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特許7301944バスバーに取り付けるバスバーコンタクト、およびバスバーコンタクトを取り付ける方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-23
(45)【発行日】2023-07-03
(54)【発明の名称】バスバーに取り付けるバスバーコンタクト、およびバスバーコンタクトを取り付ける方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/58 20060101AFI20230626BHJP
   H01R 4/10 20060101ALI20230626BHJP
   H01R 43/04 20060101ALI20230626BHJP
【FI】
H01R4/58 C
H01R4/10
H01R43/04 Z
【請求項の数】 19
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021202994
(22)【出願日】2021-12-15
(65)【公開番号】P2022097428
(43)【公開日】2022-06-30
【審査請求日】2022-01-06
(31)【優先権主張番号】10 2020 134 255.1
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501090342
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ジャーマニー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツンク
【氏名又は名称原語表記】TE Connectivity Germany GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】クリス ビュッフリング
(72)【発明者】
【氏名】フランク ケーニー
(72)【発明者】
【氏名】マニュエル エーハイム
(72)【発明者】
【氏名】マルクス ヴォルフ
(72)【発明者】
【氏名】ビョルン ホフマン
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー ヴェーバー
(72)【発明者】
【氏名】パトリック ディストラー
【審査官】関 信之
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-009115(JP,A)
【文献】仏国特許出願公開第02978306(FR,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 4/58
H01R 4/10
H01R 43/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バスバー(50)に取り付けるバスバーコンタクト(100)であって、
電気的接触を確立するために遠位端(19)に配置された接触面(12)を有するコンタクトリング(10)と、
機械的締結のための締結要素(20)とを備え、
前記コンタクトリング(10)は、半径方向外側を向く円筒形接触面(13)を有する、半径方向に突出する圧入フランジ(16)を含む、バスバーコンタクト。
【請求項2】
前記圧入フランジ(16)は矩形の半径方向断面を有する、請求項1に記載のバスバーコンタクト(100)。
【請求項3】
前記締結要素(20)は、前記コンタクトリング(10)を相手側コンタクトに向かって押圧するように構成された押圧フランジ(24)を含む、請求項1または2に記載のバスバーコンタクト(100)。
【請求項4】
前記締結要素(20)および/または前記コンタクトリング(10)は、それぞれの他方の要素(10、20)にクランプするための少なくとも1つのクランプ突起(91)を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のバスバーコンタクト(100)。
【請求項5】
前記締結要素(20)は、相手側要素にねじ込むためのねじを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のバスバーコンタクト(100)。

【請求項6】
前記コンタクトリング(10)は、前記締結要素(20)のための受入チャネル(11)を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のバスバーコンタクト(100)。
【請求項7】
前記バスバーコンタクト(100)は、前記締結要素(20)の遠位端(29)に取り付けるように構成されたタッチガードキャップ(30)を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載のバスバーコンタクト(100)。
【請求項8】
バスバー(50)と、
請求項1から7のいずれか一項に記載の、前記バスバー(50)の孔(51)に嵌入されたバスバーコンタクト(100)と
を備えるアセンブリ(200)。
【請求項9】
前記孔(51)は段付きボアを含む、請求項8に記載のアセンブリ(200)。
【請求項10】
前記孔(51)の縁部(57)が押し込まれる、請求項8または9に記載のアセンブリ(200)。
【請求項11】
請求項1から7のいずれか一項に記載のバスバーコンタクト(100)をバスバー(50)に締結する方法であって、
前記圧入フランジ(16)が前記バスバー(50)の孔(51)に導入され、その後、前記孔(51)の縁部(57)のサイズが変形によって減少する、方法。
【請求項12】
バスバー(50)に取り付けるバスバーコンタクト(100)であって、
電気的接触を確立するために遠位端(19)に配置された接触面(12)を有するコンタクトリング(10)と、
機械的締結のための締結要素(20)とを備え、
前記締結要素(20)および前記コンタクトリング(10)は、接続方向(V)と反対方向にテーパ状になる相補的な押圧面(15、25)を含む、バスバーコンタクト。
【請求項13】
前記バスバーコンタクト(100)は、前記締結要素(20)に接続する対向要素(40)を含む、請求項12に記載のバスバーコンタクト(100)。
【請求項14】
前記対向要素(40)は半径方向に突出するフランジ(42)を含み、歯状要素(43)が前記フランジ(42)の前面(49)から突出する、請求項13に記載のバスバーコンタクト(100)。
【請求項15】
前記締結要素(20)は、相手側要素にねじ込むためのねじを含む、請求項12から14のいずれか一項に記載のバスバーコンタクト(100)。
【請求項16】
前記コンタクトリング(10)は、前記締結要素(20)のための受入チャネルを含む、請求項12から15のいずれか一項に記載のバスバーコンタクト(100)。
【請求項17】
前記バスバーコンタクト(100)は、前記締結要素(20)の遠位端(29)に取り付けるように構成されたタッチガードキャップ(30)を含む、請求項12から16のいずれか一項に記載のバスバーコンタクト(100)。
【請求項18】
バスバー(50)と、
請求項12から17のいずれか一項に記載の、前記バスバー(50)の孔(51)に嵌入されたバスバーコンタクト(100)と
を備えるアセンブリ(200)。
【請求項19】
請求項12から17のいずれか一項に記載のバスバーコンタクト(100)をバスバー(50)に締結する方法であって、
前記締結要素(20)が前記コンタクトリング(10)に挿入され、前記締結要素(20)は、前記バスバー(50)の孔(51)を通して挿入され、対向要素(40)を前記締結要素(20)に締結することによって、前記バスバー(50)は、その後、前記対向要素(40)と前記コンタクトリング(10)との間にクランプされる、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的接触を確立するために遠位端に配置された接触面を有するコンタクトリングと、機械的締結のための締結要素とを備える、バスバーに取り付けるバスバーコンタクトに関する。
【0002】
本発明はさらに、バスバーコンタクトをバスバーに締結する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
バスバーは、電流、特に高電流を低い抵抗で伝送するために使用される。例えば、バスバーを、電力を伝送するために電動車両で使用することができる。しかしながら、従来のシステムは製造および組立てが複雑であり、かつ/または接続点において高い接触抵抗を示すことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、簡単な製造および良好な電流伝送を可能にする解決策を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、この目的は、コンタクトリングが、半径方向外側を向く円筒形接触面を有する、半径方向に突出する圧入フランジを含むという点で達成される。圧入フランジは、バスバーに押し込むことができる。半径方向外側を向く円筒形接触面と段のないコンタクトリング径との両方がバスバーに正確に合わせて構成されていることにより、半径方向の電流の流れを、良好な断面および大きい接触力で、したがって低い抵抗で行うことができる。
【0006】
対応する方法において、圧入フランジがバスバーの孔に導入され、その後、孔の縁部のサイズが変形によって減少する。これにより、コンタクトリングを固定することができ、接触力を増加させることができる。
【0007】
さらに、目的は、締結要素およびコンタクトリングが、接続方向と反対方向にテーパ状になる相補的な押圧面を含む場合に満たされる。このような構成により、自動的な押圧動作、およびそれによる大きい接触力が可能になる。その結果、ここでは抵抗も低くなる。
【0008】
対応する方法において、締結要素がコンタクトリングに挿入され、締結要素はバスバーの孔を通して挿入され、対向要素を締結要素に締結することによって、バスバーは、その後、対向要素とコンタクトリングとの間にクランプされる。
【0009】
本発明による解決策を、それ自体が有利であり、希望に応じて互いに組み合わせることのできる以下のさらなる発展および構成によってさらに改良することができる。
【0010】
バスバーコンタクトを、相手側コンタクトに接触するように構成することができる。特に、遠位端に配置された接触面を、相手側コンタクトとの電気的接触を確立するように構成することができる。例えば、接触面を、同様に円形リング状の相手側接触面に接触する円形リングとして構成することができる。
【0011】
有利な実施形態において、圧入フランジは、矩形の半径方向断面を有することができる。その結果、良好な電流の流れを得ることができ、同時に高い安定性を実現することができる。
【0012】
手が届きやすいように、円筒形接触面を外側に配置することができる。
【0013】
簡単な製造を実現するために、円筒形接触面は、圧入フランジの前面および/または後面に垂直であってよい。さらに、これにより、バスバーにおけるバスバーコンタクトの位置決めを向上させることができる。
【0014】
コンタクトリングをバスバーにおいて良好に保持するために、圧入フランジの領域の外径は、コンタクトリングの残りの部分よりも少なくとも5%、好ましくは10%、特に20%大きくてよい。機械的締結における十分な安定性および十分な電流容量をさらに得るために、最大100%、好ましくは50%の値を上限とみなすことができる。
【0015】
有利な実施形態において、締結要素は、コンタクトリングを相手側コンタクトに向かって押圧するように構成された押圧フランジを含む。これにより、安定した機械的接続を可能にすることができる。押圧フランジは、締結要素の残りの部分から半径方向に突出することができる。押圧フランジを、遠位端の接触面を相手側要素に向かって押圧するように構成することができる。その後、押圧フランジ自体を、締結要素の近位端に配置することができる。
【0016】
押圧フランジは、良好な力伝達を可能にするために、一部が圧入フランジと相補的であることが好ましい。組立状態で、押圧フランジと圧入フランジとは互いに当接することができる。
【0017】
有利な実施形態において、圧入フランジは、押圧フランジを越えて半径方向に突出することができる。その後、バスバーの孔の縁部を塑性変形させて、接触を向上させ、かつ/または圧入フランジを保持することができる。圧入フランジは、押圧フランジよりもさらに半径方向または横方向に突出することができる。圧入フランジは、押圧フランジよりも幅広であり、すなわち大きい外径を有することができる。
【0018】
良好な機械的安定性を実現するために、コンタクトリングの長さは、締結要素の長さの少なくとも40%、好ましくは少なくとも50%、特に少なくとも60%であってよい。ここでは、長さを軸方向に沿って測定することができる。150%の値を上限とみなすことができる。
【0019】
締結要素の円錐形押圧面は、遠位端から近位端までテーパ状になっていてよい。これにより、締結要素が締結されるときに、バスバーに向かって力を自動的に発生させることができる。
【0020】
さらに有利な実施形態において、バスバーコンタクトは、締結要素に接続するための対向要素を含む。締結要素と対向要素とは相補的な接続部を有し、互いに簡単な締結を保証することができる。これは、例えば、ねじであってよい。例えば、締結要素に雄ねじが存在し、対向要素に対応する雌ねじが存在してもよい。例えば、バヨネットまたはキャッチ連結による他の締結機構も可能である。
【0021】
組立状態で、バスバーをコンタクトリングと対向要素との間にクランプすることができる。バスバーは、そのような方法でしっかりと保持される。このためのクランプ力を、対向要素と締結要素との接続によって発生させ、低い表面圧で円錐形押圧面を通して伝達することができる。このために、円錐形押圧面は、できる限り大きい表面を有し、コンタクトリングの全長に沿って延びることができると好ましい。
【0022】
締結状態における回転を防ぐために、対向要素は半径方向に突出するフランジを有することができ、歯状要素がフランジの前面から突出する。
【0023】
締結要素および/またはコンタクトリングを、例えば組立て前のステップ中に少なくとも一時的に一緒に保持するために、締結要素および/またはコンタクトリングは、それぞれの他方の要素にクランプするための少なくとも1つのクランプ突起を含むことができる。
【0024】
クランプ突起は、押圧フランジに隣接して位置していてよい。このことは、このような方法で実現されるクランプが、2つの要素の組立ての最後の部分のみで行われるという利点を有することができる。
【0025】
クランプ突起をクランプストリップとして構成して、大きい有効面を有することができる。クランプ突起は、軸方向に沿って均一な断面を有することができるので、コンタクトリングを軸方向に沿って締結要素に簡単に押し付けることができる。
【0026】
組立状態で、クランプ突起を、圧入フランジ内に配置することができる。その結果、クランプ突起によって生じる締結要素の変形を最小限に抑えることができ、クランプ力を大きくすることができる。
【0027】
容易な組立てのために、締結要素は、相手側要素にねじ込むためのねじを含むことができる。ねじは、対応する雄ねじを有する標準ねじに締結することができるように、雌ねじであることが好ましい。
【0028】
有利な実施形態において、コンタクトリングは、締結要素のための受入チャネルを含む。受入チャネルは、締結要素を案内し保持することができる。
【0029】
組立状態で、締結要素はコンタクトリングを貫通することができる。締結要素は、受入チャネルを通って突出することができる。
【0030】
好ましい構成において、コンタクトリングは、良好な導電性を有する材料から形成される。例として、材料は銅を含むことができる。このような材料は、必ずしも高い機械的安定性を有する必要はない。
【0031】
さらなる好ましい構成において、締結要素は、機械的に安定した材料から形成される。材料は、例えば鋼を含むことができる。この材料の電気抵抗は、コンタクトリングの材料の電気抵抗よりも低くてよい。
【0032】
操作者を保護するために、バスバーコンタクトは、締結要素の遠位端に取り付けるように構成されたタッチガードキャップを含むことができる。これにより、電圧または電流を伝える部品との接触を防ぐことができる。
【0033】
タッチガードキャップは、コンタクトリングの受入チャネルの内径よりも幅広であってよい。それにより、取付状態で、タッチガードキャップは、コンタクトリングを締結要素からの意図しない分離に対して自動的に固定することができる。
【0034】
有利な構成において、締結要素とタッチガードキャップとを互いに締結するために、締結要素とタッチガードキャップとの間に舌部および溝システムが存在する。
【0035】
バスバーは、導体レールであってよい。
【0036】
本発明はまた、バスバーとバスバーの孔に嵌入されたバスバーコンタクトとを備えるアセンブリに関する。
【0037】
孔をバスバーコンタクトに適合させることができる。孔は、少なくとも部分的にバスバーコンタクトと相補的であってよい。特に、孔は部分的に円筒形であってよい。孔を穿孔によって形成することができる。
【0038】
有利な実施形態において、孔は段付きボアを有する。バスバーコンタクトを、圧入フランジが段に当接するまで、2つの異なる直径を有するそのような段付きボアに挿入するまたは押し込むことができる。これにより、バスバーの深さに沿った自動的な正しい位置決めが可能になる。
【0039】
挿入後、孔の縁部を押し込むことができる。例えば、道具を使用して、孔の縁部で中心に向かって材料を塑性変形させる、例えば、材料をピーニングすることができる。これにより、バスバーコンタクトを固定することができる。従来の装置またはプロセスのために特別に改良された装置を、変形に使用することができる。このような変形と共に、超音波を改良のために使用することもできる。このような装置の道具は、塑性変形ステップ中に孔の縁部に当接することができる。道具は、例えばラムまたはピンとして構成することができる。
【0040】
有利な構成において、縁部を、例えば孔の周りの360度に沿って全体に押し込むことができる。
【0041】
代替構成において、バスバーの孔は、段付き孔ではなく、深さに沿って均一な直径を有していてもよい。このような構成において、バスバーコンタクトを、例えば、操作者もしくは機械によって、または孔の摩擦係合によって、一時的に正しい位置に保持することができる。その後のステップで、孔の両側の縁部を変形させて、バスバーコンタクトを孔に永続的に保持することができる。
【0042】
以下で、図面を参照しながら、本発明を、有利な構成に基づいて例として、より詳細に説明する。ここに示す有利なさらなる発展および構成は、それぞれ互いに独立しており、応用においてこれがどのように必要であるかに応じて、ランダムに互いに組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】バスバーコンタクトの第1の実施形態の概略分解図である。
図2】組立状態における図1のバスバーコンタクトの概略断面図である。
図3】バスバーに挿入されているときの、図1および図2のバスバーコンタクトの概略斜視図である。
図4】バスバーに挿入された、図1図3のバスバーコンタクトの概略断面図である。
図5】バスバーの孔の縁部が変形している、図1図4のバスバーコンタクトの概略断面図である。
図6】異なって構成されたバスバーに挿入された、図1および図2のバスバーコンタクトの概略断面図である。
図7】バスバーに取り付けられたバスバーコンタクトのさらなる実施形態の概略部分断面斜視図である。
図8図7のバスバーコンタクトの概略断面図である。
図9】バスバーに挿入されているときの、図7および図8のバスバーコンタクトの概略部分断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
バスバーコンタクト100の第1の実施形態が、図1図6に示される。バスバーコンタクト100は、バスバー50と相手側要素(より詳細には図示せず)との安全な電気的接続を確立するために使用される。バスバー50は、例えば、車両の電気駆動装置の一部であってよい。このために、高電流および/または高電圧を伝送できることが必要となり得る。したがって、バスバーコンタクト100は、バスバー50に対する低い接触抵抗を可能にするためのものである。
【0045】
これを実現するために、バスバーコンタクト100は、好ましくは良好な導電性を有する材料、例えば銅から形成されたコンタクトリング10を備え、これにより、良好な導電性を可能にする。
【0046】
コンタクトリング10は、相手側要素との接触を確立するための接触面12を遠位端19に含む。図示した例において、接触面12は円形リングの形状を有し、バスバーコンタクト100が相手側要素に接続される接続方向Vに垂直に延びる。遠位端19に配置された接触面12は、コンタクトリング10の管状部14の前面に配置される。
【0047】
組立状態でバスバー50に関連付けられる圧入フランジ16が、コンタクトリング10の近位端18に存在する。圧入フランジ16は、コンタクトリング10の残りの部分から半径方向に突出する。したがって、圧入フランジ16は、管状部14を越えて、すなわち軸方向Aに垂直に延びる半径方向Rに突出する。圧入フランジ16は、管状部14から全周に沿って軸方向Aの周りに突出する。圧入フランジ16は、コンタクトリング10の全周に沿って延びる。
【0048】
圧入フランジ16は、半径方向外側を向く円筒形接触面13を有する。この接触面13は、挿入または押込状態でバスバー50への良好な電気的接続を確立する。接触面13は、半径方向Rに垂直かつ軸方向Aに平行な各点にある。圧入フランジ16は、前面89と前面89に平行な後面88とをさらに含み、前面89および前面89は、それぞれ軸方向Aにおよび接触面13に垂直に延びる。したがって、圧入フランジ16は、断面が軸方向Aおよび半径方向Rを含むとき、略矩形の断面を有する。
【0049】
円筒形接触面13は、コンタクトリング10の外側に配置され、半径方向Rにおけるコンタクトリング10の最外面となる。
【0050】
圧入フランジ16の領域で、コンタクトリング10の外径は管状部14の外径よりもかなり大きい。例えば、この外径は、コンタクトリング10の残りの部分の外径よりも5%、10%、または20%大きくてよい。導電性の管状部14が小さくなりすぎないようにし、それでも十分な電流を伝送できるように、50%の値が考えられる最大値であり得る。
【0051】
図示した例において、圧入フランジ16の外径76は、管状部14の外径74よりも約25%大きい。外径74、76は、それぞれ半径方向Rに沿って測定される。
【0052】
バスバーコンタクト100を相手側要素に機械的に良好に締結することができるように、バスバーコンタクト100は締結要素20を備える。締結要素20は、機械的に安定した材料、例えば鋼から形成される。締結要素20は、コンタクトリング10を相手側要素に向かって接続方向Vに沿って押圧するように構成される。これにより、遠位端19の接触面12と、相手側要素の対応する相手側接触面との間に良好な導電接続が生じる。相手側要素は、例えば、同様にコンタクトリングを備えることができる。
【0053】
締結要素20は、締結要素20の近位端28から半径方向に突出する押圧フランジ24を含む。押圧フランジ24の外径78は圧入フランジ16の外径76よりも小さく、バスバーコンタクト100がバスバー50に挿入された後に、バスバー50の孔51の縁部57を変形させて、縁部57がコンタクトリング10の後ろに係合するようにする。図示した例において、軸方向Aに沿った良好な力伝達を可能にするために、押圧フランジ24の外径78は管状部14の外径74に略対応する。
【0054】
組立状態で押圧フランジ24と圧入フランジ16とが互いに当接する領域において、押圧フランジ24と圧入フランジ16とは、良好な力伝達を可能にするために略相補的に構成される。図示した例において、それぞれの表面は、各々平面であり、接続方向Vに垂直である。
【0055】
組立状態で、締結要素20はコンタクトリング10を貫通する。そして、締結要素20は、軸方向Aに沿って延びる受入チャネル11に受け入れられる。
【0056】
軸方向Aに沿って測定されたコンタクトリング10の長さ81は、同じく軸方向Aで測定された締結要素20の長さ82の約70%に相当する。これにより、良好な機械的接続が得られる。
【0057】
締結要素20は、押圧フランジ24に隣接して位置するクランプ突起91を有し、これらのクランプ突起91は、締結要素20をコンタクトリング10に少なくとも一時的にクランプするように機能する。クランプ突起91は、接続方向Vに沿って押圧フランジ24から離れて延びるクランプストリップとして構成される。クランプ突起91は、締結要素20の周囲に沿って均一に分散されている。組立状態で、クランプ突起91は、圧入フランジ16内に配置される。その結果、変形を生じさせることなく、クランプ力を高くすることができる。
【0058】
締結要素20を相手側要素にしっかりと締結することができるように、締結要素20は雌ねじ21の形態のねじを含む。雌ねじ21は、締結要素20の遠位端29に位置し、締結要素20の略途中まで接続方向Vに沿って延びる。
【0059】
バスバーコンタクト100は、電気絶縁材料から形成されたタッチガードキャップ30も備える。タッチガードキャップ30において内側に突出するカラーの形態のスプリング31は、タッチガードキャップ30を固定するために、締結要素20の遠位端29の対応する周溝23に係合する。コンタクトリング10が締結要素20から脱落することをさらに防ぐために、タッチガードキャップ30の外径73は、コンタクトリング10の受入チャネル11の内径、すなわち、内法71よりもやや大きい。
【0060】
方法の様々なステップを図2図3図4、および図5に示す。
【0061】
締結要素20がコンタクトリング10に挿入され、オプションでタッチガードキャップ30が取り付けられると、このように確立されたバスバーコンタクト100は、バスバー50の孔51に挿入方向Eに沿って挿入される。ここで、挿入方向Eは、バスバーコンタクト100が後で相手側要素に接続される接続方向Vに平行に延びる。ここで、圧入フランジ16が孔51に押し込まれる。孔51の少なくとも上部は、外径76に略対応するかまたはわずかに小さい直径を有する。押込みにより、特に、組立状態で孔の相手側押圧面56に当接する接触面13の領域において、良好な機械的および電気的接触が確立される。
【0062】
図3図4、および図5に示す例において、バスバー50の孔51は、挿入方向Eに沿って2つの異なる内径を有する段付き孔52である。これにより、バスバーコンタクト100を段付き面55に当たるまでしか挿入できないので、バスバーコンタクト100の自動的な位置決めが行われる。この位置で、後面88は自動的に正しく位置決めされる。その後、後面88の上にくるように孔51の縁部57を変形させて、それにより形成されるビード58がコンタクトリング10の後ろに係合することによって、コンタクトリング10を圧入フランジ16の領域で固定するようにしてもよい。縁部57を、例えばピーニングによって、再形成するまたは変形させることができる。変形により、孔51の内径は、少なくとも縁部57の領域において減少する。特に、孔51の開口径が変形によって減少する。
【0063】
図6は、バスバーコンタクト100とバスバー50とを備えるアセンブリ200のさらなる構成を示す。この例のバスバーコンタクト100は、図1図5のバスバーコンタクト100に対応する。しかしながら、バスバー50は異なって構成される。段付き孔52の代わりに、ここでは均一な内径を有する孔51が設けられる。このような構成において、孔51の両側の縁部57は、バスバーコンタクト100が押し込まれた後、または挿入された後に変形する。これにより、バスバーコンタクト100は、それぞれのビード58によって両側で保持される。このような設計は、製造がより容易になり得る。
【0064】
図1図6による構成の1つの利点は、特に、電流の大部分が流れる接触面13が、機械的締結のための力の流れの外側に配置されることに見られる。その結果、接触面13におけるコンタクトリング10とバスバー50との間の電気的接続は、締結要素20と相手側要素との間の接続力とは大きく独立している。
【0065】
バスバーコンタクト100のさらなる実施形態を図7図9に示す。この実施形態は、多くの部分で図1図6の実施形態に対応する。したがって、以下は主に相違に関連する。
【0066】
バスバーコンタクト100は、ここでも、相手側要素に接触するための接触面12を遠位端19に含むコンタクトリング10を備える。コンタクトリング10は、ここでも、良好な導電性を有する材料、例えば、銅から形成され、組立状態で、後部接触面17においてバスバー50に電気的に接触している。例えば、はんだ付けまたは溶接によって形成されるような、ポジティブ物質嵌合による(in a positive substance-fit manner)接続部が接続点に存在する必要はない。
【0067】
相手側要素への機械的締結のために、バスバーコンタクト100は、ここでも、鋼などの機械的に安定した材料から形成された締結要素20を備える。締結要素20は、受入チャネル11においてコンタクトリング10およびバスバー50の孔51を貫通する。バスバーコンタクト100をバスバー50に固定するために、対向要素40がバスバー50の他側に設けられ、その雌ねじ41が締結要素20の雄ねじ22に係合する。対向要素40を締結要素20に対して回転させることによって、締結要素20を対向要素40に向かって引くことができる。コンタクトリング10または締結要素20のそれぞれの円錐形接触面15、25により、大きい接触力35とコンタクトリング10を変形させないような十分に低い表面圧とを有して、コンタクトリング10と締結要素20との良好な機械的接触が自動的に確立される。
さらに、コンタクトリング10は、バスバー50に自動的に押し付けられるため、大きい接触力が後部接触面17の領域においても作用する。
【0068】
接触面15、25は、締結要素20の長さ82の約50%にわたって、かつコンタクトリング10の全長81にわたって延び、長さ81、82はそれぞれ接続方向Vに沿って測定される。
【0069】
接触面25の領域において、締結要素20は、接続方向Vと反対方向に、すなわち遠位端28から近位端29までテーパ状になる。締結要素20の外径77および受入チャネル11の内法71は、接続方向Vと反対方向に減少する。
【0070】
コンタクトリング10の押圧面15は、締結要素20の押圧面25と相補的である。特に、押圧面15、25の円錐の開き角度が等しいため、押圧面15、25は互いに平面状に位置することができる。
【0071】
方法のステップを図9に示す。締結要素20は、コンタクトリングに挿入されると、図示のステップにおいて、この場合は接続方向Vと反対方向に延びる挿入方向Eに沿ってバスバー50に挿入される。締結要素20の一部が、孔51を通して挿入された後、バスバー50の他側に突出する。ここで、締結要素20は、ねじ込み動作によって対向要素40に接続される。その結果、バスバー50は、対向要素40とコンタクトリング10との間にクランプされる。
【0072】
対向要素40がバスバー50に対して回転することを防ぐために、半径方向に突出するフランジ42が対向要素40に存在し、フランジ42の前面49で、歯状要素43がバスバー50に向かう方向に突出する。図示の実施形態において、複数の歯状要素43が存在し、周囲に沿って均一に分散されている。歯状要素43はまた、回転方向に沿って、例えば、締結要素20と対向要素40とが互いに締結される回転方向と反対方向に沿ってのみ作用することができる。これにより、接続が解除されることを防ぐか、またはこれをより困難にすることができる。これは、例えば、傾斜状またはくさび状の歯状要素43によって行うことができる。
【0073】
バスバーコンタクト100は、ここでも、タッチガードキャップ30を備え、タッチガードキャップ30は、締結要素20の遠位端29の溝23に係合する舌部31によって固定される。ここでも、タッチガードキャップ30によって、ユーザの手が通電部に届かないようにする。
【0074】
アセンブリ200は、例えば、コンタクトリング10および/またはバスバー50の周りに配置された、例えば電気絶縁材料から形成された終端間被覆としてのさらなるタッチガード要素をさらに含むことができる。
【0075】
図1図6の実施形態とは異なり、締結要素20は、バスバー50の孔51をできる限り小さく維持できるように、その近位端28に雄ねじ22を含む。
【符号の説明】
【0076】
10 コンタクトリング
11 受入チャネル
12 接触面
13 接触面
14 管状部
15 押圧面
16 圧入フランジ
17 接触面
18 近位端
19 遠位端
20 締結要素
21 雌ねじ
22 雄ねじ
23 溝
24 押圧フランジ
25 押圧面
28 近位端
29 遠位端
30 タッチガードキャップ
31 スプリング
35 接触力
40 対向要素
41 雌ねじ
42 フランジ
43 歯状要素
49 前面
50 バスバー
51 孔
52 段付き孔
55 段付き面
56 相手側押圧面
57 縁部
58 ビード
71 受入チャネルの内法
73 タッチガードキャップの外径
74 管状部の外径
76 圧入フランジの外径
77 締結要素の外径
78 押圧フランジの外径
79 孔の内径
81 コンタクトリングの長さ
82 締結要素の長さ
88 後面
89 前面
91 クランプ突起
100 バスバーコンタクト
200 アセンブリ
E 挿入方向
A 軸方向
R 半径方向
V 接続方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9