(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-23
(45)【発行日】2023-07-03
(54)【発明の名称】ケーブルを導管の中へ導入するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
H02G 1/08 20060101AFI20230626BHJP
H02G 9/06 20060101ALI20230626BHJP
【FI】
H02G1/08
H02G9/06
(21)【出願番号】P 2021557665
(86)(22)【出願日】2020-04-14
(86)【国際出願番号】 US2020028067
(87)【国際公開番号】W WO2020219296
(87)【国際公開日】2020-10-29
【審査請求日】2023-03-27
(32)【優先日】2019-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512044862
【氏名又は名称】ウエスコ、エクイティ、コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】WESCO EQUITY CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100131842
【氏名又は名称】加島 広基
(72)【発明者】
【氏名】ジェリー・エル・アレン
【審査官】北嶋 賢二
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-525792(JP,A)
【文献】特表2005-537778(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 1/08
H02G 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に延在する導管にケーブルを導入する方法であって、少なくとも1つの長手方向に延在する区画を形成するステップと、長手方向に延在する材料シートの一方の端部を前記区画に接続するステップと、前記材料シートに隣接してケーブルを位置付けるステップと、前記材料シートの端部同士を取り付けて、追加的な区画の中に前記ケーブルを有する前記追加的な区画を形成するステップと、前記導管の中へ前記区画を挿入するステップと、を含む、方法。
【請求項2】
引っ張り装置を少なくとも1つの長手方向に延在する区画に挿入するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
形成する前記ステップが、最初に第2の材料シートの端部を取り付けるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
接続する前記ステップにより、前記材料シートの一方の面が前記区画に隣接し、取り付ける前記ステップは、前記材料シートの他方の面の端部同士を接続することによって達成される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
取り付ける前記ステップが、前記少なくとも1つの区画の第2の材料シートの端部が既に取り付けられている位置に前記
材料シートの一方の端部を取り付けるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
長手方向に延在する導管にケーブルを導入する方法であって、最初に少なくとも1つの長手方向に延在する区画を形成するステップと、次に長手方向に延在する材料シートを前記区画の外側に接続するステップと、前記ケーブルの周囲に前記材料シート
の端部
同士を取り付けることによって、その中にケーブルを有する追加的な区画を形成するステップと、前記導管の中へ前記区画を挿入するステップと、を含む、方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの長手方向に延在する区画の中へ引っ張り装置を挿入するステップをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの長手方向に延在する区画を形成する前記ステップが、第2の材料シートの端部を取り付けるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
長手方向に延在する材料シートを前記区画に接続する前記ステップが、前記区画に前記材料シートの一方の端部を取り付けることによって達成される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
一方の端部を取り付ける前記ステップが、前記少なくとも1つの区画の前記第2の材料シートの前記端部が取り付けられる位置に前記
材料シートの一方の端部を取り付けるステップを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1つの長手方向に延在する区画と、前記区画の外側に取り付けられた一方の端部を有し長手方向に延在する材料シートと、を備える、長手方向に延在する導管の中へ挿入される装置であって、前記材料シートが、前記材料シートの対向端部に携持された互換締結要素を有し、よって、長手方向に延在するケーブルを前記端部の間に位置付けることができ、かつ前記端部を互いに取り付けて前記ケーブルを携持する追加的な区画を形成することができる、装置。
【請求項12】
前記少なくとも1つの長手方向に延在する区画の中に引っ張り装置をさらに備える、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記少なくとも1つの区画および前記追加的な区画が、前記ケーブルよりも低い摩擦係数を有する材料で作製されている、請求項11に記載の装置。
【請求項14】
前記材料がファブリックである、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記材料シートの端部が、前記少なくとも1つの長手方向に延在する区画を形成するための地点において接続され、前記材料シートの一方の端部が、前記地点において前記少なくとも1つの長手方向に延在する区画に取り付けられる、請求項11に記載の装置。
【請求項16】
前記互換締結要素が、フック材料およびループ材料である、請求項11に記載の装置。
【請求項17】
少なくとも1つの長手方向に延在する区画と、前記区画に取り付けられた一方の端部を有する材料シートと、を備える、長手方向に延在する導管の中へ挿入される装置であって、前記材料シートは一方の面で前記区画と対面し、他方の面に対向端部で携持される互換締結要素を有し、長手方向に延在するケーブルが前記材料シートの前記他方の面に隣接し、前記材料シートの前記端部同士が取り付けられて追加的な区画を形成したときに、前記ケーブルが前記追加的な区画の中にあるように位置付けられる、装置。
【請求項18】
前記少なくとも1つの長手方向に延在する区画の中に引っ張り装置をさらに備える、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記少なくとも1つの区画および前記追加的な区画が、前記ケーブルよりも低い摩擦係数を有する材料で作製されている、請求項17に記載の装置。
【請求項20】
前記材料がファブリックである、請求項19に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年4月22日に出願された米国仮特許出願第62/836,795号の利益を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、通常は地下に位置付けられている導管の中へ通信ケーブルを導入するための方法および装置に関する。より具体的には、本発明は、内部ダクトをケーブルと同時に導入するような方法および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
数千フィートにわたって延在する地下の通信用導管にケーブルを配置することは、長い間の課題であった。そのような課題は、既にその中にケーブルを有する導管の中に、1つ以上の追加のケーブルを配置することが所望される場合にとりわけ深刻になる。その既存のケーブルは、特にそのプラスチックジャケットのため、ケーブルが導管に挿入されるときに、新しいケーブルにかなりの摩擦を与える。その結果、設置プロセス中に、新しいまたは既存のケーブルが損傷を受ける場合がある。そのようなことは、導管内のケーブルがうねっていて、導入されるケーブルに、湾曲した、摩擦を多く含む経路をとらせる場合に特に当てはまる。
【0004】
この問題に対して非常に成功した解決策は、WESCO Distribution,Inc.によってMAXCELL(登録商標)の商標で販売されており、米国特許第6,262,371号に示されているファブリック内部ダクトであり、その内容は、本発明を理解するために必要となり得る詳細について、参照により組み込まれる。このファブリック内部ダクトは、最初に導管の中に位置付けられており、導管を長手方向に延在する区画に分割する。次いで、ケーブルを区画の1つの中に位置付けることができ、そして、引っ張りテープまたはロープを1つ以上の区画の中に位置付けることができ、これは、後に追加的なケーブルを区画の中へ引き込むために利用することができる。ケーブルの間にファブリックが存在しているので、摩擦は、ケーブルジャケットにではなく、ファブリックに生じ、これは、設置をより容易にする。
【0005】
しかしながら、導管の中にケーブルを設置するためのこの内部ダクトの使用は、現在、2ステップのプロセスである。すなわち、最初に、導管の中へ内部ダクトを挿入し、次いでその後に、内部ダクトの区画の1つの中へケーブルを挿入する。そのようなことは、各ステップに費やす時間および費用のため、非効率的である。
【0006】
したがって、この2ステップのプロセスを回避するシステムに対する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0007】
したがって、本発明の一態様の目的は、内部ダクトおよび内部ダクトの区画内の少なくとも1本のケーブルが導管の中へ同時に導入される方法および装置を提供することである。
【0008】
本発明の別の態様の目的は、内部ダクトが、後で1つ以上の追加的なケーブルを導入するための他の区画を含む、上記のような方法および装置を提供することである。
【0009】
本発明の追加的な態様の目的は、内部ダクトの他の区画の中に位置付けられたケーブル引っ張り装置を導管の中へ同時に導入することができる、上記のような方法および装置を提供することである。
【0010】
本発明におけるこれらの目的、および他の目的は、既存の先行技術が形成する利点を超える利点と並んで、後の説明から明らかになるが、後に説明および特許請求される改善により達成される。
【0011】
概して、本発明による、長手方向に延在する導管の中へ挿入される装置は、少なくとも1つの長手方向に延在する区画を含む。長手方向に延在する材料シートが区画に取り付けられる。そのシートは、その対向端部で携持される互換締結要素を有する。長手方向に延在するケーブルは、シートの端部の間に位置付けられ、端部が互いに取り付けられて、ケーブルを携持している追加的な区画を形成する。
【0012】
本発明の別の態様によれば、長手方向に延在する導管の中へ挿入される装置は、少なくとも1つの長手方向に延在する区画を含む。材料シートは、対向端部として携持される互換締結要素を有する。シートの端部の一方が区画に取り付けられる。長手方向に延在するケーブルは、材料シートの端部が取り付けられて追加的な区画を形成したときに、ケーブルが追加的な区画の中にあるように位置付けられる。
【0013】
本発明による、長手方向に延在する導管の中へケーブルを導入するための方法は、少なくとも1つの長手方向に延在する区画を形成するステップと、長手方向に延在する材料シートを区画に接続するステップと、シートの端部を共にケーブルの周囲に取り付けることによって、その中にケーブルを有する追加的な区画を形成するステップと、区画を導管の中へ挿入するステップと、を含む。
【0014】
本発明の別の態様によれば、長手方向に延在する導管の中へケーブルを導入する方法は、少なくとも1つの長手方向に延在する区画を形成するステップと、長手方向に延在する材料シートを区画に接続するステップと、材料シートに隣接してケーブルを位置付けるステップと、材料シートの端部を取り付けて、その中にケーブルを有する追加的な区画を形成するステップと、区画を導管の中へ挿入するステップと、を含む。
【0015】
本発明の方法を行うために使用することができる、本発明の概念による好適で例示的な装置は、本発明が具現化され得る様々な形態および修正例の全てを示そうと試みることなく、添付図面において一例として示されており、本発明は、添付の特許請求の範囲によって判断され、明細書の詳細によって判断されない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】追加的な区画が形成される前の、製造プロセスの1つのステップ中の本発明の装置の概略端面図である。
【
図2】追加的な区画内のケーブルを示す、製造プロセスの終了時の装置の概略表現である。
【
図3】ケーブルを収容する追加的な区画を形成するためにシートが使用される様式を示す描写である。
【発明を実施するための好適な形態】
【0017】
導管に導入される装置は、概して数字10によって起訴され、
図2にその完成した状態が示されている。その構築物の一部は、米国特許第6,262,371号に示すような従来の内部ダクトであり得る。したがって、この内部ダクトは、ステッチ13においてそれらの開放端部を共にステッチして区画11を形成した材料シート12によって形成された、複数の長手方向に延在するファブリック区画11を含む。材料12は、そこに位置付けられる任意のケーブルよりも低い摩擦係数である。引っ張りテープ14などを、区画11の中に位置付けることができる。当技術分野で知られているように、内部ダクトが導管である場合は、ケーブルを引っ張りテープに取り付けることができ、そして、ケーブルを導管の中へ引き込むことができる。
【0018】
低摩擦を呈するファブリックで作製することができる材料シート15は、一方の端部において区画11に取り付けられる。同じステッチ13を利用して、接続を行うことができる。互換締結具16、17は、シート15の対向端部に位置付けられる。これらの締結具16、17は、VELCRO(登録商標)締結システムの互換フックおよびループ部分、ジッパーの互換部分、などとすることができる。
【0019】
示すように
図3の場合、その中にケーブル19を有する追加的な区画18を形成するために、装置(図示せず)は、シート15を折り畳み、それをケーブル19の上に移動させ、そして、締結要素16および17を共に取り付ける。そのようなことは、手動でも行うことができる。
【0020】
次いで、組み立てられた装置10を、地下導管の中へ挿入することができる。そのようにすることで、従来技術の設置プロセスの2つのステップが1つに組み合わせられる。すなわち、ケーブル19および内部ダクトが同時に挿入されるのに対して、従来技術では、内部ダクトが最初に設置され、次いでその後に、ケーブルが内部ダクトの区画に入れられていた。加えて、ケーブル19が導管の中へ設置されるのと同時に、プルテープ14もまた、内部ダクトの区画の中に設置され得る。
【0021】
したがって、本発明の方法を行う、本明細書で説明するように構成された装置が、本発明の目的を達成し、さもなければ本技術を大幅に改善することが明白になるはずである。