(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-23
(45)【発行日】2023-07-03
(54)【発明の名称】カーボンナノチューブ分散液、及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C01B 32/174 20170101AFI20230626BHJP
B82Y 30/00 20110101ALI20230626BHJP
B82Y 40/00 20110101ALI20230626BHJP
C01B 32/159 20170101ALI20230626BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20230626BHJP
C09D 7/61 20180101ALI20230626BHJP
C09D 17/00 20060101ALI20230626BHJP
C09D 133/10 20060101ALI20230626BHJP
H01B 1/00 20060101ALI20230626BHJP
H01B 1/04 20060101ALI20230626BHJP
H01B 1/24 20060101ALI20230626BHJP
H01B 5/14 20060101ALI20230626BHJP
H01B 13/00 20060101ALI20230626BHJP
【FI】
C01B32/174
B82Y30/00
B82Y40/00
C01B32/159
C08L101/00
C09D7/61
C09D17/00
C09D133/10
H01B1/00 H
H01B1/04
H01B1/24 A
H01B5/14 A
H01B13/00 Z
(21)【出願番号】P 2020561393
(86)(22)【出願日】2019-12-16
(86)【国際出願番号】 JP2019049082
(87)【国際公開番号】W WO2020129872
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2021-03-03
【審判番号】
【審判請求日】2022-06-14
(31)【優先権主張番号】P 2018235802
(32)【優先日】2018-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】593149926
【氏名又は名称】レジノカラー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】高橋 寿始
(72)【発明者】
【氏名】近藤 兼司
【合議体】
【審判長】瀧内 健夫
【審判官】恩田 春香
【審判官】松永 稔
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-65964(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、カーボンナノチューブ、カチオン系高分子分散剤、及び分散媒を含むカーボンナノチューブの分散液であって
、
該カーボンナノチューブは、短径が0.1~50nmであり、アスペクト比が100以上である単層カーボンナノチューブを75質量%以上含み、
該分散媒の95質量%以上が有機溶媒であり、
該カーボンナノチューブの含有量
を0.2質量%と
したときの粘度が、500mPa・s未満であ
る
ことを特徴とするカーボンナノチューブ分散液。
【請求項2】
前記カーボンナノチューブの粒子径D50が、5μm未満であることを特徴とする請求項1に記載のカーボンナノチューブ分散液。
【請求項3】
前記カーボンナノチューブの粒子径D90が、10μm未満であることを特徴とする請求項1又は2に記載のカーボンナノチューブ分散液。
【請求項4】
更に、分散助剤を含むことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のカーボンナノチューブ分散液。
【請求項5】
前記カチオン系高分子分散剤は、塩基性官能基含有共重合体、塩基性官能基を有する高分子量不飽和酸エステル、塩基性官能基を有する変性ポリウレタン、塩基性官能基を有する変性ポリエステル、塩基性官能基を有する変性ポリ(メタ)アクリレート、塩基性官能基を有する変性ポリアクリル酸塩、塩基性官能基を有する(メタ)アクリル系共重合体、ポリエチレンイミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルカノールアミン、アルキルアンモニウム塩、又は、アルキルアセタール化ポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のカーボンナノチューブ分散液。
【請求項6】
前記有機溶媒は、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、グリコール系溶媒、アルコール系溶媒、及び、窒素含有極性溶媒からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載のカーボンナノチューブ分散液。
【請求項7】
前記カーボンナノチューブ分散液を使用して下記の方法で形成された塗膜の全光線透過率が90%以上であり、かつ、表面抵抗値が1.0×10
9Ω/□未満であることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載のカーボンナノチューブ分散液。
塗膜の形成方法:塗膜中の該カーボンナノチューブの濃度が8質量%となるように、該分散液とメタクリル酸ブチル樹脂と該有機溶媒を混合して、固形分1質量%の樹脂組成物を調製し、該樹脂組成物を、ワイヤー径が0.27ミルであるバーコーターを用いてポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布し、塗布物を乾燥させて塗膜を形成する。
【請求項8】
少なくとも、短径が0.1~50nmでありアスペクト比が100以上である単層カーボンナノチューブと、カチオン系高分子分散剤と、有機溶媒とを混合する工程(1)、
該工程(1)で得られた混合物に超音波を照射する工程(2)、
該工程(2)で得られた超音波照射物を、粉砕メディアを使用しない分散機により分散する工程(3)、及び、
該工程(3)で得られた分散物にカチオン系高分子分散剤
と有機溶媒とを添加し、得られた混合物に超音波を照射する工程(4)を含む
ことを特徴とする単層カーボンナノチューブ分散液の製造方法。
【請求項9】
前記工程(1)の前に、前記単層カーボンナノチューブを無機酸又は無機酸を含む溶液で洗浄する工程を含むことを特徴とする請求項8に記載の単層カーボンナノチューブ分散液の製造方法。
【請求項10】
前記工程(1)において、更に分散助剤を混合することを特徴とする請求項8又は9に記載の単層カーボンナノチューブ分散液の製造方法。
【請求項11】
前記有機溶媒は、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、グリコール系溶媒、アルコール系溶媒、及び、窒素含有極性溶媒からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項8~10のいずれかに記載の単層カーボンナノチューブ分散液の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーボンナノチューブ分散液、及びその製造方法に関する。より詳しくは、カーボンナノチューブの分散性に優れ、経時安定性が良く、再凝集しにくく、低粘度である単層カーボンナノチューブの分散液、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
導電性に優れた工業的材料の一つとして、カーボンブラック、グラファイト、カーボンナノチューブ等のカーボン系材料が知られている。なかでも、カーボンナノチューブは、機械的性質や熱伝導性にも非常に優れ、工業的材料として、近年注目が高まっている。
カーボンナノチューブには、多層カーボンナノチューブ(「MWCNT(Multi Wall Carbon Nanotube)」とも称する。)や、単層カーボンナノチューブ(「SWCNT(Single Wall Carbon Nanotube)」とも称する。)等がある。
【0003】
カーボンブラックや多層カーボンナノチューブを使用して樹脂等に導電性を付与するためには、これらを多量に添加する必要がある。しかしながら、カーボンブラックやカーボンナノチューブの添加量を多くすると、透明性が低下してしまうという問題がある。一方、単層カーボンナノチューブは、多層カーボンナノチューブと比較して、単位質量当たりの比表面積が大きいため、少ない添加量で高い導電性を付与することができる点で優れている。
【0004】
カーボンナノチューブを樹脂と混合して使用する場合、分散媒中にカーボンナノチューブを分散させる必要がある。カーボンナノチューブを分散媒中に安定して分散させる方法として、例えば、特許文献1には、膨潤率が5以上のカーボンナノチューブ集合体と、特定範囲のアミン価と酸価の両方を有する分散剤とを、分散媒に分散させてカーボンナノチューブの分散体を得ることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のとおり、導電性に優れたカーボンナノチューブを分散媒中に分散させる方法が知られているが、単層カーボンナノチューブは、微細な粒子であり、粒子間で非常に強いファンデルワールス力が働き、かつ、大きいアスペクト比を有する。このため、多層カーボンナノチューブよりも分散媒中に分散させるのが困難であり、従来のカーボンナノチューブの分散方法では、単層カーボンナノチューブを分散媒中に十分に分散させることは困難である。特に、分散媒として有機溶媒を使用する場合、単層カーボンナノチューブを十分に分散させるのは非常に困難であり、分散方法については未だ検討の余地があった。
また、単層カーボンナノチューブの分散液は、多層カーボンナノチューブの分散液と比較して、経時安定性に劣り、特に、高温下(40℃等)では一度分散しても再凝集しやすいため、低温保管する必要があった。
【0007】
また、分散液中のカーボンナノチューブ含有量が高くなると、分散液の粘度が高くなって、分散液の流動性が低下する。そうすると、分散液を他のバインダー成分等と混合した際に均一に混合させることが困難になったり、分散液自体の正確な計量も困難になったりするため、当該混合液を調製するのに非常に時間がかかるという問題がある。また、上記混合液を用いて均一な塗工層を得ることも困難になる。また、高粘度の分散液を用いて製品を加工する際には、装置の耐圧化を高めることが必要になり、それが生産効率の低下を招くことになる。このような問題を避けるために、カーボンナノチューブの分散液は低粘度であることが好ましい。
【0008】
しかしながら、現時点では、分散性に優れ、経時安定性が良く、再凝集しにくい、低粘度な単層カーボンナノチューブの有機溶媒分散液を得る方法については未だ充分に検討されていない。
【0009】
本発明は、上記現状に鑑みて、単層カーボンナノチューブの分散性に優れ、経時安定性が良く、再凝集しにくい低粘度の、単層カーボンナノチューブを含む有機溶媒分散液、及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、単層カーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブの分散媒への分散方法について種々検討したところ、少なくとも、単層カーボンナノチューブと、高分子分散剤と、有機溶媒とを用い、超音波照射工程と粉砕メディアを使用しない分散機による分散工程とを含む所定の方法により分散液を製造すると、分散性に優れ、経時安定性がよく、再凝集しにくい、低粘度な、単層カーボンナノチューブの有機溶媒分散液を容易に製造できることを見いだした。また、上記製造方法により得られる単層カーボンナノチューブの分散液を用いれば、透明性と導電性の両方に優れた塗膜が得られることも見いだし、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、少なくとも、カーボンナノチューブ、高分子分散剤、及び有機溶媒を含むカーボンナノチューブの分散液であって、上記分散液は、カーボンナノチューブを0.01~10質量%含み、上記カーボンナノチューブは、短径が0.1~50nmであり、アスペクト比が100以上である単層カーボンナノチューブを75質量%以上含み、上記カーボンナノチューブの含有量が0.2質量%となるように上記分散液を調製した調製液の粘度が、500mPa・s未満であることを特徴とするカーボンナノチューブ分散液である。
【0012】
上記分散液において、上記カーボンナノチューブの粒子径D50が、5μm未満であることが好ましい。
【0013】
上記分散液において、上記カーボンナノチューブの粒子径D90が、10μm未満であることが好ましい。
【0014】
上記分散液において、更に、分散助剤を含むことが好ましい。
【0015】
上記分散液において、上記高分子分散剤は、カチオン系高分子分散剤であることが好ましい。
【0016】
上記分散液において、上記有機溶媒は、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、グリコール系溶媒、アルコール系溶媒、及び、窒素含有極性溶媒からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0017】
上記分散液を使用して下記の方法で形成された塗膜の全光線透過率が90%以上であり、かつ、表面抵抗値が1.0×109Ω/□未満であることが好ましい。
塗膜の形成方法:塗膜中の上記カーボンナノチューブの濃度が8質量%となるように、上記分散液とメタクリル酸ブチル樹脂と上記有機溶媒を混合して、固形分1質量%の樹脂組成物を調製し、上記樹脂組成物を、ワイヤー径が0.27ミルであるバーコーターを用いてポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布し、塗布物を乾燥させて塗膜を形成する。
【0018】
本発明はまた、少なくとも、短径が0.1~50nmでありアスペクト比が100以上である単層カーボンナノチューブと、高分子分散剤と、有機溶媒とを混合する工程(1)、上記工程(1)で得られた混合物に超音波を照射する工程(2)、上記工程(2)で得られた超音波照射物を、粉砕メディアを使用しない分散機により分散する工程(3)、及び、上記工程(3)で得られた分散物に高分子分散剤を添加し、得られた混合物に超音波を照射する工程(4)を含むことを特徴とする単層カーボンナノチューブ分散液の製造方法である。
【0019】
上記分散液の製造方法において、上記工程(1)の前に、上記単層カーボンナノチューブを無機酸又は無機酸を含む溶液で洗浄する工程を含むことが好ましい。
【0020】
上記工程(1)において、更に分散助剤を混合することが好ましい。
【0021】
上記分散液の製造方法において、上記高分子分散剤は、カチオン系高分子分散剤であることが好ましい。
【0022】
上記分散液の製造方法において、上記有機溶媒は、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、グリコール系溶媒、アルコール系溶媒、及び、窒素含有極性溶媒からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、単層カーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブの分散性に優れ、経時安定性が良く、再凝集しにくい、低粘度なカーボンナノチューブ分散液を得ることができる。また、本発明の分散液を使用すると、少量の添加で高い導電性を付与することができるので、導電性及び透明性の両方に優れた塗膜等を形成することができる。本発明の分散液は、導電性材料として、好適に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に本発明を詳述する。
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
【0025】
1.分散液
本発明は、少なくとも、カーボンナノチューブ、高分子分散剤、及び有機溶媒を含むカーボンナノチューブの分散液であって、上記分散液は、カーボンナノチューブを0.01~10質量%含み、上記カーボンナノチューブは、短径が0.1~50nmであり、アスペクト比が100以上である単層カーボンナノチューブを75質量%以上含み、上記カーボンナノチューブの含有量が0.2質量%となるように上記分散液を調製した調製液の粘度が、500mPa・s未満であることを特徴とするカーボンナノチューブ分散液である。
【0026】
本発明の分散液は、分散性に優れ、経時安定性が良く、再凝集しにくい、低粘度の単層カーボンナノチューブの有機溶媒分散液である。本発明の分散液が分散性に優れ、経時安定性が良く、再凝集しにくい、低粘度の単層カーボンナノチューブの有機溶媒分散液であるのは、所定範囲の短径とアスペクト比を有する単層カーボンナノチューブを所定範囲量で含み、所定範囲の粘度を有することによる。
【0027】
また、本発明の分散液を用いると、導電性及び透明性に優れた塗膜を形成することができる。
本発明の分散液が、導電性及び透明性に優れた塗膜を形成することができるのは、カーボンナノチューブとして、単層カーボンナノチューブを、カーボンナノチューブ中75質量%以上含むものを用いることで、多層カーボンナノチューブに比べて少ない使用量で優れた導電性を得ることができること、及び、粒子間で非常に強いファンデルワールス力が働き、またアスペクト比が大きい単層カーボンナノチューブを使用しながら、低粘度でカーボンナノチューブの凝集物が少ない良好な分散状態を安定的に維持できていることによる。
【0028】
このような本発明の分散液は、後述する特定の製造方法により製造することができ、単層カーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブの濃度が、分散液中0.2質量%と比較的高い状態であっても、カーボンナノチューブの分散性に優れ、経時安定性が良く、再凝集しにくい比較的低粘度の分散液を得ることができる。
カーボンナノチューブの含有量が0.2質量%である分散液が、分散性に優れ、経時安定性が良く、再凝集しにくく、低粘度であると、他のバインダー成分等と混合する際に広範囲の処方が可能である。また、溶媒揮発工程での溶媒の揮発量を減らすことが可能である。
【0029】
本発明の分散液は、上記カーボンナノチューブ(好ましくは、単層カーボンナノチューブである。)の含有量が0.2質量%となるように上記分散液を調製した調製液の粘度が、500mPa・s未満である。
上記粘度が上記範囲であると、カーボンナノチューブの分散性が良好になり、経時安定性に優れ、再凝集しにくく、低粘度の分散液となりうる。また、分散液の自重での濾過回収率を高めることができる。上記回収率が高いと分散液の取り扱いが容易になる。上記調製液の粘度は、自重での濾過回収率がより一層高くなる点で、300mPa・s以下であることが好ましく、100mPa・s以下であることがより好ましい。なお、本発明の分散液の粘度は、通常、5mPa・s以上である。
【0030】
上記分散液を調製して調製液を作製する方法としては、上記分散液に、上記分散液に含まれる有機溶媒と同様の有機溶媒を添加したり、又は、上記有機溶媒を一部除去したりして、所定のカーボンナノチューブの濃度(0.2質量%)となるよう適宜調製する方法が挙げられる。上記有機溶媒を除去する方法としては、特に限定されず、減圧蒸留等の公知の方法が挙げられる。
【0031】
上記粘度は、BII型粘度計(東機産業株式会社製)を用いて、25℃、回転数60rpmの条件下で測定することにより得られる値である。
【0032】
上記自重での濾過回収率は、単層カーボンナノチューブ分散液100gを、目開き53μmのポリエステルメッシュ(10cm×10cm)に滴下し、1分間での、自重でのポリエステルメッシュ通過量を測定し、下記の式に基づいて算出することにより求めることができる。
自重での濾過回収率(%)=〔1分間のポリエステルメッシュ通過量(g)/100(g)〕×100
【0033】
上記回収率は、75%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることが更に好ましい。
上記回収率が低いと、他のバインダーとの均一混合や、正確な計量が困難になることによる作業時間の増加、装置の耐圧化を高めることによる生産効率の低下を招くおそれがある。
【0034】
本発明の分散液は、少なくとも、カーボンナノチューブ、高分子分散剤、及び有機溶媒を含む。以下に、本発明の分散液に含まれる各成分について説明する。
【0035】
(カーボンナノチューブ)
本発明の分散液において使用されるカーボンナノチューブは、短径が0.1~50nmであり、アスペクト比が100以上である単層カーボンナノチューブを含む。
上記単層カーボンナノチューブは、単層のグラフェンから形成される継ぎ目のない円筒状物質である。
上記単層カーボンナノチューブの短径とは、円筒状である単層カーボンナノチューブの直径である。上記短径は、好ましくは0.1~40nmであり、より好ましくは0.3~20nmであり、更に好ましくは、0.5~10nmである。
【0036】
また、上記単層カーボンナノチューブは、アスペクト比が100以上である。上記アスペクト比とは、円筒状である単層カーボンナノチューブの直径(短径)をA(nm)とし、長さ(長径)をB(nm)とした場合の、(B)/(A)の値である。
上記アスペクト比は、500以上が好ましく、1500以上がより好ましい。上記アスペクト比の上限としては、200000以下が好ましく、10000以下がより好ましい。
【0037】
上記長径は、100~1000000nmであることが好ましく、500~500000nmであることがより好ましく、1000~100000nmであることが更に好ましい。上記長径とは、円筒状である単層カーボンナノチューブの長さである。
【0038】
上記短径及び長径は、原子間力顕微鏡(AFM)、ラマン分光法(Raman)、透過型電子顕微鏡(TEM)等により測定することができる。
【0039】
本発明においては、上記単層カーボンナノチューブとして、市販品を用いてもよい。本発明において使用することができる単層カーボンナノチューブの市販品の具体例としては、例えば、TUBALL(登録商標)(OCSiAl社製)、ZEONANO(登録商標)SG101(ゼオンナノテクノロジー株式会社製)等を挙げることができる。なかでも、本発明の分散液の分散性をより一層向上させることができる点で、TUBALL(登録商標)(OCSiAl社製)が好ましい。
上記単層カーボンナノチューブは、1種のみ使用してもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0040】
本発明の分散液において使用するカーボンナノチューブは、上記単層カーボンナノチューブ以外のカーボンナノチューブ、例えば、多層カーボンナノチューブ等の他のカーボンナノチューブを含んでいてもよいが、上記単層カーボンナノチューブを75質量%以上含む。単層カーボンナノチューブを75質量%以上含むことにより、樹脂等に本発明の分散液を少量添加するだけで高い導電性を付与することができ、優れた透明性と導電性を兼ね備えた塗膜等を形成することができる。
上記多層カーボンナノチューブは、直径の異なる2本以上の単層カーボンナノチューブが同軸で多層に重なったカーボンナノチューブである。
上記カーボンナノチューブは、上記単層カーボンナノチューブを80質量%以上含むことが好ましく、90質量%以上含むことがより好ましく、95質量%以上含むことが更に好ましく、100質量%含むことが特に好ましい。
【0041】
本発明の分散液において、カーボンナノチューブは、1種のみ使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0042】
本発明の分散液は、カーボンナノチューブを0.01~10質量%含む。上記分散液におけるカーボンナノチューブの含有量は、0.01~1質量%であることが好ましく、0.01~0.5質量%であることがより好ましい。
【0043】
本発明の分散液において、上記カーボンナノチューブの粒子径D50は、5μm未満であることが好ましい。上記カーボンナノチューブの粒子径D50が上記範囲であると、カーボンナノチューブの分散性がより一層良好になり、再凝集しにくい低粘度な分散液となりうる。上記粒子径D50は、4μm未満であることがより好ましく、3μm未満であることが更に好ましい。上記粒子径D50の下限値は、特に限定されないが、繊維破断により充分な導電性が得られないことを防ぐ為には0.5μm以上が好ましく、1μm以上がより好ましい。
【0044】
また、上記カーボンナノチューブの粒子径D90は、10μm未満であることが好ましい。上記カーボンナノチューブの粒子径D90が10μm未満であると、カーボンナノチューブの分散性がより一層良好になり、再凝集しにくい低粘度の分散液となりうる。上記粒子径D90は、8μm未満であることがより好ましく、5μm未満であることが更に好ましい。上記粒子径D90の下限値は、特に限定されないが、繊維破断により優れた導電性が得られないことを防ぐ為には1.5μm以上が好ましく、2μm以上がより好ましく、3μm以上が更に好ましく、3.5μm以上が特に好ましい。
【0045】
上記粒子径D50及びD90は、上記分散液を粒度分布測定可能な濃度に適宜希釈して、LA-950V2(株式会社堀場製作所製)等のレーザー回折/散乱式粒子径分布定装置により測定して得られる値である。
【0046】
(高分子分散剤)
本発明において使用される高分子分散剤としては、カーボンナノチューブの分散性を向上させることができるものであれば特に限定されず、ノニオン系高分子分散剤、アニオン系高分子分散剤、カチオン系高分子分散剤等が挙げられるが、なかでもカーボンナノチューブの分散性をより一層向上させることができる点で、カチオン系高分子分散剤であることが好ましい。
【0047】
上記カチオン系高分子分散剤としては、アミン基等の塩基性官能基を有する高分子等が挙げられ、例えば、塩基性官能基含有共重合体;塩基性官能基を有する高分子量不飽和酸エステル、変性ポリウレタン、変性ポリエステル、変性ポリ(メタ)アクリレート、変性ポリアクリル酸塩、又は(メタ)アクリル系共重合体;ポリエチレンイミン;ポリオキシエチレンアルキルアミン;アルカノールアミン;アルキルアンモニウム塩、又はアルキルアセタール化ポリビニルアルコール等が挙げられる。
なかでも、単層カーボンナノチューブの分散性をより一層向させることができる点で、上記カチオン系高分子分散剤は、塩基性官能基含有共重合体、塩基性官能基を有する(メタ)アクリル系共重合体、又は、アルキルアセタール化ポリビニルアルコールであることが好ましい。
【0048】
上記高分子分散剤は、直鎖状、末端変性型、ブロック型、又はグラフト型の高分子であってもよい。
【0049】
上記高分子分散剤のアミン価は、カーボンナノチューブの分散性をより一層向上させることができる点で、0mgKOH/g以上であることが好ましく、5mgKOH/g以上であることがより好ましく、100mgKOH/g以下であることが好ましく、75mgKOH/g以下であることがより好ましく、50mgKOH/g以下であることが更に好ましい。上記アミン価は、0~100mgKOH/gであることが好ましく、5~100mgKOH/gであることがより好ましく、5~75mgKOH/gであることが更に好ましく、5~50mgKOH/gであることが特に好ましい。
【0050】
本発明においては、上記高分子分散剤として、市販品を用いてもよい。本発明において使用することができる高分子分散剤の市販品の具体例としては、アジスパー PB821、PB822、PB824、PB881(いずれも、味の素ファインテクノ株式会社製)、Efka(登録商標)PX4320、PX4310、PX4300、PX4330、PX4340、PX4700、PX4701、PX4731、PX4732、PU4063、PA4400、PA4401、PA4403(いずれも、BASF社製)、BYK-9077(ビックケミー社製)、エスレックBL-1、BL-2、BL-5、BL-10、BL-S(いずれも、積水化学工業株式会社製)等が挙げられる。
なかでも、上記分散液の分散性をより一層向上させることができる点で、アジスパー PB821、Efka(登録商標)PX4320、エスレックBL-10、エスレックBL-Sが好ましい。
【0051】
上記高分子分散剤は、1種のみ使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0052】
本発明の分散液における上記高分子分散剤の含有量は、1~10質量%であることが好ましく、1~5質量%であることがより好ましく、1~3質量%であることが更に好ましい。
【0053】
(有機溶媒)
本発明において使用される有機溶媒としては、特に限定されず、例えば、アルコール系溶媒(メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロパノール、フェノール等)、アミン系溶媒(トリエチルアミン、トリメタノールアミン等)、エーテル系溶媒(ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、エーテルアルコール系溶媒(2-メトキシエタノール、エトキシエタノール、メトキシエトキシエタノール、フェニルエタノール等)、グリコール系溶媒(エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル等)、エステル系溶媒(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ノルマルブチル等)、カーボネート系溶媒(エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ブチレンカーボネート等)、ケトン系溶媒(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、炭化水素系溶媒(トルエン、ベンゼン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン等)、塩素含有炭化水素系溶媒(クロロホルム、ジクロロメタン、クロロベンゼン等)、低級カルボン酸(酢酸等)、窒素含有極性溶媒(N,N-ジメチルホルムアミド、ニトロメタン、N-メチルピロリドン等)、硫黄化合物系溶媒(ジメチルスルホキシド等)等を用いることができる。
【0054】
なかでも、単層カーボンナノチューブの分散性をより一層向上させることができる点で、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、グリコール系溶媒、アルコール系溶媒、又は、窒素含有極性溶媒であることが好ましく、エステル系溶媒、グリコール系溶媒、又は、ケトン系溶媒であることがより好ましく、酢酸ノルマルブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、又は、メチルエチルケトンであることが更に好ましい。
上記有機溶媒は、1種のみ使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
【0055】
本発明の分散液における上記有機溶媒の含有量は、89~98質量%であることが好ましく、93~98質量%であることがより好ましく、95~98質量%であることが更に好ましい。
【0056】
本発明の分散液は、分散媒として、上記有機溶媒の他に水等を含んでいてもよいが、上記有機溶媒は、分散媒中に95質量%以上含まれているのが好ましく、98質量%以上含まれているのがより好ましく、100質量%含まれているのが更に好ましい。
【0057】
(他の成分)
本発明の分散液は、少なくとも、上記のカーボンナノチューブ、高分子分散剤、及び有機溶媒を含むものであるが、他の成分を更に含んでいてもよい。
上記他の成分としては、例えば、分散助剤、pH調整剤、表面調整剤等が挙げられる。なかでも、単層カーボンナノチューブの濡れをより一層高め、分散性(経時安定性の向上、再凝集抑制、低粘度化)を向上させることができる点で、上記分散液は分散助剤を更に含むことが好ましい。
上記他の成分の種類や含有量は、上記分散液の目的、用途に応じて、公知のものから適宜選択することができる。
【0058】
上記分散助剤としては、例えば、SOLSPERSE 5000、SOLSPERSE 12000(Lubrizol社製)等のフタロシアニン誘導体、SOLSPERSE 22000(Lubrizol社製)等のアゾ誘導体等が挙げられる。
【0059】
本発明の分散液を使用すれば、透明性及び導電性に優れた塗膜を形成することができる。
本発明の分散液を使用して後述する方法で形成された塗膜は、全光線透過率が90%以上であり、かつ、表面抵抗値が1.0×109Ω/□未満であることが好ましい。
上記全光線透過率は、93%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましい。
上記全光線透過率は、ヘイズメーターHZ-2(スガ試験機株式会社製)等のヘイズメーターを用いて、全光線透過率規格(ISO 13468-1、JIS K 7361)に準じた方法により測定して得られる値である。
【0060】
上記表面抵抗値は、5.0×108Ω/□未満であることが好ましく、1.0×107Ω/□未満であることがより好ましい。
上記表面抵抗値は、ハイレスタMCP-HT450(三菱化学株式会社製)等の抵抗率計を用いて、20℃で、塗膜表面を流れる電流値を測定することにより得られる値である。
【0061】
上記全光線透過率と表面抵抗値を測定するための塗膜は、塗膜中のカーボンナノチューブの濃度が8質量%となるように、本発明の分散液とメタクリル酸ブチル樹脂と有機溶媒を混合して、固形分1質量%の樹脂組成物を調製し、上記樹脂組成物を、ワイヤー径が0.27ミルであるバーコーターを用いてポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布し、塗布物を乾燥させることにより、形成することができる。
上記有機溶媒としては、本発明の分散液に含まれる有機溶媒と同じ有機溶媒が挙げられる。
【0062】
上記塗布物の乾燥方法は、塗布物中の有機溶媒が十分に留去されて塗膜が形成される方法であれば、特に限定されず、使用する有機溶媒の種類に応じて、加熱乾燥等の公知の方法から適宜選択して行うことができる。乾燥条件も、使用する有機溶媒の種類等に応じて適宜選択することができる。
【0063】
2.分散液の製造方法
本発明の分散液は、上述した本発明の分散液の要件を満たす分散液が製造されることになる限り、その製造方法は特に制限されないが、例えば、下記の工程(1)~(4)を含む方法が好ましく挙げられる。
工程(1):少なくとも、短径が0.1~50nmでありアスペクト比が100以上である単層カーボンナノチューブと、高分子分散剤と、有機溶媒とを混合する工程
工程(2):工程(1)で得られた混合物に超音波を照射する工程
工程(3):工程(2)で得られた超音波照射物を、粉砕メディアを使用しない分散機により分散する工程
工程(4):工程(3)で得られた分散物に高分子分散剤を添加し、得られた混合物に超音波を照射する工程。
【0064】
上記の工程(1)~(4)を含むことにより、分散性に優れ、経時安定性が良好で、再凝集しにくい低粘度な単層カーボンナノチューブを含む分散液を好適に製造することができる。このような、少なくとも、短径が0.1~50nmでありアスペクト比が100以上である単層カーボンナノチューブと、高分子分散剤と、有機溶媒とを混合する工程(1)、上記工程(1)で得られた混合物に超音波を照射する工程(2)、上記工程(2)で得られた超音波照射物を、粉砕メディアを使用しない分散機により分散する工程(3)、及び、上記工程(3)で得られた分散物に高分子分散剤を添加し、得られた混合物に超音波を照射する工程(4)を含むことを特徴とする単層カーボンナノチューブ分散液の製造方法もまた、本発明の一つである。
【0065】
本発明の分散液の製造方法は、工程(1)で少なくとも、単層カーボンナノチューブと、高分子分散剤と、有機溶媒とを混合した後、工程(2)の超音波処理により、単層カーボンナノチューブを有機溶媒と高分子分散剤で十分に濡らすことでカーボンナノチューブが分散しやすい状態にし、工程(3)の粉砕メディアを使用しない分散機を用いた分散により、単層カーボンナノチューブの繊維構造を破壊せずに解し、更に、工程(4)の高分子分散剤を添加して超音波処理することで、単層カーボンナノチューブを分散安定化させる方法である。
以下、各工程について、詳細に説明する。
【0066】
工程(1)
本発明の分散液の製造方法においては、まず、少なくとも、短径が0.1~50nmでありアスペクト比が100以上である単層カーボンナノチューブと、高分子分散剤と、有機溶媒とを混合する。
少なくとも、上記単層カーボンナノチューブと、高分子分散剤と、有機溶媒とを混合する方法としては、特に限定されず、ミキサー、ディゾルバー等の攪拌混合装置を用いる等の公知の混合手段が挙げられる。また、これらの成分は、任意の順で混合することができる。例えば、高分子分散剤を有機溶媒に溶解させた溶液を予め調製し、この溶液と、単層カーボンナノチューブとを混合してもよい。
なお、工程(1)は、単層カーボンナノチューブと、高分子分散剤と、有機溶媒とを混合する工程であるが、これらの成分のみを混合することを意味するものではなく、カーボンナノチューブとして単層カーボンナノチューブに加えて多層カーボンナノチューブを混合してもよい。また、後述する分散助剤等の他の成分を混合してもよい。
【0067】
上記単層カーボンナノチューブ、高分子分散剤、有機溶媒としては、いずれも上述の「1.分散液」において記載したものと同様のものが挙げられる。各成分は、上述の「1.分散液」において記載される含有割合となるように混合されることが好ましい。また、単層カーボンナノチューブに加えて多層カーボンナノチューブも混合する場合は、上述の「1.分散液」に記載される含有割合となるように混合することが好ましい。
【0068】
また、上記工程(1)において、上述した成分に加えて、分散助剤を更に混合することが好ましい。分散助剤を更に混合することにより、工程(2)での単層カーボンナノチューブの濡れをより一層高め、分散性がより一層優れた分散液を製造することができる。
上記分散助剤としては、上述の「1.分散液」において記載したものと同様のものが挙げられる。
上記分散助剤の添加量としては、特に限定されないが、単層カーボンナノチューブ100質量部に対して10~100質量部であることが好ましく、10~60質量部であることがより好ましく、20~40質量部であることが更に好ましい。
【0069】
本発明の分散液の製造方法においてはまた、上記工程(1)の前に、上記単層カーボンナノチューブを無機酸又は無機酸を含む溶液で洗浄する工程を含むことが好ましい。
上記単層カーボンナノチューブを無機酸又は無機酸を含む溶液で洗浄することにより、単層カーボンナノチューブに含まれる鉄等の不純物質を除去し、単層カーボンナノチューブの純度を高めることができる。
上記無機酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、過酸化水素等が挙げられる。
上記無機酸を含む溶液としては、上記無機酸と、水を混合した溶液等が挙げられる。
なお、本発明の分散液の製造方法において、原料として単層カーボンナノチューブに加えて多層カーボンナノチューブも使用される場合には、多層カーボンナノチューブも含んだカーボンナノチューブ全体について、上記洗浄工程を行うことが好ましい。
【0070】
上記単層カーボンナノチューブを無機酸又は無機酸を含む溶液で洗浄する方法としては、特に限定されず、公知の方法で行うことができる。
【0071】
工程(2)
本発明の分散液の製造方法においては、次に、上記工程(1)で得られた混合物に超音波を照射する。
超音波照射の方法は、特に限定されず、超音波装置等を用いて公知の方法により行うことができる。
超音波照射の条件として、振幅は10~100μmであることが好ましく、10~60μmであることがより好ましく、10~40μmであることが更に好ましい。
出力は、10~5000Wであることが好ましく、100~3000Wであることがより好ましく、200~1500Wであることが更に好ましい。
照射時間は、30秒以上であることが好ましく、より好ましくは60秒以上、更に好ましくは300秒以上であり、上限は特に限定されないが、600秒以下であることが好ましく、480秒以下であることが更に好ましい。
照射時の分散液の温度は、特に限定されないが、通常20~80℃、好ましくは30~70℃、より好ましくは40~60℃である。
上述のとおり、超音波照射は、カーボンナノチューブを有機溶媒で十分に濡らすことを目的とする工程であるため、工程(2)は、上記超音波照射の条件を参考にして、カーボンナノチューブが有機溶媒で十分に濡れる条件を適宜設定して行うことができる。
【0072】
工程(3)
本発明の分散液の製造方法においては、次いで、上記工程(2)で得られた超音波照射物を、粉砕メディアを使用しない分散機により分散する。
上記粉砕メディアを使用しない分散機としては、例えば、ミキサー、ホモジナイザー、ディソルバー、ロールミル、混練機、ジェットミル、ナノマイザー等が挙げられる。なかでも、ジェットミルが好ましく、湿式ジェットミルがより好ましい。
上記湿式ジェットミルとしては、例えば、吉田機械興業株式会社製の卓上型湿式超高圧微粒化実験装置NVL-ES008-D等が挙げられる。
【0073】
工程(3)の分散において湿式ジェットミルを使用する場合、処理圧力は50~300MPaであることが好ましく、100~250MPaであることがより好ましく、150~200MPaであることが更に好ましい。
また、ゲージの形状としては、クロス又はストレートが挙げられるが、クロスであることが好ましい。
【0074】
工程(3)における上記粉砕メディアを使用しない分散機による分散は、分散液の粘度が、工程(2)直後の分散液の粘度よりも大きくなるのを確認した後、終了することが好ましい。
【0075】
工程(4)
本発明の分散液の製造方法においては、更に、上記工程(3)で得られた分散物に、高分子分散剤を添加し、得られた混合物に超音波を照射する。
上記高分子分散剤としては、上述の「1.分散液」において記載した高分子分散剤と同様のものが好ましく挙げられ、上記工程(1)で使用する高分子分散剤と同様のものであることが好ましい。
上記高分子分散剤の添加量としては、得られる分散液における上記高分子分散剤の含有量が、「1.分散液」において記載した高分子分散剤の含有量となるよう適宜調製すればよいが、工程(1)と工程(4)で半分量ずつ添加することが好ましい。
【0076】
工程(4)における超音波照射の条件としては、上記工程(1)における超音波照射の条件と同様の条件が好ましく挙げられるが、工程(1)よりも照射時間を長く設定してもよい。
工程(4)における上記照射時間は、60秒以上であることが好ましく、より好ましくは120秒以上、更に好ましくは600秒以上であり、上限は特に限定されないが、1800秒以下であることが好ましく、1200秒以下であることがより好ましい。
【0077】
また、工程(4)における超音波照射終了後は、得られた分散液を30分程放置した場合、ビーカー側面に析出物が付着しないことが好ましい。
【0078】
以上の工程(1)~(4)を行うことにより、単層カーボンナノチューブの分散性に優れ、低粘度で、経時安定性が良く、単層カーボンナノチューブが再凝集しにくい分散液を容易に製造することができる。
【0079】
本発明の分散液の製造方法は、上記工程(1)~(4)及び上記単層カーボンナノチューブを無機酸又は無機酸を含む溶液で洗浄する工程以外の他の工程を含んでいてもよい。上記他の工程としては、熱交換器による冷却工程等が挙げられる。
【0080】
3.用途
本発明の分散液は、上述のように、単層カーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブの分散性に優れ、再凝集しにくい低粘度の分散液である。また、経時安定性にも優れる。本発明の分散液を用いれば、単層カーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブを樹脂等に容易に混合させることができ、しかも少量の添加で樹脂等に高い導電性を付与することができるので、優れた透明性と導電性を有する塗膜等を形成することができる。
このような本発明の分散液は、導電性と透明性が同時に求められる用途に好適に使用することができ、上記用途としては、例えば、半導体、一次電池、二次電池、燃料電池、光学機器、通信機器、導電性塗料、透明導電膜等が挙げられる。
【0081】
以上のとおり、本発明の分散液は、単層カーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブの分散性に優れ、経時安定性が良く、上記カーボンナノチューブが再凝集しにくい低粘度な分散液である。本発明の分散液を使用すれば、導電性と透明性に優れた塗膜等を製造することができる。また、本発明の分散液の製造方法によれば、単層カーボンナノチューブの濃度が比較的高濃度であっても、分散性に優れ、経時安定性が良く、再凝集しにくい低粘度な分散液を好適に製造することができる。本発明の分散液及びその製造方法は、半導体、一次電池、二次電池、燃料電池、光学機器、通信機器等の電子・電気や光学分野、導電性塗料、透明導電膜等において非常に有用である。
【実施例】
【0082】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
【0083】
実施例1
<調製例1> 高分子分散剤溶液1の調製
500ccステンレスタンクに高分子分散剤1(商品名:アジスパー PB821、固形分100質量%、塩基性官能基含有共重合物、アミン価10mgKOH/g、味の素ファインテクノ株式会社製)と酢酸ノルマルブチルを、下記の配合比にてディゾルバー(TKホモディスパー2.5型:PRIMIX社製)で混合溶解し、固形分20質量%の高分子分散剤溶液1を100g得た。
配合比(質量比):高分子分散剤1/酢酸ノルマルブチル=20/80
【0084】
<製造例1> 分散液1の製造
(第1工程)
調製例1で使用のステンレスタンクとは別の500ccステンレスタンクに、単層カーボンナノチューブ(TUBALL(登録商標)SWCNT 93%、OCSiAl社製、純度93%、短径1.6±0.4nm、長径5μm以上、アスペクト比2500以上、比表面積1070m2/g(BET法))と、分散助剤(商品名:SOLSPERSE 5000、フタロシアニン誘導体、Lubrizol社製)と、調製例1で調製した高分子分散剤溶液1と、酢酸ノルマルブチルとを、下記配合比にて秤量混合し、ディゾルバー(TKホモディスパー2.5型:PRIMIX社製)で攪拌して、95gの混合液を得た。
配合比(質量比):単層カーボンナノチューブ/分散助剤/高分子分散剤溶液1/酢酸ノルマルブチル=0.2/0.06/5/89.74
【0085】
(第2工程)
第1工程で得られた混合液に、下記条件で超音波分散機(装置名:GSD1200AT、株式会社ソニックテクノロジー製)にて超音波を照射して、中間分散液1-1を95g得た。
超音波照射条件:振幅30μm、出力650W、時間1min
【0086】
(第3工程)
第2工程で得られた中間分散液1-1を、下記条件で湿式ジェットミル(装置名:卓上型湿式超高圧微粒化実験装置 NVL-ES008-D、吉田機械興業株式会社製)にて分散させて、中間分散液1-2を95g得た。
分散条件:吸込み速度300%、吐出速度235%、処理圧力150MPa、クロスノズル使用
【0087】
(第4工程)
第3工程で得られた中間分散液1-2と調製例1で作製した高分子分散剤溶液1を、下記配合比にて混合し、中間分散液1-3を100g得た。更に中間分散液1-3に、下記条件で超音波分散機(装置名:GSD1200AT、株式会社ソニックテクノロジー製)にて超音波を照射することにより、単層カーボンナノチューブ分散液1(単層カーボンナノチューブ濃度0.2質量%)を100g得た。
配合比(質量比):中間分散液1-2/高分子分散剤溶液1=95/5
超音波照射条件:振幅30μm、出力:650W、時間1min
【0088】
実施例2
<調製例2> 高分子分散剤溶液2の調製
500ccステンレスタンクに高分子分散剤2(商品名:Efka(登録商標)PX 4320、固形分50質量%、アクリルブロックコポリマー高分子、アミン価30mgKOH/g、BASF社製)と酢酸ノルマルブチルを、下記配合比にてディゾルバー(TKホモディスパー2.5型:PRIMIX社製)で混合溶解し、固形分20質量%の高分子分散剤溶液2を100g得た。
配合比(質量比):高分子分散剤2/酢酸ノルマルブチル=40/60
【0089】
<製造例2> 分散液2の製造
(第1工程)
調製例2で使用のステンレスタンクとは別の500ccステンレスタンクに、単層カーボンナノチューブ(TUBALL(登録商標)SWCNT 93%、OCSiAl社製、純度93%、短径1.6±0.4nm、長径5μm以上、アスペクト比2500以上、比表面積1070m2/g(BET法))、分散助剤(商品名:SOLSPERSE 5000、フタロシアニン誘導体、Lubrizol社製)、上記高分子分散剤溶液2、及び、酢酸ノルマルブチルを下記配合比にて秤量混合し、ディゾルバー(TKホモディスパー2.5型:PRIMIX社製)で攪拌して、95gの混合液を得た。
配合比(質量比):単層カーボンナノチューブ/分散助剤/高分子分散剤溶液2/酢酸ノルマルブチル=0.2/0.06/5/89.74
【0090】
(第2工程)
第1工程で得られた混合液に、下記条件で超音波分散機(装置名:GSD1200AT、株式会社ソニックテクノロジー製)にて超音波を照射して、中間分散液2-1を95g得た。
超音波照射条件:振幅30μm、出力650W、時間1min
【0091】
(第3工程)
第2工程で得られた中間分散液2-1を、下記条件で湿式ジェットミル(装置名:卓上型湿式超高圧微粒化実験装置 NVL-ES008-D、吉田機械興業株式会社製)にて分散させて、中間分散液2-2を95g得た。
条件:吸込み速度300%、吐出速度235%、処理圧力150MPa、クロスノズル使用
【0092】
(第4工程)
第3工程で得られた中間分散液2-2と調製例2で作製した高分子分散剤溶液2を、下記配合比にて混合し、中間分散液2-3を100g得た。更に中間分散液2-3に、下記条件で超音波分散機(装置名:GSD1200AT、株式会社ソニックテクノロジー製)にて超音波を照射することにより、単層カーボンナノチューブ分散液2(単層カーボンナノチューブ濃度0.2質量%)を100g得た。
配合比(質量比):中間分散体2-2/高分子分散剤溶液2=95/5
超音波照射条件:振幅30μm、出力650W、時間1min
【0093】
実施例3
<調製例3> 高分子分散剤溶液3の調製
500ccステンレスタンクに、高分子分散剤3(商品名:アジスパー PB821、固形分100質量%、塩基性官能基含有共重合物、アミン価10mgKOH/g、味の素ファインテクノ株式会社製)とメチルエチルケトン(以下、「MEK」とも称する。)を、下記配合比にてディゾルバー(TKホモディスパー2.5型:PRIMIX社製)で混合溶解し、固形分20質量%の高分子分散剤溶液3を100g得た。
配合比(質量比):高分子分散剤3/MEK=20/80
【0094】
<製造例3> 分散液3の製造
(第1工程)
調製例3で使用のステンレスタンクとは別の500ccステンレスタンクに、単層カーボンナノチューブ(TUBALL(登録商標)SWCNT 93%、OCSiAl社製、純度93%、短径1.6±0.4nm、長径5μm以上、アスペクト比2500以上、比表面積1070m2/g(BET法))、分散助剤(商品名:SOLSPERSE 5000、フタロシアニン誘導体、Lubrizol社製)、高分子分散剤溶液3、及び、メチルエチルケトンを下記配合比にて秤量混合し、ディゾルバー(TKホモディスパー2.5型:PRIMIX社製)で攪拌して、95gの混合液を得た。
配合比(質量比):単層カーボンナノチューブ/分散助剤/高分子分散剤溶液3/メチルエチルケトン=0.2/0.06/5/89.74
【0095】
(第2工程)
第1工程で得られた混合液に、下記条件で超音波分散機(装置名:GSD1200AT、株式会社ソニックテクノロジー製)にて超音波を照射し、中間分散液3-1を95g得た。
超音波照射条件:振幅30μm、出力650W、時間1min
【0096】
(第3工程)
第2工程で得られた中間分散液3-1を、下記条件で湿式ジェットミル(装置名:卓上型湿式超高圧微粒化実験装置 NVL-ES008-D、吉田機械興業株式会社製)にて分散させ、中間分散液3-2を95g得た。
条件:吸込み速度300%、吐出速度235%、処理圧力150MPa、クロスノズル使用
【0097】
(第4工程)
第3工程で得られた中間分散液3-2と調製例3で作製した高分子分散剤溶液3を、下記配合比にて混合し、中間分散液3-3を100g得た。更に中間分散液3-3に、下記条件で超音波分散機(装置名:GSD1200AT、株式会社ソニックテクノロジー製)にて超音波を照射することにより、単層カーボンナノチューブ分散液3(単層カーボンナノチューブ濃度0.2質量%)を100g得た。
配合比(質量比):中間分散体3-2/高分子分散剤溶液3=95/5
超音波照射条件:振幅30μm、出力650W、時間1min
【0098】
実施例4
<調製例4> 高分子分散剤溶液4の調製
500ccステンレスタンクに、高分子分散剤4(商品名:アジスパー PB821、固形分100質量%、塩基性官能基含有共重合物、アミン価10mgKOH/g、味の素ファインテクノ株式会社製)とプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、「PMA」とも称する。)を、下記配合比にてディゾルバー(TKホモディスパー2.5型:PRIMIX社製)で混合溶解し、固形分20質量%の高分子分散剤溶液4を100g得た。
配合比(質量比):高分子分散剤4/PMA=20/80
【0099】
<製造例4> 分散液4の製造
(第1工程)
調製例4で使用のステンレスタンクとは別の500ccステンレスタンクに、単層カーボンナノチューブ(TUBALL(登録商標)SWCNT 93%、OCSiAl社製、純度93%、短径1.6±0.4nm、長径5μm以上、アスペクト比2500以上、比表面積1070m2/g(BET法))、分散助剤(商品名:SOLSPERSE 5000、フタロシアニン誘導体、Lubrizol社製)、高分子分散剤溶液4、及び、PMAを下記配合比にて秤量混合し、ディゾルバー(TKホモディスパー2.5型:PRIMIX社製)で攪拌して、95gの混合液を得た。
配合比(質量比):単層カーボンナノチューブ/分散助剤/高分子分散剤溶液4/PMA=0.2/0.06/5/89.74
【0100】
(第2工程)
第1工程で得られた混合液に、下記条件で超音波分散機(装置名:GSD1200AT、株式会社ソニックテクノロジー製)にて超音波を照射し、中間分散液4-1を95g得た。
超音波照射条件:振幅30μm、出力650W、時間1min
【0101】
(第3工程)
第2工程で得られた中間分散液4-1を、下記条件で湿式ジェットミル(装置名:卓上型湿式超高圧微粒化実験装置 NVL-ES008-D、吉田機械興業株式会社製)にて分散させ、中間分散液4-2を95g得た。
条件:吸込み速度300%、吐出速度235%、処理圧力150MPa、クロスノズル使用
【0102】
(第4工程)
第3工程で得られた中間分散液4-2と調製例4で作製した高分子分散剤溶液4を、下記配合比にて混合し、中間分散液4-3を100g得た。更に中間分散液4-3に、下記条件で超音波分散機(装置名:GSD1200AT、株式会社ソニックテクノロジー製)にて超音波を照射することにより、単層カーボンナノチューブ分散液4(単層カーボンナノチューブ濃度0.2質量%)を100g得た。
配合比(質量比):中間分散体4-2/高分子分散剤溶液4=95/5
超音波照射条件:振幅30μm、出力650W、時間1min
【0103】
実施例5
<調製例5> 高分子分散剤溶液5の調製
500ccステンレスタンクに、高分子分散剤5(商品名:エスレックBL-10、固形分100質量%、アルキルアセタール化ポリビニルアルコール、アミン価0mgKOH/g、積水化学工業株式会社製)とイソプロパノール(以下、「IPA」とも称する。)を、下記配合比にてディゾルバー(TKホモディスパー2.5型:PRIMIX社製)で混合溶解し、固形分20質量%の高分子分散剤溶液5を100g得た。
配合比(質量比):高分子分散剤5/IPA=20/80
【0104】
<製造例5> 分散液5の製造
(第1工程)
調製例5で使用のステンレスタンクとは別の500ccステンレスタンクに、単層カーボンナノチューブ(TUBALL(登録商標)SWCNT 93%、OCSiAl社製、純度93%、短径1.6±0.4nm、長径5μm以上、アスペクト比2500以上、比表面積1070m2/g(BET法))、分散助剤(商品名:SOLSPERSE 5000、フタロシアニン誘導体、Lubrizol社製)、高分子分散剤溶液5、及び、IPAを下記配合比にて秤量混合し、ディゾルバー(TKホモディスパー2.5型:PRIMIX社製)で攪拌して、95gの混合液を得た。
配合比(質量比):単層カーボンナノチューブ/分散助剤/高分子分散剤溶液5/IPA=0.2/0.06/5/89.74
【0105】
(第2工程)
第1工程で得られた混合液に、下記条件で超音波分散機(装置名:GSD1200AT、株式会社ソニックテクノロジー製)にて超音波を照射し、中間分散液5-1を95g得た。
超音波照射条件:振幅30μm、出力650W、時間1min
【0106】
(第3工程)
第2工程で得られた中間分散液5-1を、下記条件で湿式ジェットミル(装置名:卓上型湿式超高圧微粒化実験装置 NVL-ES008-D、吉田機械興業株式会社製)にて分散させ、中間分散液5-2を95g得た。
条件:吸込み速度300%、吐出速度235%、処理圧力150MPa、クロスノズル使用
【0107】
(第4工程)
第3工程で得られた中間分散液5-2と調製例5で作製した高分子分散剤溶液5を、下記配合比にて混合し、中間分散液5-3を100g得た。更に中間分散液5-3に、下記条件で超音波分散機(装置名:GSD1200AT、株式会社ソニックテクノロジー製)にて超音波を照射することにより、単層カーボンナノチューブ分散液5(単層カーボンナノチューブ濃度0.2質量%)を100g得た。
配合比(質量比):中間分散体5-2/高分子分散剤溶液5=95/5
超音波照射条件:振幅30μm、出力650W、時間1min
【0108】
実施例6
<調製例6> 高分子分散剤溶液6の調製
500ccステンレスタンクに、高分子分散剤6(商品名:エスレックBL-10、固形分100質量%、アルキルアセタール化ポリビニルアルコール、アミン価0mgKOH/g、積水化学工業株式会社製)とN-メチルピロリドン(以下、「NMP」とも称する。)を、下記配合比にてディゾルバー(TKホモディスパー2.5型:PRIMIX社製)で混合溶解し、固形分20質量%の高分子分散剤溶液6を100g得た。
配合比(質量比):高分子分散剤6/NMP=20/80
【0109】
<製造例6> 分散液6の製造
(第1工程)
調製例6で使用のステンレスタンクとは別の500ccステンレスタンクに、単層カーボンナノチューブ(TUBALL(登録商標)SWCNT 93%、OCSiAl社製、純度93%、短径1.6±0.4nm、長径5μm以上、アスペクト比2500以上、比表面積1070m2/g(BET法))、分散助剤(商品名:SOLSPERSE 5000、フタロシアニン誘導体、Lubrizol社製)、高分子分散剤溶液6、及び、NMPを下記配合比にて秤量混合し、ディゾルバー(TKホモディスパー2.5型:PRIMIX社製)で攪拌して、95gの混合液を得た。
配合比(質量比):単層カーボンナノチューブ/分散助剤/高分子分散剤溶液6/NMP=0.2/0.06/5/89.74
【0110】
(第2工程)
第1工程で得られた混合液に、下記条件で超音波分散機(装置名:GSD1200AT、株式会社ソニックテクノロジー製)にて超音波を照射し、中間分散液6-1を95g得た。
超音波照射条件:振幅30μm、出力650W、時間1min
【0111】
(第3工程)
第2工程で得られた中間分散液6-1を、下記条件で湿式ジェットミル(装置名:卓上型湿式超高圧微粒化実験装置 NVL-ES008-D、吉田機械興業株式会社製)にて分散させ、中間分散液6-2を95g得た。
条件:吸込み速度300%、吐出速度235%、処理圧力150MPa、クロスノズル使用
【0112】
(第4工程)
第3工程で得られた中間分散液6-2と調製例6で作製した高分子分散剤溶液6を、下記配合比にて混合し、中間分散液6-3を100g得た。更に中間分散液6-3に、下記条件で超音波分散機(装置名:GSD1200AT、株式会社ソニックテクノロジー製)にて超音波を照射することにより、単層カーボンナノチューブ分散液6(単層カーボンナノチューブ濃度0.2質量%)を100g得た。
配合比(質量比):中間分散体6-2/高分子分散剤溶液6=95/5
超音波照射条件:振幅30μm、出力650W、時間1min
【0113】
実施例7
<調製例7> 高分子分散剤溶液7の調製
500ccステンレスタンクに、高分子分散剤7(商品名:エスレックBL-S、固形分100質量%、アルキルアセタール化ポリビニルアルコール、アミン価0mgKOH/g、積水化学工業株式会社製)と酢酸ノルマルブチルを、下記配合比にてディゾルバー(TKホモディスパー2.5型:PRIMIX社製)で混合溶解し、固形分20質量%の高分子分散剤溶液7を100g得た。
配合比(質量比):高分子分散剤7/酢酸ノルマルブチル=20/80
【0114】
<製造例7> 分散液7の製造
(第1工程)
調製例7で使用のステンレスタンクとは別の500ccステンレスタンクに、単層カーボンナノチューブ(TUBALL(登録商標)SWCNT 93%、OCSiAl社製、純度93%、短径1.6±0.4nm、長径5μm以上、アスペクト比2500以上、比表面積1070m2/g(BET法))、分散助剤(商品名:SOLSPERSE 5000、フタロシアニン誘導体、Lubrizol社製)、高分子分散剤溶液7、及び、酢酸ノルマルブチルを下記配合比にて秤量混合し、ディゾルバー(TKホモディスパー2.5型:PRIMIX社製)で攪拌して、95gの混合液を得た。
配合比(質量比):単層カーボンナノチューブ/分散助剤/高分子分散剤溶液7/酢酸ノルマルブチル=0.2/0.06/5/89.74
【0115】
(第2工程)
第1工程で得られた混合液に、下記条件で超音波分散機(装置名:GSD1200AT、株式会社ソニックテクノロジー製)にて超音波を照射し、中間分散液7-1を95g得た。
超音波照射条件:振幅30μm、出力650W、時間1min
【0116】
(第3工程)
第2工程で得られた中間分散液7-1を、下記条件で湿式ジェットミル(装置名:卓上型湿式超高圧微粒化実験装置 NVL-ES008-D、吉田機械興業株式会社製)にて分散させ、中間分散液7-2を95g得た。
条件:吸込み速度300%、吐出速度235%、処理圧力150MPa、クロスノズル使用
【0117】
(第4工程)
第3工程で得られた中間分散液7-2と調製例7で作製した高分子分散剤溶液7を、下記配合比にて混合し、中間分散液7-3を100g得た。更に中間分散液7-3に、下記条件で超音波分散機(装置名:GSD1200AT、株式会社ソニックテクノロジー製)にて超音波を照射することにより、単層カーボンナノチューブ分散液7(単層カーボンナノチューブ濃度0.2質量%)を100g得た。
配合比(質量比):中間分散体7-2/高分子分散剤溶液7=95/5
超音波照射条件:振幅30μm、出力650W、時間1min
【0118】
比較例1
<調製例8> 高分子分散剤溶液8の調製
500ccステンレスタンクに、高分子分散剤8(商品名:アジスパー PB821、固形分100質量%、塩基性官能基含有共重合物、アミン価10mgKOH/g、味の素ファインテクノ株式会社製)と酢酸ノルマルブチルを、下記配合比にてディゾルバー(TKホモディスパー2.5型:PRIMIX社製)で混合溶解し、固形分20質量%の高分子分散剤溶液8を100g得た。
配合比(質量比):高分子分散剤8/酢酸ノルマルブチル=20/80
【0119】
<製造例8> 分散液8の製造
225ccガラス瓶に、単層カーボンナノチューブ(TUBALL(登録商標)SWCNT 93%、OCSiAl社製、純度93%、短径1.6±0.4nm、長径5μm以上、アスペクト比2500以上、比表面積1070m2/g(BET法))、分散助剤(商品名:SOLSPERSE 5000、フタロシアニン誘導体、Lubrizol社製)、高分子分散剤溶液8、及び、酢酸ノルマルブチルを下記配合比にて秤量後、0.3mmφジルコニアビーズを加えてペイントシェイカー(株式会社東洋精機製作所製)で10時間分散することにより、単層カーボンナノチューブの分散液8(単層カーボンナノチューブ濃度0.2質量%)を100g得た。
配合比(質量比):単層カーボンナノチューブ/分散助剤/高分子分散剤溶液8/酢酸ノルマルブチル=0.2/0.06/10/89.74
【0120】
比較例2
<調製例9> 高分子分散剤溶液9の調製
500ccステンレスタンクに、高分子分散剤9(商品名:アジスパー PB821、固形分100質量%、塩基性官能基含有共重合物、アミン価10mgKOH/g、味の素ファインテクノ株式会社製)と酢酸ノルマルブチルを、下記配合比にてディゾルバー(TKホモディスパー2.5型:PRIMIX社製)で混合溶解し、固形分20質量%の高分子分散剤溶液9を100g得た。
配合比(質量比):高分子分散剤9/酢酸ノルマルブチル=20/80
【0121】
<製造例9> 分散液9の製造
(第1工程)
225ccガラス瓶に、単層カーボンナノチューブ(TUBALL(登録商標)SWCNT 93%、OCSiAl社製、純度93%、短径1.6±0.4nm、長径5μm以上、アスペクト比2500以上、比表面積1070m2/g(BET法))、分散助剤(商品名:SOLSPERSE 5000、フタロシアニン誘導体、Lubrizol社製)、高分子分散剤溶液9、及び、酢酸ノルマルブチルを下記配合比にて秤量後、0.3mmφジルコニアビーズを加えてペイントシェイカー(株式会社東洋精機製作所製)で10時間分散することにより、単層カーボンナノチューブの中間分散液9-1を95g得た。
配合比(質量比):単層カーボンナノチューブ/分散助剤/高分子分散剤溶液9/酢酸ノルマルブチル=0.2/0.06/5/89.74
【0122】
(第2工程)
第1工程で得られた中間分散液9-1と調製例9で作製した高分子分散剤溶液9を下記配合比にて混合し、中間分散液9-2を100g得た。更に中間分散液9-2に、下記条件で超音波分散機(装置名:GSD1200AT、株式会社ソニックテクノロジー製)にて超音波を照射することにより、単層カーボンナノチューブ分散液9(単層カーボンナノチューブ濃度0.2質量%)を100g得た。
配合比(質量比):中間分散液9-1/高分子分散剤溶液9=95/5
条件 振幅:30[μm]、出力:650[W]、時間:1[min]
【0123】
比較例3
<調製例10> 高分子分散剤溶液10の調製
500ccステンレスタンクに、高分子分散剤10(商品名:アジスパー PB821、アミン価10mgKOH/g、固形分100質量%、味の素ファインテクノ株式会社製)と酢酸ノルマルブチルを、下記配合比にてディゾルバー(TKホモディスパー2.5型:PRIMIX社製)で混合溶解し、固形分20質量%の高分子分散剤溶液10を100g得た。
配合比(質量比):高分子分散剤10/酢酸ノルマルブチル=20/80
【0124】
<製造例10> 分散液10の製造
(第1工程)
225ccガラス瓶に、単層カーボンナノチューブ(TUBALL(登録商標)SWCNT 93%、OCSiAl社製、純度93%、短径1.6±0.4nm、長径5μm以上、アスペクト比2500以上、比表面積1070m2/g(BET法))、分散助剤(商品名:SOLSPERSE 5000、フタロシアニン誘導体、Lubrizol社製)、高分子分散剤溶液10、及び、酢酸ノルマルブチルを下記配合比にて秤量後、0.3mmφジルコニアビーズを加えてペイントシェイカー(株式会社東洋精機製作所製)で10時間分散し、単層カーボンナノチューブの中間分散液10-1を95g得た。
配合比(質量比):単層カーボンナノチューブ/分散助剤/高分子分散剤溶液10/酢酸ノルマルブチル=0.2/0.06/5/89.74
【0125】
(第2工程)
第1工程で得られた中間分散液10-1を、下記条件で湿式ジェットミル(装置名:卓上型湿式超高圧微粒化実験装置 NVL-ES008-D、吉田機械興業株式会社製)にて分散させ、中間分散液10-2を95g得た。
条件:吸込み速度300%、吐出速度235%、処理圧力150MPa、クロスノズル使用
【0126】
(第3工程)
第2工程で得られた中間分散液10-2と調製例10で作製した高分子分散剤溶液10を、下記配合比にて混合し、単層カーボンナノチューブ分散液10(単層カーボンナノチューブ濃度0.2質量%)を100g得た。
配合比(質量比):中間分散体10-2/高分子分散剤溶液10=95/5
【0127】
比較例4
<調製例11> 高分子分散剤溶液11の調製
500ccステンレスタンクに、高分子分散剤11(商品名:アジスパー PB821、固形分100質量%、塩基性官能基含有共重合物、アミン価10mgKOH/g、味の素ファインテクノ株式会社製)と酢酸ノルマルブチルを、下記配合比にてディゾルバー(TKホモディスパー2.5型:PRIMIX社製)で混合溶解し、固形分20質量%の高分子分散剤溶液11を100g得た。
配合比(質量比):高分子分散剤11/酢酸ノルマルブチル=20/80
【0128】
<製造例11> 分散液11の製造
(第1工程)
調製例11で使用のステンレスタンクとは別の500ccステンレスタンクに、単層カーボンナノチューブ(TUBALL(登録商標)SWCNT 93%、OCSiAl社製、純度93%、短径1.6±0.4nm、長径5μm以上、アスペクト比2500以上、比表面積1070m2/g(BET法))、分散助剤(商品名:SOLSPERSE 5000、フタロシアニン誘導体、Lubrizol社製)、高分子分散剤溶液11、及び、酢酸ノルマルブチルを下記配合比にて秤量混合し、ディゾルバー(TKホモディスパー2.5型:PRIMIX社製)で攪拌して、95gの混合液を得た。
配合比(質量比):単層カーボンナノチューブ/分散助剤/高分子分散剤溶液11/酢酸ノルマルブチル=0.2/0.06/10/89.74
【0129】
(第2工程)
第1工程で得られた混合液に、下記条件で超音波分散機(装置名:GSD1200AT、株式会社ソニックテクノロジー製)にて超音波を照射し、中間分散液11-1を100g得た。
超音波照射条件:振幅30μm、出力650W、時間1min
【0130】
(第3工程)
第2工程で得られた中間分散液11-1を、下記条件で湿式ジェットミル(装置名:卓上型湿式超高圧微粒化実験装置 NVL-ES008-D、吉田機械興業株式会社製)にて分散させ、中間分散液11-2を95g得た。
条件:吸込み速度300%、吐出速度235%、処理圧力150MPa、クロスノズル使用
【0131】
(第4工程)
第3工程で得られた中間分散液11-2に、下記条件で超音波分散機(装置名:GSD1200AT、株式会社ソニックテクノロジー製)にて超音波を照射することで、単層カーボンナノチューブ分散液11(単層カーボンナノチューブ濃度0.2質量%)を100g得た。
超音波照射条件:振幅30μm、出力650W、時間1min
【0132】
上記の実施例1~7及び比較例1~4で得られた分散液1~11の粘度、分散液中の単層カーボンナノチューブの粒子径、回収率、分散液を用いて形成した塗膜の全光線透過率及び表面抵抗値について、下記の方法にて評価を行った。結果を表1に示す。
【0133】
<粘度>
得られた単層カーボンナノチューブの分散液を25℃に調整し、BII形粘度計(東機産業株式会社製)にて回転数60rpmの時の粘度を測定し、下記の基準にて評価を行った。
評価基準
◎◎:100mPa・s未満
◎:100mPa・s以上、300mPa・s未満
〇:300mPa・s以上、500mPa・s未満
×:500mPa・s以上
【0134】
<粒子径>
得られた単層カーボンナノチューブの分散液を、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(装置名:LA-950V2、株式会社堀場製作所製)にて、粒子をカーボンブラック、溶媒を各種溶媒で設定し、各種溶媒で粒度分布測定可能な濃度(約100~500倍)に希釈したのち測定し、下記の基準にて評価を行った。なお、各種溶媒とは、実施例1、2、7及び比較例1~4の場合は、酢酸ノルマルブチルであり、実施例3の場合はMEKであり、実施例4の場合はPMAであり、実施例5の場合はIPAであり、実施例6の場合はNMPである。
評価基準
(D50)
◎:3μm未満
〇:3μm以上、5μm未満
×:5μm以上
(D90)
◎:8μm未満
〇:8μm以上、10μm未満
×:10μm以上
【0135】
<回収率>
得られた単層カーボンナノチューブの分散液100gを、目開き53μmのポリエステルメッシュ(10cm×10cm)に滴下し、自重でのポリエステルメッシュ通過量を1分間測定し、下記の式に基づいて回収率を算出し、下記の基準にて評価を行った。
回収率(%)=通過量(g)/100(g)×100
評価基準
◎◎:90%以上
◎:80%以上、90%未満
〇:75%以上、80%未満
×:75%未満
【0136】
<塗膜評価方法>
(塗膜形成用塗料の調製)
塗膜中の単層カーボンナノチューブの濃度が8.0質量%となるように下記配合比で、得られた単層カーボンナノチューブ分散液とメタクリル酸ブチル樹脂(商品名:ダイヤナールBR-115又はBR-116、三菱ケミカル株式会社製)と各種溶媒とを、攪拌機(装置名:あわとり練太郎ARE-310、株式会社シンキー製)にて混合し、塗膜形成用塗料(固形分1質量%)を調製した。
なお、メタクリル酸ブチル樹脂は、予め固形分40質量%になるように各種溶媒と混合して溶解させた樹脂溶液を用いた。
配合比(質量比):単層カーボンナノチューブ分散液/樹脂溶液(固形分40%)/各種溶媒=40.0/0.24/59.76
なお、上記各種溶媒とは、実施例1、2、7及び比較例1~4の場合は、酢酸ノルマルブチルであり、実施例3の場合はMEKであり、実施例4の場合はPMAであり、実施例5の場合はIPAであり、実施例6の場合はNMPである。
また、使用したメタクリル酸ブチル樹脂の物性は、下記のとおりである。
ダイヤナールBR-115:分子量55000、Tg50℃
ダイヤナールBR-116:分子量45000、Tg50℃
【0137】
(塗膜の形成方法)
厚み100μmのPETフィルムに上記塗料を適量垂らし、バーコーター#3(太佑機材株式会社製)を用いて塗工後、その塗布フィルムを温度120℃のオーブンにて3分間乾燥させ、塗膜を作製した。
【0138】
<全光線透過率の測定>
ヘイズメーター(装置名:ヘイズメーターHZ-2、スガ試験機株式会社製)を用いて、全光線透過率規格(ISO 13468-1、JIS K7361)に準じて測定し(シングルビーム法、光源D65)、下記の基準にて評価を行った。検出部位に何も塗布していない厚み100μmのPETフィルムをはさみ校正を行い、次いで、上記で得られた塗膜(塗布フィルム)を検出部位にはさみ測定した。
評価基準
◎:95%以上
〇:90%以上、95%未満
×:90%未満
【0139】
<表面抵抗値の測定>
抵抗率計(装置名:ハイレスタMCP-HT450、三菱化学株式会社製)を用いて、得られた塗膜の塗布表面に電極(プローブ)を押し当て、20℃で、表面を流れる電流値を測定し、下記の基準にて評価を行った。
評価基準
◎:1.0×107Ω/□未満
〇:1.0×107Ω/□以上、1.0×109Ω/□未満
×:1.0×109Ω/□以上
【0140】
<経時安定性>
また、上記で得られた分散液1~11を、40℃で1ヶ月間静置させた後、上記と同じ方法により、粘度、分散液中の単層カーボンナノチューブの粒子径、回収率、分散液を用いて形成した塗膜の全光線透過率及び表面抵抗値について、評価を行った。結果を表2に示す。
【0141】
【0142】
【0143】
表1より、少なくとも、単層カーボンナノチューブと高分子分散剤と有機溶媒を混合し、得られた混合物を超音波照射して分散させ、次いで粉砕メディアを使用しない分散機により分散させ、更に高分子分散剤を添加して超音波照射して分散させることにより、分散性に優れ、再凝集しにくい低粘度な単層カーボンナノチューブの有機溶媒分散液を製造することができることが確認された。また、当該方法で製造された実施例の分散液を用いれば、導電性と透明性が共に優れた塗膜を形成することができることが確認された。
また、表2より、実施例の分散液は、40℃で1ヶ月間静置した後も、粘度が低く、単層カーボンナノチューブが凝集しにくく、透明性及び導電性に優れた塗膜を形成することができ、経時安定性にも優れることが確認された。