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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-26
(45)【発行日】2023-07-04
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 8/04 20060101AFI20230627BHJP
   F21V 29/83 20150101ALI20230627BHJP
   F21V 29/77 20150101ALI20230627BHJP
   F21V 29/503 20150101ALI20230627BHJP
   F21V 7/04 20060101ALI20230627BHJP
   F21V 7/08 20060101ALI20230627BHJP
   F21V 3/02 20060101ALI20230627BHJP
   F21V 3/00 20150101ALI20230627BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20230627BHJP
   F21S 8/06 20060101ALI20230627BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20230627BHJP
   F21Y 115/15 20160101ALN20230627BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20230627BHJP
【FI】
F21S8/04 130
F21V29/83
F21V29/77
F21V29/503
F21V7/04 300
F21V7/08 200
F21V3/02 400
F21V3/00 340
F21V3/00 320
F21V3/00 510
F21V19/00 150
F21V19/00 170
F21V19/00 450
F21S8/06 200
F21S8/04 320
F21S8/04 100
F21S8/04 110
F21Y115:10 100
F21Y115:10 300
F21Y115:10 500
F21Y115:15
F21Y115:30
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019073104
(22)【出願日】2019-04-05
(65)【公開番号】P2020170692
(43)【公開日】2020-10-15
【審査請求日】2022-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100115543
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 康男
(72)【発明者】
【氏名】松原 大介
(72)【発明者】
【氏名】伏江 遼
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-179612(JP,A)
【文献】特開2015-046242(JP,A)
【文献】特開2015-005365(JP,A)
【文献】特表2012-502432(JP,A)
【文献】特開2016-092306(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/04
F21V 29/83
F21V 29/77
F21V 29/503
F21V 7/04
F21V 7/08
F21V 3/02
F21V 3/00
F21V 19/00
F21S 8/06
F21Y 115/10
F21Y 115/15
F21Y 115/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通気孔を有する板状のベースと、
前記ベースの一面側に配置され、発光素子を有する光源基板と、
前記ベースの他面側に配置された放熱フィンと、
前記通気孔の周囲から前記一面側へ突出し、反射面を有する反射部材と、
前記光源基板及び前記反射面を覆う透光カバーと、
を備え、
前記発光素子から発せられた光の一部は、前記反射面で反射した後に前記透光カバーの内面に入射し、
前記反射部材により囲まれた通気流路と、前記通気孔とを空気が通過可能である照明装置であって、
前記透光カバーは、前記照明装置の中心線に対して垂直な平面に沿う平板状の平坦部と、外側に凸となるように湾曲している湾曲部とを有し、
前記平坦部は、前記湾曲部の内周側に位置する照明装置。
【請求項2】
前記反射面の少なくとも一部は、前記反射部材の基端から先端に向かって、前記通気流路の中心線に近づく請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記照明装置の中心線に平行な方向から見たときに、前記放熱フィンは、前記通気孔の内側に位置する部分を有する請求項1または請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記反射部材は、前記反射面となる外周面と、前記通気流路を形成する内周面と、前記通気流路の一端にあり前記通気孔につながる基端開口と、前記通気流路の他端にある先端開口とを有する筒状の部材であり、
前記反射部材の内径及び外径は、前記基端開口から前記先端開口に向かって縮小し、
前記透光カバーは、前記先端開口の縁部に接する開口を有する請求項1から請求項のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項5】
前記照明装置の中心線に平行な方向から見たときに、前記放熱フィンは、前記先端開口の内側に位置する部分を有する請求項に記載の照明装置。
【請求項6】
前記通気流路の少なくとも一部において、前記照明装置の中心線に対して垂直な平面で切断した前記通気流路の断面積が、前記反射部材の先端から基端に向かって、縮小する請求項1から請求項のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項7】
前記反射面の反射率が85%以上である請求項1から請求項のいずれか一項に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば発光ダイオードのような発光素子を用いた照明装置が広く用いられている。発光素子の発熱により発光素子の温度が高くなると、エネルギー効率が低下したり、発光素子の寿命が短くなったりする。特許文献1に開示されたLEDランプは、ランプホルダを有し、ランプホルダ上に複数のLED発光モジュールが配置され、ランプホルダの上方にはランプカバーが配置されている。LED発光モジュールは、ランプホルダの環状溝にそれぞれ配置され、LED発光モジュールのそれぞれは、多数のLEDが設けられた基板を有し、基板は、ランプホルダの環状溝内に半分埋め込まれる放熱フィンを下方に有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録第3165661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のLEDランプでは、放熱フィンに空気が流れにくい構造であるため、発光素子の温度が高くなりやすいという課題がある。
【0005】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、発光素子の温度が高くなることを抑制することと、光取出し効率を向上することとを両立する上で有利になる照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る照明装置は、通気孔を有する板状のベースと、ベースの一面側に配置され、発光素子を有する光源基板と、ベースの他面側に配置された放熱フィンと、通気孔の周囲から一面側へ突出し、反射面を有する反射部材と、光源基板及び反射面を覆う透光カバーと、を備え、発光素子から発せられた光の一部は、反射面で反射した後に透光カバーの内面に入射し、反射部材により囲まれた通気流路と、通気孔とを空気が通過可能である照明装置であって、透光カバーは、照明装置の中心線に対して垂直な平面に沿う平板状の平坦部と、外側に凸となるように湾曲している湾曲部とを有し、平坦部は、湾曲部の内周側に位置するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、発光素子の温度が高くなることを抑制することと、光取出し効率を向上することとを両立する上で有利になる照明装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1による照明装置を斜め下から見た斜視図である。
図2】実施の形態1による照明装置の断面図である。
図3図2と同じ断面図に対して、照明装置の使用時における空気の流れを模式的に示す流線を追記した図である。
図4】参考例の照明装置の断面図である。
図5図2と同じ断面図に対して、光線の例を追記した図である。
図6】実施の形態2による照明装置を、灯軸を含む平面で切断した断面図である。
図7図6と同じ断面図に対して、光線の例を追記した図である。
図8】実施の形態3による照明装置を、灯軸を含む平面で切断した断面図である。
図9】実施の形態4による照明装置を、灯軸を含む平面で切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。各図において共通または対応する要素には、同一の符号を付して、重複する説明を簡略化または省略する。なお、本開示で角度に言及した場合において、和が360度となる優角と劣角とがあるときには原則として劣角の角度を指すものとし、和が180度となる鋭角と鈍角とがある場合には原則として鋭角の角度を指すものとする。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1による照明装置1Aを斜め下から見た斜視図である。図2は、実施の形態1による照明装置1Aの断面図である。図2に示すように、照明装置1Aは、板状のベース2と、発光素子3を有する光源基板4と、放熱フィン5と、反射部材6と、透光カバー7とを備える。
【0011】
本実施の形態におけるベース2は、平板状の形状を有している。ベース2には、通気孔2aが形成されている。通気孔2aは、ベース2の中央に位置する。
【0012】
灯軸AXは、照明装置1Aの中心線に相当する。本実施の形態における灯軸AXは、通気孔2aの中心を通りベース2に垂直な直線に相当している。図2は、灯軸AXを含む平面で切断した断面図に相当する。以下では、灯軸AXに平行な方向を「灯軸方向」と称する。
【0013】
本実施の形態の照明装置1Aは、例えば天井に設置され、下へ向けて光を照射することで、照明装置1Aよりも下の空間を照らす用途に適している。特に、照明装置1Aは、工場、倉庫、体育館、競技施設などの高い天井に設置して使用することに適している。以下では、説明の便宜上、灯軸AXが鉛直線に平行となるように照明装置1Aが設置されている場合の姿勢を基準として上下の方向を特定する。ただし、照明装置1Aが使用されるときの姿勢は、灯軸AXが鉛直線に対して非平行となる姿勢でもよいことは言うまでもない。
【0014】
光源基板4は、ベース2の一面側すなわち下面側に配置されている。発光素子3は、光源基板4の下面に配置されている。本実施の形態では、複数の発光素子3が1個の光源基板4上に実装されている。光源基板4には、複数の発光素子3に給電するための導電パターンが形成されている。本実施の形態において、それぞれの発光素子3の光軸は、灯軸AXに平行である。光源基板4は、通気孔2aを避けるように配置されている。図示の例では、光源基板4には、通気孔2aと同じ位置に通気孔が形成されている。
【0015】
光源基板4は、ベース2の下面に対して熱伝導可能となるように設けられている。発光素子3で発生した熱は、光源基板4からベース2へ熱伝導する。光源基板4は、ベース2の下面に対して、直接接していてもよいし、熱伝導性材料を介して接触してもよい。本明細書において、熱伝導性材料は、例えば、熱伝導性グリス、熱伝導性シート、熱伝導性接着剤、熱伝導性両面粘着テープのいずれかでもよい。
【0016】
発光素子3は、発光ダイオード(LED)を利用したものでもよい。例えば、表面実装型LEDパッケージ、砲弾型LEDパッケージ、配光レンズ付きLEDパッケージ、チップ・スケール・パッケージのLED、チップ・オン・ボード(COB)タイプのLEDパッケージのうちの少なくとも一種を用いてもよい。また、発光素子3は、LEDを利用したものに限らず、例えば、有機エレクトロルミネセンス(EL)素子または半導体レーザなどを利用したものでもよい。
【0017】
放熱フィン5は、ベース2の他面側すなわち上面側に配置されている。発光素子3及び光源基板4からベース2へ伝導した熱は、ベース2から放熱フィン5へさらに伝導する。ベース2及び放熱フィン5は、ヒートシンクに相当する。ベース2及び放熱フィン5の表面から周囲の空気へ熱が散逸することにより、発光素子3が冷却される。放熱フィン5は、ベース2の上面から突出している。図示の例では、放熱フィン5は、板状の形状を有しており、ベース2の上面に対して垂直となる姿勢で配置されている。放熱フィン5によって放熱面積を大きくすることで、発光素子3で発生した熱を効率良く散逸させることができる。
【0018】
ベース2及び放熱フィン5のそれぞれは、例えば、金属材料あるいは熱伝導性樹脂材料のような、高い熱伝導率を有する材料で作られていることが好ましい。熱伝導性樹脂材料は、熱伝導性フィラーが樹脂材料に練り込まれたものでもよい。ベース2及び放熱フィン5は、別々の部品として作られたものでもよいし、例えばアルミダイキャストなどによりベース2及び放熱フィン5を一体的に形成してもよい。
【0019】
反射部材6は、通気孔2aの周囲から、ベース2の一面側すなわち下面側へ突出している。反射部材6は、反射面6aを有している。通気流路8は、反射部材6により囲まれた流路である。通気流路8は、反射部材6の内側において、灯軸方向に沿って空気が通過可能な流路である。本実施の形態において、通気流路8の中心線は、灯軸AXと同軸上にある。
【0020】
透光カバー7は、光源基板4及び反射面6aを覆っている。発光素子3から発せられた光は、透光カバー7を透過して、外部空間へ照射される。図示の構成では、透光カバー7は、その外周部に配置されたネジ10により、ベース2に対して固定されている。発光素子3及び光源基板4は、ベース2、反射部材6、及び透光カバー7により囲まれる内部空間に位置する。本実施の形態であれば、透光カバー7を備えたことで、発光素子3及び光源基板4を、埃などの汚れ、あるいは虫その他の小動物などから確実に保護することができる。透光カバー7は、光を正透過させる、透明材料で作られていてもよい。または、透光カバー7は、光を拡散透過させるものでもよい。透光カバー7は、例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂、ポリスチレン樹脂などの樹脂材料、またはガラス材料で作られていてもよい。ベース2、反射部材6、及び透光カバー7により囲まれる内部空間を防水するために、部材同士の接合部に、防水性を有するシール材または接着剤が設けられてもよい。
【0021】
図3は、図2と同じ断面図に対して、照明装置1Aの使用時における空気の流れを模式的に示す流線を追記した図である。図3に示すように、照明装置1Aの使用時には、通気流路8と通気孔2aとを空気が通過するように気流が発生する。これにより、ベース2及び放熱フィン5により形成されるヒートシンクの内部を流れる空気の量を多くすることができるので、放熱能力が向上し、発光素子3を冷却する上で有利になる。その結果、発光素子3の温度が高くなることを確実に抑制できるので、発光素子3の効率を向上することができるとともに、発光素子3の寿命を長くすることができる。空気は、通気流路8及び通気孔2aを通って、透光カバー7の下の空間と、ベース2の上面側の空間との間を移動できる。図3の例では、透光カバー7よりも下の空間から通気流路8に流入した新鮮な空気が通気孔2aを通過してヒートシンクへ流れる上昇気流が発生する。また、照明装置1Aの外周側の空間からも、新鮮な空気がヒートシンクの内部に流入する。
【0022】
図4は、参考例の照明装置100の断面図である。照明装置100は、反射部材6を備えていない点と、透光カバー7に代えて透光カバー9を備える点において、照明装置1Aと異なる。図4の断面において、透光カバー9は、灯軸AXに対して互いに反対側の位置にある一対の断面部9a,9bを有している。断面部9a,9bのそれぞれは、半円形の形状を有している。
【0023】
図4中の光線R1及び光線R2について説明する。光線R1は、断面部9aに覆われる位置にある発光素子3から、灯軸方向へ向かって発せられる光線の例である。光線R1は、位置101にて断面部9aを透過して透光カバー9の外へ出射し、そのまま外部空間へ照射される。すなわち、光線R1は、透光カバー9を1回だけ透過した後に外部空間へ照射される。光線R2は、断面部9aに覆われる位置にある発光素子3から、照明装置100の内周側へ向かって発せられる光線の例である。光線R2は、位置102にて断面部9aを透過して透光カバー9の外へ出射した後、位置103にて断面部9bを透過して透光カバー9内へ入射する。その後、光線R2は、位置104にて断面部9bを透過して透光カバー9の外へ出射し、外部空間へ照射される。すなわち、光線R2は、透光カバー9を3回透過した後に外部空間へ照射される。
【0024】
一般に、屈折率の異なる材質の界面では、フレネル反射と呼ばれる界面反射が生じ、通過する光の量は少なくなる。ガラスあるいは透過性樹脂などの一般的な透明材の屈折率は1.5近傍である。透明材と空気との界面で生じるフレネル反射1回でロスする光の量は、透明材の屈折率と入射角度によっても異なるが、大凡で4%程度となる。透光カバー9を1回透過すると、透光カバー9の内面と外面とで2回の界面反射が生じる。光線R2は、光線R1と比べて、外部空間へ照射されるまでに透光カバー9を透過する回数が2回多い。よって、光線R2は、光線R1と比べて、外部空間へ照射されるまでに、界面反射が4回多くなる。1回の界面反射で4%の光量をロスすると仮定すると、4回の界面反射によって、外部空間へ照射される光量は、(0.96)≒0.85倍、すなわち85%程度に低下する。以下、照明装置1Aが備えるすべての発光素子3から発せられた光の量に対する、照明装置1Aから外部空間へ照射される光の量の割合を光取出し効率[%]と称する。参考例の照明装置100では、上述した理由により、光取出し効率を向上しにくいという課題がある。
【0025】
これとは対照的に、本実施の形態の照明装置1Aであれば、反射部材6を設けたことで、光取出し効率を向上する上で有利になる。発光素子3から発せられた光の一部は、反射面6aで反射した後に透光カバー7の内面に入射する。これにより、発光素子3から発せられた光が外部空間へ照射されるまでに透光カバー7を透過する回数が増加することを確実に抑制できる。この点について、図5を参照して説明する。図5は、図2と同じ断面図に対して、光線の例を追記した図である。
【0026】
図5中の光線R3は、発光素子3から灯軸方向へ向かって発せられる光線の例である。光線R3は、位置105にて透光カバー7を透過し、そのまま外部空間へ照射される。光線R4は、発光素子3から照明装置1Aの内周側へ向かって発せられる光線の例である。光線R4は、反射面6aで反射した後、位置106にて透光カバー7の内面に入射し、透光カバー7を透過して、透光カバー7の外面から出射する。透光カバー7外へ出射した光線R4は、透光カバー7に当たることなく、そのまま外部空間へ照射される。このように、本実施の形態であれば、光線R3と光線R4とのいずれも、透光カバー7を1回だけ透過した後に外部空間へ照射される。このため、透光カバー7を透過する回数が増加することを確実に抑制できるので、光取出し効率が向上し、外部空間へ照射される光量を多くすることができる。
【0027】
反射面6aは、正反射面でもよいし、拡散反射面でもよい。以下の説明において、「反射率」とは、発光素子3から発せられる光に対する全光線反射率を指すものとする。また、反射率の単位は[%]とする。反射面6aの反射率は、85%以上が好ましく、90%以上が好ましい。反射面6aの反射率がそのような条件を満足することで、外部空間へ照射される光量を多くする上でより有利になる。
【0028】
図1に示すように、本実施の形態において、ベース2の外縁、光源基板4の外縁、透光カバー7の外縁のそれぞれは、灯軸方向から見たときに円形の形状を有する。このような例に限らず、灯軸方向から見たときのベース2の外縁、光源基板4の外縁、透光カバー7の外縁のそれぞれの形状は、例えば、正方形、長方形、三角形、五角形、六角形、八角形のような多角形でもよいし、楕円形でもよい。
【0029】
本実施の形態では、複数の板状の放熱フィン5が、灯軸AXを中心とした放射状に配置されている。このような例に限らず、複数の板状の放熱フィン5が互いに平行に配置されてもよいし、ピン形の形状を有するピンフィンを放熱フィン5として用いてもよい。
【0030】
本実施の形態において、通気孔2aの直径は、ベース2の外縁の直径の1/2以下である。これにより、光源基板4を配置可能な領域の面積を大きくする上で有利になる。同様の理由から、通気孔2aの直径は、ベース2の外縁の直径の1/3以下がより好ましく、ベース2の外縁の直径の1/4以下がさらに好ましい。また、通気孔2aを通過する空気の流量を十分に大きくする観点からは、通気孔2aの直径は、ベース2の外縁の直径の1/20以上が好ましく、ベース2の外縁の直径の1/15以上がより好ましい。なお、本開示において、「直径」とは、円形以外の形状である場合には、軸に対して垂直な方向の最大の径を指すものとする。
【0031】
図1及び図2に示すように、本実施の形態における照明装置1Aは、ベース2の縁部に取り付けられた一対のフレーム11を備える。一対のフレーム11は、ベース2を間に挟むように配置されている。図示の例では、フレーム11は、ネジ10によりベース2に対して固定されている。フレーム11と透光カバー7とがネジ10によりベース2に対して共締めされている。ベース2に対してフレーム11を固定する方法は、図示の例に限らず、例えば、凹凸の嵌合による構造、溶接、ろう接、接着などいかなる方法でもよい。フレーム11は、ベース2の縁部から上方へ突出している。
【0032】
本実施の形態における照明装置1Aは、アーム12を備える。アーム12は、フレーム11に連結されている。アーム12は、フレーム11を介してベース2を支持する。アーム12は、細長い板状の基部12aと、基部12aの両端から突出する一対の支持部12bとを有する。例えば建物の天井面または梁のような取付面に対して基部12aをボルトなどにより固定することで、照明装置1Aを取付面に対して固定することができる。
【0033】
アーム12は、金属板を曲げ加工することにより作られていてもよい。一対の支持部12bは、基部12aの長手方向に対して垂直な方向に突出する。一対の支持部12bの先端部分は、2本のボルト13,14により、一対のフレーム11に対してそれぞれ固定されている。各支持部12bの先端部分には、ボルト13を中心とする円弧状に湾曲した長孔12cが形成されている。ボルト14は、長孔12cに挿通されている。
【0034】
図示の例では、アーム12の基部12aの面が灯軸方向に対して垂直になっている。すなわち、基部12aの面は、光源基板4及びベース2に対して平行になっている。天井面または梁のような取付面が水平である場合には、図示の状態で基部12aを取付面に対して固定することにより、光源基板4及びベース2が水平になるように照明装置1Aを設置できる。基部12aは、例えばボルト止めにより、取付面に対して固定されてもよい。図示の例では、ボルトを挿通するための孔が基部12aに形成されている。
【0035】
ボルト13,14を緩めると、アーム12が、フレーム11に対して、ボルト13を中心として所定角度範囲で回転可能になる。アーム12を回転させた後にボルト13,14を再び締め付けると、アーム12の基部12aの面が光源基板4及びベース2に対して傾斜した状態にすることができる。天井面または梁のような取付面が水平面に対して傾斜している場合には、そのような状態で基部12aを取付面に対して固定することにより、光源基板4及びベース2が水平になるように照明装置1Aを設置できる。
【0036】
図1に示すように、フレーム11には、空気が通過可能な開口11aが形成されている。新鮮な空気が開口11aを通って放熱フィン5同士の間へ流入可能であるので、放熱能力を向上する上でより有利になる。
【0037】
図示の例では、通気流路8を灯軸AXに垂直な平面で切断した断面形状は、円形である。反射部材6は、円筒状の形状を有している。図示の例に限らず、通気流路8の断面形状は、例えば、多角形でもよいし、楕円形でもよい。また、反射部材6の形状は、断面が多角形の筒状でもよいし、断面が楕円形の筒状でもよい。
【0038】
図2に示すように、反射部材6は、反射面6aとなる外周面と、内周面6bとを有している。反射部材6の外周面の全周が反射面6aを形成していてもよい。通気流路8は、内周面6bにより囲まれることで形成されている。本実施の形態であれば、通気流路8を通る空気は、内周面6bに沿って灯軸方向に円滑に流れることができる。このため、通気流路8を通る気流の乱れを確実に抑制することができ、通気流路8を通る空気の流量を多くしやすいので、放熱能力を向上する上でより有利になる。
【0039】
以下では、灯軸AXに垂直な平面で切断した通気流路8の断面積を単に「通気流路8の断面積」と呼ぶ。本実施の形態では、通気流路8の断面積が灯軸方向に沿って一定である。これにより、通気流路8を通る空気がより円滑に流れるので、空気の流量を多くする上でより有利になる。
【0040】
本実施の形態では、反射面6aと灯軸AXとの距離が灯軸方向に沿って一定である。また、反射面6aは、灯軸AXを中心とする円柱面に沿う形状を有する。
【0041】
反射部材6は、ベース2に固定された基端部6cと、先端部6dとを有している。基端部6cには、基端開口6eが形成されている。基端開口6eは、通気流路8の一端に位置し、通気孔2aにつながっている。先端部6dには、先端開口6fが形成されている。先端開口6fは、通気流路8の他端に位置する。
【0042】
図1に示すように、透光カバー7は、先端開口6fの縁部に接する開口7aを有している。空気は、開口7a及び先端開口6fを通って、円滑に通気流路8へ流入可能である。
【0043】
本実施の形態において、灯軸方向についての反射面6aの長さは、通気孔2aの直径よりも長い。これにより、反射面6aの面積を大きくする上で有利になるので、外部空間へ照射される光量を多くする上でより有利になる。また、灯軸方向についての反射部材6の長さを長くすることで、発光素子3と透光カバー7との距離を大きくすることができる。一般的に、発光素子3と透光カバー7との距離が大きい方が、発光素子3から発せられた光が透光カバー7を透過するときの界面反射を抑制する上で有利になる。ただし、図示の構成に限らず、灯軸方向についての反射面6aの長さは、通気孔2aの直径よりも短くてもよい。
【0044】
図5に示すように、透光カバー7は、外側に凸となるように湾曲した曲面を形成する湾曲部7bを有している。湾曲部7bは、透光カバー7の外周部分を形成している。図5中の光線R5は、発光素子3から照明装置1Aの外周側へ向かって発せられる光線の例である。光線R5は、湾曲部7bを透過して、外部空間へ照射される。本実施の形態であれば、光線R5のように、発光素子3から照明装置1Aの外周側へ向かって発せられる光の、湾曲部7bに対する入射角度を小さくすることができる。このため、湾曲部7bを透過するときの界面反射をより確実に抑制でき、光のロスをさらに低減する上で有利になる。透光カバー7の少なくとも一部が、外側に凸となるように湾曲していれば、上記効果に類似した効果が得られる。
【0045】
透光カバー7は、灯軸AXに対して垂直な平面に沿う平坦部7cを有している。平坦部7cは、透光カバー7の内周部分を形成している。平坦部7cは、湾曲部7bの内周側に位置する。すなわち、平坦部7cは、湾曲部7bよりも灯軸AXに近い位置にある。照明装置1Aの施工時などに、床面などに対して平坦部7cが接地するようにして照明装置1Aを置いておくことができる。本実施の形態であれば、平坦部7cを設けたことで、床面などの上に照明装置1Aを一時的に置いておくときの安定性が高くなるので、施工性が向上する。図示を省略するが、平坦部7cの外面に複数(3か所以上)の突起部を設けても良い。これにより、平坦部7cの表面が床面などに直接接触することを防止できるので、平坦部7cの表面に傷がつくことをより確実に防止できる。
【0046】
照明装置1Aは、電源装置(図示省略)を備えていてもよい。電源装置は、発光素子3を点灯させる直流電力を生成する点灯回路を備える。電源装置の点灯回路は、例えば商用電源から供給される交流電力から直流電力を生成する電源回路を含む。または、照明装置1Aは、上記のような電源装置を備えないものでもよい。すなわち、照明装置1Aは、照明装置1Aの外部に配置された電源装置から直流電力の供給を受けることによって発光素子3を点灯させるものでもよい。また、照明装置1Aは、ヒートシンクへ送風するファン(図示省略)を備えていてもよい。
【0047】
図示の例では、光源基板4、反射部材6、及び透光カバー7のそれぞれは、灯軸AXを中心とする周方向の全周にわたって環状につながった形状を有している。図示の例に限らず、光源基板4、反射部材6、及び透光カバー7のそれぞれは、灯軸AXを中心とする周方向に関して、複数の部位に分割された形状を有するものでもよい。
【0048】
図示の例では、一つのベース2に対して一組の光源基板4、反射部材6、及び透光カバー7が設けられている。図示の例に限らず、例えば、一つのベース2の複数個所に通気孔2aが設けられ、その複数の通気孔2aのそれぞれに対して、光源基板4、反射部材6、及び透光カバー7の組が備えられていてもよい。
【0049】
実施の形態2.
次に、図6及び図7を参照して、実施の形態2について説明するが、前述した実施の形態1との相違点を中心に説明し、前述した要素と共通または対応する要素には、同一の符号を付して、重複する説明を簡略化または省略する。図6は、実施の形態2による照明装置1Bを、灯軸AXを含む平面で切断した断面図である。図6に示すように、照明装置1Bは、実施の形態1における反射部材6に代えて反射部材6Bを備えている。
【0050】
反射部材6Bの反射面6aは、基端部6cから先端部6dに向かって、灯軸AXに近づくように傾斜している。すなわち、反射面6aと灯軸AXとの距離は、基端部6cから先端部6dに向かって、減少する。図7は、図6と同じ断面図に対して、光線の例を追記した図である。図7中の光線R6は、発光素子3から照明装置1Bの内周側へ向かって発せられる光線の例である。光線R6は、反射面6aで反射した後、透光カバー7の内面に入射し、透光カバー7を透過して、透光カバー7の外面から出射する。反射面6aで反射した後の光線R6は、灯軸方向へ進む。本実施の形態であれば、反射面6aが灯軸AXに対して傾斜していることで、反射面6aで反射した光は、光線R6のように、灯軸方向へ進むか、あるいは灯軸方向に近い方向へ進む。これにより、照明装置1Bから灯軸方向へ照射される光の量を多くする上で有利になる。例えば、照明装置1Bの直下の照度が向上し、より効率的に床面を照らすことができる。
【0051】
本実施の形態では、反射面6aは、凹曲面となっている。図6及び図7の断面において、反射面6aは、放物線に沿う形状を有していることが好ましい。そのようにすることで、反射面6aで反射した光の方向を灯軸方向にさらに近づけることができる。図示の例に限らず、図6及び図7の断面において、反射面6aは、灯軸AXに対して斜めの直線に沿って延びていてもよい。その場合でも、類似の効果が得られる。
【0052】
図示の例では、反射面6aの全体が灯軸AXに対して傾斜しているが、反射面6aの少なくとも一部が灯軸AXに対して傾斜していれば、上記効果に類似した効果が得られる。
【0053】
図6中のD1は、通気孔2aの直径、及び基端開口6eの直径に相当する。D2は、先端開口6fの直径に相当する。直径D1は、直径D2よりも大きい。通気流路8の直径は、先端開口6fから基端開口6eに向かって、連続的に増加している。通気流路8の断面積は、先端開口6fから基端開口6eに向かって、連続的に増加している。
【0054】
反射部材6Bの内周面6bは、先端部6dから基端部6cに向かって、灯軸AXから離れるように傾斜している。本実施の形態であれば、先端開口6fから通気流路8に流入した空気の一部は、傾斜した内周面6bに沿って上昇する。当該一部の空気は、放熱フィン5に向かって斜めに上昇する。これにより、放熱フィン5の表面に当たる空気の流速が高くなるので、放熱性能を向上する上でより有利になる。なお、内周面6bの少なくとも一部が灯軸AXに対して傾斜していれば、上記効果に類似した効果が得られる。
【0055】
図6中のD3は、灯軸AXを挟んで向かい合う一対の放熱フィン5間の最短距離に相当する。図示の例では、当該最短距離D3は、通気孔2a及び基端開口6eの直径D1よりも大きい。
【0056】
実施の形態3.
次に、図8を参照して、実施の形態3について説明するが、前述した実施の形態2との相違点を中心に説明し、前述した要素と共通または対応する要素には、同一の符号を付して、重複する説明を簡略化または省略する。図8は、実施の形態3による照明装置1Cを、灯軸AXを含む平面で切断した断面図である。
【0057】
図8中のD4は、灯軸AXを挟んで向かい合う一対の放熱フィン5間の最短距離に相当する。本実施の形態では、当該最短距離D4は、通気孔2a及び基端開口6eの直径D1よりも小さく、かつ、先端開口6fの直径D2よりも小さい。
【0058】
放熱フィン5は、内周部5aを有している。灯軸方向から見たときに、内周部5aは、通気孔2aの内側に位置する。本実施の形態であれば、通気流路8を通って通気孔2aから流出した新鮮な空気が、放熱フィン5の内周部5aに多く触れるので、放熱性能を向上する上でより有利になる。
【0059】
灯軸方向から見たときに、放熱フィン5の内周部5aの一部は、先端開口6fの内側に位置する。本実施の形態であれば、通気流路8を通過する空気のうち、灯軸AXに近い位置を流れる空気を内周部5aに当てることができる。このため、灯軸AXに近い位置を流れる空気も冷却に有効に活用できるので、放熱性能を向上する上でより有利になる。
【0060】
実施の形態4.
次に、図9を参照して、実施の形態4について説明するが、前述した実施の形態3との相違点を中心に説明し、前述した要素と共通または対応する要素には、同一の符号を付して、重複する説明を簡略化または省略する。図9は、実施の形態4による照明装置1Dを、灯軸AXを含む平面で切断した断面図である。
【0061】
図9に示すように、本実施の形態の照明装置1Dは、実施の形態2及び3における反射部材6Bに代えて反射部材6Dを備えている。反射部材6Dの反射面6aの形状は、反射部材6Bと同じである。反射部材6Dの内周面6bの形状は、反射部材6Dの内周面6bの形状とは異なる。
【0062】
図9中のD5は、通気孔2aの直径、及び基端開口6eの直径に相当する。通気孔2a及び基端開口6eの直径D5は、先端開口6fの直径D2よりも小さい。通気流路8の直径は、先端開口6fから基端開口6eに向かって、連続的に減少している。通気流路8の断面積は、先端開口6fから基端開口6eに向かって、連続的に減少している。
【0063】
本実施の形態であれば、空気が通気流路8を通過する間に気流の流速が増加する。これにより、新鮮な空気をより高速で放熱フィン5に触れさせることができるので、放熱性能を向上する上でより有利になる。なお、通気流路8の軸方向の少なくとも一部において、通気流路8の断面積が先端開口6fから基端開口6eに向かって減少していれば、同様の効果が得られる。
【0064】
本実施の形態において、灯軸AXを挟んで向かい合う一対の放熱フィン5間の最短距離D4は、通気孔2a及び基端開口6eの直径D5よりも小さく、かつ、先端開口6fの直径D2よりも小さい。これにより、実施の形態4で説明した効果と同様の効果が得られる。
【0065】
なお、上述した複数の実施の形態のうち、組み合わせることが可能な二つ以上を組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0066】
1A 照明装置、 1B 照明装置、 1C 照明装置、 1D 照明装置、 2 ベース、 2a 通気孔、 3 発光素子、 4 光源基板、 5 放熱フィン、 5a 内周部、 6 反射部材、 6B 反射部材、 6D 反射部材、 6a 反射面、 6b 内周面、 6c 基端部、 6d 先端部、 6e 基端開口、 6f 先端開口、 7 透光カバー、 7a 開口、 7b 湾曲部、 7c 平坦部、 8 通気流路、 9 透光カバー、 9a,9b 断面部、 10 ネジ、 11 フレーム、 11a 開口、 12 アーム、 12a 基部、 12b 支持部、 12c 長孔、 13,14 ボルト、 100 照明装置、 101 位置、 102 位置、 103 位置、 104 位置、 105 位置、 106 位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9