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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-23
(45)【発行日】2023-07-03
(54)【発明の名称】媒体読取装置
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/10 20060101AFI20230626BHJP
   G06K 7/015 20060101ALI20230626BHJP
   H04N 1/10 20060101ALI20230626BHJP
【FI】
G06K7/10 240
G06K7/015
H04N1/10
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020076113
(22)【出願日】2020-04-22
(65)【公開番号】P2021174143
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2022-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】504373093
【氏名又は名称】日立チャネルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】藤村 真吾
(72)【発明者】
【氏名】牧野 周平
【審査官】小林 紀和
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/098142(WO,A1)
【文献】特開2004-193718(JP,A)
【文献】特開2018-026805(JP,A)
【文献】特開2001-266206(JP,A)
【文献】特開2013-084129(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 7/10
G06K 7/015
H04N 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置とICリーダを有し、第1の顔写真と第1のICチップとが同じ券面に設けられた第1の媒体と第2の顔写真と第2のICチップとが異なる券面に設けられた第2の媒体を読取る媒体読取装置であって、
前記撮像装置は、
前記第1の媒体の前記第1の顔写真と、前記第2の媒体の前記第2の顔写真をそれぞれ撮像し、
前記ICリーダは、
前記第1の媒体の前記第1のICチップの情報を読取るための第1のアンテナと、
前記第1のアンテナとは異なる位置に設けられ、前記第2の媒体の前記第2のICチップの情報を読取るための第2のアンテナと、を有し、
前記第1のアンテナは、
前記第1の媒体の前記第1の顔写真が設けられた前記券面と、前記第2の媒体の前記第2の顔写真が設けられた前記券面とを載せる撮像面の周囲に設けられ、
前記第2のアンテナは、
前記第2の媒体の前記第2のICチップが設けられた前記券面である見開き面に設けられ、
透過部と不透過部を有するアクリルパネルを更に備え、
前記透過部は、前記撮像面に対応するように設けられ、
前記不透過部は、前記第2の媒体の前記見開き面に対応するように設けられ、
前記撮像装置の前記撮像面の下側に搭載され、前記撮像装置での撮像の際に外光の侵入を防止する電子シャッタを更に有し、
媒体が前記アクリルパネルの表面にセットされた状態で前記第1のICチップ又は前記第2のICチップの情報を確認することにより、前記媒体の種別が前記第1の媒体か前記第2の媒体かを判別し、
判別された前記媒体の種別が前記第1の媒体か前記第2の媒体かに応じて前記電子シャッタの駆動電圧を制御することにより、前記第1の媒体又は前記第2の媒体が前記アクリルパネルの表面にセットされた状態で前記外光の侵入を防止することを特徴とする媒体読取装置。
【請求項2】
前記撮像装置を用いた前記第1の媒体の前記第1の顔写真の撮像と、前記第1のアンテナを用いた前記第1の媒体の前記第1のICチップの情報の読取りを、前記第1の媒体が前記アクリルパネルの表面にセットされた状態で一度に行うことを特徴とする請求項に記載の媒体読取装置。
【請求項3】
前記撮像装置を用いた前記第2の媒体の前記第2の顔写真の撮像と、前記第2のアンテナを用いた前記第2の媒体の前記第2のICチップの情報の読取りを、前記第2の媒体が前記アクリルパネルの表面にセットされた状態で一度に行うことを特徴とする請求項に記載の媒体読取装置。
【請求項4】
前記第1のアンテナのサイズが前記第2のアンテナのサイズよりも大きくなるように、前記第1のアンテナと前記第2のアンテナが一体化されていることを特徴とする請求項1に記載の媒体読取装置。
【請求項5】
前記第1の媒体は、運転免許証を含み、
前記第2の媒体は、前記見開き面を有する旅券を含むことを特徴とする請求項に記載の媒体読取装置。
【請求項6】
前記電子シャッタは、外部から印加される前記駆動電圧によって光の透過率を制御する液晶シャッタで構成されることを特徴とする請求項に記載の媒体読取装置。
【請求項7】
前記第1の媒体と前記第2の媒体に所定の光を照射して印刷反応を確認することにより前記第1の媒体と前記第2の媒体の真贋判定を行う真贋判定機構を更に有することを特徴とする請求項1に記載の媒体読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
金融機関では、口座開設時などに本人であることを確かめる「本人確認」が犯罪収益移転防止法(犯収法)で定められており、対面での本人確認の実施を義務付けられていた。デジタル技術の進展を受け、2018年11月の犯収法改正で非対面での本人確認が可能となった。これにより、対面だけでなく非対面でも本人確認を行える媒体読取装置の開発が可能となった。
【0003】
例えば、特許文献1では、運転免許証や旅券などの本人確認書類を読取りするスキャナ部とICリーダ部とで構成される読取装置で、顔写真などの券面の読取りとICチップの内部の情報の読取りを別々の操作で実施している。
【0004】
また、特許文献2では、運転免許証や旅券などの本人確認書類を読取りするスキャナ部とICリーダ部とで構成される読取装置において、スライドさせる操作の中でそれぞれの読取りを実施する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-208767号公報
【文献】特開2007-220001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
運転免許証や個人番号カードは、顔写真などの券面とICチップがカードサイズ内に収まっている媒体である。しかし、旅券(パスポート)は見開きになっている。このため、顔写真などの券面とICチップが同じ読取り面にない媒体であるため、どちらの媒体も読取るためには、それぞれにあわせて券面の撮影とIC内の読取りを行う必要があった。
【0007】
しかし、特許文献1、2では、媒体をセットしたままで、媒体のICチップから情報を取り出すこと、券面の画像を撮影することを同時に行うことはできなかった。このため、媒体を別の場所に移動させて情報を取り出すか、または媒体を移動させながら撮影を行っていた。
【0008】
このように、特許文献1、2では、媒体をセットするという一度のアクションで顔写真とICチップの読取りを行うことはできなかった。
【0009】
本発明の目的は、媒体読取装置において、媒体をセットするという一度のアクションで顔写真とICチップの読取りを行うことにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様の媒体読取装置は、撮像装置とICリーダを有し、第1の顔写真と第1のICチップとが同じ券面に設けられた第1の媒体と第2の顔写真と第2のICチップとが異なる券面に設けられた第2の媒体を読取る媒体読取装置であって、前記撮像装置は、前記第1の媒体の前記第1の顔写真と、前記第2の媒体の前記第2の顔写真をそれぞれ撮像し、前記ICリーダは、前記第1の媒体の前記第1のICチップの情報を読取るための第1のアンテナと、前記第1のアンテナとは異なる位置に設けられ、前記第2の媒体の前記第2のICチップの情報を読取るための第2のアンテナと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、媒体読取装置において、媒体をセットするという一度のアクションで顔写真とICチップの読取りを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例1の媒体読取装置の外部構成を示す図である。
図2】実施例1の媒体読取装置の内部構成を示す図である。
図3】電子シャッタの構成を示す図である。
図4】照明基板の構成を示す図である。
図5】2次元コードを有する本人確認用媒体を示す図である。
図6】実施例2の媒体読取装置の外部構成を示す図である。
図7】実施例2の媒体読取装置の内部構成を示す図である。
図8】実施例3の媒体読取装置の外部構成を示す図である。
図9】実施例3の媒体読取装置の内部構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を用いて、実施例について説明する。
【実施例1】
【0014】
図1を参照して、実施例1の媒体読取装置の外部構成について説明する。実施例1の媒体読取装置は、顔画像の照合はしない媒体の識別を行う媒体読取装置であり、顔照合は対面によって行う。
【0015】
図1(a)に示すように、媒体読取装置100は、表面にアクリルパネル101が設けられており、上方には上カメラ104が設けられている。また、図1(b)に示すように、アクリルパネル101は、透過部(透明部)102と不透過部(白塗装部)103を有する。
【0016】
図2を参照して、実施例1の媒体読取装置100の内部構成について説明する。ここで、(a)は運転免許証に適用する場合を示し、(b)はパスポートに適用する場合を示す。
【0017】
図2に示すように、媒体読取装置100は、非接触ICリーダ105を有する。非接触ICリーダ105は、第1のアンテナ106と第2のアンテナ107を有する。例えば、第1のアンテナ106のサイズが第2のアンテナ107のサイズよりも大きくなるように、第1のアンテナ106と第2のアンテナ107が一体化されている。
【0018】
媒体読取装置100の装置筐体108の表面は、アクリルパネル101が設けられている。装置筐体108の内部には、非接触ICリーダ105、電子シャッタ109、照明基板110、反射鏡111、下カメラ112が設けられている。
【0019】
また、媒体読取装置100の周囲の外光による画像撮影への影響を低減するために、図2に示すような画像撮影用開口部(透過部102)の下側に電子シャッタ109を搭載している。
【0020】
図3に示すように、電子シャッタ109として液晶シャッタ(外部から印加される駆動電圧によって光の透過率を制御する液晶ベースの光シャッタ)を使用した場合について記載するが、その他の電子シャッタを使用しても良い。
【0021】
パスポート230の場合は、図3(a)に示すように、画像撮影用開口部(透過部102)を媒体で隠すため外光が入り込まないことから電子シャッタ(液晶シャッタ)109の液晶を透過するように駆動電圧を設定し画像撮影すればよい。
【0022】
一方、運転免許証200などのカードサイズの媒体の場合は、画像撮影用開口部(透過部102)より媒体の方が小さいため隙間が発生する。図3(b)、(c)に示すように、この隙間部分の電子シャッタ(液晶シャッタ)109の液晶を不透過とし、媒体サイズ部分のみ透過するように駆動電圧を設定することによりカメラ撮影時の外光を電子シャッタ(液晶シャッタ)109で防ぐことができる。
【0023】
このとき、図3に示すように電子シャッタ(液晶シャッタ)109の透過エリア(透過状態)310と不透過エリア(不透過状態)320の位置を固定で設定する場合の他、あらかじめ外光の影響がある状態の券面画像を撮影してカードサイズの券面部分の位置情報を割り出した上で、カードサイズの部分のみ電子シャッタ(液晶シャッタ)109を透過にした後、外光の影響のない画像を撮影するなどの制御も可能である。
【0024】
ここで、パスポート230がセットされたか、運転免許証200などのカードタイプの媒体がセットされたかを判別する手段としては、媒体がセットされた状態でICチップ220、250の情報を確認することでセットされた媒体種別が判別できる。よって、その媒体の種別にあわせて、電子シャッタ(液晶シャッタ)109の駆動電圧を制御することで、媒体ごとの電子シャッタ(液晶シャッタ)109の設定が可能となる。
【0025】
図4を参照して、照明基板110の構成について説明する。
図4に示すように、下カメラ112を使用する際の媒体撮影用の光源は、可視光(白色)LED1101、赤外光LED1102、紫外光LED1103を使用する。
【0026】
パスポート230や運転免許証200は、赤外光や紫外光を照射すると、可視光で撮影した画像とは違う印刷反応があり、この印刷反応があることをチェックすることで、媒体の真贋判定の材料として扱うことが可能となる。
【0027】
次に、実施例1の媒体読取装置100の動作について説明する。
まず、図2(a)を参照して、運転免許証200に適用する場合の動作について説明する。
運転免許証200は、顔写真210などの印刷情報がある面とICチップ220が埋め込まれた面は同じ面であり、写真210などの印刷情報がある面を下カメラ112で撮影する際に、画像撮影用にくり抜かれたアンテナ106の開口部(透過部102)に顔写真210などの印刷情報がある面をセットすることで、同時にアンテナ106でICチップ220の情報を取得できる。この方式により運転免許証200を一度のオペレーションで顔写真210などの印刷情報画像の取得とICチップ220の情報の取得が可能となる。
【0028】
さらに、運転免許証200などは媒体の裏面にも情報があるが、媒体裏面を上カメラ104で撮影することができる。
【0029】
次に、図2(b)を参照して、パスポート230に適用する場合の動作について説明する。
パスポート230は見開きタイプの媒体であり、顔写真240などの印刷情報がある面を撮影しようとすると、ICチップ250が埋め込まれた面はちょうど見開いた状態となる。
【0030】
顔写真240などの印刷情報がある面を下カメラ112で撮影する際に、画像撮影用にくり抜かれたアンテナ106の開口部(透過部102)にその面をセットすることで、見開いた側になるように配置した第2のアンテナ107でICチップ250の情報を取得できる。この方式により、パスポート230は見開いた状態のまま一度のオペレーションで顔写真240などの印刷情報画像の取得とICチップ250の情報の取得が可能となる。
【0031】
このように、媒体読取装置100は、パスポート230や運転免許証200などの顔写真210、240のある面の画像を下カメラ112で撮影し画像を取得する機能を持ち、また同時に第1のアンテナ106と第2のアンテナ107の大小2つのアンテナを持つ非接触ICリーダ105により、パスポート230や運転免許証200に内蔵のICチップ220、250から情報を読取りできる機能を持つ。
【0032】
媒体読取装置100では、運転免許証200、パスポート230などの媒体を正しく設置すると、上カメラ104、下カメラ112による画像撮影とICリーダ105による読取りが一度のオペレーションで可能となり、撮影に応じて媒体を裏返すなどの操作は不要となる。媒体を裏返すなどの操作をさせると、別の媒体を置かれる可能性があることから本人確認用媒体の認証として不確定要素となるため好ましくはない。
【0033】
媒体読取装置100で読取りする媒体は、本人確認用媒体の内、ICチップ220、250の情報と券面に顔写真210、240の情報があるパスポート(旅券)230、運転免許証(免許証)200、個人番号カード(マイナンバーカード)、在留カードを対象とする。また、本人確認用媒体の他に、図5に示すような各媒体に表示や印字された2次元コードで表されたものも読取り対象とする。
【0034】
具体的には、図5(a)に示すような2次元コード510を有する携帯電話520、図5(b)に示すような2次元コード530を有する整理券540も読取り対象とする。
【実施例2】
【0035】
図6を参照して、実施例2の媒体読取装置の外部構成について説明する。実施例2の媒体読取装置は、現金自動取引装置(ATM)に実装するタイプである。
【0036】
現金自動取引装置(ATM)610は、顔撮影用カメラ620、表示部630を有する。実施例2の媒体読取装置600は、本人確認用媒体の画像と顔用カメラ620で撮影した画像の照合を行うことで非対面にて本人確認を行う。
【0037】
媒体読取装置600で読取りする媒体は、本人確認用媒体の内、ICチップ720の情報と券面に顔写真710の情報があるカードサイズの媒体である。カードサイズは、例えば、86mm×54mm×0.76mmである。媒体は、例えば、運転免許証、個人番号カード、在留カードなどを対象とする。また、本人確認用媒体の他に、図5に示すような各媒体に表示や印字された2次元コードで表されたものも読取り対象とする。
【0038】
媒体読取装置600は、(a)では、現金自動取引装置(ATM)610の左側に設置され、(b)では、現金自動取引装置(ATM)610の右側に設置される。
【0039】
図7を参照して、実施例2の媒体読取装置の内部構成について説明する。図7では、運転免許証700に適用する場合を示す。
実施例2の媒体読取装置600は、図7に示すように、実施例1と異なりカメラの反射鏡111を省略し、画像撮影用の開口部の真下から媒体撮影用カメラ607で撮影する方式である。非接触ICリーダ601のアンテナ基板はカード券面撮影用の開口部をくり抜いた形状とし単一のアンテナ602を有する。
【0040】
具体的には、図7(a)、(b)に示すように、媒体読取装置600は、非接触ICリーダ601を有する。非接触ICリーダ601は、単一のアンテナ602を有する。
【0041】
媒体読取装置600の装置筐体603の外部には、透過光基板604が設けられている。装置筐体603の内部には、アンテナ602、照明基板605、紫外線LED/受光センサ基板606、媒体撮影用カメラ607が設けられている。
【0042】
図7を参照して、運転免許証700に適用する場合の動作について説明する。
運転免許証700は、顔写真710などの印刷情報がある面とICチップ720が埋め込まれた面は同じ面であり、顔写真710などの印刷情報がある面を媒体撮影用カメラ607で撮影する際に、画像撮影用にくり抜かれたアンテナ602の開口部に顔写真710などの印刷情報がある面をセットすることで、同時にアンテナ602でICチップ720の情報を取得できる。この方式により、運転免許証700を一度のオペレーションで顔写真710などの印刷情報画像の取得とICチップ720の情報の取得が可能となる。
【0043】
本人確認用媒体ではICチップ720から正しい手順で取り出した情報は、正と見做される。故にICチップ720から取り出した顔写真の情報と、顔撮影用カメラ620で撮影した媒体を持ち込んだ本人の顔写真を照合して一致すれば本人確認の要件を満たす。
【0044】
運転免許証700は発行する際に、暗証番号1、暗証番号2が設定されており、暗証番号が2つとも正解ではない場合、暗証番号1のみ正解した場合、暗証番号1と暗証番号2の2つとも正解した場合の3段階で媒体のICチップ720から取得できる情報が異なる。
【0045】
本籍や顔写真などの機微な情報は、暗証番号1と暗証番号2の2つとも正解した場合しか取り出すことができないことから、暗証番号1と暗証番号2を覚えていない場合など、本人確認時に暗証番号がわからない場合は、媒体のICチップ720の情報が取り出せない。
【0046】
この場合の代替手段として、券面の印刷情報や顔写真710などの画像情報を基に、本人確認媒体の真贋を判定して正と見做した場合に、券面の顔写真画像と媒体を持ち込んだ本人の顔写真を顔照合することで本人確認の判定材料として判定結果を提供することができる。
【0047】
ここで、券面の印刷情報や顔写真710などの画像情報を基に、本人確認媒体の真贋を判定する機能として、媒体読取装置600は、以下の特徴をもつ。
【0048】
媒体読取装置600の特徴の一つは、装置筐体603の外部に実装した特定波長光源である透過光基板604を用いた透過光を利用して真贋判定を行うことである。透過光基板604の位置はセットした運転免許証700の両側面である。運転免許証700に透過光を照射した場合の媒体撮影用カメラ607で撮影したカメラ撮影画像の特徴が異なることを利用して真贋判定の材料とする。
【0049】
媒体読取装置600のもう一つの特徴は、特定波長光源である紫外線LED/受光センサ基板606を装置筐体603の内部に実装し、反射光を利用して真贋判定することである。発光は1箇所、受光は2箇所(N箇所も可)で、複数の特定箇所の反射光を複数の受光センサのレベルの違いを利用して真贋判定の材料とする。
【0050】
このとき、運転免許証700では、紫外線LED/受光センサ基板606に反応する部分が限定されていることもあり、指定の向きに正しくセットされたかどうかの媒体セット検知機能を有する。検知の際に顔写真710の位置や任意箇所の文字認識した結果の文字の向きなどを使用して判別することで天地方向の向きの他に裏側でセットされたことも検知できる。
【0051】
また、媒体セット検知で異常の判定時は、現金自動取引装置(ATM)610の表示部630で正しい方向にセットするように誘導することが可能である。
【0052】
媒体撮影用の光源は、装置筐体603の内部にある照明基板605と紫外線LED/受光センサ基板606の特定波長光(赤外光など)及び装置筐体603の外部にある透過光基板604の可視光を使用する。また、この媒体撮影用の光源で可視光については、読取媒体を装置にセットしてもらうタイミングで点滅させる等の媒体読取時以外の誘導灯として使用する。
【0053】
尚、実施例2の構成(図7参照)を実施例1の構成(図2参照)に適用することにより、実施例1において媒体の真贋判定をより高精度に行うことも可能である。
【実施例3】
【0054】
図8を参照して、実施例3の媒体読取装置の外部構成について説明する。実施例3の媒体読取装置800は、スタンドアロン型の装置であり、独立したタイプの本人認証装置である。顔画像の撮影用カメラを持ち、本人確認用媒体の画像と顔照合を行うことで非対面にて本人確認を行うことが可能となる。
【0055】
媒体読取装置800で読取りする媒体は、本人確認用媒体の内、ICチップ920の情報と券面に顔写真910の情報があるカードサイズの媒体である。カードサイズは、例えば、86mm×54mm×0.76mmである。媒体は、例えば、運転免許証、個人番号カード、在留カードなどを対象とする。また、本人確認用媒体の他には、図5に示すような各媒体に表示や印字された2次元コードで表されたものも読取り対象とする。
【0056】
実施例3では、実施例2と異なり、透過光源用の透過光基板は上部の筐体側に設けられ、上側に媒体裏面撮影用カメラを有する。
【0057】
図8を参照して、実施例3の媒体読取装置800の外部構成について説明する。
媒体読取装置800は、スピーカ810、顔撮影用カメラ820、タッチパネル付きディスプレイ830、透過光照明部(可視光/赤外光)840、媒体裏面用カメラ850を有する。本人確認用媒体の画像と顔用カメラ820で撮影した画像の照合を行うことで非対面にて本人確認を行う。
【0058】
図9を参照して、実施例3の媒体読取装置800の内部構成について説明する。図9では運転免許証900に適用する場合を示す。
【0059】
実施例3の媒体読取装置800は、図9に示すように、画像撮影用の開口部の真下から媒体表面用カメラで撮影する方式である。非接触ICリーダ901のアンテナ基板はカード券面撮影用の開口部をくり抜いた形状とし単一のアンテナ902を有する。
【0060】
具体的には、図9に示すように、媒体読取装置800は、非接触ICリーダ901を有する。非接触ICリーダ901は、単一のアンテナ902を有する。
【0061】
媒体読取装置800の装置筐体903の内部には、アンテナ902、照明基板904、紫外線LED/受光センサ基板905、媒体表面用カメラ906が設けられている。
【0062】
図9を参照して、運転免許証900に適用する場合の動作について説明する。
運転免許証900は、顔写真910などの印刷情報がある面とICチップ920が埋め込まれた面は同じ面であり、顔写真910などの印刷情報がある面を媒体表面用カメラ906で撮影する際に、画像撮影用にくり抜かれたアンテナ902の開口部に顔写真910などの印刷情報がある面をセットすることで、同時にアンテナ902でICチップ920の情報を取得できる。この方式により、運転免許証900を一度のオペレーションで顔写真910などの印刷情報画像の取得とICチップ920の情報の取得が可能となる。
【0063】
本人確認用媒体ではICチップ920から正しい手順で取り出した情報は、正と見做される。故にICチップ920から取り出した顔写真の情報と、顔撮影用カメラ820で撮影した媒体を持ち込んだ本人の顔写真を照合して一致すれば本人確認の要件を満たす。
【0064】
運転免許証900は発行する際に、暗証番号1、暗証番号2が設定されており、暗証番号が2つとも正解ではない場合、暗証番号1のみ正解した場合、暗証番号1と暗証番号2の2つとも正解した場合の3段階で媒体のICチップ920から取得できる情報が異なる。
【0065】
本籍や顔写真などの機微な情報は、暗証番号1と暗証番号2の2つとも正解した場合しか取り出すことができないことから、暗証番号1と暗証番号2を覚えていない場合など、本人確認時に暗証番号がわからない場合は、媒体のICチップ920の情報が取り出せない。
【0066】
この場合の代替手段として、券面の印刷情報や顔写真910などの画像情報を基に、本人確認媒体の真贋を判定して正と見做した場合に、券面の顔写真画像と、媒体を持ち込んだ本人の顔写真を顔照合することで本人確認の判定材料として判定結果を提供することができる。
【0067】
ここで、券面の印刷情報や顔写真910などの画像情報を基に、本人確認媒体の真贋を判定する機能として、媒体読取装置800では、以下の特徴をもつ。
【0068】
媒体読取装置800の特徴の一つは、装置筐体903の外部に実装した特定波長光源である透過光照明部(可視光/赤外光)840を用いた透過光を利用して真贋判定を行うことである。透過光照明部(可視光/赤外光)840の位置はセットした媒体の両側面である。媒体に透過光を照射した場合のカメラ撮影画像の特徴が異なることを利用して真贋判定の材料とする。
【0069】
媒体読取装置800のもう一つの特徴は、特定波長光源である紫外線LED/受光センサ基板905を筐体903の内部に実装し、反射光を利用して真贋判定することである。発光は1箇所、受光は2箇所(N箇所も可)で、複数の特定箇所の反射光を複数の受光センサのレベルの違いを利用して真贋判定の材料とする。
【0070】
このとき、運転免許証900では特定波長光源に反応する部分が限定されていることもあり、指定の向きに正しくセットされたかどうかの媒体セット検知機能をもつ。検知の際に下側の媒体表面用カメラ906による顔写真の位置や任意箇所の文字認識した結果の文字の向きなどを使用して判別することで天地方向の向きの他に裏側でセットされたことも検知できる他、上側の媒体裏面用カメラ850の画像を利用することで媒体セット検知することも可能となる。
【0071】
また、媒体セット検知で異常の判定時は、タッチパネル付きディスプレイ830やスピーカ810による音声で正しい方向にセットするように誘導することが可能である。
【0072】
媒体撮影用の光源は、装置筐体内にある照明基板904と紫外線LED/受光センサ基板905の可視光と特定波長光源(赤外光など)を使用する。また、紫外線LED/受光センサ基板905の可視光については、読取媒体を装置にセットしてもらうタイミングで点滅させる等の媒体読取時以外の誘導灯として使用する。
【0073】
内蔵したスピーカ810では、ガイダンス音声やタッチパネルを押された場合の動作音を鳴らすことができ、音声による適切な誘導や操作性の補助ができる。
【0074】
尚、実施例3の構成(図9参照)を実施例1の構成(図2参照)に適用することにより、実施例1において媒体の真贋判定をより高精度に行うことも可能である。
【0075】
上記実施例では、媒体の券面を載せる撮像面の周囲に券面と同じ位置にあるICチップ内を読取りするためのアンテナを設ける。さらに、見開き面にあたる位置にあるICチップ内を読取りするためのアンテナを別に設ける。これにより、媒体を置いたままで、券面の撮影とICチップ内の読取りを一度に行うことができる。
【0076】
上記実施例によれば、媒体をセットするという一度のアクションで券面とICチップ内の読取りを行うことができ、簡便でかつ媒体からの読取りをほぼ同時にできる。このため、券面とICチップI内の読取り時に別々の媒体を置かれて偽造させることを防止できる。
【0077】
具体的には、本人確認用媒体をセットしたままで、媒体のICチップから情報を取り出すと同時に、券面の画像撮影をできる。このため、運転免許証などの媒体を正しく設置すると、カメラによる画像撮影とICリーダによる読取りが一度のオペレーションで可能となり、撮影に応じて媒体を裏返すなどの操作は不要となる。このため、本人確認用媒体の確認において、操作の中で媒体判定の不確定要素となる媒体差し替えなどの操作が入る余地を与えることがない。
【符号の説明】
【0078】
100 媒体読取装置
101 アクリルパネル
102 透過部
103 不透過部
104 上カメラ
105 非接触ICリーダ
106 第1のアンテナ
107 第2のアンテナ
108 装置筐体
109 電子シャッタ
110 照明基板
111 反射鏡
112 下カメラ
図1
図2
図3
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図7
図8
図9