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特許7302047装着者の心拍に関連付けられる脈動を示す情報を監視する圧迫衣類制御器とシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-23
(45)【発行日】2023-07-03
(54)【発明の名称】装着者の心拍に関連付けられる脈動を示す情報を監視する圧迫衣類制御器とシステム
(51)【国際特許分類】
   A61H 7/00 20060101AFI20230626BHJP
【FI】
A61H7/00 322B
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022013050
(22)【出願日】2022-01-31
(62)【分割の表示】P 2018517567の分割
【原出願日】2016-10-10
(65)【公開番号】P2022062134
(43)【公開日】2022-04-19
【審査請求日】2022-02-03
(31)【優先権主張番号】62/239,527
(32)【優先日】2015-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/239,566
(32)【優先日】2015-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/239,493
(32)【優先日】2015-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/329,233
(32)【優先日】2016-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517408184
【氏名又は名称】ケイピーアール ユーエス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】デンソン、 ジェシー
(72)【発明者】
【氏名】ウディカ、 スコット
(72)【発明者】
【氏名】ベッカー、 ポール
【審査官】佐藤 智弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-75891(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着者の心拍に関連付けられる脈動を示す情報を監視する圧迫衣類制御器であって、
一以上の被監視パラメータを記憶するべく構成された少なくとも一つのコンピュータ可読記憶媒体と、
前記少なくとも一つのコンピュータ可読記憶媒体に結合された一以上のプロセッサと、
前記少なくとも一つのコンピュータ可読記憶媒体に実装されたコンピュータ実行可能命令と
を含み、
前記コンピュータ実行可能命令は前記一以上のプロセッサに、
治療サイクルの間に、一以上の膨張可能袋体を含む圧迫衣類の圧力を示す情報を圧力センサから受信することと、
前記装着者の心拍に関連付けられる脈動を示す情報を、前記一以上の膨張可能袋体の圧力を示す情報から抽出ることと
を行わせる命令を含、圧迫衣類制御器。
【請求項2】
前記装着者の心拍に関連付けられる脈動を示す情報は、前記装着者の実際の心拍とは異なる、請求項1の圧迫衣類制御器。
【請求項3】
前記圧迫治療サイクルは、膨張周期及び圧力保持周期を含み
前記一以上の膨張可能袋体の圧力を示す前記情報は、前記圧力保持周期の間に受信される、請求項1の圧迫衣類制御器。
【請求項4】
前記抽出することは、前記一以上の膨張可能袋体の圧力を示す前記情報に、0.5Hzから5Hzの周波数を抽出するべく帯域通過フィルタをかけることを含む、請求項1の圧迫衣類制御器。
【請求項5】
前記抽出された信号の動く範囲の5倍の矩形窓に追従する前記抽出された信号周波数の平滑化をさらに含む、請求項の圧迫衣類制御器。
【請求項6】
前記抽出された信号の周波数範囲が30拍毎分(bpm)から240bpmであることを検証することをさらに含む、請求項の圧迫衣類制御器。
【請求項7】
前記抽出した信号において一以上のピークを検出することと
と、
前記一以上のピークの周波数範囲が30拍毎分(bpm)から240bpmであることを検証することと
さらに含む、請求項の圧迫衣類制御器。
【請求項8】
前記圧迫衣類の圧力が5mmHgから20mmHgである、請求項の圧迫衣類制御器。
【請求項9】
ステムであって、
一以上の膨張可能袋体を含む圧迫衣類であって、装着者の肢に係合するべく構成された圧迫衣類と、
前記一以上の膨張可能袋体に通信可能に結合された圧力センサと、
制御器と
を含み、
前記制御器は、
一以上の被監視パラメータを記憶するべく構成された少なくとも一つのコンピュータ可読記憶媒体と、
前記少なくとも一つのコンピュータ可読記憶媒体に結合された一以上のプロセッサと、
前記少なくとも一つのコンピュータ可読記憶媒体に実装されたコンピュータ実行可能命令と
を含み、
前記コンピュータ実行可能命令は前記一以上のプロセッサに、
治療サイクルの間に、前記一以上の膨張可能袋体の圧力を示す情報を、前記圧力センサから受信することと、
前記装着者の心拍に関連付けられる脈動を示す情報を、前記一以上の膨張可能袋体の圧力を示す情報から抽出ることと
を行わせる命令を含、システム。
【請求項10】
前記装着者の心拍に関連付けられる脈動を示す情報は、前記装着者の実際の心拍とは異なる、請求項9のシステム。
【請求項11】
前記圧迫治療サイクルは、膨張周期及び圧力保持周期を含み、
前記一以上の膨張可能袋体の圧力を示す前記情報は、前記圧力保持周期の間に受信される、請求項9のシステム。
【請求項12】
前記抽出することは、前記一以上の膨張可能袋体の圧力を示す前記情報に、0.5Hzから5Hzの周波数を抽出するべく帯域通過フィルタをかけることを含む、請求項9のシステム。
【請求項13】
前記圧迫衣類の圧力が5mmHgから20mmHgである、請求項9のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2015年10月9日に出願された「圧迫衣類の遵守」との名称の米国仮特許
出願第62/239,566号、2015年10月9日に出願された「圧迫衣類の構成の
決定」との名称の米国仮特許出願第62/239,527号、2015年10月9日に出
願された「圧迫衣類の構成の決定」との名称の米国仮特許出願第62/239,493号
、及び2016年4月29日に出願された「圧迫衣類の構成の決定」との名称の米国仮特
許出願第62/329,233号の優先権を主張する。上に特定された出願の内容全体が
、その中に包含されるいずれの参照の内容及び教示も含め、参照としてここに明示的に組
み入れられる。
【背景技術】
【0002】
間欠的空気圧迫(IPC)システムは、空気のような加圧流体を患者すなわち装着者の
肢に適用するべく使用される装置を含む。いくつかの例において、深部静脈血栓症(DV
T)が形成されるリスクのある患者の下肢に加圧空気が適用される。IPCシステムは典
型的に、流体の加圧を管理するポンプユニットと、当該ポンプユニットを超えるように流
体の送達を拡張する配管セットと、患者の肢に巻き付けられて加圧流体を包含する圧迫衣
類とを含む。IPCシステムは、治療圧迫を患者の肢に適用するべく間欠的に衣類を加圧
し、当該肢のエリアから血液を動かす。しかしながら、かかるIPCシステムのDVT予
防のための有効性は、当該IPCシステムを含む処方治療プロトコルを患者が順守するこ
とに依存する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2012/083712(A1)号明細書
【文献】米国特許第5,307,791号明細書
【文献】米国特許出願公開第2009/259169(A1)号明細書
【発明の概要】
【0004】
一側面において、本開示は、圧迫システムの使用を目的とする圧迫治療計画の装着者の
遵守を監視するシステム及び方法に関する。他側面において、本開示は、圧迫衣類が装着
者の肢に適用されたか否かを決定するシステム及び方法に関する。
【0005】
一側面において、圧迫装置制御器は、記憶装置と、当該記憶装置に結合された一以上の
プロセッサと、コンピュータ可読記憶媒体に実装されたコンピュータ実行可能命令とを含
む。記憶装置は、被監視パラメータを記憶するべく構成される。コンピュータ実行可能命
令は、圧迫衣類の膨張可能袋体を膨張及び収縮させるべく加圧流体流発生源からの流体流
を送るように一以上のプロセッサに仕向ける命令を含む。圧迫衣類は、衣類の装着者の肢
まわりに巻き付けられるように構成される。さらに含まれるのは、膨張可能袋体における
流体圧力を示す圧力信号を、当該袋体に通信可能に結合された圧力センサから受信するよ
うに一以上のプロセッサに仕向ける命令である。一以上のプロセッサは、命令に仕向けら
れると、受信した圧力信号を、膨張可能袋体の膨張及び収縮の少なくとも一つの間に処理
する。圧力信号は、圧迫衣類の条件変化を示す信号における分散を検出するべく使用され
る。命令はまた、受信した圧力信号における分散の検出に応答して、記憶装置における複
数の被監視パラメータの少なくとも一つの状態を変更するように一以上のプロセッサに仕
向ける。被監視パラメータの被変更状態は、圧迫衣類の条件変化を代表する。
【0006】
他側面において、コンピュータ実装方法は、患者の肢まわりに巻き付けられるべく構成
された圧迫衣類の少なくとも一つの膨張可能袋体が膨張及び収縮される動作サイクルにわ
たり加圧流体流発生源を制御するように、一以上のプロセッサにおいて実行されるコンピ
ュータ実行可能命令を含む。一以上のプロセッサは、袋体における流体圧力を示す圧力信
号を、当該袋体に通信可能に結合された圧力センサから受信する。一以上のプロセッサに
おいて実行されるコンピュータ実行可能命令は、袋体の膨張及び収縮の間の圧迫衣類の条
件変化を示す受信した圧力信号における分散を検出する。一以上のプロセッサにおいて実
行されるコンピュータ実行可能命令はまた、記憶装置に記憶された少なくとも一つの被監
視パラメータの状態を、受信した圧力信号における分散の検出に応答して変更する。記憶
装置は一以上のプロセッサに結合され、被監視パラメータの被変更状態は、圧迫衣類の条
件変化を代表する。
【0007】
さらなる他側面において、システムが圧迫衣類及び制御器を含む。圧迫衣類は、少なく
とも一つの膨張可能及び収縮可能袋体を含み、装着者の肢まわりに固定可能である。制御
器は、記憶装置と、当該記憶装置に結合された一以上のプロセッサと、コンピュータ可読
記憶媒体に実装されたコンピュータ実行可能命令とを含む。記憶装置は、被監視パラメー
タを記憶するべく構成される。コンピュータ実行可能命令は、圧迫衣類の袋体を膨張及び
収縮させるべく加圧流体流発生源からの流体流を送るように一以上のプロセッサに仕向け
る命令を含む。さらに含まれるのは、袋体における流体圧力を示す圧力信号を、当該袋体
に通信可能に結合された圧力センサから受信するように一以上のプロセッサに仕向ける命
令である。一以上のプロセッサは、命令により仕向けられると、受信した圧力信号を、膨
張可能袋体の膨張及び収縮の少なくとも一方の間に処理する。圧力信号は、圧迫衣類の条
件変化を示す信号における分散を検出するべく使用される。命令はまた、受信した圧力信
号における分散の検出に応答して、記憶装置における複数の被監視パラメータの少なくと
も一つの状態を変更するように一以上のプロセッサに仕向ける。記憶装置は一以上のプロ
セッサに結合され、被監視パラメータの被変更状態は、圧迫衣類の条件変化を代表する。
【0008】
複数の実施形態が、以下の利点の一以上を含み得る。
【0009】
いくつかの実施形態において、圧迫システムの遵守監視が、圧迫衣類の膨張可能袋体に
おける圧力を示す信号を使用して行われ、圧迫衣類の使用を装着者が遵守することの実時
間指標が与えられる。これにより、例えば、遵守のしっかりとした指標が与えられる一方
、遵守を追跡する介護者の負担が軽減される。
【0010】
明細書及び図面から、並びに特許請求の範囲から、他の側面、特徴及び利点が明らかと
なる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】圧迫衣類及び制御器を含む圧迫システムの斜視図である。
図2図1の圧迫システムの概略的表現であり、空気圧回路の概略図を含む。
図3図1の圧迫システムの他例の概略的表現であり、空気圧回路の概略図を含む。
図4図1の圧迫システムにより得られた圧力曲線のグラフ表現であり、圧迫衣類が脚形状体への巻き付け構成にされて装着者の肢を刺激する場合のグラフ表現である。
図5図1の圧迫システムにより得られた圧力曲線のグラフ表現であり、当該システムの圧迫衣類が巻き付け解除構成にあり、脚形状体から離れて装着者の肢を刺激する場合のグラフ表現である。
図6図1の圧迫システムのマニホルド圧力信号のグラフ表現であり、2つのマニホルド圧力信号は、図4及び5それぞれにおける巻き付け及び巻き付け解除の圧迫衣類構成のマニホルド圧力信号に対応する。
図7図1の圧迫システムを使用する遵守監視方法のフロー図である。
図8図7の遵守監視方法の一例の実装のフロー図である。
図9図7の遵守監視方法の一例の実装のフロー図である。
図10】巻き付け構成及び巻き付け解除構成双方における圧迫衣類の袋体の膨張フェーズの間におけるマニホルド内圧力の多項式曲線フィットラインのグラフ表現である。
図11図1の圧迫システムによりもたらされた圧力曲線のグラフ表現であり、圧迫衣類が、装着者の肢における巻き付け構成にある場合のグラフ表現である。
図12図1の圧迫システムによりもたらされた圧力曲線のグラフ表現であり、圧迫衣類が、装着者の肢から離れた巻き付け解除構成にある場合のグラフ表現である。
図13図1の圧迫システムを使用する遵守監視方法のフロー図である。
図14図1の圧迫システムを使用する遵守監視方法のフロー図である。
図15A図1の圧迫システムによりもたらされた他の圧力曲線のグラフ表現であり、圧迫衣類が装着者の肢における巻き付け構成にある場合のグラフ表現である。
図15B図1の圧迫システムによりもたらされた他の圧力曲線のグラフ表現であり、圧迫衣類が装着者の肢における巻き付け構成にある場合のグラフ表現である。
図15C図1の圧迫システムによりもたらされた他の圧力曲線のグラフ表現であり、圧迫衣類が装着者の肢における巻き付け構成にある場合のグラフ表現である。
図16図1の圧迫システムによりもたらされた他の圧力曲線のグラフ表現であり、圧迫衣類が装着者の肢から離れた巻き付け解除構成にある場合のグラフ表現である。
図17A図1の圧迫システムによりもたらされた他の圧力曲線のグラフ表現であり、圧迫衣類が装着者の肢において巻き付け構成にある場合のグラフ表現である。
図17B図1の圧迫システムによりもたらされた他の圧力曲線のグラフ表現であり、圧迫衣類が装着者の肢において巻き付け構成にある場合のグラフ表現である。
図18図1の圧迫システムを使用する遵守監視方法のフロー図である。
図19図1の圧迫システムを使用する遵守監視方法のフロー図である。
図20図1の圧迫システムを使用する遵守監視方法のフロー図である。
図21図1の圧迫システムを使用する遵守監視方法のフロー図である。
図22図1の圧迫システムを使用する遵守監視方法のフロー図である。
図23A図1の圧迫システムを使用する遵守監視方法のフロー図である。
図23B図1の圧迫システムを使用する遵守監視方法のフロー図である。
図23C図1の圧迫システムを使用する遵守監視方法のフロー図である。
図24図1の圧迫システムによりもたらされた他の圧力曲線のグラフ表現であり、圧迫衣類が装着者の肢における巻き付け構成にある場合のグラフ表現である。
図25図1の圧迫システムによりもたらされた他の圧力曲線のグラフ表現であり、圧迫衣類が装着者の肢における巻き付け構成にある場合のグラフ表現である。
【0012】
図面全体を通して、対応する参照符号は対応する部品を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ここで使用されるように、用語「近位」及び「遠位」は、圧迫衣類の構成要素、部品等
の、当該衣類が装着された場合の相対的な位置を表す。例えば、「近位」構成要素は、装
着者の胴体に最も近くに配置され、「遠位」構成要素は、装着者の胴体から最も遠くに配
置され、「中間」構成要素は一般に、近位構成要素と遠位構成要素との間の任意の場所に
配置される。さらに、ここで使用されるように、用語「巻き付け」及び「巻き付け解除」
は、衣類が装着者の肢に適切に適用された衣類条件(巻き付け)、及び衣類が装着者の肢
から除去された条件(巻き付け解除)を定義する。
【0014】
図1~3を参照すると、圧迫システム1は、連続圧迫療法を装着者の肢に適用する圧迫
衣類10と、一以上のプロセッサ7及びコンピュータ実行可能命令がコンピュータ可読記
憶媒体33に実装された制御器5とを含む。コンピュータ実行可能命令は、圧迫システム
1の動作制御を一以上のプロセッサに仕向ける命令を含む。圧迫衣類10は、遠位膨張可
能袋体13a、中間膨張可能袋体13b、及び近位膨張可能袋体13cを含む。圧迫衣類
10は、装着者の肢まわりに締結することができ、一実施形態では、異なる周囲の肢にぴ
ったり合うように調整可能である。
【0015】
以下にさらに詳細に記載されることだが、制御器5は、膨張サイクルを行う圧迫システ
ム1の動作を制御する。一以上の圧迫サイクルの間に圧迫衣類10の膨張可能袋体13a
、13b、13cにより装着者の肢に適用される勾配圧力を確立するべく、膨張可能袋体
13a、13b、13cが膨張して圧力を装着者の肢に適用する。本記載を目的としてま
たも以下にさらに詳細に記載されることだが、各治療圧迫サイクルは、3つの袋体13a
、13b、13cすべてに対する膨張フェーズと、袋体13a及び13bに対する減衰フ
ェーズと、3つの袋体13a、13b、13cすべてに対する通気フェーズとを含む。袋
体13a、13b、13cそれぞれのサイクル終了時圧力は、対応袋体13a、13b、
13cの通気フェーズの開始に先立つ袋体13a、13b、13cそれぞれにおける圧力
である。以下に詳細に説明されることだが、制御器5は、膨張可能袋体13a、13b、
13bの一以上の測定した圧力に少なくとも部分的に基づいて、圧迫衣類10が装着者の
肢に(すなわち装着者の肢まわりに巻き付け構成で)適用され、いくつかの実施形態にお
いて、(例えばタイマーの値を増加させることにより、タイマーを一時停止させることに
より、可聴アラームを与えることにより、及び/又はグラフィカルユーザインタフェイス
において視覚表示を与えることにより)決定の指標を与える。圧迫衣類10が装着された
(すなわち装着者の肢まわりの巻き付け構成にある)か否かを決定することにより、いつ
衣類が、処方された治療を達成するべく適切に使用されているのかを圧迫システム1が追
跡することができる遵守監視機能が得られる。以下にさらに詳細に記載されるように、制
御器5は、膨張サイクルを行う圧迫システム1の動作を制御することができる。例えば、
一以上の圧迫サイクルの間に圧迫衣類10の膨張可能袋体13a、13b、13cにより
装着者の肢に適用される勾配圧力を確立するべく、膨張可能袋体13a、13b、13c
は、圧力を装着者の肢に適用するように膨張させられる。
【0016】
圧迫衣類10は、装着者の脚まわりに配置可能なふとももまでの長さのスリーブであり
、装着者の足首まわりの遠位袋体13a、装着者のふくらはぎまわりの中間袋体13b、
及び装着者のふとももまわりの近位袋体13cを備える。当業者には理解されることだが
、圧迫衣類10は、本発明の範囲から逸脱しなければ、ひざまでの長さのスリーブ、足衣
類等であってもよい。膨張可能袋体13a、13b、13cは、制御器5と電気通信する
加圧流体源21(例えばポンプ又は圧縮機)から送達される流体(例えば空気又は他の流
体)の影響を受けて膨張及び収縮する。加圧流体源21は、配管23を介して加圧流体(
例えば空気)を膨張可能袋体13a、13b、13cに送達する。
【0017】
図2を参照すると、膨張可能袋体13a、13b、13cそれぞれが、対応弁25a、
25b、25cと流体連通している。圧力センサ27は、マニホルド29内の圧力を示す
信号を測定するべく、マニホルド29と連通(例えば流体連通)する。マニホルド29と
膨張可能袋体13a、13b、13cそれぞれとの流体連通は、対応弁25a、25b、
25cの位置の制御を介して(例えば対応弁25a、25b、25cの有効化及び/又は
無効化により)制御することができる。圧力センサ27は制御器5と電気通信するので、
制御器5は、マニホルド29の圧力、及び/又はマニホルド29と流体連通する膨張可能
袋体13a、13b、13cの一以上の圧力を示す信号を、対応弁25a、25b、25
cの位置の結果として、圧力センサ27から受信する。袋体13a、13b又は13cの
一つのみがマニホルド29と流体連通する場合、圧力センサ27から受信した信号は、マ
ニホルド29と流体連通する対応袋体13a、13b、13cの圧力を示す。例えば、圧
力センサ27は、弁25aが開かつ弁25b、25cが閉の場合、膨張可能袋体13a内
の圧力を示す信号を与える。同様に、圧力センサ27は、弁25bが開かつ弁25a及び
25cが閉の場合、袋体13b内の圧力を示す信号を与える。同様に、圧力センサ27は
、弁25cが開かつ弁25a及び25bが閉の場合、膨張可能袋体13c内の圧力を示す
信号を与える。通気弁25dは、マニホルド29と周囲大気に通気する通気ポート15と
の流体連通を制御するべく作動可能である。袋体13a、13b、13cはすべて、通気
弁25dを使用して通気することができる。
【0018】
弁25a、25b、25cはそれぞれ、2方向/2位置、通常開の電磁弁である。弁2
5a、25b、25cはそれぞれが、2つの入口を含み、袋体ポートと流体連通する入口
ポートを、第1の開位置に配置するべく作動可能である。弁25a、25b、25cそれ
ぞれはさらに、入口ポートと袋体ポートとの流体連通を遮断するべく作動可能である。弁
25a、25b、25cそれぞれの入口ポートは、加圧流体源21及びマニホルド29と
流体連通している。弁25a、25b、25cそれぞれの袋体ポートは、対応膨張可能袋
体13a、13b、13cと流体連通している。
【0019】
袋体13a、13b、13cはいずれも、加圧流体を袋体13a、13b、13cに送
達するべく対応弁25a、25b、25cを介して加圧流体源21及びマニホルド29と
流体連通するように配置することができる。袋体13a、13b、13cが膨張した後、
対応弁25a、25b、25cを、流体を対応袋体13a、13b、13cに保持するべ
く閉にすることができる。すなわち、圧迫衣類10の袋体13a、13b、13cは、対
応する弁25a、25b、25cを開にするとともにその他の弁25a、25b、25c
を閉とすることにより、開の弁25a、25b、25cに関連付けられた唯一の袋体13
a、13b、13cが加圧流体源21及びマニホルド29と流体連通するように、個別に
膨張させることができる。
【0020】
通気弁25dもまた、2方向/2位置、通常開の電磁弁である。通気弁25dは、2つ
の入口を含み、通気ポート15と流体連通する入口ポートを第1位置に配置するべく作動
可能である。通気入口ポートは、第1位置において通気ポート15と流体連通する。通気
弁25dはさらに、入口ポートと通気ポート15との流体連通を遮断するべく作動可能で
ある。通気弁25dの入口ポートは、加圧流体源21及びマニホルド29と流体連通して
いる。通気弁25dの通気ポート15は、周囲大気と流体連通している。
【0021】
理解すべきことだが、弁25a、25b、25c、25dは、本開示の範囲を逸脱しな
ければ、他のタイプであってよく、圧迫システム1内において他の配列を有してよい。例
えば、図3を参照すると、弁は、弁35a、35b、35cとしてよく、これらは、3方
向/2位置電磁弁であり、通気弁なしで袋体13a、13b、13c内の圧力を制御する
べく作動可能である。
【0022】
再び図2を参照すると、コンピュータ可読記憶媒体33に実装されたコンピュータ実行
可能命令が、周期的な治療圧迫圧力を装着者の肢に与えるべく膨張可能袋体13a、13
b、13cを加圧する(例えば膨張させる)ように一以上のプロセッサ7に仕向ける命令
を含む。例えば、コンピュータ可読記憶媒体33に実装されたコンピュータ実行可能命令
は、肢における血液を膨張可能袋体13a、13b、13cの下にある領域から移動させ
る所定量の時間の間に、膨張可能袋体13a、13b、13cを治療圧迫圧力まで加圧す
るべく、加圧流体源21及び/又は弁25a、25b、25c、25dを制御するように
一以上のプロセッサ7に仕向ける命令を含む。袋体13a、13bが圧迫圧力に保持され
る時間の長さを、ここでは減衰フェーズと称する。減衰フェーズに続くのは、コンピュー
タ実行可能命令が、膨張可能袋体13a、13b、13c内の圧力を低い圧力(例えば大
気圧)まで低減させるべく加圧流体源21及び/又は弁25a、25b、25c、25d
を制御するように一以上のプロセッサ7に仕向ける命令を含む通気フェーズである。
【0023】
圧迫システム1は、圧迫衣類10が装着者の肢に適用された(すなわち巻き付けられた
)か否かを決定することができ、一定の複数の実施形態において、当該決定の指標を与え
ることができる。これは、例えば、圧迫衣類10の処方された治療的使用を装着者が遵守
することの追跡を容易にし得る。非一過性コンピュータ可読記憶媒体33に実装されたコ
ンピュータ実行可能命令は、圧迫システム1の治療サイクルの圧迫解除周期中に、圧力セ
ンサ27から受信した圧力信号データを分析するように一以上のプロセッサ7に仕向ける
命令を含む。非一過性コンピュータ可読記憶媒体33に実装されたコンピュータ実行可能
命令は、受信した圧力信号データの特徴が、装着者の肢に配置された圧迫衣類10を示す
一以上の条件を満たすか否かを決定するように一以上のプロセッサ7に仕向ける命令を含
む。
【0024】
一例の実施形態において、コンピュータ実行可能命令は、圧力センサ27から圧力信号
データを受信するように一以上のプロセッサ7に仕向ける。コンピュータ実行可能命令は
、袋体13a、13b、13cの一以上における圧力を代表する単一の波形を処理するよ
うに一以上のプロセッサ7に仕向ける命令を含み得る。理解すべきことだが、一以上のプ
ロセッサ7は、本開示の範囲を逸脱しなければ、多重の波形を処理してよい。例えば療法
サイクルの圧迫解除周期中に、圧力信号及び対応圧力データを監視することにより、一以
上のプロセッサ7は、圧迫衣類10が装着者の肢に適切に巻き付け構成とされているか又
は装着者の肢から巻き付け解除されているかを示す一定の特徴を波形において検出するこ
とができる。一定の複数の実施形態において、圧迫解除周期中、圧力センサ27は、袋体
13a、13b、13cの一以上と定常的な連通(例えば流体的及び/又は機械的連通)
を維持する(又はそのように意図的に配置される)。一例の静的周期は、非治療サイクル
(例えば袋体13a、13b、13cにおける約25mmHg未満の圧力)、初期衣類検
出周期のサブセット、及び/又は静脈再充填測定周期を含む。
【0025】
3方向/2位置弁が利用される図3の実施形態の動作の一例において、コンピュータ可
読記憶媒体33に実装されるコンピュータ実行可能命令は、特定の袋体13a、13b、
13cの一以上のために、圧力センサ27と当該袋体13a、13b、13cの一以上と
の間に流体経路が確立されるように、一以上の弁35a、35b、35cを制御するよう
に一以上のプロセッサ7に仕向ける命令を含む。
【0026】
2方向/2位置弁が利用される図2の実施形態の動作の一例において、コンピュータ可
読記憶媒体33に実装されるコンピュータ実行可能命令は、マニホルド29がもはや通気
できないように通気弁25dを開又は閉とするように一以上のプロセッサ7に仕向ける命
令を含む。コンピュータ実行可能命令の一以上は、圧力センサ27から受信した信号が、
装着者が動く(例えば脚を動かす、ふくらはぎを動かす、咳をする、くしゃみをする、一
般的な呼吸をする等の)ときに生じると予測されるランダムな圧力衝撃及びスパイクに対
するものか否かを決定するように一以上のプロセッサ7に仕向ける。袋体13a、13b
、13cの一以上の中に保持されてマニホルド29、ひいては圧力センサ27へと膨張す
る流体(例えば空気)の体積ゆえに、わずかな動きでさえも、袋体に動き又は形状変化を
引き起こし、圧力センサ27により生成される圧力信号に圧力スパイクを生じさせる。逆
に、装着者の肢から取り外された圧迫衣類10に対しては、圧力センサ27により生成さ
れる圧力信号は静的であり、ランダムなノイズ又は圧力衝撃がない。
【0027】
ここで図4を参照すると、装着者の脚を模擬する脚形状体まわりの巻き付け構成にある
圧迫衣類10のための、代表的な圧迫サイクル圧力曲線が示される。脚形状体は、人間の
脚と同様のサイズ、形状及び剛性を有する。したがって、本開示に記載のアルゴリズムの
性能を分析する目的上、脚形状体は、人間装着者の脚の適切な類似体とされる。特に明記
されない限り、ここに示されるデータはすべて、脚形状体を使用した実験設定において取
得されている。
【0028】
このグラフは、個別の袋体13a、13b、13cにおける圧力を測定するべく圧力セ
ンサが使用され、かつ、マニホルド29における圧力を測定するべく圧力センサ27が使
用される実験設定からの信号を示す。以下にさらに詳細に記載されることだが、この実験
設定を使用することにより、個別の袋体13a、13b、13cにおいて測定された圧力
が、マニホルド29において圧力センサ27により測定された圧力と比較される。理解す
べきことだが、通常使用時、制御器5は、圧迫システム1の動作を制御する信号を圧力セ
ンサ27から受信する。図4は、圧力センサ27により測定されたマニホルド圧力と、袋
体13a、13b、13cそれぞれに配置された圧力センサにより測定された圧力との対
応関係を示す。
【0029】
袋体13a、13b、13cの少なくとも一つに対する単一の圧迫サイクルは、袋体1
3a、13bの膨張フェーズ、減衰フェーズ及び通気フェーズと、袋体13cの膨張フェ
ーズ及び通気フェーズとを含む。圧力プロット402は、遠位袋体13aの単一の治療圧
迫サイクル全体の圧力信号を示し、圧力プロット404は、中間袋体13bの単一の治療
圧迫サイクル全体の圧力を示し、圧力プロット406は、近位袋体13cの単一の治療圧
迫サイクル全体の圧力を示し、圧力プロット408は、上記治療圧迫サイクルそれぞれの
間に圧力センサ27により測定されたマニホルド圧力を示す。各プロット402、404
、406は、対応袋体13a、13b、13cの治療圧迫サイクルの膨張フェーズを画定
する初期袋体充填周期を含む。袋体13a、13bにおいて対応目標圧力が達成されると
膨張が停止され、当該袋体における圧力を、袋体13a、13bの治療圧迫サイクルの減
衰フェーズを画定する目標圧力又はその近傍に保持することができる。袋体13a、13
bの場合は減衰フェーズの後、袋体13cの場合は膨張フェーズの直後、袋体13a、1
3b、13cそれぞれにおける流体は、袋体13a、13b、13cそれぞれの治療圧迫
サイクルの通気フェーズ中に対応袋体から排出される。
【0030】
治療圧迫サイクルの開始時、弁25b、25c及び25dは、閉位置へと励磁される。
遠位袋体13aを膨張させるべく、加圧流体源21からの加圧流体が、弁25a及び配管
23を介して遠位袋体13aへと送達される。ひとたび遠位袋体13aに対する目標圧力
が達成されると、又は目標圧力が達成されると予測されるタイマー31により測定された
時間周期の後、弁25aが閉へと励磁されて加圧流体が遠位袋体13aの中に保持される
。次に、加圧流体源21からの加圧流体が中間袋体13bに流れ込むように弁25bを開
位置へ励磁解除することにより、中間袋体13bが膨張される。ひとたび中間袋体13b
に対する目標圧力が達成されると、又は目標圧力が達成されると予測されるタイマー31
により測定された時間周期の後、弁25bが閉へと励磁されて加圧流体が中間袋体13b
の中に保持される。次に、加圧流体源21からの加圧流体が近位袋体13cに流れ込むよ
うに弁25cを開位置へと励磁解除することにより、近位袋体13cが膨張される。ひと
たび近位袋体13cに対する目標圧力が達成されると、又は目標圧力が達成されると予測
されたタイマー31により測定された時間周期の後、弁25a、25b及び25dもまた
対応開位置へと励磁解除される。開放通気弁25dにより、袋体13a、13b、13c
それぞれにおける流体が大気へと通気することができる。
【0031】
圧迫システム1は、袋体13a、13b、13cそれぞれを個別に膨張させ、一つのみ
の袋体に加圧流体が一度に充填されているように記載されている。しかしながら、追加的
又は代替的に、袋体13a、13b、13cは、同時に又は互いの任意の組み合わせで膨
張させ得ることも理解すべきである。一定の複数の実施形態において、弁25a、25b
、25c及び25dの開閉のタイミングは、一つのみの袋体13a、13b、13cが圧
力センサ27及びマニホルド29と一度に流体連通するようにされる。これにより、例え
ば、圧力センサ27を使用して、袋体13a、13b、13cそれぞれの各圧力を示す信
号が測定される。
【0032】
コンピュータ可読記憶媒体33に実装されたコンピュータ実行可能命令は、治療圧迫サ
イクル全体にわたり圧力センサ27から測定した圧力信号を受信するように一以上のプロ
セッサ7に仕向ける命令を含む。遠位袋体13aが膨張すると、一以上のプロセッサ7は
、遠位袋体13aにおける圧力を代表するマニホルド29における圧力を示す信号を、圧
力センサ27から受信する。この態様において、遠位袋体13aの膨張フェーズ全体にわ
たる圧力が測定される。これは、弁25aが閉となる直前における膨張圧力の終わりを含
む。中間袋体13bが膨張すると、一以上のプロセッサ7は、中間袋体13bにおける圧
力を代表するマニホルド29における圧力を示す信号を、圧力センサ27から受信する。
中間袋体13bの膨張フェーズ全体にわたる圧力が測定される。これは、弁25bが閉と
なる直前における膨張圧力の終わりを含む。近位袋体13cが膨張すると、一以上のプロ
セッサ7は、近位袋体13cにおける圧力を代表するマニホルド29における圧力を示す
信号を、圧力センサ27から受信する。近位袋体13cの膨張フェーズ全体にわたる圧力
が測定される。これは、膨張圧力の終わりを含む。
【0033】
コンピュータ実行可能命令は、袋体13a、13b、13cそれぞれにおけるサイクル
終了時圧力を決定するように一以上のプロセッサ7に仕向ける命令を含む。ここで使用さ
れるように、サイクル終了時圧力とは、通気フェーズに先立つ対応袋体13a、13b、
13cそれぞれにおける圧力である。すなわち、袋体13a、13bに対し、袋体13a
、13bそれぞれのサイクル終了時圧力は、袋体13a、13bそれぞれの治療圧迫サイ
クルの対応減衰フェーズの終わりにおける袋体13a、13bそれぞれの圧力である。袋
体13cに対しては、サイクル終了時圧力は、袋体13cの膨張フェーズの終わりにおけ
る袋体13cの圧力である。
【0034】
サイクル終了時圧力を測定するべく弁25a、25b、25cは、袋体13a、13b
、13cのそれぞれにおけるサイクル終了時圧力を測定するように近位袋体13cがその
目標圧力まで膨張した後、順次開及び閉に切り替えられる(図4)。弁25cは、近位袋
体13cをちょうど膨張完了させてから開となっているので、近位袋体13cに対するサ
イクル圧力の終わりが最初に測定される。図6における圧力曲線を見ればわかるように、
近位袋体13cに対する膨張圧力の終わりとサイクル圧力の終わりとは同じである。これ
は、近位袋体が減衰フェーズを受けないからである。弁25cは、オフに切り替え後、近
位袋体13cの圧迫サイクルの終わりにオンに戻るように切り替えられる。一以上のプロ
セッサ7が、遠位袋体13aに対するサイクル圧力の終わりを測定するべく、弁25aを
開かつ弁25cを閉に切り替える。一以上のプロセッサ7が、中間袋体13bに対するサ
イクル圧力の終わりを測定するべく、弁25bを開かつ弁25aを閉に切り替える。理解
すべきことだが、弁25a、25b、25cの特定の切り替えシーケンスが記載されるに
もかかわらず、弁25a、25b、25cの他の切り替えシーケンスも本開示の範囲内に
ある。一つの実施形態において、袋体13a、13b、13cそれぞれにおけるサイクル
圧力の終わりを測定するべく、弁25a、25b、25cはそれぞれ、約150ミリ秒(
ms)の間、開に切り替えられる。弁25a、25b、25cは、これよりも短い又は長
い時間周期の間、開に切り替えられてよい。例えば、弁25a、25b、25cは、少な
くとも約75msの間、開に切り替えられてよい。さらに他の時間周期も想定される。圧
力センサ27により測定された圧力の読みは、メモリ33に記憶される。動作中、圧迫サ
イクルは、圧迫治療を完了するべく、連続して複数回繰り返される。
【0035】
コンピュータ実行可能命令は、袋体13a、13bの少なくとも一方に対する膨張圧力
の終わり及びサイクル圧力を使用して代表的なラインフィット(line fit)を決
定するように一以上のプロセッサ7に仕向ける命令を含み得る。2つの圧力点を使用して
、減衰フェーズを代表するラインが生成される。この代表的なラインの値は、袋体13b
、13cに対する膨張圧力の終わりと比較され、それ以後に膨張した袋体13b、13c
の圧力が、それ以前に膨張した袋体13a、13bの圧力を、圧迫サイクル中の任意の点
において上回る可能性があるか否かが決定される。
【0036】
図5を参照すると、圧迫システム1に対する巻き付け解除構成の代表的な圧迫サイクル
圧力曲線が例示される。図5の圧力曲線を生成する圧迫システム1の動作は、上述した図
4の圧迫サイクル圧力曲線に対する動作を同一である。唯一の違いは、図5における圧力
信号が、圧迫衣類10が巻き付け解除構成にあるときに取得されたことである。圧力プロ
ット502、504、506は、衣類10が巻き付け解除構成にある場合の、単一の圧迫
サイクル全体にわたる遠位袋体13a、中間袋体13b、及び近位袋体13cの実際の圧
力を示す。圧力センサ27からの圧力信号はまた、治療圧迫サイクル中のマニホルド29
における圧力を代表するが、図5において圧力プロット508として示される。
【0037】
図6を参照すると、巻き付け構成及び巻き付け解除構成に対して圧力センサ27により検出された代表的な圧迫サイクル圧力曲線の圧力信号も一緒にプロットされている。以下に詳細に説明されるように、代表的な圧迫サイクル圧力曲線には、巻き付け構成と巻き付け解除構成とを区別する特徴が存在する。例えば、図5を参照すると、中間袋体13b(504)の圧力が遠位袋体13a(502)の圧力を超える周期(例えば6436ms付近)が存在する。追加的に、袋体13a、13b、13cにおける当該袋体が膨張する前の圧力は、(すなわち時刻=0のときの初期圧力オフセット)は、巻き付け解除構成においてわずかに高い。このオフセットは、衣類10が肢から取り外されたときに多くの残留空気が袋体13a、13b、13cの中に存在した結果である。出願人の考えによれば、これは、巻き付け解除スリーブがそれほど拘束的ではないことにより、残留空気を追い出すべく適用される排除力が少ない(すなわちスリーブが「吹き消された」ままとなり、ひいては体積が小さくなったかのように見える)からである。理論に縛られることを望むわけではないが、このオフセットは、巻き付け解除圧迫衣類10がそれほど拘束的でないことにより、残留空気を追い出すべく適用される排除力が少なくなるからと考えられる。追加的に、巻き付け解除構成における袋体13a及び13bに対する膨張圧力の終わりは、巻き付け構成における袋体13a及び13bに対する膨張圧力よりもわずかに高い。近位袋体13cに対しては、巻き付け構成に対する膨張圧力の終わりが、巻き付け解除構成に対する膨張圧力の終わるよりもわずかに高くなる逆条件も真である。もう一つの差別的特徴は、遠位及び中間袋体13a、13bにおける膨張圧力の終わり同士の差異が、巻き付け構成よりも巻き付け解除構成の方が小さいことである。
【0038】
コンピュータ可読記憶媒体33に実装されたコンピュータ実行可能命令は、巻き付け構
成及び巻き付け解除構成双方における圧力センサ27からの圧力信号をモデル化するよう
に一以上のプロセッサ7に仕向ける命令を含む。一実施形態において、巻き付け構成にお
ける遠位袋体13aの膨張フェーズからの圧力信号が、最適フィットラインによりモデル
化される。例えば、そのモデルは、単純な線形回帰により生成された最適フィットライン
である。
【0039】
最適フィットラインを使用した圧力信号データにより、圧迫療法が適用されない場合の
袋体13aが遵守巻き付け構成にあるか又は非遵守巻き付け解除構成にあるかの指標が得
られる。最適フィットラインと観測された圧力信号との差異は、平均二乗誤差(MSE)
値として数学的に定量化可能である。この例において、MSE値は、圧迫衣類10の袋体
の膨張のような所与のインターバルにわたる観測圧力の傾向の湾曲度の指標である。すな
わち、大きなMSE値は、曲線フィットデータが大きな曲率を有することを示し、低いM
SE値は、曲線フィットデータが小さな曲率を有することを示す。一実施形態において、
巻き付け構成に対するプロットは一般に、巻き付け解除構成に対するプロットよりもより
も直線度が高い(すなわち対応最適フィットラインへの適合度が近くなる)。数学的にこ
れは、巻き付け構成のプロットの曲線フィットラインに対してMSE値が小さくなると解
釈される。一実施形態において、所定の数字を下回るMSE値が、袋体が巻き付け構成に
あることを示す一方、当該所定の数字以上のMSE値は、袋体が巻き付け解除構成にある
ことを示す。他の因子も袋体の構成の指標を与えることができると想定される。
【0040】
図7~9を参照すると、コンピュータ可読記憶媒体33に実装されたコンピュータ実行
可能命令が、圧迫療法が適用されている場合に圧迫衣類10が巻き付け構成にあるか又は
巻き付け解除構成にあるかを決定する方法740を実行するように一以上のプロセッサ7
に仕向ける。図7に規定されるステップは、圧迫衣類10が巻き付け構成にあるか又は巻
き付け解除構成にあるかを決定する方法を、一般に高いレベルで記載し、図8及び9は当
該方法を詳細に記載する。一以上のプロセッサ7により実行される遵守方法を記載する上
で、これら3つの図面すべてを参照する。
【0041】
図7及び8を参照すると、遵守決定方法740の開始において、圧迫システム1が、圧
迫治療を装着者の肢に適用するべく袋体13a、13b、13cを連続して膨張及び収縮
させる。この治療は好ましくは、とりわけ患者が当該治療を受けるべく処方された時間周
期を含む所定の圧迫計画に従って行われる。処方された治療時間を患者が遵守することが
監視される。圧迫システム1は、当該システムが定常状態に落ち着き、遵守決定開始前に
定常状態データを収集できるようにするべく、必要に応じて数回の又はそれを超えるサイ
クルだけ動作される。しかしながら、遵守タイマー又はカウンターは、遵守決定の開始に
先立って始動させることができる。よって、遵守決定方法740の開始において、圧迫衣
類10は巻き付け構成にあり、通常(定常状態)の動作条件下で動作する。システム1は
、ステップ750において、圧迫サイクル全体にわたってマニホルド29における圧力を
測定するように一以上のプロセッサ7が圧力センサ27に命令するデフォルト条件下で動
作する。圧力データは、時間とともに破棄され、新たな最近の圧力データにより、利用可
能となるにつれて置換される。一以上のプロセッサ7は、760において、圧迫衣類10
が巻き付け解除されたかもしれないことを示唆するトリガーの発生をチェックする。
【0042】
一般に、トリガーは、測定された結果が予測された結果と異なる場合に発生し得る。予
測された結果は、つい最近の調整履歴及び定常状態制御エラーに基づく。トリガーは、例
えば、袋体13a、13b、13cの少なくとも一つに対する以前の圧迫サイクルからの
サイクル圧力変化の終わりと、袋体13a、13b、13c少なくとも一つに対する以前
の圧迫サイクルからの膨張圧力変化の終わりと、当該圧力によって引き起こされるポンプ
21の調整(例えば目標測定におけるエラー)と、袋体13a、13b、13cの少なく
とも一つに対する以前の膨張フェーズからの曲率係数変化と、袋体13a、13b、13
cの少なくとも一つに対する以前の圧迫サイクルからの膨張フェーズ勾配変化と、動作サ
イクルの終わりにおける当該袋体の一以上の測定した圧力の変化と、通気フェーズ中に測
定した圧力の勾配の変化と、以前の圧迫サイクルからの測定した圧力のゼロからの初期オ
フセットの変化と、低い方の目標圧力を有する膨張可能袋体13b、13cの一方におけ
る、高い方の目標圧力を有する膨張可能袋体13a、13bの他方における圧力を超える
ときの圧力と、袋体13a及び13b間のピーク圧力のわずかな差異と、ポンプ21の動
作にしてなされた調整の程度の変化と、測定した圧力における圧力波形及び任意の計画外
擾乱の、又は圧迫システム1によりなされた計画外調整の統計的に有意な変化との一以上
を、限定なしに含み得る。
【0043】
図8を参照すると、トリガー発生が検出されるまで圧迫システム1は、通常動作を続け
る(ステップ762)。トリガー発生が検出されると、764において、当該発生が、例
えば定常状態動作に対して予測されたエラーのような所定の条件を超えるか否かの決定が
なされる。追加的又は代替的に、予測された変化/擾乱の3倍を超える制御システム応答
をもたらす圧力変化/擾乱が、所定の条件として役立ち得る。「予測された変化/擾乱」
は、事前設定されるか、又は制御器5により、一定時間周期だけ定常状態にある当該制御
器の動作を介して確立された基準とされ得る。追加的又は代替的に、つい最近の調整と比
較して所定のしきい値よりも大きなポンプ21への調整が、所定の条件として役立ち得る
。例えば、ポンプ21の新たな調整が、以前の調整の100%よりも大きい場合にトリガ
ーが生じ得る。圧迫システム1は、トリガー発生が所定のしきい値を超えることがないか
、又は基準を満たすと決定される場合、762の通常動作を続ける。
【0044】
図7及び8を参照すると、巻き付け構成から巻き付け解除への圧迫衣類10の条件変化
が生じたことの確認に使用する目的で、トリガー発生が有効であると決定される場合、デ
ータ収集が、770において開始される。一以上のプロセッサ7が、「スリーブ除去済み
」圧迫サイクルカウンターを、トリガー発生を、衣類10が巻き付け解除となったことの
指標として確認するべくデータが収集される一定数の「スリーブ除去済み」圧迫サイクル
を計数するように、772においてアクティブにする。「スリーブ除去済み」圧迫サイク
ルの数が、十分な量のデータ(すなわち圧力信号)が取得されるまでずっと、774にお
いて計数される。衣類10が巻き付け解除構成にあるか否かを決定するのに十分な量のデ
ータを取得するのに必要な「スリーブ除去済み」圧迫サイクルの数は、異なる状況であれ
ば異なり得る。一つの実施形態において、「スリーブ除去済み」圧迫サイクルの数は、約
10から20の圧迫サイクルである。一般に、十分な量のデータは、初期トリガー発生後
に圧力信号が再び定常状態に到達するときに取得されるように決定される。メモリ33は
、システム1の通常動作中に取得された基準データとは別個に、「スリーブ除去済み」サ
イクルに関連付けられたデータを記憶する。ひとたび776において十分なデータが取得
されると、一以上のプロセッサ7は、ステップ778においてシステム1の通常動作中に
取得されたデータを取り出す。一以上のプロセッサ7は、圧力信号が780において定常
状態に到達した後、圧迫システム1が通常条件で動作している間に取得されたデータとの
比較を目的として袋体圧力値を決定するべく「スリーブ除去済み」データを分析する。
【0045】
一以上のプロセッサ7は、ステップ790において、「スリーブ除去済み」データと通
常の動作条件基準データとを比較することにより、衣類10が巻き付け条件にあるか、又
は巻き付け解除条件にあるかを決定する。圧迫システム1は、一以上のプロセッサ7が7
92において衣類10が除去されておらず依然として巻き付け構成にあることを決定する
場合、通常動作を続ける。一以上のプロセッサ7は、衣類10が除去されて当該衣類が巻
き付け解除構成にあることが794において決定される場合、被監視パラメータの記録を
改変する。ステップ790において「スリーブ除去済み」データと通常動作条件データと
を比較することは、袋体13a、13b、13cの少なくとも一つに対して「スリーブ除
去済み」データからのサイクル圧力の終わりと通常動作条件データからのサイクル圧力の
終わりとを比較することと、袋体13a、13b、13cの少なくとも一つに対して「ス
リーブ除去済み」データからの膨張圧力の終わりと通常動作条件データからの膨張圧力の
終わりとを比較することと、「スリーブ除去済み」データの曲線フィットからの曲率係数
と通常動作条件データの曲線フィットからの曲率係数とを比較することと、袋体13a、
13b、13cの少なくとも一つに対して「スリーブ除去済み」データからの膨張フェー
ズ勾配と通常動作条件データからの膨張フェーズ勾配とを比較することと、「スリーブ除
去済み」データにおいて測定した圧力のゼロからの初期オフセットと通常動作条件データ
からの測定した圧力のゼロからの初期オフセットとを比較することと、袋体13a、13
b、13cの少なくとも一つに対して「スリーブ除去済み」データからの通気フェーズ勾
配と通常動作条件データからの通気フェーズ勾配とを比較することと、低い方の目標圧力
を有する膨張可能袋体が、高い方の目標圧力を有する膨張可能袋体の測定した圧力よりも
高い測定した圧力を有するか否かを決定するべく当該測定した圧力を比較することと、膨
張可能袋体13a、13bのピーク圧力の「スリーブ除去済み」データからの差異と通常
動作条件データにおける袋体13a、13bのピーク圧力の差異とを、当該差異の減少を
求めて比較することと、「スリーブ除去済み」データにおけるポンプ21の動作への調整
の程度と通常動作データにおいてなされた調整の程度とを比較することと、「スリーブ除
去済み」データと通常動作データとの間で圧力波形の統計的に有意な差異を探すこととの
一以上を、限定なしに含み得る。例えば、袋体13a、13b、13cの一つの通気フェ
ーズ中の圧力スパイクは、衣類10が巻き付け構成にあることの指標となる。比較するス
テップ790は、衣類が巻き付け解除構成にあることの指標としてトリガー発生を確認す
るための確認分析である。
【0046】
データ比較790が、当該データ比較のいずれか一つに対して及び袋体13a、13b
、13cのいずれか一つに対して統計的に有意な圧力変化が生じたことを示す場合、一以
上のプロセッサ7は、衣類10が巻き付け解除構成にあり、もはや遵守態様では使用され
ていないことを示す。追加的又は代替的に、一以上のプロセッサ7は、袋体13a、13
b、13cの少なくとも2つから、統計的に有意な圧力変化がデータ比較のいずれか一つ
に対して生じたことの確認を要求する。追加的又は代替的に、一以上のプロセッサ7は、
袋体13a、13b、13cのすべてから、統計的に有意な圧力変化がデータ比較のいず
れか一つに対して生じたことの確認を要求する。追加的又は代替的に、一以上のプロセッ
サ7は、統計的に有意な圧力変化がデータ比較の少なくとも2つに対して生じたことの確
認を要求する。
【0047】
圧力変化の確認に応答して一以上のプロセッサ7は、ステップ794において被監視パ
ラメータの記録を、さらなる圧迫サイクルが圧迫療法計画を遵守していると示されること
のないように遵守メーターを休止させておく(例えば遵守タイマーが値の増加を停止する
)ことと、装着者又は臨床医に非順守を警報するアラーム表示を与えることと、圧迫シス
テム1の動作を休止させることと、比較の結果をメモリ33に記憶させることと(例えば
フラグ)の少なくとも一つにより、改変する。
【0048】
随意的に、図9を参照すると、圧迫衣類10が巻き付け構成にあるか又は巻き付け解除
構成にあるかを決定する方法740は、ステップ902において、衣類10が非遵守の巻
き付け解除構成にあるとの決定が一以上のプロセッサ7によりなされた後に追加的な「ス
リーブ除去済み」データを収集することを続ける。一以上のプロセッサ7は、904にお
いて、追加的な「スリーブ除去済み」データを分析して通常動作条件データと比較する。
一以上のプロセッサ7は906において、904におけるデータ比較が、袋体13a、1
3b、13cのいずれか一つに対して追加的な「スリーブ除去済み」データが通常動作条
件データに一致し又はほぼ一致することを示す場合、衣類10が巻き付け構成に戻されて
再び、遵守態様で使用されているとの決定をする。それに応答して一以上のプロセッサ7
は、被監視パラメータの記録を、圧迫システム1の動作を再開することと、後続圧迫サイ
クルが遵守であるとの指標がされるように遵守メーターを再開することと、装着者又は臨
床医に遵守を警報するメッセージを与えることと、比較の結果をメモリ33に記憶させる
こととの少なくとも一つにより、改変する。一以上のプロセッサ7は902において、9
04におけるデータ比較が当該データ比較のいずれか一つに対して統計的に有意な圧力変
化が残っていることを示す場合、一以上のプロセッサ7が、上述した尺度のような圧力信
号が通常動作条件圧力信号に一致し又はほぼ一致するとの決定をするまで、追加的な「ス
リーブ除去済み」データを続ける。
【0049】
図4及び5からわかるように、圧力センサ27によりもたらされる圧力測定値は、袋体
13a、13b、13c内の実際の圧力よりもわずかに高い。遵守を決定するべく圧力セ
ンサ信号を使用する目的からは、圧力の差異は無視できる。代替的に、一時的に流体源2
1を無効にすることによって、圧力センサ27により測定された圧力は、マニホルド29
に流体連通する袋体における実際の圧力に正規化される。
【0050】
追加的又は代替的に、巻き付け条件と巻き付け解除条件とを比較するべく、袋体13a
、13b、13cの膨張フェーズに対する線形回帰をさらに分析することができる。例え
ば、2つの条件同士をさらに区別するべく、標準偏差、P値、最大及び最小値、並びに平
均値を計算し、巻き付け条件と巻き付け解除条件とを比較することができる。スリーブが
着けられた又はスリーブが外された条件を区別するべく、残差分析のような回帰分析に関
連付けられた高度な統計(例えばここに記載の曲線フィッティング分析)もまた、本開示
の範囲内にある。
【0051】
袋体13a、13b、13cの膨張フェーズに対する曲線フィットが、最適フィットラ
インとして記載されてきたが、当該モデルは多項式曲線フィットとしてもよい。図10
参照すると、袋体13aの膨張フェーズからの圧力信号は、巻き付け構成(1002)及
び巻き付け解除構成(1004)における5次の多項式曲線フィットを使用してモデル化
される。5次多項式曲線フィットは、圧力信号の変化に過剰に応答することのない、膨張
フェーズのさらに動的な曲率を正確に代表する。他の次数の多項式曲線フィットも想定さ
れる。一例として、曲率があまり動的ではないため高い次数が必要とされないような場合
、低い次数の方を使用することができる。
【0052】
巻き付け構成にある袋体13a、13b、13cの膨張フェーズ中の多項式曲線フィッ
トは一般に、巻き付け構成にある袋体13a、13b、13cの膨張フェーズに対する多
項式曲線フィットよりもまっすぐである(すなわち線形性が高い)。追加的に、遠位及び
中間の袋体13a、13bに対しては、巻き付け解除構成において膨張フェーズ全体にわ
たる圧力が、巻き付け構成における膨張フェーズ全体にわたる圧力よりも高い。近位袋体
13cに対しては、巻き付け構成における膨張フェーズのほとんどにわたる圧力が、巻き
付け解除構成における膨張フェーズのほとんどにわたる圧力よりも高いという逆の条件も
真となる。追加的に、巻き付け解除構成にある袋体13a及び13bに対する開始圧力、
すなわちオフセットは、巻き付け構成にある袋体13a及び13bに対する開始圧力より
も高い。これらの異なる特徴の発生を認識することにより、圧迫システム1は、衣類10
が、遵守巻き付け構成にある場合、及び衣類10が非遵守巻き付け解除構成にある場合を
決定することができる。
【0053】
追加的又は代替的に、巻き付け条件と巻き付け解除条件とを比較するべく、袋体13a
、13b、13cの膨張フェーズに対する多項式曲線フィットをさらに分析することがで
きる。例えば、2つの条件同士をさらに区別するべく、標準偏差、P値、最大及び最小値
、並びに平均値を計算し、巻き付け条件と巻き付け解除条件とを比較することができる。
スリーブが着けられた又はスリーブが外された条件を区別するべく、残差分析のような回
帰分析に関連付けられた高度な統計(例えばここに記載の曲線フィッティング分析)もま
た、本開示の範囲内にある。
【0054】
図11を参照すると、圧迫衣類10の巻き付け構成に対する代表的な圧迫サイクル圧力
曲線が例示される。このグラフは、圧力センサ27からの信号を例示する。圧迫衣類10
の巻き付け構成にある袋体13a、13b、13cの3つすべてに対する単一の圧迫サイ
クルは、圧迫周期1102及び圧迫解除周期1104を含む。図12を参照すると、圧迫
衣類10の巻き付け解除構成に対する代表的な圧迫サイクル圧力曲線が例示される。圧迫
周期1202及び圧迫解除周期1204は、圧迫衣類10の巻き付け解除構成について、
袋体13a、13b、13cの3つすべてに対する単一の圧迫サイクルを例示する。コン
ピュータ可読記憶媒体33に実装されるコンピュータ実行可能命令は、圧迫解除周期11
04、1204中の袋体圧力を示す圧力センサ27からの信号を監視するように一以上の
プロセッサ7に仕向ける命令を含む。コンピュータ実行可能命令は、圧迫解除周期110
4の圧力信号と圧迫解除周期1204の圧力信号との差異を検出するように一以上のプロ
セッサ7に仕向ける。例えば、圧迫解除周期1104中の圧力信号は、図11において一
般に1106で示される圧力衝撃を含む。これは、制御器5により、圧迫衣類10が巻き
付け構成にある場合の装着者の動きを示すものとして解釈される。圧迫解除周期1204
中の圧力信号は相対的に静的である(すなわち衝撃が存在しない)。これは、制御器5に
より、圧迫衣類10が巻き付け解除構成にあることを示すものとして解釈される。圧迫解
除周期1104、1204の圧力信号を分析することにより、コンピュータ実行可能命令
は、圧迫解除周期1104、1204中の一以上の圧力衝撃1106の存在(すなわち発
生)又は不在(すなわち非発生)に基づいて、圧迫衣類10が巻き付け構成にあるか否か
、又は巻き付け解除構成にあるか否かを決定するように一以上のプロセッサ7に仕向ける
【0055】
再び図11を参照すると、圧迫システム1の他の実施形態において、袋体13a、13
b、13cの袋体圧力がロックされており、コンピュータ実行可能命令は、圧迫衣類10
が、実質的に装着者の肢まわりにある巻き付け構成の場合の、圧迫解除周期1104中の
圧力信号の上昇(例えば増加)を検出するように一以上のプロセッサ7に仕向ける。圧迫
解除周期1204(図12)中の圧力信号は相対的に静的である(すなわち圧力上昇が存
在しない)。これは、制御器5により、圧迫衣類10が巻き付け解除構成にあることを示
すものとして解釈される。コンピュータ実行可能命令は、圧迫解除周期1104、120
4中の圧力上昇の存在(すなわち発生)又は不在(すなわち非発生)に基づいて、圧迫衣
類10が巻き付け構成にあるか又は巻き付け解除構成にあるかを決定するように一以上の
プロセッサ7に仕向ける。
【0056】
図13を参照すると、コンピュータ可読記憶媒体33に実装されるコンピュータ実行可
能命令は、圧力センサ27から受信した圧力信号における一以上の圧力衝撃を検出するこ
とにより、圧迫衣類が巻き付け構成にあるか又は巻き付け解除構成にあるかを決定する方
法1300を実行するように一以上のプロセッサ7に仕向ける。圧迫システム1はステッ
プ1302において、圧迫治療を装着者の肢に適用するべく、及び袋体13a、13b、
13cに通気して1~2mmHgのような目標値まで下げるべく、袋体13a、13b、
13cを膨張及び収縮させるように動作する。コンピュータ実行可能命令は、ステップ1
304において、袋体13a、13b、13cにおける圧力が目標値に到達したか否かを
決定するように一以上のプロセッサ7に仕向ける。目標値に到達していなかった場合、コ
ンピュータ実行可能命令は、袋体13a、13b、13cへの通気を続けるように一以上
のプロセッサ7に仕向け、プロセスはステップ1304へと戻る。目標値に到達している
場合、コンピュータ実行可能命令は、ステップ1306において、袋体13a、13b、
13cへの通気を止め、圧迫解除周期中の衝撃を求めて圧力センサ27からの圧力信号を
監視するように一以上のプロセッサ7に仕向ける。理解されることだが、フィルタがかけ
られた信号は、本開示の範囲を逸脱しなければ、観測されたいずれかの衝撃がベースライ
ン信号ノイズを上回るものとみなしてよい。信号は、例えば、制御器5におけるフィルタ
リング回路群によってフィルタがかけられてよく、及び/又はコンピュータ実行可能命令
を介して一以上のプロセッサ7により実装されたデジタルフィルタリング技術によってフ
ィルタがかけられてよい。理解されることだが、コンピュータ実行可能命令は、本開示の
範囲を逸脱しなければ、予測されたノイズ内のピークに対する異常ピークの振幅を決定す
るべく波形ピーク検出を行わせるように一以上のプロセッサ7に仕向けることができる。
またも理解されることだが、コンピュータ実行可能命令は、本開示の範囲を逸脱しなけれ
ば、信号しきい値限界検出を利用するように一以上のプロセッサ7に仕向けることができ
る。例えば、ノイズを1mmHgよりも上回る衝撃が検出される場合、当該衝撃は圧力衝
撃とみなされる。コンピュータ実行可能命令は、衝撃が観測されない連続サイクルの数を
求めて計数が保持されるカウンターを実装するように一以上のプロセッサ7に仕向けるこ
とができる。
【0057】
ステップ1308において、コンピュータ実行可能命令は、ステップ1306において
、衝撃がプロセッサ7により検出されたか否かを決定するように一以上のプロセッサ7に
仕向ける。ステップ1306中に衝撃が検出された場合、コンピュータ実行可能命令は、
カウンターをゼロにリセット1310するように一以上のプロセッサ7に仕向ける。これ
は、当該衝撃が、圧迫衣類10が実質的に装着者の肢まわりの巻き付け構成にあることを
示すからである。ステップ1306中に衝撃が検出されなかった場合、そのような衝撃の
非発生(すなわち不在)は、圧迫衣類10が、装着者の肢から離れた巻き付け解除構成に
あることを示す。このような場合、コンピュータ実行可能命令は、ステップ1312にお
いてカウンターの計数がカウンターしきい値を満たし又は超過するか否かを決定するよう
に一以上のプロセッサ7に仕向ける。例えば、しきい値は10の連続サイクルであってよ
いが、当業者であれば、当該しきい値が任意の整数値となり得ることがわかる。しきい値
を満たし又は超過することは、圧迫衣類10が装着者の肢から離れた巻き付け解除構成に
あることを示す。これは、圧迫衣類10が巻き付け構成にあったとすれば、圧力異常(例
えば圧力衝撃)が一以上のプロセッサ7により検出されていたはずだからである。
【0058】
一以上のプロセッサ7は、ステップ1312において、カウンターの計数が、カウンタ
ーしきい値を満たし又は超過すると決定する場合、コンピュータ実行可能命令は、ステッ
プ1314において必要なアクションをとるように一以上のプロセッサに仕向ける。例え
ば、一以上のプロセッサ7は、動作を休止すること、遵守タイマーを停止すること、ユー
ザ(例えば装着者又は介護者)に警報すること等ができる。一以上のプロセッサ7が、ス
テップ1312においてカウンターの計数がカウンターしきい値に到達していなかったと
決定する場合、コンピュータ実行可能命令は、ステップ1316においてカウンターの計
数を増加させて袋体13a、13b、13cに十分に通気させるように一以上のプロセッ
サ7に仕向け、プロセスはステップ1302に戻る。
【0059】
代替実施形態において、図6の方法1300は、静脈再充填測定中に実行される。かか
る実施形態において、袋体13bは、高い圧力(例えば5~7mmHg)になるまで通気
されるので、装着者の肢に強固に接触するようになる。この実施形態において、患者の動
きに起因する圧力衝撃は、圧力センサ27の圧力信号においてさらに明白となる。
【0060】
図14を参照すると、コンピュータ可読記憶媒体33に実装されるコンピュータ実行可
能命令は、圧力センサ27から受信した圧力信号における上昇(例えば増加)を検出する
ことにより、圧迫衣類が巻き付け構成にあるか又は巻き付け解除構成にあるかを決定する
方法1400を実行するように一以上のプロセッサ7に仕向ける。圧迫システム1は、ス
テップ1402において、圧迫治療を装着者の肢に適用するべく、及び袋体13a、13
b、13cに通気して1~2mmHgのような目標値まで下げるべく、袋体13a、13
b、13cを膨張及び収縮させるように動作する。コンピュータ実行可能命令は、ステッ
プ1404において、袋体13a、13b、13cにおける圧力が目標値に到達したか否
かを決定するように一以上のプロセッサ7に仕向ける。目標値に到達していなかった場合
、コンピュータ実行可能命令は、袋体13a、13b、13cへの通気を続けるように一
以上のプロセッサ7に仕向け、プロセスはステップ1404へと戻る。目標値に到達して
いた場合、コンピュータ実行可能命令は、ステップ1406において、袋体13a、13
b、13cへの通気を止め、圧迫解除周期中の上昇を求めて圧力センサ27からの圧力信
号を監視するように一以上のプロセッサ7に仕向ける。一実施形態において、フィルタが
かけられた信号は、観測されたいずれかの上昇がベースライン信号ノイズを上回るものと
みなしてよい。信号は、例えば、制御器5におけるフィルタリング回路群によってフィル
タがかけられてよく、及び/又はコンピュータ実行可能命令を介して一以上のプロセッサ
7により実装されたデジタルフィルタリング技術によってフィルタがかけられてよい。一
以上のプロセッサ7は、圧迫衣類10が実質的に装着者の肢まわりにある巻き付け構成で
あることを示すしきい値(例えば1~2mmHg)よりも大きな圧力上昇を求めて圧力信
号を監視する。圧力信号における上昇の欠如、又はしきい値よりも小さな上昇は、圧迫衣
類10が装着者の肢から離れた巻き付け解除構成にあることを示す。コンピュータ実行可
能命令は、しきい値圧力上昇を達成することができない各サイクルを求めて計数が保持さ
れるカウンターを実装するように一以上のプロセッサ7に仕向ける。
【0061】
ステップ1408において、コンピュータ実行可能命令は、ステップ1406において
、しきい値よりも大きな圧力上昇がプロセッサ7により検出されたか否かを決定するよう
に一以上のプロセッサ7に仕向ける。ステップ1406中にしきい値よりも大きな圧力上
昇が検出された場合、コンピュータ実行可能命令は、カウンターをゼロにリセット141
0するように一以上のプロセッサ7に仕向ける。これは、当該圧力上昇が、圧迫衣類10
が実質的に装着者の肢まわりの巻き付け構成にあることを示すからである。ステップ14
06にしきい値を上回る上昇が検出されなかった場合、そのような圧力上昇の非発生は、
圧迫衣類10が、装着者の肢から離れた巻き付け解除構成にあることを示す。このような
場合、コンピュータ実行可能命令は、ステップ1412においてカウンターの計数がカウ
ンターしきい値を満たし又は超過するか否かを決定するように一以上のプロセッサ7に仕
向ける。例えば、しきい値は10の連続サイクルであってよいが、当業者であれば、当該
しきい値が任意の整数値となり得ることがわかる。しきい値を満たし又は超過することは
、圧迫衣類10が装着者の肢から離れた巻き付け解除構成にあることを示す。これは、圧
迫衣類10が巻き付け構成にあったとすれば、圧力異常(例えば圧力上昇)が一以上のプ
ロセッサ7により検出されていたはずだからである。
【0062】
一以上のプロセッサ7は、ステップ1412において、カウンターの計数がカウンター
しきい値を満たし又は超過したことを決定した場合、コンピュータ実行可能命令は、ステ
ップ1414において必要なアクションをとるように一以上のプロセッサに仕向ける。例
えば、一以上のプロセッサ7は、動作を休止すること、遵守タイマーを停止すること、ユ
ーザ(例えば装着者又は介護者)に警報すること等ができる。一以上のプロセッサ7が、
ステップ1412においてカウンターの計数がカウンターしきい値に到達していなかった
と決定する場合、コンピュータ実行可能命令は、ステップ1416においてカウンターの
計数を増加させて袋体13a、13b、13cに十分に通気させるように一以上のプロセ
ッサ7に仕向け、プロセスはステップ1402に戻る。
【0063】
代替実施形態において、圧力センサ27により生成された信号の圧力曲線の実際の形状
は、それ自体が潜在的な指標となる。例えば、当該曲線の形状は、もたらされた機能(す
なわち当該形状)が所定の機能(すなわち形状)に一致するときに、圧迫衣類10が巻き
付け構成にあるとコンピュータ実行可能命令が決定するように一以上のプロセッサ7に仕
向けることとなるように計算することができる。これとは逆に、もたらされた機能が所定
の機能に一致しないことにより、コンピュータ実行可能命令は、圧迫衣類10が巻き付け
解除構成にあると決定するように一以上のプロセッサ7に仕向ける。かかる実施形態は、
上述した方法1300、1400と併せて記載されたカウンターとともに使用することが
できる。
【0064】
図15Aを参照すると、代表的な袋体膨張周期1502及び圧力保持周期1504中に
装着者の肢において圧迫衣類10の巻き付け構成にある袋体13a、13b、13cの一
つに対する圧力センサ27からの圧力信号が示される。図15Aの例において、圧力保持
周期1504は、約27秒の期間であり、袋体13a、13b、13cの治療サイクルの
典型的な膨張しきい値である約45mmHgまで膨張した袋体13a、13b、13cを
代表する。本開示の他の実施形態によれば、圧力保持周期1504は、約20秒の期間と
してよく、約200mmHgまで膨張した袋体13a、13b又は13cの一つを代表す
る。したがって、約200mmHgまで膨張する袋体の圧力信号における振動の振幅は、
約45mmHgまで膨張する袋体に関連してここに例示される振動の振幅よりも高くなる
【0065】
図15Bを参照すると、波形1504’は、圧力保持周期1504の対象サブセット信
号に適用された帯域通過フィルタリング技術の結果であって、周波数範囲(例えば0.5
Hz~25Hz、0.5Hz~5Hz等)が抽出されたものを示す。圧力保持周期150
4の代表的なサブセット部分は、圧力保持周期1504’中の圧力信号においてパルスが
可視となるように、図15Aよりも小さな尺度で示される。図15Bの圧力パルスにおけ
る当該パルスは、装着者の脈拍により袋体13a、13b又は13cにもたらされた圧力
効果に関連付けられる。圧迫衣類10の装着者の脈拍に関連付けられた波形脈動は、波形
1504’において明白なままである。非一過性のコンピュータ可読記憶媒体33に実装
されるコンピュータ実行可能命令は、圧力センサ27からの信号を受信するように一以上
のプロセッサ7に仕向ける命令を含む。受信した信号は、袋体膨張周期1502及び圧力
保持周期1504中の袋体13a、13b、13cの一以上における流体圧力を示す。
【0066】
一定の複数の実施形態において、コンピュータ実行可能命令はさらに、人間の典型的な
心臓周期範囲に関連付けられた周波数のみを圧力保持周期1504中に抽出するべく、圧
力センサ27からの信号をさらにリファインするように一以上のプロセッサ7に仕向ける
命令を含む。例えば、コンピュータ実行可能命令は、0.5Hz~25Hzの範囲にある
周波数を(例えば帯域通過フィルタリング技術を介して)抽出するように一以上のプロセ
ッサ7に仕向けるコンピュータ実行可能命令を含み得る。
【0067】
図15Bは、振動の振幅が減少するにつれて、信号へのノイズの影響が有意になってく
る(すなわち信号対ノイズ比が小さくなる)ことを示す。データの追加的な前処理及び/
又は後処理が、歪みの少ない結果を取得するのに有用となり得る。いくつかの実施形態に
おいて、コンピュータ実行可能命令はさらに、人間装着者の脈拍とは関連付けられない周
波数を除去するべく、圧力保持周期1504の信号をフィルタリングするように一以上の
プロセッサ7に仕向ける命令と、一以上のピーク検出アルゴリズム及び/又は遵守監視ア
ルゴリズムを実装するように一以上のプロセッサ7に仕向ける命令とを含む。一定の複数
の実施形態において、一以上のコンピュータ実行可能命令はさらに、圧力センサ27から
受信した信号へのノイズの影響を減少させる追加的な前処理及び/又は後処理を行わせる
ように一以上のプロセッサ7に仕向ける命令を含む。理解すべきことだが、圧力センサ2
7から受信して一以上のプロセッサ7により処理された信号は、装着者の心拍に関連付け
られるが装着者の実際の心拍ではない脈動を含む。例えば、装着者の心臓が拍動するとき
の血流は、膨張可能袋体13a、13b、13cの少なくとも一つに圧力をもたらす。こ
れを圧力センサ27が検出して、その代表的な圧力信号を生成する。
【0068】
図15Cを参照すると、波形1504’が、波形1504”に重ねられる。波形150
4”は、一以上のプロセッサ7により波形1504’に適用された平滑化アルゴリズムフ
ィルタリング技術の結果である。図15Cにおける実施形態の、この一例において、平滑
化は、動く範囲の5倍(例えば5×)の矩形窓に追従する。典型的な静脈再充填検出(V
enous Refill Detection(VRD))技術(例えば約5から約2
0mmHg)に関連付けられるもののように低い圧力であっても、波形は依然として、装
着者と圧迫衣類10とが十分に接触していることを示す脈動の証拠を与える。
【0069】
図16は、代表的な袋体圧力保持周期1602中に圧力センサ27から受信した圧力信
号、すなわち圧迫衣類10の巻き付け解除構成に対する袋体13a、13b、13cの一
つの圧力曲線を示す。圧力曲線1602の全体的な振幅は、(図15Aに示される)類似
の圧力保持周期1504の振幅よりも小さい。圧力曲線1602に明確な繰り返しパルス
が不在であることは、圧迫衣類10が巻き付け解除構成にあるか又は装着者によって適切
に装着されていないことの指標である。
【0070】
図17Aは、圧力信号27から受信した圧力信号、及び袋体13a、13b、13cの
一つの代表的な袋体圧力曲線を示す。圧力曲線は、療法サイクル周期1702、袋体通気
周期1704、袋体試験膨張周期1706及び袋体圧力保持周期1708を含む。療法サ
イクル1702の終わりに、被試験袋体(例えば袋体13a、13b、13cの一つ)が
、袋体通気周期1704中に通気される。袋体通気周期1704の後、短い膨張が袋体膨
張周期1706中に、被試験袋体が約30mmHgの圧力を達成するまでずっと被試験袋
体に適用される。一以上のプロセッサ7は、さらに以下に記載されるようなパルス検出が
、この実施形態の一例では約10秒となる袋体圧力保持周期1708中に一以上のプロセ
ッサ7によって行われるように、コンピュータ実行可能命令を実行する。袋体圧力保持周
期1708は、これよりも長い又は短い期間であってよい。ただし、当該期間が、当該期
間中に複数のパルスが発生することが保証されるほど十分に長いことが前提とされる。図
17Bは、圧力保持周期1708中に対象信号に適用されたフィルタリング技術の結果を
示す波形1708’を例示する。いくつかの実施形態において、コンピュータ実行可能命
令は、一以上のプロセッサ7が支配的ピークを検出し、予測された範囲(人間装着者に対
して例えば60~100拍毎分(bpm))内に波形が収まることをチェックするように
仕向ける命令を含む。いくつかの実施形態において、人間装着者に対して予測された範囲
は60~100拍毎分(bpm)である。しかしながら、体調不良かもしれない装着者を
説明するべく、及び/又は心臓から遠く離れた身体箇所(例えば下肢)において生じ得る
測定を説明するべく、これよりも広い範囲(例えば30~120bpm)も使用すること
ができることを理解すべきである。この実施形態の一例において、一以上のプロセッサ7
は、装着者の心拍に関連付けられるが装着者の実際の心拍ではない脈動を検出する。
【0071】
図18は、装着者の心拍に関連付けられた脈動を検出することにより、圧迫衣類10が
、衣類の装着者の肢まわりの巻き付け構成にあるか又は巻き付け解除構成にあるかを決定
するべく、圧力センサ27から受信した波形データを分析する方法1800の一例の概略
的表現である。この一例の方法は、非一過性コンピュータ可読記憶媒体33に実装された
コンピュータ実行可能命令の実行を介して、一以上のプロセッサ7により実行することが
できる。一以上のプロセッサ7は、1802で初期圧力をサンプリングするコンピュータ
実行可能命令を実行する。いくつかの実施形態において、初期圧力のサンプリング、10
0Hz以上の速度で行われ、典型的な信号調整が使用されてベースラインノイズが除去さ
れる。追加的又は代替的に、サンプリング1802は、低カットオフ(例えば0.25H
z)直下の周波数の減衰を含むように拡張することができる。
【0072】
後処理波形分析1804はさらに、帯域通過フィルタ1806、追加的なフィルタリン
グ1808及びピーク検出1810を含む。帯域通過フィルタ1806の最中、対象信号
には、人間装着者の典型的な心拍数範囲に関連付けられた典型的な範囲の周波数(例えば
人間装着者に対する0.5~4Hz)における帯域通過フィルタリング技術を使用してフ
ィルタがかけられる。
【0073】
追加的なフィルタリング1808中、帯域通過フィルタがかけられた信号のピークはさ
らにリファインされる。追加的なフィルタリングは、フィルタがかけられた値をもたらす
べく、5Hzのカットオフを備えた低域通過フィルタを含み得る。追加的又は代替的に、
追加的なフィルタリングは、フィルタがかけられた値をもたらすべく、動く範囲の最近の
5つのサンプルを使用する平滑化アルゴリズムを含み得る。理解すべきことだが、帯域通
過フィルタがかけられた信号には、加的なフィルタリングステップ1808中に、一を超
えるフィルタリング技術を適用することができる。
【0074】
ピーク検出1810中、フィルタがかけられた信号のピークが典型的な人間装着者の心
拍範囲に対応することをチェックするべく、ピーク検出が行われる。ピーク検出1810
は、所定のしきい値に基づき得る(例えば0.05mmHgよりも大きな程度を備えたピ
ークのみを見ることができる)。追加的又は代替的に、ピーク検出1810は、程度から
は独立して周波数が典型的な人間装着者の心拍範囲内にある繰り返し信号を求めて検査す
ることに基づき得る(例えばマージンのために30~240bpmまで拡張される)。例
えば、周波数が典型的な人間装着者の心拍範囲にある繰り返し信号が検出されることをチ
ェックするべく、周波数分析計算が行われてよい。追加的又は代替的に、ピーク検出18
10は、最高程度のピークに基づいてよく、当該ピークの周波数が典型的な人間装着者の
予測された心拍範囲内に収まることをチェックしてよい。理解すべきことだが、ピーク検
出1810中に一を超えるピーク検出技術を使用してよい。いくつかの実施形態において
、ピーク検出1810は、所定のしきい値に基づくピーク検出と最高程度のピークに基づ
くピーク検出との組み合わせ、及び当該ピークの周波数が、パルスがはっきりと明白であ
るほど信号対ノイズ比が十分高いことを理由に、典型的な人間装着者の予測された心拍範
囲内に収まることをチェックすることを含む。
【0075】
コンピュータ実行可能命令は、装着者の脈拍の特徴がピーク検出1810中に検出され
たか否かを決定1812するように一以上のプロセッサ7に仕向ける。パルスの特徴が存
在すると決定1812される場合、肯定的な決定結果が表示され得る1816。例えば、
表示1816は、圧迫システム1に関連付けられたディスプレイ装置に視覚的表現を送信
することを含み得る。追加的又は代替的に、表示1816は、タイマーの値を増加させ及
び/又は一時停止させることを含み得る。表示1816のとき、ステップ1818におい
てプロセスは終了し、ステップ1802に戻る。ステップ1812において衝撃が検出さ
れない場合、コンピュータ実行可能命令は、ステップ1814においてヌル値を返すよう
に一以上のプロセッサ7に仕向ける。ステップ1814の後、ステップ1818において
プロセスは終了し、サンプリング1802に戻る。
【0076】
図19を参照すると、衣類照合プロセス中に圧迫衣類(例えば圧迫衣類10)が巻き付
け構成にあるか又は巻き付け解除構成にあるかを決定するべく、圧力センサ(例えば圧力
センサ27)から受信した波形データを分析する一例の方法1900の概略的表現が示さ
れる。説明を容易にするべく、かつ、明確性のため、方法1900は、単一の袋体(例え
ば袋体13a、13b又は13cの一つ)に対して記載される。しかしながら、方法19
00は、異なる弁に対応する追加的な袋体を求めてチェックするべく繰り返してよいこと
も理解すべきである。
【0077】
方法1900は、ステップ1902から始まり、所望の袋体弁(例えば袋体弁25a、
25b、25c)が開1904とされる。加圧流体源(例えば加圧流体源21)は、対応
袋体における圧力が約120mmHgを超過するまで回される1906。
【0078】
圧力信号は、時間周期の間に圧力センサ27から受信される1908すべてのデータが
利用可能であるか否かについての決定1910がなされる。すべてのデータが利用可能で
ない場合、圧力信号は取得され続け1912、当該圧力信号が受信される1908。決定
1910がなされる場合、ステップ1910においてすべてのデータが利用可能であり、
対応弁が閉となって1914、パルス検出アルゴリズムが実行される。
【0079】
いくつかの実施形態において、パルス検出アルゴリズムは、上述した後処理波形分析1
804の一以上のステップを含む。
【0080】
弁が閉とされ1914、流体が袋体において隔離された後、パルスが検出されたか否か
についての決定1916がなされる。パルスの検出の欠如は、ステップ1918において
圧迫衣類10が、装着者の肢から離れた巻き付け解除構成にあることを示し、方法は、遵
守時間が増加させられることがないステップ1932へと進む。その後、ステップ193
6において方法が終了する。ステップ1916におけるパルスの検出は、ステップ192
0において圧迫衣類10が装着者の肢まわりの巻き付け構成にあることを示し、方法はス
テップ1930へと続く。
【0081】
ステップ1922において、コンピュータ実行可能命令は、ポンプがステップ1906
において始動された後一秒が経過した後に圧力を読み込むように一以上のプロセッサ7に
仕向ける。ステップ1924において、コンピュータ実行可能命令は、圧力が2.0mm
Hgを超えるか否かを決定するように一以上のプロセッサ7に仕向ける。ステップ192
4において2.0mmHgを超過した圧力は、ステップ1926において圧迫衣類10が
存在する(例えば弁25a、25b、25cと流体連通する)ことを示し、方法はステッ
プ1930へと進む。ステップ1924において2.0mmHgを超過しなかった圧力は
、ステップ1928において圧迫衣類10が存在しない(例えば弁25a、25b、25
cと流体連通しない)ことを示し、方法は、遵守時間が増加させられることがないステッ
プ1932へと進む。その後、ステップ1936において方法が終了する。
【0082】
ステップ1930において、コンピュータ実行可能命令は、圧迫衣類10が存在して装
着者の肢まわりの巻き付け構成にあるか否かを決定するように一以上のプロセッサ7に仕
向ける。圧迫衣類10が存在しないか又は装着者の肢まわりの巻き付け構成にないかのい
ずれかと決定される場合、方法は、遵守時間が増加させられることがないステップ193
2へと進み、その後、ステップ1936において方法が終了する。圧迫衣類10が一以上
のプロセッサ7により、存在して巻き付け構成にあることが決定される場合、方法は、遵
守時間が増加させられるステップ1934へと進み、その後、ステップ1936において
方法が終了する。
【0083】
図20を参照すると、サイクル圧力の終わりに追従して圧迫衣類が巻き付け構成にある
か又は巻き付け解除構成にあるかを決定するべく、コンピュータ可読記憶媒体33に実装
されるコンピュータ実行可能命令は、圧力センサ27から受信した波形データを分析する
方法2000を実行するように一以上のプロセッサ7に仕向ける。方法2000は、ステ
ップ2002から始まり、コンピュータ実行可能命令が、予防的な圧迫サイクルを完了す
るように一以上のプロセッサ7に仕向けるステップ2004へと進む。ステップ2006
において、コンピュータ実行可能命令は、装着者の足首及びふとももに対応する袋体(例
えば袋体13a及び13c)に通気するように一以上のプロセッサ7に仕向ける。ステッ
プ2008において、コンピュータ実行可能命令は、所定の時間周期(例えば10秒)の
間、装着者のふくらはぎに対応する袋体(例えば袋体13b)における圧力を保持し、圧
力センサ27を介して圧力信号を取得するように一以上のプロセッサ7に仕向ける。
【0084】
ステップ2010において、コンピュータ実行可能命令は、データのすべてが利用可能
か否かを決定するように一以上のプロセッサ7に仕向ける。ステップ2010においてデ
ータのすべてが利用可能とはいえない場合、方法は、圧力センサ27からの圧力信号を取
得し続けるステップ2012へと進み、その後、続けてステップ2008へと戻る。ステ
ップ2010においてデータのすべてが利用可能である場合、方法は、コンピュータ実行
可能命令が、パルス検出アルゴリズムを実行するように一以上のプロセッサ7に仕向ける
ステップ2014へと進む。いくつかの実施形態において、パルス検出アルゴリズムは、
上述した後処理波形分析1804の一以上のステップを含む。ステップ2016において
、コンピュータ実行可能命令は、ステップ2014においてパルスが検出されたか否かを
決定するように一以上のプロセッサ7に仕向ける。パルスの検出の欠如は、ステップ20
22において圧迫衣類10が、装着者の肢から離れた巻き付け解除構成にあることを示す
。この場合、方法は、コンピュータ実行可能命令が、遵守時間を増加させないように一以
上のプロセッサ7に仕向け、及び一以上のアクション(例えばユーザ警報)をとるように
一以上のプロセッサ7に仕向けるステップ2024へと進み、その後、ステップ2026
において方法が終了する。ステップ2016におけるパルスの検出は、ステップ2018
において圧迫衣類10が、装着者の肢まわりの巻き付け構成にあることを示す。この場合
、方法は、コンピュータ実行可能命令が、遵守時間を増加させるように一以上のプロセッ
サ7に仕向けるステップ2020へと進み、その後、ステップ2026において方法が終
了する。
【0085】
図21を参照すると、コンピュータ可読記憶媒体33に実装されるコンピュータ実行可
能命令は、静脈再充填決定(VRD)中に圧迫衣類が巻き付け構成にあるか又は巻き付け
解除構成にあるかを決定するべく、圧力センサ27から受信した波形データを分析する方
法2100を実行するように一以上のプロセッサ7に仕向ける。方法2100は、ステッ
プ2102から始まり、コンピュータ実行可能命令が、予防的な圧迫サイクルを完了する
ように一以上のプロセッサ7に仕向けるステップ2104へと進む。ステップ2106に
おいて、コンピュータ実行可能命令は、装着者の足首及びふとももに対応する袋体(例え
ば袋体13a及び13c)に通気するように一以上のプロセッサ7に仕向ける。ステップ
2108において、コンピュータ実行可能命令は、装着者のふくらはぎに対応する袋体(
例えば袋体13b)における圧力がVRD目標となるまで通気するように一以上のプロセ
ッサ7に仕向ける。ステップ2110において、コンピュータ実行可能命令は、予定通り
にVRDを行わせるように一以上のプロセッサ7に仕向ける。ひとたびVRD測定が開始
されると、コンピュータ実行可能命令は、並列パルス検出を目的として圧力センサ27か
ら圧力データを取得する二次プロセスを始めるように一以上のプロセッサ7に仕向ける。
ステップ2114において、コンピュータ実行可能命令は、VRDが進行している間に圧
力センサ27から圧力信号を取得するように一以上のプロセッサ7に仕向ける。
【0086】
ステップ2116において、コンピュータ実行可能命令は、データのすべてが利用可能
か否かを決定するように一以上のプロセッサ7に仕向ける。ステップ2116においてデ
ータのすべてが利用可能とはいえない場合、方法は、圧力センサ27からの圧力信号取得
を続けるステップ2118へと進み、その後、続けてステップ2114へと戻る。ステッ
プ2116においてデータのすべてが利用可能な場合、方法は、コンピュータ実行可能命
令が、パルス検出アルゴリズムを実行するように一以上のプロセッサ7に仕向けるステッ
プ2120へと進む。いくつかの実施形態において、パルス検出アルゴリズムは、上述し
た後処理波形分析1804の一以上のステップを含む。ステップ2122において、コン
ピュータ実行可能命令は、ステップ2120においてパルスが検出されたか否かを決定す
るように一以上のプロセッサ7に仕向ける。パルスの検出の欠如は、ステップ2128に
おいて圧迫衣類10が、装着者の肢から離れた巻き付け解除構成にあることを示す。この
場合、方法は、コンピュータ実行可能命令が、遵守時間を増加させないように一以上のプ
ロセッサ7に仕向け、及び一以上のアクション(例えばユーザ警報)をとるように一以上
のプロセッサ7に仕向けるステップ2130へと進み、その後、ステップ2132におい
て方法が終了する。ステップ2122におけるパルスの検出は、ステップ2124におい
て圧迫衣類10が装着者の肢まわりの巻き付け構成にあることを示す。方法はその後、コ
ンピュータ実行可能命令が、遵守時間を増加させるように一以上のプロセッサ7に仕向け
るステップ2126へと進み、その後、ステップ2132において方法が終了する。
【0087】
図22を参照すると、コンピュータ可読記憶媒体33に実装されるコンピュータ実行可
能命令は、独立したサイクルとして圧迫衣類が巻き付け構成にあるか又は巻き付け解除構
成にあるかを決定するべく、圧力センサ27から受信した波形データを分析する方法22
00を実行するように一以上のプロセッサ7に仕向ける。方法2200は、ステップ22
02から開始してステップ2204へと進む。ここで、コンピュータ実行可能命令は、予
防的な圧迫サイクルを完了させるように一以上のプロセッサ7に仕向ける。ステップ22
06において、コンピュータ実行可能命令は、袋体13a、13b、13cのすべてに通
気するように一以上のプロセッサ7に仕向ける。ステップ2208において、コンピュー
タ実行可能命令は、所望の弁(例えば弁25b)を開にして所望の袋体(例えば袋体13
b)を所望の圧力(例えば10~120mmHg)まで膨張させるように一以上のプロセ
ッサ7に仕向ける。ステップ2210において、コンピュータ実行可能命令は、所定の時
間周期(例えば10秒)の間に圧力センサ27を介して圧力信号を取得するように一以上
のプロセッサ7に仕向ける。
【0088】
ステップ2212において、コンピュータ実行可能命令は、データのすべてが利用可能
か否かを決定するように一以上のプロセッサ7に仕向ける。ステップ2212においてデ
ータのすべてが利用可能とはいえない場合、方法は、圧力センサ27からの圧力信号を取
得し続けるステップ2214へと進み、その後、続けてステップ2210へと戻る。ステ
ップ2212においてデータのすべてが利用可能である場合、方法は、コンピュータ実行
可能命令が、対応弁(例えば25b)を閉にしてパルス検出アルゴリズムを実行するよう
に一以上のプロセッサに仕向けるステップ2216へと進む。いくつかの実施形態におい
て、パルス検出アルゴリズムは、上述した後処理波形分析804の一以上のステップを含
む。ステップ2218において、コンピュータ実行可能命令は、ステップ2216におい
てパルスが検出されたか否かを決定するように一以上のプロセッサ7に仕向ける。パルス
の検出の欠如は、圧迫衣類10が、ステップ2224において、装着者の肢から離れた巻
き付け解除構成にあることを示す。この場合、方法は、コンピュータ実行可能命令が、遵
守時間を増加させないように一以上のプロセッサ7に仕向け、及び一以上のアクション(
例えばユーザ警報)をとるように一以上のプロセッサ7に仕向けるステップ2226へと
進み、その後、ステップ2228において方法が終了する。ステップ2218におけるパ
ルスの検出は、ステップ2220において圧迫衣類10が装着者の肢まわりの巻き付け構
成にあることを示す。この場合、方法は、コンピュータ実行可能命令が、遵守時間を増加
させるように一以上のプロセッサ7に仕向けるステップ2222へと進み、その後、ステ
ップ2228において方法が終了する。
【0089】
図23A~Cは、装着者の心拍に関連付けられた脈動を検出することにより、圧迫衣類
10が、衣類の装着者の肢まわりの巻き付け構成にあるか又は巻き付け解除構成にあるか
を決定するべく、圧力センサ27から受信した波形データを分析する一例の方法2300
の概略的表現である。この一例の方法は、非一過性コンピュータ可読記憶媒体33に実装
されたコンピュータ実行可能命令の実行を介して、一以上のプロセッサ7により実行する
ことができる。
【0090】
方法2300は、開始してステップ2302へと進む。ここで、コンピュータ実行可能
命令は、予防的な圧迫サイクルを完了させるように一以上のプロセッサ7に仕向ける。ス
テップ2304において、コンピュータ実行可能命令は、目標圧力が達成されるまで、例
えば装着者の足首及びふとももに対応する袋体(例えば袋体13a及び13c)に通気し
、及び例えば装着者のふくらはぎに対応する袋体(例えば袋体13b)に通気するように
、一以上のプロセッサ7に仕向ける。一実施形態において、目標圧力は、約5から約7m
mHgの初期の低い方の目標圧力を含む。代替的に、初期の低い方の目標圧力が予測され
た結果をもたらさない場合には、目標圧力は約26から約32mmHgを含む。初期の低
い方の目標圧力は、装着者の肢に対して及ぼされる圧力が小さくなり、高い方の圧力と比
べて患者にとって快適となるという一例の利益を、患者にとってあまり快適でない高い方
の目標圧力での再試行前に与える。
【0091】
目標圧力に到達すると、コンピュータ実行可能命令は、少なくとも約15秒の周期の間
に約100Hzの速度で信号が取得されている間、装着者のふくらはぎに対応する袋体(
例えば袋体13b)における圧力を保持するように一以上のプロセッサ7に仕向ける。一
実施形態において、周期は、ここでさらに記載されるように圧力保持周期1504を含む
。本発明の範囲から逸脱しなければ、約15秒よりも長い保持周期も利用することができ
る。ステップ2308において、コンピュータ実行可能命令は、装着者のふくらはぎに対
応する袋体(例えば袋体13b)における圧力を通気により解放するように一以上のプロ
セッサ7に仕向ける。
【0092】
測定袋体(例えば袋体13b)の通気に追従して、コンピュータ実行可能命令は、さら
なる信号調整を行わせるように一以上のプロセッサ7に仕向け、これにより、患者検出ア
ルゴリズムのためのデータが用意される。図23Aに示されるように、コンピュータ実行
可能命令は、波形データに帯域通過フィルタ2310をかけるように一以上のプロセッサ
7に仕向ける。一実施形態において、つい最近1024取得されたサンプルが、約10秒
の時間窓に対応し、約0.5~25Hzの通過帯域を有する帯域通過フィルタ2310を
通され、装着者の心臓周期を反映する信号が分離される。一実施形態において、1024
個の取得されたサンプルのうち最初の3つのサンプルが、定着時間周期として無視される
。当業者により理解されることだが、つい最近の取得されたサンプルは、本発明の範囲か
ら逸脱しなければ、他の量で利用してよい。例えば、つい最近の取得されたサンプルは、
任意数が、周波数計算において2のべき乗の補助となる。
【0093】
コンピュータ実行可能命令は、帯域通過フィルタ2310の出力が、約5Hzの低域通
過カットオフ周波数を有する低域通過フィルタ2312に通されるように一以上のプロセ
ッサ7に仕向ける。一実施形態において、低域通過フィルタ2312はさらに、波形デー
タにおけるノイズを除去し、装着者の下肢の循環系に関連付けられる脈動を明らかにする
図24を参照すると、低域通過フィルタ2312の出力からの一例の信号が示される。
この実施形態において、信号は、装着者の下肢の循環系に関連付けられるさざ波状の脈動
を有する約1024個のサンプルを含む。フィルタがかけられた波形データが利用可能で
あれば、コンピュータ実行可能命令は、圧迫衣類10が当該衣類の装着者の肢まわりにお
いて巻き付け構成にあるか又は巻き付け解除構成にあるかを決定するべく、フィルタがか
けられた波形データに対していくつかの後続計算を行わせるように、一以上のプロセッサ
7に仕向ける。一実施形態において、後続計算とは、フィルタがかけられた波形の後処理
のことである。
【0094】
再び図23Aを参照すると、コンピュータ実行可能命令は、フィルタがかけられた波形
の後処理を、2314、2316及び2318において行わせるように一以上のプロセッ
サ7に仕向ける。図示のように、一以上のプロセッサ7は、フィルタがかけられた波形デ
ータ及び/又はその一部分の標準偏差を計算する。経験的に知られていることだが、巻き
付け解除構成(すなわち、あそび状態)の圧迫衣類は、通常のホワイトノイズのみを含む
安定した平坦な圧力信号を有する。対照的に、装着者の肢まわりの巻き付け構成にある圧
迫衣類における圧力を代表する圧力信号は、脈動及び/又は他の測定可能な信号特徴を含
む。したがって、装着者の肢まわりの巻き付け構成にある圧迫衣類を、巻き付け解除構成
にある圧迫衣類から区別することが、この計算に全体的に又は部分的に基づくことにより
可能となる。
【0095】
一実施形態において、コンピュータ実行可能命令は、低域通過フィルタがかけられた信
号(例えば1024個のサンプル)を5つのサンプル群に分割し、各群に対して標準偏差
2314(σ)を計算するように一以上のプロセッサ7に仕向ける。当業者には理解され
ることだが、低域通過フィルタがかけられた信号は、例えば異なる数のサンプルが使用さ
れる場合には、異なる数のサンプル群に分割してよい。低域通過フィルタがかけられた信
号を複数のサンプル群に分割する一例の目的は、時間の複数部分を分離することにある。
例えば、代表的な圧力信号における(例えば装着者のくしゃみ、せき等に起因する)大き
な異常圧力スパイクは、装着者の肢の動き及び/又は他の因子に起因して通常治療中に発
生する。信号のタイムスライス(例えば信号を複数のサンプル群に分割すること)により
、一以上のプロセッサ7は、波形全体が「定常」であるか否か又はサンプルの特定の範囲
内に異常が存在するか否かを決定することができる。一実施形態において、コンピュータ
実行可能命令は、低域通過フィルタがかけられた信号全体(例えば1024個のサンプル
)に対する合計標準偏差2314(σ)を計算するように一以上のプロセッサ7に仕向け
る。
【0096】
標準偏差を計算した後、コンピュータ実行可能命令は、一以上のプロセッサ7にピーク
検出2316を行わせる。一実施形態において、一以上のプロセッサ7プロセスは、窓毎
に32個のサンプルを含む窓処理技術を使用して、フィルタがかけられた波形(例えば1
024個のサンプル)を処理する。一以上のプロセッサ7は、信号ピーク(例えば対象信
号)のみを含むダウンサンプリングされた波形を生成するべく、32個サンプルの各窓か
らのピークに次から次へとインデクスを付ける。例えば、一以上のプロセッサ7は、1か
ら32までの各ピークに初期インデクスを付け、その後、追加的な波形信号データが生成
されるにつれて、当該インデクスを一つずつ(例えば2から33まで)増加させる。一以
上のプロセッサ7は負のピークを無視する。一実施形態において、32個サンプルの窓は
、各窓に対して局所極大を残す。追加的及び/又は代替的に、32個サンプルの窓は、サ
ンプルの数を四分の一まで低減し、負のピークを除去し、ダウンサンプリングされた信号
が約10秒の実時間を代表することの認識を与える。図25を参照すると、ピーク検出2
316の出力からの一例の信号が示される。これは、対象脈動を究極的に明らかにする真
のピークのみを含む。この実施形態において、信号は、依然として約10秒の実時間に対
応する約250から300個のサンプルを含む。一実施形態において、サンプルの数は、
一以上のプロセッサ7により識別されるピークの数に応じて変化する。図25に例示され
る実施形態において、サンプリング周波数は、サンプルの数を時間量で割った結果(例え
ばサンプリングf=Nサンプル/10.24秒)として計算される。
【0097】
さらに図23Aを参照すると、ダウンサンプリングされたピーク検出波形が利用可能で
あれば、一以上のプロセッサ7は、基本周波数を利用し、時間周波数変換2318を行う
ことにより、圧迫衣類10が当該衣類の装着者の肢まわりの巻き付け構成にあるか否かを
確認する補助とする。一実施形態において、コンピュータ実行可能命令は、信号のフーリ
エ変換(例えば高速フーリエ変換)を計算し、0.5Hz(例えば約30bpm)と4H
z(例えば約200bpm)との間の最も高い程度を出力するように一以上のプロセッサ
7に仕向ける。当業者には理解されることだが、本発明の範囲から逸脱しなければ、装着
者の心臓周期を発見するべく高速フーリエ変換以外の変換も使用することができる。
【0098】
後処理の完了後、コンピュータ実行可能命令は、圧迫衣類10が巻き付け解除構成にあ
るか又は当該衣類の装着者の肢まわりの巻き付け構成にあるかを決定するように一以上の
プロセッサ7に仕向ける。図23Bを参照すると、コンピュータ実行可能命令は、ステッ
プ2320において、低域通過フィルタがかけられた信号全体(例えば1024個のサン
プル)に対する合計標準偏差2314(σ)が、巻き付け解除しきい値(例えば0.25
)以下であるか否かを決定するように一以上のプロセッサ7に仕向ける。合計標準偏差が
巻き付け解除しきい値以下ではないと一以上のプロセッサ7が決定すると、方法2300
は、ここでさらに記載されるようにステップ2336へと続く。合計標準偏差が巻き付け
解除しきい値以下であると一以上のプロセッサ7が決定すると、方法2300はステップ
2322へと続く。
【0099】
ステップ2322において、コンピュータ実行可能命令は、低域通過フィルタがかけら
れた信号が分割される所定の数のセグメント(例えばサンプル群)がそれぞれ、巻き付け
解除しきい値(例えば0.25)以下であるか否かを決定するように一以上のプロセッサ
7に仕向ける。代替実施形態において、一以上のプロセッサ7は、低域通過フィルタがか
けられた信号を5つのサンプル群に分割し、2322において、5つのサンプル群それぞ
れの標準偏差が、巻き付け解除しきい値以下であるか否かを決定する。代替的に、一以上
のプロセッサ7は、低域通過フィルタがかけられた信号を5つのサンプル群に分割し、2
322において、5つのサンプル群のうち少なくとも3つの標準偏差が、巻き付け解除し
きい値以下であるか否かを決定する。一以上のプロセッサ7が、所定の数のセグメントそ
れぞれが巻き付け解除しきい値以下ではないと決定すると、方法2300は、続けてステ
ップ2302へと戻り当該サイクルを再試行する。一以上のプロセッサ7が、所定の数の
セグメントそれぞれが巻き付け解除しきい値以下であると決定すると、プロセスはステッ
プ2324へと続く。
【0100】
ステップ2324において、コンピュータ実行可能命令は、時間周波数変換された(例
えば高速フーリエ変換)信号の0.5~4.0Hz範囲にある最も大きな(例えば最も高
い振幅)程度が、しきい値X(例えば0.2)以下であるか否かを決定するように一以上
のプロセッサ7に仕向ける。一以上のプロセッサ7が、0.5~4.0Hz範囲にある最
も大きな程度がしきい値X以下ではないと決定すると、方法2300は終了する。プロセ
ッサ7が2324において、0.5~4.0Hz範囲にある最も大きな程度がしきい値X
以下であると決定すると、一以上のプロセッサ7は2326において、圧迫衣類10が巻
き付け解除構成にあると決定する。一実施形態において、コンピュータ実行可能命令は、
ステップ2320のブーリアン結果が論理的に真であり、かつ、ステップ2322の結果
が論理的に真であり、かつ、ステップ2324の結果が論理的に真である場合、圧迫衣類
10が巻き付け解除構成にある(例えば装着者が圧迫衣類を装着していない)ことを宣言
するように一以上のプロセッサ7に仕向ける。
【0101】
ステップ2328において、コンピュータ実行可能命令は、2326における巻き付け
解除構成検出が、2回目の連続するそのような決定であるか否かを決定するように、一以
上のプロセッサ7に仕向ける。一以上のプロセッサ7が、巻き付け解除構成検出2326
が2回目の連続した検出ではないと決定すると、方法2300は、続けてステップ230
2へと戻り、装着者の対応肢に対する次のサイクルの2回目の測定を行う。一以上のプロ
セッサ7が、巻き付け解除構成2326が2回目の連続した検出であると決定すると、方
法2300は、3つのステップの少なくとも一つへと続く。ステップ2330において、
コンピュータ実行可能命令は、圧迫システム1の制御器5に接続された、音を生成するス
ピーカー及び/又は他の電気機械装置を介してのような、可聴警報をアクティブにするよ
うに一以上のプロセッサ7に仕向ける。一実施形態において、警報は、マルチトーンの可
聴警報である。ステップ2332において、コンピュータ実行可能命令は、圧迫システム
1に関連付けられたディスプレイ装置にエラーメッセージを表示するように一以上のプロ
セッサ7に仕向ける。ステップ2334において、コンピュータ実行可能命令は、方法2
300が終了する前に遵守時間を増加させることをしないように一以上のプロセッサ7に
仕向ける。一実施形態において、遵守時間を休止2334させることにより、圧迫衣類1
0を使用する療法が止まることはなく、ディスプレイ装置及び/又は(例えば人間ユーザ
からの)入力装置を介した応答を受信するまでずっと、遵守時間は、その現状のままとな
る。
【0102】
図23Cを参照すると、コンピュータ実行可能命令は、ステップ2336において、低
域通過フィルタがかけられた信号全体(例えば1024個のサンプル)に対する合計標準
偏差2314(σ)が、巻き付け構成しきい値(例えば0.35)以上であるか否かを決
定するように一以上のプロセッサ7に仕向ける。一以上のプロセッサ7が、合計標準偏差
が巻き付け構成しきい値以上ではないと決定すると、方法2300は、続けてステップ2
302へと戻る。一以上のプロセッサ7が、合計標準偏差が巻き付け構成しきい値以上で
あると決定すると、方法2300は、ステップ2338及び/又はステップ2340へと
続く。
【0103】
一実施形態において、方法2300は、ステップ2338へと続く。ここでは、コンピ
ュータ実行可能命令は、低域通過フィルタがかけられた信号全体(例えば1024個のサ
ンプル)に対する合計標準偏差2314(σ)が最大限界しきい値(例えば10.0)以
下であるか否かを決定するように一以上のプロセッサ7に仕向ける。一以上のプロセッサ
7が、低域通過フィルタがかけられた信号全体に対する合計標準偏差が、最大限界しきい
値以下であると決定すると、方法2300は終了する。一以上のプロセッサ7が、低域通
過フィルタがかけられた信号全体の合計標準偏差が最大限界しきい値以下であると決定す
ると、方法2300は、ステップ2340へと続く。
【0104】
ステップ2340において、コンピュータ実行可能命令は、低域通過フィルタがかけら
れた信号が分割される所定の数のセグメント(例えばサンプル群)がそれぞれ、巻き付け
構成しきい値(例えば0.35)以上であるか否かを決定するように一以上のプロセッサ
7に仕向ける。一実施形態において、一以上のプロセッサ7は、低域通過フィルタがかけ
られた信号を5つのサンプル群に分割し、5つのサンプル群それぞれの標準偏差が巻き付
け構成しきい値以上であるか否かを決定2340する。代替的に、一以上のプロセッサ7
は、低域通過フィルタがかけられた信号を5つのサンプル群に分割し、5つのサンプル群
のうち少なくとも3つの標準偏差が巻き付け構成しきい値以上であるか否かを決定234
0する。一以上のプロセッサ7が、所定の数のセグメントそれぞれが巻き付け構成しきい
値以上ではないと決定すると、方法2300は、続けてステップ2302へと戻り当該サ
イクルを再試行する。一以上のプロセッサ7が、所定の数のセグメントそれぞれが巻き付
け構成しきい値以上であると決定すると、プロセスは、ステップ2342及び/又はステ
ップ2344へと続く。
【0105】
ステップ2342において、コンピュータ実行可能命令は、低域通過フィルタがかけら
れた信号が分割される所定の数のセグメント(例えばサンプル群)がそれぞれ、最大限界
しきい値(例えば10.0)以下であるか否かを決定するように一以上のプロセッサ7に
仕向ける。一以上のプロセッサ7が、所定の数のセグメント(例えば5つすべて又は5つ
のうちの少なくとも3つ)それぞれが最大限界しきい値以下ではないことを決定すると、
方法2300は終了する。一以上のプロセッサ7が、所定の数のセグメントそれぞれが最
大限界しきい値以下であると決定すると、方法2300は、ステップ2344へと続く。
【0106】
ステップ2344において、コンピュータ実行可能命令は、時間周波数変換された(例
えば高速フーリエ変換)信号の0.5~4.0Hz範囲にある最も大きな(例えば最も高
い振幅)程度が、しきい値Y(例えば20)より大きく及びしきい値Z(例えば50.0
)以下の双方であるか否かを決定するように一以上のプロセッサ7に仕向ける。一以上の
プロセッサ7が、0.5~4.0Hz範囲にある最も大きな程度が、しきい値Yよりも大
きく及びしきい値Z以下の双方ではないと決定すると、方法2300は終了する。一以上
のプロセッサ7が、圧迫衣類10が当該衣類の装着者の肢まわりの巻き付け構成2346
にあると決定するのは、一以上のプロセッサ7が、0.5~4.0Hz範囲にある最も大
きな程度が、しきい値Yよりも大きく及びしきい値Z以下の双方であると決定する場合で
ある。一実施形態において、コンピュータ実行可能命令は、ステップ2336のブーリア
ン結果が論理的に真であり、かつ、ステップ2338の結果が論理的に真であり、かつ、
ステップ2340の結果が論理的に真であり、かつ、ステップ2342の結果が論理的に
真であり、かつ、ステップ2344の結果が論理的に真である場合、圧迫衣類10が巻き
付け構成にある(例えば装着者が圧迫衣類を装着している)ことを宣言するように一以上
のプロセッサ7に仕向ける。代替的に、コンピュータ実行可能命令は、ステップ2336
のブーリアン結果が論理的に真であり、かつ、ステップ2340の結果が論理的に真であ
り、かつ、ステップ2344の結果が論理的に真である場合、圧迫衣類10が巻き付け構
成にあることを宣言するように一以上のプロセッサ7に仕向ける。
【0107】
圧迫衣類10が巻き付け構成2346にあることを決定した後、方法2300はステッ
プ2348へと続き、コンピュータ実行可能命令が、方法2300が終了する前に遵守時
間を増加させるように一以上のプロセッサ7に仕向ける。
【0108】
一定の複数の実施形態が記載されるが、他の複数の実施形態も追加的又は代替的に可能
である。
【0109】
圧迫システムが、ふともも長さ圧迫スリーブとともに使用されるように記載されている
が、圧迫システムは追加的又は代替的に、他のタイプの圧迫衣類とともに使用してよいこ
とも理解するべきである。例えば、圧迫システムは、膝長さ圧迫スリーブとともに、及び
/又は異なる数の袋体が装着者の身体の異なるエリアを覆うように配置されるように構成
されたスリーブとともに、使用することができる。
【0110】
複数の実施形態が、デジタル電子回路群において、又はコンピュータのハードウェア、
ファームウェア、ソフトウェア若しくはこれらの組み合わせにおいて実装することができ
る。圧迫システムの制御器は、プログラマブルプロセッサによる実行を目的として機械可
読記憶装置に有体的に具体化又は記憶されるコンピュータプログラム製品に実装すること
ができ、方法アクションは、入力データに基づいて動作して出力を生成することにより圧
迫システムの制御器の機能を果たすべく命令のプログラムを実行するプログラマブルプロ
セッサにより行うことができる。圧迫システムの制御器は、プログラマブルシステムにお
いて実行可能な一以上のコンピュータプログラムに実装することができる。プログラマブ
ルシステムは、データ記憶システム、少なくとも一つの入力装置、及び少なくとも一つの
出力装置からデータ及び命令を受信するべく並びにこれらへデータ及び命令を送信するべ
く結合された少なくとも一つのプログラマブルプロセッサを含む。各コンピュータプログ
ラムは、高レベルの手続き型若しくはオブジェクト指向のプログラミング言語で、又は所
望によりアセンブリ若しくは機械言語で実装することができ、いずれにせよ、言語はコン
パイル又はインタープリタ言語としてよい。
【0111】
適切なプロセッサは、例えば、汎用及び専用双方のマイクロプロセッサを含む。一般に
、プロセッサは、リードオンリーメモリ及び/又はランダムアクセスメモリから命令及び
データを受け取る。一般に、コンピュータは、データファイルを記憶するための一以上の
大容量記憶装置を含む。かかる装置は、内部ハードディスク及び取り外し可能ディスクの
ような磁気ディスク、磁気光ディスク並びに光ディスクを含む。コンピュータプログラム
命令及びデータを有体的に具体化するのに適切な記憶装置は、あらゆる形態の不揮発性メ
モリを含む。これは、例えば、EPROM、EEPROM及びフラッシュ記憶装置のよう
な半導体記憶装置、内部ハードディスク及び取り外し可能ディスクのような磁気ディスク
、磁気光ディスク、並びにCDROMディスクを含む。上述のいずれもが、ASIC(特
定用途向け集積回路)又はFPGA(フィールドプログラマブルムロジックアレイ)によ
り補完され又はこれらに組み入れることができる。
【0112】
一定数の実施形態が記載されてきた。それにもかかわらず、本開示の要旨及び範囲から
逸脱することなしに、様々な修正を行うことができることが理解される。例えば、単一の
圧力センサを備えた制御器が記載されているが、追加的な圧力センサ(例えば各膨張可能
袋体に対するもの)も、本開示の範囲を逸脱しなければ使用することができる。したがっ
て、他の複数の実施形態も、以下の特許請求の範囲内にある。
図1
図2
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図5
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図14
図15A
図15B
図15C
図16
図17A
図17B
図18
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図23B
図23C
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