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  • 特許-物品積付装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-26
(45)【発行日】2023-07-04
(54)【発明の名称】物品積付装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 57/03 20060101AFI20230627BHJP
   B65G 61/00 20060101ALI20230627BHJP
   B65G 1/00 20060101ALI20230627BHJP
   B65G 47/90 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
B65G57/03 G
B65G61/00
B65G1/00 501F
B65G47/90 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018064674
(22)【出願日】2018-03-29
(65)【公開番号】P2019172455
(43)【公開日】2019-10-10
【審査請求日】2021-03-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000110011
【氏名又は名称】トーヨーカネツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110559
【弁理士】
【氏名又は名称】友野 英三
(72)【発明者】
【氏名】篠原 啓樹
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-258940(JP,A)
【文献】特開平05-201546(JP,A)
【文献】実開平06-059340(JP,U)
【文献】特開2014-177337(JP,A)
【文献】特開平05-319520(JP,A)
【文献】特開平07-330153(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 57/03
B65G 61/00
B65G 1/00
B65G 47/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミックスサイズの箱形状の物品を搬送する搬送路と、
前記搬送路上を搬送されてきた前記物品が自動積付けされる荷役台と、
前記搬送路の上部に設けられる、前記搬送路と同方向に駆動されるY移動体と上下に駆動されるクランプアームを支持するクランプホルダが前記搬送路の方向に取り付けられて前記搬送路と直交方向に駆動されるX移動体とを有し、前記クランプアームが前記物品を掴んで前記荷役台上に自動積付けする自動機と、
前記物品を縦横のサイズが同一または近似するサイズ毎にグループ分けし、前記サイズ毎に前記荷役台に積載すべき番地を予め付与したグループデータ及び前記グループデータを組合わせて積載効率の高いパターンを生成するロジックを格納するデータベースと、
複数の前記物品をサイズが混在のまま前記搬送路上を搬送させて前記荷役台の直前で一時停止させ、前記データベースに記憶されている前記積載効率の高いパターンにしたがって複数の前記物品から物品を選んでいき、該選んだ物品を、前記グループデータで規定される前記荷役台上の所定の番地にセットし、同一もしくは近似サイズの物品を同じ番地に積み付ける状積付けを行うように前記自動機を制御する制御回路と
を備えたことを特徴とする物品積付装置。
【請求項2】
前記Y移動体は、Y方向に向くYレールに沿って移動するガイド部材を両側に有し、かつ前記Yレールと直交する両側にはXレールが設けられた枠体であり、
前記X移動体は、前記Xレールに沿って転動するガイド部材を両側に有し、下部に前記クランプホルダが取り付けられた枠体であり、
前記X移動体及びY移動体は、前記データベースの情報に基づいてそれぞれY方向及びX方向に駆動されることを特徴とする請求項1に記載の物品積付装置。
【請求項3】
前記荷役台は、パレット、台車、または搬送用トレイのいずれかであることを特徴とする請求項1または2に記載の物品積付装置。
【請求項4】
前記物品積付装置は、前記搬送路の前方に、前記荷役台を搬送するコンベアと、前記コンベアの両側に、前記荷役台上に積付けられた前記物品を整える機構を更に備えたことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の物品積付装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品積付装置に関し、更に詳しくは、段ボール箱等の四角形状の物品をパレット等の荷役台に棒状に積み上げる、いわゆる棒積みを行うための物品積付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ミックスサイズの四角形状の物品をパレットやかご台車等の荷役台に多段に自動積付けする装置として、いわゆる順建て方式の物品積付装置が一般に用いられている。
【0003】
図6は、従来の順建て方式の物品積付装置の概略システム構成図を示している。図6に示すように、積付け予定のサイズの異なった複数種の物品、すなわちミックスサイズの物品が混在している場合、この例では数字1~9で示す9種類のサイズ(図6は同一サイズでイメージ的に示す)の積付け予定グループの物品100を搬送路10から自動機11に供給し、自動機11でパレット等の荷役台12に積付けていく。その場合、搬送路10から自動機11に至る以前に、積付け予定の物品グループの中から積付け効率の高い組み合わせをプログラムロジックで算出し、その算出に基づいて順建て装置9によりその順番、この例では数字1から8までの数字通りの順番で物品100を搬送路10で自動機11に供給し、自動機11で荷役台12上に下から順に積付けていくものである。この搬送路10における供給順序を決定する操作を順建て方式と呼び、一般に広く物品積付装置に採用されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-126909号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の順建て方式の物品積付装置では、ミックスサイズの物品を自動積付けする際には、積込み予定の物品のグループの中から積付け効率の高い組み合わせをロジックで算出した後、その順番通りで搬送路で搬送して自動機に供給する必要があり、そのためのプログラムロジックや、搬送路で効率よい順番で供給する機能、例えば、マルチシャトルシステム、コンベアバッファシステムなど大規模な順建て装置を要するばかりでなく、積付け後においても大小の混在した物品100が荷役台12上にランダムに積付けられている状態となり、不安定な積み方になって荷崩れを生じやすいという問題があった。
【0006】
本発明はこうした従来技術に係る問題点を解決することを企図したものであり、順建てを不要にすると共に、棒積み方式により、順建て装置を不要にすると共に、荷役台上に積載効率の高いパターンで荷崩れなく安定的な積付けを可能にした物品積付装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、複数種のサイズの物品を積付ける装置として棒積み方式を採用することで、順建て機能を不要とし、低コストで安定的な積付けを可能にすることを見出し、本発明の完成に至った。
【0008】
すなわち、本発明の物品積付装置は、ミックスサイズの箱形状の物品を搬送路で搬送し、荷役台上に自動積付けする物品積付装置であって、前記物品を縦横のサイズが同一または近似するサイズ毎にグループ分けし、当該サイズ毎に前記荷役台に積載すべき番地をグループデータとして格納すると共に、当該グループデータを組合わせて積載効率の高いパターンをロジックとして格納するデータベースと、前記データベースからの情報に基づいて、前記荷役台上の所定の番地に積載効率の高いグループの配置組み合わせにより当該サイズの物品をセットし棒状に積付けていく自動機とを備えたことを特徴としている。
【0009】
さらに好ましくは、前記自動機は、前記荷役台に前記物品を搬入する搬送路と、前記搬送路の上部に設けられた、前記搬送路と同方向に駆動されるY移動体及び前記搬送路と直交方向に駆動されるX移動体と、前記X移動体に取り付けられたクランプホルダに支持され、上下に駆動されるクランプアームとを備え、前記データベースの情報に基づいて前記クランプアームで前記搬送路上の物品を掴み、前記荷役台の所定の番地に棒積みするようにした構成である。
【0010】
さらに好ましくは、前記Y移動体は、Y方向に向くYレールに沿って移動するガイド部材を両側に有し、かつ前記Yレールと直交する両側にはXレールが設けられた枠体であり、前記X移動体は、前記Xレールに沿って移動するガイド部材を両側に有し、下部に前記クランプホルダが取り付けられた枠体であり、前記X移動体及びY移動体は、前記データベースの情報に基づいてそれぞれY方向及びX方向に駆動される構成である。
【0011】
さらに好ましくは、前記荷役台は、パレット、台車、または搬送用トレイのいずれかとすることも可能である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の物品積付装置によれば、棒積み方式により、順建て装置を不要にすると共に、荷役台上に積載効率の高いパターンで荷崩れなく安定的な積付けが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る物品積付装置を概念的に示すシステム構成図である。
図2】本発明の物品積付装置に使用される自動機の一実施の形態を示す斜視図である。
図3】荷役台上での物品の棒積み番地の例を示す上面図である。
図4】ミックサイズの物品におけるサイズの一例を示す図である。
図5】自動機の制御回路の一例を示すブロック図である。
図6】従来の順建て方式の物品積付装置を概念的に示すシステム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を、図面に表わした実施形態を用いてより詳細に説明する。但し、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した技術思想によってのみ限定されるものである。
【0015】
図1は、本発明の物品積付装置の実施の形態を概念的に示すシステム構成図である。図6に示す従来例と同様、数字1~8で示す8種類のサイズの積付け予定グループの物品100を自動機11でパレットに積付けていく場合の例である。本発明では、ミックスサイズの物品100を、従来のように順建てを行うことなく、ランダムに搬送路10から自動機11に供給し、自動機11でパレット12に棒積みにより積付けていくものである。すなわち、従来のように順建てした後に搬送路10に送り込むことなく、ランダムに搬送路10に送り込み、搬送路10から自動機11に供給する。自動機11は、物品100のサイズ毎のグループ分けしたグループデータ、及び物品の積載効率を最大限にする積載組合せを生成するロジックが格納されているデータベース31の情報に基づいて制御され、後述するように、物品100を自動機11でパレット12に棒積みにより積付けていくものである。次に、自動機11の構成を図2により説明する。
【0016】
図2は、本発明の物品積付装置に使用される自動機11の実施の形態を示す斜視図である。同図に示すように、本実施形態の物品積付装置は、基本的には、ローラコンベア等の搬送路10と、棒積み用の自動機11と、荷役台であるパレット12とを備えている。
【0017】
自動機11は、上下動するクランプアーム16を横方向(X方向)及び前後方向(Y方向)に駆動して物品をパレット12に棒積みするものである。ローラコンベア等の搬送路10の上方に、搬送路10の搬送方向(Y方向)に移動するY移動体13と、Y移動体13に支持され、Y移動体13と直交する方向に移動するX移動体14と、X移動体14に取り付けられたクランプホルダ15と、クランプホルダ15に支持されるクランプアーム16とを備えている。
【0018】
Y移動体13は、長方形の枠体17のX方向両側には車輪19が設けられ、Y方向の両側下部に一対のレール18が設けられたものであり、この車輪19がY方向の一対のレール20上を転動してY移動体13がY方向に移動するようになっている。なお、車輪19に代えてレール20上を摺動するガイド部材を使用することができる。
【0019】
X移動体14は下部に4個の車輪21を有し、この車輪21がY移動体13のレール18上で転動し、X移動体14がX方向に移動するようになっている。なお、車輪21に代えてレール18上を摺動するガイド部材を使用することができる。
【0020】
X移動体14の下部にはクランプホルダ15が取り付けられ、クランプホルダ15にはワイヤ等により上下動する一対のクランプアーム16が装着されている。クランプアーム16は周知のクランプ開閉機構により開閉操作されて物品100を両側から掴むようになっている。
【0021】
自動機11の下方にはローラコンベア等の搬送路10が設置されており、選別機(図示せず)から送られてくる物品100を搬送する。搬送路10の前方には、物品100を積付ける荷役台であるパレット12がパレットコンベア24上に設置されている。このパレット12の両側(片側のみ図示)にはエアシリンダ22により駆動されるプッシャ23が設けられている。
【0022】
搬送路10の直前(図の右方)には、物流センタの荷捌き場があり、ここで物品は上記自動機11に到着する以前にプログラム上でグループ分けができている。
【0023】
図3は、パレット12で棒積みする場合の番地を示す上面イメージ図である。棒積みする物品は四角形状の段ボールケースまたはプラスチックケースであり、A~Gはグループ分けされた物品100の棒積みされる位置(番地)を示す概念図であり、図4はサイズグループの一例を示している。
【0024】
図3に示す、Aの位置(番地)には、図4のW(横寸法)が201~220mm、L(縦寸法)が220~240mmのサイズの物品、Bの位置には、Wが180~150mm、Lが150~170mmのサイズの物品、さらに、Cの位置には、Wが400~450mm、Lが400~450mmのサイズの物品がそれぞれ積付けられることを示している。同様にして、D~Gの位置にも予め決められたサイズの物品が積付けられる(サイズの例示は省略)。
【0025】
図5は、自動機11の制御用のブロック回路の一例である。上記のようなグループ分けの情報は、情報処理装置(図示せず)のデータベース31にプログラムとして格納されており、搬送路10に搬入される以前にパレット12上の番地(積付け位置)が決まっている。積付けする物品の種類(サイズ)は、積付け、物流を行うユーザにより、あるいは積付けする日によっても異なり、それらの情報に基づいて図3及び図4に示すようなグループ分けのプログラム31aを組み、これをデータベース30に格納する。さらに、データベース31には、グループ分けのデータを組合わせて積載効率、すなわち、パレット上にできるだけ多数の物品を積載できる積載効率の高いパターンを生成するロジック31bを組合わせデータとして格納する。
【0026】
物品100のサイズ等の情報は、物品100のケースに表示されており、この情報は搬送路10に搬入されて自動機11に到着する以前にセンサ30で読み取られて、そのサイズ情報がデータベース31に送信され、データベース31から自動機11の制御回路32に制御情報が送信され、この制御回路32により自動機11が駆動される。
【0027】
物品100はサイズが混在のまま搬送路10でパレット12の方向に搬送され、パレット12の直前で一時停止する。ここで、制御回路32からの出力により自動機11が制御される。すなわち、自動機11のY移動体13が車輪19を介してレール20上でY方向に駆動されると共に、X移動体14が車輪21を介してレール18上でX方向に駆動され、搬送路10の先頭の物品100Aの上方でクランプアーム16が下降し、物品100Aをクランプアーム16で掴んで持ち上げ、プログラムで設定された番地、例えばAの位置にセットする。以下、同様にして次々と搬送路10上の物品100を決められたA~G番地に持っていき、図1に示すように、同一もしくは近似サイズの物品を同じ番地に棒状に積付ける、いわゆる棒積みによりパレット12に積付けていく。この際、自動機11は、データベース31にロジックとして記憶されている積載効率の高いパターンにしたがって物品100を選んでいき、当該番地に棒積みで積載していくことができる。
【0028】
A~G番地に棒積みされる物品100は、横(W)と縦(L)のサイズが同一サイズの物品はずれることなく、棒状に積付けられるが、図4に示すような近似サイズの物品の場合は、その中心を合致させた状態で棒積みしていくことにより、多少でこぼこがあっても安定的に棒積みされる。なお、物品100の横(W)と縦(L)のサイズが同一または近似していれば、高さが異なっていても同じ番地に積付けることができる。
【0029】
棒積みが完了した後、プッシャ23により二方(片側のプッシャのみ図示)から積付けられた物品をプッシュし、形を整えた後、パレット12をパレットコンベア24により移動させて車両で運搬する。なお、図示のパレット12に代えて、かご台車その他の台車や搬送用トレイを使用する場合もあり、パレット以外の荷役台を使用することができる。
【0030】
以上述べたように、本発明の実施の形態の物品積付装置によれば、物品をサイズ毎にグループ分けをし、かつこのグループデータを組合わせて積載効率の高いパターンの配置組合せのプログラムロジックをデータベース31に格納し、その情報に基づいて自動機11を制御し、同一もしくは近似サイズの物品を同じ番地に棒状に棒積みによりパレット12に積付けていくようにしたので、従来の順建て装置が不要となり、ランダムに搬送路10から供給していくことが可能となると共に、横(W)と縦(L)のサイズが同一または近似サイズの物品はずれることなく安定して棒状に積付けることができると共に、積載組合せロジックにより積載効率が最も高いパターンにより積載することができ、一定の面積のパレット12により多くの物品を安定的に積載することが可能となる。
【0031】
また、棒積みする自動機11もY移動体13とX移動体14とクランプアーム16の簡単な構成で実現でき、複雑な積付けロボットが不要になり、低コストで棒積みの物品積付装置を提供することが可能となる。
【0032】
以上、本発明を図面を用いて詳細に説明したが、これは本発明の一実施形態であり、この実施形態によって本発明が限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明の物品積付装置は、段ボールケースのほかプラスチックケース、木材ケース等、箱形状の全ての物品に適用するできる。
【符号の説明】
【0034】
10 搬送路
11 自動機
12 パレット(荷役台)
13 Y移動体
14 X移動体
15 クランプホルダ
16 クランプアーム
17 枠体
18 レール
19 車輪(ガイド部材)
20 レール
21 車輪(ガイド部材)
22 プッシャ
31 データベース
31a グループ分けデータ
31b 積載組合せデータ
32 制御回路
100 物品
図1
図2
図3
図4
図5
図6