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特許7301968中間金属製品のグループからの最終金属製品のグループの製造を制御するための方法および電子デバイス、関連するコンピュータプログラム、製造方法および設備
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-23
(45)【発行日】2023-07-03
(54)【発明の名称】中間金属製品のグループからの最終金属製品のグループの製造を制御するための方法および電子デバイス、関連するコンピュータプログラム、製造方法および設備
(51)【国際特許分類】
   B21B 37/00 20060101AFI20230626BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20230626BHJP
【FI】
B21B37/00 210
B21B37/00 300
G05B19/418 Z
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021535030
(86)(22)【出願日】2018-12-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-17
(86)【国際出願番号】 IB2018060250
(87)【国際公開番号】W WO2020128573
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2021-08-16
(73)【特許権者】
【識別番号】515214729
【氏名又は名称】アルセロールミタル
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マチス,ガエル
【審査官】中西 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-083299(JP,A)
【文献】特開2010-044605(JP,A)
【文献】特開2003-328030(JP,A)
【文献】特開2013-226566(JP,A)
【文献】国際公開第2016/056129(WO,A1)
【文献】特開平10-000540(JP,A)
【文献】特開2010-218251(JP,A)
【文献】国際公開第2013/048274(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0099550(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21B 37/00-37/78
B21B 38/00-38/12
G05B 19/418
G01N 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中間金属製品(8)のグループからの最終金属製品(6)のグループの製造を制御するための方法であって、制御方法は、電子制御デバイス(10)によって実施され、各中間金属製品(8)について、以下のステップ、
- 前記中間金属製品(8)に関する中間特性(CIP)のセットを得るステップ(110)、
- 少なくとも1つの対応する予測モデルを用い、中間特性(CIP)のセットに従って、および前記中間金属製品(8)からのそれぞれの現行製造ルートに従って、現行の推定された最終特性(Cest_cur)のセットを決定するステップ(120)、
- それぞれの現行の最終金属製品(6)について、現行の推定された最終特性(Cest_cur)のセットを現行の目標の最終特性(Ctarget_cur)のセットと比較するステップ(130)を含み、
現行の推定された最終特性(Cest_cur)のセットと現行の目標の最終特性(Ctarget_cur)のセットの間の偏差が、事前定義された閾値を超える場合には、方法は、以下のステップ、
- それぞれの新規の最終金属製品(6)について、少なくとも1つの新規目標の最終特性(Ctarget_new)のセットを取得するステップ(140)と、
- 中間特性(CIP)のセットに従って、および少なくとも1つの新規目標の最終特性(Ctarget_new)のセットに従って、前記中間金属製品(8)からの新規製造ルートを計算するステップ(150)と
をさらに含み、
各製造ルートが、1つまたはいくつかの変換動作を含み、各変換動作は、熱間圧延、冷間圧延、酸洗い、焼鈍、スキンパス、電気亜鉛めっき、およびコーティングから成るグループの中から選ばれるものであり、
計算された新規製造ルートの一連の変換動作は、異なるタイプの変換動作および/または異なる製造パラメータを用いる変換動作による対応する現行製造ルートの一連の変換動作とは異なる、
方法。
【請求項2】
計算するステップ(150)が、
+ 少なくとも1つの対応する予測モデルを用い、中間特性(CIP)のセットに従って、および前記中間金属製品(8)からの少なくとも1つの可能な前記現行製造ルートとは異なる製造ルートに従って、少なくとも1つの新規に推定された最終特性(Cest_new)のセットを決定するステップ(160)と、
+ 各新規に推定された最終特性(Cest_new)のセットの、対応する新規目標の最終特性(Ctarget_new)のセットとの比較に従って、少なくとも1つの可能な前記現行製造ルートとは異なる製造ルートのうちの1つを、新規製造ルートとして選択するステップ(170)と
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
最終金属製品(6)のグループが、N個の金属製品を含み、中間金属製品(8)のグループがP個の金属製品を含み、NおよびPは、各々2以上の整数である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
計算するステップ(150)が、中間金属製品(8)と新規の最終金属製品(6)の少なくとも1つの対を算出するステップをさらに含み、各算出された対に関してそれぞれの新規製造ルートが計算される、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
計算するステップ(150)が、
+ 少なくとも1つの対応する予測モデルを用い、中間特性(CIP)のセットに従って、および前記中間金属製品(8)からの少なくとも1つの可能な前記現行製造ルートとは異なる製造ルートに従って、少なくとも1つの新規に推定された最終特性(Cest_new)のセットを決定するステップ(160)と、
+ 各新規に推定された最終特性(Cest_new)のセットの、対応する新規目標の最終特性(Ctarget_new)のセットとの比較に従って、少なくとも1つの可能な前記現行製造ルートとは異なる製造ルートのうちの1つを新規製造ルートとして選択するステップ(170)とを含み、
選択するステップ(170)が、中間金属製品(8)のグループについて、新規に推定された最終特性のセットを新規目標の最終特性のセットと比較するステップを含み、選択される新規製造ルートは、新規に推定された最終特性のセットと新規目標の最終特性のセットの間の最小の差に対応するものである、請求項1、3および4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
計算するステップ(150)が、各それぞれの新規製造ルートについて、新規に推定された最終特性のセットを、前記新規製造ルートに関する新規目標の最終特性のセットと比較することによって、一元的なコストを評価するステップを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
計算するステップ(150)が、中間金属製品(8)と新規の最終金属製品(6)の少なくとも1つの対を算出するステップをさらに含み、各算出された対に関してそれぞれの新規製造ルートが計算され、
計算するステップ(150)が、評価された一元的なコストからの、および算出された対のそれぞれのコレクションに関する、全体的なコストを評価するステップをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
計算するステップ(150)が、
+ 算出された対の別個のコレクションを精巧に作るステップであって、それぞれの全体的なコストが、算出された対の各精巧に作られたコレクションについて評価される、ステップと、
+ 最小の全体的なコストを有する算出された対の精巧に作られたコレクションを選択し、次いで、算出された対の選択されたコレクションについて新規製造ルートのリストが計算されるステップと
をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
各特性が、製品の寸法に関する特性、製品の化学組成に関する特性、製品の鋼種、製品の機械的性質に関する特性、製品の表面形態に関する特性、製品のコーティングに関する特性、製品の化学的表面処理に関する特性、製品の粗度に関する特性、および製品の欠陥学に関する特性から成るグループの中から選ばれる、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
特性の各セットが、金属製品の降伏強度(YS)および/または金属製品の最高引張り強度(UTS)を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
計算するステップ(150)が、
+ 少なくとも1つの対応する予測モデルを用い、中間特性(CIP)のセットに従って、および前記中間金属製品(8)からの少なくとも1つの可能な前記現行製造ルートとは異なる製造ルートに従って、少なくとも1つの新規に推定された最終特性(Cest_new)のセットを決定するステップ(160)と、
+ 各新規に推定された最終特性(Cest_new)のセットの、対応する新規目標の最終特性(Ctarget_new)のセットとの比較に従って、少なくとも1つの可能な前記現行製造ルートとは異なる製造ルートのうちの1つを新規製造ルートとして選択するステップ(170)とを含み、
少なくとも1つの新規に推定された最終特性(Cest_new)のセットを決定するためのステップ(160)が、以下のサブステップ、すなわち、
新規に推定された最終特性(C est_new )のセットは、まず最初の、暫定的な最終特性(C est_prov )のセットをもたらす大まかな推定と、次いで、補足的な変換動作を考慮に入れることにより、それより新規に推定された最終特性(C est_new )のセットをもたらす推定の改良とを伴う、2段階の処理によって決定されることを含み、
補足的な変換動作のクラスタおよび事前定義された中間製造ルートがそれぞれの可能な製造ルートを定義する、請求項1および3から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
各中間金属製品(8)が、スラブ(SB)、熱間圧延製品(HR)、および冷間圧延製品(CR)から成るグループの中から選ばれる、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
各最終金属製品(6)が、対応する中間金属製品(8)からの少なくとも1つの変換動作から生じる金属製品である、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
各最終金属製品(6)が、熱間圧延製品(HR)、冷間圧延製品(CR)、電解コーティング製品(EG)、溶融めっきコーティング製品(HD)、有機コーティング製品(OC)、重量板(HP)、および厚板(TP)から成るグループの中から選ばれる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
プロセッサによって実行されたときに、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法を実施するソフトウェア命令を含む、コンピュータプログラム。
【請求項16】
中間金属製品(8)のグループから最終金属製品(6)のグループを製造するための方法であって、以下のステップ、
- 少なくとも1つの中間金属製品(8)からの少なくとも1つの新規製造ルートを計算するステップ、
- 対応する中間金属製品(8)に対して各計算された新規製造ルートを適用するステップ
を含み、
計算するステップが、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法を用いて実施される、方法。
【請求項17】
中間金属製品(8)のグループからの最終金属製品(6)のグループの製造を制御するための電子制御デバイス(10)であって、
- 各中間金属製品(8)に関する中間特性(CIP)のセットを得るように構成された獲得モジュール(30)と、
- 各中間金属製品(8)について、少なくとも1つの対応する予測モデルを用い、中間特性(CIP)のセットに従って、および前記中間金属製品(8)からのそれぞれの現行製造ルートに従って、現行の推定された最終特性(Cest_cur)のセットを決定するように構成された決定モジュール(32)と、
- 各中間金属製品(8)について、現行の推定された最終特性のセットを、それぞれの現行の最終金属製品(6)に関する現行の目標の最終特性(Ctarget_cur)のセットと比較するように構成された比較モジュール(34)と、
- 各中間金属製品(8)について、現行の推定された最終特性(Cest_cur)のセットと現行の目標の最終特性(Ctarget_cur)のセットの間の偏差が、事前定義された閾値を超える場合には、それぞれの新規の最終金属製品(6)に関する少なくとも1つの新規目標の最終特性(Ctarget_new)のセットを取得するように構成された取得モジュール(36)と、
- 中間特性(CIP)のセットに従って、および少なくとも1つの新規目標の最終特性(Ctarget_new)のセットに従って、前記中間金属製品(8)からの新規製造ルートを計算するように構成された計算モジュール(38)と
を備え、
各製造ルートが、1つまたはいくつかの変換動作を含み、各変換動作が、熱間圧延、冷間圧延、酸洗い、焼鈍、スキンパス、電気亜鉛めっき、およびコーティングから成るグループの中から選ばれるものであり、
計算された新規製造ルートの一連の変換動作は、異なるタイプの変換動作および/または異なる製造パラメータを用いる変換動作による対応する現行製造ルートの一連の変換動作とは異なる、
電子制御デバイス(10)。
【請求項18】
最終金属製品(6)のグループを送達するための設備(2)であって、
- 中間金属製品(8)のグループから最終金属製品(6)のグループを製造するための製造ライン(4)と、
- 中間金属製品(8)のグループからの最終金属製品(6)のグループの製造を制御するための電子制御デバイス(10)と
を備え、
電子制御デバイス(10)が、請求項17に記載の電子制御デバイス(10)である、設備(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中間金属製品のグループからの最終金属製品のグループの製造を制御するための方法に関し、方法は電子制御デバイスによって実施されるものである。
【0002】
本発明は、プロセッサによって実行されたときにそのような制御方法を実施するソフトウェア命令を含むコンピュータプログラムにも関する。
【0003】
本発明は、中間金属製品のグループから最終金属製品のグループを製造するための方法にも関し、方法は、少なくとも1つの中間金属製品から少なくとも1つの新規製造ルートを計算するステップと;各計算された新規製造ルートを対応する中間金属製品に適用するステップとを含む。
【0004】
本発明は、中間金属製品のグループからの最終金属製品のグループの製造を制御するための電子制御デバイスにも関する。
【0005】
本発明は、最終金属製品のグループを送達するための設備にも関し、設備は、中間金属製品のグループから最終金属製品のグループを製造するための製造ラインと;そのような電子制御デバイスとを備える。
【背景技術】
【0006】
多くの産業において、特に金属製品を製造するための製鉄業などの産業では、製品は規則的に製造されるが、金属製品の在庫を蓄積して客注に対してより迅速に応答するためにあらかじめ製造されることも多い。
【0007】
しかしながら、既存の金属製品の在庫から顧客が望む金属製品を製造するのが複雑なこともある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】仏国特許出願公開第2761474号明細書
【文献】仏国特許出願公開第2761475号明細書
【文献】仏国特許出願公開第2761476号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の目的は、中間金属製品のグループからの最終金属製品のグループの製造を制御するための、より確実で効率的な、コンピュータにより実施される方法および関連する電子デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的のために、本発明の主題は、中間金属製品のグループからの最終金属製品のグループの製造を制御するための方法であって、制御方法は、電子制御デバイスによって実施され、各中間金属製品について、以下のステップ:
- 前記中間金属製品に関する中間特性のセットを得るステップ;
- 少なくとも1つの対応する予測モデルを用い、中間特性のセットに従って、および前記中間金属製品からのそれぞれの現行製造ルートに従って、現行の推定された最終特性のセットを決定するステップ;
- それぞれの現行の最終金属製品について、現行の推定された最終特性のセットを現行の目標の最終特性のセットと比較するステップ
を含み、
現行の推定された最終特性のセットと現行の目標の最終特性のセットとの間の偏差が、事前定義された閾値を超える場合には、方法は、以下のステップ:
- それぞれの新規の最終金属製品について、少なくとも1つの新規目標の最終特性のセットを取得するステップと;
- 中間特性のセットに従って、および少なくとも1つの新規目標の最終特性のセットに従って、前記中間金属製品からの新規製造ルートを計算するステップと
をさらに含む。
【0011】
本発明の他の有利な態様によれば、方法は、個々にとられる、または技術的に可能な任意の組合せによってとられる、以下の特徴のうちの1つまたはいくつかを含む:
- 計算するステップが:
+ 少なくとも1つの対応する予測モデルを用い、中間特性のセットに従って、および前記中間金属製品からの少なくとも1つの可能な製造ルートに従って、少なくとも1つの新規に推定された最終特性のセットを決定するステップと;
+ 各新規に推定された最終特性のセットの、対応する新規目標の最終特性のセットとの比較に従って、少なくとも1つの可能な製造ルートのうちの1つを新規製造ルートとして選択するステップとを含む;
【0012】
- 最終金属製品のグループがN個の金属製品を含み、中間金属製品のグループがP個の金属製品を含み、NおよびPは、各々2以上の整数である;
【0013】
- 計算するステップが、中間金属製品と新規の最終金属製品の少なくとも1つの対を算出するステップをさらに含み、各算出された対に関してそれぞれの新規製造ルートが計算される;
【0014】
- 選択するステップが、中間金属製品のグループについて、新規に推定された最終特性のセットを新規目標の最終特性のセットと比較するステップを含み、選択される新規製造ルートは、新規に推定された最終特性のセットと新規目標の最終特性のセットの間の最小の差に対応するものである;
【0015】
- 計算するステップが、各それぞれの新規製造ルートについて、新規に推定された最終特性のセットを、前記新規製造ルートに関する新規目標の最終特性のセットと比較することによって、一元的なコストを評価するステップを含む;
【0016】
- 計算するステップが、評価された一元的なコストからの、および算出された対のそれぞれのコレクションに関する、全体的なコストを評価するステップをさらに含む;
【0017】
- 計算するステップが:
+ 算出された対の別個のコレクションを精巧に作るステップであって、それぞれの全体的なコストが、算出された対の各精巧に作られたコレクションについて評価される、ステップと;
+ 最小の全体的なコストを有する算出された対の精巧に作られたコレクションを選択し、次いで、算出された対の選択されたコレクションについて新規製造ルートのリストが計算されるステップとをさらに含む;
【0018】
- 各製造ルートが1つまたはいくつかの変換措置を含み、各変換措置が:熱間圧延;冷間圧延;酸洗い;焼鈍;スキンパス;電気亜鉛めっき;およびコーティングから成るグループの中から選ばれる。
【0019】
- 各特性が:製品の寸法に関する特性;製品の化学組成に関する特性;製品の鋼種;製品の機械的性質に関する特性;製品の表面形態に関する特性;製品のコーティングに関する特性;製品の化学的表面処理に関する特性;製品の粗度に関する特性;および製品の欠陥学に関する特性から成るグループの中から選ばれる;
【0020】
- 特性の各セットが、金属製品の降伏強度および/または金属製品の最高引張り強度を含む;
【0021】
- 少なくとも1つの新規に推定された最終特性のセットを決定するためのステップが、以下のサブステップ:
+ 少なくとも1つの対応する予測モデルを用い、中間特性のセットに従って、および前記中間金属製品からの事前定義された中間製造ルートに従って、暫定的な最終特性のセットを予備的に推定するサブステップと;
+ 少なくとも1つの新規目標の最終特性のセットに従って、暫定的な最終特性のセットをフィルタリングするサブステップと;
+ フィルタリングされた暫定的な最終特性のセットに従って、および補足的変換措置のクラスタに従って、それぞれの新規に推定された最終特性のセットを確立するサブステップとを含み、
補足的変換措置のクラスタおよび事前定義された中間製造ルートが、それぞれの可能な製造ルートを定義する。
【0022】
- 各中間金属製品が、スラブ、熱間圧延製品、および冷間圧延製品から成るグループの中から選ばれる;
【0023】
- 各最終金属製品は、対応する中間金属製品からの少なくとも1つの変換措置から生じる金属製品であり;
各最終金属製品は、好ましくは:熱間圧延製品、冷間圧延製品、電解コーティング製品、溶融めっきコーティング製品、有機コーティング製品、重量板(heavy plate)、および厚板(thick plate)から成るグループの中から選ばれる。
【0024】
したがって、本発明による方法によって、現行の推定された最終特性のセットと現行の目標の最終特性のセットとの間の偏差が、事前定義された閾値を超える場合には、方法は、それぞれの新規の、最終金属製品に関する最終特性の、少なくとも1つの新規目標のセットを取得するステップと;最終特性のこの少なくとも1つの新規目標のセットに従って、前記中間金属製品からの新規製造ルートを計算するステップとをさらに含む。
【0025】
言い換えれば、本発明によると、方法は、それぞれの中間製品からの現行製造ルートが、現行の目標の最終特性のセットに従う最終特性を有する最終金属製品をもたらさないはずであることを検出した場合、少なくとも1つの新規目標の最終特性のセットに従う新規の最終金属製品を取得するために、前記中間金属製品からの新規製造ルートを計算する。
【0026】
最終特性の各目標のセットは、製造される所与の最終金属製品に関連づけられ、一般的には客注に対応する。最終特性の各目標のセットは、たとえば事前定義されたセットである。
【0027】
本発明の主題は、プロセッサによって実行されたときに、上記で定義されたような方法を実施するソフトウェア命令を含むコンピュータプログラムでもある。
【0028】
本発明の主題は、中間金属製品のグループから最終金属製品のグループを製造するための方法でもあって、以下のステップ:
- 少なくとも1つの中間金属製品からの少なくとも1つの新規製造ルートを計算するステップ;
- 対応する中間金属製品に対して各計算された新規製造ルートを適用するステップ;
を含み、計算するステップは上記で定義されたような方法を用いて実施される。
【0029】
本発明の主題は、中間金属製品のグループからの最終金属製品のグループの製造を制御するための電子制御デバイスでもあって、
- 各中間金属製品に関する中間特性のセットを得るように構成された獲得モジュール(30)と;
- 各中間金属製品について、少なくとも1つの対応する予測モデルを用い、中間特性のセットに従って、および前記中間金属製品からのそれぞれの現行製造ルートに従って、現行の推定された最終特性のセットを決定するように構成された決定モジュール(32)と;
- 各中間金属製品について、現行の推定された最終特性のセットを、それぞれの現行の最終金属製品に関する現行の目標の最終特性のセットと比較するように構成された比較モジュール(34)と;
- 各中間金属製品について、現行の推定された最終特性のセットと現行の目標の最終特性のセットの間の偏差が、事前定義された閾値を超える場合には、それぞれの新規の最終金属製品に関する少なくとも1つの新規目標の最終特性のセットを取得するように構成された取得モジュール(36)と;
- 中間特性のセットに従って、および少なくとも1つの新規目標の最終特性のセットに従って、前記中間金属製品からの新規製造ルートを計算するように構成された計算モジュール(38)とを備える。
【0030】
本発明の主題は、最終金属製品のグループを送達するための設備でもあって、
- 中間金属製品のグループから最終金属製品のグループを製造するための製造ラインと、
- 中間金属製品のグループからの最終金属製品のグループの製造を制御するための電子制御デバイスと
を備え、電子制御デバイスが上記で定義された、設備である。
【0031】
単に例として示される以下の説明を、添付図面を参照しながら読み取れば、本発明が一層よく理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】中間金属製品のグループからの最終金属製品のグループを送達するための設備の概略図であり、この設備は、第1の製造プロセスによって、スラブから、電解コーティング製品、溶融めっきコーティング製品または有機コーティング製品まで、最終金属製品のグループを製造するための1つまたはいくつかの製造ラインと、中間金属製品のグループからの最終金属製品のグループの製造を制御するための電子制御デバイスとを備える。
図2】第2の製造プロセスによる、スラブから厚板または重量板までの、図1設備の概略図に類似の設備の概略図である。
図3図1または図2の電子制御デバイスの概略図である。
図4】本発明による、中間金属製品のグループからの最終金属製品のグループの製造を制御するための方法の流れ図であり、制御方法は図3の電子制御デバイスによって実施される。
図5図4の流れ図の決定するステップを表す流れ図であり、前記決定するステップは、新規に推定された最終特性のセットを決定するために、少なくとも1つの予測モデルを用いて、中間特性のセットに従って、およびそれぞれの中間金属製品からの可能な製造ルートに従って実行される。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下の説明では、「実質的に等しい」という表現は、±10%、好ましくは±5%に同等の関係を定義するものである。
【0034】
図1および図2において、設備2は、中間金属製品8のグループから最終金属製品6のグループを製造するための製造ライン4と、中間金属製品8のグループからの最終金属製品6のグループの製造を制御するための電子制御デバイス10とを備える。
【0035】
当業者ならば、図1は、第1の製造プロセスによって、スラブSBから、電解コーティング製品EG、溶融めっきコーティング製品HDまたは有機コーティング製品OCまで、金属製品が連続的に取得される設備2を概略的に表すものであり;図2は、第2の製造プロセスによって、スラブSBから、重量板HPまたは厚板TPまで、金属製品が連続的に取得される設備2を概略的に表すものであることを認めるであろう。
【0036】
図1および図2は、連続した金属製品の間の矢印に沿った変換のステップまたは措置のインディケーションをさらに示すものである。
【0037】
図1の実施形態において、設備2は、最初はスラブSBから始めて、電解コーティング製品EG、溶融めっきコーティング製品HDまたは有機コーティング製品OCなどの最終金属製品6を送達するように構成されている。
【0038】
図1において、熱間圧延製品HRは、スラブSBから始めて、再加熱、粗圧延機、仕上げ圧延機、ROTとも表されるランアウトテーブルおよびコイル巻きの後に取得される。一般的には、スラブSBから熱間圧延製品HRへのこの変換は、再加熱用の炉を含む熱間圧延サブライン、それに続く圧延機、詳細には粗圧延機に続く1つまたはいくつかの仕上げ圧延機、それぞれの金属製品を冷却するためのランアウトテーブルなどの冷却装置、および巻取り機で実行される。炉、圧延機、冷却装置および巻取り機は、それ自体が既知である。
【0039】
次いで、冷間圧延製品CRは、熱間圧延製品HRから、冷間圧延、酸洗いおよび焼鈍の後に取得される。
【0040】
さらに、冷間圧延製品CRから、電気亜鉛めっきの後に電解コーティング製品EGが取得されるか;または冷間圧延製品CRから、焼鈍およびコーティングの後に、溶融亜鉛めっきとも呼ばれる溶融めっきコーティング製品HDが取得されるか、または冷間圧延製品CRから、有機コーティングの後に有機コーティング製品OCが取得される。
【0041】
一般的には、冷間圧延製品CRから溶融めっきコーティング製品HDへの変換は、ストリップなどの冷間圧延製品CRをコーティングするための溶融亜鉛めっきサブラインで実行され、溶融亜鉛めっきサブラインはコイル巻戻し機(decoiler)、焼鈍デバイス、コーティングデバイスおよび巻取機を含むが、これらは既知であるため図示されていない。焼鈍デバイスは炉を備え、炉には、たとえば対応する金属製品の温度を測定するための第1のセンサおよび炉の内部の大気の組成を決定するための第2のセンサが備わっている。焼鈍デバイスは、金属製品すなわちストリップをガイドするための第1のローラも含む。コーティングデバイスは、たとえば亜鉛である溶融金属の槽と、炉の出口と槽への入口の間でストリップの外部空気との接触を回避することを可能にするスナウトとを備える。コーティングデバイスはワイピングデバイスおよび冷却デバイスも含む。コーティングデバイスは、金属製品をガイドするための第2のローラも備える。コーティングデバイスには、ワイピング後のストリップ上のコーティング厚さを測定するための第3のセンサおよび冷却後のストリップ温度を測定するための第4のセンサも備わっている。
【0042】
図2の実施形態では、設備2は、スラブSBから始めて重量板HPまたは厚板TPなどの最終金属製品6を送達するように構成される。
【0043】
図2では、スラブSBから始めて、対応する粗圧延機の後に重量板HPが取得されるか;または別の粗圧延機の後に厚板TPが取得される。一般的には、それぞれに、スラブSBから重量板HPへの、または厚板TPへのこの変換は、1つまたはいくつかの粗圧延機を含むサブラインにおいて実行される。
【0044】
各製造ライン4が全体的な製造ラインとして定義され、同一の場所または別個の場所に配置された1つまたはいくつかの製造サブラインを含み得る。
【0045】
加えて、各製造ライン4が、図示されていないセンサのセットを含み、各センサが、少なくとも1つの特性の値を測定するように適合されており、各特性は金属製品に関する特性または製造プロセスに関する特性である。
【0046】
電子制御デバイス10はセンサのセットに接続されており、センサのセットによって供給される特性の値を使用するように構成される。溶融亜鉛めっきサブラインの前述の例では、センサのセットは第1のセンサ、第2のセンサ、第3のセンサおよび第4のセンサを含む。
【0047】
本発明によれば、各中間金属製品8は、スラブSB、熱間圧延製品HRおよび冷間圧延製品CRの中から選ばれるタイプであり;各最終金属製品6は、対応する中間金属製品8からの少なくとも1つの変換措置から生じる金属製品である。
【0048】
したがって、図1および図2の実施形態では、当業者ならば、各最終金属製品6は:熱間圧延製品HR、冷間圧延製品CR、電解コーティング製品EG、溶融めっきコーティング製品HD、有機コーティング製品OC、重量板HPおよび厚板TPから成るグループの中から選ばれるタイプであることを理解するであろう。
【0049】
各製造プロセスが少なくとも1つの製造ルートを含む。製造ルートは、一連の変換措置またはステップを定義し、それらは、中間特性を有するそれぞれの中間金属製品8から、最終特性を有するそれぞれの最終金属製品6を取得するように動作される。加えて、それぞれの製造ルートは、熱間圧延製品HRや冷間圧延製品CRなどの異なるタイプの金属製品を経るものであり得る。
【0050】
言い換えれば、各製造ルートが1つまたはいくつかの変換措置を含む。各変換措置は、たとえば:熱間圧延;冷間圧延;酸洗い;焼鈍;スキンパス;電気亜鉛めっき;およびコーティングから成るグループの中から選ばれるタイプである。
【0051】
図1の実施形態では、熱間圧延製品HRから電解コーティング製品EGへの製造ルートは、たとえば冷間圧延製品CRを経るものであり、一般的には以下の変換措置のシーケンスによって定義される:酸洗い、焼鈍、および電気亜鉛めっき。スラブSBから有機コーティング製品OCへの別の製造ルートは、たとえば熱間圧延製品HR次いで冷間圧延製品CRを経て、一般的には以下の変換措置のシーケンスによって定義される:再加熱、粗圧延機、仕上げ圧延機、ランアウトテーブル(ROT)上での冷却、コイル巻き、冷間圧延、酸洗い、焼鈍、次いで有機物コーティング。
【0052】
最終金属製品6のグループは1つまたはいくつかの最終金属製品6を含む。最終金属製品6のグループは好ましくはN個の最終金属製品6を含み、Nは2以上の整数である。
【0053】
中間金属製品8のグループは1つまたはいくつかの中間金属製品8を含む。中間金属製品8のグループは好ましくはP個の中間金属製品8を含み、Pは2以上の整数である。
【0054】
図1および図2には中間金属製品8や最終金属製品6の例が示されているが、明瞭さのために、いくつかの最終金属製品6を有する最終金属製品6のグループやいくつかの中間金属製品8を有する中間金属製品8のグループは示されていない。
【0055】
当業者ならば、最終金属製品6のグループが、いくつかの電解コーティング製品EG、いくつかの溶融めっきコーティング製品HD、またはいくつかの有機コーティング製品OCなどの、詳細には別個の特性を有する同一タイプのいくつかの最終金属製品6を含み得ることも理解するであろう。同様に、中間金属製品8のグループは、いくつかのスラブSBまたはいくつかの熱間圧延製品HRなどの、詳細には別個の特性を有する同一タイプのいくつかの中間金属製品8を含み得る。
【0056】
以下の説明では、選択された配向は図に対する指示であり、図に関して意図される。詳細には、「上流」や「下流」といった用語は、図において選択された配向に相対的に意図される。これらの用語は、走行している対応する金属製品に関して使用される。さらに、「横」、「縦」、「垂直」といった用語は、対応する金属製品の縦方向である走行方向に関して理解されたい。詳細には、「縦」という用語は金属製品の走行方向に対して平行な方向を参照し、「横」という用語は、金属製品の走行方向に対して直交し、金属製品の頂面および底面に対して平行な面に含まれる方向を指し、「垂直」という用語は、金属製品の走行方向に対して直交し、金属製品の頂面および底面に対して直交する方向を参照する。
【0057】
さらに、「長さ」によって、対象物の縦方向の寸法が参照され、「幅」によって対象物の横方向の寸法が参照され、「厚さ」によって対象物の垂直方向の寸法が参照される。
【0058】
電子制御デバイス10は、各中間金属製品8に関する中間特性CIPのセットを得るように構成される獲得モジュール30を備える。
【0059】
電子制御デバイス10は、各中間金属製品8について、少なくとも1つの対応する予測モデルを用い、中間特性のセットに従って、および前記中間金属製品8からのそれぞれの現行製造ルートに従って、現行の推定された最終特性Cest_curのセットを決定するように構成される決定モジュール32を備える。
【0060】
電子制御デバイス10は、各中間金属製品8について、現行の推定された最終特性のセットを、それぞれの現行の最終金属製品6に関する現行の目標の最終特性Ctarget_curのセットと比較するように構成される比較モジュール34を備える。
【0061】
電子制御デバイス10は、各中間金属製品8について、現行の推定された最終特性Cest_curのセットと現行の目標の最終特性Ctarget_curのセットの間の偏差が、事前定義された閾値を超える場合には、それぞれの新規の最終金属製品6に関する少なくとも1つの新規目標の最終特性Ctarget_newのセットを取得するように構成される取得モジュール36を備える。
【0062】
電子制御デバイス10は、中間特性CIPのセットに従って、および少なくとも1つの新規目標の最終特性Ctarget_newのセットに従って、前記中間金属製品8からの新規製造ルートを計算するように構成される計算モジュール38を備える。
【0063】
「モデル化」や「モデル」という用語は、コンピュータ上で走るシミュレーションなどの数値シミュレーションを指す。
【0064】
図3の例では、電子制御デバイス10は、たとえば、メモリ42と、メモリ42に結合されたプロセッサ44と、から形成された処理ユニット40を含む。この例では、電子制御デバイス10はまた、表示スクリーン46と、各々が処理ユニット40に接続されているキーボードやマウスなどの入力/出力手段48とを含む。
【0065】
図3の例では、獲得モジュール30、決定モジュール32、比較モジュール34、取得モジュール36および計算モジュール38は、たとえば各々がプロセッサ44によって実行可能なソフトウェアとして実現され、すなわち実施される。処理ユニット40のメモリ42は、各中間金属製品8に関する中間特性CIPのセットを得るための獲得ソフトウェアと;各中間金属製品8について、少なくとも1つの対応する予測モデルを用い、中間特性CIPのセットに従って、および前記中間金属製品8からのそれぞれの現行製造ルートに従って、現行の推定された最終特性Cest_curのセットを決定するように構成された決定ソフトウェアと;各中間金属製品8について、現行の推定された最終特性のセットを、それぞれの現行の最終金属製品6に関する現行の目標の最終特性Ctarget_curのセットと比較するための比較ソフトウェアと;各中間金属製品8について、現行の推定された最終特性Cest_curのセットと現行の目標の最終特性Ctarget_curのセットの間の偏差が、事前定義された閾値を超える場合には、それぞれの新規の最終金属製品6に関する少なくとも1つの新規目標の最終特性Ctarget_newのセットを取得するための取得ソフトウェアと;中間特性CIPのセットに従って、および少なくとも1つの新規目標の最終特性Ctarget_newのセットに従って、前記中間金属製品8からの新規製造ルートを計算するための計算ソフトウェアとを記憶するように適合されている。そこで、処理ユニット40のプロセッサ44は、獲得ソフトウェア、決定ソフトウェア、比較ソフトウェア、取得ソフトウェアおよび計算ソフトウェアを実行するように構成されている。
【0066】
示されていない変形形態として、獲得モジュール30、決定モジュール32、比較モジュール34、取得モジュール36および計算モジュール38は、各々、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array)すなわちFPGAなどのプログラマブル論理構成要素の形態、または特定用途向け集積回路(Application Specific integrated Circuit)すなわちASICなどの専用の集積回路の形態である。
【0067】
電子制御デバイス10は、1つ以上のソフトウエアプログラムの形態すなわちコンピュータプログラムの形態であるときには、図示されていないコンピュータ可読媒体に記録されることも可能である。コンピュータ可読媒体は、たとえば、電子的命令を記憶することが可能であってコンピュータシステムのバスに結合された媒体である。たとえば、可読媒体は、光ディスク、光磁気ディスク、ROMメモリ、RAMメモリ、任意のタイプの不揮発性メモリ(たとえばEPROM、EEPROM、FLASH、NVRAM)、磁気カードまたは光カードである。そこで、ソフトウェア命令を有するコンピュータプログラム可読媒体に記憶される。
【0068】
獲得モジュール30は、各中間金属製品8に関する中間特性CIPのセットを得るように構成されており、各中間特性CIPは金属製品6に関する特性または製造プロセスに関する特性である。獲得モジュール30はセンサのセットに接続されており、得られる値は、好ましくはセットの対応するセンサによって測定された値である。
【0069】
したがって、獲得モジュール30は、前述の特性のいくつかまたはすべてについてセンサセットによって測定された値を得るように適合される。獲得モジュール30は、たとえば、これらの測定値を、表に分類するように適合され、各表がそれぞれの特性と関連づけられている。
【0070】
決定モジュール32は、各中間金属製品8について、少なくとも1つの対応する予測モデルを用い、獲得モジュール30によって得られた中間特性CIPのセットに従って、および前記中間金属製品8からのそれぞれの現行製造ルートに従って、現行の推定された最終特性Cest_curのセットを決定するように構成される。
【0071】
各予測モデルは、一般的には、前の金属製品から始めて、少なくとも1つの変換措置から生じる後続の金属製品の1つまたはいくつかの特性を予測するために使用される冶金学的モデルである。
【0072】
冶金学的モデルは、少なくとも1つの変換措置から生じる冶金学的変換を表す。
【0073】
予測モデルは、一般的には、少なくとも1つの変換措置から生じる後続の金属製品の降伏強度YSおよび/または最高引張り強度UTSを予測することを可能にする。
【0074】
中間金属製品8が熱間圧延製品HRであるときには、機械的特性を予測するために考慮に入れられる予測モデルは、化学作用の線形結合、冷間ストリップミルにおける圧下(reduction)率、焼鈍温度、および焼戻し圧延機における伸びである。したがって、対応する予測モデルは化学作用に従って選ばれ、そのようなモデルは、一般的には値の事前定義された表であり、圧下、温度および伸びに関する事前定義された表の中に与えられたプロセス値を用いて最高引張り強度UTSの値を推定することを可能にするものである。
【0075】
別の例として、中間金属製品8が熱間圧延サブラインを通過するスラブSBであるときには、機械的特性を予測するために考慮に入れられる予測モデルは、化学作用の線形結合、圧延温度、コイルの巻取り温度および厚さである。したがって、対応する予測モデルは化学作用に従って選ばれ、そのようなモデルは、一般的には値の事前定義された表であり、圧延および巻取り温度に関する事前定義された表の中に与えられたプロセス値を用いて最高引張り強度UTSの値および降伏強度YSの値を推定することを可能にするものである。
【0076】
比較モジュール34は、各中間金属製品8について、現行の推定された最終特性のセットを、それぞれの現行の、最終金属製品6に関する現行の目標の最終特性Ctarget_curのセットと比較するように構成される。詳細には、比較モジュール34は、現行の推定された最終特性Cest_curのセットと現行の目標の最終特性Ctarget_curのセットの間の偏差が、それぞれの事前定義された閾値を超えているかを検出するように構成される。
【0077】
本発明によれば、比較モジュール34によって、現行の推定された最終特性Cest_curのセットと現行の目標の最終特性Ctarget_curのセットの間事前定義された閾値を超えている偏差が検出された場合には、次いで、取得モジュール36が、それぞれの新規の最終金属製品6に関する少なくとも1つの新規目標の最終特性Ctarget_newのセットを取得するように構成される。
【0078】
さらに、計算モジュール38が、中間特性CIPのセットに従って、および少なくとも1つの新規目標の最終特性Ctarget_newのセットに従って、前記中間金属製品8からの新規製造ルートを計算するように構成される。
【0079】
計算モジュール38は、たとえば、少なくとも1つの対応する予測モデルを用い、中間特性CIPのセットに従って、および前記中間金属製品8からの少なくとも1つの可能な製造ルートに従って、少なくとも1つの新規に推定された最終特性Cest_newのセットを決定するように構成される。
【0080】
計算モジュール38によって、少なくとも1つの新規に推定された最終特性Cest_newのセットを決定するために使用される予測モデルは、決定モジュール32によって、現行の推定された最終特性Cest_curのセットを決定するために使用されるものに一般的には類似しており、好ましくは等しい。
【0081】
計算モジュール38は、次いで、各新規に推定された最終特性Cest_newのセットの、対応する新規目標の最終特性Ctarget_newのセットとの比較に従って、少なくとも1つの可能な製造ルートのうちの1つを、新規製造ルートとして選択するように構成される。
【0082】
少なくとも1つの新規に推定された最終特性Cest_newのセットを決定するために、計算モジュール38は、たとえば少なくとも1つの対応する予測モデルを用い、中間特性CIPのセットに従って、および前記中間金属製品8からの事前定義された中間製造ルートに従って、暫定的な最終特性Cest_provのセットを予備的に推定するように構成される。次いで、計算モジュール38は、少なくとも1つの新規目標の最終特性Ctarget_newのセットに従って、暫定的な最終特性Cest_provのセットをフィルタリングするように構成される。計算モジュール38は、最後に、フィルタリングされた暫定的な最終特性Cest_prov_filterのセットに従って、および補足的変換措置のクラスタに従って、それぞれの新規に推定された最終特性Cest_newのセットを確立するように構成される。補足的変換措置のクラスタおよび事前定義された中間製造ルートは、それぞれの可能な製造ルートを定義する。
【0083】
言い換えれば、新規に推定された最終特性Cest_newのセットは、たとえば、最初の、暫定的な最終特性Cest_provのセットをもたらす大まかな推定と、次いで補足的変換措置を考慮に入れることにより、それゆえ新規に推定された最終特性Cest_newのセットをもたらす推定の改良を伴う、2段階の処理によって決定される。
【0084】
少なくとも1つの可能な製造ルートのうちの1つを新規製造ルートとして選択するために、計算モジュール38は、たとえば、中間金属製品8のグループについて、新規に推定された最終特性のセットを新規目標の最終特性のセットと比較するように構成され、選択される新規製造ルートは、新規に推定された最終特性のセットと新規目標の最終特性のセットの間の最小の差に対応するものである。
【0085】
任意選択の追加では、計算モジュール38は、各それぞれの新規製造ルートについて、新規に推定された最終特性のセットを、前記新規製造ルートに関する新規目標の最終特性のセットと比較することによって、一元的なコストを評価するように構成される。
【0086】
別の任意選択の追加では、計算モジュール38は、中間金属製品8と新規の最終金属製品6の少なくとも1つの対を算出するように構成され、各算出された対についてそれぞれの新規製造ルートが計算される。
【0087】
この任意選択の追加によれば、計算モジュール38は、たとえば、評価された一元的なコストからの、および算出された対のそれぞれのコレクションに関する、全体的なコストを評価するように構成される。
【0088】
この任意選択の追加によれば、計算モジュール38は、好ましくは、算出された対の別個のコレクションを精巧に作り、算出された対の各精巧に作られたコレクションに関してそれぞれの全体的なコストが評価され;次いで、最小の全体的なコストを有する算出された対の精巧に作られたコレクションを選択し、次いで、算出された対の選択されたコレクションについて新規製造ルートのリストが計算されるようにさらに構成される。
【0089】
当業者ならば、計算された新規製造ルートが、必ずしも、対応する現行製造ルートと関連づけられた変換措置のタイプとは異なるタイプの変換措置を伴うルートである必要がないことに注目するであろう。言い換えれば、変更された製造温度、変更された製造速度および/または変更された製造期間などの変更された製造パラメータによってのみ、新規製造ルートが、対応する現行製造ルートと異なり得る。実際、中間特性CIPのセットを有する中間金属製品8から始めて、そのような変更された製造パラメータは、現行製造ルートに関連した現行の推定された最終特性Cest_curのセットとは別個の、最終金属製品6の変更された最終特性のセットをもたらす。
【0090】
したがって、一般的なやり方では、計算された新規製造ルートの変換措置のシーケンスは、異なるタイプの変換措置および/または異なる製造パラメータを用いる変換措置による対応する現行製造ルートのそれとは異なる。
【0091】
IP、Cest_cur、Ctarget_cur、Cest_new、Ctarget_newといった各特性は、たとえば:製品の寸法に関する特性;製品の化学組成に関する特性;製品の鋼種;製品の機械的性質に関する特性;製品の表面形態に関する特性;製品のコーティングに関する特性;製品の化学的表面処理に関する特性;製品の粗度に関する特性;および製品の欠陥学に関する特性から成るグループの中から選ばれる。
【0092】
金属製品6、8の機械的性質に関する特性は、たとえば:縦方向または横方向などの所与の方向における降伏強度;縦方向または横方向などの所与の方向における引張り強度;縦方向または横方向などの所与の方向における破断伸び;縦方向または横方向などの所与の方向における塑性歪比;縦方向または横方向などの所与の方向における降伏点伸び;歪硬化インデックス;縦方向または横方向などの所与の方向における焼付け硬化;および製品硬度から成るグループの中から選ばれる。
【0093】
金属製品6、8の粗度に関する特性は、たとえば:金属製品6、8の上面または下面などの所与の面の0.8mmまたは2.5mmのカットオフなどの事前定義されたカットオフに関する粗度;0.5μmまたは0.6825μmの閾値などの事前定義された閾値に関する距離当たりの尖頭部(peak)の数;テクスチャ;金属製品6、8の上面または下面などの所与の面の最大の粗度;金属製品6、8の上面または下面などの所与の面の最小の粗度から成るグループの中から選ばれる。
【0094】
金属製品6、8の化学組成に関する特性は、たとえば:金属製品6、8の組成におけるアルミニウムの割合、ヒ素の割合、ホウ素の割合、炭素の割合、カルシウムの割合、コバルトの割合、クロムの割合、銅の割合、水素の割合、マンガンの割合、モリブデンの割合、窒素の割合、ニオブの割合、ニッケルの割合、酸素の割合、リンの割合、鉛の割合、硫黄の割合、シリコンの割合、アンチモンの割合、スズの割合、チタンの割合、バナジウムの割合、およびジルコニウムの割合から成るグループの中から選ばれる。割合は、体積、質量またはモルで表される。
【0095】
金属製品6、8のコーティングの性質に関する性質は、たとえば:コーティングの化学組成;コーティングの厚さ;コーティングに含まれる鉄の割合;金属製品6、8の上面または下面などの所与の面のパウダリング;コーティングの最小厚さ;コーティングの最大厚さから成るグループの中から選ばれる。
【0096】
金属製品6、8の寸法に関する特性は、たとえば:製品の最高部;製品の曲率;製品の平坦度偏差;製品の厚さ;製品の幅;製品の長さ;製品の平坦度;製品の重量から成るグループの中から選ばれる。
【0097】
金属製品6、8の表面形態に関する特性は、たとえば:製品の頂面または底面などの所与の面のブリスタリングした(blistered)態様;製品の所与の面の剥離態様;製品の所与の面の清浄度インデックス;製品の所与の面のオイルストーン仕上げ;製品の光沢;製品の反射率;製品の色合い;金属製品6、8の上面または下面などの所与の面のうねりW08値;および金属製品6、8の上面または下面などの所与の面のうねりW25値から成るグループの中から選ばれる。
【0098】
金属製品6、8の欠陥学に関する特性は、たとえば、欠陥タイプ、欠陥寸法、金属製品6、8上の欠陥位置から成るグループから選ばれる。
【0099】
好ましい実施形態では、熱間圧延サブラインと関連づけられるものなどのセンサのセットは、公開された文献FR 2 761 474 A1、FR 2 761 475 A1およびFR 2 761 476 A1に記述されているものなどの表面検査デバイスを含む。この好ましい実施形態では、金属製品の欠陥学に関する特性および/または金属製品の表面形態に関する特性は、表面検査デバイスによって検出され、測定される。
【0100】
製造プロセスに関する各特性は、たとえば:製造温度、製造速度および/または製造期間などの製造状況に関する特性;使用される機器に関する特性から成るグループからの特性である。
【0101】
すべての以下の特性は、本発明による方法を特定の製造ラインに適用するときに、どのタイプの特性を考慮に入れることができるかを示すために例として与えられるものである。これらは網羅的なリストではない。
【0102】
製造プロセスが溶融亜鉛めっき処理である場合には、製造プロセスに関する各特性は、たとえば、焼鈍炉に関する特性、スナウトに関する特性、コーティングバスに関する特性またはスキンパスに関する特性から成るグループからの特性である。
【0103】
焼鈍炉に関する特性は、たとえば、ストリップの温度、ストリップの速度、炉の中の大気の露点、炉の中のガス圧入流量から選ばれる。
【0104】
スナウトに関する特性は、たとえば、スナウトの内部のガス圧入流量、スナウトの内部の亜鉛レベル、ストリップの温度から選ばれる。
【0105】
コーティングバスに関する特性は、たとえば、バスの組成、バスの温度、ストリップの温度から選ばれる。
【0106】
スキンパスに関する特性は、たとえば、伸び、ストリップに印加された引張り強度、シリンダのタイプ、シリンダの直径、シリンダの粗度、シリンダの摩耗状態、クランプ力から選ばれる。
【0107】
製造プロセスが熱間圧延プロセスである場合には、製造プロセスに関する各特性は、たとえば、再加熱炉に関する特性、粗圧延機に関する特性、仕上げ圧延機に関する特性、ランアウトテーブルに関する特性、または巻取り機に関する特性である。
【0108】
再加熱炉に関する特性は、たとえば:スラブの温度、燃焼ガスの組成、燃焼ガスの流量、加熱期間から成るグループから選ばれる。
【0109】
粗圧延機に関する特性は、たとえば:金属製品の厚さ、金属製品の速度、スタンドの数、シリンダの直径、潤滑剤の流量から成るグループから選ばれる。
【0110】
仕上げ圧延機に関する特性は、たとえば:ストリップの厚さ、ストリップの速度、スタンドの数、シリンダの直径、潤滑剤の流量、冷媒の流量、ストリップの温度、結合力から成るグループから選ばれる。
【0111】
ランアウトテーブルに関する特性は、たとえば:冷却流量、ストリップの速度、ストリップの温度、ストリップの相分率、ランアウトテーブルの長さ、冷却デバイスとストリップの間の距離から成るグループから選ばれる。
【0112】
巻取り機に関する特性は、たとえば、巻取り速度、マンドレル径、巻取り温度から成るグループから選ばれる。
【0113】
次に、本発明による電子制御デバイス10の動作が、中間金属製品8のグループからの最終金属製品6のグループの製造を制御するための本発明による方法の流れ図を表す図4および図5を考慮して説明される。
【0114】
本方法は、たとえば、中間金属製品8のグループの各中間金属製品8に対して順次適用され、ステップ100において、電子制御デバイス10により、新規の中間金属製品8が選択され、前記選択された金属製品8にこの制御方法を実行する。
【0115】
次いで、次のステップ110において、電子制御デバイス10は、その獲得モジュール30によって、一般的にはセンサのセットによって前記中間金属製品8に関する中間特性CIPのセットを得る。
【0116】
電子制御デバイス10は、次のステップ120の間に、その決定モジュール32によって、少なくとも1つの対応する予測モデルを用い、中間特性CIPのセットに従って、および前記中間金属製品8からのそれぞれの現行製造ルートに従って、現行の推定された最終特性Cest_curのセットをさらに決定する。
【0117】
したがって、決定モジュール32は、一般的には、前記中間金属製品8からの現行製造ルートから生じる、金属製品の、少なくとも降伏強度YSおよび/または最高引張り強度UTSを予測する。
【0118】
次いで、ステップ130において、電子制御デバイス10は、その比較モジュール34によって、それぞれの現行の最終金属製品6について、現行の推定された最終特性Cest_curのセットを現行の目標の最終特性Ctarget_curのセットと比較する。
【0119】
現行の推定された最終特性Cest_curのセットと現行の目標の最終特性Ctarget_curのセットの間の差が対応する事前定義された閾値未満であれば、電子制御デバイス10は、中間金属製品8のグループにおける次の中間金属製品8を選択するためにステップ100に戻る。
【0120】
そうでなく、前記差が対応する事前定義された閾値を超えている場合、すなわち現行の推定された最終特性Cest_curのセットと現行の目標の最終特性Ctarget_curのセットの間の偏差が、前記事前定義された閾値を超えている場合、すなわち製造プロセスにおいて偏差がない場合には、電子制御デバイス10は、本発明に従って、その取得モジュール36によって、それぞれの新規の最終金属製品6に関する少なくとも1つの新規目標の最終特性Ctarget_newのセットを取得するために次のステップ140へ進む。
【0121】
さらに、次のステップ150において、電子制御デバイス10は、その計算モジュール38によって、中間特性CIPのセットに従って、および少なくとも1つの新規目標の最終特性Ctarget_newのセットに従って、前記中間金属製品8からのそれぞれの新規製造ルートを計算する。
【0122】
好ましい実施形態では、計算モジュール38は、たとえば、計算ステップ150のサブステップ160において、少なくとも1つの対応する予測モデルを用い、中間特性CIPのセットに従って、および前記中間金属製品8からの少なくとも1つの可能な製造ルートに従って、少なくとも1つの新規に推定された最終特性Cest_newのセットを決定する。
【0123】
計算モジュール38によって、少なくとも1つの新規に推定された最終特性Cest_newのセットを決定するために使用される予測モデルは、たとえば、現行の推定された最終特性Cest_curのセットを決定するためにステップ120の間に使用されるものに類似している。
【0124】
この実施形態によれば、計算モジュール38は、計算ステップ150の、次のサブステップ170の間に、各新規に推定された最終特性Cest_newのセットの、対応する新規目標の最終特性Ctarget_newのセットとの比較に従って、少なくとも1つの可能な製造ルートのうちの1つを新規製造ルートとして次いで選択する。
【0125】
選択のサブステップ170に関して、計算モジュール38は、たとえば、中間金属製品8のグループについて、新規に推定された最終特性のセットを新規目標の最終特性のセットと比較し、そして、選択される新規製造ルートは、新規に推定された最終特性のセットと新規目標の最終特性のセットの間の最小の差に対応する。
【0126】
任意選択の追加では、図5に示されるように、決定するサブステップ160に関して、計算モジュール38は、段階200の間に、少なくとも1つの対応する予測モデルを用い、中間特性CIPのセットに従って、および前記中間金属製品8からの事前定義された中間製造ルートに従って、暫定的な最終特性Cest_provのセットを予備的に推定する。
【0127】
この任意選択の追加によれば、計算モジュール38は、次いで、次の段階210の間に、少なくとも1つの新規目標の最終特性Ctarget_newのセットに従って、暫定的な最終特性Cest_provのセットをフィルタリングする。
【0128】
この任意選択の追加によれば、計算モジュール38は、最後の段階220の間に、フィルタリングされた暫定的な最終特性Cest_prov_filterのセットに従って、および対応する補足的変換措置のクラスタに従って、それぞれの新規に推定された最終特性Cest_newのセットを確立する。補足的変換措置のクラスタおよび事前定義された中間製造ルートが、それぞれの可能な製造ルートを定義する。
【0129】
別の任意選択の追加では、計算モジュール38が中間金属製品8と新規の最終金属製品6の対を算出し、各算出された対についてそれぞれの新規製造ルートが計算される。
【0130】
この任意選択の追加によれば、計算モジュール38は、評価された一元的なコストからの、および算出された対のそれぞれのコレクションに関する、それぞれの全体的なコストを評価する。計算モジュール38は、さらに、算出された対の別個のコレクションを精巧に作り、算出された対の各精巧に作られたコレクションについて、それぞれの全体的なコストが評価され;次いで、最小の全体的なコストを有する算出された対の精巧に作られたコレクションを選択して、算出された対の選択されたコレクションについて新規製造ルートのリストが計算される。
【0131】
一例として、中間金属製品8が熱間圧延製品HRであるときには、さらに、圧下、温度および伸びに関する事前定義された表に与えられたプロセス値を用いて最高引張り強度UTSの値を推定するために、計算モジュール38は、最高引張り強度UTSのこの値を用いて、対応する事前定義された表において、モデルのタイプ、最高引張り強度UTSおよび幅に従って最小の圧下率および最大の圧下率を見いだす。次いで、計算モジュール38は、これらの制約に従う準拠した厚さを有する新規の最終金属製品6を選択する。各選択された新規の最終金属製品6については圧下が既知であり、したがって計算モジュール38は最高引張り強度UTSの新規の値を計算する。次いで、最高引張り強度UTSのこの新規の値に従って、計算モジュール38は、最高引張り強度UTSに関する新規の最小値および最大値を推定するために、焼戻し圧延機における焼鈍温度および伸びの範囲について、それぞれの事前定義された表の中でより正確な規格を選択する。計算モジュール38は、降伏強度YSの新規の最小値および最大値を同様のやり方で推定する。計算モジュール38は、最後に、最高引張り強度UTSおよび降伏強度YSが準拠している中間金属製品8と新規の最終金属製品6の対を維持する。
【0132】
最後に、製造方法に従って、中間金属製品8のグループから最終金属製品6のグループが製造される。
【0133】
本製造方法は、少なくとも1つの中間金属製品8から少なくとも1つの新規製造ルートを計算する前述のことと、次いで、各計算された新規製造ルートを対応する中間金属製品8に適用することとを含む。
【0134】
したがって、本発明による電子制御デバイス10および制御方法は、現行の目標の最終特性Ctarget_curのセットによっては、それぞれの中間製品8からの現行製造ルートが、最終特性を有する最終金属製品6をもたらさないことを検出することを可能にする。そのような偏差が検出された場合には、本発明による電子制御デバイス10は、次いで、少なくとも1つの新規目標の最終特性Ctarget_newのセットによって、新規の最終金属製品6を取得するために、前記中間金属製品8から新規製造ルートを計算することを可能にする。
【0135】
最終特性の各目標Ctarget_cur、Ctarget_newセットは、製造される所与の最終金属製品6に関連づけられ、一般的には客注に対応する。最終特性の各目標Ctarget_cur、Ctarget_newセットは、たとえば事前定義されたセットである。
【0136】
したがって、当業者ならば、本発明が、中間金属製品8のグループからの最終金属製品6のグループの製造を制御するためのより確実で効率的な、コンピュータにより実施される制御方法を提供することを認めるはずである。
図1
図2
図3
図4
図5