IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アルバック コリア カンパニー リミテッドの特許一覧

<>
  • 特許-マグネトロンスパッタリング装置 図1
  • 特許-マグネトロンスパッタリング装置 図2
  • 特許-マグネトロンスパッタリング装置 図3
  • 特許-マグネトロンスパッタリング装置 図4
  • 特許-マグネトロンスパッタリング装置 図5
  • 特許-マグネトロンスパッタリング装置 図6
  • 特許-マグネトロンスパッタリング装置 図7
  • 特許-マグネトロンスパッタリング装置 図8
  • 特許-マグネトロンスパッタリング装置 図9
  • 特許-マグネトロンスパッタリング装置 図10
  • 特許-マグネトロンスパッタリング装置 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-23
(45)【発行日】2023-07-03
(54)【発明の名称】マグネトロンスパッタリング装置
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/35 20060101AFI20230626BHJP
   H01L 21/285 20060101ALI20230626BHJP
【FI】
C23C14/35 C
H01L21/285 S
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020542163
(86)(22)【出願日】2019-02-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-20
(86)【国際出願番号】 KR2019001559
(87)【国際公開番号】W WO2019160273
(87)【国際公開日】2019-08-22
【審査請求日】2021-12-02
(31)【優先権主張番号】10-2018-0017451
(32)【優先日】2018-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518346720
【氏名又は名称】アルバック コリア カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100104215
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100196575
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 満
(74)【代理人】
【識別番号】100168181
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100160989
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 正好
(74)【代理人】
【識別番号】100117330
【弁理士】
【氏名又は名称】折居 章
(74)【代理人】
【識別番号】100168745
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 彩子
(74)【代理人】
【識別番号】100176131
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100197398
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 絢子
(74)【代理人】
【識別番号】100197619
【弁理士】
【氏名又は名称】白鹿 智久
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジョンゴン
(72)【発明者】
【氏名】ソ、ビョンホ
(72)【発明者】
【氏名】コ、ムソク
(72)【発明者】
【氏名】ビョン、ドンボン
【審査官】安齋 美佐子
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-524016(JP,A)
【文献】特開昭58-003975(JP,A)
【文献】特開平02-111874(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/00-14/58
H01L 21/285
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スパッタされる表面を有するターゲットと、
前記ターゲットの表面とは反対側に対向して配置され、第1の軸方向に長手であり、前記第1の軸方向とは直交する第2の軸方向に短手であるプレート形状のヨークと、
第1の磁極を前記ターゲットに向けて前記ヨーク上に配置された馬蹄形状である第1の永久磁石と、
前記第1の磁極とは異なる第2の磁極を前記ターゲットに向けて前記ヨーク上に配置された第2の永久磁石と、前記第2の永久磁石に取り巻かれるコイルと、を有し、前記馬蹄形状である第1の永久磁石の内側に配置される電磁石と
を有し、前記第1の磁極と前記第2の磁極とによって磁場が前記ターゲットの表面で形成される磁石集合体と、
前記コイルに印加される電力を変化させることにより、前記磁場のうち前記ターゲット表面とは垂直である垂直磁場がゼロである位置を前記ターゲットの表面内で移動させる制御部と
を具備するマグネトロンスパッタリング装置
【請求項2】
前記第1の永久磁石は逆「コ」状を有する、請求項に記載のマグネトロンスパッタリング装置
【請求項3】
前記第1の永久磁石は、前記第2の軸方向に平行な中央部と、前記中央部の両端から前記第1の軸方向に延びる側部と、を有し、
前記電磁石から前記中央部までの距離は、前記電磁石から前記側部までの距離と同一であるか、より大きい、請求項1に記載のマグネトロンスパッタリング装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マグネトロンスパッタリング装置の磁石集合体に関する。
【背景技術】
【0002】
スパッタリング装置は、半導体、FPD(LCD、OLEDなど)又は太陽電池製造の際に基板上に薄膜を蒸着する装置である。また、スパッタリング装置は、ロールツーロール(roll to roll)装置にも用いられる。そのうちの1つである、マグネトロンスパッタリング(Magnetron sputtering)装置は、真空状態のチャンバ内にガスを注入してプラズマを生成させ、イオン化されたガス粒子を蒸着しようとするターゲット物質と衝突させた後、衝突によりスパッタされた粒子を基板に蒸着させる技術を用いる。ここで、ターゲットに磁気力線を形成するために、磁石ユニットが基板に対向してターゲットの後面に配置される。即ち、ターゲットの前面には基板が備えられ、ターゲットの後面には磁石ユニットが備えられる配置を形成する。
【0003】
このようなマグネトロンスパッタリング装置は、相対的に低温で薄膜を製造することができ、電場により加速されたイオンが基板に緻密に蒸着し、かつ蒸着速度が速いという長所のことから、幅広く用いられている。
【0004】
一方、大面積の基板上に薄膜を蒸着するために、インライン又はクラスタシステムを用いる。インライン及びクラスタシステムは、ロードチャンバとアンロードチャンバとの間に複数の処理チャンバが備えられ、ロードチャンバにロードされた基板が複数の処理チャンバを通過しながら、連続した工程を行われる。このようなインライン及びクラスタシステムでスパッタリング装置は、少なくとも1つの処理チャンバ内に備えられ、磁石ユニットが一定の離隔をもって備えられる。
【0005】
ところで、磁石ユニットによる固定的な磁場が存在することから、ターゲットの表面の侵食は、電場及び磁場によるプラズマの密度に応じて決定される。特に、磁石ユニットは縁部、即ち、長手方向の少なくとも一端にグラウンド電位が印加されるため、基板の縁部のプラズマ密度が他の領域に比べて大きく、それによりターゲットの縁部の他の領域に比べてスパッタリングの速度が迅速になる。従って、基板上に蒸着される薄膜の厚さ分布が均一でないことから、膜質分布が低下するという問題が発生し、プラズマの密度差により、ターゲットの特定部分が侵食し過ぎることによりターゲットの効率減少という問題が発生する。
【0006】
このような問題を解決するために、縁部の厚さが中央部の厚さよりも厚いターゲットを使用する方法がある。このようなターゲットを製造するためには、平面ターゲットの中央部を研磨して厚さを薄くするなど、追加的な工程を用いて平面のターゲットを必ず加工しなければならない。しかし、これは平面ターゲットを加工することにより材料の損失が生じ、追加的な工程によるコストが発生するという問題がある。また、ターゲットを加工する過程で、ターゲットが損傷するなどの問題も生じる恐れがある。
【0007】
問題を解決するための他の方法として、シャント(shunt)などを用いてターゲットの表面の磁場強度を調整する方法、磁石の端にライナを用いて距離を調整する方法、又は、磁石の端位置にZ軸モータを追加する方法などが挙げられる。しかし、このような方法の全ては製造コストが増加し、手作業で磁場の強度を調整しなければならず、磁場強度の調整が局所に行われることができないため、数回繰り返して作業を行わなければならず、作業時間が多く費やされるという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一実施形態の目的は、ターゲット上で垂直磁場がゼロになる位置(以下、B⊥0)即ち、局所に水平磁場が最大になり、プラズマの密度が他の領域に比べて大きく、これにより、ターゲット消耗(侵食)が集中する位置を左右方向(X軸)だけではなく、上下方向(Y軸)にも移動させ得るマグネトロンスパッタリング装置の磁石集合体を提供することにある。
【0009】
また、一実施形態の目的は、簡単な制御方式でB⊥0を移動させ得るマグネトロンスパッタリング装置の磁石集合体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一実施形態によれば、マグネトロンスパッタリング装置の磁石集合体は、ヨークと、前記ヨーク上に配置し、前記ヨークに垂直な方向を基準にして互いに異なる刺激を有する電磁石と、前記ヨーク上に前記電磁石から離隔して配置し、前記電磁石の少なくとも一部を取り囲む永久磁石をと含む。
【0011】
前記永久磁石は、前記ヨークに平行な方向に開口されている馬蹄形状を有し、前記電磁石は、前記永久磁石の内側に備えられることができる。
【0012】
前記永久磁石は逆「コ」状を有することができる。
【0013】
前記電磁石に印加される電力が変化することにより、前記マグネトロンスパッタリング装置のターゲット上で垂直磁場がゼロである位置が移動することができる。
【0014】
前記電磁石は、前記ヨーク上に固定され、前記永久磁石内側に備えられるコアと、前記コアに取り巻かれるコイルと含むことができる。
【0015】
前記マグネトロンスパッタリング装置の磁石集合体は、前記コイルに印加される電力を変化させる制御部をさらに含むことができる。
【0016】
前記電磁石から前記永久磁石の中央部までの距離は、前記電磁石から前記永久磁石の側部までの距離と同一であるか、より大きくてもよい。
【発明の効果】
【0017】
一実施形態によれば、ターゲット上に形成されるB⊥0を左右方向だけでなく、上下方向にも移動させることで、ターゲットの局部的な過剰な侵食を防止することができる。
【0018】
また、電磁石の強度を制御する方式により、簡単な方式でターゲット上に形成されるB⊥0を移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】一実施形態に係るスパッタリング装置の構造を概略的に示した側面図である。
図2】一実施形態に係る磁石集合体の上面図である。
図3】一実施形態に係る垂直磁場がゼロである位置(以下、B⊥0)を示す磁石集合体の平面図である。
図4】一実施形態に係る電磁石の強度が増加することにより、B⊥0が変化する形状を概略的に示した磁石集合体の側面図である。
図5図4に示す磁石集合体の平面図である。
図6】一実施形態に係る電磁石の強度が減少するにより、B⊥0が変化する形状を概略的に示す側面図である。
図7図6に示す磁石集合体の平面図である。
図8】一実施形態に係る磁石集合体の上面図である。
図9】一実施形態に係るターゲット上にB⊥0を示すターゲットの上面図である。
図10】一実施形態に係る電磁石の強度変化に応じてB⊥0が変化する形状を示すターゲットの上面図である。
図11図10のI-Iに沿って切開したターゲットの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、実施形態を例示的な図を参照して詳説する。各図面の構成要素に参照符号を付加することにおいて、同じ構成要素については、たとえ他の図面上に表示されていても、可能な限り同じ符号を有するようにしたことに留意しなければならない。また、実施形態の説明にあたり、関連する公知構成又は機能の具体的な説明が実施形態についての理解を妨げると判断される場合には、その詳細な説明は省略する。
【0021】
また、実施形態の構成要素を説明することにおいて、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を使用することができる。これらの用語は、その構成要素を他の構成要素と区別するためのものにすぎず、その用語によって当該の構成要素の本質や順序などが限定されることはない。いずれかの構成要素が他の構成要素に「連結」、「結合」、又は「接続」されていると言及されたときには、その他の構成要素に直接的に連結されているか又は接続されているが、各構成要素との間にさらなる構成要素が「連結」、「結合」、又は「接続」され得るものと理解されなければならない。
【0022】
いずれか 1つの実施形態に含まれている構成要素と、共通的な機能を含んでいる構成要素は、他の実施形態にて同じ名称を用いて説明することにする。反対の記載がない限り、いずれか1の実施形態に記載された説明は、他の実施形態にも適用されてもよく、重なる範囲で具体的な説明は省略することにする。
【0023】
図1は、一実施形態に係るスパッタリング装置の構造を概略的に示した側面図であり、図2は、一実施形態に係る磁石集合体の上面図であり、図3は、一実施形態に係る垂直磁場がゼロである位置を示す磁石集合体の平面図である。
【0024】
図1及び図2を参照すると、一実施形態に係るスパッタリング装置1は、磁石集合体10、基板20、基板載置部30、ターゲット40、バッキングプレート50及び制御部60を含む。
【0025】
磁石集合体10は、複数の電磁石11,91、永久磁石12、及びヨーク13を含む。磁石集合体10は、電磁石11及び永久磁石12を用いて、ターゲット40上に一定の強度の固定磁場を形成する。固定磁場と外部から印加された電場により、ターゲット40の表面にプラズマが形成される。プラズマの密度は、固定磁場及び印加された電場により決定されることができる。プラズマによってターゲット40の表面でスパッタリングが発生し、基板20上に薄膜が蒸着される。
【0026】
磁石集合体10がターゲット40上に形成する固定磁場は、垂直磁場及び/又は水平磁場を含む。ターゲット40の表面において、垂直磁場(ターゲットの表面と垂直にある磁力線成分)がゼロである位置(以下、B⊥0という)において、局所に水平磁場(ターゲットの表面と平行な磁力線成分)が最大になり、当該の領域でプラズマの密度が他の領域に比べて大きいことから、スパッタリング速度が速い。図3において、点線で示すB⊥0は、基板40の表面で形成されるB⊥0を概念的に示したものである。B⊥0は、電磁石11と永久磁石12との間で形成される。B⊥0の位置は、磁石集合体10からターゲット40が離隔した距離に応じて変わり得る。
【0027】
磁石集合体10は、磁石集合体10よりも大きい大面積の基板20に薄膜を蒸着する場合2以上備えられる。ここで、少なくとも2以上の磁石集合体10は、同一の大きさ及び同一の構造で備えられ、同じ間隔に離隔されてもよい。
【0028】
ヨーク13はプレート形状を有し、複数の電磁石11,91及び永久磁石12を支持する。例えば、ヨーク13は、長手方向に延びた形状を有してもよい。
【0029】
複数の電磁石11,91のうち、ヨーク13の両端部に配置される電磁石11は、永久磁石12に取り囲まれることができる。電磁石11は、ヨーク13上に永久磁石12から離隔して配置される。電磁石11は、外部に備えられる制御部(図示せず)によって制御され、強度が制御されてもよい。例えば、電磁石11は、コイル111及びコア112を含む。コイル111は、コア112の外表面に沿って時計回り又は反時計回りに取り巻かれる。コイル111は、磁場を生成する。コア112は、コイル111が生成する磁場を増幅させることができる。コア112はヨーク13上に固定され、永久磁石12の内側に備えられる。例えば、コア112は、鉄心又は永久磁石であってもよい。
【0030】
複数の電磁石11,91のうち、ヨーク13の中央部に配置されている電磁石91は、ヨーク13の両端部に配置される永久磁石12間に備えられてもよい。電磁石91は複数の列、例えば、3つの列をなしてもよい。
【0031】
永久磁石12は、ヨーク13の両端部に配置される。永久磁石12は、ヨーク13上に電磁石11から離隔して配置し、電磁石11の少なくとも一部を取り囲んでいる。永久磁石12は、電磁石11と相互作用して磁場を生成することができる。
【0032】
永久磁石12は、中央部12aと、中央部12aの両端部から同じ方向に突出形成されている両側部12b,12cを含む。永久磁石12の両側部12b,12cの間には電磁石11が配置される。
【0033】
複数の電磁石11,91及び永久磁石12は、ターゲット40上で閉曲線をなすB⊥0を形成する。例えば、永久磁石12の上部はN極であってもよく、下部はS極であってもよい。電磁石11の上部はS極であってもよい。また、図2を基準にして、電磁石91は3つの列をなすが、中間の列に配置されている電磁石91の上部は、電磁石11と同じS極であってもよく、左側の列及び右側の列に配置されている電磁石91の上部は、永久磁石12と同じN極であってもよい。この場合、複数の電磁石11,91及び永久磁石12は、ターゲット40上で略楕円形をなすB⊥0を形成することができる。ここで「上部」とは、ヨーク13から離隔した部分を指し、図2に示す部分をいう。一方、「下部」は、ヨーク13と接している部分を指し、図2にて隠されている部分である。
【0034】
異なる例として、永久磁石12の上部はS極であってもよく、電磁石11の上部はN極であってもよい。また、図2を基準にして、電磁石91は3つの列をなしているが、中間の列に配置されている電磁石91の上部は、電磁石11と同じN極であってもよく、左側の列及び右側列に配置されている電磁石91の上部は永久磁石12と同じS極であってもよい。
【0035】
永久磁石12は、ヨーク13に平行な方向に開口されている馬蹄形状を有する。例えば、永久磁石12は、逆「コ」状を有する。逆「コ」状の永久磁石12は、開口部に行くほど幅が大きくなるか、小さくなる部分を含む。例えば、永久磁石12の幅は、開口部に行くほど少しずつ大きくなるか、小さくなる。ヨーク13の両端に配置されている永久磁石12それぞれの開口部は互いに対向している。電磁石11は、永久磁石12の内側に備えられる。電磁石11が永久磁石12の内側に備えられることにより、電磁石11及び永久磁石12は、略「U」状のB⊥0を形成する。電磁石11に印加される電力が変化することで、ターゲット40上で垂直磁場がゼロである位置、即ち、B⊥0が移動することができる。例えば、B⊥0の幅が増加又は減少したり、B⊥0が上方又は下方へ移動したりしてもよい。言い換えれば、電磁石11のみを制御する方式により、B⊥0を上下左右に移動させることができる。B⊥0の移動に対する具体的な内容については、図4図7を参照して後述する。
【0036】
基板20は、半導体、FPD(LCD、OLEDなど)、太陽電池などを製造するための基板であってもよく、シリコンウェハー、グラスなどであってもよい。また、基板20は、ロールツーロールに適用される膜型基板であってもよい。
【0037】
基板載置部30は、磁石集合体10と互いに対向するように、即ち、互いに向かい合ったり、一定の角度傾いた状態で所定の距離離隔したりして備えられてもよい。ここで、基板載置部30は、装置内に上側、下側、又は側部に備えられてもよく、これに対向するように磁石集合体10が備えられている。例えば、基板載置部30が下側に備えられれば、磁石集合体10は上側に備えられ、基板載置部30が上側に備えられれば、磁石集合体10は下側に備えられる。また、基板載置部30が側面に垂直に備えられている場合、磁石集合体10は、これに対面する他側面に備えられてもよい。
【0038】
基板載置部30は、蒸着物質が基板20に均一に蒸着されるように、基板20を固定することができる。基板載置部30は基板20が載置すれば、固定手段などを用いて基板20の縁部を固定したり、基板20の裏面で基板20を固定したりすることができる。基板載置部30は、基板20の裏面を全て支持して固定するために、基板20の形状を有する略四角形又は円形の形状に備えられてもよい。また、基板載置部30は、基板20の縁部の部分を固定するために、所定の長さを有する4個のバーが上下左右に所定の間隔離隔して備えられ、バーの縁部が互いに接触することで、中央部が空いている四角の枠組み形状に備えられてもよい。一方、基板載置部30は、基板が載置している状態で一方向に移動する。例えば、一方向に進むながら基板20上に薄膜を蒸着してもよい。従って、基板載置部30の基板が載置していない面には、基板載置部30を移動させる移動手段(図示せず)が備えられることができる。移動手段は、基板載置部30と接触して移動させるローラと、基板載置部30と離隔して磁気力で移動させる磁気移送手段などを含むことができる。勿論、基板載置部30の一部が移動手段として機能してもよい。また、停止型スパッタリング装置の場合、固定手段が必要でなくてもよい。ここで、基板載置部30は、基板20をリフトさせるリフトピンを備えてもよい。
【0039】
ターゲット40は、バッキングプレート50に固定し、基板20に蒸着される物質から構成される。このようなターゲット40は、金属物質又は金属物質を含む合金であってもよい。また、ターゲット40は、金属酸化物、金属窒化物又は誘電体であってもよい。例えば、ターゲット40は、Mg、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Al、In、C、Si、及びSnなどから選択される元素を主成分にする材料を用いる。一方、バッキングプレート50とターゲット40は、総厚さが5mm~50mmの程度で形成されてもよい。
【0040】
バッキングプレート50は、磁石集合体10と基板載置部30との間に備えられる。また、バッキングプレート50の一面にはターゲット40が固定される。即ち、ターゲット40は、基板20に対面しているバッキングプレート50の一面に固定されている。一方、バッキングプレート50を備えることなく、磁石集合体10の上側にターゲット40を設けることも可能である。
【0041】
制御部60は、電磁石11に印加される電力を変化させることができる。制御部60は、例えば、コイル111に印加される電圧又は電流の大きさを変化させることができる。
【0042】
図4は、一実施形態に係る電磁石の強度が変わることにより、B⊥0が変化する形状を概略的に示した磁石集合体の側面図であり、図5は、図4に示す磁石集合体の平面図である。図4において、ターゲット40の位置を点線に表示した。
【0043】
図4及び図5を参照すると、磁石集合体10は、B⊥0を移動させることができる。制御部60が電磁石11に印加される電流及び/又は電圧を変化させるとき、電磁石11及び永久磁石12の相互間に生じる磁場は変化する。そのため、ターゲット40上に形成されるB⊥0が移動する。
【0044】
図5を参照すると、電磁石11の強度が増加するとき、例えば、電磁石に5A、10Aを印加したとき、B⊥0は0A、即ち、電磁石への電力の非印可時よりも外側に向かって広がることがある。言い換えれば、B⊥0は、電磁石11から永久磁石12に向かって移動する。図4及び図5において、初期状態におけるB⊥0はB⊥0(0A)のように示され、電磁石11に5Aの電流が流れるときのB⊥0はB⊥0(5A)のように示され、電磁石11に10Aの電流が流れるときのB⊥0はB⊥0(10A)に示されている。
【0045】
図6は、一実施形態に係る電磁石の強度が増加することによりB⊥0が変化する形状を概略的に示した側面図であり、図7は、図6に示す磁石集合体の平面図である。図4において、ターゲット40の位置を点線に表示した。
【0046】
図6及び図7を参照すると、電磁石11の強度が減少するとき、B⊥0は内側に集まる。言い換えれば、B⊥0は、永久磁石12から電磁石11に向かって移動する。図6及び図7において、初期状態におけるB⊥0はB⊥0(0A)に示し、電磁石11に-5Aの電流が流れるときのB⊥0はB⊥0(-5A)に示し、電磁石11に-10Aの電流が流れるときのB⊥0はB⊥0(-10A)に示している。
【0047】
図8は、一実施形態に係る磁石集合体の上面図であり、図9は、一実施形態に係るターゲット上にB⊥0を示すターゲットの上面図である。
【0048】
図8及び図9を参照すると、電磁石11から永久磁石12の中央部12aまでの距離L2は、電磁石11から永久磁石12の側部12b,12cまでの距離よりも大きいか同一であってもよい。電磁石11の強度が変化する間に、B⊥0の上下方向の変位D2は、左右方向の変位D1よりも大きい。
【0049】
例えば、電磁石11は、永久磁石12のN極の影響を多く受け、それにより、B⊥0の上下方向の変位D2が左右方向の変位D1よりも大きい。電磁石11と永久磁石12との間に形成される磁気力線の分布のうち、上下方向の変位部分(Y軸方向)は、左右方向の変位部分(X軸方向)よりも電磁石の周辺部に位置するN極の永久磁石の単位面積が広く、電磁石の強度変化に応じて大きい影響を受ける。
【0050】
例えば、マグネトロンスパッタリング装置は、磁石集合体10(図1参照)を左右方向に駆動する駆動部(図示せず)を含んでもよい。マグネトロンスパッタリング装置は、制御部を介してB⊥0の上下方向の変更範囲を十分に確保し、駆動部を介してB⊥0の左右方向の変更範囲を十分に確保することができる。もちろん、駆動部なくても電磁石11の強度調整だけでB⊥0上下左右の変更範囲を確保することができる。
【0051】
図10は、一実施形態に係る電磁石に印加される電流の方向及び/又は強度の変化に応じて、B⊥0が変化する形状を示すターゲットの上面図であり、図11は、図10示すI-Iに沿って切開したターゲットの断面図である。
【0052】
図10及び図11を参照すると、初期状態のB⊥0(a)は、左右に移動してターゲット40の表面上にスパッタリングを発生させ、拡張されたB⊥0(b)及び縮小されたB⊥0(c)も左右に移動し、ターゲット40の表面上にスパッタリングを発生させることができる。重複領域(A)では、局部的な過剰侵食が生じる恐れがあるが、磁石集合体10(図1参照)は、B⊥0の境界を移動させることで、重複領域(A)を拡張させることができ、重複領域(A)における侵食の深さを低減することができる。
【0053】
上述したように実施形態を限定された図面によって説明したが、当技術分野で通常の知識を有する者であれば、上記の説明に基づいて様々な技術的な修正及び変形を適用することができる。例えば、説明された技術が説明された方法と異なる順で実行され、又は説明されたシステム、構造、装置、回路などの構成要素が説明された方法と異なる形態で結合又は組み合わせられてもよく、他の構成要素又は均等物によって置き換え又は置換されたとしても適切な結果を達成することができる。したがって、他の具現、他の実施例、及び特許請求の範囲と均等なものなどについても後述する請求範囲の範囲に属する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11