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特許7301869アプライアンスへのトークンの承認およびプロビジョニングのためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-23
(45)【発行日】2023-07-03
(54)【発明の名称】アプライアンスへのトークンの承認およびプロビジョニングのためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/38 20120101AFI20230626BHJP
   G06Q 20/02 20120101ALI20230626BHJP
【FI】
G06Q20/38 310
G06Q20/02 300
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020551859
(86)(22)【出願日】2018-03-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-26
(86)【国際出願番号】 US2018024441
(87)【国際公開番号】W WO2019190468
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2021-03-09
(73)【特許権者】
【識別番号】505468864
【氏名又は名称】ビザ インターナショナル サービス アソシエーション
(74)【代理人】
【識別番号】100124327
【弁理士】
【氏名又は名称】吉村 勝博
(72)【発明者】
【氏名】ヴィアス,スレンドラ
(72)【発明者】
【氏名】シュクラ,ヴァイビハーバ
(72)【発明者】
【氏名】ラオ,シンドュ,シャンカル
(72)【発明者】
【氏名】トリパティ,サティヤ,プラカシュ
【審査官】松野 広一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/209767(WO,A1)
【文献】特開2014-032517(JP,A)
【文献】特表2018-503202(JP,A)
【文献】特表2017-537421(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0275488(US,A1)
【文献】特開2002-197297(JP,A)
【文献】特開2017-068651(JP,A)
【文献】森下 太一郎 外2名,シャープのHMSクラウドプラットフォーム,シャープ技報[online],SHARP,2016年09月06日,第109号,pp.9-12
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アプライアンスへのトークンの承認およびプロビジョニングのためのコンピュータ実装方法であって、
少なくとも一つのプロセッサで、いかなるユーザアカウント識別子にも関連付けられていないデバイスアカウント番号(D PAN )を含む元のアカウント識別子を少なくとも一つのアプライアンスに登録することと、
データベースおよび少なくとも一つのプロセッサで、前記少なくとも一つのアプライアンスによって記憶されるデバイストークンを、前記少なくとも一つのアプライアンス上ではなく前記データベースに記憶される前記DPANに関連付けることと、
データベースおよび少なくとも一つのプロセッサで、ユーザのユーザアカウント識別子を前記デバイストークンおよび前記少なくとも一つのアプライアンスに登録された前記DPANに、関連付けることと、
少なくとも一つのプロセッサを用いて、前記少なくとも一つのアプライアンスのデバイスプロファイルを、モデル、製造業者、取引履歴、年齢、サービス履歴、またはそれらの任意の組み合わせのアプライアンスパラメータのうちの少なくとも一つに、少なくとも部分的に基づいて、生成することと、
前記少なくとも一つのアプライアンスから、取引のための、前記デバイストークンを含む取引要求を受信することと、
少なくとも一つのプロセッサとデータベースとで、前記デバイストークンに基づいて前記ユーザアカウント識別子を識別することと、
少なくとも一つのプロセッサで、前記取引が、前記ユーザアカウント識別子と前記少なくとも一つのアプライアンスに登録された前記DPANとの関連付けに少なくとも部分的に基づいて、承認されると判定することと、
前記取引が承認されているとの判定に応じて、前記取引を処理することと、を含むコンピュータ実装方法。
【請求項2】
前記取引が承認されると判定することが、
前記少なくとも一つのアプライアンスに登録された前記DPANに関連付けられた発行者システムに、承認要求を伝達することと、
前記ユーザアカウント識別子に関連付けられた発行者システムに、承認要求を伝達することと、
前記ユーザアカウント識別子に関連付けられた前記発行者システムと、前記少なくとも一つのアプライアンスに登録された前記DPANに関連付けられた前記発行者システムとのうちの少なくとも一つから、少なくとも一つの承認応答メッセージを受信することと、を含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項3】
前記DPANを前記少なくとも一つのアプライアンスに登録することが、前記少なくとも一つのアプライアンスに固有の少なくとも一つのデバイス識別子を前記DPANに関連付けることを含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項4】
少なくとも一つのプロセッサを用いて、一定期間内に前記少なくとも一つのアプライアンスによって開始された前記取引および少なくとも一つの他の取引からの取引額を集計して、集計された取引額を計算することと、
少なくとも一つのプロセッサを用いて、前記ユーザアカウント識別子に対応するユーザアカウントから、前記集計された取引額を差し引くための承認要求を生成することと、をさらに含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項5】
少なくとも部分的に前記デバイスプロファイルに基づいて、前記少なくとも一つのアプライアンスの信用限度額を生成することをさらに含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項6】
前記取引を処理することが、
少なくとも一つのプロセッサを用いて、前記取引に関連付けられた取引額が前記信用限度額を充足していると判定することと、
前記取引額が前記信用限度額を充足していないと判定することに応じて、少なくとも一つのプロセッサを用いて、前記少なくとも一つのアプライアンスまたはアクワイアラシステムに前記取引の拒否を伝達することと、
前記少なくとも一つのアプライアンスおよび/または少なくとも一つの他のアプライアンスから、前記取引に対する、前記デバイストークンおよび前記少なくとも一つの他のアプライアンスに関連付けられた少なくとも一つの他のデバイストークンを含む、新しい取引要求を受信することと、
前記新しい取引が承認されると判定するのに応じて、少なくとも一つのプロセッサを用いて、前記デバイストークンに対応するアカウントに前記取引額の第一の部分を請求し、前記少なくとも一つの他のデバイストークンに対応するアカウントに前記取引額の第二の部分を請求することによって、前記新しい取引を処理することと、を含む、請求項5に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項7】
少なくとも一つのプロセッサを用いて、少なくとも部分的に前記デバイスプロファイルに基づいて、前記信用限度額を変更することをさらに含む、請求項5に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項8】
前記少なくとも一つのデバイスプロファイルに少なくとも部分的に基づいて、少なくとも一つのプロセッサを用いて、加盟店ドメイン制限を前記デバイストークンに関連付けることをさらに含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項9】
前記取引を処理することが、
前記デバイストークンおよび前記加盟店ドメイン制限に基づいて、取引が承認されていると判定することと、
前記取引が承認されていると判定することに応じて、少なくとも一つのプロセッサを用いて、前記取引を処理することと、を含む、請求項8に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項10】
アプライアンスへのトークンの承認およびプロビジョニングのためのシステムであって、
以下を行うようにプログラムおよび/または構成された少なくとも一つのプロセッサを備え、
いかなるユーザアカウント識別子とも関連付けられていないデバイスアカウント番号(DPAN)を含む元のアカウント識別子を少なくとも一つのアプライアンスに登録し、
データベースで、前記少なくとも一つのアプライアンスによって記憶されるデバイストークンを前記DPANに関連付け、前記少なくとも一つのプロセッサは、前記少なくとも一つのアプライアンス上に前記D PAN を記憶しないようにプログラムおよび/または構成されており、
データベースで、ユーザのユーザアカウント識別子を、前記デバイストークンおよび前記少なくとも一つのアプライアンスに登録された前記DPANに関連付け、
少なくとも一つのプロセッサを用いて、前記少なくとも一つのアプライアンスのデバイスプロファイルを、モデル、製造業者、取引履歴、年齢、サービス履歴、またはそれらの任意の組み合わせのアプライアンスパラメータのうちの少なくとも一つに少なくとも部分的に基づいて、生成し、
前記少なくとも一つのアプライアンスから、前記デバイストークンを含む、取引に対する取引要求を受信し、
データベースから、前記デバイストークンに基づいて前記ユーザアカウント識別子を識別し、
前記取引が、前記ユーザアカウント識別子と、前記少なくとも一つのアプライアンスに登録された前記DPANとの関連付けに少なくとも部分的に基づいて承認されていると判定し、
前記取引が承認されているとの判定に応じて、前記取引を処理する、システム。
【請求項11】
前記少なくとも一つのプロセッサが、
前記少なくとも一つのアプライアンスに登録された前記DPANに関連付けられた発行者システムに、承認要求を伝達することと、
前記ユーザアカウント識別子に関連付けられた発行者システムに、承認要求を伝達することと、
前記ユーザアカウント識別子に関連付けられた前記発行者システムと、前記少なくとも一つのアプライアンスに登録された前記DPANに関連付けられた前記発行者システムとのうちの少なくとも一つから、少なくとも一つの承認応答メッセージを受信することとによって、前記取引が承認されていると判定するようにプログラムおよび/または構成される、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記少なくとも一つのプロセッサが、前記少なくとも一つのアプライアンスに固有の少なくとも一つのデバイス識別子を前記DPANと関連付けることによって、前記少なくとも一つのアプライアンスに前記DPANを登録するようにプログラムおよび/または構成される、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記少なくとも一つのプロセッサが、
一定期間内に前記少なくとも一つのアプライアンスによって開始された前記取引および少なくとも一つの他の取引からの取引額を集計して集計された取引額を計算し、
前記ユーザアカウント識別子に対応するユーザアカウントから、前記集計された取引額を差し引くための承認要求を生成するようにさらにプログラムおよび/または構成される、請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記少なくとも一つのプロセッサが、前記デバイスプロファイルに少なくとも部分的に基づいて、前記少なくとも一つのアプライアンスの信用限度額を生成するようにさらにプログラムおよび/または構成される、請求項10に記載のシステム。
【請求項15】
前記少なくとも一つのプロセッサが、
前記取引に関連付けられた取引額が前記信用限度額を充足していると判定することと、
前記取引額が前記信用限度額を充足していないと判定するのに応じて、前記少なくとも一つのアプライアンスに前記取引の拒否を伝達することと、
前記少なくとも一つのアプライアンスおよび/または少なくとも一つの他のアプライアンスから、前記取引に対する、前記デバイストークンおよび前記少なくとも一つの他のアプライアンスに関連付けられた少なくとも一つの他のデバイストークンを含む、新しい取引要求を受信することと、
前記新しい取引が承認されると判定するのに応じて、前記デバイストークンに対応するアカウントに前記取引額の第一の部分を請求し、前記少なくとも一つの他のデバイストークンに対応するアカウントに前記取引額の第二の部分を請求することによって、前記新しい取引を処理することと、によって前記取引を処理するようにプログラムおよび/または構成される、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記少なくとも一つのプロセッサが、前記デバイスプロファイルに少なくとも部分的に基づいて、前記信用限度額を変更するようにさらにプログラムおよび/または構成される、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記少なくとも一つのプロセッサが、前記ユーザアカウント識別子が前記デバイストークンに関連付けられているか、または前記元のアカウント識別子が前記少なくとも一つのアプライアンスに登録されているときに、前記信用限度額を変更するようにプログラムおよび/または構成される、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記少なくとも一つのプロセッサが、前記デバイスプロファイルに少なくとも部分的に基づいて、加盟店ドメイン制限を前記デバイストークンと関連付けるようにプログラムまたは構成される、請求項10に記載のシステム。
【請求項19】
前記少なくとも一つのプロセッサが、
前記デバイストークンおよび前記関連付けられた加盟店ドメイン制限に基づいて、取引が承認されているかどうかを判定することと、
前記取引が承認されていないと判定することに応じて、前記少なくとも一つのアプライアンスに前記取引の拒否を伝達することと、
前記取引が承認されていると判定することに応じて、前記取引を処理することとによって、前記取引を処理するようにプログラムおよび/または構成される、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
取引を処理するためアプライアンスを承認するためのコンピュータ実装方法であって、
少なくとも一つのプロセッサで、デバイスアカウント番号(DPAN)を含む元のアカウント識別子を少なくとも一つのアプライアンスに登録し、前記D PAN はいかなるユーザにも関連付けられておらず、且つ前記少なくとも一つのアプライアンス上に記憶されていないことと、
少なくとも一つのプロセッサを用いて、前記少なくとも一つのアプライアンスのデバイスプロファイルを、モデル、製造業者、取引履歴、年齢、サービス履歴、またはそれらの任意の組み合わせのアプライアンスパラメータのうちの少なくとも一つに少なくとも部分的に基づいて、生成することと、
前記少なくとも一つのアプライアンスから、前記DPAN に関連付けられ、且つ前記元のアカウント識別子を一意に識別するトークンを含む取引要求を受信することと、
少なくとも一つのプロセッサで、前記元のアカウント識別子を含む承認要求を生成することと、
前記DPANに関連付けられた発行者システムに、前記承認要求を伝達することと、を含む、コンピュータ実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示された実施形態は、概して、アプライアンス(appliance)にオリジナルの個人アカウント番号を提供するためのシステムおよび方法に関連し、また特定の一実施形態では、取引を実施するためのアプライアンスへのトークン(tоken)の承認およびプロビジョニング(prоvisiоning)のためのシステムおよび方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
[技術的考察]
モノのインターネットの技術開発により、スマートアプライアンスはネットワーク上で加盟店と取引できるようになった。しかし、現在、このようなスマートアプライアンスは、加盟店との取引にクレジットカードなどの所有者の金融商品を使用する必要がある。言い換えれば、所有者は、アプライアンス上に提供されたデジタル資格証明書を使用して支払いを行う。この資格証明書は、所有者に発行された金融商品にマッピングされる。
【0003】
現在、加盟店との取引を可能にするスマートアプライアンスには、デバイス所有者に発行された個人アカウント番号(PAN)に対応するトークンがあり、デバイス上に提供され、デバイスがアクワイアラ(acquirer)に転送し、同様に取引サービスプロバイダに転送する。取引サービスプロバイダでは、トークンとPANがトークンボルト(tоken vault)にマッピングされ、取引を承認または却下する。
【0004】
しかし、現在のモデルにはいくつかの大きな欠点がある。第一に、ユーザは、ユーザ自身のPANに関連付けられたトークンをアプライアンスに提供する必要がある。これにより、複数のアプライアンスや多数の加盟店またはアクワイアラに潜在的に所有者の財務情報が公開される。第二に、シェアリングエコノミーモデルの増加に伴い、一人の人が1台のアプライアンスを長期間継続的に、または独占的に使用せず、アプライアンス上の所有者のPANを提供する現在のモデルは適切ではない。さらに、現在のモデルは、レンタカーなど、単一の「所有者」を持たないアプライアンスでは実現できない。さらに、テクノロジとビジネスモデルの改善により、インテリジェントで意思決定能力のあるアプライアンスが生まれている。ただし、アプライアンスの所有者は、所有者の財務情報を広く普及させる可能性がある、アプライアンスの自律的な購入を望まない可能性がある。
【0005】
したがって、当該技術分野では、アプライアンスの所有者に発行された金融商品に依拠することなく、アプライアンスからの商取引を可能にするための方法及びシステムに対するニーズが存在する。このような解決策は、アプライアンスが、トークン化されて所有者の財務情報に関連付けられ、その後取引を行うために使用できる独自の金融商品(例:クレジット/デビットカード)について発行される場合に可能になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上のことから、本発明は、アプライアンスの所有者に発行された金融商品に依拠することなく、アプライアンスからの商取引を可能にするためのコンピュータ実装方法及びシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
非限定的な実施形態または態様によれば、少なくとも一つのプロセッサで、いかなるユーザとも関連付けられていない元のアカウント識別子を少なくとも一つのアプライアンスに登録するステップと、少なくとも一つのアプライアンスによって記憶されているデバイストークンを元のアカウント識別子に、少なくとも一つのプロセッサで関連付けるステップと、少なくとも一つのプロセッサで、デバイストークンおよび少なくとも一つのアプライアンスに登録された元のアカウント識別子のうちの少なくとも一つにユーザのユーザアカウント識別子を関連付けるステップと、少なくとも一つのアプライアンスから、デバイストークンを含む取引に対する取引要求を受信するステップと、少なくとも一つのプロセッサで、デバイストークンに基づくユーザアカウント識別子を識別するステップと、少なくとも一つのプロセッサで、取引が、ユーザアカウント識別子および少なくとも一つのアプライアンスに登録された元のアカウント識別子に、少なくとも部分的に基づいて承認されていると判定するステップと、取引が承認されているとの判定に応じて、取引を処理するステップとを含む、アプライアンスにトークンをプロビジョニングするためのコンピュータ実装方法が提供される。
【0008】
別の非限定的な実施形態または態様によれば、少なくとも一つのアプライアンスによって記憶されるデバイストークンを元のアカウント識別子に関連付けられたいかなるユーザとも関連付けられていない元のアカウント識別子を少なくとも一つのアプライアンスに登録し、ユーザのユーザアカウント識別子を、デバイストークンおよび少なくとも一つのアプライアンスに登録された元のアカウント識別子のうちの少なくとも一つに関連付け、少なくとも一つのアプライアンスから、デバイストークンを含む取引に対する取引要求を受信し、デバイストークンに基づいてユーザアカウント識別子を識別し、取引が、少なくとも一つのアプライアンスに登録されたユーザアカウント識別子および元のアカウント識別子に少なくとも部分的に基づいて承認されていると判定し、取引が承認されているとの判定に応じて、取引を処理するようにプログラムおよび/または構成された少なくとも一つのプロセッサを含む、トークンをアプライアンスにプロビジョニングするためのシステムが本明細書に提供される。
【0009】
別の非限定的な実施形態または態様によれば、少なくとも一つのプロセッサで、少なくとも一つのアプライアンスに、いかなるユーザとも関連付けられていない元のアカウント識別子を登録するステップと、少なくとも一つのアプライアンスから元のアカウント識別子と元のアカウント識別子を一意に識別するトークンとのうちの少なくとも一つを含む取引要求を受信するステップと、少なくとも一つのプロセッサで、元のアカウント識別子を含む承認要求を生成するステップと、元のアカウント識別子に関連付けられた発行者システムに、承認要求を伝達するステップと、を含む、取引を処理するために少なくとも一つのアプライアンスと対話するためのコンピュータ実装方法が本明細書に提供される。
【0010】
別の非限定的な実施形態または態様によれば、いずれのユーザに関連付けられていないデバイスアカウント識別子およびデバイスアカウント識別子と一意に関連付けられたデバイストークンを含むアプライアンスに内蔵されたメモリと、通信デバイスと、メモリおよび通信デバイスと通信するプロセッサと、を備え、プロセッサが、デバイスアカウント識別子およびデバイストークンのうちの少なくとも一つを含む取引要求を生成するようにプログラムまたは構成されるメモリおよび通信デバイスと通信するプロセッサとを含む、ユーザ固有のアカウントなしで取引を行うためのアプライアンスが本明細書に提供される。
【0011】
さらなる実施形態または態様は、以下の番号付けされた条項に記載される。
【0012】
第1項: アプライアンスへのトークンの承認およびプロビジョニングのためのコンピュータ実装方法であって、少なくとも一つのプロセッサで、少なくとも一つのアプライアンスに、いかなるユーザとも関連付けられていない元のアカウント識別子を登録することと、少なくとも一つのプロセッサで、少なくとも一つのアプライアンスによって記憶されるデバイストークンを元のアカウント識別子に関連付けることと、少なくとも一つのプロセッサで、デバイストークンおよび少なくとも一つのアプライアンスに登録された元のアカウント識別子のうちの少なくとも一つにユーザのユーザアカウント識別子を関連付けることと、少なくとも一つのアプライアンスから取引に対する、デバイストークンを含む取引要求を受信することと、少なくとも一つのプロセッサで、デバイストークンに基づいてユーザアカウント識別子を識別することと、少なくとも一つのプロセッサで、取引が、ユーザアカウント識別子および少なくとも一つのアプライアンスに登録された元のアカウント識別子に、少なくとも部分的に基づいて承認されていると判定することと、取引が承認されているとの判定に応じて、取引を処理することと、を含むコンピュータ実装方法。
【0013】
第2項: 取引が承認されると判定することが、少なくとも一つのアプライアンスに登録された元のアカウント識別子に関連付けられた発行者システムに、承認要求を伝達することと、ユーザアカウント識別子に関連付けられた発行者システムに承認要求を伝達することと、ユーザアカウント識別子に関連付けられた発行者システムと少なくとも一つのアプライアンスに登録された元のアカウント識別子と関連付けられた発行者システムのうちの少なくとも一つから、少なくとも一つの承認応答メッセージを受信することと、を含む、第1項に記載のコンピュータ実装方法。
【0014】
第3項: 元のアカウント識別子を少なくとも一つのアプライアンスに登録することが、少なくとも一つのアプライアンスに固有の少なくとも一つのデバイス識別子を元のアカウント識別子に関連付けることを含む、第1項または第2項に記載のコンピュータ実装方法。
【0015】
第4項: 一定期間内に少なくとも一つのアプライアンスによって開始された取引および少なくとも一つの他の取引からの取引額を集計して、集計された取引額を計算することと、ユーザアカウント識別子に対応するユーザアカウントから集計された取引額を差し引くための承認要求を生成することをさらに含む、第1項~第3項のいずれかに記載のコンピュータ実装方法。
【0016】
第5項: 少なくとも一つのアプライアンスのデバイスプロファイルを、モデル、製造業者、取引履歴、年齢、サービス履歴、またはそれらの任意の組み合わせのアプライアンスパラメータのうちの少なくとも一つに少なくとも部分的に基づいて生成することをさらに含む、第1項~第4項のいずれかに記載のコンピュータ実装方法。
【0017】
第6項: 少なくとも部分的にデバイスプロファイルに基づいて、少なくとも一つのアプライアンスの信用/デビット限度額を生成することをさらに含む、第1項~第5項のいずれかに記載のコンピュータ実装方法。
【0018】
第7項: 取引を処理することが、取引に関連付けられた取引額が信用限度額を充足していると判定することと、取引額が信用限度額を充足していないと判定することに応じて、少なくとも一つのアプライアンスまたはアクワイアラシステムに、取引の拒否を伝達することと、少なくとも一つのアプライアンスおよび/または少なくとも一つの他のアプライアンスから、取引に対する、デバイストークンと少なくとも一つの他のアプライアンスに関連付けられた少なくとも一つの他のデバイストークンとを含む、新しい取引要求を受信することと、新しい取引が承認されるとの判定に応じて、デバイストークンに対応するアカウントに、取引額の第一の部分を請求し、少なくとも一つの他のデバイストークンに対応するアカウントに取引額の第二の部分を請求することによって新しい取引を処理することと、を含む、第1項~第6項のいずれかに記載のコンピュータ実装方法。
【0019】
第8項: 元のアカウント識別子を少なくとも一つのアプライアンスに登録することが、信用限度額を生成することを含む、第1項~第7項のいずれかに記載のコンピュータ実装方法。
【0020】
第9項: 少なくとも一つのプロセッサを用いて、少なくとも部分的にデバイスプロファイルに基づいて、信用限度額を変更することをさらに含む、第1項~第8項のいずれかに記載のコンピュータ実装方法。
【0021】
第10項: 少なくとも一つのデバイスプロファイルに少なくとも部分的に基づいて、加盟店ドメイン制限をデバイストークンに関連付けることをさらに含む、第1項~第9項のいずれかに記載のコンピュータ実装方法。
【0022】
第11項: 取引を処理することが、デバイストークンおよび加盟店ドメイン制限に基づいて、取引が承認されていると判定することと、取引が承認されていると判定することに応じて、取引を処理することを含む、第1項~第10項のいずれかに記載のコンピュータ実装方法。
【0023】
第12項: アプライアンスへのトークンの承認およびプロビジョニングのためのシステムであって、いかなるユーザとも関連付けられていない元のアカウント識別子を少なくとも一つのアプライアンスに登録し、少なくとも一つのアプライアンスによって記憶されるデバイストークンを元のアカウント識別子に関連付け、ユーザのユーザアカウント識別子を、デバイストークンおよび少なくとも一つのアプライアンスに登録された元のアカウント識別子のうちの少なくとも一つに関連付け、少なくとも一つのアプライアンスからデバイストークンを含む取引に対する取引要求を受信し、デバイストークンに基づいてユーザアカウント識別子を識別し、取引が、ユーザアカウント識別子および少なくとも一つのアプライアンスに登録された元のアカウント識別子に少なくとも部分的に基づいて承認されていると判定し、取引が承認されているとの判定に応じて、取引を処理するようにプログラムおよび/または構成された少なくとも一つのプロセッサを備える、システム。
【0024】
第13項: 少なくとも一つのプロセッサが、少なくとも一つのアプライアンスに登録された元のアカウント識別子に関連付けられた発行者システムに、承認要求を伝達することと、ユーザアカウント識別子に関連付けられた発行者システムに、承認要求を伝達することと、ユーザアカウント識別子に関連付けられた発行者システムと、少なくとも一つのアプライアンスに登録された元のアカウント識別子と関連付けられた発行者システムとのうちの少なくとも一つから、少なくとも一つの承認応答メッセージを受信することとによって、取引が承認されていると判定するようにプログラムおよび/または構成される、第12項に記載のシステム。
【0025】
第14項: 少なくとも一つのプロセッサが、少なくとも一つのアプライアンスに固有の少なくとも一つのデバイス識別子を、元のアカウント識別子と関連付けることによって、少なくとも一つのアプライアンスに元のアカウント識別子を登録するようにプログラムおよび/または構成される、第12項または第13項に記載のシステム。
【0026】
第15項: 少なくとも一つのプロセッサが、一定期間内に少なくとも一つのアプライアンスによって開始された取引および少なくとも一つの他の取引からの取引額を集計して、集計された取引額を計算し、ユーザアカウント識別子に対応するユーザアカウントから集計された取引額を差し引くための承認要求を生成するようにさらにプログラムおよび/または構成される、第12項~第14項のいずれかに記載のシステム。
【0027】
第16項: 少なくとも一つのプロセッサが、モデル、製造業者、取引履歴、年齢、サービス履歴、またはそれらの任意の組み合わせのアプライアンスパラメータの少なくとも一つに、少なくとも部分的に基づいて、少なくとも一つのアプライアンスのデバイスプロファイルを生成するようにさらにプログラムおよび/または構成される、第12項~第15項のいずれかに記載のシステム。
【0028】
第17項: 少なくとも一つのプロセッサが、デバイスプロファイルに少なくとも部分的に基づいて、少なくとも一つのアプライアンスの信用限度額を生成するようにさらにプログラムおよび/または構成される、第12項~第16項のいずれかに記載のシステム。
【0029】
第18項: 少なくとも一つのプロセッサが、取引に関連付けられた取引額が信用限度額を充足していると判定することと、取引額が信用限度額を充足していないと判定することに応じて、少なくとも一つのアプライアンスに、取引の拒否を伝達することと、少なくとも一つのアプライアンスおよび/または少なくとも一つの他のアプライアンスから、取引に対する、デバイストークンと少なくとも一つの他のアプライアンスに関連付けられた少なくとも一つの他のデバイストークンとを含む、新しい取引要求を受信することと、新しい取引が承認されるとの判定に応じて、デバイストークンに対応するアカウントに、取引額の第一の部分を請求し、少なくとも一つの他のデバイストークンに対応するアカウントに取引額の第二の部分を請求することによって新しい取引を処理することと、によって取引を処理するようにプログラムおよび/または構成される、第12項~第17項のいずれかに記載のシステム。
【0030】
第19項: 元のアカウント識別子を少なくとも一つのアプライアンスに登録することが、信用限度額の生成を含む、第12項~第18項のいずれかに記載のシステム。
【0031】
第20項: 少なくとも一つのプロセッサが、デバイスプロファイルに少なくとも部分的に基づいて、信用限度額を変更するようにさらにプログラムおよび/または構成される、第12項~第19項のいずれかに記載のシステム。
【0032】
第21項: 少なくとも一つのプロセッサが、ユーザアカウント識別子がデバイストークンに関連付けられているか、または元のアカウント識別子が少なくとも一つのアプライアンスに登録されているとき、信用限度額を変更するようにプログラムおよび/または構成される、第12項~第20項のいずれかに記載のシステム。
【0033】
第22項: 少なくとも一つのプロセッサが、デバイスプロファイルに少なくとも部分的に基づいて、加盟店ドメイン制限をデバイストークンと関連付けるようにプログラムまたは構成される、第12項~第21項のいずれかに記載のシステム。
【0034】
第23項: 少なくとも一つのプロセッサが、デバイストークンおよび関連付けられた加盟店ドメイン制限に基づいて、取引が承認されているかどうかを判定すること、および取引が承認されていないと判定することに応じて、少なくとも一つのアプライアンスに取引の拒否を伝達すること、または取引が承認されていると判定することに応じて、取引を処理することによって、取引を処理するようにプログラムおよび/または構成される、第12項~第22項のいずれかに記載のシステム。
【0035】
第24項: 取引を処理するためアプライアンスを承認するためのコンピュータ実装方法であって、少なくとも一つのプロセッサで、いかなるユーザとも関連付けられていない元のアカウント識別子を少なくとも一つのアプライアンスに登録することと、少なくとも一つのアプライアンスから、元のアカウント識別子と、元のアカウント識別子を一意に識別するトークンとのうちの少なくとも一つを含む取引要求を受信することと、少なくとも一つのプロセッサで、元のアカウント識別子を含む承認要求を生成することと、元のアカウント識別子に関連付けられた発行者システムに承認要求を伝達することと、を含む、コンピュータ実装方法。
【0036】
第25項: 少なくとも一つのアプライアンスのデバイスプロファイルを、モデル、製造業者、取引履歴、年齢、サービス履歴、またはそれらの任意の組み合わせのアプライアンスパラメータのうちの少なくとも一つに、少なくとも部分的に基づいて生成することをさらに含む、第24項に記載のコンピュータ実装方法。
【0037】
第26項: 少なくとも部分的にデバイスプロファイルに基づいて、少なくとも一つのアプライアンスの信用限度額を生成することをさらに含む、第24項または第25項に記載のコンピュータ実装方法。
【0038】
第27項: 取引要求に関連付けられた取引額が信用限度額を充足していると判定することと、取引額が信用限度額を充足していないと判定することに応じて、少なくとも一つのアプライアンスに、取引の拒否を伝達することと、少なくとも一つのアプライアンスおよび/または少なくとも一つの他のアプライアンスから、取引に対する、デバイストークンと少なくとも一つの他のアプライアンスに関連付けられた少なくとも一つの他のデバイストークンとを含む、新しい取引要求を受信することと、新しい取引が承認されているとの判定に応じて、デバイストークンに対応するアカウントに、取引額の第一の部分を請求し、少なくとも一つの他のデバイストークンに対応するアカウントに取引額の第二の部分を請求することによって新しい取引を処理することと、をさらに含む、第24項~第26項のいずれかに記載のコンピュータ実装方法。
【0039】
第28項: 信用限度額が、元のアカウント識別子を少なくとも一つのアプライアンスに登録するステップの間に生成される、第24項~第27項のいずれかに記載のコンピュータ実装方法。
【0040】
第29項: 少なくとも一つのプロセッサを用いて、少なくとも一つのデバイスプロファイルに少なくとも部分的に基いて、信用限度額を変更することをさらに含む、第24項~第28項のいずれかに記載のコンピュータ実装方法。
【0041】
第30項: ユーザアカウント識別子をデバイストークンまたは少なくとも一つのアプライアンスに登録された元のアカウント識別子に関連付けるステップの間に信用限度額が変更される、第24項~第29項のいずれかに記載のコンピュータ実装方法。
【0042】
第31項: 加盟店ドメイン制限を、少なくとも部分的にデバイスプロファイルに基づいてデバイストークンと関連付けることをさらに含む、第24項~第30項のいずれかに記載のコンピュータ実装方法。
【0043】
第32項: デバイストークンおよび関連付けられた加盟店ドメインの制限に基づいて、取引が承認されているかどうかを判定することと、取引が承認されていないと判定することに応じて少なくとも一つのアプライアンスに、取引の拒否を伝達することと、または取引が承認されていると判定することに応じて、少なくとも一つのプロセッサで、元のアカウント識別子を含む承認要求を生成することと、元のアカウント識別子に関連付けられた発行者システムに承認要求を伝達することと、をさらに含む、第24項~第31項のいずれかに記載のコンピュータ実装方法。
【0044】
第33項: ユーザ固有のアカウントなしで取引を実行するためのアプライアンスであって、アプライアンスの内部メモリであって、メモリが、ユーザに関連付けられていないデバイスアカウント識別子およびデバイスアカウント識別子に一意に関連付けられたデバイストークンを含む、メモリと、通信デバイスと、メモリおよび通信デバイスと通信するプロセッサであって、プロセッサが、デバイスアカウント識別子およびデバイストークンのうちの少なくとも一つを含む取引要求を生成するようにプログラムまたは構成される、プロセッサと、を備えるアプライアンス。
【0045】
第34項: プロセッサが、取引要求を取引処理システムに伝達し、取引処理システムから取引要求の拒否を受信し、取引要求の拒否を受信することに応じて、デバイスアカウント識別子および前記デバイストークンのうちの少なくとも一つと、少なくとも一つの他のデバイスアカウント識別子および/または少なくとも一つの他のアプライアンスに関連付けられたデバイストークンと、を含む取引に対する新しい取引要求を生成し、取引処理システムへ新しい取引要求を伝達するようにさらにプログラムまたは構成される、第33項に記載のアプライアンス。
【0046】
本発明のこれらと他の特性および特徴、ならびに操作の方法、および構造の関連要素の機能、および部品の組み合わせ、および製造の経済性は、以下の説明と、添付の図面を参照して添付の特許請求の範囲とを考慮することでより明らかになり、そのすべては本明細書の一部を形成し、同様の参照番号は、様々な図面中の対応する部分を示す。ただし、図面は、図示および説明の目的のためのものであり、本発明を限定する定義として意図されるものではないことは、明確に理解されるものとする。本明細書および請求項で使用される場合、「a」、「an」、および「the」の単数形は、文脈で別途明確に指示しない限り、複数形の指示対象を含む。
【発明の効果】
【0047】
本発明にかかるアプライアンスへのトークンの承認およびプロビジョニングのためのシステムおよび方法により、アプライアンスの所有者に発行された金融商品に依拠することなく、アプライアンスからの商取引を行うことが可能になる。そして、当該システムおよび方法により、複数のアプライアンスや多数の加盟店またはアクワイアラに潜在的に所有者の財務情報を公開することなく、商取引を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
本発明の更なる利点および詳細は、添付の図面に示される例示的実施形態および態様を参照して、以下でより詳細に説明されている。
図1図1は、アプライアンスへのトークンの承認およびプロビジョニングのための方法およびシステムの一実施形態または態様の概略図である。
図2図2は、アプライアンスへのトークンの承認およびプロビジョニングのための方法の一実施形態または態様のプロセス図である。
図3図3は、アプライアンスへトークンを承認およびプロビジョニングして取引を処理する方法およびシステムの一実施形態または態様の概略図である。
図4図4は、アプライアンスへトークンを承認およびプロビジョニングして取引を処理する方法の一実施形態または態様のプロセス図である。
図5図5は、アプライアンスへトークンを承認およびプロビジョニングして取引を処理するための方法の一実施形態または態様のプロセス図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以降、説明の目的で、「上部」、「下部」、「右」、「左」、「垂直」、「水平」、「最上部」、「底部」、「横」、「縦」という用語、およびそれらの派生語は、図面において方向づけるように、本発明に関連する。しかしながら、本発明では、明示的に反対の指定がない限り、様々な代替の変形およびステップの連続を仮定することができることは理解されるものとする。また、添付図面に示され、以下の明細書で説明される特定のデバイスおよび方法は、単に本発明の例示的実施形態であることも理解されるものとする。したがって、本明細書に開示される実施形態に関連する、特定の寸法および他の物理的特性は、限定とみなされるべきではない。また、本明細書に記載される任意の数値範囲は、その中にあるすべての部分範囲を含むことを意図することも理解されるべきである。例えば、「1から10」の範囲は、記載される1という最小値と記載される10という最大値との間(かつ両値を含む)、すなわち、1以上の最小値および10以下の最大値を有する、すべての部分範囲を含むことを意図している。
【0050】
本明細書で使用される場合、「アプライアンス」という用語は、プロセッサ、メモリ、および一つ以上のネットワークと通信するように構成された通信デバイスを含むコンシューマデバイスを指す。例えば、限定するものではないが、アプライアンスは、ネットワーク接続された自動車、冷蔵庫、テレビ、洗濯機/乾燥機、コーヒーメーカー、サーモスタット、および/または同類のものを含み得る。
【0051】
本明細書で使用される場合、「通信」および「通信する」という用語は、一つ以上の信号、メッセージ、コマンド、もしくは他のタイプのデータの受信または転送を指す。一つのユニット(例えば、任意のデバイス、システム、またはそれらのコンポーネント)が、別のユニットと通信するというのは、一つのユニットが直接もしくは間接的に、データを他方のユニットから受信および/またはデータを他方のユニットへ送信できることを意味する。これは、本質的に有線および/もしくは無線である、直接または間接的な接続を指してもよい。加えて、二つのユニットは、送信されるデータが、第一と第二のユニットとの間で変更、処理、遅延、リレー、および/またはルーティングされる場合があるとしても、互いに通信することができる。例えば、第一のユニットが受動的にデータを受信し、第二のユニットへ能動的にデータを送信しないとしても、第一のユニットは第二のユニットと通信することができる。別の例として、中間ユニットが一つのユニットからのデータを処理し、処理されたデータを第二のユニットへ送信する場合、第一のユニットは第二のユニットと通信することができる。多くの他の構成が可能であることは理解されるであろう。
【0052】
本明細書で使用される場合、「発行機関」という用語は、クレジットおよび/またはデビットでの支払いを開始するなど、支払い取引を行うために顧客にアカウントを提供する、銀行などの一つ以上の事業体を指すことができる。例えば、発行機関は、顧客またはアプライアンスと関連付けられた一つ以上のアカウントを一意に識別する、個人アカウント番号(PAN)などのアカウント識別子を、顧客またはアプライアンスに提供することができる。アカウント識別子は、支払いカードなどの物理的な金融機器に表示されることがあり、かつ/または電子式であり電子決済に使用することができる。本明細書で使用される場合、「アカウント識別子」という用語は、顧客アカウントに関連付けられた一つ以上のPAN、トークン、または他の識別子を含んでもよい。アカウント識別子は、直接的または間接的に発行機関に関連付けられる場合があり、それにより、アカウント識別子は、PANまたはその他の種類のアカウント識別子にマッピングするトークンであり得る。「トークン」という用語は、PANなど、元のアカウント識別子の代用または代替識別子として使用される、識別子を指すことができる。アカウント識別子は、英数字、または文字および/もしくは記号の任意の組み合わせであってもよい。トークンは、元のアカウント識別子を直接使用することなく、取引を行うために使用できるように、一つ以上のデータベースでPANまたは他の元のアカウント識別子と関連付けることができる。一部の例では、PANなどの元のアカウント識別子は、異なる個人に対してまたは異なる目的のために、複数のトークンと関連付けられてもよい。発行機関は、銀行識別番号(BIN)、または他の発行機関の中から一意に識別する他の固有識別子と関連付けることができる。「発行機関」、「発行銀行」、および「発行者システム」という用語はまた、一つ以上のソフトウェアアプリケーションを実行するサーバコンピュータなど、発行機関によってまたはそれに変わって運用される、一つ以上のコンピュータシステムを指すこともできる。例えば、発行者システムは、支払い取引を承認するための一つ以上の承認サーバを含んでもよい。
【0053】
本明細書で使用される場合、「加盟店」という用語は、支払い取引などの取引に基づいて、商品および/またはサービス、あるいは商品および/またはサービスへのアクセスを顧客に提供する、個人または事業体を指す。加盟店には、レストラン、フードトラック、クラブ、ジム、小売店、専門サービスプロバイダ(例えば、歯科医、医師、配管工など)、公園、博物館、アトラクション、スポーツ施設、および/または同類のものが含まれるが、これらに限定されない。当然のことながら、その他の多くの種類の加盟店が本発明の範囲内にある。
【0054】
本明細書で使用される場合、「アクワイアラ機関」という用語は、取引サービスプロバイダによってライセンスされ、取引サービスプロバイダによって承認された事業体を指し、取引サービスプロバイダの携帯金融デバイスを使用して取引を開始することができる。取引には、元の信用取引(OCTs)および口座資金取引(AFTs)が含まれる場合がある。アクワイアラ機関は、取引サービスプロバイダから、取引サービスプロバイダの携帯金融デバイスを使用して取引を開始することを承認される場合がある。アクワイアラ機関はペイメントゲートウェイと契約して、ファシリテータが加盟店を後援できるようにする。アクワイアラ機関は、銀行などの金融機関である場合がある。「アクワイアラ機関」、「アクワイアラ銀行」、および「アクワイアラシステム」という用語はまた、一つ以上のソフトウェアアプリケーションを実行するサーバコンピュータなど、アクワイアラ機関によってまたはそれに変わって運用される、一つ以上のコンピュータシステムを指すこともできる。
【0055】
本明細書で使用される場合、「金融デバイス」という用語は、例として、携帯型(例えば、物理的)支払いカード、ギフトカード、スマートカード、スマートメディア、ペイロールカード、ヘルスケアカード、リストバンド、アカウント情報を含む機械可読媒体、キーチェーンデバイス、スーパーマーケットの割引カード、携帯電話、モバイルデバイス、携帯情報端末(PDA)、ポケベル、セキュリティカード、コンピュータ、アクセスカード、無線端末、および/またはトランスポンダを指すことができる。金融デバイスは、口座番号または口座名義人の名前などの情報を記憶するための、揮発性または不揮発性メモリを含んでもよい。「金融デバイス」という用語はまた、金融デバイスのユーザと、加盟店などの別の当事者との間の取引を完了するために使用され得る金融取引アカウントに関連する、物理的またはデジタルの任意の固有の識別子を指す場合がある。例えば、金融デバイスは、オンラインストアの支払インターフェースに入力できる金融取引口座番号および確認コードであり得る。他の構成および実施形態が可能であることは理解されるであろう。
【0056】
本明細書で使用される場合、「加盟店システム」という用語は、一つ以上の金融デバイスとの取引を完了するために使用される、一つ以上のサーバコンピュータ、POS(pоint-оf-sale)装置、オンラインインターフェース、第三者ホストサービス、および/または同類のものを指し得る。加盟店システムという用語はまた、発行機関、取引サービスプロバイダ、取引処理サーバ、金融デバイス所有者、および/または同類のものとの通信を送信および/または受信するために使用される、一つ以上のサーバコンピュータ、プロセッサ、オンラインインターフェース、第三者ホストサービス、および/または同類のものを指す場合もある。
【0057】
本明細書で使用される場合、「取引サービスプロバイダ」という用語は、加盟店から承認要求を収集し、場合によっては、取引サービスプロバイダと発行機関との間の同意によって、支払いの保証を提供する事業体を指すことができる。本明細書で使用される場合、「反復取引」という用語は、金融デバイスと加盟店との間の任意の一連の反復取引またはパターン取引を指し得る。反復取引は、多くの場合、規則的で同様の金額であるが、反復するためにコストが同一である必要はなく、購入商品/サービスも同一である必要はない。
【0058】
本明細書で使用される場合、「取引処理システム」という用語は、一つ以上のソフトウェアアプリケーションを実行する取引処理サーバなど、取引サービスプロバイダによって、またはそれに代わって運用される一つ以上のコンピュータシステムを指すことができる。取引処理サーバは、一つ以上のプロセッサを含むことができ、一部の非限定的実施形態では、取引サービスプロバイダによってまたはそれに代わって運用することができる。
【0059】
本明細書で使用される場合、「モバイルデバイス」という用語は、一つ以上のネットワークと通信するように構成された、一つ以上の携帯型電子デバイスを指すことができる。例として、モバイルデバイスは、携帯電話(例えば、スマートフォンまたは標準的な携帯電話)、携帯型コンピュータ、ウェアラブルデバイス(例えば、腕時計、眼鏡、レンズ、衣類、および/または同類のもの)、携帯情報端末(PDA)、および/または他の類似のデバイスを含んでもよい。
【0060】
本発明の非限定的な実施形態は、アプライアンスに元のアカウント識別子を発行すること、アプライアンスにトークンをプロビジョニングすること、および取引要求を処理するためにアプライアンスを承認することによって、アプライアンスとの取引を実行するための改善されたシステムおよび方法を提供する。アプライアンスに元のアカウント識別子を発行し、アプライアンスにアカウント識別子に対応するトークンをプロビジョニングすることにより、非限定的な実施形態は、アプライアンスに入力されるか、またはアプライアンスに関連付けることができるユーザの個人的な財務情報をさらすリスクなしで、かかるアプライアンスをユーザ(購入者または賃借人など)に提供することを可能にする。さらに、非限定的な実施形態は、様々な加盟店システムとの取引を開始および実施するために使用され得るデバイストークンおよび/またはデバイスPANを含むメモリを有する改良されたアプライアンスを提供する。こうした改良されたアプライアンスは、より安全で効率的な取引フロー、ならびに本明細書に記載されるその他の利点を提供する。
【0061】
トークンをアプライアンスにプロビジョニングするためのシステムおよび方法が本明細書に提供される。図1は、一つの非限定的な実施形態または態様による、トークンをアプライアンスにプロビジョニングするシステムを示す。図1では、システム(1000)は、アプライアンス(102)、発行者システム(114)、および取引処理システム(110)を含む。構成要素は、ネットワーク(101)を介して通信してもよい。アプライアンスの製造中、または製造後に、元のデバイスの個人アカウント番号(DPAN)(104)は、発行者システム(114)および/または取引処理システム(110)によってアプライアンス(102)に登録される。DPAN(104)は、発行時にユーザまたはアプライアンスの所有者に関連付けられていない元のPANであり、それにより、一部の非限定的な実施形態ではDPAN(104)はその後、ユーザPANにリンクされてもよいが、DPAN(104)は、ヒトには発行されない。一部の非限定的な実施形態または態様では、発行者システム(114)および取引処理システム(110)の両方が協働してDPAN(104)をアプライアンスに発行する。一部の非限定的な実施形態または態様では、元のアカウント識別子を登録することは、アプライアンスに特定の固有のデバイス識別子をDPAN(104)と関連付けることを含む。アプライアンスに特定の固有のデバイス識別子は、アプライアンス(102)のメモリ(105)にエンコードされてもよい。
【0062】
さらに図1を参照すると、非限定的な実施形態または態様では、アプライアンス(102)は、取引を行うため、DPAN(104)でプロビジョニングされてもよい。しかしながら、その他の非限定的な実施形態では、アプライアンスはデバイストークン(DToken)(106)をDPAN(104)の代わりに、またはそれに加えてプロビジョニングしてもよい。たとえば、DToken(106)は、DPAN(104)を、潜在的なセキュリティの脆弱性に露出しないように、アプライアンス(102)上でプロビジョニングできる。当然のことながら、図1は、DToken(106)およびDPAN(104)を示すが、非限定的な実施形態は、DToken(106)または単にDPAN(104)のみを含み得る。
【0063】
引き続き図1を参照すると、アプライアンス(102)がDToken(106)でプロビジョニングされる非限定的な実施形態では、取引処理システム(110)はDToken(106)を生成してDToken(106)をDPAN(104)に関連付けることによって、DPAN(104)をトークン化する。関連付けられたDPAN(104)およびDToken(106)は、トークンボルト(118)に記憶され、非限定的な実施形態では、安全なデータベースを含む。この段階では、DPAN(104)およびDToken(106)は、ユーザPAN(例えば、マスターPAN)(MPAN)などのユーザまたは所有者財務情報と関連付けられない。トークンボルトアーキテクチャの非限定的な実施形態または態様を以下に示す。
【0064】
【表1】
【0065】
取引処理システム(110)はDToken(106)をその上に保管するアプライアンス(102)に伝達する。この段階では、DToken(106)は、アプライアンス(102)上に非アクティブ状態で常駐する。
【0066】
次いで、アプライアンス(102)は、ユーザによって購入、賃貸、またはリースされてもよい。図1をさらに参照すると、ユーザデバイス(103)もまた図示されている。ユーザーデバイス(103)は、例えば、スマートフォン、タブレット、コンピューティングデバイス、リモートコントロールなどであるがこれに限定されない、ユーザがアプライアンス(102)および/または取引処理システム(110)と対話することを可能にする任意の種類のクライアントデバイスであってもよい。しかしながら、ユーザデバイス(103)を通して、またはユーザデバイス(103)を使用して行われると記載される任意の動作も、例えば、ユーザインターフェースおよびアプライアンス(102)上に配置された入力デバイスを通して、ユーザとアプライアンス(102)自体との直接的な対話によっても可能であることが理解されるべきである。ユーザデバイス(103)は、アプライアンス(102)に記憶されたDToken(106)を起動するために使用され得る。
【0067】
非限定的な実施形態または態様において、DPAN(104)および/またはDToken(106)がアプライアンス(102)上でプロビジョニングされると、アプライアンス(102)はDPAN(104)および/またはDToken(106)を使用して取引要求を開始するために使用できる。しかしながら、一部の非限定的な実施形態では、DPAN(104)および/またはDToken(106)は、使用前に起動する必要がある場合がある。たとえば、DPAN(104)および/またはDToken(106)は、ユーザのMPANをDPAN(104)および/またはDToken(106)に関連付けるユーザによって起動され得る。これにより、ユーザは、その特定のユーザに対してアクティブ化する一方で、DPAN(104)および/またはDToken(106)を使用して開始された取引について最終的な責任を負う。
【0068】
非限定的な実施形態または態様において、DToken(106)は、アプライアンス(102)の初期使用時、またはユーザが起動プロセスを受ける選択時に起動される。ユーザは、アプライアンス(102)またはユーザデバイス(103)を通して、アプライアンス(102)の所有権または所有を取引処理システム(110)に伝達するように促され得る。取引処理システム(110)は、所有者によって開始された起動要求に応じて、MPANなどのユーザに発行された携帯金融デバイス(クレジットカードまたはデビットカードなど)に関連付けられたアカウント識別子をアプライアンス(102)と関連付ける。一部の非限定的な実施形態または態様では、MPANをDPAN(104)および/またはDToken(106)に関連付ける起動要求は、アプライアンス(102)を介して取引処理システム(110)に通信される。一部の非限定的な実施形態または態様では、ユーザまたはアプライアンス(102)は、ユーザがユーザデバイス(103)を通して関連付け要求を取引処理システム(110)に伝達できるように、アプライアンス(102)の識別情報を提供する。識別情報は、一意のデバイス識別子など、アプライアンス(102)を識別する任意の種類の情報であってもよい。一意のデバイス識別子は、例えば、限定されないが、シリアル番号、ランダムに生成された英数字識別子、一意のアプライアンス属性、および/または同種のものを含み得る。非限定的な実施形態または態様では、識別情報は、ユーザデバイス(103)が読み取って取引処理システム(110)に送信することができるバーコード(例えば、二次元バーコード、三次元バーコード、QRコード(登録商標)など)、RFIDトランスポンダ、または同様のものなどの機械可読印として提供されてもよい。
【0069】
ユーザはまた、ユーザデバイス(103)、アプライアンス(102)、ポイントオブセールス(POS)システム、または別のデバイスを介してMPANを提供することができる。一例として、ユーザは、ユーザデバイス(103)上のモバイルアプリケーションを介して携帯金融デバイスをスキャンすることができ、これは携帯金融デバイスの画像を分析して、有効期限やセキュリティコードなどMPANおよびその他の情報を画像から判定する。他の例では、ユーザは、MPANおよびその他の情報を手動で入力してもよい。当然のことながら、ユーザはMPANを色々な方法で提供し得る。また一部の非限定的な例では、取引処理システム(110)および/または発行者システム(114)は、既にMPANを有し、ユーザの識別に基づいて識別できる。他の非限定的な実施形態では、ユーザは、MPANがPOSシステムから取引処理システム(110)に伝達されるように、アプライアンス(102)の購買またはリースのときPOSで携帯金融デバイスを提示できる。さらなる実施例では、ユーザは既存の銀行口座または電子ウォレットにログインすることによってMPANを提供し得る。当然のことながら、MPANは、様々な他の方法で提供され得る。
【0070】
取引処理システム(110)が、例えば、アプライアンス(102)またはユーザデバイス(103)を介して、ユーザによって開始される起動要求を受信するのに応答して、取引処理システム(110)は、上述したように、MPANを取得、識別、または受信することができる。取引処理システム(110)は、起動要求および/またはMPANの取得に応じて、MPANをトークンボルト(118)内のDPAN(104)および/またはDToken(106)に関連付ける。
【0071】
【表2】
【0072】
一部の非限定的な実施形態または態様では、デバイスプロファイルは、アプライアンス(102)用に生成され得る。デバイスプロファイルは、例えば、固有の識別子(例えば、デバイス識別子)、アプライアンスの種類、アプライアンスのモデル、アプライアンスの製造業者、アプライアンス取引履歴、アプライアンス使用期間、アプライアンス使用時間、アプライアンスサービス履歴、および/またはそれらの組み合わせなどの一つ以上のアプライアンスパラメータに基づいてもよいが、これらに限定されない。デバイスプロファイルは、トークンボルト(118)などであるが、これに限定されない、データベース内のDToken(104)および/またはDPAN(106)に関連付けることができる。デバイスプロファイルは、発行者システム(114)、取引処理システム(110)、アプライアンス自体(102)、またはその他の任意のデバイスまたはシステムによって生成され得る。一部の非限定的な例では、デバイスプロファイルは、一連のアプライアンスパラメータ、一連のアプライアンスパラメータから生成されたスコアまたは評価、あるいは事前定義されたプロファイルカテゴリであってもよい。
【0073】
一部の非限定的な実施形態または態様では、アプライアンス(102)に対してドメイン制限が生成され得る。非限定的な実施形態または態様では、ドメイン制限は、少なくとも部分的にデバイスプロファイルに基づいてもよい。ドメイン制限の非限定的な例としては、信用/デビット限度額、取引限度額、取引数の制限、DTokenの持続期間(寿命)、ならびに/あるいは加盟店のカテゴリ制限もしく加盟店の場所制限、および加盟店のロイヤルティまたはリワードポイントプログラム制限などの加盟店ドメイン制限が挙げられる。例として、非限定的な実施形態では、DTokenおよび/またはDPANでプロビジョニングされたアプライアンスは、アプライアンス(例えば、テレビ用のストリーミングメディア、自動車用の燃料、および/または同類のもの)が使用できる品目および/またはコンテンツの購入に制限され得る。
【0074】
非限定的な実施形態または態様では、ドメイン制限は、アプライアンスの寿命の様々な時間で変更され得る。例えば、限定はされないが、アプライアンスはDToken(106)および/またはDPAN(104)がMPANに関連付けられる前に特定の信用/デビット限度額に制限される場合がある。非限定的な実施形態では、信用/デビット限度額は、所有期間の増加および/またはMPANとの関連付けに伴って増加され得る。他の非限定的な実施形態または態様では、アプライアンスユーザは、アプライアンスのクレジット/デビット限度額の修正を手動で要求し得る。
【0075】
非限定的な実施形態では、デバイスプロファイルは、ターゲットを絞った販売促進のための推奨、オファー、および/または加盟店のロイヤルティもしくはリワードポイントプログラムの制限を実施するために使用され得る。なぜなら、アプライアンスのDPANは、特定の加盟店での使用、および/または特定の製品/サービスの購入もしくは製品/サービスのクラスを制限される場合があるので、加盟店は、ターゲットを絞ったプロモーションやオファーをアプライアンスに提供する場合がある。その結果、DPANの特定の使用分野を考慮すると、ロイヤルティリワードまたはポイントがより早く蓄積される可能性がある。一部の非限定的な例では、ロイヤルティリワードまたはポイントの残高が多いアプライアンスは、ユーザがアプライアンスの販売を申し出たり、リースを終了したり、または別の方法でアプライアンスを誰かに提供した場合に、ユーザ/所有者にとってより高い再販価格または残存価格を維持する場合がある。
【0076】
図1の参照を継続すると、アプライアンス(102)のユーザ(例えば、アプライアンスの所有者、アプライアンスのユーザ/賃借人など)が、アプライアンス(102)の所有権、所有、および/または制御を販売、返却、またはその他の方法で放棄する場合、ユーザおよび/またはユーザデバイス(103)は、所有者のMPANをDPAN(104)および/またはDToken(106)からを切り離すことを目的として、MPANをDPAN(104)および/またはDToken(106)に関連付けるために、上述したのと同じ方法で(例えば、ユーザデバイス(103)を通して、またはアプライアンス(102)を通して直接)、取引処理システム(110)と通信し得る。取引処理システム(110)はその後、次の表に示すようにMPANをトークンボルト(118)のDPAN(104)およびDToken(106)から切り離す。
【0077】
【表3】
【0078】
トークンボルト(118)のDPAN(104)および/またはDToken(106)に関連付けられた対応するMPANがない場合、取引の検証または承認はできない。さらに、一部の非限定的な実施形態または態様では、DPANがMPANとの関連付けを解除されると、クレジット/デビット限度額は減らされる可能性があり、取引の検証/承認におけるエラーによる潜在的な損失を削減する。一部の非限定的な実施形態または態様では、MPANは、別のユーザまたは別のMPANを持つ同じユーザからの起動要求に応答して、DPANおよび/またはDTokenから切り離されている可能性がある。
【0079】
図2を参照すると、非限定的な実施形態による、トークンをアプライアンスにプロビジョニングする方法が図示されている。ステップ(s1)では、アプライアンスの製造業者、代理店、または再販業者は、DPANおよびDTokenを記憶するためのメモリをアプライアンス(102)内に含む。一部の非限定的な実施形態または態様では、メモリは、安全なかつ/または暗号化されたメモリ空間を含む。一部の非限定的な実施形態または態様において、DPANと関連付けられていないDTokenは、この時点でメモリに記憶できる。ステップ(s2)では、DPANは、アプライアンスに発行される。DPANは、ステップ(s2a)の発行者システム(114)、ステップ(s2b)の取引処理システム(110)、またはその両方により発行される。実施形態または態様において、例えば、限定するものではないが、取引処理システム(110)がDPANの発行に関与せず、DTokenがアプライアンスにすでに記憶されていないものは、ステップ(s3)では、DPANが、トークン化される取引処理システムに伝達される。取引処理システムがDPANをステップ(s4)でトークン化し、それによってDTokenを生成する。DTokenは、次に、ステップ(s5)でアプライアンス(102)に伝達され、そこでは、ユーザが購入、賃貸、リース、またはその他の形態で所有するまで、DTokenは記憶され、非アクティブである。
【0080】
Tokenがアプライアンス(102)にプロビジョニングされた後、図2をさらに参照して、DTokenは、ユーザによって起動され得る。ステップ(s6)では、ユーザデバイス(103)またはアプライアンス(102)を介して、所有者がステップ(s7)で取引処理システム(110)と通信し、取引処理システム(110)がMPANを含むユーザの携帯金融デバイスをステップ(s8)でDPANおよび/またはDTokenに関連付けられるようにする識別情報を提供する。
【0081】
図3は、非限定的な実施形態または態様に従う、DTokenを使用して取引を処理するシステム(2000)を示す。図3では、システム(2000)は、アプライアンス(102)、加盟店システム(108)、アクワイアラシステム(112)、発行者システム(114)、および取引処理システム(110)を含む。構成要素は、ネットワーク(101)を介して通信してもよい。取引を実行すると、アプライアンス(102)は、取引要求を伝達し、これには、DToken(106)および/またはDPAN(104)、ならびに任意選択で、取引要求をアクワイアラシステム(112)(例えば、アクワイアリング銀行システム)に伝達する加盟店システム(108)への取引データが含まれ得る。取引データは、例えば、取引額、取引日、取引時間、取引場所、加盟店識別子、購入する製品/サービスの識別、アプライアンス情報(例えば、一意のデバイス識別子、デバイスプロファイルなど)および/または同類のものを含み得るが、これらに限定されない。次に、アクワイアラシステム(112)は、取引要求を取引処理システム(110)に伝達し、取引要求を検証し、取引処理の権限を取得する。このような承認は、2段階のプロセスで行われる場合がある。
【0082】
第一に、非限定的な実施形態または態様では、取引処理システム(110)は、トークンボルト(118)内のDToken(106)および/またはDPAN(104)のチェックを行うことができ、DToken(106)および/またはDPAN(104)はトークンボルト(118)内のMPANに関連付けられていると判定することに応じて、取引処理システム(110)は、取引が承認されていると判定し得る。取引が承認されるとの判定には、DToken(106)および/またはDPAN(104)に関連付けられたドメイン制限のチェック、MPANが有効であり、取引および/または同種のものに使用できるとの検証も含まれる。一部の非限定的な実施形態では、取引が承認されているとの判定には、取引要求に含まれる固有のデバイス識別子が、DToken(106)および/またはDPAN(104)に関連付けられた固有の識別子と一致するかどうかの確認が含まれる。取引が承認されると判定する場合、取引処理システム(110)は取引を処理する。
【0083】
非限定的な実施形態または態様では、承認の第2のステップは、取引がDPAN(104)を、任意で一部の実施形態または態様では、取引データを、取引の承認のために発行者システム(114)に伝達することによって承認されると判定する取引処理システム(110)を含み得る。発行者システム(114)が取引を承認すると、承認応答メッセージが生成され、取引処理システム(110)に伝達され、取引が処理される。
【0084】
非限定的な実施形態または態様では、取引処理システム(110)は、取引が、少なくとも部分的にアプライアンス(102)のデバイスプロファイルに基づいて承認されていると判定する。例えば、非限定的な実施形態または態様では、取引処理システム(110)は、取引が、少なくとも部分的に、アプライアンス(102)のデバイスプロファイルに明記されるドメイン制限に基づいて承認されていると判定し得る。取引処理システム(110)が、取引要求がドメイン制限を満たすと判定する場合、取引は承認され、処理され得る。同様に、取引要求がドメイン制限を満たさないと判定するのに応答して、取引処理システム(110)は、拒否をアクワイアラシステム(112)、加盟店システム(108)、アプライアンス(102)、および/またはユーザデバイス(103)(図示せず)に伝達し得る。
【0085】
非限定的な実施形態または態様では、複数のアプライアンスおよび/または複数のデバイストークンを使用して、取引に従事してもよい。例えば、アプライアンス(102)から伝達された取引要求が、ドメイン制限(例えば、取引額が信用限度または取引限度を超える)を満たさないと判定された場合、ユーザに関連付けられた複数のアプライアンスの信用限度(またはその他のドメイン制限)を集計して、取引の実行を許可することができる。かかる実施形態または態様において、取引処理システム(110)は、DPAN(104)を含む承認要求を承認のため発行者システム(114)に送ることによって、取引額の第一の部分をDToken(106)に請求し、一つ以上の追加のアプライアンスに関連付けられた一つ以上のDTokenに取引額の第2部分を請求する。非限定的な実施形態では、アプライアンス自体は、ドメイン制限が満たされているかどうかを判定し得る。例えば、アプライアンスは、追加のアプライアンス(すなわち、当初要求したアプライアンス(102)以外のアプライアンス)がそのドメイン制限を、アプライアンス(102)が、そのドメイン制限に基づいて取引を要求できない、または拒否を受信できないと判定することに応答して、アプライアンス(102)に伝達できるように互いに通信することができる。他の非限定的な実施形態では、ドメイン制限は、取引処理システム(110)、発行者システム(114)、またはその他のシステムによって適用可能であるか、または適用できないかを判定され得る。
【0086】
一部の非限定的な実施形態または態様では、取引処理システム(110)は、取引が、MPANおよび任意で、一部の実施態様または態様において、取引データをMPANに関連付けられた発行者システム(116)へ伝達することによって承認されると判定する。発行者システム(116)が取引を承認すると、承認応答が取引処理システム(110)に伝達され、取引が処理される。
【0087】
一部の非限定的な実施形態または態様では、取引処理システム(110)が、アプライアンス(102)によって開始された取引を処理するとき、取引処理システム(110)は、取引額に対応する金額を控除するための承認要求を生成し、承認要求を発行者システム(116)に伝える。他の非限定的な実施形態または態様では、取引処理システム(110)は、アプライアンス(102)によって開始された取引の取引データを一定期間にわたって集計し、単一の承認要求を生成して発行者システム(116)に伝達して、集計された取引金額に対応する金額を控除する。
【0088】
図2に戻ると、非限定的な実施形態または態様による、アプライアンス(102)によって開始される取引を処理する方法も図示されている。ステップ(s9)では、アプライアンス(102)は取引要求を加盟店システム(108)(図示せず)またはアクワイアラシステム(112)に伝達する。取引要求には、取引データ、DToken、および一部の非限定的な例では、DPANが含まれる。ステップ(s10)では、アクワイアラシステム(112)は取引データ、DTokenおよび一部の非限定的な例では、DPANを検証および承認のために取引処理システム(110)へ伝達する。ステップ(s11)では、取引処理システム(110)がトークンボルトをチェックし、DTokenおよび/またはDPANがMPANに関連付けられていることを検証する。DTokenおよび/またはDPANがMPANに関連付けられている場合、ステップ(s12)で、DPANを含む承認要求および、一部の非限定的な実施形態では、取引データは発行者システム(114)に送信される。取引が承認された場合、発行者システム(114)は、ステップ(s13)で取引処理システム(110)に承認応答を伝達する。承認された場合、取引処理システム(110)は取引を処理し、ステップ(s14)では、承認応答を加盟店アクワイアラシステム(112)に伝達し、一部の非限定的な例では、例えば、ユーザデバイス(103)に伝達された通知を通して、アプライアンス(102)および/またはアプライアンスユーザに伝達する。
【0089】
ここで図4を参照すると、アプライアンスへのトークンの承認およびプロビジョニングのための非限定的な実施形態または方法(4000)の態様のフロー図を示す。方法(4000)の一つ以上のステップは、本明細書に記述されたような取引処理システムによって部分的または完全に実施され得るが、他のデバイスおよび/またはシステムは、非限定的な実施形態では一つ以上のステップを実行し得ることが理解されるであろう。図4に示す通り、ステップ(402)で、元のアカウント識別子がアプライアンスに発行される。本明細書に記載されるように、元のアカウント識別子(DPAN)は、発行時点でユーザまたはアプライアンスの所有者に関連付けられていない。ステップ(404)では、デバイストークン(DToken)が元のアカウント識別子(DPAN)に関連付けられる。DTokenは、生成されるか、すでに存在する可能性がある。DTokenは、アプライアンスのメモリに記憶できる。ステップ(406)では、ユーザアカウント識別子(MPAN)はDTokenおよび/またはDPANに関連付けられている。前述のように、この関連付けはトークンボルトに記憶できる。MPANは、DPANとは独立して存在するユーザ用の別個の元のアカウント識別子である場合がある。
【0090】
図4を引き続き参照すると、ステップ(408)では、DTokenを含む取引要求はアプライアンスから受信される。ステップ(410)では、MPANまたは対応するトークンなどのユーザアカウントが、少なくとも部分的にDTokenに基づいて識別される。その後、ステップ(412)で、取引が承認されているかどうかが判定される。この判定は、少なくとも部分的にDPANに基づき、一部の非限定的な実施形態では、少なくとも部分的にDPANおよびMPANに基づく。ステップ(414)では、取引が承認されたという判定に応じて、取引が処理される。例えば、DPANはMPANに関連付けられているので、取引は最初承認されたという判定に応じて、取引処理システムは、承認要求を生成し、発行者システムに伝達し、取引を完了できる最終承認を得ることができる。
【0091】
ここで図5を参照すると、非限定的な実施形態のフロー図、または取引を処理するためのアプライアンスを承認する方法(5000)の態様を示す。方法(5000)の一つ以上のステップは、取引処理システムによって部分的または完全に実施されてもよいが、他のデバイスおよび/またはシステムは、非限定的な実施形態では一つ以上のステップを実行してもよいことが理解されよう。図5に示すように、ステップ(502)で、元のアカウント識別子が発行され、アプライアンスに登録される。本書に記載されるように、元のアカウント識別子(DPAN)は、発行時点でユーザまたはアプライアンスの所有者に関連付けられていない。ステップ(504)では、取引要求は、アプライアンスから直接または間接的に受信される。取引要求には、アプライアンスに関連づけられたDTokenおよび/またはDPANが含まれる。ステップ(506)では、DPANを含む承認要求が生成される。ステップ(508)では、承認要求はDPANに関連付けられた発行者システムに伝達される。
【0092】
また、アプライアンスが支払いを受け取ることを承認するシステムおよび方法も本明細書に記載される。このようなシステムは、非限定的な実施形態および態様に従い図1および図3に示される。このシステムおよび方法は、アプライアンス(102)、発行者システム(114)、および取引処理システム(110)を含む、上述のものと同じ構成要素を使用し得る。構成要素は、ネットワーク(101)を介して通信してもよい。元のDPAN(104)は、発行者システム(114)および/または取引処理システム(110)によってアプライアンス(102)に登録される。DPAN(104)は、発行時にユーザまたはアプライアンスの所有者に関連付けられていない元のPANであり、それにより、一部の非限定的な実施形態ではDPAN(104)はその後、ユーザPANにリンクされてもよいが、DPAN(104)は、ヒトには発行されない。一部の非限定的な実施形態または態様では、発行者システム(114)と取引処理システム(110)が連携してDPAN(104)をアプライアンスに発行する。一部の非限定的な実施形態または態様では、元のアカウント識別子を登録することは、アプライアンスに特定の固有のデバイス識別子をDPAN(104)と関連付けることを含む。アプライアンスに特定の固有のデバイス識別子は、アプライアンス(102)のメモリ(105)にエンコードされてもよい。
【0093】
取引を承認する方法は、上記に説明されている。取引の承認に有用な同じ構成要素は、アプライアンス(102)による支払の受諾を承認するのに有用であり得る。例えば、限定するものではないが、ユーザは、ユーザデバイス(103)を通して、またはアプライアンス(102)自体を通して、アプライアンス(102)と対話して、例えば、アプライアンスのレンタル/リース、または同類のものに対する支払いを提出することができる。従来の支払い方法と同様に、これには、ユーザデバイス(103)を通して、またはアプライアンス(102)自体を通して、ユーザに関連付けられたアカウント識別子(すなわち、UPANまたはUToken)を含む支払要求をユーザがアプライアンス(102)に伝達することを含んでもよい。支払要求にはDPAN、DToken、UPAN、および/またはUTokenを含めることができる。さらに、支払要求には、例えば、支払金額、支払日、支払時間、支払場所、加盟店識別子、購入する製品/サービスの識別、アプライアンス情報(例えば、一意のデバイス識別子、デバイスプロファイルなど)および/または同類のものなどであるが、これらに限定されない、支払データが含まれ得る。
【0094】
アプライアンス(102)は支払要求を、例えば、レンタカー会社またはその他のリースもしくはレンタル代理店に関連する場合があるが、これらに限定されない加盟店システム(108)および/またはアクワイアラシステム(112)に伝達する。次に、アクワイアラシステム(112)は、支払要求を取引処理システム(110)に伝達し、支払要求を検証し、支払処理の承認を受ける。取引処理システム(110)は、支払がUPANおよび/またはUTokenならびに随意に、一部の態様または態様では、支払データを、UPANおよび/またはUTokenに関連付けられた発行者システム(116)へ伝達することによって承認されていると判定する。発行者システム(116)が支払を承認すると、承認応答が取引処理システム(110)に伝達され、支払が処理される。非限定的な実施形態または態様では、取引処理システム(110)は、承認をアプライアンス(102)、加盟店システム(108)、アクワイアラシステム(112)、および/またはユーザデバイス(103)に伝達する。上述のように、非限定的な実施形態または態様では、取引処理システムによる承認は、二段階承認であってもよく、それによって、第1段階において、取引処理システム(110)は、トークンボルト(118)のDToken(106)および/またはDPAN(104)のチェックを実施してもよく、DToken(106)および/またはDPAN(104)がトークンボルト(118)のMPAN(レンタカー会社、リース会社などに関連付けられたアカウント識別子など)に関連付けられていると判定することに応じて、取引処理システム(110)は、支払が承認されていると判定することができる。第二の承認段階では、取引処理システムはUPANおよび/またはUTokenならびに随意に、一部の態様または態様では、支払データを、上記で説明したとおり、UPANおよび/またはUTokenに関連付けられた発行者システム(116)へ伝達してもよい。さらなる非限定的な実施形態または態様では、取引処理システム(110)、発行者システム(114)、および/またはアプライアンス(102)自体は、取引処理システム(110)による支払いの承認および処理の前に、支払要求がアプライアンスに関連付けられたドメイン制限を満たすと判定する。
【0095】
一部の非限定的な実施形態または態様では、取引処理システム(110)が、アプライアンス(102)によって受信された支払要求を処理するとき、取引処理システム(110)は、支払値に対応する金額を控除する承認要求を生成し、承認要求を発行者システム(114)に伝える。この控除額は、トークンボルト(118)に記憶されたMPANに関連付けられた発行者システムに入金される。他の非限定的な実施形態または態様では、取引処理システム(110)は、アプライアンス(102)が一定期間に受け取った支払の支払データを集計し、単一の承認要求を生成して発行者システム(114)に伝達し、合計支払金額に相当する金額を控除し、トークンボルト(118)に記憶されたMPANに関連付けられた発行者システムに合計支払金額を入金する。
【0096】
さらに、ユーザ固有のアカウントを必要とすることなく、取引を行うためのアプライアンスが本明細書に提供される。再度図1を参照すると、アプライアンス(102)は、ユーザに関連付けられていないDPAN(104)および/またはデバイスアカウント識別子と一意に関連付けられるDToken(106)を記憶するアプライアンス(102)の内部メモリ(105)、通信デバイス、ならびにDPAN(104)およびDToken(106)のうちの少なくとも一つを含む取引要求を生成するようにプログラムまたは構成されるメモリおよび通信デバイスと通信するプロセッサ、を含む。非限定的な実施形態または態様では、アプライアンスプロセッサは、取引要求を取引処理システムに伝達し、取引要求の拒否を受信し、それに応答して、DPAN(104)およびDToken(106)のうちの少なくとも一つ、および少なくとも一つの他のDPANまたは少なくとも一つの他のアプライアンスと関連づけられたDTokenを含む新しい取引要求を生成し、新しい取引要求を取引処理システムに伝達するようにプログラムまたは構成される。
【実施例1】
【0097】
[スマートホーム]
本明細書に記載される本発明の非限定的な実施形態を組み込んだスマートホーム実装において、洗濯機や冷蔵庫、テレビ、および/または同類のものなどの一つ以上のアプライアンスは、商品やサービスの提供者、電力会社、および/またはデバイス製造業者と例えば、限定はされないが、消耗している、または消耗していると考えられる供給品を注文するため、メンテナンスや修理の予定を立てるため、メディアコンテンツまたはソフトウェアの購入のため、サービスへのアクセスを購入するため、および/または同類のもののため取引を行う。取引は、それぞれのアプライアンスに関連付けられた一つ以上のDTokenおよび/またはDPANを使用して要求される。上述のように、各デバイス上にプロビジョニングされたDPANには、信用/デビット限度額および/または取引限度額とともに、たとえば、許可された製品、ブランド、および加盟店のリストなどに限定されない、関連するドメイン制限がある場合がある。アプライアンスは、初期信用限度額/デビットファンド値(デバイスモデルおよび/または製造業者により20ドル、50ドルなど)で事前構成することもでき、これは、割引の有無に関わらず、アプライアンスの販売/レンタル/リース価格に組み込まれ得る。
【0098】
上記のプロモーションの推奨やオファーの推進に加え、デバイスプロファイルを相対的なプロファイルランキングにも使用できる。デバイスプロファイルの相対的なランキングは、クレジットカード発行者の顧客プロファイルと類似した方法で開発できる。デバイスプロファイルのランクが高いほど、デバイスに発行されたDPANを使用して利用できるオファーが良くなる。結果として、より良いプロファイルはデバイスの価値を高め、デバイスの再販価値にプレミアムを追加する。例えば、限定するものではないが、主に洗剤および洗剤様製品を購入する洗濯機は、特定の加盟店ドメインに限定されてもよく、ターゲットを絞ったプロモーションまたはオファーを受け取り得、また、加盟店に関連付けられたロイヤルティまたはリワードポイントを急速に蓄積し得る。この累積価値は再販売の価値を高める。これは、蓄積されたロイヤルティまたはリワードポイントが、将来における運用コストの低下につながる可能性があるためである。このことは、アプライアンスを販売しようとするときに、アプライアンスの所有者が宣伝することができる。同一アプライアンス(製造業者/モデル)だが、デバイスプロファイルが異なると、商品/サービスの違いにより、再販価値が異なる可能性があり、新しい所有者に利益がもたらされる。
【0099】
スマートホームソリューションの追加機能には、ドメイン制限が重複する複数のアプライアンス間で支払を分割することが含まれる。例えば、限定はされないが、DPANが、特定の月次、四半期、または年次の信用/デビット限度額に制限される冷蔵庫は、取引要求の送信時に、残りの信用/デビット限度額を、電子レンジのデバイスプロファイルに基づいて、十分な信用/デビット限度額の額を維持するDPANでプロビジョニングされた電子レンジの値と組み合わせることができる。さらに、一般家庭のアプライアンスは、ドメイン制限が重複する他のデバイスで利用可能なオファー(例えば、割引)を使用する許可を求める場合がある。
【実施例2】
【0100】
[スマートカー]
本明細書に記載される本発明の非限定的な実施形態を組み込んだレンタカーの実施において、1台以上の車両は、他のアプライアンス(例えば、料金所、ガソリンスタンド、その他の自動車、またはその他の類似のシステムもしくはサービスプロバイダ)と取引を行い、かつ/または車両をレンタル/リースする個人と取引を行うことができる。
【0101】
このような例では、レンタカー車両部隊の各車両は、対応するトークン(DToken)と、トークンボルト内の部隊の所有者PAN(MPAN)へのマッピングとを備える、それに発行された金融口座(DPAN)を有してもよい。各車両は、上記のように、MPANから資金を控除する承認ではなく、トークンボルトのマッピングに基づいて、借り手からの直接の支払いを受け入れることができ、資金はユーザ/レンタルアカウントから(UPANまたはUTokenに基づいて)DPANを通じてアプライアンスが受け取ることになり、MPANに関連付けられたアカウントに入金される。さらに、上記のプロセスと同様に、DTokenにプロビジョニングされた車両は、燃料、通行料、メンテナンス、保険などの要件に対して支払いを行うことができる。ドメイン制限は、特定の加盟店でおよび/または特定の加盟店カテゴリに対する購入のために、自動車支払モジュールで適用できる。レンタカー部隊の車両は、必要に応じて、上記のとおり、信用/デビット限度額の借入れ/集計を可能にするために、さらに互いに接続することができる。
【0102】
このようなシステムは、上記のように、DPANに関連付けられた燃料リワードポイントなど、特定のロイヤルティポイントまたはリワードポイントとして、借り手にも利益をもたらすことができ、燃料のより良いオファーをもたらすことができる。さらに、借り手が国外に居住している場合、車両は現地通貨で支払うことができ、そのため借り手は、単一のユーザアカウント識別子で複数の外貨取引(通貨換算手数料を含む)を回避することができる。
【0103】
前述のように、すべてのアプライアンスと同様に、車両には、車両の種類、製造業者、取引履歴、レンタル場所、および/または部隊を所有/運営する事業体/機関の関連付けられた信用スコアに基づいて、信用/デビット限度額が割り当てられてもよい。初期信用/デビット限度額は、自動車製造業者と銀行/支払ネットワークとの関係によって定義できる。例えば、自動車会社Aは銀行Aおよび取引サービスプロバイダAとリンクして、自動車会社Aが製造するすべてのSUVに対して限度額は1000米ドルを有するDPANのあるクレジットカード/デビットカードをプロビジョニングすることができるが、これらに限定されない。
【0104】
本発明は、現在最も実用的で好ましい実施形態とみなされるものに基づいて、例示目的のため詳細に説明されているものの、そのような詳細はその目的に限られ、本発明は、開示される実施形態に限定されないが、それに対して、添付された特許請求の範囲の精神および範囲内にある、修正ならびに同等の構成をカバーすることを意図することは理解されるものとする。例えば、本発明が、可能な限り任意の実施形態の一つ以上の特徴を、任意の他の実施形態の一つ以上の特徴と組み合わせることができると企図することは理解されるものとする。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明にかかるアプライアンスへのトークンの承認およびプロビジョニングのためのシステムおよび方法により、アプライアンスの所有者に発行された金融商品に依拠することなく、アプライアンスからの商取引を行うことが可能になる。そして、当該システムおよび方法により、複数のアプライアンスや多数の加盟店またはアクワイアラに潜在的に所有者の財務情報を公開することなく、商取引を行うことができる。従って、本発明は、スマートフォン、スマートホーム及びスマートカー等のスマートアプライアンスにおける商取引などに適用できる。
【符号の説明】
【0106】
101 ネットワーク
102 アプライアンス
103 ユーザデバイス
104 デバイスの個人アカウント番号(DPAN
105 メモリ
106 デバイストークン(DToken
108 加盟店システム
110 取引処理システム
112 アクワイアラシステム
114、116 発行者システム
118 トークンボルト
402、404、406、408、410、412、414 処理ステップ
502、504、506、508 処理ステップ
1000 トークンをアプライアンスにプロビジョニングするシステム
2000 デバイストークン(DToken)を使用して取引を処理するシステム
4000 アプライアンスへのトークンの承認およびプロビジョニングのための方法
5000 取引を処理するためのアプライアンスを承認する方法
s1、s2a、s2b、s3~s14 処理ステップ
図1
図2
図3
図4
図5