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特許7302029無水糖アルコール及び無水糖アルコールポリマーを含むポリオール組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-23
(45)【発行日】2023-07-03
(54)【発明の名称】無水糖アルコール及び無水糖アルコールポリマーを含むポリオール組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 71/08 20060101AFI20230626BHJP
   C08G 18/10 20060101ALI20230626BHJP
   C08G 18/32 20060101ALI20230626BHJP
   C08G 18/48 20060101ALI20230626BHJP
   C08K 5/053 20060101ALI20230626BHJP
   C08G 65/34 20060101ALI20230626BHJP
【FI】
C08L71/08
C08G18/10
C08G18/32 018
C08G18/48 083
C08K5/053
C08G65/34
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021572021
(86)(22)【出願日】2020-06-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-04
(86)【国際出願番号】 KR2020007190
(87)【国際公開番号】W WO2020246789
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2022-02-03
(31)【優先権主張番号】10-2019-0065785
(32)【優先日】2019-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500578515
【氏名又は名称】サムヤン コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リ,ゼフン
(72)【発明者】
【氏名】リュ,フン
(72)【発明者】
【氏名】ソン,グァンソク
(72)【発明者】
【氏名】ノ,ゼグッ
(72)【発明者】
【氏名】ユ,スンヒョン
(72)【発明者】
【氏名】イム,ジュンソブ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ウォンヒョン
【審査官】岩田 行剛
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-533182(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/32
C08G 18/48
C08G 18/10
C08G 65/34
C08K 5/053
C08L 71/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一無水糖アルコール、二無水糖アルコール、及び一無水糖アルコールと二無水糖アルコールの一つ以上のポリマーを含み、
(i)組成物の数平均分子量(Mn)が、160~445であり、
(ii)組成物の多分散指数(PDI)が、1.25~3.15であり、
(iii)組成物の水酸基価が、645~900mgKOH/gである、
ことを特徴とするポリオール組成物。
【請求項2】
組成物の一分子当たりの-OH基の平均個数が、2.6個~5.0個である請求項1に記載のポリオール組成物。
【請求項3】
一無水糖アルコール、二無水糖アルコール、及び一無水糖アルコールと二無水糖アルコールの一つ以上のポリマーの一つ以上が、無水糖アルコールにおける水素化糖の脱水反応物に由来する請求項1に記載のポリオール組成物。
【請求項4】
一無水糖アルコールが、一無水糖ヘキシトールである請求項1に記載のポリオール組成物。
【請求項5】
二無水糖アルコールが、二無水糖ヘキシトールである請求項1に記載のポリオール組成物。
【請求項6】
一無水糖アルコールと二無水糖アルコールの一つ以上のポリマーが、一無水糖アルコールの縮合反応物、二無水糖アルコールの縮合反応物、又は一無水糖アルコールと二無水糖アルコールの縮合反応物の縮合ポリマーである請求項1に記載のポリオール組成物。
【請求項7】
一無水糖アルコールと二無水糖アルコールの一つ以上のポリマーが、下記式(1)~(5)で示されるポリマーからなる群から選ばれる一つ以上である請求項1に記載のポリオール組成物。
【化1】

【化2】

【化3】

【化4】

【化5】
(式中、a+b+c+dが2~100である場合、a~dは、それぞれ独立して、0~25の整数である。)
【請求項8】
酸触媒の存在下で加熱して水素化糖の脱水反応を行い、得られた脱水反応生成物を薄膜蒸留に供して製造される請求項1に記載のポリオール組成物の製造方法
【請求項9】
脱水反応が、25~40トールの減圧条件及び125~150℃の加熱条件下で行われ、薄膜蒸留が、2ミリバール以下の減圧条件及び150~175℃の加熱条件下で行われる請求項8に記載のポリオール組成物の製造方法
【請求項10】
リオール組成物を含む鎖延長剤であって、
ポリオール組成物が、一無水糖アルコール、二無水糖アルコール、及び一無水糖アルコールと二無水糖アルコールの一つ以上のポリマーを含み、
(i)組成物の数平均分子量(Mn)が、160~445であり、
(ii)組成物の多分散指数(PDI)が、1.25~3.15であり、
(iii)組成物の水酸基価が、645~900mgKOH/gである、
ことを特徴とする鎖延長剤。
【請求項11】
組成物の一分子当たりの-OH基の平均個数が、2.6個~5.0個である請求項10に記載の鎖延長剤。
【請求項12】
一無水糖アルコール、二無水糖アルコール、及び一無水糖アルコールと二無水糖アルコールの一つ以上のポリマーの一つ以上が、無水糖アルコールにおける水素化糖の脱水反応物に由来する請求項10に記載の鎖延長剤。
【請求項13】
一無水糖アルコールが、一無水糖ヘキシトールである請求項10に記載の鎖延長剤。
【請求項14】
二無水糖アルコールが、二無水糖ヘキシトールである請求項10に記載の鎖延長剤。
【請求項15】
一無水糖アルコールと二無水糖アルコールの一つ以上のポリマーが、一無水糖アルコールの縮合反応物、二無水糖アルコールの縮合反応物、又は一無水糖アルコールと二無水糖アルコールの縮合反応物の縮合ポリマーである請求項10に記載の鎖延長剤。
【請求項16】
一無水糖アルコールと二無水糖アルコールの一つ以上のポリマーが、下記式(1)~(5)で示されるポリマーからなる群から選ばれる一つ以上である請求項10に記載の鎖延長剤。
【化6】

【化7】

【化8】

【化9】

【化10】
(式中、a+b+c+dが2~100である場合、a~dは、それぞれ独立して、0~25の整数である。)
【請求項17】
ポリウレタンプレポリマー及び請求項10~16のいずれかに記載の鎖延長剤による鎖延長の部分を含む鎖延長ポリウレタン。
【請求項18】
請求項17に記載の鎖延長ポリウレタンを含むポリウレタン接着剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無水糖アルコール及び無水糖アルコールポリマーを含むポリオール組成物、より具体的には、一無水糖アルコール、二無水糖アルコール、及び一無水糖アルコールと二無水糖アルコールの一つ以上のポリマーを含み、数平均分子量(Mn)、多分散指数(PDI)及び水酸基価等の特性を特定の水準で満たすため、様々な分野で使用可能であり、特に、ポリウレタン鎖延長剤として使用する場合、ポリウレタンの引張強度及び伸長率等の物理的特性を著しく改善できるポリオール組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
水素化糖(「糖アルコール」ともいう)は、糖類の還元性末端基に水素を付加して得られる化合物を意味する。水素化糖は、一般に、HOCH2(CHOH)nCH2OH(nは2~5の整数)の化学式を有する。水素化糖は、炭素数に応じて、テトリトール、ペンチトール、ヘキシトール及びヘプチトール(それぞれ、炭素数4、5、6及び7)に分類される。その中で、炭素数6のヘキシトールには、ソルビトール、マンニトール、イジトール、ガラクチトール等が含まれており、ソルビトールとマンニトールは特に有用な物質である。
【0003】
無水糖アルコールは、分子内に2つのヒドロキシ基を有するジオール形態を有し、デンプンに由来するヘキシトールを使用して製造することができる(例えば、特許文献1、2)。無水糖アルコールは、再生可能な天然資源に由来する環境に優しい物質である為、以前から多大な関心と共にその製造方法に関する研究が行われてきた。このような無水糖アルコールの中で、ソルビトールから製造されたイソソルビドが、現在産業上の利用可能性が最も高い。
【0004】
無水糖アルコールは、心臓及び血管疾患治療、パッチの接着剤、口腔清浄剤等の薬剤、化粧品の組成物の溶媒、食品の乳化剤等の非常に様々な分野で使用できる。また、無水糖アルコールは、ポリエステル、PET、ポリカーボネート、ポリウレタン、エポキシ樹脂等の高分子物質のガラス転移温度を高めることができ、これらの物質の強度を改善する効果があり、さらに、天然資源由来の環境に優しい素材であるため、バイオプラスチック等のプラスチック産業で非常に有用である。また、接着剤、環境に易しい可塑剤、生分解性高分子、環境に易しい水溶性ラッカーの溶媒として使用できることが知られている。
【0005】
このように、無水糖アルコールは、その幅広い利用可能性から大きな関心を集めており、実際の産業利用水準は次第に高くなっている。
【0006】
従来、水素化糖の脱水反応により無水糖アルコールを製造する過程で得られる副産物は、単に結合剤として使用されており、その特別な使用は考慮されていなかった。
【0007】
特許文献3には、水素化糖の脱水反応及び減圧下での反応生成物の単純な蒸留によって製造された、無水糖アルコール及び無水糖アルコールポリマーを含むポリオール組成物が開示されている。しかし、この特許文献3に開示されたポリオール組成物をポリウレタン鎖延長剤として使用する場合、製造されたポリウレタンの引張強度及び伸長率等の物理的特性が低下するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】韓国登録特許第10-1079518号公報
【文献】韓国公開特許第10-2012-0066904号公報
【文献】韓国公開特許第10-2017-0015290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、一無水糖アルコール、二無水糖アルコール、及び一無水糖アルコールと二無水糖アルコールの一つ以上のポリマーを含むポリオール組成物であり、様々な分野で使用可能であり、特に、ポリウレタンの鎖延長剤として使用する場合、ポリウレタンの引張強度及び伸長率等の物理的特性を著しく改善することができるポリオール組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の目的を達成するために、本発明は、一無水糖アルコール、二無水糖アルコール、及び一無水糖アルコールと二無水糖アルコールの一つ以上のポリマーを含み、(i)組成物の数平均分子量(Mn)が、160~445であり、(ii)組成物の多分散指数(PDI)が、1.25~3.15であり、(iii)組成物の水酸基価が645~900mgKOH/gである、ポリオール組成物を提供する。
【0011】
本発明の別の態様によれば、本発明のポリオール組成物を含む鎖延長剤が提供される。
【0012】
本発明のさらに別の態様によれば、ポリウレタンプレポリマー、及び本発明の鎖延長剤による鎖延長の部分を含む、鎖延長ポリウレタンが提供される。
【0013】
本発明のさらに別の態様によれば、本発明の鎖延長ポリウレタンを含むポリウレタン接着剤が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によるポリオール組成物は、水素化糖の分子内脱水物を製造する過程で得られる副産物を利用することによって得られるポリオール官能基を有する無水糖アルコールベースのポリオール組成物であり、経済性や環境負荷を改善でき、様々な分野に使用可能であり、特に、ポリウレタン鎖延長剤として使用する場合、ポリウレタンの引張強度及び伸長率等の物理的特性を著しく改善することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0016】
本発明のポリオール組成物は、一無水糖アルコール、二無水糖アルコール、及び一無水糖アルコールと二無水糖アルコールの一つ以上のポリマーを含む。
【0017】
無水糖アルコールは、天然資源由来の水素化糖の脱水反応により製造することができる。水素化糖(「糖アルコール」ともいう)は、糖類の還元性末端基に水素を付加して得られる化合物を意味する。無水糖アルコールは、一般に、HOCH2(CHOH)nCH2OH(nは2~5の整数)の化学式を有する。無水糖アルコールは、炭素数に応じて、テトリトール、ペンチトール、ヘキシトール及びヘプチトール(それぞれ、炭素数4、5、6及び7)に分類される。その中で、炭素数6のヘキシトールには、ソルビトール、マンニトール、イジトール、ガラクチトール等が含まれており、ソルビトールとマンニトールは特に有用な物質である。
【0018】
本発明のポリオール組成物に含まれる一無水糖アルコール、二無水糖アルコール、及び一無水糖アルコールと二無水糖アルコールの一つ以上のポリマー(すなわち、一無水糖アルコール及び/又は二無水糖アルコールのポリマー)の一つ以上、好ましくは二つ以上、より好ましくはそれらのすべては、水素化糖(例えば、ソルビトール、マンニトール、イジトール等のヘキシトール)の脱水反応によって無水糖アルコールを製造する過程で得ることができる。
【0019】
一無水糖アルコールは、水素化糖の内部から1分子の水を除去して形成される無水糖アルコールであり、分子内に4つのヒドロキシ基を持つテトラオール形態を有している。
【0020】
本発明において、一無水糖アルコールの種類は、特に限定されず、好ましくは、一無水糖ヘキシトール、より具体的には、1,4-アンヒドロヘキシトール、3,6-アンヒドロヘキシトール、2,5-アンヒドロヘキシトール、1,5-アンヒドロヘキシトール、2,6-アンヒドロヘキシトール又はそれらの2つ以上の混合物であってもよい。
【0021】
二無水糖アルコールは、水素化糖の内部から2分子の水を除去して形成される無水糖アルコールであり、分子内に2つのヒドロキシ基を持つジオール形態を有し、デンプン由来のヘキシトールを使用して製造することができる。二無水糖アルコールは、再生可能な天然資源に由来する環境に優しい物質であるため、長い間関心を集めており、その製造に関する研究が続けられている。このような二無水糖アルコールの中で、ソルビトールから製造されたイソソルビドは、現在最も広い産業上の利用可能性を有している。
【0022】
本発明において、二無水糖アルコールの種類は、特に限定されず、好ましくは二無水糖ヘキシトール、より具体的には1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトールであってもよい。1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトールは、イソソルビド、イソマンニド、イソイジド又はそれらの2つ以上の混合物であってもよい。
【0023】
本発明において、一無水糖アルコールと二無水糖アルコールの一つ以上のポリマー(すなわち、一無水糖アルコール及び/又は二無水糖アルコールのポリマー)は、一無水糖アルコールの縮合反応物、二無水糖アルコールの縮合反応物、又は一無水糖アルコールと二無水糖アルコールの縮合反応物の縮合ポリマーであってもよい。前記縮合反応時に、単量体間の縮合の位置及び順序は特に限定されず、当業者が通常予測可能な範囲内で制限なく選択することができる。
【0024】
本発明の一実施形態において、例えば、一無水糖アルコール及び二無水糖アルコールの一つ以上のポリマーは、下記式(1)~(5)で示されるポリマーからなる群から選ばれる一つ以上であってもよい。
【0025】
【化1】
【0026】
【化2】
【0027】
【化3】
【0028】
【化4】
【0029】
【化5】
【0030】
(式中、a+b+c+dが2~100(具体的には2~50、より具体的には2~20)である場合、a~dは、それぞれ独立して、0~25の整数(具体的には、0~10の整数、より具体的には0~5の整数である。))
上記は、縮合反応における単量体間の縮合の位置及び順序に従って製造されるポリマーの単なる例であり、ポリマーは、これに限定されない。
【0031】
一実施形態において、本発明のポリオール組成物は、組成物の全重量に基づいて、一無水糖アルコール0.1~95重量%、具体的には10~40重量%、二無水糖アルコール0.1~95重量%、具体的には1~50重量%、一無水糖アルコールと二無水糖アルコールの一つ以上のポリマー5~99重量%、具体的には30~90重量%を含んでいてもよい。
【0032】
本発明において、ポリオール組成物の数平均分子量(Mn)は、160以上、165以上、170以上又は174以上であってもよい。また、本発明のポリオール組成物の数平均分子量(Mn)は、445以下、440以下、430以下、420以下、410以下、400以下又は395以下であってもよい。
【0033】
一実施形態では、ポリオール組成物の数平均分子量(Mn)は、160~445で、具体的には165~440、より具体的には170~400、さらに具体的には175~395、さらにより具体的には175~393であってもよい。前記ポリオール組成物の数平均分子量が160未満又は445超であると、ポリオール組成物をポリウレタン鎖延長剤として使用する場合、ポリウレタンの引張強度及び伸長率等の物理的特性の改善効果が不十分となる。
【0034】
本発明において、ポリオール組成物の多分散指数(PDI)は、1.25以上、1.30以上又は1.33以上であってもよい。また、本発明のポリオール組成物の多分散指数(PDI)は、3.15以下、3.10以下、3.0以下、2.90以下、2.80以下又は2.75以下であってもよい。
【0035】
一実施形態において、ポリオール組成物の多分散指数(PDI)は1.25~3.15、具体的には1.30~3.10、より具体的には1.30~3.0、より具体的には1.33~2.80、さらにより具体的には1.34~2.75であってもよい。前記ポリオール組成物の多分散指数が1.25未満や3.15超であると、ポリオール組成物をポリウレタン鎖延長剤として使用する場合、ポリウレタンの引張強度及び伸長率等の物理的特性の改善効果が不十分となる。
【0036】
また、本発明において、ポリオール組成物の水酸基価(mgKOH/g)は、645以上、650以上、655以上、659以上又は660以上であってもよい。また、本発明のポリオール組成物の水酸基価は、900以下、895以下、892以下又は891以下であってもよい。
【0037】
一実施形態において、ポリオール組成物の水酸基価は、645~900、具体的には650~900、より具体的には655~895、さらに具体的には660~892、さらにより具体的には660~891であってもよい。ポリオール組成物の水酸基価が、645mgKOH/g未満又は900mgKOH/g超であると、ポリオール組成物をポリウレタン鎖延長剤として使用する場合、ポリウレタンの引張強度及び伸長率等の物理的特性の改善効果が不十分となる。
【0038】
一実施形態によれば、数平均分子量(Mn)、多分散指数(PDI)及び水酸基価の前記条件を満たす、本発明のポリオール組成物は、組成物の一分子当たりの-OH基の平均個数が2.6個~5.0個である条件をさらに満たしてもよい。
【0039】
このような実施形態において、ポリオール組成物の一分子当たりの-OH基の平均個数は、2.6個以上、2.7個以上又は2.8個以上であってもよい。また、本発明のポリオール組成物の一分子当たりの-OH基の平均個数は、5.0個以下、4.9個以下、4.8個以下、4.7個以下又は4.6個以下であってもよい。
【0040】
より具体的には、ポリオール組成物の一分子当たりの-OH基の平均個数が、2.7個~4.9個、より具体的には2.7個~4.7個、さらに具体的には2.8個~4.6個であってもよい。ポリオール組成物の一分子当たりの-OH基の平均個数が、2.6個~5.0個の範囲内にある場合、ポリオール組成物をポリウレタン鎖延長剤として使用する場合、ポリウレタンの引張強度及び伸長率等の物理的特性の改善効果をさらに高めることができる。
【0041】
一実施形態において、本発明のポリオール組成物は、酸触媒の存在下で加熱して、水素化糖の脱水反応を行い、得られた脱水反応生成物を薄膜蒸留(例えば、短経路蒸留)に供して製造することができる。より具体的には、脱水反応は、例えば、硫酸等の酸触媒の存在下、25~40トールの減圧条件で125~150℃でソルビトール等の水素化糖を加熱することによって行うことができる。この脱水反応生成物は、必要に応じて塩基で中和後、例えば、2ミリバール以下の減圧条件で150~175℃の温度で短経路蒸留器(SPD)を使用して薄膜蒸留に供されてもよいが、これに限定されない。
【0042】
以上で説明した本発明のポリオール組成物は、特にポリウレタン鎖延長剤として使用する場合、ポリウレタンの引張強度及び伸長率等の物理的特性を著しく改善することができる
【0043】
従って、本発明の別の態様によれば、本発明のポリオール組成物を含む鎖延長剤、より具体的には、ポリウレタン用鎖延長剤が提供される。
【0044】
本発明の鎖延長剤は、本発明のポリオール組成物以外の鎖延長剤成分をさらに含んでいてもよい。前記ポリオール組成物以外のさらなる鎖延長剤には特に制限がなく、当業者が適切に選択できる公知の鎖延長剤成分を使用することができ、鎖延長剤は、例えば、1,4-ブタンジオール、イソソルビド、ヒドラジン一水和物、エチレンジアミン、ジメチルヒドラジン、1,6-ヘキサメチレンビスヒドラジン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ジアミノフェニルメタン又はそれらの組み合わせよりなる群から選ばれる一つ以上であってもよい。
【0045】
さらに、本発明のさらに別の態様によれば、ポリウレタンプレポリマー、及び前記本発明の鎖延長剤による鎖延長の部分を含む鎖延長ポリウレタンが提供される。
【0046】
一実施形態では、前記ポリウレタンプレポリマーとしては、ポリオールとイソシアネートから製造されたものを使用することができる。
【0047】
前記ポリオール成分として、当該技術分野で従来公知のポリオール化合物を特別な制限なしに使用することができ、複数の多官能性アルコールを本発明において使用することができる。このようなポリオールは、例えば、反応性アミノ基と反応する別の官能基、好ましくはNCO基を含むべきではない。複数の-OH基を有する化合物は、末端OH基を含有する化合物又は鎖全体に分布する側鎖OH基を含む化合物であってもよい。前記OH基は、イソシアネートと反応できる基であり、特に第1級又は第2級OH基である。一分子当たり平均2個~10個、好ましくは平均2個~6個の-OH基を有するポリオールを使用することが適切である。平均官能度が維持される限り、異なるポリオールの混合物を使用することができる。前記ポリオールの数平均分子量は、500~10,000であってもよい。適切なポリオールの例は、ポリエーテル、ポリアルキレン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート又はそれらの組み合わせに基づくポリオールである。より好ましくは、ポリオールは、エーテルポリオール(例えば、ポリ(テトラメチレンエーテルグリコール)、PTMEG)、ポリカーボネートポリオール、アクリル系ポリオール、ポリエステルポリオール又はそれらの組み合わせであってもよい。ポリオールは、好ましくは室温(25℃)で液体で存在し、混合物の場合、各ポリオールは室温(25℃)で個別に液体である。
【0048】
前記イソシアネートは、好ましくは平均2個~5個、より好ましくは平均4個以下のNCO基を含有する。適切なイソシアネートの例は、芳香族イソシアネート、例えば、2,4-又は4,4’-メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)、m-又はp-テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、トルイレンジイソシアネート(TDI)、ジ-又はテトラ-アルキルジフェニルメタンジイソシアネート、3,3'-ジメチルジフェニル-4,4'-ジイソシアネート(TODI)、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、4,4'-ジベンジルジイソシアネート;脂肪族イソシアネート、例えば、水素化MDI(H12MDI)、1-メチル-2,4-ジイソシアナトシクロヘキサン、1,12-ジイソシアナトドデカン、1,6-ジイソシアナト-2,2,4-トリメチルヘキサン、1,6-ジイソシアナト-2,4,4-トリメチルヘキサン、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、テトラメトキシブタン-1,4-ジイソシアネート、ブタン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサン-1,6-ジイソシアネート(HDI)、二量体脂肪酸ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、エチレンジイソシアネート又はそれらの組み合わせである。
【0049】
一実施形態において、前記鎖延長剤は、ポリウレタンプレポリマー100重量部に対して、1~20重量部、より具体的には2~15重量部で使用することができる。また、ポリウレタンプレポリマーのイソシアネート基と鎖延長剤の水酸基とのモル比は、1:1.1~1:0.9、より具体的には1:1.05~1:0.95であってもよい。
【0050】
一実施形態において、本発明の鎖延長ポリウレタンは、(1)ポリオールとイソシアネートを反応させてポリウレタンプレポリマーを製造する工程、(2)前記ポリウレタンプレポリマーに本発明の鎖延長剤を添加する工程、及び(3)得られた工程(2)の混合物を反応させる工程を含む、鎖延長ポリウレタンの製造方法によって製造することができる。
【0051】
本発明の鎖延長ポリウレタンの製造方法において、ポリウレタンプレポリマーは、ポリオールとイソシアネートを反応させることによって得ることができ、例えば、4口反応器にポリオール(50~100℃、好ましくは70~90℃、12~36時間、好ましくは20~28時間、真空下で十分に乾燥)とイソシアネートを加え、窒素雰囲気下で、50~100℃、好ましくは50~70℃の温度を維持しながら0.1~5時間、好ましくは0.5時間~2時間反応させることにより、製造することができる。
【0052】
次に、前記ポリウレタンプレポリマーに鎖延長剤を加え、混合物をコーティングで処理された型に投入し、80~200℃、好ましくは100~150℃で10~30時間、好ましくは15~25時間硬化させることによって鎖延長ポリウレタンを製造することができる。
【0053】
本発明のさらに別の態様によれば、本発明の鎖延長ポリウレタンを含むポリウレタン接着剤が提供される。本発明の鎖延長ポリウレタンは、適切な温度(例えば、180℃)で適切に溶融し、接着剤(好ましくはホットメルト接着剤)として使用することができる。本発明のポリウレタン接着剤は、従来接着剤で使用される添加剤をさらに含むことができる。
【0054】
以下の実施例及び比較例を通じて本発明をより詳細に説明する。しかし、本発明の範囲が、それによっていかなる方法でも限定されない。
【実施例
【0055】
<無水糖アルコール及び無水糖アルコールポリマー含有ポリオール組成物の製造>
実施例A1:薄膜蒸留器を使用したポリオール組成物の製造
撹拌器を備えた3口ガラス反応器にソルビトール粉末(D-ソルビトール)1,000gを加え、反応器内部温度を110℃に昇温して溶解させた後、濃硫酸(95%)10gを加え、反応温度を135℃に昇温した。次に、4時間、30トールの真空条件下で脱水反応を行った。その後、反応器の内部温度を110℃に下げ、脱水反応液に50%水酸化ナトリウム溶液20gを加えて中和した後、中和した溶液を薄膜蒸留器(具体的には、短経路蒸留器(SPD))に投入した。このとき、蒸留は160℃、1ミリバールの真空圧力下で行い、蒸留液を分離した。液分離後、イソソルビド(二無水糖アルコール)31重量%、ソルビタン(一無水糖アルコール)17重量%及びそのポリマー52重量%を含むポリオール組成物304gを得た。組成物の数平均分子量が257g/mol、組成物の多分散指数が1.78、組成物の水酸基価が783mgKOH/gであり、組成物の一分子当たりの-OH基の平均個数が3.6個であった。
【0056】
実施例A2:薄膜蒸留器を使用したポリオール組成物の製造
撹拌器を備えた3口ガラス反応器にソルビトール粉末(D-ソルビトール)1,000gを加え、反応器内部温度を110℃に昇温して溶解させた後、濃硫酸(95%)10gを加え、反応温度を125℃に昇温した。次に、4時間、40トールの真空条件下で脱水反応を行った。その後、反応器の内部温度を110℃に下げ、脱水反応液に50%水酸化ナトリウム溶液20gを加えて中和した後、中和した溶液を薄膜蒸留器(具体的には、短経路蒸留器(SPD))に投入した。このとき、蒸留は150℃、1ミリバールの真空圧力下で行い、蒸留液を分離した。分離後、イソソルビド(二無水糖アルコール)46重量%、ソルビタン(一無水糖アルコール)39重量%及びそのポリマー15重量%を含むポリオール組成物325gを得た。組成物の数平均分子量が175g/mol、組成物の多分散指数が1.34、組成物の水酸基価が891mgKOH/g、組成物の一分子当たりの-OH基の平均個数が2.8個であった。
【0057】
実施例A3:薄膜蒸留器を使用したポリオール組成物の製造
撹拌器を備えた3口ガラス反応器にソルビトール粉末(D-ソルビトール)1,000gを加え、反応器内部温度を110℃に昇温して溶解させた後、濃硫酸(95%)10gを加え、反応温度を145℃に昇温した。次に、4時間の間25トールの真空条件下で脱水反応を行った。その後、反応器の内部温度を110℃に下げ、脱水反応液に50%水酸化ナトリウム溶液20gを加えて中和した後、中和した溶液を薄膜蒸留器(具体的には、短経路蒸留器(SPD))に投入した。このとき、蒸留は175℃、1ミリバールの真空圧力下で行い、蒸留液を分離した。分離後、イソソルビド(二無水糖アルコール)8重量%、ソルビタン(一無水糖アルコール)12重量%及びそのポリマー80重量%を含むポリオール組成物272gを得た。組成物の数平均分子量が393g/mol、組成物の多分散指数が2.75、組成物の水酸基価が660mgKOH/g、組成物の一分子当たりの-OH基の平均個数が4.6個であった。
【0058】
比較例A1:薄膜蒸留器を使用したポリオール組成物の製造
撹拌器を備えた3口ガラス反応器にソルビトール粉末(D-ソルビトール)1,000gを加え、反応器内部温度を110℃に昇温して溶解させた後、濃硫酸(95%)10gを加え、反応温度を120℃に昇温した。次に、4時間、45トールの真空条件下で脱水反応を行った。その後、反応器の内部温度を110℃に下げ、脱水反応液に50%水酸化ナトリウム溶液20gを加えて中和した後、中和した溶液を薄膜蒸留器(具体的には、短経路蒸留器(SPD))に投入した。このとき、蒸留は150℃、1ミリバールの真空圧力下で行い、蒸留液を分離した。分離後、イソソルビド(二無水糖アルコール)55重量%、ソルビタン(一無水糖アルコール)43重量%及びそのポリマー2重量%を含むポリオール組成物345gを得た。組成物の数平均分子量が152g/mol、組成物の多分散指数が1.21、組成物の水酸基価が905mgKOH/g、組成物の一分子当たりの-OH基の平均個数が2.4個であった。
【0059】
比較例A2:薄膜蒸留器を使用したポリオール組成物の製造
撹拌器を備えた3口ガラス反応器にソルビトール粉末(D-ソルビトール)1,000gを加え、反応器内部温度を110℃に昇温して溶解させた後、濃硫酸(95%)10gを加え、反応温度を155℃に昇温した。次に、5時間、20トールの真空条件下で脱水反応を行った。その後、反応器の内部温度を110℃に下げ、脱水反応液に50%水酸化ナトリウム溶液20gを加えて中和した後、中和した溶液を薄膜蒸留器(具体的には、短経路蒸留器(SPD))に投入した。このとき、蒸留は170℃、1ミリバールの真空圧力下で行い、蒸留液を分離した。蒸留液分離後、イソソルビド(二無水糖アルコール)3重量%、ソルビタン(一無水糖アルコール)4重量%及びそのポリマー93重量%を含むポリオール組成物262gを得た。組成物の数平均分子量が448g/mol、組成物の多分散指数が3.18、組成物の水酸基価が641mgKOH/g、組成物の一分子当たりの-OH基の平均個数が5.1個であった。
【0060】
比較例A3:単純な減圧蒸留を使用したポリオール組成物の製造
特許文献3に開示された方法により、ポリオール組成物を、単純な減圧蒸留を使用することにより、以下のように製造した。
撹拌器を備えた3口ガラス反応器にソルビトール粉末(D-ソルビトール)1,000gを加え、反応器内部温度を110℃に昇温して溶解させた後、濃硫酸(95%)10gを加え、反応温度を135℃に昇温した。次に、4時間、30トールの真空条件下で脱水反応を行った。その後、反応器の温度を110℃に下げ、脱水反応液に50%水酸化ナトリウム溶液20gを加えて中和した後、反応器内で中和した溶液を、200℃、50ミリバール以下の真空圧力下で単純な減圧蒸留に供し、蒸留液を分離した。分離後、イソソルビド(二無水糖アルコール)71重量%、ソルビタン(一無水糖アルコール)22重量%及びそのポリマー7重量%を含むポリオール組成物379gを得た。組成物の数平均分子量が159g/mol、組成物の多分散指数が1.18、組成物の水酸基価が904mgKOH/g、組成物の一分子当たりの-OH基の平均個数が2.5個であった。
【0061】
<鎖延長ポリウレタンの製造>
実施例B1:鎖延長剤として実施例A1のポリオール組成物を使用した鎖延長ポリウレタンの製造
80℃で24時間、十分に真空乾燥させたPTMEG 1000(Aldrich社製)のポリオール組成物50g(1,000g/mol)と4,4’-メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)25.025gを4口反応器に加えた後、60℃を維持しながら窒素雰囲気下で1時間反応させ、ポリウレタンプレポリマーを製造した。次に、ポリウレタンプレポリマーのNCO%を測定し、理論NCO%に達した時に、鎖延長剤として実施例A1のポリオール組成物72gを加えて混合した。前記混合物をシリコーンコーティングで処理された型に投入し、110℃で16時間硬化させて、鎖延長ポリウレタンフィルムを製造した。
【0062】
実施例B2:鎖延長剤として実施例A2のポリオール組成物を使用した鎖延長ポリウレタンの製造
鎖延長剤として実施例A1のポリオール組成物72gの代わりに実施例A2のポリオール組成物76gを使用したことを除いて、実施例B1と同じ方法を行って鎖延長ポリウレタンフィルムを製造した。
【0063】
実施例B3:鎖延長剤として実施例A3のポリオール組成物を使用した鎖延長ポリウレタンの製造
鎖延長剤として実施例A1のポリオール組成物72gの代わりに実施例A3のポリオール組成物187gを使用したことを除いて、実施例B1と同じ方法を行って鎖延長ポリウレタンフィルムを製造した。
【0064】
比較例B1:鎖延長剤として比較例A1のポリオール組成物を使用した鎖延長ポリウレタンの製造
鎖延長剤として実施例A1のポリオール組成物72gの代わりに比較例A1のポリオール組成物63gを使用したことを除いて、実施例B1と同じ方法を行って鎖延長ポリウレタンフィルムを製造した。
【0065】
比較例B2:鎖延長剤として比較例A2のポリオール組成物を使用した鎖延長ポリウレタンの製造
鎖延長剤として実施例A1のポリオール組成物72gの代わりに比較例A2のポリオール組成物215gを使用したことを除いて、実施例B1と同じ方法を行って鎖延長ポリウレタンフィルムを製造した。
【0066】
比較例B3:鎖延長剤として比較例A3のポリオール組成物を使用した鎖延長ポリウレタンの製造
鎖延長剤として実施例A1のポリオール組成物72gの代わりに比較例A3のポリオール組成物65gを使用したことを除いて、実施例B1と同じ方法を行って鎖延長ポリウレタンフィルムを製造した。
【0067】
<ホットメルト試料の製造>
前記実施例B1~B3及び比較例B1~B3で製造された鎖延長ポリウレタンフィルムのそれぞれを、ASTM D412によりドッグボーンの形状に切断して、ホットメルト接着剤試料を製造した。
【0068】
<物性測定方法>
数平均分子量(Mn)及び多分散指数(PDI)
前記実施例及び比較例で製造された各ポリオール組成物を、N、N-ジメチルホルムアミド1~3重量部に溶解し、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)(Agilent社製)を使用して数平均分子量(Mn)及び多分散指数(PDI)を測定した。このとき、使用されたカラムは、PLgel 3μm MIXED-E300×7.5mm(Agilent社製)、カラム温度は50℃、使用された溶離液は0.05M NaBrを含むN,N-ジメチルホルムアミド、流速0.5mL/minであり、使用した標準はポリスチレン(Agilent社製)であった。
【0069】
水酸基価
水酸基価試験標準であるASTM D-4274Dに従って、イミダゾール触媒下で、前記実施例及び比較例で製造された各ポリオール組成物と過剰の無水フタル酸をエステル化反応させた後、残留する無水フタル酸を0.5N水酸化ナトリウム(NaOH)で滴定することによって、ポリオール組成物の水酸基価を測定した。
【0070】
分子当たりの-OH基の平均個数
下記式によりポリオール組成物の一分子当たりの-OH基の平均個数を算出した。
分子当たりの-OH基の平均個数=(水酸基価×数平均分子量)/56100
【0071】
引張強度と伸長率
UTM(Instron 5967、Instron社製)を使用して5mm/minの速度で引張強度及び伸長率を測定した。具体的には、各ホットメルト接着剤試料に対し合計5回の引張強度及び伸長率を測定し、その平均値を算出した。
【0072】
前記実施例A1~A3及び比較例A1~A3のポリオール組成物の物性値及び前記実施例B1~B3及び比較例B1~B3の鎖延長ポリウレタンを使用して製造されたホットメルト接着剤の物性値を下記表1に示す。
【0073】
【表1】
【0074】
前記表1に示されるように、本発明の実施例A1~A3のポリオール組成物をそれぞれ鎖延長剤として使用することにより製造された実施例B1~B3の鎖延長ポリウレタン系ホットメルト接着剤は、30MPa以上の優れた引張強度を示すと共に、280%以上の優れた伸長率を示した。
【0075】
一方、比較例A1及びA3のポリオール組成物を鎖延長剤として使用することにより製造された比較例B1及びB3の鎖延長ポリウレタン系ホットメルト接着剤は、鎖延長剤が低い数平均分子量及び低い多分散指数であったため、非常に低い引張強度及び伸長率を示した。比較例A2のポリオール組成物を鎖延長剤として使用することにより製造された比較例B2の鎖延長ポリウレタン系ホットメルト接着剤は、過剰な分子量分布による不均一な反応性のために比較的低い引張強度及び伸長率を示した。