(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-26
(45)【発行日】2023-07-04
(54)【発明の名称】表示制御装置、表示システム、表示制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 7/18 20060101AFI20230627BHJP
B60R 1/20 20220101ALI20230627BHJP
B60R 1/27 20220101ALI20230627BHJP
B60R 1/28 20220101ALI20230627BHJP
【FI】
H04N7/18 J
B60R1/20 100
B60R1/27
B60R1/28 100
(21)【出願番号】P 2019042998
(22)【出願日】2019-03-08
【審査請求日】2021-10-29
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】一ノ瀬 壮大
【審査官】益戸 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-029865(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
H04N 23/00
B60R 1/20
G06T 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周辺を撮影する複数の撮影部が撮影した周辺映像データを取得する映像データ取得部と、
前記車両の進行方向の情報を取得する車両情報取得部と、
前記車両の周囲の環境情報を取得する環境情報取得部と、
前記映像データ取得部が取得した周辺映像データに視点変換処理および合成処理を行い、前記車両から所定の表示範囲を表示する俯瞰映像を生成する俯瞰映像生成部と、
前記車両情報取得部が取得した車両情報に基づき、前記俯瞰映像生成部が生成した俯瞰映像を表示するか否かを判定し、前記俯瞰映像生成部が生成した俯瞰映像を表示すると判定された場合に、前記環境情報取得部が環境情報を取得し、前記環境情報取得部が取得した環境情報に基づき、前記俯瞰映像生成部が生成した俯瞰映像の表示範囲を変更して
、通常の表示範囲の俯瞰映像、または、通常よりも広い表示範囲の俯瞰映像を表示部に表示させる表示制御部と、
を備える表示制御装置。
【請求項2】
前記環境情報取得部は、前記車両の周囲の気象に関する情報を取得し、
前記表示制御部は、前記車両の周囲の気象に関する情報が荒天を示している場合、前記俯瞰映像生成部が生成した俯瞰映像の表示範囲を広く変更して表示部に表示させる、
請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記車両の周囲の気象に関する情報が荒天を示している場合、前記俯瞰映像生成部が生成した俯瞰映像の進行方向における表示範囲を広く変更して表示部に表示させる、
請求項1または2に記載の表示制御装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記環境情報取得部が取得した気象に関する情報が、降雨、降雪、強風および寒波の少なくともいずれかを示している場合、荒天を示していると判断する、
請求項2または3に記載の表示制御装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の表示制御装置と、
前記映像データ取得部が周辺映像データを取得する複数の撮影部、前記表示制御部が俯瞰映像を表示させる表示部の少なくともいずれかと、
を備えることを特徴とする表示システム。
【請求項6】
車両の周辺を撮影する複数の撮影部が撮影した周辺映像データを取得する映像データ取得ステップと、
前記車両の進行方向の情報を取得する車両情報取得ステップと、
前記車両の周囲の環境情報を取得する環境情報取得ステップと、
前記映像データ取得ステップにおいて取得した周辺映像データに視点変換処理および合成処理を行い、前記車両から所定の表示範囲を表示する俯瞰映像を生成する俯瞰映像生成ステップと、
前記車両情報取得ステップで取得した車両情報に基づき、前記俯瞰映像生成ステップで生成した俯瞰映像を表示するか否かを判定し、前記俯瞰映像生成ステップで生成した俯瞰映像を表示すると判定された場合に、前記環境情報取得ステップで環境情報を取得し、前記環境情報取得ステップにおいて取得した環境情報に基づき、前記俯瞰映像生成ステップで生成した俯瞰映像の表示範囲を変更して
、通常の表示範囲の俯瞰映像、または、通常よりも広い表示範囲の俯瞰映像を表示部に表示させる表示制御ステップと、
を含む表示制御方法。
【請求項7】
車両の周辺を撮影する複数の撮影部が撮影した周辺映像データを取得する映像データ取得ステップと、
前記車両の進行方向の情報を取得する車両情報取得ステップと、
前記車両の周囲の環境情報を取得する環境情報取得ステップと、
前記映像データ取得ステップにおいて取得した周辺映像データに視点変換処理および合成処理を行い、前記車両から所定の表示範囲を表示する俯瞰映像を生成する俯瞰映像生成ステップと、
前記車両情報取得ステップで取得した車両情報に基づき、前記俯瞰映像生成ステップで生成した俯瞰映像を表示するか否かを判定し、前記俯瞰映像生成ステップで生成した俯瞰映像を表示すると判定された場合に、前記環境情報取得ステップで環境情報を取得し、前記環境情報取得ステップにおいて取得した環境情報に基づき、前記俯瞰映像生成ステップで生成した俯瞰映像の表示範囲を変更して
、通常の表示範囲の俯瞰映像、または、通常よりも広い表示範囲の俯瞰映像を表示部に表示させる表示制御ステップと、
を、表示制御装置として動作するコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示制御装置、表示システム、表示制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両が後退する場合など、車両の周囲を確認する必要がある場合に、車両の周囲の俯瞰映像を表示する技術が知られている。また、第1俯瞰画像と、第1俯瞰画像より拡大率の小さい第2俯瞰画像とを並べて合成した合成画像を生成する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、車両の周辺環境が降雨、降雪、強風および寒波などのように、他車両および歩行者などの周囲の状況確認が困難となる場合がある。車両の周囲の状況確認が不十分であると、近接してきた他車両に気付くのが遅れるおそれがある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、車両の周囲の環境に応じて適切に俯瞰映像を表示させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る表示制御装置は、車両の周辺を撮影する複数の撮影部が撮影した周辺映像データを取得する映像データ取得部と、前記車両の周囲の環境情報を取得する環境情報取得部と、前記映像データ取得部が取得した周辺映像データに視点変換処理および合成処理を行い、前記車両から所定の表示範囲を表示する俯瞰映像を生成する俯瞰映像生成部と、前記環境情報取得部が取得した環境情報に基づき、前記俯瞰映像生成部が生成した俯瞰映像の表示範囲を変更して表示部に表示させる表示制御部とを備えることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る表示システムは、上記の表示制御装置と、前記映像データ取得部が周辺映像データを取得する複数の撮影部、前記表示制御部が俯瞰映像を表示させる表示部の少なくともいずれかとを備える。
【0008】
本発明に係る表示制御方法は、車両の周辺を撮影する複数の撮影部が撮影した周辺映像データを取得する映像データ取得ステップと、前記車両の周囲の環境情報を取得する環境情報取得ステップと、前記映像データ取得ステップにおいて取得した周辺映像データに視点変換処理および合成処理を行い、前記車両から所定の表示範囲を表示する俯瞰映像を生成する俯瞰映像生成ステップと、前記環境情報取得ステップにおいて取得した環境情報に基づき、前記俯瞰映像生成ステップで生成した俯瞰映像の表示範囲を変更して表示部に表示させる表示制御ステップとを含む。
【0009】
本発明に係るプログラムは、車両の周辺を撮影する複数の撮影部が撮影した周辺映像データを取得する映像データ取得ステップと、前記車両の周囲の環境情報を取得する環境情報取得ステップと、前記映像データ取得ステップにおいて取得した周辺映像データに視点変換処理および合成処理を行い、前記車両から所定の表示範囲を表示する俯瞰映像を生成する俯瞰映像生成ステップと、前記環境情報取得ステップにおいて取得した環境情報に基づき、前記俯瞰映像生成ステップで生成した俯瞰映像の表示範囲を変更して表示部に表示させる表示制御ステップとを表示制御装置として動作するコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、車両の周囲の環境に応じて適切に俯瞰映像を表示させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、第一実施形態に係る表示システムの構成例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、第一実施形態に係る表示システムの表示制御装置で生成した俯瞰映像の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、第一実施形態に係る表示システムの表示制御装置における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、第一実施形態に係る表示システムの表示制御装置で生成した俯瞰映像の他の例を示す図である。
【
図5】
図5は、第二実施形態に係る表示システムの表示制御装置における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、第二実施形態に係る表示システムの表示制御装置で生成した俯瞰映像の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、第二実施形態に係る表示システムの表示制御装置で生成した俯瞰映像の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る表示制御装置50、表示システム1、表示制御方法及びプログラムの実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0013】
[第一実施形態]
図1は、第一実施形態に係る表示システムの構成例を示すブロック図である。表示システム1は、例えば、車両の周囲の環境情報に基づき、俯瞰映像100(
図2参照)の表示範囲を変更して表示させる。表示システム1は、車両に搭載されている。表示システム1は、車両に載置されているものに加えて、可搬型で車両において利用可能な装置であってもよい。
【0014】
表示システム1は、前俯瞰映像用カメラ(撮影部)11と、後俯瞰映像用カメラ(撮影部)12と、左俯瞰映像用カメラ(撮影部)13と、右俯瞰映像用カメラ(撮影部)14と、表示部21と、インターフェース部31と、表示制御装置50とを有する。
【0015】
前俯瞰映像用カメラ11は、俯瞰映像用カメラである。前俯瞰映像用カメラ11は、車両の前方に配置され、車両の前方を中心とした周辺を撮影する。前俯瞰映像用カメラ11は、例えば、180°程度の撮影範囲を撮影する。撮影範囲は、俯瞰映像100の表示範囲より車両の前方に広い範囲を含む。前俯瞰映像用カメラ11は、撮影した周辺映像データを表示制御装置50の映像データ取得部51へ出力する。
【0016】
後俯瞰映像用カメラ12は、俯瞰映像用カメラである。後俯瞰映像用カメラ12は、車両の後方に配置され、車両の後方を中心とした周辺を撮影する。後俯瞰映像用カメラ12は、例えば、180°程度の撮影範囲を撮影する。撮影範囲は、俯瞰映像100の表示範囲より車両の後方に広い範囲を含む。後俯瞰映像用カメラ12は、撮影した周辺映像データを表示制御装置50の映像データ取得部51へ出力する。
【0017】
左俯瞰映像用カメラ13は、俯瞰映像用カメラである。左俯瞰映像用カメラ13は、車両の左側方に配置され、車両の左側方を中心とした周辺を撮影する。左俯瞰映像用カメラ13は、例えば、180°程度の撮影範囲を撮影する。撮影範囲は、俯瞰映像100の表示範囲より車両の左側方に広い範囲を含む。左俯瞰映像用カメラ13は、撮影した周辺映像データを表示制御装置50の映像データ取得部51へ出力する。
【0018】
右俯瞰映像用カメラ14は、俯瞰映像用カメラである。右俯瞰映像用カメラ14は、車両の右側方に配置され、車両の右側方を中心とした周辺を撮影する。右俯瞰映像用カメラ14は、例えば、180°程度の撮影範囲を撮影する。撮影範囲は、俯瞰映像100の表示範囲より車両の右側方に広い範囲を含む。右俯瞰映像用カメラ14は、撮影した周辺映像データを表示制御装置50の映像データ取得部51へ出力する。
【0019】
前俯瞰映像用カメラ11と後俯瞰映像用カメラ12と左俯瞰映像用カメラ13と右俯瞰映像用カメラ14とで、車両の全方位を撮影する。
【0020】
表示部21は、一例としてはナビゲーションシステムを含む他のシステムと共用した表示装置などである。表示部21は、必要なタイミングで、車両の周囲を確認するためのモニタである。表示部21は、車両の周囲を確認することができれば、様々な形態をとりうることがでる。表示パネルの一例としては、電子ルームミラーを用いたり、インストルメントパネルの機能とすることも可能である。表示部21は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)または有機EL(Organic Electro-Luminescence)ディスプレイなどを含むディスプレイである。表示部21は、運転者から視認容易な位置に配置されている。本実施形態では、表示部21は、車両の運転者前方の、ダッシュボード、インストルメントパネル、センターコンソールなどに配置されている。表示部21は、表示制御装置50の表示制御部55から出力された映像信号に基づき、車両の俯瞰映像100を表示する。
【0021】
インターフェース部31は、環境情報取得部52が車両の周辺の環境情報を取得するための情報源に接続するインターフェースである。インターフェース部31は、例えば、Wi-Fi(登録商標)や電話等の通信回線などに接続し、外部の情報源であるサーバ等から、車両の現在位置に該当する環境情報を取得する。
【0022】
表示制御装置50は、車両の周囲を確認するための俯瞰映像100を提供する。より詳しくは、表示制御装置50は、例えば、車両の周囲の環境情報に基づき、俯瞰映像100の表示範囲を変更して表示させるように制御する。
【0023】
表示制御装置50は、例えば、CPU(Central Processing Unit)や映像処理用プロセッサなどで構成された演算処理装置(制御部)である。表示制御装置50は、図示しない記憶部に記憶されているプログラムをメモリにロードして、プログラムに含まれる命令を実行する。表示制御装置50は、映像データ取得部51と、環境情報取得部52と、車両情報取得部53と、俯瞰映像生成部54と、表示制御部55と、内部メモリである記憶部とが含まれる。表示制御装置50は、一または複数の装置で構成されていてもよい。
【0024】
映像データ取得部51は、車両の周辺を撮影した周辺映像データを取得する。より詳しくは、映像データ取得部51は、前俯瞰映像用カメラ11と後俯瞰映像用カメラ12と左俯瞰映像用カメラ13と右俯瞰映像用カメラ14とが出力した周辺映像データを取得する。映像データ取得部51は、取得した周辺映像データを俯瞰映像生成部54に出力する。
【0025】
車両情報取得部53は、車両のギア操作情報など、駐車支援表示トリガである駐車開始トリガまたは駐車終了トリガとなる車両情報を、CAN(Controller Area Network)や車両の状態をセンシングする各種センサなどから取得する。車両情報取得部53は、車両情報として、CANや各種センサなどから取得した車両の進行方向の情報を取得する。車両情報取得部53は、取得した車両情報を表示制御部55に出力する。
【0026】
環境情報取得部52は、インターフェース部31を介して取得した、車両の周囲の環境情報を示す環境情報を取得する。本実施形態では、環境情報取得部52は、車両の周囲の気象に関する情報を取得する。環境情報取得部52は、取得した環境情報を表示制御部55に出力する。
【0027】
俯瞰映像生成部54は、映像データ取得部51で取得した周辺映像データに視点変換処理および合成処理を行い、車両から所定の表示範囲を表示する俯瞰映像100を生成する。俯瞰映像生成部54は、生成した俯瞰映像100を表示制御部55に出力する。俯瞰映像生成部54は、視点変換処理部541と、切出処理部542と、合成処理部543とを有する。
【0028】
視点変換処理部541は、映像データ取得部51で取得した周辺映像データに対して、車両を上方から見下ろすように視点変換処理を行う。より詳しくは、視点変換処理部541は、前俯瞰映像用カメラ11と後俯瞰映像用カメラ12と左俯瞰映像用カメラ13と右俯瞰映像用カメラ14とで撮影した周辺映像データに基づいて、視点変換処理を行った映像を生成する。視点変換処理の方法は、公知のいずれの方法でもよく、限定されない。視点変換処理部541は、視点変換処理を行った周辺映像データを切出処理部542に出力する。
【0029】
切出処理部542は、視点変換処理を行った周辺映像データから所定の範囲の映像を切出す切出処理を行う。どの範囲を切出範囲とするかは、あらかじめ登録され記憶されている。切出処理部542は、切出処理を行った映像の映像データを合成処理部543に出力する。
【0030】
合成処理部543は、切出処理を行った映像データを合成する合成処理を行う。合成処理部543は、合成した映像に車両アイコン110を表示した俯瞰映像100を生成する。
【0031】
図2を用いて、俯瞰映像100について説明する。
図2は、第一実施形態に係る表示システムの表示制御装置で生成した俯瞰映像の一例を示す図である。
図2に示す俯瞰映像100を、通常の俯瞰映像100という。俯瞰映像100は、車両から2m程度の範囲を表示する。俯瞰映像100は、前方映像101と後方映像102と左側方映像103と右側方映像104とで囲まれた中央部に位置する車両アイコン110とを含む。車両アイコン110は、車両の位置と向きとを示す。車両アイコン110は、前後方向を俯瞰映像100の前後方向と平行にして、中央部に配置されている。
【0032】
表示制御部55は、俯瞰映像生成部54が生成する俯瞰映像100を表示部21に表示させる。表示制御部55は、環境情報取得部52が取得した環境情報に基づき、俯瞰映像生成部54が生成した俯瞰映像100の表示範囲を変更して表示部21に表示させる。
【0033】
表示範囲を変更するとは、表示範囲を広くすること、狭くすること、および、表示範囲をいずれかの方向にずらすことを含む。表示範囲を広くすると、俯瞰映像100には、車両の周囲の広い範囲が表示される。表示範囲を狭くすると、俯瞰映像100には、車両の周囲の狭い範囲が拡大されて表示される。表示範囲をずらすと、俯瞰映像100には、ずらした方向の広い範囲が表示される。本実施形態では、表示範囲を広くするものとして説明する。
【0034】
俯瞰映像生成部54は、
図2に示される通常の俯瞰映像100より広い範囲の俯瞰映像を生成する。
図2に示される通常の俯瞰映像100は、表示制御部55によって、俯瞰映像生成部54が生成した俯瞰映像から、車両の周囲の確認に必要な範囲であり、視点変換処理による映像の歪みが少ない範囲が表示されている。
【0035】
表示制御部55は、車両の周囲の気象に関する情報が荒天を示している場合、俯瞰映像生成部54が生成した俯瞰映像100の表示範囲を広く変更して表示部21に表示させる。表示制御部55は、環境情報取得部52が取得した気象に関する情報が、降雨、降雪、強風および寒波の少なくともいずれかを示している場合、荒天を示していると判断してもよい。降雨、降雪、強風および寒波に限定するものではなく、車両の周囲の視界が悪くなる他の気象状態を含む。
【0036】
次に、
図3を用いて、表示システム1の表示制御装置50における処理の流れについて説明する。
図3は、第一実施形態に係る表示システムの表示制御装置における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0037】
表示システム1が起動されると、表示制御装置50は、映像データ取得部51で周辺映像データを取得する。表示制御装置50は、車両情報取得部53で車両情報を取得する。
【0038】
表示制御装置50は、俯瞰映像表示を開始するか否かを判定する(ステップS101)。例えば、表示制御装置50は、車両情報取得部53で取得した車両情報に基づいて、シフトポジションが「リバース」とされたこと、または、車両の進行方向が後方になった場合、俯瞰映像表示を開始すると判定する。例えば、表示制御装置50は、車両情報取得部53で取得した車両情報に基づいて、ユーザの操作に基づく俯瞰映像100の表示指示が検出された場合、俯瞰映像表示を開始すると判定してもよい。表示制御装置50は、俯瞰映像表示を開始すると判定した場合(ステップS101でYes)、ステップS102へ進む。表示制御装置50は、俯瞰映像表示を開始すると判定しない場合(ステップS101でNo)、ステップS101の処理を再度実行する。
【0039】
俯瞰映像表示を開始すると判定した場合(ステップS101でYes)、表示制御装置50は、環境情報取得部52によって、環境情報を取得する(ステップS102)。表示制御装置50は、ステップS103へ進む。
【0040】
表示制御装置50は、俯瞰映像100を生成する(ステップS103)。より詳しくは、表示制御装置50は、俯瞰映像生成部54によって、俯瞰映像100を生成する。表示制御装置50は、ステップS104へ進む。
【0041】
表示制御装置50は、環境情報が荒天を示すか否かを判定する(ステップS104)。より詳しくは、表示制御装置50は、環境情報取得部52で取得した環境情報に基づいて、例えば、降雨、降雪、強風および寒波の少なくともいずれかであることを示す場合、環境情報が荒天を示すと判定する。表示制御装置50は、環境情報が荒天を示すと判定した場合(ステップS104でYes)、ステップS105へ進む。表示制御装置50は、環境情報が荒天を示すと判定しない場合(ステップS104でNo)、ステップS106へ進む。
【0042】
環境情報が荒天を示すと判定した場合(ステップS104でYes)、表示制御装置50は、通常より広い表示範囲の俯瞰映像100を表示する(ステップS105)。より詳しくは、
図4に示すように、表示制御装置50は、俯瞰映像生成部54で生成した俯瞰映像100を、通常より広い表示範囲で表示部21に表示させる映像信号を出力する。
図4は、第一実施形態に係る表示システムの表示制御装置で生成した俯瞰映像の他の例を示す図である。
図4に示す俯瞰映像100は、車両アイコン110を中心にして、前方映像101と後方映像102と左側方映像103と右側方映像104とが、
図2に示す通常の俯瞰映像100より広く表示されている。
図4に示す俯瞰映像100は、
図2に示す通常の俯瞰映像100に比べて、車両アイコン110が小さくなっている。表示制御装置50は、ステップS107へ進む。
【0043】
環境情報が荒天を示すと判定しない場合(ステップS104でNo)、表示制御装置50は、通常の表示範囲の俯瞰映像100を表示する(ステップS106)。より詳しくは、表示制御装置50は、
図2に示すような、俯瞰映像生成部54で生成した俯瞰映像100を通常の表示範囲で表示部21に表示させる映像信号を出力する。表示制御装置50は、ステップS107へ進む。
【0044】
表示制御装置50は、俯瞰映像表示を終了するか否かを判定する(ステップS107)。より詳しくは、表示制御装置50は、車両情報取得部53で取得した車両情報に基づいて、シフトポジションが「リバース」から「ドライブ」などにされたこと、または、車両の進行方向が前方になった場合、俯瞰映像表示を終了すると判定する。例えば、表示制御装置50は、車両情報取得部53で取得した車両情報に基づいて、ユーザの操作に基づく俯瞰映像100の表示終了指示が検出された場合、俯瞰映像表示を終了すると判定してもよい。表示制御装置50は、俯瞰映像表示を終了すると判定した場合(ステップS107でYes)、処理を終了する。表示制御装置50は、俯瞰映像表示を終了すると判定しない場合(ステップS107でNo)、ステップS107の処理を再度実行する。
【0045】
このように、車両の周囲の環境情報に基づき、俯瞰映像100の表示範囲を変更して表示させる。
【0046】
上述したように、本実施形態によれば、車両の周囲の環境に応じて適切に俯瞰映像100を表示させることができる。実施形態は、車両の周囲の気象に関する情報が、例えば、降雨、降雪、強風および寒波のような荒天を示している場合、俯瞰映像100の表示範囲を広く変更して表示させることができる。これにより、本実施形態は、運転者が、他車両および歩行者などの周囲の目視での状況確認が困難となる場合に、俯瞰映像100の表示範囲を広く変更して表示することによって、周囲の状況確認を支援することができる。また、本実施形態は、俯瞰映像100の表示範囲を広く変更して表示することによって、車両の周囲の見通しが悪い場合でも、近接してきた他車両を発見しやすくすることができる。
【0047】
[第二実施形態]
図5ないし
図7を参照しながら、本実施形態に係る表示システム1について説明する。
図5は、第二実施形態に係る表示システムの表示制御装置における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図6は、第二実施形態に係る表示システムの表示制御装置で生成した俯瞰映像の一例を示す図である。
図7は、第二実施形態に係る表示システムの表示制御装置で生成した俯瞰映像の他の例を示す図である。表示システム1は、基本的な構成は第一実施形態の表示システム1と同様である。表示システム1は、車両情報取得部53と表示制御部55における処理が第一実施形態と異なる。
【0048】
車両情報取得部53は、車両情報として、車両の進行方向の情報を取得する。
【0049】
表示制御部55は、車両の周囲の気象に関する情報が荒天を示している場合、俯瞰映像生成部54が生成した俯瞰映像100の進行方向における表示範囲を広く変更して表示部21に表示させる。より詳しくは、表示制御部55は、車両の周囲の気象に関する情報が荒天を示している場合、俯瞰映像100の進行方向における表示範囲を他の方向より広く変更して表示部21に表示させる。または、表示制御部55は、車両の周囲の気象に関する情報が荒天を示している場合、通常の俯瞰映像100より広い表示範囲として、かつ、進行方向における表示範囲を他の方向より広く変更して表示部21に表示させてもよい。
【0050】
例えば、車両が前進している場合、表示制御部55は、俯瞰映像100における前方の表示範囲を広く変更する。例えば、車両が後退している場合、表示制御部55は、俯瞰映像100における後方の表示範囲を広く変更する。例えば、車両が前進しながら右方向に旋回している場合、表示制御部55は、俯瞰映像100における右前方の表示範囲を広く変更する。例えば、車両が前進しながら左方向に旋回している場合、表示制御部55は、俯瞰映像100における左前方の表示範囲を広く変更する。
【0051】
次に、
図5を用いて、表示システム1の表示制御装置50における処理の流れについて説明する。ステップS111ないしステップS114、ステップS116、ステップS117の処理は、
図3に示すフローチャートのステップS101ないしステップS104、ステップS106、ステップS107と同様の処理を行う。
【0052】
表示制御装置50は、通常より進行方向に広い表示範囲の俯瞰映像100を表示する(ステップS115)。より詳しくは、表示制御装置50は、俯瞰映像生成部54で生成した俯瞰映像100が、通常より広い進行方向に表示範囲で表示部21に表示させる映像信号を出力する。表示制御装置50は、ステップS117へ進む。
【0053】
図6、
図7を用いて、ステップS115で生成される俯瞰映像100について説明する。車両は後退しているものとする。
図6に示す俯瞰映像100は、後方映像102の表示範囲が広くなるように、表示範囲が変更されている。
図6に示す俯瞰映像100は、
図2に示す通常の俯瞰映像100に比べて、車両アイコン110が前側にずれている。
図7に示す俯瞰映像100は、
図2に示す通常の俯瞰映像100より表示範囲が広く、かつ、後方映像102の表示範囲が広く変更されている。
図7に示す俯瞰映像100は、
図2に示す通常の俯瞰映像100に比べて、車両アイコン110が小さくなっている。
【0054】
このように、車両の周囲の気象に関する情報が荒天を示している場合、俯瞰映像100の進行方向における表示範囲を広く変更して表示させる。
【0055】
上述したように、本実施形態によれば、車両の周囲の気象に関する情報が荒天を示している場合、俯瞰映像100の進行方向における表示範囲を広く変更して表示させることができる。これにより、本実施形態は、周囲の状況確認をより適切に支援することができる。
【0056】
図示した表示システム1の各構成要素は、機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていなくてもよい。すなわち、各装置の具体的形態は、図示のものに限られず、各装置の処理負担や使用状況などに応じて、その全部または一部を任意の単位で機能的または物理的に分散または統合してもよい。
【0057】
表示システム1の構成は、例えば、ソフトウェアとして、メモリにロードされたプログラムなどによって実現される。上記実施形態では、これらのハードウェアまたはソフトウェアの連携によって実現される機能ブロックとして説明した。すなわち、これらの機能ブロックについては、ハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、または、それらの組み合わせによって種々の形で実現できる。
【0058】
上記に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものを含む。さらに、上記に記載した構成は適宜組み合わせが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において構成の種々の省略、置換または変更が可能である。
【符号の説明】
【0059】
1 表示システム
11 前俯瞰映像用カメラ(撮影部)
12 後俯瞰映像用カメラ(撮影部)
13 左俯瞰映像用カメラ(撮影部)
14 右俯瞰映像用カメラ(撮影部)
21 表示部
50 表示制御装置
51 映像データ取得部
52 環境情報取得部
53 車両情報取得部
54 俯瞰映像生成部
55 表示制御部
100 俯瞰映像