と同じく、平面形状が長方形状の薄板であって電気信号の印加に伴って主として長方形状の長手方向に沿って反りが発生するものである。図8に示すように、本実施形態では、振動子3は、接合部材6を介して振動子3の中心近傍がディスプレイパネル2に接合され、押圧部材72は、振動子3の周辺近傍に結合されている。押圧支持構造71と押圧支持部材72は、押圧機構7を構成しており、振動子3を接合部材6を介してディスプレイパネル2に押しつける押圧力を付与している。
【0034】
本実施形態では、振動子3が、接合部材6を介してその中心近傍の一部がディスプレイパネル2に接合され、押圧部材72は、振動子3の長手方向の端近傍に結合されているので、第4実施形態の作用、効果に加えて、振動子3の振動をさらに効率よくディスプレイパネル2に伝達可能となっている。
【0035】
上述の実施形態においては、振動子としてピエゾ素子を用いる構成としたが、これに限定されず、ディスプレイパネルを振動させることができればどのような素子でも本発明に用いることが可能である。例えば、誘電体エラストマー、電場応答性高分子ゲル、あるいはイオン導電性高分子ゲル等を使用しても本発明は実施可能である。
また、ディスプレイパネルとしては、液晶パネル、OLED(有機LED)パネル等を採用することができる。
【符号の説明】
【0036】
1、10、11、12、13、14 ディスプレイスピーカ
2 ディスプレイパネル
3 振動子
4 振動錘
6 接合部材
71 押圧支持構造
72、721、722 押圧部材

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8