(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-23
(45)【発行日】2023-07-03
(54)【発明の名称】蠕動式推進型乾燥設備
(51)【国際特許分類】
F26B 17/04 20060101AFI20230626BHJP
F26B 3/30 20060101ALI20230626BHJP
【FI】
F26B17/04 Z
F26B3/30
(21)【出願番号】P 2021572362
(86)(22)【出願日】2019-08-14
(86)【国際出願番号】 CN2019100586
(87)【国際公開番号】W WO2021026817
(87)【国際公開日】2021-02-18
【審査請求日】2021-12-03
(73)【特許権者】
【識別番号】521530679
【氏名又は名称】安尼康(福建)環保設備有限公司
【氏名又は名称原語表記】AMCON (FUJIAN) ENVIRONMENT PROTECTION EQUIPMENT CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Yuan Hai Three-way, Yuan Hong Investment Zone Fuzhou, Fujian 350314 (CN)
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】鄭朝志
【審査官】▲高▼藤 啓
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-273043(JP,A)
【文献】特開平05-032310(JP,A)
【文献】特開昭49-067379(JP,A)
【文献】特開平09-240823(JP,A)
【文献】実開昭51-026565(JP,U)
【文献】実開平04-118101(JP,U)
【文献】米国特許第05373647(US,A)
【文献】特開2013-117333(JP,A)
【文献】中国実用新案第207262902(CN,U)
【文献】中国実用新案第204574734(CN,U)
【文献】西独国特許出願公開第3712765(DE,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0264896(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F26B 1/00-25/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱供給モジュールと、乾燥室と、前記乾燥室内に設けられる材料搬送装置とを含む蠕動式推進型乾燥設備であって、
前記乾燥室には、熱源入口、熱源出口、供給口、及び排出口が設けられ、
前記熱供給モジュールの放熱点は、前記熱源入口に設けられ、前記乾燥室に熱源を提供するものであり、
前記材料搬送装置は、材料を敷き及び推進するためのプラットフォームを提供し、
前記材料搬送装置のプラットフォームは、相対的な局所運動及び変位可能な複数の本体部材が敷設されてなり、前記本体部材の間には、通気隙間が形成され、前記本体部材は、材料を繰り返して動かすことで材料を前向きに蠕動推進させるとともに、前記通気隙間の透過性を保持するように構成され
、
前記本体部材は、2群又は2群以上の短冊バーが交互に積層されるように敷設されたバー積層推進型材料搬送台を含み、同一群の短冊バーにおける隣接する前記短冊バーの間にはガスケットによって離間され、前記ガスケットの厚さは他の群の短冊バーの厚さよりも大きいことで、前記通気隙間が形成され、
少なくとも1群の短冊バーは可動短冊バーであり、他の群の短冊バーに対して相対的に変位することにより、各群の可動短冊バーが往復運動することが確保され、
各群の前記可動短冊バーにおける前後平衡する位置には2つ又は2つ以上の接続孔が設けられ、各群の前記可動短冊バーは、前記接続孔内に穿設される接続棒により接続されて可動体となり、各前記可動体は駆動装置によって駆動され、すべての前記可動短冊バーを同じ運動軌跡で運動させ、
前記駆動装置は、1群の駆動中心軸と、1群の伝動短冊バーと、1群の駆動機構とを含み、
前記1群の駆動中心軸は、少なくとも2つの駆動中心軸を含み、
前記1群の伝動短冊バーは、前記バー積層推進型材料搬送台の左右平衡する位置に位置する少なくとも2つの伝動短冊バーを含み、各前記伝動短冊バーのいずれにも少なくとも2つの偏心装置が設けられ、前記偏心装置は、前記材料搬送台の前後平衡する位置に位置し、前記1群の伝動短冊バーにおける左右に対応する前記偏心装置内には前記駆動中心軸が穿設され、前記1群の伝動短冊バー上の偏心装置の偏心方向が一致し、偏心軸間距離が一致し、各前記伝動短冊バーのいずれにも、前記可動短冊バー上の接続孔の位置と一致する少なくとも2つの固定孔が設けられ、前記伝動短冊バー上の固定孔と前記可動短冊バーの接続孔とは同一の接続棒によって固定して直列接続され、
前記1群の駆動機構は、1つの駆動モータ及び伝動機構、又は複数の駆動モータを含み、前記1群の駆動機構は、前記1群の駆動中心軸を駆動して同一の回転方向及び回転速度を実現し、
前記1群の駆動機構は、前記1群の駆動中心軸を同期運動させ、それに套設される前記1群の伝動短冊バーをそれぞれ運動させ、前記1群の伝動短冊バーは、それに接続される前記1群の可動短冊バーを同じ軌跡で運動させることを特徴とする、蠕動式推進型乾燥設備。
【請求項2】
前記バー積層推進型材料搬送台は、交互に積層される2群の可動短冊バーを含んでなり、前記2群の可動短冊バーは、1群の前記駆動中心軸を共用することを特徴とする、
請求項1に記載の蠕動式推進型乾燥設備。
【請求項3】
前記プラットフォームの下方には、下層プラットフォームがさらに設けられ、前記下層プラットフォームは上方に位置する前記プラットフォームに対応し、交互に積層される2群又は2群以上の短冊バーを含んでなり、隣接する短冊バーの間に隙間を有し、
上層に位置する前記プラットフォームの各群の可動短冊バーはその両側の可動短冊バーに設けられる平衡に分布する複数の下部伝動接続バーを介して前記下層プラットフォームに位置する1群の可動短冊バーに接続され、これによって、前記下層プラットフォームの各群の可動短冊バーはいずれも上層の前記プラットフォームの1群の可動短冊バーに対応して同じ軌跡で運動することを特徴とする、
請求項1又は請求項2に記載の蠕動式推進型乾燥設備。
【請求項4】
前記バー積層推進型材料搬送台の上方には材料転圧装置がさらに設けられ、
前記材料転圧装置はチェーンスクレープ構造であり、
前記チェーンスクレープ構造はスクレーパーであり、前記伝動機構に設けられ、
前記伝動機構は、少なくとも2つのチェーンと、4つのスプロケットとを含み、2つの前記スプロケットごとに1つの前記駆動中心軸に設けられ、各前記チェーンは少なくとも2つの前記スプロケットに巻き取られ、
前記チェーンには1つ又は1つ以上の前記スクレーパーが間隔をあけて設けられ、前記スクレーパーは、前記可動短冊バーの上方に位置することで、前記可動短冊バーが上向きに運動して最高点に到達したときに、前記可動短冊バー上の材料は前記スクレーパーに十分にこそげられることによって、材料が平らにされ、押圧され、削り取られることを特徴とする、請求項
1~請求項3のいずれか1項に記載の蠕動式推進型乾燥設備。
【請求項5】
前記バー積層推進型材料搬送台の上方には材料転圧装置がさらに設けられ、
前記材料転圧装置は、前記バー積層推進型材料搬送台の上方においてA群可動短冊バーの両側の可動短冊バーに均衡に設けられる複数の上部伝動接続ロッドを介して接続される1群の転圧短冊バーであり、前記バー積層推進型材料搬送台のA群可動短冊バーの運動によって、前記転圧短冊バーが運動するとともに、前記転圧短冊バーはいずれも前記バー積層推進型材料搬送台のB群可動短冊バーの隙間に位置合わせすることによって、下向きに運動する過程において前記バー積層推進型材料搬送台のB群可動短冊バーの側壁がこそげられ、材料が転圧されることで、材料が平らにされ、せん断され、押圧され、削り取られることを特徴とする、
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の蠕動式推進型乾燥設備。
【請求項6】
前記バー積層推進型材料搬送台の下方には、材料削り取り装置がさらに設けられ、
前記材料削り取り装置は、前記バー積層推進型材料搬送台の下方においてB群可動短冊バーの両側の可動短冊バーに均衡に設けられる複数の下部伝動接続ロッドを介して接続される1群の削り取り短冊バーであり、前記バー積層推進型材料搬送台のB群可動短冊バーの運動によって、前記削り取り短冊バーが運動し、前記削り取り短冊バーは、いずれも前記バー積層推進型材料搬送台のA群可動短冊バーの隙間に位置合わせすることによって、上向きに運動する過程において前記バー積層推進型材料搬送台のA群可動短冊バーの側壁がこそげられ、材料が押圧され、削り取られることを特徴とする、
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の蠕動式推進型乾燥設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料乾燥設備の技術分野に属し、具体的には蠕動式推進型乾燥設備に関する。
【背景技術】
【0002】
材料乾燥設備は、化工、食品、医薬、建材などの業界の乾燥工程に幅広く使用されている。汚泥処理分野において、汚泥脱水機から産生された泥ケーキが造粒又は製条された後に、自由に網状履帯に落ちて、多層往復の網ベルトの搬送により、網ベルト上の泥ケーキが徐々に蒸発し、最終的に含水率がより低い材料になり排出される。
【0003】
中国特許出願201810369116.0には、還気循環加熱乾燥装置が開示されている。中国特許出願201810953665.2には、閉鎖式ベルト式乾燥機が開示されている。この2つの特許文献に記載の材料搬送装置はいずれもコンベヤーベルトにより材料を搬送し、コンベヤーベルトは網ベルトであるとともに、熱源入口が乾燥室の底部の下方に設けられ、排出口が開放型である。
【0004】
従来技術の乾燥設備は以下の欠点を有する。1、含水率が高く、成形できない泥ケーキに対して乾燥効率が極めて低い。2、泥ケーキが網ベルトに落ちた後、短時間に均一に平らに敷くことができず、堆積されやすく、網ベルトの濾網の通気メッシュが詰まりやすく、通風及び蒸発の効果に影響を与える。3、泥ケーキが搬送される過程において、形状が変化せず、泥球内部の水分が排出できず、底部の泥球が搬送過程において常に熱風に接触することができないため、均一に蒸発することができない。4、熱風が底部から垂直に上向きに上昇し、水平方向の熱風がなく、網ベルト上の汚泥にとって、蒸発効率が不足である。5、排出口が開放型であるため、熱風が排出口から漏れるため、熱損失が多くなる。
【発明の概要】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、より効率的な蠕動式推進型乾燥設備を提供することである。
【0006】
本発明は以下の技術的手段によって実現される。
熱供給モジュールと、乾燥室と、前記乾燥室内に設けられる材料搬送装置とを含む蠕動式推進型乾燥設備であって、
前記乾燥室には、熱源入口、熱源出口、供給口、及び排出口が設けられ、
前記熱供給モジュールの放熱点は、前記熱源入口に設けられ、前記乾燥室に熱源を提供するものであり、
前記材料搬送装置は、材料を敷き及び推進するためのプラットフォームを提供し、
前記材料搬送装置のプラットフォームは、相対的な局所運動及び変位可能な複数の本体部材が敷設されてなり、前記本体部材の間には、通気隙間が形成され、前記本体部材は、材料を引っ繰り返して動かすことで材料を前向きに蠕動推進させるとともに、前記通気隙間の透過性を保持するように構成される蠕動式推進型乾燥設備。
【0007】
さらに、前記本体部材は、2群又は2群以上の短冊バーが交互に積層されるように敷設されたバー積層推進型材料搬送台を含み、同一群の短冊バーにおける隣接する前記短冊バーの間にはガスケットによって離間され、前記ガスケットの厚さは前記他の群の短冊バーの厚さよりも大きいことで、前記通気隙間が形成され、
少なくとも1群の短冊バーは可動短冊バーであり、他の群の短冊バーに対して相対的に変位することにより、各群の可動短冊バーが往復運動することが確保され、
各群の前記可動短冊バーにおける前後平衡する位置には2つ又は2つ以上の接続孔が設けられ、各群の前記可動短冊バーは、前記接続孔内に穿設される接続棒により接続されて可動体となり、各前記可動体は駆動装置によって駆動され、すべての前記可動短冊バーを同じ運動軌跡で運動させる。
【0008】
さらに、前記駆動装置は、1群の駆動中心軸と、1群の伝動短冊バーと、1群の駆動機構とを含み、
前記1群の駆動中心軸は、少なくとも2つの駆動中心軸を含み、
前記1群の伝動短冊バーは、前記バー積層推進型材料搬送台の左右平衡する位置に位置する少なくとも2つの伝動短冊バーを含み、各前記伝動短冊バーのいずれにも少なくとも2つの偏心装置が設けられ、前記偏心装置は、前記材料搬送台の前後平衡する位置に位置し、前記1群の伝動短冊バーにおける左右に対応する前記偏心装置内には前記駆動中心軸が穿設され、前記1群の伝動短冊バー上の偏心装置の偏心方向が一致し、偏心軸間距離が一致し、各前記伝動短冊バーのいずれにも、前記可動短冊バー上の接続孔の位置と一致する少なくとも2つの固定孔が設けられ、前記伝動短冊バー上の固定孔と前記可動短冊バーの接続孔とは同一の接続棒によって固定して直列接続され、
前記1群の駆動機構は、1つの駆動モータ及び伝動機構、又は複数の駆動モータを含み、前記1群の駆動機構は、前記1群の駆動中心軸を駆動して同一の回転方向及び回転速度を実現し、
前記1群の駆動機構は、前記1群の駆動中心軸を同期運動させ、それに套設される前記1群の伝動短冊バーをそれぞれ運動させ、前記1群の伝動短冊バーは、それに接続される前記1群の可動短冊バーを同じ軌跡で運動させる。
【0009】
さらに、前記バー積層推進型材料搬送台は、交互に積層される2群の可動短冊バーを含んでなり、前記2群の可動短冊バーは、1群の前記駆動中心軸を共用する。
【0010】
さらに、前記プラットフォームの下方には、下層プラットフォームがさらに設けられ、前記下層プラットフォームは上方に位置する前記プラットフォームに対応し、交互に積層される2群又は2群以上の短冊バーを含んでなり、隣接する短冊バーの間に隙間を有し、
上層に位置する前記プラットフォームの各群の可動短冊バーはその両側の可動短冊バーに設けられる平衡に分布する複数の下部伝動接続バーを介して前記下層プラットフォームに位置する1群の可動短冊バーに接続され、これによって、前記下層プラットフォームの各群の可動短冊バーはいずれも上層の前記プラットフォームの1群の可動短冊バーに対応して同じ軌跡で運動する。
【0011】
さらに、前記バー積層推進型材料搬送台の上方には材料転圧装置がさらに設けられる。
【0012】
さらに、前記材料転圧装置は、回転装置であり、前記バー積層推進型材料搬送台の可動短冊バーの上方に位置し、前記可動短冊バーが上に運動して最高点まで到達したときに、前記可動短冊バー上の材料は前記回転装置によって十分に押圧されることで、材料が平らにされ、押しつぶされ、削り取られる。
【0013】
さらに、前記材料転圧装置は、前記バー積層推進型材料搬送台の1群の可動短冊バーの上方においてその両側の可動短冊バー上に均衡に設けられる複数の上部伝動接続バーを介して架設される1つ又は複数の転圧板であり、他の群の可動短冊バーが上に運動して最高点に達したときに、前記転圧板は材料を十分に転圧できることで、材料が平らにされ、押圧され、削り取られる。
【0014】
さらに、前記材料転圧装置はチェーンスクレープ構造であり、
前記チェーンスクレープ構造はスクレーパーであり、前記伝動機構に設けられ、
前記伝動機構は、少なくとも2つのチェーンと、4つのスプロケットとを含み、2つの前記スプロケットごとに1つの前記駆動中心軸に設けられ、各前記チェーンは少なくとも2つの前記スプロケットに巻き取られ、
前記チェーンには1つ又は1つ以上の前記スクレーパーが間隔をあけて設けられ、前記スクレーパーは、前記可動短冊バーの上方に位置することで、前記可動短冊バーが上向きに運動して最高点に到達したときに、前記可動短冊バー上の材料は前記スクレーパーに十分にこそげられることによって、材料が平らにされ、押圧され、削り取られる。
【0015】
さらに、前記材料転圧装置は、前記バー積層推進型材料搬送台の上方においてA群可動短冊バーの両側の可動短冊バーに均衡に設けられる複数の上部伝動接続ロッドを介して接続される1群の転圧短冊バーであり、前記バー積層推進型材料搬送台のA群可動短冊バーの運動によって、前記転圧短冊バーが運動するとともに、前記転圧短冊バーはいずれも前記バー積層推進型材料搬送台のB群可動短冊バーの隙間に位置合わせすることによって、下向きに運動する過程において前記バー積層推進型材料搬送台のB群可動短冊バーの側壁がこそげられ、材料が転圧されることで、材料が平らにされ、せん断され、押圧され、削り取られる。
【0016】
さらに、前記バー積層推進型材料搬送台の下方には、材料削り取り装置がさらに設けられ、
前記材料削り取り装置は、前記バー積層推進型材料搬送台の下方においてB群可動短冊バーの両側の可動短冊バーに均衡に設けられる複数の下部伝動接続ロッドを介して接続される1群の削り取り短冊バーであり、前記バー積層推進型材料搬送台のB群可動短冊バーの運動によって、前記削り取り短冊バーが運動し、前記削り取り短冊バーは、いずれも前記バー積層推進型材料搬送台のA群可動短冊バーの隙間に位置合わせすることによって、上向きに運動する過程において前記バー積層推進型材料搬送台のA群可動短冊バーの側壁がこそげられ、材料が押圧され、削り取られる。
【0017】
さらに、前記材料搬送装置は、前記乾燥室内において上から下へ配列され、層に分けて複数設けられ、
隣接する2層の前記材料搬送装置の搬送方向は互いに反対であり、即ち、材料が上の層の前記材料搬送装置の始端から末端まで搬送され、そして下の層の前記材料搬送装置の始端に落ち、さらに末端まで搬送される。
【0018】
さらに、前記供給口は、最上層の前記材料搬送装置の上方に位置し、前記排出口は、最下層の前記材料搬送装置の下方に位置し、
前記熱源入口は、前記乾燥室の一方側における前記排出口に近い箇所に設けられ、前記熱源出口も、前記乾燥室の一方側における前記供給口に近い箇所に設けられ、
前記熱源入口の送風方向は、材料の排出方向と逆である。
【0019】
さらに、前記材料搬送装置のプラットフォーム面が熱風が必ず通過する通路となるように、前記バー積層推進型材料搬送装置のプラットフォームの周囲にはガイド板が設けられる。
【0020】
さらに、前記供給口には、材料が成形された後に最上層の前記材料搬送装置の始端に均一に落ちることができるように、製条機又はスライサーが設けられ、前記製条機又はスライサーは前記供給口を密閉させることで熱風が供給口から漏れることが防止される。
【0021】
さらに、前記排出口には、回転排出口が設けられ、前記回転排出口は密閉式であることで、熱風が前記排出口から漏れることが防止される。
【0022】
さらに、前記回転排出口の回転ブロックは、歯車付き円盤であり、前記歯車付き円盤は別の歯車によって駆動される。
【0023】
さらに、熱風回収利用装置をさらに含み、前記熱風回収利用装置は、前記乾燥室内における前記熱源風出口に近い箇所に設けられ、前記熱風回収利用装置は、凝縮器と、ガイドファンとを含み、一部の熱風が管路及び前記ガイドファンのガイドによって前記凝縮器を経て除湿された後、前記乾燥室内に戻る。
【0024】
さらに、前記材料搬送装置の上方には赤外線加熱装置がさらに設けられる。
【0025】
本発明の利点は以下の通りである。1、材料搬送の過程において、互いに運動する短冊バーに透過可能な隙間が形成されるため、空気の流動性が向上し、材料の乾燥に有利である。2、材料搬送の過程において、支持、展開、せん断、こそげ巻きなどの動作により材料の蒸発面積を増大させ、乾燥の効率を向上させ、含水率が高くて成形できない材料にも適用される。3、材料はガス透過隙間から順調に落ちることができため、詰まることがない。4、熱源入口からの送風方向は材料の排出方向と反対であり、熱風は水平方向に乾燥室内に入り、材料搬送装置のプラットフォームの底部から上に蒸発するのに加え、水平方向においても蒸発して水分を連れて行くため、蒸発効率が高まる。5、排出口は密閉式であることで、熱風が排出口から漏れることが防止され、熱損失が低減され、蒸発効率がさらに高まる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
以下、図面及び実施例により本発明をさらに説明する。
【
図4】本発明のバー積層推進型材料搬送装置の一部の立体分解構造の模式図である。
【
図5】本発明のバー積層推進型材料搬送装置の一部組立構造の模式図である。
【
図6】本発明のバー積層推進型材料搬送装置の全体構造の模式図である。
【
図7】本発明のバー積層推進型材料搬送装置の側面図である。
【
図8】本発明の「A群短冊バーが前向きに、B群短冊バーが後向きに」運動する状態の模式図である。
【
図9】本発明の「A群短冊バーが上向きに、B群短冊バーが下向きに」運動する状態の模式図である。
【
図10】本発明の「A群短冊バーが後向きに、B群短冊バーが前向きに」運動する状態の模式図である。
【
図11】本発明の「A群短冊バーが下向きに、B群短冊バーが上向きに」運動する状態の模式図である。
【
図12】本発明の2つのプラットフォームを使用する構造模式図である。
【
図13】本発明の回転装置の上面構造模式図である。
【
図14】本発明の回転装置を使用する設備の全体構造模式図である。
【
図15】本発明の転圧板を使用する材料搬送台の構造模式図である。
【
図16】本発明の転圧板が接続される可動短冊バーの構造模式図である。
【
図17】本発明の材料搬送台に複数種類の材料転圧装置及び材料削り取り装置が同時に使用される場合の構造模式図である。
【
図18】本発明の転圧短冊バーが接続される可動短冊バーの構造模式図である。
【
図19】本発明の削り取り短冊バーが接続される可動短冊バーの構造模式図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1に示すように、蠕動式推進型乾燥設備は、乾燥室1と、熱供給モジュール2と、乾燥室1内に設けられる材料搬送装置3とを含む。
【0028】
乾燥室1には、熱源入口4、熱源出口5、供給口6、及び排出口7が設けられる。
【0029】
熱供給モジュール2の放熱点21は、熱源入口4に設けられ、乾燥室1に熱源を提供する。熱源モジュール2は、ヒートポンプシステムによって提供される。
【0030】
材料搬送装置3は、2つあり、乾燥室1内において2層に分けて上から下へ配列される。2つの材料搬送装置3は、搬送方向が互いに反対であり、具体的には、材料が上の材料搬送装置3の始端から末端まで搬送され、そして下の材料搬送装置3の始端に落ちてその末端まで搬送され、さらに排出口7から排出される。
【0031】
供給口6は、最上層の材料搬送装置3の上方に設けられ、排出口7は、最下層の材料搬送装置3の下方に設けられる。
【0032】
最上層の材料搬送装置3の上方には、赤外線加熱装置12がさらに設けられる。材料は供給口6から乾燥室1内に入り、赤外線加熱装置12を経て温度が上昇する。
【0033】
熱源入口4は、乾燥室1の一方側における排出口7に近い箇所に設けられる。熱源出口5も乾燥室1の一方側に設けられ、熱源入口4と同じ側における供給口6に近い箇所に位置する。熱源入口4の送風方向は、材料の排出方向と逆である。
【0034】
材料搬送装置3のプラットフォームが熱風が必ず通過する通路となるように、各材料搬送装置3のプラットフォームの周囲にガイド板8が設けられる。乾燥室1の底部における底板は、落ちた材料が排出口7への方向に沿って滑り落ちるように設けられる。或いは、乾燥室1内には、落ちた材料が排出口7への方向に沿って滑り落ちるように傾斜した滑り板が設けられる。
【0035】
供給口6には、製条機9(スライサーであってもよい)が設けられることにより、材料が成形された後に最上層の材料搬送装置3の始端に均一に落ちることができる。また、製条機9は、供給口6を閉鎖することにより、熱風が供給口6から漏れることが防止される。排出口7には、回転排出口10が設けられる。前記回転排出口10として、中国特許出願201611245704.0に開示の連続定量回転フィーダを採用する。実際の操作において、前記連続定量回転フィーダの回転ブロックの代わりに歯車付き円盤を使用してもよい。歯車付き円盤は、別の歯車によって駆動される。
【0036】
乾燥室1内には、熱風回収利用装置11がさらに設けられる。前記熱風回収利用装置11は、乾燥室1における熱源風出口5に近い箇所に設けられる。熱風回収利用装置11は、凝縮器111と、ガイドファン112とを含む。一部の熱風は、管路及びガイドファン112のガイドによって、凝縮器111を経て除湿された後、新たに乾燥室1内に戻る。
【0037】
図2から
図7に示すように、材料搬送装置3は、2群の短冊バー31が交互に積層されてなるバー積層推進型材料搬送台100を含む。
【0038】
2群の短冊バー31はいずれも可動短冊バーであり、隣接する短冊バーは、互いに上下前後に変位可能であることで、各群の可動短冊バーは往復運動することができる。
【0039】
各可動短冊バー31には、前後平衡に3つの接続孔311が設けられる。各群の可動短冊バー31は接続孔311に穿設された接続棒312によって接続されて1つの可動体となる。各可動体は、駆動装置32によって駆動されて全ての前記可動短冊バー31を同じ運動軌跡で運動させる。同一群の短冊バーにおける隣接する短冊バー31は、ガスケット313によって離間させて隙間が形成される。ガスケット313は接続棒312に設けられる。
【0040】
駆動装置32は、駆動モータ321と、2つのチェーン331と、4つのスプロケット332と、2つの駆動中心軸322と、2つの伝動短冊バー323とを含む。
【0041】
駆動モータ321は、乾燥室1の外部に設けられる。2つのスプロケット332ごとに1つの駆動中心軸322の両端に設けられる。2つのチェーン331は、1群の駆動中心軸322の間の伝動としてそれぞれ1群の駆動中心軸322の両側の4つのスプロケット332に周設される。
【0042】
2つの駆動中心軸322は、バー積層推進型材料搬送台100の前後対称的な両端に設けられる。
【0043】
2つの伝動短冊バー323は、バー積層推進型材料搬送台100の左右対称的な両端に設けられる。各伝動短冊バー323における前後平衡の位置に2つの偏心軸受け3231、3つの固定孔3232、2つの逃げ孔3233が設けられる。
【0044】
駆動中心軸322の両端は、それぞれ2つの伝動短冊バー323における左右対応する偏心軸受け3231内に套設される。伝動短冊バー323における固定孔3232内には、1群の可動短冊バー31の接続棒312が固定して穿設される。
【0045】
A群可動短冊バー31(複数)は、A群伝動短冊バー323(2つ)の駆動によって上向き、前向き、下向き、後向き、上向きに往復運動する。B群可動短冊バー31(複数)は、B群伝動短冊バー323(2)の駆動によって上向き、前向き、下向き、後向き、上向きに往復運動する。A群とB群の2群の可動短冊バー31は、交差運動する。その運動軌跡は、駆動中心軸322の回転方向によって決定され、その運動幅は、偏心軸受け3231の偏心軸間距離によって決定される。
【0046】
A群可動短冊バーA31及びB群可動短冊バーB31は同一群の駆動中心軸322を共有することができ、駆動中心軸322に套設される偏心軸受け3231の偏心方向の違いによって、2群の可動短冊バーA31及びB31は交差運動する。
【0047】
駆動モータ321は、2つのチェーン331、4つのスプロケット332により2つの駆動中心軸323が同期運動するように2つの駆動中心軸323を駆動し、それに穿設される伝動短冊バー323が前記可動短冊バー31を同じ運動軌跡で運動させる。
【0048】
図1において、上層に位置する材料搬送装置3は、2つの駆動モータ321により2つの駆動中心軸323を同期運動するようにそれぞれ直接駆動する。下層に位置する材料搬送装置3は、1つの駆動モータ321により1つの駆動中心軸323を直接駆動し、2つのチェーン331、4つのスプロケット332により別の駆動中心軸323を同期運動するようにを間接駆動する。
【0049】
図8から
図11は、2群の可動短冊バー(及びそれに対応する偏心軸受け)が異なる運動状態にある場合の構造模式図である。
【0050】
2群の可動短冊バーA31、B31の表面は、鋸歯状であってもよい。これによって、材料搬送時の摩擦力が増大される。
【0051】
バー積層推進型材料搬送台100は、正逆双方向で進行する。正方向進行の距離が逆方向進行の距離よりも長いことにより、材料は始端から末端まで順調に搬送されるとともに、材料の搬送速度が制限され得る。
【0052】
また、バー積層推進型材料搬送装置3に形成されたプラットフォーム100の下方にはプラットフォーム100の構造と同じの下層プラットフォーム200がさらに設けられてもよい。
図12に示すように、上層プラットフォーム100のA群可動短冊バーの最も外側の左右両側の可動短冊バー31には、それぞれ下層プラットフォーム200における対応する位置にある可動短冊バー2-31に接続される2つの下部伝動接続バー38が設けられる。B群短冊バーは同様に設けられる。これによって、上層プラットフォーム100にある各群の可動短冊バー31は、下層プラットフォーム200にある対応する可動短冊バー2-31を同じ軌跡で運動するように駆動する。
【0053】
下層プラットフォーム200を設けることにより、一部の材料が上層プラットフォーム100の隙間から下層プラットフォーム200に落ちた場合においても引き続き搬送され得る。上層プラットフォーム100を拡張させるのに相当し、材料の乾燥に有利である。
【0054】
下層プラットフォーム200は、落ちた材料の引き続きの搬送のために、材料の搬送方向に向かって下向きに傾斜するように設けられる。同様に、上層プラットフォーム100も材料の搬送方向に向かって下向きに傾斜するように設けられてもよい。
【0055】
材料搬送装置3の上方には材料転圧装置が設けられる。材料転圧装置は、以下の4つの態様によって実現される。
【0056】
第1態様
材料転圧装置はチェーンスクレープ構造であり、複数のスクレーパー33である(
図4から
図7)。
チェーン331には、複数のスクレーパー333が間隔をあけて設けられる。複数のスクレーパー333は、可動短冊バー31の上方に位置し、可動短冊バー31が上向きに最高点に運動したときに、可動短冊バー31上の材料はスクレーパー333によって十分にこそげられることにより、材料が平らにされ、逆巻き、推進される。
【0057】
第2態様
図13及び
図14に示すように、材料転圧装置は、回転装置34であり、回転泥プレスバー341を含む。前記回転泥プレスバー341は、乾燥室1の外部にあるモータ342によって駆動されてゆっくりと回転する。前記回転泥プレスバー341は、可動短冊バー31の上方に位置する。可動短冊バー31が上向きに最高点まで運動したときに、可動短冊バー31上の材料は回転泥プレスバー341によって十分に押圧されることにより、材料が平らにされ、押しつぶされ、削り取られる。
【0058】
第3態様
図15及び
図16に示すように、材料転圧装置35は、バー積層推進型材料搬送台100の上方においてA群可動短冊バーの両側の可動短冊バーに均衡に分布する複数の上部伝動接続バー351を介して架設される複数の転圧板352である。B群可動短冊バーが上向きに最高点まで運動したときに転圧板352は材料を十分に転圧し、材料を平らにし、押圧し、削り取ることができる。
転圧板352は、間隔をあけて複数設けることができる。1群の可動短冊バーの上方に複数の転圧板352が設けられてもよく、2群の可動短冊バーの上方にそれぞれ複数の転圧板352が設けられてもよい。
図15は、A群とB群の2群の可動短冊バーにそれぞれ転圧板352が架設された構造の模式図である。
【0059】
第4態様
図17及び
図18に示すように、材料転圧装置36は、バー積層推進型材料搬送台100の上方においてA群可動短冊バーの両側の可動短冊バーに設けられる複数の上部伝動接続ロッド361を介して接続される1群の転圧短冊バー362である。バー積層推進型材料搬送台100のA群可動短冊バーの運動によって、前記転圧短冊バー362が運動し、前記転圧短冊バー362がいずれもバー積層推進型材料搬送台100のB群可動短冊バーの隙間に位置合わせすることによって、下向きに運動する過程において前記バー積層推進型材料搬送台100のB群可動短冊バーの側壁がこそげられ、材料が転圧されることで、材料が平らにされ、せん断され、押圧され、削り取られる。
【0060】
上記の4つの態様のいずれか1つであってもよく、第1態様以外の3つの態様の組み合わせであってもよい。
【0061】
バー積層推進型材料搬送台100の下方には、材料削り取り装置37がさらに設けられてもよい。材料削り取り装置37は、バー積層推進型材料搬送台100の下方においてB群可動短冊バーの両側の可動短冊バーに設けられる複数の下部伝動接続ロッド371を介して接続される1群の削り取り短冊バー372である。バー積層推進型材料搬送台100のB群可動短冊バーの運動によって前記削り取り短冊バー372は運動するとともに、前記削り取り短冊バー372はいずれもバー積層推進型材料搬送台100のA群可動短冊バーの隙間に位置合わせすることによって、それが上向きに運動する過程において前記バー積層推進型材料搬送台100のA群可動短冊バーの側壁がこそげられ、材料が押圧され、削り取られる(
図19)。
【0062】
材料削り取り装置37は複数設けられてもよい。
【0063】
材料削り取り装置37は、上記4種類の材料転圧装置のいずれか1種と同時に使用することができる。第4態様の材料転圧装置36と材料削り取り装置37とを併用する場合において、バー積層推進型材料搬送台100のA群可動短冊バーの上方に1群の転圧短冊バー362が接続される場合、B群可動短冊バーの下方に1群の削り取り短冊バー372が接続されなくてはならない。これによって、転圧短冊バー362が下向きに運動する際にB群可動短冊バーの側壁をこそげることができ、削り取り短冊バー372が上向きに運動する際にA群可動短冊バーの側壁をこそげることができる。つまり、A群とB群の2群短冊バーの側壁はいずれもこそげられるとともに、転圧短冊バー362が下向きに運動する際に材料を転圧することもできる。
図17は、転圧ブロック、転圧短冊バー及び2つの材料削り取り装置を同時に使用する材料搬送台の構造模式図である。
【0064】
前記材料転圧装置35、材料転圧装置36、材料削り取り装置37は、下層プラットフォーム200上に使用することもできる。
【0065】
動作過程
材料は供給口6にある製条機9から乾燥室1内に入り、まず上層材料搬送装置3の始端に落ち、上層材料搬送装置3の末端まで搬送され、そして下層材料搬送装置3の始端に落ち、下層材料搬送装置3の末端に搬送され、さらに排出口7に落ち、回転排出口10から排出される。製条機9及び回転排出口10によって供給口6と排出口7の密封は保証され、熱風が供給口6及び排出口7から漏れることが防止される。
【0066】
同時に、熱風は熱源入口4から入り、下層材料搬送装置3の底部から上に流れ、さらに上層材料搬送装置3の底部を通過して熱源出口5に到達し、一部の熱風は熱風回収利用装置11の作用下で管路及びガイドファン112のガイドによって凝縮器111を経て除湿された後、乾燥室1内に戻る。
【0067】
熱風が底部から上向きに蒸発し、物理的原理を満たすが、最も重要なのは材料を均一にすることである。材料層を通過するのに空気の流動が必要であり、蒸発を速くするために、材料層の表面には空気の流動がさらに必要である。本発明では、材料搬送の過程において、互いに運動する短冊バーに透過可能な隙間が形成されるため、空気の流動性が向上する。材料搬送の過程において、支持、展開、せん断、こそげ巻きなどの動作により材料の蒸発面積を増大させ、乾燥の効率を向上させる。材料はガス透過隙間から順調に落ちることができため、詰まることがない。また、下層プラットフォームは上層プラットフォームの拡張に相当し、材料の乾燥により有利である。本発明の熱源入口からの送風方向は材料の排出方向と反対であり、熱風は水平方向に乾燥室内に入り、材料搬送装置のプラットフォームの底部から上に蒸発するのに加え、水平方向においても蒸発して水分を連れて行くため、蒸発効率が高まる。排出口は密閉式であることで、熱風が排出口から漏れることが防止され、蒸発効率がさらに高まる。
【0068】
以上の説明は本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明の保護範囲を限定するものではない。本発明の思想及び原則から逸脱しない範囲で行われたいかなる修正、同等置換、及び改良は、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるべきである。