(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-23
(45)【発行日】2023-07-03
(54)【発明の名称】オニノダケ抽出物またはオニノダケおよびブロッコリーの混合抽出物を含む退行性神経疾患の予防または治療用薬学組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 36/232 20060101AFI20230626BHJP
A61K 36/31 20060101ALI20230626BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20230626BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20230626BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20230626BHJP
A61P 25/14 20060101ALI20230626BHJP
A61P 25/02 20060101ALI20230626BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20230626BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230626BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20230626BHJP
【FI】
A61K36/232
A61K36/31
A61P25/00
A61P25/28
A61P25/16
A61P25/14
A61P25/02
A61P21/00
A61P43/00 107
A61P43/00 121
A23L33/105
(21)【出願番号】P 2021543103
(86)(22)【出願日】2019-07-02
(86)【国際出願番号】 KR2019008062
(87)【国際公開番号】W WO2020071620
(87)【国際公開日】2020-04-09
【審査請求日】2021-03-31
(31)【優先権主張番号】10-2018-0116945
(32)【優先日】2018-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520447411
【氏名又は名称】アストロジェネシス カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー,カン ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】クク,ミン
【審査官】六笠 紀子
(56)【参考文献】
【文献】Sci. Pharm.,2017年,85,21,pp.1-11
【文献】Journal of Agricultural and Food Chemistry,2016年,64(17),pp.3353-3361
【文献】Int.J.Drug Dev. & Res.,2015年,7(2),pp.009-010
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 36/00-36/9068
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オニノダケ(Angelica gigas Nakai)およびブロッコリー(Brassica oleracea var.italica)の混合抽出物を有効成分として含み、
前記オニノダケおよびブロッコリーの混合抽出物は、
オニノダケを、
乾燥オニノダケの1~10倍容の90~100%(v/v)エタノールで40~
60℃で抽出したオニノダケエタノール抽出物、およびブロッコリーを、
乾燥ブロッコリーの1~10倍容の20~80%(v/v)エタノールで10~80℃で抽出したブロッコリーエタノール抽出物を含
み、
ここで、前記混合抽出物中の、オニノダケ抽出
物およびブロッコリー抽出
物の間の混合比(オニノダケ抽出
物:ブロッコリー抽出
物の重量)が、1:2~5である、
退行性神経疾患の予防または治療用薬学組成物。
【請求項2】
前記ブロッコリーエタノール抽出物は、pH7~9の条件で抽出されたものである、請求項1に記載の退行性神経疾患の予防または治療用薬学組成物。
【請求項3】
前記退行性神経疾患は、痴呆、パーキンソン病(Parkinson’s disease;PD)、ハンチントン病、または筋萎縮性側塞硬化症である、請求項1または2に記載の退行性神経疾患の予防または治療用薬学組成物。
【請求項4】
前記痴呆は、アルツハイマー病である、請求項3に記載の退行性神経疾患の予防または治療用薬学組成物。
【請求項5】
オニノダケ(Angelica gigas Nakai)およびブロッコリー(Brassica oleracea var.italica)の混合抽出物を有効成分として含み、
前記オニノダケおよびブロッコリーの混合抽出物は、
オニノダケを、
乾燥オニノダケの1~10倍容の90~100%(v/v)エタノールで40~
60℃で抽出したオニノダケエタノール抽出物、およびブロッコリーを、
乾燥ブロッコリーの1~10倍容の20~80%(v/v)エタノールで10~80℃で抽出したブロッコリーエタノール抽出物を含
み、
ここで、前記混合抽出物中の、オニノダケ抽出
物およびブロッコリー抽出
物の間の混合比(オニノダケ抽出
物:ブロッコリー抽出
物の重量)が、1:2~5である、
神経細胞保護または神経細胞再生用薬学組成物。
【請求項6】
オニノダケ(Angelica gigas Nakai)抽出物、または
オニノダケおよびブロッコリー(Brassica oleracea var.italica)の混合抽出物を有効成分として含み、
前記オニノダケおよびブロッコリーの混合抽出物は、
オニノダケを、
乾燥オニノダケの1~10倍容の90~100%(v/v)エタノールで40~
60℃で抽出したオニノダケエタノール抽出物、およびブロッコリーを、
乾燥ブロッコリーの1~10倍容の20~80%(v/v)エタノールで10~80℃で抽出したブロッコリーエタノール抽出物を含
み、
ここで、前記混合抽出物中の、オニノダケ抽出
物およびブロッコリー抽出
物の間の混合比(オニノダケ抽出
物:ブロッコリー抽出
物の重量)が、1:2~5である、
退行性神経疾患の予防または改善、神経細胞保護、または神経細胞再生のための健康機能性食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
オニノダケ(Angelica gigas Nakai)抽出物またはオニノダケおよびブロッコリー(Brassica oleracea var.italica)の混合抽出物を含む退行性神経疾患の予防および/または治療用薬学組成物、およびオニノダケ抽出物またはオニノダケ抽出物およびブロッコリー抽出物を含む神経疾患の予防および/または治療のための併用投与用薬学組成物が提供される。
【背景技術】
【0002】
人口の高齢化に伴い退行性疾患の有病率と発生率が増加している。特に、痴呆関連の疾病は全世界的な高齢化によって患者数が急激に増加している。Alzheimer’s Disease International(以下、ADI)によれば、2013年に全世界的に約4,435万人の痴呆患者がおり、2030年には7,562万人、2050年には1億3,546万人に達すると推測される。様々な類型の痴呆の中で最も一般的なアルツハイマー病(Alzheimer’s disease)の場合、その病態生理が次第に明らかになるにつれ、治療剤開発のための多くの研究が行われているが、まだ効果的な治療剤の開発の兆しはないのが現状である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一例は、オニノダケ(Angelica gigas Nakai)抽出物、またはオニノダケおよびブロッコリー(Brassica oleracea var.italica)の混合抽出物を有効成分として含む退行性神経疾患の予防および/または治療用薬学組成物、神経細胞保護用薬学組成物、および/または神経細胞再生(または生成)用薬学組成物を提供する。他の例は、オニノダケ抽出物、またはオニノダケおよびブロッコリーの混合抽出物を退行性神経疾患の予防および/または治療、神経細胞の保護、および/または神経細胞の再生(または生成)を必要とする対象に投与する段階を含む、退行性神経疾患の予防および/または治療方法、神経細胞保護方法、および/または神経細胞再生(または生成)方法を提供する。前記オニノダケおよびブロッコリーの混合抽出物は、オニノダケ抽出物およびブロッコリー抽出物の混合物、オニノダケおよびブロッコリーの混合物の抽出物、またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0004】
他の例は、オニノダケ抽出物、またはオニノダケおよびブロッコリーの混合抽出物を有効成分として含む退行性神経疾患改善用、神経細胞保護用、および/または神経細胞再生(または生成)用健康機能性食品を提供する。前記オニノダケおよびブロッコリーの混合抽出物は、オニノダケ抽出物およびブロッコリー抽出物の混合物、オニノダケおよびブロッコリーの混合物の抽出物、またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0005】
他の例は、オニノダケ抽出物、またはオニノダケおよびブロッコリーの混合抽出物を製造する段階を含む退行性神経疾患の予防、治療および/または改善効果を有する組成物の製造方法を提供する。
【0006】
他の例は、オニノダケ抽出物およびブロッコリー抽出物を含む神経疾患の予防および/または治療、神経細胞保護、および/または神経細胞再生(または生成)のための併用投与用薬学組成物を提供する。他の例は、オニノダケ抽出物を神経疾患の予防および/または治療を必要とする対象に投与する段階、およびブロッコリー抽出物を前記対象に投与する段階を含む神経疾患の予防および/または治療方法、神経細胞保護方法、および/または神経細胞再生(または生成)方法を提供する。前記オニノダケ抽出物の投与段階とブロッコリー抽出物の投与段階は、同時または順序に関係なく異時的に行われてもよい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書では、オニノダケ(Angelica gigas Nakai)抽出物、またはオニノダケおよびブロッコリー(Brassica oleracea var.italica)の混合抽出物の退行性神経疾患の予防および/または治療用途が提供される。
【0008】
トウキはセリ科に属する多年草植物であって、主に、韓国、日本、中国などで薬用目的で栽培されている。トウキは、その産地によって、韓国で生産されるオニノダケ(Angelica gigas Nakai)、日本で生産される和トウキ(Angelica acutiloba Kitagawa)、そして中国で生産される中国トウキ(Angelica sinensis Diels)に区分され、その成分と薬理的効果は異なることが知られている。昔からトウキは若芽を浸し物として食用にし、根を鎮痛、抗癌、腎臓毒性軽減、肝機能改善、糖尿性高血圧治療、血液循環改善など多様な疾患に対する薬材として使用している。本明細書で使用されるオニノダケ抽出物は、オニノダケの根(例えば、オニノダケ根の乾燥および破砕物)を用いて得られたものであってもよい。
【0009】
ブロッコリー(Brassica oleracea var.italica)は、ケシ目ワサビ科に属する一年生双子葉植物で、食用として多様に利用されている。ブロッコリーにはキャベツより多いビタミンUが含有されていて、胃腸を健康にし、慢性胃炎、胃潰瘍などを予防し治療する効果に卓越し、前立腺癌、大腸癌、肺癌、肝癌、乳癌、膵臓癌などに対する抗癌効果に優れていることが知られている。本明細書で使用されるブロッコリー抽出物は、ブロッコリーの種子、新芽、花、全草などからなる群より選択された1つ以上の部位を用いて得られたものであってもよい。前記新芽は種子から発生した最初の茎および/または葉を意味することができる。
【0010】
本明細書において、「治療」は、症状の軽減または改善、疾患の範囲の減少、疾患進行の遅延または緩和、疾患の状態または症状の改善、軽減または安定化、部分的または完全な回復、生存の延長、その他の有利な治療結果などをすべて含む意味で使用される。「予防」は、特定の疾病を有していない対象に作用して前記特定の疾病が発病しないようにしたり、その発病時期を遅らせるすべての機序および/または効果を含む意味で使用される。
【0011】
本明細書において、オニノダケ抽出物と、オニノダケおよびブロッコリーの混合抽出物が神経毒性タンパク質による脳神経損傷に対する脳細胞保護効果を示し(実施例1のベータ-アミロイドによる脳神経損傷に対する脳細胞保護効果参照)、神経の損傷した動物モデルに対して神経再生(例えば、神経細胞の生成)効果があること(例えば、実施例2のアルツハイマー病が誘導されたマウスにおける脳神経細胞の再生(または生成)効果参照)を確認して、オニノダケ抽出物、およびオニノダケおよびブロッコリーの混合抽出物の神経細胞の保護効果および/または神経細胞の再生(または生成)効果を提案する。前記神経細胞は、中枢神経細胞、例えば、脳(神経)細胞であってもよい。
【0012】
一例は、オニノダケ抽出物を有効成分として含む退行性神経疾患の予防および/または治療用薬学組成物、神経細胞保護用薬学組成物、および/または神経細胞再生(または生成)用薬学組成物を提供する。他の例は、オニノダケ抽出物を退行性神経疾患の予防および/または治療、神経細胞の保護、および/または神経細胞の再生(または生成)を必要とする対象に投与する段階を含む、退行性神経疾患の予防および/または治療方法、神経細胞保護方法、および/または神経細胞再生(または生成)方法を提供する。前記神経細胞は、中枢神経細胞、例えば、脳(神経)細胞であってもよい。前記方法は、前記投与する段階の前に、退行性神経疾患の予防および/または治療、神経細胞の保護、および/または神経細胞の再生(または生成)を必要とする対象を確認する段階を追加的に含むことができる。
【0013】
他の例は、オニノダケおよびブロッコリーの混合抽出物を有効成分として含む退行性神経疾患の予防および/または治療用薬学組成物、神経細胞保護用薬学組成物、および/または神経細胞再生(または生成)用薬学組成物を提供する。他の例は、オニノダケおよびブロッコリーの混合抽出物を退行性神経疾患の予防および/または治療、神経細胞の保護、および/または神経細胞の再生(または生成)を必要とする対象に投与する段階を含む、退行性神経疾患の予防および/または治療方法、神経細胞保護方法、および/または神経細胞再生(または生成)方法を提供する。前記方法は、前記投与する段階の前に、退行性神経疾患の予防および/または治療、神経細胞の保護、および/または神経細胞の再生(または生成)を必要とする対象を確認する段階を追加的に含むことができる。前記神経細胞は、中枢神経細胞、例えば、脳(神経)細胞であってもよい。前記オニノダケおよびブロッコリーの混合抽出物は、オニノダケ抽出物およびブロッコリー抽出物の混合物、またはオニノダケおよびブロッコリーの混合物の抽出物であってもよい。
【0014】
他の例は、オニノダケ抽出物とブロッコリー抽出物を含む退行性神経疾患の予防および/または治療、神経細胞保護、および/または神経細胞再生(または生成)のための併用投与用薬学組成物を提供する。他の例は、オニノダケ抽出物とブロッコリー抽出物を含む退行性神経疾患の予防および/または治療、神経細胞保護、および/または神経細胞再生(または生成)のための併用投与用キットを提供する。前記併用投与用薬学組成物またはキットに含まれているオニノダケ抽出物とブロッコリー抽出物は、共に剤形化された形態(例えば、混合物形態)であるか、それぞれ剤形化されて1つの投与単位に含まれている形態であってもよい。他の例は、オニノダケ抽出物を神経疾患の予防および/または治療、神経細胞の保護、および/または神経細胞の再生(または生成)を必要とする対象に投与する段階、およびブロッコリー抽出物を前記対象に投与する段階を含む、神経疾患の予防および/または治療方法、神経細胞保護方法、および/または神経細胞再生(または生成)方法を提供する。前記オニノダケ抽出物の投与段階とブロッコリー抽出物の投与段階は、同時または順序に関係なく異時的に行われてもよい。
【0015】
前記オニノダケ抽出物は、オニノダケ(例えば、根)を、水および炭素数1~4の直鎖もしくは分枝状アルコールからなる群より選択された1種以上の抽出溶媒で抽出して得られたものであってもよい。一例において、前記オニノダケ抽出物は、オニノダケ(例えば、根)の40~100%(v/v)、50~100%(v/v)、60~100%(v/v)、70~100%(v/v)、80~100%(v/v)、90~100%(v/v)、92~100%(v/v)、94~100%(v/v)、95~100%(v/v)、96~100%(v/v)、97~100%(v/v)、または98~100%(v/v)エタノール水溶液(例えば、98%(v/v)エタノール水溶液(酒精))抽出物であってもよい。また、前記オニノダケ抽出物は、10~80℃、10~70℃、10~60℃、10~50℃、20~80℃、20~70℃、20~60℃、20~50℃、30~80℃、30~70℃、30~60℃、30~50℃、40~80℃、40~70℃、40~60℃、または40~50℃で抽出されたものであってもよい。
【0016】
本明細書に記載のオニノダケ抽出物は、抽出物総100gあたり、
(1)デクルシンの含有量が約2000mg以上、約2200mg以上、約2400mg以上、約2600mg以上、約2800mg以上、約2900mg以上、または約3000mg以上、例えば、2000~5000mg、2000~4500mg、2000~4000mg、2000~3500mg、2200~5000mg、2200~4500mg、2200~4000mg、2200~3500mg、2400~5000mg、2400~4500mg、2400~4000mg、2400~3500mg、2600~5000mg、2600~4500mg、2600~4000mg、2600~3500mg、2800~5000mg、2800~4500mg、2800~4000mg、2800~3500mg、2900~5000mg、2900~4500mg、2900~4000mg、2900~3500mg、3000~5000mg、3000~4500mg、3000~4000mg、または3000~3500mgであるか、および/または
【0017】
(2)デクルシノールアンゲレートの含有量が約1200mg以上、約1400mg以上、約1600mg以上、約1700mg以上、または約1800mg以上、例えば、1200~3000mg、1200~2800mg、1200~2600mg、1200~2400mg、1200~2200mg、1400~3000mg、1400~2800mg、1400~2600mg、1400~2400mg、1400~2200mg、1600~3000mg、1600~2800mg、1600~2600mg、1600~2400mg、1600~2200mg、1700~3000mg、1700~2800mg、1700~2600mg、1700~2400mg、1700~2200mg、1800~3000mg、1800~2800mg、1800~2600mg、1800~2400mg、または1800~2200mgであるか、および/または
【0018】
(3)ノダケニン(Nodakenin)の含有量が約800mg以上、約1000mg以上、約1200mg以上、約1500mg以上、約1700mg以上、約2000mg以上、約2200mg以上、約2400mg以上、約2500mg以上、または約2600以上、例えば、800~5000mg、800~4500mg、800~4000mg、800~3500mg、800~3200mg、1000~5000mg、1000~4500mg、1000~4000mg、1000~3500mg、1000~3200mg、1200~5000mg、1200~4500mg、1200~4000mg、1200~3500mg、1200~3200mg、1500~5000mg、1500~4500mg、1500~4000mg、1500~3500mg、1500~3200mg、1700~5000mg、1700~4500mg、1700~4000mg、1700~3500mg、1700~3200mg、2000~5000mg、2000~4500mg、2000~4000mg、2000~3500mg、2000~3200mg、2200~5000mg、2200~4500mg、2200~4000mg、2200~3500mg、2200~3200mg、2400~5000mg、2400~4500mg、2400~4000mg、2400~3500mg、2400~3200mg、2500~5000mg、2500~4500mg、2500~4000mg、2500~3500mg、2500~3200mg、2600~5000mg、2600~4500mg、2600~4000mg、2600~3500mg、または2600~3200mgであるか、および/または
【0019】
(4)ベータ-シトステロールの含有量が30mg以上、50mg以上、100mg以上、150mg以上、200mg以上、220mg以上、250mg以上、270mg以上、または300mg以上、例えば、30~1000mg、30~800mg、30~600mg、30~500mg、30~400mg、50~1000mg、50~800mg、50~600mg、50~500mg、50~400mg、100~1000mg、100~800mg、100~600mg、100~500mg、100~400mg、150~1000mg、150~800mg、150~600mg、150~500mg、150~400mg、200~1000mg、200~800mg、200~600mg、200~500mg、200~400mg、220~1000mg、220~800mg、220~600mg、220~500mg、220~400mg、250~1000mg、250~800mg、250~600mg、250~500mg、250~400mg、270~1000mg、270~800mg、270~600mg、270~500mg、270~400mg、300~1000mg、300~800mg、300~600mg、300~500mg、または300~400mg
であってもよい。
【0020】
前記ブロッコリー抽出物は、ブロッコリー、例えば、種子、新芽、花、全草などからなる群より選択された1つ以上の部位を、水および炭素数1~4の直鎖もしくは分枝状アルコールからなる群より選択された1種以上の抽出溶媒で抽出して得られたものであってもよい。一例において、前記ブロッコリー抽出物は、ブロッコリー(例えば、種子、新芽、花、全草など)の20~80%(v/v)、30~70%(v/v)、40~60%(v/v)、45~60%(v/v)、48~60%(v/v)、40~55%(v/v)、45~55%(v/v)、48~55%(v/v)、40~52%(v/v)、45~52%(v/v)、または48~52%(v/v)エタノール抽出物であってもよい。また、前記ブロッコリー抽出物は、有効成分の含有量の抽出に有利となるように、抽出時のpHを、例えば、7~9、7.5~9、7.8~9、7~8.5、7.5~8.5、7.8~8.5、7~8.2、7.5~8.2、または7.8~8.2に調節して得られたものであってもよい。ブロッコリーを前記pH範囲で抽出することによって、抽出物中の有効成分の含有量が高い抽出物を得ることができる。前記抽出pHは、ブロッコリーに抽出溶媒と共にpH調節剤を添加して調節可能である。一例において、前記pH調節剤は、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウムなどからなる群より選択された1種以上であってもよいが、これに限定されるものではなく、pHを前記範囲に調節できるすべての物質の中から選択可能である。また、前記ブロッコリー抽出物は、10~80℃、10~70℃、10~60℃、10~50℃、20~80℃、20~70℃、20~60℃、20~50℃、30~80℃、30~70℃、30~60℃、30~50℃、30~45℃、35~60℃、35~50℃、35~45℃、35~60℃、35~50℃、35~45℃、40~80℃、40~70℃、40~60℃、または40~50℃で抽出されたものであってもよい。
【0021】
前記オニノダケおよびブロッコリーの混合物の抽出物は、オニノダケ(根)およびブロッコリー(種子、新芽、花、全草など)の混合物を、水および炭素数1~4の直鎖もしくは分枝状アルコールからなる群より選択された1種以上の抽出溶媒で抽出して得られたものであってもよい。
【0022】
一例において、前記オニノダケおよびブロッコリーの混合抽出物は、
(1)(i)オニノダケ(根)の40~100%(v/v)、50~100%(v/v)、60~100%(v/v)、70~100%(v/v)、80~100%(v/v)、90~100%(v/v)、92~100%(v/v)、94~100%(v/v)、95~100%(v/v)、96~100%(v/v)、97~100%(v/v)、または98~100%(v/v)エタノール水溶液(例えば、98%(v/v)エタノール水溶液(酒精))抽出物と、(ii)ブロッコリー(例えば、種子、新芽、花、全草など)の20~80%(v/v)、30~70%(v/v)、40~60%(v/v)、45~60%(v/v)、48~60%(v/v)、40~55%(v/v)、45~55%(v/v)、48~55%(v/v)、40~52%(v/v)、45~52%(v/v)、または48~52%(v/v)エタノール水溶液(例えば、50%(v/v)エタノール水溶液)抽出物(任意に、pH7~9、7.5~9、7.8~9、7~8.5、7.5~8.5、7.8~8.5、7~8.2、7.5~8.2、または7.8~8.2の条件で抽出された抽出物)の混合物、または
【0023】
(2)オニノダケ(根)およびブロッコリー(例えば、種子、新芽、花、全草など)の混合物の40~100%(v/v)、45~100%(v/v)、48~100%(v/v)、50~100%(v/v)、60~100%(v/v)、70~100%(v/v)、80~100%(v/v)、90~100%(v/v)、92~100%(v/v)、94~100%(v/v)、95~100%(v/v)、96~100%(v/v)、97~100%(v/v)、または98~100%(v/v)エタノール水溶液抽出物、
【0024】
(3)またはこれらの組み合わせ
であってもよい。
【0025】
また、前記抽出物または混合抽出物は、10~80℃、10~70℃、10~60℃、10~50℃、20~80℃、20~70℃、20~60℃、20~50℃、30~80℃、30~70℃、30~60℃、30~50℃、40~80℃、40~70℃、40~60℃、または40~50℃で抽出されたものであってもよい。
【0026】
前記オニノダケ抽出物およびブロッコリーの混合抽出物中のオニノダケ抽出物とブロッコリー抽出物との混合比、またはオニノダケおよびブロッコリーの混合物中のオニノダケとブロッコリーとの混合比は、1:0.1~10、1:0.1~5、1:0.1~4、1:0.1~3、1:0.1~2.5、1:0.1~2.2、1:0.2~10、1:0.2~5、1:0.2~4、1:0.2~3、1:0.2~2.5、1:0.2~2.2、1:0.5~10、1:0.5~5、1:0.5~4、1:0.5~3、1:0.5~2.5、1:0.5~2.2、1:0.5~2、1:0.7~10、1:0.7~5、1:0.7~4、1:0.7~3、1:0.7~2.5、1:0.7~2.2、1:0.7~2、1:1~10、1:1~5、1:1~4、1:1~3、1:1~2.5、1:1~2.2、1:1~2、1:1.2~10、1:1.2~5、1:1.2~4、1:1.2~3、1:1.2~2.5、1:1.2~2.2、1:1.2~2、1:1.5~10、1:1.5~5、1:1.5~4、1:1.5~3、1:1.5~2.5、1:1.5~2.2、1:1.5~2、1:1.7~10、1:1.7~5、1:1.7~4、1:1.7~3、1:1.7~2.5、1:1.7~2.2、または1:1.7~2(以上、オニノダケの重量またはオニノダケ抽出物の固形分の重量:ブロッコリーの重量またはブロッコリー抽出物の固形分の重量)であってもよい。前記固形分の重量は、抽出物の溶媒成分を除去して残る固形物の重量を意味する。これは、前記混合物がオニノダケ抽出物およびブロッコリー抽出物の混合物の場合、前記混合比が抽出物の性状および/または濃度に影響を受けないように抽出溶媒を除去した有効成分の重量間の比率を意味することを表すために使用された用語である。
【0027】
前記薬学組成物中の有効成分として含まれているオニノダケ抽出物、またはオニノダケおよびブロッコリーの混合抽出物は、乾燥物、濃縮物、または濃縮乾燥物形態であってもよい。
【0028】
前記薬学組成物中の有効成分として含まれているオニノダケおよびブロッコリーの混合抽出物の含有量は、使用形態および目的、患者の状態、症状の種類および軽重などに応じて適切に調節可能であり、固形分の重量ベースで、0.001~99.9重量%、0.01~99.9重量%、0.1~99.9重量%、1~99.9重量%、10~99.9重量%、30~99.9重量%、40~99.9重量%、50~99.9重量%、0.001~90重量%、0.01~90重量%、0.1~90重量%、1~90重量%、10~90重量%、30~90重量%、40~90重量%、50~90重量%、0.001~70重量%、0.01~70重量%、0.1~70重量%、1~70重量%、10~70重量%、30~70重量%、40~70重量%、50~70重量%、0.001~50重量%、0.01~50重量%、0.1~50重量%、1~50重量%、10~50重量%、30~50重量%、または40~50重量%であってもよいが、これに限定されない。固形分の重量とは、先に説明したように、抽出物から溶媒成分を除去した固形物の重量を意味する。
【0029】
本明細書に使用されたものとして、退行性神経疾患は、神経細胞の死滅、減少、機能低下または機能消失などによって運動調節能力、認知機能、知覚機能、感覚機能、自律神経の機能に異常を見せるすべての疾病の中から選択されたものであってもよい。例えば、退行性神経疾患は、痴呆(例えば、アルツハイマー病(Alzheimer’s disease;AD)、血管性痴呆、混合性痴呆、ルイ小体痴呆、前頭側頭葉痴呆など)、パーキンソン病(Parkinson’s disease;PD)、ハンチントン病、筋萎縮性側塞硬化症(Amyotrophic lateral sclerosis;ルーゲリック病)などからなる群より選択可能である。
【0030】
本明細書で提供される薬学組成物の投与対象(例えば、退行性神経疾患の予防または治療を必要とする患者または神経細胞の保護または神経細胞の再生を必要とする患者など)は、ヒト、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ヤギ、ウサギ、マウス、ラットなどを含む哺乳動物、またはこれから分離された細胞、組織、またはその培養物などからなる群より選択可能である。また、前記薬学組成物は、多様な経路で投与可能である。投与方式は、通常使用されるすべての方式であってもよいし、例えば、経口投与、または静脈投与、筋肉投与、皮下投与、腹膜内投与、病変部位(例えば、脳、脊髄など)の局所投与のような非経口投与であってもよい。前記薬学組成物は、通常の方法によって、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁液、エマルジョン、シロップ、エアゾールなどの経口型剤形、経皮剤、坐剤および滅菌注射溶液の形態の非経口剤形などに剤形化して使用できる。
【0031】
前記薬学組成物は、前記抽出物のほか、薬剤学的に適合し生理学的に許容される担体、賦形剤、および/または希釈剤などの補助剤を追加的に含有するものであってもよい。前記担体、賦形剤、または希釈剤の例として、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、デンプン、アカシアガム、アルギネート、ゼラチン、カルシウムホスフェート、カルシウムシリケート、セルロース、メチルセルロース、微晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、水、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、マグネシウムステアレートおよび鉱物油などからなる群より選択された1種以上が挙げられる。製剤化する場合には、通常使用する充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、界面活性剤などからなる群より選択された1種以上の希釈剤または賦形剤を使用することができる。経口投与のための固形製剤には、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、シロップ剤、粉末剤、懸濁剤などからなる群より選択された1種以上が含まれ、このような固形製剤は、前記抽出物に少なくとも1つ以上の賦形剤、例えば、デンプン、カルシウムカーボネート、スクロース、ラクトース、ゼラチンなどからなる群より選択された1種以上を混合して調製されてもよい。また、単純な賦形剤のほか、マグネシウムスチレートタルクのような潤滑剤も使用される。経口投与のための液状製剤としては、懸濁剤、内用液剤、乳剤、シロップ剤などからなる群より選択された1種以上が該当するが、よく使用される単純希釈剤である水、リキッドパラフィンのほか、様々な賦形剤、例えば、湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などからなる群より選択された1種以上が含まれる。非経口投与のための製剤には、滅菌された水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤、坐剤、経皮剤などからなる群より選択された1種以上が含まれる。非水性溶剤、懸濁剤としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブオイルのような植物性油、エチルオレエートのような注射可能なエステルなどからなる群より選択された1種以上が使用できる。
【0032】
前記薬学組成物は、薬学的有効量で投与可能である。前記薬学的組成物の投与量は、製剤化方法、投与方式、患者の年齢、体重、性別、病的状態、飲食、投与時間、投与間隔、投与経路、排泄速度および反応感応性のような要因によって多様に処方可能である。投与用量は、患者の年齢、体重、性別、投与形態、健康状態および疾患の程度に応じて異なり、医師または薬剤師の判断により一定時間間隔で1日1回~数回に分割投与してもよい。例えば、薬学組成物の1回または1日投与量は、有効成分(オニノダケおよびブロッコリーの混合抽出物)の固形分の重量ベースで、0.001~10000mg/kg、具体的には、0.01~10000mg/kg、0.01~5000mg/kg、0.01~3000mg/kg、0.01~2500mg/kg、0.01~2000mg/kg、0.01~1800mg/kg、0.1~10000mg/kg、0.1~5000mg/kg、0.1~3000mg/kg、0.1~2500mg/kg、0.1~2000mg/kg、0.1~1800mg/kg、1~10000mg/kg、1~5000mg/kg、1~3000mg/kg、1~2500mg/kg、1~2000mg/kg、1~1800mg/kg、10~10000mg/kg、10~5000mg/kg、10~3000mg/kg、10~2500mg/kg、10~2000mg/kg、10~1800mg/kg、100~10000mg/kg、100~5000mg/kg、100~3000mg/kg、100~2500mg/kg、100~2000mg/kg、または100~1800mg/kgの範囲であってもよいが、これに限定されるものではない。前記1回または1日投与量は、単位用量形態で1つの製剤に製剤化されるか、適切に分量して製剤化されるか、多用量容器内に入れて製造されてもよい。前記投与量は平均的な場合を例示したものであって、個人的な違いによってその投与量が高いか、低くてよい。
【0033】
他の例は、オニノダケ抽出物、またはオニノダケおよびブロッコリーの混合抽出物を製造する段階を含む退行性神経疾患の予防、治療および/または改善効果を有する組成物の製造方法を提供する。
【0034】
前記オニノダケ抽出物を製造する段階は、オニノダケ(例えば、根)を、10~80℃、10~70℃、10~60℃、10~50℃、20~80℃、20~70℃、20~60℃、20~50℃、30~80℃、30~70℃、30~60℃、30~50℃、40~80℃、40~70℃、40~60℃、または40~50℃で、1~10容積倍、2~8容積倍、または4~6容積倍の水、および炭素数1-4の直鎖もしくは分枝状アルコール(例えば、エタノール)からなる群より選択された1種以上、例えば、90~100%(v/v)、92~100%(v/v)、94~100%(v/v)、95~100%(v/v)、96~100%(v/v)、97~100%(v/v)、または98~100%(v/v)エタノール水溶液(例えば、98(v/v)エタノール水溶液(酒精))で抽出する段階を含むことができる。
【0035】
オニノダケおよびブロッコリーの混合抽出物を製造する段階は、1)オニノダケ抽出物とブロッコリー抽出物とを混合する段階、または2)オニノダケとブロッコリーとを混合した混合物を抽出溶媒で抽出する段階を含むことができる。前記抽出する段階に使用された抽出溶媒および抽出温度は、上記のオニノダケおよびブロッコリーの混合抽出物に関する説明を参照することができる。
【0036】
例えば、前記1)オニノダケ抽出物とブロッコリー抽出物とを混合する段階は、
i)オニノダケ(例えば、根)を、10~80℃、10~70℃、10~60℃、10~50℃、20~80℃、20~70℃、20~60℃、20~50℃、30~80℃、30~70℃、30~60℃、30~50℃、40~80℃、40~70℃、40~60℃、または40~50℃で、1~10容積倍、2~8容積倍、または4~6容積倍の水、および炭素数1-4の直鎖もしくは分枝状アルコール(例えば、エタノール)からなる群より選択された1種以上、例えば、90~100%(v/v)、92~100%(v/v)、94~100%(v/v)、95~100%(v/v)、96~100%(v/v)、97~100%(v/v)、または98~100%(v/v)エタノール水溶液(例えば、98%(v/v)エタノール水溶液(酒精))で抽出する段階、
【0037】
ii)ブロッコリー(例えば、種子、新芽、花、全草など)を、10~80℃、10~70℃、10~60℃、10~50℃、20~80℃、20~70℃、20~60℃、20~50℃、30~80℃、30~70℃、30~60℃、30~50℃、30~45℃、35~60℃、35~50℃、35~45℃、35~60℃、35~50℃、または35~45℃で、1~10容積倍、2~8容積倍、または4~6容積倍の水、および炭素数1-4の直鎖もしくは分枝状アルコール(例えば、エタノール)からなる群より選択された1種以上、例えば、20~80%(v/v)、30~70%(v/v)、40~60%(v/v)、45~60%(v/v)、48~60%(v/v)、40~55%(v/v)、45~55%(v/v)、48~55%(v/v)、40~52%(v/v)、45~52%(v/v)、または48~52%(v/v)エタノール水溶液(例えば、50%(v/v)エタノール水溶液)で抽出する段階、および
【0038】
iii)前記段階i)で抽出されたオニノダケ抽出物と、段階ii)で抽出されたブロッコリー抽出物とを混合する段階
を含むことができる。
【0039】
前記段階ii)のブロッコリー抽出物の製造段階は、任意に、ブロッコリーと抽出溶媒との混合物のpHを7~9、7.5~9、7.8~9、7~8.5、7.5~8.5、7.8~8.5、7~8.2、7.5~8.2、または7.8~8.2を調節して行うものであってもよいし、前記pHは、通常のpH調節剤を添加して調節可能であり、前記pH調節剤は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムなどからなる群より選択された1種以上を含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0040】
前記段階i)のオニノダケ抽出物の製造段階と、段階ii)のブロッコリー抽出物の製造段階は、同時または順序に関係なく異時的に行われてもよい。
【0041】
前記2)オニノダケとブロッコリーとを混合した混合物を抽出溶媒で抽出する段階は、i’)オニノダケとブロッコリーとを混合して混合物を製造する段階、およびii’)前記混合物を、10~80℃、10~70℃、10~60℃、10~50℃、20~80℃、20~70℃、20~60℃、20~50℃、30~80℃、30~70℃、30~60℃、30~50℃、40~80℃、40~70℃、40~60℃、または40~50℃で、1~10容積倍、2~8容積倍、または4~6容積倍の水、および炭素数1-4の直鎖もしくは分枝状アルコール(例えば、エタノール)からなる群より選択された1種以上、例えば、40~100%(v/v)、45~100%(v/v)、48~100%(v/v)、50~100%(v/v)、60~100%(v/v)、70~100%(v/v)、80~100%(v/v)、90~100%(v/v)、92~100%(v/v)、94~100%(v/v)、95~100%(v/v)、96~100%(v/v)、97~100%(v/v)、または98~100%(v/v)エタノール水溶液で抽出する段階を含むことができる。
【0042】
前記オニノダケ抽出物とブロッコリー抽出物との混合比、またはオニノダケとブロッコリーとの混合比は、先に説明した通りである。
【0043】
前記オニノダケ抽出物/ブロッコリー抽出物の抽出段階の抽出時間は、抽出が十分に行われる時間であれば十分であり、1時間以上、2時間以上、3時間以上、または4時間以上、例えば、1~24時間、2~24時間、3~24時間、4~24時間、1~12時間、2~12時間、3~12時間、4~12時間、1~6時間、2~6時間、3~6時間、または4~6時間程度に設定することができるが、これに限定されるものではない。
【0044】
前記方法に使用された抽出過程は、通常使用されるすべての抽出方法により行われ、例えば、熱水抽出、超音波抽出、還流抽出法などからなる群より選択された1種以上の方法により行われてもよいが、これに限定されるものではない。前記方法は、前記抽出過程の後に、任意に抽出物を通常の方法で乾燥および/または濃縮する段階を追加的に含むことができる。
【0045】
他の例は、オニノダケ抽出物、またはオニノダケおよびブロッコリーの混合抽出物を含有する退行性神経疾患の予防および/または改善用、神経細胞保護用、および/または神経細胞再生(または生成)用健康機能性食品を提供する。
【0046】
前記健康機能性食品は、日常の食事で欠乏しやすい栄養素や人体に有用な機能を有する原料や成分(以下、「機能性原料」)を用いて製造した食品で、健康を維持したり、所定の疾病または症状を予防および/または改善するのに役立つすべての食品を意味し、最終製品の形態には特別な制限がない。例えば、前記健康機能性食品は、各種食品、飲料組成物、食品添加剤などからなる群より選択されたものであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0047】
前記健康機能性食品に含有されたオニノダケ抽出物、またはオニノダケおよびブロッコリーの混合抽出物の含有量は、食品の形態、所望の用途などに応じて適切に特別な制限がなく、例えば、全体食品重量の0.001~99重量%、0.01~99重量%、0.01~95重量%、0.01~90重量%、0.01~80重量%、0.01~50重量%、0.1~99重量%、0.1~95重量%、0.1~90重量%、0.1~80重量%、0.1~50重量%、1~99重量%、1~95重量%、1~90重量%、1~80重量%、1~50重量%、10~99重量%、10~95重量%、10~90重量%、10~80重量%、10~50重量%、25~99重量%、25~95重量%、25~90重量%、25~80重量%、25~50重量%、40~99重量%、40~95重量%、40~90重量%、40~80重量%、40~50重量%、50~99重量%、50~95重量%、50~90重量%、50~80重量%、60~99重量%、60~95重量%、60~90重量%、または60~80重量%であってもよい。
【0048】
前記健康機能性食品は、様々な栄養剤、ビタミン、鉱物(電解質)、合成風味剤または天然風味剤などの風味剤、着色剤、充填剤(チーズ、チョコレートなど)、ペクチン酸またはその塩、アルギン酸またはその塩、有機酸、保護性コロイド増粘剤、pH調節剤、安定化剤、防腐剤、グリセリン、アルコール、炭酸飲料に使用される炭酸化剤などからなる群より選択された1種以上を追加的に含有することができる。このような添加剤の比率は、全体健康機能性食品100重量部あたり0.001~約20重量部の範囲から選択されることが一般的であるが、これに限定されるものではない。
【発明の効果】
【0049】
オニノダケ抽出物、およびオニノダケおよびブロッコリーの混合抽出物の神経細胞の保護効果と神経細胞の再生(または生成)効果を提案することによって、退行性神経疾患の予防と治療のすべてにおいて優れた効果を有する、新たな治療法を提案する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1】マウスモデルにおいてベータ-アミロイドによる神経損傷の誘発に対する抽出物の神経保護効果を確認する試験を行うための、ベータ-アミロイドおよび混合抽出物の投与日程を示す模式図である。
【
図2】一実施例による抽出物投与後にベータ-アミロイドが投与されたマウスの海馬組織のCV(cresyl violet acetate)染色の結果を示す写真である。
【
図3】
図2の染色された海馬組織を定量化した結果を示すグラフである。
【
図4】アルツハイマー病マウスモデル(3X-TG)に一実施例による抽出物投与した場合のBDNF(brain-derived neurotrophic factor)の発現程度をウェスタンブロットにより確認した結果を示す。
【
図5】
図4のウェスタンブロットで確認されたBDNFの発現程度(BDNFの発現量/ベータ-アクチンの発現量)をWestern blot densitometry analysisにより定量した結果を示すグラフである。
【
図6】アルツハイマー病マウスモデル(3X-TG)に一実施例による抽出物投与した場合のMAP2(microtubule-associated protein2)、Synap(synaptophysin)、およびPSD-95(postsynaptic density protein-95)の発現程度をウェスタンブロットにより確認した結果を示す。
【
図7】
図6のウェスタンブロットで確認されたMAP2の発現程度(MAP2の発現量/ベータ-アクチンの発現量)をWestern blot densitometry analysisにより定量した結果を示すグラフである。
【
図8】
図6のウェスタンブロットで確認されたSynapの発現程度(Synapの発現量/ベータ-アクチンの発現量)をWestern blot densitometry analysisにより定量した結果を示すグラフである。
【
図9】
図6のウェスタンブロットで確認されたPSD-95の発現程度(PSD-95の発現量/ベータ-アクチンの発現量)をWestern blot densitometry analysisにより定量した結果を示すグラフである。
【
図10】アルツハイマー病マウスモデル(3X-TG)に一実施例による抽出物投与した場合のTrkB(tyrosine kinase receptor B)の発現程度をウェスタンブロットにより確認した結果を示す。
【
図11】
図10のウェスタンブロットで確認されたTrkBの発現程度(TrkBの発現量/ベータ-アクチンの発現量)をWestern blot densitometry analysisにより定量した結果を示すグラフである。
【
図12】アルツハイマー病マウスモデル(3X-TG)に一実施例による抽出物投与した場合のCAMKII(Ca
2+/calmodulin-dependent protein kinase II)の発現程度をウェスタンブロットにより確認した結果を示す。
【
図13】
図12のウェスタンブロットで確認されたリン酸化されたCAMKIIの発現程度(リン酸化CAMKIIの発現量/非リン酸化CAMKIIの発現量)をWestern blot densitometry analysisにより定量した結果を示すグラフである。
【
図14】アルツハイマー病マウスモデル(3X-TG)に一実施例による抽出物投与した場合のERK(extracellular signal-regulated kinase)の発現程度をウェスタンブロットにより確認した結果を示す。
【
図15】
図14のウェスタンブロットで確認されたリン酸化されたERKの発現程度(リン酸化ERKの発現量/非リン酸化ERKの発現量)をWestern blot densitometry analysisにより定量した結果を示すグラフである。
【
図16】アルツハイマー病マウスモデル(3X-TG)に一実施例による抽出物投与した場合のAkt(RAC-alpha serine/threonine-protein kinase)の発現程度をウェスタンブロットにより確認した結果を示す。
【
図17】
図16のウェスタンブロットで確認されたリン酸化されたAktの発現程度(リン酸化Aktの発現量/非リン酸化Aktの発現量)をWestern blot densitometry analysisにより定量した結果を示すグラフである。
【
図18】アルツハイマー病マウスモデル(3X-TG)に一実施例による抽出物投与した場合のCREB(cAMP-responsive element-binding protein)の発現程度をウェスタンブロットにより確認した結果を示す。
【
図19】
図18のウェスタンブロットで確認されたリン酸化されたCREBの発現程度(リン酸化CREBの発現量/非リン酸化CREBの発現量)をWestern blot densitometry analysisにより定量した結果を示すグラフである。
【
図20】多様な濃度の抽出溶媒で抽出した抽出物投与後にベータ-アミロイドが投与されたマウスの海馬組織のCV(cresyl violet acetate)染色の結果を示す写真である。
【
図21】
図20で染色された海馬組織を定量化した結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、これは例示的なものに過ぎず、本発明の範囲を制限しようとするものではない。以下に記載の実施例は発明の本質的な要旨を逸脱しない範囲で変形できることは当業者にとって自明である。
【実施例】
【0052】
実施例1:抽出物の製造
1.1.オニノダケ抽出物の製造
1.1.1.98%エタノール抽出物の製造
オニノダケ(Angelica gigas Nakai)根を清潔な水を用いて洗浄した後、十分に乾燥した。乾燥したオニノダケ根を破砕して得られた粉末100gに、5容積倍(500ml)のエタノール(98%(v/v)エタノール(酒精))を添加し、40~60℃で4時間以上抽出した後、1um(micrometer)のフィルタでろ過したろ液を元の重量の10重量%になるまで加温濃縮した。前記得られた濃縮物に結晶セルロースを徐々に加えながら濃縮し続けて完全に乾燥させた後、粉末化してオニノダケエタノール抽出物粉末を製造した(以下、AGEと名付ける)。
【0053】
1.1.2.90%エタノール抽出物の製造
オニノダケ(Angelica gigas Nakai)根を清潔な水を用いて洗浄した後、十分に乾燥した。乾燥したオニノダケ根を破砕して得られた粉末100gに、5容積倍(500ml)のエタノール(90%(v/v))を添加し、40~60℃で4時間以上抽出した後、1um(micrometer)のフィルタでろ過したろ液を元の重量の10重量%になるまで加温濃縮した。前記得られた濃縮物に結晶セルロースを徐々に加えながら濃縮し続けて完全に乾燥させた後、粉末化してオニノダケエタノール抽出物粉末を製造した。
【0054】
1.2.ブロッコリー抽出物の製造
ブロッコリー(Brassica oleracea var.italica)の全草を清潔な水を用いて洗浄した後、十分に乾燥した。乾燥したブロッコリーを破砕して得られた粉末100gに、5倍容積倍(500ml)の50%(v/v)エタノールを添加し、NaOHをpHが8になるまで添加した。その後、40℃で3時間以上3回抽出した後、1um(micrometer)のフィルタでろ過したろ液を元の重量の10重量%になるまで加温濃縮した。前記得られた濃縮物を濃縮し続けて完全に乾燥させた後、粉末化してブロッコリーエタノール抽出物粉末を製造した(以下、BKEと名付ける)。
【0055】
1.3.試験動物の用意
実験に使用したすべての動物(ICR miceおよび3X-TG mice)は、午前7時から午後7時まで12時間ずつ光を加える一定の明暗周期、22℃~25℃の温度、および60%の湿度条件で飼育した。水と餌を自由に摂取させ、一般的なペレット乾燥飼料を使用した。
【0056】
実施例2:神経保護活性試験
ベータ-アミロイド
1-42(American Peptide、USA)とベータ-アミロイド
42-1(Bachem、Switzerland)を滅菌された0.1Mのphosphate-buffered saline(pH7.4)に37μg/μlの濃度に溶かし、分取液を使用する前まで-20℃で保管した。一方、前記実施例1.3で用意された正常マウス(ICR mice;体重18-26g、各群あたり5匹)を、実施例1.1.1で用意されたオニノダケエタノール抽出物(AGE)200mg/kg、実施例1.2で用意されたブロッコリーエタノール抽出物(BKE)400mg/kg、または前記オニノダケエタノール抽出物(AGE)200mg/kgとブロッコリーエタノール抽出物(BKE)400mg/kgとの混合物を蒸留水10mlに溶かして、毎日1回ずつ4週間投与した。比較のために、前記抽出物の代わりに蒸留水を10mlの量で投与した群を対照群として用意した。前記抽出物が4週間投与されたマウスのbregmaに26-gaugeの針が装着された50μlのHamilton microsyringeを用いて2.4mmの深さに注射して、前記用意されたベータ-アミロイド
1-42とベータ-アミロイド
42-1をそれぞれ5μlの量で投与した。前記試験過程を
図1に模式的に示した。
【0057】
前記のように4週(28日)間抽出物投与後にベータ-アミロイド投与されたマウスに対して、ベータ-アミロイド投与後3日目に、窒素と酸素とが7:3の比率で混合されたガスに、3%(v/v)イソフルラン(isoflurane、Baxtor、USA)を混合したガスを用いて、実験動物を全身麻酔した。前記窒素と酸素との混合ガスに、2.5%(v/v)イソフルランを混合したガスを用いて、実験動物の麻酔状態を維持しながら実験動物に対する手術を行った。チオペンタールソジウム(thiopental sodium、柳韓洋行、大韓民国)を体重1kgあたりそれぞれ30mgの用量で腹腔内注射して麻酔させた後、1,000mlあたりヘパリン1,000IUを含有した4℃の生理食塩水を左心室に注入して灌流洗浄した。前記灌流洗浄が完了した前記動物に対して、4℃の4%(w/v)パラホルムアルデヒド(in 0.1M phosphate buffer;PB)、pH7.4)を用いて灌流固定を行った。
【0058】
骨切断機を用いて灌流固定の終わった前記実験動物の頭骨の空間を開放して脳を摘出した。前記摘出された実験動物の脳を常温で撹拌機を用いて4℃の4%パラホルムアルデヒド(0.1Mリン酸緩衝液(in 0.1M phosphate buffer;PB)、pH7.4)溶液で4時間後固定した。前記後固定の終わった脳は30%(w/v)スクロース溶液(in 0.1Mリン酸緩衝液(phosphate buffer))に入れて底に沈むまで沈降させた後、スライドミクロトーム(sliding microtome、Reichert-Jung、Germany)で前記脳組織を30μmの厚さに切断して組織切片を作った。前記組織切片を保存液(storing solution)入りの6well plateに入れて、染色を行うまで4℃で保管した。
【0059】
前記用意された組織切片中で海馬形成体(hippocampal formation)がよく出ている組織を選択し、組織切片に付いている保存液を無くすために0.01M PBS(pH7.4)で10分ずつ3回洗浄した。洗浄された組織切片をゼラチンがコーティングされたスライドガラスに塗抹して、37℃で十分に乾燥させた。前記組織切片を蒸留水にしばらく浸漬しておいた後、2%(w/v)クレシルバイオレットアセテート(cresyl violet acetate、Sigma、USA)溶液に1分間浸漬して、前記組織切片を染色した。次に、前記染色した組織切片を流れる水に十分に洗浄してスライドに付いている過剰の染料を除去し、蒸留水にしばらく浸漬した後に、50%(v/v)、70%(v/v)、80%(v/v)、90%(v/v)、95%(v/v)、および100%(v/v)エタノール溶液で順次に処理して脱水および過剰のクレシルバイオレット洗浄を行った。前記組織切片でニッスル小体 (Nissl body)が見えることを確認した後、キシレン(Junsey、日本)に浸漬して透明化した後、カナダバルサム(Canada balsam、Kanto、日本)で封入した。
【0060】
正常群(ICR mice;ベータ-アミロイド未処理)、対照群(抽出物未処理およびベータ-アミロイド処理)および実験群(抽出物処理およびベータ-アミロイド処理)の各組織は、デジタルカメラ(Axiocam、Cal Zeiss、Germany)付きのアクシオM1顕微鏡(AxioM1 microscope、Carl Zeiss、ドイツ)で全体海馬領域を40倍、CA1領域を20倍にそれぞれ拡大して各組織切片を写真撮影し、全体海馬領域を撮影した写真を
図2に示した。また、
図2で測定された海馬領域を染色後、顕微鏡を用いて定量化した結果を対照群に対する相対値として
図3に示した。
【0061】
図2および
図3のように、対照群(抽出物未処理およびベータ-アミロイド処理)と比較して、抽出物を処理した後、ベータ-アミロイドを処理した群における海馬領域の保護効果に優れていることが確認され、特に、オニノダケ抽出物(AGE)処理群、およびオニノダケ抽出物(AGE)とブロッコリー抽出物(BKE)を共に処理した群において、正常群と類似する程度の優れた海馬領域の保護効果が観察された。このような結果は、オニノダケ抽出物、およびオニノダケおよびブロッコリーの混合抽出物が神経毒性物質による神経損傷に対して神経保護効果を有することを示し、さらに前記神経毒性物質によって誘発される退行性神経疾患に予防効果を有することを示す。
【0062】
実施例3:神経再生活性試験
遺伝子操作によりアルツハイマー病が誘導されたマウス(3xTg-AD、triple-transgenic mouse model of AD、12月齢、以下、「3X-TG mice」;THE JACKSON LABORATORY(USA);female、各群あたり4匹、体重約40g)を購入して使用した。前記マウスはPlaquesとtangleをますます発現させ、学習能力と記憶力の欠損を示した。
【0063】
前記用意された12月齢の3X-TG miceに対して6週間経口投与で実施例1.1.1で用意されたオニノダケエタノール抽出物(AGE)200mg/kg、および/または実施例1.2で用意されたブロッコリーエタノール抽出物(BKE)400mg/kgを蒸留水10mlに溶かして、6週間週6回単独または併用投与した。比較のために、前記抽出物の代わりに蒸留水10mlが投与された群を対照群として用意した。正常群としてB6129SF2/Jマウス(female;4匹、体重40g;THE JACKSON LABORATORY(USA))を用いて同一の試験を行った。
【0064】
免疫組織化学的分析のために、前記6週間抽出物が投与されたマウスを麻酔させ、0.01MのPBSと4%(w/v)paraformaldehyde(PFA)で心内灌流させた。脳を除去して2日間4%(w/v)PFAで事後固定させ、30%(w/v)スクロースを含むPBSで2日間凍結保存させた。粉末ドライアイス上で凍結させ、使用時まで-80℃で保管した。その後、神経の再生に関連するバイオマーカーの変化を下記のようにWestern blot analysisで確認した。
【0065】
具体的には、前記Western blot analysisは次のように行った:
前記凍結されて用意された脳組織と細胞を放射免疫沈殿(radioimmunoprecipitation)分析buffer(Cell Signaling Technology、Beverly、MIA、USA)に均質化し、タンパク質分析試薬(Bio-Rad、Hercules、CA、USA)を用いて脳(神経)細胞の生成を確認できるバイオマーカータンパク質の濃度を測定した。タンパク質は10%(w/v)sodium dodecyl sulfate polyacrylamide gelに電気泳動で分離し、electrophoretically transferredによってpolyvinylidene fluorideメンブレン(Millipore、Bellerica、MA、USA)に移した。前記メンブレンを5%(v/v)無脂肪粉乳または5%(v/v)FBSで遮断し、ベータ-actinなどのバイオマーカーに対する一次抗体で培養した。Horseradish-peroxidase-conjugated二次抗体で培養後、タンパク質バンドは強化されたchemiluminescence検出キット(GE Healthcare、St.Giles、UK)を用いて測定し、ImageJ software(National Institutes of Health、Bethesda、MD、USA)を用いて前記得られた結果を定量化した。
【0066】
本実施例で使用されたバイオマーカータンパク質とこれに対する抗体を下記の表1にまとめた:
【0067】
【0068】
前記各バイオマーカータンパク質で得られた電気泳動の結果およびこれを定量化した結果を
図4~
図19に示した。
【0069】
図4~
図19のように、対照群(抽出物未処理の3x-TG mice;「3x-TG mice」で表示)と比較して、抽出物を処理した3x-TG mice(「3x-TG mice+AGE」、「3x-TG mice+BKE」、および「3x-TG mice+AGE+BKE」)の大部分の場合において、正常群(「normal mice」または「Non-3x-TG mice」で表示)と類似する程度の神経細胞の生成効果が確認され、特に、ブロッコリー抽出物(BKE)処理群(「3x-TG mice+BKE」)、およびオニノダケ抽出物(AGE)とブロッコリー抽出物(BKE)を共に処理した群(「3x-TG mice+AGE+BKE」)で優れた神経細胞の生成効果が観察され、なかでも「3x-TG mice+AGE+BKE」における神経細胞の生成効果が特に優れていた。このような結果は、オニノダケ抽出物、ブロッコリー抽出物、およびオニノダケおよびブロッコリーの混合抽出物が神経損傷マウスモデル(例えば、アルツハイマー病マウスモデル)に対して神経生成(再生)効果を有することを示し、さらに前記神経損傷を有する退行性神経疾患(例えば、アルツハイマー病)に治療効果を有することを示す。
【0070】
実施例4:抽出条件による有効成分分析(HPLC)
4.1.検液の調製
前記実施例1.1.1で製造されたオニノダケ98%エタノール抽出物(表2の抽出物(1))、および実施例1.1.2で用意されたオニノダケ90%エタノール抽出物(表2の抽出物(2))を用意した。
【0071】
比較のために、前記実施例1.1.1を参照して、抽出溶媒の種類(エタノールまたは水)および濃度(30%、50%、75%、80%;w/v)を異ならせ、多様な温度条件で6種のオニノダケ抽出物(表2の抽出物(2)~(8))を製造した。
【0072】
前記用意されたそれぞれのオニノダケ抽出物を1gの量で正確に取って50mlのメスフラスコに入れた後、約30mlのメタノール(100%)を入れて溶解させた後、標線までメタノールで満たしてろ過した後、検液として使用した。
【0073】
4.2.標準液の調製
デクルシノール標準品(純度98%以上)10mg、デクルシン標準品(純度98%以上)5mg、デクルシンアンゲレート標準品(純度98%以上)5mgを取って25mlのフラスコに入れた後、100%メタノールを入れて溶解させた後、メタノールで標線を満たして標準液とする。この標準溶液から12.5-25-50-100-200μg/mlの濃度の標準溶液を製造して検量線の測定に用いた。
【0074】
4.3.HPLC操作条件
前記用意された検液および標準液を用いて下記の液体クロマトグラフィーの操作条件により試験して、デクルシン、デクルシノール、デクルシノールアンゲレートの含有量を計算した:
カラム:Cadenza CW C18、(150*4.6mm、3μm)またはこれと同等のカラム;
検出器:紫外線分光光度計(検出波長330nm);
流速:0.7ml/分;
移動相:Water(A%)、Acetonitril(B%)、0-5min(20、B)、5-6min(20→40、B)、6-22min(40→55、B)、22-23min(55→80、B)、23-25min(80、B)、25-27min(20、B);
試料注入量:10μl。
【0075】
4.4.結果
前記得られた各抽出物の成分分析の結果を下記の表2に示した。
【0076】
【0077】
前記表1から確認されるように、実施例1.1.1および1.1.2のオニノダケエタノール抽出物は、抽出条件(抽出溶媒の濃度、種類、抽出温度など)が異なる他の抽出物と比較して、抽出物中の有用化合物の含有量が顕著に高いことを確認できる。
【0078】
実施例5:抽出溶媒(エタノール)の濃度に応じた神経保護活性試験
前記実施例4で用意された多様な抽出条件で得られたオニノダケ抽出物中で、98%(w/v)エタノール抽出物(抽出物(1);実施例1.1.1の抽出物)および90%(w/v)エタノール抽出物(抽出物(2);実施例1.1.2の抽出物)と、80%(w/v)エタノール抽出物(抽出物(4);引用発明1の抽出物INM-176に相当)、75%(w/v)エタノール抽出物(抽出物(5))、および50%(w/v)エタノール抽出物(抽出物(6))の神経保護活性を試験した(前記抽出物の抽出温度:40~60℃)。神経保護活性試験は前記実施例2の試験過程を参照して行った。
【0079】
前記得られた海馬組織のCV(cresyl violet acetate)染色の結果を下記の
図20に示し、染色された海馬組織の定量結果を
図21に示した。
【0080】
図20および
図21に示されるように、98%エタノール抽出物(抽出物(1))および90%エタノール抽出物(抽出物(2))は、前記抽出溶媒の濃度範囲を外れる条件の抽出物と比較して、神経保護活性に優れていることを確認できる。