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特許7301884医療用器具を駆動するためのシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-23
(45)【発行日】2023-07-03
(54)【発明の名称】医療用器具を駆動するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/35 20160101AFI20230626BHJP
【FI】
A61B34/35
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020564810
(86)(22)【出願日】2019-02-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-27
(86)【国際出願番号】 US2019017676
(87)【国際公開番号】W WO2019160865
(87)【国際公開日】2019-08-22
【審査請求日】2022-02-10
(31)【優先権主張番号】62/630,112
(32)【優先日】2018-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518083032
【氏名又は名称】オーリス ヘルス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】グレッツェル・チョーンシー・エフ
(72)【発明者】
【氏名】シーヒー・アレクサンダー・ジェイムズ
【審査官】野口 絢子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0142013(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/35
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボット外科用システムであって、
外側本体と、前記外側本体内の管腔を通して駆動されるように構成されている内側本体と、を備える医療用器具と、
前記外側本体及び前記内側本体の移動を制御するように構成されている1つ又は2つ以上の器具マニピュレータと
1つ又は2つ以上のユーザ入力デバイスと
1つ又は2つ以上のプロセッサと
前記1つ又は2つ以上のプロセッサと通信し、コンピュータ実行可能命令を記憶した少なくとも1つのコンピュータ可読メモリであって、前記コンピュータ実行可能命令が、前記1つ又は2つ以上のプロセッサに
前記1つ又は2つ以上のユーザ入力デバイスを介して、変更駆動モードコマンドを受信することと、
前記変更駆動モードコマンドを受信したことに応答して、ペア駆動モードから非ペア駆動モードに前記医療用器具の駆動モードを変更することであって、前記内側本体の遠位端と前記外側本体の遠位端との間の距離が、前記ペア駆動モードにある間、前記1つ又は2つ以上のユーザ入力デバイスから駆動コマンドを受信したことに応答して所定の距離に維持される、変更することと、
前記内側本体の前記遠位端と前記外側本体の前記遠位端との間の前記距離が前記所定の距離に等しくないと判定することと、
前記内側本体の前記遠位端と前記外側本体の前記遠位端との間の前記距離が前記所定の距離に等しくないと判定したことに応答して、前記医療用器具の前記駆動モードを前記非ペア駆動モードに変更することと、
前記内側本体の前記遠位端と前記外側本体の前記遠位端との間の前記距離が前記所定の距離内になるまで、前記外側本体及び前記内側本体のうちの一方を前進又は後退させることと、を行わせる、少なくとも1つのコンピュータ可読メモリと、を備える、ロボット外科用システム。
【請求項2】
前記内側本体の前記遠位端及び前記外側本体の前記遠位端の各々が面取りされている、請求項1に記載のロボット外科用システム。
【請求項3】
前記少なくとも1つのコンピュータ可読メモリが、前記1つ又は2つ以上のプロセッサに
前記内側本体の前記遠位端が前記外側本体の前記遠位端から前記所定の距離よりも小さい距離だけ延在すると判定することと、
前記内側本体の前記遠位端が前記外側本体の遠位端から前記所定の距離よりも小さい距離だけ延在すると判定したことに応答して、前記医療用器具の前記駆動モードを内側本体駆動モードに変更することと、
前記内側本体の前記遠位端が前記外側本体の前記遠位端から前記所定の距離だけ延在するまで前記内側本体を前進させることと、
前記医療用器具の前記駆動モードを前記ペア駆動モードに変更することと、を行わせるコンピュータ実行可能命令を更に記憶する、請求項1に記載のロボット外科用システム。
【請求項4】
前記少なくとも1つのコンピュータ可読メモリが、前記1つ又は2つ以上のプロセッサに
前記ペア駆動モードに入る前に、前記内側本体の前記遠位端が前記外側本体の前記遠位端から前記所定の距離よりも大きい距離だけ延在すると判定することと、
前記内側本体の前記遠位端が前記外側本体の遠位端から前記所定の距離よりも大きい距離だけ延在すると判定したことに応答して、前記医療用器具の前記駆動モードを外側本体駆動モードに変更することと、
前記内側本体の前記遠位端が前記外側本体の前記遠位端から前記所定の距離だけ延在するまで前記外側本体を前進させることと、
前記医療用器具の前記駆動モードを前記ペア駆動モードに変更することと、を行わせるコンピュータ実行可能命令を更に記憶する、請求項1に記載のロボット外科用システム。
【請求項5】
前記少なくとも1つのコンピュータ可読メモリが、前記1つ又は2つ以上のプロセッサに
前記外側本体が静止している間、前記内側本体が前進又は後退する内側本体駆動モードに前記医療用器具の前記駆動モードを変更させる、コンピュータ実行可能命令を更に記憶する、請求項1に記載のロボット外科用システム。
【請求項6】
前記少なくとも1つのコンピュータ可読メモリが、前記1つ又は2つ以上のプロセッサに
前記内側本体が静止している間、前記外側本体が前進又は後退する外側本体駆動モードに前記医療用器具の前記駆動モードを変更させる、コンピュータ実行可能命令を更に記憶する、請求項1に記載のロボット外科用システム。
【請求項7】
前記少なくとも1つのコンピュータ可読メモリが、前記1つ又は2つ以上のプロセッサに
前記内側本体駆動モードにおいて前記1つ又は2つ以上のユーザ入力デバイスを介して、後退させるための後退コマンドを受信することと、
前記後退コマンドを受信したことに応答して、前記1つ又は2つ以上の器具マニピュレータを介して前記内側本体を後退させることと、
(a)前記内側本体の前記遠位端と前記外側本体の前記遠位端との間の前記距離が、前記所定の距離の許容差範囲内にあり、かつ(b)タイミング条件が満たされていると判定することと、
前記内側本体の前記遠位端と前記外側本体の前記遠位端との間の前記距離が、前記所定の距離の前記許容差範囲内にあり、かつ前記タイミング条件が満たされていると判定したことに応答して、前記医療用器具の前記駆動モードを前記ペア駆動モードに変更することと、を行わせるコンピュータ実行可能命令を更に記憶する、請求項に記載のロボット外科用システム。
【請求項8】
前記少なくとも1つのコンピュータ可読メモリが、前記1つ又は2つ以上のプロセッサに
前記外側本体駆動モードにおいて前記1つ又は2つ以上のユーザ入力デバイスを介して、前進させるための前進命令を受信することと、
前記前進命令を受信したことに応答して、前記1つ又は2つ以上の器具マニピュレータを介して前記外側本体を前進させることと、
(a)前記内側本体の前記遠位端と前記外側本体の前記遠位端との間の前記距離が、前記所定の距離の許容差範囲内にあり、かつ(b)タイミング条件が満たされていると判定することと、
前記内側本体の前記遠位端と前記外側本体の前記遠位端との間の前記距離が前記所定の距離の前記許容差範囲内にあり、かつ前記タイミング条件が満たされていると判定したことに応答して、前記医療用器具の前記駆動モードを前記ペア駆動モードに変更することと、を行わせるコンピュータ実行可能命令を更に記憶する、請求項に記載のロボット外科用システム。
【請求項9】
前記少なくとも1つのコンピュータ可読メモリが、前記1つ又は2つ以上のプロセッサに
前記内側本体が静止している間、前記外側本体が前進又は後退する外側本体駆動モードに前記医療用器具の前記駆動モードを変更することと、
前記1つ又は2つ以上のユーザ入力デバイスを介して、前記医療用器具の前記駆動モードをトグルするためのトグル駆動モードコマンドを受信することと、
前記トグル駆動モードコマンドを受信したことに応答して、前記内側本体の前記遠位端と前記外側本体の前記遠位端との間の前記距離が、前記所定の距離の許容差範囲内にないと判定することと、
前記トグル駆動モードコマンド、及び前記内側本体の前記遠位端と前記外側本体の前記遠位端との間の前記距離が、前記所定の距離の前記許容差範囲内にないと判定したことに応答して、前記内側本体駆動モードと前記外側本体駆動モードとの間で前記医療用器具の前記駆動モードをトグルすることと、を行わせるコンピュータ実行可能命令を更に記憶する、請求項に記載のロボット外科用システム。
【請求項10】
前記少なくとも1つのコンピュータ可読メモリが、前記1つ又は2つ以上のプロセッサに
前記内側本体が静止している間、前記外側本体が前進又は後退する外側本体駆動モードに前記医療用器具の前記駆動モードを変更することと、
前記1つ又は2つ以上のユーザ入力デバイスを介して、前記医療用器具の前記駆動モードをトグルするためのトグル駆動モードコマンドを受信することと、
前記トグル駆動モードコマンドを受信したことに応答して、前記内側本体の前記遠位端と前記外側本体の前記遠位端との間の前記距離が前記所定の距離に等しいと判定することと、
前記トグル駆動モードコマンド、及び前記内側本体の前記遠位端と前記外側本体の前記遠位端との間の前記距離が前記所定の距離に等しいと判定したことに応答して、前記内側本体駆動モードと前記ペア駆動モードとの間で前記医療用器具の前記駆動モードをトグルすることと、を行わせるコンピュータ実行可能命令を更に記憶する、請求項に記載のロボット外科用システム。
【請求項11】
前記1つ又は2つ以上の器具マニピュレータは、少なくとも3つの器具マニピュレータを備え、
前記医療用器具は、前記内側本体内の管腔を通して駆動されるように構成されているロボット制御外科用器具を更に備え、
前記外側本体、前記内側本体、及び前記ロボット制御外科用器具は、それぞれ、前記少なくとも3つの器具マニピュレータに結合されている、請求項1に記載のロボット外科用システム。
【請求項12】
ロボット外科用システムであって、
外側本体と、前記外側本体内の管腔を通して駆動されるように構成されている内側本体と、を備える医療用器具と、
前記外側本体及び前記内側本体の移動を制御するように構成されている1つ又は2つ以上の器具マニピュレータと
1つ又は2つ以上のユーザ入力デバイスと
1つ又は2つ以上のプロセッサと
前記1つ又は2つ以上のプロセッサと通信し、コンピュータ実行可能命令を記憶した少なくとも1つのコンピュータ可読メモリであって、前記コンピュータ実行可能命令が、前記1つ又は2つ以上のプロセッサに
前記1つ又は2つ以上のユーザ入力デバイスを介して、前記医療用器具を関節運動させるための関節運動コマンドを受信することと、
前記外側本体及び前記内側本体のうちの一方を一次本体として処理し、前記外側本体及び前記内側本体のうちの他方を二次本体として処理することと、
前記内側本体の遠位端と前記外側本体の遠位端との間の距離を判定することと、
判定した前記距離に基づいて、共関節運動係数を決定することと、
前記1つ又は2つ以上の器具マニピュレータを介して、前記関節運動コマンドに基づいて、前記一次本体を関節運動させることと、
前記1つ又は2つ以上の器具マニピュレータを介して、前記関節運動コマンド及び前記共関節運動係数に基づいて、前記二次本体を関節運動させることと、を行わせる、少なくとも1つのコンピュータ可読メモリと、を備える、ロボット外科用システム。
【請求項13】
前記少なくとも1つのコンピュータ可読メモリが、前記1つ又は2つ以上のプロセッサに
前記1つ又は2つ以上のユーザ入力デバイスを介して、複数の駆動モードのうちの1つで前記医療用器具を駆動するための駆動モードコマンドを受信することと、
前記駆動モードコマンドに基づいて、前記一次本体及び前記二次本体を処理することと、を行わせるコンピュータ実行可能命令を更に記憶する、請求項12に記載のロボット外科用システム。
【請求項14】
前記共関節運動係数が、前記一次本体に適用される関節運動の特性の量を、前記二次本体に適用される関節運動の特性の量に関連させる共関節運動比を備える、請求項12に記載のロボット外科用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2018年2月13日に出願された米国特許仮出願第62/630,112号に対する優先権の利益を主張するものであり、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本明細書に開示されるシステム及び方法は、医療用器具を駆動するためのシステム及び方法に関し、より具体的には、内側本体が外側本体の管腔を通して駆動されるように構成されている医療用器具を駆動するための技法に関する。
【背景技術】
【0003】
内視鏡検査(例えば気管支鏡検査)などの医療処置は、診断及び/又は治療目的のために、患者の管腔網(例えば、気道)内への医療用具の挿入を伴うことがある。外科用ロボットシステムが、医療処置中の医療用具の挿入及び/又は操作を制御するために使用されることがある。外科用ロボットシステムは、医療処置前及び医療処置中に医療用具の位置決めを制御するために使用され得るマニピュレータアセンブリを含む少なくとも1つのロボットアームを備え得る。ある特定の医療用具は、外側本体と、外側本体の管腔を通して駆動されるように構成されている内側本体と、を備え得る。ある特定の医療処置では、医療用器具の内側本体及び外側本体の独立した制御を有することが望ましい場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示のシステム、方法及び装置はそれぞれ、いくつかの革新的な態様を有し、そのうちの1つも、本明細書に開示される望ましい属性にのみ関与するものではない。
【0005】
一態様では、外側本体と、外側本体内の管腔を通して駆動されるように構成されている内側本体と、を備える医療用器具と、外側本体及び内側本体の移動を制御するように構成されている1つ又は2つ以上のロボットアームアセンブリ器具マニピュレータのセットと、1つ又は2つ以上のユーザ入力デバイスのセットと、1つ又は2つ以上のプロセッサのセットと、プロセッサのセットと通信し、コンピュータ実行可能命令を記憶した少なくとも1つのコンピュータ可読メモリであって、コンピュータ実行可能命令が、プロセッサのセットに、ユーザ入力デバイスのセットを介して、変更駆動モードコマンドを受信することと、変更駆動モードコマンドを受信したことに応答して、ペア駆動モードから、内側本体の遠位端と外側本体の遠位端との間の距離が、入力デバイスからの駆動コマンドを受信することに応答して所定の距離に維持される非ペア駆動モードに医療器具の駆動モードを変更することと、を行わせる少なくとも1つのコンピュータ可読メモリを備える、ロボット外科用システムが提供される。
【0006】
別の態様では、外側本体と、外側本体内の管腔を通して駆動されるように構成されている内側本体と、を備える医療用器具と、外側本体及び内側本体の移動を制御するように構成されている1つ又は2つ以上の器具マニピュレータのセットと、1つ又は2つ以上のユーザ入力デバイスのセットと、1つ又は2つ以上のプロセッサのセットと、プロセッサのセットと通信し、コンピュータ実行可能命令を記憶した少なくとも1つのコンピュータ可読メモリであって、コンピュータ実行可能命令が、プロセッサのセットに、ユーザ入力デバイスのセットを介して、医療用器具を関節運動させるための関節運動コマンドを受信することと、外側本体及び内側本体のうちの一方を一次本体として処理し、外側本体及び内側本体のうちの他方を二次本体として処理することと、内側本体の遠位端と前記外側本体の遠位端との間の距離を判定することと、決定した距離に基づいて、共関節運動係数を決定することと、器具マニピュレータのセットを介して、関節運動コマンドに基づいて一次本体を関節運動させることと、器具マニピュレータのセットを介して、関節運動コマンド及び共関節運動係数に基づいて二次本体を関節運動させることと、を行わせる、少なくとも1つのコンピュータ可読メモリと、を備える、ロボット外科用システムが提供される。
【0007】
更に別の態様では、外側本体と、外側本体内の管腔を通して駆動されるように構成されている内側本体と、を備える医療用器具と、外側本体及び内側本体の移動を制御するように構成されている1つ又は2つ以上の器具マニピュレータのセットと、1つ又は2つ以上のフィードバックデバイスのセットと、1つ又は2つ以上のプロセッサのセットと、プロセッサのセットと通信し、管腔網のマッピングされた部分のモデル、モデルに対するターゲットの位置、及びモデルに沿ったアクセスポイントからターゲットまでの経路を記憶した少なくとも1つのコンピュータ可読メモリと、を備え、メモリが、プロセッサのセットに、パーキング支援シグネチャに一致する形状を有する経路に沿った管腔網の部分を識別することと、フィードバックデバイスのセットの少なくとも一部分に、モデルに対して識別した部分に対応する位置でパーキング指示を生じさせ、パーキング指示が、外側本体の遠位端をパーキングするための場所を表す、生じさせることと、を行わせるコンピュータ実行可能命令を更に記憶する、ロボット外科用システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
開示される態様は、以下、添付の図面と併せて説明され、開示された態様を例示するが、限定するものではなく、同様の指定は同様の要素を示す。
図1】診断及び/又は治療用気管支鏡検査処置(複数可)のために配置されたカートベースのロボットシステムの実施形態を示す。
図2図1のロボットシステムの更なる態様を描写する。
図3】尿管鏡検査のために配置された図1のロボットシステムの実施形態を示す。
図4】血管処置のために配置された図1のロボットシステムの実施形態を示す。
図5】気管支鏡検査処置のために配置されたテーブルベースのロボットシステムの実施形態を示す。
図6図5のロボットシステムの代替的な図を提供する。
図7】ロボットアーム(複数可)を格納するように構成された例示的なシステムを示す。
図8】尿管鏡検査処置のために構成されたテーブルベースのロボットシステムの実施形態を示す。
図9】腹腔鏡処置のために構成されたテーブルベースのロボットシステムの実施形態を示す。
図10】ピッチ又は傾斜調整を備えた図5~9のテーブルベースのロボットシステムの実施形態を示す。
図11図5~10のテーブルベースのロボットシステムのテーブルとカラムとの間のインターフェースの詳細な図示を提供する。
図12】例示的な器具ドライバを示す。
図13】ペア器具ドライバを備えた例示的な医療用器具を示す。
図14】駆動ユニットの軸が器具の細長いシャフトの軸に平行である、器具ドライバ及び器具の代替的な設計を示す。
図15】例示的な実施形態による、図13~14の器具の位置など、図1~10のロボットシステムの1つ又は2つ以上の要素の位置を推定する位置特定システムを示すブロック図である。
図16】本開示の態様による、外側本体及び内側本体を有する医療用器具を駆動するように構成され得る外科用ロボットシステムの実施形態を示す。
図17A】本開示の態様による医療用器具の実施形態を示す。
図17B】本開示の態様による、医療用器具用のペア駆動モードの実施形態を示す。
図18】本開示の態様による医療用器具の駆動モードを変更するための外科用ロボットシステム又はその構成要素(複数可)によって動作可能な例示の方法を示すフローチャートである。
図19】本開示の態様による医療用器具の内側本体駆動モードの一実施形態を示す。
図20】本開示の態様による医療用器具の外側本体駆動モードの一実施形態を示す。
図21】本開示の態様による医療用器具の駆動モードを変更するための技法を示すブロック図を提供する。
図22】本開示の態様による医療用器具のための自動ペアの一実施形態を示す。
図23】本開示の態様による医療用器具のための自動ペアの別の実施形態を示す。
図24】本開示の態様による医療用器具の駆動モードを変更するための別の技法を示すブロック図を提供する。
図25】本開示の態様による医療用器具のための初期キャッチアップの実施形態を示す。
図26】本開示の態様による医療用器具のための初期キャッチアップの別の実施形態を示す。
図27】本開示の態様による医療用器具の駆動モードを変更するための更に別の技法を示すブロック図を提供する。
図28】本開示の態様による、医療用器具の外側本体及び内側本体を共関節運動させるための外科用ロボットシステム又はその構成要素(複数可)によって動作可能な例示の方法を示すフローチャートである。
図29A】本開示の態様による、内側本体駆動モードにおける共関節運動比を判定するための技法を示すグラフを含む。
図29B】本開示の態様による、外側本体駆動モードにおける共関節運動比を判定するための技法を示すグラフを含む。
図30】本開示の態様による医療用器具の張力監視の実施形態を示す。
図31】本開示の態様による、医療用器具の後退中の自動弛緩の実施形態を示す。
図32】本開示の態様による、医療用器具のパーキング支援のための、外科用ロボットシステム又はその構成要素(複数可)によって動作可能な例示の方法を示すフローチャートである。
図33】本開示の態様による、パーキング指示の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1.概論
本開示の態様は、腹腔鏡検査などの低侵襲性、及び内視鏡検査などの非侵襲性の両方の処置を含む、様々な医療処置を行うことができるロボット制御可能な医療システムに統合され得る。内視鏡検査のうち、システムは、気管支鏡検査、尿管鏡検査、胃腸検査などを行うことができる。
【0010】
幅広い処置を実行することに加えて、システムは、医師を支援するための強調された撮像及び誘導などの追加の利益を提供することができる。加えて、システムは、厄介なアーム運動及び位置を必要とせずに、人間工学的位置から処置を行う能力を医師に提供することができる。また更に、システムは、システムの器具のうちの1つ又は2つ以上が単一のユーザによって制御され得るように、改善された使いやすさで処置を行う能力を医師に提供することができる。
【0011】
以下、説明を目的として、図面と併せて、様々な実施形態が説明される。開示された概念の多くの他の実施態様が可能であり、開示された実施態様で様々な利点が達成され得ると理解されたい。見出しが、参照のために本明細書に含まれ、様々なセクションの位置を特定する支援となる。これらの見出しは、それに関して説明される概念の範囲を限定することを意図するものではない。そのような概念は、本明細書全体にわたって適用可能性を有し得る。
【0012】
A.ロボットシステム-カート
ロボット制御可能な医療システムは、特定の処置に応じて様々な方法で構成され得る。図1は、診断及び/又は治療用気管支鏡検査処置のために配置された、カートベースのロボット制御可能なシステム10の実施形態を示す。気管支鏡検査の間、システム10は、気管支鏡検査のための処置特有の気管支鏡であり得る操縦可能な内視鏡13などの医療用器具を、診断及び/又は治療用具を送達するための自然オリフィスアクセスポイント(すなわち、本実施例ではテーブル上に位置付けられた患者の口)に送達するための1つ又は2つ以上のロボットアーム12を有するカート11を含み得る。図示のように、カート11は、アクセスポイントへのアクセスを提供するために、患者の上部胴体に近接して位置付けられ得る。同様に、ロボットアーム12は、アクセスポイントに対して気管支鏡を位置付けるために作動され得る。図1の配置はまた、胃腸管(gastro-intestinal、GI)処置を胃鏡、GI処置のための特殊な内視鏡を用いて実行するときに利用され得る。図2は、カートの例示的な実施形態をより詳細に描画する。
【0013】
図1を引き続き参照すると、一旦カート11が適切に位置付けられると、ロボットアーム12は、操縦可能な内視鏡13をロボットで、手動で、又はそれらの組み合わせで患者内に挿入することができる。図示のように、操縦可能な内視鏡13は、内側リーダー部分及び外側シース部分などの少なくとも2つの入れ子式部品を含んでもよく、各部分は、器具ドライバのセット28から別個の器具ドライバに結合され、各器具ドライバは、個々のロボットアームの遠位端に結合されている。リーダー部分をシース部分と同軸上に整列させるのを容易にする器具ドライバ28のこの直線配置は、1つ又は2つ以上のロボットアーム12を異なる角度及び/又は位置に操作することによって空間内に再配置され得る「仮想レール」29を作成する。本明細書に記載される仮想レールは、破線を使用して図に示されており、したがって破線は、システムの任意の物理的構造を示さない。仮想レール29に沿った器具ドライバ28の並進は、外側シース部分に対して内側リーダー部分を入れ子にするか、又は内視鏡13を患者から前進又は後退させる。仮想レール29の角度は、臨床用途又は医師の好みに基づいて調整、並進、及び枢動されてもよい。例えば、気管支鏡検査では、示されるような仮想レール29の角度及び位置は、内視鏡13を患者の口内に曲げ入れることによる摩擦を最小限に抑えながら内視鏡13への医師のアクセスを提供する妥協を表す。
【0014】
内視鏡13は、ターゲット目的地又は手術部位に到達するまで、ロボットシステムからの正確なコマンドを使用して挿入後に患者の気管及び肺の下方に指向されてもよい。患者の肺網を通したナビゲーションを高め、及び/又は所望のターゲットに到達するために、内視鏡13を操作して、内側リーダー部分を外側シース部分から入れ子状に延在させて、高められた関節運動及びより大きな曲げ半径を得てもよい。別個の器具ドライバ28の使用により、リーダー部分及びシース部分が互いに独立して駆動されることも可能にする。
【0015】
例えば、内視鏡13は、例えば、患者の肺内の病変又は小結節などのターゲットに生検針を送達するように指向されてもよい。針は、内視鏡の長さにわたる作業チャネルの下方に展開されて、病理医によって分析される組織試料を得てもよい。病理の結果に応じて、追加の生検のために追加のツールが内視鏡の作業チャネルの下方に展開されてもよい。小結節を悪性と特定した後、内視鏡13は、潜在的な癌組織を切除するために器具を内視鏡的に送達してもよい。場合によっては、診断及び治療的処置は、別個の処置で送達される必要があってもよい。これらの状況において、内視鏡13はまた、ターゲット小結節の位置を「マーク」するために基準を送達するために使用されてもよい。他の例では、診断及び治療的処置は、同じ処置中に送達されてもよい。
【0016】
システム10はまた、カート11に支持ケーブルを介して接続されて、カート11への制御、電子機器、流体工学、光学系、センサ、及び/又は電力のための支持を提供し得る移動可能なタワー30を含んでもよい。タワー30内にこのような機能を置くことにより、動作を行う医師及びそのスタッフにより容易に調整及び/又は再配置され得るより小さいフォームファクタのカート11が可能となる。追加的に、カート/テーブルと支持タワー30との間の機能の分割は、手術室の乱雑を低減し、臨床ワークフローの改善を促進する。カート11は患者に近接して配置されてもよいが、タワー30は、処置中に邪魔にならないように遠隔位置に収容されてもよい。
【0017】
上述のロボットシステムのサポートにおいて、タワー30は、例えば、永続的な磁気記憶ドライブ、ソリッドステートドライブなどの非一時的コンピュータ可読記憶媒体内にコンピュータプログラム命令を記憶するコンピュータベースの制御システムの構成要素(複数可)を含んでもよい。これらの命令の実行は、実行がタワー30内で行われるか、又はカート11がそのシステム又はサブシステム(複数可)全体を制御してもよい。例えば、コンピュータシステムのプロセッサによって実行されるときに、命令は、ロボットシステムの構成要素に、関連するキャリッジ及びアームマウントを作動させ、ロボットアームを作動させ、医療用器具を制御させてもよい。例えば、制御信号を受信したことに応答して、ロボットアームの関節内のモータは、アームをある特定の姿勢に配置してもよい。
【0018】
タワー30はまた、内視鏡13を通して展開され得るシステムに制御された灌注及び吸引能力を提供するために、ポンプ、流量計、弁制御、及び/又は流体アクセスを含んでもよい。これらの構成要素はまた、タワー30のコンピュータシステムを使用して制御されてもよい。いくつかの実施形態では、灌注及び吸引能力は、別個のケーブル(複数可)を通して内視鏡13に直接送達されてもよい。
【0019】
タワー30は、フィルタリングされ、保護された電力をカート11に提供するように設計された電圧及びサージ保護具を含んでもよく、それによって、より小さくより移動可能なカート11をもたらす、カート11内の電力変圧器及び他の補助電力構成要素の配置を回避する。
【0020】
タワー30はまた、ロボットシステム10全体に配置されたセンサのための支持機器を含んでもよい。例えば、タワー30は、ロボットシステム10を通して光センサ又はカメラから受信したデータを検出、受信、及び処理するためのオプトエレクトロニクス機器を含んでもよい。制御システムと組み合わせて、このようなオプトエレクトロニクス機器は、タワー30内を含むシステム全体に展開された任意の数のコンソール内に表示するためのリアルタイム画像を生成するために使用されてもよい。同様に、タワー30はまた、展開された電磁(electromagnetic、EM)センサから受信した信号を受信及び処理するための電子サブシステムを含んでもよい。タワー30はまた、医療用器具内又は医療用器具上のEMセンサによる検出のためにEM場発生器を収容し、配置するために使用されてもよい。
【0021】
タワー30はまた、システムの残りの部分で利用可能な他のコンソール、例えば、カートの上部に装着されたコンソールに追加して、コンソール31を含んでもよい。コンソール31は、医師操作者のためのユーザインターフェース及びタッチスクリーンなどの表示画面を含んでもよい。システム10内のコンソールは、一般に、ロボット制御、並びに内視鏡13のナビゲーション情報及び位置特定情報などの処置の術前及びリアルタイム情報の両方を提供するように設計される。コンソール31が医師に利用可能な唯一のコンソールではないときに、それは、看護師などの第2の操作者によって使用されて、患者の健康又は生命及びシステムの動作を監視し、並びにナビゲーション及び位置特定情報などの処置固有のデータを提供してもよい。
【0022】
タワー30は、1つ又は2つ以上のケーブル又は接続(図示せず)を介してカート11及び内視鏡13に結合されてもよい。いくつかの実施形態では、タワー30からの支持機能は、単一ケーブルを通してカート11に提供され、手術室を簡略化し、整理整頓し得る。他の実施形態では、特定の機能は、別個のケーブリング及び接続で結合されてもよい。例えば、単一の電力ケーブルを通してカートに電力が供給されてもよいが、制御、光学、流体工学、及び/又はナビゲーションのためのサポートは、別個のケーブルを通して提供されてもよい。
【0023】
図2は、図1に示されるカートベースのロボット制御可能なシステムからのカートの実施形態の詳細な図を提供する。カート11は、概して、細長い支持構造14(「カラム」と呼ばれることが多い)、カート基部15、及びカラム14の頂部にあるコンソール16を含む。カラム14は、1つ又は2つ以上のロボットアーム12(図2には3つ示されている)の展開を支持するためのキャリッジ17(代替的に「アーム支持体」)などの1つ又は2つ以上のキャリッジを含んでもよい。キャリッジ17は、患者に対してより良好に配置するために、ロボットアーム12の基部を調整するために、垂直軸に沿って回転する個別に構成可能なアームマウントを含んでもよい。キャリッジ17はまた、キャリッジ17がカラム14に沿って垂直方向に並進することを可能にするキャリッジインターフェース19を含む。
【0024】
キャリッジインターフェース19は、キャリッジ17の垂直方向の並進を案内するためにカラム14の両側に配置されたスロット20などのスロットを通してカラム14に接続されている。スロット20は、カート基部15に対して様々な垂直方向の高さでキャリッジを配置及び保持するための垂直方向の並進インターフェースを含む。キャリッジ17の垂直方向の並進により、カート11が、様々なテーブルの高さ、患者のサイズ、及び医師の好みを満たすようにロボットアーム12の到達を調整することを可能にする。同様に、キャリッジ17上の個別に構成可能なアームマウントにより、ロボットアーム12のロボットアーム基部21が様々な構成で角度付けされることを可能にする。
【0025】
いくつかの実施形態では、スロット20には、キャリッジ17が垂直方向に並進する際に、カラム14の内部チャンバ及び垂直方向の並進インターフェース内への汚れ及び流体の侵入を防止するためにスロット表面と同一平面及び平行であるスロットカバーが追加されてもよい。スロットカバーは、スロット20の垂直方向の頂部及び底部付近に配置されたばねスプールの対を通じて展開されてもよい。カバーは、キャリッジ17が垂直方向に上下に並進する際に、延在するように展開して、それらのコイル状から後退するまでスプール内でコイル巻きにされている。スプールのばね荷重は、キャリッジ17がスプールに向かって並進するときにカバーをスプール内に後退させるための力を提供する一方で、キャリッジ17がスプールから離れるように並進するときに密封も維持する。カバーは、キャリッジ17が並進する際にカバーの適切な延在及び後退を確実にするために、例えば、キャリッジインターフェース19内のブラケットを使用してキャリッジ17に接続されてもよい。
【0026】
カラム14は、例えば、コンソール16からの入力などのユーザ入力に応答して生成された制御信号に応答してキャリッジ17を機械的に並進させるために垂直方向に整列した主ねじを使用するように設計された歯車及びモータなどの機構を内部的に含んでもよい。
【0027】
ロボットアーム12は、一般に一連の関節24によって接続されている一連の連結部23によって分離したロボットアーム基部21及びエンドエフェクタ22を含んでもよく、各関節は独立したアクチュエータを含み、各アクチュエータは、独立して制御可能なモータを含む。それぞれ独立して制御可能な関節は、ロボットアームに利用可能な独立した自由度を表す。アーム12の各々は、7つの関節を有し、したがって、7つの自由度を提供する。多数の関節は、多数の自由度をもたらし、「冗長」自由度を可能にする。冗長自由度は、ロボットアーム12が、異なる連結位置及び関節角度を使用して空間内の特定の位置、向き、及び軌道で、それらのそれぞれのエンドエフェクタ22を配置することを可能にする。これにより、医師がアーム関節を患者から離れる臨床的に有利な位置へと移動させて、アーム衝突を回避しながら、より大きなアクセスを作成することを可能にしながら、システムが空間内の所望のポイントから医療用器具を配置及び指向させることを可能にする。
【0028】
カート基部15は、床の上のカラム14、キャリッジ17及びアーム12の重量の釣り合いをとる。したがって、カート基部15は、電子機器、モータ、電源、及びカートの移動及び/又は固定化のいずれかを可能にする構成要素などの、より重い部品を収容する。例えば、カート基部15は、処置前にカートが部屋の周りを容易に移動することを可能にする、転動可能なホイール形状のキャスター25を含む。適切な位置に到達した後、キャスター25は、処置中にカート11を定位置に保持するために、ホイールロックを使用して固定化されてもよい。
【0029】
カラム14の垂直方向の端部に配置された、コンソール16は、ユーザ入力を受信するためのユーザインターフェース及び表示画面(又は、例えば、タッチスクリーン26などの二重目的デバイス)の両方を可能にして、術前データ及び術中データの両方を医師のユーザに提供する。タッチスクリーン26上の潜在的な術前データは、術前計画、術前コンピュータ断層撮影(computerized tomography、CT)スキャンから導出されたナビゲーション及びマッピングデータ、及び/又は術前患者インタビューからのメモを含んでもよい。ディスプレイ上の術中データは、ツールから提供される光学情報、センサからのセンサ及び座標情報、及び呼吸、心拍数、及び/又はパルスなどのバイタル患者統計を含んでもよい。コンソール16は、医師が、キャリッジ17の反対側でカラム14の側からコンソールにアクセスすることを可能にするように配置及び傾斜されてもよい。この位置から、医師は、コンソール16をカート11の背後から操作しながらコンソール16、ロボットアーム12及び患者を見ることができる。図示のように、コンソール16はまた、カート11の操作及び安定化を支援するハンドル27を含む。
【0030】
図3は、尿管鏡検査のために配されたロボット制御可能なシステム10の実施形態を示す。尿管鏡検査処置では、カート11は、患者の尿道及び尿管を横断するように設計された処置専用内視鏡である尿管鏡32を患者の下腹部領域に送達するように配置されてもよい。尿管鏡検査では、尿管鏡32が患者の尿道と直接整列して、領域内の敏感な解剖学的構造に対する摩擦及び力を低減することが望ましいことがある。図示のように、カート11は、ロボットアーム12が患者の尿道への直接的な線形アクセスのために、尿管鏡32を配置することを可能にするためにテーブルの脚部に整列されてもよい。テーブルの脚部から、ロボットアーム12は、尿道を通して患者の下腹部に直接、仮想レール33に沿って尿管鏡32を挿入してもよい。
【0031】
気管支鏡検査のような同様の制御技法を使用して、尿道への挿入後、尿管鏡32は、診断及び/又は治療用途のために膀胱、尿管、及び/又は腎臓にナビゲートされてもよい。例えば、尿管鏡32は、尿管及び腎臓に指向されて、尿管鏡32の作業チャネルの下方に展開されたレーザー又は超音波砕石デバイスを使用して大きくなっている腎臓結石を破壊することができる。砕石術が完了した後、得られた結石片は、尿管鏡32の下方に展開されたバスケットを使用して除去されてもよい。
【0032】
図4は、血管処置のために同様に配されたロボット制御可能なシステムの実施形態を示す。血管処置において、システム10は、カート11が、操縦可能なカテーテルなどの医療用器具34を、患者の脚内の大腿動脈内のアクセスポイントに送達することができるように構成され得る。大腿動脈は、ナビゲーションのためのより大きな直径と、患者の心臓への比較的迂回性及び蛇行性でない経路との両方を呈し、これによりナビゲーションが単純化する。尿管鏡処置のように、カート11は、患者の脚及び下腹部に向かって配置されて、ロボットアーム12が患者の大腿/腰領域内の大腿動脈アクセスポイントへの直接的な線形アクセスで仮想レール35を提供することを可能にしてもよい。動脈内への挿入後、医療用器具34は、器具ドライバ28を並進させることによって指向され、挿入されてもよい。代替的には、カートは、例えば、肩及び手首付近の頚動脈及び腕動脈などの代替的な血管アクセスポイントに到達するために、患者の上腹部の周囲に配置されてもよい。
【0033】
B.ロボットシステム-テーブル
ロボット制御可能な医療システムの実施形態はまた、患者のテーブルを組み込んでもよい。テーブルの組み込みは、カートを除去することによって手術室内の資本設備の量を低減し、患者へのより大きなアクセスを可能にする。図5は、気管支鏡検査処置のために配されたこのようなロボット制御可能なシステムの一実施形態を示す。システム36は、床の上にプラットフォーム38(「テーブル」又は「ベッド」として図示)を支持するための支持構造体又はカラム37を含む。カートベースのシステムと同様に、システム36のロボットアーム39のエンドエフェクタは、器具ドライバ42の線形整列から形成された仮想レール41を通して、又はそれに沿って、図5の気管支鏡40などの細長い医療用器具を操作するように設計された器具ドライバ42を含む。実際には、X線透視撮像を提供するためのCアームは、放射器及び検出器をテーブル38の周囲に置くことによって、患者の上部腹部領域の上方に配置されてもよい。
【0034】
図6は、説明を目的として患者及び医療用器具なしのシステム36の代替図を提供する。図示のように、カラム37は、1つ又は2つ以上のロボットアーム39がベースとなり得るシステム36内でリング形状として図示される1つ又は2つ以上のキャリッジ43を含んでもよい。キャリッジ43は、カラム37の長さにわたる垂直方向のカラムインターフェース44に沿って並進して、ロボットアーム39が患者に到達するように配置され得る異なるバンテージポイントを提供してもよい。キャリッジ(複数可)43は、カラム37内に配置された機械的モータを使用してカラム37の周りを回転して、ロボットアーム39が、例えば患者の両側などのテーブル38の複数の側面へのアクセスを有することを可能にしてもよい。複数のキャリッジを有する実施形態では、キャリッジはカラム上に個別に配置されてもよく、他のキャリッジとは独立して並進及び/又は回転してもよい。キャリッジ43はカラム37を取り囲む必要はなく、又は更には円形である必要はないが、図示されるようなリング形状は、構造的バランスを維持しながらカラム37の周りでキャリッジ43の回転を容易にする。キャリッジ43の回転及び並進により、システムは、内視鏡及び腹腔鏡などの医療用器具を患者の異なるアクセスポイントに整列させることを可能にする。
【0035】
アーム39は、ロボットアーム39に追加の構成可能性を提供するために個別に回転及び/又は入れ子式に延在し得る一連の関節を含むアームマウント45のセットを通じてキャリッジに装着されてもよい。加えて、アームマウント45は、キャリッジ43が適切に回転されるとき、アームマウント45がテーブル38の片側(図6に示すように)、テーブル38の両側(図9に示すように)、又はテーブル38の隣接する側部(図示せず)のいずれかに配置され得るように、キャリッジ43に配置され得る。
【0036】
カラム37は、テーブル38の支持及びキャリッジの垂直方向の並進のための経路を構造的に提供する。内部的に、カラム37には、キャリッジの垂直方向の並進を案内するための主ねじ、及び主ねじに基づくキャリッジの並進を機械化するためのモータが備えられ得る。カラム37はまた、キャリッジ43及びその上に装着されたロボットアーム39に電力及び制御信号を伝達してもよい。
【0037】
テーブル基部46は、図2に示すカート11のカート基部15と同様の機能を果たし、テーブル/ベッド38、カラム37、キャリッジ43及びロボットアーム39の釣り合いをとるためにより重い構成要素を収容する。テーブル基部46はまた、処置中に安定性を提供するために剛性キャスターを組み込んでもよい。テーブル基部46の底部から展開されるキャスターは、基部46の両側で反対方向に延在し、システム36を移動させる必要があるときに後退させてもよい。
【0038】
引き続き図6によれば、システム36はまた、テーブルとタワーとの間のシステム36の機能を分割して、テーブルのフォームファクタ及びバルクを低減するタワー(図示せず)を含んでもよい。先に開示された実施形態と同様に、タワーは、処理、計算、及び制御能力、電力、流体光学、及び/又は光学及びセンサ処理などの様々な支持機能をテーブルに提供してもよい。タワーはまた、医師のアクセスを改善し、手術室を整理整頓するために、患者から離れて配置されるように移動可能であってもよい。加えて、タワー内に構成要素を置くことにより、ロボットアームの潜在的な収納のために、テーブル基部内により多くの保管空間を可能にする。タワーはまた、キーボード及び/又はペンダントなどのユーザ入力のためのユーザインターフェース、及びリアルタイム撮像、ナビゲーション、及び追跡情報などの術前及び術中情報のための表示画面(又はタッチスクリーン)の両方を提供するコンソールを含んでもよい。
【0039】
いくつかの実施形態では、テーブル基部は、使用されていないときにロボットアームを収容して格納してもよい。図7は、テーブルベースのシステムの一実施形態におけるロボットアームを収容するシステム47を示す。システム47では、キャリッジ48は、ロボットアーム50、アームマウント51及びキャリッジ48を基部49内に収容する基部49に垂直方向に並進されてもよい。基部カバー52は、キャリッジ48、アームマウント51及びアーム50をカラム53の周りに展開させるように開放し、使用されていないときにそれらを保護するために収容するように閉鎖されるように、並進及び後退してもよい。基部カバー52は、閉鎖したときに汚れ及び流体の侵入を防止するために、その開口の縁部に沿ってメンブレン54で封止されてもよい。
【0040】
図8は、尿管鏡検査処置のために構成されたロボット制御可能なテーブルベースのシステムの一実施形態を示す。尿管鏡検査では、テーブル38は、患者をカラム37及びテーブル基部46からオフアングルに配置するためのスイベル部分55を含んでもよい。スイベル部分55は、スイベル部分55の底部をカラム37から離すように配置するために、旋回点(例えば、患者の頭部の下に位置)の周りで回転又は旋回してもよい。例えば、スイベル部分55の旋回により、Cアーム(図示せず)が、テーブル38の下のカラム(図示せず)との空間を競合することなく、患者の下部腹部の上方に配置されることを可能にする。カラム37の周りにキャリッジ35(図示せず)を回転させることにより、ロボットアーム39は、尿道に到達するように、仮想レール57に沿って、鼠径部領域に直接尿管鏡56を挿入してもよい。尿管鏡検査では、あぶみ58はまた、処置中に患者の脚の位置を支持し、患者の鼠径部領域への明確なアクセスを可能にするために、テーブル38のスイベル部分55に固定されてもよい。
【0041】
腹腔鏡処置では、患者の腹壁内の小さな切開部(複数可)を通して、低侵襲性器具(1つ又は2つ以上の切開部のサイズに適応するように形状が細長い)を患者の解剖学的構造に挿入してもよい。患者の腹腔の膨張後、腹腔鏡と呼ばれることが多い器具は、把持、切断、アブレーション、縫合などの外科的タスクを行うように指向されてもよい。図9は、腹腔鏡処置のために構成されたロボット制御可能なテーブルベースのシステムの実施形態を示す。図9に示されるように、システム36のキャリッジ43は回転し、垂直方向に調整されて、腹腔鏡59が患者の両側の最小切開部を通過して患者の腹腔に到達するようにアームマウント45を使用し配置され得るように、ロボットアーム39の対をテーブル38の両側に配置してもよい。
【0042】
腹腔鏡処置に対応するために、ロボット制御可能なテーブルシステムはまた、プラットフォームを所望の角度に傾斜させてもよい。図10は、ピッチ又は傾斜調整を有するロボット制御可能な医療システムの実施形態を示す。図10に示すように、システム36は、テーブル38の傾斜に適応して、テーブルの一方側の部分を他方側の部分よりも床から長い距離に配置することができる。加えて、アームマウント45は、アーム39がテーブル38と同じ平面関係を維持するように、傾斜に一致するように回転してもよい。急角度に適応するために、カラム37はまた、テーブル38が床に接触するか、又は基部46と衝突するのを防ぐために、カラム37の垂直方向の延在を可能にする入れ子部分60を含んでもよい。
【0043】
図11は、テーブル38とカラム37との間のインターフェースの詳細な図示を提供する。ピッチ回転機構61は、複数の自由度において、カラム37に対するテーブル38のピッチ角を変更するように構成されてもよい。ピッチ回転機構61は、カラム-テーブルインターフェースでの直交軸1、2の配置によって可能にされてもよく、各軸は、電気ピッチ角コマンドに応答して別個のモータ3、4によって作動される。一方のねじ5に沿った回転は、一方の軸1における傾斜調整を可能にし、他方のねじ6に沿った回転は、他方の軸2に沿った傾斜調整を可能にする。
【0044】
例えば、ピッチ調整は、トレンデレンブルグ位置にテーブルを配置、すなわち下腹部手術のために患者の下腹部よりも床からより高い位置に患者の下腹部を位置させようとするときに、特に有用である。トレンデレンブルグ位置は、患者の内臓を重力によって自分の上腹部に向かってスライドさせ、低侵襲性ツールのために腹腔を空にして腹腔鏡前立腺切除術などの下腹部外科処置に移行し、これを行う。
【0045】
C.器具ドライバ及びインターフェース
システムのロボットアームのエンドエフェクタは、(i)医療用器具を作動させるための電気機械的手段を組み込む器具ドライバ(代替的には、「器具駆動機構」又は「器具デバイスマニピュレータ」と呼ばれる)と、(ii)モータなどの任意の電気機械的構成要素を欠いていてもよい除去可能な又は取り外し可能な医療用器具と、を含む。この二分法は、医療処置に使用される医療器具を滅菌する必要性、それらの複雑な機械的アセンブリ及び敏感な電子機器により、高価な資本設備を十分に滅菌することができないことにより駆動され得る。したがって、医療用器具は、医師又は医師のスタッフによる個々の滅菌又は廃棄のために、器具ドライバ(したがってそのシステム)から取り外し、除去、及び交換されるように設計され得る。対照的に、器具ドライバは交換又は滅菌される必要がなく、保護のために掛け布がされ得る。
【0046】
図12は、例示的な器具ドライバを示す。ロボットアームの遠位端に配置される器具ドライバ62は、駆動シャフト64を介して医療用器具に制御トルクを提供するために平行軸を伴って配された1つ又は2つ以上の駆動ユニット63を含む。各駆動ユニット63は、器具と相互作用するための個々の駆動シャフト64と、モータシャフトの回転を所望のトルクに変換するためのギヤヘッド65と、駆動トルクを生成するためのモータ66と、モータシャフトの速度を測定し、制御回路にフィードバックを提供するエンコーダ67と、制御信号を受信し、駆動ユニットを作動させるための制御回路68と、を含む。各駆動ユニット63は独立して制御及び電動化され、器具ドライバ62は、複数(図12に示すように4つ)の独立した駆動出力を医療用器具に提供してもよい。動作中、制御回路68は、制御信号を受信し、モータ66にモータ信号を送信し、エンコーダ67によって測定されたモータ速度を所望の速度と比較し、モータ信号を変調して所望のトルクを生成する。
【0047】
無菌環境を必要とする処置のために、ロボットシステムは、器具ドライバと医療用器具との間に位置する無菌ドレープに接続された無菌アダプタなどの駆動インターフェースを組み込んでもよい。無菌アダプタの主な目的は、器具ドライバの駆動シャフトから器具の駆動入力に角度運動を伝達する一方で、物理的分離を維持し、したがって、駆動シャフトと駆動入力との間で無菌性を維持することである。したがって、例示的な無菌アダプタは、器具ドライバの駆動シャフトと嵌合されることを意図した一連の回転入力部及び出力部と器具に対する駆動入力部で構成され得る。無菌アダプタに接続される無菌ドレープは、透明又は半透明プラスチックなどの薄い可撓性材料で構成され、器具ドライバ、ロボットアーム、及び(カートベースのシステムにおける)カート又は(テーブルベースのシステムにおける)テーブルなどの資本設備を覆うように設計される。ドレープの使用は、滅菌を必要としない領域(すなわち、非滅菌野)に依然として位置している間に、資本設備が患者に近接して配置することを可能にするであろう。滅菌ドレープの他方の側では、医療用器具は、滅菌(すなわち、滅菌野)を必要とする領域において患者とインターフェースしてもよい。
【0048】
D.医療用器具
図13は、ペアにされた器具ドライバを備えた例示的な医療用器具を示す。ロボットシステムと共に使用するために設計された他の器具と同様に、医療用器具70は、細長いシャフト71(又は細長い本体)及び器具基部72を含む。医師による手動相互作用のために意図された設計により「器具ハンドル」とも呼ばれる器具基部72は、概して、ロボットアーム76の遠位端で器具ドライバ75上の駆動インターフェースを通って延在する駆動出力部74と嵌合するように設計された、回転可能な駆動入力部73、例えば、レセプタクル、プーリ、又はスプールを含んでもよい。物理的に接続、ラッチ、かつ/又は結合されるときに、器具基部72の嵌合された駆動入力部73は、器具ドライバ75における駆動出力部74と回転軸線を共有してもよく、駆動出力部74から駆動入力部73へのトルクの伝達を可能する。いくつかの実施形態では、駆動出力部74は、駆動入力部73上のレセプタクルと嵌合するように設計されたスプラインを含んでもよい。
【0049】
細長いシャフト71は、例えば、内視鏡検査におけるような解剖学的開口部若しくは管腔、又は腹腔鏡検査におけるような低侵襲性切開部のいずれかを通して送達されるように設計されている。細長いシャフト66は、可撓性(例えば、内視鏡と同様の特性を有する)若しくは剛性(例えば、腹腔鏡と同様の特性を有する)、又は可撓性部分及び剛性部分の両方のカスタマイズされた組み合わせを含むこと、のいずれかであってもよい。腹腔鏡検査のために設計されるとき、剛性の細長いシャフトの遠位端は、回転軸を有するクレビスから形成される接合された手首と、例えば、駆動入力部が器具ドライバ75の駆動出力部74から受け取ったトルクに応答して回転する際に、腱からの力に基づいて作動され得る把持具又ははさみである手術用ツールを含むエンドエフェクタに接続され得る。内視鏡検査のために設計されるときに、可撓性の細長いシャフトの遠位端は、器具ドライバ75の駆動出力部74から受信したトルクに基づいて関節運動及び屈曲され得る操縦可能又は制御可能な屈曲部を含んでもよい。
【0050】
器具ドライバ75からのトルクは、シャフト71内の腱を使用して細長いシャフト71の下方に伝達される。プルワイヤなどのこれらの個々の腱は、器具ハンドル72内の個々の駆動入力部73に個別に固設されてもよい。ハンドル72から、腱は、細長いシャフト71内の1つ又は2つ以上のプルルーメン(pull lumen)を下方に指向され、細長いシャフト71の遠位部分に固設される。腹腔鏡検査では、これらの腱は、手首、把持具、又ははさみなどの遠位に装着されたエンドエフェクタに結合されてもよい。このような構成の下で、駆動入力部73に及ぼされるトルクは、腱に張力を伝達し、それによってエンドエフェクタを何らかの方法で作動させる。腹腔鏡検査では、腱は、関節を軸周りに回転させることができ、それによってエンドエフェクタを一方向又は別の方向に移動させる。あるいは、腱は、細長いシャフト71の遠位端で把持具の1つ又は2つ以上のジョーに接続されてもよく、腱からの張力によって把持具が閉鎖される。
【0051】
内視鏡検査では、腱は、接着剤、制御リング、又は他の機械的固定を介して、細長いシャフト71に沿って(例えば、遠位端に)配置された屈曲又は関節運動部に結合されてもよい。屈曲部の遠位端に固定的に取り付けられるときに、駆動入力部73に及ぼされるトルクは、腱の下方に伝達され、より軟質の屈曲部に(関節運動可能部又は領域と呼ばれることがある)を屈曲又は関節運動させる。非屈曲部分に沿って、個々の腱を内視鏡シャフトの壁に沿って(又は内側に)指向する個々のプルルーメンを螺旋状又は渦巻状にして、プルワイヤにおける張力からもたらされる半径方向の力の釣り合いをとることが有利であり得る。これらの間の螺旋及び/又は間隔の角度は、特定の目的のために変更又は設計されてもよく、より狭い螺旋は負荷力下でより小さいシャフト圧縮を呈する一方で、より少ない量の螺旋は負荷力下でより大きなシャフト圧縮をもたらすが、屈曲制限も呈する。スペクトルのもう一方の端部では、プルルーメンは、細長いシャフト71の長手方向軸に平行に指向されてもよく、所望の屈曲又は関節運動可能部における制御された関節運動を可能にする。
【0052】
内視鏡検査では、細長いシャフト71は、ロボット処置を支援するある数の構成要素を収容する。シャフトは、シャフト71の遠位端における手術領域への手術ツール、灌注、及び/又は吸引を展開するための作業チャネルを含んでもよい。シャフト71はまた、光学カメラを含んでもよい遠位先端部で光学アセンブリに/そこから信号を伝達するために、ワイヤ及び/又は光ファイバを収容してもよい。シャフト71はまた、発光ダイオードなどの近位に位置する光源からシャフトの遠位端に光を搬送するための光ファイバを収容してもよい。
【0053】
器具70の遠位端では、遠位先端はまた、診断及び/又は治療、潅注、及び吸引のためのツールを手術部位に送達するための作業チャネルの開口を含んでもよい。遠位先端はまた、内部解剖学的空間の画像を捕捉するために、繊維スコープ又はデジタルカメラなどのカメラのためのポートを含んでもよい。関連して、遠位先端はまた、カメラを使用するときに解剖学的空間を照明するための光源のためのポートを含んでもよい。
【0054】
図13の例では、駆動シャフト軸、したがって駆動入力軸は、細長いシャフトの軸に直交する。しかしながら、この配置は、細長いシャフト71のロール能力を複雑にする。駆動入力部73を静止させながら、細長いシャフト71をその軸に沿ってロールさせることにより、駆動入力部73から延出し、細長いシャフト71内のプルルーメンに入る際に、腱の望ましくない絡まりをもたらす。そのような腱の得られたもつれは、内視鏡処置中の可撓性の細長いシャフトの移動を予測することを意図した任意の制御アルゴリズムを破壊することがある。
【0055】
図14は、駆動ユニットの軸が器具の細長いシャフトの軸に平行である、器具ドライバ及び器具の代替的な設計を示す。図示のように、円形の器具ドライバ80は、ロボットアーム82の端部において平行に整列された駆動出力部81を備えた4つの駆動ユニットを含む。駆動ユニット及びそれらのそれぞれの駆動出力部81は、アセンブリ83内の駆動ユニットのうちの1つによって駆動される器具ドライバ80の回転アセンブリ83内に収容される。回転駆動ユニットによって提供されるトルクに応答して、回転アセンブリ83は、回転アセンブリ83を器具ドライバの非回転部分84に接続する円形ベアリングに沿って回転する。電力及び制御信号は、電気接点を通して器具ドライバ80の非回転部分84から回転アセンブリ83に伝達されてもよく、ブラシ付きスリップリング接続(図示せず)による回転を通して維持されてもよい。他の実施形態では、回転アセンブリ83は、非回転可能部分84に一体化され、したがって他の駆動ユニットと平行ではない別個の駆動ユニットに応答してもよい。回転機構83は、器具ドライバ80が、器具ドライバ軸85周りの単一ユニットとして、駆動ユニット及びそれらのそれぞれの駆動出力部81を回転させることを可能にする。
【0056】
先に開示した実施形態と同様に、器具86は、細長いシャフト88と、器具ドライバ80内の駆動出力部81を受けるように構成された複数の駆動入力部89(レセプタクル、プーリ、及びスプールなど)を含む器具基部87(説明目的のために透明な外部スキンで示される)とを含んでもよい。以前に開示されている実施形態とは異なり、器具シャフト88は、図13の設計と直交するのではなく、駆動入力部89の軸に実質的に平行な軸を有する器具基部87の中心から延在する。
【0057】
器具ドライバ80の回転アセンブリ83に結合されるときに、器具基部87及び器具シャフト88を含む医療用器具86は、器具ドライバ軸85を中心に回転アセンブリ83と組み合わせて回転する。器具シャフト88は器具基部87の中心に配置されているため、器具シャフト88は、取り付けられたときに器具ドライバ軸85と同軸である。したがって、回転アセンブリ83の回転により、器具シャフト88は、それ自体の長手方向軸を中心に回転する。更に、器具基部87が器具シャフト88と共に回転すると、器具基部87内の駆動入力部89に接続された任意の腱は、回転中に絡まらない。したがって、駆動出力部81、駆動入力部89及び器具シャフト88の軸の平行性は、任意の制御腱を絡めることなくシャフト回転を可能にする。
【0058】
E.ナビゲーション及び制御
従来の内視鏡検査は、(例えば、Cアームを通して送達され得るような)蛍光透視法の使用、及び操作者の医師に腔内誘導を提供するための他の形態の放射線ベースの撮像モダリティの使用を伴うことがある。対照的に、本開示によって企図されるロボットシステムは、放射線への医師の曝露を低減し、手術室内の機器の量を低減するための非放射線ベースのナビゲーション及び位置特定手段を提供することができる。本明細書で使用するとき、用語「位置特定」は、基準座標系内のオブジェクトの位置を判定及び/又は監視することを指すことがある。術前マッピング、コンピュータビジョン、リアルタイムEM追跡、及びロボットコマンドデータなどの技術は、放射線を含まない動作環境を達成するために個別に又は組み合わせて使用されてもよい。放射線ベースの撮像モダリティが依然として使用される場合、術前マッピング、コンピュータビジョン、リアルタイムEM追跡、及びロボットコマンドデータは、放射線ベースの撮像モダリティによってのみ取得される情報を改善するために、個別に又は組み合わせて使用されてもよい。
【0059】
図15は、例示的な実施形態による、器具の位置などのロボットシステムの1つ又は2つ以上の要素の位置を推定する位置特定システム90を示すブロック図である。位置特定システム90は、1つ又は2つ以上の命令を実行するように構成されている1つ又は2つ以上のコンピュータデバイスのセットであってもよい。コンピュータデバイスは、上述の1つ又は2つ以上の構成要素内のプロセッサ(又は複数のプロセッサ)及びコンピュータ可読メモリによって具現化されてもよい。例として、限定するものではないが、コンピュータデバイスは、図1に示されるタワー30内にあってもよく、図1~4に示されるカートであってもよく、図5~10に示されるベッドなどであってもよい。
【0060】
図15に示すように、位置特定システム90は、入力データ91~94を処理して医療用器具の遠位先端のための位置データ96を生成する位置特定モジュール95を含んでもよい。位置データ96は、基準系に対する器具の遠位端の位置及び/又は配向を表すデータ又は論理であってもよい。基準系は、患者の解剖学的構造、又はEM場発生器(EM場発生器について以下の説明を参照)などの既知の物体に対する基準系とすることができる。
【0061】
ここで、様々な入力データ91~94についてより詳細に説明する。術前マッピングは、低用量CTスキャンの収集を使用することを通して達成され得る。術前CTスキャンは、例えば、患者の内部解剖学的構造の切欠き図の「スライス」として可視化される3次元画像に再構成される。まとめて分析されるときに、患者の肺網などの患者の解剖学的構造の解剖学的空腔、空間、及び構造のための画像ベースのモデルが生成され得る。中心線幾何学形状などの技法を判定し、CT画像から概算して、術前モデルデータ91と呼ばれる患者の解剖学的構造の3次元ボリュームを生成することができる。中心線幾何学形状の使用は、米国特許出願第14/523,760号において説明され、その内容はその全体が本明細書に組み込まれる。ネットワークトポロジックモデルはまた、CT画像から導出されてもよく、気管支鏡検査に特に適している。
【0062】
いくつかの実施形態では、器具はカメラを装備して、ビジョンデータ92を提供してもよい。位置特定モジュール95は、ビジョンデータを処理して、1つ又は2つ以上のビジョンベースの位置追跡を可能にしてもよい。例えば、術前モデルデータは、医療用器具(例えば、内視鏡又は器具が内視鏡の作業チャネルを通って前進する)のコンピュータビジョンベースの追跡を可能にするために、ビジョンデータ92と共に使用されてもよい。例えば、術前モデルデータ91を使用して、ロボットシステムは、内視鏡の予想される移動経路に基づいてモデルから予測される内視鏡画像のライブラリを生成することができ、各画像はモデル内の位置にリンクされる。操作可能には、このライブラリは、カメラ(例えば、内視鏡の遠位端でのカメラ)でキャプチャされたリアルタイム画像を画像ライブラリ内のものと比較して、位置特定を支援するために、ロボットシステムによって参照され得る。
【0063】
他のコンピュータビジョンベースの追跡技法は、カメラの動き、したがって内視鏡を判定するための特徴追跡を使用する。位置特定モジュール95のいくつかの特徴は、解剖学的管腔に対応する術前モデルデータ91内の円形幾何学形状を特定し、どの解剖学的管腔が選択されたかと、カメラの相対的な回転及び/又は並進運動とを判定するためにそれらの幾何学的形状の変化を追跡してもよい。トポロジカルマップの使用は、ビジョンベースのアルゴリズム又は技法を更に向上させることがある。
【0064】
光学フロー、別のコンピュータビジョンベースの技法は、カメラの動きを推測するために、ビジョンデータ92内のビデオシーケンス内の画像ピクセルの変位及び並進を分析してもよい。複数の反復にわたって複数のフレームを比較することにより、カメラ(及びしたがって内視鏡)の移動及び位置が判定され得る。
【0065】
位置特定モジュール95は、リアルタイムEM追跡を使用して、術前モデルによって表される患者の解剖学的構造に位置合わせされ得るグローバル座標系内で内視鏡のリアルタイム位置を生成し得る。EM追跡では、医療用器具(例えば、内視鏡器具)内の1つ又は2つ以上の位置及び配向に埋め込まれた1つ又は2つ以上のセンサコイルを含むEMセンサ(又はトラッカー)は、既知の位置に配置された1つ又は2つ以上の静的EM場発生器によって生成されるEM場の変動を測定する。EMセンサによって検出された位置情報は、EMデータ93として記憶される。EM場発生器(又は送信機)は、埋め込まれたセンサが検出し得る低強度磁場を生成するために、患者に近接して置かれ得る。磁場はEMセンサのセンサコイル内に小さな電流を誘導し、EMセンサとEM場発生器との間の距離及び角度を判定するために分析され得る。これらの距離及び配向は、患者の解剖学的構造の術前モデル内の位置と座標系内の単一の位置を位置合わせする幾何学的変換を判定するために、患者の解剖学的構造(例えば、術前モデル)に術中「登録」され得る。一旦登録されると、医療用器具の1つ又は2つ以上の位置(例えば、内視鏡の遠位先端)に埋め込まれたEMトラッカーは、患者の解剖学的構造を通じた医療用器具の進行のリアルタイム表示を提供し得る。
【0066】
ロボットコマンド及び運動学データ94はまた、ロボットシステムのための位置特定データ96を提供するために、位置特定モジュール95によって使用されてもよい。関節運動コマンドから生じるデバイスピッチ及びヨーは、術前較正中に判定され得る。術中、これらの較正測定値は、既知の挿入深度情報と組み合わせて使用されて、器具の位置を推定し得る。あるいは、これらの計算は、ネットワーク内の医療用器具の位置を推定するために、EM、ビジョン、及び/又はトポロジカルモデリングと組み合わせて分析され得る。
【0067】
図15が示すように、ある数の他の入力データが位置特定モジュール95によって使用され得る。例えば、図15には示されていないが、形状検知繊維を利用する器具は、位置特定モジュール95が器具の位置及び形状を判定するために使用することができる形状データを提供することができる。
【0068】
位置特定モジュール95は、組み合わせた入力データ91~94(複数可)を使用し得る。場合によっては、このような組み合わせは、位置特定モジュール95が入力データ91~94の各々から判定された位置に信頼重みを割り当てる確率的アプローチを使用し得る。したがって、EMデータが信頼できるとはいえないことがある場合(EM干渉が存在する場合など)、EMデータ93によって判定された位置の信頼性を低下させることができ、位置特定モジュール95は、ビジョンデータ92並びに/又はロボットコマンド及び運動学データ94により重く依存してもよい。
【0069】
上述のように、本明細書で論じられるロボットシステムは、上記の技術のうちの1つ又は2つ以上の組み合わせを組み込むように設計され得る。タワー、ベッド、及び/又はカートに基づいて、ロボットシステムのコンピュータベースの制御システムは、例えば、永続的な磁気記憶ドライブ、ソリッドステートドライブなどの非一時的コンピュータ可読記憶媒体内に、コンピュータプログラム命令を記憶してもよく、コンピュータプログラム命令は、実行されると、システムに、センサデータ及びユーザコマンドを受信及び分析させ、システム全体の制御信号を生成させ、グローバル座標系内の器具の位置、解剖学的マップなどのナビゲーション及び位置特定データを表示させる。
【0070】
2.医療用器具の駆動
本開示の実施形態は、内側本体及び外側本体を有する医療用器具を駆動するためのシステム及び技法に関する。例えば、医療用器具は、システムのユーザから受信したコマンドに基づいて、独立して駆動され得る(例えば、前進、後退、関節運動、回転など)2つ又は3つ以上の入れ子式本体を含んでもよい。独立して制御可能な本体の数が増加するにつれて、医療用器具の駆動の制御に対して独立してマッピングされ得るコマンドの数も増加し、それによってシステムの複雑性が増加する。加えて、各本体には、対応する本体を制御するために利用可能な多数の自由度が提供されてもよく、それによって制御変数の数における複雑性が大きくなる。より高い医療用器具制御の複雑性は、複雑性の少ない駆動システムでは達成可能ではないことがあるより多くの利用可能な駆動技法と関連付けられてもよい。
【0071】
例えば、標準的な単一の本体内視鏡は、挿入、ロール、及び様々な方向での関節運動など、複数の自由度をユーザに提供するように構成されてもよい。内側本体及び外側本体を含む例示的なマルチボディ内視鏡では、システムは、10の自由度(例えば、各本体に対して、自由度は、1つの挿入自由度と、4つの独立したプルワイヤであって、各々が独立した関節運動の自由度を提供する)を提供してもよい。他の実装態様は、より大きい又はより少ない自由度を含んでもよく、例えば、外側本体及び内側本体のうちの1つ又は2つ以上のロールを提供してもよい。10の自由度では、同様の駆動機能を達成するための技法の異なる組み合わせがある数存在し得る。加えて、ある特定の技法は、医療用器具上の応力又は摩耗を低減することなど、他の技法と比べた場合の利点を有してもよく、それによって、医療用器具又はその部分を、交換が必要となる前により長期間にわたって使用することが可能となる。
【0072】
本開示のある特定の態様は、外側本体及び内側本体を含む2つの本体システムに従って説明することがあるが、本開示は、2つの本体の医療用器具に限定されない。例えば、医療用器具は、内側本体の管腔を通して駆動されるように構成されているロボット制御外科用器具を更に含んでもよい。外科用器具は、それによって独立して制御される第3のロボットアームアセンブリに接続されてもよい。したがって、当業者であれば、外側本体及び内側本体を含む医療用器具に一般的に適用するものとして以下に記載される概念はまた、3つの本体システム、又はより多くの独立して駆動される本体を含むシステムに適用され得ることを認識するであろう。
【0073】
システムのユーザに対する認知負荷を低減するために、システムは、医療用器具の構造に基づいて達成可能なよりも少ない自由度で入力コマンドを受信するように構成されているユーザ入力デバイスを含んでもよい。例えば、ユーザ入力デバイスは、3つの自由度(例えば、挿入、ヨー、及びピッチ)についてのユーザコマンドマッピングを受信するように構成されてもよい。次いで、システムは、これらのユーザコマンドを、医療用器具の内側及び外側本体を制御するために使用される物理的自由度に対応するロボットコマンドにマップしてもよい。このマッピングは、とりわけ、内側本体及び外側本体のうちのどれにコマンドを適用するかを判定することを含んでもよく、これは、ある特定の用途において内側本体及び外側本体の両方を駆動すること、及び/又は、内側本体及び外側本体の移動を連続的又は協調的に調整することを伴ってもよい。
【0074】
図16は、本開示の態様による、外側本体及び内側本体を有する医療用器具を駆動するように構成され得る外科用ロボットシステムの実施形態を示す。図16は、ロボットアーム(複数可)及び/又は器具マニピュレータがカートに取り付けられる実施形態に指向されているが、本開示はこれに限定されるものではなく、本明細書に記載される技法は、図6に示されるように患者プラットフォームを支持するカラムに取り付けられ得る適用可能なロボットアーム(複数可)及び/又は器具マニピュレータである。
【0075】
図16に戻ると、カート105と、1つ又は2つ以上の器具マニピュレータ115及び125と、医療用器具130と、を含み得るシステム100が示されている。カート105は、プロセッサ(図示せず)と、メモリ(図示せず)と、医療用器具130のナビゲーション及び/又は駆動に関する符号化データをレンダリングするように構成されているディスプレイ107と、1つ又は2つ以上のユーザ入力デバイス150(例えば、ペンダント、マスタコントローラ、又は他のユーザ入力コントローラ)を含み得る。しかしながら、実施形態に応じて、プロセッサ、メモリ、及びディスプレイ107のうちの1つ又は2つ以上は、図1に示される移動可能なタワー30上などの別のデバイス上又はデバイス内に位置してもよい。加えて、他の実施態様では、ディスプレイ107以外のフィードバックデバイスは、ディスプレイ107の代わりに、又はそれに加えて使用されてもよい。使用され得る他のフィードバックデバイスとしては、触覚デバイス、スピーカ、器具マニピュレータ115及び125のうちの1つ又は2つ以上を介して作動される力フィードバック、1つ又は2つ以上の発光ダイオードLEDなどが挙げられ得る。
【0076】
ある特定の実施態様では、1つ又は2つ以上のユーザ入力デバイス150は、1つ又は2つ以上のジョイスティック151及びトグル入力部153(ボタンなど)を含む。1つ又は2つ以上のジョイスティックは、医療用器具の挿入及び/又は後退、及び医療用器具130の関節運動部分の関節運動のためのコマンドを生成するために使用され得る入力部として機能し得る。トグル入力153は、システムによって使用されて、医療用器具130の様々な駆動モード間で変化する変更駆動モードコマンド(例えば、トグル駆動モードコマンド)を生成するために使用され得る。駆動モード及び駆動モード間の変化又はトグルのための条件に関する更なる詳細は、以下に提供される。
【0077】
器具マニピュレータ115及び125は、第1のロボットアーム110及び第2のロボットアーム120によってそれぞれ駆動される第1の器具マニピュレータ及び第2の器具マニピュレータ125を含み得る。しかしながら、本開示の態様はまた、第1及び第2のロボットアーム110及び120以外の他の作動機構(複数可)によって駆動され得る1つ又は2つ以上の器具マニピュレータ115及び125を有するシステムに適用可能である。本明細書で使用するとき、器具マニピュレータという用語(器具デバイスマニピュレータ(IDM)とも呼ばれる)は、一般に、医療用器具(又はその一部)への検出可能な接続を提供するアセンブリを指すことがある。IDM(図12に示される駆動ユニット63など)は、医療用器具の移動及び/又は操作を制御するように構成されてもよく、医療用器具には任意のエンドエフェクタが取り付けられている。第1の器具マニピュレータ115は、第1のロボットアーム110の遠位端に接続されてもよく、第2の器具マニピュレータは、第2のロボットアーム120の遠位端に接続されてもよい。第1のロボットアーム110のモータ(複数可)を作動させることによって、モータ(複数可)は、第1のロボットアーム110の姿勢又はポーズを調整するように動作可能であってもよく、したがって器具マニピュレータ115は(例えば、第1のアームの1つ又は2つ以上の関節113の位置及び/又は配向を調整することによって)、それによって器具マニピュレータ115に取り付けられた操縦可能な器具130を制御する。第1のロボットアーム110と同様に、第2のロボットアーム120は、第2の器具マニピュレータ125を駆動して操縦可能な器具130を動作させるように動作可能であってもよい。
【0078】
図16の実施形態における医療用器具130は、第1の器具マニピュレータ115に取り付けられた外側本体131と、第2の器具マニピュレータ125 120に取り付けられた内側本体133と、を含む。しかしながら、図16に示される例は、単に1つの例示的な医療用器具130であり、他の実施形態は、単一の器具マニピュレータ115によって制御される医療用器具130又は動作のために3つ又は4つ以上の器具マニピュレータを必要とする医療用器具130を含んでもよい。実施形態及び行われる医療処置に応じて、第1及び第2の医療用器具の各々は、内側リーダー部、外側シース部分、針、鉗子、ブラシなどのうちの1つを含んでもよい。
【0079】
外側本体131及び内側本体133は、第1の軸140に沿って患者に前進/挿入される(又はそこから後退する)ように構成され得る。上述のように、第1の軸140は、仮想レールと呼ばれることがある。仮想レールは、器具マニピュレータ115及び125の整列の軸によって規定されてもよく、したがって、医療用器具130の中心軸とも一致し得る。仮想レール140に沿った第1及び第2の器具マニピュレータ115及び125の移動は、外側本体131及び内側本体133の患者の内外への前進及び後退を制御してもよい。
【0080】
一実施形態では、ジョイスティック151のうちの1つは、内側本体131及び外側本体133のうちの1つ又は2つ以上を含む医療用器具130の関節運動を制御するために使用され、ジョイスティック151のうちの別の1つは、内側及び外側本体131のうちの1つ又は2つ以上を含む医療用器具130の関節運動を制御するために使用される。駆動モードに応じて、ジョイスティック151から受信した入力(複数可)は、内側本体131及び外側本体133の両方にマッピングされてもよく、又は、一度に内側本体131及び外側本体133のうちの1つのみにマッピングされてもよい。
【0081】
A.例示的な医療用器具及び駆動モード
図17Aは、本開示の態様による医療用器具の実施形態を示す。図示された医療用器具200は、外側本体210(シースとも呼ばれる)及び内側本体220(リーダーとも呼ばれる)を含む。ある特定の実施態様では、ロボット外科用システムは、外側本体及び内側本体の移動を制御するように構成されている1つ又は2つ以上のロボットアームアセンブリのセットを含み得る。例えば、外側本体210及び内側本体220は、ロボットアームに接続された器具マニピュレータにそれぞれ結合されてもよい(例えば、図16を参照)。したがって、外側本体210及び内側本体220は、対応するロボットアーム及びそれに接続された器具マニピュレータの操作を介して独立して駆動され得る。外側本体210は、内側本体220が駆動されるように構成された管腔215を更に規定してもよい。
【0082】
図17Bは、本開示の態様による、医療用器具用のペア駆動モードの実施形態を示す。システムは、複数の駆動モードのうちの1つで医療用器具を駆動するように構成されてもよく、複数の駆動モードは、ペア駆動モードと、少なくとも1つの非ペア駆動モードとを含み得る。
【0083】
図18は、本開示の態様による医療用器具の駆動モードを変更するための外科用ロボットシステム又はその構成要素(複数可)によって動作可能な例示的な方法を示すフローチャートである。例えば、図18に示す方法1600の工程は、外科用ロボットシステムのプロセッサによって行われてもよい。便宜上、方法1600は、システムのプロセッサによって行われるものとして記載される。
【0084】
方法1600は、ブロック1601において開始する。プロセッサは、システムの一部として含まれてもよく、システムは、外側本体と、外側本体内の管腔を通して駆動されるように構成されている内側本体とを含む医療用器具と、外側本体及び内側本体の動きを制御するように構成されている1つ又は2つ以上の器具マニピュレータのセット(例えば、ロボットアームアセンブリに結合され得る)と、1つ又は2つ以上のユーザ入力デバイスのセットと、1つ又は2つ以上のプロセッサのセットと、プロセッサのセットと通信し、コンピュータ実行可能命令を記憶した少なくとも1つのコンピュータ可読メモリと、を含み、コンピュータ実行可能命令は、プロセッサのセットに方法1600を行わせる。
【0085】
ブロック1605において、プロセッサは、ユーザ入力デバイス(例えば、図16のユーザ入力デバイス150)を介して、変更駆動モードコマンドを受信する。システムは、変更駆動モードコマンドを受信したことに応答して、ペア駆動モードから非ペア駆動モードに医療用器具200の駆動モードを変更するように更に構成され得る。したがって、ブロック1610において、変更駆動モードコマンドを受信したことに応答して、プロセッサは、ペア駆動モードから非ペア駆動モードに医療用器具の駆動モードを変更し、内側本体の遠位端と外側本体の遠位端との間の距離が、ペア駆動モードにある間、入力デバイスのセットからの駆動コマンドを受信したことに応答して所定の距離に維持される。方法1600は、ブロック1615において終了する。
【0086】
引き続き図16、17A、及び17Bを参照すると、ある特定の実施態様において、ペア駆動モードでは、内側本体220の遠位端と外側本体210の遠位端との間の距離が、所定の距離240に維持される。外側本体210の遠位端と内側本体220の遠位端との間の所定の距離240が、入力デバイスのセットから駆動コマンドを受信したことに応答して維持され得る。駆動コマンドは、医療用器具を操作するための1つ又は2つ以上のコマンドを含み得る。例えば、駆動コマンドは、(例えば、医療用器具を前進又は後退させるための)挿入コマンド、及び/又は(例えば、医療用器具の遠位端の屈曲又は関節運動を増加又は減少させるため)関節運動コマンドのうちの1つ又は2つ以上を含み得る。本明細書で使用するとき、用語「距離」は、単一の長さ(例えば、5mm)又は長さの範囲(5mm~8mm)を指し得ると理解されたい。
【0087】
再び図17Bを参照すると、医療用器具200が挿入方向230に沿って挿入される際の医療用器具200のある数のスナップショットが上部から下部まで順に示されている。外側本体210の遠位端と内側本体220の遠位端との間の所定の距離240の初期位置に対して破線が提供されている。医療用器具200が図示されたスナップショット内で前進する際に、所定の距離240が外側本体210の遠位端と内側本体220の遠位端との間で維持される。ペア駆動モードでは、所定の距離240は、他の操作コマンドに対しても維持され得る。例えば、既定の距離240は、後退コマンドに応答して維持されてもよく、関節運動コマンドに応答して維持されてもよい。
【0088】
図17A及び17Bに図示されるように、内側本体220の遠位端及び外側本体210は面取りされ得る。これらの面取りされた縁部は、医療処置中に、内側本体220の遠位端及び外側210本体の遠位端が、管腔網を通してより容易に前進することを可能にし得る。加えて、内側本体220が面取りされた縁部を含むときに、内側本体220の遠位端が外側本体210の遠位端から延在するように、所定の距離240を維持するある特定の利点が存在し得る。例えば、外側本体210の遠位端及び内側本体220の遠位端の各々での面取り部が、管腔網の壁の特徴に引っ掛かることなく、遠位端が管腔網に沿ってより容易に前進することを可能にし得る。内側本体220の遠位端が外側本体210の遠位端から延在しない場合、内側本体220の遠位端での面取り部に関連する利点は、利点を得ることができない。
【0089】
所定の距離240は、医療用器具240及び/又はロボットアームの物理的構造の1つ又は2つ以上の考慮事項に基づいて選択されてもよい。例えば、外側本体210及び内側本体220の各々の長さは、ある特定の量の製造変動を有してもよく、これは、外側本体210の遠位端と内側本体220の遠位端との間の距離が、そのような製造変動を有さない外側本体の遠位端と内側本体の遠位端との間の対応する距離からオフセットされることにつながることがある。外側本体210及び内側本体200の長さはまた、経時的に変化してもよく、例えば、長さが収縮すると、システムによって計算されるような外側本体210の遠位端と内側本体220の遠位端との間の距離と、実際の遠位端間の距離との差を生じ得る。
【0090】
加えて、外側本体210の遠位端と内側本体220の遠位端との間の距離が閾値距離未満であるときに、内側本体の遠位端上に形成されたカメラによってキャプチャされる画像データは、カメラによってキャプチャされる画像内で見え得る外側本体210によって閉塞されることがある。したがって、外側本体220の遠位端がキャプチャされる画像内で見えないように、外側本体210の遠位端から内側本体220の遠位端を延在させることが望ましいことがある。
【0091】
したがって、所定の距離240は、内側本体210の遠位端がロボットアームの器具マニピュレータに装填されたときに外側本体220の遠位端から延在するように、そのような製造の長さの差の許容差よりも大きいように選択されてもよい。他の実施態様では、所定の距離240はまた、命令された配置からの器具マニピュレータの配置における任意の差を考慮するように選択されてもよく、これは配置のための公差誤差を有してもよい。したがって、所定の距離240はまた、器具マニピュレータ及び命令された位置の配置の違いにより、外側本体210の遠位端と内側本体220の遠位端との間の距離に導入される差を考慮してもよい。
【0092】
所定の距離240を選択するために使用され得る別の考慮事項は、医療用器具200の挿入が妨げられ得る外側本体210の遠位端と内側本体220の遠位端との間の距離を含んでもよい。例えば、以下で論じられるように、外側本体210及び内側本体220は、本体210及び本体200の1つのみによって達成可能であるよりも、より多くの関節運動を提供するように共に関節運動されてもよい。本明細書で使用する際に、外側本体210及び内側本体220の同じ方向への協働的な関節運動は、一般に、「共関節運動」と呼ばれることがある。内側本体220の遠位端が外側本体210の遠位端からあまりに遠くまで延在するときに、医療用器具200の共関節運動は、望ましくない掃引運動を引き起こすことがあり、ユーザが効果的に操作するのが困難となることがある。したがって、所定の距離240は、共関節運動が望ましくない掃引運動をもたらす閾値未満で選択されてもよい。
【0093】
ある特定の実施形態では、内側本体220の遠位端は、外側本体210と内側本体220の遠位端との間の距離が所定の距離に維持されるように、外側本体210内に後退することができる。外側本体210内に規定された管腔内に内側本体220の遠位端を維持することによって、内側本体220摩耗を低減し、それによって内側本体220の寿命を延ばすことができる。ある特定の実施態様では、内側本体220の遠位端が外側本体210内に後退した状態で医療用器具200を駆動することが望ましいことがある。例えば、内側本体220が針などの鋭い縁部を含むときに、内側本体220が外側本体210から延在した状態で駆動すると、不注意な損傷を患者に引き起こすことがある。内側本体220が後退した状態で駆動するときに、医療用器具200は、関節運動中により少ない掃引を経験してもよく、より緊密な旋回半径を有してもよく、内側本体220.の遠位端を保護することができる。しかしながら、この後退駆動はまた、内側本体220の遠位端に配置されたカメラの視野の閉塞ももたらすことがある。更に、より緊密な旋回半径は、内側本体220への早期損傷をもたらすことがある。
【0094】
ペアモードで駆動している間、外側本体210の遠位端と内側本体220の遠位端との間に維持され得る所定の距離240は、距離の範囲を含み得る。例えば、距離の範囲は、ペアモードで医療用器具200の駆動に影響を及ぼす上述の検討事項に基づいて選択されてもよく、医療用器具200の駆動が、遠位端間の距離が小さすぎる、又は遠位端間の距離の大きすぎることに関連する悪影響を被らないようする。システムは、ペアモードでの駆動中に外側本体210の遠位端と内側本体220の遠位端との間の距離を監視し、測定された距離が第1の閾値距離より小さいか、又は第2の閾値距離よりも大きいことに応答して、それらの間の距離を調整してもよい。遠位端間の距離を距離の範囲内に維持することによって、システムは測定誤差を補償することができ、測定誤差は、器具マニピュレータの位置の誤差、処置中又は処置前の外側本体210及び内側本体220のうちの1つ又は2つ以上の延伸又は収縮などにより導入され得る。
【0095】
ある特定の実施形態では、システムは、ペアモードで駆動するために特定の所定の距離が選択され得る複数の所定の距離を記憶してもよい。所定の距離は、ユーザの好み、実行される医療処置のタイプ(例えば、気管支鏡検査、尿管鏡検査、胃腸病学など)、及び/又は各個々の医療用器具に関連してもよい。システムは、所定の距離の値に対する優先度を特定する選択を受信してもよい。選択は、システムのユーザの特定を含んでもよく、特定されたユーザは、ユーザの好みに従って予め選択された所与の所定の距離に関連してもよい。システムは、受信した選択に基づいて所定の距離を調整し得る。例えば、システムは、スポーツモード又は保全モードなどの様々なモードを有してもよく、可能であればユーザの好みに基づいて、異なる性能プロファイルが選択されることを可能にする。各モードは、所定の距離及び/又は関節運動係数に対して異なるパラメータを有してもよい。所定の距離及び共関節運動係数は、関節運動プロファイルに影響を与えることができ、反対に、医療用デバイス上の摩耗及び引裂きに影響を与えることができる。
【0096】
ある特定の実施形態では、システムは、医療用器具の駆動モードがペア駆動モードから非ペア駆動モードに変化するとき、又はその逆のときに、患者の管腔網に対して外側本体の遠位端の位置に基づいて所定の距離を調整してもよい。関節運動プロファイルを達成するために、所定の距離及び共関節運動係数を変更することは、所与の解剖学的構造に対して望ましい可能性がある。
【0097】
ペアモードで駆動するときに、外側本体210の遠位端と内側本体220の遠位端との間の所定の距離の維持において、システムは、内側本体の遠位端と外側本体の遠位端との間の距離が所定の距離に等しくない(又は距離の範囲内ではない)と判定してもよい。ある特定の実施形態では、システムは、内側本体及び外側本体のそれぞれの長さと、対応する内側本体又は外側本体が患者に挿入された距離を判定するために使用され得るロボット挿入データとに基づいて、内側本体の遠位端と外側本体の遠位端との間の距離を判定してもよい。一実施態様では、システムは、内側本体及び外側本体の一部分に設置され得るメモリデバイス内に、内側本体及び外側本体の長さを記憶してもよい。例えば、RFIDタグが、内側本体及び外側本体の各々に設置されてもよく、システムは、内側本体及び外側本体の長さをRFIDタグから読み取るように構成されてもよい。内側本体及び外側本体の長さは、製造後に測定されてもよく、測定値は、メモリデバイスに記憶されてもよい。
【0098】
システムは、内側本体の遠位端と外側の遠位端との間の距離が所定の距離に等しくないと判定したことに応答して、内側本体の遠位端と外側本体の遠位端との間の距離が所定の距離に維持されるまで、外側本体及び内側本体のうちの1つを前進又は後退させてもよい。例えば、システムは、距離が所定の距離と実質的に等しく(例えば、規定された許容差範囲内に)なるまで、外側本体210を前進させるために外側本体駆動モードに遷移してもよく、又は内側本体220を後退させるために内側本体駆動モードに遷移してもよい。システムは、器具マニピュレータのセットを介して、所定の距離の許容差範囲内に距離を戻すことに応答して、所定の距離を維持するように、外側本体及び内側本体の両方を駆動するようにペアモードで戻るように遷移することができる。
【0099】
具体的には、システムは、内側本体の遠位端が外側本体の遠位端から所定の距離よりも小さい距離だけ延在すると判定し、内側本体の遠位端が外側本体の遠位端から所定の距離よりも小さい距離だけ延在すると判定したことに応答して、医療用器具の駆動モードを内側本体駆動モードに変更し、ユーザから受信した挿入コマンドに基づいて、内側本体の遠位端が外側本体の遠位端から所定の距離で延在するまで、内側本体を前進させてもよい。次いで、システムは、駆動モードをペア駆動モードに変更してもよい。あるいは、システムは、内側本体の遠位端が外側本体の遠位端から所定の距離よりも大きい距離だけ延在すると判定し、内側本体の遠位端が外側本体の遠位端から所定の距離よりも大きい距離だけ延在すると判定したことに応答して、医療用器具の駆動モードを外側本体駆動モードに変更し、ユーザから受信した挿入コマンドに基づいて、内側本体の遠位端が外側本体の遠位端から所定の距離で延在するまで、外側本体を前進させてもよい。次いで、システムは、駆動モードをペア駆動モードに変更してもよい。
【0100】
システムは更に、内側本体駆動モードで動作するように構成されてもよい(リーダー駆動モードとも呼ばれる)。内側本体駆動モードでは、システムは、外側本体に更なるコマンドを提供することなく、ユーザ入力デバイスから受信した入力を内側本体への駆動コマンドにマップするように構成されてもよい。ある特定の実施態様では、システムは、ユーザ入力デバイスのセットを介して、内側本体駆動モードコマンドを受信し、内側本体駆動モードコマンドを受信したことに応答して、外側本体が静止している間に内側本体が前進又は後退する内側本体駆動モードに医療用器具の駆動モードを変更するように構成されてもよい。内側本体駆動モードはまた、関節運動コマンドを内側本体にマップしてもよい。ある特定の実施形態では、システムはまた、内側本体駆動モードで外側本体を関節運動させてもよい。駆動モードに応じて、関節運動コマンドを内側本体及び外側本体にマップするために使用される技法は、以下でより詳細に説明される。
【0101】
図19は、本開示の態様による医療用器具の内側本体駆動モードの実施形態を示す。システムは、ユーザ入力デバイスを介して、内側本体駆動モードコマンドを受信するように構成されてもよい。システムは、内側本体駆動モードコマンドを受信したことに応答して、医療用器具300の駆動モードを内側本体駆動モードに変更するように更に構成されてもよい。内側本体駆動モードでは、挿入及び後退コマンドは、外側本体が実質的に静止したままで、内側本体にマップされてもよい。
【0102】
図19では、外側本体310の位置が実質的に維持されている間、内側本体320が挿入方向330に沿って挿入される際の医療用器具300のある数のスナップショットが上部から下部まで順に示されている。外側本体310の遠位端と内側本体320の遠位端との間の所定の距離340の初期位置に対して破線が提供されている。例えば、ペア駆動モードから内側本体駆動モードに切り替わるときに、外側本体310の遠位端と内側本体320の遠位端は、所定の距離340の閾値範囲内の距離だけ最初に分離されてもよい。内側本体320が前進コマンドに応答して図示されたスナップショット内で前進する際に、外側本体310は実質的に静止したままである。外側本体310の遠位端の位置は静止しているように図示されているが、内側本体320の動きによって外側本体310に及ぼされる環境(例えば、患者の呼吸運動)及び/又は力の変化により、外側本体310の位置が最小限に変化してもよい。前進コマンドが図19に図示されているが、後退コマンドもまた、外側本体310が実質的に静止したままで内側本体320が外側本体310の遠位端に向かって後退する内側本体駆動モードで行われてもよい。
【0103】
システムは、外側本体駆動モードで動作するように更に構成されてもよい(シース駆動モードとも呼ばれる)。外側本体駆動モードでは、システムは、内側本体に更なるコマンドを提供することなく、ユーザ入力デバイスから受信した入力を外側本体への駆動コマンドにマップするように構成されてもよい。ある特定の実施態様では、システムは、ユーザ入力デバイスのセットを介して、外側本体駆動モードコマンドを受信し、外側本体駆動モードコマンドを受信したことに応答して、内側本体が静止したままで外側本体が前進又は後退する外側本体駆動モードに医療用器具の駆動モードを変更するように構成されてもよい。外側本体駆動モードはまた、以下で詳細に説明されるように、関節運動コマンドを内側本体にマップしてもよい。
【0104】
図20は、本開示の態様による医療用器具のための外側本体駆動モードの実施形態を示す。システムは、ユーザ入力デバイスを介して、外側本体駆動モードコマンドを受信するように構成されてもよい。システムは、外側本体駆動モードコマンドを受信したことに応答して、医療用器具300の駆動モードを外側本体駆動モードに変更するように更に構成されてもよい。外側本体駆動モードでは、挿入及び後退コマンドは、内側本体が実質的に静止したままで、外側本体にマップされ得る。
【0105】
図20では、内側本体420の位置が実質的に維持されている間、外側本体410が挿入方向430に沿って前進する際の医療用器具400のある数のスナップショットが上部から下部まで順に示されている。外側本体410の遠位端と内側本体420の遠位端との間の所定の距離440の位置に対して破線が提供され、外側本体410の更なる前進により、自動的にペアモードに切り替わる。外側本体410の遠位端が、前進コマンドに応答して図示されたスナップショット内で前進する際に、内側本体420は実質的に静止したままである。内側本体420の遠位端の位置は静止しているように図示されているが、外側本体410の動きによって内側本体420に及ぼされる環境(例えば、患者の呼吸運動)及び/又は力の変化により、内側本体420の位置が最小限に変化してもよい。前進コマンドが図20に図示されているが、後退コマンドもまた、内側本体420が実質的に静止したままで外側本体410の遠位端が内側本体420の遠位端から離れるように後退する外側本体駆動モードで行われてもよい。
【0106】
図21は、本開示の態様による医療用器具の駆動モードを変更するための技法を示すブロック図を提供する。図示した実施形態では、医療用器具は、ペア駆動モード505、内側本体駆動モード510、及び外側本体駆動モード515のうちの1つで駆動されてもよい。ある特定の実施態様では、ユーザ入力デバイスは、現在の駆動モードを変更するためにシステムのユーザからコマンドを受信するように構成されているボタンを含んでもよい。システムは、システムの現在の状態に応じて異なるように、変更駆動モードコマンドに応答することができる。例えば、システムが、ペア駆動モード505コマンドで医療用器具を駆動しており、変更駆動モードコマンドを受信するときに、システムは、駆動モードを内側本体駆動モード510に変更することができる。この変更は、シースをパーキング(parking)し、内側本体の駆動を開始することを伴ってもよい。
【0107】
内側本体駆動モード510にあるときに、変更駆動モードコマンドの受信に対するシステムの応答は、内側本体の遠位端と外側本体の遠位端との間の距離が所定の距離の閾値距離内にあるかどうかに依存してもよい(例えば、医療用器具がペア位置にある。図17Aを参照)。内側本体の遠位端と外側本体の遠位端との間の距離が所定の距離の閾値距離内にあるときに、システムは、変更駆動モードコマンドを受信したことに応答して、駆動モードをペア駆動モード505に変更してもよい。内側本体の遠位端と外側本体の遠位端との間の距離が所定の距離の閾値距離内でないときに、システムは、変更駆動モードコマンドを受信したことに応答して、駆動モードを外側本体駆動モード515に変更してもよい。
【0108】
最後に、外側本体駆動モード515にあるときに、システムは、変更駆動モードコマンドを受信したことに応答して、駆動モードを内側本体駆動モード510に変更してもよい。この駆動モードの変更は、外側本体を外側本体の現在位置にパーキングし、内側本体の駆動を開始することを伴ってもよい。以下で説明するように、システムは、ある特定の条件下で駆動モードのこの変化を自動的に行うことができるため、システムは、外側本体駆動モード515からペア駆動モード505に直接遷移させるコマンドを必要としないことがある。
【0109】
ある特定の実施形態では、システムは、内側本体駆動モード510又は外側本体駆動モード515のいずれかにおけるものよりも、ペア駆動モード505においてより高速で医療用器具を駆動するように構成されてもよい。例えば、アクセスポイントに近い管腔網の初期部分を通して医療用器具を駆動することは、ユーザが内側本体駆動モード510又は外側本体駆動モード515を選択し得るターゲット付近の管腔網の一部分よりも精度が低いことを必要とし得る。したがって、システムは、より低い精度が必要とされるときに、ペア駆動モード505において、より高速で医療用器具を駆動してもよい。あるいは、システムは、アクセスポイントからの閾値挿入距離内にあるときに、医療用器具をより高速で駆動し、挿入距離が閾値挿入距離よりも大きくなった後に速度を制限してもよい。駆動速度は、関節運動速度、弛緩速度、挿入速度、及び後退速度のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0110】
システムはまた、現在の駆動モードでの駆動がペア位置に近づくときに駆動モードをペア駆動モード505に変更することにより、「自動ペア」(例えば、内側本体駆動モード510又は外側本体駆動モード515のいずれかから自動的に遷移する)を行うように構成されてもよい。図22は、本開示の態様による医療用器具のための自動ペアの一実施形態を示す。具体的には、図22では、内側本体620が後退方向630に沿って後退する際の医療用器具600のある数のスナップショットが上部から下部まで順に示されている。この場合、システムは、内側本体620を内側本体駆動モードで駆動しており、内側本体620の遠位端は、破線で示される所定の距離640よりも大きい距離だけ外側本体610の遠位端から延在する。例えば、システムは、内側本体駆動モードにおいて、ユーザ入力デバイスのセットを介して、後退させる後退コマンドを受信するように構成されてもよい。後退コマンドを受信したことに応答して、システムは、ロボットアームアセンブリの器具マニピュレータのセットを介して内側本体620を後退させてもよい。
【0111】
ある特定の実施形態では、一旦内側本体620の遠位端が外側本体610の遠位端から所定の距離640に達すると(例えば、医療用器具600がペア位置にある)、システムは、ペア駆動モードに自動的に入ることができる。すなわち、システムは、内側本体620の遠位端と外側本体610の遠位端との間の距離が所定の距離640の許容差範囲内にあると判定してもよい。内側本体620の遠位端と外側本体610の遠位端との間の距離が所定の距離640の許容差範囲内にあると判定したことに応答して、システムは、医療用器具600の駆動モードをペア駆動モードに変更してもよい。その後、システムによって、ペア駆動モードに従って外側本体610及び内側本体620の両方に更なる駆動コマンドがマップされてもよい。図22に図示される実施例では、後退コマンドが維持され、外側本体610及び内側本体620の両方が後退して、その間の所定の距離640を維持する。
【0112】
システムは、外側本体駆動モードから「自動ペア」を行うように更に構成されてもよい。図23は、本開示の態様による医療用器具のための自動ペアの別の実施形態を示す。具体的には、図23では、外側本体710が挿入方向730に沿って挿入される際の医療用器具700のある数のスナップショットが上部から下部まで順に示されている。この場合、システムは外側本体710を外側本体駆動モードで駆動しており、内側本体720の遠位端は、破線で示される所定の距離740よりも大きい距離だけ外側本体710の遠位端から延在する。例えば、システムは、外側本体駆動モードにおいてユーザ入力デバイスのセットを介して、挿入する挿入コマンドを受信するように構成されてもよい。挿入コマンドを受信したことに応答して、システムは、ロボットアームアセンブリの器具マニピュレータのセットを介して外側本体710を挿入してもよい。
【0113】
ある特定の実施形態では、一旦外側本体710の遠位端が内側本体720の遠位端から所定の距離740に達すると(例えば、医療用器具700がペア位置にある)、システムは、ペア駆動モードに自動的に入ってもよい。すなわち、システムは、内側本体720の遠位端と外側本体710の遠位端との間の距離が所定の距離740の許容差範囲内にあると判定してもよい。内側本体720の遠位端と外側本体710の遠位端との間の距離が所定の距離740の許容差範囲内にあると判定したことに応答して、システムは、医療用器具700の駆動モードをペア駆動モードに変更してもよい。その後、システムによって、ペア駆動モードに従って外側本体710及び内側本体720の両方に更なる駆動コマンドがマップされてもよい。図23に図示される実施例では、挿入コマンドが維持され、外側本体710及び内側本体720の両方が挿入されて、その間の所定の距離740を維持する。
【0114】
図24は、本開示の態様による医療用器具の駆動モードを変更するための別の技法を示すブロック図を提供する。具体的には、図24は、上記の図22及び23に関連して説明した、「自動ペア」遷移を示す。第1の自動ペア技法820では、システムは、内側本体の遠位端をペア位置(例えば、所定の距離の許容差範囲内)に後退させたことに応答して、内側本体駆動モード810からペア駆動モード805に自動的に遷移してもよい。第2の自動ペア技法825では、システムは、外側本体の遠位端をペア位置(例えば、所定の距離の許容差範囲内)に挿入することに応答して、外側本体駆動モード815からペア駆動モード805に自動的に遷移してもよい。
【0115】
ある特定の実施態様では、システムは、第1及び第2の自動ペア技法820及び825のうちの1つを実行するときにタイミング条件が満たされているかどうかを判定してもよい。例えば、内側本体駆動モード810にあるときに、ユーザは、内側本体の遠位端と外側本体の遠位端との間の距離がペア位置になるまで、内側本体を後退させてもよい。ペア位置に到達すると、システムはタイマーを開始するか、そうでなければ、ペア位置に到達してから内部器具が後退するよう命令されるまでの持続時間を追跡又は測定してもよい。経過時間が閾値時間期間未満である間に、システムが医療機器の後退を停止する又は医療用器具を前進させるコマンドを受信した場合、システムは、内側本体駆動モード810に戻るか、又は内部本体駆動モード810のままにしてもよい。そうでなければ、時間条件が満たされた場合、システムは、駆動モードをペアモードに変更してもよい。このような時間条件は、ユーザがペア駆動モード805に入ることを意図しないときに、システムが1つのモードからペア駆動モード805に自動的に変更することを防止する技法として機能してもよい。
【0116】
同様に、時間条件を使用して、外側器具挿入コマンドによりシステムがシース駆動モードからペア駆動モードに遷移するかどうかを判定することができる。
【0117】
システムはまた、内側本体の遠位端及び外側本体の遠位端の位置ずれに対処するために、初期調整を行った後に医療処置を開始するように構成されてもよい。図25は、本開示の態様による医療用器具のための初期キャッチアップの実施形態を示す。ある特定の実施態様では、システムは、ペア駆動モードで処置を自動的に開始するように構成されてもよい。しかしながら、ロボット外科用システムの初期設定の後、外側本体910の遠位端及び内側本体920の遠位端は、ペア位置(例えば、所定の距離940の閾値距離内)に配置されないことがある。これは、例えば、ある特定の量の製造差を有する外側本体910及び内側本体920の各々の長さにより生じることがあり、これは、外側本体210の遠位端と内側本体220の遠位端との間の距離がロボットアームの負荷位置に基づいて所定の距離からオフセットすることにつながることがある。システムは、内側本体910及び外側本体920にそれぞれ取り付けられたRFIDタグに製造後に測定される内側本体910及び外側本体920の長さを記憶してもよい。したがって、システムは、製造後に測定された製造差を考慮して、内側本体910及び外側本体920の長さを読み取ることが可能としてもよい。1つの可能性としてある位置ずれの初期状態が図25に示されており、外側本体910の遠位端と内側本体920の遠位端との間の距離が所定の距離940よりも小さい。
【0118】
挿入コマンドを受信したことに応答して、システムは、外側本体910と内側本体920との間の距離が所定の距離940に達するまで内側本体920のみを駆動してもよい。その後、システムは、ペアモードで外側本体910及び内側本体920を一緒に駆動してもよい。
【0119】
図26は、本開示の態様による医療用器具のための初期キャッチアップの別の実施形態を示す。例えば、生じ得る別の位置ずれは、外側本体1010の遠位端と内側本体1020の遠位端との間の距離が所定の距離1040よりも大きいことを含む。上述のように、システムは、ペア駆動モードで、自動的に処置を開始するように構成されてもよい。しかしながら、ロボット外科用システムの初期設定の後、外側本体1010の遠位端及び内側本体1020の遠位端は、ペア位置(例えば、所定の距離940の閾値距離内)に配置されないことがある。別の可能性としてある位置ずれの初期状態が図26に示されており、医療用器具1000の外側本体1010の遠位端と内側本体1020の遠位端との間の距離が所定の距離1040よりも大きい。
【0120】
挿入コマンドを受信したことに応答して、システムは、外側本体1010と内側本体1020との間の距離が所定の距離1040に達するまで、外側本体1010のみを駆動してもよい。その後、システムは、ペアモードで外側本体1010及び内側本体1020を一緒に駆動してもよい。
【0121】
図27は、本開示の態様による医療用器具の駆動モードを変更するための更に別の技法を示すブロック図を提供する。具体的には、図27は、上記の図25及び26関連して説明した、「初期キャッチアップ」遷移を示す。第1の初期キャッチアップ技法1120では、システムは、外側本体の遠位端と内側本体の遠位端との間の距離が所定の距離よりも小さいことに応答して、内側本体駆動モード1110からペア駆動モード1105に自動的に移行してもよい。第2の初期キャッチアップ技法1125では、システムは、外側本体の遠位端と内側本体の遠位端との間の距離が所定の距離よりも大きいことに応答して、外側本体駆動モード1115からペア駆動モード1105に自動的に移行してもよい。
【0122】
B.医療用器具本体間の共関節運動
患者の管腔網を通って前進させるために、医療用器具の一部分を遠位端付近で関節運動させて、管腔網内の所望の管腔に沿って医療用器具の挿入方向を調整することが必要であり得る。システムが、様々な駆動モード(例えば、ペア駆動モード、内側本体駆動モード、及び外側本体駆動モード)で医療用器具を駆動するように構成されているときに、システムは、現在の駆動モードに基づいて1つ又は2つ以上のユーザ入力デバイスのセットを介して受信した関節動作コマンドをマップすることができる。
【0123】
図28は、本開示の態様による、医療用器具の外側本体及び内側本体を共関節運動させるための外科用ロボットシステム又はその構成要素(複数可)によって動作可能な例示的な方法を示すフローチャートである。例えば、図28に図示される方法1700の工程は、外科用ロボットシステムのプロセッサによって行われてもよい。便宜上、方法1700は、システムのプロセッサによって行われるものとして記載される。
【0124】
方法1700は、ブロック1701において開始する。プロセッサは、システムの一部として含まれてもよく、システムは、外側本体と、外側本体内の管腔を通して駆動されるように構成されている内側本体とを含む医療用器具と、外側本体及び内側本体の動きを制御するように構成されている1つ又は2つ以上の器具マニピュレータのセット(例えば、ロボットアームアセンブリに結合されている)と、1つ又は2つ以上のユーザ入力デバイスのセットと、1つ又は2つ以上のプロセッサのセットと、プロセッサのセットと通信し、コンピュータ実行可能命令を記憶した少なくとも1つのコンピュータ可読メモリと、を含み、コンピュータ実行可能命令は、プロセッサのセットに方法1700を行わせる。
【0125】
ブロック1705では、プロセッサは、ユーザ入力デバイスのセットを介して、医療用器具を関節運動させる関節運動コマンドを受信する。ある特定の実施形態では、関節運動コマンドは、関節運動のための医療用器具の外側本体又は内側本体の選択を含まないことがある。したがって、システムは、現在の駆動モードに基づいて、関節運動コマンドを外側本体及び内側本体の一方又は両方にマップするように構成されてもよい。例えば、内側本体駆動モードにあるときに、ユーザは、内側本体の遠位端を関節運動させることを望むことがある。しかしながら、内側本体の遠位端と外側本体の遠位端との間の距離に応じて、内側本体及び外側本体の両方を関節運動させて、追加の関節運動(例えば、より小さい曲率半径)を提供するか、又は内側本体及び外側本体の関節運動が互いに妨害するのを回避することが望ましいことがある。
【0126】
ある時点で外側本体及び内側本体のうちの1つのみを関節運動させるときに生じる可能性のある1つの問題は、「マッスリング」である。本明細書で使用するとき、マッスリングは一般に、外側本体及び内側本体のうちの一方に適用される関節運動が、他方の本体内の関節運動に対向する状況を指す。これは、例えば、外側本体の現在の関節運動を維持するために、外側本体内の腱に第1の力が加えられる一方で、関節運動コマンドに応答して第2の力が内側本体に加えられるときに生じ得る。したがって、第1の力と第2の力との間にマッスリングが生じることにより、外側本体と内側本体との間で対向する力が生じ得る。
【0127】
望ましくないマッスリングを防止し、かつ医療用器具によって達成可能な関節運動量を改善するために、システムは、関節運動コマンドの受信に応答して、外側本体及び内側本体を「共関節運動」させることができる。ある特定の実施態様では、共関節運動の量は、外側本体の遠位端と内側本体の遠位端との間の距離に依存してよく、現在の駆動モードに依存してもよい。図28の方法1700では、ブロック1701において、プロセッサは、外側本体及び内側本体のうちの一方を一次本体として処理し、外側本体及び内側本体のうちの他方を二次本体として処理する。次いで、システムは、関節運動コマンドを一次本体に適用してもよく、二次本体を共関節運動させてもよい。システムは、現在の駆動モードに基づいて、一次及び二次本体を選択することができる。以下の表は、一次及び二次ボディを選択するための1つの技法を要約している。
【0128】
【表1】
【0129】
一次及び二次本体を選択するための上記技法は、一実施形態に過ぎず、例えば、ペア駆動モードで内側本体を一次本体として、外側本体を二次本体として選択することによって、他の技法が使用されてもよい。
【0130】
共関節運動を行う際、ブロック1715において、プロセッサは、内側本体の遠位端と外側本体の遠位端との間の距離を判定する。システムは、例えば、器具マニピュレータの位置を規定するロボットデータに基づいて、遠位端間の距離を、ある数の異なる技法のうちの1つによって判定することができてもよい。ブロック1720において、プロセッサは、外側本体の遠位端と内側本体の遠位端との間の決定した距離に基づいて、共関節運動係数を決定する。ある特定の実施形態では、共関節運動係数は、外側本体の遠位端と内側本体の遠位端との間の距離に応じて変動し得る。他の実施形態では、共関節運動係数は、外側本体の遠位端と内側本体の遠位端との間の距離が所定の距離範囲内にあるときに適用される静的値であってもよい。
【0131】
ブロック1725において、プロセッサは、器具マニピュレータのセットを介して、関節運動コマンドに基づいて、一次本体を関節運動させる。すなわち、システムは、関節運動コマンドで受信された関節運動の完全な量を、一次本体に適用してもよい。しかしながら、本開示はこれに限定されるものではなく、ある特定の状況において、システムは、一次本体に適用される関節運動の量を調整してもよい。ブロック1730において、プロセッサは、器具マニピュレータのセットを介して、関節運動コマンド及び共関節運動係数に基づいて、二次本体を関節運動させる。共関節運動係数は、関節運動コマンド、一次本体に適用される関節運動の量、及び現在の駆動モードのうちの1つ又は2つ以上に基づいて、二次本体に適用する関節運動の量を判定するための技法を規定してもよい。方法は、ブロック1735において終了する。
【0132】
ある特定の実施形態では、共関節運動係数は、一次本体に適用される関節運動の量を二次本体に適用される関節運動の量に関連させる共関節運動比を含む。すなわち、共関節運動比は、一次本体に適用される関節運動の量に基づいて、二次本体に適用される関節運動の量を判定するために使用される比を規定してもよい。いくつかの実施態様では、共関節運動比は、外側本体の遠位端と内側本体の遠位端との間の距離に基づいて判定される。したがって、二次本体に適用される関節運動の量は、遠位端間の距離に基づいて変動し得る。加えて、共関節運動比を判定するために使用される技法は、現在の駆動モードに依存し得る。
【0133】
システムは、ペア駆動モードにあるときに、外側本体の遠位端と内側本体の遠位端との間の距離を維持するため、共関節運動比は実質的に一定であってもよい。しかしながら、他の実施形態では、共関節運動比は、例えば、ユーザ入力デバイスのセットを介して受信したコマンドに基づいて、ペア駆動モードで調整されてもよい。したがって、ある特定の実施態様では、ユーザは、医療用器具によって達成可能な関節運動の量を調整するために、共関節運動比を選択することが可能であり得る。これらの実施態様では、ユーザはまた、他の駆動モード(例えば、外側駆動モード及び内側駆動モード)における共関節運動比を手動で選択することができてもよい。
【0134】
図29Aは、本開示の態様による、内側本体駆動モードにおける共関節運動比を判定するための技法を示すグラフを含む。図29Aの実施形態では、共関節運動比は、曲線又は傾斜1205によって図示されている。内側本体挿入深度(外側本体の遠位端と内側本体の遠位端との間の距離に関する)が、X軸に沿ってプロットされ、共関節運動比の値はY軸に沿ってプロットされている。グラフは、ペア位置を示す破線1210と、共関節運動ゾーンの開始を表す点1215と、共関節運動ゾーンの端部を表す点1220と、を含む。ある特定の実施態様では、点1215は、外側本体の遠位端と内側本体の遠位端が整列される点(例えば、遠位端間の距離がない)であってもよく、点1220は、共関節運動比がゼロになる内側本体挿入深度を表してもよい。
【0135】
図示した実施形態では、共関節運動が、外側本体の遠位端と内側本体の遠位端との間の所定の距離範囲の外側で無効にされる(共関節運動値をゼロに設定することを伴い得る)。所定の距離範囲は、点1215と点1220との間の内側本体挿入深度によって図示される。この範囲の外側では、システムは、二次デバイスを共関節運動させず、関節運動コマンドのみを一次デバイスに提供してもよい。点1215での共関節運動ゾーンの開始時に、共関節運動比は、所定の値に設定されてもよい。更に、共関節運動比は、外側本体の遠位端と内側本体の遠位端との間の距離が所定の距離範囲内にあるときに、判定された距離を共関節運動比に関連させる所定の関数に基づいて判定されてもよい。図29Aに示すように、所定の関数に基づいて判定された共関節運動比は、判定された距離(例えば、内側本体挿入深度)が増加するにつれて減少し得る。関数によって規定される曲線は、共関節運動ゾーン1215の開始から共関節運動ゾーン1220の終了への緩やかな遷移を規定する滑らかな曲線1205であってもよい。ある特定の実施態様では、所定の関数は、曲線1205の速度及び形状を制御するように選択され得るパラメータを有するシグモイド関数によって規定されてもよい。
【0136】
システムは、図29Aに図示される曲線1205を規定する機能に基づいて判定された共関節運動係数を使用して、内側本体駆動モードで受信した関節運動コマンドに基づいて、外側本体に適用される関節運動の量(例えば、外側本体の1つ又は2つ以上の腱に加えられる張力)を判定してもよい。例えば、システムは、関節運動比を使用して判定されるように、関節運動コマンドの完全な量を内側本体に適用し、関節運動コマンドのいくらかの部分を外側本体に適用してもよい。
【0137】
図29Bは、本開示の態様による、外側本体駆動モードにおける共関節運動比を判定するための技法を示すグラフを含む。図29Aの実施形態では、共関節運動比は、図29A.に図示される曲線1205と同様の曲線又は傾斜1225によって図示されている。グラフは、ペア位置を示す破線1230と、共関節運動ゾーンの開始を表す点1235と、共関節運動ゾーンの終了を表す点1240と、を含む。ある特定の実施態様では、点1235は、外側本体の遠位端と内側本体の遠位端が整列される点(例えば、遠位端間の距離がない)であってもよく、点1240は、共関節運動比がゼロになる内側本体挿入深度を表してもよい。
【0138】
曲線1225は、内側本体駆動モードの曲線1205と同様の様式で規定されてもよい。しかしながら、ある特定の実施態様では、外側本体駆動モードのための共関節運動ゾーン1235の開始時の初期値は、内側本体駆動モードのものよりも低い値を有し得る。あるいは、曲線1225の特徴(例えば、曲線の速度及び形状)を規定するパラメータは、内側本体駆動モードとは異なる様式で調整されてもよい。
【0139】
システムは、図29Aに図示される曲線1225を規定する機能に基づいて判定された共関節運動係数を使用して、外側本体駆動モードで受信した関節運動コマンドに基づいて、内側本体に適用される関節運動の量(例えば、内側本体の1つ又は2つ以上の腱に加えられる張力)を判定してもよい。例えば、システムは、関節屈曲比を使用して判定されるように、関節運動コマンドの完全な量を外側本体に適用し、関節運動コマンドのいくらかの部分を内側本体に適用してもよい。
【0140】
システムはまた、ユーザ入力デバイスのセットを介して受信した医療用器具を弛緩させるための弛緩コマンドに基づいて、(上記の実施形態のうちの1つに従って判定される)共関節運動係数を使用するように構成されてもよい。ある特定の実施形態では、システムは、ロボットアームアセンブリの器具マニピュレータのセットを介して、弛緩コマンドに基づいて一次本体を弛緩させ、ロボットアームアセンブリの器具マニピュレータのセットを介して、弛緩コマンド及び共関節運動係数に基づいて第2の本体を弛緩させてもよい。共関節運動係数は、外側本体の遠位端と内側本体の遠位端との間の距離、現在の駆動モード、及び弛緩コマンドのうちの1つ又は2つ以上に基づいて判定されてもよい。弛緩コマンドは、外側本体及び/又は内側本体を関節運動させるために以前に使用された腱のうちの1つ又は2つ以上における張力を弛緩させるコマンドを含んでもよい。加えて、外側本体及び内側本体は、上述の共関節運動の実施形態と同様に、表1に従って一次本体及び二次本体として処理されてもよい。
【0141】
ある特定の状況では、一旦一次本体が弛緩すると(例えば、一次本体内の腱に張力が加えられない)、二次本体は依然として、その中の腱のうちの1つ又は2つ以上において張力を有してもよい。したがって、一次本体が弛緩したと判定したことに応答して、システムは、ロボットアームアセンブリの器具マニピュレータのセットを介して、共関節運動係数とは無関係に、弛緩コマンドに基づいて第2の本体を弛緩させてもよい。例えば、一次本体の腱において張力が存在しないときに、マッスリングなどのある特定の問題がもはや生じなくなるため、一旦一次デバイスが弛緩すると、関節運動を二次デバイスに調整する必要がないことがある。したがって、システムが、一次本体が弛緩した後に弛緩コマンドを受信する場合、システムは、共関節運動比に基づいて弛緩コマンドを調整することなく、弛緩コマンドを二次本体に適用する。
【0142】
ある特定の実施態様では、システムはまた、ユーザ入力デバイスのセットを介して無効な共関節運動コマンドを受信するように構成されてもよい。システムは、共関節運動無効コマンドを受信することに応答して、二次本体を関節運動させることなく関節運動コマンドに基づいて、ロボットアームアセンブリの器具マニピュレータのセットを介して、一次本体を関節運動させることによって、共関節運動比を無効にしてもよい。これは、より複雑な関節運動操作を行うために使用され得る、外側本体及び内側本体の各々に対する手動制御のための追加オプションをユーザに提供し得る。例えば、ユーザは、外側本体と内側本体との間に特定の量のマッスリングを適用して、外側本体の関節運動に基づいて内側本体に更なる支持を提供してもよい。
【0143】
図30は、本開示の態様による医療用器具の張力監視の実施形態を示す。具体的には、図30は、外側本体及び内側本体のうちの一方の腱のうちの1つ又は2つ以上において測定された張力と、4つの閾値張力値との比較に基づいてシステムによって取られ得るある数の関節運動行為1300を図示する。張力監視は、個々のベースで外側及び内側本体の各々に適用されてもよいが、説明を容易にするために、張力監視の例は内側本体について記載される。同様の技法が外側本体に適用されてもよく、これは張力閾値に対する同じ又は異なる値を含んでもよい。ある特定の実施形態では、システムは、所与の内側本体又は外側本体内の各腱の張力値を個別に監視してもよい。しかしながら、他の実施態様では、システムは、対応する内側本体又は外側本体の腱の各々における張力値のノルムを判定してもよい。
【0144】
図示された実装態様では、内側本体の腱における測定された張力が第1の閾値よりも小さいときに、システムは、通常の関節運動速度1305で内側本体を関節運動させてもよい。例えば、張力が閾値よりも小さいときに、システムは、内側本体に適用される関節運動を変更しないことがある。測定された張力が第1の閾値よりも大きいが第2の閾値よりも小さいときに、システムは、関節運動速度1310を減速させてもよい。関節運動速度を減速させることによって、システムは、内側本体の関節運動が患者の内腔に追加の力を迅速に適用することを防止し、それによって患者への損傷の可能性を減少させてもよい。
【0145】
測定された張力が第2の閾値よりも大きいが第3の閾値よりも小さいときに、システムは、関節運動の量1315をキャップしてもよい。関節運動の量がキャップされるときに、患者の管腔に加えられる力(例えば、追加の関節運動を通して)が防止され、損傷のリスクを低下させる。測定された張力が第3の閾値よりも大きいが第4の閾値よりも小さいときに、システムは、自動的に内側本体1320を弛緩させてもよい。関節運動がキャップされた後、腱内の張力は、内側本体を管腔の一部分内に後退させるとき、又は管腔が形状を変化させ、腱に力を加えるときなど、ある特定の状況において増加し得る。システムは、通常、腱に加えられる外力に応答して腱に加えられる力を調整し、それによって、現在の関節運動の量を維持するために腱への力を増加させてもよい。張力が第3の閾値より大きいときに自動弛緩機能1320を提供することによって、システムは、内側本体によって管腔に加えられる力が患者に損傷を引き起こし得るレベルに達するのを防止し得る。
【0146】
測定された張力が第4の閾値よりも大きいときに、システムは故障1325を生成してもよい。自動弛緩機能1320は、張力が危険レベルに達するのを防止するようになっているが、第4の閾値は、システムが誤動作している場合を捕捉する、十分に速く弛緩しない、又は任意の他の予期されない事象を捕捉するように設定されてもよい。生成された故障に応答して、システムはロボットシステムの動作を無効にしてもよい。更に、システムは、医療処置を休止させる必要があり、医療用器具を患者から除去する必要があることがある。次いで、システムは、医療処置が再開され得るようにリセットされてもよい。
【0147】
システムは更に、減速した関節運動速度機能1310及び/又はキャップされた関節運動機能1315を自動的に停止するように更に構成されてもよい。ある特定の実施形態では、減速された関節運動速度機能1310又はキャップされた関節運動機能1315のいずれかに応答して、システムは、期間閾値よりも長い期間にわたって、対応する閾値(例えば、第1又は第2の閾値)を下回って留まる腱内の測定された張力に応答して、対応する機能1310又は1315を停止してもよい。システムは、減速した関節運動速度機能1310及びキャップされた関節運動機能1315の各々を停止するための異なる閾値期間を記憶してもよい。
【0148】
図31は、本開示の態様による、医療用器具の後退中の自動弛緩の実施形態を示す。図31の実施形態では、医療用器具1400は、外側本体1410と、第1の位置1420又は第2の位置1425にあり得る内側本体と、を含む。内側本体が第1の関節運動位置1420にあるときに、内側本体は、破線によって示される閾値曲率半径1430よりも小さい曲率半径を有するように関節運動されてもよい。内側本体が第2の関節運動位置1425にあるときに、内側本体は、閾値曲率半径1430よりも大きい曲率半径を有するように関節運動されてもよい。
【0149】
後退中に医療用器具を自動的に弛緩させるための1つの技法は、後退以外のユーザコマンドを受信することなく、後退の距離に基づく。例えば、システムはまた、医療用器具が閾値距離よりも大きい距離だけ後退した後の後退時に医療用器具1400を自動的に弛緩させてもよい。例えば、システムは、医療用器具が後退した距離が閾値距離よりも大きい判定し、医療用器具が後退した距離が閾値距離よりも大きいと判定したことに応答して、医療用器具を自動的に弛緩させてもよい。閾値距離よりも大きい距離だけの後退は、任意の挿入又は関節運動コマンドを受信することなく、医療用器具の後退を含んでもよい。システムが関節運動又は挿入コマンドを受信するときに、システムは、自動弛緩コマンドを防止及び/又は終了してもよく、それによって、ユーザが自動弛緩をオーバーライドすることを可能にする。システムは、駆動モードのいずれか1つ(例えば、ペア駆動モード、内側本体駆動モード、外側本体駆動モード)で自動弛緩を行ってもよく、後退の判定された距離は、現在の駆動モードに対応する一次本体に基づいて測定されてもよい。
【0150】
後退距離に基づく自動弛緩は、医療用器具が長い距離にわたって後退しているときに(例えば、医療処置が完了した後に医療用デバイスを除去する)、ユーザが医療用器具を弛緩させるのを支援してもよい。一般に、長い距離にわたって後退するときに医療用器具を弛緩させることが望ましいため、システムは、ユーザが医療用器具を手動で緩めることを忘れたときにユーザを支援してもよい。
【0151】
自動弛緩の別の実施態様は、医療用器具1400の曲率半径の測定を伴ってもよい。ユーザ入力デバイスのセットから後退コマンドを受信したことに応答して、システムは、医療用器具の曲率(例えば、図31の実施例における第1の位置1420における内側本体の曲率)が閾値曲率1430未満であると判定するように構成されてもよい。医療用器具の曲率が閾値曲率1430未満であると判定したことに応答して、システムは、医療用器具を後退させている間に医療用器具を自動的に弛緩させてもよい。医療用器具1400を自動的に弛緩させることにより、システムは、内側本体1420の一部分における張力による医療用器具が外側本体1410内に後退するマッスリングを防止してもよい。マッスリングは外側本体1410及び/又は内側本体1420の早期摩耗につながり得るため、この自動弛緩は、医療用器具1400の寿命が長くなることがある。ある特定の実施形態では、自動弛緩のこの実施形態は、後退の距離を測定することなく、後退すると直後に生じ得る。あるいは、曲率半径の自動後退は、関節運動部分(例えば、その遠位端付近の内側本体1420の長さ)が外側本体1410内に後退しているときにのみ生じ得る。内側本体1420の曲率半径は、命令された角度(あるいは命令された関節運動の量)及び内側本体1420への命令された挿入の量に基づいて判定されてもよい。
【0152】
医療用器具の自動弛緩はまた、上述のように、命令された弛緩のための共関節運動比を使用してもよい。しかしながら、ある特定の実施形態では、自動弛緩中、1つの一次本体が弛緩し、システムは、二次本体を関節運動させる際に、共関節運動比を使用し続けてもよい。共関節運動のこの継続的な使用は、自動弛緩中に外側本体が内側本体の支持を失うのが早すぎるのを防止してもよい。
【0153】
C.外側本体パーキング
駆動モードが、ペアにされた外側本体駆動モードと内側本体駆動モードとの間で選択及び変更されることを可能にすることによって、システムは、管腔網の部分へのより容易なアクセスを可能にし得る。例えば、特に緊密な回転は、関節運動中に小さい曲率半径を必要とすることがあり、これは、内側本体駆動モードでの共関節運動を通して達成されてもよい。更に、外側本体の直径により、外側本体をパーキングし、内側本体駆動モードで管腔網内に前進し続けて、医療用器具を外側本体のものよりも小さい直径を有する管腔に適合させることが必要であり得る。
【0154】
システムは、医療用器具が前進している管腔網の術前及び/又は術中モデルへのアクセスを有してもよい。モデルは、メモリに記憶されてもよく、管腔網のマップされた部分を含んでもよい。メモリは、モデルに対するターゲットの位置、及びモデルに沿ってアクセスポイントからターゲットまでの経路に更に記憶してもよい。モデル、ターゲットの位置、及び/又は経路を使用することによって、システムは、経路に追従するために、及び/又はターゲットに到達するために、シースがパーキングされ得る位置を判定することができてもよい。
【0155】
図32は、本開示の態様による、医療用器具のパーキング支援のための、外科用ロボットシステム又はその構成要素(複数可)によって動作可能な例示的な方法を示すフローチャートである。例えば、図32に示される方法1800の工程は、外科用ロボットシステムのプロセッサによって行われてもよい。便宜上、方法1800は、システムのプロセッサによって実行されるものとして記載される。
【0156】
方法1800は、ブロック1801において開始する。プロセッサは、システムの一部として含まれてもよく、システムは、外側本体と、外側本体内の管腔を通して駆動されるように構成されている内側本体とを含む医療用器具と、外側本体及び内側本体の動きを制御するように構成されている1つ又は2つ以上の器具マニピュレータのセット(例えば、ロボットアームアセンブリに結合されている)と、1つ又は2つ以上のフィードバックデバイスのセットと、1つ又は2つ以上のプロセッサのセットと、プロセッサのセットと通信し、プロセッサのセットに方法1800を行わせるコンピュータ実行可能命令を記憶した少なくとも1つのコンピュータ可読メモリと、を含む。
【0157】
ブロック1805では、プロセッサは、パーキング支援シグネチャに一致する形状を有する経路に沿った管腔網の部分を特定する。パーキング支援機能は、例えば、閾値未満の曲率半径を有する管腔網の一部分、閾値未満の管腔網の直径、又は外側本体をパーキングするために任意選択的にユーザによって選択された事前に予定された位置を含んでもよい。ブロック1810において、プロセッサは、フィードバックデバイスのセットの少なくとも一部分で、モデルに対する特定された部分に対応する位置でパーキング指示を生じさせ、パーキング指示が、外側本体の遠位端をパーキングするための場所を表す。方法1800は、ブロック1815において終了する。
【0158】
図33は、本開示の態様によるパーキング指示の一例を示す。図33に示されるモデル1500は、ディスプレイ上にレンダリングされてもよく、医療用器具をターゲット(図示せず)に向かってナビゲートするための事前に予定された経路であり得る経路1505と、パーキング指示1510と、を更に含んでもよい。パーキング指示は、外側本体をパーキングし、内側本体を更に前進させるために駆動モードを内側本体駆動モードに変更するモデル内の位置の視覚的表現であってもよい。他の実施形態では、ディスプレイ上にパーキング指示をレンダリングするのではなく、又はそれに加えて、システムは、ディスプレイ、触覚フィードバックデバイス、及びスピーカのうちの少なくとも1つを含む1つ又は2つ以上のフィードバックデバイスのセットを含んでもよい。したがって、システムは、上記にリストされたフィードバック機構のうちの1つ又は2つ以上を介して、パーキング指示をユーザに提供してもよい。例えば、システムは、医療用器具の遠位端がパーキング指示の閾値距離内にあるときに、可聴及び/又は触覚フィードバックをユーザに提供し、医療用器具の遠位端がパーキング指示の位置に到達するときに異なるタイプのフィードバックを提供してもよい。
【0159】
ある特定の実施形態では、システムは、ターゲットが内側本体駆動モードに到達可能となるまでパーキング指示を提供しないことがある。例えば、内側本体は、閾値挿入距離だけ外側本体の遠位端から延在することのみが可能であってもよい。したがって、システムは、特定した部分からターゲットまでの距離が内側本体に対する閾値挿入距離未満であると判定し、特定した部分からターゲットまでの距離が内側本体に対する閾値挿入距離未満であると判定したことに応答して、パーキング指示のレンダリング生じさせてもよい。医療用器具の遠位端がターゲットからの閾値挿入距離内となるまでパーキング指示を提供することを遅延させることによって、システムは、ユーザが、内側本体がターゲットに到達することを可能にしない位置で、外側本体を時期尚早にパーキングすることを防止し得る。
【0160】
システムは、外側本体を現在の位置にパーキングするための外側本体パーキング命令を受信するように更に構成されてもよい。システムは、現在の位置からターゲットまでの距離が、内側本体に対する閾値挿入距離よりも大きいと判定し、現在位置からターゲットまでの距離が、内側本体に対する閾値挿入距離よりも大きいと判定することに応答して、ディスプレイのセットの少なくとも一部分に、外側本体が現在の位置にパーキングされた状態で、ターゲットが内側本体によって到達可能ではないという指示のレンダリングを生じさせてもよい。したがって、システムは、医療処置の残りの部分に対して現在位置に外側本体をパーキングすると、ターゲットが到達不能となり得るという警告をユーザに提供することができてもよい。ユーザは、その情報を使用して、外側本体を駐車せずにペアモードで継続するかどうか、又は外側本体駆動モードを使用して、管腔網の一部分を通して前進させた後に外側本体を内側本体と共にキャッチアップするために外側本体駆動モードを使用するかどうかを判定してもよい。
【0161】
このシステムはまた、以前に行われた医療処置から収集されたデータに基づいてパーキング支援機能を判定するように構成されてもよい。例えば、パーキング支援シグネチャは、以前に実行された医療処置に基づいて判定されてもよく、医療処置の各々が、パーキング支援シグネチャに一致する形状を有する経路を含む。したがって、システムは、ユーザが、パーキング支援シグネチャに一致する形状を有するある特定の経路に沿って外側本体をパーキングする可能性がより高いと判定してもよい。次いで、システムは、以前に実行された医療処置のこの分析に基づいて、パーキング位置の表示を提供する可能性がより高くてもよい。このシステムはまた、管腔網の一部分を特定する選択を受信し、パーキング指示において受信した選択を使用するように構成されてもよい。
【0162】
ある特定の実施形態では、システムは、管腔網内の管腔の直径が外側本体の直径の閾値範囲内にある経路に沿った位置を特定するように構成されてもよい。システムは、経路に沿った特定した位置に基づいて、管腔網の一部分を特定してもよい。したがって、システムは、管腔網が、外側本体を更に前進させることが困難であり得るポイントまで狭くなる、管腔網内の位置に基づいて、パーキング指示を判定してもよい。
【0163】
他の実施形態では、システムは、医療用器具が逸脱していることを検出し、ディスプレイのセットの少なくとも一部分に、医療用器具が逸脱しているという指示のレンダリングを生じさせるように更に構成されてもよい。このフィードバックは、処置を継続する前に、ユーザが逸脱を補正するため使用されてもよい。逸脱を検出するために使用され得る1つの技法は、医療用器具の命令された前進を、医療用器具の遠位端の位置の1つ又は2つ以上の測定値(例えば、医療用器具内のカメラからの視覚情報、EMセンサから受信した位置データなど)と比較することを含んでもよい。測定された位置データが、医療用器具を前進させるコマンドに応答して医療用器具の遠位端が移動していないことを示すときに、システムは、医療用器具が逸脱していると判定することができてもよい。システムはまた、逸脱の深刻度に応じて、逸脱を軽減するための技法の任意の指示を提供することができてもよい。例えば、閾値量よりも小さい逸脱は、外側本体駆動モードで外側本体を前進させることによって解決され得るが、閾値量よりも大きいより深刻な逸脱は、医療用器具の後退を必要とし得る。
【0164】
一実施形態では、システムは、内側本体を前進させるための内側本体前進命令の受信に応答して、逸脱を検出するように構成されてもよい。システムは、ロボットアームアセンブリの器具マニピュレータのセットに内側本体を前進させ、ロボットアームアセンブリの器具マニピュレータのセットに指示して内側本体を前進させることに応答して、内側本体の遠位端の位置が1つ又は2つ以上のセンサからの出力に基づいて移動していないと判定してもよい。システムは、内側本体の遠位端の位置が移動していないと判定したことに基づいて、医療用器具が逸脱していることを検出してもよい。
【0165】
3.システムの実施及び用語
本明細書に開示される実施態様は、内側本体及び外側本体を有する医療用器具を駆動するためのシステム、方法、及び装置を提供する。
【0166】
本明細書で使用するとき、用語「結合する」、「結合している」、「結合された」、又は単語結合の他の変形は、間接的接続又は直接的接続のいずれかを示し得ることに留意されたい。例えば、第1の構成要素が第2の構成要素に「結合される」場合、第1の構成要素は、別の構成要素を介して第2の構成要素に間接的に接続されるか、又は第2の構成要素に直接的に接続されてもよい。
【0167】
本明細書に記載の医療用器具を駆動するための機能は、プロセッサ可読媒体又はコンピュータ可読媒体上の1つ又は2つ以上の命令として記憶されてもよい。用語「コンピュータ可読媒体」は、コンピュータ又はプロセッサによってアクセスすることができる任意の利用可能な媒体を指す。一例として、限定するものではないが、このような媒体は、ランダムアクセスメモリ(random access memory、RAM)、読み出し専用メモリ(read-only memory、ROM)、電気的消去可能プログラム可能読み出し専用メモリ(electrically erasable programmable read-only memory、EEPROM)、フラッシュメモリ、コンパクトディスク読み出し専用メモリ(compact disc read-only memory、CD-ROM)、又は他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置若しくは他の磁気記憶デバイス、又は命令若しくはデータ構造の形態で所望のプログラムコードを記憶するために使用することができ、コンピュータによってアクセスすることができる任意の他の媒体を含んでもよい。コンピュータ可読媒体は、有形であり、非一時的であってもよいと留意されたい。本明細書で使用するとき、用語「コード」は、コンピューティングデバイス又はプロセッサによって実行可能であるソフトウェア、命令、コード、又はデータを指してもよい。
【0168】
本明細書に開示される方法は、記載される方法を達成するための1つ又は2つ以上の工程又は行為を含む。方法工程及び/又は行為は、特許請求の範囲から逸脱することなく互いに交換されてもよい。換言すれば、記載されている方法の適切な動作のために特定の順序の工程又は行為が必要とされない限り、請求項の範囲から逸脱することなく、特定の工程及び/又は行為の順序及び/又は使用を修正してもよい。
【0169】
本明細書で使用するとき、用語「複数」は、2つ又は3つ以上を示す。例えば、複数の構成要素は、2つ又は3つ以上の構成要素を示す。用語「判定する」は、多種多様な行為を包含し、したがって、「判定する」は、計算する、演算する、処理する、導出する、調査する、ルックアップする(例えば、テーブル、データベース又は別のデータ構造を見ること)、確認することなどを含むことができる。また、「判定する」は、(例えば、情報を受信すること)、アクセス(例えば、メモリ内のデータにアクセスすること)などを含むことができる。また、「判定する」は、解決する、選択する、選出する、確立するなどを含むことができる。
【0170】
語句「基づく」は、別途明示的に指定されない限り、「のみに基づく」ことを意味しない。換言すれば、語句「基づく」は、「のみに基づく」及び「少なくとも基づく」の両方を記載する。
【0171】
開示される実施形態の前述の説明は、任意の当業者が本発明を製造すること、又は使用することを可能にするために提供される。これらの実施態様に対する種々の修正は、当業者には容易に明らかになり、かつ、本明細書で規定される一般的な原理は、本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施態様に適用され得る。例えば、当業者であれば、締結、装着、結合、又は係合ツール構成要素の均等の方法、特定の作動運動を生み出すための均等の機構、及び電気エネルギーを送達するための均等の機構など、多くの対応する代替的かつ均等の構造的詳細を使用することができると理解されるであろう。したがって、本発明は、本明細書に示される実施形態に限定されることを意図するものではなく、本明細書に開示される原則及び新規な特徴と一致する最も広い範囲が与えられるものである。
【0172】
〔実施の態様〕
(1) ロボット外科用システムであって、
外側本体と、前記外側本体内の管腔を通して駆動されるように構成されている内側本体と、を備える医療用器具と、
前記外側本体及び前記内側本体の移動を制御するように構成されている1つ又は2つ以上の器具マニピュレータのセットと、
1つ又は2つ以上のユーザ入力デバイスのセットと、
1つ又は2つ以上のプロセッサのセットと、
前記プロセッサのセットと通信し、コンピュータ実行可能命令を記憶した少なくとも1つのコンピュータ可読メモリであって、前記コンピュータ実行可能命令が、前記プロセッサのセットに、
前記ユーザ入力デバイスのセットを介して、変更駆動モードコマンドを受信することと、
前記変更駆動モードコマンドを受信したことに応答して、ペア駆動モードから非ペア駆動モードに前記医療用器具の駆動モードを変更することであって、前記内側本体の遠位端と前記外側本体の遠位端との間の距離が、前記ペア駆動モードにある間、前記入力デバイスのセットから駆動コマンドを受信したことに応答して所定の距離に維持される、変更することと、を行わせる、少なくとも1つのコンピュータ可読メモリと、を備える、ロボット外科用システム。
(2) 前記内側本体の前記遠位端及び前記外側本体の前記遠位端の各々が面取りされている、実施態様1に記載のロボット外科用システム。
(3) 前記メモリが、前記プロセッサのセットに、
前記内側本体の前記遠位端と前記外側本体の前記遠位端との間の前記距離が前記所定の距離に等しくないと判定することと、
前記内側本体の前記遠位端と前記外側の前記遠位端との間の前記距離が前記所定の距離に等しくないと判定したことに応答して、前記医療用器具の前記駆動モードを前記非ペア駆動モードに変更することと、
前記内側本体の前記遠位端と前記外側本体の前記遠位端との間の前記距離が前記所定の距離内になるまで、前記外側本体及び前記内側本体のうちの一方を前進させることと、を行わせるコンピュータ実行可能命令を更に記憶する、実施態様1に記載のロボット外科用システム。
(4) 前記メモリが、前記プロセッサのセットに、
前記内側本体の前記遠位端が前記外側本体の前記遠位端から前記所定の距離よりも小さい距離だけ延在すると判定することと、
前記内側本体の前記遠位端が前記外側の遠位端から前記所定の距離よりも小さい距離だけ延在すると判定したことに応答して、前記医療用器具の前記駆動モードを内側本体駆動モードに変更することと、
前記内側本体の前記遠位端が前記外側本体の前記遠位端から前記所定の距離だけ延在するまで前記内側本体を前進させることと、
前記医療用器具の前記駆動モードを前記ペア駆動モードに変更することと、を行わせるコンピュータ実行可能命令を更に記憶する、実施態様1に記載のロボット外科用システム。
(5) 前記メモリが、前記プロセッサのセットに、
前記ペアモードに入る前に、前記内側本体の前記遠位端が前記外側本体の前記遠位端から前記所定の距離よりも大きい距離だけ延在すると判定することと、
前記内側本体の前記遠位端が前記外側の遠位端から前記所定の距離よりも大きい距離だけ延在すると判定したことに応答して、前記医療用器具の前記駆動モードを外側本体駆動モードに変更することと、
前記内側本体の前記遠位端が前記外側本体の前記遠位端から前記所定の距離だけ延在するまで前記外側本体を前進させることと、
前記医療用器具の前記駆動モードを前記ペア駆動モードに変更することと、を行わせるコンピュータ実行可能命令を更に記憶する、実施態様1に記載のロボット外科用システム。
【0173】
(6) 前記メモリが、前記プロセッサのセットに、
前記外側本体が静止している間、前記内側本体が前進又は後退する内側本体駆動モードに前記医療用器具の前記駆動モードを変更させる、コンピュータ実行可能命令を更に記憶する、実施態様1に記載のロボット外科用システム。
(7) 前記メモリが、前記プロセッサのセットに、
前記内側本体が静止している間、前記外側本体が前進又は後退する外側本体駆動モードに前記医療用器具の前記駆動モードを変更させる、コンピュータ実行可能命令を更に記憶する、実施態様1に記載のロボット外科用システム。
(8) 前記メモリが、前記プロセッサのセットに、
前記内側本体駆動モードにおいて前記ユーザ入力デバイスのセットを介して、後退させるための後退コマンドを受信することと、
前記後退コマンドを受信したことに応答して、前記器具マニピュレータのセットを介して前記内側本体を後退させることと、
(a)前記内側本体の前記遠位端と前記外側本体の前記遠位端との間の前記距離が、前記所定の距離の許容差範囲内にあり、かつ(b)タイミング条件が満たされていると判定することと、
前記内側本体の前記遠位端と前記外側本体の前記遠位端との間の前記距離が、前記所定の距離の前記許容差範囲内にあり、かつ前記タイミング条件が満たされていると判定したことに応答して、前記医療用器具の前記駆動モードを前記ペア駆動モードに変更することと、を行わせるコンピュータ実行可能命令を更に記憶する、実施態様6に記載のロボット外科用システム。
(9) 前記メモリが、前記プロセッサのセットに、
前記外側本体駆動モードにおいて前記ユーザ入力デバイスのセットを介して、前進させるための前進命令を受信することと、
前記前進命令を受信したことに応答して、前記器具マニピュレータのセットを介して前記外側本体を前進させることと、
(a)前記内側本体の前記遠位端と前記外側本体の前記遠位端との間の前記距離が、前記所定の距離の許容差範囲内にあり、かつ(b)タイミング条件が満たされていると判定することと、
前記内側本体の前記遠位端と前記外側本体の前記遠位端との間の前記距離が前記所定の距離の前記許容差範囲内にあり、かつ前記タイミング条件が満たされていると判定したことに応答して、前記医療用器具の前記駆動モードを前記ペア駆動モードに変更することと、を行わせるコンピュータ実行可能命令を更に記憶する、実施態様7に記載のロボット外科用システム。
(10) 前記メモリが、前記プロセッサのセットに、
前記内側本体が静止している間、前記外側本体が前進又は後退する外側本体駆動モードに前記医療用器具の前記駆動モードを変更することと、
前記ユーザ入力デバイスのセットを介して、前記医療用器具の前記駆動モードをトグルするためのトグル駆動モードコマンドを受信することと、
前記トグル駆動モードコマンドを受信したことに応答して、前記内側本体の前記遠位端と前記外側本体の前記遠位端との間の前記距離が、前記所定の距離の許容差範囲内にないと判定することと、
前記トグル駆動モードコマンド、及び前記内側本体の前記遠位端と前記外側本体の前記遠位端との間の前記距離が、前記所定の距離の前記許容範囲内にないと判定したことに応答して、前記内側本体駆動モードと前記外側本体駆動モードとの間で前記医療用器具の前記駆動モードをトグルすることと、を行わせるコンピュータ実行可能命令を更に記憶する、実施態様6に記載のロボット外科用システム。
【0174】
(11) 前記メモリが、前記プロセッサのセットに、
前記内側本体が静止している間、前記外側本体が前進又は後退する外側本体駆動モードに前記医療用器具の前記駆動モードを変更することと、
前記ユーザ入力デバイスのセットを介して、前記医療用器具の前記駆動モードをトグルするためのトグル駆動モードコマンドを受信することと、
前記トグル駆動モードコマンドを受信したことに応答して、前記内側本体の前記遠位端と前記外側本体の前記遠位端との間の前記距離が前記所定の距離に等しいと判定することと、
前記トグル駆動モードコマンド、及び前記内側本体の前記遠位端と前記外側本体の前記遠位端との間の前記距離が前記所定の距離に等しいと判定したことに応答して、前記内側本体駆動モードと前記ペア駆動モードとの間で前記医療用器具の前記駆動モードをトグルすることと、を行わせるコンピュータ実行可能命令を更に記憶する、実施態様6に記載のロボット外科用システム。
(12) 前記1つ又は2つ以上の器具マニピュレータのセットは、少なくとも3つの器具マニピュレータを備え、
前記医療用器具は、前記内側本体内の管腔を通して駆動されるように構成されているロボット制御外科用器具を更に備え、
前記外側本体、前記内側本体、及び前記ロボット制御外科用器具は、それぞれ、前記3つの器具マニピュレータに結合されている、実施態様1に記載のロボット外科用システム。
(13) 前記メモリが、前記プロセッサのセットに、
前記非ペアモードでの前記医療用器具の駆動とは異なる速度で前記ペアモードで前記医療用器具を駆動させる、コンピュータ実行可能命令を更に記憶する、実施態様1に記載のロボット外科用システム。
(14) 前記医療用器具を駆動する前記速度が、関節運動速度、弛緩速度、挿入速度、及び後退速度のうちの少なくとも1つを含む、実施態様13に記載のロボット外科用システム。
(15) 前記メモリが、前記プロセッサのセットに、
前記ユーザ入力デバイスのセットを介して、前記所定の距離の値に対する優先度を特定する選択を受信することと、
受信した前記選択に基づいて、前記所定の距離を調整することと、を行わせるコンピュータ実行可能命令を更に記憶する、実施態様1に記載のロボット外科用システム。
【0175】
(16) 前記メモリが、前記プロセッサのセットに、
患者の管腔網に対する前記外側本体の前記遠位端の位置に基づいて前記所定の距離を調整させる、コンピュータ実行可能命令を更に記憶する、実施態様1に記載のロボット外科用システム。
(17) ロボット外科用システムであって、
外側本体と、前記外側本体内の管腔を通して駆動されるように構成されている内側本体と、を備える医療用器具と、
前記外側本体及び前記内側本体の移動を制御するように構成されている1つ又は2つ以上の器具マニピュレータのセットと、
1つ又は2つ以上のユーザ入力デバイスのセットと、
1つ又は2つ以上のプロセッサのセットと、
前記プロセッサのセットと通信し、コンピュータ実行可能命令を記憶した少なくとも1つのコンピュータ可読メモリであって、前記コンピュータ実行可能命令が、前記プロセッサのセットに、
前記ユーザ入力デバイスのセットを介して、前記医療用器具を関節運動させるための関節運動コマンドを受信することと、
前記外側本体及び前記内側本体のうちの一方を一次本体として処理し、前記外側本体及び前記内側本体のうちの他方を二次本体として処理することと、
前記内側本体の遠位端と前記外側本体の遠位端との間の前記距離を判定することと、
判定した前記距離に基づいて、共関節運動係数(co-articulation factor)を決定することと、
前記器具マニピュレータのセットを介して、前記関節運動コマンドに基づいて、前記一次本体を関節運動させることと、
前記器具マニピュレータのセットを介して、前記関節運動コマンド及び前記共関節運動係数に基づいて、前記二次本体を関節運動させることと、を行わせる、少なくとも1つのコンピュータ可読メモリと、を備える、ロボット外科用システム。
(18) 前記メモリが、前記プロセッサのセットに、
前記ユーザ入力デバイスのセットを介して、複数の駆動モードのうちの1つで前記医療用器具を駆動するための駆動モードコマンドを受信することと、
前記駆動モードコマンドに基づいて、前記一次及び二次本体を処理することと、を行わせるコンピュータ実行可能命令を更に記憶する、実施態様17に記載のロボット外科用システム。
(19) 前記共関節運動係数が、前記一次本体に適用される関節運動の特性の量を、前記二次本体に適用される関節運動の特性の量に関連させる共関節運動比を備える、実施態様17に記載のロボット外科用システム。
(20) 前記メモリが、前記プロセッサのセットに、
前記判定した距離が所定の距離範囲外にあると判定することと、
前記判定した距離が前記所定の距離範囲外にあると判定したことに応答して、前記共関節運動比を無効にすることと、を行わせるコンピュータ実行可能命令を更に記憶する、実施態様19に記載のロボット外科用システム。
【0176】
(21) 前記メモリが、前記プロセッサのセットに、
前記判定した距離が前記所定の距離範囲内にあると判定することと、
前記判定した距離が前記所定の距離範囲内にあると判定したことに応答して、前記判定した距離を前記共関節運動比に関連させる所定の関数に基づいて、前記共関節運動比を判定することと、を行わせるコンピュータ実行可能命令を更に記憶し、
前記所定の関数に基づいて判定した前記共関節運動比が、前記判定した距離が増加するにつれて減少する、実施態様17に記載のロボット外科用システム。
(22) 前記所定の関数は、前記一次本体が前記内側本体であることに応答して使用される第1の関数と、前記一次本体が前記外側本体であることに応答して使用される第2の関数と、を含む、実施態様21に記載のロボット外科用システム。
(23) 前記メモリが、前記プロセッサのセットに、
前記ユーザ入力デバイスのセットを介して、前記医療用器具を弛緩させるための弛緩コマンドを受信することと、
前記器具マニピュレータのセットを介して、前記弛緩コマンドに基づいて前記一次本体を弛緩させることと、
前記器具マニピュレータのセットを介して、前記弛緩コマンド及び前記共関節運動係数に基づいて、前記第2の本体を弛緩させることと、行わせるコンピュータ実行可能命令を更に記憶する、実施態様17に記載のロボット外科用システム。
(24) 前記メモリが、前記プロセッサのセットに、
前記一次本体が弛緩したと判定することと、
前記一次本体が弛緩したと判定したことに応答して、前記器具マニピュレータのセット介して、前記共関節運動係数とは無関係に、前記弛緩コマンドに基づいて前記第2の本体を弛緩させることと、を行わせるコンピュータ実行可能命令を更に記憶する、実施態様23に記載のロボット外科用システム。
(25) 前記メモリが、前記プロセッサのセットに、
前記ユーザ入力デバイスのセットを介して、共関節運動無効コマンドを受信することと、
前記共関節運動無効コマンドを受信したことに応答して、前記器具マニピュレータのセットを介して、前記二次本体を関節運動させることなく前記関節運動コマンドに基づいて前記一次本体を関節運動させることと、を行わせるコンピュータ実行可能命令を更に記憶する、実施態様17に記載のロボット外科用システム。
【0177】
(26) 前記外側本体及び前記内側本体の各々が、i)対応する前記外側本体又は内側本体の関節運動のために張力を加えるように構成されている1つ又は2つ以上の腱のセットと、ii)前記腱のうちの対応する1つ又は2つ以上における張力を監視するように構成されている1つ又は2つ以上の張力モニタのセットと、を備え、前記メモリは、前記プロセッサのセットに、
対応する前記張力モニタから受信した出力に基づいて、前記外側本体及び前記内側本体のうちの少なくとも一方の前記腱のうちの1つにおける前記張力を測定することと、
測定した前記張力を1つ又は2つ以上の閾値と比較することと、
前記測定した張力が前記閾値のうちの少なくとも1つより大きいことに応答して、前記外側本体及び前記内側本体のうちの前記少なくとも一方に適用される前記関節運動を修正することと、を行わせるコンピュータ実行可能命令を更に記憶する、実施態様17に記載のロボット外科用システム。
(27) 前記1つ又は2つ以上の閾値が、第1~第4の閾値を含み、前記メモリが、前記プロセッサのセットに、
前記測定した張力が前記第1の閾値よりも大きいことに応答して、関節運動速度を遅くすることと、
前記測定した張力が前記第2の閾値よりも大きいことに応答して、関節運動を最大関節運動値に制限することと、
前記測定した張力が前記第3の閾値よりも大きいことに応答して、前記外側本体及び前記内側本体のうちの前記少なくとも一方を自動的に弛緩させることと、
前記測定した張力が前記第4の閾値よりも大きいことに応答して、故障状態を生成することと、を行わせるコンピュータ実行可能命令を更に記憶する、実施態様17に記載のロボット外科用システム。
(28) 前記メモリが、前記プロセッサのセットに、
前記ユーザ入力デバイスのセットを介して、前記医療用器具を後退させるための後退コマンドを受信することと、
前記後退コマンドを受信したことに応答して、前記器具マニピュレータのセットを介して、前記医療用器具を後退させることと、
前記医療用器具が後退した距離が閾値距離よりも大きいと判定することと、
前記医療用器具が後退した前記距離が閾値距離よりも大きいと判定したことに応答して、前記医療用器具を自動的に弛緩させることと、を行わせるコンピュータ実行可能命令を更に記憶する、実施態様17に記載のロボット外科用システム。
(29) 前記メモリが、前記プロセッサのセットに、
前記ユーザ入力デバイスのセットを介して、前記医療用器具への後退コマンドを受信することと、
前記医療用器具の曲率が閾値曲率未満であると判定することと、
前記医療用器具の曲率が前記閾値曲率未満であると判定したことに応答して、前記医療用器具を自動的に弛緩させることと、を行わせるコンピュータ実行可能命令を更に記憶する、実施態様17に記載のロボット外科用システム。
(30) 前記メモリが、前記プロセッサのセットに、
前記ユーザ入力デバイスのセットを介して、前記ロボット外科用システムのユーザの指示を受信することと、
前記ユーザの前記指示に基づいて、前記共関節運動係数を判定することと、を行わせるコンピュータ実行可能命令を更に記憶する、実施態様17に記載のロボット外科用システム。
【0178】
(31) ロボット外科用システムであって、
外側本体と、前記外側本体内の管腔を通して駆動されるように構成されている内側本体と、を備える医療用器具と、
前記外側本体及び前記内側本体の移動を制御するように構成されている1つ又は2つ以上の器具マニピュレータのセットと、
1つ又は2つ以上のフィードバックデバイスのセットと、
1つ又は2つ以上のプロセッサのセットと、
前記プロセッサのセットと通信し、前記管腔網のマッピングされた部分のモデル、前記モデルに対するターゲットの位置、及び前記モデルに沿ったアクセスポイントから前記ターゲットまでの経路を記憶した少なくとも1つのコンピュータ可読メモリと、を備え、前記メモリが、前記プロセッサのセットに、
パーキング支援シグネチャ(park assistance signature)に一致する形状を有する前記経路に沿った前記管腔網の部分を識別することと、
前記フィードバックデバイスのセットの少なくとも一部分に、前記モデルに対して識別した前記部分に対応する位置でパーキング指示を生じさせることであって、前記パーキング指示が、前記外側本体の前記遠位端をパーキングするための場所を表す、生じさせることと、を行わせるコンピュータ実行可能命令を更に記憶する、ロボット外科用システム。
(32) 前記1つ又は2つ以上のフィードバックデバイスのセットが、ディスプレイ、触覚フィードバックデバイス、及びスピーカのうちの少なくとも1つを含む、実施態様31に記載のロボット外科用システム。
(33) 前記1つ又は2つ以上のフィードバックデバイスのセットが、1つ又は2つ以上のディスプレイのセットを含み、前記メモリが、前記プロセッサのセットに、
前記ディスプレイのセットの少なくとも一部分に、前記モデル及び前記パーキング指示のレンダリングを、前記識別した部分に対応する位置で生じさせることであって、前記パーキング指示が、前記外側本体の前記遠位端をパーキングするための場所を表す、生じさせることを、行わせるコンピュータ実行可能命令を更に記憶する、実施態様31に記載のロボット外科用システム。
(34) 前記メモリが、前記プロセッサのセットに、
前記識別した部分から前記ターゲットまでの距離が、前記内側本体に対する閾値挿入距離未満であると判定することと、
前記識別した部分から前記ターゲットまでの前記距離が、前記内側本体に対する前記閾値挿入距離未満であると判定したことに応答して、前記パーキング指示の前記レンダリングを生じさせることと、を行わせるコンピュータ実行可能命令を更に記憶する、実施態様33に記載のロボット外科用システム。
(35) 1つ又は2つ以上のユーザ入力デバイスのセットを更に備え、前記メモリが、前記プロセッサのセットに、
前記ユーザ入力デバイスのセットを介して、前記外側本体を現在の位置にパーキングするための外側本体パーキング命令を受信することと、
前記現在の位置から前記ターゲットまでの距離が、前記内側本体に対する閾値挿入距離よりも大きいと判定することと、
前記現在の位置から前記ターゲットまでの前記距離が、前記内側本体に対する閾値挿入距離よりも大きいと判定することに応答して、前記ディスプレイのセットの少なくとも一部分に、前記外側本体が前記現在の位置にパーキングされた状態で、前記ターゲットが前記内側本体によって到達可能でないという指示のレンダリングを生じさせることと、を行わせるコンピュータ実行可能命令を更に記憶する、実施態様33に記載のロボット外科用システム。
【0179】
(36) 前記パーキング支援シグネチャが、以前に実行された医療処置に基づいて判定され、前記医療処置の各々が、前記パーキング支援シグネチャに一致する形状を有する経路を備える、実施態様33に記載のロボット外科用システム。
(37) 1つ又は2つ以上のユーザ入力デバイスのセットを更に備え、前記メモリが、前記プロセッサのセットに、
前記ユーザ入力デバイスのセットを介して、前記パーキング指示として前記管腔網の前記部分を識別する選択を受信させるコンピュータ実行可能命令を更に記憶する、実施態様33に記載のロボット外科用システム。
(38) 前記メモリが、前記プロセッサのセットに、
前記管腔網内の管腔の直径が前記外側本体の直径の閾値範囲内にある前記経路に沿った位置を識別することと、
前記経路に沿った、識別した前記位置に基づいて、前記管腔網の前記部分を識別することと、を行わせるコンピュータ実行可能命令を更に記憶する、実施態様33に記載のロボット外科用システム。
(39) 前記メモリが、前記プロセッサのセットに、
前記医療用器具が逸脱していることを検出することと、
前記ディスプレイのセットの少なくとも一部分に、前記医療用器具が逸脱しているという指示のレンダリングを生じさせることと、を行わせる、コンピュータ実行可能命令を更に記憶する、実施態様33に記載のロボット外科用システム。
(40) 前記医療用器具が、前記内側本体の前記遠位端の位置を測定するように構成されている1つ又は2つ以上のセンサのセットを更に備え、前記メモリが、前記プロセッサのセットに、
前記ユーザ入力デバイスのセットを介して、前記内側本体を前進させるための内側本体前進命令を受信することと、
前記内側本体を前進させるように前記器具マニピュレータのセットに命令することと、
前記内側本体を前進させるように前記器具マニピュレータのセットに命令したことに応答して、前記内側本体の前記遠位端の前記位置が、前記1つ又は2つ以上のセンサからの出力に基づいて移動していないと判定することと、
前記内側本体の前記遠位端の前記位置が移動していないと判定したことに基づいて、前記医療用器具が逸脱していることを検出することと、行わせるコンピュータ実行可能命令を更に記憶する、実施態様33に記載のロボット外科用システム。
図1
図2
図3
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図5
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図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
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図17A
図17B
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図29A
図29B
図30
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図32
図33