(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-23
(45)【発行日】2023-07-03
(54)【発明の名称】駆動装置
(51)【国際特許分類】
F16H 33/02 20060101AFI20230626BHJP
B60R 22/44 20060101ALN20230626BHJP
【FI】
F16H33/02 B
B60R22/44 106
(21)【出願番号】P 2020156572
(22)【出願日】2020-09-17
【審査請求日】2022-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】390000996
【氏名又は名称】株式会社ハイレックスコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 知也
(72)【発明者】
【氏名】田中 英樹
(72)【発明者】
【氏名】硲 啓祐
【審査官】鷲巣 直哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-336718(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0002798(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 33/02
B60R 22/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作対象が操作される際に回転する回転部材と、
前記回転部材を第1の回転方向に付勢する付勢部材と、
前記回転部材を前記第1の回転方向とは逆方向となる第2の回転方向に回転させるために前記回転部材に接続された操作部材と、
前記回転部材と連動して回転し、前記回転部材が回転する方向に沿って渦巻状に設けられた案内溝を有する案内部と、
前記回転部材が相対回転するように設けられた基部と
を有する駆動装置であって、
前記基部は、前記回転部材の回転中心側から径方向外側に向かって円弧状に延びる円弧溝と、前記円弧溝の円弧の中心となる係合孔とを有し、
前記基部には、前記係合孔に係合する支軸と、前記円弧溝および前記案内溝の両方に係合する係合突起と、前記支軸および前記係合突起を繋ぐ連結部とを備えたスライド部材が取り付けられ、
前記スライド部材の前記係合突起は、前記回転部材と前記基部とが相対回転した際に、前記案内溝に沿って案内されると共に前記円弧溝に沿って移動し、
前記連結部は、前記係合突起の基端から、前記係合突起の基端と前記支軸の基端とを結んだ線に対して垂直な成分を含む方向に延びた後、前記連結部に設けられた曲げ部を経由して前記支軸の基端へと延びている、駆動装置。
【請求項2】
前記連結部は、前記回転部材の回転軸に略垂直な面内で湾曲して延びている、請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記基部は、前記案内部に対向する第1の面と、前記第1の面の反対側の面であり、前記スライド部材が取り付けられる第2の面とを備え、
前記基部の前記第2の面は、前記第2の面に対して略垂直な方向に突出する第1壁部を有し、前記第1壁部は、前記円弧溝の少なくとも一方の端部の周縁において、前記案内溝の端部から前記係合突起に対して力が加わったときに、前記係合突起と当接するように設けられている、請求項1または2に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記基部の前記第2の面が、前記第2の面に対して略垂直な方向に突出する第2壁部を有し、前記第2壁部は、前記円弧溝の少なくとも一方の端部の周縁において、前記円弧溝を挟んで前記第1壁部に対向して設けられている、請求項3に記載の駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ゼンマイばねを用いて所定の部材を巻き取ることで、操作対象を操作する駆動装置が知られている。例えば、特許文献1には、ウエビングを巻取軸に層状に巻き取るウエビング巻取装置が開示されている。
【0003】
この巻取装置は、ウエビング巻取軸に連結されたゼンマイばねと、ゼンマイばねを収容するドラム状の連結部材と、ドラム状の連結部材と共に回転して渦巻状に形成された案内溝を有する制限板と、連結部材と相対回転する円盤状のアダプタとを有している。円盤状のアダプタは、その中心から半径方向に沿って円弧状の透孔が形成され、透孔の近傍には軸受孔が形成されている。円盤状のアダプタには、円弧状の透孔および軸受孔の両方に係合して、軸受孔を中心に円弧状の透孔に沿って移動するレバーが取り付けられる。レバーは、円弧状の透孔に入り込む係合突起を有し、この係合突起は、制限板に設けられた渦巻状の案内溝にも係合する。
【0004】
円盤状のアダプタと渦巻状の案内溝を有する制限板とが相対回転すると、レバーの係合突起が案内溝に案内されるとともに、円弧状の透孔に沿って移動する。そして、レバーの係合突起が案内溝の渦巻終端部に達すると、係合突起の移動が制限され、アダプタと制限板との間の相対回転が停止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の構造において、係合突起が案内溝の渦巻終端部に達して、アダプタと制限板との間の相対回転が停止する際、係合突起は渦巻終端部および円弧状の透孔の縁部から相対回転の方向に力を受ける。したがって、係合突起にはウエビング巻取操作の都度衝撃が加わり、係合突起や、レバーのうち係合突起の近傍の部位が破損してしまう場合がある。
【0007】
そこで、本発明は、係合突起を有するスライド部材の破損が抑制される駆動装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の駆動装置は、操作対象が操作される際に回転する回転部材と、前記回転部材を第1の回転方向に付勢する付勢部材と、前記回転部材を前記第1の回転方向とは逆方向となる第2の回転方向に回転させるために前記回転部材に接続された操作部材と、前記回転部材と連動して回転し、前記回転部材が回転する方向に沿って渦巻状に設けられた案内溝を有する案内部と、前記回転部材が相対回転するように設けられた基部とを有する駆動装置であって、前記基部は、前記回転部材の回転中心側から径方向外側に向かって円弧状に延びる円弧溝と、前記円弧溝の円弧の中心となる係合孔とを有し、前記基部には、前記係合孔に係合する支軸と、前記円弧溝および前記案内溝の両方に係合する係合突起と、前記支軸および前記係合突起を繋ぐ連結部とを備えたスライド部材が取り付けられ、前記スライド部材の前記係合突起は、前記回転部材と前記基部とが相対回転した際に、前記案内溝に沿って案内されると共に前記円弧溝に沿って移動し、前記連結部は、前記係合突起の基端から、前記係合突起の基端と前記支軸の基端とを結んだ線に対して垂直な成分を含む方向に延びた後、前記連結部に設けられた曲げ部を経由して前記支軸の基端へと延びている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の駆動装置によれば、係合突起を有するスライド部材の破損が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態の駆動装置の分解斜視図である。
【
図2】
図1の駆動装置に設けられた基部(第1ケース部材)の正面図である。
【
図4】(A)は、スライド部材が基部に設けられた円弧溝の第2の円弧端部において係合した状態を示す図であり、(B)は、(A)の状態に対応した、基部に対する操作部材の状態を示す駆動装置の側面図である。
【
図5】(A)は、スライド部材が円弧溝の第1の円弧端部と第2の円弧端部との間の中間位置へと移動した状態を示す図であり、(B)は、(A)の状態に対応した、基部に対する操作部材の状態を示す駆動装置の側面図である。
【
図6】(A)は、スライド部材が円弧溝の第1の円弧端部へと移動した状態を示す図であり、(B)は、(A)の状態に対応した、基部に対する操作部材の状態を示す駆動装置の側面図である。
【
図7】(A)は一実施形態のスライド部材の斜視図であり、(B)は(A)のスライド部材の正面図であり、(C)は(A)のスライド部材の側面図である。
【
図8】(A)は変形例のスライド部材を示す正面図であり、(B)は(A)のスライド部材の側面図である。
【
図9】
図4(A)におけるIX-IX線断面図である。
【
図10】円弧溝に係合した本実施形態のスライド部材に案内溝の端部から力が加わったときの、スライド部材の弾性変形後の状態を二点鎖線で示した模式図である。
【
図11】円弧溝に係合した従来のスライド部材に案内溝の端部から力が加わったときの状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態の駆動装置を説明する。なお、以下に示す実施形態はあくまで一例であり、本発明の駆動装置は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0012】
駆動装置1は、
図1に示されるように、操作対象(図示せず)が操作される際に回転する回転部材2と、回転部材2を第1の回転方向D1に付勢する付勢部材3と、回転部材2を第1の回転方向D1とは逆方向となる第2の回転方向D2に回転させるために回転部材2に接続された操作部材4とを有している。また、駆動装置1は、回転部材2と連動して回転し、回転部材2が回転する方向に沿って渦巻状に設けられた案内溝51を有する案内部5と、回転部材2が相対回転するように設けられた基部6とを有している。
【0013】
駆動装置1は、操作部材4を操作することによって回転部材2を回転させて、操作対象を操作する。操作対象は、回転部材2の回転力によって直接または間接的に操作されるものであれば、特に限定されない。操作対象は、回転部材2の回転力によって回転動作するものであってもよいし、回転部材2の回転力によって、直線動作するものであってもよい。
【0014】
駆動装置1の全体的な構造は、回転部材2が回転することによって、操作対象が操作されるものであれば、図示される構造に限定されない。本実施形態では、駆動装置1は、
図1に示されるように、回転部材2に接続された駆動部7と、駆動部7によって回転部材2の回転力が伝達されて作動する回転作動部8とを有している。本実施形態では、回転部材2の回転力が駆動部7を介して回転作動部8に伝達され、回転作動部8に直接または間接的に接続された操作対象が操作される。
【0015】
駆動部7は、従動部材71と、回転伝達部材72と、複数のギヤ73、74、75とを備えている。従動部材71は回転部材2に対して軸X方向に離間可能であるとともに、回転部材2とともに軸X周りに回転可能に連結されている。回転伝達部材72は、従動部材71が回転部材2に対して軸X方向に離間したときに従動部材71と係合して従動部材71の回転力が伝達される。複数のギヤ73、74、75は、回転伝達部材72の回転力を回転作動部8に伝達する。回転作動部8は、ギヤ74またはギヤ75の回転力が伝達されて回転する作動ギヤ81と、作動ギヤ81の回転力が伝達されて回転する作動軸82とを有している。
【0016】
回転部材2が回転すると、まず従動部材71が回転部材2から、回転部材2の軸X方向で離間する方向に移動し、係合歯を有する回転伝達部材72に回転方向で係合可能な位置まで移動する。そして、この状態において、従動部材71は回転部材2と同方向に回転可能となり、従動部材71が回転部材2とともに軸X周りに回転して、回転伝達部材72を回転させる。回転伝達部材72が回転すると、複数のギヤ73、74、75を介して、回転作動部8の作動ギヤ81が回転し、作動ギヤ81に接続された作動軸82が回転して、操作対象を操作する。
【0017】
なお、本実施形態では、駆動装置1は、回転作動部8が一方向に回転する状態で駆動部7に接続された第一接続状態と、回転作動部8が他方向に回転する状態で駆動部7に接続された第二接続状態(
図1に示される状態)とに切り替える切替部材9を有している。この点について、詳細な説明は省略するが、アウターチューブTを操作する毎に、アウターチューブTに接続された作動部材91、ギヤ74が接続された板状カム部材92を介して、板状カム部材92に接続されたギヤ74が作動ギヤ81に直接噛み合う状態(第一接続状態。ギヤ73、ギヤ74、作動ギヤ81の順に回転力が伝達される)と、ギヤ74が、作動ギヤ81と噛み合っているギヤ75に噛み合う状態(第二接続状態。ギヤ73、ギヤ74、ギヤ75、作動ギヤ81の順に回転力が伝達される)との間で移動する。これにより、操作部材4の一方向の動作で、操作対象を一方向および他方向への両方向の操作が可能となる(例えば、操作対象が開閉したり、昇降したりすることが可能となる)。
【0018】
なお、上記駆動部7、回転作動部8および切替部材9は、図示された構造に限定されるものではなく、本発明において本質的ではないため、詳細な説明は省略する。
【0019】
操作部材4は、回転部材2を回転させるために操作される部材である。本実施形態では、操作部材4が回転部材2を回転させることにより、駆動部7および回転作動部8を介して操作対象が操作される。操作部材4は、付勢部材3の付勢力に抗して回転部材2を第2の回転方向D2に回転させるように回転部材2に直接または間接的に接続される。
【0020】
操作部材4の構造は、回転部材2を回転させることができれば、特に限定されない。本実施形態では、操作部材4は回転部材2に接続されたケーブルであるが、ケーブル以外の長尺体であってもよい。より具体的には、操作部材4は、アウターチューブTに挿通された可撓性を有するインナーケーブルである。
【0021】
本実施形態では、操作部材4の一端は回転部材2に接続され、操作部材4は回転部材2に部分的に巻き取られている。操作部材4は、回転部材2に巻き取り可能、および、回転部材2から繰り出し可能である。操作部材4が
図1において下方に引き操作されると、回転部材2に操作部材4からの操作力が伝達され、回転部材2が第2の回転方向D2に回転する。操作部材4の他端は、ケースとして構成された基部6(本実施形態では、第1ケース部材6aおよび第2ケース部材6bによって構成されている。以下、基部6をケース6とも呼ぶ)から外部に導出され、ユーザによって操作可能となっている。本実施形態では、操作部材4の他端には、ユーザによって操作可能な操作部Pが設けられている。操作部Pがユーザにより操作されて、操作部材4が引き操作されることにより、回転部材2から操作部材4が繰り出される。このとき、回転部材2は、付勢部材3の付勢力に抗して軸X周りに第2の回転方向D2に回転する。
【0022】
アウターチューブTは、操作部材4の外周を部分的に被覆している。アウターチューブTは、両端が開口した筒状部材であり、操作部材4がアウターチューブTに対してアウターチューブTの長手方向に沿って移動できるように操作部材4を収容している。本実施形態では、アウターチューブTは、上述したように、回転作動部8が一方向に回転する状態で駆動部7に接続された第一接続状態と、回転作動部8が他方向に回転する状態で駆動部7に接続された第二接続状態とに切り替える際に操作される。アウターチューブTの一端Taは、切替部材9(作動部材91)に接続されてケース6内部に位置し、アウターチューブTの他端Tbは、ケース6の外部に位置している。アウターチューブTの他端Tb側には、アウターチューブTを操作するためのアウターチューブ操作部P2を有している。
【0023】
回転部材2は、操作対象が操作される際に回転する。本実施形態では、回転部材2の回転力が操作対象に直接または間接的に伝達されることにより、操作対象が操作される。回転部材2には、操作部材4の一端が接続され、操作部材4が操作されることによって第2の回転方向D2に回転する。また、回転部材2は、第2の回転方向D2に回転した後、操作部材4への操作力が解除されると、付勢部材3によって第2の回転方向D2とは逆方向となる第1の回転方向D1に回転して初期位置へと戻る。本実施形態では、操作対象が操作されるときに、回転部材2が第2の回転方向D2に回転し、操作対象への操作が解除されたときに、回転部材2は付勢部材3によって第1の回転方向D1に回転する。
【0024】
回転部材2の構造は、操作部材4の操作によって回転することができれば、特に限定されない。本実施形態では、回転部材2は、基部(ケース)6に対して回転可能に設けられたドラムである。より具体的には、回転部材2は、
図1に示されるように、操作部材4が巻回される巻回溝2aと、付勢部材3が収容される収容部2bとを有している。
【0025】
付勢部材3は、回転部材2を第1の回転方向D1に付勢する。本実施形態では、第1の回転方向D1は、回転部材2が操作部材4を巻き取る方向である。付勢部材3は、操作部材4が引き操作され、操作部材4が回転部材2から繰り出されるように回転部材2が回転すると、付勢部材3に付勢力が蓄積される。操作部材4の操作が解除されると、付勢部材3に蓄積された付勢力により回転部材2が操作部材4を巻き取る第1の回転方向D1に回転し、操作部材4が初期位置に戻る。
【0026】
付勢部材3の構造は、回転部材2を第1の回転方向D1に付勢することができれば、特に限定されない。本実施形態では、
図1に示されるように、付勢部材3は渦巻きバネである。渦巻きバネである付勢部材3は、回転部材2の軸X方向の一方の端面に設けられた凹部としての収容部2bに収容され、一端がケース6側に取り付けられ、他端が回転部材2に取り付けられている。なお、付勢部材3は、回転部材2を第1の回転方向D1に付勢することができれば、他の種類のバネによって構成されていてもよい。また、付勢部材3は、回転部材2に別部材を介して間接的に接続されて、回転部材2を第1の回転方向D1に付勢してもよい。
【0027】
案内部5は、回転部材2と連動して回転し、回転部材2が回転する方向に沿って渦巻状に設けられた案内溝51を有している。案内部5は、回転部材2が回転するときに、案内部5の案内溝51に沿って、後述するスライド部材Sの係合突起Sbを案内する。
【0028】
案内部5は、本実施形態では、回転部材2と連動して回転するように、回転部材2に取り付けられている。案内部5は、回転部材2と共に軸X周りに回転する。案内部5の構造は、回転部材2が回転するときに、案内溝51に沿って、スライド部材Sの係合突起Sbを案内することができれば、特に限定されない。本実施形態では、案内部5は渦巻状の案内溝51が形成された円板状に形成されている。案内溝51は、
図1に示されるように、案内部5の回転軸(軸X)に近い第1の端部51aと、案内部5の外周に近い第2の端部51bとを有する渦巻状の溝である。案内溝51は、スライド部材Sの係合突起Sbを収容可能な幅を有している。本実施形態では、案内溝51は、軸X方向に貫通していないが、案内溝51は貫通していてもよい。
【0029】
基部6は、回転部材2が相対回転可能に設けられ、スライド部材Sが取り付けられる部材である。基部6の構造は、回転部材2を基部6に対して相対回転可能に設けることができ、スライド部材Sを取り付けることができれば、特に限定されない。本実施形態では、基部6は、駆動装置1の構成部品の一部を収容するケースである。本実施形態では、ケース6は、軸X方向で互いに接続される第1ケース部材6aおよび第2ケース部材6bを備えている。
【0030】
本実施形態では、基部6(本実施形態では、第1ケース部材6a)は、第1の面F1と、第1の面F1の反対側の面となる第2の面F2とを備えている(
図3および
図9参照)。第1の面F1は、案内部5に対向する面である。第2の面F2は、スライド部材Sが取り付けられる面である。
【0031】
基部6は、
図2に示されるように、回転部材2の回転中心(軸X)側から回転部材2の径方向外側に向かって円弧状に延びる円弧溝61と、円弧溝61の円弧の中心となる係合孔62とを有している。
【0032】
円弧溝61は、
図2および
図3に示されるように、係合孔62を中心として円弧状に形成された、スライド部材Sの係合突起Sb(
図7(C)、
図8(B)および
図9参照)を所定範囲で案内する溝である。また、円弧溝61は、係合突起Sbが案内部5の回転方向へ移動することを規制している。円弧溝61は、第1の面F1から第2の面F2へと貫通して設けられている。本実施形態では、円弧溝61は、
図2および
図3に示されるように、係合孔62を中心とした部分円弧状の溝として形成されており、回転部材2の回転中心(軸X)側の端部である第1の円弧端部61aと、回転部材2の径方向外側の端部である第2の円弧端部61bとを有している。また、円弧溝61は、第1の側縁E1と第2の側縁E2とを有している。本実施形態では、第1の側縁E1は、係合孔62に近い側のエッジであり、第2の側縁E2は、係合孔62から遠い側のエッジである。第1の側縁E1と第2の側縁E2との間の溝幅は、係合突起Sbの外周との間にクリアランスを有するように設定されている。
【0033】
円弧溝61に挿入される係合突起Sbは、
図9に示されるように、円弧溝61を貫通して、案内部5の案内溝51にも入り込む。後述するように、スライド部材Sの係合突起Sbは、案内溝51と円弧溝61の両方に沿って案内され、係合孔62を中心に揺動するように構成されている(
図4~
図6参照)。本実施形態では、操作部材4が操作されていない非操作状態(初期状態。
図4に示される状態)においては、係合突起Sbが円弧溝61の第2の円弧端部61b側に位置し、案内溝51の第2の端部51b側に位置している。操作部材4が操作されて回転部材2とともに案内部5が第2の回転方向D2に回転したときに、スライド部材Sの係合突起Sbは、
図5および
図6に示されるように、円弧溝61の第2の円弧端部61b側から第1の円弧端部61a側に向かって移動する(このとき、係合突起Sbは、案内溝51の第2の端部51b側から第1の端部51a側へと移動する)。一方、
図6に示される状態から、操作部材4の操作が解除され付勢部材3によって回転部材2とともに案内部5が第1の回転方向D1に回転したときは、スライド部材Sの係合突起Sbは、円弧溝61の第1の円弧端部61a側から第2の円弧端部61b側に向かって移動する(このとき、係合突起Sbは、案内溝51の第1の端部51a側から第2の端部51b側へと移動する)。なお、本実施形態では、
図6に示されるように、係合突起Sbが円弧溝61の第1の円弧端部61a側に移動したときに、係合突起Sbは案内溝51の第1の端部51aへと近付くが、第1の端部51aまでは到達せず接触していない。しかし、係合突起Sbは、円弧溝61の第1の円弧端部61a側に移動したときに、係合突起Sbは案内溝51の第1の端部51aに接触するように構成されていてもよい。また、変形例として、例えば、付勢部材3の付勢方向が本実施形態とは逆の場合など、操作部材4が操作されていない非操作状態(初期状態)において、係合突起Sbが円弧溝61の第1の円弧端部61a側、かつ、案内溝51の第1の端部51a側に位置していてもよい。この場合、操作部材4が操作されて回転部材2とともに案内部5が第2の回転方向D2に回転したときに、スライド部材Sの係合突起Sbは、円弧溝61の第1の円弧端部61a側から第2の円弧端部61b側に向かって移動する。
【0034】
係合孔62は、スライド部材Sの後述する支軸Sa(
図7(C)、
図8(B)および
図9参照)が挿入される。係合孔62は、円弧溝61の円弧の中心となる位置に設けられ、スライド部材Sの回転中心となる。係合孔62は、スライド部材Sの支軸Saが係合して、スライド部材Sの回転中心となる孔であれば、特に限定されない。本実施形態では、係合孔62は、
図2および
図3に示されるように、支軸Saを挿入可能となるように軸X方向に所定の長さで延びる断面が略円形の孔である。
【0035】
基部6には、スライド部材Sが取り付けられている。スライド部材Sは、
図7(A)~(C)に示されるように、係合孔62に係合する支軸Saと、円弧溝61および案内溝51の両方に係合する係合突起Sbと、支軸Saおよび係合突起Sbを繋ぐ連結部Scとを備えている。連結部Scは、
図7(A)および(B)に示されるように、係合突起Sbの基端Sb1から、係合突起Sbの基端Sb1と支軸Saの基端Sa1とを結んだ線Lに対して垂直な成分を含む方向に延びた後、連結部Scに設けられた曲げ部CVを経由して支軸Saの基端Sa1へと延びている。スライド部材Sは、本実施形態では、基部6の第2の面F2に取り付けられた後、軸X方向にスライド部材Sを覆うカバー部材63(
図1参照)によって離脱が抑制されている。
【0036】
スライド部材Sは、
図4~
図6に示されるように、操作部材4が操作されたときに、係合孔62を中心に揺動して、案内部5の案内溝51および円弧溝61内をスライドする。本実施形態では、スライド部材Sは、付勢部材3の耐久性を向上させるために、操作部材4が操作されていない非操作状態において、付勢部材3を予巻状態(本実施形態では、渦巻きバネの自由状態から使用できる範囲の巻数の下限値まで巻き付けられた状態)となるように、回転部材2および案内部5を所定の回転位置で保持する。具体的には、スライド部材Sは、付勢部材3の付勢力により回転部材2および案内部5が第1の回転方向D1に回転したときに、付勢部材3に所定の付勢力が蓄積された状態(付勢力が残った状態)で回転部材2および案内部5が停止するように、回転部材2および案内部5を保持している。このとき、スライド部材Sの係合突起Sbは、円弧溝61の一方の端部(本実施形態では、第2の円弧端部61b)に位置するときに、案内溝51の一方の端部(本実施形態では第2の端部51b)と接触して係合している。
【0037】
スライド部材Sの形状および構造は、支軸Saと、係合突起Sbと、後述する曲げ部CVを有する連結部Scとを有していれば、特に限定されない。本実施形態では、スライド部材Sは、
図4~
図6に示されるように、基部6に取り付けられた状態で軸X方向に見たときに、略C字状または略U字状に構成されている。スライド部材Sを構成する材料は、特に限定されないが、弾性変形可能な材料、例えば、金属または合成樹脂であることが好ましい。
【0038】
支軸Saは、基部6の係合孔62に係合する。支軸Saは、スライド部材Sが揺動する際の回転中心となる。支軸Saの形状は、スライド部材Sが揺動する際の回転中心となれば、特に限定されない。本実施形態では、支軸Saは、スライド部材Sが基部6に取り付けられたときに、軸X方向に沿って延び、軸X方向に垂直な断面が略円形となる軸状に形成されている。
【0039】
係合突起Sbは、回転部材2と基部6とが相対回転した際に、案内溝51に沿って案内されると共に円弧溝61に沿って移動する。係合突起Sbは、
図9に示されるように、円弧溝61を貫通して案内溝51に入り込める長さに形成されている。係合突起Sbの形状は、回転部材2と基部6とが相対回転した際に、案内溝51に沿って案内されると共に円弧溝61に沿って移動することができれば、特に限定されない。本実施形態では、係合突起Sbは、支軸Saに対して略平行に延び、スライド部材Sが基部6に取り付けられたときに、軸X方向に沿って延び、軸X方向に垂直な断面が略円形となる軸状に形成されている。係合突起Sbは、案内溝51および円弧溝61の溝幅よりもわずかに小さくなるように形成され、係合突起Sbと案内溝51および円弧溝61のそれぞれの内面との間にクリアランスを有した状態で案内される。
【0040】
連結部Scは、支軸Saと係合突起Sbとを連結する部分である。連結部Scは、
図7(A)および(B)に示されるように、係合突起Sbの基端Sb1から、係合突起Sbの基端Sb1と支軸Saの基端Sa1とを結んだ線Lに対して垂直な成分を含む方向に延びた後、連結部Scに設けられた曲げ部CVを経由して支軸Saの基端Sa1へと延びている。
【0041】
なお、「係合突起Sbの基端Sb1と支軸Saの基端Sa1とを結んだ線Lに対して垂直な成分を含む方向」は、線Lに対して略垂直な方向、または、略垂直な方向に対して傾斜した方向を含む。本実施形態では、連結部Scは、
図7(B)に示されるように、係合突起Sbの基端Sb1から、線Lに対して垂直な方向に延びている。連結部Scが係合突起Sbの基端Sb1から線Lに垂直な方向に対して傾斜している場合、軸X方向に見たときに、連結部Scは、係合突起Sbの基端Sb1から支軸Saの基端Sa1に近付くように傾斜していることが好ましい。また、本実施形態では、連結部Scは、支軸Saの基端Sa1から線Lに垂直な方向に対して傾斜して延びている。具体的には、連結部Scは、軸X方向に見たときに、支軸Saの基端Sa1から、係合突起Sbの基端Sb1に近付くように傾斜して延びている。なお、連結部Scは、支軸Saの基端Sa1から線Lに対して垂直な方向に延びていてもよい。
【0042】
連結部Scの延び方向は、スライド部材Sが基部6に取り付けられたときに、基部6の第2の面F2から遠ざかるように(
図4(A)における紙面手前方向に)延びていてもよいが、本実施形態では、連結部Scは、
図4(A)に示されるように、回転部材2の回転軸(軸X)に略垂直な面内で湾曲して延びている。この場合、連結部Scの、基部6の第2の面F2からの突出量を抑えることができ、駆動装置1をコンパクトにすることができる。
【0043】
本実施形態では、連結部Scは、
図4(A)に示されるように、スライド部材Sが基部6に取り付けられた状態で、回転部材2の軸Xに略垂直な面内で、係合突起Sbの基端Sb1から、係合突起Sbの基端Sb1と支軸Saの基端Sa1とを結んだ線Lに対して略垂直な方向に延びている。より具体的には、連結部Scは、
図7(B)に示されるように、係合突起Sbの基端Sb1から、係合突起Sbの基端Sb1と支軸Saの基端Sa1とを結んだ線Lに対して略垂直な方向に延びる直線部ST1と、支軸Saの基端Sa1から、線Lに対して垂直な方向に対して傾斜し、かつ、支軸Saの基端Sa1から、係合突起Sbの基端Sb1に近付くように傾斜して延びる直線部ST2と、直線部ST1と直線部ST2とを湾曲して繋ぐ曲げ部CVとを有している。
【0044】
また、スライド部材Sは、
図8(A)および(B)に示されるように構成されていてもよい。
図8(A)および(B)に示されるスライド部材Sは、スライド部材Sが基部6に取り付けられた状態で、回転部材2の軸Xに略垂直な面内で、係合突起Sbの基端Sb1から、線Lに対して垂直な方向に対して傾斜し、かつ、係合突起Sbの基端Sb1から支軸Saの基端Sa1に近付くように傾斜している。具体的には、連結部Scは、
図8(A)に示されるように、係合突起Sbの基端Sb1から支軸Saの基端Sa1に近付くように傾斜して延びる直線部ST3と、支軸Saの基端Sa1から係合突起Sbの基端Sb1に近付くように傾斜して延びる直線部ST4と、直線部ST3と直線部ST4とを湾曲して繋ぐ曲げ部CVとを有している。なお、スライド部材Sは、上述したように、
図7および
図8の形状に限定されるものではない。
【0045】
曲げ部CVは、支軸Saと係合突起Sbとを直線的に繋ぐのではなく(
図7(B)の線Lに沿って繋ぐのではなく)、湾曲して繋いでいる。曲げ部CVが設けられていることにより、後述するように、係合突起Sbに加わった衝撃を緩和するようにスライド部材Sの変形が可能となる。なお、曲げ部CVの形状は、係合突起Sbに加わった衝撃を緩和するようにスライド部材Sを変形させることができれば、特に限定されない。本実施形態では、曲げ部CVは1つであるが、複数の曲げ部が設けられていてもよい。
【0046】
本実施形態では、連結部Scは、係合突起Sbの基端Sb1から、係合突起Sbの基端Sb1と支軸Saの基端Sa1とを結んだ線Lに対して垂直な成分を含む方向に延びた後、連結部Scに設けられた曲げ部CVを経由して支軸Saの基端Sa1へと延びている。これにより、回転部材2が基部6に対して相対回転して、係合突起Sbと案内溝51の端部とが係合して回転部材2の相対回転が停止する際に、スライド部材Sの破損を抑制することができる。具体的には、回転部材2が基部6に対して相対回転して、係合突起Sbと案内溝51の端部とが係合する際に、案内溝51の端部(本実施形態では、第2の端部51b)から係合突起Sbに力が加わった際に、スライダ部材Sは、曲げ部CVを支点として、連結部Scのうち曲げ部CVから係合突起Sbまでの間の部分が弾性変形する。したがって、係合突起Sbに案内溝51の端部から加わる衝撃をスライド部材S(連結部Sc)の弾性変形によって吸収することができる。これにより、スライド部材S、特に係合突起Sbおよび係合突起Sbの基端Sb1近傍の部位の破損が抑制される。
【0047】
以下、本実施形態の駆動装置1における、スライド部材の作用効果をより詳細に説明する。
【0048】
図4(A)および(B)は、操作部材4が操作されていない初期状態を示している。
図4(B)に示される初期状態から操作部材4を引き操作すると、回転部材2および案内部5が第2の回転方向D2(
図4(A)における反時計方向)に回転する。回転部材2および案内部5が回転すると、係合突起Sbは渦巻状の案内溝51に入った状態で、円弧溝61に案内されて、少しずつ円弧溝61の第1の円弧端部61aに近付いていく(
図5(A)参照)。さらに操作部材4を操作して、回転部材2および案内部5がさらに回転して、係合突起Sbが渦巻状の案内溝51内で第1の端部51a側に移動すると、係合突起Sbは円弧溝61の第1の円弧端部61aに到達する(
図6(A)参照)。このとき、駆動装置1においては、回転部材2の第2の回転方向D2への回転によって、駆動部7、回転作動部8を介して操作対象が操作される。なお、本実施形態では、操作部材4が引き切られた状態(
図6(B)参照)で、係合突起Sbは、案内溝51内で第1の端部51aから離れた位置に位置している。しかし、操作部材4が引き切られた状態で、係合突起Sbが案内溝51の第1の端部51aと接触するように構成されていてもよい。
【0049】
図6(A)および(B)に示される状態から、操作部材4の操作を解除すると、回転部材2と駆動部7との連結が解除されて、回転部材2の回転が操作対象に伝達されなくなる。また、操作部材4の操作が解除されると、付勢部材3の付勢力によって回転部材2が第1の回転方向D1に回転し、回転部材2から繰り出された操作部材4が回転部材2に巻き取られる。この際、回転部材2とともに案内部5も第2の回転方向D2に回転し、それに伴い、係合突起Sbは案内溝51内を第2の端部51bに向かって移動するように案内される。また、係合突起Sbは、円弧溝61内において、第1の円弧端部61a側から第2の円弧端部61bへ向かって移動する。
【0050】
付勢部材3の付勢力によって第1の回転方向D1に回転する回転部材2および案内部5は、
図5(A)の状態から
図4(A)の状態となったときに、スライド部材Sの係合突起Sと、案内部5の案内溝51の第2の端部51bとが衝突する。この際、係合突起Sbは、
図9に示されるように、案内溝51の第2の端部51bと、円弧溝61の側縁(第2の側縁E2)とに挟み込まれた状態となる。係合突起Sbが案内部5の案内溝51の第2の端部51bと衝突して、回転部材2の回転方向(第1の回転方向D1)に力Fを受けるが、
図10に示されるように、スライド部材Sは曲げ部CVを支点としてわずかに弾性変形する(
図10の二点鎖線参照)。これにより、係合突起Sbが案内部5の案内溝51の第2の端部51bと衝突が吸収され、係合突起Sbおよび係合突起Sbの基部Sb1近傍の破損が抑制される。一方、
図11に示されるように、曲げ部CVを有していないスライド部材S2の場合は、係合突起Sbが案内部5の案内溝51の第2の端部51bと衝突して、回転部材2の回転方向(第1の回転方向D1)に力Fを受けた際に、衝撃を吸収することがほぼできない。そのため、スライド部材S2を繰り返し使用すると、係合突起Sbの基端Sb1の近傍の領域R付近でスライド部材S2が折損していた。
【0051】
本実施形態では、スライド部材Sは、係合突起Sbに加わった力が、係合突起Sb以外に曲げ部CVに分散されるので、係合突起Sbの基端Sb1の近傍に加わる力が小さくなり、スライド部材Sの破損が抑制される。また、本実施形態では、スライド部材Sが曲げ部CVを有しているため、
図4(A)の状態から
図5(A)の状態までの間や、
図5(A)の状態から
図6(A)の状態までの間などにおいて、スライド部材Sに力が加わったときに、曲げ部CVを支点としてスライド部材Sが弾性変形して、衝撃を吸収することもできる。
【0052】
また、本実施形態では、連結部Scは、
図10に示されるように、係合突起Sbの基端Sb1から、案内溝51の第2の端部51bから加わる、第1の回転方向D1に沿う力Fの方向に対して傾斜する方向(略垂直な方向)に延びている。この場合、案内溝51の第2の端部51bから加わる力Fが加わったときに、曲げ部CVを支点として連結部Scが撓みやすく、よりスライド部材Sの破損を抑制することができる。
【0053】
また、本実施形態では、
図2、
図3、
図4(A)、
図9に示されるように、基部6の第2の面F2は、第2の面F2に対して略垂直な方向に突出する第1壁部W1を有している。第1壁部W1は、円弧溝61の少なくとも一方の端部(本実施形態では、第2の円弧端部61b)の周縁(第2の側縁E2側)において、案内溝51の終端(本実施形態では、第2の端部51b)から係合突起Sbに対して力Fが加わったときに、係合突起Sbと当接するように設けられている。基部6の第2の面F2において第1壁部W1が設けられていることにより、係合突起Sbが円弧溝61の内壁(第2の側縁E2)だけでなく、第1壁部W1にも当接して、係合突起Sbに加わる力が分散される。したがって、係合突起Sbの破損がさらに抑制される。なお、本実施形態では、第1壁部W1は、円弧溝61の内壁となる第2の側縁E2と連続して同一面を形成するように設けられている。また、第1壁部W1の第2の面F2からの高さは、特に限定されない。また、第1壁部W1は、本実施形態では、円弧溝61の第2の円弧端部61b側のみに設けられているが、第1の円弧端部61a側に設けられていてもよい。
【0054】
また、本実施形態では、
図2、
図3、
図4(A)、
図9に示されるように、基部6の第2の面F2が、第2の面F2に対して略垂直な方向に突出する第2壁部W2を有している。第2壁部W2は、円弧溝61の少なくとも一方の端部(本実施形態では、第2の円弧端部61b)の周縁(第1の側縁E1側)において、円弧溝61を挟んで第1壁部W1に対向して設けられている。この場合、スライド部材Sの係合突起Sbの位置が、第1壁部W1と第2壁部W2とに挟まれることにより、安定しやすい。そのため、係合突起Sbが案内溝51および円弧溝61から抜ける方向に移動することが抑制される。
【符号の説明】
【0055】
1 駆動装置
2 回転部材
2a 巻回溝
2b 収容部
3 付勢部材
4 操作部材
5 案内部
51 案内溝
51a 第1の端部
51b 第2の端部
6 基部(ケース)
6a 第1ケース部材
6b 第2ケース部材
61 円弧溝61
61a 第1の円弧端部
61b 第2の円弧端部
62 係合孔
63 カバー部材
7 駆動部
71 従動部材
72 回転伝達部材
73、74、75 ギヤ
8 回転作動部
81 作動ギヤ
82 作動軸
9 切替部材
91 作動部材
92 板状カム部材
CV 曲げ部
D1 第1の回転方向
D2 第2の回転方向
E1 第1の側縁
E2 第2の側縁
F 案内部の案内溝の第2の端部から係合突起に加わる力
F1 第1の面
F2 第2の面
L 係合突起の基端と支軸の基端とを結んだ線
S スライド部材
Sa 支軸
Sa1 支軸の基端
Sb 係合突起
Sb1 係合突起の基端
Sc 連結部
ST1、ST2、ST3、ST4 直線部
T アウターチューブ
Ta アウターチューブの一端
Tb アウターチューブの他端
P 操作部
P2 アウターチューブ操作部
W1 第1壁部
W2 第2壁部
X 軸