(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-23
(45)【発行日】2023-07-03
(54)【発明の名称】温度制御された分配引き出し
(51)【国際特許分類】
F25D 13/02 20060101AFI20230626BHJP
F25D 25/00 20060101ALI20230626BHJP
F25D 23/02 20060101ALI20230626BHJP
F25D 17/06 20060101ALI20230626BHJP
F25D 23/00 20060101ALI20230626BHJP
A47B 81/00 20060101ALI20230626BHJP
A47B 88/90 20170101ALI20230626BHJP
A47B 88/497 20170101ALI20230626BHJP
【FI】
F25D13/02
F25D25/00 Z
F25D23/02 301C
F25D17/06 302
F25D23/00 307
A47B81/00 P
A47B88/90
A47B88/497
(21)【出願番号】P 2020523708
(86)(22)【出願日】2018-11-16
(86)【国際出願番号】 US2018061426
(87)【国際公開番号】W WO2019099767
(87)【国際公開日】2019-05-23
【審査請求日】2021-08-27
(32)【優先日】2017-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505411125
【氏名又は名称】オムニセル, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】フィッシャー、ハーバート ローソン
(72)【発明者】
【氏名】ウィルソン、エディス
(72)【発明者】
【氏名】ファンブロ、ディーン
(72)【発明者】
【氏名】アーノルド、ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】バスラー、ブラッド
(72)【発明者】
【氏名】カパディア、ビハール
(72)【発明者】
【氏名】ベリガンドゥ、スニル
【審査官】西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-500210(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0228899(US,A1)
【文献】特表2001-526069(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0148765(US,A1)
【文献】実公昭58-039349(JP,Y2)
【文献】特開平05-026563(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0330462(US,A1)
【文献】特表2015-521272(JP,A)
【文献】特開2001-091173(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0121095(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第1301337(CN,A)
【文献】米国特許第08196939(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0236946(US,A1)
【文献】実開昭49-076923(JP,U)
【文献】特開2002-195721(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0218546(US,A1)
【文献】特開平6-304230(JP,A)
【文献】米国特許第5661978(US,A)
【文献】THE IMPORTANCE OF USING GLYCOL-ENCASED TEMPERATURE PROBES,ACCUCOLD ACCURACY,VACCINE STORAGE & HANDLING TOOLKIT,2017年11月04日,10 PAGES,https://www.accucold.com/glycolbasedprobes
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 1/00 - 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アイテムを分配するための装置であって、
キャビネットと、
前記キャビネット内の引き出しであって、前記引き出しは、外殻を備えるとともに、アイテムを格納するための1つまたは複数のコンパートメントを含む、引き出しと、
前記引き出し内の冷蔵システムであって、前記冷蔵システムは、ファンを含み、前記冷蔵システムは、前記引き出しの前記1つまたは複数のコンパートメントを、前記キャビネットを取り巻く環境の温度よりも低い温度に維持するように構成されている、冷蔵システムと、
前記引き出しの側面にある断熱材および前記1つまたは複数のコンパートメントの下にある断熱材
であって、前記コンパートメントを収容する前記引き出し内のチャンバを形成している、断熱材と
を備え、前記引き出しおよび前記断熱材は共に、前記引き出しの内部および前記外殻と前記断熱材との間に空気流路を画定し、
前記コンパートメントを収容する前記チャンバは、前記断熱材により前記空気流路から離隔されており、前記ファンは、前記空気流路を通じて空気を動かす、装置。
【請求項2】
前記引き出しに結合されたコンピュータ化されたコントローラをさらに備え、前記コントローラは、前記引き出しへのアクセスを制御する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記引き出し内に温度プローブをさらに備え、前記温度プローブは、前記引き出し内の温度を示す信号を前記コンピュータ化されたコントローラに提供し、前記コンピュータ化されたコントローラは、前記引き出しの温度に関する情報を、前記装置のユーザに提供する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記コンピュータ化されたコントローラによって制御可能であり、前記1つまたは複数のコンパートメントのそれぞれの蓋に結合された1つまたは複数のアクチュエータをさらに備え、前記1つまたは複数のアクチュエータは、前記引き出しの側面にある断熱材および前記1つまたは複数のコンパートメントの下にある断熱材によって画定される前記引き出しの内部の外側に配置されている、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記1つまたは複数のアクチュエータは、1つまたは複数のソレノイドを含む、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記1つまたは複数のアクチュエータは、前記引き出しの側面にある断熱材および前記1つまたは複数のコンパートメントの下にある断熱材によって画定される前記引き出しの内部の外側に配置されている1つまたは複数のプリント回路基板に取り付けられている、請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前記1つまたは複数のコンパートメントのうちの少なくともいくつかにそれぞれ対応する1つまたは複数のライトをさらに備え、前記コントローラは、特定のコンパートメントがアクセスされるべきであると判定すると、
前記特定のコンパートメントに対応するアクチュエータのうちの1つを作動させて、前記特定のコンパートメントをロック解除し、
前記特定のコンパートメントに対応する前記ライトのうちの1つを照明する
ように構成されている、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記引き出しの外側からアクセス可能なオーバーライド機構をさらに備え、前記オーバーライド機構は、前記コンパートメントを手動でロック解除するために前記1つまたは複数のアクチュエータを機械的に動かす、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記キャビネット内に断熱パネルをさらに備え、前記断熱パネルは、前記引き出しが閉じられ、かつ前記キャビネット内にある場合、前記引き出しの上側に配置され、前記断熱パネルは、前記引き出しが開けられている場合、前記キャビネット内に留まっている、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記引き出しに結合された上部断熱パネルをさらに備え、前記上部断熱パネルは、前記1つまたは複数のコンパートメントを露出させるように前記引き出しに対してスライド可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記冷蔵システムは、前記引き出しの後部に配置された圧縮機および凝縮器と、前記引き出しの前記1つまたは複数のコンパートメントおよび前記1つまたは複数のコンパートメントの下の断熱材の間に配置された蒸発器とを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記蒸発器は、ロールボンド蒸発器である、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
ファンをさらに備え、前記ファンは、前記凝縮器を通じて前記引き出しの外側から空気を動かす、請求項11に記載の装置。
【請求項14】
前記空気流路は、空気が前記キャビネットの前部において前記空気流路に入るように、前記キャビネットの前側面において前記キャビネットを取り巻く環境に対して開いており、前記ファンは、前記キャビネットの後部から前記空気を排出する、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記空気流路は、前記1つまたは複数のコンパートメントの下の断熱材内に少なくとも部分的に画定されている、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
1つまたは複数の追加の引き出しをさらに備え、前記1つまたは複数の追加の引き出しのうちの少なくとも1つは、冷蔵されていない、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
引き出しであって、
外殻と、
前記引き出しの温度調節された内部を画定する断熱材と、
前記引き出し内であるが前記引き出しの温度調節された内部の外側に配置された圧縮機および凝縮器を有し、かつ前記引き出しの温度調節された内部に配置された蒸発器を有する冷蔵システムであって、前記冷蔵システムは、ファンを含み、前記ファンは、前記冷蔵システムから熱を排出するとともに、前記引き出しの内部および前記引き出しの断熱材と前記外殻との間の空気流路を通る空気流を生じさせるように構成されている、冷蔵システムと、
前記引き出しの温度調節された内部の1つまたは複数のコンパートメントを画定する仕切り
であって、前記断熱材は、前記1つまたは複数のコンパートメントを収容するチャンバを形成している、仕切りと、
前記1つまたは複数のコンパートメントを覆う1つまたは複数の蓋と、
電力および制御信号を受信するための電気的インタフェースと、
前記電気的インタフェースを介して受信された制御信号に応答して、前記1つまたは複数のコンパートメントをロックおよびロック解除するために前記1つまたは複数の蓋に結合された1つまたは複数のアクチュエータと
を備え
、前記コンパートメントを収容する前記チャンバは、前記断熱材により前記空気流路から離隔されている、引き出し。
【請求項18】
前記1つまたは複数のアクチュエータは、前記引き出しの温度調節された内部の外側に配置されている、請求項17に記載の引き出し。
【請求項19】
前記1つまたは複数のコンパートメントに対応する1つまたは複数のライトをさらに備え、前記ライトは、前記電気的インタフェースを介して受信された制御信号に応答する、請求項17に記載の引き出し。
【請求項20】
前記引き出しの前部にある吸気口と、
前記吸気口へ空気を引き込み、前記空気流路を通って、かつ前記凝縮器を通って、前記引き出しの後側面から前記空気を排出させるファンと
をさらに備え、前記空気流路は、前記引き出しの温度調節された内部の下の断熱パネル内に少なくとも部分的に配置されている、請求項17に記載の引き出し。
【請求項21】
前記吸気口は、前記引き出しの前側面にあるハンドル内に隠されている、請求項20に記載の引き出し。
【請求項22】
引き出しであって、
外殻と、
前記引き出しの断熱された内部を画定する
とともに、チャンバを形成している断熱材と、
前記引き出しの第1の面にある吸気口と、
前記引き出しの第2の面にある排気口と、
ファンと
を備え、前記ファンは、空気を前記吸気口に引き込み、空気を排気口から排出させ、前記吸気口と前記排気口との間で、前記空気が、前記断熱材によって少なくとも部分的に画定され、かつ前記断熱材と前記外殻との間に位置する空気流路を通って流れ
、前記断熱材により形成されたチャンバは、前記断熱材により前記空気流路から離隔されている、引き出し。
【請求項23】
前記引き出しの断熱された内部を冷却する冷蔵システムをさらに備え、前記ファンは、前記引き出しの外側からの空気が前記冷蔵システムの凝縮器を流れるようにする、請求項22に記載の引き出し。
【請求項24】
前記引き出しの第1の面は、前記引き出しの前部であり、前記吸気口は、前記引き出しの前側面にあるハンドル内に隠されている、請求項22に記載の引き出し。
【請求項25】
アイテムを分配するための装置であって、
キャビネットと、
前記キャビネット内の引き出しであって、前記引き出しは、外殻を備えるとともに、アイテムを格納するための1つまたは複数のコンパートメントを含む、引き出しと、
前記引き出し内の冷却システムであって、前記冷却システムは、ファンを含み、前記冷却システムは、前記引き出しの前記1つまたは複数のコンパートメントを、前記キャビネットを取り巻く環境の温度よりも低い温度に維持するように構成されている、冷却システムと、
前記引き出しの側面にある断熱材および前記1つまたは複数のコンパートメントの下にある断熱材
であって、前記コンパートメントを収容するチャンバを形成している、断熱材と
を備え、前記引き出しおよび前記断熱材は共に、前記引き出しの内部および前記外殻と前記断熱材との間の空気流路を画定し、
前記コンパートメントを収容する前記チャンバは、前記断熱材により前記空気流路から離隔されており、前記ファンは、前記空気流路を通じて空気を動かす、装置。
【請求項26】
前記冷却システムは、圧縮機、凝縮器、および蒸発器を含む、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記冷却システムは、熱電冷却システムである、請求項25に記載の装置。
【請求項28】
前記熱電冷却システムは、前記引き出し内で空気を循環させるように構成されたファンをさらに含む、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記ファンは、熱電冷却ユニットから熱を排出し、前記引き出しの断熱材の下または周囲に空気流を引き起こすように構成されている、請求項27に記載の装置。
【請求項30】
前記コンパートメントのうちの少なくともいくつかは、有孔壁によって部分的に画定されており、前記有孔壁は、循環する空気が前記壁および前記コンパートメントを通過することを可能にする、請求項28に記載の装置。
【請求項31】
壁が穿孔されている少なくともいくつかのコンパートメントの蓋は、前記蓋が閉じられた際に前記コンパートメント内に突出する下向きのリブを含む、請求項30に記載の装置。
【請求項32】
前記引き出しに結合されたコンピュータ化されたコントローラをさらに備え、前記コントローラは、前記引き出しへのアクセスを制御する、請求項27に記載の装置。
【請求項33】
前記引き出し内に温度プローブをさらに備え、前記温度プローブは、前記引き出し内の温度を示す信号を前記コンピュータ化されたコントローラに提供する、請求項32に記載の装置。
【請求項34】
前記コンピュータ化されたコントローラによって制御可能であり、前記1つまたは複数のコンパートメントのそれぞれの蓋に結合された1つまたは複数のアクチュエータをさらに備え、前記1つまたは複数のアクチュエータは、前記引き出しの側面にある断熱材および前記1つまたは複数のコンパートメントの下にある断熱材によって画定される前記引き出しの内部の外側に配置されている、請求項32に記載の装置。
【請求項35】
前記コンパートメントのうちの少なくともいくつかに磁気ラッチをさらに備え、前記磁気ラッチは、前記コンピュータ化されたコントローラによって制御されて、それぞれのコンパートメントの蓋をロックおよびロック解除する、請求項32に記載の装置。
【請求項36】
前記磁気ラッチの各々は、それぞれのコンパートメントの蓋に固定された永久磁石と、前記蓋が閉じた際に前記永久磁石が電磁石に接触するように前記コンパートメントの壁に固定された電磁石とを含み、
前記コントローラは、電流を前記電磁石に通過させて前記電磁石が前記永久磁石に反発するようにすることにより、前記コンパートメントをロック解除する、請求項35に記載の装置。
【請求項37】
前記1つまたは複数のアクチュエータは、1つまたは複数のソレノイドを含む、請求項34に記載の装置。
【請求項38】
前記1つまたは複数のコンパートメントのうちのそれぞれの蓋の位置を感知するように構成された1つまたは複数のセンサをさらに備える、請求項34に記載の装置。
【請求項39】
前記センサの各々は、前記引き出しの側面にある断熱材および前記1つまたは複数のコンパートメントの下にある断熱材によって画定される前記引き出しの内部の外側に配置され、そのそれぞれの蓋に結合されている、請求項38に記載の装置。
【請求項40】
前記センサの各々は、前記引き出しの断熱材を通るリンク機構を介してそれぞれの蓋に結合されている、請求項39に記載の装置。
【請求項41】
前記センサの各々は、前記引き出しの断熱材を通る被覆ケーブルを介してそれぞれの蓋に結合されている、請求項39に記載の装置。
【請求項42】
前記1つまたは複数のコンパートメントのうちの少なくともいくつかにそれぞれ対応する1つまたは複数のライトをさらに備え、前記コントローラは、特定のコンパートメントがアクセスされるべきであると判定すると、
前記特定のコンパートメントに対応するアクチュエータのうちの1つを作動させて、前記特定のコンパートメントをロック解除し、
前記特定のコンパートメントに対応する前記ライトのうちの1つを照明する
ように構成されている、請求項34に記載の装置。
【請求項43】
前記引き出しの外側からアクセス可能なオーバーライド機構をさらに備え、前記オーバーライド機構は、前記コンパートメントのうちの1つまたは複数を手動でロック解除するために前記1つまたは複数のアクチュエータを機械的に動かす、請求項34に記載の装置。
【請求項44】
前記熱電冷却システムは、熱伝達流体を含む閉じた冷却ループを備える、請求項27に記載の装置。
【請求項45】
前記熱伝達流体は、その沸点が、引き出しの内部のほぼ所望の温度になるような圧力に維持されている、請求項44に記載の装置。
【請求項46】
前記熱伝達流体は、その沸点が2℃から8℃の間になるような圧力に維持されている、請求項45に記載の装置。
【請求項47】
前記熱伝達流体は、二酸化炭素である、請求項44に記載の装置。
【請求項48】
前記閉じた冷却ループおよび前記熱伝達流体を含む前記熱電冷却システムが、自然対流によって作動するヒートパイプを形成する、請求項44に記載の装置。
【請求項49】
引き出しであって、
外殻と、
前記引き出しの温度調節された内部を画定する断熱材と、
前記引き出しの側壁に配置され、前記引き出しの内部を、前記引き出しを取り巻く環境の温度よりも低い温度に維持するように構成された熱電冷却システムであって、ファンを含む、熱電冷却システムと、
前記引き出しの温度調節された内部の1つまたは複数のコンパートメントを画定する一組の壁
であって、前記断熱材は、前記コンパートメントを収容する前記引き出し内のチャンバを形成している、一組の壁と、
前記1つまたは複数のコンパートメントを覆う1つまたは複数の蓋と、
電力および制御信号を受信するための電気的インタフェースと、
前記電気的インタフェースを介して受信された制御信号に応答して、前記1つまたは複数のコンパートメントをロックおよびロック解除するために前記1つまたは複数の蓋に結合された1つまたは複数のアクチュエータと
を備え、前記引き出しおよび前記断熱材は共に、前記引き出しの内部および前記外殻と前記断熱材との間の空気流路を画定し、
前記コンパートメントを収容する前記チャンバは、前記断熱材により前記空気流路から離隔されており、前記ファンは、前記空気流路を通じて空気を動かす、引き出し。
【請求項50】
前記1つまたは複数のアクチュエータは、前記引き出しの温度調節された内部の外側に配置されている、請求項49に記載の引き出し。
【請求項51】
前記1つまたは複数のコンパートメントに対応する1つまたは複数のライトをさらに備え、前記ライトは、前記電気的インタフェースを介して受信された制御信号に応答する、請求項49に記載の引き出し。
【請求項52】
前記熱電冷却システムは、前記引き出しの内部に冷却された空気を循環させるように構成されている、請求項49に記載の引き出し。
【請求項53】
前記熱電冷却システムは、熱伝達流体を含む閉じた冷却ループを含む、請求項49に記載の引き出し。
【請求項54】
前記熱伝達流体は、その沸点が2℃から8℃の間になるような圧力に維持された二酸化炭素である、請求項53に記載の引き出し。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
多くの産業は、正確な在庫管理および安全なアイテムの分配に依存している。例えば、病院環境では、患者に正しい薬剤を正しい用量で投与することが最も重要である。加えて、規制物質が厳重に保管され正確に追跡されることが法的に義務付けられており、また、適切な業務管理を実行できるように薬剤および用品の在庫が追跡されることも重要である。
【0002】
異なる薬剤は、異なる保管要件を有し得る。例えば、いくつかの薬剤または用品は冷蔵を必要とし、他のものはそうではない場合がある。冷蔵を必要とするアイテムは、通常、冷蔵庫に保管されるだけなので、特別な問題が発生することがある。たとえ冷蔵庫がロックされていたとしても、一度冷蔵庫がアクセスされてしまえば、冷蔵庫内のすべてのアイテムがアクセス可能になり、誤った取得、転用、または他の問題にさらされる。
【発明の概要】
【0003】
一態様によれば、アイテムを分配するための装置は、キャビネットと、キャビネット内の引き出しとを備える。引き出しは、アイテムを格納するための1つまたは複数のコンパートメントを含む。装置は、引き出し内に冷蔵システムをさらに含む。冷蔵システムは、引き出しの1つまたは複数のコンパートメントを、キャビネットを取り巻く環境の温度よりも低い温度に維持するように構成されている。引き出しは、引き出しの側面にある断熱材と、1つまたは複数のコンパートメントの下にある断熱材とをさらに備える。いくつかの実施形態では、装置は、引き出しに結合されたコンピュータ化されたコントローラをさらに含み、コントローラは、引き出しへのアクセスを制御する。いくつかの実施形態では、装置は、引き出し内に温度プローブをさらに備え、温度プローブは、引き出し内の温度を示す信号をコンピュータ化されたコントローラに提供し、コンピュータ化されたコントローラは、引き出しの温度に関する情報を装置のユーザに提供する。いくつかの実施形態では、装置は、温度プローブを囲む温度バッファをさらに備える。いくつかの実施形態では、装置は、コンピュータ化されたコントローラによって制御可能であり、1つまたは複数のコンパートメントのそれぞれの蓋に結合された1つまたは複数のアクチュエータをさらに備え、1つまたは複数のアクチュエータは、引き出しの側面にある断熱材および1つまたは複数のコンパートメントの下にある断熱材によって画定される引き出しの内部の外側に配置されている。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のアクチュエータは、1つまたは複数のソレノイドを含む。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のアクチュエータは、引き出しの側面にある断熱材および1つまたは複数のコンパートメントの下にある断熱材によって画定される引き出しの内部の外側に配置されている1つまたは複数のプリント回路基板に取り付けられている。いくつかの実施形態では、装置は、1つまたは複数のコンパートメントのうちの少なくともいくつかにそれぞれ対応する1つまたは複数のライトをさらに備え、コントローラは、特定のコンパートメントがアクセスされるべきであると判定すると、特定のコンパートメントに対応するアクチュエータのうちの1つを作動させて、特定のコンパートメントをロック解除し、特定のコンパートメントに対応するライトのうちの1つを照明するように構成されている。いくつかの実施形態では、装置は、引き出しの外側からアクセス可能なオーバーライド機構をさらに備え、オーバーライド機構は、コンパートメントを手動でロック解除するために1つまたは複数のアクチュエータを機械的に動かす。いくつかの実施形態では、装置は、キャビネット内に断熱パネルをさらに備え、断熱パネルは、引き出しが閉じられ、かつキャビネット内にある場合、引き出しの上側に配置され、断熱パネルは、引き出しが開けられている場合、キャビネット内に留まっている。いくつかの実施形態では、装置は、引き出しに結合された上部断熱パネルをさらに備え、上部断熱パネルは、1つまたは複数のコンパートメントを露出させるように引き出しに対してスライド可能である。いくつかの実施形態では、冷蔵システムは、引き出しの後部に配置された圧縮機および凝縮器と、引き出しの1つまたは複数のコンパートメントおよび1つまたは複数のコンパートメントの下の断熱材の間に配置された蒸発器とを含む。いくつかの実施形態では、蒸発器は、ロールボンド蒸発器である。いくつかの実施形態では、装置は、ファンをさらに備え、ファンは、凝縮器を通じて引き出しの外側から空気を動かす。いくつかの実施形態では、引き出しは、ファンが空気を動かす空気流路を画定し、空気流路は、空気がキャビネットの前部において空気流路に入るように、キャビネットの前側面においてキャビネットを取り巻く環境に対して開いており、ファンは、キャビネットの後部から空気を排出する。いくつかの実施形態では、空気流路は、1つまたは複数のコンパートメントの下の断熱材内に少なくとも部分的に画定されている。いくつかの実施形態では、装置は、1つまたは複数の追加の引き出しをさらに備え、1つまたは複数の追加の引き出しのうちの少なくとも1つは、冷蔵されていない。
【0004】
別の態様によれば、引き出しは、外殻と、引き出しの温度調節された内部を画定する断熱材と、引き出し内であるが引き出しの温度調節された内部の外側に配置された圧縮機および凝縮器を有し、かつ引き出しの温度調節された内部に配置された蒸発器を有する冷蔵システムとを備える。引き出しは、引き出しの温度調節された内部の1つまたは複数のコンパートメントを画定する仕切りと、1つまたは複数のコンパートメントを覆う1つまたは複数の蓋と、電力および制御信号を受信するための電気的インタフェースと、電気的インタフェースを介して受信された制御信号に応答して、1つまたは複数のコンパートメントをロックおよびロック解除するために1つまたは複数の蓋に結合された1つまたは複数のアクチュエータとをさらに備える。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のアクチュエータは、引き出しの温度調節された内部の外側に配置されている。いくつかの実施形態では、引き出しは、1つまたは複数のコンパートメントに対応する1つまたは複数のライトをさらに備え、ライトは、電気的インタフェースを介して受信された制御信号に応答する。いくつかの実施形態では、引き出しは、引き出しの前部にある吸気口と、引き出しの温度制御された内部の下の断熱パネル内に少なくとも部分的に配置された空気流路と、吸気口へ空気を引き込み、空気流路を通って、かつ凝縮器を通って、引き出しの後側面から空気を排出させるファンとをさらに備える。いくつかの実施形態では、吸気口は、引き出しの前側面にあるハンドル内に隠されている。
【0005】
別の態様によれば、引き出しは、外殻と、引き出しの断熱された内部を画定する断熱材と、引き出しの第1の面にある吸気口と、引き出しの第2の面にある排気口と、ファンとを備える。ファンは、空気を吸気口に引き込み、空気を排気口から排出させ、吸気口と排気口との間で、空気が、断熱材によって少なくとも部分的に画定された空気流路を通って流れる。いくつかの実施形態では、引き出しは、引き出しの断熱された内部を冷却する冷蔵システムをさらに備え、ファンは、引き出しの外側からの空気が冷蔵システムの凝縮器を流れるようにする。いくつかの実施形態では、引き出しの第1の面は、引き出しの前側面であり、吸気口は、引き出しの前側面にあるハンドル内に隠されている。
【0006】
別の態様によれば、アイテムを分配するための装置は、キャビネットと、キャビネット内の引き出しとを備える。引き出しは、アイテムを格納するための1つまたは複数のコンパートメントを含む。装置は、引き出し内に冷却システムをさらに含む。冷却システムは、引き出しの1つまたは複数のコンパートメントを、キャビネットを取り巻く環境の温度よりも低い温度に維持するように構成されている。引き出しは、引き出しの側面にある断熱材と、1つまたは複数のコンパートメントの下にある断熱材とをさらに備える。いくつかの実施形態では、冷却システムは、圧縮機、凝縮器、および蒸発器を含む。いくつかの実施形態では、冷却システムは、熱電冷却システムである。いくつかの実施形態では、熱電冷却システムは、引き出し内で空気を循環させるように構成されたファンをさらに含む。いくつかの実施形態では、熱電冷却システムは、熱電冷却ユニットから熱を排出し、引き出しの断熱材の下または周囲に空気流を引き起こすように構成されたファンをさらに含む。いくつかの実施形態では、コンパートメントのうちの少なくともいくつかは、有孔壁によって画定されており、有孔壁は、循環する空気が壁およびコンパートメントを通過することを可能にする。いくつかの実施形態では、壁が穿孔されている少なくともいくつかのコンパートメントの蓋は、蓋が閉じられた際にコンパートメント内に突出する下向きのリブを含む。いくつかの実施形態では、装置は、引き出しに結合されたコンピュータ化されたコントローラをさらに含み、コントローラは、引き出しへのアクセスを制御する。いくつかの実施形態では、装置は、引き出し内に温度プローブをさらに備え、温度プローブは、引き出し内の温度を示す信号をコンピュータ化されたコントローラに提供する。いくつかの実施形態では、装置は、コンピュータ化されたコントローラによって制御可能であり、1つまたは複数のコンパートメントのそれぞれの蓋に結合された1つまたは複数のアクチュエータをさらに備え、1つまたは複数のアクチュエータは、引き出しの側面にある断熱材および1つまたは複数のコンパートメントの下にある断熱材によって画定される引き出しの内部の外側に配置されている。いくつかの実施形態では、装置は、コンパートメントのうちの少なくともいくつかに磁気ラッチをさらに備え、磁気ラッチは、コンピュータ化されたコントローラによって制御されて、それぞれのコンパートメントの蓋をロックおよびロック解除する。いくつかの実施形態では、磁気ラッチの各々は、それぞれのコンパートメントの蓋に固定された永久磁石と、蓋が閉じた際に永久磁石が電磁石に接触するようにコンパートメントの壁に固定された電磁石とを含み、コントローラは、電流を電磁石に通過させて電磁石が永久磁石に反発するようにすることにより、コンパートメントをロック解除する。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のアクチュエータは、1つまたは複数のソレノイドを含む。いくつかの実施形態では、装置は、1つまたは複数のコンパートメントのうちのそれぞれの蓋の位置を感知するように構成された1つまたは複数のセンサをさらに備える。いくつかの実施形態では、センサの各々は、引き出しの側面にある断熱材および1つまたは複数のコンパートメントの下にある断熱材によって画定される引き出しの内部の外側に配置され、そのそれぞれの蓋に結合されている。いくつかの実施形態では、センサの各々は、引き出しの断熱材を通るリンク機構を介してそれぞれの蓋に結合されている。いくつかの実施形態では、センサの各々は、引き出しの断熱材を通る被覆ケーブルを介してそれぞれの蓋に結合されている。いくつかの実施形態では、装置は、1つまたは複数のコンパートメントのうちの少なくともいくつかにそれぞれ対応する1つまたは複数のライトをさらに備え、コントローラは、特定のコンパートメントがアクセスされるべきであると判定すると、特定のコンパートメントに対応するアクチュエータのうちの1つを作動させて、特定のコンパートメントをロック解除し、特定のコンパートメントに対応するライトのうちの1つを照明するように構成されている。いくつかの実施形態では、装置は、引き出しの外側からアクセス可能なオーバーライド機構をさらに備え、オーバーライド機構は、コンパートメントのうちの1つまたは複数を手動でロック解除するために1つまたは複数のアクチュエータを機械的に動かす。いくつかの実施形態では、熱電冷却システムは、熱伝達流体を含む閉じた冷却ループを備える。いくつかの実施形態では、熱伝達流体は、その沸点が、引き出しの内部のほぼ所望の温度になるような圧力に維持されている。いくつかの実施形態では、熱伝達流体は、その沸点が2℃から8℃の間になるような圧力に維持されている。伝熱流体は、二酸化炭素であってよい。いくつかの実施形態では、閉じた冷却ループおよび熱伝達流体を含む熱電冷却システムが、自然対流によって作動するヒートパイプを形成する。
【0007】
別の態様によれば、引き出しは、外殻と、引き出しの温度調節された内部を画定する断熱材と、引き出しの側壁に配置された熱電冷却システムとを備える。熱電冷却システムは、引き出しの内部を、引き出しを取り巻く環境の温度よりも低い温度に維持するように構成されている。引き出しは、引き出しの温度調節された内部の1つまたは複数のコンパートメントを画定する一組の壁と、1つまたは複数のコンパートメントを覆う1つまたは複数の蓋と、電力および制御信号を受信するための電気的インタフェースと、電気的インタフェースを介して受信された制御信号に応答して、1つまたは複数のコンパートメントをロックおよびロック解除するために1つまたは複数の蓋に結合された1つまたは複数のアクチュエータとをさらに備える。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のアクチュエータは、引き出しの温度調節された内部の外側に配置されている。いくつかの実施形態では、引き出しは、1つまたは複数のコンパートメントに対応する1つまたは複数のライトをさらに備え、ライトは、電気的インタフェースを介して受信された制御信号に応答する。いくつかの実施形態では、熱電冷却システムは、引き出しの内部に冷却された空気を循環させるように構成されている。いくつかの実施形態では、熱電冷却システムは、熱伝達流体を含む閉じた冷却ループを含む。いくつかの実施形態では、熱伝達流体は、その沸点が2℃から8℃の間になるような圧力に維持された二酸化炭素である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明が具体化され得る分配キャビネットを示す図である。
【
図2】本発明が具体化され得るポータブル分配装置を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態による引き出しの前部上方斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態による
図3の引き出しの後部上方斜視図である。
【
図5】本発明の実施形態による
図3の引き出しの上方分解図である。
【
図6】本発明の実施形態による
図3の引き出しの下方分解図である。
【
図7】底面カバーを取り外した状態の
図3の引き出しの下側斜視図である。
【
図8】本発明の実施形態による
図3の引き出しの上方後部斜視図である。
【
図9】本発明の実施形態による所定の位置に断熱パネルを有する
図1のキャビネットの部分図である。
【
図10】本発明の実施形態による所定の位置に断熱パネルを有する
図1のキャビネットの別の実施形態を示す図である。
【
図11】本発明の実施形態による引き出し内の個々の格納ビンへのアクセスのコンピュータ制御を達成するためのメカニズムを明らかにするために、多くの構成要素が取り除かれた
図3の引き出しの上部の上方斜視図である。
【
図13】本発明の実施形態による開位置にある
図3の引き出しのコンパートメントの蓋を示す図である。
【
図14】本発明の実施形態による、いくつかの構成要素が除去された
図3の引き出しの上方後部斜視図である。
【
図16】本発明の実施形態による
図3の引き出しへの断熱パネルの取り付けを示す図である。
【
図17】本発明の実施形態によるオーバーライド機構を示す図である。
【
図19】本発明の実施形態による基本的な熱電モジュールを示す図である。
【
図20】本発明の実施形態による
図19の熱電モジュールを含む冷却ユニットを示す図である。
【
図21】本発明の実施形態による、引き出しの内部を冷却するために
図20の熱電冷却ユニットを使用する引き出しを示す図である。
【
図23】他の実施形態による冷却システムを有する引き出しの分解図である。
【
図24】本発明の実施形態による、引き出しの蓋の開放を可能にする1つの方法を示す図である。
【
図25】1つの蓋が開いた状態の
図24のシステムを示す図である。
【
図27】本発明の他の実施形態による、分配引き出しの蓋をロックおよびロック解除するための別の技術を示す図である。
【
図29】本発明の他の実施形態による冷蔵引き出しを示す図である。
【
図31】本発明の他の実施形態による冷蔵引き出しを示す図である。
【
図32】本発明の実施形態による、2つのアクチュエータが引き出しの断熱材の外側にどのように取り付けられ得るかを示す図である。
【
図33】本発明の実施形態による、蓋および磁気ラッチを有するコンパートメントを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本発明の実施形態による分配キャビネット100を示す。キャビネット100は、引き出し101a、101b、および107を含む複数のコンパートメントと、扉102aおよび102bを通じてアクセス可能なコンパートメントとを含む。分配キャビネット100は、コンピュータ化されたコントローラ103と、キーボード104およびキーパッド105などの1つまたは複数のデータ入力デバイスとをも含む。ディスプレイ106は、分配キャビネット100のユーザへの情報の伝達を可能にする。本発明の実施形態によれば、引き出し107は、以下でより詳細に論じられるように、冷蔵システムを含む。いくつかの実施形態では、分配キャビネットは、他の装置も含み得る。
【0010】
本発明を具現化する装置は、様々な用途で使用され得るが、実施形態は、医療分野で特に有用であり得る。例えば、分配キャビネット100は、薬剤または医療用品を保持することができ、薬剤または他の医療用品の正確な分配および追跡を容易にすることができる。
【0011】
コンピュータ化されたコントローラ103は、プロセッサ、メモリ、入力/出力インタフェース、および他の構成要素を含み得る。コントローラ103は、医療記録システム、在庫および会計システムなどのような他のコンピュータ化されたシステムと遠隔で通信することができる。
【0012】
引き出し101a、101b、および107などの様々な格納コンパートメントは、コントローラ103の制御下にあり得る。例えば、引き出し101a、101b、および107の各々は、電子的に制御可能なロック機構を含むことができ、コントローラ103の制御下でのみ開くことが可能であり得る。さらに、コントローラ103は、薬剤格納キャビネット100のどのコンパートメントにどの用品が格納されているかについての情報を格納することができる。1つの典型的な基本使用シナリオでは、医療従事者は、キーボード104または別の入力デバイスを使用して、医療従事者のケアのもとにあり、従事者の現在の回診中に薬剤を必要とする患者の識別を入力し得る。コントローラ103は、患者の医療ファイルにアクセスし、その患者にどのような薬剤が処方されたかを判定することができる。次に、コントローラ103は、患者のために処方された薬剤を含む1つまたは複数の引き出しへのアクセスのみを許可することができる。適切な引き出し内のビンなどの特定のコンパートメントは、例えば点灯されたインジケータで強調表示されて、医療従事者を適切な薬剤に引き寄せることができる。その後、医療従事者は、患者の処方された薬剤を取り出すことができる。コントローラ103によって実行される制御のレベルは、医療従事者が薬剤分配キャビネット100から誤った薬剤を取り出す可能性を低減することによって、薬剤および投薬エラーを防止するのに役立ち得る。加えて、コントローラ103は、どの薬剤が分配されたかを文書化および記録し、その情報を有線または無線の電子ネットワークを介して在庫および会計システムに転送することができる。
【0013】
他の多くの特徴および機能も可能である。例えば、医療従事者は、自分の識別も入力することができ、コントローラ103は、従事者がアクセスすることを許可されている薬剤および用品へのアクセスのみを提供することができる。
【0014】
薬剤分配キャビネット100は、据置き型の装置として示されているが、本発明はそれに限定されない。他の実施形態によるキャビネットは、例えば、中央の供給ストアから施設の特定の病棟または部門への薬剤および用品の輸送を容易にするためにポータブルであり得る。本発明の実施形態によるキャビネットの引き出し、扉、または他の特徴の特定の配置が変更され得ることが認識されるであろう。例えば、本発明を具現化するいくつかのキャビネットまたは分配カートは、引き出しのみを使用し得る。多くの異なるサイズおよびスタイルのコンパートメントが、分配されるべき材料のサイズと、それらに必要なセキュリティのレベルとに応じて使用され得る。
【0015】
本発明を具現化するキャビネットは、標準化された距離だけ離間されたガイドまたは取り付け機構を含むことができ、異なる引き出しは、間隔距離の異なる倍数にまたがってもよい。1つの間隔距離だけにまたがる引き出しは、「シングル」高さの引き出しと呼ばれ得る。間隔距離の2つにまたがる引き出しは、「ダブル」高さの引き出しと呼ばれ得る。トリプル高さの、およびより高い引き出しも可能である。キャビネット100などのキャビネットは、格納されるべきアイテムのサイズに応じた引き出しの高さの組み合わせで構成され得る。
図1の例では、引き出し101bはシングル高さの引き出しであり、引き出し107は、トリプル高さの引き出しである。
【0016】
図2は、本発明を具体化することができるポータブル分配装置200を示す。好ましくは、ポータブル分配装置200は、分配キャビネット100に関して上述したものと同様の機能を実行することができる。分配装置200は、医療従事者が装置を部屋から部屋へと動かすことを可能にする車輪201を含む。分配装置200は、上述のコントローラ103と類似のタスクを実行するコンピュータ化されたコントローラに電力を供給し、分配装置200の他の機能に電力を提供するために、1つまたは複数のバッテリーを含み得る。加えて、分配装置200は、好ましくは、バッテリーを充電するために、および装置がある期間、特定の場所にある場合にバッテリーを使わずに装置に電力を供給するために、都合の良いときに主電源に接続されることが可能である。様々な入力/出力デバイス202が提供されてもよく、例えば、電力消費を最小化するために、携帯性のために特に適合されてもよい。分配装置200は、様々な高さの複数の引き出し203も含む。各引き出し203は、以下でより詳細に説明されるように、ユーザを特定の引き出し203に案内するための視覚的インジケータ204を含み得る。引き出し203のうちの1つまたは複数は、本発明の実施形態による冷蔵システムを含み得る。キャビネット100内の他の引き出しは、冷蔵されていなくてもよい。
【0017】
本発明を具体化することができる、または本発明の実施形態で使用可能な特徴を含む追加のタイプの分配ユニットは、以下の共通所有の米国特許および特許出願、すなわち、2001年8月7日にLippsに発行された米国特許第6,272,394号、2002年5月7日にLippsに発行された米国特許第6,385,505号、2004年7月6日にLippsに発行された米国特許第6,760,643号、1998年9月8日にLippsに発行された米国特許第5,805,455号、2003年8月19日にLippsに発行された米国特許第6,609,047号、1998年9月8日にHighamらに発行された米国特許第5,805,456号、1998年4月28日にHighamらに発行された米国特許第5,745,366号、1999年5月18日にHighamらに発行された米国特許第5,905,653号、1999年7月27日にGodlewskiに発行された米国特許第5,927,540号、2000年3月21日にHolmesに発行された米国特許第6,039,467号、2003年10月28日にHolmesらに発行された米国特許第6,640,159号、2000年11月21日にArnoldらに発行された米国特許第6,151,536号、1995年1月3日にBlechlらに発行された米国特許第5,377,864号、1993年3月2日にBlechlに発行された米国特許第5,190,185号、2005年12月13日にDuncanらに発行された米国特許第6,975,922号、2009年8月4日にDuncanらに発行された米国特許第7,571,024号、2010年11月16日にDuncanらに発行された米国特許第7,835,819号、2000年1月4日にHolmesに発行された米国特許第6,011,999号、2008年3月25日にHighamに発行された米国特許第7,348,884号、2010年3月9日にHighamに発行された米国特許第7,675,421号、2001年1月9日にWilsonらに発行された米国特許第6,170,929号、2012年2月28日にVahlbergらに発行された米国特許第8,126,590号、2012年10月2日にLevyらに発行された米国特許第8,280,550号、および2012年8月9日に公開されたPaydarらの米国特許出願公開第2012/0203377号に記載されており、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0018】
図3は、本発明の実施形態による、引き出し107の前部上方斜視図をより詳細に示す。引き出し107は、前側面301から見て、前側面301、後側面302、右側面303、左側面304を有する。前側面301は、引き出し107がキャビネットに取り付けられるとキャビネットの前方に現れる側であり、ユーザがそこから引き出し107にアクセスする側である。引き出し107は、引き出し107をキャビネット100などのキャビネットに取り付け、引き出しが(前側面301の方向に)スライドして開き、(引き出し107が実質的に完全にキャビネット内にある状態で)閉じられることを可能にするガイド305を含み得る。1つまたは複数のフェイシア片306は、引き出し107の前方に装飾的な外観を提供し、ユーザが引き出し107を開く際に把持するためのアンダーカットハンドルを提供することができ、以下でより詳細に説明する他の特徴を含み得る。
【0019】
引き出し107の前方部分307は、複数のコンパートメントを含み、それらは、
図3では、蓋308によって覆われている。後方部分309は、以下でより詳細に説明される冷蔵システムの部品を収容する。
【0020】
図4は、引き出し107の後部上方斜視図を示す。キャビネット100と相互作用し得る機械的ラッチ401が提供され得る。例えば、コントローラ103は、引き出し107へのアクセスを要求する従事者が適切な資格情報を提供した場合にのみ引き出し107が開かれることが可能になるように、ラッチを制御し得る。蓋308も同様に制御可能であり得、その結果、必要な薬剤または用品を保持する格納場所のみが、従事者によって開放可能となる。
【0021】
ケーブル(図示せず)を取り付けることができる様々な電気コネクタ402を設けることが可能であり、その結果、引き出し107は、キャビネット100から電力を受け取ることができ、コントローラ103と通信し得る。
【0022】
図5および
図6は、本発明の実施形態による、引き出し107の上方分解図および下方分解図を示す。引き出し107の内部は、側部断熱パネル501、後部断熱パネル502、前部断熱パネル503、および底部断熱パネル504を含む断熱材によって本質的に囲まれている。断熱パネル501~504は、任意の適切な断熱材料、例えば、ポリイソシアヌレート、ポリスチレン、ポリウレタンなどの成形可能な発泡断熱材、または別の種類の断熱材で形成され得る。4つの異なる断熱パネルが示されているが、断熱材は、より多いまたはより少ない異なるセグメントによって形成されてもよい。例えば、前部断熱パネル503は、底部断熱パネル504と一体に成形されてもよい。他の組み合わせも可能である。(引き出し107の上面の断熱材については以下で説明する。)
コンパートメント505は、断熱パネル501~504によって形成されたチャンバ内にある。コンパートメント505は、任意の適切な材料で作られ、任意の適切なプロセスによって形成された仕切りによって画定され得るが、ポリカーボネート、ABS、別のポリマー、またはポリマーのブレンドなどのポリマーから都合よく成形されてもよい。他の実施形態では、コンパートメント505は、ステンレス鋼、アルミニウム、または別の適切な金属などの金属から作られ得る。コンパートメント505は、単一の材料片から一体的に形成されてもよく、または互いに分離されて、任意の実行可能な組み合わせで引き出し107に配置されてもよい。コンパートメント505は、蓋308で覆われている。
【0023】
蒸発器506は、コンパートメント505と底部断熱パネル504との間に配置されている。蒸発器506は、引き出し107に統合された冷蔵システムの一部である。蒸発器506は、例えば、流路のパターンがマークされた二枚の金属シートをロール接着し、次いで、流路を膨張させて、冷媒の流れのための流路を通るネットワークまたは蛇行通路を形成することによって形成されるロールボンド蒸発器とすることができる。蒸発器506は、その低温のために引き出し107の内部から熱エネルギーを吸収し、それを引き出し107の内部の外側に運び、コンパートメント505を含む引き出し107の内部を冷却する。
【0024】
冷蔵システムの他の部品は、膨張弁(図示せず)とともに、圧縮機507および凝縮器508を含む。これらの部品は、従来の冷蔵サイクルを実装するコンポーネントを形成する。冷蔵システムは、好ましくは、塩素化フルオロカーボン(chlorinated fluorocarbon:CFC)を含まない冷媒を使用する。
【0025】
ファン509は、冷媒が蒸発器506で加熱され、圧縮機507で圧縮された後、凝縮器508を通して空気を引き込んで冷媒を冷却し、キャビネット100の外部に熱エネルギーを放出する。
【0026】
グリコールボトル510が設けられてもよく、それはそれ自体の蓋512と共に、引き出し107の内部の特別なコンパートメント511に収まり得る。好ましくは、温度センサは、ボトル510内のグリコールに沈められて、コントローラ103が引き出し107の内部の温度を監視することができるように、コントローラ103に接続される。グリコールは、例えば、キャビネット100からの引き出し107の開口部によって引き起こされ得る見かけの温度の急激な変動からセンサを緩衝する働きをする。いくつかの実施形態では、コントローラ103は、温度センサによって感知された温度に基づいてオンおよびオフをサイクルするように冷蔵システムに信号を送ることができる。
【0027】
図7は、底部カバーが取り外され、底部断熱パネル504を露出させた状態の、引き出し107の下側斜視図を示す。この例示的な実施形態では、底部断熱パネル504は、その中に成形された漏斗形状の空気流路701を有する。引き出し107が完全に組み立てられると、底部パネル(図示せず)が空気流路701の残りの面を形成する。空気は、引き出し107の前側面の開口部、例えば、フェイシア片306のうちの1つに隠された開口部を通って空気流路701に入ることができる。空気流路701の漏斗形状は、ファン509(
図7では視認できない)の推進力の下で凝縮器508に空気を導く。凝縮器508を通って流れた後、空気は、キャビネット100の後部で環境に排出される。
【0028】
この空気の流れの配置は、複数の目的に役立つ。第1に、それは、冷蔵サイクルの一部として冷蔵システムの冷媒を冷却するために、凝縮器508に冷却空気を提供する。空気は、前方ではなくキャビネット100の後部から排出され、これは、ユーザの快適性のために好ましい場合がある。そして、第2に、断熱パネル504の下の空気流は、断熱パネル504の下に形成する可能性のある結露を蒸発させて排出させることができる。スタンドオフ702は、後部カバーを断熱パネル504から離して保持することができ、少なくとも少量の空気703が断熱パネル504の下側の実質的に全体にわたって流れることを可能にする。
【0029】
図8は、本発明の実施形態による、引き出し107の上方後部斜視図を示す。
図8は、上部断熱パネル801を追加した
図4と同様の図である。上部断熱パネル801は、他の構成要素によって引き出し107の上部に残された開放された凹部にスライドするような形状およびサイズであってよい。例えば、上部断熱パネル801は、側部断熱パネル501の上部の間に収まり、上部断熱パネル801が引き出し107上に完全に設置された場合、前部断熱パネル503に接触し得る。上部断熱パネル801は、引き出し107の内部が実質的に断熱材で包まれるように、後部断熱パネル502(
図8では視認できない)と接触してもよい。上部断熱パネル108は、好ましくは、引き出し107が開かれたときに上部断熱パネル801がキャビネット100内に留まるようにキャビネット100に取り付けられ、引き出し107のコンパートメントへのアクセスを妨げないようにする。引き出し107が閉じられると、上部断熱パネル801は自動的に再び引き出し107を覆う。
【0030】
他の実施形態では、上部断熱パネル801は、引き出し107が開かれた際に引き出し107と共に移動することができ、ユーザは、上部断熱パネル801をキャビネット100に向かって後方に単にスライドさせて、引き出し107の内部にアクセスすることができる。
【0031】
上部断熱パネル801は、任意の適切な材料、例えば、他の断熱パネルの材料と類似の材料、または異なる材料でできていてもよい。
図9は、引き出し107の上方の所定の位置に断熱パネル801を有するキャビネット100の部分図を示す。引き出し107の真上の引き出しは取り外されている。引き出し107が開閉されると、断熱パネル801は所定の位置に留まるので、引き出し107の内部は、引き出し107が開いているときはアクセス可能であるが、引き出し107は閉じられているときは完全に断熱されている。
図9の例では、ブラケット901は、断熱パネル801をキャビネット100内の所定の位置に保持し、引き出し107は、断熱パネル801の下をスライドする。しかしながら、他の配置も可能である。
【0032】
例えば、
図10は、断熱パネル801が引き出し107の側面の溝1001内にスライド式に捕捉されている別の実施形態を示す。断熱パネル801は、引き出し107が開かれたときに断熱パネル801がキャビネット100から滑り出さないように、キャビネット100の後壁に取り付けられてもよい。他の実施形態では、断熱パネル801は、引き出し107が開いているときに、引き出し107の内部を露出させるためにユーザによって単に押し戻されてもよい。
【0033】
引き出し107の内部は低温であるので、潜在的な低温による問題を回避するために、電子コンポーネントおよび電気機械コンポーネントを可能な限り引き出し107の内部から遠ざけることが望ましい場合がある。例えば、
図11は、引き出し107の個々の格納ビンへのアクセスのコンピュータ制御を達成するためのメカニズムを明らかにするために、多くの構成要素が取り除かれた引き出し107の上部の上方斜視図を示す。
図12は、
図11の一部をより詳細に示す。この例では、蓋1101は、軸1103を中心に蓋1101と共に回転するように構成されたレバー1102を含む。図示の位置では、ソレノイド1105のアーマチュアに接続されたブレード1104は、レバー1102の回転、したがって蓋1101の回転を阻止する。この状態では、蓋1101の下のビンはロックされている。
【0034】
しかしながら、例えばコントローラ103の制御下で、ソレノイド1105にエネルギーが与えられると、ブレード1104が引っ込められ、レバー1102および蓋1101が開位置まで回転することを可能にする。
図13は、開位置にある蓋1101を示す。例えば、ユーザは、ソレノイド1105が蓋を解放すると、フィンガープル1301を使用して蓋1101を持ち上げることができる。ユーザが蓋1101の下のビンへのアクセスを終えると、ユーザは、蓋1101を単に閉位置に押し戻すことができる。レバー1102は、ブレード1104の傾斜した上部と相互作用して、ブレード1104を下方にそらして、レバー1102が通過することを可能にする。レバー1102がブレード1104を通過すると、ブレード1104は、ばね(
図13では視認できない)の作用下でその通常の上方の位置に戻り、蓋1101を閉位置にロックすることができる。
【0035】
ソレノイド1105は、引き出し107のコンパートメントへのアクセスを制御するために使用され得るアクチュエータのタイプのほんの一例であり、他の種類のアクチュエータ、例えば、磁気アクチュエータ、適切なリンク機構を備えたモータ、または他の種類のアクチュエータが使用され得る。
【0036】
引き出し107のアーキテクチャは、ソレノイド1105およびその駆動電子機器を、引き出し107内の低温環境から少なくとも部分的に保護することができる。
図14は、いくつかの構成要素が取り外された状態の引き出し107の上方後部斜視図を示し、
図15は、
図14の一部の拡大図を示す。プリント回路基板1401は、引き出し107の側面1402に取り付けられている。複数のソレノイド1105が回路基板1401に取り付けられ、コネクタ1501を介して他の回路(図示せず)に、そして最終的にはコントローラ103に接続されている。類似の構成要素が、引き出し107の反対の側面1403の内面にも取り付けられ得るが、
図14では視認できない。
【0037】
複数のセンサ1502が、蓋308のうちの1つのレバー1102が閉位置にあるときに正のフィードバックを提供するために提供され得る。発光ダイオード(LED)1503が、引き出し107の上部に延びるライトパイプ1504を通じて特定のコンパートメントのステータスを視覚的に示すために存在してよく、コントローラ103によって制御可能であってもよい。
【0038】
ソレノイド1105を含むプリント回路基板1401が所定の位置にある状態で、引き出し107の断熱材は、
図16に示されるように、所定の位置に配置されることが可能である。例えば、側部断熱パネル501は、ソレノイド1105を含む、プリント回路基板1401およびその上のコンポーネントを収容するための複数の凹部1601を含む。側部断熱パネル501が引き出し107の所定の位置にあると、プリント回路基板1401およびそれに関連するコンポーネントは、引き出し107の冷蔵された内部の外側に配置される。断熱パネル501の様々なスロット1602は、回路基板1401上のコンポーネントへのアクセスを提供し、必要以上に断熱パネル501の断熱効果を損なわないように可能な限り小さい。
【0039】
いくつかの実施形態では、手動オーバーライド機構が、コントローラ103に依存することなく、引き出し107のコンパートメントを手動でロック解除するために提供される。この機能は、例えば、停電時や、コントローラ103がコンパートメントを開くことができない他の機会に役立ち得る。
図17および
図18は、オーバーライド機構の一例を示す。オーバーライドプレート1701は、引き出し107の底部の断熱材(図示せず)の下に適合し、ソレノイド1105に対応する引き出し107の側面にライザー1702を含む。ライザー1702は、引き出し107の温度制御された内部に延びて、下方断熱パネルのスリットを通過してもよい。オーバーライドプレート1701は、引き出し107の底部からアクセス可能であり得る。例えば、ユーザは、引き出し107の底板1704の穴1703を通して指を挿入して、オーバーライドプレート1701をばね1705に対して作動させることができる。
【0040】
図18で最もよく分かるように、オーバーライドプレート1701が作動すると、各ライザー1702の傾斜機構1801は、対応するソレノイド1105のアーマチュア1803上のピン1802と相互作用し、アーマチュア1803およびブレード1104を下向きに引く。ブレード1104が引っ込められた状態で、対応する蓋は、上記に説明され、
図13で示されたように、ロック解除される。
【0041】
別の実施形態では、分配装置は、上記のような圧縮機および凝縮器を有する冷蔵システムではなく、熱電冷蔵システムを使用する。
図19は、基本的な熱電モジュール1900を示す。複数のカラム1901は、交互のN型およびP型半導体でできている。カラム1901は、電極1902間で直列に電気的に接続され、高温側プレート1903と低温側プレート1904との間で熱的に並列になっている。DC電圧が電極1902に印加されると、熱は、低温側プレート1904から高温側プレート1903に輸送され、低温側プレート1904を冷却し、高温側プレート1903を温める。プレート1903および1904は、熱伝導性材料でできている。モジュール1900は、単独で、または他の類似のモジュールと組み合わせて、空間の冷却または加熱に使用できる。熱電冷却には、可動部品が不要であるという利点がある。モジュール1900などの熱電モジュールは、ゼロ温度差で測定すると、モジュールの平方インチ(645.16平方ミリメートル)ごとに最大約15~30ワット以上の熱を輸送できる場合がある。
【0042】
図20は、パネル2002の一方の側の空間2001を冷却するための、本発明の実施形態による冷却ユニット2000を示す。複数の熱電モジュール1900は、フィン付き低温側ヒートシンク2003とフィン付き高温側ヒートシンク2004との間に熱的に接触して挟まれている。熱電モジュール1900は、低温側ヒートシンク2003から高温側ヒートシンク2004に熱を輸送するように配置され、通電され、それにより、低温側ヒートシンク2003を冷却する。低温側ファン2005は、冷却された空間2001からの空気を低温側ヒートシンク2003のフィンに強制的に送り込むように構成されている。空気は、低温側ヒートシンク2003(熱電モジュール1900によって冷却される)との接触によって冷却され、低温側ヒートシンク2003のフィンを通って排出され、冷却された空間2001に戻る。したがって、冷却された空間2001の空気は、さらに冷却される。
【0043】
高温側ファン2006は、高温側ヒートシンク2004のフィンから空気を引き込むように構成されている。空気は、高温側ヒートシンク2004との接触によって加熱され、高温側ヒートシンク2004のフィンを通ってシステムの高温側の空間に排出される。
【0044】
ファン2005および2006のいずれかまたは両方を通る空気流の方向は、
図20に示される方向とは逆にすることができることが認識されるであろう。
図21は、本発明の実施形態による、引き出しの内部を冷却するために熱電冷却ユニット2000を使用する引き出し2100を示す。引き出し2100は、引き出し2100が分配キャビネット100などの分配キャビネットに挿入されるように構成されているという点で、上記の引き出し107と多くの点で類似している。引き出し2100は、アイテムを格納するための複数のコンパートメントを有し、コンパートメントは、個別にロック可能な蓋2101で覆われている。任意の適切な数のコンパートメントが、引き出し2100のサイズおよび引き出し2100に格納されるべきアイテムのサイズに応じて、提供され得る。コンパートメントは異なるサイズであってもよく、すべて同じサイズであってもよい。
【0045】
図22は、引き出し2100の分解図を示す。引き出し2100の内部は、好ましくは、内部空間を冷却するのに必要なエネルギー量を減らすために、断熱材2201で裏打ちされている。熱電冷却ユニット2000は、引き出し2100の任意の都合の良い壁、この例では後壁2202に取り付けられている。熱電冷却ユニット2000は、引き出し2100の電子機器(図示せず)からその電力を引き出し、最終的にはキャビネット100からその電力を引き出す。熱電冷却ユニット2000は、引き出し2100の内部から引き出し2100の外側の空間に熱を輸送するように配置されている。熱電冷却ユニット2000のファンは、引き出し2100内の空気を循環させて、引き出し2100の内部を冷却し、熱電冷却ユニット2000の外側ヒートシンクに空気流を提供して、引き出し2100の外部に熱を排出する働きをする。
【0046】
いくつかの実施形態では、引き出し2100の外側の冷却ユニット2000のファンは、引き出し2100の断熱された空間の下または周囲に空気流を提供するように配置され、ダクト接続され、または他の方法で構成され得る。例えば、ファンは、熱電冷却ユニット2000のヒートシンクの上に空気流を提供することに加えて、
図7に示される空気流と同様に、引き出し2100の断熱された空間の下に空気流を提供して、引き出し2100の底部での結露を防ぐのを助けることができる。
図29および
図30は、冷却ユニット2000がシュラウド2901に封入されている実施形態を示しており、シュラウド2901は、その下端2902において断熱材2201の下のプレナム3001に接続されている。冷却ユニット2000の外部ファンは、シュラウド2901の外に空気流2903を生成する。
図30は、底部カバーが取り外された引き出し2100の下側図を示す。
図29および
図30に見られるように、空気流2903は、断熱材2201の下を通過してから、上方にダクトで通されてシュラウド2901に送られ、周囲環境に出る。
【0047】
任意の他の適切な構成が、引き出し2100の断熱された空間の下または周囲に空気流を生成するために使用され得る。例えば、他の実施形態では、2つの別個のファンを設けることができ、1つは断熱された空間の下または周囲に空気流を生成するためのものであり、1つは冷却ユニット2000から熱を排出するためのものである。
【0048】
再び
図22を参照すると、コンパートメント2203は、別々に囲まれている。引き出し2100の例では、コンパートメント2203は、ユニット2204に成形されているが、個々のコンパートメント空間を画定する任意の適切な方法が使用されてもよい。コンパートメント2203の壁は、開口部2205などの開口部によって穿孔されていてもよく、その結果、空気は、壁およびコンパートメントを通過して、引き出し2100内を循環することができる。蓋2101の下面は、蓋2101が閉じられたときにコンパートメントに突出する下向きのリブ2206を含み得る。したがって、リブ2206は、コンパートメント2203の完全な充填を妨げる。コンパートメントの上部は実質的に開いたままであり、引き出し2100全体の空気の流れを可能にする。
【0049】
他の実施形態と同様に、引き出し2100内の温度センサは、好ましくは、コントローラ103などのコントローラに、引き出し2100の温度を示す信号を提供する。温度センサは、所望の場合、グリコールボトルまたは他のバッファに沈めることができる。コントローラ103は、引き出し2100内の本質的に一定の温度を維持するために、必要に応じて熱電冷却ユニット2000への電力をサイクルさせることができる。
【0050】
本発明を具体化する引き出しは任意の目的に使用され得るが、ワクチンを格納するのに特に適している場合がある。米国連邦政府のガイドラインでは、ワクチンは2℃から8℃の温度で格納されるべきであると規定されている。
【0051】
図21および
図22の構成は、いくつかの有益な側面を有することができる。例えば、熱電冷却システムは、設置と操作が簡単であり、ファン以外の可動部品がなく、故障の際に漏れて損傷を引き起こす可能性のある液体を含んでいない。加えて、熱電冷却ユニット2000は、上述の圧縮機ベースのシステムよりも小さく、したがって、熱電的に冷却された引き出しは、圧縮機ベースのシステムを使用して冷却された同等のサイズの引き出しよりも大きな格納容量を有することができる。
【0052】
図23は、他の実施形態による冷却システムを有する引き出し2300の分解図を示す。引き出し2300は、熱電冷却ユニット2000と類似の熱電冷却ユニット2301を含むが、引き出し2300内にファンがない場合もある。循環される冷却空気で引き出し内部を冷却するのではなく、引き出し2300は、熱伝達流体で満たされた冷却ループ2302を含む。例えば、冷却ループ2302は、二酸化炭素(CO
2)の沸点がほぼ引き出し2300の内部の所望の温度、またはそれよりわずかに低い温度となるような圧力で二酸化炭素(CO
2)を充填した銅または他の管の閉ループであり得る。いくつかの実施形態では、冷却ループ2302内のCO
2の圧力は、CO
2の沸点が約5℃になるように、約40バール(約40気圧)であり得る。したがって、冷却ループ2302は、パッシブヒートパイプ冷却器を形成することができる。
【0053】
CO2が、(適切な熱交換器を介して)熱電冷却ユニット2301で冷却されると、CO2は凝縮し、引き出し2300のフロアに配置されたループに重力によって落下する。CO2が引き出し2300を通って循環すると、CO2は引き出し2300の内部から熱を吸収して沸騰し、引き出し2300の内部を冷却する。ガス状のCO2は再び熱電冷却ユニット2301に向かって上昇し、そこで再び冷却され、サイクルを続ける。他の実施形態と同様に、引き出し2300内の温度センサは、引き出し2300内の温度を示す信号を提供することができ、それにより、コントローラは、熱電冷却ユニット2301をオンおよびオフにサイクルして、所望の温度を維持することができる。
【0054】
上述の引き出し2100の空気冷却システムよりもわずかに複雑であるが、引き出し2300のシステムは、ある利点を有することができる。例えば、引き出し2300全体の空気の循環に依存しないため、コンパートメント2303に穴を開ける必要がなく、より高いレベルまで充填することができるため、デッドスペースが少なくなり、引き出し2300の容量が大きくなる。したがって、蓋2304は、コンパートメント2303の完全な充填を防止するために、それらの底面にリブを必要としない場合がある。
【0055】
他の冷却流体が使用されてもよいが、CO2または類似の物質は、システム内で漏れても無害なガスを大気に放出するだけであり、したがって、格納キャビネットの電子機器または引き出し2300に格納された材料に損傷を与えることがないという利点を有し得る。また、引き出し2300の底部における冷却ループ2302の配置は、適切なループ配置の一例にすぎない。他の実施形態では、冷却ループ2302は、コンパートメント2303の間を通るライン、引き出し2300の側面に沿ったライン、または別の場所または場所の組み合わせを通過するラインを含み得る。いくつかの実施形態では、冷却ループ2302は、上述の蒸発器506と類似のロールボンドユニットとして形成されてもよい。
【0056】
本発明の実施形態による引き出しがどのように冷却されるかに関係なく、引き出しの設計中、引き出しの、またはその近くの冷たい表面に結露が存在する可能性があることに注意が払われ得る。結露は、空気にさらされた冷たい表面に形成される傾向があり、電子機器、電気機械式アクチュエータ、または他の電気的または機械的コンポーネントに有害である可能性がある。好ましくは、引き出し内部を取り囲む断熱材は、その外面が周囲大気の露点より上に留まるように十分に断熱性である。その場合、冷却された空間の外側にある任意の回路基板、電気機械式アクチュエータ、または他の電気的または機械的コンポーネントは、冷たい空気の漏れや他の断熱材ギャップが最小限に抑えられている限り、結露に対して実質的に安全なままである。
【0057】
しかしながら、蓋2101または2304のような蓋は、必然的に冷却された空間で動作しなければならず、自動的に作動しなければならない。本発明の実施形態では、冷却された空間の外側に任意の電気機械式アクチュエータを配置し、アクチュエータを冷却された空間内の蓋に、好ましくは冷気の漏れを最小限に抑えるように結合するための対策が講じられる。
【0058】
図24は、本発明の実施形態による、引き出し内の蓋の開放を可能にする1つの方法を示す。いくつかの支持構造、配線などは、明確にするために図から省略されている。この例では、ソレノイド2401などのアクチュエータは、断熱材2403によって画定される冷却された空間2402の外側に配置され得る。各ソレノイド2401は、コントローラからの信号に応答して電気的に作動し、リニアポテンショメータ2405に関連するプランジャ2404を有する。「ロック」位置では、プランジャ2404は、ソレノイド2401から延びており、リニアポテンショメータ2405のスライダー2406の動きを妨げる。リンク機構2407は、スライダー2406を蓋2409のレバー2408に接続する。スライダー2406の動きがブロックされていると、蓋2409を開くことはできない。
【0059】
図25は、蓋2409が開いた状態の
図24のシステムを示す。ソレノイド2401のプランジャ2404は、ソレノイド2401の作用によって引っ込められており、スライダー2406を解放しているので、ユーザが蓋2409を持ち上げると、リンク機構2407によってそれを動かすことができる。蓋2409が開いていることを示すリニアポテンショメータ2405からの信号は、コントローラに送信され得る。
【0060】
各蓋には、類似のソレノイド-ポテンショメータ-リンク機構の構成を提供することができる。この構成では、ソレノイド2401およびポテンショメータ2405は、冷却された空間2402の外側に留まり、したがって、生じ得る凝縮から実質的に保護されている。リンク機構2407のみが断熱材2403を貫通するため、断熱材2403の開口部は小さく、断熱材2403の断熱効果に大きな影響を与えない。
【0061】
リニアポテンショメータ2405は、関連する蓋の正確な状態、例えば蓋が開いている程度を示すことができるという利点を有し得る。他の実施形態では、蓋が開いているか閉じているかの簡単な光遮断器または他の簡単なバイナリインジケータが使用され得る。
【0062】
図26は、
図24のソレノイド構成をさらに詳細に示す。各プランジャ2404の傾斜2601は、対応する蓋が閉じられると、スライダー2406がプランジャ2404をソレノイド2401に押し戻すことを可能にし、蓋が閉じられた状態にラッチされる。加えて、手動解放レバー2602が各ソレノイドに設けられてもよく、これにより、ユーザは、停電または他の故障の場合に蓋のロック機構を無効にし(オーバーライドし)、手動で蓋を開くことができる。手動解放レバー2602は、好ましくは、引き出し2300の外側からアクセス可能であり得る。
【0063】
図27は、本発明の他の実施形態による、分配引き出しの蓋をロックおよびロック解除するための別の技術を示す。剛性部品を有する機械的リンク機構を使用するのではなく、
図27のシステムは、蓋2409をシステムの他の構成要素に接続するために被覆ケーブル2701を使用する。被覆ケーブル2701は、被覆2702を含み、被覆2702は、断熱材2403を貫通し、断熱材2403に固定され得る。被覆ケーブル2701は、被覆2702内で軸方向に移動することができる可動インナーワイヤまたはケーブル2703も含む。被覆ケーブル2701は、自転車のシフターおよびブレーキケーブルにしばしば使用される種類のものであり得る。
図27において、蓋2409は閉位置にある。ケーブル2703の止め具2704は、ソレノイド2401のプランジャ2404の後ろに保持されているため、蓋2409が開くのを防ぐ。ケーブル2703の端部は、キャプスタン2705に巻き付けられており、キャプスタン2705は、定荷重ばね2706およびロータリーエンコーダ2707に接続されている。定荷重ばね2706は、ケーブル2703の張力を維持し、蓋2409をその閉位置に保持する。
【0064】
蓋2409をロック解除するコマンドを受け取ると、ソレノイド2401は、エネルギーを与えられてプランジャ2404を引っ込める。次に、ユーザは、定荷重ばね2706の張力に抗して蓋2409を持ち上げ、蓋2409の下のコンパートメントから所望のアイテムを取り出すことができる。エンコーダ2707は、キャプスタン2705の位置、したがって蓋2409の位置も示す信号をコントローラに送信することができる。他の実施形態では、単純な光遮断器または他のバイナリセンサが使用され得る。エンコーダ207のようなエンコーダは、蓋の閉位置のエンコーダ読み取り値を、例えば引き出しがキャビネットの内側に戻されたときなど各使用後に記録することができるという利点を有し得る。このようにして、ケーブルの長さからのドリフトまたは他の影響を、例えばファームウェアで調整することができる。
【0065】
図28は、蓋2409が開位置にある状態の
図27のシステムを示す。ソレノイド2401のプランジャ2404は引っ込められており、蓋2409が開かれるときに止め具2704がプランジャ2404を通り越すことを可能にする。ケーブル2703のうちの一部は、キャプスタン2705に巻かれていない。ユーザが蓋2409を閉じると、ばね2706は、ケーブル2703を引っ込めるのを助ける。止め具2704は、プランジャ2404の後方に静止し、ソレノイド2401の別の作動まで蓋2409が開くのを防ぐことができる。好ましくは、各蓋2409は、ばね2706によってケーブル2703に誘起される張力にもかかわらず、蓋をその開位置に保持する機械的戻り止めを有する。
【0066】
図27および
図28には、1つのソレノイド2401および被覆ケーブル2701のみが示されているが、類似の構成が分配引き出しの任意のロック可能な蓋に提供され得ることが理解されよう。加えて、支持構造、ファスナー、および他のアイテムは、説明を明確にするために
図27および
図28から省略されている。
【0067】
被覆ケーブル2701などの被覆ケーブルを使用する
図27および
図28のシステムは、被覆2702が断熱材2403に対して移動する必要がなく、したがって、断熱材2403に対してしっかりとシールすることができるという利点を有し得る。加えて、被覆ケーブル2701の可撓性は、他の構成要素、例えば、ソレノイド2401または他のアクチュエータの配置における設計の自由を提供し得る。
【0068】
図31は、本発明の他の実施形態による冷蔵引き出し3100の分解図を示す。上記の実施形態のいくつかにおいて、例えば、
図14および
図15に示されるように、個々のアクチュエータは、引き出しのコンパートメントの各々に沿って配置されている。これにより、
図22に見られるように、コンパートメントが引き出しの前後方向に互いに離間され、コンパートメント間に未使用のスペースができる。
図24または
図27に示されるタイプのリモートアクチュエータの使用は、コンパートメントを互いにより接近させることを可能にし、その結果、いくつかの他の実施形態と比較して、引き出し3100内により多くの使用可能な格納スペースが得られる可能性がある。
【0069】
図31の例示的な実施形態では、ビンは、単純で薄い仕切り3102を有するトレイ3101によって形成されている。仕切り3102は、トレイ3101の溝またはノッチ3106にスライドしてもよく、または他の方法で配置されてもよい。仕切り3102は、例えば溶剤結合または永久的なスナップ嵌合によって、トレイ3101に永久的に固定されてもよく、または取り外し可能であってもよい。他の実施形態では、トレイ3101は、例えば射出成形によって一体型仕切りで形成されてもよい。
【0070】
トレイ3101および仕切り3102は、好ましくは、開口部3103などの開口部によって穿孔されていてよく、その結果、空気は、引き出し3100内を循環し、トレイ3101の壁およびコンパートメントを通過することができる。引き出し3100の蓋3104は、蓋3104が閉じられたときにコンパートメント内に突出する下向きのリブ3105を含み得る。したがって、リブ3105は、コンパートメントの完全な充填を妨げる。コンパートメントの上部は実質的に開いたままであり、引き出し3100全体の空気の流れを可能にする。
【0071】
蓋3104は、他のいくつかの実施形態よりも、引き出し3100の前後方向において互いにより近くに配置され得る。仕切り3102の薄さは、トレイ3101内の結果として生じるコンパートメントを他の実施形態よりも大きくすることを可能にし、引き出し3100の格納容量を増加させる。
【0072】
図32は、蓋3104のうちの2つを作動させるために、2つのアクチュエータが引き出し3100の断熱材3201の外側にどのように取り付けられ得るかを示している。
他の実施形態では、磁気ラッチングシステムが冷蔵された引き出しの蓋に使用され得る。
図33は、蓋3302を有するコンパートメント3301を示す。電磁石3303は、コンパートメント3301の1つの角に取り付けられ、永久磁石3304は、蓋3302に取り付けられている。蓋3302が閉じられると、永久磁石3304が電磁石3303の上に、好ましくは電磁石3303と接触して配置される。電磁石3303を通る電流がない場合、蓋3302は、永久磁石3304と電磁石3303との間の磁気引力によって閉じられたままである。永久磁石3304は、好ましくは、蓋3302がロックされていると見なすことができるほど十分に強力である。例えば、永久磁石3304は、最大5ポンド(2.268キログラム)以上の力で電磁石3303に引き付けられ、工具なしで蓋3302を開けることを困難にし得る。
【0073】
蓋3302をロック解除するために、コントローラ103などのコントローラは、永久磁石3304に対して反発力を引き起こす方向に電磁石3303に電流を流す。十分な電流があると、永久磁石3304の電磁石3303への引力に打ち勝ち、蓋3302を簡単に持ち上げることができる。いくつかの実施形態では、電流レベルは、引力に完全に打ち勝つために必要な電流よりもわずかに小さくなるように選択され、その結果、蓋3302は、わずかな持ち上げ力のみで開くことができる。他の実施形態では、電流は、2つの磁石間の引力に完全に打ち勝つのに十分に高く、蓋3302は、電磁石3303の反発力により開き得る。
【0074】
いくつかの実施形態では、電磁石3303および永久磁石3304の位置を逆にすることができる。他の実施形態では、永久磁石は必要ない場合がある。むしろ、永久磁石3304は、強磁性材料で作られた単純なプレートで置き換えることができ、蓋3302は、電磁石3303に電流を流すことによってロックされ得る。この構成において蓋3302をロック解除するには、単に電流の流れを停止させる。しかしながら、この代替の構成は実行可能であるかもしれないが、蓋がロック解除されているときを除いて常に電流を流しているという欠点を有する。加えて、蓋は停電時にロック解除され得る。永久磁石3304を含む、
図33の好ましい実施形態では、蓋はデフォルトでロックされており、ロックされた状態では電流を流さない。
【0075】
上述したように、ツールを使用して、蓋3302をそのロックされた状態から強制的に開くことが可能であり得る。好ましくは、そのような侵入を検出するために検出回路が提供される。例えば、ホール効果センサが、蓋3302が閉じているときに永久磁石3304の磁場を検出するように、電磁石3303の近くに配置され得る。電磁石3303が通電されていないときに磁場が消失した(または十分に減少した)ことをセンサが検出した場合、蓋3302がこじ開けられたと想定することができ、警報または警告が発せられ得る。例えば、可聴警報がキャビネットの場所で鳴らされてもよく、または電子メッセージがコントローラ103を介して調査のための適切な連絡先に転送されてもよい。
【0076】
他の実施形態では、電磁石3303は、コンパートメント3301に緩く取り付けられていてもよく、その結果、コンパートメント3301がロックされたままである間に、蓋3302はわずかに持ち上げられ得る。許容される移動は、好ましくは、任意の検出回路によって検出されるのに十分であるが、ロックされたコンパートメントへのアクセスを可能にするのには十分ではない。この機能は、「補充」モードで使用され得る。そうすることを許可されたユーザ、例えば、コンパートメントの補充を担当する薬局の技術者は、キャビネットを補充モードにすることができる。このモードでは、蓋のうちの1つをわずかに持ち上げると、技術者が補充のためにその特定のコンパートメントを開きたいことを、センサを介してコントローラに通知する。次に、コントローラは、コンパートメントをロック解除する。この機能により、コントローラに情報を入力することなく、補充技術者は必要に応じてコンパートメントをすばやく開くことができる。補充が完了すると、技術者は、好ましくは、補充モードを終了し、それにより、アイテムの分配がユーザにより適切に要求されるまでコンパートメントはロックされたままになる。
【0077】
図33の構成は、冷蔵された空間内に少なくともいくつかの電気的または電子コンポーネントを配置する。例えば、電磁石3303は、冷蔵された引き出し内にあり、コンパートメント3301の下のプリント回路基板に取り付けられ得る。基板は、閉鎖センサ、ライト、または他の要素も保持し得る。好ましくは、任意のプリント回路基板および関連する電子コンポーネントは、結露による劣化または損傷を回避するために、防水コンフォーマルコーティングで包まれている。
【0078】
本明細書に開示された特徴のすべての実現可能な組み合わせも開示されたものとみなされることを理解されたい。
本発明は、明確化および理解を目的として詳細に説明された。しかしながら、ある特定の変更および修正が添付の特許請求の範囲内で実施され得ることが理解されるであろう。