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▶ ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベスローテン・ヴェンノーツハップの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-23
(45)【発行日】2023-07-03
(54)【発明の名称】抗菌性脂質を含む局所組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/92 20060101AFI20230626BHJP
   A61K 36/575 20060101ALI20230626BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230626BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20230626BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20230626BHJP
   A61K 8/9789 20170101ALI20230626BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20230626BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20230626BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20230626BHJP
   A61K 31/05 20060101ALI20230626BHJP
   A61K 31/201 20060101ALI20230626BHJP
   A61K 31/133 20060101ALI20230626BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20230626BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20230626BHJP
   A61P 31/10 20060101ALI20230626BHJP
   A61P 17/10 20060101ALI20230626BHJP
   A61K 129/00 20060101ALN20230626BHJP
【FI】
A61K8/92
A61K36/575
A61P43/00 121
A61P31/04
A61P17/00
A61K8/9789
A61K8/34
A61Q5/00
A61Q19/00
A61K31/05
A61K31/201
A61K31/133
A61K8/41
A61K8/36
A61P31/10
A61P17/10
A61K129:00
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020529262
(86)(22)【出願日】2018-11-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-22
(86)【国際出願番号】 EP2018081350
(87)【国際公開番号】W WO2019115136
(87)【国際公開日】2019-06-20
【審査請求日】2021-09-15
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2017/116391
(32)【優先日】2017-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】18153401.7
(32)【優先日】2018-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】521042714
【氏名又は名称】ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベスローテン・ヴェンノーツハップ
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】チュウ,チャン・チン
(72)【発明者】
【氏名】プ,ミンミン
(72)【発明者】
【氏名】シィ,イーニン
【審査官】松本 要
(56)【参考文献】
【文献】特表2000-513745(JP,A)
【文献】国際公開第2008/060878(WO,A1)
【文献】特開2014-172848(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2006-0014203(KR,A)
【文献】国際公開第2011/038797(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/131191(WO,A1)
【文献】特開平10-194957(JP,A)
【文献】特開2013-040123(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0301994(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
A61K 36/00-36/9068
A61K 31/00-31/327
A61K 129/00
A61P 1/00-43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飽和C8~18脂肪酸以外の、ヒトの皮脂または角質層に見られる抗菌性脂質を含む局所組成物であって、前記組成物が、マグノリア種(Magnolia spp.)から入手可能なビフェノールをさらに含み、前記脂質が、サピエン酸、スフィンゴシン、ジヒドロスフィンゴシン、フィトスフィンゴシンまたはパルミトレイン酸の少なくとも1つであり、前記ビフェノールが、ホノキオールまたはマグノロールの少なくとも1つであり、
ただし、
(a)前記抗菌性脂質がサピエン酸を含む場合、前記局所組成物は、サピエン酸に対するホノキオールの重量比が0.008~2であるか、または、サピエン酸に対するマグノロールの重量比が0.01~4であり、
(b)前記抗菌性脂質がスフィンゴシンを含む場合、前記局所組成物は、スフィンゴシンに対するホノキオールの重量比が0.7~40であるか、または、スフィンゴシンに対するマグノロールの重量比が1.5~40であり、
(c)前記抗菌性脂質がジヒドロスフィンゴシンを含む場合、前記局所組成物は、ジヒドロスフィンゴシンに対するホノキオールの重量比が0.2~40であるか、または、ジヒドロスフィンゴシンに対するマグノロールの重量比が0.4~80であり、
(d)前記抗菌性脂質がフィトスフィンゴシンを含む場合、前記局所組成物は、フィトスフィンゴシンに対するホノキオールの重量比が0.2~80であるか、または、フィトスフィンゴシンに対するマグノロールの重量比が0.2~320であり、
(e)前記抗菌性脂質がパルミトレイン酸を含む場合、前記局所組成物は、パルミトレイン酸に対するホノキオールの重量比が0.008~2であるか、または、パルミトレイン酸に対するマグノロールの重量比が0.008~4である、局所組成物。
【請求項2】
前記脂質の量が0.01~10重量%である、請求項1に記載の局所組成物。
【請求項3】
マグノリア種から入手可能な前記ビフェノールの量が0.01~10重量%である、請求項1または2に記載の局所組成物。
【請求項4】
マグノリア種の樹皮の水抽出物または水アルコール抽出物を含み、前記ビフェノールを含む、請求項1~3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物が、ホノキオールおよびマグノロールを含む、請求項1~4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物が、0.01~10重量%の前記ホノキオールまたは0.01~10重量%の前記マグノロールを含むが、ただし、前記組成物がホノキオールおよびマグノロールの両方を含む場合、それらの合計量が前記組成物の0.01~10重量%である、請求項1~5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
局所抗菌組成物としての請求項1~6のいずれかに記載の組成物の非治療的使用。
【請求項8】
前記局所組成物が、少なくともP.acnesに対して有効な抗ざ瘡組成物である、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
前記局所組成物が、少なくとも一部のMalassezia spp.に対して有効なふけ防止組成物である、請求項7に記載の使用。
【請求項10】
前記局所組成物が、少なくともS.aureusに対して有効なリンスオフまたはリーブオン組成物である、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
前記非治療的使用が美容目的のためのものである、請求項に記載の使用。
【請求項12】
安全かつ有効な量の請求項1~6のいずれかに記載の局所抗菌組成物を適用する工程を含む、局所抗菌効果を提供する非治療的方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、局所用抗菌性組成物、特に化粧品組成物に関し、より詳細には、抗菌効果を有し、少なくとも、ふけやにきびなどの化粧品関連の状態に関連するいくつかの微生物に対して有用な化粧品組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトの皮膚は、真皮と呼ばれるより厚い層と、表皮と呼ばれる最も外側のより薄い層の2つの重要な層を含む。真皮は、強度、弾性および厚さの要因である。年齢と共に、真皮の厚さは減少し、これは、少なくとも部分的に、しわを引き起こすと考えられる。表皮は、弾力性およびバリア特性を提供する種々の細胞を含有する。角化細胞は表皮の細胞の75~80%を占める。
【0003】
表皮には主に3種類の細胞が存在する。ケラチノサイト、メラニン細胞、ランゲルハンス細胞で、自然免疫を担っている。
【0004】
真皮は支持体を提供し、主に線維芽細胞および細胞外マトリックスから構成される。白血球、肥満細胞および組織マクロファージもその中に見出される。最後に、血管および神経線維が真皮を横切る。
【0005】
われわれの皮膚は、ウイルス、真菌および細菌のような侵入病原体に対する防御の第一線として作用する。防御の主要な器官として、皮膚組織は常に環境と接触したままであり、侵入する病原体からの脅威および課題に常に直面し、解決する。したがって、露出した表面は病原性外来細菌に攻撃されるだけでなく、常在共生細菌と接触したままで相互作用する。外来微生物と共生微生物からのすべての挑戦にもかかわらず、健康な皮膚は感染がなく、常在微生物叢の数は安定したままである。皮膚組織と微生物との間の相互作用におけるこの平衡は皮膚が洗練されたバリア特性および防御戦略を有し、抗菌特性を有する皮膚脂質(抗菌脂質、AML)がその重要な部分を形成するので、維持される。
【0006】
AMLは、皮膚自身の防御システムの不可欠な部分を形成する。AMLは、細菌、真菌、エンベロープを有するウイルスおよび寄生虫の少なくとも一部に対して広いスペクトルの活性を示す。
【0007】
皮膚脂質、より具体的には遊離脂肪酸および長鎖スフィンゴイド塩基は、グラム陽性およびグラム陰性病原性細菌に対する抗菌効果を有することが知られている(J Invest Dermatol.98:269-273,1992)。さらに、in vitro試験により、パルミトレイン酸およびラウリン酸が肺炎球菌、レンサ球菌、コリネバクテリア、ミクロコッカス、カンジダおよび黄色ブドウ球菌のような一般的な皮膚病原体に対して作用することが示されている(Kabara et al.,1972,Antimicro.Agents and Chemo.,2,23-28および1978,J.Soc.Cosmet.Chem.,29,733-741)。
【0008】
しかしながら、生理学的、環境的、または病理学的状態の変化のために、障壁がもはや十分なままではない状況である可能性がある。このような条件下で、皮膚は、その脂質の合成を適応させ、増大させようとする。しかしながら、それでも十分な保護を提供することはできない。したがって、何らかの介入が必要になる可能性がある。
【0009】
ふけとにきびは世界的に蔓延している問題である。ふけは、頭皮からの死んだ皮膚細胞の凝集塊の脱落によって明らかにされる。これらは白色であり、容易に見ることができるので、美的に不快な外観を呈する。ふけに寄与する因子は、マラセジア酵母のある種のメンバーである。これらに対抗するために、シャンプーのような種々のふけ防止組成物が利用可能である。通常、このようなシャンプーは、界面活性剤および1種以上のふけ防止剤を含有する。典型的なふけ防止剤は金属ピリチオン、例えば、亜鉛ピリチオン(ZPTO)、オクトピロックス(ピロクトンオラミン)、アゾール抗菌剤(例えば、クライムバゾール)、硫化セレンおよびそれらの組み合わせである。
【0010】
ふけの問題はそのようなシャンプーに上記活性物質を使用することによって大幅に軽減されるが、より有効な組成物が必要とされている。
【0011】
尋常性ざ瘡としても知られるざ瘡は、青少年および成人のほぼ全員が罹患する一般的な皮膚病態である。異常な角化と過剰な皮脂産生を含む複雑な病因を有する。ざ瘡は通常、顔面、頸部および背部のような脂腺に富む領域に発生する。
【0012】
Propionibacterium acnes(P.acnes)と命名された細菌は、ざ瘡に関連する重要な微生物剤として知られている。ざ瘡は多くの方法で治療されてきた。ほとんどの治療は、目立った変化が見られるまでに数週間から数カ月かかる。抗菌効果を有する過酸化ベンゾイルはざ瘡の軽症例に使用されており、さらなるざ瘡の形成を予防するとも考えられている。非常に重症のざ瘡では、テトラサイクリン、エリスロマイシン、クリンダマイシンなどの抗生物質が使用されている。
【0013】
US2015/0373970A1(3M)は、他の成分の中でもとりわけ、脂肪酸エステル、脂肪エーテル、またはそのアルコキシド誘導体などの抗菌性脂質、およびエンハンサー(好ましくは相乗剤)が特に大腸菌およびシュードモナス種などのグラム陰性細菌に対する抗菌活性を増強するように機能するエンハンサーを含有する抗菌性拭き取り用品を開示している。エンハンサーは、細菌の細胞エンベロープに影響を与え、抗菌性脂質をより容易に細胞の細胞質に侵入させ、および/または細胞エンベロープの破壊を促進することによって可能にする。エンハンサーは、可溶性有機酸またはその塩である。
【0014】
WO2014/131191A1(Johnson & Johnson)は、カルボン酸と共にホノキオールおよび/またはマグノロールを有する化粧品組成物を開示している。酸は、皮膚上への活性物質の沈着を増強するために含まれる。堆積は、カルボン酸を含まない組成物よりも少なくとも100%多く、特定の実施形態では200%~300%もの高さである。
【0015】
US2013/0129643A(Colgate)は、抗藻剤と、Magnolia officinalisから入手可能なビフェノール化合物を含む抗細菌剤とを含む、結石を治療または予防するための口腔ケア組成物を開示している。
【0016】
CN104225603(Tianjin Bokni Technology Dev Co Ltd)は、殺菌性であるパエオノールおよびグリセリルポリエーテル錯体化合物を開示している。
【0017】
KR2015-0106804(LG Household and Health Care)は、マグノリアおよび脂肪酸の抽出物を含むパーソナルクレンジング組成物を開示する。さらに、組成物は、少なくとも3のclogP値を有する香水、例えばナツメグ抽出物を含む。天然抽出物は皮膚吸収を改善し、クレンジング後でさえ残響を提供する。解決すべき課題は、オニウム皮膚細菌を含む体臭およびざ瘡細菌に対して強力な抗菌効果を示す、人体クレンジング用組成物を提供することである。脂肪酸は、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸などが含まれる、動物又は植物油由来の、C8~20カルボン酸;パーム油、パーム核油、ダイズ油、アブラナ油、トウモロコシ油、アブラナ種子油、ヒマワリ油、ベニバナ油、綿実油、ゴマ油、コメふすま油、ラメリヤシ油、ヒマシ油、オリーブ油およびパーム油が含まれる植物油に由来する脂肪酸;獣脂、ラード、サンフィッシュ、魚油、クジラ油およびマグロ油が含まれる動物脂肪に由来する脂肪酸(例えば、獣脂酸);脂肪アルコール、鉱油およびパラフィンからなる群より選択される。
【0018】
JP2014172848A2(Kao Corp)は、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)に対して持続的な殺菌効果を有する殺菌剤を開示している。これは、活性成分としてパルミトレイン酸カルシウムとリノール酸カルシウムとの組み合わせを含む。
【0019】
WO9849999A2(Cosmoferm BV)は、界面活性剤と組み合わせて処方されたスフィンゴイド基剤を含む局所組成物の適用による局所的に生じる微生物の増殖の阻害を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【文献】US2015/0373970A1
【文献】WO2014/131191A1
【文献】US2013/0129643A
【文献】CN104225603
【文献】KR2015-0106804
【文献】JP2014172848A2
【文献】WO9849999A2
【非特許文献】
【0021】
【文献】J Invest Dermatol.98:269-273,1992
【文献】Kabara et al.,1972,Antimicro.Agents and Chemo.,2,23-28および1978,J.Soc.Cosmet.Chem.,29,733-741
【発明の概要】
【0022】
我々は、ヒトの皮脂または角質層に通常見られる特定の抗菌脂質がMagnolia spp.から入手可能なビフェノールと一緒に処方される場合、この組み合わせは座瘡またはふけのような状態に関連するいくつかの微生物に対して非常に有効であることを決定した。このことは、上記の組み合わせを含む組成物が抗ふけ、抗ざ瘡および一般的な抗菌活性を有し得、そして例えば、手指消毒剤における使用に適切であり得るという推論に導いた。上記で言及した抗菌性脂質は、飽和C8~C18脂肪酸、例えばラウリン酸以外のものである。
【0023】
したがって、第1の態様によれば、飽和C8~18脂肪酸以外の、ヒトの皮脂または角質層に見られる抗菌性脂質を含む局所組成物が開示され、前記組成物は、マグノリア種から入手可能なビフェノールをさらに含む。
【0024】
第2の態様によれば、局所抗菌組成物としての第1の態様の組成物の使用が開示される。
【0025】
第3の態様によれば、第1の態様の局所用抗菌組成物の安全で有効な量を適用する工程を含む、局所抗菌性利益を提供する方法が開示される。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明による組成物は、種々の異なる形態を有することができる局所的に許容される担体、ビヒクルまたは希釈剤を含む。局所的に許容される担体は、好ましくは非刺激性であるべきである。したがって、「局所的に許容される」とは、担体がいかなる不都合な安全性または毒性の懸念も引き起こすことなく、皮膚への局所適用に適していることを意味する。換言すれば、これらの担体は、哺乳動物の皮膚での使用に適している。典型的な担体はヒドロアルコール系(例えば、液体およびゲル)、無水油またはシリコーンベースの系、またはエマルジョン系(水中油型、油中水型、水中油中水型、およびシリコーン中水中油型エマルジョンを含むが、これらに限定されない)の形態であり得る。エマルジョンは、薄いローション(スプレーまたはエアロゾル送達にも適し得る)、クリーム状ローション、軽いクリームおよび重いクリームを含む広範囲のコンシステンシーを包含し得る。エマルジョンはまた、マイクロエマルジョン系を含むことができる。他の適切な局所用担体には、無水固体および半固体(ゲルおよびスティックなど);ならびに水性ベースのムース系が含まれる。本発明において有用な局所担体系の非限定的な例を以下に記載する。
【0027】
これらのおよび他の態様、特徴および利点は、以下の詳細な説明および添付の特許請求の範囲を読むことによって、当業者に明らかになるのであろう。疑義を回避するために、本発明の1つの態様の任意の特徴は、本発明の任意の他の態様において利用されてもよい。「含む(comprising)」の語は「含む(including)」を意味することを意図し、必ずしも「からなる(consisting of)」または「から構成される(composed of)」を意味することを意図するものではない。言い換えれば、列挙されたステップやオプションが網羅的である必要はない。以下の説明で与えられる例は本発明を明確にすることを意図したものであり、本発明をそれらの例自体に限定することを意図したものではないことに留意されたい。同様に、本明細書に含まれる全てのパーセンテージおよび比は、他に示さない限り、重量/重量パーセンテージである。
【0028】
実施例および比較例、または他に明示的に示される場合を除いて、材料の量または反応条件を示す本明細書中のすべての数字は単語「約」によって修飾されると理解されるべきである。他に特定されない限り、「x~y」の形式で表される数値範囲は、xおよびyを含むと理解される。特定の特徴について、複数の好ましい範囲が「x~y」の形式で表される場合、異なる終点を組み合わせるすべての範囲も意図されると理解される。上記の個々のセクションで言及した本発明の様々な特徴は、必要に応じて、必要な変更を加えて他のセクションに適用される。その結果、1つのセクションで指定された特徴は、必要に応じて他のセクションで指定された特徴と組み合わせることができる。いかなるセクション見出しも、便宜のためだけに追加され、いかなる方法においても本開示を限定することを意図しない。
【0029】
局所組成物とは、局所領域、例えば哺乳動物、特にヒトの皮膚および/または毛髪および/または口腔を洗浄または消毒するためのリーブオンまたはウォッシュオフ形式手段の形態での外部適用のための組成物を意味する。このような組成物は、外観、クレンジング、臭気制御または一般的な美観をも改善するために人体に適用される任意の製品を含む。一態様によれば、本発明による組成物は、リンスオフ組成物である。あるいは、それらはリーブオン組成物である。本発明の組成物は、液体、ローション、クリーム、フォームもしくはゲル、またはトナーの形態であってもよく、または用具を用いて、またはフェースマスク、パッドもしくはパッチを介して適用されてもよい。本明細書で使用される「皮膚」は顔および身体(例えば、首、胸、背中、腕、下腕、手、脚、臀部および頭皮)上の皮膚を含むことを意味する。本発明の組成物はまた、皮膚以外の人体の任意の他の外部基材、例えば毛髪への適用にも関連する。
【0030】
本明細書で使用される「抗菌組成物」とは、哺乳動物、特にヒトの皮膚、毛髪および/または頭皮への局所適用のための組成物を含むことを意味する。このような組成物は一般に、身体の所望の局所表面に数秒から24時間まで適用される。塗布時間が少ない場合、例えば数秒から数分のオーダーであり、その後、組成物を水ですすぎ落とすか、または拭き取る場合、このような組成物は、クレンジング組成物またはリンスオフ組成物として知られている。組成物がより長い時間、例えば数分から24時間まで適用され、通常のパーソナルクリーニングのプロセスの間に洗い流される場合、このような組成物は、リーブオン組成物として知られている。より好ましくは、頭皮および/または毛髪上のふけの症状を予防または軽減するため、抗ざ瘡利益のため、または手もしくは人体の他の部分を消毒するために使用される。
【0031】
本明細書で使用される「ヘアケア組成物」は、毛髪への局所適用のための組成物を含むことを意味する。そのような組成物の非限定的な例には、リーブオンヘアローション、クリーム、乾燥ウォッシュオフシャンプー、コンディショナー、シャワーゲル、またはトイレットバーが含まれる。本発明の組成物がヘアケア組成物である場合、それは好ましくはウォッシュオフ組成物、特にシャンプーまたはコンディショナーである。
【0032】
本発明の局所組成物
本発明は、飽和C8~18脂肪酸以外の、ヒトの皮脂または角質層中に見られる抗菌性脂質を含む局所組成物に関する。
【0033】
抗菌性脂質(AML)は、ヒトの皮脂および角質層に天然に存在する。それらは、皮膚や頭皮、または口腔などの脂腺から分泌される。AMLはまた、ケラチノサイトに由来し、皮膚表面の角質層に運ばれる。皮膚の脂質の大部分は、皮脂と呼ばれる油状で蝋状の物質を排出する皮脂腺に由来する。残りの脂質の大部分は、表皮の角質層細胞に由来する。これらの供給源の各々からの脂質の寄与は、所与の位置に存在する皮脂腺の数に依存する。頭皮や顔には900個/cmもあり、前腕には約50個/cmあることが報告されている。
【0034】
公表された文献は、皮膚の皮脂または角質層に存在する抗菌性脂質がトリグリセリド、ジグリセリドおよびモノグリセリド、飽和でも不飽和でもよい非エステル化脂肪酸、長鎖スフィンゴイド塩基、糖脂質およびリン脂質であることを示している。抗菌性脂質は病原性微生物に対する防御の第一線として作用する。
【0035】
このような抗菌性脂質の1つ以上を含有する、公開された文献または商業的および公的に入手可能な局所組成物を見出すことは一般的である。しかし、皮脂または角質層に存在する抗菌性脂質の自然活性を増強または増加させる試みについてはほとんど知られていない。
【0036】
最小阻害濃度(MIC)は、種々の化合物の抗菌効力を研究および評価するための古典的なアプローチである。微生物学において、最小阻害濃度(MIC)は、所望のインキュベーション時間後に微生物の目に見える成長を阻害する(抗真菌剤、抗生物質または静菌剤のような)抗菌剤の最低濃度である。
【0037】
MICの概念は、ヒトの皮脂または角質層に見られる抗菌性脂質にも適用される。これは、このような脂質の固有の抗菌活性の指標と考えることができる。抗菌性脂質を含有する配合物は過去に開示されているが、本発明者らは、関連する抗菌性脂質のMICを低減/低下させるために、1つ以上の抗菌性脂質および別の成分を含有する、いかなる刊行物または公的に入手可能な製品についても知らされていない。したがって、本発明は、製剤科学者が、微生物に対する有効な保護を依然として主張することができる一方で、抗菌性脂質の用量を減少させる自由を有する、技術的に優れた組成物を提供する。
【0038】
本発明の組成物中に存在する抗菌性脂質は、皮脂または角質層中にそれらの先天性または天然に存在する対応物を補充または増強するが、Magnolia spp.から得られるビフェノールは、その脂質と相乗的に相互作用して、それらをさらに有効にすると考えられる。
【0039】
関連する抗菌性脂質は皮脂または角質層上または中に見られる任意の脂質であり得るが、その脂質は、サピエン酸、スフィンゴシン、ジヒドロスフィンゴシン、フィトスフィンゴシン、6-ヒドロキシフィトスフィンゴシンまたはパルミトレイン酸のうちの少なくとも1つであることが好ましい。より好ましくは、本発明の組成物がパルミトレイン酸、サピエン酸またはフィトスフィンゴシンである脂質を含む。
【0040】
サピエン酸およびパルミトレイン酸は、一般に、精製された形態で抗菌剤に添加される。これらの脂肪酸は化学的に合成されても、天然に供給されてもよく、遊離脂肪酸形態またはそれらのエステル化形態であってもよいが、脂質はそれらの酸形態であることが好ましい。これらの脂肪酸およびその誘導体を含有する天然物質は、動物または植物源に由来し得、植物種子抽出物、海産油、動物油および微生物発酵物が含まれるが、これらに限定されない。具体的には、サピエン酸が、Thunbergia alataの種子油の主要成分として報告されている(トリグリセリドとして85重量%)。したがって、サピエン酸は、サピエン酸を含む種子油抽出物の形態で添加されてもよく、一方で、サピエン酸が本発明の組成物中に所望の濃度で存在することを確実にする。
【0041】
スフィンゴシン、フィトスフィンゴシン、およびジヒドロスフィンゴシンは、ヒトの皮膚に存在するスフィンゴイド塩基である。それらは、化学的に合成され得るか、または糖のような物質から酵母によるスフィンゴイド塩基の形成をもたらす適切なバイオテクノロジープロセスを介して産生され得る。スフィンゴイド塩基は、精製された形態で抗菌性組成物に添加され得る。あるいは、大量のスフィンゴイド塩基からなる発酵ブロスを使用してもよく、一方で。スフィンゴイド塩基が本発明の組成物中に所望の濃度で存在することを確実にする。
【0042】
本発明の組成物中の脂質の量は、0.01~10重量%であることが好ましい。より好ましくは、その量は組成物の0.01~5重量%であり、最も好ましくは0.1~2重量%である。2つ以上の抗菌性脂質が本発明の組成物中に存在する場合、それらの総量は、上記に開示されるとおりである。
【0043】
Magnolia spp.からのビフェノール
本発明による組成物は、Magnolia spp.から入手可能なビフェノールをさらに含む。Magnolia sppから得られる前記ビフェノールの量は、0.01~10重量%であることが好ましい。「ビフェノール」の表現は、ビフェノールの基本構造式を有する化合物の一般化されたクラスに属する1つ以上の化合物の存在を示すために使用される。
【0044】
組成物は抗菌性脂質およびビフェノールを含むので、最適な効力を得るために活性成分の量の間の比が維持されることが好ましい。好ましくは、前記脂質の前記ビフェノールに対する量の比が0.003~125である。
【0045】
好ましくは、本発明の組成物が、マグノリアの樹皮の水抽出物または水アルコール抽出物を含み、ひいては前記ビフェノールを含む。抽出物の測定量は、それに含まれるビフェノールの必要量が組成物に含まれるように選択される。
【0046】
ビフェノールは、マグノロール、ホノキオール、テトラヒドロマグノロール、テトラヒドロホノキオール、プロピルマグノロール、プロピルホノキオール、イソプロピルマグノロール、イソプロピルホノキオール、ブチルマグノロール、およびブチルホノキオールの少なくとも1つであることが好ましい。ビフェノールは、ホノキオールまたはマグノロールの少なくとも1つであることが特に好ましい。あるいは、そしてさらに好ましくは、組成物がホノキオールおよびマグノロールを含む。組成物は、0.01~10重量%の前記ホノキオールまたは0.01~10重量%の前記マグノロールを含むことが好ましく、組成物がホノキオールおよびマグノロールの両方を含む場合、それらの合計量が前記組成物の0.01~10重量%であることが好ましい。
【0047】
一般に、Magnoliaは、Magnoliaceae科のMagnoliodieae亜科における約210の開花植物種の大きな属である。Magnolia抽出物は、Magnoliaceae科内の種から得ることができる。これらの種の非限定的な例としては、Magnolia acuminata, Magnolia ashei, Magnolia biondii, Magnolia cylindrica, Magnolia cambellii, Magnolia denudata, Magnoliapaseri, Magnolia grandiflora, Magnolia hypoleuca, Magnolia kobus, Magnolia hliiflora, Magnolia loegneri, Magnolia macrophylla, Magnolia officinalis, Magnolia pyramidata, Magnolia sargentiana, Magnolia seiboldii, Magnolia soulangiana, Magnolia sprengeri, Magnolia stellata, Magnolia tripetala, Magnolia virginiana, Magnolia zenii, およびMichelia figoが含まれる。
【0048】
マグノロールおよび/またはホノキオールを含有するマグノリア抽出物は、種々の異なる供給源から商業的に入手可能である。例えば、ホノキオールおよびマグノロールの両方をそれぞれ約45%の濃度で含むMagnolia officinalisの樹皮の抽出物(抽出物中における合わせたホノキオールおよびマグノロールの総濃度は90%である)は、MagnoPro(登録商標)の商品名でHNSEAから入手可能である。マグノリア樹皮から単離された個々のマグノロールおよびホノキオール化合物は、それぞれ商品名「Magnolol 95%」および「Honokiol 95%」でH-NSEAから入手可能である。あるいは、当業者は、当該技術分野で既知の任意の適切な単離および精製方法を使用することによって、マグノリア花、樹皮、または種子錐体からマグノリア抽出物を単離し得る。いくつかの実施形態では、マグノリアの抽出物が乾燥マグノリア植物樹皮から得ることができ、当該技術分野で知られている、または開発される任意の手段によって調製することができる。
【0049】
分画阻害濃度の合計(ΣFIC)は、抗菌成分の組み合わせの文脈において広く使用されている。それは、抗菌成分が(併用の場合に)相乗効果または拮抗効果を有するかどうか、またはその2つのいずれも有さないか、すなわち、相加効果を有するかどうかを決定するためのツールである。本発明者らは、M.furfur、S.aureusおよびP.acnesに対する5つの異なるAML(サピエン酸、パルミトレイン酸、スフィンゴシン、フィトスフィンゴシンおよびジヒドロスフィンゴシン)とのホノキオールおよびマグノロール(両方ともビフェノール)の組み合わせ効果を評価するためのΣFIC試験を頼りにした。
【0050】
本発明の局所組成物は、サピエン酸およびホノキオールを含むことが好ましい。この場合、サピエン酸の量に対するホノキオールの量の重量比は、0.25~1、あるいは0.008~2であることが好ましい。
【0051】
あるいは、組成物は、サピエン酸およびマグノロールを含む。この場合、サピエン酸の量に対するマグノロールの量の重量比は、0.06~2、あるいは0.01~4、さらには0.25~1であることが好ましい。
【0052】
あるいは、組成物は、スフィンゴシンおよびホノキオールを含む。この場合、スフィンゴシンの量に対するホノキオールの量の重量比は、1.25~40、あるいは0.8~25、あるいは0.7~13であることが好ましい。
【0053】
あるいは、組成物は、スフィンゴシンおよびマグノロールを含む。この場合、スフィンゴシンの量に対するマグノロールの量の重量比は、5~40、あるいは1.5~25、あるいは1.5~13であることが好ましい。
【0054】
あるいは、本発明の局所組成物がジヒドロスフィンゴシンおよびホノキオールを含むことが好ましい。この場合、ジヒドロスフィンゴシンの量に対するホノキオールの量の重量比は、5~40、あるいは0.8~12.5、あるいは0.2~6.5であることが好ましい。
【0055】
あるいは、組成物は、ジヒドロスフィンゴシンおよびマグノロールを含む。この場合、ジヒドロスフィンゴシンの量に対するマグノロールの量の重量比は、5~80、あるいは0.4~12.5、さらには0.7~6.5であることが好ましい。
【0056】
あるいは、本発明の局所組成物は、フィトスフィンゴシンおよびホノキオールを含むことが好ましい。この場合、フィトスフィンゴシンの量に対するホノキオールの量の重量比は、10~80、あるいは0.4~12.5、あるいは0.2~3.2であることが好ましい。
【0057】
あるいは、組成物は、フィトスフィンゴシンおよびマグノロールを含む。この場合、フィトスフィンゴシンの量に対するマグノロールの量の重量比は、10~320、あるいは0.2~12.5、さらには0.4~12.5であることが好ましい。
【0058】
あるいは、本発明の局所組成物は、パルミトレイン酸およびホノキオールを含むことが好ましい。この場合、パルミトレイン酸の量に対するホノキオールの量の重量比は、0.06~2、あるいは0.008~2、あるいは0.06~1であることが好ましい。
【0059】
あるいは、組成物は、パルミトレイン酸およびマグノロールを含む。この場合、パルミトレイン酸の量に対するマグノロールの量の重量比は、0.03~2、あるいは0.008~2、さらには0.1~4であることが好ましい。
【0060】
その他の成分
本発明の組成物は、好ましくは化粧品として許容されるビヒクルを含む。化粧品として許容されるビヒクルは、組成物が、例えば、シャンプー、コンディショナー、ボディウォッシュ、ハンドウォッシュまたはフェイスウォッシュ製品、クリーム、ローション、ゲル、粉末、軟膏、ハンドサニタイザーまたはソープバーとして調製され得るようなものであり、成分の残りはそれに応じて変化する。
【0061】
一態様では、本発明による局所組成物は、ヘアケア組成物である。好ましくは、このような組成物は、シャンプー、ヘアコンディショナー、ヘアセラムまたはヘアオイルである。最も好ましくは、局所組成物は、少なくともいくつかのMalessezia spp.に対して有効なふけ防止組成物である。
【0062】
本発明の組成物がシャンプーである場合、それは、好ましくはそのような組成物に一般的に含まれる他の成分を含む。
【0063】
シャンプーは、好ましくは1~20重量%、より好ましくは2~16重量%、さらに好ましくは3~16重量%のアニオン性界面活性剤、例えばアルキル硫酸塩および/またはエトキシル化アルキル硫酸塩界面活性剤を含む。好ましいアルキル硫酸塩は、C8~18アルキル硫酸塩、より好ましくはC12~18アルキル硫酸塩であり、好ましくはナトリウム、カリウム、アンモニウムまたは置換アンモニウム等の可溶化カチオンとの塩の形態である。
【0064】
特に好ましいアルキルエーテル硫酸塩は、式:RO(CHCHO)SOMを有するものであり;ここで、Rは、8~18(好ましくは12~18)個の炭素原子を有するアルキルまたはアルケニルであり;nは、少なくとも0.5より大きい、好ましくは1~3、より好ましくは2~3の平均値を有する数であり;そして、Mは、ナトリウム、カリウム、アンモニウムまたは置換アンモニウム等の可溶化カチオンである。一例は、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES)である。0.5~3、好ましくは1~3の平均エトキシル化度を有するSLESが特に好ましい。
【0065】
本発明によるシャンプー組成物は、化粧的に許容され、毛髪への局所適用に適した1つ以上のさらなるアニオン性クレンジング界面活性剤を含み得る。例としては、アルカリールスルホネート、アルキルスクシネート、アルキルスルホスクシネート、アルキルエーテルスルホスクシネート、N-アルキルサルコシネート、アルキルホスフェート、アルキルエーテルホスフェート、およびアルキルエーテルカルボン酸およびそれらの塩、特にそれらのナトリウム、マグネシウム、アンモニウムおよびモノ、ジおよびトリエタノールアミン塩が挙げられる。アルキル基およびアシル基は、一般に8~18個、好ましくは10~16個の炭素原子を含有し、不飽和であってもよい。アルキルエーテルスルホスクシネート、アルキルエーテルホスフェートおよびアルキルエーテルカルボン酸ならびにそれらの塩は、1分子あたり1~20個のエチレンオキシドまたはプロピレンオキシド単位を含有し得る。
【0066】
典型的には、適切なアニオン性界面活性剤として、ナトリウムオレイルスクシネート、アンモニウムラウリルスルホスクシネート、ナトリウムラウリルエーテルスルホスクシネート、ナトリウムドデシルベンゼンスルホネート、トリエタノールアミンドデシルベンゼンスルホネート、ラウリルエーテルカルボン酸およびナトリウムN-ラウリルサルコシネートが含まれる。適切な好ましい追加のアニオン性クレンジング界面活性剤は、ナトリウムラウリルエーテルスルホスクシネート(n)EO(ここで、nは1~3である)、ラウリルエーテルカルボン酸(n)EO(ここで、nは10~20である)である。
【0067】
前述のアニオン性クレンジング界面活性剤のいずれかの混合物もまた、適切であり得る。本発明のシャンプー組成物は、好ましくは0.1~10重量%、より好ましくは0.5~8重量%の両性界面活性剤、好ましくはアルキルアミドプロピルベタイン界面活性剤、例えばココアミドプロピルベタイン等のベタイン界面活性剤を付加的に含む。
【0068】
組成物のpHは、好ましくは4.0以上であり、より好ましくは5.0~10.0の範囲である。
【0069】
シャンプー組成物は、さらに0.1~3重量%、より好ましくは0.1~1.5重量%の亜鉛化合物を含むことが好ましい。組成物中の亜鉛の存在は、ふけ防止効力を改善すると考えられる。適切な亜鉛化合物は、ZPTO、酸化亜鉛、クエン酸亜鉛、マロン酸亜鉛、炭酸亜鉛、またはそれらの組み合わせである。
【0070】
好ましくは、シャンプー組成物は、さらに、0.01~2重量%、より好ましくは0.025~0.75重量%のコナゾール殺菌剤を含む。好適には、コナゾール殺菌剤は、ケトコナゾールまたはクリンバゾールまたはそれらの混合物である。コナゾール殺菌剤の存在は、亜鉛ピリチオン(ZPTO)の沈着を改善すると考えられる。
【0071】
シャンプー組成物は、さらに好ましくは懸濁剤を含む。適切な懸濁剤は、ポリアクリル酸、アクリル酸の架橋ポリマー、疎水性モノマーとのアクリル酸のコポリマー、カルボン酸含有モノマーとアクリル酸エステルのコポリマー、アクリル酸とアクリル酸エステルの架橋コポリマー、ヘテロ多糖ガムおよび結晶性長鎖アシル誘導体である。長鎖アシル誘導体は、望ましくはエチレングリコールステアレート、16~22個の炭素原子を有する脂肪酸のアルカノールアミド、およびそれらの混合物から選択される。エチレングリコールジステアレートおよびポリエチレングリコールジステアレートは、組成物に真珠光沢を付与するので、好ましい長鎖アシル誘導体である。ポリアクリル酸は、Carbopol(登録商標)420、Carbopol(登録商標)488またはCarbopol(登録商標)493として市販されている。多官能性薬剤で架橋されたアクリル酸のポリマーを使用することもできる;それらは、Carbopol(登録商標)910、Carbopol(登録商標)934、Carbopol(登録商標)941およびCarbopol(登録商標)980として市販されている。カルボン酸含有モノマーおよびアクリル酸エステルの適切なコポリマーの例は、Carbopol(登録商標)1342である。全てのCarbopol(商標)材料は、Goodrichから入手可能である。
【0072】
アクリル酸およびアクリレートエステルの適切な架橋ポリマーは、Pemulen(登録商標)TR1およびPemulen(登録商標)TR2である。適切なヘテロ多糖ガムは、キサンタンガムであり、例えばKelzanとして入手可能である。
【0073】
上記の懸濁剤のいずれかの混合物を使用することができる。アクリル酸の架橋ポリマーと結晶性長鎖アシル誘導体の混合物が好ましい。
【0074】
懸濁剤は、含まれる場合、一般に0.1~10重量%、好ましくは0.5~6重量%で存在する。
【0075】
本発明の組成物は、性能および/または消費者の受容性を高めるための他の成分を含有してもよい。このような成分としては、フレグランス、染料および顔料、pH調整剤、パーライザーまたは乳白剤、粘度調整剤、防腐剤、ならびに植物、果実抽出物、糖誘導体およびアミノ酸などの天然毛髪栄養素が挙げられる。
【0076】
シャンプー組成物は水性ベースであることが好ましい。それは、好ましくは70~95重量%の水を含む。
【0077】
ヘアコンディショナー
代替として、本発明の局所組成物はヘアコンディショナーである。
【0078】
コンディショニング利益が本発明の組成物を通して送達される場合、この組成物はヘアコンディショナーと呼ばれる。典型的に、ヘアケア組成物に使用される最も一般的なコンディショニング剤は、鉱油等の水不溶性油状材料、トリグリセリド等の天然油およびシリコーンポリマーである。コンディショニングの利益は、毛髪上に油状材料を付着させて膜を形成することによって達成され、これは、湿ったときに毛髪をとかし易くし、乾いたときに扱いやすくする。特に有用なコンディショニング剤は、シリコーン、好ましくは不揮発性シリコーンである。有利には、ここでの組成物は1つ以上のシリコーンを含み得る。シリコーンは、分散または懸濁した粒子形態で見られるコンディショニング剤である。それらは、毛髪上に沈着し、毛髪を水ですすいだ後に残っていることを意図している。適切なシリコーン油には、ポリアルキルシロキサン、ポリアリールシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサン、ポリエーテルシロキサンコポリマーおよびそれらの混合物が含まれる。アミノシリコーンはしばしばシャンプー組成物で配合される。アミノシリコーンは、少なくとも1つの第一級アミン、第二級アミン、第三級アミンまたは第四級アンモニウム基を含有するシリコーンである。高分子量シリコーンガムも利用することができる。別の有用なタイプは、ジメチコーン/ビニル/ジメチコーンクロススポリマー(例えば、Dow Corning 9040および9041)等の架橋シリコーンエラストマーである。
【0079】
本発明のヘアコンディショナー組成物は、0.1~10重量%、より好ましくは約0.1~約8重量%のシリコーンを含むことが好ましい。あるいは、ヘアコンディショナーは、シリコーンフリーであり、1重量%以下のシリコーンを含有する。組成物のpHは、4.0より大きいことが好ましく、5.0~7.0であることがより好ましい。
【0080】
本発明のヘアコンディショナー組成物はまた、好ましくは0.5~10重量%の脂肪アルコールを含み得る。コンディショニング組成物中における脂肪アルコールとカチオン性界面活性剤の併用は、これがラメラ相の形成をもたらし、その中にカチオン性界面活性剤が分散されるので、特に有利であると考えられる。
【0081】
代表的な脂肪アルコールは、8~22個の炭素原子、より好ましくは16~22個の炭素原子を含む。脂肪アルコールは、典型的には直鎖アルキル基を含有する化合物である。適切な脂肪アルコールの例としては、セチルアルコール、ステアリルアルコールおよびそれらの混合物が挙げられる。これらの材料の使用はまた、それらが本発明の組成物の全体的なコンディショニング特性に寄与するという点で有利である。
【0082】
皮膚用のリンスオフまたはリーブオン組成物
別の態様では、本発明の抗菌組成物は、少なくともP.acnesに対して有効な抗ざ瘡組成物である。さらに代替的に、それは、少なくともS.aureusに対して有効なリンスオフまたはリーブオン組成物である。
【0083】
このような組成物は、スキンケア、例えば、身体、手または顔のケアのために、またはシャワーゲルのようなパーソナルウォッシュ組成物として使用され得る。あるいは、それは手消毒剤組成物である。
【0084】
本発明による組成物は、石鹸または非石鹸界面活性剤またはそれらの組み合わせである5~80重量%の界面活性剤を含むことが好ましい。界面活性剤の性質は用途に依存する。好ましくは、界面活性剤は、C-C22、好ましくはC-C16の脂肪アルコールエトキシレート等の、製品が液状である場合に1~8個のエチレンオキシド基を含む非イオン性界面活性剤である。あるいは、界面活性剤は、第一級アルキルスルフェート、第二級アルキルスルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、またはエトキシル化アルキルスルフェートから選択されるアニオン性非石鹸界面活性剤である。組成物は、アニオン性界面活性剤、例えば、好ましくは1~3個のエチレンオキシド基を有し、天然又は合成源からの、アルキルエーテルスルフェートおよび/またはスルホン酸などをさらに含むことができる。特に好ましいのは、ナトリウムラウリルエーテルスルフェートである。また、アルキルポリグルコシドが組成物中に存在してもよく、好ましくはC~C16の炭素鎖長を有するものである。
【0085】
界面活性剤は、石鹸であることが特に好ましく、5~90重量%であることがより好ましく、10~85重量%であることがさらに好ましい。石鹸は、パーソナルウォッシュ用途に適した界面活性剤である。好ましくは、石鹸は、C-C24の石鹸、より好ましくはC10-C20の石鹸、最も好ましくはC12-C18の石鹸を含む。石鹸のカチオンは、アルカリ金属、アルカリ土類金属またはアンモニウムであり得る。好ましくは、石鹸のカチオンは、ナトリウム、カリウムまたはアンモニウムである。より好ましくは、カチオンはナトリウムである。
【0086】
典型的な脂肪酸ブレンドは、5~30%のココナッツ脂肪酸および70~95%の脂肪酸からなる。落花生、大豆、獣脂、パームまたはパーム核等の他の適切な油脂に由来する脂肪酸もまた、他の所望の割合で使用され得る。
【0087】
好ましくは、抗ざ瘡組成物、リンスオフおよびリーブオン組成物は、香料、顔料、防腐剤、皮膚軟化剤、日焼け止め剤、乳化剤、ゲル化剤および増粘剤などの他の既知の成分を含む。これらの成分の選択は、組成物の形式に大きく依存する。
【0088】
水が担体である場合、組成物は10~90重量%の水を含むことが好ましい。
【0089】
無機粒子材料もまた、適切な担体であり得る。無機粒子材料が担体である場合、本発明の抗菌性組成物は固体である。好ましくは、無機粒子材料はタルクである。無機微粒子材料がタルクである場合、抗菌組成物は、顔または体に適用するためのタルカムパウダーとして特に有用である。
【0090】
さらに代替的に、水以外の溶媒が、好ましい担体として役立ち得る。適切で且つ化粧品として許容されるあらゆる溶媒を使用することができるが、アルコールが好ましい。短鎖アルコール、特にエタノールおよびプロパノールは、抗菌ワイプまたは抗菌性手指消毒剤組成物のための担体として特に好ましい。本発明の組成物は、個人衛生のための形態または拭き取り用品であってもよい。
【0091】
本発明による使用および方法
第2の態様によれば、局所抗菌組成物としての第1の態様の組成物の使用が開示される。好ましくは、局所組成物は、少なくともP.acnesに対して有効な抗ざ瘡組成物である。あるいは、局所組成物は、少なくともいくつかのMalessezia spp.に対して有効なふけ防止組成物である。さらにあるいは、局所組成物は、少なくともS.aureusに対して有効なリンスオフまたはリーブオン組成物である。本発明による使用は、非治療目的のためであることが好ましい。好ましくは、非治療目的は、美容目的である。あるいは、本発明による組成物の使用は、治療目的のためである。当業者は、組成物の治療的使用と非治療的使用との間の相違を理解する。
【0092】
別の態様によれば、第1の態様の局所抗菌組成物の安全で有効な量を適用する工程を含む、局所抗菌利益を提供する方法が開示される。安全な有効量という用語は、当業者に周知であり、そのような量は製品フォーマットに応じて変わる場合があり、例えば、手指消毒剤組成物の場合の前述の量は、各適用について1~2mlであり得、一方、シャンプーの場合、その量は、各適用について5~10mlであり得る。好ましくは、局所組成物が少なくともP.acnesに対して有効な抗ざ瘡組成物である。
【0093】
あるいは、局所組成物は、少なくともいくつかのMalessezia spp.に対して有効なふけ防止組成物である。さらにあるいは、局所組成物は、少なくともS.aureusに対して有効なリンスオフまたはリーブオン組成物である。本発明による方法は、非治療目的のためのものであることが好ましい。好ましくは、非治療目的は美容目的である。あるいは、本発明による組成物の方法は、治療目的のためのものである。当業者は、組成物の治療的使用と非治療的使用との間の相違を理解する。
【0094】
別の態様によれば、少なくともP.acnesに対して有効な抗ざ瘡組成物として使用するための局所組成物が開示される。さらに別の態様によれば、少なくともいくつかのMalessezia spp.に対して有効なふけ防止組成物が開示される。さらに別の態様によれば、少なくともS.aureusに対して有効なリンスオフまたはリーブオン組成物が開示される。
【0095】
次に、本発明を、以下の非限定的な実施例の助けを借りて詳細に説明する。
【実施例
【0096】
本発明による例示的な組成物の抗菌効力を、3つの生物、M.furfur、S.aureusおよびP.acnesに対するものとして決定した
【0097】
ここで、関連する手順について簡単に説明する。
【0098】
方法:M.furfur、S.aureusおよびP.acnesに対するΣFICアッセイ
ステップ1:微生物の培養と調製
M.furfur(CBS1878)をPityrosporum Broth(PB、溶液A)に接種し、振盪インキュベーター中32℃で2日間インキュベートした。次に、微生物を含む懸濁液をPBで10倍に希釈し、32℃でさらに2日間再びインキュベートした。接種物をさらにPBで希釈して、約10細胞/mlを得た。
【0099】
S.aureus(ATCC 12600)をTryptone Soya Broth(TSB、Oxoid:CM0129)に接種し、37℃の振盪インキュベーター中で1日間インキュベートした。次いで、微生物を含有する懸濁液をTSBで10倍希釈し、37℃でさらに1日間再びインキュベートした。接種物をTSBでさらに希釈して、約10細胞/mlを得た。
【0100】
プロピオニバクテリウム アクネス(ATCC 6919)を冷凍庫から液体強化クロストリジウム培地(RCM、HepoBio:HB0316)に接種し、37℃で3日間(嫌気性条件)増殖させた。次いで、微生物を含有する懸濁液をRCMで10倍希釈し、37℃でさらに3日間再びインキュベートした。接種材料をさらにRCMで希釈して、約10細胞/mlを得た。
【0101】
溶液Aの調製:
Pityrosporum Broth(PB)
10g 細菌学的ペプトン
0.1g 酵母エキス
10g Ox-胆汁
2.5g タウロコール酸
10g グルコース
1L 脱イオン水
0.5ml Tween60
1ml グリセロール
pHを6.2に調整
滅菌後
0.5ml UHT ミルク
【0102】
ステップ2.試験される関連成分の原液の調製
DMSO(50,000ppm)中のホノキオール(Ex.Sigma)50mg/ml;DMSO(50,000ppm)中のマグノロール(Ex.Sigma)50mg/ml;100%エタノール(100,000ppm)中のサピエン酸(Ex.Parchem、CAS#17004-51-2)100mg/ml;50%エタノール(5,000ppm)中のD-スフィンゴシン(Ex.Sigma S7049)5mg/ml;50%エタノール(5,000ppm)中のフィトスフィンゴシン(Ex.Evonik)5mg/mストック;100%エタノール(100,000ppm)中のパルミトレイン酸(Ex.Sigma 76169)100mg/ml.
【0103】
全ての調製物を、アリコートする前に完全な溶解を確実にするためにチェックし、そして使用のために-20℃で保存した。
【0104】
ステップ3:ΣFICテスト
Hall MJ,Middleton RF,& Westmacott D(1983),The fractional inhibitory concentration(FIC)index as a measure of synergy.Journal of Antimicrobial Chemotherapy 11(5):427-433に既に記載された原理に基づいてΣFIC試験を行った。手順は以下のとおりである。
【0105】
20μlの化合物A(試験に適用可能なホノキオールまたはマグノロール)および20μlの化合物B(試験に適用可能な異なるAMLの選択)を、96ウェルプレートの対応するウェル中で混合した。160μlの量の微生物懸濁液を各ウェルに分配し、ブロス培地を結果の比較のためのブランク対照とした。各ウェル中の全反応体積は200μlであった。
【0106】
その後、96ウェルプレートをインキュベーター中でインキュベートした。従う試験プロトコールに従って、M.furfurを32℃で1日間好気的にインキュベートし、S.aureusを37°Cで1日間好気的にインキュベートし、P.acnesを37°Cで4日間嫌気的にインキュベートした。その後、20μlのアラマーブルー(0.1%)を各ウェルに分配し、インキュベーションの手順(上記の通り)を繰り返した。最後に、インジケーターの色の変化をモニターして、微生物の増殖または増殖の阻害の目に見える徴候をチェックした。色が赤色に変化した場合、それは(微生物の)増殖を示し、青色は増殖または増殖の阻害がないことを示した。
【0107】
全ての観察を記録し、表にした後、分画阻害濃度(FIC)を計算した。阻害性抗菌剤の組み合わせ効果は、分画濃度(FC)および分画阻害濃度(FIC)の概念を用いて広く探求されている。このパラメータは、次のように定義される:
ΣFIC=FIC(コンポーネント1)+FIC(コンポーネント2)
【0108】
さらに、ΣFICの値から引き出すことができる推論を以下の表に要約する。
【0109】
【0110】
(10倍希釈)後の各成分のppm(parts per million)での最終濃度は、以下の通りであった。これらの濃度の各々を、AMLの1つと組み合わせたホノキオールまたはマグノロール(のいずれか)についてのFIC値を決定するために試みた。
【0111】
M.furfurに関して:
ホノキオール - 5000, 2500, 1250, 625, 312.5, 156.25, 78.13, 39.07, 19.53, 9.77, 4.88 および 0.
マグノロール - 5000, 2500, 1250, 625, 312.5, 156.25, 78.13, 39.07, 19.53, 9.77, 4.88 および 0.
サピエン酸 - 10000, 5000, 2500, 1250, 625, 312.5, 156.3 および 0
D-スフィンゴシン - 500, 250, 125, 62.5, 31.25, 15.63, 7.81 および 0
D-エリスロ-ジヒドロスフィンゴシン - 500, 250, 125, 62.5, 31.25, 15.63, 7.81 および 0
フィトスフィンゴシン - 250, 125, 62.5, 31.25, 15.63, 7.81, 3.91 および 0
パルミトレイン酸 - 10000, 5000, 2500, 1250, 625, 312.5, 156.3 および 0
【0112】
S.aureusに関して:
ホノキオール - 500, 250, 125, 62.5, 31.25, 15.63, 7.81, 3.91, 1.93, 0.98, 0.49 および 0
マグノロール - 500, 250, 125, 62.5, 31.25, 15.63, 7.81, 3.91, 1.93, 0.98, 0.49 および 0
サピエン酸: 125, 62.5, 31.25, 15.63, 7.81, 3.91, 1.95 および 0
D-スフィンゴシン: 20, 10, 5, 2.5, 1.25, 0.63, 0.31 および 0
D-エリスロ-ジヒドロスフィンゴシン: 40, 20, 10, 5, 2.5, 1.25, 0.63 および 0
フィトスフィンゴシン: 40, 20, 10, 5, 2.5, 1.25, 0.63 および 0
パルミトレイン酸: 125, 62.5, 31.25, 15.63, 7.81, 3.91, 1.95 および 0
【0113】
P.acnesに関して:
ホノキオール - 500, 250, 125, 62.5, 31.25, 15.63, 7.81, 3.91, 1.93, 0.98, 0.49 および 0
マグノロール - 500, 250, 125, 62.5, 31.25, 15.63, 7.81, 3.91, 1.93, 0.98, 0.49 および 0
サピエン酸 - 125, 62.5, 31.25, 15.63, 7.81, 3.91, 1.95 および 0
D-スフィンゴシン - 20, 10, 5, 2.5, 1.25, 0.63, 0.31 および 0
D-エリスロ-ジヒドロスフィンゴシン - 40, 20, 10, 5, 2.5, 1.25, 0.63 および 0
フィトスフィンゴシン - 40, 20, 10, 5, 2.5, 1.25, 0.63 および 0
パルミトレイン酸 - 125, 62.5, 31.25, 15.63, 7.81, 3.91, 1.95 および 0
【0114】
結果:
M.furfur(表1および2)、S.aureus(表3および4)およびP.acnes(表5および表6)に対するAMLとのホノキオールおよびマグノロールの相乗効果があることが観察された。
【0115】
【表1】
【0116】
データによれば、製剤科学者の自由裁量で、有利に使用できる著しく広範囲の濃度のホノキオールとその関連した抗菌性脂質が示される。5つのAMLのいずれかと組み合わせて使用した場合に、広範囲のホノキオールにわたってΣFICが0.9未満であったという事実は、実験が試験条件下で行われ、成分の量が使用条件下での実際の量、すなわちシャンプーまたはスキンケアクリームのような組成物と一致しないか、または反映していない可能性があるという事実を十分に考慮した後に、2つの活性成分を含む非常に有効な抗菌組成物の配合を立てることが可能であることを意味する。
【0117】
表1のデータから得られた観察と推論は、必要な変更を加えて、表2~6に表にしたデータに適用される。
【0118】
【表2】
【0119】
【表3】
【0120】
【表4】
【0121】
【表5】
【0122】
【表6】
【0123】
したがって、まとめると、表1~6で表にした観察は、ヒトの皮脂または角質層に見られる抗菌性脂質(飽和C8~18脂肪酸以外のもの)がマグノリア種から入手可能なビフェノールと相乗的に相互作用することを明確に示している。それらの相互作用は、広範囲の濃度にわたって相乗的であることが見出され、相乗的な相互作用は、ΣFICが0.9未満であったという事実から明らかであった。
【0124】
上記に開示された実験はすべて、ヒトの皮脂または角質層に見られる抗菌脂質(飽和c8-c18脂肪酸以外のもの)およびMagnolia sppから入手可能なビフェノールの組み合わせが、関係する微生物に対するそれらの個々の活性に対して相乗的、相加的または拮抗的であるかどうかを確かめるために、インビトロ条件下で実施された。実験に関する限り、成分の濃度は、関連する試験によって許容される許容限度内に入るように選択され、技術的効果を記録することが可能であった。したがって、試験が行われた濃度は、そのような成分が化粧品組成物において一般に使用される範囲内(通常は重量%)に入らないように思われる。
【0125】
本発明の組成物は、油相および水相中の所望の活性物質の濃度に影響を及ぼし得る他の通常の成分を含むエマルジョンまたはゲルとして配合され得る。このような組成物はまた、分配係数、拡散速度、対流輸送速度およびレオロジー特性のような異なる組の物理的および流体力学的特性を有し得る。従って、組成物として配合を立てる場合に使用されるべき濃度は、実験が実施された細胞レベルでの濃度とは異なり得、そして通常、使用中の濃度は、数桁高いことが予想される。