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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-26
(45)【発行日】2023-07-04
(54)【発明の名称】車両用前照灯
(51)【国際特許分類】
   F21S 41/33 20180101AFI20230627BHJP
   F21S 41/37 20180101ALI20230627BHJP
   F21S 41/148 20180101ALI20230627BHJP
   F21W 102/135 20180101ALN20230627BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20230627BHJP
   F21Y 115/15 20160101ALN20230627BHJP
【FI】
F21S41/33
F21S41/37
F21S41/148
F21W102:135
F21Y115:10
F21Y115:15
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019066118
(22)【出願日】2019-03-29
(65)【公開番号】P2020167024
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2022-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石井 雄一
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-099706(JP,A)
【文献】特開2014-216202(JP,A)
【文献】特開2015-149173(JP,A)
【文献】特開2012-059675(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/33
F21S 41/37
F21S 41/148
F21W 102/135
F21Y 115/10
F21Y 115/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源からの光を反射する反射面が設けられたリフレクタと、を備え、
前記光源は、発光面が矩形状であり、
前記リフレクタは、樹脂材料を用いて形成される本体部材上に前記反射面を構成する反射膜が配置されており、
前記反射面は、車両搭載状態における左右方向に分割線を介して並んで配置される複数のセグメントを有し、前記光源からの光を複数の前記セグメントごとに反射して車両搭載状態における前方の照射領域に互いに異なる形状の照射パターンを形成し、複数の前記セグメントのうち斜めカットオフラインを含む照射パターンを形成する斜めカットオフセグメントの前記左右方向の一方の前記分割線が、車両搭載状態における上下方向に対して傾いており、
前記リフレクタは、複数の前記セグメントのうち水平カットオフラインを含む照射パターンを形成する水平カットオフセグメントの前記左右方向の一方の前記分割線が、前記上下方向に対して傾いている
車両用前照灯。
【請求項2】
前記発光面は、車両搭載状態において前後方向に対向して配置される平行な2辺が当該車両搭載状態における左右方向に対して傾いた状態で配置される
請求項1に記載の車両用前照灯。
【請求項3】
前記リフレクタは、前記斜めカットオフセグメントの前記左右方向の他方の前記分割線が、車両搭載状態における上下方向に平行である
請求項1又は請求項2に記載の車両用前照灯。
【請求項4】
前記斜めカットオフセグメントと前記水平カットオフセグメントとは、前記上下方向に配置され、それぞれのセグメントの前記上下方向に対して傾いた前記分割線が一の線上に配置される
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の車両用前照灯。
【請求項5】
前記斜めカットオフセグメントは、前記上下方向において前記光源から最も離れた位置に配置され、
前記水平カットオフセグメントは、前記上下方向において前記光源に最も近接した位置に配置される
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の車両用前照灯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用前照灯に関する。
【背景技術】
【0002】
光源と、車両搭載状態における左右方向に分割線を介して並んで配置される複数のセグメントを有し、光源からの光を複数のセグメントごとに反射して車両搭載状態における前方の照射領域に互いに異なる形状の照射パターンを形成する反射面が設けられたリフレクタと、を備える車両用前照灯が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-149173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、上記のような車両用前照灯のリフレクタは、樹脂材料で本体部材を形成し、当該本体部材上に反射面となる金属膜を蒸着により形成することで製造される。このようなリフレクタでは、セグメント同士の分割線において段差が形成され、当該段差で反射された光が拡散してグレア光となる可能性がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、グレア光を抑制することが可能な車両用前照灯を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る車両用前照灯は、光源と、前記光源からの光を反射する反射面が設けられたリフレクタと、を備え、前記光源は、発光面が矩形状であり、前記リフレクタは、樹脂材料を用いて形成される本体部材上に前記反射面を構成する反射膜が配置されており、前記反射面は、車両搭載状態における左右方向に分割線を介して並んで配置される複数のセグメントを有し、前記光源からの光を複数の前記セグメントごとに反射して車両搭載状態における前方の照射領域に互いに異なる形状の照射パターンを形成し、複数の前記セグメントのうち斜めカットオフラインを含む照射パターンを形成する斜めカットオフセグメントの前記左右方向の一方の前記分割線が、車両搭載状態における上下方向に対して傾いている。
【0007】
また、前記発光面は、車両搭載状態において前後方向に対向して配置される平行な2辺が当該車両搭載状態における左右方向に対して傾いた状態で配置されてもよい。
【0008】
また、前記リフレクタは、前記斜めカットオフセグメントの前記左右方向の他方の前記分割線が、車両搭載状態における上下方向に平行であってもよい。
【0009】
また、前記リフレクタは、複数の前記セグメントのうち水平カットオフラインを含む照射パターンを形成する水平カットオフセグメントの前記左右方向の一方の前記分割線が、前記上下方向に対して傾いていてもよい。
【0010】
また、前記斜めカットオフセグメントと前記水平カットオフセグメントとは、前記上下方向に配置され、それぞれのセグメントの前記上下方向に対して傾いた前記分割線が一の線上に配置されてもよい。
【0011】
また、前記斜めカットオフセグメントは、前記上下方向において前記光源から最も離れた位置に配置され、前記水平カットオフセグメントは、前記上下方向において前記光源に最も近接した位置に配置されてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、グレア光を抑制することが可能な車両用前照灯を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本実施形態に係る車両用前照灯の一例を示す正面図である。
図2図2は、本実施形態に係る車両用前照灯の一例を示す断面図である。
図3図3は、本実施形態に係る車両用前照灯の一例を示す平面図である。
図4図4は、第1セグメントによって形成される第1照射パターンの一例を示す図である。
図5図5は、第2セグメントによって形成される第2照射パターンの一例を示す図である。
図6図6は、第3セグメントによって形成される第3照射パターンの一例を示す図である。
図7図7は、第4セグメントによって形成される第4照射パターンの一例を示す図である。
図8図8は、第5セグメントによって形成される第5照射パターンの一例を示す図である。
図9図9は、第6セグメントによって形成される第6照射パターンの一例を示す図である。
図10図10は、リフレクタによって形成されるロービームパターンの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る車両用前照灯の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。以下の説明において、前後(前方、後方)、上下(上方、下方)、左右(左方、右方)の各方向は、車両用前照灯が車両に取り付けられた状態における方向であって、運転席に座った状態で正面を見た場合における方向を示す。なお、本実施形態では、上下方向は鉛直方向に平行であり、左右方向は水平方向であるとする。
【0015】
図1から図3は、本実施形態に係る車両用前照灯100の一例を示す図である。図1は正面図、図2図1における光源10を含む断面による断面図、図3は平面図である。図1から図3に示すように、車両用前照灯100は、光源10と、リフレクタ20とを有する。本実施形態において、車両用前照灯100は、車両のヘッドランプとして用いられ、ロービーム照射パターンを車両前方に形成するリフレクタ型の灯具である。車両用前照灯100は、例えば車両の左右の前部に取り付けられる。車両用前照灯100は、例えば左右において対称の構成ではなく、左右において同一の構成とすることができる。
【0016】
光源10は、本実施形態において、例えばLEDやOEL、OLED(有機EL)などの半導体型光源である。光源10は、ランバーシアン分布を形成するように光L(図2参照)を出射する発光面11を有する。車両用前照灯100が車両に取り付けられた場合、発光面は例えば下方に向けられ、水平面に平行に配置される。光源10は、例えば取付部材30に固定される。
【0017】
光源10は、図3に示すように、発光面11が矩形状である。光源10の発光面11のうち前後方向に対向して配置される平行な2辺は、左右方向に平行な直線M1(図3参照)に対して傾いた状態で配置される。この場合の傾き角度θ1は、例えば10°以上20°以下に設定することができる。
【0018】
リフレクタ20は、光源10からの光を車両前方に向けて反射する。リフレクタ20は、光源10の下方に配置される。リフレクタ20は、例えば樹脂材料を用いて形成される本体部材20B上に反射面20Rを構成する反射膜20Fが配置された構成である。反射膜20Fは、例えば蒸着等により形成される。リフレクタ20は、固定部材等によって取付部材30に固定されている。
【0019】
リフレクタ20の内面には、反射面20Rが形成される。反射面20Rは、複数のセグメントに区画される。本実施形態において、反射面20Rは、少なくとも6つのセグメントを有する。以下、この6つのセグメントを、第1セグメント21、第2セグメント22、第3セグメント23、第4セグメント24、第5セグメント25、及び第6セグメント26と表記する。
【0020】
6つのセグメント21~26は、正面視において上下方向に平行な分割線L1~L4と、左右方向に平行な分割線L5~L8とによって分割されている。このうち、第1セグメント21、第2セグメント22及び第3セグメント23の3つのセグメントは、上下方向に並んで配置される。また、第4セグメント24及び第6セグメント26の2つのセグメントは、上下方向に並んで配置される。また、上記の3つのセグメント21~23と、2つのセグメント24、26と、第5セグメント25とは、左右方向に並んで配置される。
【0021】
分割線L1は、3つのセグメント21~23と、2つのセグメント24、26とを区切っている。分割線L1は、上下方向に平行である。分割線L1は、3つのセグメント21~23に跨って形成される。つまり、第1セグメント21、第2セグメント22及び第3セグメント23は、左右方向の右側の分割線が一の線上に配置される。また、分割線L1は、2つのセグメント24、26に跨って形成される。つまり、第4セグメント24及び第6セグメント26は、左右方向の右側の分割線が一の線上に配置される。
【0022】
分割線L2は、3つのセグメント21~23と、第5セグメント25とを区切っている。分割線L2は、上下方向に平行な直線M2に対して傾いている。直線M2に対する分割線L2の傾き角θ2は、車両前方に形成するロービームパターンの斜めカットオフラインの角度の半値程度とすることができる。本実施形態において、斜めカットオフラインの角度は15°程度である。このため、傾き角θ2は、例えば6°以上8°以下とすることができる。傾き角θ2の角度範囲は、上記には限定されない。
【0023】
分割線L2は、3つのセグメント21~23に跨って形成される。つまり、第1セグメント21、第2セグメント22及び第3セグメント23は、左右方向の左側の分割線が一の線上に配置される。
【0024】
分割線L3は、第5セグメント25の右側端部に配置される。つまり、第5セグメント25は、分割線L2と分割線L3とで区画される。分割線L3は、上下方向に平行な直線M3に対して傾いている。直線M3に対する分割線L3の傾き角θ3は、車両前方に形成するロービームパターンの水平カットオフラインの角度の半値程度とすることができる。傾き角θ3は、上記同様に、例えば6°以上8°以下とすることができる。傾き角θ3の角度範囲は、上記には限定されない。また、傾き角θ2と傾き角θ3とが異なる値であってもよい。
【0025】
分割線L4は、2つのセグメント24、26の左側端部に配置される。つまり、2つのセグメント24、26は、左右方向については、分割線L1と分割線L4とで区画される。
【0026】
分割線L5は、第1セグメント21と第2セグメント22とを区画する。分割線L6は、第2セグメント22と第3セグメント23とを区画する。分割線L7は、第4セグメント24の下側端部に配置される。分割線L8は、第4セグメント24と第6セグメント26とを区画する。
【0027】
上記の分割線L1~L8によって区画される第1セグメント21から第6セグメント26の6つのセグメントは、互いに異なる照射領域に照射パターンを形成する。図4から図9は、第1セグメント21~第6セグメント26によって形成される照射パターンの一例を示す図である。図4は、第1セグメント21によって形成される第1照射パターンP1の一例を示す図である。図5は、第2セグメント22によって形成される第2照射パターンP2の一例を示す図である。図6は、第3セグメント23によって形成される第3照射パターンP3の一例を示す図である。図7は、第4セグメント24によって形成される第4照射パターンP4の一例を示す図である。図8は、第5セグメント25によって形成される第5照射パターンP5の一例を示す図である。図9は、第6セグメント26によって形成される第6照射パターンP6の一例を示す図である。図4から図9におけるH-H線は水平面を示し、V-V線は水平面に垂直であり車両の中心を示す線である。
【0028】
第1セグメント21は、図4に示すように、斜めカットオフラインCL1を含む第1照射パターンP1を形成する。斜めカットオフラインCL1は、例えば水平面H-Hに対して角度θだけ傾いた状態である。本実施形態において、この角度θは、例えば15°程度に設定することができる。斜めカットオフラインCL1は、例えば第1セグメント21のうち分割線L2によって区画される部分によって形成される。
【0029】
第2セグメント22は、図5に示すように、第2照射パターンP2を形成する。第2照射パターンP2は、例えばオーバーヘッドパターンであり、水平面H-Hの上方に形成される。
【0030】
第3セグメント23は、図6に示すように、第3照射パターンP3を形成する。第3照射パターンP3は、水平カットオフラインCL2を含む。第3照射パターンP3は、車両の中心に対して左右に広がるように形成される。
【0031】
第4セグメント24は、図7に示すように、第4照射パターンP4を形成する。第4照射パターンP4は、第1照射パターンP1に対して左方に形成される。第4照射パターンP4は、カットオフラインを含まないパターンである。なお、第4セグメント24が第2照射パターンP2を形成し、第2セグメント22が第4照射パターンP4を形成する構成であってもよい。
【0032】
第5セグメント25は、図8に示すように、第5照射パターンP5を形成する。第5照射パターンP5は、水平面H-Hの下方に形成される拡散パターンである。第5照射パターンP5は、車両の中心に対して左右方向に広がるように形成される。
【0033】
第6セグメント26は、図9に示すように、第6照射パターンP6を形成する。第6照射パターンP6は、水平面H-Hの下方に形成される拡散パターンである。第6照射パターンP6は、車両の中心に対して左右方向に広がるように形成される。
【0034】
図10は、上記のリフレクタ20によって車両前方に形成されるロービームパターンPの一例を示す図である。図10に示すロービームパターンPは、上記の第1照射パターンP1~第6照射パターンP6を重ね合わせた照射パターンである。なお、ロービームパターンPは、上記の第1照射パターンP1~第6照射パターンP6とは異なる照射パターンを含んでもよい。
【0035】
例えば、分割線L2が上下方向に垂直に設けられた場合、分割線L2で反射される光は、左右方向に拡散される拡散光Daとなる。拡散光Daは、ロービームパターンPの外部であって、自車線および他車線側へ拡散される恐れがある。このため、拡散光Daは、先行車や対向車に対しグレア光となる可能性がある。
【0036】
一方、本実施形態では、分割線L2が上下方向に平行な直線M2に対して傾いている。この構成において、分割線L2で反射される光は、水平面に対して斜め方向に拡散される拡散光D1となる。拡散光D1は、ロービームパターンPの内部において、斜めカットオフラインCL1と同様に斜め方向に拡散される。したがって、拡散光D1がグレア光となることを抑制できる。
【0037】
以上のように、本実施形態に係る車両用前照灯100は、光源10と、光源10からの光を反射する反射面20Rが設けられたリフレクタ20と、を備え、光源10は、発光面11が矩形状であり、リフレクタ20は、樹脂材料を用いて形成される本体部材20B上に反射面20Rを構成する反射膜20Fが配置されており、反射面20Rは、車両搭載状態における左右方向に分割線を介して並んで配置される複数のセグメント21~26を有し、光源10からの光を複数のセグメント21~26ごとに反射して車両搭載状態における前方の照射領域に互いに異なる形状の照射パターンP1~P6を形成し、複数のセグメント21~26のうち斜めカットオフラインCL1を含む照射パターンP1を形成する第1セグメント21での左右方向の一方の分割線L2が、車両搭載状態における上下方向に対して傾いている。
【0038】
このため、分割線L2で反射されて拡散される光D1は、ロービームパターンPの内部において、斜めカットオフラインCL1と同様に斜め方向に拡散される。以上の点により、拡散光D1が斜めカットオフラインCL1の外部(自車線または他車線側)にはみ出すことを抑制できるため、グレア光の発生を抑制できる。
【0039】
上記の車両用前照灯100において、発光面11は、車両搭載状態において前後方向に対向して配置される平行な2辺が当該車両搭載状態における左右方向に対して傾いた状態で配置される。このため、光源10から照射される光の照射パターンは、発光面11のうち前後方向に対向して配置される平行な2辺が左右方向に平行な直線M1に対して平行である構成に対して、車両前方において時計回りに傾いた状態で形成される。このため、斜めカットオフラインCL1の方向に沿った状態に光の照射パターンを傾けることができる。
【0040】
上記の車両用前照灯100において、リフレクタ20は、第1セグメント21の左右方向の他方の分割線L1が、車両搭載状態における上下方向に平行である。第1セグメント21において分割線L1の近傍で反射される光は、第1照射パターンP1(図4参照)の路肩側の部分を形成する。したがって、当該光が左右方向に拡散する場合、ロービームパターンPの外部に向かう光は路肩側に拡散され、内部(自車線側)に向かう光はロービームパターンP内に照射される。このように、第1セグメント21において分割線L1の近傍で反射される光は、分割線L2で反射される光に比べて、グレア光となる可能性が低いため、上下方向に平行な直線M1に対して傾いている必要が無い。そこで、分割線L1を上下方向に平行とすることで、当該分割線L1を容易に形成できる。
【0041】
上記の車両用前照灯100において、リフレクタ20は、複数のセグメント21~26のうち水平カットオフラインCL2を含む照射パターンを形成する第3セグメント23の左右方向の一方の分割線L2が、上下方向に対して傾いていてもよい。この構成によれば、第3セグメント23の分割線L2で反射されて拡散される拡散光D2(図10参照)は、ロービームパターンPの内部において、水平カットオフラインCL2と同様に水平方向に拡散される。したがって、拡散光D2が水平カットオフラインCL2から外部(上方)にはみ出すことを抑制できるため、グレア光の発生を抑制できる。
【0042】
上記の車両用前照灯100において、第1セグメント21と第3セグメント23とは、上下方向に配置され、それぞれのセグメント21、23の上下方向に対して傾いた分割線L2が一の直線上に配置されている。この構成により、リフレクタ20の反射面20R上の領域を効率的に利用して、グレア光の発生を抑制することができる。
【0043】
上記の車両用前照灯100において、第1セグメント21は、上下方向において光源10から最も離れた位置に配置され、第3セグメント23は、上下方向において光源に最も近接した位置に配置される。これにより、より広い範囲に形成する第3照射パターンP3の光像を第1照射パターンP1よりも大きく形成しやすくなる。
【0044】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。
【符号の説明】
【0045】
CL1…斜めカットオフライン、CL2…水平カットオフライン、D1,D2,Da…拡散光、L1~L8…分割線、M1,M2,M3…直線、P…ロービームパターン、P1…第1照射パターン、P2…第2照射パターン、P3…第3照射パターン、P4…第4照射パターン、P5…第5照射パターン、P6…第6照射パターン、10…光源、11…発光面、20…リフレクタ、20B…本体部材、20F…反射膜、20R…反射面、21…第1セグメント、22…第2セグメント、23…第3セグメント、24…第4セグメント、25…第5セグメント、26…第6セグメント、30…取付部材、100…車両用前照灯
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10