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特許7301919制約されたはんだ相互接続パッドを備える回路基板
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-23
(45)【発行日】2023-07-03
(54)【発明の名称】制約されたはんだ相互接続パッドを備える回路基板
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/12 20060101AFI20230626BHJP
【FI】
H01L23/12 Q
H01L23/12 F
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021138724
(22)【出願日】2021-08-27
(62)【分割の表示】P 2017513769の分割
【原出願日】2015-10-07
(65)【公開番号】P2021185619
(43)【公開日】2021-12-09
【審査請求日】2021-08-30
(31)【優先権主張番号】14/529,859
(32)【優先日】2014-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508301087
【氏名又は名称】エーティーアイ・テクノロジーズ・ユーエルシー
【氏名又は名称原語表記】ATI TECHNOLOGIES ULC
【住所又は居所原語表記】One Commerce Valley Drive East, Markham, Ontario, L3T 7X6 Canada
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100111615
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 良太
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【弁理士】
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】ローデン トーパシオ
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー ケイダブリュ レオン
【審査官】河合 俊英
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-234919(JP,A)
【文献】特開2002-026500(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の導体トレース(210,215)を回路基板(20)に形成するステップと、
はんだ相互接続パッド(65)を前記回路基板(20)に設けるステップと、
側壁を有する第1の開口(220)を含み、前記複数の導体トレースを覆うはんだマスク(75)を前記回路基板(20)に形成するステップであって、前記第1の開口は、前記はんだ相互接続パッド(65)の周囲に配置されている、ステップと、を含み、
前記第1の開口は、前記はんだ相互接続パッドよりも大きい横方向の寸法を有し、前記第1の開口は、前記はんだマスクの側壁と前記はんだ相互接続パッドとの間に隙間を形成し、前記はんだ相互接続パッドには、前記側壁と前記はんだ相互接続パッドとの間の隙間を埋めるために金属が追加されている
製造方法。
【請求項2】
下層の導体パッド(120)を露出させる第2の開口(263)を前記回路基板の相互接続層(85)に形成するステップと、前記第1の開口が前記第2の開口と整列するように前記はんだマスクを形成するステップと、を含む、請求項1の製造方法。
【請求項3】
前記第2の開口に導電ビア(140)を形成し、前記導電ビア上に前記はんだ相互接続パッドを形成するステップを含む、請求項2の製造方法。
【請求項4】
前記はんだ相互接続パッドを形成した後に、前記はんだマスク及び前記第1の開口を、前記はんだ相互接続パッドに接触させることなく形成し、前記金属は、前記隙間を埋めるために、めっきプロセスを用いて追加される、請求項1の製造方法。
【請求項5】
はんだバンプ(55)を前記はんだ相互接続パッドに結合するステップを含む、請求項1の製造方法。
【請求項6】
半導体チップ(15)を前記回路基板に結合するステップを含む、請求項1の製造方法。
【請求項7】
コンピュータ可読媒体に記憶された命令を用いて前記はんだマスク及び前記はんだ相互接続パッドを形成するステップを含む、請求項1の製造方法。
【請求項8】
複数の導体トレース(210,215)を半導体チップパッケージ基板(20)に形成するステップと、
はんだ相互接続パッド(65)を前記半導体チップパッケージ基板(20)に設けるステップと、
側壁を有する第1の開口(220)を含み、前記複数の導体トレースを覆うはんだマスク(75)を前記半導体チップパッケージ基板(20)に形成するステップであって、前記第1の開口は、前記はんだ相互接続パッド(65)の周囲に配置されている、ステップと、を含み、
前記第1の開口は、前記はんだ相互接続パッドよりも大きい横方向の寸法を有し、前記第1の開口は、前記はんだマスクの側壁と前記はんだ相互接続パッドとの間に隙間を形成し、前記はんだ相互接続パッドには、前記側壁と前記はんだ相互接続パッドとの間の隙間を埋めるために金属が追加されている
製造方法。
【請求項9】
下層の導体パッド(120)を露出させる第2の開口(263)を前記半導体チップパッケージ基板の相互接続層(85)に形成するステップと、前記第1の開口が前記第2の開口と整列するように前記はんだマスクを形成するステップと、を含む、請求項8の製造方法。
【請求項10】
前記第2の開口に導電ビア(140)を形成し、前記導電ビア上に前記はんだ相互接続パッドを形成するステップを含む、請求項9の製造方法。
【請求項11】
前記はんだ相互接続パッドを形成した後に、前記はんだマスク及び前記第1の開口を、前記はんだ相互接続パッドに接触させることなく形成し、前記金属は、前記隙間を埋めるために、めっきプロセスを用いて追加される、請求項8の製造方法。
【請求項12】
半導体チップ(15)を前記半導体チップパッケージ基板に結合するステップを含む、請求項8の製造方法。
【請求項13】
複数のはんだボール(30)を前記半導体チップパッケージ基板に結合するステップを含む、請求項8の製造方法。
【請求項14】
回路基板(20)であって、
複数の導体トレース(210,215)と、
側壁を有する第1の開口(220)を含み、前記複数の導体トレースを覆う、前記回路基板のはんだマスク(75)と、
前記第1の開口内に存在するはんだ相互接続パッド(65)であって、前記第1の開口は、前記はんだ相互接続パッドよりも大きい横方向の寸法を有し、前記第1の開口は、前記はんだマスクの側壁と前記はんだ相互接続パッドとの間に隙間を形成し、前記はんだ相互接続パッドには、前記側壁と前記はんだ相互接続パッドとの間の隙間を埋めるために金属が追加されている、はんだ相互接続パッドと、
を備える、回路基板(20)。
【請求項15】
はんだバンプ(55)を前記はんだ相互接続パッドに結合することを含む、請求項14の回路基板。
【請求項16】
前記回路基板に結合された半導体チップ(15)を備える、請求項14の回路基板。
【請求項17】
前記はんだ相互接続パッドは上面(225)を含み、前記はんだマスクは前記上面を覆うように前記上面に接触していない、請求項14の回路基板。
【請求項18】
前記回路基板は半導体チップパッケージ基板を備える、請求項14の回路基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して半導体処理に関し、より具体的には、はんだ相互接続パッドを備えた回路基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の種々の有機半導体チップパッケージ基板は、複数のはんだバンプを介して、フリップチップ実装された半導体チップと電気的に接続する。従来のいくつかの設計では、はんだバンプ又はその一部は、回路基板の最外層であるはんだマスクに形成された穴に配置される。この穴は、下層のバンプパッドと垂直に位置合わせされるように意図されている。従来の設計では、バンプパッドは、はんだマスクの穴よりも大きい横方向寸法で製造される。これにより、はんだマスクとバンプパッドの上面との間の界面が生成される。
【0003】
従来のはんだ相互接続パッドは、通常、下層のビア上に形成される。これらの位置において、はんだマスクは、曲げモーメントを受ける可能性がある。この曲げモーメントによって、バンプパッドの上面において、はんだマスクの剥離が生じる可能性がある。この剥離によって、はんだを上層のバンプから横方向に移動させ、トレース又は他のバンプパッド等の隣接する導体構造と短絡する可能性のある経路が生成され得る。
【0004】
回路基板、特に半導体チップパッケージ基板内により多くの配線経路を詰め込むという傾向が継続している。とりわけ、配線経路の複雑さをより増大させることの必要性は、より複雑な半導体ダイ設計において入出力の数が増加することによって引き起こされる。より多くのトレース及びビアを回路基板のレイアウトに挿入することは、簡単なことではない。実際、配線経路を増加するという目標は、回路基板の形成に使用される製造プロセスが確実にそのように行うことができるようにするための設計ルールと競合しなければならない。
【0005】
しかしながら、はんだマスクが剥離する可能性があることに対処する従来の技術は、拡大したバンプパッド、又は、より広い導体間隔を必要とする設計ルールを用いることが多いが、これらは共に、パッケージ密度をより高めることに対して不利に働く。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述した欠点の1つ以上の影響を克服又は低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態の一態様によれば、側壁を有する第1の開口を含むはんだマスクを回路基板に形成するステップを含む製造方法が提供される。はんだ相互接続パッドは、第1の開口に形成される。側壁は、はんだ相互接続パッドの横方向の範囲を設定する。
【0008】
本発明の一実施形態の他の態様によれば、はんだマスクを半導体チップパッケージ基板に形成するステップを含む製造方法が提供される。このマスクは、側壁を有する第1の開口を含む。はんだ相互接続パッドは、第1の開口に形成される。側壁は、はんだ相互接続パッドの横方向の範囲を設定する。
【0009】
本発明の一実施形態の他の態様によれば、はんだマスクを含む回路基板が提供される。はんだマスクは、側壁を有する第1の開口を含む。はんだ相互接続パッドは、第1の開口に形成される。側壁は、はんだ相互接続パッドの横方向の範囲を設定する。
【0010】
本発明の上述した利点及び他の利点は、以下の詳細な説明と図面とを参照することによって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】回路基板上に実装された半導体チップを含む従来の半導体チップデバイスの一例を示す図である。
図2図1の断面2-2で得られた断面図である。
図3図2の一部の拡大図である。
図4】従来の回路基板構造の、図3と同様の断面図である。
図5】はんだマスク開口の不完全な位置合わせを想定したときの、図3と同様の断面図である。
図6】従来の回路基板構造におけるはんだマスク開口の不完全な位置合わせを想定したときの、図4と同様の断面図である。
図7】ビルドアップ層及びビア開口の形成例を示す断面図である。
図8】マスキング及びトレースの形成例を示す、図7と同様の断面図である。
図9】はんだマスクの形成例を示す、図8と同様の断面図である。
図10】ビア及びはんだ相互接続パッドの形成例を示す、図9と同様の断面図である。
図11】はんだ相互接続パッド上への追加的な金属の配置を示す、図10と同様の断面図である。
図12】ビルドアップ層及びビア開口の他の形成例を示す、図7と同様の断面図である。
図13】はんだ相互接続パッド及びトレースの形成例を示す、図12と同様の断面図である。
図14】はんだマスクの他の形成例を示す、図13と同様の断面図である。
図15】はんだ相互接続パッド上への追加的な金属の配置を示す、図14と同様の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書では、半導体チップパッケージ基板等のプリント回路基板の様々な実施形態が説明される。一例は、はんだマスクと、バンプパッド等のはんだ相互接続パッドと、を含む。はんだ相互接続パッドは、開口の側壁がはんだ相互接続パッドの横方向の範囲を設定するように、当該開口に配置されている。以下、更なる詳細事項について説明する。
【0013】
後述する図面では、同じ要素が複数の図面に現れる場合に、参照番号が全般的に繰り返される。ここで、図面、特に図1を参照すると、回路基板20に実装された半導体チップ15を備える回路デバイス10の例示的な実施形態の図が示されている。CTEの差の影響を少なくするために、半導体チップ15と回路基板20との間には、アンダーフィル材料層25が配置されている。回路基板20には、多くの導体トレース及びビアと、他の構造と、が設けられており、半導体チップ15と図示していない他の回路デバイスとの間で電源、グラウンド及び信号が伝達されるようになっている。これらの伝達を容易にするために、ピングリッドアレイ、ボールグリッドアレイ、ランドグリッドアレイ又は他の種類の相互接続方式の形態の入出力が、回路基板20に設けられてもよい。この例示的な実施形態では、複数のはんだボール30からなるボールグリッドアレイが、回路基板20に設けられている。
【0014】
半導体チップ15は、例えば、マイクロプロセッサ、グラフィックプロセッサ、マイクロプロセッサ/グラフィックプロセッサの組み合わせ、チップ上のシステム、特定用途向け集積回路、メモリデバイス等の電子機器に使用される無数の異なる種類の回路デバイスの何れかであってもよい。また、半導体チップ15は、シングルコア又はマルチコアであってもよいし、他のダイがこのチップに積み重ねされてもよい。半導体チップ15は、シリコン若しくはゲルマニウム等のバルク半導体、シリコンオンインシュレータ材料等の半導体オンインシュレータ材料、黒鉛、又は、他の材料で構成されてもよい。半導体チップ15は、回路基板20にフリップチップ実装されてもよいし、はんだ接合又は他の構造によって当該基板に電気的に接続されてもよい。フリップチップはんだ接合以外の相互接続方式が使用されてもよい。
【0015】
回路基板20は、半導体チップパッケージ基板、回路カード、又は、実質的に他の種類のプリント回路基板であってもよい。モノリシック構造を回路基板20に使用することができるが、より典型的な構成では、ビルドアップ設計が使用される。その際、回路基板20は、中心コアから構成されてもよい。この中心コアの上に1つ以上のビルドアップ層が形成され、当該中心コアの下に他の1つ以上のビルドアップ層が形成される。コア自体は、1つ以上の層を積み重ねたものから構成されてもよい。かかる構成の一例は、2つのビルドアップ層の2つの組の間に単層コアが積層された2-2-2構成であってもよい。半導体チップパッケージ基板として実装される場合には、回路基板20の層数は、4から16以上まで変えることができるが、4未満であってもよい。いわゆる「コアレス」設計も同様に使用することができる。回路基板20の各層は、金属相互接続が散在した様々な周知のエポキシ又は他のポリマー等の絶縁材料から構成されてもよい。ビルドアップ以外の多層構成を使用することもできる。任意に、回路基板20は、周知のセラミック、又は、パッケージ基板若しくは他のプリント回路基板に適した他の材料で構成されてもよい。
【0016】
ここで、図2に注目する。この図は、断面2-2で得られた図1の断面図である。断面2-2には、半導体チップ15及びパッケージ基板20のかなり小さい部分のみが単に含まれていることに留意されたい。半導体チップ15は、回路基板20にフリップチップ実装されてもよいし、はんだバンプ、はんだ接合、導電ピラー又は他の構造によって当該基板に電気的に接続されてもよい。この例示的な実施形態では、2つのはんだ相互接続又ははんだ接合35,40が図示されており、アンダーフィル25によって少なくとも部分的に囲まれている。2つのはんだ接合35,40のみが図示されているが、半導体チップ15及び回路基板20の複雑さの規模に応じて、かかる接合が数十、数百、更には数千存在してもよい。はんだ接合35,40は、半導体チップ15に接続されたはんだバンプ45,50と、回路基板20の各はんだ相互接続パッド65,70に冶金的に結合されたプレはんだ(presolder)55,60と、から構成されてもよい。はんだバンプ45,50は、リフロープロセス及びバンプ潰れプロセス(bump collapse process)によって、プレはんだ55,60に冶金的に結合されている。
【0017】
はんだバンプ45,50及びはんだボール30は、様々な鉛系はんだ又は無鉛はんだから構成されてもよい。例示的な鉛ベースのはんだは、約63%のSnと約37%のPb等の共晶比率、又は、その前後の共晶比率の組成を有してもよい。無鉛ベースの例としては、スズ-銀(約98.2%のSn、約1.8%のAg)、スズ-銅(約99%のSn、約1%のCu)、スズ-銀-銅(約96.5%のSn、約3%のAg、約0.5%のCu)等が挙げられる。プレはんだ55,60は、同じ種類の材料で構成されてもよい。任意に、プレはんだ55,60を排除して、単一のはんだ構造、又は、はんだに導電ピラーを加えた構成が選ばれてもよい。アンダーフィル材料層25は、例えば、シリカ充填剤とフェノール樹脂とを混合したエポキシ樹脂であってもよく、リフロープロセスの前か後にこの材料層を堆積させて、はんだ接合35,40を形成してもよい。プレはんだ55,60及びはんだ相互接続パッド65,70は、はんだマスク75によって横方向に囲まれている。このはんだマスクは、様々なプレはんだ(例えば、プレはんだ55,60)に適合するように、レーザーアブレーション等によってリソグラフィにパターン化されて、複数の開口を形成する。はんだボール30の取り付けを容易にするために、他のはんだマスク77が回路基板20の反対側に配置されている。はんだマスク75,77は、例えば、太陽インキ製造株式会社製のPSR-4000 AUS703、又は、日立化成株式会社製のSR7000等のように、はんだマスクの製造に適した様々な材料から製造されてもよい。
【0018】
この例示的な実施形態では、回路基板20は、2-2-2ビルドアップ設計を有する半導体チップパッケージとして実装される。その際、相互接続層又はビルドアップ層80,85がコア87の一方の側に形成され、相互接続層又はビルドアップ層90,95がコア87の他方の側に形成される。コア87は、必要に応じて、モノリシックであってもよいし、積層体又は2つ以上の層であってもよい。コア87及びビルドアップ層80,85,90,95は、味の素株式会社から供給されているGX13等の周知の高分子材料で構成されてもよい。ビルドアップ層80,85,90,95、コア87及びはんだマスク75,77は、回路基板20の相互接続システムを構成する。図2の様々な導体構造に対する以下の説明は、回路基板20の他の導体構造を例示するものである。ビルドアップ層80は、各導体構造又はパッド110,115を含んでもよく、各導体構造又はパッド110,115は、ビルドアップ層80に形成された各ビア130,135を介して、ビルドアップ層85の他の組の導体構造又はパッド120,125と相互接続されてもよいし、オーミック接触してもよい。同様に、ビルドアップ層85の導体パッド120,125は、各ビア140,145を介して、はんだマスク75内の上側のはんだ相互接続パッド65,70に電気的に接続されてもよい。同様に、ビルドアップ層90,95及びはんだマスク77を通る電気経路は、ビルドアップ層90の導体パッド150,155及びビア160,165、ビルドアップ層95の導体パッド170,175及び対応するビア180,185、並びに、ビア180,185に接続されているはんだマスク77のボールパッド190,195を介して設けられてもよい。はんだボール30は、ボールパッド190,195に冶金的に結合されている。コア87を通る電気経路は、スルービア200,205を介して設けられてもよい。これらのビアは、めっきスルーホール又は他の種類の導体であってもよい。
【0019】
更に図2を参照すると、はんだ相互接続パッド65,70の周囲に散在し、はんだマスク75によって覆われた多数の導体トレースが存在してもよい。これらのトレースのうち2つのトレースの各々が符号210,215で図示されている。ビルドアップ層80,85,90,95及びはんだマスク77は、複数のかかるトレースを含んでもよいが、かかるトレースは、説明を簡単にするために図示されていない。実際、回路基板20において、電源、グラウンド及び/又は信号の柔軟な配線経路を提供するために、かかるトレース210,215が数百以上存在してもよい。はんだ接合35,40は、バンプピッチXで製造されるが、その寸法は様々な要因に依存する。このような要因には、半導体チップ15の寸法、半導体チップ15に要求される入出力経路の数、及び、他の考慮事項等が挙げられる。
【0020】
図2において破線の楕円形217によって周囲を囲まれた部分の拡大図を図3に示す。ここで、図3に注目する。文脈上、図3は、アンダーフィル25と、はんだバンプ45と、プレはんだ55と、導体パッド65と、はんだマスク75と、導体トレース210と、を示している。また、ビルドアップ層80,85、ビア130,140及びパッド120が図示されている。プレはんだ55は、はんだマスク75の開口220に配置されている。この例示的な実施形態の技術的な目的は、導体パッド65と、はんだマスク75の開口220と、を同一又はほぼ同一の横寸法Xで形成することである。以下により詳細に説明するように、このことは、パッド65のとり得る横寸法Xの限界として、はんだマスク開口220を用いることによって達成される。1つの目的は、導体パッド65の上面225と、はんだマスク75と、の間の界面を除去又は実質的に制限することである。他の目的は、パッド65とトレース210との間に、後述する従来の製造プロセス及び構造よりも大きい幅Xを有する隙間227を設けることである。
【0021】
パッド65の上面225とのはんだマスクの界面を除去することの利点を理解するために、図4に示す従来のはんだマスク及びパッドの配置を簡単に説明することが有用である。図4は、従来の導体パッド及びはんだマスクの配置を除き、図3と同様の図であることに留意されたい。ここで、プレはんだ232は導体パッド234上に製造されている。はんだマスク236は、導体パッド234上に製造されており、プレはんだ232に適合するように開口238を用いてパターン化されている。開口238は、横寸法Xを有しているが、導体パッド234が横寸法Xで製造されていることに留意されたい。この寸法は、上述した例示的な実施形態のパッド65の横寸法Xよりも通常約20%大きい。図4では、このような設計を選択したことから生じる技術的な影響がいくつか存在する。第1に、導体パッド234と導体トレース243との間の隙間241は、幅Xを有しているが、この幅は、導体パッド65とトレース210との間の対応する隙間227よりも非常に狭いことである。なお、導体パッド234の上面251と、はんだマスク236と、の間に実質的な界面249が存在することに留意されたい。はんだマスク236の一部が界面249に存在すると、剥離して、はんだをプレはんだ232からトレース243に向かって移動させて、場合によっては短絡が生じる可能性がある。この問題は、はんだマスク開口238が、導体パッド234と垂直にうまく位置合わせされておらず、及び/又は、パッド234が、ビア253と垂直にうまく位置合わせされていない場合に悪化する可能性がある。例えば、図5に示すように、開口238及びプレはんだ232の位置合わせが不十分であることによって、パッド234に対してx方向において横にオフセットされ、及び/又は、パッド234がビア253に対して同じ方向にオフセットされた場合には、隙間241は、X<Xとなるような若干の幅Xを有するため、はんだがプレはんだ232から界面249に侵入して、トレース243と短絡する可能性が更に大きくなり得る。図3に戻ると、はんだマスク75とパッド65の上面225との間に、図4に関連して記載された界面249と同様の界面が存在しない又は実質的に存在しないことに再度留意されたい。したがって、図6に示すように、パッド65と、はんだマスク75の開口220と、プレはんだ55とが、ビア140に対してx方向に不十分に位置合わせされたとしても、トレース210との短絡が生じる可能性がより低くなる。この結果は、x軸にオフセットされた場合でも、隙間227の寸法が、図5に示す従来の隙間241に比べてより大きいことに一部起因する。
【0022】
導体パッド65及びはんだマスク75の例示的な製造方法は、図7図10のうち最初に図7を参照することによって理解することができる。図7は、図3と同様の断面図である。図2に示す上層の半導体チップ15は、この時点では取り付けられていないため、図示されていない。以下の説明は、主として導体パッド65に焦点を当てており、導体パッド70にはあまり焦点を当てていない。しかしながら、はんだマスク75と相互に作用する他の導体パッドにおいても本考察を適用することができる。この時点では、ビルドアップ層80,85が形成されている。本明細書の他の箇所に記載された1つ以上の種類の絶縁材料を、スピンコーティング又は他の技術によって堆積させ、加熱又はこれ以外の方法によって硬化させることによって、ビルドアップ層80を設けてもよい。開口256は、レーザ切断によって、ビア130に適合するようにビルドアップ層80内に形成されてもよい。レーザ257は、パルス状又は連続的なビームとしてレーザ放射259を加えてもよい。レーザ放射259の波長及びスポットサイズは、所望のサイズ及びフットプリントを有する開口256を製造しながら、ビルドアップ層80の材料を効果的に除去するように選択される。例えば、紫外線領域にあり、且つ、2.0~5.0ミクロン範囲のスポットサイズを有する放射線259を使用することができる。開口256が、下層のパッド110(図2参照)に至るまで完全に穿孔されることが必要であるが、切断プロセスによってパッド110から過剰な材料が除去されないことを確実にするように注意を払うべきである。
【0023】
さらに図7を参照すると、ビア130は、例えば、銅、アルミニウム、銀、金、チタン、高融点金属、高融点金属化合物、これらの合金等の様々な導体材料から開口256に形成されてもよい。ビア130は、単一構造の代わりに、例えばチタン層に続いてニッケル-バナジウム層、更に銅層が続く等のように、複数の金属層の積層体から構成されてもよい。他の実施形態では、チタン層を銅層で覆い、その後にニッケルで上塗りしてもよい。しかしながら、当業者であれば、多くの種類の導電性材料をビア130に使用できることを理解するであろう。例えば物理蒸着、化学蒸着、めっき等のように、金属材料を塗布するための周知の様々な技術を使用してもよい。例示的な実施形態では、ビアは、2段階で行われる銅めっきによって形成されてもよい。第1段階は、比較的薄い銅の層を開口256に塗布することを含む。第2段階では、バルクめっきプロセスを実行してビア130を充填する。図2に示すコア87上にビルドアップ層80,85及び関連する導体を設けるために、本明細書に記載されたプロセスを使用して、コア87の反対側に他のビルドアップ層を設けてもよいことを理解すべきである。
【0024】
さらに図7を参照すると、導体層が塗布、マスク、エッチングされることによって導体パッド120が形成され、ビルドアップ層80について上述した技術を用いてビルドアップ層85が形成される。導体パッド120は、ビア130に関して上述した材料及び技術を用いて形成されてもよい。次に、開口263を、未形成のビア140(図2参照)に適合するようにビルドアップ層85に形成してもよい。レーザ257及びレーザ放射259を用いて上述した種類のレーザ穿孔が使用されてもよい。
【0025】
次に、図8に示すように、ビルドアップ層85の選択された部分が、適切なマスク266を用いてマスクされる。このマスクは、ドライフィルム又はフォトレジストであってもよい。ビア開口263,264が覆われているが、マスク266の開口269はパターニングされている。マスク266を施してパターニングするために、周知のリソグラフィ技術が使用されてもよい。次に、めっきプロセスを使用して、開口269にトレース210を形成してもよい。トレース210は、導体パッド120に関連して上述した同一の材料で形成されてもよい。マスク266は、アッシング、溶媒ストリッピング又はこれら両方によって除去されてもよい。
【0026】
ここで図9を参照すると、例えばスピンコーティング又は所望の他の堆積技術等の周知のはんだマスク堆積技術を用いて、はんだマスク75をビルドアップ層85に堆積させてもよい。周知のリソグラフィパターン形成技術によって、ビア開口263,264上のはんだマスク75に開口220,273を形成してもよい。例えば、はんだマスク75には1種以上の光活性化学物質が注入され、露光及び現像プロセスを使用して開口220,273が設けられてもよい。開口220,273は、横寸法Xでパターニングされてもよい。この寸法は、後続のプロセスで形成される導体パッド65の好ましい寸法である。したがって、この例示的な実施形態では、はんだマスク75及び開口220,273を使用して、後に形成されるはんだ相互接続パッド65,70の横寸法を決める。このことは、従来のマスキング及びエッチング除去によって導体パッド65がパターニングされる従来のプロセスとは対照的である。
【0027】
次に、図10に示すように、図7に示す導体パッド120及びビア130に関して上述した材料及び技術を用いて、開口263,264にビア140,145を設け、はんだマスク開口220,273にはんだ相互接続パッド65,70を設けてもよい。はんだマスク開口220,273がパッド65,70の横寸法を定めていることに留意されたい。
【0028】
この時点で、図3を再度参照すると、プレはんだ55(図示していないがプレはんだ60も同様)が、図示したように開口220に配置され形成されてもよい。例えば、はんだペーストは、ステンシル等によって塗布することができる。この時点でリフローを実行して、プレはんだ55を下層の導体パッド65に結合してもよい。プレはんだ55を塗布した後に、図1及び図2に示す半導体チップ15を回路基板20に配置して、プレはんだ55上に載置してもよい。リフロープロセスを実行して、図2に示すはんだ接合35,40を生成してもよい。リフローの温度及び期間は、はんだの種類、並びに、回路基板20及び半導体チップ15の形状に依存する。
【0029】
図11に示すように、この段階で、はんだ相互接続パッド65,70に他の材料を塗布してもよい。このことは、はんだの成分がはんだ相互接続パッド65,70に拡散して、これらの電気的性能を劣化させる懸念がある状況において望ましい場合がある。この例示的な実施形態では、他の形状をマスクするために、はんだマスク75を再度用いて、はんだ相互接続パッド65,70に導体層279を塗布してもよい。導体層279の組成は、デバイスの要件に応じて大幅に異なっていてもよい。例えば、例示的な実施形態では、導体層279は、無電解めっきされたニッケル層の底部から始まり、めっきされたパラジウム層が続き、めっきされた金の層が最後に続く積層体から構成されてもよい。更に、導体層279用に選択される材料は、プレはんだが存在する場合であれば、プレはんだに使用されるはんだの種類や、図2に示すはんだバンプ45に使用されるはんだの種類等の技術的な要件に依存する。ここで、導体層279は、下層のはんだ相互接続パッド65,70及びビアが存在していても、はんだが拡散するのを防ぐためのバリアを提供する。
【0030】
上述した例示的な実施形態では、はんだマスクの形成は、例えば図2及び図3に示す導体パッド65の製造に先行する。しかしながら、他の例示的な実施形態では、導体パッド65の後にはんだマスクを形成してもよい。この例示的な実施形態では、図12に示すように、ビルドアップ層80,85、ビア130及び導体パッド120を設けるために、全般的に上述したようにプロセスを実行することができる。この時点で、開口263,264は、上述したようにビルドアップ層85に設けられている。次に、図13に示すように、はんだ相互接続パッド65,70及び導体トレース210を、適切な導体層をビルドアップ層85に塗布することによって形成し、その後、適切なマスキング及びエッチング除去を行ってもよい。次に、図14に示すように、はんだマスク75’を、ビルドアップ層85上及び導体トレース210上に塗布してもよい。はんだマスク75’は、開口220’,273’を用いてパターニングされてもよい。はんだ相互接続パッド65,70が、上述したように横寸法Xで好都合に製造されるのに対し、開口220’,273’は、パッド65の横寸法Xより僅かに大きい側方開口Xを用いてパターニングされ、はんだ相互接続パッド65,70を囲む小さな隙間281を残すようになっている。明らかに、上方から見ると、隙間281は、はんだ相互接続パッド65,70の周囲の堀として見える。後続の材料堆積プロセス、特にめっきプロセスでは、導体材料が隙間281に吸い込まれて、隙間281を充填する。
【0031】
次に、図15に示すように、めっきプロセスを使用して、開口220’,273’を、上述した種類の追加的な金属で部分的に充填してもよい。上述したように、隙間281は、堆積材料289の一部を引き込み、この意味において、当該材料の配置は、はんだ相互接続パッド65,70を形成するプロセスの一部である。材料289を設けるために、この補助的な堆積プロセス又はめっきプロセスを行うことの背後にある動機の一部は、開口220’,273’と下層のはんだ相互接続パッド65,70との垂直方向の位置合わせが不完全であった場合に、何等かの追加的な導電性材料を提供することにある。材料289の堆積の後に、全般的に上述したように、プレはんだ及び/又ははんだバンプのプロセスが先行してもよい。
【0032】
本明細書に記載されたプロセスは、個別の回路基板に対して実行することができ、又は、複数の回路基板のストリップ(strip)若しくは他の集合体に対して一括して実行することができることを理解すべきである。一括して実行する場合、個々の回路基板は、ソーイング又は他の技術によって、ある段階で個別化されてもよい。
【0033】
本明細書で開示された例示的な実施形態は何れも、例えば半導体、磁気ディスク、光ディスク又は他の記憶媒体等のコンピュータ可読媒体に配置された命令で具現化されてもよいし、コンピュータデータ信号として具現化されてもよい。この命令又はソフトウェアは、本明細書で開示された回路構造を合成及び/又はシミュレーションすることが可能であってもよい。例示的な実施形態では、Cadence APD、Encore等の電子設計自動化プログラムを使用して、開示された回路構造を合成してもよい。得られたコードを使用して、開示された回路構造を製造してもよい。
【0034】
本発明は、様々な変形及び代替形態が可能であるが、特定の実施形態を一例として図面に示し、本明細書で詳細に説明してきた。しかしながら、本発明は、開示された特定の形態に限定されるものではないことを理解されたい。むしろ、本発明は、以下の添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の趣旨及び範囲に含まれる全ての変形物、均等物及び代替物を包含するものである。
図1
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