(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-23
(45)【発行日】2023-07-03
(54)【発明の名称】ガスタンカーのためのガス貯蔵設備においてガスを処理するための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
F17C 13/00 20060101AFI20230626BHJP
【FI】
F17C13/00 302A
(21)【出願番号】P 2020540556
(86)(22)【出願日】2019-01-23
(86)【国際出願番号】 EP2019051590
(87)【国際公開番号】W WO2019145342
(87)【国際公開日】2019-08-01
【審査請求日】2021-11-16
(32)【優先日】2018-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(32)【優先日】2018-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】515220317
【氏名又は名称】ギャズトランスポルト エ テクニギャズ
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100130719
【氏名又は名称】村越 卓
(72)【発明者】
【氏名】パーベル、ボリシェビキ
(72)【発明者】
【氏名】ベルナール、アウン
(72)【発明者】
【氏名】マルタン、ビュイッサール
(72)【発明者】
【氏名】ブリュノ、デレトレ
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0219280(US,A1)
【文献】特開2006-200735(JP,A)
【文献】特開2009-030675(JP,A)
【文献】特開平08-178191(JP,A)
【文献】特開平08-178189(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス貯蔵設備(2)の、特に船上での、ガス処理方法であって、当該方法は、以下の段階を含む:
- 第1のタンク(4)又は第1の容器(5;500)からの液体状態の第1のガス(4a、4b、5a、5b)の引き出し、
- 液体状態の第1のガスの第1のサブクール、及び
- 第1のタンク又は第2のタンク(4)又は第1の容器又は第2の容器(5;500)の底部において液体状態の第1のガスの蓄冷層(4c、5c、500c)を構成するような、第1のタンク(4)又は第1の容器(5;500)又は第2のタンク又は第2の容器の下部における液体状態のサブクールされた第1のガスの貯蔵、
方法。
【請求項2】
第1のガスは、第1のタンク又は第2のタンク(4)又は第1の容器又は第2の容器(5、500)の底部(19;190)に出現するパイプライン(16、56、156)を介し、第1のタンク又は第2のタンク(4)又は第1の容器又は第2の容器(5、500)内に移送されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第1のタンク又は第2のタンク(4)又は第1の容器又は第2の容器(5、500)の蓄冷層(4c、5c、500c)に貯蔵される第1のガスは、蒸気状態のガスを冷却するのに使われることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記蒸気状態のガスは、タンク(4)又は容器(5;500)のうちの1つの上部に位置する蒸気状態の第1のガスであることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
蓄冷層(4c、5c、500c)に貯蔵される第1のガスは、第1のタンク又は第2のタンク(4)又は第1の容器又は第2の容器(5、500)内に、及び、蒸気状態の第1のガスの層内に、スプレーされることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
蓄冷層(4c、5c、500c)に貯蔵される第1のガスは、前記タンク(4、5、500)のうちの1つのタンク又は容器の底部から引き出され、熱交換器を介して蒸気状態の第1のガスを再液化することを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
タンク又は容器における測定された圧力がタンク又は容器の第1の所定の圧力閾値よりも低い場合、サブクールされた第1のガスは、蓄冷層(4c、5c、500c)に貯蔵されることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記下部は、タンク又は容器の高さの、その底部(19、190)から測定して、約30%未満にわたって延び、前記底部(19、190)はタンク又は容器の最下端部であることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
サブクールされた第1のガスは、大気圧で約5℃未満の第1のガスの液化温度と約10℃未満の液化温度との間の温度で、蓄冷層(4c、5c、500c)に貯蔵され、タンク又は容器に残っている液体状態の第1のガスは、第1のガスの液化温度よりも高い温度であることを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
サブクールされた第1のガスは、-45℃~-55℃又は-160℃~-170℃の温度で蓄冷層に貯蔵され、タンク又は容器のうちの1つに残っている液体状態の第1のガスは、それぞれ-42℃又は-160℃以上の温度であることを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
第1のガス(4a、4b)の第1のサブクールは、少なくとも容器(5)から引き出される液体状態の第2のガス(5a、5b)によって実行され、第2のガスは第1のガスの沸点以下の沸点を有することを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
設備(2)に供給するように、第1のガスの第1のサブクールの間に熱交換によって加熱又は気化される第2のガスの気化又は加熱を含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
設備(2)は、気化の間に気化又は加熱されなければならない第2のガスの流量を制御することを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
容器(5)から引き出される第2のガスは、第1のサブクールの間の熱交換の前に、膨張されて部分的に気化されることを特徴とする請求項11~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
容器から引き出される第2のガスは、膨張し部分的に気化した第2のガスとの熱交換によって、サブクールされることを特徴とする請求項11~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
第1のサブクール後の第1のガスの第2のサブクールを含むことを特徴とする請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
第2のサブクールのために使用される第2のガスは、容器の底から引き出されるか又はサブクールされることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
第1のサブクール及び/又は第2のサブクールは、第1のタンク及び第2のタンク及び/又は第1の容器及び第2の容器の外側で実行されることを特徴とする請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
第1のサブクール又は第2のサブクールの間の第1のガスと第2のガスとの間の熱交換は、第1のガスのサブクール出口温度が第1の閾値と第2の閾値との間であるように、実行されることを特徴とする請求項1~18のいずれか一
項に記載の方法。
【請求項20】
第2のサブクール後の第2のガスの出口温度は、2~20バールの圧力で-155℃~-105℃であることを特徴とする請求項16~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
加熱され、気化され又は部分的に気化された第2のガスは、加熱されて設備(2)に供給することを特徴とする請求項11~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
入口温度を有し且つ第2の回路(6b)において移動する液体状態の第2のガスとの熱交換によって、タンク(4)から第1の回路(6a)において移動する第1のガスの蒸気(4b)が再液化される再液化段階を含み、第1のガスの再液化された蒸気はタンク(4)内に移送され、第2のガスは、再液化後に出口温度で液体状態を維持されて容器(5)に戻され、第1のガス(4b)と第2のガス(5a)との間の熱交換は、第1のガスの再液化された蒸気(4b)の出口温度が第1の閾値と第2の閾値との間にあるように行われることを特徴とする請求項11~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
タンク又は容器で測定された圧力がタンク又は容器の第2の所定の圧力閾値より大きい場合、第1のガスの蒸気は再液化されることを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
第1のガスは、液化天然ガス又は液化石油ガスであることを特徴とする請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
第2のガスは液化天然ガスであることを特徴とする請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
特に船上での、ガス貯蔵設備のガス処理システム(1)であって、
- 液体状態の第1のガスが貯蔵されるタンク又は容器(4、5、500)と、
- 第1のパイプライ
ンによって、タンク又は容器(4、5、500)から引き出される第1のガスの第1のサブクールを実行するように構成される第1の熱交換器(6、20、40、50、150)と、
- 第1の熱交換器に接続される第2のパイプライン(16、56、156)であって、液体状態の第1のガスの蓄冷層を形成するために、サブクールされた第1のガスを前記タンク又は容器の又は他のタンク又は容器の底部において貯蔵するように、前記タンク又は容器(4、5、500)又は他のタンク又は容器の下部に現れる第2のパイプライン(16、56、156)と、を備えるシステム(1)。
【請求項27】
液体状態の第2のガスが貯蔵される容器(5)を備え、第2のガスは第1のガスの沸点以下の沸点を有することを特徴とする請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
液体状態の第2のガスは、第1のガスの第1のサブクールを実行するように、第1の熱交換器(6;20)に接続される第2のパイプライ
ンにおいて移動することを特徴とする請求項27に記載のシステム(1)。
【請求項29】
液体状態の第2のガスによって第1のガスの第2のサブクールを実行するように構成される第2の熱交換器(22)を備えることを特徴とする請求項26~28のいずれか一項に記載のシステム(1)。
【請求項30】
タンク又は容器の底部は、導管の第1の端部に接続される出口を備え、当該導管は、タンク(4)又は容器(5、500)の上部に設置されるスプレーバーにつながれた第2の端部を備えることを特徴とする請求項26~29のいずれか一項に記載のシステム(1)。
【請求項31】
加熱装置(32)を備え、当該加熱装置(32)において、第1の熱交換器(20)で加熱、気化又は部分的に気化した第2のガスが移動することを特徴とする請求項26~30のいずれか一項に記載のシステム(1)。
【請求項32】
第1の熱交換器(20;50;150)の上流に設けられる減圧手段(41、53、153)を備えることを特徴とする請求項26~31のいずれか一項に記載のシステム(1)。
【請求項33】
第2の熱交換器(22)は、2~20バールの圧力で-155℃~-105℃の出口温度で第2のガスを提供するように構成されることを特徴とする請求項26~32のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項34】
第1のガスは、液化天然ガス又は液化石油ガスであることを特徴とする請求項26~33のいずれか一項に記載のシステム(1)。
【請求項35】
第2のガスは液化天然ガスであることを特徴とする請求項26~34のいずれか一項に記載のシステム(1)。
【請求項36】
請求項26~35のいずれか一項に記載の少なくとも1つのシステムを備える船、特に液化ガス輸送船。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.技術分野
発明は、特に液化ガス輸送船などの船に搭載された、ガス貯蔵設備のガス処理方法及びシステムに関し、その設備は、船に貯蔵された貨物から生じるガスによって動力が供給される。
【0002】
2.技術水準
長距離にわたるそれらの輸送を容易にするために、数種類のガスを液化された形態で、船で輸送することが知られている。液化ガスの例は、液化天然ガス(LNG)や液化石油ガス(LPG)である。ガスは、それらが大気圧に近い圧力で液体になるようにするために、そしてそれらを専用の容器に装填するために、非常に低温まで、実際には極低温まで冷却される。液化天然ガス及び液化石油ガスは、あらゆる業種の機器の様々なアイテムに関する燃料として利用されている。最近、液化天然ガスは、船舶の、特に液化石油ガス及び液化天然ガスを輸送するものの、動力供給のエネルギーのニーズに使用され、例えば「ECA」(排出規制海域)及び「SECA」(SOx排出規制海域)における硫黄酸化物(SOx)及び窒素酸化物(NOx)の排出を制限する新しい環境規制に適合している。
【0003】
これらの液化天然ガス及び液化石油ガスは、ガスを液体状態に保つために、船において非常に低温で断熱された容器に貯蔵される。容器はそれらの内部で熱を吸収し、それは容器におけるガスの一部の蒸発に寄与し、それは、(ガスの強制蒸発又はFBOG、強制ボイルオフガス(Forced Boil-Off Gas)の頭字語、とは対照的に)天然ボイルオフガス(Natural Boil-Off Gas)の頭文字NBOGで知られている。航行中の海の状態や周囲の状態に起因する容器内のガスの動きなどの他のパラメータも、ガスの蒸発に影響を与える。これらのガス蒸気は、液化ガスの上方のガスのヘッドスペースにおける容器の上部に貯蔵され、容器において圧力を増加させる。この圧力の増加により、容器が破裂することをもたらしうる。
【0004】
液化天然ガスの蒸気は、上記のエネルギー生産設備への供給に使用される。自然蒸発のケースにおいて、自然に蒸発されたガスの量が設備の燃料ガス需要に対して不十分である場合、強制蒸発後により多くの燃料ガスを供給するために、容器に埋められたポンプなどの手段が作動される。強制蒸発は、特にオイル又はガスバーナーで加熱された温水から行われる。この運転の間、液化天然ガスの冷たさがすべて失われる。設備の需要に対して蒸発されるガスの量が多すぎる場合、過剰なガスは一般にガス燃焼ユニットで焼却され、それは貨物の損失を表す。
【0005】
現在の技術において、液化天然ガス容器の改善により、液化ガスの自然蒸発率(BOR-ボイルオフ率(Boil-Off Rate)の頭字語)はますます低くなっている。その結果、船のデバイスはますます効率的である。これは、上記の第1及び第2のケースのそれぞれで、蒸発によって自然に生成されるガスの量と船の設備が必要とするガスの量との間で差が非常に大きいという結果をもたらす。
【0006】
液化石油ガスに関し、ガスの自然蒸発は不可避であり、例えば、それらの貯蔵タンクへの積み込みの運転、船の航海の運転、或いはタンクと外部環境との間の熱交換後のタンクの冷却の運転の間に発生する。ガスの蒸発は、1つ又は複数の再液化システムによって管理され、当該1つ又は複数の再液化システムは、液化ガスの自然蒸発を制限しつつ、それを耐久性のある方法で貯蔵することを可能にする熱力学的状態にそれを保ちつつ、貯蔵容器における圧力を制御することができる。これは、今日、液化石油ガスを輸送する船が液化石油ガスの蒸気を焼却することができないためである。再液化システムは、タンクからガス蒸気を引き出し、それらを再液化して、それらを貯蔵タンクに戻す。これ又はこれらの再液化システムは、船の価格のおおよそ5%~10%の資本コストを表しうる。
【0007】
本発明は、容器又はタンクの冷却、容器に対する液化ガスの積み込み、及び航海の運転条件が何であれ、特に船における、貯蔵設備のエネルギーニーズ及び容器やタンクにおけるガスの自然蒸発又は強制蒸発を管理することを可能にするシンプル、効率的、及び経済的な解決を提供することを提案する。
【0008】
3.発明の開示
第1の態様によれば、発明は、ガス貯蔵設備のガス処理方法を提供し、設備は、第1のガスが貯蔵されるタンクと、第2のガスが貯蔵される容器とを含み、第2のガスは、第1のガスの沸点よりも低い沸点を有し、方法は、タンクから第1の回路において移動する第1のガスの蒸気が、入口温度を有し且つ第2の回路において移動する液体状態の第2のガスとの熱交換によって再液化される再液化段階を含み、第1のガスの再液化蒸気はタンク内に移送され、第2のガスは、再液化後に出口温度で液体状態に維持されて容器に戻され、第1のガスと第2のガスとの間の熱交換は、第1のガスの再液化された蒸気の出口温度が第1の閾値と第2の閾値との間にあるように、実行される。
【0009】
したがって、発明は、ガス貯蔵設備に供給することが意図された第2のガスの冷たさを使用することによって第1のガスの蒸気を管理することを可能にし、NOx及びSOxの放出を低減しながら効率的で経済的なシステムを有することを可能にする。特に、容器に戻すことが意図された液体状態の第2のガスによって第1のガスの蒸気を再液化することにより、第1のガスのタンクで生成されたすべてのガス蒸気を適切な温度で再液化することを可能にする。第1のガス蒸気の再液化は、設備の消費とは無関係である。第2のガスは、この熱交換に続いて加熱されるが、液体に保たれるため、それは容器に戻されることができる。
【0010】
その方法は、互いに分離して又は互いに組み合わせて、以下の特徴又は段階の1つ以上を含むことができる:
- 再液化段階前の第2のガスの入口温度と再液化段階後の第2のガスの出口温度との間の温度差は、20℃~30℃であり、
- 第2のガスの出口温度は、容器の最大許容貯蔵圧力値以下の圧力での第2のガスの気化温度よりも低く、
- 第1のガスの再液化した蒸気は、タンクが耐えなければならない最低温度値以上の温度でタンク内に移送され、
- 第1のガスの再液化後の第2のガスの出口圧力は8バールであり、
- 第2のガスの出口温度は、2~20バールの圧力で-155℃~-105℃であり、
- 第1のガスの出口温度の第1の閾値は、大気圧での第1のガスの液化温度に実質的に近く、第2の閾値温度は、第1の閾値よりも大気圧で10℃~40℃低く、
- 第1の閾値はおおよそ-40℃であり、第2の閾値はおおよそ-50℃であり、
- 第1のガスの蒸気は熱交換の前に圧縮され、
- 第2のガスは容器の底部から引き出され、
- 再液化段階の間の熱交換は、第1のガスを積み込む運転の間又はタンクを冷却する運転の間に行われ、
- 第1のガスは液化石油ガスであり、
- 第2のガスは液化天然ガスである。
【0011】
発明は、ガス貯蔵設備のガス処理システムにも関し、システムは、以下を含む:
- 第1のガスが貯蔵されるタンク、
- 第1のガスの沸点よりも低い沸点を有する第2のガスが貯蔵される容器、
- タンクからの第1のガスの蒸気の少なくとも一部が移動する第1の回路、
- 容器からの入口温度で液体状態の第2のガスの少なくとも一部が移動する第2の回路、及び
- 液体状態の第2のガスとの熱交換によって第1のガスの蒸気の少なくとも一部を再液化するように構成された熱交換器であって、第1のガスの再液化した蒸気はタンク内に移送され、第2のガスは再液化後に出口温度で液体状態に維持されて容器に戻され、第1のガスの蒸気の出口温度が第1の閾値と第2の閾値との間にあるための、熱交換器。
【0012】
発明による装置は、互いに分離して又は互いに組み合わせて、以下の特徴のうちの1つ又は複数を含むことができる:
- 熱交換器は、再液化段階前の第2のガスの入口温度と再液化段階後の出口温度との間の温度差が5℃~55℃になるように構成され、
- システムは、熱交換の前にタンクから引き出される第1のガスの蒸気を圧縮するように、第1の回路の上流に設置されたコンプレッサーを備え、
- 第2の回路は、容器及び第2の回路に各々が接続されてパイプとともに、閉回路を形成し、
- 第1のガスは液化石油ガスであり、
- 第2のガスは液化天然ガスである。
【0013】
発明はまた、上記の特徴のいずれか1つを示す少なくとも1つのシステムを含む液化ガス輸送船に関する。
【0014】
第2の態様によれば、発明は、特に船での、ガス貯蔵設備のガス処理方法を提供し、その方法は以下の段階を含む:
- 第1のタンク又は第1の容器からの液体状態の第1のガスの引き出し、
- 引き出された液体状態の第1のガスの第1のサブクール、及び
- サブクールされた液体状態での、第1又は第2のタンク又は第1又は第2の容器の底部に液体状態の第1のガスの蓄冷層を構成するような、第1のタンク又は第1の容器又は第2のタンク又は第2の容器の下部におけるサブクールされた液体状態の第1のガスの貯蔵。
【0015】
したがって、タンク又は容器の底部に貯蔵されるサブクールされた第1のガスは、後で使用できる冷却力を作り出すことを可能にし、冷たさの蓄積が耐久性のある方法でタンク又は容器の底部に貯められる。この蓄冷は、例えば、必要なだけ早く、タンクにおける圧力を低下させるために及び/又はタンクにおける第1のガスの蒸気を再液化するために、使用されることができる。この蓄冷は、設備への供給や熱交換器の運転を必要とせずに、使用されることもできる。
【0016】
その方法は、互いに分離して又は互いに組み合わせて、以下の特徴又は段階の1つ以上を含むことができる:
- 第1のガスは、タンク又は容器が耐えなければならない最低温度値以上の温度にサブクールされ、
- 蓄冷層は、第1又は第2のタンク又は第1又は第2の容器に、第1のガスの量よりも下回って配置され、液-液界面を形成し、
- 液体状態のサブクールされた第1のガスは、第1又は第2のタンク又は第1又は第2の容器の底部に現れるパイプラインを介し、第1又は第2のタンク又は第1又は第2の容器内に移送され、
- 第1又は第2のタンク又は第1又は第2の容器の蓄冷層に貯められる第1のガスは、蒸気状態のガスを冷却するために使用され、
- 蒸気状態のガスは、液体状態の第1のガスの、タンク又は容器の上部にある蒸気状態の第1のガスであり、
- 蓄冷層に貯められた第1のガスは、第1又は第2のタンク又は第1又は第2の容器内に及び蒸気状態の第1のガスの層内に、スプレーされ、
- 蓄冷層に貯められる第1のガスは、タンク又は容器のうちの1つの底部から引き出され、熱交換器を介して蒸気状態の第1のガスを再液化し、
- タンク又は容器における測定圧力がタンク又は容器の第1の所定の圧力閾値未満の場合、液体状態のサブクールされた第1のガスは蓄冷層に貯められ、
- 第1の所定の閾値は、例えば、1~1.05絶対バールであり、
- 前記下部は、その底部から測定して、タンク又は容器の高さの約30%未満にわたって延び、前記底部は、タンク又は容器の最下端であり、
- 液体状態のサブクールされた第1のガスは、大気圧で約5℃未満の第1のガスの液化温度と約10℃未満の液化温度との間の温度で、蓄冷層に貯められ、第1又は第2のタンク又は第1又は第2の容器に残っている液体状態の第1のガスは、第1のガスの液化温度より高い温度にあり、
- サブクールされた第1のガスは、液体状態で、-45℃~-55℃の温度で蓄冷層に貯められ、第1又は第2のタンク又は第1又は第2の容器に残る液体状態の第1のガスは、-42℃以上の温度であり、
- サブクールされた第1のガスは、-160℃~-170℃の温度で蓄冷層に貯められ、タンク又は容器に残っている液体状態の第1のガスは、-160℃以上の温度であり、
- 第1のガスの第1のサブクールは、容器から引き出された少なくとも液体状態の第2のガスによって実行され、第2のガスは、第1のガスの沸点以下の沸点を有し、
- その方法は、設備に供給するように、第1のガスの第1のサブクールの間に熱交換によって加熱又は気化される第2のガスの気化又は加熱を含み、
- 設備は、気化の間に気化又は加熱する必要がある第2のガスの流量を制御し、
- 第1のガスの第1のサブクールは、膨張して部分的に気化され、容器から引き出される第1のガスによって、実行され、
- 容器から引き出された第2のガスは、第1のサブクールの間に熱交換の前に膨張し、部分的に気化し、
- 容器から引き出された第2のガスは、膨張して部分的に気化した第2のガスとの熱交換によって、サブクールされ、
- 第1のサブクールの後に、第1のガスの第2のサブクールが実行され、
- 第2のサブクールに使用される第2のガスは、容器の底部から引き出されるか、サブクールされ、
- 第1及び/又は第2のサブクールは、第1及び第2のタンク及び/又は第1及び第2の容器の外側で行われ、
- 第1のガスのサブクール温度が第1の閾値と第2の閾値との間になるように、第1のガスと第2のガスとの間における第1のサブクール又は第2のサブクールの間の熱交換が行われ、
- 第2のサブクール後の第2のガスの出口温度は、2~20バールの圧力で-155℃~-105℃であり、
- 加熱、気化、又は部分的に気化した第2のガスは、設備に供給するために加熱され、
- その方法は、更に、再液化段階を含み、当該再液化段階では、タンクから第1の回路で移動する第1のガスの蒸気が、入口温度を持ち且つ第2の回路で移動する液体状態の第2のガスとの熱交換によって再液化され、第1のガスの再液化された蒸気がタンク内に移送され、第2のガスが再液化後に出口温度で液体状態に維持されて容器に戻され、第1のガスの再液化された蒸気の出口温度が第1の閾値と第2の閾値との間であるように第1のガスと第2のガスとの間の熱交換が行われ、
- タンク又は容器で測定された圧力がタンク又は容器の第2の所定の圧力閾値よりも大きい場合、第1のガスの蒸気は再液化され、
- 第2の閾値は、例えば、1~1.05絶対バールであり、
- 加熱された第2のガスは、設備に供給するために圧縮され、
- 第1のガスは液化天然ガス又は液化石油ガスであり、
- 第2のガスは液化天然ガスであり、
本発明はまた、特に船における、ガス貯蔵設備のガス処理システムに関し、そのシステムは以下を含む:
- 液体状態の第1のガスが貯蔵されるタンク又は容器;
- 液体状態で、タンク又は容器から、第1のパイプラインによって引き出された第1のガスの第1のサブクールを実行するように構成された第1の熱交換器、及び
- 第1の熱交換器に接続された第2のパイプラインがタンク又は容器又は別のタンク又は容器の下部に現れ、液体状態の第1のガスの蓄冷層を形成するようにタンク又は容器の底部でサブクールされた第1のガスを貯蔵する。
【0017】
発明による装置は、互いに分離して又は互いに組み合わせて、以下の特徴のうちの1つ又は複数を含むことができる:
- 第1のガスは、それが引き出されたのと同じタンク又は同じ容器に貯蔵され、
- その装置は、液体状態の第2のガスが貯蔵される容器を含み、第2のガスは、第1のガスの沸点以下の沸点を有し、
- 液体状態の第2のガスは、第1のガスの第1のサブクールを実行するために、第1の熱交換器に接続された第2のパイプラインにおいて移動し、
- その装置は、液体状態の第2のガスによって第1のガスの第2のサブクールを実行するように構成された第2の熱交換器を備え、
- タンク又は容器の底部は、導管の第1の端部に接続された出口を含み、導管は、タンク又は容器の上部に設置されたスプレーバーにつながれた第2の端部を含み、
- 第1の熱交換器で加熱、気化、又は部分的に気化した第2のガスが移動する加熱装置、
- 減圧手段は、第1の熱交換器の上流に取り付けられ、
- 第2の熱交換器は、2~20バールの圧力で-155℃~-105℃の出口温度で第2のガスを提供するように構成され、
- その装置は、液体状態の第2のガスとの熱交換により第1のガスの蒸気の少なくとも一部を再液化するように構成された第3の熱交換器を備え、第1のガスの再液化された蒸気はタンク内に移送され、第2のガスは、再液化後の出口温度で液体状態に維持されて容器に戻され、第1のガスの蒸気の出口温度が第1の閾値と第2の閾値との間になるようになっており、
- その装置は、一次回路において移動する第2のガスを部分的に気化させるように、且つ、二次回路において移動する第2のガスをサブクールするように構成された第4の熱交換器を備え、
- 一次回路は、(熱交換器における流体の移動の方向に)減圧手段の下流であって第1の熱交換器の上流に配置され、
- 二次回路は、(熱交換器における流体の移動の方向に)第2の熱交換器の上流に配置され、
- コンプレッサーは、加熱又は気化した第2のガスを圧縮することが意図されており、
- 第1のガスは液化天然ガス又は液化石油ガスであり、
- 第2のガスは液化天然ガスである。
【0018】
発明はまた、上記の特徴のいずれか1つを示す少なくとも1つのシステムを含む液化ガス輸送船に関する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
4.図面のリスト
発明のより良い理解が得られ、本発明の他の詳細、特徴及び利点は、非限定的な例として与えられる以下の説明を読み、添付の図面を参照すると、より明確になるであろう:
【
図1】
図1は、発明によるガス処理システムの実施形態を表し、当該ガス処理システムはこの例において、特に船上に、ガス貯蔵設備を備える。
【
図2】
図2は、発明によるガス処理システムの別の実施形態を表す。
【
図3】
図3は、発明によるガス処理システムの別の実施形態を表す。
【
図4】
図4は、発明によるガス処理システムの別の実施形態を表す。
【
図6】
図6は、発明によるガス処理システムの別の実施形態を示す。
【0020】
5.発明の詳細な説明
図1は、発明によるガス貯蔵設備2のガス処理システム1の第1の実施形態を示す。この処理システムは、1以上のガスの冷却及び/又は1以上のガスの蒸気の再液化及び/又は1以上のガスの気化又は加熱を可能にする。
【0021】
本発明において、「再液化」という用語は、気体の蒸気の凝縮がそれを液体状態に戻すことを可能にすることを意味すると理解される。
【0022】
本発明において、システム1は、特にVLGC(超大型ガス運搬船(Very Large Gas Carrier))タイプの、ガス輸送船などの船に設置される。このタイプの船は、約80000m3の容量を持つ。
【0023】
例えばLNGタンカータイプの、ガス輸送船において、特に船の推進及び/又は搭載機器のアイテムの電力の生産のための、船の運航のエネルギーニーズを供給するような、エネルギー生産設備が提供される。
【0024】
ガス貯蔵設備2は、エネルギー生産設備でありうる。そのような設備は、船の容器/タンクにおいて輸送されるガス貨物から生じるガスを消費する船のエンジンのような熱エンジン3を一般に含む。
【0025】
この船では、ガスは液体状態でいくつかのタンク4又は容器5に非常に低い温度で、実際には極低温でも、貯蔵される。タンク4及び容器5はそれぞれ、所定の圧力及び所定の温度で液化された形態又は液体状態のガスを収容することができる。船の1つ又は複数のタンク4及び/又は容器5は、発明によるシステム1によって設備2に接続することができる。この目的のための各タンク及び容器は、それらの貯蔵温度で貯蔵されたガスを外部環境から隔離することが意図されたジャケットを含む。
【0026】
船には、容器5に貯蔵されている天然ガス(NG)と、1つ以上のタンク4に貯蔵されている石油ガス(PG)とが積載されている。各タンク及び/又は容器4、5は、1000~50000m3の容量を持つことができる。タンク4及び容器5の数は限定されない。それは、例えば、1~6である。説明の続きにおいて、「容器」及び「タンク」という用語は、それぞれ「その又は各容器」及び「その又は各タンク」として解釈されるべきである。
【0027】
天然ガス(NG)は、例えば、メタン又はメタンを含むガス混合物である。天然ガスは、例えば大気圧で約-160℃の極低温で、容器に液体状態5aで貯蔵される。液体状態の天然ガス又は液化天然ガス5aは、略語「LNG」を有する。容器5はまた、容器におけるLNGの、特に自然の、蒸発から生じるガス蒸気5bを含む。蒸発又は蒸気5bは、強制蒸発に関する「FBOG」とは異なり、自然蒸発に関する「BOG」又は「NBOG」の記号で示される。LNG5aは、当然ながら、容器5の底部に貯留される一方で、LNG BOG5bは、ガスヘッドスペースとして知られる、容器におけるLNG5aのレベルN1の上方に位置する。容器におけるLNG BOG5bは、外部環境から容器5内への熱入力及び例えば海の動きによる容器5内のLNG5aの動きによるものである。
【0028】
石油ガス(PG)は、プロパン、ブタン、プロピレン、アンモニア、エタン、エチレン、又はこれらの成分を含むガス混合物を含む。石油ガスは、大気圧で約-42℃の温度でタンク4に液体状態4aで貯蔵される。液体状態の石油ガス4a又は液化石油ガスは、略語「LPG」を有する。タンク4はまた、タンクにおけるLPGの、特に自然の、蒸発から生じるガス蒸気4bを含む。同様に、LPG4aが、当然ながら、タンク4の底部に貯蔵される一方で、LPGガス蒸気は、ガスヘッドスペースにおいて、タンクにおけるLPG4aのレベルN2の上方に位置する。LNGについて上記で説明したように、タンク4でのLPG(BOG又はNBOG)の蒸発はまた、タンクの温度を平衡温度に戻すため、航海中(海、LPG)、タンク4内へのLPGの積載中、及びタンクの冷却の間の流体の動きによるものであったり、外部環境からタンク内への入熱によるものであったりする。
【0029】
冷却中、タンク4のこの例では、それはタンクのジャケットの周囲温度を平衡温度に戻すことからなり、液化ガスが実質的に空のタンクの壁にスプレーされる。ガスの蒸発により、ジャケットの冷却に必要な冷たさが発生する。約10時間続くこの運転の間、タンクが実質的に空であるため、自然蒸発(NBOG)によって生成されるLPG蒸気はほとんどない。他方、壁を冷却するような壁へのLPGのスプレーは、約10900kg/hの大量のLPG蒸気を生成する。LPGタンクを冷却するこの運転は、LNG容器の冷却にも応用できる。
【0030】
LPGの積み込み中、タンクは、タンクの冷却に由来し且つタンクにおいて熱くなるLPGにより発生されるNBOGにも由来するBOGを、かなりの量含む。冷却による蒸気は、タンク内に積み込まれたLPGによって再液化されない。積み込み運転は約18時間続く。タンクでは約13900kg/hのBOGが発生する。タンクの積み込み中、タンクにおける圧力は大気圧を上回って維持される。
【0031】
図1に示される実施形態において、示されるシステム1は、4つのLPGタンク4及び1つのLNG容器5を備える。システム1はまた熱交換器6を備え、当該熱交換器6は、LNG蒸気5b、LPG蒸気4b、液体LPG4a及び液体LNG5aの間の熱交換を可能にする。本例において、熱交換器6はいくつかの回路又はパイプを含み、この例では、少なくとも1つの第1の回路6a、1つの第2の回路6b、1つの第1のパイプ6c及び1つの第2のパイプ6dを含み、それにおいてNG又はPGが液体又は蒸気の状態で移動する。
【0032】
熱交換器6は、第1の回路6aが第2の回路6bと熱交換して、容器から来るLNGを液体状態に維持し、同時に、タンク4から来るLPG蒸気4bを再液化するように構成される。熱交換器6の、特に第2の回路6bの、出口でのLNGは、容器5に送られ、再液化されたLPG蒸気はタンク4に送られる。
【0033】
このため、タンク4は、第1のパイプライン7の第1の端部に接続された出口を備え、当該第1のパイプライン7ではLPG蒸気4bが移動する。タンク4の出口は、LPG蒸気4b(NBOG)を伴うガスヘッドスペースが配置されるタンク4の上部に配置される。第1のパイプライン7は、コンプレッサー8の入口に接続され、それはLPG蒸気4bの第1のパイプライン7での移動を確実にする。後者は、第1の回路6aの入口に接続された第2の端部を含む。LPG蒸気は、LNGの冷たさとの熱交換によって再液化され、LNGを液体状態に保つことが意図されている。第1の回路6aの出口は、第2のパイプライン9の第1の端部に接続されており、当該第2のパイプライン9では再液化されたLPG蒸気が移動する。第2のパイプライン9は第2の端部を備え、当該第2の端部はLPGに浸漬されるか又はタンクに浸漬されるディップパイプ9aに接続される。あるいは、第2のパイプライン9は、LPGスプレーバー10に接続される。バー10は、
図1の平面の垂直軸に沿って、タンク4において及びその上部において配置され、再液化されたLPG蒸気をLPGのガスヘッドスペースにスプレーする。これにより、タンクにおけるNBOGの再凝縮を強制することができる。
【0034】
システム1はポンプを含み、当該ポンプは、容器5において、それからLNGを引き出すために設置される。特に、第1のポンプ11a及び第2のポンプ11bは、LNGに浸されており、それらがLNGのみが供給されることを確実にするために、好ましくは容器5の底部に配置される。第1ポンプ11aは、第3のパイプライン12の第1の端部に接続されている。第1のポンプ11aは、第3のパイプライン12におけるLNGの循環を強制することを可能にする。この第1のポンプ11aのLNGの体積による流量は、約130m3/時である。この第3のパイプライン12の第2の端部は第2の回路6bの入口に接続されており、当該第2の回路6bにおいて容器5から来るLNG5aが移動する。第2の回路6bは、第4のパイプライン13の第1の端部に接続された出口を備え、当該第4のパイプライン13ではまたLNG5aが移動する。第4のパイプライン13は、容器5に接続された第2の端部を含む。第3及び第4のパイプライン12、13は、熱交換器6を介した容器から容器へのLNGの再循環を可能にする。より正確には、第2の回路6bと第3及び第4のパイプライン12、13は閉回路を形成する。LNGは、-160℃の温度で容器から引き出される。LNGの出口温度及び/又はLNGの出口圧力は、LPG蒸気との熱交換の間にLNGが蒸発しないように、制御される。このため、容器に戻されるLNGの温度を制御するように、例えば第4のパイプライン13上に、温度センサが設けられる。有利には、LNGの所定の出口温度は、例えば約8バールの、容器の許可された貯蔵圧力値でのLNGの蒸発温度よりも、例えば5℃だけ、低い。LNGを収容するための容器5の貯蔵圧力は、2~20バールである。熱交換器6からのLNGの出口圧力は、容器の最大貯蔵圧力よりも低くなければならない。これにより、LNGは気化することなく加熱される。再液化したLPG蒸気の出口温度は、第1の閾値と第2の閾値との間にある。LPGガスの出口温度に関する第1の閾値は、大気圧でのその液化温度に実質的に近く、第2の閾値温度は、第1の閾値よりも大気圧で10~40℃低くなる。本例では、第1の閾値は-40℃であるが、第2の閾値は約-55℃である。有利には、再液化されたガス蒸気の出口温度は、約-42℃である。この熱交換により、LPG蒸気は、あまり冷たくない、特にタンク4が耐えなければならない最低温度値以上の適切な温度で、再液化されることが可能である。この例及び説明の続きにおけるLPGに関する上記の温度値は、プロパンに関連する温度の例である。LPGの他の化合物の温度値が発明に適用されることが理解される。
【0035】
また、熱交換器6は、容器から来るLNGの強制蒸発とタンク4から来るLPGのサブクールとを同時に行うように、第1のパイプ6cが第2のパイプ6dと熱交換するように構成されている。本発明において、サブクールという用語は、液化ガスの温度がその液化温度よりも低くなることを意味すると理解される。液化ガスは、例えば、その液化温度より約5℃~20℃低くサブクールされる。本発明において、サブクールされた液化ガスの貯蔵は、液化ガスの貯蔵圧力に依存することが理解される。気化されたLNG(FBOG)は、設備2に、特にこの例では船のエンジンに、供給することを意図されている。サブクールされたLPG(液体状態)はタンク4に送られる。特に、第1のパイプ6cは、石油ガスを、特にLPG4bを、熱交換器6において移動させるように構成されている。第1のパイプ6cは、第5のパイプライン14の端部の1つに接続された入口を含み、当該第5のパイプライン14において、タンクから引き出されたLPGが移動する。第5のパイプライン14の他端は、LPGに浸漬された第3のポンプ15に接続される。この第3のポンプ15はまた、LPGのみを引き出してLPGをこのパイプライン14において移動させるように、タンク4の底部に設置されている。第1のパイプ6cは出口を備え、当該出口は第6のパイプライン16に接続され、当該第6のパイプライン16は(液体状態の)サブクールされたLPGをタンク4に戻すことが意図されている。第6のパイプライン16は、スプレーバー10に又は第2のパイプライン9に、或いはLPGをタンクに戻すためにディップパイプ9aにさえも接続されることができる。好ましくは、サブクールされたLPGは、タンク4の底部で、タンクの内部空間に及びタンクの下部に位置する蓄冷層4cに貯蔵される。この層4cは後で使用されることができる。非限定的に、好ましくは、パイプライン9の第2の端部又はディップパイプの第2の端部は、
図1の平面の垂直軸に沿って、タンク4の下部に位置し、サブクールされたLPGをそこに貯蔵するようになっている。サブクールは、タンクの又はその他のタンクや容器の外で、行われる。例えば、サブクールは液化ガスに浸されない。さらに、蓄冷層4cは、タンクの底部の、タンクの内部スペースに配置される。蓄冷層は、
図1に関する垂直軸に沿って、タンクのLPGの下方にあり、液-液界面を形成する。言い換えると、タンクに残っている/すでにあるLPGとこの蓄層に貯蔵されているサブクールされたLPGとを分離するタンクにおけるパーティション、サブタンク、又はコンパートメントはない。
【0036】
第2のパイプ6dは、容器5から来るLNG5aの蒸発を可能にする。このために、LNGに浸漬されている第2のポンプ11bは、第7のパイプライン17の第1の端部に接続されており、当該第7のパイプライン17において、LNGが設備2に、この例では船のエンジンに、移動する。第2のポンプ11bは、第1のポンプ11aの体積流量よりも低い体積流量での第7のパイプライン17におけるLNGの移動を、可能にする。本例において、第7のパイプライン17におけるLNGの体積流量は、約4m3/時である。第7のパイプライン17の第2の端部は、第2のパイプ6dの入口に接続されている。後者は出口を備え、当該出口は第8のパイプライン18に接続され、当該第8のパイプライン18において、例えば船のエンジンに、供給するために、LPGとの熱交換によって形成されたLNG蒸気5aが移動する。この気化-サブクール熱交換の間に、LNGの温度が上昇する。つまり、その温度は大気圧でその液化温度を上回っている。LNGの温度は、エンジンの仕様に応じて、ここには示されていない加熱装置によって正される。例えば船のエンジンが必要とするLNGの出口圧力は約17バールである。LPGに関し、回路6cにおけるその入口温度は約1バールである。サブクールされたLPGの出口温度は、タンク又は容器が耐えなければならない最低温度値以上である。この例において、出口温度は(タンクにおける貯蔵圧力で)約-52℃である。
【0037】
図1において、LPG蒸気はタンクから引き出され、再液化されたLPG蒸気は別の隣り合うタンクに送られる。同様に、タンクから引き出されてサブクールされたLPGは同じタンクに戻される。もちろん、他の配置も可能である。
【0038】
図1において、熱交換器6は、タンク又は容器から分離されている。熱交換器6は、タンク及び容器の外側に位置付けられている。熱交換器は、液化ガスが貯蔵されている別のタンク又は別の容器に配置されていない。
【0039】
有利には、熱交換器は、チューブ型、プレート型又はコイル型の交換器である。
【0040】
図2に示す実施形態において、システム1は、LNG蒸気、LPG蒸気、LNG及び/又はLPGとの間の熱交換を可能にするいくつかの熱交換器を備える。このシステムは、特に第1の実施形態とは熱交換器の数が異なる。特に、本例において、システムは、以下で蒸発熱交換器20及びメイン熱交換器21と呼ばれる少なくとも2つの熱交換器を備える。
図2において、単一の容器5及び単一のタンク4が示されている。もちろん、システムは他の容器及びタンクを含むことができる。システム1はまた、容器5及びタンク4に設置されたポンプ11a、11b及び15を含む。特に、第1のポンプ及び第2のポンプはLNGに浸漬され、それらがLNGのみを供給することを確実にするために、好ましくは容器の底部に配置される。また第1のポンプの流量は約130m
3/hであり、第2のポンプの流量は約4m
3/hである。
【0041】
メイン熱交換器21は、LNG5aの冷たさとの熱交換によりLPG蒸気4bを再液化し、同時にLNGを液体状態に維持するように構成されている。LNGは気化されることなく容器5に戻され、再液化されたLPG蒸気はタンク4に戻される。メイン熱交換器21は、第1の回路6a及び第2の回路6bを備える。第1の回路6aは、一方では、タンク4につながれた第1のパイプライン7に接続され、他方では、またタンク4につながれた第2のパイプライン9に接続されている。パイプラインにおけるLPG蒸気4bの熱交換器21への移動を確実にするために、第1のコンプレッサー8も第1のパイプライン7に設けられている。
【0042】
熱交換器20は、容器から来るLNGを気化するように、そして同時にタンク4から来るLPGをサブクールするように構成される。LNGは、例えばLNG蒸気が供給されなければならない船のエンジンのために、必要な温度までLNGの温度を上げるために、強制蒸発を受けなければならない。熱交換器20は、第1のパイプ6cと第2のパイプ6dとを備える。第2のパイプ6dは、一方では、容器に接続された第7のパイプライン17に接続され、他方では、LNGを船のエンジンに移送する第8のパイプライン18に接続される。第1のパイプ6cは、一方では、タンク4につながれた第1のパイプライン14に接続され、他方では、タンク4に、特にタンク4の底部で、つながれた第6のパイプライン16に接続される。
【0043】
図2において、システム1は、補助熱交換器22と呼ばれる第3の熱交換器も備える。後者は、LNGの冷たさによるLPGの第2のサブクールを可能にし、LNGを液体状態に維持することを可能にする。液体状態のLNGは容器に戻され、サブクールされたLPGはタンクに戻される。
【0044】
有利には、しかし非限定的に、熱交換器20、21、22は、タンク及び容器から分離されている。
【0045】
有利には、しかし非限定的に、熱交換器20、21、22は、管タイプ、プレートタイプ又はコイルタイプの交換器である。
【0046】
補助熱交換器22は第3の回路6e及び第4の回路6fを備え、第3の回路6eではLNGが移動し、第4の回路6fではLPGが、特にサブクールされたLPGが、移動する。第3の回路6eは、第9のパイプライン23につながれた入口を含み、当該第9のパイプライン23は容器5に接続される。
図2から分かるように、第9のパイプライン23は、ポンプ11bによって容器5の底部からLNGを引き出す第7のパイプライン17のバイパス部分である。第3の回路6eは、第10のパイプライン24に接続された出口を備え、当該第10のパイプライン24は液体状態に維持されたLNGを容器5に戻す。この実施例では、第10のパイプライン24は、例えば三方弁などの弁によって、LNGを容器5に戻す第4のパイプライン13の一部につながれる。第4の回路6fは、第11のパイプライン25につながれた入口を備え、当該第11のパイプライン25においてタンクの底部から引き出されたLPGが移動する。第11のパイプラインは、この例では、サブクールされたLPGが移動するパイプライン16に、三方弁などの弁29によって、つながれている。第4の回路6fは、第12のパイプライン26につながれた出口を備え、当該第12のパイプライン26はタンクに接続されている。この実施例によれば、第12のパイプライン26は、第10のパイプラインの一部に又はパイプライン9につながれている。LNGとの熱交換によってサブクールされたLPGは、ガスヘッドスペース内にスプレーされるか、タンク4の底部で蓄冷層4cにおいて貯蔵される。第12のパイプライン26は、バルブ27によってパイプライン16に接続されることができる。同様に、パイプライン26は、バルブ28によってパイプライン9に接続されることができる。好ましくは、しかし非限定的に、バルブ27、28は三方弁である。パイプライン16は、LPG滴をタンク4のガスヘッドスペース内にスプレーするように及びタンク4におけるNBOGの再凝縮を強制するように、LPGスプレーバー10に接続されている。第3のポンプ15は、タンクの底部からスプレーバー10まで、パイプライン14、16、25におけるLPGの移動を強制するように構成されている。この構成により、サブクールされたLPGは、タンク又はバー10に直接的に移送されるか、LNGによる第2のサブクールのための補助熱交換器22に移送される。
【0047】
図2において、システムはさらに、容器5の圧力を制御するために及び設備2に燃料ガスを供給するために、容器5のLNG蒸気5bを引き出すためのパイプ30を備える。このパイプ30には、エンジンへのLNG蒸気5aの移動を確実にするように、そして容器において圧力を維持するように、第2のコンプレッサー31が取り付けられている。このパイプ30は、加熱又は気化されたLNGが船のエンジンに移動するパイプライン18の一部に接続される。
【0048】
有利には、しかし非限定的に、加熱装置32は、LNGの温度を必要な温度に調整するように、そしてすべてのLNGが気化されることを確実にするように、設備の上流に配置される。この例において、加熱装置32はヒーターである。
【0049】
図3に示される発明の第3の実施形態において、システム1はまた、いくつかの熱交換器を備える。特に、システム1は以下を含む:
- LNG5aの冷たさとの熱交換によりLPG蒸気4bを再液化するように、そしてLNGを液体状態に維持するように構成されたメイン熱交換器21、
- 容器5から来るLNGを気化するように、そしてタンク4から来るLPGをサブクールするように構成された蒸発熱交換器20、及び
- LPGをサブクールするように、そしてLNGを液体状態に維持するように構成されている補助熱交換器22’。
【0050】
この実施形態のシステム1は、それが熱交換器20の上流に配置された第4の熱交換器40を備える点で、
図2に示される実施形態とは異なる。熱交換器40は、好ましくは、非限定的に、冷たさを発生させることが意図された真空蒸発器(VE)である。真空蒸発器40は、入口及び出口を含む一次回路42を含む。その入口は第7パイプライン17に接続され、当該第7パイプライン17において、容器から来るLNGが移動する。一次回路42の出口は、パイプライン44の第1の端部に接続されている。後者は、熱交換器20の回路6dの入口に接続される第2の端部を含む。減圧手段41は、パイプライン17において且つ真空蒸発器40の上流に設けられる。減圧手段41は、ガスの圧力及び温度を下げることにより、気液二相状態のガスを得ることを可能にする。この例において、減圧手段41は、ジュール・トムソン弁などの膨張弁を含む。減圧手段41に入るLNGは、約-134℃の温度及び約8バールの圧力である。膨張弁の出口で、LNGは約1バールの圧力で約-160℃の温度に冷却される。二相LNGは真空蒸発器40に入り、当該真空蒸発器40において、容器から引き出されたLNGとの熱交換が行われる。より具体的には、真空蒸発器40は二次回路43を備え、当該二次回路43は入口及び出口を含む。二次回路43の入口はバイパスパイプライン45に接続され、バイパスパイプライン45において容器5から来るLNGが移動する。このバイパスパイプライン45は、ポンプ11bにつながれた第7のパイプライン17から来る。もちろん、パイプライン45は、容器の底に沈められた別のポンプに接続されてもよい。二次回路の出口は、LNGを容器5の底部に戻すパイプライン23に接続されている。この実施形態において、パイプライン23は、熱交換器22’の回路6eの入口につながれている。この真空蒸発器40において、回路42において移動する二相LNGの潜熱を回収することにより、二次回路43において移動するLNGがサブクールされる。サブクールされたLNG(液体状態)が容器内に移送される。一次回路42において移動する二相LNGは、加熱又は気化され、次いで蒸発交換器20に移送される。一次回路42の出口におけるLNGの出口温度は、約1バールの圧力で-160℃~-134℃である。サブクールされたLNGの出口温度は、2~20バールの圧力で約-160℃であり、サブクールされたLNGが熱交換器22’を通る際、後者は、真空蒸発器40から来るLNGを液体状態に維持するように構成される。これは、回路43から来るLNGが、以下に説明するシステムの動作モードに従って、熱交換器20から来るサブクールされたLPGと熱を交換できるからである。この場合、回路6eを通過するLNGは加熱されるが気化されない。
【0051】
図3において、システム1は、加熱装置32の下流に設置されたコンプレッサー46をさらに含む。このコンプレッサー46は、気化したLNGを、設備2によって必要とされる圧力まで圧縮することを可能にする。
【0052】
この実施例において、サブクールはタンク及び容器の外側で行われる。言い換えれば、熱交換器はタンク及び容器から分離されている。
【0053】
エネルギー生産設備2のためのガスの処理のためのシステム1の第1の動作モード(冷却)では、
図2に示すように、LNGが使用されて、LPG蒸気4bを再液化する。またLNGは、設備2への、特に船のエンジン及びエネルギー生産ニーズのための他の加熱エンジンへの、供給にも使用される。この第1の動作モードは、LPGタンクの冷却中に作動される。これは、上で説明したように、この動作の間に非常に大量のLPG蒸気4bが生成されるためである(約10900kg/h)。この生成される蒸気4bの量は、LPGを輸送するために船の航海中に生成される蒸気4b(NBOG)の量よりも多い。タンクの壁を冷却する状況では、燃料ガスを伴うエンジンのエネルギー要求は非常に低い。設備2の消費は、LNG蒸気で約500kg/hである。このシステムは、メイン熱交換器21を使用して、冷却中に生成されるLPG蒸気4bを管理する。LPG蒸気4bは、コンプレッサー8によってタンク4から引き出され、当該コンプレッサー8は、それらを第1のパイプライン7において移動させる。第1の回路6aにおいて移動するLPG蒸気4bは、容器5の底部から第3のパイプライン12を介して第2の回路6bにおいて移動するLNGの冷たさによって、再液化される。容器の底にあるLNGは、表面N1に近いLNGよりも、すなわちLNGとガスヘッドスペースとの間の界面でのLNGよりも、低温であることが理解される。再液化に続いて、再液化されたLPG蒸気はタンク4内に移送され、LNGは液体状態に維持され、そして容器5に戻される。LPG蒸気4bは、約0℃の温度及び大気圧に近い圧力でメイン熱交換器21に入る。メイン熱交換21は、再液化されたLPG蒸気の出口温度が第1の閾値と第2の閾値との間になるように、行われる。第1の閾値及び第2の閾値は、大気圧以上の圧力で考慮される。これらの温度閾値は、タンク4が耐える最低温度値以上である。有利には、LPG蒸気4bの出口温度の第1の閾値は、大気圧以上の圧力で-40℃であり、再液化されたLPG蒸気の出口温度の第2の閾値は、大気圧以上の圧力で約-50℃である。好ましくは、非限定的に、再液化されたLPG蒸気の出口温度は、大気圧以上の圧力で-42℃である。このようにして、再液化したLPG蒸気が冷たすぎないように熱交換が制御される。
【0054】
同様に、熱交換は、再液化後のLNGの出口温度が、6バール~20バールの圧力で第1の温度閾値と第2の温度閾値の間にあるように行われる。
図1に関連して第1の実施形態中に見られたように、LNGは加熱されなければならないが、気化されてはならない。メイン熱交換器21は、再液化前のLNGの入口温度と再液化後のLNGの出口温度との間の温度差が5℃~55℃であるように、構成されている。好ましくは、しかし非限定的に、この温度差は26℃である。この例において、LNGは、再液化の前に、約-160℃の入口温度で及び2~20バールの圧力で、メイン熱交換器21に入る。第1の閾値は約-155℃であり、第2の閾値は約-105℃である。好ましくは、しかし非限定的に、LNGの出口温度は、容器の最大許容貯蔵圧力よりも低い圧力で、その気化温度よりも低い。その温度は約-134℃である。そのような値は、最大のLNG冷たさを再液化のためにLPG蒸気に移すことを可能にしつつ、容器に戻るLNGが熱くなりすぎるのを防いで、再液化したLPG蒸気が冷たくなりすぎるのを防ぐ。過度に高温のLNGは、容器におけるLNG圧力の増大をもたらしうるものであり、承認された限界を超えるかもしれない。したがって、メイン熱交換器21は、LNG及び再液化されたLPG蒸気がそれぞれ容器又はタンクにおいて必要とされる温度で出るように、調整される。熱交換の間、LNG流量及びLPG蒸気流量はそれぞれ一定である。
【0055】
LNG及びLPGの入口温度及び出口温度は既知であり及び/又は予め決められているので、LNG及びLPGの重量による流量などのパラメータは、熱交換のための熱交換器21を構成することを可能にする。
【0056】
システムは、タンクで測定された圧力がタンクにおける所定の圧力値よりも大きい場合に、LPG蒸気の再液化が実行されるように、作動することができる。
【0057】
この第1の動作モードにおいて、システム1はまた蒸発交換器20を使用し、当該蒸発交換器20において、タンク4から来るLPG及び容器5から来るLNGが設備2に供給するように移動する。LPGとLNGとの間の熱交換は、LPGのサブクールと、設備2への供給を意図したLNGの気化又は加熱とを可能にする。サブクールされたLPG(液体状態)は、タンクの下部に貯留されて、後続の蓄冷層4cを構成する。これにより、より大きな利用可能な冷却力を得ることが可能になり、したがって、タンクに収容される、液化された及び/又はガスの形態のガスの冷却の効率を向上させることを可能にする。本発明において、タンク4の下部は、その底部19から測定して、タンク4の高さの約30%未満にわたって延びる。底部19はタンクの最下端であり、例えばタンクがLNGタンカーで輸送される場合に船のハルに近い。特に、ポンプによってタンクの底部から引き出されたLPGは、その入口温度が約-42℃である熱交換器20を、通過する。容器から引き出されたLNGの入口温度は、約17バールの圧力で約-160℃である。気化したLNGの潜熱をLPGが回収する熱交換後に、LPGの出口温度は-45℃~-55℃である。サブクールされたLPGはタンクの底部に移され、そこでそれは-45℃~-55℃の温度で層4cに貯留される。有利には、サブクールされたLPGは、約-52℃(タンクでの貯蔵圧力)である。熱交換後、気化又は加熱されたLNGは約0℃の出口温度にあり、そこでそれは加熱装置32によってさらに加熱されることができる。
【0058】
あるいは、サブクールされたLPGの貯蔵は、タンクにおける圧力に応じている。特に、タンクでの圧力が、例えば1~1.05絶対バール未満である、第1の所定の圧力値よりも小さい場合、システムは、蓄冷層におけるサブクールされたLPGの貯蔵を制御する。このために、圧力検出手段33は、タンク4内の圧力を検出することを可能にする。圧力検出手段33は、この例において、タンク4において又はタンク4の近くに設置された圧力センサを含む。
【0059】
例えばタンクに残っている、この蓄冷層4cの上方でのタンク4におけるLPGは、-42℃よりも大きな温度である。LPGタンクは、LPGが異なる温度にあるいくつかの層を備え、最も冷たい層がタンクの底部にあると考えられる。
【0060】
エネルギー生産設備2のためのガスの処理のためのシステムの第2の動作モード(航海)では、
図2に示すように、LNGは、船のエンジンなどの設備2に供給するように用いられ、タンクにおいてLPG蒸気を冷却するようにその後使われるLPG蓄冷を形成するように、LPGはサブクールされる。この動作モードは船の航海中に作動され、そこではより少ない量のLPG蒸気が管理される必要がある。これは、生成されたLPGガス蒸気(NBOG)が約2700kg/hであるのに対し、例えば、船のエンジンは約2000kg/hの少量の燃料ガスを消費するためである。この動作モードにおいて、システムは、少なくとも、船のエンジンに供給する必要があるLNGの強制蒸発を実行するように蒸発熱交換器20を使用し、蓄冷を構成するように補助熱交換器22を使用し、蒸発熱交換器20ではタンクから来るLPG及び容器から来るLNGが移動する。LNGは、第2のポンプ11bを介して容器から引き出される。第2のパイプ6dにおけるLNGの入口温度は、約-160℃である。LPGは、ポンプ15によって、LPGを含むタンクから引き出される。LPGは第2のパイプラインにおいて蒸発交換器に移動し、約-42℃の温度で後者に入る。LPGは、交換器20における熱交換により気化するLNGから冷たさを回収することにより、LPGの第1のサブクールを受ける。LPGとLNGとの間の熱交換は、LPGのサブクール温度が大気圧において第1の閾値と第2の閾値との間になるように行われる。蒸発交換器20は、最大量の熱を伝達するように構成されているが、LNGとLPGとの間の温度差によって制限される。有利には、しかし非限定的に、第1の閾値は約-40℃であり、第2の閾値は約-55℃である。サブクールされたLPGは、タンクの下部に貯留され、LPG蓄冷層を構成し又はバー10によってガスヘッドスペース内にスプレーされる。航海中、熱交換器20のLPGの出口温度は、約-52℃である。
【0061】
もちろん、第1の動作モードで見られたように、タンクでの圧力が第1の所定の圧力閾値未満、例えば1~1.05絶対バール、である場合、サブクールされたLPGは、蓄冷層に貯蔵される。
【0062】
例えば、タンクの冷却中に、蓄冷層が既に形成されていると考えられる。そして、このサブクールされたLPGは、タンクにおけるLPG蒸気を冷却又は凝縮するために使用される。このために、サブクールされたLPGは蓄冷層4cから引き出され、バー10を介してガスヘッドスペース内にスプレーされる。あるいは、蓄冷層4cからのLPGは、導管につながれているタンクの出口から引き出され、当該導管は、LPG蒸気が通過する熱交換器に又はバーに接続される。したがって、蓄冷を作り出すために補助熱交換器を起動する必要はない。
【0063】
交換器20の出口でのLNGは、LPGとLNGとの間の熱交換によって気化又は加熱される。この気化又は加熱されたLNGは、その供給のためにエンジンに移される。容器から引き出されるLNG蒸気も、エンジンへの供給を可能にする。気化又は加熱されたLNG及びLNG蒸気は、エンジンに供給する前にすべてのLNGが気化されるように加熱される。
【0064】
エネルギー生産設備のためのガスの処理のためのシステムの第3の動作モード(積み込み)では、
図2に示すように、エネルギー生産ニーズのためとLPG蒸気を再液化するために、LNGが使用されて船のエンジンに供給する。この動作モードは、特にタンク内へのLPGの積み込みの間に作動され、当該タンクでは、例えば約13900kg/hの、大量のLPG蒸気が生成される。設備2のエネルギー需要は低く、約500kg/hである。この動作モードにおいて、すべてのLPG蒸気を処理するために、少なくとも2つの熱交換器が要請される。特に、システムは、メイン熱交換器21を使用して、LPGの積み込み中に生成されたLPG蒸気を管理し、蒸発熱交換器20を使用して、設備2に供給することが意図されているLNGを気化又は加熱する。したがって、熱交換器20、21は、タンクの冷却の場合、第1の動作モードと同様の方法で動作する。
【0065】
この動作モードにおいて、メイン熱交換器21が、生成された大量のLPG蒸気のために、タンク4における圧力を管理することを可能にしないかもしれない。このシナリオにおいて、タンク内で(圧力33を検出する手段によって)測定された圧力が、第2の所定の閾値圧力値に到達するか又は第2の所定の閾値圧力値よりも大きい場合、補助熱交換器22が作動する。したがって、補助熱交換器22の目的は、タンク4内の圧力を管理することである。LNGは、サブクールされたLPGと交換するように、容器から取り出される。第1のサブクール後のサブクールされたLPGは、約-42℃の温度である。この-42℃の温度は、少量のLNGが熱交換器20において、特に第2のパイプ6dにおいて、移動するという事実によるものである。これは、それが、第2のパイプ6dで気化されなければならないLNGの流量を検出するエンジン又は設備2であるからである。設備2のニーズが低いと仮定すると、非常に少量のLNGが、LPGのサブクールを実行するために利用可能である。設備は、気化中に気化又は加熱される必要のある第2のガスの流量を制御する。これは、LNGからの熱量がLPGの温度を大幅に下げるのには不十分であることを暗示する。熱交換器20の出口におけるLPGの温度が十分に低温ではないので、熱交換器22は、LPGの第2のサブクールを実行する。LNGは、約-160℃の温度で容器から引き出され、この例では熱交換器20において、第1のサブクールを受けたLPGと熱を交換する。サブクールされたLPGの入口温度は約-42℃である。2回目にサブクールされたLPGの出口温度は、タンク4が耐えなければならない閾値温度値以下である。LPGの出口温度は約-52℃である。このLPGは、その後の使用のために蓄冷層に貯蔵されるか、又は、タンクにおけるLPG蒸気4bを凝縮又は冷却するためにタンクのガスヘッドスペース内にスプレーされる。LNGの出口温度は、約8バールの圧力で約-134℃である。したがって、LNGは高温だが、気化しない。
【0066】
第4の動作モード(容器における高温LNG)において、
図2に示すように、エネルギー生産設備のためのガスの処理のためのシステム1、システムは、(タンクにおけるLPGの積み込みの間又はタンクの冷却の間)メイン熱交換器21が作動する場合に、容器におけるLNGの加熱のリスクを管理することを可能にする。これは、メイン熱交換器の出口及び又は補助熱交換器の出口でのLNGが高温であるため、つまり約-134℃の出口温度であるためである。この動作モードは、主に航海モードで、容器におけるLNGをその極低温にまで冷却するように、
図3に示されるようなシステムを採用する。システム1は、少なくとも熱交換器40を使用し、当該熱交換器40では、部分的に気化したLNGが、容器に移送されるLNGをサブクールすることを可能にする。そして、容器に貯蔵されているLNGは、約8バールの圧力で約-134℃の温度であると考えられる。LNGは、第2のポンプ11bによって容器から引き出される。LNGは回路42において移動し、当該回路42においてそれは減圧され、そして部分的に気化される。熱交換器40において部分的に気化したLNGの入口温度は、大気圧で約-160℃である。気化したLNGの出口温度は、大気圧で-134℃~-160℃である。第2のパイプ43において、熱交換器におけるLNGの入口温度は、約-134℃であり、その出口温度は、約-160℃である。サブクールされたLNGは、容器5の下部における蓄冷層4c内に移される。熱交換器20は、LPGをサブクールし、熱交換器40の出口でLNGを気化させる。
【0067】
タンク4で測定された圧力が閾値圧力値以上である場合、熱交換器22’は、交換器20で冷却されたLPGを2回目にサブクールするように作動される。LPGは、熱交換器でサブクールされて熱交換器22’を通過するLNGによって、サブクールされる。交換器22’での熱交換後のLNGの出口温度は、大気圧で約-134℃である。
【0068】
これらの上記の動作モードは、
図2に基づいて説明されている。もちろん、
図1をこれらの動作モードに適用することは可能である。
【0069】
図4は、発明によるガス処理システム1の別の実施形態を示す。そのシステムはLNG容器を備え、各LNG容器がLNG蒸気5b及びLNGを含む。この例において、2つのLNG容器が示されている。また複数のポンプがメイン容器のLNGに浸漬され、1台のポンプが隣り合う容器のLNGに浸漬される。各ポンプは、好ましくは、容器の底部に設置される。システム1は熱交換器50を備え、当該熱交換器50は、容器500Aの底部に蓄冷層500cを構成するように同じ第1容器500Aの底部190に貯蔵されることが意図された、LNG容器から来る、この例では第1のタンク500Aから来る、LNGをサブクールするように構成される。層500cは、容器の内部空間に配置されている。熱交換器は、少なくとも1つの第1のパイプ50a及び1つの第2のパイプ50bを備える。第1のパイプ50aは、パイプライン54の第1の端部につながれる入口を備える。パイプライン54の第2の端部は、第1の容器500Aの底部に取り付けられた第1のポンプ51に接続されている。このパイプライン54はまた、三方弁67を介し、容器500Aに取り付けられたスプレーバー60に接続されている。バー60は、容器の上部に、好ましくはLNGガスヘッドスペースに、配置される。第1のパイプ50aは、パイプライン56につながれた出口を含み、当該パイプライン56は、容器500Aの底部に接続されている。パイプライン56はまた、三方弁75aによってスプレーバー60に接続されている。
図4に示されているように、パイプライン56は、三方弁75bによって隣り合う容器、第2の容器500B、の底部において現れるとともに、三方弁75cによってこの第2の容器500Bの別のバー60に現れる。第2のパイプ50bは、パイプライン57によって容器500Aに接続される入口を含む。パイプライン57の端部の一方は、容器500Aの底部に取り付けられた第2のポンプ52に接続されている。この例において、第2のパイプ50bの出口は、パイプライン58を介してドラム70の入口に接続される。ドラム70の出口は、パイプ71を介して、第1の出口によってパイプライン56に接続されている。パイプ71は、例えば、バルブ72及びポンプ73を備える。減圧手段53は、熱交換器50の上流で、パイプライン57に取り付けられている。この交換器は、
図3に示されている実施形態におけるように、真空蒸発器である。減圧手段53は、例えば、膨張弁(ジュール・トムソンバルブ)を備える。
【0070】
第2のパイプ50bは低温回路であり、減圧されたLNGは、(FBOG付与するように)強制蒸発を実行するように、この回路における動きによって加熱されることが意図されている。第1のパイプ50aは高温回路であり、容器500Aから来るLNGは、この回路における動きによって冷却されることが意図されている。しかしながら、第1のパイプ50aは、最も重い成分(エタン、プロパンなど)を蒸発させることを可能にしないかもしれない。第2のパイプ50bの上流での減圧は蒸発温度を下げることを可能にし、それは、容器500Aから引き出されて第1のパイプ50aにおいて移動するLNGとの熱交換からFBOGを発生することを可能にする、ことが理解される。FBOGを与えるための気化は、第1のパイプ50aにおいて移動するLNGによって供給される熱の寄与を必要とする;したがって、それは、第1のパイプ50aにおいて移動するLNGのサブクールの目的のための冷凍源である。
【0071】
したがって、容器500Aから発生するLNGは、ポンプ52によって減圧手段53まで運ばれ、そして交換器50の第2のパイプすなわちコールドパイプ50bにおいて移動する。減圧手段の下流のLNGは、-168℃の温度であり、400mbarの絶対圧力である。一方、容器500AのLNGは、ポンプ51によって、交換器50の第1のパイプすなわちホットパイプ50aまで運ばれる。その結果、これらの回路間の熱交換は以下をもたらす:
- 減圧され部分的に気化されたLNGであって、本例ではドラム70までその後に運ばれるLNGの、その気化を継続することを目的とした加熱、及び
- 第1の容器の及び又は第2の容器の底部に供給するLNGであって後続の使用の目的のためにそこに貯蔵されるためのLNG、又は、バー60を介してLNGガスヘッドスペース内にスプレーされるLNGのサブクール。
【0072】
パイプ50aでの熱交換後のLNGの出口温度は約-168℃である。
【0073】
蓄冷層でのLNGの貯蔵は、容器内の圧力に応じたものであることができる。例えば、(圧力センサ330によって)容器で測定された圧力が容器での所定の圧力閾値未満である場合、(液体状態の)サブクールされたLNGは、この蓄冷層500cに貯蔵される。
【0074】
したがって、ドラム70は、容器500Aから熱交換器50を介して生じる2相気液状態のLNGが供給されるように意図されている。ドラム70内の動作圧力は、容器500A内のLNGの貯蔵圧力よりも低い。ドラム70にLNGを供給することは、一方では、ドラム70でのFBOGの生成によって及びドラムに残っているLNGのサブクールによって反映されるLNGの追加の気化をもたらすことができる。ドラムは、ドラムの下部に貯蔵されているLNGとその上部におけるLNG蒸気とを伴う相を分離することを可能にする。ドラムの出口でのサブクールされたLNGは、約-168℃の出口温度である。ドラム70は第2の出口を備え、当該第2の出口はその上部に配置され、そこではLNGガス蒸気(FBOG)が自然に貯蔵される。ドラム70の出口は、この例では、2つのコンプレッサー61、62を介し、設備2に接続されている。
【0075】
熱交換器50はまた第3のパイプ50cを含み、当該第3のパイプ50cは入口及び出口を含む。第3のパイプ50cの入口は、再液化されたLNGガス蒸気が移動するパイプライン63の第1の端部に接続されている。特に、コンプレッサー62の出口は、燃料ガスをそれに供給するために設備2に接続されている。コンプレッサー62から出る燃料ガスの一部は、パイプライン64によって引き出されることができ、再経路指定されることができ、当該パイプライン64は、三方弁65によってコンプレッサー62の出口に接続されることができる。コンプレッサー62は、(第1の容器及び/又は第2の容器から生じるNBOGなどの)ガスを、設備2でのその使用に適した作動圧力に圧縮するように、構成されている。パイプライン64は、熱交換器66の一次回路66aの入口に接続されている。一次回路は、パイプライン63の第2の端部に接続された出口を含む。各容器500A、500Bは、熱交換器66の二次回路66bの入口に接続されたLNG蒸気5bのための出口68を含む。二次回路66bは、コンプレッサー62の入口に又は入口のうちの1つに接続される出口を備える。第3のパイプ50cは、別のパイプライン69によってパイプライン56に接続される出口を備える。このパイプライン69には、断熱膨張によってガスの温度を下げるための膨張弁74が設置されている。
【0076】
容器500A、500Bから来るLNG蒸気は、設備2に供給するように二次回路66bにおいて加熱され、コンプレッサー62の出口でのLNG蒸気は、熱交換器50に運ばれるために再液化される。この熱交換器50において、再液化されたガス蒸気は、容器500A、500Bの底部又はスプレーバー60に供給するために、パイプ50aにおいて移動するLNGの冷たさによってサブクールされる。容器500A、500Bから来るLNG蒸気は、FBOGが過剰に生成される場合、液化するために、パイプライン64において経路変更されることができる。
【0077】
この実施例において、サブクールは容器の外側で行われる。言い換えれば、熱交換器50は、容器から分離されている。
【0078】
図5は、
図4に示されるガス処理システム1の代替の実施形態を表す。このシステム1は、それが(
図5の右側にある)第1のメインの容器に隣り合う第2の容器500Bに設置された第2のポンプ52を備える点で、
図4のシステムとは異なる。この第2のポンプ52はパイプライン80の第1の端部にあり、当該パイプライン80では、第2の容器500Bの底部から引き出されたLNGが移動する。パイプラインの第2の端部は、第2のパイプ50bの入口に接続されたパイプライン57につながっている。言い換えれば、LNGは、2つの容器500A、500Bから、2つのポンプ52で引き出される。この第2のポンプ52は、圧力及び温度を増大させることにより、減圧手段の下流での減圧のレベルを低減することを可能にする。例えば、2つの第2のポンプによって、減圧手段の下流の絶対圧力は600mbarであり、LNGの温度は-164℃である。
【0079】
図6は、発明によるガス処理システムの発明の別の実施形態を表す。このシステムは、
図5に示される実施形態と同様である。それは、それが単一の熱交換器50の代わりに2つの熱交換器150、150’を備えるという点で、それとは異なる。第1の交換器150は、第1の容器500Aから来るLNGを気化させるように、及び、第1の容器500Aから来るLNGを同時にサブクールするように構成される。第1の交換器150は、
図4の実施形態で説明したように配置される第1のパイプ150a及び第2のパイプ150bを備える。
【0080】
第2の熱交換器150’は、LNG蒸気を再液化するために、この例では第1の容器500Aから来る蓄冷層500cに貯蔵された(液体状態の)サブクールされたLNGを使用するように、構成される。これらのLNG蒸気は、エネルギー生産設備2で使用されていないLNGの自然蒸発(NBOG)から、つまり過剰なBOGから、生じる。第2の熱交換器150’は、第3のパイプ150c及び第2の補助パイプ150b’を備える。第3のパイプ150cは、パイプライン163に接続された入口を含み、過剰に生成されたLNG蒸気は当該パイプライン163を通って搬送される。特に、NBOGは、熱交換器166におけるコンプレッサー62を介して及びパイプライン164を介して、再循環する。第3のパイプ150cは、パイプライン169に接続される出口を備え、当該パイプライン169は、三方弁175bによって容器の底部に又は各容器500A、500Bの底部に現れる。パイプライン169はまた、三方弁175a、175cを介してスプレーバー160に接続される。
【0081】
第2のパイプ150b’は、三方弁を介してパイプ154に接続される入口を備える。第2のパイプ150b’は、三方弁180を介してパイプ156に合流する出口を備える。過剰なNBOGと容器から来るサブクールされたLNGとの間で、熱交換が行われる。再液化されたNBOGは、第1及び/又は第2の容器の底部に移される。第2のパイプ150b’の出口でのLNGは、加熱されるが気化されず、第1及び/又は第2の容器の底部に戻される。
【0082】
この実施例において、サブクールは容器の外側で行われる。言い換えれば、熱交換器は容器から分離されている。