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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-23
(45)【発行日】2023-07-03
(54)【発明の名称】マスク塗布用製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/06 20060101AFI20230626BHJP
   A61K 9/72 20060101ALI20230626BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20230626BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230626BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20230626BHJP
   A61P 11/02 20060101ALI20230626BHJP
   A61P 11/04 20060101ALI20230626BHJP
   A61K 47/06 20060101ALI20230626BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20230626BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20230626BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20230626BHJP
   A61K 31/045 20060101ALI20230626BHJP
   A61K 31/125 20060101ALI20230626BHJP
   A61K 31/015 20060101ALI20230626BHJP
   A61K 31/11 20060101ALI20230626BHJP
   A61K 31/122 20060101ALI20230626BHJP
   A61K 36/14 20060101ALI20230626BHJP
   A61K 36/15 20060101ALI20230626BHJP
   A61K 36/235 20060101ALI20230626BHJP
   A61K 36/61 20060101ALI20230626BHJP
   A61K 36/13 20060101ALI20230626BHJP
   A61K 36/534 20060101ALI20230626BHJP
   A61K 36/53 20060101ALI20230626BHJP
   A61K 36/738 20060101ALI20230626BHJP
   A61K 36/752 20060101ALI20230626BHJP
   A61K 36/54 20060101ALI20230626BHJP
【FI】
A61K9/06
A61K9/72
A61K47/44
A61P43/00 121
A61P37/08
A61P11/02
A61P11/04
A61K47/06
A61K47/14
A61K47/32
A61K47/34
A61K31/045
A61K31/125
A61K31/015
A61K31/11
A61K31/122
A61K36/14
A61K36/15
A61K36/235
A61K36/61
A61K36/13
A61K36/534
A61K36/53
A61K36/738
A61K36/752
A61K36/54
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020522265
(86)(22)【出願日】2019-05-29
(86)【国際出願番号】 JP2019021381
(87)【国際公開番号】W WO2019230835
(87)【国際公開日】2019-12-05
【審査請求日】2022-02-17
(31)【優先権主張番号】P 2018105765
(32)【優先日】2018-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000102544
【氏名又は名称】エステー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000590
【氏名又は名称】弁理士法人 小野国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】辻 幹夫
(72)【発明者】
【氏名】岩澤 厚
【審査官】新留 素子
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-326006(JP,A)
【文献】実開昭55-040873(JP,U)
【文献】特開2016-094354(JP,A)
【文献】特開2015-117197(JP,A)
【文献】特開2015-030704(JP,A)
【文献】特開2016-196435(JP,A)
【文献】特開2014-129266(JP,A)
【文献】特開2009-234992(JP,A)
【文献】特開2003-160425(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00 ~ 33/44
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分、(A)ないし(D)
(A)揮散性有効成分
(B)ワックス剤
(C)植物油、脂肪酸エステル、脂肪酸グリコール、脂肪酸グリセリル、高級脂肪酸アルコール及び炭化水素油よりなる群から選ばれる1種または2種以上の揮散調整剤
(D)流動パラフィン、流動イソパラフィン、ポリブテン、ポリイソブテン、脂肪酸ポリグリセリル、ジリノール酸エステル、ロジン、ロジン誘導体、イソステアリン酸水添ヒマシ油、(PPG-7・コハク酸)コポリマー、(ヘキシルデカン酸・セバシン酸)ジグリセリルオリゴエステル、オレフィンオリゴマー及びシリコーン油よりなる群から選ばれる1種または2種以上の定着性向上剤
を含有することを特徴とするマスク外表面塗布用製剤。
【請求項2】
成分(A)が、アレルゲンの低減、鼻症状改善または咽症状改善を目的とする揮散性有効成分の何れかである請求項1記載のマスク外表面塗布用製剤。
【請求項3】
スティック状である請求項1または2記載のマスク外表面塗布用製剤。
【請求項4】
スティック状の製剤を、上部が収納物を出没可能にされたキャップ付き容器に充填してなる請求項3記載のマスク外表面塗布用製剤。
【請求項5】
成分(A)の配合量が1~20質量%、成分(B)の配合量が1~30質量%、成分(C)の配合量が10~50質量%、成分(D)の配合量が0.1~30質量%である請求項1~4のいずれかの項記載のマスク外表面塗布用製剤。
【請求項6】
成分(A)の揮散性有効成分が、l-メントール、dl-カンフル、d-ボルネオール、カマズレン、テルピネン-4-オール、ゲラニオール、シトロネラール、ゲラ二アール、ネラール、ヒノキチオール、ペパーミント油、ユーカリ油、ヒバ油、桂皮油、ベルガモット油、テレピン油、ローズ油、ウイキョウからの精油、セージからの精油、ヒノキ科ヒノキ属、ヒノキ科スギ属及びマツ科モミ属よりなる群から選ばれた樹木からの精油である請求項1~5のいずれかの項記載のマスク外表面塗布用製剤。
【請求項7】
成分(A)の揮散性有効成分が次の成分(A-1)及び(A-2)、
(A-1)マツ科モミ属、コウヤマキ科コウヤマキ属およびヒノキ科アスナロ属から選ばれた樹木の木質部及び/または葉からの精油
(A-2)l-メントール、dl-カンフル、d-ボルネオール、ペパーミント油、ユーカリ油、ヒバ油、ヒノキチオール、桂皮油、ベルガモット油、テレピン油、ローズ油、ウイキョウからの精油またはセージからの精油
を組合わせたものである請求項1~6のいずれかの項記載のマスク外表面塗布用製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスク塗布用製剤に関し、さらに詳細には、花粉症などのアレルギー症状を低減化したり、鼻水、鼻づまりなどの鼻症状や咳、咽頭炎、喉痛等の咽喉症状、目元の不快感、目のかゆみの低減などの目症状を改善することのできる揮散性有効成分をマスクに塗布することで、効率的に、かつ長時間にわたってこの有効成分を放散させることのできるマスク塗布用製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、花粉、ハウスダスト、各種粉塵、ウイルス等の空気中に浮遊する粒子が口や鼻に侵入することを抑制、防止するためにマスクの装着は有効である。このような目的のマスクとしては、例えば不織布等で構成された布製マスクが一般に広く普及している。
【0003】
特に近年では、花粉症やアレルギー症状を抑制するためにマスクを装着する人が増えてきており、また、ウイルス飛沫やPM2.5のような極小粒子の吸入防止対策としてマスクを選択する人も増えている。
【0004】
マスクを着用する人が増えるに従い、マスクについてもその効果や、使い勝手を向上させるための工夫がなされ、例えば、マスクでの極小粒子の透過を抑制するためにマスク処理剤をマスクに付着させることが提案されている。
【0005】
このようなマスク処理剤として、特許文献1では、ノニオン系界面活性剤、グリセリン等の多価アルコール、低級アルコール及び精製水を含有したマスク処理剤が、特許文献2では、水、アルコールの他、陽イオン性界面活性剤を含有したマスク処理剤が開示されている。
【0006】
また、マスクを薬剤投与に利用するものとして、ガーゼに薬物を含ませたり、ガーゼの間に作ったポケットに薬を含ませたものを入れた薬用マスク(特許文献3)や、花粉症の改善効果があるプロポリスエキス液を含浸させた布をガーゼで包んで使用する花粉症用衛生マスク(特許文献4)が提案されている。
【0007】
上記の各技術は、ガーゼ等のマスク覆い部に水分や薬液等を含ませたもので、いずれも、呼吸により前記水分や薬液を揮散させて吸気とともに吸入することで鼻症状や花粉症等のアレルギーの予防や治療を行うものである。しかし、マスクの覆い部に直接、水や薬液等を含浸させたり、薬液等を含浸させた布等を挿入すると、覆い部が重くなり、マスクが顔からずり落ちやすく使用感を大きく損ねる。また、そればかりでなく、含浸させた薬液が覆い部から滲みだして着用者の口元や鼻の周りを濡して不快感を与えたり、薬剤によっては肌が荒れてしまうといった問題があった。
【0008】
一方、ミントエッセンス、メントール、ヒノキチオール等の香料溶液を着用直前にマスク覆い部の内側に噴霧し、鼻孔を覆うようにした、香気による鼻孔の不快感解消方法(特許文献5)も提案されている。
【0009】
この方法では、前記のような問題はないが、マスクを着けたままスプレーすると目や顔の皮膚に付着してしまうため、一旦マスクを取り外してからスプレー処理し、付け直さなければならないといったわずらわしさがあった。また、このようなスプレーは持ち運びに不便であるという問題もある。
【0010】
更に、双方に共通する欠点として、水分や薬液が早期に揮散してしまい、効果が長持ちしないといった問題点もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特許第5072198号公報
【文献】特許第5553563号公報
【文献】実開平1-133941号公報
【文献】特開平5-76597号公報
【文献】特開平7-39574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、マスクの機能を向上させようとした際の問題点を解決するものであり、使用者に不快感を与えることなく、アレルゲン活性低減や鼻症状改善等を目的とした生理活性物質の効果を発揮させることができるマスク用製剤を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、マスクを装着した際の機能を向上させることを目的として、鋭意研究を行っていたところ、揮散性の有効成分を含有させた製剤をマスクに塗布することで、長時間にわたって、有効成分を鼻腔内あるいは咽喉内に吸入せしめることができること、およびこれに適した製剤処方を見出し、本発明を完成した。
【0014】
すなわち本発明は、成分、(A)ないし(D)
(A)揮散性有効成分
(B)ワックス剤
(C)揮散調整剤
(D)定着性向上剤
を含有するマスク塗布用製剤である。
【0015】
また本発明は、上記のマスク塗布用製剤をマスクに塗布し、これを口鼻部に適用する揮散性有効成分の吸入方法である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、使用者に不快感を与えることがなく、揮散性の有効成分を長時間にわたって、鼻腔内あるいは咽喉内に吸入せしめることができる。すなわち、アレルゲン活性低減化剤、鼻症状改善剤、咽喉症状改善剤等の効果を有する有効成分を長期間にわたり吸入せしめることができる。
【0017】
また、固形ないしは半固形タイプの製剤であるため、マスクをつけたままで薬剤を塗布することができ、しかもマスクに塗布する量を自由にコントロールすることができる。
【0018】
さらに、液状の製剤では避けられなかった、担体に含浸させた薬液が覆い部から滲みだして着用者の口元や鼻の周りを濡して不快感を与えたり、肌が荒れてしまうといった問題がなくなる。
【0019】
さらに、マスクに塗布することにより、花粉などのアレルゲンや塵などの空気中浮遊粒子をマスクの繊維上で捕捉し、透過を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0021】
本明細書のマスク塗布用製剤とは、揮散性有効成分を含有する、固形ないしは半固形の製剤であって、一般のヒトの口鼻部に適用するマスクに塗布して使用する製剤を意味する。
【0022】
本発明のマスク塗布用製剤(以下、「本発明製剤」という)は、上記したように、次の4成分を含有するものである。
(A)揮散性有効成分
(B)ワックス剤
(C)揮散調整剤
(D)定着性向上剤
【0023】
このうち、成分(A)の揮散性有効成分は、揮散することにより、ヒトの鼻腔内あるいは咽喉内で作用するものである。この成分(A)は、作用面から見ると、アレルギー活性低減化剤、鼻症状もしくは咽喉症状改善剤等を目的とするものである。
【0024】
具体的には、例えば、l-メントール、dl-カンフル、d-ボルネオール、カマズレン、テルピネン-4-オール、ゲラニオール、シトロネラール、ゲラ二アール、ネラール、ヒノキチオール、ペパーミント油、ユーカリ油、ヒバ油、桂皮油、ベルガモット油、テレピン油、ローズ油、ウイキョウ、セージからの精油、スギ、ヒノキ、ユーカリ、トドマツ、コウヤマキなどの植物の精油を挙げることができる。このうち、ヒノキ科ヒノキ属、ヒノキ科スギ属及びマツ科モミ属よりなる群から選ばれた樹木の1種または2種以上の木質部及び/または葉の精油を用いることが好ましい。
【0025】
上記植物の精油のうち、マツ科モミ属、コウヤマキ科コウヤマキ属、ヒノキ科アスナロ属等の樹木の、木質部や葉からの精油が、アレルゲン低減化作用や、鼻症状改善作用を奏することは、本発明者らがすでに報告しているとおりであり(特開2015-30704号公報、特開2015-117197号公報)、本発明の成分(A)としてこれを利用しても良い。
【0026】
上記マツ科モミ属の樹木としては、トドマツ、モミ、ウラジロモミ、シラビソ、オオシラビソ、シラベ、バルサムファー、ミツミネモミ、ホワイトファー、アマビリスファー、アオトドマツ、カリフォルニアレッドファー、グランドファー、ノーブルファー等が、コウヤマキ科コウヤマキ属の樹木としては、コウヤマキ等が、ヒノキ科アスナロ属の樹木としては、ヒバ、アスナロ、ヒノキアスナロ、ホソバアスナロ等がそれぞれ挙げられ、これらの中でも、トドマツ、モミ、コウヤマキ、ヒバ等が好適に用いられる。これらの中でも樹木の種類としては、マツ科モミ属の樹木が鼻症状の改善効果に優れるため好適であり、特にトドマツ、モミが好ましい。
【0027】
これらの樹木の木質部及び/または葉からの精油の取得方法も、すでに特開2015-117197号公報等で報告したとおり、抽出、蒸留等従来公知の方法で行うことができるが、簡単に説明すると、次の通りである。
【0028】
すなわち、例えば、上記植物の葉のついた木の枝を細断、粉砕したものやチップ化した樹木の木質部を原料とし、これを水、エタノール、メタノール、ブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等のアルコール系溶媒;クロロホルム等の含ハロゲン系溶媒;ジオキサン等のエーテル系溶媒;アセトン、酢酸エチル等のカルボニル系溶媒やこれらの混液等を利用し、溶媒抽出や、常圧蒸留、減圧蒸留、水蒸気蒸留等の蒸留することで精油が得られる。このうち蒸留は、減圧下でマイクロ波による加熱することが好ましい。
【0029】
また本発明での、好ましい成分(A)としては、植物からの精油、例えば、マツ科モミ属、コウヤマキ科コウヤマキ属、およびヒノキ科アスナロ属から選ばれた樹木の木質部及び/または葉からの精油(成分(A-1))と、l-メントール、dl-カンフル、d-ボルネオール、ペパーミント油、ユーカリ油、ヒバ油、ヒノキチオール、桂皮油、ベルガモット油、テレピン油、ローズ油、ウイキョウからの精油及びセージからの精油(成分(A-2))とを混合したものを挙げることができる。本発明においては、成分(A-1)と成分(A-2)を配合することで、鼻症状の改善効果が高いという効果が得られる。
【0030】
成分(A-1)と成分(A-2)を組み合わせ、使用する場合の配合割合は特に限定されないが、質量比で、100:0.01~1:1が好ましく、特に10:0.1~5:1が好ましい。
【0031】
本発明の成分(B)であるワックス剤は、本発明製剤の基剤で、その剤型を固形ないし半固形とするものであり、上記(A)成分保持し、徐々に放出するという作用を有する。
【0032】
この成分(B)は、その融点が常温以上、例えば、30℃以上の油脂である。具体的には、キャンデリラロウ、ミツロウ、カルナウバロウ、サラシミツロウ、ウルシロウ、オウリキュウリロウ、ゲイロウ、コメヌカロウ、サトウキビロウ、シェラックロウ、ホホバロウ、モクロウ、油糧種子ロウ、シアバター、マンゴーバター、アロエバター、アボカドバター、カカオ脂、ショレアステノプテラ脂、パラフィン、ワセリン、セレシン、オゾケライト、マイクロクリスタリンワックス、モンタンワックス、エチレンホモポリマー、ポリエチレン、エチレン・プロピレン共重合体等の合成炭化水素ワックス、オレイン酸コレステリル、オレイン酸ジヒドロコレステリル、オレイン酸フィトステリル、ステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸フィトステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸・ステアリン酸・ロジン酸)ジペンタエリスリチル、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸・イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸)ジペンタエリスリチル、トリ(オクタン酸・ステアリン酸・アジピン酸)グリセリル、トリ(カプリル酸・カプリン酸・ミリスチン酸・ステアリン酸)グリセリル、テトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチルなどが挙げられる。このうち、好ましいものとしては、キャンデリラロウ、パラフィンワックス、カルナウバロウ、ワセリン、ミツロウ、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、テトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル、ポリエチレンワックスおよびエチレン・プロピレン共重合体等の合成炭化水素ワックスを挙げることができる。
【0033】
この成分(B)は、本発明製剤に求められる硬さや、塗布性に応じて、上記の1種若しくは2種以上を混合して用いることができ、必要により他の液状油成分を配合することができる。
【0034】
また、本発明製剤の成分(C)である揮散調剤は、前記成分(B)と共に、マスク上に塗布された成分(A)を保留し、その揮散を適宜調整して、長期間にわたり効果を発揮させる機能を有する成分である。
【0035】
例えば、前出のマツ科モミ属、コウヤマキ科コウヤマキ属、およびヒノキ科アスナロ属から選ばれた樹木の木質部及び/または葉からの精油や、l-メントール、dl-カンフルなどは非常に揮発性が高いため、何の処理も行わないと、マスクへの塗布後数分から数十分で効果がなくなってしまうばかりか、急激に高濃度の成分を口や鼻に吸い込むとその効果は得られるものの、嗜好性を大きく損ねることがある。そこで、このような問題を避けるため、本発明製剤中に成分(C)を加え、揮発性の高い成分(A)の放出を抑え、徐々に吸入できるように調整する役目を果たすものである。また、別の効果として、前記したような成分(B)の硬さを適宜調整し、マスクへ塗布する際ののびを良くし、塗布性を向上させるという効果も併せ持つ。
【0036】
この成分(C)としては例えば、植物油、脂肪酸エステル、脂肪酸グリコール、脂肪酸グリセリル、高級脂肪酸アルコール、炭化水素油、その他の成分などがあげられる。
【0037】
このうち植物油としては、オリーブ油、ホホバ油、マカデミア油、グレープシード油、ローズヒップ油、ダイズ油、ゴマ油、ヒマワリ油、ヤシ油、硬化油( 植物油の水素添加油) 、パーム油、アボカド油、アーモンド油、コメヌカ油、サフラワー油、トウモロコシ油、ナタネ油、パーシック油、パーム核油、ひまし油、ケシ油、カカオ油、月見草油、綿実油、落花生油、ツバキ油、サザンカ油、ククイナッツ油、小麦胚芽油、メドウフォーム油、チャボトケ草油などが挙げられ、好ましくはオリーブ油、ホホバ油、マカデミア油である。
【0038】
また、脂肪酸エステルとしては、ミリスチン酸ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸デシル、ミリスチン酸セチル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソトリデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸セチル、パルミチン酸イソセチル、パルミチン酸イソステアリル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸エチル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ステアリル、オレイン酸セチル、オレイン酸デシル、オレイン酸イソデシル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、リノール酸エチル、リノール酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、ラウリン酸イソステアリル、ラウリン酸ヘキシルデシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸セトステアリル、イソステアリン酸エチル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシル、イソステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸オクチルドデシル、イソパルミチン酸2-エチルヘキシル、ヒドロキシステアリン酸2-エチルヘキシル、12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸イソセチル、12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸ステアリル、12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸イソステアリル、リシノール酸セチル、リシノール酸オクチルドデシル、ネオペンタン酸オクチルドデシル、2-エチルヘキサン酸イソプロピル、2-エチルヘキサン酸セチル、2-エチルヘキサン酸セトステアリル、2-エチルヘキサン酸ステアリル、オクタン酸イソセチル、オクタン酸イソステアリル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ジメチルオクタン酸オクチルドデシル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、乳酸オクチルドデシル、乳酸イソステアリル、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリオクチル、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリオクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、コハク酸ジ2-エチルヘキシル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジブチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジオクチル、イソペラルゴン酸2-エチルヘキシル、エルカ酸オレイル、カプリル酸セチル、炭酸ジカプリル、脂肪酸(C10-30)コレステロール/ラノステロールエステルズなどが挙げられ、好ましくは、イソノナン酸イソトリデシル、イソステアリン酸オクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸セチル、脂肪酸(C10-30)コレステロール/ラノステロールエステルズである。
【0039】
更に、脂肪酸グリコールとしてはジオクタン酸エチレングリコール、ジオレイン酸エチレングリコール、ジオレイン酸プロピレングリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジ( カプリル・カプリン酸) プロピレングリコール、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコールなどが挙げられる。
【0040】
更にまた、脂肪酸グルセリルとしては、ステアリン酸グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、1-イソステアロイル-3-ミリストイルグリセロール、トリカプリル酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、トリ(カプリル酸・カプリン酸・ヤシ油脂肪酸)グリセリル、トリウンデシル酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸グリセリン、ポリオキシエチレン(カプリル・カプリン酸)グリセリル、ステアリン酸ポリグリセリルなどが挙げられ、好ましくはトリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、ステアリン酸グリセリル、ステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸グリセリルである。
【0041】
また更に、高級脂肪酸アルコールとしてはオレイルアルコール、イソステアリルアルコール、パルミチルアルコール、ミリスチルアルコール(セタノール)、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、ジオクチルシクロヘキサンおよび(カプリル・カプリン酸)ヤシ油アルキルなどが挙げられ、好ましくはオクチルドデカノールである。
【0042】
炭化水素油としては、スクワラン等が挙げられる。上記成分(C)は、上記各成分を1種若しくは2種以上を混合して用いることができる。
【0043】
本発明製剤の成分(D)である定着性向上剤は、本発明製剤をマスクに塗った後に、剥がれ落ちることなく、マスクに付着、定着させるための成分である。
【0044】
この成分(D)としては、具体的に、流動パラフィン、流動イソパラフィン、ポリブテン、ポリイソブテン、脂肪酸ポリグリセリル、ジリノール酸エステル、ロジン、ロジン誘導体、イソステアリン酸水添ヒマシ油、(PPG-7・コハク酸)コポリマー、(ヘキシルデカン酸・セバシン酸)ジグリセリルオリゴエステル、オレフィンオリゴマー、デカメチルシクロペンタシロキサン、ジメチコン等のシリコーン油等が挙げられ、その1種または2種以上を用いることができる。
【0045】
本発明製剤は、上記した成分(A)~(D)の各成分を含むものであり、基本的には疎水性であるが、必要により、酸化防止剤、紫外線吸収剤、色素、香料の他、水分を配合することも可能である。この場合、製剤は、油中水型のような連続層が油性成分のものとなることが好ましい。
【0046】
本発明製剤は、全組成に対し、好ましくは1~30質量%(以下、「%」と示す)、より好ましくは10~20%の成分(B)、好ましくは10~50%、より好ましくは15~30%の成分(C)、好ましくは1~30%、より好ましくは5~20%の成分(D)及び必要に応じて任意成分を、60℃~120℃程度で加熱融解した後、これに好ましくは1~20%、より好ましくは5~10%の成分(A)を添加、攪拌混合し、得られた混合物を型に流し込んで冷却することで製造される。また、軟膏剤、クリーム剤を製造する場合は、上記各成分にさらに界面活性剤及び水を加え、攪拌混合し、チューブ、カップなどの適当な容器に充填することにより製造することができる。
【0047】
このように作成された本発明のマスク処理剤は固形ないしは半固形(軟膏状)であるため、容器に詰めて指でマスクに塗布することもできるが、好ましくはリップスティック状の容器に収納し、容器から直接塗布できるようにすることが好ましい。
【0048】
すなわち、リップスティック状の容器とは、細長い円筒形(まれに角柱)で、上部が収納物を出没可能にされたキャップ付き容器であり、容器の底を回転させると内底がせり上がって内部に収納された固形状の収納物が出てくるものであり、これを利用することで、本発明製剤に直接触れることなく、マスクに塗布することが可能となる。
【0049】
かくして得られた本発明製剤は、例えば、布製のマスクに塗布して使用するものである。本発明製剤を塗布する面は特段制約されないが、直接皮膚や、口唇等に触れることを避けるため、外気を吸入する側に塗布することが好ましい。その使用に際しては容器を持ってマスクの外側(肌に触れない外表面)に直接、1ないし数回こすりつけるように塗布すれば良い。
【0050】
また、本発明製剤が塗布、適用されるマスクは、その種類等は特に限定されず、不織布や織布、ガーゼなどを単層にした単層構造、または複数重ねた多層構造のマスクに適用される。更に、マスクで使用される不織布の製造方法としては、例えば、スパンボンド法、ニードルパンチ法等を挙げることができ、成形された不織布であっても構わない。
【実施例
【0051】
以下、実施例、製造例、製剤例を挙げ、本発明を説明するが、本発明はこれら実施例等に何ら制約されるものではない。
【0052】
製 造 例 1
原料として、トドマツの葉を用い、以下のようにしてその精油を得た。すなわち、トドマツ葉を圧砕式粉砕機(KYB製作所製)で粉砕し、その約50kgを、マイクロ波水蒸気蒸留装置の蒸留槽に投入した。攪拌しながら蒸留槽内の圧力を、約20KPaの減圧条件下に保持し(蒸気温度は約67℃)、1時間マイクロ波照射し精油を蒸留した。得られた精油の量は180mLであり、投入試料に対する精油の割合は、0.34%であった。
【0053】
実 施 例 1
下記の処方、製造方法にて、スティック状のマスク塗布用製剤(実施品1)を作成した。
( 処 方 )
【表1】
【0054】
( 製造方法 )
上記表1の成分(A)以外のものを加熱融解し、これに成分(A)を加えた後、型に流し込んで冷却し、スティック状に成型した。これをリップスティック容器に装着し、マスク塗布用製剤とした。
【0055】
実 施 例 2
花粉症の症状を有する被験者に、実施例1で調製したマスク塗布用製剤(φ16mm;長さ70mm)と不織布製マスクを渡し、マスクの外側面の鼻腔周辺に塗布して使用する旨説明した後、自由に使用してもらった。その後、使用感についての効果についてアンケートを取った。この結果を表2から表8に示す。なお、これら表中、塗布回数は、マスクの横方向に4~5cm塗布することを1回の塗布とし、これを使用に先立ち何回繰り返したかを意味し、使用実感は、「とても実感できた」、「やや実感できた」、「どちらともいえない」「あまり実感できなかった」「全く実感できなかった」の五段階での評価を訊いた結果である。
【0056】
【表2】
【0057】
【表3】
【0058】
【表4】
【0059】
【表5】
【0060】
【表6】
【0061】
【表7】
【0062】
【表8】
【0063】
以上の結果が示す如く、使用する人により、マスクに塗布する塗布量(塗布回数)を自由にコントロールすることができ、それ相応の使用感が得られている。また、マスクをつけたままで薬剤を塗布することができ、この結果肌が荒れてしまうといったクレームはなかった。また持ち運びが便利であり、外出先などでも塗布することができるというメリットもある。
【0064】
比 較 例 1
以下の処方、製造方法で比較品1の鼻症状改善剤(液体)を作成した。
( 処 方 )
【表9】
【0065】
( 製造方法 )
全成分を混合し、均一となるまで撹拌した。
【0066】
得られた製剤を、市販のポンプスプレー容器に収納し、マスクに2回噴霧し、使用したところ、鼻症状は直ちに改善されたが、効果は10分程度しか持続しなかった。また、マスクが濡れてしまい、口周りに違和感が生じ、使い心地の悪いものであった。
【0067】
実 施 例 3
下記の処方、製造方法にて、スティック状のマスク塗布用製剤を作成した。
( 処 方 )
【表10】
【0068】
( 製造方法 )
上記表10の成分(A)以外のものを加熱融解し、これに成分(A)を加えた後、型に流し込んで冷却し、スティック状に成型した。これをリップスティック容器に装着し、マスク塗布用製剤とした。
【0069】
実 施 例 4
花粉症の症状を有する被験者60名に、実施例3で調製した実施品2または3のマスク塗布用製剤(φ16mm;長さ70mm)と不織布製マスクを渡し、マスクの外側面の鼻腔周辺に塗布して使用する旨説明した後、自由に使用してもらった。その後、花粉症及び症状の主な症状に対する効果実感についてアンケートを取った。結果を表11~表14に示す。なお、表中上段の数値は当該選択肢の回答者数、下段は回答者数全体に占める当該選択肢の回答者数の割合(%)である。
【0070】
鼻水の症状に対する効果の評価結果を表11に示す。
【0071】
【表11】
【0072】
鼻づまりの症状に対する効果の評価結果を表12に示す。
【表12】
【0073】
くしゃみの症状に対する効果の評価結果を表13に示す。
【表13】
【0074】
花粉症の軽減効果全体に対する満足度の評価結果を表14に示す。
【表14】
【0075】
以上の結果が示す如く、本発明品は、鼻水、鼻づまり、くしゃみといった花粉症及び鼻症状の主要な症状に対し改善効果を有するものであった。
【0076】
製 剤 例 1
スティック剤:
下記の組成で、スティック剤を調製した。
【0077】
< 処 方 >
成 分 配合量(%)
揮散性有効成分 製造例1のトドマツ精油 10
dl-カンフル 1
ワックス剤 マイクロクリスタリン
ワックス 15
パラフィンワックス 15
カルナウバワックス 5
ワセリン 5
揮散調整剤 リンゴ酸ジイソステアリル 7
トリイソステアリン酸
グリセリル 15
ジカプリン酸プロピレン
グリコール 7
定着性向上剤 デカメチルシクロペンタ
シロキサン 10
その他成分 ステアリン酸イヌリン 2
精製水 5
1,3-ブチレングリコール 1
防腐剤 適 量
香 料 適 量
合 計 100
【0078】
製 剤 例 2
スティック剤:
下記の組成で、スティック剤を調製した。
【0079】
< 処 方 >
成 分 配合量(%)
揮散性有効成分 製造例1のトドマツ精油 10
ペパーミント油 1
ワックス剤 セレシン 6
パラフィンワックス 6
キャンデリラワックス 5
揮散調整剤 1-イソステアロイル
-3-ミリストイル 22.5
グリセロール
トリ2-エチルヘキサン
酸グリセリル 11
パルミチン酸イソプロピル 22.5
ホホバ油 10
定着性向上剤 ジメチコン 4
その他成分 酸化防止剤 適 量
香 料 適 量
合 計 100
【0080】
製 剤 例 3
スティック剤:
下記の組成で、スティック剤を調製した。
【0081】
< 処 方 >
成 分 配合量(%)
揮散性有効成分 製造例1のトドマツ精油 15
ヒノキチオール 1
ワックス剤 ポリエチレンーポリプロ
ピレンコポリマー 5
キャンデリラワックス 5
カルナウバワックス 5
ワセリン 10
揮散調整剤 2-エチルヘキサン酸セチル 10
ジイソステアリン酸
グリセリル 14.5
マカデミア油 7
定着性向上剤 ジメチコン 2
その他成分 ステアリン酸イヌリン 23
防腐剤 適 量
香 料 適 量
合 計 100
【0082】
製 剤 例 4
軟膏剤:
下記の組成で、軟膏剤を調製した。
【0083】
< 処 方 >
成 分 配合量(%)
揮散性有効成分 製造例1のトドマツ精油 10
ワックス剤 テトラ(ヒドロキシステ
アリン酸/イソステア 5
リン酸)ジペンタエリ
スリチル
揮散調整剤 パルミチン酸2-エチル
ヘキシル 3
ステアリン酸グリセリル 1
ステアリン酸ポリグリセ
リル 1
トリ(カプリル酸/カプ
リン酸)グリセリル 0.1
ベヘニルアルコール 1
ミリスチルアルコール 1

定着性向上剤 ジメチコン 0.1
その他成分 グリセリン 3
フェノキシエタノール 適 量
メチルパラベン 適 量
ステアロイルグルタ
ミン酸ナトリウム 適 量
精製水 残 部
合 計 100
【0084】
製 剤 例 5
クリーム剤:
下記の組成で、クリーム剤を調製した。
【0085】
< 処 方 >
成 分 配合量(%)
揮散性有効成分 製造例1のトドマツ精油 10
ワックス剤 ワセリン 5
揮散調整剤 パルミチン酸セチル 1
ステアリン酸グリセリル 1
スクワラン 16
メドウフォーム油 2
セタノール 1
定着性向上剤 ジメチコン 0.1
その他成分 グリセリン 3
トリエチルヘキサノイン 3
精製水 53.9
合 計 100
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明製剤は、固形タイプまたは半固形タイプの形状であるため、マスクをつけたままで薬剤を塗布することができるとともに、マスクに塗布する塗布量を使用者が自由にコントロールすることができる。
【0087】
また、従来提供されていた製剤と比較すると、効果が持続するという特徴があり、更に、含浸させた薬液が覆い部から滲みだして着用者の口元や鼻の周りを濡して不快感を与えたり、肌が荒れてしまうといった問題がなくなる。
【0088】
従って、本発明製剤は、マスクに塗布して使用するという新しいタイプの製剤であり、使用者に不快感を与えることがなく、アレルゲン活性の低減や鼻、咽喉症状の改善を目的とした揮散性有効成分の効果を、長期間にわたり発揮させることができるものであり、極めて便利なものである。