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特許7301811免疫原性チクングニアウイルスCHIKV-DELTA 5NSP3を含む医薬組成物を製造する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-23
(45)【発行日】2023-07-03
(54)【発明の名称】免疫原性チクングニアウイルスCHIKV-DELTA 5NSP3を含む医薬組成物を製造する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/12 20060101AFI20230626BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20230626BHJP
   C12N 15/40 20060101ALN20230626BHJP
【FI】
A61K39/12
A61P31/14
C12N15/40 ZNA
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2020510119
(86)(22)【出願日】2018-09-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-26
(86)【国際出願番号】 EP2018075392
(87)【国際公開番号】W WO2019057793
(87)【国際公開日】2019-03-28
【審査請求日】2021-09-16
(31)【優先権主張番号】17192374.1
(32)【優先日】2017-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】520054792
【氏名又は名称】ヴァルネヴァ エスイー
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】フリッツァー,アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】メインケ,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ランドバーグ,アーバン
(72)【発明者】
【氏名】ネベンフール,マリオ
(72)【発明者】
【氏名】ハインドル-ワルス,ヨーガン
(72)【発明者】
【氏名】シュレーゲル,ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】レオン,アルノー
【審査官】伊藤 基章
(56)【参考文献】
【文献】HALLENGARD, D. et al.,Journal of Virology,2014年,Vol. 88、No. 5,pp. 2858-2866
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 39/00
A61K 35/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)CHIKV-Δ5nsP3粒子と、
(ii)任意に、薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物であって、
前記組成物中に存在するCHIKV-Δ5nsP3粒子の少なくとも30%が、配列番号2のアミノ酸配列によって定義されるE2構造タンパク質を発現前記組成物中に存在するCHIKV-Δ5nsP3粒子の1~50%が、配列番号2のアミノ酸配列において免疫原性を低下させる突然変異E168KまたはG55Rの少なくとも1つを有するE2構造タンパク質を発現する、医薬組成物。
【請求項2】
前記組成物中に存在するCHIKV-Δ5nsP3粒子の少なくとも50%、少なくとも75%又は少なくとも90%が、配列番号2のアミノ酸配列によって定義されるE2構造タンパク質を発現する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記組成物中に存在するCHIKV-Δ5nsP3粒子の50%未満、25%未満又は10%未満が、配列番号2のアミノ酸配列におい免疫原性を低下させる突然変異E168KまたはG55Rの少なくともつを有するE2構造タンパク質を発現する、請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記組成物中に存在するCHIKV-Δ5nsP3粒子の25%未満又は10%未満が、配列番号2のアミノ酸配列中において免疫原性を低下させる突然変異E168Kを有するE2構造タンパク質を発現する、請求項1~のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記組成物中に存在するCHIKV-Δ5nsP3粒子の1%~50%、5%~30%又は10%~20%が、1つ又は複数の突然変異を有するE2構造タンパク質を発現し前記1つ又は複数の突然変異が、配列番号2のアミノ酸配列において免疫原性を低下させる突然変異E168KおよびG55Rから選択される、請求項1~のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記組成物が、前記医薬組成物で免疫されたマウスにおいてCHIKV-Δ5nsP3に対する中和抗体を誘導し、該中和抗体を含む血清を生じ、該血清が、in vitro中和アッセイにおいて細胞のCHIKV感染を1:80の血清希釈液で少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%中和前記in vitroアッセイが、LR-CHIKVウイルスレプリコン粒子(VRP)の中和を評価するBHK-21細胞に基づくルシフェラーゼアッセイである、請求項1~のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
(i)の前記CHIKV-Δ5nsP3が配列番号1のポリヌクレオチド配列によって定義される、請求項1~のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記医薬組成物が、有効量の配列番号2のアミノ酸配列によって定義されるE2構造タンパク質を発現するCHIKV-Δ5nsP3粒子を含み、前記有効量が、少なくとも10個、少なくとも10個、少なくとも10個、少なくとも10個、又は少なくとも10 個の配列番号2のアミノ酸配列によって定義されるE2構造タンパク質を発現するCHIKV-Δ5nsP3粒子として定義される、請求項1~のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記医薬組成物が、有効量の配列番号2のアミノ酸配列によって定義されるE2構造タンパク質を発現するCHIKV-Δ5nsP3粒子を含み、前記有効量が、少なくとも10 個の配列番号2のアミノ酸によって定義されるE2構造タンパク質を発現するCHIKV-Δ5nsP3粒子として定義される、請求項1~8のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記医薬組成物が、有効量の配列番号2のアミノ酸配列によって定義されるE2構造タンパク質を発現するCHIKV-Δ5nsP3粒子を含み、前記有効量が、ワクチン接種された被験体においてチクングニアウイルスのウイルス血症を予防するのに十分な量として定義される、請求項1~のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記医薬組成物がワンショット医薬組成物である、請求項1~10のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
養中のベロ細胞上で配列番号1によって定義されるポリヌクレオチド配列を有するCHIKV-Δ5nsP3を継代する工程を含む、CHIKV-Δ5nsP3粒子を含む医薬組成物を製造する方法であって、CHIKV-Δ5nsP3は、ウイルスレスキュー後前記方法において5回未満継代する、方法
【請求項13】
配列番号2のアミノ酸配列を有するCHIKV-Δ5nsP3のE2構造タンパク質における前記免疫原性を低下させる突然変異の頻度が、配列番号1によって定義されるポリヌクレオチド配列を有するCHIKV-Δ5nsP3を培養中のベロ細胞で5回以上継代することにより得られるCHIKV-Δ5nsP3のE2構造タンパク質における免疫原性を低下させる突然変異の頻度と比較して低下している、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記免疫原性を低下させる突然変異の頻度が、5回以上の継代と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%又は少なくとも50%低下する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記E2構造タンパク質に位置する前記免疫原性を低下させる突然変異が、G55R及びE168Kから選択される、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
前記E2構造タンパク質に位置する前記免疫原性を低下させる突然変異がE168Kである、請求項13~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記E2構造タンパク質の前記E168K突然変異の頻度が、採取されたCHIKV-Δ5nsP3の全プールにおいて90%未満、80%未満、70%未満、60%未満、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、10%未満である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
配列番号1によって定義されるポリヌクレオチド配列を有するCHIKV-Δ5nsP3を培養中のベロ細胞でウイルスレスキュー後最大3回継代する、請求項1215のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記ベロ細胞を約28℃~37℃の温度で増殖させる、請求項1218のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
播種後2日目~5日目に前記ベロ細胞に感染させる、請求項1219のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
ベロ細胞感染後1日目及び/又は2日目にCHIKV-Δ5nsP3粒子を採取する、請求項1220のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記CHIKV-Δ5nsP3粒子又はCHIKV-Δ5nsP3粒子を含む前記医薬組成物を製造するために使用される感染多重度(MOI)が、0.1~0.001である、請求項1221のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記医薬組成物がワクチンである、請求項1~11のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項24】
前記医薬組成物が凍結乾燥形態で提供される、請求項23に記載の医薬組成物。
【請求項25】
チクングニアウイルス感染を治療又は予防する方法で使用するための、請求項1~11、23及び24のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免疫原性弱毒化生チクングニアウイルスの製造方法、またそれを含む医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
チクングニアウイルス(CHIKV)は、トガウイルス科アルファウイルス属のプラス鎖1本鎖RNAウイルスである。チクングニアウイルス疾患は、主に突発疾患であり、高い発病率を伴う。該ウイルスは蚊ベクターを介してヒトに伝播され、発熱、発疹、疲労、重度の多発性関節痛を引き起こす。死亡率は10%~30%であるCNS感染を伴うまれな症例を除いて、CHIKVによる感染は一般に自然に消散し、通常は致命的ではない。特にCHIKV CNS疾患のリスクがあるのは、1歳未満の乳児及び65歳超の成人であり、感染率はそれぞれ一般集団よりも25倍及び6倍高い。CHIKV脳炎後の小児における永続的な障害の割合は、30パーセント~45パーセントと推定されている(Gerardin P,et al.Chikungunya virus-associated encephalitis A cohort study on La Reunion Island,2005-2009(2016)Neurology 86:1-9)。さらに、チクングニアの全患者の約30パーセントが、回復後数ヶ月から数年にわたって関節痛を経験している。場合によっては、神経、腎臓、心臓、呼吸器又は肝臓の合併症が発生することがある。
【0003】
現在、チクングニアウイルス疾患の予防又は治療に使用可能なワクチン又は医薬品はない。過去のアウトブレイクは主にアフリカで発生していたが、最近では東中央南アフリカ(ECSA)遺伝子型の地理的範囲が拡大し、インド、アジア、更には温暖なヨーロッパにおけるアウトブレイクをもたらした(Weaver,S.,Arrival of Chikungunya Virus in the New World:Prospects for Spread and Impact on Public Health(2014)PLOS Neglected Tropical Diseases 8(6):e2921)。CHIKVは1995年以来アメリカに繰り返し持ち込まれてきたが、カリブ海では2013年まで自然伝播は報告されていなかった。2015年までに、この流行は本土に広がり、アメリカ大陸の27か国で100万件を超える疑いのある症例をもたらした(Pan-American Health Organization(2015)Number of Cumulative Cases of Chikungunya Fever in the Americas)。CHIKV蚊ベクターの非流行地域への拡散、またそれと並んで地域の蚊の種に適応するCHIKVの能力によって、さらなる流行が部分的に促進される場合がある(Vega-Rua A,et al.,Chikungunya Virus Transmission Potential by Local Aedes Mosquitoes in the Americas and Europe(2015)PLOS Neglected Tropical Diseases DOI:10.1371/journal.pntd.0003780)。チクングニアウイルスの高い感染力、その地理的広がり、及び長期に亘る合併症の可能性は、ワクチン等の予防手段を開発する必要性を強調している。
【0004】
チクングニアウイルスに対するワクチンは、弱毒化生CHIKV粒子、すなわち、病原性を低減させるように変更されているが、なおも免疫原性を維持する生CHIKV粒子を含み得る。弱毒化CHIKVの一例には、非構造タンパク質3に欠失突然変異が含まれる(CHIKV-Δ5nsP3;図2を参照されたい)。CHIKV-Δ5nsP3は、マウス(Hallengard D,et al.Novel attenuated Chikungunya vaccine candidates elicit protective immunity in C57Bl/6 mice(2014)J.Virol.88:2858-2866)及び非ヒト霊長類(Roques P,et al.Attenuated and vectored vaccines protect non-human primates against Chikungunya virus(2017)J.Clin.Invest.Insight 2(6):e83527)に防御免疫を付与することが示されている。マウス及び非ヒト霊長類におけるこれらの予備的なin vivo研究は、一般的にはヒトワクチンの生産には好ましくない細胞型であるBHK-21細胞で生産されたCHIKV-Δ5nsP3ウイルスにより行われた。したがって、本明細書に開示されるように、CHIKV-Δ5nsP3ウイルス生産をより適した細胞培養プラットフォームに適合させることが必要であろう。かかる適応は平凡なプロセスではなく、例えば、特定の宿主細胞へのウイルスの適応は、ウイルス粒子の表面電荷を変化させる突然変異を引き起こす可能性があることが当技術分野で知られている。かかる後天的な突然変異は、ウイルスを弱毒化するのに役立ち、実際、ウイルスに対する多くのワクチンで使用されるかかる弱毒化ウイルス粒子の開発には、連続継代が使用されてきた。CHIKVに関しては、病原性野生型チクングニアウイルスのin vitroでの継代を繰り返すと特定の点突然変異に結び付くことがあり、ウイルスの部分的又は完全な弱毒化をもたらすことが示されている(Gardner CL,et al.,Deliberate Attenuation of Chikungunya Virus by Adaptation to Heparan Sulfate-Dependent Infectivity:A Model for Rational Arboviral Vaccine Design(2014)PLOS Neglected Tropical Diseases 8(2):e2719)。
【0005】
驚いたことに、現在、免疫原性の喪失をもたらす特定の点突然変異が弱毒化CHIKV-Δ5nsP3の細胞基質適応プロセスの間の初期に起こることがわかっており、ワクチン候補の生産の成功のため上記点突然変異の制御又は減少は必須の検討事項となっている。したがって、本発明は、CHIKV-Δ5nsP3ワクチン候補の増殖のための明確に定義されたパラメーターを用いるプロセスを提供し、産業用途に適した細胞培養で高い生産力価を同時に達成しながら、高度に免疫原性のウイルス粒子の生産を可能にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、被験体において中和免疫応答、すなわち、チクングニアウイルスによる感染及び/又はチクングニアウイルスによって引き起こされる疾患に対して保護的である免疫応答を誘発するのに十分な量の免疫原性チクングニアウイルスを含む医薬組成物に関する。特に、本発明は、弱毒化生CHIKV-Δ5nsP3粒子を含む医薬組成物を提供し、免疫原性を低下させる突然変異、特にE2タンパク質中に免疫原性を低下させる突然変異を有する上記ウイルス粒子の割合が最小限に抑えられる。本開示はさらに、弱毒化生CHIKV-Δ5nsP3を含む医薬組成物を製造する方法を提供し、該方法は、ウイルスゲノム中、特にウイルスE2タンパク質のE168及び/又は他のE2残基及び/又は他の構造若しくは非構造CHIKVタンパク質の残基における免疫原性を低下させる突然変異の存在を最小限に抑える。本開示はさらに、本発明の方法により取得可能な免疫原性弱毒化生チクングニアウイルスを含む医薬組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
現在、チクングニアウイルスに対するワクチンを開発する努力が行われている。最も先進的なワクチン候補の1つは、麻疹ウイルスプラットフォームのキメラコンストラクトを提供する(http://www.themisbio.com/#/newsを参照されたい)。現在第2相試験中のワクチンは、2回の投薬で送達される(https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02861586?term=themis&recrs=a&rank=2)。ワンショットワクチンは、当該分野で明確な利点となろう。
【0008】
したがって、一実施形態では、本発明の目的は、安定した、明確に定義された、安全且つ有効な医薬組成物、例えば、チクングニアウイルス等に対するワクチン、好ましくは、1回のみのワクチン接種で防御を付与する改善されたワクチン、すなわち、一般的な細胞基質を使用する工業規模でのいわゆる「ワンショット」ワクチンを提供すること、かかる安定した、明確に定義された、安全且つ効果的なワクチンを生成する方法、並びに上記安定した、明確に定義された、安全且つ効果的なワクチンの方法及び使用を提供することである。
【0009】
添付の図面は、縮尺通りに描くことを意図したものではない。図面は例示にすぎず、本開示の実施に必要ではない。明確にするために、全ての構成要素が全ての図面で標識されているわけではない。図面は以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】合成されたフラグメントからのCHIKV-Δ5nsP3ゲノムのフルアセンブリに使用されるpMXプラスミドのマップ。CHIKV-Δ5nsP3配列のフルアセンブリには、アンピシリン耐性カセット(pMA)を持つpMXプラスミドを使用した。pMXベクターシリーズは、pUC様クローニングベクターに基づいているが、不要なプロモーターは除外している(バイオセーフティレベル1)。
図2】CHIKV-Δ5nsP3のゲノム構造の模式図。チクングニアウイルスのゲノムは、非構造タンパク質1~非構造タンパク質4(nsP1~nsP4)及び構造タンパク質(C、E3、E2、6K、E1)の2つのポリタンパク質をコードする。野生型ゲノム配列と比較して、CHIKV-Δ5nsP3配列は、nsP3(nsP1-4ポリタンパク質のアミノ酸1656~1717)をコードする配列の3’部分に183bpの欠失を含み、nsP3レプリカーゼタンパク質中の60個のアミノ酸の欠失をもたらす(Δ60aaで示される)。SP、サブゲノムプロモーター;UTR、非翻訳領域。(上記Hallengard D,et al.,2014から適合させた図)
図3-1】pMAでのCHIKV-Δ5nsP3ゲノムのアセンブリのためのクローニング戦略。(A)CHIKV-Δ5nsP3の全ゲノムをカバーする合成ポリヌクレオチドフラグメントの設計図。(B)pMAプラスミドでのCHIKV-Δ5nsP3ゲノムのアセンブリのためのクローニング戦略。1.EcoRI及びPacIを介するフラグメント1を含むpMA(pMAフラグメント1)へのCHIKV-Δ5nsP3フラグメント2のクローニング。2.ClaI及びPacIを介するフラグメント4及びフラグメント3のアセンブリ。3.最終的なフルアセンブリのため、pMAにおけるXhoI及びPacIで消化したフラグメント5の調製。4.AgeI/XhoI消化フラグメント3及びグラフメント4、並びにXhoI/PacI消化フラグメント5と、AgeI/PacI線形化pMAフラグメント1及びフラグメント2との融合によるpMAにおけるCHIKV-Δ5nsP3ゲノムのフルアセンブリ。正しいCHIKV-Δ5nsP3ゲノムアセンブリを、サンガーシーケンシングにより検証した。
図3-2】pMAでのCHIKV-Δ5nsP3ゲノムのアセンブリのためのクローニング戦略。(A)CHIKV-Δ5nsP3の全ゲノムをカバーする合成ポリヌクレオチドフラグメントの設計図。(B)pMAプラスミドでのCHIKV-Δ5nsP3ゲノムのアセンブリのためのクローニング戦略。1.EcoRI及びPacIを介するフラグメント1を含むpMA(pMAフラグメント1)へのCHIKV-Δ5nsP3フラグメント2のクローニング。2.ClaI及びPacIを介するフラグメント4及びフラグメント3のアセンブリ。3.最終的なフルアセンブリのため、pMAにおけるXhoI及びPacIで消化したフラグメント5の調製。4.AgeI/XhoI消化フラグメント3及びグラフメント4、並びにXhoI/PacI消化フラグメント5と、AgeI/PacI線形化pMAフラグメント1及びフラグメント2との融合によるpMAにおけるCHIKV-Δ5nsP3ゲノムのフルアセンブリ。正しいCHIKV-Δ5nsP3ゲノムアセンブリを、サンガーシーケンシングにより検証した。
図4-1】ベロ細胞での継代後のCHIKV-Δ5nsP3の収率、プラークサイズ及び免疫原性。表2に詳述されているように、共通のP0(レスキュー)から開始して3つの並列する複製物(A、B、及びC)でウイルスを継代した。(A)0継代目~16継代目のベロ細胞の感染から24時間後のウイルス力価。3つの複製物(A、B、C)の平均力価を示す。(B)プラークアッセイで評価したP0、P5、及びP15のCHIKV-Δ5nsP3の相対力価。ベロ細胞は、5%FBS、2mM L-グルタミン及び1%抗生物質-抗真菌剤(Anti-Anti)で補足したMEM中、6ウェルプレートで1ウェル当たり4×10細胞の密度で播種し、35℃及び5%COで一晩インキュベートした。翌日、培養上清をベロ細胞から除去し、CHIKV-Δ5nsP3の連続希釈液を細胞に添加した。35℃/5%COで1時間インキュベートした後、最終濃度2%のメチルセルロースオーバーレイを加え、細胞を35℃/5%COで3日間更にインキュベートした。最後に、ウイルス力価(pfu/ml)及びプラーク形態を評価するため、クリスタルバイオレット染色(5%ホルムアルデヒド中0.5%クリスタルバイオレット)後にプラークを数えた。(C)ベロ細胞でのPRNTにおいてCHIKV-Δ5nsP3(P0)の中和により評価されるP0、P5B、P8B及びP15CのCHIKV-Δ5nsP3の免疫原性。ベロ細胞を3×10の密度で12ウェルプレートに播種し、35℃/5%COで一晩インキュベートした。5匹のC57Bl/6マウスの群を、10 TCID50の用量の各CHIKV-Δ5nsP3継代物を用いて皮下に1回免疫した。同じく10 TCID50のP0のCHIKV-Δ5nsP3(ウイルスレスキュー)を陽性対照として使用した。1:20~1:327680の範囲の4倍連続希釈の21日目の血清プールを560pfu/mlのCHIKV-Δ5nsP3(P0)と混合し、1時間インキュベートした。次いで、CHIKV-Δ5nsP3/中和混合物をベロ細胞に加え、プレートを35℃/5%COで2時間インキュベートした。この工程の後に、2%メチルセルロースオーバーレイが続き、プレートを35℃/5%COで約60時間インキュベートした。オーバーレイを除去した後、細胞をクリスタルバイオレット/5%ホルムアルデヒドで染色し、プラークを数えた。
図4-2】ベロ細胞での継代後のCHIKV-Δ5nsP3の収率、プラークサイズ及び免疫原性。表2に詳述されているように、共通のP0(レスキュー)から開始して3つの並列する複製物(A、B、及びC)でウイルスを継代した。(A)0継代目~16継代目のベロ細胞の感染から24時間後のウイルス力価。3つの複製物(A、B、C)の平均力価を示す。(B)プラークアッセイで評価したP0、P5、及びP15のCHIKV-Δ5nsP3の相対力価。ベロ細胞は、5%FBS、2mM L-グルタミン及び1%抗生物質-抗真菌剤(Anti-Anti)で補足したMEM中、6ウェルプレートで1ウェル当たり4×10細胞の密度で播種し、35℃及び5%COで一晩インキュベートした。翌日、培養上清をベロ細胞から除去し、CHIKV-Δ5nsP3の連続希釈液を細胞に添加した。35℃/5%COで1時間インキュベートした後、最終濃度2%のメチルセルロースオーバーレイを加え、細胞を35℃/5%COで3日間更にインキュベートした。最後に、ウイルス力価(pfu/ml)及びプラーク形態を評価するため、クリスタルバイオレット染色(5%ホルムアルデヒド中0.5%クリスタルバイオレット)後にプラークを数えた。(C)ベロ細胞でのPRNTにおいてCHIKV-Δ5nsP3(P0)の中和により評価されるP0、P5B、P8B及びP15CのCHIKV-Δ5nsP3の免疫原性。ベロ細胞を3×10の密度で12ウェルプレートに播種し、35℃/5%COで一晩インキュベートした。5匹のC57Bl/6マウスの群を、10 TCID50の用量の各CHIKV-Δ5nsP3継代物を用いて皮下に1回免疫した。同じく10 TCID50のP0のCHIKV-Δ5nsP3(ウイルスレスキュー)を陽性対照として使用した。1:20~1:327680の範囲の4倍連続希釈の21日目の血清プールを560pfu/mlのCHIKV-Δ5nsP3(P0)と混合し、1時間インキュベートした。次いで、CHIKV-Δ5nsP3/中和混合物をベロ細胞に加え、プレートを35℃/5%COで2時間インキュベートした。この工程の後に、2%メチルセルロースオーバーレイが続き、プレートを35℃/5%COで約60時間インキュベートした。オーバーレイを除去した後、細胞をクリスタルバイオレット/5%ホルムアルデヒドで染色し、プラークを数えた。
図5】CHIKV-Δ5nsP3の継代中の制御されたMOI(0.01)の免疫原性への影響。(A)非制御の及び制御された条件下のベロ細胞でのCHIKV-Δ5nsP3継代の概略図。CHIKV-Δ5nsP3 P0を、様々なMOIの非制御条件下においてベロ細胞でP3Bまで継代した(表2に概説される;複製物B)。P3Bを出発物質として使用し、0.01の定義されたMOIで全ての後続感染で制御された感染プロセスを行い、マウスにおける免疫原性の分析のため1つのP4継代物、2つのP5継代物、及び1つのP6継代物を生成した。(B)ベロ細胞でのPRNTにおいてCHIKV-Δ5nsP3(P2)の中和によって評価されるP0(○)、P2B(□)、P5#1(●)、
【数1】
P6(■)、及びP15(Δ)のCHIKV-Δ5nsP3の免疫原性。10匹のC57Bl/6マウス群を、10 TCID50の予定用量のそれぞれのCHIKV-Δ5nsP3調製物の単回用量で皮下免疫し、免疫後21日目に、図4について記載される1:20~1:327680の範囲の4倍連続希釈にてプールした血清をCHIKV-Δ5nsP3(560pfu/ml)中和能について評価した。
図6-1】P5B及びP8BからのCHIKV-Δ5nsP3の単一プラーク分離株の免疫原性及び観察されたゲノムの不均一性。2つのCHIKV-Δ5nsP3ウイルスレスキューの採取物(4399gr1 P0(#1)及び4415gr1 P0(#2))及びP15のCHIKV-Δ5nsP3採取物(P15C-DS)は、それぞれ免疫原性及び非免疫原性の対照としての役割を果たした。(A)ベロ細胞でのPRNTにおいてCHIKV-Δ5nsP3(P2)を中和することにより評価した、CHIKV-Δ5nsP3単一プラーク分離株P5B-11、P5B-03、及びP8B-05の免疫原性。10匹のC57Bl/6マウスの群を、示されるTCID50用量でそれぞれのCHIKV-Δ5nsP3分離株の単回用量で皮下免疫し、免疫後19日目に、図4に記載される1:20~1:327680の範囲の4倍連続希釈にてプールした血清をCHIKV-Δ5nsP3(560pfu/ml)の中和能について評価した。(B)示される同定された点突然変異を有するCHIKV-Δ5nsP3の全ゲノムをカバーするサンガーシーケンシングに由来する、CHIKV-Δ5nsP3単一プラーク分離株P5B-11、P5B-03、及びP8B-05の概略ゲノム。(C)更なるCHIKV-Δ5nsP3単一プラーク分離株P5B-02、P5B-04、P5B-07及びP8B-01の免疫原性を(A)と同様に評価した。(D)示される同定された点突然変異を有するCHIKV-Δ5nsP3の全ゲノムをカバーするサンガーシーケンシングに由来する、CHIKV-Δ5nsP3単一プラーク分離株P5B-02、P8B-01、P5B-04、及びP5B-07の概略ゲノム。
図6-2】P5B及びP8BからのCHIKV-Δ5nsP3の単一プラーク分離株の免疫原性及び観察されたゲノムの不均一性。2つのCHIKV-Δ5nsP3ウイルスレスキューの採取物(4399gr1 P0(#1)及び4415gr1 P0(#2))及びP15のCHIKV-Δ5nsP3採取物(P15C-DS)は、それぞれ免疫原性及び非免疫原性の対照としての役割を果たした。(A)ベロ細胞でのPRNTにおいてCHIKV-Δ5nsP3(P2)を中和することにより評価した、CHIKV-Δ5nsP3単一プラーク分離株P5B-11、P5B-03、及びP8B-05の免疫原性。10匹のC57Bl/6マウスの群を、示されるTCID50用量でそれぞれのCHIKV-Δ5nsP3分離株の単回用量で皮下免疫し、免疫後19日目に、図4に記載される1:20~1:327680の範囲の4倍連続希釈にてプールした血清をCHIKV-Δ5nsP3(560pfu/ml)の中和能について評価した。(B)示される同定された点突然変異を有するCHIKV-Δ5nsP3の全ゲノムをカバーするサンガーシーケンシングに由来する、CHIKV-Δ5nsP3単一プラーク分離株P5B-11、P5B-03、及びP8B-05の概略ゲノム。(C)更なるCHIKV-Δ5nsP3単一プラーク分離株P5B-02、P5B-04、P5B-07及びP8B-01の免疫原性を(A)と同様に評価した。(D)示される同定された点突然変異を有するCHIKV-Δ5nsP3の全ゲノムをカバーするサンガーシーケンシングに由来する、CHIKV-Δ5nsP3単一プラーク分離株P5B-02、P8B-01、P5B-04、及びP5B-07の概略ゲノム。
図7】3継代目によって生じるE2タンパク質のE168K及びE247Kの不均一性を明らかにする、0継代目(P0)でのCHIKV-Δ5nsP3及び3継代目に独立して生成された4つのCHIKV-Δ5nsP3サンプル(P3の実施例1~実施例4)のサンガーシーケンシングのクロマトグラム。P3で個別に生成された4つのCHIKV-Δ5nsP3サンプル(P3の実施例1~実施例4)は、いずれも同じMVSB(P1)に由来した。示される領域は、E2タンパク質のアミノ酸168及び247をコードするゲノム領域をカバーし、示されるように、プライマー対16及び17で配列決定された。(プライマー配列については、表1を参照されたい)。比較のため、0継代目(P0)でのCHIKV-Δ5nsP3のシーケンシングクロマトグラムを示す。配列不均一性の部位を四角で示す。
図8-1】マスターウイルスシードバンク(P1)及び独立して生成された2つの3継代目(P3)のCHIKV-Δ5nsP3調製物の次世代シーケンシング(NGS):(A)P1-MVSB;(B)P3-実施例3;(C)P3-実施例4。ゲノム不均一性のバックグラウンドレベルは、点線で示すように15%に設定されている。3継代目によって生じるより頻繁な不均一性には、ゲノム核酸の8882位及び9119位での点突然変異が含まれ、これは、それぞれ(B)及び(C)に示されるE2タンパク質のE168K及びE247Kの突然変異に対応する。
図8-2】マスターウイルスシードバンク(P1)及び独立して生成された2つの3継代目(P3)のCHIKV-Δ5nsP3調製物の次世代シーケンシング(NGS):(A)P1-MVSB;(B)P3-実施例3;(C)P3-実施例4。ゲノム不均一性のバックグラウンドレベルは、点線で示すように15%に設定されている。3継代目によって生じるより頻繁な不均一性には、ゲノム核酸の8882位及び9119位での点突然変異が含まれ、これは、それぞれ(B)及び(C)に示されるE2タンパク質のE168K及びE247Kの突然変異に対応する。
図9】セネガル37997株のCHIKV VLPのクライオEM構造上の同等の位置にマークされたE2糖タンパク質内で頻繁に観察される不均一性(G55R、G82R、E168K、及びE247K)を有するアミノ酸位置の場所(PDB 3J2W;Sun S,et al.,Structural analyses at pseudo atomic resolution of Chikungunya virus and antibodies show mechanisms of neutralization(2013)eLife 2:e00435.DOI:10.7554/eLife.00435)。G55Rを四角で示し、G82Rを円で示し、E168Kを三角形で示し、E247Kを星で示す。図は、括弧で示される膜貫通部分(TM)、膜の内側(底面)のカプシドタンパク質(C)を含むE1/E2二量体の4つのコピーで構成される、ウイルス膜にアッセンブルされ得る単位細胞のCHIKVタンパク質を示す。3つのE1/E2/カプシドアセンブリが、全て表面提示において3つの異なる角度から見て、5回軸の近くで三量体q3スパイクを構成し、4番目のアセンブリは3回軸のi3スパイクの3つの要素の1つである:(A)CHIKV単位細胞の側面図;膜平面上の視点。(B)CHIKV単位細胞の側面図;膜平面下の視点、(C)CHIKV単位細胞、上面図。
図10】E168K点突然変異の存在により、およそ3×10 TCID50の用量でCHIKV-Δ5nsP3の免疫原性が失われる閾値を決定するため、種々のP3:P5B-07(E168K)比のウイルス調製物を用いるC57Bl/6マウスの皮下免疫化のための群。群1、群3、及び群5のP3及びP5B-07(E168K突然変異体)の配合比は、3×10のTCID50の予定用量で、それぞれ1:0.1、1:1、1:10であった。さらに、群6及び群7は、それぞれP3のみ及びP5B-07(E168K)のみを表す。異型遺伝子位置(ヌクレオチド8882に対応)の参照配列(野生型)はGであり、1:0.1、1:1又は1:10のいずれかの比に応じて、ヌクレオチドAへのシフト、すなわちG>AからG=A又はG<Aは、シーケンシングクロマトグラムに従った。P3ウイルス集団は、約20%のE168K突然変異体を示した。P5B-07(E168K)ウイルス集団は不均一性を示さなかった(すなわち、約100%がE2タンパク質E168K突然変異を含んだ)。
図11】VRPに基づく中和アッセイにより評価された、種々のE168Kの突然変異体CHIKV-Δ5nsP3に対するP3の比の免疫原性への影響。図10に概説されるように、1:0.1、1:1、1:10の比のCHIKV-Δ5nsP3P3:E168Kの3×10個のTCID50の予定用量を用いるC57Bl/6マウスの皮下免疫によって、単一のマウス血清を生成した。21日目、単一の血清を、BHK-21細胞に基づくルシフェラーゼアッセイを使用してLR-CHIKVウイルスレプリコン粒子(VRP)の中和について分析した。VRPは、LR2006-OPY1野生型ウイルスのカプシド及びエンベロープのタンパク質を提示する複製欠損野生型CHIKVに類似する。簡潔には、2×10個のBHK-21細胞を96ウェルプレートに播種し、35℃/5%COで一晩インキュベートした。CHIKV-Δ5nsP3VRPを、マウス血清の連続希釈液(1:20で開始して1:312500まで)と共に35℃で1時間インキュベートした。CHIKV VRP/血清混合物をBHK-21細胞にMOI 5で添加し、35℃/5%COで1時間インキュベートした。細胞を洗浄し、新鮮な培地を添加した。ルシフェラーゼ活性を、Renilla Luciferase Assay System(Promega)を使用して、感染後24時間の上清で測定した。P-MVSB陽性対照(○)、P5B-07(E168K)陰性対照(□)、及びそれぞれのP3:E168K比で免疫された個々のマウス血清(黒丸)。(A)1:0.1の比のCHIKV-Δ5nsP3P3:E168Kの免疫原性(群1)。(B)1:1の比のCHIKV-Δ5nsP3P3:E168Kの免疫原性(群3)。(C)1:10の比のCHIKV-Δ5nsP3P3:E168Kの免疫原性(群5)。(D)A、B、及びCに示される免疫原性の結果の要約:P3と比較して、強い免疫原性(++陽性)、低免疫原性(+低陽性)及び陰性(-)。
図12】850cmのローラーボトルに入れたCHIKV-Δ5nsP3の解凍から感染までのベロ細胞培養列。P:継代、M:百万、T75:T-フラスコ75cm、T175:T-フラスコ175cm、RB850:ローラーボトルCellBIND 850cm
図13-1】ベロ細胞でCHIKV-Δ5nsP3を生産する際の細胞増殖温度、感染多重度、播種後感染時間のウイルス力価への影響。ベロ細胞を、MEM、2mMグルタミン及び10%FBSにおいて35℃で増殖させ、細胞感染のため850cmローラーボトルに播種した。ウイルス生産について、種々の温度(37℃、35℃、28℃)、MOI(0.1、0.01、0.001のTCID50/細胞)及びベロ細胞播種後の細胞感染の日数(D2、D4、D5)を、FBSを欠く培養培地で試験した。Reed&Muench法に従ってベロ細胞で測定され、TCID50/mLで表されるウイルスの生産性を示す。(A)37℃、(B)35℃、(C)28℃。
図13-2】ベロ細胞でCHIKV-Δ5nsP3を生産する際の細胞増殖温度、感染多重度、播種後感染時間のウイルス力価への影響。ベロ細胞を、MEM、2mMグルタミン及び10%FBSにおいて35℃で増殖させ、細胞感染のため850cmローラーボトルに播種した。ウイルス生産について、種々の温度(37℃、35℃、28℃)、MOI(0.1、0.01、0.001のTCID50/細胞)及びベロ細胞播種後の細胞感染の日数(D2、D4、D5)を、FBSを欠く培養培地で試験した。Reed&Muench法に従ってベロ細胞で測定され、TCID50/mLで表されるウイルスの生産性を示す。(A)37℃、(B)35℃、(C)28℃。
図14図13に記載される各条件からのCHIKV-Δ5nsP3ウイルスの総生産性。
図15】CHIKV-Δ5nsP3の最大ウイルス力価:応答曲面二次モデル。(A)モデルのANOVA分析。灰色線:有意なモデル条件(Prob(F)<0.05;0.1超の値は、モデル条件が有意でないことを示す)。(B)モデルの等高線プロット。
図16】CHIKV-Δ5nsP3のウイルス安定性:応答曲面二次モデル。(A)モデルのANOVA分析。灰色線:有意なモデル条件(Prob(F)<0.05;0.1超の値は、モデル条件が有意でないことを示す)。(B)モデルの等高線プロット。
図17】E2アミノ酸168、247及び423にそれぞれ対応するゲノム核酸8882位、9112位及び9649位でのCHIKV-Δ5nsP3E2ウイルスタンパク質の不均一性:2日目のCHIKV-Δ5nsP3サンプル採取からのモデル分析。(A)モデルのANOVA分析。灰色線:有意なモデル条件(Prob(F)<0.05)。(B)モデルの等高線プロット。
図18】E2アミノ酸168、247、423にそれぞれ対応する、ゲノム核酸8882位、9112位及び9649位でのCHIKV-Δ5nsP3E2ウイルスタンパク質の不均一性。2日目及び5日目のCHIKV-Δ5nsP3サンプル採取(28℃)からのモデル分析。(A)モデルのANOVA分析。灰色線:有意なモデル条件(Prob(F)<0.05)。(B)モデルの等高線プロット。
【発明を実施するための形態】
【0011】
CHIKV-Δ5nsP3弱毒化ウイルスワクチン候補の工業化の過程で、ベロ細胞でのウイルスの継代により、継代数が増加するにつれてウイルス力価が高くなることが観察されたが、CHIKV-Δ5nsP3ウイルスゲノムの配列不均一性の付随的な増加も観察された。ベロ細胞での継代中に生じる特定の点突然変異は、バッチごとに再現可能であることがわかり、新たな細胞基質での初期継代で既に現れていた。驚いたことに、これらの突然変異の幾つかは、CHIKV-Δ5nsP3ウイルスによって付与される免疫原性の中和の有意な損失又は減少と相関することが観察された。その他の再現可能な突然変異は、免疫原性を低下させず、及び/又は免疫原性を低下させる突然変異の「レスキュー」突然変異として作用した。低感染多重度(「MOI」)とCHIKV-Δ5nsP3の配列不均一性増加の生成との相関が特定されたが、長年の製造期間にわたって単一のウイルス源を持つ必要があるため、一般に、高MOIは工業的使用には適していない。したがって、再現性があり信頼性の高い製造に十分な生産収率で免疫原性CHIKV-Δ5nsP3粒子の生成を可能にする培養条件を見つけることができるかどうか(本発明の課題)は、当初は明らかではなかった。
【0012】
本明細書において提供されるのは、本明細書で観察される免疫原性を低下させる突然変異を制御及び最小限に抑える一方で、依然として高い生産収率を可能にする方法である。本明細書では、有効量の免疫原性チクングニアウイルスを、残存量のチクングニアウイルスの非免疫原性変異体と共に含む医薬組成物も提供される。好ましい実施形態では、医薬組成物は、0.1未満、例えば0.1又は0.001のMOI等の低MOIを使用して生産されるが、本明細書に記載されるチクングニアウイルスの非免疫原性変異体(複数の場合もある)の量を最小限に抑えるため、かかる制御された条件(例えば、レスキュー後の継代数の減少、最適化された温度及び宿主細胞のコンフルエンシー)のもとで生産される。幾つかの実施形態では、ウイルス粒子は、生ウイルス、キメラウイルス、弱毒化生ウイルス、改変生ウイルス、又は組換え生ウイルスである。一実施形態では、本発明のウイルス粒子は、任意に不活化されてもよい。幾つかの実施形態では、ウイルス粒子は弱毒化形態のウイルス粒子である。例えば、ウイルスは、野生型ウイルスと比較して、宿主における感染性、毒性、及び/又は複製が減少している可能性がある。幾つかの実施形態では、ウイルスは突然変異ウイルス又は改変ウイルスであり、例えば、ウイルスの核酸は、野生型ウイルスと比較して少なくとも1つの置換又は欠失等の突然変異を含み得る。幾つかの実施形態では、ウイルスは組換え生ウイルスであり、組換えにより生成されて、異なる供給源に由来する核酸配列を含む可能性があるウイルスを意味する。幾つかの態様では、野生型チクングニアウイルスは不活化されている。好ましい実施形態では、ウイルスはホルムアルデヒドで不活化されている。
【0013】
一実施形態では、免疫原性チクングニアウイルスは弱毒化生ウイルスである。好ましい実施形態では、弱毒化生チクングニアウイルスは、Hallengard D,et al.(上記)によって記載され、本明細書ではCHIKV-Δ5nsP3と称され、配列番号1の核酸配列によって定義される、防御性CHIKV-Δ5nsP3である。簡潔には、野生型CHIKVゲノムは、非構造タンパク質(nsP1~nsP4)及び構造タンパク質(C、E3、E2、6K、及びE1)をそれぞれコードする2つのオープンリーディングフレームを含む11kbのプラス鎖1本鎖RNAゲノムを保有する。La Reunion CHIKVのLR2006-OPY1株に基づく弱毒化CHIKウイルスCHIKV-Δ5nsP3を、nsP3タンパク質の超可変領域においてP1234ポリタンパク質のアミノ酸残基1656~1717を小さなリンカー(AA配列AYRAAAG)で置換することにより構築した(図2を参照されたい)。CHIKV-Δ5nsP3は、感染性で高免疫原性であって、野生型CHIKVによる攻撃に対して防御性であることが示されている(上記Hallengard D,et al.,及びHallengard D,et al.,Prime-Boost Immunization Strategies against Chikungunya Virus(2014)J.Virology,88(22):13333-13343、及び上記Roques P,et al.2017)。一実施形態では、弱毒化生チクングニアウイルスは、CHIKV-Δ5nsP3弱毒化突然変異体ウイルスの変異体であってもよい。好ましい実施形態では、本明細書で提供される生弱毒化チクングニアウイルスは、配列番号1によって定義される核酸配列によってコードされるCHIKV-Δ5nsP3を含む。本明細書で使用される場合、「CHIKV-Δ5nsP3」という用語は、「CHIKV-Δ5nsP3ウイルス」、「CHIKV-Δ5nsP3粒子」、「CHIKV-Δ5nsP3ウイルス粒子」又はそれらの複数のバージョンと区別なく使用される。
【0014】
本明細書では、有効量のCHIKV-Δ5nsP3を含む医薬組成物が提供される。一態様では、免疫原性CHIKV-Δ5nsP3ウイルスの有効量は、チクングニアウイルスに対する中和抗体を誘発するのに十分な量として定義される。更なる態様では、免疫原性CHIKV-Δ5nsP3ウイルスの有効量は、チクングニアウイルス感染に対する防御免疫を付与するワクチンを接種した被験体において免疫応答を誘発する量として定義される。好ましい態様では、CHIKV-Δ5nsP3の有効量は、少なくとも10個、少なくとも10個、少なくとも10個、少なくとも10個、少なくとも10個、好ましくは少なくとも10個の免疫原性CHIKV-Δ5nsP3粒子として定義される。一態様では、免疫原性CHIKV-Δ5nsP3粒子は、配列番号2のポリペプチド配列によって定義されるE2構造タンパク質を発現するCHIKV-Δ5nsP3粒子として定義される。一態様では、E2構造タンパク質は、ウイルスの免疫原性に影響しない、すなわち免疫原性を低下させない1つ又は複数の点突然変異を含む。一実施形態では、ウイルスの免疫原性に影響しない点突然変異は、H232Y及び/又はE247K等のE2タンパク質のアミノ酸232及び/又は247のものであってもよい。一実施形態では、CHIKV-Δ5nsP3のE2構造タンパク質は、約10個以下の点突然変異を含む。一実施形態では、CHIKV-Δ5nsP3のE2構造タンパク質は、9個、8個、7個、6個、5個、又は4個以下の天突然変異を含む。好ましい実施形態では、CHIKV-Δ5nsP3のE2構造タンパク質は、3個以下の点突然変異、最も好ましくは1個又は2個の点突然変異のみを含む。
【0015】
本明細書で定義されるように、免疫原性CHIKV-Δ5nsP3は、例えば、約3×10 TCID50の用量で送達されると、in vivoで有効な免疫応答、すなわち、チクングニアウイルス疾患の徴候又は症状を軽減又は予防するのに十分な中和抗体が生産される免疫応答を賦活することができるCHIKV-Δ5nsP3である。好ましい実施形態では、本明細書で定義される免疫原性CHIKV-Δ5nsP3は、配列番号2によって提供されるアミノ酸配列に従ってE2構造タンパク質を発現するCHIKV-Δ5nsP3である。更に好ましい実施形態では、本明細書で定義される免疫原性CHIKV-Δ5nsP3は、配列番号1のポリヌクレオチド配列によって定義される。代替又は追加の定義として、本発明の免疫原性CHIKV-Δ5nsP3は、免疫された被験体において中和能力を有する、すなわち、1:80以上の血清希釈液で、少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%のin vitroアッセイにおけるチクングニアウイルスの中和を伴う抗体の生産を賦活する。
【0016】
本明細書で定義されるように、非免疫原性CHIKV-Δ5nsP3は、チクングニアウイルス疾患の徴候又は症状を予防するのに不十分なワクチン接種被験体において中和抗体のレベルを誘発するCHIKV-Δ5nsP3である。好ましい実施形態では、非免疫原性CHIKV-Δ5nsP3は、少なくとも1つのアミノ酸置換、特にE2構造タンパク質のアミノ酸置換、特にE168K及び/又はG55R置換、特にE168K置換を有するE2構造タンパク質を発現するCHIKV-Δ5nsP3である。非免疫原性CHIKV-Δ5nsP3は、in vitroアッセイでチクングニアウイルス(野生型又は弱毒化)による細胞の感染を中和する能力が低いことを示す、免疫された被験体において抗体を誘発するものとして更に定義される。特に、非免疫原性CHIKV-Δ5nsP3は、1:80以上の血清希釈液で60%未満、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、特に10%未満のin vitro中和アッセイにおけるチクングニアウイルスの中和をもたらす、免疫された被験者における中和抗体のレベルを誘発するものとして定義される。
【0017】
更なる態様では、CHIKV-Δ5nsP3の有効量は、野生型チクングニアウイルスに対して中和抗体を誘発するのに十分な量として定義される。一態様では、医薬組成物はツーショット(two-shot)医薬組成物である。好ましい態様では、医薬組成物はワンショット(one-shot)医薬組成物である。好ましい態様では、医薬組成物は、点突然変異、特に免疫原性を低下させる点突然変異の有無にかかわらず、粒子の合計プールに含まれる、少なくとも10個、少なくとも10個、少なくとも10個、少なくとも10個、少なくとも10個、好ましくは約10個~10個の総CHIKV-Δ5nsP3ウイルス粒子、特に約10個又は10個のCHIKV-Δ5nsP3を含む。好ましい態様では、医薬組成物は、本明細書で定義される検出可能な量の非免疫原性CHIKV-Δ5nsP3、好ましくは、配列番号2によって定義される野生型E2タンパク質と比較して少なくとも1つの点突然変異を有する非免疫原性CHIKV-Δ5nsP3を含む。
【0018】
好ましい実施形態では、医薬組成物はCHIKV-Δ5nsP3を含み、例えば、上記Hallengard D,et al.2014に記載されるマウス研究において、BHK-21細胞で生産されたCHIKV-Δ5nsP3を含むワクチン組成物と比較してCHIKV-Δ5nsP3の非免疫原性変異体(複数の場合もある)を増加した量で含むが、ワクチン接種被験体において防御免疫をもたらすのに十分なCHIKV-Δ5nsP3の免疫原性粒子を依然として含む。例えば、医薬組成物は、(i)ワクチン接種した被験体において防御免疫をもたらすのに十分な量で配列番号2のポリペプチド配列によって定義されるE2構造タンパク質を発現するCHIKV-Δ5nsP3;(ii)例えば、上記Hallengard D,et al.2014に記載されるマウス研究で使用されるBHK-21で生産されたCHIKV-Δ5nsP3を含むワクチン組成物と比較して、増加した量の上記E2構造タンパク質に少なくとも1つの突然変異を有するCHIKV-Δ5nsP3;及び(iii)任意に、薬学的に許容される賦形剤を含んでもよい。
【0019】
本明細書では、ベロ細胞での5回以上の連続継代によるCHIKV-Δ5nsP3の生産は、特にE2構造タンパク質において高レベルの配列不均一性をもたらすことが実証されている(例えば、以下の実施例2を参照されたい)。例えば、E2タンパク質のE168K及び/又はG55Rの突然変異は5継代目までに出現することが多く(例えば、以下の表3を参照されたい)、いずれも免疫原性の低下と相関した。したがって、上記Hallengard D,et al.2014に記載されるように、ベロ細胞での5回以上の継代を使用するCHIKV-Δ5nsP3の生産は、不利に、ワクチン組成物にCHIKV-Δ5nsP3の非免疫原性突然変異体(E168K[E2]等)を高レベルでもたらす可能性がある。対照的に、5回未満の継代後のE2構造タンパク質の配列不均一性ははるかに低かったことが以下に実証される(例えば、実施例3を参照されたい-E168K突然変異は3回の継代後に存在したが、その頻度はわずか18%であった)。
【0020】
したがって、一態様では、医薬組成物は(i)CHIKV-Δ5nsP3、及び(ii)任意に、薬学的に許容される賦形剤を含み、組成物中に存在するCHIKV-Δ5nsP3粒子の少なくとも30%が、配列番号2のポリペプチド配列によって定義されるE2構造タンパク質を発現する。この実施形態では、CHIKV-Δ5nsP3粒子の少なくとも30%は、E2構造タンパク質に関して非突然変異体であり、すなわち、配列番号2のE2構造タンパク質を発現する。言い換えれば、配列不均一性(すなわち、配列番号2のE2構造タンパク質において少なくとも1つの突然変異を発現する突然変異CHIKV-Δ5nsP3粒子)の頻度は、は70%以下である。特に明記しない限り、一般に「CHIKV-Δ5nsP3」又は「CHIKV-Δ5nsP3粒子」について言及する場合、CHIKV-Δ5nsP3の非変異体及び突然変異体の形態の両方、すなわち配列番号2のE2構造タンパク質を発現するCHIKV-Δ5nsP3、及び配列番号2に1つ又は複数の突然変異を有するE2構造タンパク質を発現するCHIKV-Δ5nsP3を包含することを意図する。一実施形態では、CHIKV-Δ5nsP3のE2構造タンパク質は、約10個以下の点突然変異を含む。一実施形態では、CHIKV-Δ5nsP3のE2構造タンパク質は、9個、8個、7個、6個、5個、又は4個以下の点突然変異を含む。好ましい実施形態では、CHIKV-Δ5nsP3のE2構造タンパク質は、3個以下の点突然変異、最も好ましくは1個又は2個の点突然変異のみを含む。
【0021】
好ましい実施形態では、組成物中に存在するCHIKV-Δ5nsP3粒子の少なくとも35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%が非突然変異体であり、すなわち、配列番号2のポリペプチド配列によって定義されるE2構造タンパク質を発現する。
【0022】
一態様では、医薬組成物は、(i)CHIKV-Δ5nsP3、及び(ii)任意に、薬学的に許容される賦形剤を含み、該組成物中に存在するCHIKV-Δ5nsP3粒子の70%未満が、配列番号2のポリペプチド配列に関して1つ又は複数の突然変異を有するE2構造タンパク質を発現する。
【0023】
一態様では、医薬組成物は、(i)CHIKV-Δ5nsP3、及び(ii)任意に、薬学的に許容される賦形剤を含み、該組成物中に存在するCHIKV-Δ5nsP3粒子の70%未満が、配列番号2のポリペプチド配列中に突然変異E168Kを有するE2構造タンパク質を発現する。
【0024】
好ましい実施形態では、E2構造タンパク質中の突然変異(例えば、突然変異E168K)は、70%以下の頻度で存在し、例えば、全CHIKV-Δ5nsP3粒子の70%未満が1つ又は複数の突然変異(又は突然変異E168K)を含み、全CHIKV-Δ5nsP3粒子の30%以上が非変異E2構造タンパク質又は突然変異E168Kを含まないE2構造タンパク質を発現する。
【0025】
好ましい実施形態では、組成物中に存在するCHIKV-Δ5nsP3粒子の65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、5%、4%、3%、2%又は1%未満が、配列番号2のポリペプチド配列に関して1つ又は複数の突然変異(例えばE168K等)を有するE2構造タンパク質を発現する。例えば、上記組成物は、該組成物に存在するCHIKV-Δ5nsP3粒子(突然変異体及び非突然変異体)の総数と比較して、1%~70%、1%~50%、1%~30%、1%~20%、5%~70%、5%~50%、5%~30%、5%~20%、10%~70%、10%~50%、10~30%又は10%~20%の突然変異体粒子(すなわち、配列番号2のポリペプチド配列に関して1つ又は複数の突然変異(例えばE168K等)を有するE2構造タンパク質を発現するCHIKV-Δ5nsP3粒子)を含んでもよい。一実施形態では、E168K突然変異を有するE2構造タンパク質を発現するCHIKV-Δ5nsP3粒子は、E168K突然変異によって付与される免疫原性の喪失を軽減する突然変異を更に含む。一実施形態では、突然変異は、nsP1タンパク質、特に残基A38にある。好ましい実施形態では、E168K突然変異を有するE2構造タンパク質を発現するCHIKV-Δ5nsP3粒子は、A38S突然変異を有するnsP1も発現する。
【0026】
本明細書では、1)細胞株でCHIKV-Δ5nsP3ウイルスを増殖させる工程、及び2)CHIKV-Δ5nsP3ウイルスの免疫原性を低下させる突然変異の存在を最小限に抑える工程を含む、本発明の医薬組成物を製造する方法も提供される。一実施形態では、免疫原性CHIKV-Δ5nsP3ウイルスは、EB66細胞株、ベロ細胞株、Vero-αHis細胞株、HeLa細胞株、HeLa-S3細胞株、293細胞株、PC12細胞株、CHO細胞株、3T3細胞株、PerC6細胞株、MDSK細胞株、ニワトリ胚線維芽細胞株、アヒル細胞株及び二倍体鳥類細胞株からなる群から選択される細胞株で増殖される。幾つかの実施形態では、上記細胞株はアヒル細胞株である。幾つかの実施形態では、上記細胞株は二倍体鳥類細胞株である。幾つかの実施形態では、上記細胞株はEB66細胞株である。好ましい実施形態では、上記細胞株はベロ細胞株である。
【0027】
一実施形態では、免疫原性を低下させる突然変異の存在は、CHIKV-Δ5nsP3を5回未満、好ましくは4回未満、好ましくは3回未満、好ましくは2回未満、より好ましくは1回のみ、最も好ましくは多くても3回の継代によって最小限に抑えられる。本明細書で使用される場合、継代数は、ウイルスレスキュー(P0)後のin vitro継代の数を指す。好ましい実施形態では、ウイルスはベロ細胞で継代される。一態様では、ウイルスを最適温度で増殖させる。好ましい実施形態では、該最適温度は約28℃~37℃、好ましくは約35℃である。
【0028】
一実施形態では、宿主細胞培養物を、最適なMOIでCHIKV-Δ5nsP3に感染させる。一態様では、最適なMOIは、過剰量のワーキングウイルスシードバンク培養物を必要としないほど低いが、本明細書に記載される免疫原性を低下させる突然変異を最小限に抑えるのに十分高いMOIとして定義される。好ましい態様では、最適化されたMOIは、0.1未満のMOI、好ましくは約0.1~0.001のMOI、より好ましくは約0.09~0.0011のMOI、更により好ましくは約0.05~0.005のMOI、最も好ましくは約0.01のMOIである。一態様では、宿主細胞のコンフルエンシーは感染前に評価される。一態様では、宿主細胞のコンフルエンシーは、約20%~90%、好ましくは約30%~75%、より好ましくは約40%~60%、特に約50%~60%である。一態様では、細胞培養物を、宿主細胞播種後の最適な時点、すなわち、宿主細胞播種後2日目~5日目、好ましくは宿主細胞播種後約4日目に感染させる。一態様では、ウイルス粒子は、宿主細胞感染後1日目~6日目、好ましくは1日目~4日目、好ましくは宿主細胞感染後1日目又は2日目、好ましくは宿主細胞感染後1日目及び2日目の両方で採取される。
【0029】
一態様では、免疫原性を低下させる突然変異は、配列番号1のポリヌクレオチド配列によって定義されるCHIKV-Δ5nsP3のゲノム内の任意の位置の点突然変異である。一実施形態では、免疫原性を低下させる突然変異は、E2タンパク質以外の位置のゲノムに存在する。好ましい実施形態では、免疫原性を低下させる突然変異は、E2タンパク質中、好ましくはアミノ酸残基55及び/又は168に位置し、例えばG55R及び/又はE168Kの突然変異、特にE168Kである。幾つかの実施形態では、本明細書に記載される免疫原性を低下させる突然変異は、ゲノム内の他の突然変異によって緩和又は「レスキュー」される。一実施形態では、E168Kの緩和突然変異(mitigating mutation)は、非構造タンパク質1(nsP1)のA38S突然変異である。
【0030】
一態様では、CHIKV-Δ5nsP3のE2タンパク質のE168K突然変異の頻度は、採取されたCHIKV-Δ5nsP3の全プールにおいて90%未満、80%未満、70%未満、60%未満、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、10%未満、好ましくは50%未満である。
【0031】
一態様では、本発明は、本明細書で提供されるプロセスによって取得可能な免疫原性CHIKV-Δ5nsP3を提供する。別の態様では、本発明は、本明細書で提供されるプロセスによって取得可能な免疫原性CHIKV-Δ5nsP3を含む医薬組成物を提供する。
【0032】
本発明の態様は、チクングニアウイルス感染に対する免疫化のための組成物を製造する本明細書に記載される方法の使用を提供する。好ましい実施形態では、組成物はワクチンである。一実施形態では、ワクチンは被験体に1回、2回又は3回以上投与される。一態様では、免疫した被験体から単離されたCHIKV-Δ5nsP3ウイルス粒子は、特にE2構造タンパク質の点突然変異に関して、投与されるワクチン組成物と同様の点突然変異プロファイルを有する。一実施形態では、ワクチンは1回又は2回投与される。好ましい実施形態では、ワクチンは一度だけ投与される(例えばワンショットワクチン)。一態様では、追加免疫ワクチン接種が任意に適用される。特定の好ましい態様では、医薬組成物は凍結乾燥形態で提供される。
【0033】
他の態様は、チクングニアウイルス感染を治療及び/又は予防する本明細書に記載の方法により得られるウイルス粒子を含む組成物を提供する。一態様では、該組成物は、被験体において免疫応答を賦活する方法及び/又はチクングニアウイルス感染を治療若しくは予防する方法において使用するものである。「予防する」という用語は本明細書で使用される場合、「から保護する」ことも意味する。一態様では、チクングニアウイルス感染は、西アフリカ、東/中央/南アフリカ(ECSA)及び/又はアジアのチクングニアウイルスの遺伝子型によって引き起こされる可能性がある。
【0034】
本明細書に記載の方法のいずれかを使用して製造されたウイルス調製物は、追加の濾過工程及び/又は凍結乾燥を含む追加の処理工程に更に供されてもよい。ウイルス調製物は、調製物の純度の分析に供されてもよい。例えば、ウイルス調製物は、例えば宿主細胞ゲノムDNA、及び/又は宿主細胞タンパク質等の不純物及び汚染物質の存在について評価され得る。ウイルス調製物の純度は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)、様々な波長での光学密度、タンパク質ゲル電気泳動(SDS-PAGE等)、ウエスタンブロット法、ELISA、PCR及び/又はqPCR等の当該技術分野で知られている任意の方法を使用して評価され得る。
【0035】
幾つかの実施形態では、ウイルス調製物は、残留する不純物又は汚染物質について評価される。幾つかの実施形態では、残留する不純物又は汚染物質の量は、例えばウイルス採取直後等、精製プロセスの初期段階での不純物又は汚染物質の量と比較される。幾つかの実施形態では、最終ウイルス調製物中の不純物の相対的減少は、精製プロセスの初期段階での不純物の存在と比較して60%~95%である。幾つかの実施形態では、最終的なウイルス調製物中の不純物の相対的な減少は、およそ60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、又は95%である。幾つかの実施形態では、最終ウイルス調製物は、5%未満の不純物又は汚染物質を含む。幾つかの実施形態では、最終ウイルス調製物は、5%、4%、3%、2%、1%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%未満、又は0.1%未満の不純物を含む。好ましい実施形態では、最終ウイルス調製物は、1%未満の不純物を含む。
【0036】
本明細書に記載されるいずれかの方法は、被験体への投与のため精製されたウイルスを含む組成物の製造において使用され得る。幾つかの実施形態では、被験体は、家畜、ペット又は愛玩動物を含むヒト又は非ヒト動物等の哺乳動物の被験体である。幾つかの実施形態では、上記組成物は、ウイルス又はウイルス調製物に類似するウイルスに対する免疫化を必要とする被験体に投与される。幾つかの実施形態では、本明細書に記載される方法を使用して精製されたウイルス調製物又はウイルスを含む組成物は、ウイルス又はウイルス調製物に類似するウイルスによる感染を治療又は予防するものである。好ましい実施形態では、本明細書に記載される方法を使用して精製されたウイルスを含むウイルス調製物又は組成物は、チクングニアウイルス感染、特に西アフリカ、東/中央/南アフリカ(ECSA)及び/又はアジアのチクングニアウイルスの遺伝子型によって引き起こされるチクングニアウイルス感染を治療又は予防するものである。
【0037】
本明細書に記載の方法を使用して精製されたCHIKV-Δ5nsP3医薬組成物又はCHIKV-Δ5nsP3ウイルスは、当技術分野で知られている任意の経路によって被験体に投与され得る。幾つかの実施形態では、上記調製物又は組成物は、非経口又は経口等の従来の経路を介して投与され得る。本明細書で使用される場合、「非経口」投与には、皮下、皮内(intracutaneous)、皮内(intradermal)、静脈内、筋肉内、関節内、腹腔内、くも膜下腔内又は注入によるものが含まれるが、これらに限定されない。
【0038】
本明細書で特に定義されない限り、本開示に関連して使用される科学用語及び技術用語は、当業者によって一般に理解される意味を有するものとする。さらに、文脈で特に必要とされない限り、単数形の用語は複数形を含み、複数形の用語は単数形を含むものとする。本開示の方法及び技術は、一般に、当該分野で周知の従来の方法に従って実施される。概して本明細書に記載される生化学、酵素学、分子生物学及び細胞生物学、微生物学、ウイルス学、細胞又は組織培養、遺伝学、並びにタンパク質及び核酸化学に関連して使用される命名法及び技術は、当技術分野で周知であり、一般的に使用されるものである。本開示の方法及び技術は、概して当技術分野で周知の従来の方法に従って実施され、特に明記しない限り、本明細書を通じて引用及び検討される様々な一般的及びより具体的な参考文献に記載される。
【表1】
【0039】
実施例
実施例1.CHIKV-Δ5nsP3原薬(DS)生産の初期試験
合成CHIKV-Δ5nsP3ゲノムのアセンブリ
CHIKV-Δ5nsP3ウイルスゲノムを、MWG Eurofins(ドイツ)において5つのフラグメントで合成し、標準的なクローニングベクターであるpMAプラスミド(アンピシリン耐性をもつpMXベクター)でフルアセンブリした。pMXベクター骨格を図1に示す。全てのクローニング及びプラスミド調製の手順は、エレクトロコンピテントNEB10βE.coli細胞を使用してTSE不含条件下で行われた。pMAにおけるCHIKV-Δ5nsP3ゲノムのフルアセンブリに使用されるクローニング戦略の概要を図3Bに示す。簡潔には、nsP1とnsP2の一部を包含するフラグメント1を含むpMAプラスミド(図3Aに示す)をEcoRI/PacI制限消化により線形化し、nsP2及びnsP3の一部を包含するフラグメント2をフラグメント1に融合した。並行して、フラグメント3(nsP4及びCを包含する)をClaI/PacIクローニングを介してフラグメント4(C及びE2を包含する)に融合した。3回目のクローニング工程では、フラグメント3及びフラグメント4をAgeI/XhoIを介して、フラグメント5をXhoI/PacIを介して、既にフラグメント1及びフラグメント2を含むAgeI/PacI-線形化pMAにクローニングした。クローニングは、配列決定によって検証されたように、CHIKV-Δ5nsP3をコードするpMA_CHIKV-Δ5nsP3ベクターをもたらした。
【0040】
ベロ細胞からのCHIKV-Δ5nsP3レスキュー(「ウイルスレスキュー」)
ベロ細胞上で改変されたpMA_CHIKV-Δ5nsP3ベクターからCHIKV-Δ5nsP3ウイルス粒子を生産するため(ウイルスレスキュー)、pMA_CHIKV-Δ5nsP3プラスミドをNotI制限消化により線形化し、AmbionのmMessage mMachine SP6 Kit(AM130)を使用してin vitro転写に供した。RNAの完全性をゲル電気泳動で確認した(表示せず)。並行して、ウイルスRNAを用いるエレクトロポレーション用にベロ細胞を調製した。簡潔には、ベロ細胞を、TrypLESelect(Gibco)を使用して細胞培養フラスコから剥離させ、PBSで2回洗浄した。全ての遠心分離工程を、室温にて300gで行った。ウイルスRNAを800μlPBS中8×10個のベロ細胞と混合し、ベロ細胞/RNA混合物を0.4cmエレクトロポレーションキュベットに移した。850V、25μF、200オームで2回のパルスを行った。エレクトロポレーション後、ベロ細胞を室温で10分間保持し、最終的にMEM/5%FCS/1%抗生物質-抗真菌薬(Anti-Anti)/2mM L-グルタミンに再懸濁し、T75フラスコで35℃/5%COで48時間インキュベートした。レスキューされたCHIKV-Δ5nsP3(0継代目;P0)を含む細胞培養上清を採取し、4℃で10分間、3000gで遠心分離した。ウイルス力価を、ベロ細胞に対するプラークアッセイ及びTCID50アッセイにより決定した。レスキューされたCHIKV-Δ5nsP3(P0)を-80℃で保存した。このようにして得られたCHIKV-Δ5nsP3ウイルスワクチン候補のゲノム構造は、VLA1553とも称され、図2に示される。
【0041】
CHIKV-Δ5nsP3配列の検証
ウイルスゲノム配列を検証するため、QIAamp MinElute Virus Spinキット(QIAGEN#57704)を使用して採取した細胞培養上清からウイルス核酸を抽出し、ランダムヘキサマーを使用するSuperScript III First-Strand Synthesis System(Life Technologies、カタログ番号18080-051)を使用してcDNA合成を行った。Phusion High Fidelity PolymeraseによるPCRは、CHIKV-Δ5nsP3ゲノムの重複領域を増幅するプライマーを用いて行われ、PCR産物をドイツのMWG Eurofinsでサンガーシーケンシングに供した。PCR及び配列決定に使用されるプライマー対の配列を表1に示す。
【表2】
【0042】
ベロ細胞でのCHIKV-Δ5nsP3の継代
CHIKV-Δ5nsP3のレスキューに続いて、ベロ細胞に感染させ、ウイルスを3つの複製物で繰り返し継代した(表2を参照されたい)。継代のため、T150フラスコに播種し、コンフルエントになるまで(1日間~3日間)増殖させたベロ細胞を1×DPBSで2回洗浄してから、20mLの感染培地(血清不含EMEM)を添加した。接種物を指示された量でフラスコに直接加え、細胞を35℃、5%COで24時間インキュベートした。ウイルスレスキュー(P0)から1回目の継代のため、3つの複製物(A、B、及びC)において、0.01のMOIのベロ細胞で感染させ、継代を行った。20mLの採取物を感染後(p.i.)24時間で50mL PPチューブに移し、細胞片を遠心分離(3000g、10分)で除去し、上清を新たな50mL PPチューブに移した。49%(w/w)スクロース溶液を10%(w/w)の最終濃度まで添加し、安定化した収集物の1mLアリコートを-70℃以下で保存した。
【0043】
その後の感染を、スクロースを含まない採取物により行った。以前の継代及び並列する複製物で観察された細胞変性効果に基づいて大まかに計算された様々な容量の採取物を使用して感染を行った。感染に使用した採取物の容量は5μL~1mLで変動した。感染から24時間後に1回の採取を行った。2継代目~16継代目の生産に使用されるMOIは、TCID50の結果が利用可能になった後に遡及的に決定され、実験を通して幅広い(「制御されていない」)範囲のMOIが得られることに留意されたい(表2を参照されたい)。CHIKV-Δ5nsP3のベロ細胞継代への適応中に様々なパラメーターを体系的に観察できるように、3つの並列する複製物(複製物A、B、及びC)において最大16継代目までこの手順を行った。この実験中に、収量(TCID50/mL)、感染量、フラスコ当たりのベロ細胞数、ベロ細胞継代数及び細胞変性効果(CPE)を記録した。感染多重度(MOI)を測定されたTCID50に基づいて遡及的に決定し、また記録した。CHIKV-Δ5nsP3継代物を、3つ全ての複製物においてプラークサイズについて同時に評価した。
【表3】
【0044】
「制御されていない」MOI条件下での連続継代中に観察された傾向
ベロ細胞の継代へのCHIKV-Δ5nsP3の適応中、表2に示すように、ベロ細胞での継代数の増加に伴い、CHIKV-Δ5nsP3ウイルスの総収量が大幅に増加することが観察された。図4Aに示すように、6継代目以上の継代では、ウイルスレスキュー(P0)及び初期継代と比較して力価がおよそ100倍増加した。また、CHIKV-Δ5nsP3プラークサイズの同時減少も観察された(図4B)。野生型チクングニアウイルスのin vitro継代が他の細胞株のプラークサイズに及ぼす影響は、以前、Gardner CL,et al.(上記Gardner CL,et al.,2014)に記載されている。不活化ウイルスの工業生産には、高いウイルス収量が非常に望ましいであろうが、図4Cに示すように、CHIKV-Δ5nsP3は継代が増えると共に免疫原性が低下することも本明細書で観察された。簡潔には、上記の表2で生成されたCHIKV-Δ5nsP3の異なる継代物の免疫原性を決定するため、5匹のC57Bl/6マウスの群を10 TCID50の用量のCHIKV-Δ5nsP3の5代継代物(P5B)、8代継代物(P8B)又はP15(P15C)を用いて皮下に1回免疫を行った。10 TCID50のP0(ウイルスレスキュー)のCHIKV-Δ5nsP3を陽性対照として使用した。21日目の血清プールは、ベロ細胞でのPRNTアッセイでCHIKV-Δ5nsP3(P0)を中和する能力について、1:20~1:327680の範囲の4倍連続血清希釈液を試験することにより評価した。図4Cに示すように、P5BCHIKV-Δ5nsP3のマウスにおける免疫原性は、継代していないCHIKV-Δ5nsP3(P0)と比較してわずかにシフトした免疫原性を示したが、P8BウイルスはP15Cウイルスに匹敵する免疫原性の大幅な低下を示した。(P15Cウイルスは非免疫原性であったため、その後のPRNTアッセイでは陰性対照としての役割を果たした。)
【0045】
最後に、CHIKV-Δ5nsP3の選択された継代物の遺伝的安定性をサンガーシーケンシングで試験した。ベロ細胞でCHIKV-Δ5nsP3を最大16回継代すると、ウイルスの弱毒化に関与するnsP3遺伝子の60個のアミノ酸の欠失が遺伝的に安定していることが確認され、弱毒化生ワクチンの安全性に関する重要な検討事項である、ウイルスが野生型に戻らないことが示された。
【0046】
制御されたMOI条件下での連続継代中に観察される傾向
高MOI(例えば、0.1超)の使用は、開始材料が多すぎるため、工業規模のプロセスには役に立たない。このため、3つの継代物に対してより低いMOI(0.01)の使用を試験し、得られた継代物の免疫原性を判断した。図5Aに示すように、表2の複製物Bからの3つの継代物を、MOIが0.01~2.23の範囲の非制御条件下で継代した。このようにして得られた3代継代物(P3B)から、各継代物に0.01のMOIを使用してP6まで更に継代し、図5Aに「MOI 0.01の制御条件」として示す。0.01のMOIを使用した条件下では、図5Bに示すように、得られたウイルスの免疫原性は非常に急速に失われた。5継代目までに、CHIKV-Δ5nsP3は非免疫原性となった。この結果は、はるかに高いMOIでもたらされ(表2、複製物Bを参照されたい)、依然として免疫原性であった図4CのP5Bで見られた結果とは対照的であった。この観察結果は、MOIが低いほど、CHIKV-Δ5nsP3の免疫原性に影響する突然変異に関するベロ細胞継代中のより迅速な選択に結び付くことを示しているようである。
【0047】
実施例2.免疫原性に影響を与えるCHIKV-Δ5nsP3の配列不均一性の定義
CHIKV-Δ5nsP3のより高い代での免疫原性の減少/喪失(中和抗体力価)及びプラークサイズの減少が観察されたことから、異なる継代数でのウイルス集団内の可能性のある配列不均一性を分析することは興味深いものであった。さらに、ウイルス集団の個々のプラークの配列を分析することは興味深いものであった。継代されていないCHIKV-Δ5nsP3(P0)は、サンガーシーケンシングに基づく配列不均一性を示さなかった。一般に、継代数の増加に伴い、3つの全ての複製物について配列不均一性の増加が観察された(複製物A、B、及びC、表3)。8継代目(P8C)で複製物Cを継代した場合、ウイルス集団は依然として不均一であったが(表3に示す配列不均一性)、P15C継代物では、定義された点突然変異(で示される)を持つより均質なウイルス集団が示された。図4C(上記の実施例1)に示す免疫原性データは、P5B及びP8Bに注目しており、以下の表3に示すように、CHIKV-Δ5nsP3非構造タンパク質(nsP)及びエンベロープタンパク質E2の配列の不均一性を示した。
【表4】
【0048】
単一のCHIKV-Δ5nsP3プラークの増殖及び配列決定
免疫原性に対する個々の突然変異の効果を理解し、その結果として高度に免疫原性であるCHIKV-Δ5nsP3ワクチンの制御された再現可能な生産プロセスを開発するため、CHIKV-Δ5nsP3分離株P5B及びP8Bの個々のプラークを選択した。簡潔には、P5B及びP8BのCHIKV-Δ5nsP3の連続希釈液をプラークアッセイでベロ細胞の感染に使用し(図4に記載される)、72時間インキュベートした後、種々の形態の単一プラークを選択し(ベロ細胞を数回継代した後に出現し始めたため、小さなプラークを優先的に選択し)、6ウェルプレートでベロ細胞(5×10)の再感染により増殖させた。単一のプラークに由来する異なるCHIKV-Δ5nsP3サンプルを、ベロ細胞でもう一度増殖する前に、E2遺伝子配列の突然変異に基づいて選択した。P5B-02、P5B-03、P5B-04、P5B-07、P5B-11、P8B-01及びP8B-05のクローンを、in vivo免疫原性実験のため増殖して精製した。各分離株にCellBIND表面を備えた単一の850cmローラーボトルを使用し、ローラーボトルで増殖させたベロ細胞において、個々のプラークを増殖した。コンフルエントに達すると、細胞を100mL D-PBS+Ca+Mgで2回洗浄してから、MOI 0.01の接種物を含む100mL感染培地(血清不含EMEM)を加え、細胞を35℃、5%COで24時間インキュベートした。100mLの採取物を感染後(p.i.)24時間で50mL PPチューブに移し、細胞片を遠心分離によって除去し、続いてSteriflip(登録商標)真空濾過装置(Merck)を使用して0.2μmの濾過を行った。個々の清澄化されたウイルス採取物は、最初にAmicon(登録商標)Centrifugal Filter装置を使用して濃縮され、TBSバッファーでダイアフィルトレーションされ、硫酸プロタミン及びCapto(商標)Core700処理によって精製された。そして、精製されたCHIKV-Δ5nsP3クローンを、その後の研究に使用した。
【0049】
増殖させたCHIKV-Δ5nsP3サンプル、P5B+1及びP8B+1の全ゲノム配列;すなわち、単一プラーク、それぞれP5B及びP8Bから得られた上記のP5B-02、P5B-03、P5B-04、P5B-07、P5B-11、P8B-01、及びP8B-05の全ゲノム配列をサンガーシーケンシングによって評価した。観察された個々のプラークの点突然変異を表4に要約し、概略ゲノム配列を図6B及び図6Dに示す。
【0050】
CHIKV-Δ5nsP3の免疫原性に対する特定の点突然変異の影響を評価するために、個々のプラーク由来のウイルスで免疫されたマウスから19日目のマウス血清を生成し、PRNTで分析した。簡潔には、意図した10のTCID50用量のCHIKV-Δ5nsP3の単回用量をC57Bl/6マウス(治療群当たり10匹)に皮下投与し、19日目の血清のプールを、1:20~1:327680の範囲の4倍連続希釈液で、ウイルス中和能力についてPRNTアッセイで分析した。PRNTで中和されたウイルスは、2継代目のCHIKV-Δ5nsP3(P2、560 pfu/ml)に対応し、配列不均一性を示さなかったことから、継代されていないCHIKV-Δ5nsP3(P0)と同一であった。中和ミックス(560pfu/mlCHIKV-Δ5nsP3P2及び連続血清希釈液)を室温で1時間インキュベートし、ベロ細胞に加えてから2時間インキュベートした。最後に、メチルセルロースオーバーレイ(0.8%)を追加し、続いて72時間インキュベートした。プラークの読み取りを、クリスタルバイオレット染色(5%ホルムアルデヒド中の0.5%クリスタルバイオレット)後に行った。
【表5】
【0051】
図6Aからわかるように、CHIKV-Δ5nsP3のP5B-11及びP5B-03の免疫原性は、いずれもE2タンパク質にそれぞれE247K及びH232Yの単一の点突然変異があり(図6B)、P0のCHIKV-Δ5nsP3の免疫原性と比較すると影響を受けない。P0血清の中和能力は、2つの独立したマウス実験(4415;P0#2及び4399;P0#1)により示され、免疫原性の許容範囲を表す。一方、nsP2及びE2においてそれぞれG577W、G55R、及びH232Yの3つの点突然変異を特徴とするP8B-05は、マウスでは非免疫原性である。G55R突然変異は、in vitroでCHIKVを継代した結果として、Gardner CL,et al.によって既に文献に記載されている。ウイルス粒子は、in vivoでの弱毒化につながる、in vitroでのヘパラン硫酸結合への依存性の増加により影響を受ける(Gardner CL,et al.,2014、上記)。
【0052】
図6Cからわかるように、単一のプラーク(P5B-02)に由来する4つのCHIKV-Δ5nsP3サンプルの1つだけがまだ免疫原性であり、それぞれnsP1及びE2の2つの点突然変異であるA38S及びE168Kを特徴とした(図6D)。また、nsP3中のR470S、並びにE2タンパク質中のH99Y及びE168Kの3つの点突然変異を有するP8B-01は、マウスで非免疫原性であり、陰性対照のP15Cと同等であった。P5B-04及びP5B-07はそれぞれE2に単一の点突然変異を有し、すなわちグルタミン酸168はリジン(E168K)に変異しており、CHIKV-Δ5nsP3中和能力が失われたため、免疫原性に直接影響することも示された。
【0053】
要約すると、ベロ細胞の継代中に生じる突然変異の多くがE2タンパク質にあることが観察された。E2タンパク質及び/又はゲノムの他の部分で同定された点突然変異の幾つか、特にH232Y[E2]及びE247K[E2]の突然変異は、ウイルスの免疫原性に実質的に影響しなかった。しかしながら、CHIKV-Δ5nsP3で同定されたその他の突然変異の幾つか、特に、頻繁に発生するE168K[E2]突然変異は、単独であるか他の突然変異と組み合わされているかにかかわらず、免疫原性の喪失をもたらした。興味深い例外は、E168K[E2]とA38S[nsP1]の両方の突然変異を持つ突然変異体であり、これは免疫原性を維持していた。この所見は、A38S[nsP1]突然変異がE168K[E2]突然変異によってもたらされる免疫原性の低下に緩和効果があることを示唆している。さらに、G55R/H232Y[E2]及びG577W[nsP2]の突然変異を持つ分離株も、おそらくH232Y変異だけではほとんど効果がなかったため、主にE2のG55R変異が原因で免疫原性に乏しいことを実証した(P5B-03を参照されたい)。
【0054】
チクングニアウイルスE2タンパク質のE168K及びG55Rの突然変異は、正の表面電荷の増加をもたらし、ヘパラン硫酸及び/又は他のグリコサミノグリカン(GAG)との相互作用を増加させ、最終的には特異的な感染性を高めると以前に説明された。野生型CHIKVのバックグラウンドでは、ヘパラン硫酸への結合によって媒介されるプレート上の広がりが小さいため、突然変異によりプラークサイズが小さくなることが示された。さらに、その突然変異が筋骨格系疾患(MSD)のマウスモデルにおけるCHIKVの弱毒化をもたらし、マウスにおいて臓器への拡散が減少してウイルス血症のレベルが低下した(上記Gardner CL,et al.,2014;Silva LA,et al.,A single-amino-acid polymorphism in Chikungunya virus E2 glycoprotein influences glycosaminoglycan utilization(2014)J Virol.;88(5):2385-97)。その他の点で、野生型CHIKVにおけるE168K及びG55Rの突然変異の存在が中間の弱毒化をもたらしたという事実は、in vivoでのプラークサイズの減少又は免疫原性の減少に関する本開示と一致する。しかしながら、弱毒化されたCHIKV-Δ5nsP3のバックグラウンドにある上記2つの突然変異が、本明細書で報告されるマウスにおける免疫原性の喪失をもたらすことは予想外であった。
【0055】
また、シンドビスウイルス(SINV;Klimstra WB,et al.,Infection of neonatal mice with Sindbis virus results in a systemic inflammatory response syndrome(1999)J.Virol.;73(12):10387-98;Klimstra WB,et al.,The furin protease cleavage recognition sequence of Sindbis virus PE2 can mediate virion attachment to cell surface heparan sulfate(1999)J.Virol.;73(8):6299-306;Byrnes and Griffin,Binding of Sindbis virus to cell surface heparan sulfate(1998)J.Virol.;72(9):7349-56)、ロスリバーウイルス(RRV;Heil ML,et al.,An amino acid substitution in the coding region of the E2 glycoprotein adapts Ross River virus to utilize heparan sulfate as an attachment moiety(2001)J.Virol.;75(14):6303-9)、及びセムリキ森林ウイルス(SFV;Smit JM,et al.,Adaptation of alphaviruses to heparan sulfate:interaction of Sindbis and Semliki forest viruses with liposomes containing lipid-conjugated heparin (2002)J.Virol.;76(20):10128-37)等の他の細胞培養継代アルファウイルスの一般的な現象として、E2の正に帯電した残基の置換が、in vitroでヘパラン硫酸依存性の感染力を高めること、及びこれらの突然変異を数回のin vitro継代で選択できることが報告されている。さらに、かかる突然変異はin vivoでウイルスの弱毒化につながることが示された(Byrnes AP and DE Griffin,Large-plaque mutants of Sindbis virus show reduced binding to heparan sulfate,heightened viremia,and slower clearance from the circulation(2000)J.Virol.;74(2):644-51;上記Klimstra WB,et al.1999)。
【0056】
CHIKV-Δ5nsP3のP5及びP8の継代物において、免疫原性の低下を伴う配列不均一性が既に明らかであったため、初期の継代での配列不均一性と並んで、免疫原性への影響を以下で概説するようにより詳細に調べた。
【0057】
実施例3.P3継代物でのCHIKV-Δ5nsP3の配列不均一性及び免疫原性の定義
抗体力価を中和することによって測定されるCHIKV-Δ5nsP3の免疫原性に悪影響を与える配列不均一性の後期継代での発生は、高い免疫原性と有効なワクチンの生産に十分なウイルス力価の両方を特徴とする最適な継代の発見を保証した。
【0058】
MVSB(P1)、WVSB(P2)及びCHIKV-Δ5nsP3原薬(「VLA1553」)(P3)生産中のCHIKV-Δ5nsP3の遺伝的安定性を判断するために、独立して生成された継代物1、2、及び3を配列決定した。サンガーシーケンシングによって決定されたP0(ウイルスレスキュー)、P1(MVSB)及びP2(WVSB)は、明らかな配列不均一性を示さなかった。次の工程は、P2(WVSB)を感染に使用して、P3由来の精製原薬(DS)の遺伝的安定性の再現性を実証することであった。感染用(MOI 0.01)に、P2(WVSB)を使用して2つのT150 Tフラスコにおいて、1日目及び2日目の採取物を合わせて構成される合計で4つの独立したP3採取物を作製した。各複製物について、1日目及び2日目の個々の採取物をプールし(総量約50mL)、およそ10倍に濃縮した(Amicon 100kDa限外ろ過装置)。25mM Tris/150mM NaCl、pH 7.4に対してダイアフィルトレーションを行い、続いて硫酸プロタミン処理(最終濃度2mg/mL)で宿主細胞DNAを沈殿させた。次いで、透明な上清をCaptoCore 700樹脂(Tris/NaClバッファーに50%スラリーを約1mL添加)を使用したバッチ吸着クロマトグラフィーで更に精製した。樹脂を遠心分離によって除去し、スクロースを10%の最終濃度まで加えて、CHIKV-Δ5nsP3の凍結及び解凍を可能にした。その後、最終製剤を0.2μm滅菌濾過し、更に処理するまで凍結保存(-65℃未満)した。
【0059】
3継代目(P3)では、自動塩基呼び出しによる不均一性は検出されなかった(Eurofins-いずれも20%未満)。しかしながら、目視検査により、ウイルス集団のごく一部が、CHIKV糖タンパク質E2の遺伝子におけるE168K及びE247Kの配列不均一性の一貫した増加を示し、これは、レスキューされたCHIKV-Δ5nsP3(P0)並びに、MVSB及びWVSBサンプルにはなかった。図7は、0継代目(P0)のウイルスと比較した、独立して生成された4つのP3 DSサンプル(実施例1~実施例4)のシーケンシングクロマトグラムを示す。四角で示すように、アミノ酸168(ゲノム核酸8882位)のコドンでのG/A不均一性は、4つ全ての複製物で検出可能であり、リバースシーケンシング反応で検証されて、同じ不均一性を明らかにした。P0サンプルの同じ位置は、フォワードシーケンス反応でG(及びリバースシーケンシング反応でC)の鋭いピークを示した。一方、E247Kの不均一性(ゲノム核酸位置9119)は存在していたものの、シーケンシングクロマトグラムではほとんど検出できなかった。
【0060】
さらに、ウイルス集団内のE168K及びE247Kの量を定量するため、P3の次世代シーケンシングを行い、1継代目(P1-MVSB)のシーケンシングと比較した。図8からわかるように、P1-MVSBの段階では、非常に低いレベルの配列不均一性しか検出できなかった(いずれもバックグラウンド未満;点線で示される15%カットオフ)。しかしながら、2つの代表的なP3サンプルは、配列不均一性の全体的な増加を示し、E2遺伝子の2つの突然変異がバックグラウンドに到達したか、又はそれよりも上昇した(ウイルス集団の18%及び15%においてE168K-ゲノム核酸8882位、及びより低い程度のE247K-ゲノム核酸9119位)。
【0061】
要約すると、CHIKV-Δ5nsP3のE2タンパク質におけるE168K突然変異の存在は、独立して生成された8つのP3サンプルのサンガーシーケンシング及びNGSによって同定され、この結果の再現性を実証した。代表的なシーケンスの例を図7及び図8に示す。これらのデータは、CH5V-Δ5nsP3ウイルスのE2タンパク質におけるE168K突然変異の出現が、ベロ細胞での継代時に非常に再現性があり、P5Bプラーク由来のウイルス(図6のP5B-04及びP5B-07)が非免疫原性であった実施例2に示されるように、弱毒化CHIKV-Δ5nsP3ウイルスの免疫原性を減弱させたことを実証する。E168Kのようにベロ細胞でCHIKV-Δ5nsP3の継代中に観察された2つの追加の突然変異、G55R及びG82Rは、CHIKVの毒性に影響を与えることが報告されており(上記Gardner CL,et al.,2014、及びSilva LA,et al.,2014,supra and Gorchakov R,et al.,Attenuation of Chikungunya virus vaccine strain 181/clone 25 is determined by two amino acid substitutions in the E2 envelope glycoprotein(2012)J.Virol.;86(11):6084-96;Epub 2012/03/30)、ウイルスの弱毒化に結び付く。これらの2つの突然変異はCHIKV-Δ5nsP3の免疫原性にもマイナスの影響を与えるため、高度に免疫原性であるCHIKV-Δ5nsP3ワクチン候補の生産では、それらの出現を回避する必要がある。
【0062】
E1/E2二量体内で突然変異を起こしやすいアミノ酸の位置を図9に示す。3つのE2アミノ酸G55、G82、及びE168はいずれも表面でアクセス可能であるため、それらのアミノ酸の突然変異はCHIKVとその細胞受容体との相互作用に影響を与える可能性がある。対照的に、E247[E2]はタンパク質構造内により埋もれているため、表面が同程度に露出していない可能性がある。E247の位置は、上に示されるように、E247K突然変異がCHIKV-Δ5nsP3の免疫原性に顕著な影響を与えなかった理由の1つである可能性がある。
【0063】
実施例4.異種CHIKV-Δ5nsP3ウイルス集団の免疫原性の喪失に対するE168K突然変異の閾値の決定
上記の観察は、ベロ細胞でのCHIKV-Δ5nsP3の継代中にE168K[E2]突然変異が早期に頻繁に出現し、免疫原性の喪失にと関連することを示した。効果的な免疫原性弱毒化生チクングニアウイルスワクチンの信頼性の高い製造プロセスを開発するため、CHIKV-Δ5nsP3ワクチンのサンプルにおけるこの突然変異の認容性を、種々の比のP3原薬とウイルスP5B-07を調製することによって試験した(E168K単一突然変異体、表3を参照されたい)。
【0064】
約20%のE168K不均一性を示す3継代目(P3)の原薬(データは示していない)を、P5B-07分離株(E168K突然変異体)からのCHIKV-Δ5nsP3の調製物と1:0.1、1:1、及び1:10の比で混合した。混合物を、各ウイルス調製物におけるE168K突然変異のおおよその頻度を確認するために配列決定した。図10に示すように(不均一性と表示される行を参照されたい)、野生型ヌクレオチドGと比較したヌクレオチドAの相対量は、P5B-07分離株の添加レベルの増加と共に増えることが示された(E168K対照群7で最大100%のA)。
【0065】
免疫原性に対するE168K突然変異の効果を判断するため、図10に明示される種々のCHIKV-Δ5nsP3サンプルを用いて、3×10 TCID50の予定された用量で(実際の用量を図11Dに示す)C57Bl/6マウスを皮下免疫した。21日目にマウス血清を収集し、1:0.1、1:1及び1:10の群から個々の血清を試験し、ウイルスレプリコン粒子(VRP)に基づく中和アッセイを使用して、2つの対照群、P3(群6)及びP5B-07(E168K、群7)からプールされた血清と比較した(図11)。VRPは、LR2006-OPY1ウイルスのカプシドタンパク質及びエンベロープタンパク質を提示する複製欠損野生型CHIKVに類似している。該方法は、Glasker S,et al.(Virus replicon particle based Chikungunya virus neutralization assay using Gaussia luciferase as readout(2013)Virol.J.;10:235)によって記載される通り、必須に行われた。VRPを、BHK-21細胞を、ガウシアルシフェラーゼ(GLuc)を発現するCHIKVレプリコン、並びに野生型CHIKVカプシドタンパク質及び残りの構造タンパク質(E3、E2、6K及びE1)をそれぞれ発現する2つのヘルパーRNAで同時トランスフェクトすることにより作製した。得られた単一の円形感染性粒子を、分泌されたGLucを読み出しとして使用するCHIKV中和アッセイで使用した。ルシフェラーゼアッセイでVRPを中和すると、BHK-21細胞によるGLuc発現の減少を測定することができる。中和免疫を誘発する能力は、E168K突然変異体の量が多いほど低下することが観察された(それぞれ図11A図11B図11C)。チクングニアウイルスに対して陽性、低陽性又は陰性の免疫応答を示す個々のマウスの数をそれぞれ図11Dに示す。
【0066】
この知見は、ウイルス集団中の野生型ウイルス粒子に対するE168K変異体の比が増加すると、マウスにおけるCHIKV-Δ5nsP3の免疫原性が減弱されことを確認する。したがって、CHIKV-Δ5nsP3ワクチンの高い免疫原性を確保するために、E2においてE168位を注意深くモニターすることが重要である。以前の継代プロセス及び8継代目でのウイルス集団内のE168Kの定量に基づいて、PRNTでマウス血清プールを分析した場合、CHIKV-Δ5nsP3集団内においてE168K突然変異の約70%の割合で免疫原性が失われることが観察された。
【0067】
実施例5.CHIKV-Δ5nsP3においてE168K突然変異を減少させる上流プロセス
この実施例の目的は、ローラーボトルでCHIKV-Δ5nsP3を生産するための最適化されたベロ細胞培養に基づくプロセスを特性評価することであった。E2タンパク質のウイルス生産性及び配列不均一性に対する幾つかの上流プロセスパラメーター(MOI、播種後のベロ細胞感染の日、及びインキュベーション温度)の影響を、原薬(DS;3継代目、すなわち、「P3 CHIKV-Δ5nsP3」とも称される)を製造するため、GMPワーキングウイルスシードバンク(GMP WVSB B3005044;2継代目、本明細書では「P2 CHIKV-Δ5nsP3」とも称される)及びR&D VEROワーキング細胞バンクを使用して試験した。
【0068】
GMP WVSB B3005044の調製
特性評価されたプレマスターウイルスシードバンク(PMVSB、ベロ細胞からのウイルスレスキューに由来するプレマスターウイルスシードバンクAFR886/197579)をR&D条件下で確立し、プレマスターウイルスシードバンクを使用してGMP条件下でCHIKV-Δ5nsP3のマスタースシードバンクを生成した。GMPワーキングウイルスシードバンク、VLA78-1553-WVSB-2016、バッチB3005044を、VLA78-1553-MVSB-2016、バッチ番号B3005567について記載されるのと同じ作製方法及びGMP条件でHalix B.V.において作製した。簡潔には、VEROワーキングシードバンク(内部の名称:ICB 2014/002)を、図12に示すように、T75cmフラスコ(1×)、T175cmフラスコ(3×)、最終段階の6×850cmのローラーボトルを使用して、シード列で4段階に増殖させた。6個のローラーボトルのうち4個をCHIKV-Δ5nsP3シードバンクの作製に使用した。4個のローラーボトル内の細胞の合計量を決定した。プレマスターウイルスシードバンク使用してCHIKV-Δ5nsP3マスターウイルスシードバンクを生成した。その後、CHIKV-Δ5nsP3マスターウイルスシードバンクを使用して、CHIKV-Δ5nsP3ワーキングウイルスシードバンクを生成した。感染は全ての段階において0.01のMOIで行われた。24時間の感染(35℃;5%CO;0.5RPM)後、CHIKV-Δ5nsP3を採取した。Tris及びスクロースの原液を、採取プール中5%スクロース及び25mM Trisの最終濃度まで加えた。調合後、プールを、蠕動ポンプを使用して、蒸気滅菌した0.22μmフィルターで濾過し、滅菌した500mLバイオプロセス容器に入れた。バイアルの充填を、蠕動充填ポンプを使用して、調合され濾過された0.7mLの採取物を用いて1つずつ行った。ThermoFisherキャッパー/デキャッパー装置を使用して、2 D Matrix クライオバイアルを開閉した。GMPシードバンクの充填バイアルを-65℃未満で保存した。
【0069】
ベロ細胞の培養
ベロ細胞の培養を、35℃、5%CO、T75cm(T75)、T175cm(T175)T-フラスコ、及び850cmローラーボトル(850RB)で行った。種々の実験で使用されたベロ細胞は、GMPマスター細胞バンクMCB ICB/2014/001に由来した。この研究ワーキング細胞バンクの内部の名称はBk5685である。GMPマスター細胞バンクは、Institut Merieux(Aventis Pasteur)P129バンクに起源を持ち、最終的には元のATCC CCL 81 P113バンクに由来するWHOベロ細胞バンク10-87 P134に由来した。細胞培養列に関する更なる詳細を図12に示す。細胞を、10%FBS及び2mM L-グルタミンで補足したMEM培地で維持した。
【0070】
850cmローラーボトルでのウイルス生産
35℃、850RBでの2日間、4日間、又は5日間の細胞増殖の後、細胞をPBSで洗浄し、0.1、0.01、又は0.001 TCID50/細胞のMOIでCHIKV-Δ5nsP3(WVSB B3005044)に感染させた。ウイルス生産のため、感染細胞を2mMグルタミンで補足したMEM培地100mLにおいて37℃、35℃、又は28℃でインキュベートした。
【0071】
ウイルス滴定
TCID50アッセイを使用して、ベロ細胞でウイルス力価を特定した。細胞をマイクロプレートに播種し、0.5%FBS及び2mMグルタミンを補足したEMEM中の10倍連続希釈ウイルスサンプルで感染させた。35℃/5%COでの1週間のインキュベーション後、ウイルス誘導性細胞変性効果をモニターし、Reed and Muench法(Reed,L.J.;Muench,H.A simple method of estimating fifty percent endpoints(1938)The American Journal of Hygiene 27:493-497)に従ってウイルス力価を計算した。
【0072】
ウイルスゲノムの抽出及び配列決定
ウイルス核酸を、QIAamp MinElute Virus Spin Kit(Qiagen)を使用して指定の時点でベロ細胞培養上清から抽出及び精製し、ランダムヘキサマーを使用するSuperScript III First-Strand Synthesis System(ThermoFischer)を用いてcDNA合成を行った。E2遺伝子領域の配列決定では、まず、プライマー16F、16R、17F、17R、18F及び18R(プライマー配列については表1を参照されたい)用いてCHIKV E2遺伝子の重複領域を増幅するPhusion High Fidelity Polymerase(ThermoFischer)を使用するPCRを行った。PCRアンプリコンの精製後、ドイツのMWG Eurofinsでサンガーシーケンシングを実施した。自動塩基呼び出し(20%超)により検出された配列不均一性の分析に加えて、全てのシーケンシングクロマトグラムを手作業で読み取り、検出限界を下回る(20%未満)不均一性も検出した。
【0073】
免疫原性P3CHIKV-Δ5nsP3原薬の生産プロセスの最適化
ベロ細胞で3継代目CHIKV-Δ5nsP3を生産するプロセスを最適化するため、表5に示すように、種々のMOI、播種後のベロ細胞感染時間、及びインキュベーション温度を全ての組み合わせで試験した。さらに、感染後の異なる日に収量を分析した。採取されたウイルスの3つの特徴、ウイルスの生産性、力価の安定性と並んで、E2構造タンパク質の配列不均一性のレベルをモニターした。
【表6】
【0074】
ウイルスの生産
試験した全ての条件で達成されたCHIKV-Δ5nsP3の生産動態を図13に示す。CHIKV-Δ5nsP3(35℃、MOI 0.01、ベロ細胞播種後4日目に感染)を生産するために現在使用されている最適なプロセスも実験に含まれており、感染後24時間で108.0~8.5/mLの予想されたレベルでウイルス生産性を示した(図13B)。
【0075】
MOI及び感染時間と比較して、温度はウイルス生産動態に最も影響を及ぼした。37℃及び35℃では(それぞれ図13A及び図13B)、感染後1日目に最大の生産性が達成された。CHIKV-Δ5nsP3の感染力はその後の24時間の間に大幅に低下し、35℃でのウイルス力価の喪失はわずかに減少した。温度が28℃に下がると、ウイルスの反応速度が著しく変化した。使用するMOIに応じて、最大ウイルス生産性が1日~4日遅れ、ウイルス力価の安定性の大幅な改善が観察された(図13C)。全ての採取物から生産された総ウイルス収量を図14に示す。図13Aに示すような28℃の条件では、2回の採取の収量を合わせ(感染後1日目及び2日目)、35℃の条件(図13B)では、3回全ての採取の収量を合わせ(1日目~3日目)、37℃条件(図13C)では、5回の採取の収量(1日目~5日目)を合わせた。
【0076】
初期の観察を完了するため、ウイルスの生産性及び力価安定性のデータを、応答曲面二次モデルを使用して分析した(図15及び図16)。ウイルス生産性には、最大ウイルス力価の値を使用した。ウイルス力価の安定性には、生産プロセスで1日後に測定された力価から最大力価を差し引いた結果のデルタ値を計算して使用した。総ウイルス生産性には、各時点での個々の力価を追加した。
【0077】
両方のモデルのANOVA分析により、統計学的に有意な影響因子を示すことができた(図15A及び図16A)。以前の観察結果を確認すると、温度はウイルスの生産性及び安定性に影響を与える最も強い要因であった。特に、低温(28℃)では、ウイルス力価を経時的に適度に安定に保ちながら、より高いウイルス力価が得られた。しかしながら、この温度では、35℃と比較して、全体の総ウイルス生産性はそれほど高くなかった(例えば図14を参照されたい)。
【0078】
ベロ細胞播種後の感染時間も応答に影響を及ぼしたが、その程度は低かった。MOIは大きな影響を与えなかった。両方のモデルについて、細胞播種後72時間での感染は細胞感染に十分な時間であった。逆に、最高ウイルス収量は35℃で見られ、最も安定した力価は28℃で観察されたため、単一の温度では最適なウイルス生産と力価安定性を組み合わせることができなかった(図15B及び図16B)。感染後最短時間内での最大合計ウイルス生産性は35℃で達成された(図14を参照されたい)。
【0079】
E2タンパク質遺伝子配列の分析
ベロ細胞の感染後2日目又は5日目(播種後4日目に感染)のいずれかに収集されたウイルスサンプルを選択して、ウイルスE2構造タンパク質のゲノムRNA配列の分析を行った。これらのサンプルは、ローラーボトルでのベロ細胞コンフルエンスの最も代表的なものである。以下の表6及び表7に、サンガーシーケンシングによって決定された核酸配列に基づいて、4つのアミノ酸(AA)位置について推定された不均一性のパーセンテージを要約する。表6は、3つの異なる温度で増殖させ、感染後2日目に採取したCHIKV-Δ5nsP3のデータを示し、表7は28℃で増殖させ、感染後5日目に採取したCHIKV-Δ5nsP3のデータを示す。
【表7】
【表8】
【0080】
MOI、温度、ベロ細胞播種後の感染日、及びサンプル採取日はいずれも、ベロ細胞で生産された場合のCHIKV-Δ5nsP3の生産性及び品質に影響を与えた。しかしながら、各パラメーターの強度は、重要度が異なっていた。例えば、結果は、MOI及び不均一性のレベルとの相関関係、すなわち、感染時のウイルス入力が低いほど、採取時の不均一性のレベルが高くなることを示唆した。37℃でより高いレベルの不均一性が観察された9119位(E247K)を除き、インキュベーション温度はヌクレオチド配列の安定性に影響を与えないようであった(表6)。また、ウイルス動態の後半で収集されたサンプル採取は、同じAA位置に対してわずかに高いレベルの不均一性を引き起こした。
【0081】
この最初の分析を完了するために、生データの数学的モデリングも実行した(図17及び図18)。8543位について有意なモデルが計算されなかったため、分析できたのは3つの核酸位置(8882位、9119位、9649位)のみであった。図17に示すように、温度及びMOIは、検討した核酸の位置に応じて異なる影響を与えた。MOIは、核酸の8882位及び9649位で観察された不均一性に有意に影響したが、9112では影響しなかった。温度は9112位及び9649位に影響したが、8822位には影響しなかった(図17)。28℃で生産されたウイルスからのD2及びD5感染後採取サンプルを比較すると、MOIが不均一性のレベルに一貫して影響することが示され、細胞に大量のウイルス(MOI 0.1 TCID50/細胞)を接種した場合には、最小レベルのAA不均一性を観察した。この観察により、E2タンパク質内の低レベルの不均一性を確保しながら、最大のウイルス生産/力価安定性を達成する手段として、より高いMOIを持つ新たなプロセスパラメーター設定の確立が促される可能性がある。ただし、MOIが0.1では、GMPワーキングシウイルスシードバンクの消費が大幅に増加するため、実際の産業上の利用可能性が制限される。
【0082】
感染後の収穫日は、核酸9119位の変動にのみ影響した(図18)。
【0083】
配列
配列番号1
CHIKV-△5nsP3のヌクレオチド配列

gatggctgcgtgagacacacgtagcctaccagtttcttactgctctactctgcaaagcaagagattaataacccatcatggatcctgtgtacgtggacatagacgctgacagcgcctttttgaaggccctgcaacgtgcgtaccccatgtttgaggtggaaccaaggcaggtcacaccgaatgaccatgctaatgctagagcgttctcgcatctagctataaaactaatagagcaggaaattgaccccgactcaaccatcctggatatcggcagtgcgccagcaaggaggatgatgtcggacaggaagtaccactgcgtctgcccgatgcgcagtgcggaagatcccgagagactcgccaattatgcgagaaagctagcatctgccgcaggaaaagtcctggacagaaacatctctggaaagatcggggacttacaagcagtaatggccgtgccagacacggagacgccaacattctgcttacacacagacgtctcatgtagacagagagcagacgtcgctatataccaagacgtctatgctgtacacgcacccacgtcgctataccaccaggcgattaaaggggtccgagtggcgtactgggttgggttcgacacaaccccgttcatgtacaatgccatggcgggtgcctacccctcatactcgacaaactgggcagatgagcaggtactgaaggctaagaacataggattatgttcaacagacctgacggaaggtagacgaggcaagttgtctattatgagagggaaaaagctaaaaccgtgcgaccgtgtgctgttctcagtagggtcaacgctctacccggaaagccgcaagctacttaagagctggcacctgccatcggtgttccatttaaagggcaaactcagcttcacatgccgctgtgatacagtggtttcgtgtgagggctacgtcgttaagagaataacgatgagcccaggcctttatggaaaaaccacagggtatgcggtaacccaccacgcagacggattcctgatgtgcaagactaccgacacggttgacggcgaaagaatgtcattctcggtgtgcacatacgtgccggcgaccatttgtgatcaaatgaccggcatccttgctacagaagtcacgccggaggatgcacagaagctgttggtggggctgaaccagagaatagtggttaacggcagaacgcaacggaatacgaacaccatgaaaaattatctgcttcccgtggtcgcccaagccttcagtaagtgggcaaaggagtgccggaaagacatggaagatgaaaaactcctgggggtcagagaaagaacactgacctgctgctgtctatgggcattcaagaagcagaaaacacacacggtctacaagaggcctgatacccagtcaattcagaaggttcaggccgagtttgacagctttgtggtaccgagtctgtggtcgtccgggttgtcaatccctttgaggactagaatcaaatggttgttaagcaaggtgccaaaaaccgacctgatcccatacagcggagacgcccgagaagcccgggacgcagaaaaagaagcagaggaagaacgagaagcagaactgactcgcgaagccctaccacctctacaggcagcacaggaagatgttcaggtcgaaatcgacgtggaacagcttgaggacagagcgggcgcaggaataatagagactccgagaggagctatcaaagttactgcccaaccaacagaccacgtcgtgggagagtacctggtactctccccgcagaccgtactacgtagccagaagctcagtctgattcacgctttggcggagcaagtgaagacgtgcacgcacaacggacgagcagggaggtatgcggtcgaagcgtacgacggccgagtcctagtgccctcaggctatgcaatctcgcctgaagacttccagagtctaagcgaaagcgcaacgatggtgtataacgaaagagagttcgtaaacagaaagctacaccatattgcgatgcacggaccagccctgaacaccgacgaagagtcgtatgagctggtgagggcagagaggacagaacacgagtacgtctacgacgtggatcagagaagatgctgtaagaaggaagaagccgcaggactggtactggtgggcgacttgactaatccgccctaccacgaattcgcatatgaagggctaaaaatccgccctgcctgcccatacaaaattgcagtcataggagtcttcggagtaccgggatctggcaagtcagctattatcaagaacctagttaccaggcaggacctggtgactagcggaaagaaagaaaactgccaagaaatcaccaccgacgtgatgagacagagaggtctagagatatctgcacgtacggttgactcgctgctcttgaatggatgcaacagaccagtcgacgtgttgtacgtagacgaggcgtttgcgtgccactctggaacgctacttgctttgatcgccttggtgagaccaaggcagaaagttgtactttgtggtgacccgaagcagtgcggcttcttcaatatgatgcagatgaaagtcaactataatcacaacatctgcacccaagtgtaccacaaaagtatctccaggcggtgtacactgcctgtgaccgccattgtgtcatcgttgcattacgaaggcaaaatgcgcactacgaatgagtacaacaagccgattgtagtggacactacaggctcaacaaaacctgaccctggagacctcgtgttaacgtgcttcagagggtgggttaaacaactgcaaattgactatcgtggatacgaggtcatgacagcagccgcatcccaagggttaaccagaaaaggagtttacgcagttagacaaaaagttaatgaaaacccgctctatgcatcaacgtcagagcacgtcaacgtactcctaacgcgtacggaaggtaaactggtatggaagacactttccggcgacccgtggataaagacgctgcagaacccaccgaaaggaaacttcaaagcaactattaaggagtgggaggtggagcatgcatcaataatggcgggcatctgcagtcaccaaatgaccttcgatacattccaaaataaagccaacgtttgttgggctaagagcttggtccctatcctcgaaacagcggggataaaactaaatgataggcagtggtctcagataattcaagccttcaaagaagacaaagcatactcacctgaagtagccctgaatgaaatatgtacgcgcatgtatggggtggatctagacagcgggctattttctaaaccgttggtgtctgtgtattacgcggataaccactgggataataggcctggagggaaaatgttcggatttaaccccgaggcagcatccattctagaaagaaagtatccattcacaaaagggaagtggaacatcaacaagcagatctgcgtgactaccaggaggatagaagactttaaccctaccaccaacatcataccggccaacaggagactaccacactcattagtggccgaacaccgcccagtaaaaggggaaagaatggaatggctggttaacaagataaacggccaccacgtgctcctggtcagtggctataaccttgcactgcctactaagagagtcacttgggtagcgccgttaggtgtccgcggagcggactacacatacaacctagagttgggtctgccagcaacgcttggtaggtatgacctagtggtcataaacatccacacaccttttcgcatacaccattaccaacagtgcgtcgaccacgcaatgaaactgcaaatgctcgggggtgactcattgagactgctcaaaccgggcggctctctattgatcagagcatatggttacgcagatagaaccagtgaacgagtcatctgcgtattgggacgcaagtttagatcgtctagagcgttgaaaccaccatgtgtcaccagcaacactgagatgtttttcctattcagcaactttgacaatggcagaaggaatttcacaactcatgtcatgaacaatcaactgaatgcagccttcgtaggacaggtcacccgagcaggatgtgcaccgtcgtaccgggtaaaacgcatggacatcgcgaagaacgatgaagagtgcgtagtcaacgccgctaaccctcgcgggttaccgggtggcggtgtttgcaaggcagtatacaaaaaatggccggagtcctttaagaacagtgcaacaccagtgggaaccgcaaaaacagttatgtgcggtacgtatccagtaatccacgctgttggaccaaacttctctaattattcggagtctgaaggggaccgggaattggcagctgcctatcgagaagtcgcaaaggaagtaactaggctgggagtaaatagtgtagctatacctctcctctccacaggtgtatactcaggagggaaagacaggctgacccagtcactgaaccacctctttacagccatggactcgacggatgcagacgtggtcatctactgccgcgacaaagaatgggagaagaaaatatctgaggccatacagatgcggacccaagtagagctgctggatgagcacatctccatagactgcgatattgttcgcgtgcaccctgacagcagcttggcaggcagaaaaggatacagcaccacggaaggcgcactgtactcatatctagaagggacccgttttcatcagacggctgtggatatggcggagatacatactatgtggccaaagcaaacagaggccaatgagcaagtctgcctatatgccctgggggaaagtattgaatcgatcaggcagaaatgcccggtggatgatgcagacgcatcatctccccccaaaactgtcccgtgcctttgccgttacgctatgactccagaacgcgtcacccggcttcgcatgaaccacgtcacaagcataattgtgtgttcttcgtttcccctcccaaagtacaaaatagaaggagtgcaaaaagtcaaatgctctaaggtaatgctatttgaccacaacgtgccatcgcgcgtaagtccaagggcttatagaggtgccgctgccggtaaccttgcggccgtgtctgattgggtaatgagcaccgtacctgtcgcgccgcccagaagaaggcgagggagaaacctgactgtgacatgtgacgagagagaagggaatataacacccatggctagcgtccgattctttagggcagagctgtgtccggtcgtacaagaaacagcggagacgcgtgacacagcaatgtctcttcaggcaccaccgagtaccgccacggaaccgaatcatccgccgatctccttcggagcatcaagcgagacgttccccattacatttggggacttcaacgaaggagaaatcgaaagcttgtcttctgagctactaactttcggagacttcttaccaggagaagtggatgacttgacagacagcgactggtccacgtgctcagacacggacgacgagttaagactagacagggcaggtgggtatatattctcgtcggacaccggtccaggtcatttacaacagaagtcagtacgccagtcagtgctgccggtgaacaccctggaggaagtccacgaggagaagtgttacccacctaagctggatgaagcaaaggagcaactattacttaagaaactccaggagagtgcatccatggccaacagaagcaggtatcagtcgcgcaaagtagaaaacatgaaagcagcaatcatccagagactaaagagaggctgtagactatacttaatgtcagagaccccaaaagtccctacttaccggactacatatccggcgcctgtgtactcgcctccgatcaacgtccgattgtccaatcccgagtccgcagtggcagcatgcaatgagttcttagctagaaactatccaactgtctcatcataccaaattaccgacgagtatgatgcatatctagacatggtggacgggtcggagagttgcctggaccgagcgacattcaatccgtcaaaactcaggagctacccgaaacagcacgcttaccacgcgccctccatcagaagcgctgtaccgtccccattccagaacacactacagaatgtactggcagcagccacgaaaagaaactgcaacgtcacacagatgagggaattacccactttggactcagcagtattcaacgtggagtgtttcaaaaaattcgcatgcaaccaagaatactgggaagaatttgctgccagccctattaggataacaactgagaatttagcaacctatgttactaaactaaaagggccaaaagcagcagcgctattcgcaaaaacccataatctactgccactacaggaagtaccaatggataggttcacagtagatatgaaaagggacgtaaaggtgactcctggtacaaagcatacagaggaaagacctaaggtgcaggttatacaggcggctgaacccttggcgacagcatacctatgtgggattcacagagagctggttaggaggctgaacgccgtcctcctacccaatgtacatacactatttgacatgtctgccgaggatttcgatgccatcatagccgcacactttaagccaggagacactgttttggaaacggacatagcctcctttgataagagccaagatgattcacttgcgcttactgctttgatgctgttagaggatttaggggtggatcactccctgctggacttgatagaggctgctttcggagagatttccagctgtcacctaccgacaggtacgcgcttcaagttcggcgccatgatgaaatcaggtatgttcctaactctgttcgtcaacacattgttaaacatcaccatcgccagccgagtgctggaagatcgtctgacaaaatccgcgtgcgcggccttcatcggcgacgacaacataatacatggagtcgtctccgatgaattgatggcagccagatgtgccacttggatgaacatggaagtgaagatcatagatgcagttgtatccttgaaagccccttacttttgtggagggtttatactgcacgatactgtgacaggaacagcttgcagagtggcagacccgctaaaaaggctttttaaactgggcaaaccgctagcggcaggtgacgaacaagatgaagatagaagacgagcgctggctgacgaagtgatcagatggcaacgaacagggctaattgatgagctggagaaagcggtatactctaggtacgaagtgcagggtatatcagttgtggtaatgtccatggccacctttgcaagctccagatccaacttcgagaagctcagaggacccgtcataactttgtacggcggtcctaaataggtacgcactacagctacctattttgcagaagccgacagcaagtatctaaacactaatcagctacaatggagttcatcccaacccaaactttttacaataggaggtaccagcctcgaccctggactccgcgccctactatccaagtcatcaggcccagaccgcgccctcagaggcaagctgggcaacttgcccagctgatctcagcagttaataaactgacaatgcgcgcggtaccacaacagaagccacgcaggaatcggaagaataagaagcaaaagcaaaaacaacaggcgccacaaaacaacacaaatcaaaagaagcagccacctaaaaagaaaccggctcaaaagaaaaagaagccgggccgcagagagaggatgtgcatgaaaatcgaaaatgattgtattttcgaagtcaagcacgaaggtaaggtaacaggttacgcgtgcctggtgggggacaaagtaatgaaaccagcacacgtaaaggggaccatcgataacgcggacctggccaaactggcctttaagcggtcatctaagtatgaccttgaatgcgcgcagatacccgtgcacatgaagtccgacgcttcgaagttcacccatgagaaaccggaggggtactacaactggcaccacggagcagtacagtactcaggaggccggttcaccatccctacaggtgctggcaaaccaggggacagcggcagaccgatcttcgacaacaagggacgcgtggtggccatagtcttaggaggagctaatgaaggagcccgtacagccctctcggtggtgacctggaataaagacattgtcactaaaatcacccccgagggggccgaagagtggagtcttgccatcccagttatgtgcctgttggcaaacaccacgttcccctgctcccagcccccttgcacgccctgctgctacgaaaaggaaccggaggaaaccctacgcatgcttgaggacaacgtcatgagacctgggtactatcagctgctacaagcatccttaacatgttctccccaccgccagcgacgcagcaccaaggacaacttcaatgtctataaagccacaagaccatacttagctcactgtcccgactgtggagaagggcactcgtgccatagtcccgtagcactagaacgcatcagaaatgaagcgacagacgggacgctgaaaatccaggtctccttgcaaatcggaataaagacggatgacagccacgattggaccaagctgcgttatatggacaaccacatgccagcagacgcagagagggcggggctatttgtaagaacatcagcaccgtgtacgattactggaacaatgggacacttcatcctggcccgatgtccaaaaggggaaactctgacggtgggattcactgacagtaggaagattagtcactcatgtacgcacccatttcaccacgaccctcctgtgataggtcgggaaaaattccattcccgaccgcagcacggtaaagagctaccttgcagcacgtacgtgcagagcaccgccgcaactaccgaggagatagaggtacacatgcccccagacacccctgatcgcacattaatgtcacaacagtccggcaacgtaaagatcacagtcaatggccagacggtgcggtacaagtgtaattgcggtggctcaaatgaaggactaacaactacagacaaagtgattaataactgcaaggttgatcaatgtcatgccgcggtcaccaatcacaaaaagtggcagtataactcccctctggtcccgcgtaatgctgaacttggggaccgaaaaggaaaaattcacatcccgtttccgctggcaaatgtaacatgcagggtgcctaaagcaaggaaccccaccgtgacgtacgggaaaaaccaagtcatcatgctactgtatcctgaccacccaacactcctgtcctaccggaatatgggagaagaaccaaactatcaagaagagtgggtgatgcataagaaggaagtcgtgctaaccgtgccgactgaagggctcgaggtcacgtggggcaacaacgagccgtataagtattggccgcagttatctacaaacggtacagcccatggccacccgcatgagataattctgtattattatgagctgtaccccactatgactgtagtagttgtgtcagtggccacgttcatactcctgtcgatggtgggtatggcagcggggatgtgcatgtgtgcacgacgcagatgcatcacaccgtatgaactgacaccaggagctaccgtccctttcctgcttagcctaatatgctgcatcagaacagctaaagcggccacataccaagaggctgcgatatacctgtggaacgagcagcaacctttgttttggctacaagcccttattccgctggcagccctgattgttctatgcaactgtctgagactcttaccatgctgctgtaaaacgttggcttttttagccgtaatgagcgtcggtgcccacactgtgagcgcgtacgaacacgtaacagtgatcccgaacacggtgggagtaccgtataagactctagtcaatagacctggctacagccccatggtattggagatggaactactgtcagtcactttggagccaacactatcgcttgattacatcacgtgcgagtacaaaaccgtcatcccgtctccgtacgtgaagtgctgcggtacagcagagtgcaaggacaaaaacctacctgactacagctgtaaggtcttcaccggcgtctacccatttatgtggggcggcgcctactgcttctgcgacgctgaaaacacgcagttgagcgaagcacacgtggagaagtccgaatcatgcaaaacagaatttgcatcagcatacagggctcataccgcatctgcatcagctaagctccgcgtccttt
accaaggaaataacatcactgtaactgcctatgcaaacggcgaccatgccgtcacagttaaggacgccaaattcattgtggggccaatgtcttcagcctggacacctttcgacaacaaaattgtggtgtacaaaggtgacgtctataacatggactacccgccctttggcgcaggaagaccaggacaatttggcgatatccaaagtcgcacacctgagagtaaagacgtctatgctaatacacaactggtactgcagagaccggctgtgggtacggtacacgtgccatactctcaggcaccatctggctttaagtattggctaaaagaacgcggggcgtcgctgcagcacacagcaccatttggctgccaaatagcaacaaacccggtaagagcggtgaactgcgccgtagggaacatgcccatctccatcgacataccggaagcggccttcactagggtcgtcgacgcgccctctttaacggacatgtcgtgcgaggtaccagcctgcacccattcctcagactttgggggcgtcgccattattaaatatgcagccagcaagaaaggcaagtgtgcggtgcattcgatgactaacgccgtcactattcgggaagctgagatagaagttgaagggaattctcagctgcaaatctctttctcgacggccttagccagcgccgaattccgcgtacaagtctgttctacacaagtacactgtgcagccgagtgccaccccccgaaggaccacatagtcaactacccggcgtcacataccaccctcggggtccaggacatctccgctacggcgatgtcatgggtgcagaagatcacgggaggtgtgggactggttgttgctgttgccgcactgattctaatcgtggtgctatgcgtgtcgttcagcaggcactaacttgacaattaagtatgaaggtatatgtgtcccctaagagacacactgtacatagcaaataatctatagatcaaagggctacgcaacccctgaatagtaacaaaatacaaaatcactaaaaattataaaaacagaaaaatacataaataggtatacgtgtcccctaagagacacattgtatgtaggtgataagtatagatcaaagggccgaataacccctgaatagtaacaaaatatgaaaatcaataaaaatcataaaatagaaaaaccataaacagaagtagttcaaagggctataaaacccctgaatagtaacaaaacataaaattaataaaaatcaaatgaataccataattggcaaacggaagagatgtaggtacttaagcttcctaaaagcagccgaactcactttgagaagtaggcatagcataccgaactcttccacgattctccgaacccacagggacgtaggagatgttattttgtttttaatatttcaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa

配列番号2
LR2006_OPY1チクングニアウイルス株に由来するE2タンパク質のアミノ酸配列-構造タンパク質に由来するアミノ酸339~742 GenBankアクセッション:ABD95938.1(1~1248アミノ酸)
STKDNFNVYKATRPYLAHCPDCGEGHSCHSPVALERIRNEATDGTLKIQVSLQIGIKTDDSHDWTKLRYMDNHMPADAERAGLFVRTsAPCTITGTMGHFILARCPKGETLTVGFTDSRKISHSCTHPFHHDPPVIGREKFHSRPQHGKELPCSTYVQSTAATTEEIEVHMPPDTPDHTLMSQQSGNVKITVNGQTVRYKCNCGGSNEGLTTTDKVINNCKVDQCHAAVTNHKKWQYNSPLVPRNAELGDRKGKIHIPFPLANVTCRVPKARNPTVTYGKNQVIMLLYPDHPTLLSYRNMGEEPNYQEEWVMHKKEVVLTVPTEGLEVTWGNNEPYKYWPQLSTNGTAHGHPHEIILYYYELYPTMTVVVVSVATFILLSMVGMAAGMCMCARRRCITPYELTPGATVPFLLSLICCIRTAKA

本明細書で同定された幾つかのE2変異体

配列番号3
チクングニアウイルスに由来するE2タンパク質のE168K変異体
STKDNFNVYKATRPYLAHCPDCGEGHSCHSPVALERIRNEATDGTLKIQVSLQIGIKTDDSHDWTKLRYMDNHMPADAERAGLFVRTsAPCTITGTMGHFILARCPKGETLTVGFTDSRKISHSCTHPFHHDPPVIGREKFHSRPQHGKELPCSTYVQSTAATTEEIKVHMPPDTPDHTLMSQQSGNVKITVNGQTVRYKCNCGGSNEGLTTTDKVINNCKVDQCHAAVTNHKKWQYNSPLVPRNAELGDRKGKIHIPFPLANVTCRVPKARNPTVTYGKNQVIMLLYPDHPTLLSYRNMGEEPNYQEEWVMHKKEVVLTVPTEGLEVTWGNNEPYKYWPQLSTNGTAHGHPHEIILYYYELYPTMTVVVVSVATFILLSMVGMAAGMCMCARRRCITPYELTPGATVPFLLSLICCIRTAKA

配列番号4
チクングニアウイルスに由来するE2タンパク質のG55R変異体
STKDNFNVYKATRPYLAHCPDCGEGHSCHSPVALERIRNEATDGTLKIQVSLQIRIKTDDSHDWTKLRYMDNHMPADAERAGLFVRTsAPCTITGTMGHFILARCPKGETLTVGFTDSRKISHSCTHPFHHDPPVIGREKFHSRPQHGKELPCSTYVQSTAATTEEIEVHMPPDTPDHTLMSQQSGNVKITVNGQTVRYKCNCGGSNEGLTTTDKVINNCKVDQCHAAVTNHKKWQYNSPLVPRNAELGDRKGKIHIPFPLANVTCRVPKARNPTVTYGKNQVIMLLYPDHPTLLSYRNMGEEPNYQEEWVMHKKEVVLTVPTEGLEVTWGNNEPYKYWPQLSTNGTAHGHPHEIILYYYELYPTMTVVVVSVATFILLSMVGMAAGMCMCARRRCITPYELTPGATVPFLLSLICCIRTAKA

配列番号5
チクングニアウイルスに由来するE2タンパク質のE247K変異体
STKDNFNVYKATRPYLAHCPDCGEGHSCHSPVALERIRNEATDGTLKIQVSLQIGIKTDDSHDWTKLRYMDNHMPADAERAGLFVRTsAPCTITGTMGHFILARCPKGETLTVGFTDSRKISHSCTHPFHHDPPVIGREKFHSRPQHGKELPCSTYVQSTAATTEEIEVHMPPDTPDHTLMSQQSGNVKITVNGQTVRYKCNCGGSNEGLTTTDKVINNCKVDQCHAAVTNHKKWQYNSPLVPRNAKLGDRKGKIHIPFPLANVTCRVPKARNPTVTYGKNQVIMLLYPDHPTLLSYRNMGEEPNYQEEWVMHKKEVVLTVPTEGLEVTWGNNEPYKYWPQLSTNGTAHGHPHEIILYYYELYPTMTVVVVSVATFILLSMVGMAAGMCMCARRRCITPYELTPGATVPFLLSLICCIRTAKA

配列番号6
チクングニアウイルスに由来するE2タンパク質のG82R変異体
STKDNFNVYKATRPYLAHCPDCGEGHSCHSPVALERIRNEATDGTLKIQVSLQIGIKTDDSHDWTKLRYMDNHMPADAERARLFVRTsAPCTITGTMGHFILARCPKGETLTVGFTDSRKISHSCTHPFHHDPPVIGREKFHSRPQHGKELPCSTYVQSTAATTEEIEVHMPPDTPDHTLMSQQSGNVKITVNGQTVRYKCNCGGSNEGLTTTDKVINNCKVDQCHAAVTNHKKWQYNSPLVPRNAELGDRKGKIHIPFPLANVTCRVPKARNPTVTYGKNQVIMLLYPDHPTLLSYRNMGEEPNYQEEWVMHKKEVVLTVPTEGLEVTWGNNEPYKYWPQLSTNGTAHGHPHEIILYYYELYPTMTVVVVSVATFILLSMVGMAAGMCMCARRRCITPYELTPGATVPFLLSLICCIRTAKA

配列番号7
チクングニアウイルスに由来するE2タンパク質のH232Y変異体
STKDNFNVYKATRPYLAHCPDCGEGHSCHSPVALERIRNEATDGTLKIQVSLQIGIKTDDSHDWTKLRYMDNHMPADAERAGLFVRTsAPCTITGTMGHFILARCPKGETLTVGFTDSRKISHSCTHPFHHDPPVIGREKFHSRPQHGKELPCSTYVQSTAATTEEIEVHMPPDTPDHTLMSQQSGNVKITVNGQTVRYKCNCGGSNEGLTTTDKVINNCKVDQCHAAVTNYKKWQYNSPLVPRNAELGDRKGKIHIPFPLANVTCRVPKARNPTVTYGKNQVIMLLYPDHPTLLSYRNMGEEPNYQEEWVMHKKEVVLTVPTEGLEVTWGNNEPYKYWPQLSTNGTAHGHPHEIILYYYELYPTMTVVVVSVATFILLSMVGMAAGMCMCARRRCITPYELTPGATVPFLLSLICCIRTAKA

配列番号8
CHIKV-Δ5nsP3配列決定に対するプライマー1F
ttaggatccGATGGCTGCGTGAGACAC

配列番号9
CHIKV-Δ5nsP3配列決定に対するプライマー1R
taactcgagCCGTCAGGTCTGTTGAACAT

配列番号10
CHIKV-Δ5nsP3配列決定に対するプライマー2F
ttaggatccTACCACCAGGCGATTAAAG

配列番号11
CHIKV-Δ5nsP3シーケンシングに対するプライマー2R
taactcgagCTTTGCCCACTTACTGAAGG

配列番号12
CHIKV-Δ5nsP3配列決定に対するプライマー3F
ttaggatccTGCTACAGAAGTCACGCC

配列番号13
CHIKV-Δ5nsP3配列決定に対するプライマー3R
taactcgagGCCAAAGCGTGAATCAG

配列番号14
CHIKV-Δ5nsP3配列決定に対するプライマー4F
ttaggatccAACAGCTTGAGGACAGAGCG

配列番号15
CHIKV-Δ5nsP3配列決定に対するプライマー4R
taactcgagCTCTGTCTCATCACGTCGG

配列番号16
CHIKV-Δ5nsP3配列決定に対するプライマー5F
ttaggatccAAATTGCAGTCATAGGAGTCTTC

配列番号17
CHIKV-Δ5nsP3配列決定に対するプライマー5R
taactcgagAGTACGTTGACGTGCTCTGA

配列番号18
CHIKV-Δ5nsP3配列決定に対するプライマー6F
ttaggatccGTGGGTTAAACAACTGCAAA

配列番号19
CHIKV-Δ5nsP3配列決定に対するプライマー6R
taactcgagGGTTAAAGTCTTCTATCCTCCTGG

配列番号20
CHIKV-Δ5nsP3配列決定に対するプライマー7F
ttaggatccGGATAACCACTGGGATAATAGG

配列番号21
CHIKV-Δ5nsP3配列決定に対するプライマー7R
taactcgagAGTTGTGAAATTCCTTCTGCC

配列番号22
CHIKV-Δ5nsP3配列決定に対するプライマー8F
ttaggatccCGCAGATAGAACCAGTGAAC

配列番号23
CHIKV-Δ5nsP3配列決定に対するプライマー8R
taactcgagCAGCAGCTCTACTTGGGTC

配列番号24
CHIKV-Δ5nsP3配列決定に対するプライマー9F
ttaggatccAGGAGGGAAAGACAGGCT

配列番号25
CHIKV-Δ5nsP3シーケンシングに対するプライマー9R
taactcgagCCCTCGCCTTCTTCTG

配列番号26
CHIKV-Δ5nsP3配列決定に対するプライマー10F
ttaggatccCAAAATAGAAGGAGTGCAAAAAG

配列番号27
CHIKV-Δ5nsP3配列決定に対するプライマー10R
taactcgagCCTGGAGTTTCTTAAGTAATAGTTGC

配列番号28
CHIKV-Δ5nsP3配列決定に対するプライマー11F
ttaggatccACCGGTCCAGGTCATTTA

配列番号29
CHIKV-Δ5nsP3配列決定に対するプライマー11R
taactcgagGCAGCAAATTCTTCCCAG

配列番号30
CHIKV-Δ5nsP3配列決定に対するプライマー12F
ttaggatccCCATTCCAGAACACACTACAG

配列番号31
CHIKV-Δ5nsP3配列決定に対するプライマー12R
taactcgagATACCTGATTTCATCATGGC

配列番号32
CHIKV-Δ5nsP3配列決定に対するプライマー13F
ttaggatccCCTTTGATAAGAGCCAAGATG

配列番号33
CHIKV-Δ5nsP3配列決定に対するプライマー13R
taactcgagTACAAAGTTATGACGGGTCCT

配列番号34
CHIKV-Δ5nsP3配列決定に対するプライマー14F
ttaggatccCAACGAACAGGGCTAATTG

配列番号35
CHIKV-Δ5nsP3配列決定に対するプライマー14R
taactcgagGACCGCTTAAAGGCCAG

配列番号36
CHIKV-Δ5nsP3配列決定に対するプライマー15F
ttaggatccGTGCATGAAAATCGAAAATG

配列番号37
CHIKV-Δ5nsP3配列決定に対するプライマー15R
taactcgagTGGTCTTGTGGCTTTATAGACA

配列番号38
CHIKV-Δ5nsP3配列決定に対するプライマー16F
ttaggatccAACCGGAGGAAACCCTAC

配列番号39
CHIKV-Δ5nsP3配列決定に対するプライマー16R
taactcgagGTACCGCACCGTCTGG

配列番号40
CHIKV-Δ5nsP3配列決定に対するプライマー17F
ttaggatccAGCTACCTTGCAGCACGT

配列番号41
CHIKV-Δ5nsP3配列決定に対するプライマー17R
taactcgagCCCACCATCGACAGG

配列番号42
CHIKV-Δ5nsP3配列決定に対するプライマー18F
ttaggatccCGAGCCGTATAAGTATTGGC

配列番号43
CHIKV-Δ5nsP3配列決定に対するプライマー18R
taactcgagCGCCGGTGAAGACCTTAC

配列番号44
CHIKV-Δ5nsP3配列決定に対するプライマー19F
ttaggatccACTACTGTCAGTCACTTTGGAGC

配列番号45
CHIKV-Δ5nsP3配列決定に対するプライマー19R
taactcgagTACCGGGTTTGTTGCTATTT

配列番号46
CHIKV-Δ5nsP3配列決定に対するプライマー20F
ttaggatccCACAACTGGTACTGCAGAGAC

配列番号47
CHIKV-Δ5nsP3配列決定に対するプライマー20R
taactcgagGCGTAGCCCTTTGATCTATAG

配列番号48
CHIKV-Δ5nsP3配列決定に対するプライマー21F
ttaggatccGGTGCTATGCGTGTCGT

配列番号49
CHIKV-Δ5nsP3配列決定に対するプライマー21R
taactcgagATCTCCTACGTCCCTGTGGG
図1
図2
図3-1】
図3-2】
図4-1】
図4-2】
図5
図6-1】
図6-2】
図7
図8-1】
図8-2】
図9A
図9B
図9C
図10
図11
図12
図13-1】
図13-2】
図14
図15
図16
図17
図18
【配列表】
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