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特許7301819手術ロボットアームのアドミッタンス制御
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-23
(45)【発行日】2023-07-03
(54)【発明の名称】手術ロボットアームのアドミッタンス制御
(51)【国際特許分類】
   B25J 9/16 20060101AFI20230626BHJP
   A61B 34/30 20160101ALI20230626BHJP
   B25J 13/08 20060101ALI20230626BHJP
【FI】
B25J9/16
A61B34/30
B25J13/08 Z
【請求項の数】 30
(21)【出願番号】P 2020519989
(86)(22)【出願日】2018-09-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-17
(86)【国際出願番号】 US2018052967
(87)【国際公開番号】W WO2019074670
(87)【国際公開日】2019-04-18
【審査請求日】2021-09-24
(31)【優先権主張番号】15/729,558
(32)【優先日】2017-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518083032
【氏名又は名称】オーリス ヘルス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】メイヤー,カート クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】チャン,シューユン
(72)【発明者】
【氏名】ホ,ミンヤン
【審査官】臼井 卓巳
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-176307(JP,A)
【文献】特開2017-056549(JP,A)
【文献】特開2016-028842(JP,A)
【文献】特開2017-164833(JP,A)
【文献】特開2010-264539(JP,A)
【文献】特表2016-516189(JP,A)
【文献】特開昭63-212483(JP,A)
【文献】特開2012-055985(JP,A)
【文献】特開2004-129782(JP,A)
【文献】特開平06-250728(JP,A)
【文献】特開2002-315735(JP,A)
【文献】特開2017-163527(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0193731(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 3/00-19/02
A61B 1/00-90/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ロボットアームであって、
少なくとも2つのリンク機構と、
前記少なくとも2つのリンク機構を接続する少なくとも1つのジョイントと、
前記少なくとも2つのリンク機構の間のトルクを検出する少なくとも1つのトルクセンサと、
前記少なくとも2つのリンク機構の位置を調節する少なくとも1つのモータと、
を有するロボットアームと、
(b)プロセッサと、
(c)コンピュータ実行可能な命令を記憶するメモリであって、前記命令は前記プロセッサに、
前記トルクセンサの出力に基づいて、前記ロボットアーム上の基準点における力を特定することと、
前記基準点の移動方向の指標を受信することと、
前記力の1つの成分が、前記基準点の前記動方向と同じ方向であることを特定することと、
前記力の1つの成分が、前記基準点の前記動方向と同じ方向であることを特定することに基づいて、前記ロボットアームの動きに対する目標の抵抗力を示す少なくとも1つのパラメータを生成することと、
前記少なくとも1つのパラメータに基づいて、前記目標の抵抗力に応じて前記ロボットアームを移動するように前記モータを制御することと、
を実行させるメモリと、
を有することを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記ロボットアームは、前記ロボットアームの遠位端に接続された器具装置マニピュレータ(IDM;Instrument Device Manipulator)をさらに有し、
前記基準点は、前記IDM上に位置する
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記メモリは、さらにコンピュータ実行可能な命令を記憶し、前記命令は前記プロセッサに、
前記トルクセンサの出力に基づいて、前記少なくとも1つのジョイントにおける第1のトルク値を計測することと、
前記ロボットアームの位置に基づいて、前記少なくとも1つのジョイントにおける第2のトルク値を特定することであって、前記第2のトルク値は、前記少なくとも2つのリンク機構の間のトルクの重力成分を示す、ことと、
前記第1のトルク値と前記第2のトルク値との差に基づいて、前記基準点における前記力を特定することと、
を実行させることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記メモリは、さらにコンピュータ実行可能な命令を記憶し、前記命令は前記プロセッサに、
前記力の不感帯を特定すること、
を実行させ、
前記少なくとも1つのパラメータに基づいて前記モータを制御することが、前記不感帯外の前記力の値に応答するように前記ロボットアームの移動を制限する
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記メモリは、さらにコンピュータ実行可能な命令を記憶し、前記命令は前記プロセッサに、
前記不感帯の境界における前記力の値に平滑化関数を適用することと、
前記平滑化関数を適用することによって平滑化された力の値に基づいて、前記ロボットアームを移動するように前記モータを制御することと、
を実行させることを特徴とする請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記ロボットアームは、
ユーザによって作動されるボタン、
をさらに有し、
前記メモリは、さらにコンピュータ実行可能な命令を記憶し、前記命令は前記プロセッサに、
前記ボタンが前記ユーザによって作動されると生成されるユーザ入力信号を受信することと、
ある期間の間に前記トルクセンサから受信する出力に基づいて前記トルクセンサを較正することと、
を実行させ、
前記基準点における前記力を特定することはさらに、前記ユーザ入力信号の受信に応じて実行され、かつ、前記トルクセンサの前記較正された出力に基づいて実行される
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記目標の抵抗力は、
前記ロボットアームの仮想質量を規定する少なくとも1つの第1のパラメータと、
前記ロボットアームの仮想減衰係数を規定する少なくとも1つの第2のパラメータと、
を有し、
前記メモリは、さらにコンピュータ実行可能な命令を記憶し、前記命令は前記プロセッサに、
前記ロボットアームのモデルに基づいて前記ロボットアームを移動するように前記モータを制御することであって、前記モデルは、前記モータの制御と、前記基準点における前記力と、前記第1のパラメータと、前記第2のパラメータとの間の関係を規定する、こと、
を実行させることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記少なくとも1つの第1のパラメータは、複数の第1のパラメータを有し、前記複数の第1のパラメータのそれぞれは、前記ロボットアームの移動における前記ロボットアームの前記仮想質量を規定し、
前記少なくとも1つの第2のパラメータは、複数の第2のパラメータを有し、前記複数の第2のパラメータのそれぞれは、前記ロボットアームの移動における前記ロボットアームの前記仮想減衰係数を規定する、
ことを特徴とする請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記メモリは、さらにコンピュータ実行可能な命令を記憶し、前記命令は前記プロセッサに、
前記力の前記成分が、前記基準点の前記移動方向と同じ方向であるか反対の方向であるかを特定することと、
前記力の前記成分が、前記基準点の前記移動方向と同じ方向であるか反対の方向であるかを特定することに基づいて、前記第1のパラメータおよび前記第2のパラメータの少なくとも1つのパラメータを調整することと、
を実行させることを特徴とする請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記メモリは、さらにコンピュータ実行可能な命令を記憶し、前記命令は前記プロセッサに、
前記力の前記成分が、前記基準点の前記移動方向と同じ方向であると特定することに応じて、前記第1のパラメータおよび前記第2のパラメータを小さくすること、を実行させることを特徴とする請求項7に記載のシステム。
【請求項11】
前記メモリは、さらにコンピュータ実行可能な命令を記憶し、前記命令は前記プロセッサに、
前記力の前記成分が、前記基準点の前記移動方向と反対の方向であると特定することと、
前記力の前記成分が、前記基準点の前記移動方向と反対の方向であると特定することに応じて、前記第1のパラメータおよび前記第2のパラメータを大きくすること、
を実行させることを特徴とする請求項7に記載のシステム。
【請求項12】
前記メモリは、複数のユーザプロファイルをさらに有し、前記複数のユーザプロファイルのそれぞれは、前記第1のパラメータと前記第2のパラメータの値を規定し、
前記メモリは、さらにコンピュータ実行可能な命令を記憶し、前記命令は前記プロセッサに、
前記複数のユーザプロファイルの1つのユーザプロファイルの選択を受信することと、
前記受信した選択に基づいて、前記第1のパラメータと前記第2のパラメータを調整することと、
を実行させることを特徴とする請求項7に記載のシステム。
【請求項13】
前記ロボットアームは、前記少なくともつのリンク機構の間の角度を計測する少なくとも1つの位置センサをさらに有し、
前記メモリは、さらにコンピュータ実行可能な命令を記憶し、前記命令は前記プロセッサに、
前記位置センサの出力に基づいて、前記力を特定すること、
を実行させ、
前記トルクセンサと前記モータと前記位置センサは、前記ジョイント内に配置され、
前記トルクセンサと前記モータと前記位置センサのそれぞれは、前記ジョイントに接続された前記2つのリンク機構に結合されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記メモリは、さらにコンピュータ実行可能な命令を記憶し、前記命令は前記プロセッサに、
前記少なくとも1つのパラメータと前記力とに基づいて、ジョイント位置のコマンド情報を特定することと、
前記ジョイント位置のコマンド情報を前記モータに送信することと、
前記コマンド情報に基づいて、前記基準点の前記移動方向の指標を特定することと、を実行させることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
命令が記憶された非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であって、前記命令が実行されると、少なくとも1つの計算装置に、
トルクセンサを有するロボットアームの基準点における力を特定することであって、前記ロボットアームは、2つのリンク機構と、前記2つのリンク機構を接続するジョイントと、前記2つのリンク機構の位置を調節するモータとを有し、前記トルクセンサは、前記2つのリンク機構の間のトルクを検出する、ことと、
前記基準点の移動方向の指標を受信することと、
前記力の1つの成分が、前記基準点の前記移動方向と同じ方向であることを特定することと、
前記力の前記1つの成分が、前記基準点の前記移動方向と同じ方向であることを特定することに基づいて、前記ロボットアームの移動に対する目標の抵抗力を示す少なくとも1つのパラメータを生成することと、
前記少なくとも1つのパラメータに基づいて、前記目標の抵抗力に応じて前記ロボットアームを移動するように前記モータを制御することと、
を実行させることを特徴とする非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項16】
前記非一時的なコンピュータ可読記憶媒体はさらなる命令を記憶し、前記さらなる命令が実行されると、少なくとも1つの計算装置に、
前記トルクセンサの出力に基づいて、前記少なくとも1つのジョイントにおける第1のトルク値を計測することと、
前記ロボットアームの位置に基づいて、前記少なくとも1つのジョイントにおける第2のトルク値を特定することであって、前記第2のトルク値は、前記少なくとも2つのリンク機構の間の前記トルクの重力成分を示す、ことと、
前記第1のトルク値と前記第2のトルク値との間の差に基づいて、前記基準点における前記力を特定することと、
を実行させることを特徴とする請求項15に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項17】
前記非一時的なコンピュータ可読記憶媒体はさらなる命令を記憶し、前記さらなる命令が実行されると、少なくとも1つの計算装置に、
前記力の不感帯を特定することと、
前記ロボットアームを移動するよう前記モータを制御するときに、前記不感帯外の前記力に応答するように前記ロボットアームの移動を制限することと、
を実行させることを特徴とする請求項15に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項18】
前記非一時的なコンピュータ可読記憶媒体はさらなる命令を記憶し、前記さらなる命令が実行されると、少なくとも1つの計算装置に、
前記不感帯の境界における前記力の値に平滑化関数を適用することと、
前記平滑化関数を適用することによって平滑化された力の値に基づいて、前記ロボットアームを移動するように前記モータを制御することと、
を実行させることを特徴とする請求項17に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項19】
前記非一時的なコンピュータ可読記憶媒体はさらなる命令を記憶し、前記さらなる命令が実行されると、少なくとも1つの計算装置に、
前記ロボットアームのボタンがユーザによって作動されると生成されるユーザ入力信号を受信することと、
ある期間の間に前記トルクセンサから受信する出力に基づいて前記トルクセンサを較正することと、
前記ユーザ入力信号の受信に応じて、かつ、前記トルクセンサの前記較正された出力に基づいて、前記基準点における前記力を特定することと、
を実行させることを特徴とする請求項15に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項20】
前記目標の抵抗力は、
前記ロボットアームの仮想質量を規定する少なくとも1つの第1のパラメータと、
前記ロボットアームの仮想減衰係数を規定する少なくとも1つの第2のパラメータと、
を有し、
前記非一時的なコンピュータ可読記憶媒体はさらなる命令を記憶し、前記さらなる命令が実行されると、少なくとも1つの計算装置に、
前記ロボットアームのモデルに基づいて前記ロボットアームを移動するように前記モータを制御することであって、前記モデルは、前記モータの制御と、前記基準点における前記力と、前記第1のパラメータと、前記第2のパラメータとの間の関係を規定する、こと、
を実行させることを特徴とする請求項15に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項21】
前記目標の抵抗力は、
前記力の前記成分が、前記基準点の前記移動方向と同じ方向であるか反対の方向であるかを特定することと、
前記力の前記成分が、前記基準点の前記移動方向と同じ方向であるか反対の方向であるかを特定することに基づいて、前記第1のパラメータおよび前記第2のパラメータの少なくとも1つのパラメータを調整することと、
を有することを特徴とする請求項20に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項22】
前記目標の抵抗力は、
前記力の前記成分が、前記基準点の前記移動方向と同じ方向であると特定することに応じて、前記第1のパラメータおよび前記第2のパラメータを小さくすること、を有することを特徴とする請求項20に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項23】
ロボットアームを位置決めする方法であって、
トルクセンサを有する前記ロボットアームの基準点における力を、前記トルクセンサの出力に基づいて特定することであって、前記ロボットアームは、2つのリンク機構と、前記2つのリンク機構を接続するジョイントと、前記2つのリンク機構の位置を調整するモータとを有し、前記トルクセンサは前記2つのリンク機構の間のトルクを検出する、ことと、
前記基準点の移動方向の指標を受信することと、
前記力の1つの成分が、前記基準点の前記動方向と同じ方向であることを特定することと、
前記力の1つの成分が、前記基準点の前記動方向と同じ方向であることを特定することに基づいて、前記ロボットアームの動きに対する目標の抵抗力を示す少なくとも1つのパラメータを生成することと、
前記少なくとも1つのパラメータに基づいて、前記目標の抵抗力に応じて前記ロボットアームを移動するように前記モータを制御することと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項24】
前記トルクセンサの出力に基づいて、前記少なくとも1つのジョイントにおける第1のトルク値を計測することと、
前記ロボットアームの位置に基づいて、前記少なくとも1つのジョイントにおける第2のトルク値を特定することであって、前記第2のトルク値は、前記少なくとも2つのリンク機構の間のトルクの重力成分を示す、ことと、
前記第1のトルク値と前記第2のトルク値との差に基づいて、前記基準点における前記力を特定することと、
をさらに含むことを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記力の不感帯を特定することと、
前記ロボットアームを移動するよう前記モータを制御するときに、前記不感帯外の前記力に応答するように前記ロボットアームの移動を制限することと、
をさらに含むことを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記不感帯の境界における前記力の値に平滑化関数を適用することと、
前記平滑化関数を適用することによって平滑化された力の値に基づいて、前記ロボットアームを移動するように前記モータを制御することと、
をさらに含むことを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記ロボットアームのボタンがユーザによって作動されると生成されるユーザ入力信号を受信することと、
ある期間の間に前記トルクセンサから受信する出力に基づいて前記トルクセンサを較正することと、
前記ユーザ入力信号の受信に応じて、かつ、前記トルクセンサの前記較正された出力に基づいて、前記基準点における前記力を特定することと、
をさらに含むことを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項28】
前記目標の抵抗力は、
前記ロボットアームの仮想質量を規定する少なくとも1つの第1のパラメータと、
前記ロボットアームの仮想減衰係数を規定する少なくとも1つの第2のパラメータと、
を有し、
前記方法は、
前記ロボットアームのモデルに基づいて前記ロボットアームを移動するように前記モータを制御することであって、前記モデルは、前記モータの制御と、前記基準点における前記力と、前記第1のパラメータと、前記第2のパラメータとの間の関係を規定する、こと、
をさらに含むことを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項29】
前記力の前記成分が、前記基準点の前記移動方向と同じ方向であるか反対の方向であるかを特定することと、
前記力の前記成分が、前記基準点の前記移動方向と同じ方向であるか反対の方向であるかを特定することに基づいて、前記第1のパラメータおよび前記第2のパラメータの少なくとも1つのパラメータを調整することと、
をさらに含むことを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記力の前記成分が、前記基準点の前記移動方向と同じ方向であると特定することに応じて、前記第1のパラメータおよび前記第2のパラメータを小さくすること、
をさらに含むことを特徴とする請求項28に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件開示のシステムおよび方法は手術ロボットアームのアドミッタンスに関し、より具体的には、ロボットアームに加わる力に基づいてロボットアームの姿勢を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡検査(例えば、気管支鏡検査)などの医療手技には、診断目的または治療目的で患者の管腔ネットワーク(例えば、気道)に医療道具を挿入することが含まれる。特定の手技では、1つまたは複数のロボットアームの位置が患者に合わせて調整される。ロボットアームの位置調整は、ロボットアームの位置を患者に関連付ける位置情報をシステムに提供する。ロボットアームは、ロボットアームと患者との位置調整時に、システムのユーザによって主導で再度位置決めを行うことができる。
【発明の概要】
【0003】
本件開示のシステム、方法および装置には、それぞれいくつかの革新的な側面があり、いずれも本明細書に開示する所望の特徴を単独で担うものではない。
【0004】
1つの側面では、(a)ロボットアームであって、少なくとも2つのリンク機構と、前記少なくとも2つのリンク機構を接続する少なくとも1つのジョイントと、前記少なくとも2つのリンク機構の間のトルクを検出する少なくとも1つのトルクセンサと、前記少なくとも2つのリンク機構の位置を調節する少なくとも1つのモータと、を有するロボットアームと、(b)プロセッサと、(c)コンピュータ実行可能な命令を記憶するメモリであって、前記命令は前記プロセッサに、前記トルクセンサの出力に基づいて、前記ロボットアーム上の基準点における力を特定することと、前記基準点の移動の方向の指標を受信することと、前記力の1つの成分が、前記基準点の移動の前記方向と同じ方向であることを特定することと、前記力の1つの成分が、前記基準点の移動の前記方向と同じ方向であることを特定することに基づいて、前記ロボットアームの動きに対する目標の抵抗力を示す少なくとも1つのパラメータを生成することと、前記少なくとも1つのパラメータに基づいて、前記目標の抵抗力に応じて前記ロボットアームを移動するように前記モータを制御することと、を実行させるメモリと、を有することを特徴とするシステムを提供する。
【0005】
別の側面では、命令が記憶された非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であって、前記命令が実行されると、少なくとも1つの計算装置に、トルクセンサを有するロボットアームの基準点における力を特定することであって、前記ロボットアームは、2つのリンク機構と、前記2つのリンク機構を接続するジョイントと、前記2つのリンク機構の位置を調節するモータとを有し、前記トルクセンサは、前記2つのリンク機構の間のトルクを検出する、ことと、前記基準点の移動方向の指標を受信することと、前記力の1つの成分が、前記基準点の前記移動方向と同じ方向であることを特定することと、前記力の前記1つの成分が、前記基準点の前記移動方向と同じ方向であることを特定することに基づいて、前記ロボットアームの移動に対する目標の抵抗力を示す少なくとも1つのパラメータを生成することと、前記少なくとも1つのパラメータに基づいて、前記目標の抵抗力に応じて前記ロボットアームを移動するように前記モータを制御することと、を実行させることを特徴とする非一時的なコンピュータ可読記憶媒体を提供する。
【0006】
さらに別の側面では、ロボットアームを位置決めする方法であって、トルクセンサを有する前記ロボットアームの基準点における力を、前記トルクセンサの出力に基づいて特定することであって、前記ロボットアームは、2つのリンク機構と、前記2つのリンク機構
を接続するジョイントと、前記2つのリンク機構の位置を調整するモータとを有し、前記トルクセンサは前記2つのリンク機構の間のトルクを検出する、ことと、前記基準点の移動の方向の指標を受信することと、前記力の1つの成分が、前記基準点の移動の前記方向と同じ方向であることを特定することと、前記力の1つの成分が、前記基準点の移動の前記方向と同じ方向であることを特定することに基づいて、前記ロボットアームの動きに対する目標の抵抗力を示す少なくとも1つのパラメータを生成することと、前記少なくとも1つのパラメータに基づいて、前記目標の抵抗力に応じて前記ロボットアームを移動するように前記モータを制御することと、を含むことを特徴とする方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本件開示の側面について、添付の図面および表と共に以下に説明するが、例示であって開示の側面を限定するものではなく、同様の構成要素には同様の名称を付す。
【0008】
図1】気管支鏡検査手技の診断および/または治療用に構成されたカートベースのロボットシステムの一実施形態を示す図である。
図2図1のロボットシステムの別の側面を示す図である。
図3】尿管鏡検査用に構成された図1のロボットシステムの一実施形態を示す図である。
図4】血管手技用に構成された図1のロボットシステムの一実施形態を示す図である。
図5】気管支鏡検査手技用に構成されたテーブルベースのロボットシステムの一実施形態を示す図である。
図6図5のロボットシステムの代替の図である。
図7】ロボットアームを収容するように構成されたシステムの一例を示す図である。
図8】尿管鏡検査用に構成されたテーブルベースのロボットシステムの一実施形態を示す図である。
図9】腹腔鏡検査用に構成されたテーブルベースのロボットシステムの一実施形態を示す図である。
図10】ピッチ調整または傾き調整された図5~9のテーブルベースのロボットシステムの一実施形態を示す図である。
図11図5~10のテーブルベースのロボットシステムのテーブルとカラムとの間のインタフェースの詳細図である。
図12】例示的な器具駆動部を示す図である。
図13】組になった器具駆動部を有する例示的な医療器具を示す図である。
図14】駆動ユニットの軸が器具の細長いシャフトの軸と平行である、器具駆動部および器具の代替の設計を示す図である。
図15】実施形態の一例における、図13や14の器具の位置など、図1~10のロボットシステム1つまたは複数の要素の位置を推定する位置決めシステムを示すブロック図である。
図16】本件開示の側面に係る、ロボットアームの移動をアドミッタンス制御モードで制御するカートベースのロボットシステムの一実施形態を示す図である。
図17】本件開示の側面に係る、気管支鏡検査手技用のセットアップ手順の一例の特徴を示すフローチャートである。
図18】本件開示の側面に係る、ロボットアームに加わる力を特定して、特定した力に基づいてロボットアームを移動する手順の一例を示すフローチャートである。
図19】本件開示の側面において、ロボットアームに加わる力を計算する手法を説明する、ロボットアームの自由物体図である。
図20】ロボットアームの基準点において検出された力を、ロボットアームの移動制御のための入力として使用する手順の一例を示すブロック図である。
図21】本件開示の側面において、計測された基準点の力に適用される不感帯関数の一例を示すグラフである。
図22】本件開示の側面において、手術ロボットシステムまたはその構成要素によって実行可能なアドミッタンス制御方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(1.はじめに)
本件開示の側面は、腹腔鏡検査などの低侵襲の手技や内視鏡検査などの非侵襲の手技を含む種々の医療手技を実行可能なロボット対応医療システムに組み込むことができる。内視鏡検査の手技においては、本システムは、気管支鏡検査、尿管鏡検査、消化器病検査などを実行することができる。
【0010】
本システムは、さまざまな手技を実行できることに加えて、術者を支援する強化された画像取得や誘導など、追加の利点を提供することができる。また、本システムは、扱いにくいアームの動きや位置などに対応する必要なく、人工工学による位置から手技を行うことが可能な機能を術者に提供することができる。さらに、本システムは、システムの1つまたは複数の器具を1人のユーザで制御可能な使いやすさが向上した手技を行うことが可能な機能を術者に提供することができる。
【0011】
以下に、例示目的の図面とともに種々の実施形態について説明する。開示の技術的思想のその他多数の実装が可能であり、さまざまな利点が開示の実装と共に得られる。また、ここには、参照用および多数の節の位置がわかるように見出しが含まれている。これらの見出しは、見出しが示す技術思想の範囲を制限するものではない。それぞれの技術思想は本明細書全体にわたって適用されてよい。
【0012】
(A.ロボットシステム-カート)
ロボット対応医療システムは、特定手技に応じてさまざまに構成することができる。図1は、気管支鏡検査の診断手技および/または治療樹技用に配置されたカートベースのロボット対応システム10の一実施形態を示す。気管支検査時に、システム10は、気管支鏡検査用の手技に特化した気管支鏡を自然開口部のアクセスポイント(この例ではテーブルに配置された患者の口など)に操作可能な内視鏡13などの医療器具を搬送して診断用の道具および/または治療用の道具を搬送するための、1つまたは複数のロボットアーム12を有するカート11を備える。図に示すように、カート11は、当該アクセスポイントにアクセスするために、患者の上半身に近い位置に配置されている。同様に、ロボットアーム12は、当該アクセスポイントに対して気管支鏡を配置するように作動可能である。図1に示す配置は、胃腸に関する(GI;gastro-intestinal)手技用の特別な内視鏡
である胃鏡を用いた胃腸に関する手技を行うときにも使用できる。図2は、カートの一例である実施形態をより詳細に示す。
【0013】
引き続き図1を参照すると、カート11が適切に位置決めされると、ロボットアーム12は操縦可能な内視鏡13を患者に、ロボットにより、手動により、またはそれらの組み合わせにより挿入することができる。図示のように、操縦可能な内視鏡13は内側リーダ部分および外部シース部分などの少なくとも2つの入れ子式部分を備えることができ、各部分は器具ドライバ28のセットから別個の器具ドライバに結合され、各器具ドライバは個々のロボットアームの遠位端に結合される。リーダ部分をシース部分と同軸に位置合わせすることを容易にする、器具ドライバ28のこの線形配置は、1つ以上のロボットアーム12を異なる角度および/または位置に操作することによって、空間内で再配置され得る「仮想レール」29を作成する。本明細書で説明する仮想レールは破線を使用して図示され、したがって、破線はシステムのいかなる物理的構造も示さない。仮想レール29に沿った器具ドライバ28の移動は外部シース部分に対して内側リーダ部分を入れ子式にし
、または内視鏡13を患者から前進または後退させる。仮想レール29の角度は、臨床用途または医師の好みに基づいて、調整、移動、および旋回されてもよい。例えば、気管支鏡検査では、図示のような仮想レール29の角度および位置が内視鏡13を患者の口内に曲げることに起因する摩擦を最小限に抑えながら、内視鏡13への医師のアクセスを提供することの折衷案を表す。
【0014】
内視鏡13は、挿入後、ロボットシステムからの正確なコマンドを使用して、目標位置または手術部位に到達するまで、患者の気管および肺に向けられ得る。患者の肺ネットワークを通るナビゲーションを強化し、かつ/または所望の標的に到達するために、内視鏡13を操作して、外部シース部分から内側リーダ部分を入れ子式に延ばして、関節動作を強化し、曲げ半径を大きくすることができる。別個の器具ドライバ28の使用はまた、リーダ部分およびシース部分が、互いに独立して駆動されることを可能にする。
【0015】
例えば、内視鏡13は例えば、患者の肺内の病変または小結節などの標的に生検針を送達するように指示されてもよい。針は病理学者によって分析されるべき組織サンプルを得るために、内視鏡の長さにわたるワーキングチャネルに沿って展開され得る。病理学的結果に応じて、追加のツールが追加の生検のために、内視鏡のワーキングチャネルの下方に配置されてもよい。悪性である結節を同定した後、内視鏡13は、潜在的に癌性の組織を切除するためのツールを内視鏡的に送達し得る。いくつかの例において、診断および治療手技は、別々の手続で送達される必要があり得る。これらの状況では、内視鏡13はまた、基準を送達して、対象小結節の位置を「マーキング」するために使用され得る。他の例において、診断および治療手技は、同じ手順の間に送達され得る。
【0016】
システム10はまた、可動タワー30を含むことができ、このタワー30は、支持ケーブルを介してカート11に接続されて、カート11に対する制御、電子機器、流体工学、光学系、センサ、および/または電力のためのサポートを提供することができる。このような機能をタワー30内に配置することにより、より小さなフォームファクタのカート11が可能になり、これは、手術医師およびそのスタッフによって、より容易に調整および/または再配置され得る。さらに、カート/テーブルと支持タワー30との間の機能の分割は手術室の混乱を低減し、臨床作業の流れを改善することを容易にする。カート11を患者の近くに配置することができるが、タワー30は手技中に邪魔にならないように離れた場所に収容することができる。
【0017】
上述のロボットシステムのサポートにおいて、タワー30はコンピュータプログラム命令を、例えば、永続的磁気記憶ドライブ、ソリッドステートドライブなどの非一時的コンピュータ可読記憶媒体内に記憶するコンピュータベースの制御システムの構成要素を含むことができる。これらの命令の実行は、実行がタワー30またはカート11内で行われるかどうかにかかわらず、システム全体またはそのサブシステムを制御することができる。例えば、コンピュータシステムのプロセッサによって実行される場合、命令はロボットシステムの構成要素に、関連するキャリッジおよびアームマウントを作動させ、ロボットアームを作動させ、医療器具を制御させることができる。例えば、制御信号の受信に応じて、ロボットアームのジョイント内のモータは、アームを特定の姿勢に位置決めすることができる。
【0018】
タワー30はまた、内視鏡13を通して展開され得るシステムに制御された潅注および吸引能力を提供するために、ポンプ、流量計、弁制御、および/または流体アクセスを含み得る。これらの構成要素は、タワー30のコンピュータシステムを使用して制御することもできる。いくつかの実施形態では、洗浄および吸引能力が別個のケーブルを介して内視鏡13に直接送達されてもよい。
【0019】
タワー30はカート11にフィルタされ保護された電力を供給するように設計された電圧およびサージプロテクタを含むことができ、それによって、カート11内に電力変圧器および他の補助電力部品を配置することが回避され、その結果、より小さく、より可動性の高いカート11が得られる。
【0020】
タワー30はまた、ロボットシステム10全体に展開されるセンサのための支持装置を含むことができる。例えば、タワー30はロボットシステム10全体にわたって光学センサまたはカメラから受信したデータを検出し、受信し、処理するための光電子機器を含むことができる。制御システムと組み合わせて、このような光電子機器を使用して、タワー30を含むシステム全体に配置された任意の数のコンソールに表示するためのリアルタイム画像を生成することができる。同様に、タワー30は配置された電磁(EM;Electromagnetic)センサから受信された信号を受信し、処理するための電子サブシステムも含む
ことができる。タワー30はまた、医療器具内または医療器具上の電磁センサによる検出のために電磁場発生器を収容し、位置決めするために使用されてもよい。
【0021】
タワー30は、システムの残りの部分で利用可能な他のコンソール、例えばカートの頂部に取り付けられたコンソールに加えて、コンソール31を含むこともできる。コンソール31は、ユーザインタフェースと、医師の操作者のためのタッチスクリーンなどの表示画面とを含むことができる。システム10内のコンソールは一般に、ロボット制御と、内視鏡13のナビゲーションおよび位置決め情報などの手術前およびリアルタイム情報との両方を提供するように設計される。コンソール31が医師が利用できる唯一のコンソールではない場合、看護師のような第二の操作者によって、患者の健康状態や活動状態とシステムの動作を監視し、ナビゲーションおよび位置決め情報などの手続固有のデータを提供するために使用することができる。他の実施形態では、コンソール30は、タワー30とは別の筐体内に格納されている。
【0022】
タワー30は、1つまたは複数のケーブルまたは接続部(図示せず)を介してカート11および内視鏡13に結合することができる。いくつかの実施形態では、タワー30からのサポート機能が単一のケーブルを介してカート11に提供されてもよく、手術室を単純化し、混乱を解消する。他の実施形態では、特定の機能が別個のケーブル配線および接続で結合されてもよい。例えば、単一の電力ケーブルを介してカートに電力を供給することができるが、制御、光学、流体、および/またはナビゲーションのための支持体は別個のケーブルを介して提供することができる。
【0023】
図2は、図1に示されたカートベースのロボット使用可能システムからのカートの実施形態の詳細図を提供する。カート11は全体として、細長い支持構造14(しばしば「カラム」と呼ばれる)、カート基部15、およびカラム14の上端部にコンソール16を含む。カラム14は、1つまたは複数のロボットアーム12(図2には3つが示されている)の展開を支持するためのキャリッジ17(あるいは「アーム支持体」)などの1つまたは複数のキャリッジを含むことができる。キャリッジ17は、患者に対してより良好に位置決めするためにロボットアーム12の基部を調整するために垂直軸に沿って回転する個別に構成可能なアームマウントを含むことができる。キャリッジ17はまた、キャリッジ17がカラム14に沿って垂直に移動することを可能にするキャリッジインタフェース19を含む。
【0024】
キャリッジインタフェース19は、キャリッジ17の垂直方向の移動を案内するためにカラム14の両側に配置されたスロット20のようなスロットを介してカラム14に接続されている。スロット20はキャリッジをカート基部15に対して種々の垂直高さに位置決めし、保持するための垂直移動インタフェースを含む。キャリッジ17の垂直移動は、カート11が様々なテーブル高さ、患者サイズ、および医師の好みに合うようにロボット
アーム12の到達範囲を調整することを可能にする。同様に、キャリッジ17上の個々に構成可能なアームマウントは、ロボットアーム12のロボットアームベース21が様々な構成で角度付けされることを可能にする。
【0025】
いくつかの実施形態では、スロット20がキャリッジ17が垂直に移動するときに、カラム14の内部チャンバおよび垂直移動インタフェース内への汚れおよび流体の進入を防止するために、スロット表面と面一であり、かつ平行であるスロットカバーで補足されてもよい。スロットカバーは、スロット20の縦上端部および底部の近くに配置されたバネスプールの対を通して展開されてもよい。カバーはキャリッジ17が垂直に上下に平行移動するときに、展開されてそれらのコイル状態から伸縮するまで、スプール内でコイル状に巻かれる。スプールのばね荷重はキャリッジ17がスプールに向かって移動するときにカバーをスプール内に引っ込める力を提供し、一方、キャリッジ17がスプールから離れるように移動するときにも緊密な捺印を維持する。カバーは例えば、キャリッジ17が移動するときにカバーの適切な伸縮を確実にするために、キャリッジインタフェース19内のブラケットを使用して、キャリッジ17に接続されてもよい。
【0026】
カラム14はユーザ入力、例えばコンソール16からの入力に応答して生成される制御信号に応答して機械的な方法でキャリッジ17を移動させるために、垂直に位置合わせされた親ねじを使用するように設計された、歯車およびモータなどの機構を内部に備えることができる。
【0027】
ロボットアーム12は一般に、一連のジョイント24によって接続された一連のリンク機構23によって分離されたロボットアーム基部21およびエンドエフェクタ22を備えることができ、各ジョイントは独立したアクチュエータを備え、各アクチュエータは独立して制御可能なモータを備える。各独立して制御可能なジョイントは、ロボットアームに利用可能な独立した自由度を表す。アーム12のそれぞれは7つのジョイントを有し、したがって、7つの自由度を提供する。多数のジョイントは多数の自由度をもたらし、「冗長である」自由度を可能にする。冗長な自由度は、ロボットアーム12が異なる結合位置および関節角を使用して、空間内の特定の位置、向き、および軌道にそれぞれのエンドエフェクタ22を位置決めすることを可能にする。これにより、システムは医師が腕の関節を患者から離れた臨床的に有利な位置に移動させて、腕の衝突を回避して、より広いアクセス範囲を実現しながら、空間内の所望の位置から医療器具を位置決めしたり方向付けたりすることが可能になる。
【0028】
カート基部15は、床上のカラム14、キャリッジ17、およびアーム12の重量を釣り合わせる。したがって、カート基部15は、電子機器、モータ、電源などのより重い構成要素、ならびにカートの移動および/または固定のいずれかを可能にする構成要素を収容する。例えば、カート基部15は、手技の前にカートが部屋の周りを容易に移動することを可能にする、回転可能なホイール形状のキャスタ25を含む。適切な位置に到達した後、キャスタ25は、手続中にカート11を所定の位置に保持するためにホイールロックを使用して固定されてもよい。
【0029】
コンソール16はカラム14の垂直端部に配置されているので、ユーザ入力を受け取るためのユーザインタフェースと、医師ユーザに手術前および手術中の両方のデータを提供するための表示画面(または、例えば、タッチスクリーン26などの二目的用装置)との両方を可能にする。タッチスクリーン26上の潜在的な術前データは、術前計画、術前コンピュータ断層撮影(CT)スキャンから導出されたナビゲーションおよびマッピングデータ、および/または術前患者インタビューからの注を含むことができる。ディスプレイ上の手術中データは、器具から提供される光学情報、センサおよびセンサからの座標情報、ならびに呼吸、心拍数、および/または脈拍などの患者の活動統計を含むことができる
。コンソール16は医師がキャリッジ17の反対側のカラム14の側からコンソールにアクセスすることができるように、配置され、傾斜されてもよい。この位置から、医師はカート11の背後からコンソール16を操作しながら、コンソール16、ロボットアーム12、および患者を見ることができる。図示のように、コンソール16はまた、カート11の操縦および安定化を補助するためのハンドル27を含む。
【0030】
図3は、尿管鏡検査のために配置されたロボット使用可能システム10の実施形態を示す。尿管鏡手技では、カート11が患者の尿道および尿管を横切るように設計された手技特有の内視鏡である尿管鏡32を患者の下腹部領域に送達するように配置されてもよい。尿管鏡検査では、尿管鏡32を患者の尿道と直接位置合わせして、領域内の繊細な解剖学的構造に対する摩擦および力を低減することが望ましい場合がある。図に示されるように、カート11はロボットアーム12が患者の尿道への直接的な線形アクセスのために尿管鏡32を位置決めすることを可能にするために、テーブルの足に位置合わせすることができる。テーブルの足から、ロボットアーム12は、尿管鏡32を仮想レール33に沿って尿道を通して患者の下腹部に直接挿入することができる。
【0031】
尿道への挿入後、気管支鏡検査におけるのと同様の制御手法を使用して、尿管鏡32は診断および/または治療用途のために、膀胱、尿管、および/または腎臓内にナビゲートされ得る。例えば、尿管鏡32は、尿管鏡32のワーキングチャネルの下に配置されたレーザまたは超音波砕石装置を用いて、尿管および腎臓に向けられて、腎結石の蓄積を破壊することができる。砕石術が完了した後、得られた結石断片は、尿管鏡32の下方に配置されたバスケットを用いて除去され得る。
【0032】
図4は、血管手技のために同様に配置されたロボット使用可能システムの実施形態を示す。血管手技では、システム10がカート11が操縦可能なカテーテルなどの医療器具34を患者の脚の大腿動脈内のアクセスポイントに送ることができるように構成することができる。大腿動脈はナビゲーションのためのより大きな直径と、患者の心臓への比較的遠回りで曲がりくねった経路との両方の特徴があり、このためナビゲーションを単純化できる。尿管鏡手技におけるように、カート11は、ロボットアーム12が患者の大腿/股関節領域における大腿動脈アクセスポイントへの直接的な線形アクセスを有する仮想レール35を提供することを可能にするように、患者の脚および下腹部に向かって配置され得る。動脈内への挿入後、医療器具34は、器具ドライバ28を移動させることによって方向付けられ、挿入されてもよい。あるいは、カートが例えば、肩および手首の近くの頸動脈および上腕動脈などの代替の血管アクセスポイントに到達するために、患者の上腹部の周りに配置されてもよい。
【0033】
(B.ロボットシステム-テーブル)
ロボット対応医療システムの実施形態はまた、患者のテーブルを組み込んでもよい。テーブルを組み込むことにより、カートを取り外すことによって手術室内の資本設備の量が減少し、患者へのアクセスがより大きくなる。図5は、気管支鏡検査手順のために配置されたそのようなロボット使用可能システムの実施形態を示す。システム36は、床の上にプラットフォーム38(「テーブル」または「ベッド」として示される)を支持するための支持構造または支柱37を含む。カートベースのシステムと同様に、システム36のロボットアーム39のエンドエフェクタは、図5の気管支鏡40などの細長い医療器具を、器具ドライバ42の直線的な位置合わせから形成された仮想レール41を通して、またはそれに沿って操作するように設計された器具ドライバ42を備える。実際には、X線透視画像を提供するためのCアームがテーブル38の周りにエミッタおよび検出器を配置することによって、患者の上腹部領域の上に配置され得る。
【0034】
図6は、説明のため患者および医療器具を除いたシステム36の代替図を示す。図示さ
れているように、カラム37はシステム36内にリング形状として示されている1つ以上のキャリッジ43を含むことができ、このキャリッジを基に1つ以上のロボットアーム39を構成することができる。キャリッジ43はロボットアーム39が患者に到達するように配置され得る異なる視点を提供するために、カラム37の長さに沿って延びる垂直カラムインタフェース44に沿って移動してもよい。キャリッジ43は、カラム37内に配置された機械的モータを使用してカラム37の周りを回転して、ロボットアーム39がテーブル38の複数の側、例えば患者の両側にアクセスできるようにすることができる。複数のキャリッジを有する実施形態では、キャリッジがカラム上に個別に配置されてもよく、他のキャリッジとは独立して移動および/または回転してもよい。キャリッジ43はカラム37を取り囲む必要はなく、または円形である必要もないが、図示されるようなリング形状は構造的バランスを維持しながら、カラム37の周りのキャリッジ43の回転を容易にする。キャリッジ43の回転および移動により、システムは、内視鏡および腹腔鏡のような医療器具を患者の異なるアクセスポイントに位置合わせすることができる。他の実施形態(図示せず)では、システム36は、調節可能なアーム支持部を有する患者テーブルまたはベッドを備えてもよく、アーム支持部はテーブルまたはベッドに沿って延伸するバーやレールの形態として設けることができる。1つまたは複数のロボットアーム39(肘関節を有する肩部を介するなどによる)は、上記の調節可能なアーム支持部を垂直方向に調整して取り付けることができる。垂直方向の調整ができることで、ロボットアーム39は、患者テーブルまたは別途の下にコンパクトに収容でき、後で手技時に引き上げることができる。
【0035】
アーム39は、ロボットアーム39に追加の構成要素を提供するために個別に回転および/または入れ子式に延在することができる一連のジョイントを備える一組のアームマウント45を介してキャリッジに取り付けることができる。さらに、アームマウント45は、キャリッジ43が適切に回転されたときに、アームマウント45がテーブル38の同じ側(図6に示す)、テーブル38の反対側(図9に示す)、またはテーブル38の隣接する側(図示せず)のいずれかに配置されるように、キャリッジ43上に配置されてもよい。
【0036】
カラム37は構造的に、テーブル38を支持し、キャリッジを垂直方向に移動させるための経路を提供する。内部においては、カラム37がキャリッジの垂直移動を案内するためのリードスクリューと、リードスクリューに基づいて前記キャリッジの移動を機械化するためのモータとを備えることができる。カラム37はまた、キャリッジ43およびその上に取り付けられたロボットアーム39に電力および制御信号を伝達することができる。
【0037】
テーブル基部46は図2に示すカート11のカート基部15と同様の機能を果たし、テーブル/ベッド38、カラム37、キャリッジ43、およびロボットアーム39をバランスさせるためのより重い構成要素を収容する。テーブル基部46はまた、手続中の安定性を提供するために、硬性キャスタを組み込んでもよい。キャスタはテーブル基部46の下端から展開されて、基部46の両側で反対方向に延在し、システム36を移動させる必要があるときに後退することができる。
【0038】
引き続き図6を参照すると、システム36は、テーブルとタワーとの間でシステム36の機能を分割してテーブルのフォームファクタおよびバルクを低減するタワー(図示せず)を含むこともできる。上記の実施形態と同様に、タワーは、処理、計算、および制御能力、電力、流体工学、ならびに/または光学およびセンサ処理などの様々なサポート機能をテーブルに提供することができる。タワーはまた、医師のアクセスを改善し、手術室を煩雑にしないようにするために、患者から離れて配置されるように移動可能であってもよい。さらに、タワー内に部品を配置することにより、ロボットアームの潜在的な収納のためのテーブル基部内のより大きい収納スペースが実現する。タワーはまた、キーボードお
よび/またはペンダントなどのユーザ入力のためのユーザインタフェースと、リアルタイム画像、ナビゲーション、および追跡情報などの術前および術中情報のための表示画面(またはタッチスクリーン)との両方を提供するコンソールを含むことができる。
【0039】
いくつかの実施形態では、テーブル基部が使用されていないときにロボットアームを収納し、格納することができる。図7は、テーブルベースのシステムの一実施形態においてロボットアームを収容するシステム47を示す。システム47では、キャリッジ48がロボットアーム50、アームマウント51、およびキャリッジ48を基部49内に収容するために、基部49内に垂直に移動させることができる。基地カバー52は、キャリッジ48、アームマウント51、およびアーム50を列53の近辺に展開するために移動されて開閉され、使用されていないときにそれらを保護するために閉じられてもよい。基部カバー52は、その開口部の縁部に沿って膜54で封止されて、閉鎖時の汚れおよび流体の進入を防止することができる。
【0040】
図8は、尿管鏡検査手順のために構成されたロボット使用可能なテーブルベースのシステムの実施形態を示す。尿管鏡検査では、テーブル38が患者をカラム37およびテーブル基部46から外れた角度に位置決めするための旋回部分55を含むことができる。旋回部分55は旋回部分55の下端を支柱37から離して位置決めするために、旋回点(例えば、患者の頭部の下に位置する)の周りで回転または旋回してもよい。例えば、旋回部分55の旋回は、Cアーム(図示せず)がテーブル38の下のカラム(図示せず)と空間を競合することなく、患者の下腹部の上に配置されることを可能にする。キャリッジ35(図示せず)を支柱37の周りに回転させることによって、ロボットアーム39は、尿管鏡56を仮想レール57に沿って患者の鼠径部に直接挿入して尿道に到達させることができる。尿管鏡検査では、手技中に患者の脚の位置を支持し、患者の鼠径部への明確なアクセスを可能にするために、スターラップ58をテーブル38の旋回部分55に固定することもできる。
【0041】
腹腔鏡手技では、患者の腹壁の小さな切開を通して、最小侵襲性器具(1つ以上の切開のサイズに適応するように細長い形状)が患者の解剖学的構造に挿入され得る。患者の腹腔を膨張させた後、しばしば腹腔鏡と呼ばれる器具は把持、切断、切除、縫合などの手術タスクを実行するように指示されてもよく、図9は腹腔鏡手技のために構成されたロボット使用可能なテーブルベースのシステムの実施形態を示す。図9に示されるように、システム36のキャリッジ43はテーブル38の両側にロボットアーム39の対を位置決めするように回転され、垂直に調整され、その結果、腹腔鏡59は患者の腹腔に到達するために患者の両側の最小切開部を通過するようにアームマウント45を使用して位置決めされ得る。
【0042】
腹腔鏡手技に適応するために、ロボット使用可能テーブルシステムは、プラットフォームを所望の角度に傾斜させることもできる。図10は、ピッチまたはチルト調整を有するロボット使用可能医療システムの実施形態を示す。図10に示すように、システム36は、テーブル38の傾斜に適応して、テーブルの一部分を床から他の部分よりも大きな距離に位置決めすることができる。さらに、アームマウント45はアーム39がテーブル38と同じ平面関係を維持するように、傾きに合わせて回転することができる。より急勾配の角度に適応するために、カラム37は、カラム37の垂直延長部がテーブル38が床に触れたり基部46と衝突したりしないようにする入れ子式部分60を含むこともできる。
【0043】
図11は、テーブル38とカラム37との間のインタフェースの詳細を示す。ピッチ回転機構61は、欄37に対するテーブル38のピッチ角を複数の自由度で変更するように構成されてもよい。ピッチ回転機構61はカラム・テーブル・インタフェースにおける直交軸1、2の位置決めによって可能にすることができ、各軸は、電気的なピッチ角コマン
ドに応答して各軸が別個のモータ3、4によって作動される。一方のねじ5に沿った回転は一方の軸1における傾斜調整を可能にし、他方のねじ6に沿った回転は、他方の軸2に沿った傾斜調整を可能にする。いくつかの実施形態では、ボールジョイントを用いて、複数の自由度でカラム37に対する相対的なテーブル38のピッチ角を変更することができる。
【0044】
例えば、ピッチ調整は下腹部手術のために、テーブルをトレンデレンブルグ位置に位置決めしようとするとき、すなわち、患者の下腹部を患者の下腹部よりも床から高い位置に位置決めしようとするとき、特に有用である。トレンデレンブルグ位置は患者の内部器官を重力によって患者の上腹部に向かってスライドさせ、腹腔鏡前立腺切除術などの下腹部手術手技を開始して実行するための最小侵襲性ツール(minimally invasive tool)のため
に腹腔の空間を空ける。
【0045】
(C.器具ドライバとインタフェース)
システムのロボットアームのエンドエフェクタは、(1)医療器具を作動させるための電気機械的手段を組み込む器具ドライバ(あるいは「器具駆動機構」または「器具装置マニピュレータ(IDM;instrument device manipulator)」と呼ばれる)と、(2)モ
ータなどの任意の電気機械的構成要素を削除できる取り外し可能または取り外し可能な医療器具とを備える。この二分法は、医療手技に使用される医療器具を滅菌する必要性、およびそれらの複雑な機械的アセンブリおよび繊細な電子機器のために高価な資本設備を適切に滅菌することができないことが起因となりうる。したがって、医療器具は医師または医師のスタッフによる個々の滅菌または廃棄のために、器具ドライバ(したがってシステム)から取り外し、取り外し、および交換されるように設計されてもよい。対照的に、器具ドライバは、交換または滅菌される必要はなく、保護のためにドレープで覆われてもよい。
【0046】
図12は、例示的な器具ドライバを示す。ロボットアームの遠位端に配置された器具ドライバ62は駆動シャフト64を介して医療器具に制御されたトルクを提供するために、平行軸に配置された1つ以上の駆動ユニット63を備える。各駆動ユニット63は器具と相互作用するための個々の駆動シャフト64と、モータシャフトの回転を所望のトルクに変換するためのギアヘッド65と、駆動トルクを生成するためのモータ66と、モータシャフトの速度を測定し、制御回路にフィードバックを提供するためのエンコーダ67と、制御信号を受信し、駆動ユニットを作動させるための制御回路68とを備える。各駆動ユニット63は独立して制御され、電動化されており、器具ドライバ62は、医療器具に複数(図12に示すように4つ)の独立した駆動出力を提供することができる。動作中、制御回路68は制御信号を受信し、モータ信号をモータ66に送信し、エンコーダ67によって測定された結果のモータ速度を所望の速度と比較し、モータ信号を変調して所望のトルクを生成する。
【0047】
無菌環境を必要とする手技では、ロボットシステムが器具ドライバと医療器具との間に位置する、無菌ドレープに接続された無菌アダプタなどの駆動インタフェースを組み込むことができる。無菌アダプタの主な目的は駆動シャフトと駆動入力との間の物理的分離、したがって無菌性を維持しながら、器具ドライバの駆動シャフトから器具の駆動入力に角運動を伝達することである。したがって、例示的な無菌アダプタは、器具ドライバの駆動シャフトおよび器具上の駆動入力と嵌合されることが意図される一連の回転入力および出力を備えてもよい。滅菌アダプタに接続された滅菌ドレープは透明または半透明プラスチックなどの薄い軟性材料からなり、器具ドライバ、ロボットアーム、およびカート(カートベースのシステム内)またはテーブル(テーブルベースのシステム内)などの資本設備を覆うように設計される。ドレープの使用は滅菌を必要としない領域(すなわち、非滅菌領域)に依然として配置されている間に、患者の近くに資本設備を配置することを可能に
する。滅菌ドレープの反対側では、医療器具が滅菌を必要とする領域(すなわち、滅菌野)において患者と接触することができる。
【0048】
(D.医療器具)
図13は、組になった器具ドライバを有する例示的な医療器具を示す。ロボットシステムと共に使用するように設計された他の器具と同様に、医療器具70は、細長いシャフト71(または細長い本体)および器具基部72を備える。医師による手動操作向けの設計として「器具ハンドル」とも呼ばれる器具基部72は、全体として、ロボットアーム76の遠位端で器具ドライバ75上の駆動インタフェースを通って延びる駆動出力74と嵌合するように設計された、回転可能な駆動入力73、例えば、レセプタクル、プーリ、またはスプールを備えてもよい。物理的に接続され、ラッチされ、および/または結合されると、器具基部72の嵌合された駆動入力73は器具ドライバ75内の駆動出力74と回転軸を共有し、駆動出力74から駆動入力73へのトルクの伝達が可能になる。いくつかの実施形態では、駆動出力74が駆動入力73上のレセプタクルと嵌合するように設計されたスプラインを備えてもよい。
【0049】
細長いシャフト71は例えば、内視鏡検査におけるように、解剖学的な開口またはルーメン、または、例えば、腹腔鏡検査におけるように、最小侵襲性切開のいずれかを介して送られるように設計される。細長いシャフト66は軟性(例えば、内視鏡と同様の特性を有する)または硬性(例えば、腹腔鏡と同様の特性を有する)のいずれかであり得るか、または軟性部分および硬性部分の両方のカスタマイズされた組み合わせを含み得る。腹腔鏡検査用に設計される場合、硬性の細長いシャフトの遠位端は回転軸を有するUリンクと、器具ドライバ75の駆動出力74から受け取ったトルクに応じて駆動入力が回転するときにテンドンからの力に基づいて作動され得る、例えば、1つまたは複数の把持器などの手術用道具とから形成される接合手首を備えるエンドエフェクタに接続されてもよい。内視鏡検査用に設計される場合、可撓性の細長いシャフトの遠位端は、器具ドライバ75の駆動出力74から受け取られるトルクに基づいて関節動作および屈曲され得る、操縦可能または制御可能な屈曲部を含み得る。
【0050】
器具ドライバ75からのトルクは、シャフト71内のテンドンを使用して細長いシャフト71に伝達される。プルワイヤなどのこれらの個々のテンドンは、器具ハンドル72内の個々の駆動入力73に個々に固定することができる。ハンドル72から、テンドンは、細長いシャフト71内の1つ以上のプルルーメンに向けられ、細長いシャフト71の遠位部分に固定される。腹腔鏡検査では、これらのテンドンが手首、把持器、またはさみなどの遠位に取り付けられたエンドエフェクタに結合されてもよい。このような構成の下では、駆動入力73に及ぼされるトルクがテンドンに表面張力を伝達し、それによってエンドエフェクタを何らかの方法で作動させる。腹腔鏡検査では、テンドンは関節を軸の周りに回転させ、それによってエンドエフェクタを一指示または別の指示に移動させることができる。あるいはテンドンは細長いシャフト71の遠位端において、把持器の1つ以上の顎に接続され得、ここで、テンドンからの張力によって把持器が閉じる。
【0051】
内視鏡検査では、テンドンは接着剤、制御リング、または他の機械的固定を介して、細長いシャフト71に沿って(例えば、遠位端で)配置された屈曲または関節動作部に結合されてもよい。屈曲部の遠位端に固定して取り付けられると、駆動入力73に及ぼされるトルクがテンドンに伝達され、より柔軟性のある屈曲部(関節部または関節動作領域と呼ばれることもある)を屈曲または関節動作させる。非屈曲部に沿って、個々のテンドンを内視鏡シャフトの壁に沿って(または内側に)向ける個々のプルルーメンを螺旋状または螺旋状にして、プルワイヤの表面張力から生じる半径方向の力を釣り合わせることが効果的であり得る。スパイラルの角度および/またはそれらの間の間隔は特定の目的のために変更または設計されてもよく、スパイラルを緊密にすると荷重力下でのシャフト圧縮が小
さくなり、一方、スパイラルを少なくすると荷重力下でのシャフト圧縮が大きくなるが限界曲げとなる。スペクトルの他端では、プルルーメンが細長いシャフト71の長手方向軸に平行に向けられて、所望の屈曲または関節動作可能な部分における制御された関節動作が可能となる。
【0052】
内視鏡検査では、細長いシャフト71がロボットシステム手続を補助するために、いくつかの構成要素を収容する。シャフトは、シャフト71の遠位端における手術領域に手術ツール、潅注、および/または吸引を展開するためのワーキングチャネルを備えてもよい。シャフト71はまた、ワイヤおよび/または光ファイバを収容して、光学カメラを含み得る遠位先端の光学アセンブリへ/から信号を伝達し得る。シャフト71はまた、光ファイバを収容して、発光ダイオードなどの近位に位置する光源からシャフトの遠位端に光を運ぶことができる。
【0053】
器具70の遠位端において、遠位先端はまた、診断および/または治療、潅注、および吸引のためのツールを手術部位に送達するためのワーキングチャネルの開口部を備え得る。遠位先端はまた、内部解剖学的空間の画像を取得するために、ファイバースコープまたはデジタルカメラなどのカメラのためのポートを含んでもよい。関連して、遠位先端はまた、カメラを使用するときに解剖学的空間を照明するための光源のためのポートを含み得る。
【0054】
図13の例では駆動シャフト軸、したがって駆動入力軸は細長いシャフトの軸に直交する。しかしながら、この配置では、細長いシャフト71のロール機能が複雑になる。駆動入力73を静止状態に保ちながら、細長いシャフト71をその軸に沿って回転させると、テンドンが駆動入力73から延出して細長いシャフト71内のプルルーメンに入るときに、テンドンの望ましくない絡み合いが生じる。そのようなテンドンによって生じる絡み合いは、内視鏡手技時に可撓性の細長いシャフトの移動を予測することを目的とする任意の制御アルゴリズムの障害となり得る。
【0055】
図14は器具ドライバおよび器具の代替設計を示し、駆動ユニットの軸が器具の細長いシャフトの軸に平行である。図示のように、円形の器具ドライバ80は、ロボットアーム82の端部に平行に位置合わせされた駆動出力81を有する4つの駆動ユニットを備える。駆動ユニットおよびそれぞれの駆動出力81は、アセンブリ83内の駆動ユニットのうちの1つによって駆動される器具ドライバ80の回転アセンブリ83内に収容される。回転駆動ユニットによって提供されるトルクに応じて、回転アセンブリ83は、回転アセンブリ83を器具ドライバの非回転部分84に接続する円形ベアリングに沿って回転する。電気接点を介して器具ドライバ80の非回転部分84から回転アセンブリ83に電力および制御信号を伝達することができ、この信号は、ブラシ付きスリップリング接続(図示せず)による回転によって維持することができる。他の実施形態では、回転アセンブリ83が非回転部分84に一体化され、したがって他の駆動ユニットと平行ではない別個の駆動ユニットに応答することができる。回転機構83は、器具ドライバ80が器具ドライバ軸85の周りに単一のユニットとして、駆動ユニットおよびそれぞれの駆動出力81を回転させることができる。
【0056】
上記に開示した実施形態と同様に、器具86は、細長いシャフト部分88と、器具ドライバ80内の駆動出力81を受けるように構成された複数の駆動入力89(レセプタクル、プーリ、およびスプールなど)を備える器具基部87(説明のために透明な外皮と共に示されている)とを備えることができる。先に開示された実施形態とは異なり、器具シャフト88は、図13の設計におけるように直交するのではなく、駆動入力89の軸に実質的に平行な軸を有する器具基部87の中心から延伸する。
【0057】
器具ドライバ80の回転アセンブリ83に結合されると、器具基部87および器具シャフト88を備える医療器具86は、器具ドライバ軸85の周りで回転アセンブリ83と組み合わせて回転する。器具シャフト88は器具基部87の中心に配置されているので、器具シャフト88は取り付けられたとき、器具ドライバ軸85と同軸である。したがって、回転アセンブリ83の回転は、器具シャフト88をそれ自体の前後軸の周りに回転させる。さらに、器具基部87が器具シャフト88と共に回転するとき、器具基部87の駆動入力89に接続されたテンドンは、回転中に絡み合わない。したがって、駆動出力81、駆動入力89、および器具シャフト88の軸の平行性は、任意の制御テンドンの絡み合いを発生させることなく、シャフトを回転させることができる。
【0058】
(E.ナビゲーションと制御)
従来の内視鏡検査には、X線透視法(例えば、Cアームを介して送達され得るよう)および他の形態の放射線ベースの画像化モダリティの使用が含まれ、操作者の医師に管腔内ガイダンスが提供される。一方、本件開示によって実現されるロボットシステムは、放射線に対する医師の曝露を低減し、手術室内の機器の量を低減するために、非放射線ベースのナビゲーションおよび位置決め手段を提供する。本明細書で使用されるように、用語「位置決め」は、基準座標系における物体の位置を特定および/または監視することを指すことができる。術前マッピング、コンピュータビジョン、リアルタイム電磁追跡、およびロボットコマンドデータなどの技術は放射線を用いない運用環境を達成するために、個別に、または組み合わせて使用されてもよい。放射線ベースの画像モダリティが依然として使用される他の場合には、術前マッピング、コンピュータビジョン、リアルタイム電磁追跡、およびロボットコマンドデータは放射線ベースの画像モダリティによってのみ得られる情報を改善するために、個別に、または組み合わせて使用されてもよい。
【0059】
図15は、例示的な実施形態による、器具の位置など、ロボットシステムの1つまたは複数の要素の位置を推定する位置決めシステム90を示すブロック図である。位置決めシステム90は、1つまたは複数の命令を実行するように構成された1つまたは複数の計算装置のセットとすることができる。計算装置は、上述の1つまたは複数の構成要素内のプロセッサ(または複数のプロセッサ)およびコンピュータ可読メモリによって具現化され得る。限定ではなく例示として、計算装置は、図1に示すタワー30内や、図1~4に示すカート内や、図5~10に示すベッド内などに配置されてよい。
【0060】
図15に示すように、位置決めシステム90は、入力データ91~94を処理して医療器具の遠位先端の位置データ96を生成する位置決めモジュール95を含むことができる。位置データ96は、基準系に対する器具の遠位端の位置および/または向きを表すデータまたはロジックであってもよい。基準系は、患者の解剖学的構造、または電磁場発生器(電磁場発生器については以下の説明を参照)などの既知の物体に対する基準系とすることができる。
【0061】
ここで、さまざまな入力データ91~94についてより詳細に説明する。術前マッピングは、低線量CTスキャンの収集を使用することによって達成することができる。術前CTスキャンは2次元画像を生成し、各画像は、患者の内部解剖学的構造の破断図の「スライス」を表す。集合体で分析される場合、患者の肺ネットワークなどの患者の解剖学的構造の解剖学的空洞、空間、および構造のための画像ベースのモデルが生成され得る。中心線ジオメトリのような手法は、CT画像から決定され、近似されて、術前モデルデータ91と呼ばれる患者の解剖学的構造の3次元ボリュームを展開することができる。中心線ジオメトリの使用については、米国特許第14/523,760号に記載されており、その内容の全体を本願に援用する。また、ネットワークトポロジーモデルは、CT画像から導出されてもよく、気管支鏡検査に特に適している。
【0062】
いくつかの実施形態では、器具が視覚データ92を提供するためにカメラを装備することができる。位置決めモジュール95は1つまたは複数の視覚ベースの位置追跡を可能にするために、視覚データを処理することができる。例えば、手術前モデルデータは医療器具(例えば、内視鏡または内視鏡のワーキングチャネルを通る器具の前進)のコンピュータビジョンベースの追跡を可能にするために、ビジョンデータ92と共に使用されてもよい。例えば、手術前モデルデータ91を使用して、ロボットシステムは内視鏡の予想される移動経路に基づいてモデルから予想される内視鏡画像のライブラリを生成することができ、各画像はモデル内の位置にリンクされる。手術中に、このライブラリはカメラ(例えば、内視鏡の遠位端にあるカメラ)で取得されたリアルタイム画像を画像ライブラリ内の画像と比較して位置決めを補助するために、ロボットシステムによって参照されてもよい。
【0063】
他のコンピュータビジョンベースの追跡技術は、カメラ、したがって内視鏡の動きを特定するために特徴追跡を使用する。位置決めモジュール95のいくつかの特徴は解剖学的な管腔に対応する手術前モデルデータ91内の円形の幾何学的形状を識別し、それらの幾何学的形状の変化を追跡して、どの解剖学的な管腔が選択されたかや、カメラの相対的な回転および/または移動運動を特定することができる。トポロジーマップの使用によって、視覚ベースのアルゴリズムまたは方法をさらに強化することができる。
【0064】
別のコンピュータビジョンベースの技術であるオプティカルフローはカメラの動きを推測するために、ビジョンデータ92のビデオシーケンス内の画像画素の変位および移動を分析することができる。複数の反復にわたる複数のフレームの比較によって、カメラ(したがって、内視鏡)の移動および位置を特定することができる。
【0065】
位置決めモジュール95は、リアルタイム電磁追跡を使用して、手術前モデルによって表される患者の解剖学的構造に位置合わせすることができるグローバル座標系における内視鏡のリアルタイム位置を生成し得る。電磁追跡では医療器具(例えば、内視鏡ツール)の1つ以上の位置および向きに埋め込まれた1つ以上のセンサコイルを備える電磁センサ(トラッカ)は既知の位置に配置された1つ以上の静的電磁場発生器によって生成された電磁場の変動を測定する。電磁センサによって検出された位置情報は、電磁データ記憶される。電磁場発生器(または送信機)は埋め込まれたセンサが検出し得る低強度磁場を生成するために、患者の近くに配置され得る。磁界は電磁センサコイルに小さな電流をガイドし、この電流は、電磁センサと電磁界発生器との間の距離および角度を特定するために分析され得る。これらの距離および向きは、座標系内の単一の位置を患者の解剖学的構造の手術前モデル内の位置と位置合わせさせる幾何学的変換を特定するために、患者の解剖学的構造(例えば、手術前モデル)に対して手術中に「位置合わせ」されてもよい。一旦位置合わせされると、医療器具の1つ以上の位置(例えば、内視鏡の遠位先端)に埋め込まれた電磁追跡装置は、患者の解剖学的構造を通る医療器具の進歩のリアルタイムの指示を提供し得る。
【0066】
ロボットコマンドおよび運動学データ94はまた、ロボットシステムのための位置決めデータ96を提供するために、位置決めモジュール95によって使用されてもよい、関節動作コマンドから生じる装置ピッチおよびヨーは、手術前較正中に特定され得る。手術中に、これらの較正計量値は器具の位置を推定するために、既知の挿入デプス情報と組み合わせて使用されてもよい。あるいは、これらの計算がネットワーク内の医療器具の位置を推定するために、電磁、視覚、および/またはトポロジーモデリングと組み合わせて分析されてもよい。
【0067】
図15に示すように、多数の他の入力データを位置決めモジュール95によって使用することができる。例えば、図15には示されていないが、形状感知ファイバを用いる器具
は、位置決めモジュール95が器具の位置および形状を特定するために使用する形状データを提供することができる。
【0068】
位置決めモジュール95は、入力データ91~94を組み合わせて使用することができる。場合によっては、このような組み合わせは位置決めモジュール95が入力データ91~94のそれぞれから特定された位置に信頼性重みを割り当てる確率的アプローチを使用することができる。したがって、電磁データが信頼できない場合(電磁干渉がある場合のように)、電磁データによって特定される位置の信頼性は低下する可能性があり、位置決めモジュール95は、視覚データ92および/またはロボットコマンドおよび運動学データ94により依存する可能性がある。
【0069】
上記の通り、本明細書で説明するロボットシステムは、上記の技術のうちの1つまたは複数の組合せを組み込むように設計することができる。タワー、ベッドおよび/またはカートに基づくロボットシステムのコンピュータベースの制御システムはコンピュータプログラム命令を、例えば、永続的磁気記憶ドライブ、ソリッドステートドライブなどの非一時的コンピュータ可読記憶媒体内に記憶することができ、これは、実行時に、システムにセンサデータおよびユーザコマンドを受信および分析させ、システム全体の制御信号を生成させ、グローバル座標系内の器具の位置、解剖学的マップなどのナビゲーションおよび位置決めデータを表示させる。
【0070】
(2.ロボットアームのアドミッタンス制御の手法)
本開示の実施形態は、例えば、手術ロボットシステムのユーザ(例えば、臨床医)から受信した入力に基づいて、1つまたは複数のロボットアームの移動を制御するためのシステムおよび技術に関する。手術ロボットシステムの1つ以上のロボットアームの直接的な制御(例えば、アームの1つに直接力を加えることによる)が、ユーザに望ましい状況があり得る。例えば、医療手技のための手術ロボットシステムのセットアップは、位置調整装置および/または患者に位置合わせされる特定の姿勢に、少なくとも1つのロボットアームを移動させることを含む。ロボットアームを把持し、それに力を加えることによって、ユーザは、直感的な方法でロボットアームの位置を直接制御することができる。本明細書において用語「アドミッタンス制御モード」(または単に「アドミッタンスモード」)は、ユーザがロボットアームに力を加えることによってロボットアームの移動を制御する、手術ロボットシステムの制御モードを指すことができる。
【0071】
ロボットアームは、ロボットアームの現在の姿勢を再度位置決めし、維持するように構成された駆動構成要素を備えてもよい。したがって、アドミッタンス制御の機能を提供するために、システムは、ユーザによってロボットアームに付与される力を測定し、測定された力を入力値として使用して、1つまたは複数の駆動構成要素を作動させてもよい。
【0072】
ユーザ入力(すなわち、ユーザによってロボットアームに与えられる力)が適切に解釈されないと、駆動構成要素によるロボットアームの動作および移動は、ユーザに自然な、または直感的な「感触」を与えない可能性がある(例えば、ユーザがロボットアームに加える力に比例しない状態でロボットアームが加速/減速する場合)。したがって、通常の軽いタッチでの制御を可能にして、応答性のある動作を提供し、システムの遅延を最小にし、制御感覚を提供するなどの方法で、ユーザによってアームに加えられた力に基づいて、ロボットアームの動きを制御することが望ましい。本明細書に開示される技術に対するさらなる利点として、ロボットアームの動き(例えば、並進および/または回転)に、ロボットアームの小さな変位と大きな変位の両方を提供することができる低力オーバータイム値(例えば、閾値未満のインパルス値)を提供すること、加えられた力に比例するロボットアームの動き速度を提供すること、およびインパルス値がゼロに達すると迅速にロボットアームの移動を終了させることが含まれるが、これらに限定されない。
【0073】
本開示の態様は、ユーザ入力を計測し、1つまたは複数のロボットアームの移動を制御して、これらの利点の1つまたは複数を達成するためのシステムおよび技術に関する。
【0074】
(A.アドミッタンス制御のシステム例)
図16は、本開示の態様によるアドミッタンス制御モードにおけるロボットアームの移動を制御するように構成することが可能な、カートベースのロボットシステムの実施形態を示す。図16は、ロボットアームがカートに取り付けられた実施形態を対象とするが、これに限定されるものではなく、ここで説明する手法は、例えば、図6に示すような患者プラットフォームを指示するカラムに取り付けられたロボットアームに適用可能である。
【0075】
図16に戻ると、カート105および1つ以上のロボットアーム110、120を含むシステム100が提供される。カート105は、プロセッサ(図示せず)およびメモリ(図示せず)を有してもよい。ただし、実施形態に応じて、プロセッサおよびメモリのうちの1つまたは複数を、図1に示す可動タワー30などの別のデバイス上またはその内部に配置することができる。また、図16には、医療手技の前に患者(図示せず)に挿入することができる患者導入器130が示されている。患者導入器130は、医療手技のために患者に操作可能な器具(図示せず)をガイドするように構成された導入器チューブ131を備える。患者導入器130はまた、患者導入器130とロボットアーム110、120のうちの1つのロボットアームとの間の位置合わせを容易にするように構成された位置合わせ部材133を備えてもよい。
【0076】
ロボットアーム110とロボットアーム120は、第1のロボットアーム110および第2のロボットアーム120をそれぞれ有してもよい。しかし、本開示の態様は、より多い数またはより少ない数のロボットアームを有するシステムにも適用可能である。図16の実施形態では、第1のロボットアーム110は、複数のリンク機構111と、複数のジョイント113と、IDM115とを含む。ジョイント113のそれぞれは、2つの隣接するリンク111を接続する。図示されていないが、第1のロボットアーム110はまた、リンク機構111のうちの2つの間のトルクを検出するように構成されたトルクセンサを備えてもよい。特定の実装において、所与のジョイント113は、所与のジョイント113に隣接する2つのリンク機構111の間のトルクを検出するように構成された対応するトルクセンサを収容することができる。したがって、トルクセンサは、ジョイント113内に配置されてもよく、2つの隣接するリンク機構111に結合されてもよい。第1のロボットアーム110をカート105に接続するジョイント113にトルクセンサを設けることもできる。特定の実施形態では、トルクセンサは、対応するジョイント113の回転軸に沿っていないトルクの影響がトルクセンサの出力に影響を及ぼすことを最小限に抑えるように構成された複数の歪みゲージを介して実装されてもよい。
【0077】
さらに、モータ(図示せず)が、ジョイント113のそれぞれに配置されてもよく、2つの隣接するリンク111に結合されてもよい。したがって、所与のジョイント113は、モータをさらに収容することができ、このモータは、2つの隣接するリンク機構111の間(またはリンク機構111とカート105との間)に力を加えて、2つの隣接するリンク機構111の位置を調整するように構成される。IDM115は、ロボットアーム110の遠位端に接続されてもよい。第1のロボットアーム110のジョイント113のうちの1つ以上においてモータを作動させることによって、モータは、第1のロボットアーム110、したがってIDM115の姿勢または姿勢を(例えば、第1のロボットアーム110の1つ以上のジョイント113の位置および/または向きを調整することによって)調整し、IDM115に取り付けられた操作可能な器具を制御するように動作可能である。
【0078】
ジョイント113のそれぞれは、さらに、2つの隣接するリンク機構111の相対位置を計測するように構成された位置センサを収容することができる。したがって、所与のジョイント113は、さらに、2つの隣接するリンク機構111の間の角度を計測するように構成可能な位置センサを備えてもよい。システムは、位置センサのそれぞれの出力に基づいて、第1のロボットアーム110内のリンク機構111のそれぞれの位置を決定することができる。さらに、後述するように、位置センサの出力を使用して、第1のロボットアーム110上の基準点に加えられる力を特定してもよい。特定の実施形態では、所与の位置センサは、エンコーダを含むことができる。エンコーダは、例えば、モータシャフト上に印刷された符号化された視覚情報を読み取ることによってモータシャフトの速度および/または位置を測定するように構成されてもよく、モータの速度および/または位置を表すフィードバックをシステムに提供してもよい。
【0079】
第1のロボットアーム110と同様に、第2のロボットアーム120は、複数のリンク機構121と、隣接するリンク機構121を結合する複数のジョイント123と、IDM125とを含んでもよい。ジョイント123のそれぞれは、対応するトルクセンサ、モータ、および位置センサ(図示せず)を収容することができる。IDM125はまた、操縦可能な器具を操作するために操縦可能な器具に取り付けられてもよい。
【0080】
特定の実施形態では、ジョイント113、123のそれぞれが別々のトルクセンサとモータを備えるのではなく、モータはトルクセンサとしても機能することができる。例えば、第1のロボットアーム110に力(例えば、重力、衝突の力、ユーザによって及ぼされる力など)が加えられる場合、モータは、第1のロボットアーム110の位置を維持するために、ジョイント113に反対の、および対向する力を加えるように構成されてもよい。第1のロボットアーム110の位置を維持するためにモータに必要なモータ電流は、対応するジョイント113に加えられるトルクに対応してもよい。
【0081】
(B.ロボットアームのセットアップ)
1つ以上のロボットアームの位置決めは、医療手技のための手術ロボットシステムを準備するためのセットアップ手順の一部であってもよい。使用される特定のセットアップ手順は、実施される医療処置、ロボットシステムの構成(例えば、アームがカート(図16参照)に取り付けられるか、またはプラットフォームを支持するカラム(図6参照)に取り付けられるかなど)によって異なる。
【0082】
図17は、本開示の態様による気管支鏡検査のための例示的なセットアップ手順の特徴を示すフローチャートである。図17に示される方法1700は、単なる例示的な実装であり、方法1700は、方法1700に関連する1つまたは複数のブロックを追加、除去、および/または修正することによって修正されてもよい。図17は、セットアップ手順の説明を容易にするための例示的な医療手技として気管支鏡を使用するが、本開示の態様は、一般に、それに加えられる力の使用によるロボットアームの移動に関するものであり、したがって、他の医療手技に、または単にロボットアームの移動に適用することができる。
【0083】
方法1700は、ブロック1701から開始する。ブロック1705において、方法1700は、カートを初期位置に移動させることを含む。例えば、ユーザは、カートを患者のアクセスポイントに近接して(例えば、定められた距離内で)位置決めされるように移動させることができる。カートが所定位置に移動されると、ユーザは、例えばカートのキャスタをロックすることによってカートを固定することができる。ブロック1710は、ユーザがロボットアームの1つまたは複数を初期姿勢に配置することができるアームセットアップ段階を含むことができる。
【0084】
特定の医療処置では、手技前にロボットアーム112を患者に対して位置合わせする必要がある場合がある。したがって、アームセットアップ段階は、ロボットアーム112のうちの1つまたは複数を患者のアクセスポイントと位置合わせさせるための位置合わせステップを含むことができる。使用されるアクセスポイントは、実施される医療手技の種類に依存し得るので、特定の位置合わせ手技は、医療手技の種類に依存し得る。気管支鏡検査の例では、患者の口内に気管支鏡をガイドするために、患者導入器が使用されてもよい。患者導入器は、患者の口に挿入され、ロボットアームは、ロボットアームを患者導入器と位置合わせすることによって、患者との位置合わせが行われる。したがって、気管支鏡のセットアップ手順の一実装において、ユーザは、第1のロボットアームを患者導入器に対して位置合わせする。他のロボットアームは、例えば、第1のロボットアームと他のロボットアームとの間に仮想レールを維持することによって、ユーザによって選択された第1のロボットアームの姿勢と自動的に位置合わせすることができる。
【0085】
特定の実施形態では、ロボットアームの移動は、一定の境界内(例えば、面積または体積)に制限されてもよい。システムは、境界で「仮想の壁」をシミュレートすることによって、ユーザがIDMを境界外に移動させることを防止することができる。特定の実施形態では、この境界があることで、患者と位置合わせしたときのロボットアームの姿勢によって、所望の医療手技を実行するためにロボットアームを十分に移動できるようになる。
【0086】
第1のロボットアームが患者導入器と位置合わせされた後、ブロック1715において、システムは、ロボットアームを搭載器具姿勢に後退させる。いくつかの実施形態では、システムは、ユーザからの搭載器具姿勢入力を受け取ることに応答して、ロボットアームを搭載器具姿勢内に後退させてもよい。この入力は、ユーザが位置合わせステップを完了し、器具(例えば、気管支鏡のシースおよび範囲)をロボットアーム上に搭載する準備ができていることを示すことができる。ブロック1720において、ユーザは、医療器具を対応するロボットアーム上に搭載する。方法1700は、ブロック1725で終了する。
【0087】
(C.ロボットアームに加わる力の特定)
ロボットアームの位置決めは、ユーザまたは手術ロボットシステムによって遠隔的に制御することができるが、ロボットアームの少なくとも1つが患者と位置合わせする位置合わせ段階の間、ロボットアームの遠隔制御は好都合ではない場合がある。例えば、気管支鏡検査、内視鏡検査、または同様の処置の間に、1つまたは複数のロボットアームを、患者導入器と位置合わせすることができ、これは、システムの局所座標系内の患者導入器の位置を識別することを含み得る。図16に戻って参照すると、位置合わせ手順は、IDM115が位置合わせ部材133と接触するように、第1のロボットアーム110を動かすことを含んでもよい。位置合わせ部材133は、位置合わせのためにIDM115の特定の位置および向きを規定することによってIDM115との位置合わせを容易にするように構成されてもよい。例えば、特定の実施形態では、位置合わせ部材133は、IDM115の形状と相補的な形状と、IDM115の回転位置を画定する1つまたは複数のマーキングとを有することができる。IDM115は、患者導入器130上のマーキングと一致させることができる対応するマーキングを含むことができる。
【0088】
位置合わせは、第1のロボットアーム110の正確な移動および位置決め、並びにIDM115のマーキングおよび/または相補的な形状の位置合わせ部材133との整合性の視覚的確認を必要とする場合があるため、ユーザは、位置合わせ部材133及びIDM115の両方が見える場所に位置するとよい場合がある。したがって、少なくとも1つの実施形態では、システム100は、アドミッタンス制御モードにあるときに、ユーザによって第1のロボットアーム110に直接加えられる力の形態でユーザ入力を受信するように構成されてもよい。ロボットアームのうちの1つ以上(例えば、位置合わせの間に使用され得る第1のロボットアーム110)は、アドミッタンス制御ボタンをさらに有してもよ
く、アドミッタンス制御ボタンは、アドミッタンス制御モードを開始するため、および/または、アドミッタンス制御モードを終了ために、ユーザによって作動されてもよい。例えば、アドミッタンス制御ボタンは、IDM115の規定された距離内、またはロボットアーム110の別の部分上に配置されてもよい。しかし、他の実施形態では、システム100は、システム100の他の場所に配置されたアドミッタンス制御ボタンに基づいて、またはタッチスクリーン、ペダルなどを介してボタン以外の他の何らかのタイプの入力を介して、アドミッタンスモードの開始および終了に関するユーザ入力を受信するように構成されてもよい。また、アドミッタンス制御ボタンまたは同様の入力構成要素を作動させることによって、1つのロボットアーム(例えば、第1のロボットアーム110)または複数のロボットアーム(例えば、ロボットアーム110および120)に対するアドミッタンス制御モードを作動させてもよい。
【0089】
特定の手術ロボットシステムは、対応するロボットアーム上の基準点で受ける力を測定するために、ロボットアームのそれぞれに力センサを組み込むことができる。一例では、基準点は、IDM115などのIDM上に配置されてもよい。例えば、力センサは、図16の第1のロボットアーム110のIDM115の上または近傍(例えば、規定された距離内)に配置され、IDM115に加えられる力を測定してもよい。しかし、加えられた力を十分な精度で測定することができる力センサは、製造コストを増加させる可能性がある。したがって、特定の実装では、システムは、トルクセンサから出力されるトルク値を使用して、IDM115(またはロボットアーム110上の任意の基準点)における力を判断することができる。
【0090】
図18は、本開示の態様による、アドミッタンスモードにおいて特定された力に基づいて、ロボットアームに加えられる力を特定し、ロボットアームを移動させるための例示的手続を図示する、フローチャートである。図18に示される方法1800は、単なる例示的な実装であり、方法1800は、方法1800に関連する1つまたは複数のブロックを追加、除去、および/または修正することによって修正されてもよい。便宜上、方法1800は、システム(例えば、図16の手術ロボットシステム100)によって実行されるものとして説明する。しかしながら、方法1800の特定の側面では、例えば、メモリに記憶されたコンピュータ実行可能な命令に基づいて、システムの1つ以上のプロセッサによって実行されてもよい。さらに、方法1800は、単一のロボットアームに関連して説明する。しかしながら、同様の方法は、アドミッタンスモードにおいてシステムに含まれるロボットアームのそれぞれが受ける力を特定するために実行することもできる。
【0091】
方法1800は、ブロック1801から開始する。ブロック1805において、システムは、アドミッタンス制御モードを入力するためにユーザから入力を受信する。例えば、システムは、ボタンがユーザによって作動されたときに生成されたユーザ入力信号を受信することができる。一実施形態では、ロボットアームは、作動されると、システムをアドミッタンス制御モードに遷移させるアドミッタンスボタンを有してもよい。ブロック1810では、システムは、ロボットアームのトルク値および位置値を受信する。システムは、ロボットアームが有する各トルクセンサからトルク値を受信することができる。さらに、システムは、ロボットアーム内の各リンク機構の位置を示す、メモリ内に記憶された位置データから位置値を取得してもよい。例えば、ロボットアームは、ジョイントのそれぞれに形成されたエンコーダのような位置センサをさらに有してもよい。エンコーダは、モータシャフト上に印刷された符号化された視覚情報を読み取ることによってモータシャフトの速度および/または位置を計測するように構成されてもよく、モータの速度および/または位置を表すフィードバックをシステムに提供してもよい。システムは、エンコーダからのフィードバックに基づいて、ジョイントのそれぞれの位置を特定するように構成することができる。ロボットアーム上の各エンコーダ位置からの情報を使用して、システムはリンク機構およびIDMのそれぞれの位置を特定することができる。
【0092】
ブロック1815では、システムは、トルク値および位置値に基づいて、各ジョイントに対する重力補償トルク値を決定する。あるジョイントに対する重力補償トルク値は、重力以外の力によるジョイントにおけるトルクの成分を表すことができる。一実施形態では、システムは、対応するトルクセンサの出力に基づいて、接合部における第1のトルク値を測定することができる。次に、システムは、ロボットアームの位置に基づいて、ジョイントにおける第2のトルク値を決定することができる。ロボットアームの位置データは、システムが、ジョイントによって接続された2つのリンク機構の位置およびそれらの間に形成された角度を決定することを可能にするデータを含んでもよい。第2のトルク値は、2つのリンク機構の間のトルクの重力成分を示すことができる。次に、システムは、第1および第2のトルク値に基づいて重力補償トルク値を決定することができる。例えば、第1のトルク値と第2のトルク値との差は、重力補償トルク値に対応してもよい。
【0093】
例えば、ブロック1820において、システムは、各ジョイントに対する重力補償トルク値に基づいて、ロボットアーム上の基準点でロボットアームに加わる力を特定してもよい。すなわち、システムは、第1のトルク値と第2のトルク値との間の差に基づいて、基準点における力を特定することができる。したがって、特定された力は、重力によってロボットアームが受ける力の成分を除外してもよい。ブロック1825では、システムは、基準点において特定された力に基づいて、ロボットアームを移動することができる。例えば、システムは、ロボットアームの位置に基づいて、基準点の移動方向を特定し、力の1つの成分が、基準点の移動方向と同じ方向にあると特定することができる。システムは、力の1つの成分が、基準点の移動方向と同じ方向であると特定することに基づいて、ロボットアームの移動に対する目標の抵抗力を示す少なくとも1つのパラメータを生成し、少なくとも1つのパラメータに基づいて、ロボットアームの少なくとも1つのモータを制御して、目標の抵抗力に従ってロボットアームを移動させることができる。特定された力を、ロボットアームの移動のための入力として使用するためのさらなる手法を、以下により詳細に説明する。方法1800は、ブロック1830で終了する。
【0094】
(D.ロボットアームの自由物体図およびアドミッタンス制御モード)
図19は、本開示の態様による、ロボットアームに加わる力を算出するための手法を説明するロボットアームの自由物体図を示す。ロボットアーム210は、カート211に取り付けることができる。ロボットアーム210は、第1のリンク機構230と、第1のリンク機構をカート211に接続する第1のジョイント240と、第2のリンク機構235と、第1および第2のリンク機構230、235を接続する第2のジョイント245と、第2のリンク機構235の遠位端に接続されるIDM250とを有する。ロボットアーム210は、図19において簡略化されて示されているが、より複雑なロボットアームは、追加のジョイントによって接続されたアームに追加のリンク機構を追加することによって、同様に構成されてもよい。IDM250は、外力Fがロボットアーム210に加わるようにモデル化される基準点を規定することができる。しかしながら、他の実施形態では、基準点は、ロボットアーム210に沿った任意の他の点に設定されてもよい。さらに、第1および第2リンク機構230、235のそれぞれが受ける重力による力は、対応するリンク機構230、235の重心において加えられる重力ベクトルgとして図に示されてい
る。
【0095】
図20は、本開示の態様による、ロボットアームの移動を制御するための入力として、ロボットアーム上の基準点で検出された力を使用する例示的な手順を示すブロック図である。手順300は、手術ロボットシステムまたはその構成要素によって動作可能であってもよい。図20に示される手順300は、ロボットアームに加えられる力F、ロボットアームに加わる重力による力g、ロボットアームに加わる重力によるモデル化された力g(gの上にオーバーライン)、ロボットアームのジョイント位置θ(θの上にオーバーライ
ン)の指標を含む、多数の入力を受信してもよい。特定の実施形態では、システムは、さらに、ロボットアームをコマンド情報θciを使用して動作させるように構成された、別個のハードウエアを介して、またはプロセッサと共に実装可能なジョイントコントローラを有してもよい。手順300は、ロボットアーム内のモータを制御して、ロボットアームを新しい姿勢に移動させるために、ジョイント制御装置によってコマンド情報θciを出力してもよい。後述するように、ジョイント制御装置は、コマンド情報θciを受信して、ロボットアームのジョイント位置θ(θの上にオーバーライン)の指標を生成することができ、この指標は、手順300への入力としてフィードバックすることができる。
【0096】
例えば、図19に示すように各ジョイント240、245は、計測されたトルク値τmeasuredを出力するトルクセンサを有してもよい。各ジョイント240、245における計測されたトルク値τmeasuredは、以下の式によって特定できる。
τmeasured=τforce+τgravity…(1)
【0097】
ここで、τmeasuredは計測されたトルク値、τforceはロボットアーム210に加わる
力Fによりジョイント240、245におけるトルク、τgravityは重力gによりジョイ
ント240、245に加わるトルクである。本実施形態では、ロボットアームに加わる力Fは、基準点としてのIDM250に加わる力としてモデル化されている。しかしながら、この力は、実施形態によっては、ロボットアーム210の異なる点に加わる力としてモデル化されてもよい。
【0098】
基準点において加わる力Fによるトルクと重力gによるトルクは次のように特定できる。
τforce=J(θ)F…(2)
τgravity=G(θ,g)…(3)
【0099】
ここで、J(θ)は、ロボットアーム210におけるジョイント240または245の位置に基づくジョイント240または245に対する力Fへの変換を表すヤコブの転置行列であり、G(θ,g)は、重力gによるジョイント240または245に対するトルクの変換を表す。θはロボットアームの各ジョイントの角度位置(例えば、ロボットアームの位置)を表す。式(2)、(3)を式(1)に代入すると以下の式(4)が得られる。
τmeasured=J(θ)F+G(θ,g)…(4)
【0100】
したがって、参照点(例えばIDM250)に加わる力は、計測されたトルクτmeasured、ヤコブの転置行列J(θ)、重力によるトルクの変換G(θ,g)に基づいて得られる。
【0101】
式(4)は図20に示すように視覚化でき、トルクセンサ計測ブロック320が、ヤコブの転置行列ブロック305(例えば、J(θ)F)と重力トルク変換ブロック310(例えば、G(θ,g))の出力の合計に基づいて特定できる。ヤコブの転置行列ブロック305は、力Fを入力として取り、重力トルク変換ブロック310は重力gの値を入力として取る。
【0102】
特定の実施形態では、重力G(θ,g)によるトルクは、重力G(θ,g)(G、θ、gの上にオーバーライン)によりモデル化されたトルクとしてモデル化される。これは図20でモデル化されたトルク変換ブロック315として表され、モデル化された重力g(gの上にオーバーライン)とモデル化されたジョイント位置θ(θの上にオーバーライン)を入力として取る。以下の式に示すように、モデル化された重力G(θ,g)(G、θ、gの上にオーバーライン)によるトルクには、一定の不確定量が存在する。
【数1】
【0103】
特定の示威し形態では、重力gがモデル化された重力g(gの上にオーバーライン)と略同じになり、モデル化されたジョイント位置θ(θの上にオーバーライン)はθ+n(nはジョイント位置のセンサ計測における不確定量を表す値)として規定される。ジョイント位置のセンサ計測の不確定量nは、ジョイント位置の計測に寄与する各センサ(例えば、位置センサ)の計測のノイズまたは不確定量を反映している。したがって、式(5)は以下の式に簡略化できる。
【数2】
【0104】
したがって、モデル化された重力に取るトルクの不確定量ΔGは、重力g、ロボットアームにおける各ジョイントの角度位置θ、ジョイント位置のセンサ計測における不確定量を表す値nの関数で表せる。
【0105】
システムは、モデル化された重力によるトルクΔGに起因して乱れた力によって基準点に生じるトルクとして値τを特定する。
【数3】
【0106】
特定の実装形態では、トルクセンサの出力は、ノイズを含み、経時的に変動する可能性がある。トルクセンサの出力における変動誤差に対処するために、システムは、ロボットアームが静止している(例えば、ロボットアームに作用する重力以外の力がない)場合に、トルクセンサの出力をゼロに調整することによって較正を実行してもよい。一実施形態では、システムは、一定期間にわたって、トルクセンサから受け取った出力に基づいて、トルクセンサを較正することができる。例えば、ロボットアームが静止している間、ロボットアーム内の各ジョイントについて、システムは、一定期間(例えば、1秒以上)にわたって、トルク値τmeasuredを測定し、アームの現在の姿勢に対する重力補償トルクを決定し、重力補償トルクに対する出力値をゼロに設定してもよい。特定の実装において、システムは、アドミッタンスボタンが作動されるたびに、トルクセンサのこの較正を実行してもよい。しかしながら、他の実装においては、システムは、別の間隔でトルクセンサを較正することができる。したがって、システムは、ユーザ入力信号(例えば、アドミッタンスボタンの作動)を受信することに応答して、トルクセンサからの較正された出力に基づいて、基準点における力を決定することができる。
【0107】
トルクセンサの較正は、関数B1によって以下のように表現できる。
τ’=B(τ)…(8)
【0108】
図20に戻り、トルク較正Bブロック325が、式(8)に従って、トルクセンサ測定ブロック320およびモデル化された重力トルク伝達ブロック315の出力に適用される。
【0109】
ある実施形態では、上記のように、ロボットアームは、基準点に専用の力センサを含まなくてもよい。したがって、システムは、次の式に従って、見かけの基準点力を決定する
ことができる。
【数4】
【0110】
ここで、J(Jの上にオーバーライン)は、計測されたジョイント位置θ(θの上にオーバーライン)の関数であるヤコビアンのモデルである。式(9)および図20に示すように、モデル化された逆ヤコビアンブロック330は、計測されたジョイント位置θ(θの上にオーバーライン)を第2の入力として使用して、較正されたトルクセンサ出力(例えば、トルク較正Bブロック325の出力)に適用される。
【0111】
システムはまた、見かけの基準点の力に不感帯を適用することができる。特定の実施形態では、不感帯は、不感帯外の力の値のみに応答するようにロボットアームの動作を制限することができる。不感帯は、ロボットアームまたはIDM上の小さく、潜在的に意図しない力がロボットアームの移動を引き起こさないようにすることによって、ロボットアームの移動制御のユーザエクスペリエンスを向上させることができる。また、不感帯は、トルクセンサ出力内のノイズを除去してロボットアームの動作に影響を及ぼさないように機能してもよい。また、不感帯内の遷移は、ロボットアームが、ユーザがロボットアームに加える力またはトルクセンサ出力内のノイズに応じて生じる、移動(例えば、すばやく加速して高速移動すること)における「ジャンプ」を防止するために、平滑化されてもよい。この場合の実装によれば、ロボットアームのより制御された微細な運動を容易に達成できる。ある実装において、不感帯は、不感帯の境界における力の値に平滑化関数を適用することによって、平滑化されたエッジを有するプラスマイナス4Nの範囲で形成されてもよい。これにより、システムは、平滑化された力の値に基づいて、ロボットアームの移動をさらに制御することができる。例えば、以下の関数Bを、無単位の乗数として見かけの基準点の力F(Fの上にオーバーライン)に用いることで、平滑化されたエッジを有する不感帯が得られる。
【数5】

【数6】


【0112】
ここで、値1.5は、不感帯のエッジにおける遷移を調整する調整可能なパラメータ(例えば、遷移の「滑らかさ」を規定)であり、xは、付与された力の入力値であり、値8は、不感帯の横幅を規定する調整可能なパラメータである。不感帯の適用は、不感帯関数Bブロック335によって示されている。図21は、本開示の態様に従って計測された基準点の力に適用される不感帯関数の一例を示すグラフである。具体的には、図21に示す不感帯機能は、-10から10の範囲のxの値について、式(11)の無単位の乗数yの値を示す。
【0113】
システムは、ロボットアームの仮想モデルを用いて、不感帯と共に加えられた見かけの基準点の力に基づいて、ロボットアームの動きを制御することができる。実施形態に応じて、システムは、仮想モデル内で使用するために、ロボットアームの移動に対する目標の
抵抗力を特定してもよい。移動に対する目標の抵抗力は、例えば、ロボットアームの仮想質量を規定する第1のパラメータと、ロボットアームの仮想減衰係数を規定する第2のパラメータとを含む。したがって、システムは、ロボットアームのモデルに基づいてロボットアームを移動させることができ、このモデルは、モータの制御と、基準点における力と、第1のパラメータと、第2のパラメータとの間の関係を規定する。
【0114】
また、システムは、ロボットアームの移動方向に基づいて、目標の抵抗力を更新してもよい。一実施形態では、システムは、ロボットアームのジョイント位置θに基づいて、ロボットアームの基準点の移動方向を特定してもよい。他の実施形態では、移動方向は、以下に示されるように、ロボットアームX(s)のデカルト位置に基づいて決定されてもよい。
【0115】
システムは、さらに、力の同一方向要素(例えば、不感帯適用後の見かけの基準点の力F’(Fの上にオーバーライン))が、基準点の移動方向と同じ方向にあるかどうかを特定することができ、システムは、不感帯適用後の見かけの基準点の力の方向の成分が、基準点の移動方向と同じ方向であるかどうかに基づいて、移動に対する目標の抵抗力(例えば、第1および第2のパラメータのうちの1つまたは複数)を調整することができる。一例において、システムは、力の成分が基準点の移動方向と同じ方向にあると判断することに応じて、第1および第2のパラメータを減少させてもよい。また、システムは、力の成分が、基準点の移動方向とは逆方向であると判断し、力の成分が、基準点の移動方向とは逆方向であると判断することに応答して、第1および第2のパラメータを増加させてもよい。
【0116】
ロボットアームの移動方向に対する力の方向の比較に基づいて、第1および第2のパラメータを調整することによって、システムは、ユーザがロボットアームに力を加えようとすることを推定できる。すなわち、ユーザが、ロボットアームの移動方向に成分を有する力を加えるときに、ユーザが力の方向にロボットアームを加速させようとしているとみなせる。同様に、ユーザが、ロボットアームの移動方向と反対の方向の成分を有する力を加えるときに、ユーザが力の方向にロボットアームを減速させようとしているとみなせる。したがって、システムは、ユーザの意図に応じてロボットアームの移動を制御するように構成することができる。
【0117】
再び図20を参照すると、仮想質量ブロック240および仮想減衰ブロック345は、不感帯関数Bブロック335の出力(例えば、不感帯適用後の見かけの基準点の力F’(Fの上にオーバーライン))に適用されてもよい。これにより、ユーザに改善されたフィードバックを提供するロボットアームの仮想モデルが実現する。
【0118】
ある実装では、仮想モデルが以下の式で表現できる。
【数7】
【0119】
ここで以下の式が成り立つ。
【数8】
【0120】
ここで、sはラプラス変数で、X(s)(Xの上にドット)はロボットアームのデカルト速度である。M(s)およびD(M、Dの上にオーバーライン)は、ロボットアームレベルで特定できる質量行列および減衰行列である。質量パラメータおよび減衰パラメータは、ユーザが経験するロボットアームの動きの感触を規定するように選択することができる。特定の実施形態では、行列は対角行列であり、単一の質量パラメータおよび単一の減衰パラメータを選択することで、デカルト座標の方向と向きにおけるロボットアームの動きの感触を以下のように規定することができる。
【数9】
【0121】
特定の実施形態では、システムは、メモリに複数のユーザプロファイルを記憶することができる。各ユーザプロファイルは、第1および第2のパラメータの値を規定する。例えば、特定のユーザは、ロボットアームの移動の所望の応答を、ロボットアームに加わる力に適合させる第1および第2のパラメータの構成を好む場合がある。したがって、システムは、ユーザプロファイルのうちの1つの選択を受信し、受信された選択に基づいて第1および第2のパラメータを調整するようにさらに構成されてもよい。例えば、アドミッタンスモードに入る前に、ユーザは、選択されたユーザプロファイルを示すシステムのタッチスクリーンへの入力を提供することができ、システムは、選択されたユーザプロファイルに基づいて第1および第2のパラメータを構成して、ユーザに選択された移動応答プロファイルを提供することができる。
【0122】
ロボットアームの位置X(s)を決定するために、システムは、統合関数ブロック350において、以下に示すように、ロボットアームの速度を統合することができる。
【数10】
【0123】
ロボットアームの位置情報X(s)を以下のように用いることで、コマンドマッピングファンクションブロック355において、ジョイント位置θを調整するためのコマンド情報θciを決定することができる。
【数11】
【0124】
ここで、IK(IKの上にオーバーライン)は、不感帯後の見かけの基準点の力F’(Fの上にオーバーライン)に基づいて特定されたロボットアームの位置情報X(s)をコマンド情報θciにマップするコマンドマッピング関数である。したがって、式(1)~(16)に示すように、少なくとも1つのパラメータおよび力に基づいてジョイント位置の
コマンド情報θciを特定することができる。
【0125】
ジョイントコントローラは、ジョイント位置のコマンド情報をロボットアームのモータに送信することができる。ロボットアームを動作させるための命令を与える際に、ジョイントコントローラは、ブロック315、330へのフィードバックとして提供されるロボットアームのジョイント位置θ(θの上にオーバーライン)の指標のための値を特定することができる。システムは、コマンド情報に基づいて、基準点の移動方向の指標を特定するようにさらに構成されてもよい。例えば、システムは、ジョイント位置θ(θの上にオーバーライン)の指標の値の現在および以前のサンプルを用いて、ロボットアームの基準点が移動している方向を特定することができる。
【0126】
上述の手順300に基づいて、システムは、ユーザに直感的なアドミッタンス制御モードを提供することができる。例えば、不感帯関数Bブロック335、仮想質量および減衰ブロック340、345を適用した後、システムは、ロボットアームの移動のためのコマンド情報を提供することができ、ロボットアームの移動は、力が不感帯領域外であるときに加わる力に比例する。また、力に不感帯を適用することにより、ロボットアームに加わる意図しない力が作動することを防止し、ユーザによる制御感を向上させる。不感帯の閾値を適切に適用することで、ユーザは比較的弱い力を加えるだけでロボットアームを移動させることができる。
【0127】
特定の実施形態では、システムは、さらに、ユーザがロボットアームに加える検出した力がゼロになったときに、移動を完全に停止するように構成されてもよい。すなわち、ユーザがロボットアームを手放したときに、システムは、移動を所定の割合で速度を低下させて停止させることができる。一実施形態では、システムは、ロボットアームに働く力が、閾値である期間よりも長い時間の間、閾値の力よりも小さいことを検出してもよい。システムはさらに、ロボットアームに働く力が、閾値である期間よりも長い期間の間、閾値の力よりも小さいことを検出したことに応じて、ロボットアームのモータにブレーキ力を加えて、ロボットアームの移動を停止してもよい。
【0128】
一実施例では、手術ロボットシステムは、ロボットアームに加えられた力を検出し、検出された力を、アドミッタンス制御モードにおけるロボットアームの移動のための入力として使用するように構成されてもよい。図22は、本開示の態様によるアドミッタンス制御モードのための、手術ロボットシステムまたはその構成要素によって動作可能な例示的な方法を示すフローチャートである。例えば、図22に示す方法2200のステップは、手術ロボットシステムのプロセッサによって実行されてもよい。便宜上、方法2200は、システムのプロセッサによって実行されるように記述される。
【0129】
方法2200は、ブロック2201から開始する。ブロック2205において、プロセッサは、少なくとも1つのトルクセンサの出力に基づいて、ロボットアーム上の基準点における力を特定する。ロボットアームは、少なくとも2つのリンク機構と、少なくとも2つのリンク機構を接続する少なくとも1つのジョイントと、少なくとも2つのリンク機構の間のトルクを検出するように構成された少なくとも1つのトルクセンサと、少なくとも2つのリンク機構の位置を調整するように構成された少なくとも1つのモータとを有する。特定の実施形態では、プロセッサは、位置センサの出力に基づいて力を特定することもできる。これらの実施形態では、位置センサは、2つの隣接するリンク機構の間の角度を計測するように構成されてもよい。
【0130】
ブロック2210において、プロセッサは、基準点の移動方向の指標を受信する。ブロック2215において、プロセッサは、力の1つの成分が基準点の移動方向と同じ方向にあることを特定する。ブロック2220において、プロセッサは、力の成分が基準点の移
動方向と同じ方向にあるという特定に応じて、ロボットアームの移動に対する目標の抵抗力を示す少なくとも1つのパラメータを生成する。ブロック2225において、プロセッサは、少なくとも1つのパラメータに基づいてモータを制御し、目標の抵抗力に従ってロボットアームを移動させる。方法2200は、ブロック2230で終了する。
【0131】
(3.システムの実装および用語)
本明細書に開示される実施形態は、手術ロボットアームのアドミッタンス制御のためのシステム、方法、および装置を提供する。特定の実施形態では、この制御モードには、ロボットアームの基準点に加わる力の特定や特定された力を入力として用いてロボットアームの動作を制御することが含まれてよい。
【0132】
本明細書で使用される用語「結合する」、「結合する」、「結合される」、または単語対の他の変更は間接接続または直接接続のいずれかを示すことができ、例えば、第1の構成要素が第2の構成要素に「結合される」場合、第1の構成要素は、別の構成要素を介して第2の構成要素に間接的に接続されるか、または第2の構成要素に直接接続されることができることに留意されたい。
【0133】
本明細書で説明する特徴類似度計算、位置推定、およびロボット動作作動機能は、プロセッサ可読媒体またはコンピュータ可読媒体上に1つまたは複数の命令として格納することができる。用語「コンピュータ可読媒体」は、コンピュータまたはプロセッサによってアクセスされ得る任意の利用可能な媒体を指す。限定ではなく例として、そのような媒体は、RAM(ランダムアクセスメモリ)、ROM(リードオンリメモリ)、EEPROM(
電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ)、フラッシュメモリ、CD-ROM(コンパクトディスクリードオンリ)または他の光ディスクストレージ、磁気ディスクストレージまたは他の磁気ストレージデバイス、あるいは命令またはデータ構造の様式で所望のプログラムコードを格納するために使用され得、コンピュータによってアクセスされ得る任意の他の媒体を備えることができる。コンピュータ可読媒体は、有形かつ非一時的であり得ることに留意されたい。本明細書で使用されるように、用語「コード」は、計算装置またはプロセッサによって実行可能なソフトウェア、命令、コード、またはデータを指すことができる。
【0134】
本明細書で開示される方法は、説明される方法を達成するための1つまたは複数のステップまたはアクションを備える。方法のステップおよび/またはアクションは、代替形態の範囲から逸脱することなく、互いに交換することができる。言い換えれば、ステップまたはアクションの特定の命令が説明されている方法の適切な動作のために必要とされない限り、特定のステップおよび/またはアクションの命令および/または使用は、代替の範囲から逸脱することなく修正され得る。
【0135】
本明細書で使用される場合、用語「複数」は2つ以上を意味する。例えば、複数の構成要素は2つ以上の構成要素を示す。用語「特定すること」が多種多様なアクションを包含し、したがって、「特定すること」は計算すること、計算すること、処理すること、導出すること、調査すること、参照すること(例えば、テーブル、データベース、または別のデータ構造を参照すること)、確認することなどを含むことができ、「特定すること」は受信すること(例えば、情報を受信すること)、アクセスすること(例えば、メモリ内のデータにアクセスすること)などを含むことができる。また、「特定すること」は、解決すること、選択すること、選ぶこと、確立することなどを含むことができる。
【0136】
「に基づく」という語句は特に断らない限り、「のみに基づく」という意味ではない。言い換えれば、「に基づく」という語句は、「のみに基づく」および「少なくともに基づく」の両方を表す。
【0137】
開示された実施形態の上記の説明は、当業者が本件開示を実現または使用することを可能にするために提供される。これらの実装に対する様々な修正は当業者には容易に明らかであり、本明細書で定義される一般的な原理は、本件開示の範囲から逸脱することなく、他の実装に適用することができる。例えば、当業者は、工具構成要素を固定、取り付け、結合、または係合する等価な方法、特定の作動運動を生成するための等価な機構、および電気エネルギーを送達するための等価な機構などの、いくつかの対応する代替的および等価な構造的詳細を採用することができることが理解されるのであろう。したがって、本件開示は、本明細書に示される実装に限定されることを意図するものではなく、本明細書に開示される原理および新規な特徴と一致する最も広い範囲を与えられるべきである。
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図15
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図17
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図19
図20
図21
図22