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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-23
(45)【発行日】2023-07-03
(54)【発明の名称】油性洗浄料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/36 20060101AFI20230626BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20230626BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20230626BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20230626BHJP
   C11D 1/04 20060101ALI20230626BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20230626BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20230626BHJP
   A61K 8/89 20060101ALI20230626BHJP
   A61K 8/9789 20170101ALI20230626BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20230626BHJP
【FI】
A61K8/36
A61K8/41
A61K8/92
A61Q19/10
C11D1/04
A61K8/31
A61K8/37
A61K8/89
A61K8/9789
A61K8/86
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019535712
(86)(22)【出願日】2018-08-09
(86)【国際出願番号】 JP2018029878
(87)【国際公開番号】W WO2019031572
(87)【国際公開日】2019-02-14
【審査請求日】2021-07-14
(31)【優先権主張番号】P 2017154985
(32)【優先日】2017-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100125313
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 浩幸
(74)【代理人】
【識別番号】100067644
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 裕
(72)【発明者】
【氏名】島 孝明
(72)【発明者】
【氏名】上谷 祐樹
【審査官】駒木 亮一
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-269037(JP,A)
【文献】特開平07-025726(JP,A)
【文献】特開2009-084229(JP,A)
【文献】特開2014-101297(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
C11D 1/00-19/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Japio-GPG/FX
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(A)、(B)(C)、及び(D)を配合する油性洗浄料であって、成分(A)の配合量を1~7質量%とし、該成分(A)に対し中和率25~150%に相当する量の成分(B)を配合することにより中和生成される石鹸を含有し、成分(C)の配合量を50質量%以上とし、成分(D)の配合量を5質量%以上とすることを特徴とする油性洗浄料。
(A)イソステアリン酸及び/又はオレイン酸
(B)アミノメチルプロパノール及び/又はトリエタノールアミン
(C)炭化水素油、エステル油、シリコーン油、及び油脂から選択される1種又は2種以上の油分
(D)非イオン性界面活性剤
【請求項2】
下記成分(A)、(B)(C)、及び(D)を配合する油性洗浄料の製造方法であって、成分(A)の配合量を1~7質量%とし、該成分(A)に対し中和率25~150%に相当する量の成分(B)を配合し、中和生成される石鹸を含有し、成分(C)の配合量を50質量%以上とし、成分(D)の配合量を5質量%以上とすることを特徴とする油性洗浄料の製造方法。
(A)イソステアリン酸及び/又はオレイン酸
(B)アミノメチルプロパノール及び/又はトリエタノールアミン
(C)炭化水素油、エステル油、シリコーン油、及び油脂から選択される1種又は2種以上の油分
(D)非イオン性界面活性剤
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高級脂肪酸石鹸を含有する油性洗浄料に関する。
【背景技術】
【0002】
口紅、ファンデーション、マスカラ、アイシャドウ等の油分を含むメークアップ化粧料を洗い落とすためには、油分を多く含む洗浄料を用いることが最も洗浄効果が高く、また、液状の基剤であるほうが、他のジェル状、クリーム状の基剤よりもメークアップ化粧料とのなじみが良いという利点があるため、液状の油性洗浄料、所謂、クレンジングオイルがメークアップ化粧料を落とすための洗浄料として広く使用される。クレンジングオイルは、通常多量の油分と少量のノニオン界面活性剤をベースとしているため、ファンデーションや口紅等に配合されている油分となじみやすく、容易にメークアップ化粧料を落とすことができるという特徴がある。
【0003】
しかしながら、クレンジングオイルは水で洗い流すと油分が肌上に残り、さっぱり感において十分満足のいくものではなく、さっぱりとした感触のさらなる改善が望まれている。一方、高級脂肪酸石鹸は水で洗い流した後のさっぱり感には非常に優れているものの、クレンジングオイルに比べてメークに対するなじみや洗浄効果の点で不十分である。また、このような石鹸は通常油分に溶解せず、均一な状態でクレンジングオイルに配合することができなかった。
【0004】
このような従来からの課題に対し、メークに対する洗浄効果が高く、水で洗い流した後は非常にさっぱりとした感触を得ることができる油性洗浄料の開発が求められる。
【0005】
【文献】特開2014-152108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、メークに対する洗浄効果が高く、水で洗い流した後は非常にさっぱりとした感触が得られる油性洗浄料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために本発明者が検討を行った結果、所定量の(A)イソステアリン酸及び/又はオレイン酸を、(B)アミノメチルプロパノール及び/又はトリエタノールアミンにより中和率25~150%で中和すると、油状の石鹸が生成し、(C)油分に均一に溶解し得るとともに、水で洗い流した後は非常にさっぱりとした感触が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明は、下記成分(A)、(B)(C)、及び(D)を配合する油性洗浄料であって、成分(A)の配合量を1~7質量%とし、該成分(A)に対し中和率25~150%に相当する量の成分(B)を配合することにより中和生成される石鹸を含有し、成分(C)の配合量を50質量%以上とし、成分(D)の配合量を5質量%以上とすることを特徴とする油性洗浄料である。
(A)イソステアリン酸及び/又はオレイン酸
(B)アミノメチルプロパノール及び/又はトリエタノールアミン
(C)炭化水素油、エステル油、シリコーン油、及び油脂から選択される1種又は2種以上の油分
(D)非イオン性界面活性剤
【0009】
また本発明は、下記成分(A)、(B)(C)、及び(D)を配合する油性洗浄料の製造方法であって、成分(A)の配合量を1~7質量%とし、該成分(A)に対し中和率25~150%に相当する量の成分(B)を配合し、中和生成される石鹸を含有し、成分(C)の配合量を50質量%以上とし、成分(D)の配合量を5質量%以上とすることを特徴とする油性洗浄料の製造方法である。
(A)イソステアリン酸及び/又はオレイン酸
(B)アミノメチルプロパノール及び/又はトリエタノールアミン
(C)炭化水素油、エステル油、シリコーン油、及び油脂から選択される1種又は2種以上の油分
(D)非イオン性界面活性剤
【発明の効果】
【0010】
本発明の油性洗浄料によれば、メークに対する洗浄効果が高く、水で洗い流した後は非常にさっぱりとした感触を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の油性洗浄料は、(A)イソステアリン酸及び/又はオレイン酸と、(B)アミノメチルプロパノール及び/又はトリエタノールアミンと、(C)油分と、を配合し、成分(A)の配合量を1~7質量%とし、該成分(A)に対し中和率25~150%に相当する量の成分(B)を配合することにより中和生成される石鹸を含有することを特徴とする。
【0012】
本発明の油性洗浄料は、成分(A)による脂肪酸を成分(B)による中和剤で中和することにより生成される石鹸を含有することで、高い洗浄効果とともに使用後のさっぱりとした感触を得ることができる。
【0013】
成分(A)としては、イソステアリン酸又はオレイン酸のいずれか、あるいはイソステアリン酸とオレイン酸を混合して用いてもよい。
【0014】
成分(A)の配合量は油性洗浄料全量に対し1~7質量%を配合する。成分(A)の配合量が1質量%未満であると、使用後にさっぱりとした感触に劣る。一方、7質量%をこえて配合すると、成分(C)に溶解せず、分離するため均一な油性洗浄料を得ることが困難となる。
【0015】
本発明に用いる成分(B)は、上記成分(A)を中和するための中和剤である。成分(B)としては、アミノメチルプロパノール(AMP)又はトリエタノールアミン(TEA)のいずれか、あるいはアミノメチルプロパノール(AMP)とトリエタノールアミン(TEA)を混合して用いることができる。
【0016】
成分(B)は、成分(A)に対し中和率25~150%に相当する量を配合する。アミノメチルプロパノール(AMP)又はトリエタノールアミン(TEA)の配合量が成分(A)に対する中和率25%を下回る量であると使用後にさっぱりとした感触に劣る。一方、中和率150%を上回る量とすると、油性洗浄料に分離が生じ均一な状態を維持することが困難となる。
【0017】
中和率とは、油性洗浄剤に配合された全脂肪酸に対する中和後の全脂肪酸塩のモル比(百分率)をいうが、本発明において、中和率(%)は下記の計算式より算出することができる。
中和率(%)=(成分(B)のモル数)/(成分(A)のモル数)×100
すなわち、成分(B)は、成分(A)のモル数の25~150%のモル数に相当する量を配合すればよい。
【0018】
尚、成分(A)に対し中和率25~150%に相当する量の成分(B)を配合することにより中和生成される複数の成分を特定することは困難である。すなわち、中和生成物をその構造または特性により直接特定することが不可能であるか、またはおよそ実際的でないという事情(不可能・非実際的事情)が存在する。
【0019】
成分(C)の油分は、通常化粧料に配合され得る油性成分であれば特に限定されるものでなく、例えば、炭化水素油、高級アルコール、合成エステル油、シリコーン油、油脂、ロウ類等が挙げられる。
【0020】
炭化水素油としては、流動パラフィン、オゾケライト、スクワレン、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックスなどが例示される。
【0021】
高級アルコールとしては、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等の直鎖アルコール;モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、2-デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等の分枝鎖アルコールなどが例示される。
【0022】
合成エステル油としては、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12-ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジ-2-エチルヘキシル酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ-2-エチルヘキシル酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキシル酸ペンタンエリスリトール、トリー2-エチルヘキシル酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2-エチルヘキサノエート、2-エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オイル、アセトグリセライド、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-クチルドデシルエステル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバチン酸ジ-2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、セバチン酸ジイソプロピル、コハク酸2-エチルヘキシル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、クエン酸トリエチル、クロタミトン(C13H17NO)などが例示される。
【0023】
シリコーン油としては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン;デカメチルポリシロキサン、ドデカメチルポリシロキサン、テトラメチルテトラハイドロジェンポリシロキサン等の環状ポリシロキサンなどが例示される。
【0024】
油脂としては、アボガド油、ツバキ油、月見草油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン等の液体油脂;カカオ脂、ヤシ油、馬脂、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、羊脂、硬化牛脂、パーム核油、豚脂、牛骨脂、モクロウ核油、硬化油、牛脚脂、モクロウ、硬化ヒマシ油等の固体油脂などが例示される。
【0025】
ロウ類としては、ミツロウ、カンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテルなどが例示される。
【0026】
本発明の油性洗浄料には、上記必須成分に加えて、本発明の効果を損なわない範囲で化粧料や医薬品に通常配合される他の成分を1種又は2種以上配合することができる。例えば、クレンジングオイルにおいては、通常洗浄料組成物に配合される成分を配合することができる。下記にその具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0027】
粉末成分として、二酸化チタン、マイカ、タルク等を配合することができる。また、紫外線吸収剤として、パラアミノ安息香酸等の安息香酸系紫外線吸収剤、ホモメンチル-7N-アセチルアントラニレート等のアントラニル系紫外線吸収剤、ブチルメトキシベンゾイルメタン等のベンゾイル系紫外線吸収剤、オクチルシンナメート、ジパラメトキシケイヒ酸-モノ2-エチルヘキサン酸グリセリル等のケイヒ酸系紫外線吸収剤、アミルサリシレート等のサリシレート系紫外線吸収剤、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤等を配合することができる。
【0028】
保湿剤として、ポリエチレングリコール、グリセリン、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、ムコ多糖、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、キトサン等を配合することができる。増粘剤として、メチルセルロース、エチルセルロース、アラビアガム、ポリビニルアルコール、モンモリロナイト、ラポナイト等を配合することができる。また有機溶剤としてエタノール、1,3-ブチレングリコール等を配合することができる。
【0029】
酸化防止剤として、ブチルヒドロキシトルエン、トコフェロール、フィチン酸等、抗菌防腐剤として、安息香酸、サリチル酸、ソルビン酸、パラオキシ安息香酸アルキルエステル(エチルパラベン、ブチルパラベン等)、ヘキサクロロフェン等を配合することができる。
【0030】
界面活性剤として、ジイソステアリン酸ポリエチレングリコール、モノイソステアリン酸ポリエチレングリコール、イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、モノラウリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ポリエチレングリコールモノオレエート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリグリコールジエステル、ラウロイルジエタノールアマイド、脂肪酸イソプロパノールアマイド、マルチトールヒドロキシ脂肪族エーテル、アルキル化多糖、アルキルグルコシド、シュガーエステル、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体等の非イオン性界面活性剤、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン性界面活性剤、パルミチン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ポリオキシエチレンアルキル硫酸トリエタノールアミン、ロート油、リニアドデシルベンゼン硫酸塩、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油マレイン酸、アシルメチルタウリン塩等のアニオン性界面活性剤、ヤシ油脂肪酸ヒドロキシプロピルベタイン等の両性界面活性剤を配合することができる。特に、ジイソステアリン酸ポリエチレングリコールやジオレイン酸ポリエチレングリコール等のジアルカロイルポリエチレングリコールは、洗い流した後にさっぱりとした感触を得ることができるため好ましい。
【0031】
その他成分として、色素、香料、精製水等を適宜配合することができる。
【実施例
【0032】
以下、実施例に沿って本発明をさらに詳細に説明するが、これらの実施例は本発明を限定するものではない。なお、表中の数値は、特に記載のない限り質量%を示す。
【0033】
「試験品の調製」
試験品は、油分に、酸化防止剤、界面活性剤、脂肪酸、中和剤、水及び香料を添加し、加熱しながら攪拌することにより調整した。
【0034】
「洗浄効果の評価試験」
メークに対する洗浄効果を評価するため、以下の手順にしたがい洗浄効果の評価試験を実施した。
1)人工皮革の表面の光の反射率を分光式色差計(日本電色工業(株)製)を用いて計測する(反射率A値)。
2)人工皮革の表面にファンデーションを塗布し、3時間乾燥させた後、光の反射率を計測する(反射率B値)。
3)試験品0.5mlをコットン(縦1×横3cm)に含ませ、コットンに100gの荷重をかけながら人工皮革の上を5往復する。試験品で拭き取った後の人工皮革の光の反射率を計測する(反射率C値)。
4)下記の式により算出される洗浄率(%)により、洗浄効果を評価した。
洗浄率(%)=(C-B)/(A-B)×100
【0035】
「洗浄効果の評価」
◎:洗浄率が90%以上(合格)
○:洗浄率が70%以上90%未満(合格)
△:洗浄率が50%以上70%未満(不合格)
×:洗浄率が50%未満(不合格)
【0036】
「官能試験の方法」
水で洗い流した後のさっぱりとした感触を評価するため、以下の手順にしたがい官能試験を実施した。
1)試験品1gを肌に塗布し、20秒間顔になじませる。
2)約40℃の湯で60秒間顔をすすぐ。
【0037】
「官能試験の評価」
パネラー10名が顔をすすいだ後の使用感を以下の基準で評価点をつけ、パネラー10名の平均点から、試験品を◎、○、△、×で評価した。
<使用感の評価>
5:非常にさっぱりする(きゅきゅっとした感触になる)
4:さっぱりする(ややきゅきゅっとした感触となる)
3:ふつう
2:ぬるつく
1:非常にぬるつく
<試験品の評価>
◎:4以上5以下(合格)
○:3以上4未満(合格)
△:2以上3未満(不合格)
×:1以上2未満(不合格)
【0038】
「状態観察と評価」
調製直後の状態、また室温、0℃、及び50℃に1日静置後の状態を観察し、分離が無く均一な状態を保持する場合は、○(合格)と評価し、分離が生じた場合は×(不合格)と評価した。
【0039】
【表1】
【0040】
表1に、試験品の評価結果を示す。脂肪酸を配合しない比較例1、2は、官能評価において劣る結果であった。また、ラウリン酸を配合した比較例5~9では、試験品の調製直後から石鹸が分離し、均一な油性洗浄料を得ることができなかった。実施例1~3及び実施例4~6の結果が示すように、脂肪酸としては、イソステアリン酸、オレイン酸を配合することで良好な結果を得ることができるが、その配合量は1~7質量%とすることが好ましく、1質量%より少ないと、比較例3,10が示すように官能評価に劣り、逆に、7質量%より多く配合すると比較例4,11のように石鹸が油分に溶解せず分離が生じた。
【0041】
【表2】
【0042】
表2の結果から、脂肪酸を中和する中和剤としては、アミノメチルプロパノール又はトリエタノールアミンを用いることが好ましい(実施例7、8)。水酸化カリウムを用いると比較例12のように生成した石鹸が油分に溶解せず分離した状態となる。
【0043】
【表3】
【0044】
表3は、イソステアリン酸に対し、アミノメチルプロパノール又はトリエタノールアミンを用いて中和した場合の評価結果を示す。アミノメチルプロパノールはイソステアリン酸に対し、中和率が25~150%となるような配合量とすることで良好な結果が得ることができるが(実施例9、10~13、14~23及び24)、中和率25%より少ない量(比較例17,18)や中和率150%より多い量(比較例13~16)を配合すると、分離した状態となり均一な油性洗浄料を得ることができない。また、トリエタノールアミンを用いた場合にも実施例25~28では良好な結果が確認されたが、中和率10%に相当する少ない量を配合した場合には官能評価が劣ることが確認された(比較例19)。