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特許7301854エネルギ伝送および制御システム、および、通信装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-23
(45)【発行日】2023-07-03
(54)【発明の名称】エネルギ伝送および制御システム、および、通信装置
(51)【国際特許分類】
   B60M 7/00 20060101AFI20230626BHJP
   B60L 5/38 20060101ALI20230626BHJP
   B60L 13/00 20060101ALI20230626BHJP
   H01R 25/14 20060101ALN20230626BHJP
   H01R 39/00 20060101ALN20230626BHJP
   H01R 41/00 20060101ALN20230626BHJP
【FI】
B60M7/00 Z
B60L5/38 A
B60L13/00 A
B60L13/00 C
B60M7/00 M
H01R25/14 C
H01R39/00 C
H01R39/00 D
H01R41/00 B
【請求項の数】 44
(21)【出願番号】P 2020540761
(86)(22)【出願日】2019-01-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-06
(86)【国際出願番号】 US2019015091
(87)【国際公開番号】W WO2019147898
(87)【国際公開日】2019-08-01
【審査請求日】2022-01-24
(31)【優先権主張番号】16/257,344
(32)【優先日】2019-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/621,747
(32)【優先日】2018-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514207500
【氏名又は名称】コンダクティクス インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】CONDUCTIX, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】マーティン ブレア
(72)【発明者】
【氏名】ローランド ローソン
(72)【発明者】
【氏名】マイケル アンドルー ディークス
【審査官】岩田 健一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0284700(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0134938(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60M 7/00
B60L 5/38
B60L 13/00
H01R 25/14
H01R 39/00
H01R 41/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気エネルギを供給する電源と、
前記電源に電気的に結合して前記電源から前記電気エネルギを伝送する導電性サポートと、
前記導電性サポートに電気的に結合して前記電源から前記電気エネルギを受け取るヴィークルと、
を備え、
前記導電性サポートは、前記導電性サポートに沿って走行するように前記ヴィークルを支持し、前記電源と前記ヴィークルとの間に前記導電性サポートを通じて確立される電気回路の一部としての前記導電性サポートに沿って前記電源から前記ヴィークルに前記電気エネルギを伝送するように構成され、
前記電気回路は、500キロヘルツ(500kHz)以下の低周波数で通信信号を伝送するように構成され、
前記ヴィークルは、
前記ヴィークルを前記導電性サポートに電気的に結合するための移動接点と、
前記ヴィークルの複数の個別に電気駆動される要素またはサブシステムの少なくとも一つに、前記電源から前記電気エネルギを、選択的に伝送するためのスイッチと、
前記スイッチを動作可能に結合し、前記導電性サポートを通じて伝送される前記通信信号を受け取り、前記スイッチを動作させて、前記ヴィークルの前記複数の個別に電気駆動される要素またはサブシステムの前記少なくとも一つに、前記電源から前記電気エネルギを、選択的に伝送するように構成されるコントローラと、
を備える、
エネルギ伝送および制御システム。
【請求項2】
前記導電性サポートは、導電性レール、導電バー、リール、スリップリング、または、導電体の数が少ないケーブル、の少なくとも一つを含む、
請求項1に記載のエネルギ伝送および制御システム。
【請求項3】
前記ヴィークルは、前記導電性サポートとの物理的接触によって、前記導電性サポートに電気的に結合される、
請求項1に記載のエネルギ伝送および制御システム。
【請求項4】
前記ヴィークルは、容量結合によって、前記導電性サポートに電気的に結合される、
請求項1に記載のエネルギ伝送および制御システム。
【請求項5】
前記移動接点は、摺動集電靴または回転集電装置の少なくとも一方を含む、
請求項1に記載のエネルギ伝送および制御システム。
【請求項6】
前記通信信号は、100キロヘルツ(100kHz)から500キロヘルツ(500kHz)の間の低周波数で伝送される、
請求項1に記載のエネルギ伝送および制御システム。
【請求項7】
前記コントローラは、前記ヴィークルを、少なくとも一つのマスタ装置に対するスレーブ装置として動作可能に構成する、
請求項1に記載のエネルギ伝送および制御システム。
【請求項8】
複数の個別に電気駆動される要素またはサブシステムの前記少なくとも一つは、電気モータを含む、
請求項1に記載のエネルギ伝送および制御システム。
【請求項9】
前記スイッチに結合されるマスタリレーをさらに備える、
請求項1に記載のエネルギ伝送および制御システム。
【請求項10】
導電性サポートに電気的に結合して前記導電性サポートに電気的に結合された電源から供給される電気エネルギを受け取る移動接点、前記導電性サポートは、前記導電性サポートに沿って走行するようにヴィークルを支持し、前記電源と前記ヴィークルとの間に前記導電性サポートを通じて確立される電気回路の一部としての前記導電性サポートに沿って前記電源から前記ヴィークルに前記電気エネルギを伝送するように構成され、前記電気回路は、500キロヘルツ(500kHz)以下の低周波数で通信信号を伝送するように構成される;
前記ヴィークルの複数の個別に電気駆動される要素またはサブシステムの少なくとも一つに、前記電源からの前記電気エネルギを、選択的に伝送するためのスイッチ;および
前記スイッチを動作可能に結合し、前記導電性サポートを通じて伝送される前記通信信号を受け取り、前記スイッチを動作させて、前記ヴィークルの前記複数の個別に電気駆動される要素またはサブシステムの前記少なくとも一つに、前記電源から前記電気エネルギを、選択的に伝送するように構成されるコントローラ;
備える、
ヴィークル。
【請求項11】
前記導電性サポートは、導電性レール、導電バー、リール、スリップリング、または、導電体の数が少ないケーブル、の少なくとも一つを含む、
請求項10に記載のヴィークル。
【請求項12】
前記移動接点は、前記導電性サポートとの物理的接触によって、前記導電性サポートに電気的に結合される、
請求項10に記載のヴィークル。
【請求項13】
前記移動接点は、容量結合によって、前記導電性サポートに電気的に結合される、
請求項10に記載のヴィークル。
【請求項14】
前記移動接点は、摺動集電靴または回転集電装置の少なくとも一方を含む、
請求項10に記載のヴィークル。
【請求項15】
前記通信信号は、100キロヘルツ(100kHz)から500キロヘルツ(500kHz)の間の低周波数で伝送される、
請求項10に記載のヴィークル。
【請求項16】
前記コントローラは、前記ヴィークルを、少なくとも一つのマスタ装置に対するスレーブ装置として動作可能に構成する、
請求項10に記載のヴィークル。
【請求項17】
複数の個別に電気駆動される要素またはサブシステムの前記少なくとも一つは、電気モータを含む、
請求項10に記載のヴィークル。
【請求項18】
前記スイッチに結合されるマスタリレーをさらに備える、
請求項10に記載のヴィークル。
【請求項19】
導電性サポートに電気的に結合して電気エネルギを受け取る電源、前記導電性サポートは、前記導電性サポートに沿って走行するようにヴィークルを支持し、前記電源と前記ヴィークルとの間に前記導電性サポートを通じて確立される電気回路の一部としての前記導電性サポートに沿って前記電源から前記ヴィークルに前記電気エネルギを伝送するように構成され、前記電気回路は、500キロヘルツ(500kHz)以下の低周波数で通信信号を伝送するように構成される;
前記ヴィークルの複数の個別に電気駆動される要素またはサブシステムの少なくとも一つに、前記電源から前記電気エネルギを、選択的に伝送するためのスイッチ;および
前記スイッチを動作可能に結合し、前記導電性サポートを通じて伝送される前記通信信号を受け取り、前記スイッチを動作させて、前記ヴィークルの前記複数の個別に電気駆動される要素またはサブシステムの前記少なくとも一つに、前記電源から前記電気エネルギを、選択的に伝送するように構成されるコントローラ;
を備える、
通信装置。
【請求項20】
前記導電性サポートは、導電性レール、導電バー、リール、スリップリング、または、導電体の数が少ないケーブル、の少なくとも一つを含む、
請求項19に記載の通信装置。
【請求項21】
前記通信信号は、100キロヘルツ(100kHz)から500キロヘルツ(500kHz)の間の低周波数で伝送される、
請求項19に記載の通信装置。
【請求項22】
前記コントローラは、前記通信装置を、少なくとも一つのマスタ装置に対するスレーブ装置として動作可能に構成する、
請求項19に記載の通信装置。
【請求項23】
複数の個別に電気駆動される要素またはサブシステムの前記少なくとも一つは、電気モータを含む、
請求項19に記載の通信装置。
【請求項24】
前記スイッチに結合されるマスタリレーをさらに備える、
請求項19に記載の通信装置。
【請求項25】
ヴィークルを駆動して制御するために電気エネルギを、前記ヴィークル、前記ヴィークルを駆動し支持するための導電性サポート、および第1コントローラの間で確立される仮想的な物理層を通じて伝送するための制御システムであって、
前記制御システムは、
電源に電気的に結合される導電性サポート、前記電源は電気エネルギを前記導電性サポートに供給する;
前記導電性サポートに通信可能に結合される第1コントローラ、前記第1コントローラは、入力信号を受け取って、前記導電性サポートを通じて供給される電気エネルギとともに前記入力信号を示す通信信号を伝送する;
前記導電性サポートにより支持されるヴィークル、前記ヴィークルは、前記導電性サポートに沿って走行し、前記電源と前記ヴィークルとの間に前記導電性サポートを通じて確立される電気回路の一部として前記電源から電気エネルギを受け取る;
を備え、
前記ヴィークルは、
前記電源から電気エネルギを受け取るために前記ヴィークルを前記導電性サポートに電気的に結合するための移動接点と、
前記電源から受け取った前記電気エネルギにより駆動されて制御される複数の個別に電気駆動される要素またはサブシステムと、
前記ヴィークルの前記複数の個別に電気駆動される要素またはサブシステムの少なくとも一つを駆動するために前記電源から電気エネルギを、選択的に伝送するためのリレーと、
前記リレーを動作可能に結合し、前記導電性サポートを通じて供給される前記電気エネルギとともに伝送される前記第1コントローラからの前記通信信号を受信して、前記ヴィークルの前記複数の個別に電気駆動される要素またはサブシステムの前記少なくとも一つを選択的に駆動し、それによって制御するための出力信号を生成するために前記第1コントローラからの前記入力信号を反映するように前記リレーを動作させて、仮想的な物理層を提供する、第2コントローラと、
を備える、
制御システム。
【請求項26】
前記電気回路は、500キロヘルツ(500kHz)以下の低周波数で前記通信信号を伝送するように構成される、
請求項25に記載の制御システム。
【請求項27】
前記導電性サポートは、導電性レール、導電バー、リール、スリップリング、または、導電体の数が少ないケーブル、の少なくとも一つを含む、
請求項25に記載の制御システム。
【請求項28】
前記ヴィークルは、前記導電性サポートとの物理的接触によって、前記導電性サポートに電気的に結合される、
請求項25に記載の制御システム。
【請求項29】
前記ヴィークルは、容量結合によって、前記導電性サポートに電気的に結合される、
請求項25に記載の制御システム。
【請求項30】
前記移動接点は、摺動集電靴または回転集電装置の少なくとも一方を含む、
請求項25に記載の制御システム。
【請求項31】
前記第1コントローラは、リミットスイッチまたは位置検出器からの信号に応答して前記通信信号の伝送を開始するために、前記リミットスイッチまたは前記位置検出器の少なくとも一方に結合される、
請求項25に記載の制御システム。
【請求項32】
前記第1コントローラは、低速イーサネットプロトコルを用いて前記導電性サポートを通じて通信するように構成される、
請求項25に記載の制御システム。
【請求項33】
ヴィークルを駆動して制御するために電気エネルギを、前記ヴィークル、前記ヴィークルを駆動し支持するための導電性サポート、および第1コントローラの間で確立される仮想的な物理層を通じて伝送するための制御システムであって、
前記制御システムは、
電源に電気的に結合される導電性サポート、前記電源は電気エネルギを前記導電性サポートに供給する;
前記導電性サポートに通信可能に結合される第1コントローラ、前記第1コントローラは、入力信号を受け取って、前記導電性サポートを通じて供給される電気エネルギとともに前記入力信号を示す通信信号を伝送する;
前記導電性サポートにより支持されるヴィークル、前記ヴィークルは、前記導電性サポートに沿って走行し、前記電源と前記ヴィークルとの間に前記導電性サポートを通じて確立される電気回路の一部として前記電源から電気エネルギを受け取る;
を備え、
前記ヴィークルは、
前記電源から電気エネルギを受け取るために前記ヴィークルを前記導電性サポートに電気的に結合するための移動接点と、
前記電源から受け取った前記電気エネルギにより駆動されて制御される複数の個別に電気駆動される要素またはサブシステムと、
前記ヴィークルの前記複数の個別に電気駆動される要素またはサブシステムの少なくとも一つを駆動するために前記電源から電気エネルギを、選択的に伝送するためのスイッチと、
前記スイッチを動作可能に結合し、前記導電性サポートを通じて供給される前記電気エネルギとともに伝送される前記第1コントローラからの前記通信信号を受信して、前記ヴィークルの前記複数の個別に電気駆動される要素またはサブシステムの前記少なくとも一つを選択的に駆動し、それによって制御するための出力信号を生成するために前記第1コントローラからの前記入力信号を反映するように前記スイッチを動作させて、仮想的な物理層を提供する、第2コントローラと、
を備える、
制御システム。
【請求項34】
前記電気回路は、500キロヘルツ(500kHz)以下の低周波数で前記通信信号を伝送するように構成される、
請求項33に記載の制御システム。
【請求項35】
前記導電性サポートは、導電性レール、導電バー、リール、スリップリング、または、導電体の数が少ないケーブル、の少なくとも一つを含む、
請求項33に記載の制御システム。
【請求項36】
前記ヴィークルは、前記導電性サポートとの物理的接触によって、前記導電性サポートに電気的に結合される、
請求項33に記載の制御システム。
【請求項37】
前記ヴィークルは、容量結合によって、前記導電性サポートに電気的に結合される、
請求項33に記載の制御システム。
【請求項38】
前記移動接点は、摺動集電靴または回転集電装置の少なくとも一方を含む、
請求項33に記載の制御システム。
【請求項39】
前記第1コントローラは、リミットスイッチまたは位置検出器からの信号に応答して前記通信信号の伝送を開始するために、前記リミットスイッチまたは前記位置検出器の少なくとも一方に結合される、
請求項33に記載の制御システム。
【請求項40】
前記第1コントローラは、低速イーサネットプロトコルを用いて前記導電性サポートを通じて通信するように構成される、
請求項33に記載の制御システム。
【請求項41】
ヴィークル、前記ヴィークルを駆動し支持するための導電性サポート、および第1コントローラの間で確立される仮想的な物理層を通じた制御のためのヴィークルであって、
前記ヴィークルは、
導電性サポートに電気的に結合される電源から電気エネルギを受け取るために前記ヴィークルを前記導電性サポートに電気的に結合するための移動接点、前記ヴィークルは、前記導電性サポートにより支持され、前記ヴィークルは、前記導電性サポートに沿って走行し、前記電源と前記ヴィークルとの間に前記導電性サポートを通じて確立される電気回路の一部として前記電源から電気エネルギを受け取る;
前記電源から受け取った前記電気エネルギにより駆動されて制御される複数の個別に電気駆動される要素またはサブシステム;
前記複数の個別に電気駆動される要素またはサブシステムの少なくとも一つを駆動するために前記電源から電気エネルギを、選択的に伝送するためのリレー;
前記リレーを動作可能に結合し、前記導電性サポートを通じて供給される前記電気エネルギとともに伝送される第1コントローラからの通信信号を受信する第2コントローラ、前記第1コントローラは、入力信号を受け取って、前記導電性サポートを通じて供給される電気エネルギとともに前記入力信号を示す通信信号を伝送するために前記導電性サポートに通信可能に結合され、前記第2コントローラは、前記複数の個別に電気駆動される要素またはサブシステムの前記少なくとも一つを選択的に駆動し、それによって制御するための出力信号を生成するために前記第1コントローラからの前記入力信号を反映するように前記リレーを動作させて、仮想的な物理層を提供する;
を備える、
ヴィークル。
【請求項42】
前記電気回路は、前記通信信号を、500キロヘルツ(500kHz)以下の低周波数で伝送するように、構成される、
請求項41に記載のヴィークル。
【請求項43】
前記ヴィークルは、前記導電性サポートとの物理的接触によって、前記導電性サポートに電気的に結合される、
請求項41に記載のヴィークル。
【請求項44】
前記ヴィークルは、容量結合によって、前記導電性サポートに電気的に結合される、
請求項41に記載のヴィークル。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
制御スイッチは、オーバヘッドクレーンのような産業機器の制御に用いられ得る。このようなスイッチは、基板実装、壁面実装、床面実装等され得る。リミットスイッチは、また、このような機器の移動および/または動作の制限に用いられ得る。
【図面の簡単な説明】
【0002】
詳細な説明は、添付図面を参照して記述される。明細書および図面の異なる例における同じ参照番号の使用は、同じかまたは類似の構成を示し得る。
【0003】
図1】本開示の実施例にかかる、互いに接続されて仮想的な物理層接続を形成する通信装置を備えるエネルギ伝送および制御システムの概略図である。
【0004】
図2】本開示の実施例にかかるエネルギ伝送および制御システムの他の概略図である。
【0005】
図3】本開示の実施例にかかるエネルギ伝送および制御システムの別の概略図である。
【0006】
図4】本開示の実施例にかかるエネルギ伝送および制御システムの他の概略図である。
【0007】
図5】本開示の実施例にかかるエネルギ伝送および制御システムの別の概略図である。
【0008】
図6】本開示の実施例にかかる、互いに接続された通信装置の複数のグループを含むエネルギ伝送および制御システムの概略図である。
【0009】
図7】本開示の実施例にかかる、通信装置の複数のグループを含むエネルギ伝送および制御システムの概略図である。
【0010】
図8】本開示の実施例にかかる、例えば、図1図7に示されるエネルギ伝送および制御システム等の、エネルギ伝送および制御システム用の通信装置の概略図である。
【0011】
図9】本開示の実施例にかかる、例えば、図1図7に示されるエネルギ伝送および制御システム等の、エネルギ伝送および制御システム用の通信装置の概略図である。
【0012】
図10】本開示の実施例にかかる、例えば、図1図9に示されるエネルギ伝送および制御システム等の、エネルギ伝送および制御システム用のモジュール式のハードウェアの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の態様を、本開示の一部を形成し、イラストで例の特徴を示す添付図面を参照してより詳細に説明する。しかしながら、特徴は、多数の異なる形式で実施されることができ、本開示で述べられる組み合わせのセットに制限されると解釈されるべきではなく、むしろ、これらの組み合わせは、本開示が徹底的かつ完璧であって、技術的範囲を完全に伝えるように、提供される。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味でとらえられるべきではない。
【0014】
概ね図1図10を参照し、エネルギ伝送および制御システム100について説明する。エネルギ伝送および制御システム100は、1以上のヴィークル102に、ヴィークル102を1以上の通信装置106に動作可能に結合する、および/または、ヴィークル102を互いに、導電性サポート108を形成する導電性材料(例えば、スチールレールまたは他の導電性材料)を介した電力の搬送にも使用される導電性サポート108を通して動作可能に結合する仮想的な回線/仮想的なケーブル/仮想的な物理層接続104を与えるために、利用され得る。本開示で記述されるシステムおよび技術は、様々な用途(例えば、実際の回線/実際のケーブル/実際の物理層接続の代わり、または、これらに加えて)に利用され得る。これらの用途は、限定される必要はないが、ヴィークル要素を制御ハードウェアに接続するのにフェスツーンおよび/または他の実際の物理ケーブルを必要とする用途、例えば、オーバヘッドクレーン、電気懸垂式モノレール、自動制御産業トラック、自動化された倉庫ロボット、ダークライド等、を含み得る。
【0015】
エネルギ伝送および制御システム100は、導電性サポート108を用いて確立される導体ネットワーク110を通じた継続的な通信を可能にする。例えば、導電性サポート108は、電源112(例えば、交流(AC)パワーバス114を通じて)に電気的に結合され、電力エネルギを電源112から導電性サポート108に伝送する。本開示の実施形態では、電源112は、エネルギ蓄積装置(例えば、バッテリ、燃料電池)、電気機械システム(例えば、発電機、交流発電機、変換器等)、交流電源、および/または、その他のタイプの電源として、構成され得る。いくつかの実施形態では、導電性サポート108は、導電性レール(例えば、図1および図2参照)、導電バー、スリップリング(例えば、図3および図4参照)、ケーブルリール(例えば、図5参照)等として、構成され得る。いくつかの実施形態では、導電性サポート108は、導電体の数が少ないケーブル(例えば、電力および通信信号の両方を伝送する単芯の導線)として構成され得る。
【0016】
また、エネルギ伝送および制御システム100は、導電性サポート108に電気的に結合し、電源112から供給される電気エネルギを受け取る1以上のヴィークル102を含む。本開示で述べるように、導電性サポート108は、導電性サポート108に沿って走行するようにヴィークル102を支持し、電源112とヴィークル102との間に導電性サポート108を通じて確立される電気回路の一部としての導電性サポート108に沿って電源112からヴィークル102に電気エネルギを伝送するように構成される。例えば、ヴィークル102は、導電性サポート108に沿って移動するために、車輪、滑り材、および/または、その他の機構を含み得る。ヴィークル102は、また、例えば、導電性サポート108に接した状態で搭乗することでヴィークル102を導電性サポート108に電気的に結合するための、摺動集電靴、回転集電装置、または、その他の集電装置等の移動接点116を含み得る。いくつかの実施形態では、導電性サポート108は、導電性サポート108上を走行するようにヴィークル102を支持し得る(例えば、ヴィークル102をレール上に機械的に支持する)。いくつかの実施形態では、ヴィークル102は、導電性サポート108に沿って走行するが、必ずしも導電性サポート108によって機械的に支持されていなくてもよい。いくつかの実施形態では、移動接点116は、導電性サポート108に直接物理的に接触してよく、ヴィークル102は、移動接点116と導電性サポート108との物理的接触を介して導電性サポート108に電気的に結合されてよい。しかしながら、その他の実施形態では、移動接点116は、必ずしも導電性サポート108に接触していなくてもよく、ヴィークル102は、直接物理的に接触することなく(例えば、容量結合を用いることによって)、導電性サポート108に電気的に結合され得る。
【0017】
本開示の目的のため、用語「ヴィークル」は、導電性サポート108との接続に関して移動する任意の機器に言及すると理解されるべきである。例えば、図1を参照して説明されるロボットアームの場合、ロボットアームヴィークル102は、導電性サポート108として構成されたレールに沿って走行する。図2を参照して説明されるように、クレーンヴィークル102は、導電性サポート108に沿って走行し、導電性サポートレールとクレーンとの接続は、例えば、フェスツーンの代わりに利用され得る。図3を参照して説明されるように、輸送製作機械上のロータリパレットテーブルヴィークル102は、異なるステーションでの機械加工(例えば、ドリル加工)のために複数の加工対象物を支持する。ロータリパレットテーブルヴィークル102は、テーブルヴィークルに接続されている回転構造がテーブルを固定支持体構造に沿って中心回転位置の周りに移動させる間も動かない導電性サポート108に沿って走行する。同時に、テーブルに接続される回転構造と導電性サポート108の固定構造とは、固定構造と回転構造との間で電力および電気信号の伝送を可能にするスリップリングを形成する。本開示で説明するように、スリップリングは、テーブルに取り付けられた加工対象物保持部に、電力および制御信号を提供するために、テーブルの上または下に取り付けられ得る。エネルギ伝送および制御システム100は、典型的なシステムのスリップリングにおいて別の方法で用いられ得るデータ信号回路の数を減らすために、使用され得る。例えば、制御信号は、電力モータおよび/または加工対象物保持装置に用いられる電気回路を通して送信され得る。
【0018】
図4を参照して説明すると、転写装置は、加熱回転積層ドラムヴィークル102を備える。ドラムヴィークル102は、ドラムヴィークルに接続されるロータがドラムを導電性サポート支持部に沿って回転軸の周りに移動させる間も動かない導電性サポート108に沿って走行する。同時に、ドラムに接続されるロータと導電性サポート108の固定支持体構造とは、スリップリングを形成する。スリップリングは、ドラム内のヒータのための電流、および、熱電対測定のためのデータ信号回路を提供することができる。本開示で述べるように、エネルギ伝送および制御システム100は、典型的なシステムのスリップリングにおいて別の方法で用いられ得る導体の数を減らすために、使用され得る(例えば、データ信号回路を除去することにより)。例えば、熱電対信号は、加熱要素に用いられる電力回路を通して送信されてもよい。別の例では、センターピボットヴィークル(不図示)は、センターピボット構造と灌漑設備との間で電力および電気信号を伝送するために、導電性サポート構造(例えば、スリップリングにある)に接続され得る。図5に関して、移動ロボットプラットフォームは、ケーブルリールヴィークル102に接続される。ケーブルリールヴィークル102のドラムは、ドラムに接続される回転構造が、導電性サポート支持構造に沿って回転軸の周りに移動する間も動かない導電性サポート108に沿って走行する。いくつかの実施形態では、移動プラットフォームヴィークル102は、また、プラットフォームに関して動かないケーブルとして構成される導電性サポート108に沿って走行してもよく、電力および電気信号は、固定ケーブルと移動プラットフォームとの間で伝送されてもよい(例えば、容量結合を用いて)。
【0019】
本開示の実施形態において、電源112とヴィークル102との間に導電性サポート108を介して確立される電気回路は、ヴィークル102を駆動するために搬送される電力とともに、通信信号を、低周波数(例えば、いくつかの実施形態では、500キロヘルツ(500k))で伝送するように構成される。例えば、通信信号は、約5キロヘルツ(5kHz)と約500キロヘルツ(500kHz)との間の周波数、例えば、約32キロヘルツ(32kHz)、約64キロヘルツ(64kHz)、約100キロヘルツ(100kHz)等で、伝送されてもよい。本開示で述べるように、低周波数または周波数範囲は、無線機器、可変周波数ドライブ(VFD)機器等との干渉を避ける、または、最小化するために、選択され得る。そのため、エネルギ伝送および制御システム100は、ブロードバンド通信システムに対して、データ速度が遅い、および/または、イミュニティが高いナロウバンド電力線キャリアを利用して実現されてよい。さらに、いくつかの実施形態では、エネルギ伝送および制御システム100は、信号強度、および/または、信号品質を維持するために、インピーダンスマッチングを採用してもよい。しかしながら、低周波数の通信信号を伝送するように構成される同じ導電性サポート108を通じてヴィークル102を駆動するために電力を送ることは一例であって、本開示を限定する趣旨ではない。他の実施形態では、図1を参照して説明されるように、エネルギ伝送および制御システム100は、複数の導電性サポート108(例えば、通信信号を送るための1以上の導電性サポート108、ヴィークル102を駆動するための電力を送るための1以上の導電性サポート108等)を含むことができる。
【0020】
実施形態では、電源112とヴィークル102との間で導電性サポート108を介して伝送される通信信号は、種々の周波数帯域、種々の変調方法、および、種々の通信モード(例えば、通信モデム規格およびプロトコル)を用いて伝送されてもよい。このような周波数帯域の例としては、欧州電気標準化委員会(CENELEC)規格(例えば、約3キロヘルツ(3kHz)から約148.5キロヘルツ(148.5kHz)の間の周波数)、電波産業会(ARIB)規格(例えば、約155キロヘルツ(155kHz)から約403キロヘルツ(403kHz)の間の周波数)、連邦通信委員会(FCC)規格(例えば、約155キロヘルツ(155kHz)から約487キロヘルツ(487kHz)の間の周波数)等のうちの1以上を挙げることができるが、必ずしもこれらに限定されない。このような変調方法の例としては、直交周波数分割多重化(OFDM)、周波数偏移変調(FSK)、二位相偏移変調(BPSK)等のうちの1以上を挙げることができるが、必ずしもこれらに限定されない。このような通信モードの例としては、PRIME、G3-PLC、IEEE 1901.2、Proprietary XXR等のうちの1以上を挙げることができるが、必ずしもこれらに限定されない。いくつかの実施形態では、複数の通信モード、および/または、周波数帯域は、エネルギ伝送および制御システム100によって、サポートされてもよい。
【0021】
例えば、電源112とヴィークル102との間で導電性サポート108を介して伝送される通信信号は、約5kHz、10kHz、20kHz、30kHz、40kHz、50kHz、60kHz、70kHz、80kHz、90kHz、100kHz、110kHz、120kHz、130kHz、140kHz、150kHz、160kHz、170kHz、180kHz、190kHz、200kHz、210kHz、220kHz、230kHz、240kHz、250kHz、260kHz、270kHz、280kHz、290kHz、300kHz、310kHz、320kHz、330kHz、340kHz、350kHz、360kHz、370kHz、380kHz、390kHz、400kHz、410kHz、420kHz、430kHz、440kHz、450kHz、460kHz、470kHz、480kHz、および490kHzと、約10kHz、20kHz、30kHz、40kHz、50kHz、60kHz、70kHz、80kHz、90kHz、100kHz、110kHz、120kHz、130kHz、140kHz、150kHz、160kHz、170kHz、180kHz、190kHz、200kHz、210kHz、220kHz、230kHz、240kHz、250kHz、260kHz、270kHz、280kHz、290kHz、300kHz、310kHz、320kHz、330kHz、340kHz、350kHz、360kHz、370kHz、380kHz、390kHz、400kHz、410kHz、420kHz、430kHz、440kHz、450kHz、460kHz、470kHz、480kHz、490kHz、および500kHzとの間の周波数で、伝送されてもよい。
【0022】
ここで図6を参照すると、いくつかの実施形態では、2以上の通信装置106の第1グループは、パワーバス114を介して、第1グループ118の一の通信装置が第1マスタ装置120として構成され、他の通信装置(または複数の他の通信装置)が第1マスタ装置120に対する第1スレーブ装置122として構成され得る仮想通信リンク上で、通信する。さらに、第2グループ124の一の通信装置が第2マスタ装置126として構成され、他の通信装置(または複数の他の通信装置)が第2マスタ装置126に対する第2スレーブ装置128として構成され得る。マスタ装置と1または複数のスレーブ装置とのグループの各々は、共通の通信チャネルを共有するように設定され得る。ここで、接続された装置のペアまたはグループの各々は、グループ間の意図しない相互作用を避けるために周波数キャリアの異なる(例えば、固有の)セットにより通信することができる。いくつかの実施形態では、通信装置は、複数のマスタ装置に対するスレーブ装置として構成され得る。さらに、一の通信装置の、マスタ装置および/またはスレーブ装置としての他の通信装置に関する関係性は、状況次第であってよい。例えば、ある状況下では、第1通信装置は、第2通信装置に対するスレーブ装置であってよいし、別の状況下では、第2通信装置自体が、第1通信装置に対するスレーブ装置であってよい。
【0023】
いくつかの実施形態では、例えば、キャリアの冗長性を提供するために、4つの狭い周波数キャリアが、通信装置106の各グループのために使用され、一緒に変調され得る。しかしながら、4つのキャリアは、例として提示されており、本開示を限定する意図はないことに留意すべきである。他の実施形態では、4より多いか少ない周波数キャリアが、通信装置106のグループのうちの特定のグループのために使用され得る。さらに、いくつかの実施形態では、例えば、直交FDM(OFDM)等の周波数分割多重化(FDM)方式、または、その他の多重化方式が、多数の(例えば、何百もの)キャリア周波数を提供するために用いられてよい。いくつかの実施形態では、OFDM変調を使用し、155キロヘルツ(155kHz)から487キロヘルツ(487kHz)の周波数帯域に属するナロウバンド電力線通信(NB-PLC)方式が使用されてもよい(例えば、IEEE規格1901.2に記載されている)。しかしながら、この周波数帯域は、一例として提示されており、本開示を限定する意図はない。他の実施形態では、1以上の他の周波数帯域、または、(例えば、電力線通信のために用意されるような)一連の周波数帯域が使用されてもよい。しかしながら、本開示で説明されるより高い周波数帯域が、(例えば、VFDノイズが一番の懸念事項であり得るような)産業環境でのノイズ耐性にとって望ましい。この例では、データ速度は、比較的遅くなり(例えば、500キロビット毎秒(500kbps))、環境のノイズに依存して変化し得る。また、1以上の通信装置106は、例えば、他のグループの装置と通信するために、異なる周波数、周波数の範囲、および/または、周波数のセットに切り替わってよいことに留意すべきである。いくつかの実施形態では、周波数偏移変調(FSK)、二位相偏移変調(BPSK)等の他の通信方式も使用可能であるが、必ずしもこれらには限定されない。
【0024】
図7および図8を参照すると、通信装置106は、ヴィークル102の1以上の個別に電気駆動される要素またはサブシステム、例えば、モータ132またはその他の電気駆動される装置に、電源112から電気エネルギを選択的に伝送するために、1以上のスイッチ(例えば、出力リレー130)を含んでいてもよい。本開示で説明するように、出力リレー130は、電気装置として定義されることができ、例えば、一の回路の電流または信号によって駆動されて他の回路を開閉する電磁石を含み得る。例えば、1以上の出力リレー130が、通信装置106に設けられていてよく、通信装置106に供給される直流(DC)および/またはAC電力、および/または、導体ネットワーク110から供給される電力に接続されてよい。通信装置106は、例えば、バス134および/または通信装置106内のその他の電力分配機構を用いて、電力を分配することができる。
【0025】
コントローラ136は、出力リレー130に動作可能に結合されることができ、導電性サポート108を通じて伝送される通信信号を受け取り、出力リレー130を動作させて、ヴィークル102の個別に電気駆動される要素またはサブシステム、例えば、モータ132に、電源112から電気エネルギを、選択的に伝送するように構成され得る。この方式では、入力138(例えば、AC入力)は、出力を生成するために、出力リレー130によって反映され得る。この出力は、他の場合では、フェスツーンまたは他の実際の物理層接続から得られ得る。したがって、出力リレー130は、種々のモータ132の動作開始および動作停止、ヴィークル102の方向の変更、ヴィークル102の速度の変更、ヴィークル102のライトの起動、警報の起動、リミットスイッチおよび/または位置検出機能の促進等に利用され得る。しかしながら、出力リレー130は、一例として提示されており、本開示を限定する意図はないことに留意すべきである。他の実施形態では、他のスイッチおよび/または出力装置が、入力を反映し、通信装置106間の仮想物理層接続104を提供するために、利用され得る。本開示の実施形態では、1以上の入力138がコントローラ136に、信号調整器140を含み得る接続によって接続され得る。本開示で説明するように、入力138は、AC入力、DC入力、アナログ電圧入力、アナログ電流入力、シリアル通信入力等を含み得るが、必ずしもこれらに限定される必要はない。エネルギ伝送および制御システム100の出力は、入力138を反映し得る。
【0026】
いくつかの実施形態では、通信装置106は、(例えば、意図しないまたは不測の動作状態において)種々の出力リレー130を初期状態にするために、例えば、強制ガイド接点を有する1以上のマスタリレー等の1以上のマスタリレー142を含み得る。マスタリレー142の各々は、異なる電圧源(例えば、1~24ボルト(24V)DC電圧源、1~250ボルト(250V)AC電圧源等)に接続されてもよい。いくつかの実施形態では、出力リレー130の複数のグループ(例えば、4グループまたは異なる数のグループ)が提供されてもよい。通信装置106は、また、例えば、ソフトウェア、ファームウェア、および/または(例えば、トークンウオッチドッグ回路チップを含む)ハードウェアとして実装されるウオッチドッグタイマモジュール144等のウオッチドッグ機能を備えてもよい。ウオッチドッグタイマモジュール144は、故障を検知する電子タイマとして実現され得る。例えば、通常動作の間、通信装置106は、定期的にウオッチドッグタイマモジュール144をリセットして、タイムアウトしないようにする。ウオッチドッグタイマモジュール144がリセットされずタイムアウトした場合、マスタリレー142は、種々の出力リレー130を初期状態にする。コントローラ136は、1以上の故障が、例えば、オペレータおよび/またはヴィークル102の1または複数の自動化システムによって対処されるまで、通常動作状態への復帰、および/または、セーフ状態への移行をするように構成されてもよい。ウオッチドッグタイムモジュール144は、パワーバス143(例えば、12ボルト(12V)DCパワーバス、24ボルト(24V)DCパワーバス等)と、ウオッチドッグタイマ145とを備えていてよく、パワーバス143は、種々のパワーサブモジュールの電力要求を満たすように構成される。例えば、パワーバス143は、パワーマネジメントIC(PMIC)であってもよい。
【0027】
いくつかの実施形態では、PMICおよびトークンウオッチドッグは、単一のICチップに含まれていてもよい。PMICは、基板の種々のサブシステムに供給電圧を提供してもよい。また、PMICは、電圧を監視し、それらが望ましい動作範囲内に確実に維持されるようにしてもよい。例えば、供給電圧が範囲外である場合、監視回路は、この状態を検知し、コントローラ136をセーフ状態に移行させてよい。トークンウオッチドッグは、コントローラ136のための独立したハードウェア監視システムであり得る。いくつかの実施形態では、コントローラ136は、ウオッチドッグから一連のデータパケット(例えば、トークン)を継続的に受け取り、(例えば、内部演算を用いて)適切な応答の判定をする。応答は、ウオッチドッグに、既定のタイムアウト時間内に、決まった順番で、返送される。このプロセスを中断させる内部のコントローラの故障は、ウオッチドッグエラーを引き起こし、これによって、コントローラ136がセーフ状態に移行する。この方式では、演算プロセスが、エネルギ伝送および制御システム100の動作に害を与え得る微細なコントローラの故障を検知するために使用され得る。
【0028】
本開示の実施形態において、その構成要素の一部または全てを含むシステム100は、コンピュータ制御下で動作する。例えば、プロセッサは、本開示で説明されるシステム100の構成要素および機能を、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア(例えば、変更不可能な論理回路)、手動処理、または、これらの組み合わせを用いて制御するために、システム100とともにまたはシステム100内に設けることができる。本開示で使用される、「コントローラ」、「機能」、「サービス」、および、「論理」は、一般に、システム100の制御に関連して、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、または、ソフトウェア、ファームウェア、またはハードウェアの組み合わせを表す。ソフトウェアでの実施の場合、モジュール、機能、または論理は、プロセッサ(例えば、1または複数の中央処理装置(CPU))で実行された場合に特定のタスクを実行するプログラムコードを表す。プログラムコードは、1以上のコンピュータ読み取り可能な記憶装置(例えば、内部メモリ、および/または、1以上の有形媒体)等に記憶され得る。本開示で説明される、構造、機能、手法、および技術は、様々なプロセッサを有する様々な商業用の演算プラットフォーム上で実現することができる。
【0029】
コントローラ136は、プロセッサ146と、メモリ148と、通信インタフェース150とを備え得る。プロセッサ146は、コントローラ136のための処理機能を提供し、任意の数のプロセッサ、マイクロコントローラ、またはその他の処理システムと、コントローラ136によりアクセスまたは生成されるデータおよびその他の情報を記憶するための常駐または外部メモリとを備え得る。プロセッサ146は、本開示で説明される技術を実現する1以上のソフトウェアプログラムを実行することができる。プロセッサ146は、それ自体を形成する材料、または、採用している処理機構によっては限定されず、それ自体は、1以上の半導体、および/または、1以上のトランジスタ(例えば、電子集積回路(IC)要素を用いて)等を通じて実現され得る。いくつかの実施形態では、コントローラ136は、マイクロコントローラ(MCU、マイクロコントローラユニット)として実現され得る。
【0030】
メモリ148は、コントローラ136の動作に関連付けられた種々のデータ、例えば、本開示で述べる機能を事項するための、ソフトウェアプログラム、および/または、コードセグメント、または、プロセッサ146および場合によってはコントローラ136のその他の構成に指示するためのその他のデータを記憶する記憶機能を提供する有形のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体の一例である。したがって、メモリ148は、例えば、システム100(その構成要素を含む)を動作させるための指示のプログラム等のデータを記憶することができる。単一のメモリ148について説明されているが、多種多様なタイプおよび組み合わせのメモリ(例えば、有形の非一時的なメモリ)を採用できることに留意すべきである。メモリ148は、プロセッサ146に一体化することができ、自立型メモリを含むことができ、また、これらの組み合わせとすることができる。
【0031】
メモリ148は、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、フラッシュメモリ(例えば、セキュアデジタル(SD)メモリカード、ミニSDメモリカード、および/または、マイクロSDメモリカード)、磁気メモリ、光学メモリ、ユニバーサルシリアルバス(USB)メモリ装置、ハードディスクメモリ、外部メモリ等の、取り外し可能および取り外し不可能なメモリ要素を含むことができるが、これらに限定される必要はない。いくつかの実施形態では、メモリ148は、同期式ダイナミックランダムアクセスメモリ(SDRAM)を用いて実現され得る。実施の形態において、コントローラ136および/またはメモリ148は、取り外し可能な集積回路カード(ICC)メモリ、例えば、加入者識別モジュール(SIM)カード、汎用加入者識別モジュール(USIM)カード、汎用集積回路カード(UICC)等により提供されるメモリを備え得る。
【0032】
通信インタフェース150は、システム100の構成要素と通信するように動作可能に構成される。例えば、通信インタフェース150は、システム100の記憶装置へのデータの送信、システム100の記憶装置からのデータの取得等を行うように構成され得る。通信インタフェース150は、また、システム100の構成要素とプロセッサ146との間のデータ転送を促進するため(例えば、コントローラ136に通信可能に結合される装置から受け取ったプロセッサ146への入力を伝達するため)にプロセッサ146に通信可能に結合される。通信インタフェース150はコントローラ136の構成要素として説明されているが、通信インタフェース150の1以上の構成要素は、有線および/または無線接続によってシステム100に通信可能に結合される外部の構成要素として実現され得ることに留意すべきである。また、システム100は、1以上の入出力(I/O)装置を備える、および/または、(例えば、通信インタフェース150を通して)接続することができる。1以上の入出力(I/O)装置は、ディスプレイ、マウス、タッチパッド、キーボード等を含むが、これらに限定される必要はない。
【0033】
通信インタフェース150および/またはプロセッサ146は、様々な異なるネットワークと通信するように構成され得る。様々な異なるネットワークは、広範囲の携帯電話ネットワーク(例えば、3Gセルラネットワーク、4Gセルラネットワーク、または、グローバルシステムフォーモバイルコミュニケーション(GSM)ネットワーク)、無線コンピュータ通信ネットワーク(例えば、WiFiネットワーク(例えば、IEEE 802.11ネットワーク規格を用いて動作する無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)))、ネットワーク間のネットワーク(internet)、インターネット(the Internet)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、ローカルエリアネットワーク(LAN)、パーソナルエリアネットワーク(PAN)(例えば、IEEE 802.11ネットワーク規格を用いて動作する無線パーソナルエリアネットワーク(WPAN))、公衆電話網、エクストラネット、イントラネット等を含むが、これらに限定される必要はない。しかしながら、このリストは、あくまでも一例として提示されており、本開示を限定する意図はない。さらに、通信インタフェース150は、単一のネットワークまたは複数のネットワークに異なるアクセスポイントを経て通信するように構成され得る。いくつかの実施形態では、通信インタフェース150は、1以上の無線送受信機152、1以上の有線送受信機154等を備え得る。いくつかの実施形態では、1以上の送受信機が、データのログをとるために用いられ得る。
【0034】
ここで図9を参照すると、コントローラ136は、接続された装置の各ペアまたはグループが特定の周波数キャリアまたは周波数キャリアのセットを用いて通信する共通の通信チャネルを定義するチャネル選択モジュール156(例えば、デュアルインラインパッケージ(DIP)スイッチまたはその他のセレクタ)に結合され得る。しかしながら、例えばDIPスイッチのようなハードウェアスイッチング装置は、一例として提示されており、本開示を限定する意図はない。チャネル選択モジュール156は、ソフトウェアスイッチング装置、ファームウェアスイッチング装置等として実現され得る。コントローラ136は、また、通信インタフェースを用いて1以上のサポートおよび/または診断モジュール158に結合され得る。通信インタフェースは、イーサネットポート、SDメモリカードソケット、USBポート、ブルートゥースインタフェース、フラッシュメモリインタフェース、遠隔無線周波数接続等を含むが、これらに限定される必要はない(例えば、図8を参照して説明されるように、1以上の無線送受信機152、1以上の有線送受信機154等として実現される)。いくつかの実施形態では、通信インタフェース150は、また、シリアル送受信機160と結合するように構成され得る。
【0035】
通信装置106のコントローラ136は、例えば、別の通信装置106の第2コントローラ136と通信する際に、種々の通信方式を実現してもよい。例えば、通信装置106は、導体ネットワーク110での確定的な情報交換を提供するために、前方誤り訂正、誤り検出、種々の同期技術、状態確認、指示確認、および/または、その他の技術を採用し得る。いくつかの実施形態では、通信装置106は、また、導体ネットワーク110においてパケット化されたデータの送信および/または受信をしてよい。例えば、エネルギ伝送および制御システム100の構成要素間の通信は、1以上の比較的低速の通信プロトコル、例えば、長距離および/またはノイズ環境下の通信のための低速イーサネットプロトコル(例えば、RS-485規格プロトコル)を用いて実現され得る。加えて、エネルギ伝送および制御システム100内の通信は、例えば、ユーザデータグラムプロトコル(UDP)通信プロトコル等の低遅延および/または耐損失接続を確立するための1以上のプロトコルを用いて実現され得る。
【0036】
コントローラは、導体ネットワーク110に結合されてもよく、バス166を介して、DC電力162、AC電力164等を供給されてもよい。いくつかの実施形態では、AC電力164は、サージプロテクタ168、フィルタ170、AC-DC電源172、および/または、スタートアップ/ホールドアップモジュール174を用いて、バス166に接続され得る。スタートアップ/ホールドアップモジュール174は、短時間(例えば、瞬時)の停電および/または断線の影響を減らす、および/または、最小化するための、1以上のキャパシタを備え得る。導体ネットワーク110は、例えば、結合トランス176および電力線キャリア(PLC)178を用いて、バス166に接続されてもよい。いくつかの実施形態では、PLC178は、システムオンチップ(SoC)装置を用いて、実現されてもよい。本開示で述べるように、DC電力162は、約19ボルト(19V)から約30ボルト(30V)の間の電圧を採用してもよい。AC電力164は、約90ボルト(90V)から約264ボルト(264V)の間の電圧を採用してもよい。導体ネットワーク110は、約480ボルト(480V)の交流を採用してもよい。しかしながら、これらの電圧範囲は一例として提示されており、本開示を限定する意図はないことに留意すべきである。その他の実施形態では、DC電力162、AC電力164、および/または、導体ネットワーク110は、異なる電圧または電圧範囲を採用してもよい。
【0037】
いくつかの実施形態では、エネルギ伝送および制御システム100は、複数の所望の周波数範囲での通信を可能としながらも、不要な干渉を除去する種々のフィルタ方式を実現し得る。例えば、フィルタ170は、より低い周波数通信(例えば、本開示で述べるようなナロウバンド通信のための周波数範囲内)、および、比較的高い周波数(例えば、ブロードバンド通信のための周波数範囲内)を通すように、動作し得る。例えば、いくつかの実施形態では、約100キロヘルツ(100kHz)から約100メガヘルツ(100MHz)の間の周波数を通すようにフィルタリングが行われ得る。
【0038】
図10を参照すると、エネルギ伝送および制御システム100の種々の構成要素は、モジュール式のハードウェアを用いて実現され得る。例えば、筐体180は、例えば、副(例えば、ドーター)回路基板184に接続する機能を有する主回路基板182等のシステム要素を取り付けるために、使用され得る。本開示の実施形態において、ドーターボードは、異なる数の入力および出力(例えば、4個の入力、8個の入力、16個の入力、4個の出力、8個の出力、16個の出力等)を備えてもよい。異なるドーターボードは、必要に応じて、入力の数を変えるために交換され得る。さらに、いくつかの実施形態では、副/ドーター回路基板184は、離れた場所に取り付けられてもよい(例えば、その他の配線によって接続される)。また、1以上の抵抗器が、エネルギ伝送および制御システム100内でいくつの入力が利用可能であるかを決定するために、エネルギ伝送および制御システム100によって使用されてもよい。例えば、抵抗器の状態は、利用可能な入力の数を示し得る。
【0039】
一般に、本開示で述べる機能のいずれかは、ハードウェア(例えば、集積回路等の変更不可能な論理回路)、ソフトウェア、ファームウェア、手動処理、または、これらの組み合わせを用いて実現され得る。上記開示で説明されるブロックは、一般に、ハードウェア(例えば、集積回路等の変更不可能な論理回路)、ソフトウェア、ファームウェア、または、これらの組み合わせを示す。ハードウェア構成の例において、上記開示で説明される種々のブロックは、他の機能を有する集積回路として実現されてもよい。このような集積回路は、所定のブロック、システム、または回路の機能の全て、または、当該ブロック、システム、または回路の機能の一部を含んでもよい。さらに、ブロック、システム、または回路の要素は、複数の集積回路にわたって実現されてもよい。このような集積回路は、種々の集積回路を備えてもよく、種々の集積回路は、モノリシック集積回路、フリップチップ集積回路、マルチチップモジュール集積回路、および/または、ミックストシグナル集積回路を含むが、必ずしもこれらに限定される必要はない。ソフトウェア実装の例において、上記開示で説明される種々のブロックは、プロセッサで実行されると特定のタスクを行う実行可能な指示(例えば、プログラムコード)を表す。これらの実行可能な指示は、1以上の有形のコンピュータ読み取り可能な媒体に記憶され得る。いくつかのそのような例では、全体のシステム、ブロック、または回路は、その等価なソフトウェアまたはファームウェアを用いて実現され得る。その他の例では、所定のシステム、ブロック、または回路の一部分は、ソフトウェアまたはファームウェアにおいて実現され得、その他の部分はハードウェアにおいて実現される。
【0040】
主題は、構造的な特徴および/または方法論的な行為に特有の言語で説明されてきたが、添付の特許請求の範囲に定義されている主題は、上記の特定の特徴または行為に限定されないものと理解されたい。むしろ、上記の特定の特徴および行為は、特許請求の範囲を実施する例の形態として開示されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10