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特許7302104圧延材料のストリップの平坦度を制御する方法、制御システム及び製造ライン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-23
(45)【発行日】2023-07-03
(54)【発明の名称】圧延材料のストリップの平坦度を制御する方法、制御システム及び製造ライン
(51)【国際特許分類】
   B21B 37/28 20060101AFI20230626BHJP
   B21B 37/42 20060101ALI20230626BHJP
   B21C 51/00 20060101ALI20230626BHJP
   B21B 38/02 20060101ALI20230626BHJP
【FI】
B21B37/28 Z
B21B37/42
B21C51/00 L
B21B38/02
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022558219
(86)(22)【出願日】2020-11-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-10
(86)【国際出願番号】 EP2020082270
(87)【国際公開番号】W WO2021197647
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-10-07
(31)【優先権主張番号】20167970.1
(32)【優先日】2020-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】505056845
【氏名又は名称】アーベーベー・シュバイツ・アーゲー
【氏名又は名称原語表記】ABB Schweiz AG
【住所又は居所原語表記】Bruggerstrasse 66, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【弁理士】
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】リンドグレーン、マルクス
(72)【発明者】
【氏名】シェーグレーン、クリステル
【審査官】祢屋 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開昭58-035007(JP,A)
【文献】特開昭59-197309(JP,A)
【文献】特表2019-510643(JP,A)
【文献】特開昭63-123509(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21B 37/28
B21B 37/42
B21C 51/00
B21B 38/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱間圧延機(12)と、前記熱間圧延機(12)の下流にある少なくとも1つの冷間圧延機(14)と、を備える製造ライン(10)において、圧延材料のストリップ(16)の平坦度を制御する方法であって、
- 前記少なくとも1つの冷間圧延機(14)のうちの1つ以上において、及び/又は前記少なくとも1つの冷間圧延機(14)のうちの1つ以上に前記ストリップ(16)を通した後に、前記ストリップ(16)に関連付けられた平坦度データを決定することと、
- 前記平坦度データに基づいて、前記熱間圧延機(12)のための前記ストリップ(16)の厚さプロファイル目標(50)を決定することと、
- 前記ストリップ(16)を前記熱間圧延機(12)に通し、前記厚さプロファイル目標(50)に基づいて、前記ストリップ(16)の厚さを調整することと、
を備える方法。
【請求項2】
各冷間圧延機(14)は、前記冷間圧延機(14)の1つ以上のロール(24)を制御するように配置された少なくとも1つの機械式アクチュエータ(26)を備え、前記平坦度データは、前記少なくとも1つの機械式アクチュエータ(26)のうちの1つに関連付けられた平坦度モデル(48)を備え、前記平坦度モデル(48)は、前記機械式アクチュエータ(26)による前記ストリップ(16)に対する平坦度効果を定義する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記製造ライン(10)は、複数の冷間圧延機(14)を備え、前記平坦度データは、複数の冷間圧延機(14)のための前記少なくとも1つの機械式アクチュエータ(26)のうちの1つ以上の各々に関連付けられた平坦度モデル(48)を備え、前記厚さプロファイル目標(50)の決定は、前記平坦度モデル(48)の組合せに最もよく一致する、前記熱間圧延機(12)のための前記ストリップ(16)の厚さプロファイル目標(50)を決定することを備える、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記製造ライン(10)は、複数の冷間圧延機(14)を備え、前記平坦度データは、最下流の冷間圧延機(14)の前記少なくとも1つの機械式アクチュエータ(26)のうちの1つ以上に関連付けられた平坦度モデル(48)を備える、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記厚さプロファイル目標(50)は、前記最下流の冷間圧延機(14)の前記少なくとも1つの機械式アクチュエータ(26)のうちの1つ以上の各々に関連付けられた前記平坦度モデル(48)を反映するように決定される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記平坦度モデル(48)は、前記ストリップ(16)の幅に依存する、請求項2~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記平坦度データは、前記ストリップ(16)の測定された平坦度を備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記平坦度データは、前記少なくとも1つの冷間圧延機(14)の各々についての後続のプロセス(28、30、32)を経た後の前記ストリップ(16)の測定された平坦度を備える、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記平坦度データは、1つ以上の形状計(36)によって決定される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記厚さプロファイル目標は、前記ストリップ(16)の幅に基づいて決定される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
熱間圧延機(12)と、前記熱間圧延機(12)の下流にある少なくとも1つの冷間圧延機(14)と、を備える製造ライン(10)において、圧延材料のストリップ(16)の平坦度を制御するための制御システム(38)であって、前記制御システム(38)は、少なくとも1つのデータ処理装置(40)と、少なくとも1つのコンピュータプログラムが記憶された少なくとも1つのメモリ(42)と、を備え、前記少なくとも1つのコンピュータプログラムは、プログラムコードを備え、前記プログラムコードは、前記少なくとも1つのデータ処理装置(40)のうちの1つ以上によって実行されると、前記少なくとも1つのデータ処理装置(40)のうちの1つ以上に、
- 前記少なくとも1つの冷間圧延機(14)のうちの1つ以上において、及び/又は前記少なくとも1つの冷間圧延機(14)のうちの1つ以上に前記ストリップ(16)を通した後に、前記ストリップ(16)に関連付けられた平坦度データを決定するステップと、
- 前記平坦度データに基づいて、前記熱間圧延機(12)のための前記ストリップ(16)の厚さプロファイル目標(50)を決定するステップと、
- 前記ストリップ(16)を前記熱間圧延機(12)に通すとき、前記厚さプロファイル目標(50)に基づいて、前記ストリップ(16)の厚さ調整を制御するステップと、
を実行させる、制御システム(38)。
【請求項12】
熱間圧延機(12)と、前記熱間圧延機(12)の下流にある少なくとも1つの冷間圧延機(14)と、請求項11に記載の制御システム(38)と、を備える製造ライン(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、圧延材料のストリップの平坦度制御に関する。特に、製造ラインにおいて圧延材料のストリップの平坦度を制御する方法、製造ラインにおいて圧延材料のストリップの平坦度を制御するための制御システム、及び制御システムを備える製造ラインが提供される。
【背景技術】
【0002】
圧延材料用の製造ラインには、典型的に、いくつかの異なるプロセスステップ、例えば、溶解炉、熱間圧延機、冷間圧延機、炉、アニーラ、ストレッチレベラ(stretch leveler)、スリッタ、コイラ、及びアンコイラがある。このような製造ラインの重要なパラメータが、最終プロセスステップの歩留り及び必要とされる資源(プロセス全体の効率)である。圧延材料の平坦度もまた、最終プロセスステップにおいてプロセス歩留りに直接影響を及ぼす重要なパラメータである。今日、圧延機産業では、異なるプロセスステップを分離して動作させることが一般的である。
【0003】
EP 1110635 B1には、圧延材料のストリップの平坦度を制御するための方法、及びその方法を用いるシステムが開示されている。圧延中のストリップの平坦度の測定値は、第1の平坦度目標及び第2の平坦度目標の両方と比較される。1つ以上の後続のプロセスの各々についての平坦度目標及び測定された平坦度誤差が、圧延機スタンドのための制御信号を、同じ仕様の圧延材料の後続の製造の平坦度を制御及び調節する(regulate)ように適合させるために使用される。
【0004】
JP S6020088 B2には、ホットストリップミルと、タンデムコールドミルと、平坦度計と、備える板圧延処理設備が開示されている。平坦度計は、タンデムコールドミルの出口側に設けられている。この設備は、板波の長さを板波の振幅で除算することによって平坦度を算出するための平坦度演算器を更に備える。この設備は、作業ロールクラウン(work roll crown)を算出するための平坦度制御装置を更に備える。この設備は、作業ロールクラウンに基づいて、通板性及びコイル巻取り形状の観点から最適値を算出するためのクラウン修正装置を更に備える。このアセンブリは、加算器から出力されるクラウン希望値との差に基づいて、ロール曲げ力修正値を算出するためのクラウン制御装置を更に備える。
【発明の概要】
【0005】
圧延材料のストリップの平坦度制御では、平坦度誤差をいかに良好に除去し得るかを決定する重要な要因が、冷間圧延機の機械式アクチュエータ及び入側(incoming)材料の厚さプロファイルである。ストリップの厚さプロファイルは、熱間圧延機で作り出され、平坦度不良(flatness defects)を引き起こすことなしには、冷間圧延機では実質的に変更され得ない。機械式アクチュエータが、それぞれの冷間圧延機のロール間隙を入側材料の厚さプロファイルに従って形成することを可能にしない場合、ストリップにおいて平坦度誤差が存在することになる可能性が高い。従って、特定の厚さプロファイルを有するストリップが、特定のロール間隙を有する冷間圧延機に通されるとき、厚さプロファイルとロール間隙との間の差が、ストリップの平坦度誤差を引き起こす。追加として、異なるタイプのロール間隙を有する複数の冷間圧延機がある場合、これもまた、平坦度誤差を引き起こす可能性がある。
【0006】
更に、冷間圧延機のロール間隙がEP 1110635 B1に記載の方法に従って制御される場合、必要とされる平坦度目標が、冷間圧延機の許容可能な動作条件外にあるというリスクがある。換言すれば、非常に大きな補正が、下流で所望の平坦度を達成するために、冷間圧延機の平坦度目標によって必要とされ得る。従って、場合によっては、必要とされる平坦度補償が冷間圧延機によって達成され得ないか、又はストリップ破断を引き起こすリスクの可能性があるかのいずれかである。
【0007】
本開示の1つの目的は、低減された平坦度誤差を可能にする、圧延材料のストリップの平坦度を制御する方法を提供することである。
【0008】
本開示の更なる目的は、冷間圧延機の下流でのストリップの低減された平坦度誤差を可能にする、圧延材料のストリップの平坦度を制御する方法を提供することである。
【0009】
本開示のなお更なる目的は、冷間圧延機についての後続のプロセスの下流でのストリップの低減された平坦度誤差を可能にする、圧延材料のストリップの平坦度を制御する方法を提供することである。
【0010】
本開示のなお更なる目的は、ストリップ破断のリスクを低減する、圧延材料のストリップの平坦度を制御する方法を提供することである。
【0011】
本開示のなお更なる目的は、歩留りの向上を提供する、圧延材料のストリップの平坦度を制御する方法を提供することである。
【0012】
本開示のなお更なる目的は、前述の目的のいくつか又は全てを組み合わせて解決する、圧延材料のストリップの平坦度を制御する方法を提供することである。
【0013】
本開示のなお更なる目的は、前述の目的のうちの1つ、いくつか、又は全てを解決する、製造ラインにおいて圧延材料のストリップの平坦度を制御するための制御システムを提供することである。
【0014】
本開示のなお更なる目的は、前述の目的のうちの1つ、いくつか、又は全てを解決する、制御システムを備える製造ラインを提供することである。
【0015】
一態様によれば、熱間圧延機と、熱間圧延機の下流にある少なくとも1つの冷間圧延機と、を備える製造ラインにおいて、圧延材料のストリップの平坦度を制御する方法が提供され、方法は、少なくとも1つの冷間圧延機のうちの1つ以上において、及び/又は少なくとも1つの冷間圧延機のうちの1つ以上にストリップを通した後に、ストリップに関連付けられた平坦度データを決定することと、平坦度データに基づいて、熱間圧延機のためのストリップの厚さプロファイル目標を決定することと、ストリップを熱間圧延機に通し、厚さプロファイル目標に基づいて、ストリップの厚さを調整することと、を備える。
【0016】
製造ラインは、1つ以上の熱間圧延機を備えた熱間圧延側と、1つ以上の冷間圧延機を備えた冷間圧延側と、を備える。熱間圧延は、材料の再結晶温度よりも高い温度で行われる金属加工プロセスである。冷間圧延は、その再結晶温度以下の金属で行われ、これは、歪み硬化を介して強度を増大させる。圧延材料は、例えば、アルミニウム、鋼又は銅であり得る。
【0017】
下流の冷間圧延側又は冷間圧延側の下流のプロセスにとって必ずしも最適ではない、熱間圧延側における厚さプロファイル目標を使用する代わりに、方法は、熱間圧延機の下流で通常の又は達成可能な平坦度影響効果(flatness influencing effect)に基づく厚さプロファイル目標を利用する。このようにして、下流の平坦度影響効果は、ストリップの入側厚さプロファイルに一致し得、それによって、平坦度誤差を低減又は排除する。熱間圧延機で使用される厚さプロファイル目標は、熱間圧延側の下流で、1つ以上の平坦度補正の必要性を生じさせる。これらの平坦度補正の必要性が1つ以上の冷間圧延機によって満たされ得、及び/又は後続のプロセスによって満たされ得るように厚さプロファイル目標を選択することによって、ストリップにおける平坦度誤差が低減され得る。
【0018】
換言すれば、平坦度データに基づいて、熱間圧延機のためのストリップの厚さプロファイル目標を決定することによって、熱間圧延機は、1つ以上の冷間圧延機等の下流プロセスが平坦度をより良好に補償し得る、ストリップの厚さプロファイルを生成することになる。従って、方法は、製造ラインの冷間圧延側又は冷間圧延側の下流から熱間圧延側へ平坦度影響効果のフィードバックを提供する。熱間圧延機では、後に平坦度の問題に変換される、厚さプロファイルの問題を調整するより良好な可能性(better possibilities)がある。従って、方法は、熱間圧延機からの良好な厚さプロファイルであると考えられるものに関しての先行技術における基準(the norm)に挑む。今日、この基準は、ストリップの中央部が0.5%高い、例えば、0.5%のクラウンを有する、その形状が2次多項式に類似している、熱間圧延機からの厚さプロファイルを有することである。
【0019】
各冷間圧延機は、冷間圧延機の、1つ以上のロールを制御するように配置された少なくとも1つの機械式アクチュエータを備え得る。この場合、平坦度データは、少なくとも1つの機械式アクチュエータのうちの1つに関連付けられた平坦度モデルを備え得、ここで、平坦度モデルは、機械式アクチュエータによるストリップに対する効果を定義する。機械式アクチュエータによってロールを調整することによって、冷間圧延機のロール間隙が変更され得る。従って、平坦度モデルは、ストリップの平坦度を変化させる機械式アクチュエータの能力(capacity)を定義する。
【0020】
この変形形態では、方法は、1つ以上の機械式アクチュエータによって実際に達成され得る1つ以上の平坦度モデルを利用する。これらの1つ以上の平坦度モデルに基づいて、厚さプロファイル目標を決定することによって、ロール間隙は、平坦度誤差を低減又は排除するために、ストリップの入側厚さプロファイルに一致し得る。例えば、下流での平坦度補正の必要性が1つ以上の冷間圧延機の機械式アクチュエータによって満たされ得るように、厚さプロファイル目標を選択することによって、冷間圧延機の熱アクチュエータは、「解放される(emancipated)」ようになり、代わりに、ストリップにおける局所不良を補正するために使用され得る。
【0021】
従って、方法は、1つ以上の機械式アクチュエータのために、機械式アクチュエータによって達成され得る平坦度モデルを決定することを備え得る。1つ以上の平坦度モデルに基づいて、熱間圧延機のためのストリップの厚さプロファイル目標を決定することによって、熱間圧延機は、機械式アクチュエータが補償し得る厚さプロファイルを提供する。このようにして、ストリップの増大された平坦度が、冷間圧延機の下流で達成される。
【0022】
本明細書で使用される場合、形状及び平坦度という用語は、交換可能に用いられ得る。1つ以上の平坦度モデルが、各機械式アクチュエータに関連付けられ得る。各平坦度モデルは、関連付けられた機械式アクチュエータの位置及び/又はストリップの幅等の、様々なパラメータに依存し得る。
【0023】
平坦度データに基づく厚さプロファイル目標の決定は、機械学習を備え得る。機械学習は、サンプルデータとして、例えば、少なくとも1つの冷間圧延機のうちの1つ以上の下流でのストリップの測定された平坦度、1つ以上の機械式アクチュエータの各々についての平坦度モデル、及び/又は熱間圧延機の厚さプロファイル目標に基づく数学的モデルを用い得る。
【0024】
代替として、厚さプロファイル目標の決定は、ファジー論理及びニューロファジー論理制御方法を含む異なる統計的技法を使用して行われ得る。
【0025】
各熱間圧延機は、熱間圧延機の、1つ以上のロールを制御するように配置された1つ以上の機械式アクチュエータ及び/又は1つ以上の熱アクチュエータ等の、1つ以上のアクチュエータを備え得る。各熱間圧延機は、圧延されているストリップの厚さプロファイルを修正するように構成され得る。熱間圧延側は、1つ以上の厚さプロファイル測定装置を備え得る。
【0026】
各熱間圧延機は、厚さプロファイル目標に基づいて制御され得る。各熱間圧延機は、熱間圧延機におけるアクチュエータを使用して厚さプロファイル誤差を最小化するために、熱間圧延機を制御するように構成された厚さプロファイルコントローラを更に備え得る。
【0027】
各熱間圧延機は、単一の圧延機スタンドであり得るか、又は複数の圧延機スタンドを有するタンデム圧延機であり得る。代替又は追加として、製造ラインは、可逆式(reversible)熱間タンデム圧延機を備え得る。
【0028】
各冷間圧延機は、1つ以上の機械式アクチュエータ等の1つ以上のアクチュエータを備え得る。各機械式アクチュエータは、冷間圧延機のロールのうちの1つ以上を制御するように構成され得る。このようにして、冷間圧延機のロール間隙は調整され得る。機械式アクチュエータは、例えば、作業ロールの曲げ、作業ロールのスキューイング(skewing)、中間ロールの曲げ、中間ロールのサイドシフト等を提供するように制御され得る。冷間圧延機のうちの1つ以上がまた、1つ以上の熱アクチュエータを備え得る。
【0029】
各冷間圧延機は、圧延されているストリップの平坦度プロファイルを修正するように構成され得る。冷間圧延側は、1つ以上の形状計を備え得る。
【0030】
各冷間圧延機は、1つ以上の平坦度モデルに基づいて制御され得る。各冷間圧延機は、冷間圧延機におけるアクチュエータを使用して平坦度誤差を最小化するために、冷間圧延機を制御するように構成された平坦度コントローラを更に備え得る。各冷間圧延機は、単一の圧延機スタンドであり得るか、又は複数の圧延機スタンドを有するタンデム圧延機であり得る。代替又は追加として、製造ラインは、可逆式冷間タンデム圧延機を備え得る。
【0031】
平坦度データは、複数の冷間圧延機のための少なくとも1つの機械式アクチュエータのうちの1つ以上の各々に関連付けられた平坦度モデルを備え得、厚さプロファイル目標の決定は、平坦度モデルの組合せに最もよく一致する、熱間圧延機のためのストリップの厚さプロファイル目標を決定することを備え得る。
【0032】
従って、方法は、複数の冷間圧延機のそれぞれの機械式アクチュエータに関連付けられた複数の平坦度モデルを決定することを備え得る。各平坦度モデルは、例えば、ストリップの幅にわたる(over)多項式として表され得、この場合、ストリップ幅に依存する。機械式アクチュエータについての各平坦度モデルは、機械式アクチュエータの平坦度影響(flatness influence)として決定され得る。
【0033】
冷間圧延機の機械式又は熱式のいずれかの各アクチュエータは、冷間圧延機を通るストリップの平坦度に影響を及ぼす。平坦度モデルは、ストリップを冷間圧延機に通したときの、アクチュエータによる平坦度に対するこの影響のモデルである。
【0034】
各アクチュエータによる平坦度に対する影響は、アクチュエータの設定及び/又は実際の圧延条件に依存し得る。実際の圧延条件は、例えば、作業ロール上のサーマルクラウン(ストリップ速度及び起こり得る前のパスに依存する)、ストリップの硬度、及び/又は総圧延力を備え得る。
【0035】
方法は、熱間圧延機のためのストリップの厚さプロファイルモデルを決定することを更に備え得、厚さプロファイルモデルは、熱間圧延機の、1つ以上の機械式アクチュエータによるストリップに対する効果を定義する。厚さプロファイル目標の決定は、例えば、最下流の冷間圧延機における機械式アクチュエータについての平坦度モデルに最もよく一致させるための、熱間圧延機の厚さプロファイルモデルの最適化を備え得る。代替又は追加として、厚さプロファイル目標の決定は、少なくとも1つの冷間圧延機の、1つ以上の機械式アクチュエータの平坦度モデルに最もよく一致させるための、複数の熱間圧延機についての厚さプロファイルモデルの最適化を備え得る。いずれの場合も、最適化問題を解決する厚さプロファイルモデルが、厚さプロファイル目標として設定され得る。代替として、平坦度モデルは、所望のクラウンに振幅において正規化され、次いで、厚さプロファイル目標として使用され得る。
【0036】
平坦度データが、複数の冷間圧延機の各々についての1つ以上の機械式アクチュエータに関連付けられた1つ以上の平坦度モデルを備える場合、厚さプロファイル目標の決定は、平坦度モデルの組合せに最もよく一致する、熱間圧延機のためのストリップの厚さプロファイル目標を決定することを備え得る。複数の冷間圧延機の機械式アクチュエータの平坦度モデルは、複数の冷間圧延機によるストリップの平坦度に対する総影響を表す結合平坦度モデルに結合され得る。この場合、厚さプロファイル目標は、結合平坦度モデルに基づいて決定され得る。
【0037】
製造ラインは、複数の冷間圧延機を備え得、平坦度データは、最下流の冷間圧延機の、少なくとも1つの機械式アクチュエータのうちの1つ以上の各々に関連付けられた平坦度モデルを備え得る。最下流の冷間圧延機の機械式アクチュエータの平坦度モデルに基づいて、熱間圧延機のためのストリップの厚さプロファイル目標を決定することによって、最後の冷間圧延機の直下流で高い平坦度を得るための最良の状態が提供される。厚さプロファイル目標は、最下流の冷間圧延機の、少なくとも1つの機械式アクチュエータのうちの1つ以上に関連付けられた平坦度モデルを反映する(mirror)ように決定され得る。
【0038】
平坦度モデルは、ストリップの幅に依存し得る。即ち、ストリップの第1の幅に対して、1つの機械式アクチュエータが、第1の平坦度モデルを有し得、第1の幅とは異なるストリップの第2の幅に対して、この機械式アクチュエータは、第1の平坦度モデルとは異なる第2の平坦度モデルを有し得る。平坦度モデルはまた、様々な他のパラメータに依存し得る。
【0039】
平坦度データは、ストリップの測定された平坦度を備え得る。平坦度データは、少なくとも1つの冷間圧延機の各々についての後続のプロセスを経た後のストリップの測定された平坦度を備え得る。後続のプロセスは、例えば、ストリップ巻取りプロセス、ストリップ巻戻しプロセス、及び/又は亜鉛めっき若しくはアルミめっきプロセスであり得る。
【0040】
この変形形態では、方法は、1つ以上の後続のプロセス、即ち、最下流の冷間圧延機の下流からの、ストリップに対する平坦度効果(flatness effect)を利用し得る。後続のプロセスによる平坦度効果に基づいて、厚さプロファイル目標を決定することによって、平坦度効果は、平坦度誤差を低減又は排除するために、ストリップの入側厚さプロファイルに一致し得る。更に、後続のプロセスによる平坦度効果が、冷間圧延側ではなく、熱間圧延側で補償されるので、ストリップ破断のリスクが低減又は排除される。
【0041】
平坦度データは、1つ以上の形状計によって決定され得る。形状計は、例えば、Stressometerであり得る。ストリップの測定された平坦度を備える平坦度データは、ストリップの長さに沿って測定された複数の平坦度を備え得る。
【0042】
厚さプロファイル目標は、ストリップの幅に基づいて決定され得る。即ち、厚さプロファイル目標は、平坦度データとストリップの幅とに基づいて決定され得る。
【0043】
更なる態様によれば、熱間圧延機と、熱間圧延機の下流にある少なくとも1つの冷間圧延機と、を備える製造ラインにおいて、圧延材料のストリップの平坦度を制御するための制御システムが提供され、制御システムは、少なくとも1つのデータ処理装置と、コンピュータプログラムが記憶された少なくとも1つのメモリと、を備え、少なくとも1つのコンピュータプログラムは、プログラムコードを備え、プログラムコードは、少なくとも1つのデータ処理装置のうちの1つ以上によって実行されると、少なくとも1つのデータ処理装置のうちの1つ以上に、少なくとも1つの冷間圧延機のうちの1つ以上において、及び/又は少なくとも1つの冷間圧延機のうちの1つ以上にストリップを通した後に、ストリップに関連付けられた平坦度データを決定するステップと、平坦度データに基づいて、熱間圧延機のためのストリップの厚さプロファイル目標を決定するステップと、ストリップを熱間圧延機に通すとき、厚さプロファイル目標に基づいて、ストリップの厚さ調整を制御するステップと、を実行させる。
【0044】
制御システムは、ストリップの厚さプロファイルを制御するために、厚さプロファイル目標に基づいて、熱間圧延機に制御信号を送出し得る。制御システムは、例えば、厚さプロファイルコントローラ及び平坦度コントローラを備え得る。この場合、厚さプロファイルコントローラ及び平坦度コントローラは、上記で定義されたような少なくとも1つのデータ処理装置と、少なくとも1つのメモリと、を備え得る。
【0045】
更なる態様によれば、熱間圧延機と、熱間圧延機の下流にある少なくとも1つの冷間圧延機と、本開示による制御システムと、を備える製造ラインが提供される。この態様による製造ラインは、本開示による任意のタイプのものであり得る。
【0046】
本開示の更なる詳細、利点及び態様は、図面と併せて以下の実施形態から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1図1は、製造ラインを概略的に表す。
図2図2は、典型的な平坦度モデル及び典型的な厚さプロファイル目標を概略的に表す。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下では、製造ラインにおいて圧延材料のストリップの平坦度を制御する方法、製造ラインにおいて圧延材料のストリップの平坦度を制御するための制御システム、及び制御システムを備える製造ラインが説明される。同一又は同様の参照番号は、同一又は同様の構造的特徴を示すために使用される。
【0049】
図1は、製造ライン10を概略的に示す。製造ライン10は、複数の熱間圧延機12と、複数の冷間圧延機14と、を備える。冷間圧延機14は、これら熱間圧延機12の下流に配置されている。図1の例では、製造ライン10は、2つの熱間圧延機12と、5つの冷間圧延機14と、を備える。従って、製造ライン10は、熱間圧延機12を備える熱間圧延側と、冷間圧延機14を備える冷間圧延側と、を備える。
【0050】
図1は、例えばアルミニウム等の圧延材料のストリップ16を更に示す。図1では、ストリップ16は、各熱間圧延機12及び各冷間圧延機14を通って右に搬送される。この例では、熱間圧延機12及び冷間圧延機14は、マルチスタンドタンデム圧延機でそれぞれ構成されている。第1の熱間圧延機12において、ストリップ16は、厚さが低減されるようにロール間で圧搾される(squeezed)スラブである。
【0051】
この例の製造ライン10は、複数の厚さプロファイル測定装置18を更に備える。しかしながら、製造ライン10は、代替として、最後の熱間圧延機12の下流に1つのみの厚さプロファイル測定装置18を備え得る。各厚さプロファイル測定装置18は、ストリップ16の厚さプロファイルを測定するように構成されている。図1の例では、1つの厚さプロファイル測定装置18が、最上流の熱間圧延機12の上流に配置されており、1つの厚さプロファイル測定装置18が、最下流の熱間圧延機12の下流に配置されており、1つの厚さプロファイル測定装置18が、隣接する熱間圧延機12の各対間に配置されている。
【0052】
各熱間圧延機12は、複数のロール20と、これらロール20を制御するための1つ以上の機械式アクチュエータ22と、を備える。同様に、各冷間圧延機14は、複数のロール24と、これらロール24を制御するための1つ以上の機械式アクチュエータ26と、を備える。各熱間圧延機12及び各冷間圧延機14はまた、熱アクチュエータ(図示せず)を備える。
【0053】
各熱間圧延機12は、その機械式アクチュエータ22によって、ストリップ16の厚さプロファイルを修正するように構成されている。この目的のために、各熱間圧延機12は、厚さプロファイル目標に基づいて制御される。厚さプロファイル目標は、熱間圧延機12を通るストリップ16の幅にわたる厚さの変化を示す。
【0054】
各冷間圧延機14は、その機械式アクチュエータ26によって、ストリップ16の平坦度を修正するように構成されている。この目的のために、各冷間圧延機14は、1つ以上の平坦度モデルによって制御される。各平坦度モデルは、機械式アクチュエータ26のうちの1つによって生じる、ストリップ16に対する平坦度効果を定義する。
【0055】
この特定の例の製造ライン10は、コイラ28と、アンコイラ30と、亜鉛めっき又はアルミめっきステーション32と、を更に備える。コイラ28、アンコイラ30、及び亜鉛めっき又はアルミめっきステーション32の各々は、冷間圧延機14の各々についての後続のプロセスの例を構成する。この特定の例の製造ライン10は、熱間圧延側と冷間圧延側との間に、洗浄及び酸洗いステーション34を更に備える。
【0056】
製造ライン10は、複数の形状計36を更に備える。各形状計36は、ストリップ16の平坦度を測定するように構成されている。図1の例では、1つの形状計36が、最上流の冷間圧延機14の上流に配置されており、1つの形状計36が、最後の冷間圧延機14の下流に配置されており、1つの形状計36が、隣接する冷間圧延機14の各対間に配置されている。1つの形状計36がまた、アンコイラ30の下流、即ち、アンコイラ30と、亜鉛めっき又はアルミめっきステーション32との間にも配置されている。
【0057】
製造ライン10は、制御システム38を更に備える。制御システム38は、少なくとも1つのデータ処理装置40と、少なくとも1つのメモリ42と、を備える。図1では、制御システム38は、2つのデータ処理装置40と、2つのメモリ42と、を備えるものとして例示されている。少なくとも1つのメモリ42は、少なくとも1つのデータ処理装置40のうちの1つ以上によって実行されると、少なくとも1つのデータ処理装置40のうちの1つ以上に、本明細書に説明されるような様々なステップを実行させる、又はその実行を命令する、プログラムコードを備える。
【0058】
この特定の例では、制御システム38は、厚さプロファイルコントローラ44と、平坦度コントローラ46と、を備える。厚さプロファイルコントローラ44及び平坦度コントローラ46の各々が、データ処理装置40と、メモリ42と、を備える。しかしながら、製造ライン10を制御するための制御システム38は、異なる方法で実装され得る。
【0059】
平坦度コントローラ46は、冷間圧延機14及び/又は形状計36から受け取った信号に基づいて、平坦度誤差を最小化するように冷間圧延機14を制御する。厚さプロファイルコントローラ44は、熱間圧延機12及び/又は厚さプロファイル測定装置18から、並びに平坦度コントローラ46から受け取った信号に基づいて、厚さプロファイル誤差を最小化するように熱間圧延機12を制御する。
【0060】
圧延によって引き起こされるストリップ16の厚さプロファイルの変形は、ストリップ16の温度、ストリップ16のアスペクト比、即ち、幅を厚さで割ったもの、及びストリップ入側厚さに対する摩擦係数の比(the ratio coefficient of friction to strip entry thickness)等の、いくつかの要因に依存する。支配的な要因が、ストリップ16のアスペクト比である。アスペクト比が30より大きい場合、ストリップ16の変形は、本質的に平面歪みであり、即ち、ストリップ16は、幅がほとんど又は全く変化せずに、厚さが低減し、長さが増大する。冷間圧延では、特に、薄いストリップ16を圧延するとき、アスペクト比は、典型的に30よりはるかに高くなる。一方、熱間圧延では、アスペクト比は、特に、最上流の熱間圧延機(複数可)12について、典型的に30より少なくなり、従って、ストリップ16のプロファイル変形が、ストリップ16の幅の著しい増大とともに生じる。
【0061】
ストリップ16の厚さプロファイルを変化させる能力は、アスペクト比が増大するにつれて低減する。逆に、ストリップ16の形状不良を修正する能力は増大し、最終又は最下流の冷間圧延機14において最大になる。
【0062】
冷間圧延では、ストリップ16の厚さプロファイルとストリップ16の平坦度とが関連付けられている。これは、ストリップ16の入側厚さプロファイルを反映するロール間隙、即ち、ストリップ16の横方向の伸びに等しい(equal elongation transverse the strip 16)を提供し得る場合、冷間圧延においてより少ない平坦度不良が存在するか、又は全く存在しなくなることを意味する。ストリップ16の厚さプロファイルは、主に熱間圧延側で確立される。熱間圧延側の下流では、ストリップ16は、形状問題を引き起こすことなく、その厚さプロファイルを変化させることが可能であるには、冷たすぎ且つその幅に比べて薄すぎる。従って、平坦度問題を引き起こすことなく、冷間圧延側でストリップ16の厚さプロファイルを変化させることは、困難又は不可能である。
【0063】
図2は、典型的な平坦度モデル48及び典型的な厚さプロファイル目標50の例を概略的に表す。平坦度モデル48は、2次多項式と4次多項式との組合せである。機械式アクチュエータ26の平坦度モデル48は、冷間圧延機14におけるストリップ16に関連付けられた平坦度データの一例である。複数の平坦度モデル48が、1つの機械式アクチュエータ26のために決定され得る。特に、1つ以上の平坦度モデル48が、最下流の冷間圧延機14の機械式アクチュエータ26のために決定され得る。
【0064】
図2の厚さプロファイル目標50は、2次多項式である。厚さプロファイル目標50は、ストリップ16の中央部において1%厚い。従って、図2の厚さプロファイル目標50は、1%のクラウンを有する。
【0065】
図2に示されるように、厚さプロファイル目標50と平坦度モデル48との間には、不一致がある。この不一致は、冷間圧延機14がロールバイトにおける入側厚さプロファイルを維持すること、従って良好な平坦度を達成することを困難にする。
【0066】
厚さプロファイル目標50を平坦度モデル48により厳密に一致させることによって、冷間圧延機14の機械式アクチュエータ26は、そのロール間隙によって、平坦度誤差により良く対処し得る。この目的のために、平坦度コントローラ46は、1つ以上の機械式アクチュエータ26についての1つ以上の平坦度モデル48を決定するように更に構成されている。厚さプロファイルコントローラ44は、平坦度コントローラ46から1つ以上の平坦度モデル48を受け取り、平坦度モデル48の組合せに基づいて、1つ以上の熱間圧延機12のための厚さプロファイル目標50を決定し得る。このようにして決定された厚さプロファイル目標は、多項式又は多項式の組合せに限定されず、代替的な方法で表され得る。厚さプロファイル目標50は、例えば、1つ以上の平坦度モデル48、1つ以上の測定された平坦度(例えば、最後の冷間圧延機14の直下流で測定された平坦度)、及び厚さプロファイル目標50をトレーニングデータとして使用する機械学習によって決定され得る。
【0067】
厚さプロファイル目標50は、それぞれの機械式アクチュエータ26によって実際に達成され得る1つ以上の平坦度モデル48に基づく。従って、冷間圧延機14の機械式アクチュエータ26は、平坦度誤差を低減するために、熱間圧延機12からの厚さプロファイルに一致し得る。
【0068】
たとえ最下流の冷間圧延機14において良好な平坦度が得られたとしても、この平坦度は、その後のプロセス、例えば、ストリップ16が巻取り及び巻戻しされるときに変化し得る。この変化は、例えば、冷却効果と、コイル内のどこにストリップ16の特定のセクションが配置されているかとに依存し得る。従って、厚さプロファイル目標50は、後続のプロセス28、30、32のいずれかを経た後のストリップ16の測定された平坦度に基づいて決定され得る。また、測定されたストリップ16の平坦度が、平坦度データの例を構成する。図1に示されるように、ストリップ16の平坦度は、コイラ28の直上流及びアンコイラ30の直下流で測定される。次いで、巻取り及び巻戻しによる平坦度効果が、これらの測定された平坦度の間の差に基づいて決定され得る。巻取り及び巻戻しからの平坦度効果に基づいて厚さプロファイル目標50を決定することによって、ストリップ16は、巻戻し後により平坦にされ得る。更に、巻取り及び巻戻しからの平坦度効果は、冷間圧延側ではなく、熱間圧延側で対処されるので、ストリップ破断のリスクが低減される。
【0069】
本開示は、例示的な実施形態を参照して説明されてきたが、本発明は、上記で説明されたものに限定されないことが理解されよう。例えば、部品の寸法は、必要に応じて変更され得ることが理解されよう。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定され得ることが意図される。
図1
図2