(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-23
(45)【発行日】2023-07-03
(54)【発明の名称】最適化器、太陽光発電システム、及び太陽電池モジュールのためのIV曲線スキャニング方法
(51)【国際特許分類】
H02S 50/00 20140101AFI20230626BHJP
G05F 1/67 20060101ALI20230626BHJP
【FI】
H02S50/00
G05F1/67 A
(21)【出願番号】P 2021552869
(86)(22)【出願日】2020-06-03
(86)【国際出願番号】 CN2020094176
(87)【国際公開番号】W WO2021057075
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2021-09-06
(31)【優先権主張番号】201910901754.7
(32)【優先日】2019-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521531171
【氏名又は名称】ファーウェイ デジタル パワー テクノロジーズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ドーン
(72)【発明者】
【氏名】シー,レイ
(72)【発明者】
【氏名】ワーン,ジャオホゥイ
【審査官】吉岡 一也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0234051(US,A1)
【文献】特開2019-161813(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02S 50/00ー50/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
変換ユニットの入力端が、少なくとも1つの太陽電池モジュールに接続されるように構成され、接続された前記太陽電池モジュール上で電力変換を行うように構成されている変換ユニットと、
前記変換ユニットを制御するように構成されている制御ユニットと、
相互に接続された、補助電源とエネルギー蓄積ユニットと第1一方向導電ユニットとの組み合わせコンポーネントであり、第1端及び第2端を有し、前記第1端は前記変換ユニットに電気的に接続され、前記第2端は前記制御ユニットに電気的に接続され、前記補助電源は、前記制御ユニットに動作電圧を供給するように構成され、前記エネルギー蓄積ユニットは、前記補助電源又は前記制御ユニットに電気エネルギーを供給するように構成され、前記第1一方向導電ユニットは、前記太陽電池モジュールの電圧の減少に伴って、前記エネルギー蓄積ユニットの前記電気エネルギーが低下するのを防止するように構成される、組み合わせコンポーネントとを備え、
前記制御ユニットは、電圧セグメントについて電流・電圧IV曲線スキャニングを行うようにさらに構成され、前記電圧セグメントは、開回路電圧からプリセットの最小電圧までの、最適化器に対応する前記太陽電池モジュールの出力電圧の範囲を、セグメント化することによって得られ、少なくとも2つの電圧セグメントが、分割によって得られ、
前記少なくとも2つの電圧セグメントは、第K電圧セグメント(Kは整数)と、前記第K電圧セグメントに隣接し、前記第K電圧セグメントよりも電圧レベルが小さい第(K+1)電圧セグメントとを含み、
前記第K電圧セグメントの下限電圧値は、前記第(K+1)電圧セグメントの上限電圧値よりも小さく、これにより前記第K及び第(K+1)電圧セグメントの間に共通部分が存在するように構成される、最適化器。
【請求項2】
分割によって得られた各電圧セグメントについてIV曲線スキャニングを行う場合に、前記制御ユニットは、前記変換ユニットを使用して、前記電圧セグメントの2つの端点のうちの1つの電圧へ、前記太陽電池モジュールの前記出力電圧を調節する、請求項1記載の最適化器。
【請求項3】
分割によって得られた前記電圧セグメントのうちの第1電圧セグメントの2つの端点は、それぞれ前記太陽電池モジュールの前記開回路電圧と閾値電圧とであり、前記太陽電池モジュールの前記閾値電圧は、動作するために前記補助電源が必要とする最小電圧よりも小さく、前記太陽電池モジュールの前記閾値電圧から前記プリセットの最小電圧までの範囲は、少なくとも2つの電圧セグメントに分割される、請求項1記載の最適化器。
【請求項4】
前記第1電圧セグメントは、少なくとも2つの電圧セグメントに分割される、請求項3記載の最適化器。
【請求項5】
前記補助電源は、前記制御ユニットに電気的に接続され、前記エネルギー蓄積ユニットは、前記補助電源の入力端に並列に接続され、
前記第1一方向導電ユニットは、前記変換ユニットの前記入力端と前記エネルギー蓄積ユニットとの間に直列に接続され、又は前記第1一方向導電ユニットは、前記変換ユニットの出力端と前記エネルギー蓄積ユニットとの間に直列に接続されている、請求項1記載の最適化器。
【請求項6】
最適化器は、第2一方向導電ユニットをさらに備え、前記第1一方向導電ユニットは、前記変換ユニットの前記入力端と前記エネルギー蓄積ユニットとの間に直列に接続され、前記第2一方向導電ユニットは、前記変換ユニットの出力端と前記エネルギー蓄積ユニットとの間に直列に接続されている、請求項5記載の最適化器。
【請求項7】
前記補助電源の入力端は、前記変換ユニットの前記入力端に電気的に接続され、又は前記補助電源の入力端は、前記変換ユニットの出力端に電気的に接続され、前記第1一方向導電ユニットは、前記補助電源の出力端と前記エネルギー蓄積ユニットとの間に直列に接続され、前記エネルギー蓄積ユニットは、前記制御ユニットに電気的に接続されている、請求項1記載の最適化器。
【請求項8】
前記第1一方向導電ユニットは、少なくとも1つのダイオードを含む、請求項5ないし7のいずれか1項に記載の最適化器。
【請求項9】
前記エネルギー蓄積ユニットは、少なくとも1つのキャパシタ、又は少なくとも1つのスーパーキャパシタ、又は少なくとも1つのバッテリを含む、請求項5ないし7のいずれか1項に記載の最適化器。
【請求項10】
複数の太陽電池モジュールとインバータとを備えている太陽光発電システムであって、請求項1ないし9のいずれか1項に記載の複数の最適化器をさらに備え、
各最適化器の入力端が、少なくとも1つの太陽電池モジュールに接続され、前記複数の最適化器の出力端が、直列に接続されてストリングを形成し、次に前記インバータに接続されている、太陽光発電システム。
【請求項11】
同一ストリング内の複数の最適化器が、同時にIV曲線スキャニングを行う場合、少なくとも1つの最適化器が現在スキャニングを行う電圧セグメントは、別の最適化器が現在スキャニングを行う電圧セグメントと異なる、請求項10記載の太陽光発電システム。
【請求項12】
太陽光発電システムに適用され、前記太陽光発電システムが複数の太陽電池モジュールを含む、太陽電池モジュールのためのIV曲線スキャニング方法であって、
開回路電圧からプリセットの最小電圧までの、最適化器に対応する太陽電池モジュールの出力電圧の範囲を、少なくとも2つの電圧セグメントに分割するステップと、
分割によって得られた各電圧セグメントについて電流・電圧IV曲線スキャニングを行うステップとを備え、
前記少なくとも2つの電圧セグメントは、第K電圧セグメント(Kは整数)と、前記第K電圧セグメントに隣接し、前記第K電圧セグメントよりも電圧レベルが小さい第(K+1)電圧セグメントとを含み、
前記第K電圧セグメントの下限電圧値は、前記第(K+1)電圧セグメントの上限電圧値よりも小さく、これにより前記第K及び第(K+1)電圧セグメントの間に共通部分が存在するように構成される、太陽電池モジュールのためのIV曲線スキャニング方法。
【請求項13】
分割によって得られた各電圧セグメントについてIV曲線スキャニングを行うステップは、各電圧セグメントについてIV曲線スキャニングを行う場合に、前記電圧セグメントの2つの端点のうちの1つの電圧へ、前記太陽電池モジュールの前記出力電圧を調節することを含む、請求項12記載のIV曲線スキャニング方法。
【請求項14】
分割によって得られた前記電圧セグメントのうちの第1電圧セグメントの2つの端点は、それぞれ前記太陽電池モジュールの前記開回路電圧と閾値電圧とであり、前記太陽電池モジュールの前記閾値電圧は、動作するために補助電源が必要とする最小電圧よりも小さく、前記太陽電池モジュールの前記閾値電圧から前記プリセットの最小電圧までの範囲は、少なくとも2つの電圧セグメントに分割される、請求項12記載のIV曲線スキャニング方法。
【請求項15】
前記第1電圧セグメントは、少なくとも2つの電圧セグメントに分割される、請求項14記載のIV曲線スキャニング方法。
【請求項16】
同一ストリング内の複数の最適化器が、
該複数の最適化器にそれぞれ接続された前記複数の太陽電池モジュール上で同時にIV曲線スキャニングを行う場合、少なくとも1つの最適化器が現在スキャニングを行う電圧セグメントは、別の最適化器が現在スキャニングを行う電圧セグメントと異なる、請求項12記載のIV曲線スキャニング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、太陽光発電技術の分野に関し、特に、最適化器、太陽光発電システム、及び太陽電池モジュールのためのIV曲線スキャニング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最適化器は、太陽電池モジュールとインバータとの間に設置される電力変換装置である。最適化器は、太陽電池モジュールの直列/並列接続不整合の排除ができ、太陽電池モジュールがバイパスされる確率を低下させることができる。この最適化器は、単一の太陽電池モジュールのMPPT(Maximum Point Tracking,最大電力点追従)機能とIV曲線スキャニング機能とを備えている。
【0003】
太陽光発電システムは、太陽電池モジュールが欠陥又は損傷を有するかどうかを判定するのに、太陽電池モジュールの検出を行うために、最適化器を使用して、太陽電池モジュール上でオンラインIV曲線スキャニングを行うことができる。IV曲線スキャニングを行う場合、最適化器は、太陽電池モジュールの出力電圧を開回路電圧から比較的低い電圧へ、またさらに0Vへ、変化させるように制御する必要があり、各電圧に対応する出力電流値を得て、IV曲線全体を得る必要がある。しかしながら、最適化器の補助電源は、一般に、太陽電池モジュールの出力電圧によって電力供給されるので、太陽電池モジュールの出力電圧が比較的低い場合、最適化器の補助電源は、不足電圧であり、最適化器は動作を停止する。その結果、IV曲線スキャニングタスク全体は、完了できない。
【0004】
従来技術では、一般に、エネルギー蓄積回路が補助電源の入力端に並列に接続され、一方向導電回路がエネルギー蓄積回路の前の入力端に直列に接続されるので、太陽電池モジュールの出力電圧が比較的低い場合、エネルギー蓄積回路は補助電源に電力を供給し続けることができ、最適化器がIV曲線スキャニングタスクを完了することを確実にする。しかしながら、太陽電池モジュールの出力電圧を特定の規則性に従って段階的に変化させることを可能にするために、IV曲線スキャニングプロセスは、特定の時間を要する必要があるため、最適化器がIV曲線スキャニングタスクを完了することを確実にするために、比較的高い容量を有するエネルギー蓄積回路が必要とされる。しかしながら、比較的高い容量を有するエネルギー蓄積回路は、最適化器の体積とコストとの最適化設計を容易にするものではない。
【発明の概要】
【0005】
本出願の実施形態は、エネルギー蓄積回路の容量を減少させ、太陽電池ストリングの電力変動を減少させるための、最適化器、太陽光発電システム、及び太陽電池モジュールのためのIV曲線スキャニング方法を開示する。
【0006】
第1態様によれば、本出願の実施形態は、変換ユニットと、制御ユニットと、補助電源と、エネルギー蓄積ユニットと、第1一方向導電ユニットとを含む最適化器を開示する。補助電源、エネルギー蓄積ユニット、及び第1一方向導電ユニットは全て、変換ユニットと制御ユニットとの間に接続される。変換ユニットの入力端は、少なくとも1つの太陽電池モジュールに接続され、変換ユニットは、接続された太陽電池モジュール上で電力変換を行うように構成されている。制御ユニットは、変換ユニットに電気的に接続され、変換ユニットを制御するように構成されている。補助電源は、制御ユニットに動作電圧を供給するように構成されている。エネルギー蓄積ユニットは、補助電源又は制御ユニットに電気エネルギーを供給するように構成されている。第1一方向導電ユニットは、太陽電池モジュールの電圧の減少に伴って、エネルギー蓄積ユニットの電力エネルギーが低下するのを防止するように構成されている。制御ユニットは、さらに、最適化器がIV曲線スキャニングタスクを実行する必要があると判断した場合に、電圧セグメントについてIV曲線スキャニングを行うように構成され、ここで電圧セグメントは、開回路電圧からプリセットの最小電圧までの最適化器に対応する太陽電池モジュールの出力電圧の範囲をセグメント化することによって得られ、少なくとも2つの電圧セグメントが、分割によって得られる。
【0007】
変換ユニットは、変換器、例えばDC/DC変換器であってよい。制御ユニットは、MCU(例えば、シングルチップマイクロコンピュータ)であってよい。補助電源は、完全な機能を有する変換回路、例えば、入力電圧を12V又は5Vに変換し得る変換回路であってよい。エネルギー蓄積ユニットは、キャパシタ、スーパーキャパシタ、又はバッテリを含むエネルギー蓄積回路であってよい。第1一方向導電ユニットは、少なくとも1つのダイオードを含む一方向導電回路であってよい。
【0008】
本出願のこの実施形態の最適化器では、最適化器がIV曲線スキャニングタスクを実行する必要があると判断した場合、制御ユニットは各電圧セグメントについてIV曲線スキャニングを行う。電圧セグメントは、最適化器に対応する太陽電池モジュールの出力電圧の範囲を、開回路電圧からプリセットの最小電圧までセグメント化することによって得られ、少なくとも2つの電圧セグメントが分割によって得られる。比較的低い電圧を有する電圧セグメントに対してIV曲線スキャニングが行われると、最適化器は再び起動され、これにより、エネルギー蓄積ユニットはこの期間内に再充電される。さらに、太陽電池モジュールの出力電圧は、現在の電圧セグメントへ調節される。従って、全体のIV曲線スキャニングタスクは、比較的低い容量を有するエネルギー蓄積ユニットを使用することでのみ完了することができ、それによって、最適化器のコストと体積とを削減する。
【0009】
実施において、ホストコンピュータによって送信されたIV曲線スキャニング命令を受信すると、制御ユニットは、最適化器がIV曲線スキャニングタスクを実行する必要があると判断する。即ち、IV曲線スキャニングタスクは、ユーザの要求があると判断された場合のみ、実行される。このようにして、ユーザの要求をより良く満たすことができる。
【0010】
実施において、各電圧セグメントについてIV曲線スキャニングを行う場合に、制御ユニットは、変換ユニットを使用して電圧セグメントの2つの端点のうちの1つの電圧へ、太陽電池モジュールの出力電圧を調節する。隣接する2つの電圧セグメントの間に共通部分が存在する。このようにして、開回路電圧からプリセットの最小電圧までの範囲に、全連続IV曲線スキャニングを実施することができる。
【0011】
実施において、電圧セグメントの2つの端点は、それぞれ、太陽電池モジュールの開回路電圧と閾値電圧とであり、電圧セグメントは、第1電圧セグメントとして定義される。太陽電池モジュールの閾値電圧は、動作するために補助電源が必要とする最小電圧よりも小さく、太陽電池モジュールの閾値電圧からプリセットの最小電圧までの範囲は、少なくとも2つの電圧セグメントに分割される。このようにして、全体のIV曲線スキャニングは、比較的低い容量を有するエネルギー蓄積ユニットを使用して実行できることが確実になれるのであり、最適化器の体積とコストとを削減するのを助ける。
【0012】
作動のために補助電源によって必要とされる最小電圧は、太陽電池モジュールによって出力され、補助電源の正常動作を保証することができる最小出力電圧である。太陽電池モジュールの最小出力電圧は、正常動作のために補助電源に直接供給されてよく、又は正常動作のために補助電源に供給される前に変換(例えば、増加又は減少)されてよい。太陽電池モジュールの閾値電圧が、作動のために補助電源が必要とする最小電圧よりも小さいことは、太陽電池モジュールの閾値電圧と作動のために補助電源が必要とする最小電圧との間の電圧差が、プリセットの範囲内にはいることを意味する。プリセットの範囲は、エネルギー蓄積ユニットにより供給が可能なエネルギーに依存する。具体的には、プリセットの範囲は、太陽電池モジュールの出力が、補助電源の正常動作を保証することができる最小出力電圧よりも小さい場合に、エネルギー蓄積ユニットが電力を供給し続けるシナリオにおける太陽電池モジュールの電圧減少範囲である。
【0013】
実施において、第1電圧セグメントは、少なくとも2つの電圧セグメントに分割される。このように、複数の最適化器が同時にIV曲線スキャニングを行う場合、総出力電力の変動は比較的小さくなれる。
【0014】
実施において、太陽電池モジュールの出力電圧が、作動のために補助電源が必要とする最小電圧よりも小さい場合に、最適化器がIV曲線スキャニングタスクを完了し得ることを確実にするために、補助電源は、制御ユニットに電気的に接続され、エネルギー蓄積ユニットは、補助電源の入力端に並列に接続され、第1一方向導電ユニットは、変換ユニットの入力端とエネルギー蓄積ユニットとの間に直列に接続され、又は第1一方向導電ユニットは、変換ユニットの出力端とエネルギー蓄積ユニットとの間に直列に接続されている。第1一方向導電ユニットは、少なくとも1つのダイオードを含む。エネルギー蓄積ユニットは、少なくとも1つのキャパシタ、又は少なくとも1つのスーパーキャパシタ、又は少なくとも1つのバッテリを含む。
【0015】
実施において、第1一方向導電ユニットは、変換ユニットの入力端とエネルギー蓄積ユニットとの間に直列に接続され、最適化器は、第2一方向導電ユニットをさらに備え、第2一方向導電ユニットは、変換ユニットの出力端とエネルギー蓄積ユニットとの間に直列に接続されている。
【0016】
第2一方向導電ユニットは、少なくとも1つのダイオードを含む。
【0017】
実施において、補助電源の入力端が変換ユニットの入力端に電気的に接続されるか、又は補助電源の入力端が変換ユニットの出力端に電気的に接続されている。第1一方向導電ユニットが補助電源の出力端とエネルギー蓄積ユニットとの間に直列に接続されている。エネルギー蓄積ユニットが制御ユニットに電気的に接続されている。このように、最適化器がIV曲線スキャニングタスクを実行すると、エネルギー蓄積ユニットは、エネルギー蓄積ユニットの容量利用を改善するために、制御ユニットにのみ電力を供給する。これに加えて、補助電源はさらに、電気エネルギー消費を削減し、キー回路の電源供給時間を増加させるために、IV曲線スキャニング機能に関係しない部分回路をシャットダウンしてよい。
【0018】
第2態様によれば、本出願の実施形態は、複数の太陽電池モジュールとインバータとを備えている太陽光発電システムを開示し、太陽光発電システムは、第1態様に記載した複数の最適化器をさらに備え、各最適化器の入力端が、少なくとも1つの太陽電池モジュールに接続され、複数の最適化器の出力端が、直列に接続されてストリングを形成し、次にインバータに接続されている。
【0019】
実施において、同一ストリング内の複数の最適化器が、同時にIV曲線スキャニングを行う場合、少なくとも1つの最適化器が現在スキャニングを行う電圧セグメントは、別の最適化器が現在スキャニングを行う電圧セグメントと異なる。
【0020】
第3態様によれば、本出願の実施形態は、太陽光発電システムに適用される、太陽電池モジュールのためのIV曲線スキャニング方法を開示し、ここで、太陽光発電システムは複数の太陽電池モジュールを含み、太陽電池モジュールのためのIV曲線スキャニング方法は、
開回路電圧からプリセットの最小電圧までの、最適化器に対応する太陽電池モジュールの出力電圧の範囲を、少なくとも2つの電圧セグメントに分割するステップと、
最適化器がIV曲線スキャニングタスクを実行する必要があると判断された場合、分割によって得られた各電圧セグメントについてIV曲線スキャニングを行うステップとを備えている。
【0021】
実施において、分割によって得られた各電圧セグメントについてIV曲線スキャニングを行うステップは、各電圧セグメントについてIV曲線スキャニングを行う場合に、電圧セグメントの2つの端点のうちの1つの電圧に、太陽電池モジュールの出力電圧を調節することを含む。
【0022】
実施において、隣接する2つの電圧セグメントの間に共通部分が存在する。
【0023】
実施において、分割によって得られた電圧セグメントのうちの第1電圧セグメントの2つの端点は、それぞれ太陽電池モジュールの開回路電圧と閾値電圧とであり、太陽電池モジュールの閾値電圧は、動作するために補助電源が必要とする最小電圧よりも小さく、太陽電池モジュールの閾値電圧からプリセットの最小電圧までの範囲は、少なくとも2つの電圧セグメントに分割される。
【0024】
実施において、第1電圧セグメントは、少なくとも2つの電圧セグメントに分割される。
【0025】
実施において、同一ストリング内の複数の最適化器が、同時にIV曲線スキャニングを行う場合、少なくとも1つの最適化器が現在スキャニングを行う電圧セグメントは、別の最適化器が現在スキャニングを行う電圧セグメントと異なる。
【0026】
第4態様によれば、本出願の一実施形態は、コンピュータ可読な記憶媒体を開示し、可読な記憶媒体は、IV曲線スキャニングのためのプログラム命令を記憶し、プログラム命令は、呼び出された後に、第3態様に係る太陽電池モジュールのためのIV曲線スキャニング方法を実行するために使用される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本出願の実施形態又は背景における技術的解決策を説明するために、以下に、本出願の実施態様又は背景を説明するための添付の図面を簡単に説明する。
【0028】
【
図1】本出願の実施形態による太陽光発電システムの概略構造図である。
【
図2】本出願の実施形態による最適化器の原理ブロック図である。
【
図3】本出願の実施形態による太陽電池モジュールの電圧セグメントの概略図である。
【
図4】本出願のもう1つの実施形態による太陽電池モジュールの電圧セグメントの概略図である。
【
図5】本出願のもう1つの実施形態による最適化器の原理ブロック図である。
【
図6】本出願の別の1つの実施形態による最適化器の原理ブロック図である。
【
図7】本出願のさらに別の1つの実施形態による最適化器の原理ブロック図である。
【
図8】本出願のさらに別の1つの実施形態による最適化器の原理ブロック図である。
【
図9】本出願の実施形態による、太陽電池モジュールのためのIV曲線スキャニング方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本出願は、太陽光発電システム、太陽光発電システムに適用される最適化器、及び太陽電池モジュールのためのIV曲線スキャニング方法を提供する。太陽電池モジュールに欠陥又は損傷があるかどうかを検出するために、最適化器は、太陽電池モジュール上でIV曲線スキャニングを行うことができる。以下に、添付の図面を参照して、本出願の実施態様を記載する。
【0030】
図1は、本出願の実施形態による太陽光発電システム
1000の原理ブロック図である。
図1に示すように、太陽光発電システム1000は、複数の最適化器100と、複数の太陽電池モジュール300と、インバータ500とを備えている。太陽電池モジュール300は、太陽エネルギーを電気エネルギーに変換するように構成されている。各最適化器100の入力端は、少なくとも1つの太陽電池モジュール300に接続され、複数の最適化器100の出力端は、直列に接続されて、ストリングを形成し、次いで、インバータ500に接続されている。太陽光発電システム1000は、複数のストリングを含んでよいことが理解されてよい。
【0031】
最適化器100は、最適化器100に接続された太陽電池モジュール300の出力電力を最適化するように構成され、太陽光発電システム1000の出力電力が最大化されることを確実にする。最適化器100は、さらに、最適化器100に接続された太陽電池モジュール300が欠陥又は損傷を有するかどうかを検出するために、最適化器100に接続された太陽電池モジュール300上でIV曲線スキャニングを行うように構成されてよい。Iは電流を表し、Vは電圧を表す。さらに、IV曲線は、太陽電池モジュール300の現在の発電能力及び動作状態などの情報をさらに示してよい。
【0032】
インバータ500は、太陽電池モジュール300で出力された直流を交流に変換し、それから交流を電力グリッド2000に出力するように構成されている。別の実施では、さらに結合器ボックス(図示せず)が、最適化器100とインバータ500との間に追加されてよく、インバータ500の交流側が、昇圧変圧器(図示せず)に接続されて、電力グリッド2000に接続されてよい。これは、特定の適用環境に従って決定されてよく、本明細書では特に限定されない。
【0033】
具体的な実施では、通信を介して最適化器100の電気パラメータを得るために、最適化器100と通信するように構成された通信ホスト(図示せず)を、太陽光発電システム1000はさらに含む。通信ホストは、独立した装置であってよく、又は、太陽光発電システム1000内の別の装置に統合されてよく、例えば、インバータ500、結合器ボックス、グリッド連結ボックス、又は、最適化器の1つに統合されてよい。通信ホストは、無線通信(Wi-Fi,Lora,又はZigBeeなど)又はPLC通信を通じて、最適化器と通信する。
【0034】
図2を参照すると、各最適化器100は、変換ユニット10と、制御ユニット20と、補助電源30と、エネルギー蓄積ユニット40と、第1一方向導電ユニット50とを含む。変換ユニット10の入力端は、少なくとも1つの太陽電池モジュール300に接続され、最適化器100の入力端として使用される。変換ユニットの出力端は、最適化器100の出力端として使用され、複数の最適化器100の出力端は、直列に接続されてストリングを形成する。
【0035】
具体的な実施形態では、変換ユニット10はDC/DC変換ユニットである。電力変換モードで動作して、入力端における太陽電池モジュール300の直流電気エネルギーに対して電力変換を行い、変換された直流電力を出力端に出力してよく、又は、直通モードで動作して、入力端と出力端とを直接接続してよい。特定の実際の応用においては、回路設定は、特定の応用環境に応じてDC/DC変換ユニット上で行ってよく、例えば、buck回路、boost回路、buck-boost回路等を設定してよい。
【0036】
電力変換モードで動作する場合、変換ユニット10は、主に、入力端における太陽電池モジュール300の電力エネルギーに対して最大電力点追従(Maximum Power Point Tracking, MPPT)を実行するように構成されている。これに加えて、変換ユニット10はさらに、ソフトスタートモード、電力制限モード等で動作してよい。このスロースタートは、ソフトスタートともいうが、は、変換ユニット10の起動段階で使用される。変換ユニット10は、例えば、入力電流変化率0.2A/sの速度で待機モードから最大電力点電流に変わるなど、待機モードから電力変換モードにスムーズに動作する。電力制限モードは、変換ユニット10の動作状態が臨界値(例えば、出力電圧が臨界値に達する、又は、周囲温度が臨界値に達する)に近づいた場合に出力電力を低減し、変換ユニット10を保護するために用いられ、又は、外部装置から供された電力制限モード指示を受けた後に、出力電力を低減するために用いられる。
【0037】
制御ユニット20は、変換ユニット10に電気的に接続され、変換ユニット10を制御するように構成されている。これに加えてさらに、制御ユニット20は、変換ユニット10の動作状態パラメータを収集するように構成されている。変換ユニット10の動作状態パラメータは、変換ユニット10の入力電圧、入力電流、出力電圧、及び出力電流等の情報を含むが、これらに限定されない。
【0038】
補助電源30と、エネルギー蓄積ユニット40と、第1一方向導電ユニット50との全ては、変換ユニット10と制御ユニット20との間に接続されている。
【0039】
特定の実施では、
図2に示すように、補助電源30は、制御ユニット20に電気的に接続され、制御ユニット20に動作電圧を供給するように構成されている。補助電源30は、さらに、最適化器100内の別の機能回路に電力を供給するように構成されてよいことが理解可能である。この実施では、制御ユニット20は、シングルチップマイクロコンピュータであってよい。制御ユニット20は、複数の信号収集ポートと、通信ポートと、複数の制御ポートなどを含んでよい。
【0040】
エネルギー蓄積ユニット40は、補助電源30の入力端に並列に接続され、補助電源30に電力エネルギーを供給するように構成されている。特定の実施では、エネルギー蓄積ユニット40は、少なくとも1つのエネルギー蓄積キャパシタ、少なくとも1つのスーパーキャパシタ、又は少なくとも1つのバッテリを含む。
【0041】
第1一方向導電ユニット50は、変換ユニット10の入力端とエネルギー蓄積ユニット40との間に直列に接続され、最適化器100が太陽電池モジュール300上でIV曲線スキャニングを行うときに、太陽電池モジュール300の電圧の減少に伴ってエネルギー蓄積ユニット40の電力エネルギーが低下するのを防止する。特定の実施形態では、第1一方向導電ユニット50は、少なくとも1つのダイオードを含む。例えば、ダイオードのアノードが変換ユニット10の入力端の正極に電気的に接続され、ダイオードのカソードが補助電源30の入力端の正極に電気的に接続される。これに代えて、ダイオードのカソードが変換ユニット10の入力端の負極に電気的に接続され、ダイオードのアノードが補助電源30の入力端の負極に電気的に接続される。これに代えて、ダイオードのアノードが変換ユニット10の出力端の正極に電気的に接続され、ダイオードのカソードが補助電源30の入力端の正極に電気的に接続される。これに代えて、ダイオードのカソードが変換ユニット10の出力端の負極に電気的に接続され、ダイオードのアノードが補助電源30の入力端の負極に電気的に接続される。
【0042】
特定の実施形態では、最適化器100がIV曲線スキャニングタスクを実行する必要があると決定するときに、各電圧セグメントについてIV曲線スキャニングを行うように、制御ユニット20が構成される。電圧セグメントは、最適化器100に対応する太陽電池モジュール300の出力電圧の範囲を、開回路電圧からプリセットの最小電圧までセグメント化することによって得られる。少なくとも2つの電圧セグメントが分割によって得られる。換言すれば、開回路電圧からプリセットの最小電圧までの最適化器100に対応する太陽電池モジュール300の出力電圧の範囲は、N個の電圧セグメントに分割される。Nは、2以上の正の整数である。プリセットの最小電圧は、0Vであってよいし、又は0Vに近い値であってよい。これは、本明細書において特に限定されない。
【0043】
実施では、ホストコンピュータ(例えば、インバータ)によって送信されたIV曲線スキャニング命令を受信すると、制御ユニット20は、最適化器100がIV曲線スキャニングタスクを実行する必要があると判断する。別の実施形態では、制御ユニット20は、自律的な検出を実行してよい。最適化器100の現在の状態がプリセットの状態を満たすことを検出する場合、最適化器100がIV曲線スキャニングタスクを実行する必要があると判断してよい。
【0044】
具体的には実施において、各電圧セグメントについてIV曲線スキャニングを行う場合、制御ユニット20は、変換ユニット10を使用して、太陽電池モジュール300の出力電圧を電圧セグメントの2つの端点のうちの1つの電圧へ調節する。
【0045】
実施において、IV曲線スキャニングの連続性を確実にするために、2つの隣接する電圧セグメントの間に共通部分が存在する。このようにして、開回路電圧からプリセットの最小電圧までの範囲の全連続IV曲線スキャニングの実施ができる。
【0046】
なお、各電圧セグメントについてIV曲線スキャニングを行う場合、制御ユニット20は、変換ユニット10を使用して、プリセットの規則性に従い、太陽電池モジュール300の出力電圧を、電圧セグメントの一方の端点(始点)から他方の端点(終点)へ変化させてよいことに留意するものとする。各電圧セグメントの開始電圧が終端電圧よりも大きいか、又は各電圧セグメントの開始電圧が終端電圧よりも小さいか、又はいくつかの電圧セグメントの開始電圧が終端電圧よりも大きく、かつ他の電圧セグメントの開始電圧が終端電圧よりも小さい。
【0047】
実施では、プリセットの規則性は、固定電圧差の電圧減少規則性、放物線の電圧減少規則性、又は固定デューティサイクル変化率の電圧減少規則性のうちの少なくとも1つである。具体的には、放物線の電圧減少規則性とは、電圧が太陽電池モジュールのプリセットの最小電圧付近で比較的急速に減少し、電圧が最大電力点電圧及び開回路電圧付近で、比較的ゆっくりと減少することを意味する。固定デューティサイクル変化率の電圧減少規則性とは、最適化器100の制御デューティサイクルが初期状態から固定ステップで変化することを意味する。例えば、制御デューティサイクルは、0.01の固定ステップで0から1へ増加する。
【0048】
以下に、最適化器100が各電圧セグメントについてIV曲線スキャニングを行うプロセスを、
図3を参照して詳細に説明する。
【0049】
図3に示すように、実施において、電圧セグメントの2つの端点は、それぞれ、太陽電池モジュール300の開回路電圧と閾値電圧V1とであり、電圧セグメントは、第1電圧セグメントとして定義される。太陽電池モジュール300の閾値電圧は、動作するために補助電源30が必要とする最小電圧よりも小さく、閾値電圧からプリセットの最小電圧までの範囲が少なくとも2つの電圧セグメントに分割される。このようにして、比較的低い容量を有するエネルギー蓄積ユニットを使用して、全体のIV曲線スキャニングが行えることを確実にでき、最適化器の体積とコストとを削減するのを助ける。
【0050】
補助電源30の動作電圧は、太陽電池モジュール300によって直接的に供給されてよく、あるいは、
太陽電池モジュール300の出力電圧を変換ユニット10が増加又は減少させた後に、変換ユニット10により供給されてよいことが、理解可能である。従って、補助電源30によって動作に必要とされる最小電圧は、太陽電池モジュール300によって出力され、補助電源30の正常動作を保証することができる最小出力電圧である。太陽電池モジュール300の最小出力電圧は、補助電源30の動作のために補助電源30(
図2に示すように)に直接供給されてよく、又は(
図5に示すように)変換され、補助電源30の正常動作のために補助電源30に供給される。太陽電池モジュール300の閾値電圧が、補助電源30が動作するために必要とする最小電圧よりも小さいことは、太陽電池モジュール300の閾値電圧と、補助電源30が動作するために必要とする最小電圧との間の電圧差が、プリセットの範囲内にはいることを意味する。プリセットの範囲は、エネルギー蓄積ユニット40により供給できるエネルギーに依存する。具体的には、補助電源30の正常動作を保証することができる最小出力電圧よりも太陽電池モジュール300の出力が小さいときに、プリセットの範囲は、エネルギー蓄積ユニット40が電力を供給し続けるシナリオにおける太陽電池モジュール300の電圧減少範囲である。
【0051】
電圧の第1セグメントにIV曲線スキャニングが行われる場合、大部分の時間について、太陽電池モジュール300の出力電圧は、動作のために補助電源30が必要とする最小電圧よりも大きい。太陽電池モジュール300の出力電圧が、補助電源30が作動するために必要とする最小電圧よりも小さい場合、第1一方向導電ユニット50は順方向に遮断され、エネルギー蓄積ユニット40は、補助電源30に電気エネルギーを供給する。エネルギー蓄積ユニット40が比較的低い容量を有する場合、補助電源30は、比較的短時間後に不足電圧となり、最適化器100は、動作を停止し、閾値電圧V1以上の電圧セグメントについてのみ、IV曲線スキャニングを完了する。閾値電圧V1は、作動するために補助電源30が必要とする最小電圧よりも小さい。次いで、最適化器100が再び起動され、第2電圧セグメントについてIV曲線スキャニングを行うために、第2セグメントの2つの端点のうちの1つの電圧V1まで急速に減少させるように、太陽電池モジュール300の出力電圧を制御する。この場合、第1一方向導電ユニット50は順方向に遮断され、エネルギー蓄積ユニット40は補助電源30に電気エネルギーを供給し、最適化器100は、閾値電圧V1から値V2への第2セグメントについてのIV曲線スキャニングを完了する。V2は、V1よりも小さい。アナログでは、プリセットの最小電圧以上の第NセグメントについてIV曲線スキャニングが完了するまで、プロセスは終了する。従って、最適化器100は、IV曲線スキャニングタスク全体を完了する。
【0052】
最適化器100が、接続された太陽電池モジュール300上でIV曲線スキャニングタスクを実行し、太陽電池モジュール300の出力電圧を減少させるように制御するときに、もし最適化器100が、第1一方向導電ユニット50及びエネルギー蓄積ユニット40を含まないならば、太陽電池モジュール300の出力電圧の減少に伴って補助電源30の入力電圧が減少すること、また太陽電池モジュール300の出力電圧が、動作のために補助電源30が必要とする最小電圧よりも小さい場合に、補助電源30が動作を停止することが、理解可能である。その結果、作動のために補助電源30が必要とする最小電圧よりも低い、太陽電池モジュール300の出力電圧の電圧セグメントについて、最適化器100はIV曲線スキャニングタスクを完了することができない。
【0053】
本出願のこの実施形態では、最適化器100は、第1一方向導電ユニット50とエネルギー蓄積ユニット40とを含むので、最適化器100が、太陽電池モジュール300の出力電圧を制御して、作動のために補助電源30が必要とする最小電圧よりも小さくすると、第1一方向導電ユニット50は順方向切断され、太陽電池モジュール300の出力電圧の減少に伴ってエネルギー蓄積ユニット40の電気エネルギーが低下するのを防止する。これに加えて、閾値電圧からプリセットの最小電圧までの太陽電池モジュール300の出力電圧の範囲は、少なくとも2つの電圧セグメントに分割され、制御ユニット20は、各電圧セグメントについてIV曲線スキャニングを行うので、比較的小さな容量を有するエネルギー蓄積ユニット40を使用することでのみ、最適化器100が、IV曲線スキャニングタスク全体を完了することが確実にされる。
【0054】
本出願のこの実施形態での最適化器100では、最適化器100がIV曲線スキャニングタスクを実行する必要があると判断した場合、制御ユニット20は各電圧セグメントについてIV曲線スキャニングを行う。電圧セグメントは、最適化器100に対応する太陽電池モジュール300の出力電圧の範囲を、開回路電圧からプリセットの最小電圧までセグメント化することによって得られ、少なくとも2つの電圧セグメントが分割によって得られる。この最適化器は、比較的低い電圧を有する電圧セグメントについてIV曲線スキャニングが行われると再び起動され、その結果、エネルギー蓄積ユニット40はこの期間内に再充電される。さらに、太陽電池モジュール300の出力電圧は、現在の電圧セグメントへ調節される。従って、全体のIV曲線スキャニングタスクは、比較的低い容量を有するエネルギー蓄積ユニット40を使用することでのみ完了することができ、それによって、最適化器100のコストと体積とを削減する。
【0055】
実施では、さらに第1電圧セグメントは、少なくとも2つの電圧セグメントに分割される。具体的には、
図4に示すように、
図3の「第1セグメント」は、第1’セグメント、第2’セグメント、・・・、及び第M’セグメントに分割され、ここで、M’は2以上の整数である。IV曲線スキャニングタスクを実行するとき、最適化器100は、第1’セグメント、第2’セグメント、...、第NセグメントについてIV曲線スキャニングを行う。
【0056】
この実施において、同じストリング内の複数の最適化器100が同時にIV曲線スキャニングを行う場合、少なくとも1つの最適化器100が現在スキャニングを行う電圧セグメントは、他の最適化器100が現在スキャニングを行う電圧セグメントとは異なる。このように、ストリングの最終的な全出力電力の変動は比較的小さい。
【0057】
一般に、各最適化器100は、同じ又は類似の特性を有する同数の太陽電池モジュール300に接続され、複数の最適化器100は、直列に接続されて、ストリングを形成する。同じストリング内の最適化器100が同時にIV曲線スキャニングを行い、最適化器100が太陽電池モジュール300の出力電圧を制御するために同じ単一セグメントのIV曲線スキャニング方法を使用する場合、ストリングの全出力曲線は
図4の電力曲線のほぼ倍数であり、全出力電力は大きく変動し、これは次の回路の正常動作に影響する。
【0058】
本出願のこの実施形態では、各最適化器100は、対応する太陽電池モジュール300の出力電圧を別々にセグメント化してよい。セグメントは、同一であってよく、又は異なってよい。最適化器100が異なる数の太陽電池モジュール300に接続されるか、又は異なる特性を有する太陽電池モジュール300に接続される場合に、セグメントは異なる。ある瞬間に、同じストリング内の最適化器100が同時にIV曲線スキャニングを行う場合、最適化器100は第1セグメントについてIV曲線スキャニングを行い、別の最適化器100は第2セグメントについてIV曲線スキャニングを行い、さらに別の最適化器100は第3セグメントについてIV曲線スキャニングを行うなどである。第1セグメント、第2セグメント、第3セグメント、...、及び第Nセグメントは、同一であってよく、又は異なってよい。本出願のこの実施形態では、2つの電圧セグメントが同一の電圧セグメントであることは、以下のように定義される:2つの電圧セグメントの端点の電圧は同一である。最適化器100がIV曲線スキャニングを行う電圧セグメントが、例えば、第1セグメントが25V~33Vであり、第2セグメントが20V~29Vであり、第3セグメントが15V~25Vであるなどのように、開回路電圧からプリセットの最小電圧までの全範囲に、この瞬間に比較的均等に分布する場合には、最適化器100の出力電力も、最大電力点からゼロ電力点までの全範囲に比較的均等に分布する。その後の瞬間には、最適化器100がIV曲線スキャニングを行うセグメントは依然として均等に分布しているので、最適化器100の出力電力も均等に分布し、従って、ストリングの最終的な総出力電力の変動は比較的小さい。
【0059】
本出願のこの実施態様において、太陽電池モジュール300の出力電圧は、比較的柔軟にセグメント化されることに留意するものとする。閾値電圧V1よりも大きい電圧範囲は、好ましくは、1つのセグメントではなく、いくつかのセグメントに分割される。理由は、この電圧範囲は比較的大きく、対応する電力範囲も比較的大きいのであり、一層多くの電圧セグメントが一層多くの電力セグメントに対応し、これがセグメント選択を容易にし、全出力電力の変動を低減することである。具体的には、同じストリング内の最適化器100が同時にIV曲線スキャニングを行う場合、初期の瞬間に、最適化器100のセグメントは、均一な分布に基づいて選択されることが好ましく、その結果、ストリングの総出力電力の変動は、より明らかに減少する。
【0060】
図5を参照すると、
図2の最適化器100とは異なる実施形態で、第1一方向導電ユニット50は、変換ユニット10の出力端とエネルギー蓄積ユニット40との間に直列に接続されている。この実施では、変換ユニット10が太陽電池モジュール300の出力電圧を変換した後、補助電源30の動作電圧が変換ユニット10によって与えられる。第1一方向導電ユニット50は、少なくとも1つのダイオードを含む。
【0061】
図6を参照すると、
図2の最適化器100とは異なる実施では、各最適化器100は、さらに、第2一方向導電ユニット60を含み、第2一方向導電ユニット60は、変換ユニット10の出力端とエネルギー蓄積ユニット40との間に直列に接続されている。このようにして、異なる動作状態にあるエネルギー蓄積ユニット40のエネルギー蓄積能力の改善ができる。
【0062】
具体的には、第2一方向導電ユニット60は、少なくとも1つのダイオードを含む。
【0063】
図7及び
図8を参照すると、実施では、補助電源30の入力端が変換ユニット10の入力端に電気的に接続され、又は補助電源30の入力端が変換ユニット10の出力端に電気的に接続されている。第1一方向導電ユニット50は、補助電源30の出力端とエネルギー蓄積ユニット40との間に直列に接続され、エネルギー蓄積ユニット40は、制御ユニット20に電気的に接続されている。この実施において、最適化器100がIV曲線スキャニングタスクを実行すると、エネルギー蓄積ユニット40は、エネルギー蓄積ユニット40の容量利用を改善するために、制御ユニット20にのみ電力を供給する。これに加えて、電力消費を削減し、キー回路の電源供給時間を増加させるために、補助電源30は、IV曲線スキャニング機能に関係しない部分回路をさらにシャットダウンしてよい。
【0064】
図9を参照すると、本出願は、さらに、太陽電池モジュールのためのIV曲線スキャニング方法を提供する。太陽電池モジュールのためのIV曲線スキャニング方法は、
図1の太陽光発電システム1000に適用される。太陽電池モジュールのためのIV曲線スキャニング方法は、以下のステップを含む。
【0065】
ステップS101。開回路電圧からプリセットの最小電圧までの、最適化器に対応する太陽電池モジュールの出力電圧の範囲を、少なくとも2つの電圧セグメントに分割する。
【0066】
実施では、最適化器100は、開回路電圧からプリセットの最小電圧までの、対応する太陽電池モジュールの出力電圧の範囲を、少なくとも2つの電圧セグメントに分割する。別の実施形態では、ホストコンピュータ(例えば、インバータ500)は、開回路電圧からプリセットの最小電圧までの、最適化器100に対応する太陽電池モジュール300の出力電圧の範囲を、少なくとも2つの電圧セグメントに分割してよい。これは、本明細書において特に限定されない。
【0067】
ステップS102。最適化器がIV曲線スキャニングタスクを実行する必要があると判断された場合、分割によって得られた各電圧セグメントについてIV曲線スキャニングを行う。
【0068】
実施では、ホストコンピュータ(例えば、インバータ)によって送信されたIV曲線スキャニング命令を受信すると、制御ユニット20は、最適化器100がIV曲線スキャニングタスクを実行する必要があると判断する。別の実施では、制御ユニット20は、自律的な検出を実行してよい。最適化器100の現在の状態がプリセットの状態を満たすことを検出したときに、最適化器100がIV曲線スキャニングタスクを実行する必要があると判断してよい。
【0069】
具体的には、実施において、分割によって得られた各電圧セグメントについてIV曲線スキャニングを行うことは、具体的には、各電圧セグメントについてIV曲線スキャニングを行う場合、太陽電池モジュール300の出力電圧を電圧セグメントの2つの端点のうちの1つの電圧へ調節することを含む。
【0070】
実施において、IV曲線スキャニングの連続性を確実にするために、2つの隣接する電圧セグメントの間に共通部分が存在する。
【0071】
なお、各電圧セグメントについてIV曲線スキャニングを行う場合、制御ユニット20は、変換ユニット10を使用して、プリセットの規則性に従い、太陽電池モジュール300の出力電圧を、電圧セグメントの一方の端点(始点)から他方の端点(終点)へ変化させてよいことに留意するものとする。各電圧セグメントの開始電圧が終端電圧よりも大きいか、又は各電圧セグメントの開始電圧が終端電圧よりも小さいか、又はいくつかの電圧セグメントの開始電圧が終端電圧よりも大きく、かつ他の電圧セグメントの開始電圧が終端電圧よりも小さい。
【0072】
特定の実施では、プリセットの規則性は、固定電圧差の電圧減少規則性、放物線の電圧減少規則性、又は固定デューティサイクル変化率の電圧減少規則性のうちの少なくとも1つである。
【0073】
実施において、電圧セグメントの2つの端点は、それぞれ、太陽電池モジュール300の開回路電圧と閾値電圧V1とであり、電圧セグメントは、第1電圧セグメントとして定義される。太陽電池モジュール300の閾値電圧は、動作するために補助電源30が必要とする最小電圧よりも小さく、太陽電池モジュール300の閾値電圧からプリセットの最小電圧までの範囲は、少なくとも2つの電圧セグメントに分割される。太陽電池モジュール300の閾値電圧が、作動のために補助電源30が必要とする最小電圧よりも小さいことは、太陽電池モジュール300の閾値電圧と作動のために補助電源30が必要とする最小電圧との間の電圧差が、プリセットの範囲内にはいることを意味することが、理解可能である。プリセットの範囲は、エネルギー蓄積ユニット40により供給され得るエネルギーに依存する。具体的には、補助電源30の正常動作を保証することができる最小電圧よりも太陽電池モジュール300の出力が小さいときに、プリセットの範囲は、エネルギー蓄積ユニット40が電力を供給し続けるシナリオにおける太陽電池モジュール300の電圧減少範囲である。
【0074】
いくつかの実施では、第1電圧セグメントはさらに、少なくとも2つの電圧セグメントに分割される。同じストリング内の複数の最適化器100が同時にIV曲線スキャニングを行う場合、少なくとも1つの最適化器100が現在スキャニングを行う電圧セグメントは、他の最適化器100が現在スキャニングを行う電圧セグメントとは異なる。
【0075】
本明細書における実施形態は、すべて、実施形態での同一又は類似の部分について漸進的に記載されたものである。これらの実施形態が参照されてよい。各実施形態は、他の実施形態との差異に焦点を当てる。実施形態に開示された方法は、実施形態に開示された装置に対応するので、比較的簡単に説明してある。関連する部分については、装置の説明を参照するものとする。
【0076】
短い記述のために、前述の方法の実施形態は、一連の動作として表されていることに留意するものとする。しかしながら、本出願によれば、いくつかのステップが他の順序で又は同時に実施されてよいので、本出願が、作用の記載された順序に限定されないことを当業者は理解するものとする。
【0077】
本出願の実施形態での方法の一連のステップは、実際の要件に基づいて調節、組み合わせ、又は除去がなされてよい。
【0078】
本出願で提供される太陽電池モジュールのためのIV曲線スキャニング方法は、ハードウェア及びファームウェアで実施してよい。又は、読出し専用メモリ(Read-Only Memory, ROM)、ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory,略してRAM)、フロッピーディスク、ハードディスク、又は光磁気ディスクのようなコンピュータ可読な記憶媒体に記憶することができるソフトウェア又はコンピュータコードとして使用してよい。又は、遠隔記録媒体又は非一時的なマシン可読な媒体に元々記憶され、ネットワークを介してダウンロードされ、ローカル記録媒体に記憶されるコンピュータコードとして使用してよい。従って、本明細書に記載の方法は、記録媒体に記憶されたソフトウェアを使用して、汎用コンピュータ、特殊プロセッサ、又は特定用途向け集積回路(ASIC)又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)のようなプログラマブル又は専用ハードウェアの中に現れることができる。当技術分野で理解できるように、コンピュータ、プロセッサ、マイクロプロセッサ、コントローラ、又はプログラマブルハードウェアは、RAM、ROM、又はフラッシュメモリなどのメモリコンポーネントを含む。本明細書に記載の処理方法を実施するために、コンピュータ、プロセッサ、又はハードウェアがソフトウェア又はコンピュータコードにアクセス及び実行する場合、メモリコンポーネントは、ソフトウェア又はコンピュータコードを記憶又は受信してよい。また、汎用コンピュータが、ここに示す処理を実行するためのコードにアクセスすると、このコードの実行により、汎用コンピュータは、ここに示す処理を実行するために使用される専用コンピュータに転用される。
【0079】
コンピュータ可読な記憶媒体は、固体メモリ、メモリカード、光ディスク等であってよい。コンピュータ可読な記憶媒体は、プログラム命令を記憶し、本出願では、プログラム命令が最適化器によって呼び出されて、太陽電池モジュールのための前述のIV曲線スキャニング方法が実行される。
【0080】
前述の説明は、単に本発明の具体的な実施であるが、本発明の保護範囲を制限することを意図したものではない。本発明に開示された技術的範囲内で当業者によって容易に解明される任意の変更又は代替は、本発明の保護範囲に含まれるものとする。従って、本発明の保護範囲は、請求項の保護範囲に従うものとする。