(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-23
(45)【発行日】2023-07-03
(54)【発明の名称】複数の製造ステーションを備える付加製造システムおよび複数のワークピースを付加製造するための方法
(51)【国際特許分類】
B29C 64/268 20170101AFI20230626BHJP
B29C 64/245 20170101ALI20230626BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20230626BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20230626BHJP
B29C 64/218 20170101ALI20230626BHJP
B22F 12/90 20210101ALI20230626BHJP
B22F 10/28 20210101ALI20230626BHJP
B22F 12/55 20210101ALI20230626BHJP
B22F 12/45 20210101ALI20230626BHJP
B22F 12/30 20210101ALI20230626BHJP
B22F 12/80 20210101ALI20230626BHJP
B29C 64/153 20170101ALI20230626BHJP
【FI】
B29C64/268
B29C64/245
B33Y10/00
B33Y30/00
B29C64/218
B22F12/90
B22F10/28
B22F12/55
B22F12/45
B22F12/30
B22F12/80
B29C64/153
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022020117
(22)【出願日】2022-02-14
【審査請求日】2022-03-14
(31)【優先権主張番号】10 2021 103 739.5
(32)【優先日】2021-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501090342
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ジャーマニー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツンク
【氏名又は名称原語表記】TE Connectivity Germany GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】ヨーゼフ ジンダー
(72)【発明者】
【氏名】ケルスティン ブレナー
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ナウモフ
【審査官】▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-500241(JP,A)
【文献】特開平11-005254(JP,A)
【文献】特表2005-534543(JP,A)
【文献】登録実用新案第3224277(JP,U)
【文献】特開2002-316363(JP,A)
【文献】特表2019-504182(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00-64/40
B33Y 10/00-99/00
B22F 10/00-12/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のワークピース(6)を同時に付加製造するための付加製造システム(1)であって、
前記付加製造システム(1)は、
- 各々少なくとも1つの製造工程を行うための複数の製造ステーション(2)と、
- 前記複数のワークピース(6)を構築するための複数の構築チャンバ(4)を有する製造テーブル(38)と、
- レーザビーム結合デバイス(24)であって、前記レーザビーム結合デバイス(24)においてレーザビームを入力ビームとして前記製造システム(1)に結合することができるレーザビーム結合デバイス(24)と、
- 前記入力ビーム(26)の光が誘導される複数のビーム経路(30)と、を備え、前記ビーム経路(30)は、前記レーザビーム結合デバイス(24)から前記製造ステーション(2)へと方向付けられている、
付加製造システム(1)。
【請求項2】
複数の前記製造ステーション(2)は、前記レーザビーム結合デバイス(24)の周囲に配置されている、
請求項1に記載の付加製造システム(1)。
【請求項3】
複数の前記製造ステーション(2)は各々、少なくとも1つの
前記構築チャンバ(4)と、
少なくとも1つの
前記ビーム経路(30)を前記少なくとも1つの構築チャンバ(4)に向かって偏向するための少なくとも1つの走査デバイス(20)とを備える、
請求項1または2に記載の付加製造システム(1)。
【請求項4】
少なくとも2つのビーム経路(30)が、前記走査デバイス(20)から前記構築チャンバ(4)へと方向付けられており、前記2つのビーム経路の各々に沿って異なる直径のレーザビームが延びる、
請求項3に記載の付加製造システム(1)。
【請求項5】
前記構築チャンバ(4)および前記走査デバイス(20)は、互いに対して移動可能である、
請求項3または4に記載の付加製造システム(1)。
【請求項6】
前記構築チャンバ(4)および前記走査デバイス(20)は、互いに対して静止している、
請求項3または4に記載の付加製造システム(1)。
【請求項7】
1つの
前記製造ステーション(2)が、少なくとも1つの材料供給デバイス(12)を備える、
請求項1から6のいずれか一項に記載の付加製造システム(1)。
【請求項8】
前記材料供給デバイス(12)は、
前記製造テーブル(38)の一部である、
請求
項7に記載の付加製造システム(1)。
【請求項9】
少なくとも1つの
前記製造ステーション(2)が、線状のビーム断面を有し、前記入力ビーム(26)から分離されている製造ビーム(22、22b)を生成するように構成される、
請求項1から8のいずれか一項に記載の付加製造システム(1)。
【請求項10】
各々を通して少なくとも1つの
前記ビーム経路(30)が延びる複数の光導波路(34)が、前記レーザビーム結合デバイス(24)と前記製造ステーション(2)との間に配置されている、
請求項1から9のいずれか一項に記載の付加製造システム(1)。
【請求項11】
ワークピースを測定するための測定デバイス(60)が存在する、
請求項1から10のいずれか一項に記載の付加製造システム(1)。
【請求項12】
複数の走査デバイス(20)を利用して複数のワークピース(6)を付加的にかつ同時に製造するための方法であって、
前記複数のワークピース(6)を構築するための複数の構築チャンバ(4)を有する製造テーブル(38)の上方で、
レーザビーム(26)が、前記複数の走査デバイス(20)へと同時に誘導される複数の部分ビーム(28)に分割される、
方法。
【請求項13】
前記複数のワークピース(6)は、相対運動(48)の過程で材料供給デバイス(12)のワイパ(16)と走査デバイス(20)とを交互に通過し、前記ワイパ(16)は、
ワークピース(6)に材料層(19)を付加し、前記走査デバイス(20)は、前記ワークピース(6)に付加されたばかりの前記材料層(19)を構築する、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記相対運動(48)は、共通の回転軸(46)を中心とする回転運動(48)である、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
材料層(19)が、依然として付加されている間に、前記走査デバイス(20)によって処理される、
請求項12から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記ビーム経路(30)は、前記レーザビーム結合デバイス(24)から前記複数の製造ステーション(2)へとスポーク状に延びている、
請求項1から11のいずれか一項に記載の付加製造システム(1)。
【請求項17】
前記レーザビーム(26)が、前記複数の部分ビーム(28)へとスポーク状に分割される、
請求項12から15のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、付加製造システムおよび付加製造のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
付加製造システムが知られている。材料を一層ずつ付加することにより、付加製造に関連して三次元ワークピースが形成される。プラスチック材料、合成樹脂、セラミックス、金属ならびに炭素およびグラファイト材料を、材料として用いることができる。
【0003】
レーザ焼結、レーザビーム溶融、またはレーザ堆積溶接などの一部の付加製造方法は、レーザ光の使用に基づく。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、レーザ光を利用した付加製造によって多数のワークピースを迅速かつ安価に製造することを可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、複数のワークピースを同時に付加製造するための付加製造システムであって、各々少なくとも1つの製造工程を行うための複数の製造ステーションと、レーザビーム結合デバイスであって、そこにおいてレーザビームを入力ビームとして製造システムに結合することができるレーザビーム結合デバイスと、入力ビームの光が誘導される複数のビーム経路とを備え、ビーム経路は、レーザビーム結合デバイスから製造ステーションへと方向付けられている、付加製造システムによって実現される。
【0006】
この目的はさらに、複数の製造ステーションを利用して複数のワークピースを付加的にかつ同時に製造するための方法であって、レーザビームが、複数の部分ビームに分割され、複数の製造ステーションへと同時に誘導される、方法によって実現される。
【0007】
上記の解決策は、各々単独で有利であり、任意に組み合わされ得る後述の特徴によってさらに改善することができる。後述の特徴は、それらが説明されている文脈に関わらず、方法およびデバイスの両方で用いられてよい。例えば、方法の特徴の場合、デバイスは、この方法の特徴を実現するように構成される。
【0008】
第1の有利な実施形態によれば、レーザビーム結合デバイスは、例えば、入力ビームを複数の部分ビームに分割するように構成された少なくとも1つのビームスプリッタを備えてよい。部分ビームはビーム経路に沿って延び、1つよりも多くのレーザビームが1つのビーム経路に沿って延びることが可能である。部分ビームは、さらに進んで、複数のワークピースを製造するために用いられる。概念上の区別として、ワークピースに当たる、またはワークピースを製造するのに直接用いられるレーザビームを、以下では製造ビームと称する。これに対し、既に述べたように、部分ビームに分割される前のレーザビームを入力ビームと称する。
【0009】
ビームスプリッタは、少なくとも1つの光学構成要素、例えばフィルタ、プリズム、部分透過ミラー、および/または光ファイバを備えてよい。さらなる実施形態において、1つよりも多くのレーザビームがレーザビーム結合デバイスに結合されてよい。部分ビームまたはビーム経路の数は、少なくとも製造ステーションの数に対応する。
【0010】
付加製造システムは、少なくとも1つのレーザを備えてよく、そのレーザビームが、複数のビーム経路または対応する部分ビームに分割される入力ビームを形成する。
【0011】
一実施形態において、付加製造システムは、4から12の間の数の製造ステーション、特に6から8の間の数の製造ステーションを備えてよい。部分ビームおよび/またはビーム経路は、少なくとも一部の製造ステーションへと、好ましくは全ての製造ステーションへと延びる。
【0012】
さらなる有利な実施形態によれば、製造ステーションは、レーザビーム結合デバイスの周囲に配置されてよい。前後に並べた製造ステーションの線状配置と対比して、この実施形態は、製造ステーションおよびそこで製造されるワークピースへの距離がより短いことにより、より容易なアクセスを可能とする。ビーム経路および/または部分ビームは、スポーク状にレーザビーム結合デバイスから離れるように延びてよい。部分ビームがレーザビーム結合デバイスから出る点において、部分ビームは互いに離隔していてよい。それらはまた、同じ平面内に配されていてもよく、または異なる平面内に配されていてもよい。
【0013】
特に、製造ステーションは、レーザビーム結合デバイスから等距離に、かつ/またはレーザビーム結合デバイスに対して等角に、すなわちレーザビーム結合デバイスの周囲に同じ角度距離を空けて配置されてよい。これにより、構成が対称的かつ、したがって構造的に単純になる。
【0014】
製造ステーションは各々、少なくとも1つの構築チャンバおよび少なくとも1つの走査デバイスを備えてよい。少なくとも1つのワークピースは、各構築チャンバにおいて付加的に構築される。走査デバイスは、少なくとも1つのビーム経路または少なくとも1つの部分ビームを少なくとも1つの構築チャンバに向かって偏向するように機能する。
【0015】
製造ステーションは、互いに離隔して配置されることが規定されてよい。特に、製造ステーションの構築チャンバは、互いに離隔していてよい。
【0016】
走査デバイスは、特に移動可能であり得る光学素子、例えば反射素子、回折素子、および/または屈折素子を備えてよい。反射素子、回折素子、および/または屈折素子は、ビーム偏向および/またはビーム整形に用いられる。これらは、レーザビームの、方向、エネルギー密度、ビーム断面のジオメトリ、および/または波長を含む群のうちの少なくとも1つのパラメータを変化させてよい。走査デバイスは、走査ヘッドの形態で構成されてよい。走査デバイスにおけるビーム偏向に起因して、製造ビームは、レーザビーム結合デバイスによってワークピースに向かって偏向されてよい。
【0017】
例えば製造ステーションにより、同一のまたは異なるワークピースが同時に製造されてよい。さらに、例えば複数の製造ステーションのうちのいくつかにより、同一のワークピースが同時に製造され、例えば複数の製造ステーションのうちの他のものにより、それとは異なるワークピースが製造されることも可能である。
【0018】
さらなる実施形態によれば、特に複数の製造ステーションにより、同じまたは異なるワークピースの製造のための同じ作製工程または異なる作製工程が同時に実行されてよい。
【0019】
複数のワークピースが1つの構築チャンバに収まるならば、1つの製造ステーションが、いくつかの、同一のまたは異なるワークピースを同時に形成するために用いられてよい。
【0020】
構築チャンバおよび走査デバイスを、互いに対して移動可能、特に、例えば共通の回転軸を中心として、互いに対して回転可能とすることが有利である。これにより、特定の製造タスクまたは特定の製造工程について、この製造タスクまたは特定の製造工程のために特別に構成された走査デバイスをそれぞれの構築チャンバに対して移動させることが可能となる。そのような構成において、構築チャンバと走査デバイスとの間には、時間的に可変な関連が存在する。
【0021】
また、構築チャンバおよび走査デバイスを互いに対して静止するように配置することが有利であり得る。そのような構成において、構築チャンバと走査デバイスとの間の関連は、時間的に不変であってよい。そのような構成は、走査デバイスがワークピース全体を製造するように構成される場合に有用であり得る。
【0022】
さらなる実施形態によれば、製造システムは、第1の動作モードおよび第2の動作モードで動作可能なように構成されてよい。製造システムは、第1の動作モードと第2の動作モードとの間で切り替え可能なように構成されてよい。第1の動作モードにおいては、例えば構築チャンバおよび走査デバイスが互いに対して移動可能である、特に移動可能なように駆動されるという点で、構築チャンバと走査デバイスとの間に時間的に可変な関連があってよい。第2の動作モードにおいては、少なくとも構築チャンバに配されたワークピースの製造中において、構築チャンバと走査デバイスとの間の関連は時間的に不変であってよく、すなわち構築チャンバおよび走査デバイスは互いに対して移動不可能であってよい。
【0023】
構築チャンバは、付加製造システムの静止した機械フレームに対して移動可能、特に回転可能であってよい。これにより、例えば、製造システムから取り除くためのワークピースを、完成したワークピースが製造システムから取り除かれ得る特定の位置、例えば送達ステーションへと移送することが可能となる。加えて、構築チャンバは、この位置で空にされ、次の製造プロセスのために準備されてよい。
【0024】
機械フレームに対する構築チャンバの移動可能性に関わらず、走査デバイスも、製造システムの静止した機械フレームに対して移動可能、特に回転可能であってよい。構築チャンバおよび走査デバイスの独立した移動可能性により、走査デバイスが構築チャンバと時間的に可変な関連を有することが可能となる。一方、構築チャンバおよび走査デバイスが互いに対してかつ機械フレームに対して共に移動可能である場合、これは、時間的に不変な関連をもたらす。
【0025】
製造中、構築チャンバは、例えば少なくとも1つのワークピースを送達ステーションへと移送するために、機械フレームに対して移動、特に回転してよい。送達ステーションを通過し、少なくとも1つの完成したワークピースを取り除いた直後、空にされたばかりの構築チャンバにおいて新たなワークピースの構築が開始されてよい。回転運動は、特に同じまたは同様のワークピースが製造される場合に、同じ工程が実行され得る同じ点を通過するように構築チャンバを常に誘導するので、そのような周期的、反復的な動作には特に好適である。
【0026】
さらなる実施形態によれば、製造システムは、ワークピースと、ワークピースを現在処理している走査デバイスとの間の距離を変動させるように構成されてよい。これは、例えば、構築チャンバが、上昇および/または下降させることが可能な昇降ベースを有するという点で行われてよい。代替的にまたは追加的に、走査デバイスは、構築チャンバに対して移動可能であってよく、かつ/または、レンズなどの1つまたは複数の屈折素子などの、製造ビームの焦点を変動させる光学素子を備えてよい。ワークピースと走査デバイスとの間の距離が可変であり、かつ/または焦点が可変であることにより、ワークピースの外殻またはその表面をより精密に処理することが可能となる。
【0027】
最後に、製造ステーションも、静止した機械フレームに対して移動可能、特に回転可能であってよい。これは、例えば構築チャンバおよび走査デバイスが時間的に不変な関連で回転され得る場合に当てはまる。
【0028】
さらなる有利な実施形態によれば、製造ステーションは、少なくとも1つの材料供給デバイスを備えてよい。材料供給デバイスは、付加製造に必要な材料を貯蔵し、投入し、かつ/または供給するように構成される。少なくとも1つの材料供給デバイスは、層状の材料を構築チャンバに供給するように構成されてよい。この目的で、少なくとも1つの材料供給デバイスは、例えばワイパを備えてよい。少なくとも1つの材料供給デバイスは、材料を受容する材料リザーバを備えてよい。ワイパは、材料リザーバから構築チャンバに材料を供給するように構成されてよい。
【0029】
付加製造に用いられる材料は、粉体または液体であってよい。したがって、そのようなものが存在する場合、構築チャンバに材料が充填されてよく、材料は次いで、製造ビームとして用いられる1つまたは複数のレーザビームによって掃引される。製造ビームは、材料に当たると、付加製造の方法および材料に応じて溶融または凝固させ、それによりワークピースを構築してよい。
【0030】
材料供給デバイスは、好ましくは2つの隣接する構築チャンバの間に配置される。材料供給デバイスは、例えば両方の構築チャンバに材料を供給するように構成されるという点で、2つの隣接する構築チャンバに割り当てられてよい。
【0031】
必要な材料供給デバイスの数が製造ステーションよりも少数になるように、2つの隣接する製造ステーションが少なくとも1つの共通の材料供給デバイスを共有してよい。製造システムはさらに、特に機械フレームに対する構築チャンバおよび/または走査デバイスの運動の方向において、交互に配置された構築チャンバおよび材料供給デバイスを備えてよい。
【0032】
製造システムは、静止した機械フレームに対して特に鉛直方向の回転軸を中心として回転可能なように構成された回転テーブルとして特に構成された製造テーブルを備えてよい。構築チャンバおよび/または材料供給デバイスは、製造テーブルの一部であってよい。このとき、構築チャンバおよび/または材料リザーバは、回転テーブルの凹部により形成されてよい。
【0033】
1つの構成において、ワイパは、構築チャンバに対して相対的に移動可能、特に回転可能なように配置されてよい。特に、構築チャンバは、共通の回転軸としての鉛直方向の回転軸を中心としてワイパに対して回転可能であってよい。これには、ワイパを通過する構築チャンバの運動の過程で、材料の層をワイパにより自動的に付加することができるという利点がある。材料リザーバは、ワイパに対して静止するように、または構築チャンバに対して静止して配置されてよい。
【0034】
材料リザーバおよび構築チャンバは、この構成において、その両方が相対運動の過程でワイパおよび走査デバイスを交互に通過するように、交互に配置されるのが好ましい。本実施形態において、構築チャンバは、自動的にワイパおよび走査デバイスを交互に通過する。材料層が交互に付加され、材料層が自動的に処理され、これら2つの工程は時間的に重複していてよい。相対運動が連続的または断続的な回転運動である場合、材料層の付加および処理は、ワークピースが完成するまで周期的に繰り返される。
【0035】
走査デバイスは、ワイパに対して静止するように配置されてよい。付加されたばかりの材料層が、構築チャンバと走査デバイスとの間の相対運動の過程で走査デバイスを通過するように移動された場合、この新たな材料層によりワークピースが引き続き構築される。特に、材料層が付加されたばかりのワークピースは、材料層が未だ完全に付加されていないまたは材料層が依然として同時に付加されている間に、走査デバイスによって構築されてよい。そのような、材料層の同時的な付加およびワークピース上での構築は、特に、相対運動の方向における構築チャンバの寸法が、ワイパと走査デバイス、または走査デバイスから発出する製造ビームによって掃引される対応する製造領域との間の距離よりも大きい場合に可能である。
【0036】
レーザビーム結合デバイスは、製造テーブルの中央に配置されてよい。製造ステーションは、円周方向に均等に分散され、すなわち等角であってよく、回転軸を中心として同じ距離を空けて配置されてよい。走査デバイスは、製造テーブルの上方、特に構築チャンバの上方に配置されることが好ましい。ここで、製造テーブルの存在は、構築チャンバが回転テーブルの上方に配置される場合には重要でない。入力ビームは、レーザビーム結合デバイスの回転軸と同軸に供給されてよい。
【0037】
少なくとも1つの製造ステーション、特にその少なくとも1つの走査デバイスは、線状のビーム断面を有する製造ビームを生成するように構成されてよい。そのようなビーム断面は、点状ビームよりもワークピースを高速かつ精密に構築することが可能である。線の形状は、直線である必要はなく、湾曲および/または屈曲した部分を有していてもよい。線の形状は、ワークピースの輪郭、例えば外側または内側の輪郭と少なくとも部分的に一致していてよい。その結果、それぞれの輪郭が、製造ビームが材料に当たる1つの工程で形成される。
【0038】
このとき、少なくとも2つのビーム経路が走査デバイスから構築チャンバへと方向付けられてよく、製造システムの動作中において、少なくとも2つのビーム経路の各々に沿って製造ビームが延びる。換言すると、少なくとも1つの製造ステーションの少なくとも1つの走査デバイスが、異なるビームパラメータを有する2つ以上の製造ビームを同時に生成するように構成されてよい。
【0039】
これにより、同時に2つ以上のレーザビームによりワークピースを製造することが可能となる。各々の製造ビームは、異なる部分ビームによって形成されてもよく、または同じ部分ビームによって形成されてもよい。例えば、より小さいビーム断面を有する製造ビームは、ワークピースの外殻を製造するために用いられてよく、同時に、より大きいビーム断面を有する製造ビームは、外殻の間の充填物を製造するために用いられる。これによってワークピースの外殻を非常に正確に製造することが可能となり、一方でワークピースの内側では高速な製造スピードで加工を実行することができる。これにより、外殻を加工しなおす必要がなくなる。
【0040】
さらなる有利な実施形態によれば、製造システムは、例えばワークピースの完成後に、特にワークピースの三次元的測定を行うための測定デバイスを備えてよい。これにより、製造システムにおいて既に品質管理が行われるということが可能となる。
【0041】
測定デバイスを1つまたは全ての走査デバイスに一体化させることが特に有利である。走査デバイスは、例えば製造モードから測定モードに切り替え可能なように構成されてよい。測定モードにおいては、製造モードでワークピースを製造するために用いられる製造ビームが、ワークピースを測定するために用いられてよい。製造モードから測定モードへの切り替えは、例えば走査デバイスの光学素子を切り替えることにより行われてよい。例えば、測定モードにおいて製造ビームのエネルギー密度を製造モードと比較して小さくするために、フィルタおよび/またはビームスプリッタがビーム経路に入るように回動されてよい。測定デバイスは、好ましくは光学測定デバイスであり、光学センサを備える。
【0042】
製造中、ワークピースは、ワークピースが製造ステーションから取り除かれる送達ステーションへと連続的にまたは断続的に移動されてよい。
【0043】
少なくとも1つのビーム経路が延びるまたは部分ビームが誘導される光導波路が、レーザビーム結合デバイスと製造ステーションとの間に配置されてよい。
【0044】
以下、添付の図面に関連する実施形態を用いて、本発明を例としてより詳細に説明する。
【0045】
構成の個々の特徴は、その特徴に関連付けられる技術的効果が特定の適用に必須でない場合には、上記の説明に従って省略されてよい。反対に、個々の特徴は、それらの特徴の技術的効果が特定の用途に有利である場合には、上記の説明に従って実施形態に追加されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【発明を実施するための形態】
【0047】
付加製造システム1は、複数の製造ステーション2を備えてよく、うち6つのみを例として提示している。製造ステーション2の数は任意であるが、好ましくは4から10の間、特に6から8の間である。製造システム1の製造ステーション2は、同一にまたは異なるように構成されてよい。
【0048】
製造ステーション2は、ワークピース6が製造される構築チャンバ4を備えてよい。構築チャンバは、
図1の前景部における部分的断面において明確に視認可能である。構築チャンバ4は、矢印11で示すように昇降ベース駆動部10によって下降または上昇させることが可能な昇降ベース8を備えてよい。
【0049】
製造ステーション2はまた、材料供給デバイス12を備えてよい。材料供給デバイス12は、例えば粉体および/または液体の、ワークピース6を構築するために必要な材料14を構築チャンバ4に供給するように構成される。粉体を供給するためのワイパ16が設けられてよい。材料供給デバイス12は、好ましくは、材料14が受容される材料リザーバ18を備える。
【0050】
構築チャンバ4と同様に、材料供給デバイス12も、昇降ベース駆動部10を備えた昇降ベース8を有していてよい。例えば材料リザーバ18の昇降ベース8を上昇させることにより、常に新たな材料14を材料層19の形態でワイパ16に供給することができ、次いで材料層19は、昇降ベース8を構築チャンバ4において下降させている間に構築チャンバ4においてワイパ16により付加され、積層され、または積み上げられ、それにより新たな材料層19が常に同じ高さに留まる。
【0051】
材料供給デバイス12は、2つの隣接する構築チャンバ4の間に配置されてよい。材料供給デバイス12は、隣接する構築チャンバ4の一方のみまたは両方に材料14を供給するように構成されてよい。
【0052】
最後に、製造ステーション2は、以下で製造ビームと称する少なくとも1つのレーザビーム22が構築チャンバ4へと誘導される、例えば走査ヘッドの形態である走査デバイス20を備えてもよい。走査デバイス20は、構築チャンバ4に対して異なる位置に製造ビーム22を導くように構成される。製造ビーム22が材料14に当たると、材料14がその性質に応じて溶融(粉体)または凝固(液体)し、これによりワークピース6が構築される。各製造ステーション2は、少なくとも1つの走査デバイス20を備えることが有利である。少なくとも1つの走査デバイス20は、各構築チャンバ4に関連付けられる。
【0053】
走査デバイス20は、例えば、プリズム、フィルタ、レンズ、またはミラーなどの反射素子、回折素子、および/または屈折素子といった光学素子(不図示)を備える。個々の光学素子は、移動可能であってよく、特にモータにより駆動されてよい。走査デバイス20は、特に、レーザ光の、エネルギー密度、ビームジオメトリ、特に製造ビームの断面形状、方向および波長の群のうちの、製造ビーム22の少なくとも1つのビームパラメータを変化させるように構成される。
【0054】
昇降ベース10により、走査デバイス20と走査デバイス20によって処理されているワークピースとの間の距離を変化させることが可能となる。その代替として、走査デバイス20は、例えばレンズなどの、可変焦点式の光学素子を備えてもよい。
【0055】
製造ビーム22は、例えば点状、円形、もしくは楕円形、または、例として参照符号22bで示すように、少なくとも略線状のビーム断面を有してよい。ビーム断面の線形状は、曲線状であっても直線状であってよく、例えば、少なくとも部分的に、製造されるワークピース6の輪郭に対応していてよい。
【0056】
走査デバイス20は、参照符号22cにより示すように、2つ以上の製造ビーム22を同時に構築チャンバ4へと導いてもよい。例えば、1つの製造ビーム22cが点状ビームであってよく、別の製造ビーム22cが線状であってよい。原則として、2つの製造ビーム22cが同じビームパラメータを有してもよく、または異なるビームパラメータを有してもよい。
【0057】
付加製造システム1は、レーザビーム結合デバイス24を備えてもよい。以下では入力ビームと称する少なくとも1つのレーザビーム26が、レーザビーム結合デバイス24において製造システム1に結合され、レーザビーム結合デバイス24から製造ステーション2へと、特に走査デバイス20へと導かれる複数の部分ビーム28に分割される。部分ビーム28は、ビーム経路30に沿って延びる。ビーム経路30は、製造システム1の構造に基づき、特に製造システム1の光学素子の配置および向きに基づき、幾何光学を利用して決定することができる。
ビーム経路30は、レーザビーム結合デバイス24から走査デバイス20まで、および走査デバイス20から構築チャンバ4内まで、または同義的に構築チャンバ4まで延びる。ビーム経路30は、走査デバイス20においてさらに分割されてよい。例えば、レーザビーム結合デバイス24から走査デバイス20に至るビーム経路30は、さらなるビーム経路に分割されてよく、このとき、対応する製造ビーム22cがそれらに沿って延びる。
【0058】
入力ビーム26を部分ビーム28に分割するために、レーザビーム結合デバイス24は、入力ビーム26からの1つまたは複数の部分ビーム28が結合される1つまたは複数のビームスプリッタ32を備える。ビームスプリッタ32は、部分透過ミラーまたはプリズムなどの光学素子である。
【0059】
レーザビーム結合デバイス24と製造ステーション2との間の領域において製造システム1の動作中に部分ビーム28が伝搬するビーム経路30は、レーザビーム結合デバイス24の構成によって予め決定される。例えば、ビーム経路における光学素子のタイプ、向き、および配置、例えば、ビームスプリッタ32ならびにミラー、フィルタ、およびレンズなどの任意の他の反射素子、回折素子、および/または屈折素子のタイプ、向き、および配置により、部分ビーム28の方向およびビームパラメータが決定する。
【0060】
走査デバイス20と対応する構築チャンバ4との間において、製造ビーム22のビーム経路およびビームパラメータは、それぞれの走査デバイス20の光学素子のタイプ、配置、および向きによって予め決定される。製造ステーション2は、好ましくはレーザビーム結合デバイス24の周囲に配置される。部分ビーム28のビーム経路30は、レーザビーム結合デバイス24から製造ステーション2または対応する走査デバイス20へと、放射状またはスポーク状に延びる。1つよりも多くの部分ビーム28または対応するビーム経路30が、製造ステーション2または対応する走査デバイス20に繋がっていてよい。走査デバイス20は、例えば、
図1に示すように、レーザビーム結合デバイス24の周囲において等距離にかつ等角に配置されてよい。
【0061】
部分ビーム28は、レーザビーム結合デバイス24から光導波路34においてそれぞれの走査デバイス20へと誘導されてよい。
【0062】
付加製造システム1は、1つまたは複数の入力ビーム26を生成するための1つまたは複数のレーザ36を備えてよい。レーザビーム結合デバイス24は、少なくとも1つの入力ビーム26を複数の部分ビーム28に分割するように構成されてよい。少なくとも1つの入力ビーム26は、レーザビーム結合デバイス24に結合される。
【0063】
構築チャンバ4および/または材料供給デバイス12は、製造テーブル38の一部であってよい。例えば、構築チャンバ4は、製造テーブル38の凹部40、例えば貫通開口部またはスロットによって形成されてよく、または、少なくとも部分的に貫通開口部またはスロット内を延びていてよく、もしくはその内部に配されてよい。代替的にまたは追加的に、材料リザーバ18は、例えば同様に製造テーブル38の貫通開口部またはスロットの形態である凹部42によって形成されてよい。
【0064】
製造テーブル38は、回転テーブルとして駆動されて、製造システム1の機械フレーム44に対して特に鉛直方向の回転軸46を中心として断続的にまたは連続的に回転してよい。回転の方向を矢印48で示す。構築チャンバ4は、回転軸46から等距離かつ回転軸46を中心として等角に配置されてよい。材料供給デバイス12も、それとは独立して、回転軸46から等角かつ等距離に、特に回転軸46から材料供給デバイス12と同じ距離に配置されてよい。最後に、走査デバイス20も、それとは独立に、回転軸46から等角かつ等距離に配置されてよい。
【0065】
個々のまたは全ての走査デバイス20は、製造テーブル38に対して静止するように配置されてよい。本実施形態において、走査デバイス20と、それに対応しそれにより処理される構築チャンバ4との間の、回転運動48の間における相対位置は、回転運動48の間において不変のままである。この構成は、例えば、構築チャンバ4が特に静止角度位置50を通過したときに、少なくとも1つのワークピース6の製造が当該構築チャンバ4においてそれに対応する走査デバイス2によって開始されるようにするために好適である。この構築チャンバ4のさらなる回転運動48の間において、ワークピース6は、角度位置50に達する前に完成して例えばロボット(不図示)によりまたは手動で構築チャンバ4から取り除かれるまで、構築される。
したがって、角度位置50は、完成したワークピースが製造システム1から取り除かれ、必要な場合には構築チャンバ4が次のワークピース6の製造のために好ましくは自動的に空にされるおよび/または清掃される、送達ステーションを形成する。角度位置50は、任意の点に固定されてよく、特に、製造システム1の動作中において可変であってもよい。
【0066】
その後、角度位置50を通過した後に、次の少なくとも1つのワークピース6の構築が開始する。このプロセスは、製造システム1の動作中に、各構築チャンバ4において少なくとも1つのワークピースの完成度合いが異なるように、各製造ステーション2において行われる。
【0067】
完成したワークピース6が同一である必要はない。複数の異なるワークピース6が、回転運動48の過程で製造されてもよい。ここで、それらの異なるワークピースは、材料、ジオメトリ、およびトポロジの群のうちの少なくとも1つのワークピースパラメータが異なる。より長い製造時間を必要とする大型のワークピースは、例えば製造テーブル38がまる1周を超えて回転する間、その構築チャンバ4に残っていてよい。その結果、それらのワークピースは、角度位置50から開始して、2回転以上を経て初めて完成し、取り除かれ得る。より小型な、それに応じて製造時間のより短いワークピース6は、角度位置50に達する前に完成し、その後構築チャンバに残っていてよい。または、角度位置50に達したときにこれらのワークピース6が完成するように、角度位置50を越えて一定時間が経過して初めて作製プロセスが開始される。
【0068】
製造テーブル38が機械フレーム44に対して回転可能であるとして、走査デバイス20および構築チャンバ4が、例えば互いに対して静止するように構成または固定されることにより、時間的に不変な関連を有する場合、レーザビーム結合デバイス24も同様に走査デバイス20に対して静止して配置される、すなわち同様に製造テーブル38と共回転するようにすることが有利である。少なくとも1つのレーザ36が、レーザビーム結合デバイス24と共回転してよい。しかしながら、例えば入力ビーム26が回転軸46と同軸でレーザビーム結合デバイス24に導入される場合、これを生成するレーザ36は、機械フレーム44に対して静止するように配置されてもよい。
【0069】
さらなる実施形態において、材料供給デバイス12は、少なくとも部分的に移動可能、特に構築チャンバ4に対して回転可能であってよい。例えば、ワイパ16のみが、構築チャンバ4に対して移動可能、特に回転可能であってよい。
【0070】
構築チャンバは、材料リザーバ18に対して回転可能であってもよく、または静止していてもよい。例えば、ワイパ16および走査デバイス20が機械フレーム44に対して静止して配置される一方、構築チャンバ4および材料リザーバ18は、機械フレーム44に対して移動可能なように駆動されてよく、特に回転軸46を中心として回転可能なように駆動されてよい。勿論、この配置は、走査デバイス20およびワイパ16が回転軸46を中心として機械フレーム44に対して回転可能なように駆動される一方、構築チャンバ4および材料リザーバ18が機械フレーム44に対して静止して配置されるように、運動学的に逆転してもよい。
【0071】
これらの構成においては、構築チャンバ4がワイパ16を通過するときに、材料層19が構築チャンバ4において回転運動48の過程で自動的に付加される。走査デバイス20が回転運動の方向においてワイパ16に後続することによる構築チャンバ4におけるワークピース6の構築は、材料層19が依然として付加されている間に、回転運動48の過程で既に開始されていてよい。これは、例えば構築チャンバ4が、回転運動48の方向において、ワイパ16と走査デバイス20、または走査デバイス20から発出する製造ビーム22が通過し、構築チャンバ4のベース領域52に対応し得る、回転運動48の方向における下流の作製領域52との間の距離よりも大きい場合に可能となる。
【0072】
したがって、回転運動48の過程において、材料層19が各材料供給デバイス12により構築チャンバにおいて付加され、新たに付加された層は、回転運動48の方向においてそれぞれの材料供給部に直接後続する製造ステーション2によってワークピース6上に構築される。少なくとも1つのワークピース6が完成するまで、交互の付加および構築が、連続的または断続的な回転運動の過程で周期的に行われる。
【0073】
上記で既に述べたように、走査デバイス20は、ワークピース6を形成するための少なくとも1つの製造ビーム26を構築チャンバ4へと導くように構成される。1つの製造ビーム22cは、例えば、構築チャンバ4において同時に用いられる別の製造ビーム22よりも大きいビーム直径を有してよい。直径のより大きい製造ビーム22cは、ワークピースの外殻56の内部に配置されるワークピースの充填物54を形成するために用いられるのが有利である。外殻56は、より小さいビーム断面を有する製造ビーム22cによって製造されるのが好ましい。
【0074】
製造テーブル38は、回転可能である必要はない。これは、機械フレーム44に対して静止していてもよい。このとき、完成したワークピース6が、その完成時に、個々の製造ステーション2の構築チャンバ4が配置される複数の異なる位置から取り除かれ得ることを確実にしなければならない。
【0075】
製造テーブル38を機械フレーム44に対して回転させることができるか否かに関わらず、走査デバイス20の構築チャンバ4との時間的関連は可変であってもよい。これは、例えば走査デバイス20および構築チャンバ4が互いに対して移動可能なように、特に互いに対して回転可能であるように配置される場合に当てはまる。この場合、レーザビーム結合デバイス24が走査デバイス20に対して静止しているのが有用である。例えば、走査デバイス20はこのとき、構築チャンバ4および機械フレーム44に対して回転軸46を中心としてレーザビーム結合デバイス24と共に回転してよい。代替的に、走査デバイス2およびレーザビーム結合デバイス24は、機械フレーム44に対して静止するように配置されてよく、製造テーブル38は、機械フレーム44に対して、またそれにより走査デバイス2に対して、回転軸46を中心として回転可能なように駆動されてよい。
【0076】
両方の構成において、走査デバイス20は、製造テーブル38に対する運動の過程で、一方の構築チャンバ4から他方の構築チャンバ4へと移る。そのような構成は、例えば、1つまたは個々の走査デバイス20が特定の作製工程のために特別に構成される場合に有用である。その理由は、特定の作製工程には、特定の走査デバイス20のみが生成できる特定のビーム断面、特定のエネルギー密度、および/または特定の形状もしくは波長を有する作製ビーム22が必要なためである。本実施形態において、この作製工程は、この目的で構成された走査デバイス20が構築チャンバ4の上方に配され、または構築チャンバ4の上方に移動されたときに実行される。
【0077】
上記で説明した複数の構成が組み合わされてもよい。例えば、製造テーブル38は、機械フレーム44に対して移動可能、特に回転可能であってよい。加えて、複数の走査デバイス2は、機械フレーム44に対して、かつ製造テーブル38に対して回転可能であってよい。
【0078】
完成したワークピース6または作製中のワークピース6の少なくともいくつかの寸法を検出するように構成された測定デバイス60が、1つの、個々の、または全ての走査デバイス2に一体化されてよい。測定デバイス60は、例えば、製造ビーム22を測定のための測定ビームとして用いてよい。製造システム1の測定モードでは、光学素子、例えばフィルタまたはビームスプリッタが走査デバイス20においてビーム経路30に入るように回動するという点で、測定ビームのエネルギー密度およびビーム断面を製造ビーム22と比較して小さくすることができる。例えば、測定ビームは格子状であってよい。製造システム1の製造モードでは、製造ビーム22が存在するように、エネルギー密度が再び増大され得る。製造システムは、測定モードと製造モードとの間で切り替え可能なように構成される。
【符号の説明】
【0079】
1 付加製造システム
2 製造ステーション
4 構築チャンバ
6 ワークピース
8 昇降ベース
10 昇降ベース駆動部
12 材料供給デバイス
14 材料
16 ワイパ
18 材料リザーバ
19 材料の層
20 走査デバイス
22 製造ビーム
22b 線状の製造ビーム
22c 走査デバイスのいくつかの製造ビーム
24 レーザビーム結合デバイス
26 入力ビーム
28 部分ビーム
30 ビーム経路
32 ビームスプリッタ
34 光導波路
36 レーザ
38 製造テーブル
40 構築チャンバ用凹部
42 凹部
44 機械フレーム
46 回転軸
48 回転運動
50 角度位置
52 製造領域
54 充填物
56 外殻
60 測定デバイス