(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-26
(45)【発行日】2023-07-04
(54)【発明の名称】通信装置、通信制御装置、データ配信システム、通信プログラム及び通信制御プログラム
(51)【国際特許分類】
H04L 67/02 20220101AFI20230627BHJP
H04L 45/00 20220101ALI20230627BHJP
H04L 65/00 20220101ALI20230627BHJP
H04N 21/218 20110101ALI20230627BHJP
【FI】
H04L67/02
H04L45/00
H04L65/00
H04N21/218
(21)【出願番号】P 2019097974
(22)【出願日】2019-05-24
【審査請求日】2022-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180275
【氏名又は名称】吉田 倫太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100161861
【氏名又は名称】若林 裕介
(72)【発明者】
【氏名】中川 聰
(72)【発明者】
【氏名】櫻田 孔司
【審査官】岩田 玲彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-036829(JP,A)
【文献】国際公開第2009/153945(WO,A1)
【文献】特開平04-329042(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 67/02
H04L 45/00
H04L 65/00
H04N 21/218
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチメディアデータを配信するデータ配信システムの配信ツリーを構成するものであって、配信元装置又は他の通信装置から受信した前記マルチメディアデータを、子ノードとしての他の通信装置に再配信可能な通信装置において、
受信した前記マルチメディアデータのうち、自装置で指定されたメディア種別を示す再生メディア情報に従って、対応するメディアを再生出力する再生処理手段と、
自装置の前記再生メディア情報と、前記配信ツリーで自装置が存在する経路上
で自装置を親ノードとした場合、自装置の子ノード及び子孫ノードの各再生メディア情報を含むメディア情報を保持するメディア情報保持手段と、
前記マルチメディアデータを子ノードに配信する際、前記メディア情報に含まれる子ノード及び子孫ノードの前記各再生メディア情報に基づいて、
前記マルチメディアデータのうち、子ノードからのメディア情報で要求されるメディア種別を
選択するメディア種別制御手段と、
前記メディア種別制御手段により得られた前記再配信するメディア種別に基づいて、前記マルチメディアデータから
子ノードから要求されたメディア種別のメディアデータを選択し
て、子ノードに再配信する再配信手段と
を備えることを特徴とする通信装置。
【請求項2】
子ノードから、当該子ノード及び子孫ノードの前記各再生メディア情報を含むメディア情報を受信し、前記メディア情報
保持手段に保持するメディア情報受信手段と、
前記メディア情報保持手段に保持される、自装置の前記再生メディア情報と、子ノード及び子孫ノードの前記各再生メディア情報とを統合したメディア情報を、親ノードとしての前記配信元装置若しくは他の通信装置に送信するメディア情報送信手段と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
マルチメディアデータを配信するデータ配信システムの配信ツリーを構成するものであって、前記マルチメディアデータを配信する配信元の通信装置において、
前記配信ツリー上で直接配信する、1又は複数の通信装置のそれぞれが再生要求するメディア種別を示す再生メディア情報と、前記各通信装置が存在する経路上
で自装置を親ノードとした場合、自装置の子ノード及び子孫ノードの各再生メディア情報とを含むメディア情報を保持するメディア情報保持手段と、
前記マルチメディアデータを前記各通信装置に配信する際、前記メディア情報に含まれる、前記各通信装置の前記再生メディア情報と、その子ノード及び子孫ノードの前記各再生メディア情報に基づいて、
前記マルチメディアデータのうち、子ノードからのメディア情報で要求されるメディア種別を
選択するメディア種別制御手段と、
前記メディア種別制御手段により得られた前記配信するメディア種別に基づいて、前記マルチメディアデータから
子ノードから要求されたメディア種別のメディアデータを選択し
て、前記各通信装置に配信する配信手段と
を備えることを特徴とする通信装置。
【請求項4】
前記各通信装置から、前記各通信装置の前記再生メディア情報と、その子ノード及び子孫ノードの各再生メディア情報を含むメディア情報を受信し、前記メディア情報保持手段に保持するメディア情報受信手段
を備えることを特徴とする請求項3に記載の通信装置。
【請求項5】
マルチメディアデータを配信する配信元装置と、前記配信元装置若しくは他の通信装置から受信したマルチメディアデータを再生すると共に、前記受信したマルチメディアデータを他の通信装置に再配信可能な複数の通信装置とを有するデータ配信システムで、前記各配信元装置と前記各通信装置の通信制御を行なう通信制御装置において、
前記配信元装置のノード情報と、前記各通信装置が再生要求するメディア種別を示す再生メディア情報を含むノード情報とを取得するノード情報取得手段と、
前記配信元装置の前記ノード情報と、前記各通信装置の前記ノード情報とを保持するノード情報保持手段と、
前記各通信装置の前記再生メディア情報に基づいて、前記各通信装置が再生要求する前記メディア種別
のメディアデータを配信可能なノードを親ノードとする前記データ配信システムの配信ツリーを構築する配信構成形成手段と、
前記配信ツリーを構成する各ノード間の配信パスに関する情報を、対応する前記配信元装置及び前記各通信装置に送信する送信手段と
を備えることを特徴とする通信制御装置。
【請求項6】
前記ノード情報保持手段が、前記配信構成形成手段により構築された前記配信ツリーと、前記各通信装置の前記再生メディア情報とに基づいて、前記配信ツリーを構成する前記各通信装置に提供するメディア情報を生成し、
前記送信手段が、前記ノード情報保持手段により生成された前記メディア情報を、対応する前記各通信装置に送信する
ことを特徴とする請求項5に記載の通信制御装置。
【請求項7】
前記データ配信システムは、複数のマルチメディアデータを配信可能であり、
前記配信構成形成手段が、前記マルチメディアデータ毎に、前記配信ツリーを構築する
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の通信制御装置。
【請求項8】
マルチメディアデータを配信する配信元装置と、前記配信元装置若しくは他の通信装置から受信したマルチメディアデータを再生すると共に、前記受信したマルチメディアデータを他の通信装置に再配信可能な複数の通信装置と、前記各配信元装置と前記各通信装置の通信制御を行なう通信制御装置とを有し、
前記配信元装置が、請求項3又は4に記載の通信装置であり、
前記複数の通信装置のうちの全部又は一部が、請求項1又は2に記載の通信装置であり、
前記通信制御装置が、請求項5~7のいずれかに記載の通信制御装置である
ことを特徴とするデータ配信システム。
【請求項9】
配信ツリーを構成する前記複数の通信装置のうちの一部が、
メディア種別制御手段を備えず、自装置における再生要求するメディア種別を示す再生メディア情報のみを含むノード情報を前記通信制御装置に送信する第1の通信装置を含み、
前記通信制御装置が、前記第1の通信装置から、自装置の再生メディア情報のみを含むノード情報を受信したときには、前記第1の通信装置の子ノード及び子孫ノードのメディア情報を、前記第1の通信装置に送信する
ことを特徴とする請求項8に記載のデータ配信システム。
【請求項10】
前記通信制御装置が、前記第1の通信装置に関して、前記配信ツリーの構成に従って、前記第1の通信装置及び前記第1の通信装置の子ノード及び子孫ノードのメディア情報を、前記第1の通信装置の親ノードに送信する
ことを特徴とする請求項9に記載のデータ配信システム。
【請求項11】
配信ツリーを構成する前記複数の通信装置のうちの一部が、
メディア種別制御手段を備えず、自装置における再生要求するメディア種別を示す再生メディア情報のみを含むノード情報を前記通信制御装置に送信する第1の通信装置を含み、
前記通信制御装置が、前記第1の通信装置から、自装置の再生メディア情報のみを含むノード情報を受信したときには、前記第1の通信装置のメディア情報を、前記第1の通信装置に送信する
ことを特徴とする請求項8に記載のデータ配信システム。
【請求項12】
マルチメディアデータを配信するデータ配信システムの配信ツリーを構成するものであって、配信元装置又は他の通信装置から受信した前記マルチメディアデータを、子ノードとしての他の通信装置に再配信可能な通信装置の通信プログラムにおいて、
コンピュータを、
受信した前記マルチメディアデータのうち、自装置で指定されたメディア種別を示す再生メディア情報に従って、対応するメディアを再生出力する再生処理手段と、
自装置の前記再生メディア情報と、前記配信ツリーで自装置が存在する経路上
で自装置を親ノードとした場合、自装置の子ノード及び子孫ノードの各再生メディア情報を含むメディア情報を保持するメディア情報保持手段と、
前記マルチメディアデータを子ノードに配信する際、前記メディア情報に含まれる子ノード及び子孫ノードの前記各再生メディア情報に基づいて、
前記マルチメディアデータのうち、子ノードからのメディア情報で要求されるメディア種別を
選択するメディア種別制御手段と、
前記メディア種別制御手段により得られた前記再配信するメディア種別に基づいて、前記マルチメディアデータから
子ノードから要求されたメディア種別のメディアデータを選択し
て、子ノードに再配信する再配信手段と
して機能させることを特徴とする通信プログラム。
【請求項13】
マルチメディアデータを配信するデータ配信システムの配信ツリーを構成するものであって、前記マルチメディアデータを配信する配信元の通信装置の通信プログラムにおいて、
コンピュータを、
前記配信ツリー上で直接配信する、1又は複数の通信装置のそれぞれが再生要求するメディア種別を示す再生メディア情報と、前記各通信装置が存在する経路上
で自装置を親ノードとした場合、自装置の子ノード及び子孫ノードの各再生メディア情報とを含むメディア情報を保持するメディア情報保持手段と、
前記マルチメディアデータを前記各通信装置に配信する際、前記メディア情報に含まれる、前記各通信装置の前記再生メディア情報と、その子ノード及び子孫ノードの前記各再生メディア情報に基づいて、
前記マルチメディアデータのうち、子ノードからのメディア情報で要求されるメディア種別を
選択するメディア種別制御手段と、
前記メディア種別制御手段により得られた前記配信するメディア種別に基づいて、前記マルチメディアデータから
子ノードから要求されたメディア種別のメディアデータを選択し
て、前記各通信装置に配信する配信手段と
して機能させることを特徴とする通信プログラム。
【請求項14】
マルチメディアデータを配信する配信元装置と、前記配信元装置若しくは他の通信装置から受信したマルチメディアデータを再生すると共に、前記受信したマルチメディアデータを他の通信装置に再配信可能な複数の通信装置とを有するデータ配信システムで、前記各配信元装置と前記各通信装置の通信制御を行なう通信制御装置の通信制御プログラムにおいて、
コンピュータを、
前記配信元装置のノード情報と、前記各通信装置が再生要求するメディア種別を示す再生メディア情報を含むノード情報とを取得するノード情報取得手段と、
前記配信元装置の前記ノード情報と、前記各通信装置の前記ノード情報とを保持するノード情報保持手段と、
前記各通信装置の前記再生メディア情報に基づいて、前記各通信装置が再生要求する前記メディア種別
のメディアデータを配信可能なノードを親ノードとする前記データ配信システムの配信ツリーを構築する配信構成形成手段と、
前記配信ツリーを構成する各ノード間の配信パスに関する情報を、対応する前記配信元装置及び前記各通信装置に送信する送信手段と
して機能させることを特徴とする通信制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、通信制御装置、データ配信システム、通信プログラム及び通信制御プログラムに関し、例えば、映像情報や音声情報等を含むマルチメディアデータを配信元から複数ユーザーへ配信するシステムに適用し得るものである。
【背景技術】
【0002】
近年、情報通信技術の発達により、遠隔の離れた場所にいる者同士があたかも同じ場所にいるかのようにコミュニケーションしたり、共同作業を行ったりする技術が注目されている。複数の映像や音声等の情報を、複数の場所や複数のユーザーに配信することにより、これら遠隔の複数者間のコミュニケーションを実現している。
【0003】
従来、映像や音声等のデータを複数のユーザーに配信する場合、ビデオカメラ等の映像ソースや、マイク等の音声ソースからのマルチメディアデータを持つ配信元から、これらのデータを要求するユーザーに対してIPパケット等を用いたユニキャスト通信で配信する方法が用いられる。
【0004】
このようなユニキャスト通信では、同じデータを要求するユーザー数が増加すると、配信サーバー91では、ユーザー数に応じたユニキャスト通信路の数だけ同じデータを複製して配信するため、ネットワークの帯域幅を浪費して十分な数のユーザー92に配信できないという問題がある(
図2参照)。また、ユニキャスト通信ではなくマルチキャスト通信を用いてデータの複製を配信経路の途中のルーター93で行うことによりネットワーク帯域の浪費を防止する方法もあるが、経路上のすべてのルーター93がマルチキャスト通信に対応する必要があり、一般には普及していない(
図3参照)。
【0005】
このような問題への対策として、アプリケーションレベルマルチキャストと呼ばれる方法が知られている。これは、配信を受けているユーザーが中継ノードとなり、さらに別のユーザーに対して再配信することにより、ユーザーのアプリケーションのみで多数のユーザーへのマルチキャストを実現する方法である(
図4参照)。
【0006】
このようなアプリケーションレベルマルチキャストでは、配信経路をいかに構築するかがシステム全体の配信性能に大きく影響する。
【0007】
特許文献1では、アプリケーションレベルマルチキャストを用いて配信を行う配信ツリーを、配信パスのスループット等を計測することによって、状況に応じて配信ツリーを切り替えていく方法などが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このようなアプリケーションレベルマルチキャストを用いて、多数のユーザーに映像情報や音声情報を配信する場合、ユーザーによっては映像の観賞のみで音声は再生しなかったり、映像の表示手段を持たず音声情報のみを再生したりするなど、ユーザーごとに配信を受けたい映像・音声の組み合わせが異なるユーザーが混在する場合がある(
図5参照)。
【0010】
このような場合にユーザーの要求にかかわらず映像・音声のすべてのデータを配信ツリーに沿って配信すると、例えば音声情報のみが必要であるようなユーザーに対しても映像情報データを配信してしまうなど、ネットワーク帯域が浪費されることとなる。また、ネットワーク品質によっては、不要なメディアのデータによってネットワーク帯域を圧迫されて、映像の品質を低下させて配信せざるを得なくなったり、音声データが途切れ途切れになったりしてしまう状況となるという課題がある。
【0011】
そのため、マルチメディアデータを配信するデータ配信システムにおいて、各ノードが要求する種別のメディアデータを選択的に送信することにより、ネットワーク帯域の浪費を低減して、効率的な配信ツリーを構築する通信装置、通信制御装置、データ配信システム、通信プログラム及び通信制御プログラムが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、次のような構成を採用する。
【0013】
第1の本発明は、マルチメディアデータを配信するデータ配信システムの配信ツリーを構成するものであって、配信元装置又は他の通信装置から受信した前記マルチメディアデータを、子ノードとしての他の通信装置に再配信可能な通信装置において、(1)受信したマルチメディアデータのうち、自装置で指定されたメディア種別を示す再生メディア情報に従って、対応するメディアを再生出力する再生処理手段と、(2)自装置の再生メディア情報と、配信ツリーで自装置が存在する経路上で自装置を親ノードとした場合、自装置の子ノード及び子孫ノードの各再生メディア情報を含むメディア情報を保持するメディア情報保持手段と、(3)マルチメディアデータを子ノードに配信する際、メディア情報に含まれる子ノード及び子孫ノードの各再生メディア情報に基づいて、マルチメディアデータのうち、子ノードからのメディア情報で要求されるメディア種別を選択するメディア種別制御手段と、(4)メディア種別制御手段により得られた再配信するメディア種別に基づいて、マルチメディアデータから子ノードから要求されたメディア種別のメディアデータを選択して、子ノードに再配信する再配信手段とを備えることを特徴とする。
【0014】
第2の本発明は、マルチメディアデータを配信するデータ配信システムの配信ツリーを構成するものであって、前記マルチメディアデータを配信する配信元の通信装置において、(1)配信ツリー上で直接配信する、1又は複数の通信装置のそれぞれが再生要求するメディア種別を示す再生メディア情報と、各通信装置が存在する経路上で自装置を親ノードとした場合、自装置の子ノード及び子孫ノードの各再生メディア情報とを含むメディア情報を保持するメディア情報保持手段と、(2)マルチメディアデータを各通信装置に配信する際、メディア情報に含まれる、各通信装置の再生メディア情報と、その子ノード及び子孫ノードの各再生メディア情報に基づいて、マルチメディアデータのうち、子ノードからのメディア情報で要求されるメディア種別を選択するメディア種別を制御するメディア種別制御手段と、(3)メディア種別制御手段により得られた配信するメディア種別に基づいて、マルチメディアデータから子ノードから要求されたメディア種別のメディアデータを選択して、各通信装置に配信する配信手段とを備えることを特徴とする。
【0015】
第3の本発明は、マルチメディアデータを配信する配信元装置と、配信元装置若しくは他の通信装置から受信したマルチメディアデータを再生すると共に、受信したマルチメディアデータを他の通信装置に再配信可能な複数の通信装置とを有するデータ配信システムで、各配信元装置と各通信装置の通信制御を行なう通信制御装置において、(1)配信元装置のノード情報と、各通信装置が再生要求するメディア種別を示す再生メディア情報を含むノード情報とを取得するノード情報取得手段と、(2)配信元装置のノード情報と、各通信装置の前記ノード情報とを保持するノード情報保持手段と、(3)各通信装置の再生メディア情報に基づいて、各通信装置が再生要求するメディア種別のメディアデータを配信可能なノードを親ノードとするデータ配信システムの配信ツリーを構築する配信構成形成手段と、(4)配信ツリーを構成する各ノード間の配信パスに関する情報を、対応する配信元装置及び各通信装置に送信する送信手段とを備えることを特徴とする。
【0016】
第4の本発明は、マルチメディアデータを配信する配信元装置と、配信元装置若しくは他の通信装置から受信したマルチメディアデータを再生すると共に、受信したマルチメディアデータを他の通信装置に再配信可能な複数の通信装置と、各配信元装置と各通信装置の通信制御を行なう通信制御装置とを有し、配信元装置が、第2の本発明の通信装置であり、複数の通信装置のうちの全部又は一部が、第1の本発明の通信装置であり、通信制御装置が、第3の本発明の通信制御装置であることを特徴とする。
【0017】
第5の本発明は、マルチメディアデータを配信するデータ配信システムの配信ツリーを構成するものであって、配信元装置又は他の通信装置から受信したマルチメディアデータを、子ノードとしての他の通信装置に再配信可能な通信装置の通信プログラムにおいて、コンピュータを、(1)受信したマルチメディアデータのうち、自装置で指定されたメディア種別を示す再生メディア情報に従って、対応するメディアを再生出力する再生処理手段と、(2)自装置の再生メディア情報と、配信ツリーで自装置が存在する経路上で自装置を親ノードとした場合、自装置の子ノード及び子孫ノードの各再生メディア情報を含むメディア情報を保持するメディア情報保持手段と、(3)マルチメディアデータを子ノードに配信する際、メディア情報に含まれる子ノード及び子孫ノードの各再生メディア情報に基づいて、マルチメディアデータのうち、子ノードからのメディア情報で要求されるメディア種別を選択するメディア種別制御手段と、(4)メディア種別制御手段により得られた再配信するメディア種別に基づいて、マルチメディアデータから子ノードから要求されたメディア種別のメディアデータを選択して、子ノードに再配信する再配信手段として機能させることを特徴とする。
【0018】
第6の本発明は、マルチメディアデータを配信するデータ配信システムの配信ツリーを構成するものであって、マルチメディアデータを配信する配信元の通信装置の通信プログラムにおいて、コンピュータを、(1)配信ツリー上で直接配信する、1又は複数の通信装置のそれぞれが再生要求するメディア種別を示す再生メディア情報と、各通信装置が存在する経路上で自装置を親ノードとした場合、自装置の子ノード及び子孫ノードの各再生メディア情報とを含むメディア情報を保持するメディア情報保持手段と、(2)マルチメディアデータを各通信装置に配信する際、メディア情報に含まれる、各通信装置の再生メディア情報と、その子ノード及び子孫ノードの各再生メディア情報に基づいて、マルチメディアデータのうち、子ノードからのメディア情報で要求されるメディア種別を選択するメディア種別を制御するメディア種別制御手段と、(3)メディア種別制御手段により得られた、配信するメディア種別に基づいて、マルチメディアデータから子ノードから要求されたメディア種別のメディアデータを選択して選択したメディアデータを、各通信装置に配信する配信手段として機能させることを特徴とする。
【0019】
第7の本発明は、マルチメディアデータを配信する配信元装置と、配信元装置若しくは他の通信装置から受信したマルチメディアデータを再生すると共に、受信したマルチメディアデータを他の通信装置に再配信可能な複数の通信装置とを有するデータ配信システムで、各配信元装置と各通信装置の通信制御を行なう通信制御装置の通信制御プログラムにおいて、コンピュータを、(1)配信元装置のノード情報と、各通信装置が再生要求するメディア種別を示す再生メディア情報を含むノード情報とを取得するノード情報取得手段と、(2)配信元装置のノード情報と、各通信装置のノード情報とを保持するノード情報保持手段と、(3)各通信装置の再生メディア情報に基づいて、各通信装置が再生要求するメディア種別のメディアデータを配信可能なノードを親ノードとするデータ配信システムの配信ツリーを構築する配信構成形成手段と、(4)配信ツリーを構成する各ノード間の配信パスに関する情報を、対応する配信元装置及び各通信装置に送信する送信手段として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、以下のような効果が得られる。
【0021】
配信元の通信装置及び受信側の通信装置のメディア種別制御部によって、子ノードやその子孫ノードの要求するメディアを選択的に送信することが可能となるため、ネットワーク帯域の浪費を低減することができる。通信制御装置では、各受信側の通信装置が要求している種別のメディアを提供可能なノードを親ノードとするように配信ツリーを構築することができ、効率的な配信ツリーを構築することができる。ネットワーク帯域に余裕ができることによって、映像や音声の符号化に用いるビットレートを高く保つことができ、より高画質の映像や、より高音質の音声を配信することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】第1の実施形態に係る受信ノードの内部構成を示す内部構成図である。
【
図2】従来のユニキャストによるデータ配信の例を説明する説明図である。
【
図3】従来のマルチキャストによるデータ配信の例を説明する説明図である。
【
図4】従来のアプリケーションレベルマルチキャストによるデータ配信の例を説明する説明図である。
【
図5】従来の各ノードが要求するメディア種別の例を説明する説明図である。
【
図6】第1の実施形態に係るデータ配信システムの全体構成(論理的な接続構成)を示すブロック図である。
【
図7】第1の実施形態に係るマルチメディア配信管理サーバーの内部構成を示す内部構成図である。
【
図8】第1の実施形態に係る配信元ノードの内部構成を示す内部構成図である。
【
図9】第1の実施形態に係るデータ配信システムにおいて各ノードが再生を要求しているメディア種別を説明する説明図である。
【
図10】第1の実施形態において、配信元ノードと受信ノードとの間でやり取りするメディア情報の様子を示す説明図である。
【
図11】第2の実施形態に係る受信ノードの内部構成を示す内部構成図である。
【
図12】第2の実施形態に係るマルチメディア配信管理サーバーの内部構成を示す内部構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(A)第1の実施形態
以下では、本発明に係る通信装置、通信制御装置、データ配信システム、通信プログラム及び通信制御プログラムの第1の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0024】
(A-1)第1の実施形態の構成
[データ配信システム]
図6は、第1の実施形態に係るデータ配信システムの全体構成(論理的な接続構成)を示すブロック図である。
【0025】
図6において、この実施形態に係るデータ配信システム1は、マルチメディア配信管理サーバー10、配信元ノード20、複数(例えば、
図6では5台)の受信ノード30(30-1~30-5)を有する。
【0026】
なお、データ配信システム1において、配置される各構成要素の数は限定されないものである。例えば、
図6では1台の配信元ノード20を例示しているが、複数の配信元ノード20を備えるようにしてもよい。また1台の配信元ノード20が1種類のコンテンツ(マルチメディアデータ)を配信するようにしても良いし、複数種類のコンテンツ(マルチメディアデータ)を配信するようにしてもよい。
【0027】
データ配信システム1は、ツリー構造のネットワークを形成しており、アプリケーションレベルマルチキャストを用いてメディアデータを配信する。データ配信システム1において、複数のマルチメディアデータ(コンテンツ)が配信されるようにしても良く、その場合、マルチメディアデータ(コンテンツ)毎に、配信ツリーが構築されるようにしてもよい。
【0028】
なお、この実施形態では、説明を容易にするために、1台の配信元ノード20が1種類のマルチメディアデータ(コンテンツ)を配信する場合であり、複数の受信ノード30は、当該配信元ノード20のマルチメディアデータを配信要求しているものとする。
【0029】
なお、ツリー構造のネットワークでは、配信元ノード20から受信ノード30側へのデータの流れを下流とし、逆に受信ノード30から配信元ノード20側へのデータの流れを上流とする。配信ツリーにおいて、ある受信ノード30から上流側に位置して直接通信するノード(配信元ノード20あるいは他の受信ノード30)を「親ノード」と呼び、ある受信ノード30から下流側に位置して直接通信するノードを「子ノード」と呼ぶ。また、配信ツリーにおいて、あるノードの親ノードのさらに上流側に位置する親ノードを総称して「祖先ノード」と呼び、あるノードの子ノードのさらに下流側に位置する子ノードを総称して「子孫ノード」と呼ぶ。
【0030】
データ配信システム1において、各構成要素間の接続手段(ネットワーク構成)については限定されないものであり、例えば、インターネット、広域LAN、無線IPネットワーク等を適用することができる。
【0031】
マルチメディア配信管理サーバー10は、配信元ノード20と各受信ノード30との間でマルチメディアデータを配信する配信ツリーを構築し、その配信ツリーの構成を管理する。
【0032】
なお、データ配信システム1において、複数のマルチメディアデータ(コンテンツ)が配信可能である場合、マルチメディア配信管理サーバー10は、マルチメディアデータを特定する特定情報に基づいて、マルチメディアデータ毎に、配信元ノード20と、配信を要求する各受信ノード30とで形成される配信ツリーを構築して管理するようにしてもよい。
【0033】
配信元ノード20は、各受信ノード30に配信するデータ(以下、「配信データ」とも呼ぶ。)の配信元となる装置である。配信元ノード20は、マルチメディア配信管理サーバー10の指示に応じて、複数の受信ノード30のうち、直接の配信先とする1又は複数の受信ノード30に、マルチメディアデータを送信する。ここで、配信元ノード20は、配信ツリーにおける子ノードや子孫ノードから取得したメディア種別を含むメディア情報に応じてメディア種別制御処理を行なったマルチメディアデータを各受信ノード30に送信する。
【0034】
なお、配信データの内容や形式は限定されず、例えば、映像や音声等を含むコンテンツデータ(例えば、ファイル形式の映像データに基づいてストリーミング形式に変換されたデータ)や、ビデオカメラ等の映像ソースからのリアルタイムの映像データや、マイク等の音声ソースからのリアルタイムの音響データ等を含むマルチメディアデータ(マルチメディア情報)が挙げられる。また、配信データは、例えば、映像データや音声データ以外に文書やプレゼンテーション等のデータとしてもよい。配信元ノード20は、受信ノード30が要求するメディアの種別に応じて、配信データを受信ノード30に配信する。
【0035】
受信ノード30は、マルチメディア配信管理サーバー10の指示に応じて、配信ツリーの配信パスを設定し、親ノードとする配信元ノード20若しくは他の受信ノード30からマルチメディアデータを受信して、自ノードにおいて再生するメディア種別を含む再生メディア情報に従って、メディアを再生して出力する。
【0036】
さらに、受信ノード30は、マルチメディア配信管理サーバー10の指示に応じて、自ノードを親ノードとしている受信ノード30(すなわち、子ノード)のそれぞれに、マルチメディアデータを送信(再配信)する。ここで、受信ノード30は、配信ツリーにおける、自ノードの子ノードや子孫ノードから取得したメディア種別を含むメディア情報に応じてメディア種別制御処理を行なったマルチメディアデータを各受信ノード30に送信(再配信)する。
【0037】
[マルチメディア配信管理サーバー]
図7は、第1の実施形態に係るマルチメディア配信管理サーバー10の内部構成を示す内部構成図である。
【0038】
図7において、第1の実施形態に係るマルチメディア配信管理サーバー10は、配信構成管理部11を有する。配信構成管理部11は、受信部111、ノード情報管理部112、配信構成形成部113、送信部114を有する。
【0039】
マルチメディア配信管理サーバー10は、例えば、PCやワークステーション等のコンピュータにプログラム(例えば通信制御プログラム等)をインストールすることにより構成するようにしてもよい。
【0040】
配信構成管理部11は、配信元ノード20と各受信ノード30から、各ノードを識別するための識別情報(例えばID番号やネットワークアドレス等)を含むノード情報を取得し、各ノードのノード情報に基づいて、マルチメディアデータを配信する配信ツリーを構築する。そして、構築した配信ツリーに基づいて、ノード間の配信パスの接続相手に関する情報を、配信元ノード20と各受信ノード30に送信(通知)する。これにより、配信元ノード20及び各受信ノード30は、親ノードとの間の通信路や、子ノードとの間の通信路を設定することができ、各通信路を介して配信データを送受信することができる。
【0041】
受信部111は、配信元ノード20と各受信ノード30からノード情報を受信し、受信したノード情報をノード情報管理部112に与える。
【0042】
ノード情報管理部112は、受信した配信元ノード20と各受信ノード30のノード情報を管理する。ノード情報管理部112は、配信ツリーを構築するために、配信元ノード20と各受信ノード30のノード情報を配信構成形成部113に与える。
【0043】
さらに、ノード情報管理部112は、構築された配信ツリーに基づいて、配信パスの送信元と送信先を示す配信パスに関する情報(通信路)を導出し、各配信パスに関する情報を配信元ノード20と各受信ノード30に送信させる。
【0044】
配信構成形成部113は、配信元ノード20と各受信ノード30のノード情報に基づいて、マルチメディアデータを配信する配信ツリーを構築する。ノード情報には、各ノードの識別情報、各受信ノード30が要求するメディア種別を含むメディア情報等が含まれるようにしてもよい。このようにメディア情報が含まれるようにすることで、配信構成形成部113は、各受信ノード30が要求するメディア種別のメディアデータを配信可能なノードを親ノードとする配信ツリーを構築することができる。その結果、効率的な配信ツリーを構築することができる。
【0045】
配信構成形成部113は、新規の受信ノード30がネットワークに参加した場合や、ネットワークから受信ノード30が離脱した場合等には、配信ツリーを再構成する。配信ツリーの再構成の際、ノード情報管理部112は、配信元ノード20や各受信ノード30に対して、配信ツリーの再構成を指示する。
【0046】
送信部114は、ノード情報管理部112から取得した各配信パスに関する情報を、配信元ノード20と各受信ノード30に送信する。
【0047】
なお、
図6に例示するデータ配信システム1において、複数の配信元ノード20が存在するようにしてもよく、その場合、マルチメディア配信管理サーバー10は、それぞれの配信元ノード20ごと(例えば、配信したいマルチメディアコンテンツごと)に、配信ツリーを構築して管理するようにしてもよい。例えば、複数のユーザーがそれぞれの端末内に配信元ノード20を配置し、また、同端末内に、他のユーザーが配信元である配信ツリーの受信ノードを複数配置する。そして、複数ユーザー間で双方向にマルチメディアデータを配信しあうことでコミュニケーションを実現するような構成としてもよい。
【0048】
[配信元ノード]
図8は、第1の実施形態に係る配信元ノード20の内部構成を示す内部構成図である。
【0049】
図8において、第1の実施形態に係る配信元ノード20は、メディア種別制御部203、送信部204、メディア情報受信部205、メディア情報管理部206、配信制御部208を有する。
【0050】
配信元ノード20は、例えば、PC、ワークステーション、携帯端末(例えば、スマートフォン、タブレット端末等の端末)等のコンピュータに、プログラム(例えば、配信プログラム等)をインストールすることにより構成するようにしてもよい。
【0051】
配信制御部208は、マルチメディア配信管理サーバー10の配信構成管理部11により構築された配信ツリーについて、各配信パスに関する情報を配信構成管理部11から取得し、その配信パスに関する情報に基づいて、送信部204やメディア情報受信部205に配信制御を行なう。
【0052】
メディア種別制御部203は、配信したい映像や音声を含むマルチメディアデータを入力し、配信元ノード20から直接配信を受ける子ノード(受信ノード30)への配信用にメディアデータの種別を制御する。
【0053】
より具体的には、メディア種別制御部203は、後述するメディア情報管理部206から、配信ツリーにおいて直接通信する1又は複数の受信ノード30と、直接通信する各受信ノード30の子ノードや子孫ノードのそれぞれが要求するメディア種別を取得し、直接通信する各受信ノード30と、その子ノードや子孫ノードが要求するメディア種別のメディアデータを含むマルチメディアデータを作成して送信部204に与える。これにより、配信元ノード20と直接通信する各受信ノード30と、その各受信ノード30の子ノードや子孫ノードとが要求するメディア種別のメディアデータを含むマルチメディアデータを、直接通信する各受信ノード30に配信することができる。
【0054】
送信部204は、メディア種別制御部203によってメディア種別制御されたマルチメディアデータを、子ノードへ送信(配信)する。
【0055】
メディア情報受信部205は、配信ツリーを構成する受信ノード30のうち、自ノードが直接通信する1又は複数の受信ノード30から、直接通信する各受信ノード30と、その各受信ノード30の子ノードや子孫ノードとが再生を要求する再生メディア情報を含むメディア情報を受信する。
【0056】
メディア情報管理部206は、メディア情報受信部205により受信されたメディア情報を管理する。例えば、メディア情報管理部206は、配信したい配信データについて、各受信ノード30の識別情報と、各受信ノード30が要求するメディア種別とを対応付けて管理する。また、メディア情報管理部206は、配信ツリーを構成する受信ノード30のうち、直接配信する1又は複数の受信ノード30の子ノードや子孫ノードのそれぞれが要求するメディア種別を、受信ノード30毎に管理する。
【0057】
[受信ノード30]
図1は、第1の実施形態に係る受信ノード30の内部構成を示す内部構成図である。
【0058】
図1において、第1の実施形態に係る受信ノード30は、受信部301、再生処理部302、メディア種別制御部303、再送信部304、メディア情報受信部305、メディア情報管理部306、メディア情報送信部307、配信制御部308を有する。
【0059】
受信ノード30は、例えば、PC、ワークステーション、携帯端末(例えば、スマートフォン、タブレット端末等の端末)等のコンピュータに、プログラム(例えば、配信プログラム等)をインストールすることにより構成するようにしてもよい。
【0060】
配信制御部308は、マルチメディア配信管理サーバー10の配信構成管理部11により構築された配信ツリーについて、各配信パスに関する情報を配信構成管理部11から取得し、その配信パスに関する情報に基づいて、受信部301や再送信部304やメディア情報受信部305やメディア情報送信部307に対して配信制御を行なう。
【0061】
受信部301は、例えば配信元ノード20若しくは他の受信ノード30である親ノードから配信データを受信し、受信した配信データを再生処理部302やメディア種別制御部303に与える。
【0062】
再生処理部302は、受信した配信データのうち、ユーザーによって指示された自ノードでの再生メディア情報に従ってメディアを再生し、再生したデータ(再生データ)を出力する。
【0063】
より具体的には、自ノードでは、例えば再生メディア情報指定部32を通じてユーザーによって再生するメディア種別が指定されており、その再生メディア種別を含む再生メディア情報が再生処理部302に入力される。そして、再生処理部302は、入力された再生メディア情報に基づいて、ユーザーによって指定されたメディアを再生する。例えば、配信元ノード20から配信される配信データが映像と音響を含むマルチメディアデータの場合に、ユーザーによって再生メディア情報として映像と音響が指定されているとき、再生処理部302は、受信したマルチメディアデータに基づいて映像と音響とを再生する。自ノードで再生するメディア種別はユーザーによって指定可能であり、映像又は音響のいずれかのみのメディア種別とすることができ、その場合には、再生処理部302は、映像のみ又は音響のみを再生する。
【0064】
メディア種別制御部303は、自ノードが子ノード(他の受信ノード30)への再配信を行う中継ノードである場合に、子ノードへの配信用にメディアの種別を制御する。つまり、メディア種別制御部303は、自ノードを親ノードとした場合の自ノードの子ノードや子孫ノードに配信データを配信するとき、子ノードや子孫ノードが再生を要求しているメディア種別に従って、再配信用のマルチメディアデータを作成して再送信部304に与える。
【0065】
より具体的には、メディア種別制御部303は、後述するメディア情報管理部306から、自ノードの子ノードや子孫ノードのそれぞれが要求するメディア種別を取得し、子ノードや子孫ノードが要求するメディア種別のメディアデータを含むマルチメディアデータを作成して再送信部304に与える。これにより、自ノードの子ノードや子孫ノードが要求するメディア種別のメディアデータを含むマルチメディアデータを、子ノードに再配信することができる。
【0066】
再送信部304は、メディア種別制御部303によって再配信用のマルチメディアデータを子ノードに配信する。
【0067】
メディア情報受信部305は、配信ツリー上の子ノードから、当該子ノードやその子孫ノード(配信ツリー上の子ノード以下のツリーを構成する他の受信ノード30)の再生メディア情報(メディア種別)を含むメディア情報を受信する。第1の実施形態では、子ノードから受信するメディア情報には、当該子ノードが再生を要求する再生メディア情報(メディア情報)と、当該子ノードの子ノード(子孫ノード)が再生する要求する再生メディア情報(メディア情報)とが統合された情報が含まれている。
【0068】
メディア情報管理部306は、例えば再生メディア情報指定部32を通じてユーザーによって指定された自ノードで再生するメディア種別を含む再生メディア情報と、メディア情報受信部305により受信された、子ノードや子孫ノードのメディア情報(すなわち、子ノードや子孫ノードが再生を要求するメディア種別)とを管理する。メディア情報管理部306は、子ノードや子孫ノードの再生メディア情報(メディア種別)をメディア種別制御部303に与える。
【0069】
メディア情報送信部307は、メディア情報管理部306において保持されているメディア情報を参照して、自ノード再生メディア情報と、子ノード及び子孫ノードの再生メディア情報とを含むメディア情報を、親ノードへのメディア情報として、親ノード(例えば、配信元ノード20若しくは他の受信ノード30)に送信する。
【0070】
(A-2)第1の実施形態の動作
次に、第1の実施形態に係るデータ配信システム1におけるデータ配信方法の動作を説明する。
【0071】
(A-2-1)データ配信方法の全体動作
図6に示すように、配信したいマルチメディアデータの配信元である配信元ノード20は、マルチメディアデータの受信者である、1又は複数の受信ノード30に対して、アプリケーションレベルマルチキャストを用いて、マルチメディアデータの配信を行う。
【0072】
マルチメディアデータの配信経路となる配信ツリーの構成状態は、マルチメディア配信管理サーバー10が管理している。マルチメディア配信管理サーバー10は、配信元ノード20や受信ノード30との間で、各ノードに関するノード情報や配信ツリーの構成に関わる情報をやり取りすることにより、動的なノードの追加や離脱に応じた配信ツリーの再構築を行う。
【0073】
具体的な配信ツリーの構成に関わる情報の内容や、具体的な配信パスとなる通信路を設定するためのシグナリング等については任意の方法を用いることができる。例えば、マルチメディア配信管理サーバー10がノード間の通信路設定のためのシグナリングを中継するシグナリングサーバーを兼務するような構成としても良い。また例えば、マルチメディア配信管理サーバー10が、受信ノード30や配信元ノード20の間のメディアの種別を含むメディア情報の送受信を行うための通信路の設定のためのシグナリングサーバーを兼務したりしてもよい。さらに例えば、ノード間では(メディアの種別に関する)メディア情報を直接送受信せずノード間のメディア情報の送受信を、マルチメディア配信管理サーバー10が中継する役割を兼務したりするような構成としても良い。
【0074】
まず、配信元ノード20は、配信したいマルチメディアデータである配信データを入力し、配信元ノードとしてのノード情報を、マルチメディア配信管理サーバー10に通知する。
【0075】
受信ノード30は、例えば、配信を受けたいマルチメディアデータを特定する情報などを含む、受信ノードとしてのノード情報を、マルチメディア配信管理サーバー10に通知する。
【0076】
ノード情報には、配信元ノード20や受信ノード30の識別情報や、配信元ノード20が配信可能なメディアの種別に関する情報や、受信ノード30が再生を要求するメディア種別に関する情報等を含めてもよい。
【0077】
マルチメディア配信管理サーバー10では、配信構成管理部11が、配信元ノード20や、1又は複数の受信ノード30で構成する配信ツリーの構成を構築する。ここで、配信構成管理部11は、配信元ノード20や各受信ノード30から得られるノード情報やメディア種別に関する情報等をもとに、配信ツリーを構築する。そして、マルチメディア配信管理サーバー10の配信構成管理部11は、それぞれのノード(配信元ノード20と受信ノード30)に対して、配信パスの接続相手を含む配信パスに関する情報を通知する。
【0078】
配信元ノード20や受信ノード30の各ノードは、配信構成管理部11から取得した配信パスに関する情報に基づいて、配信データを受信するための親ノードとの通信路や、配信データを送信するための子ノードへの通信路を設定し、配信データの送受信を行う。
【0079】
配信元ノード20や受信ノード30の各ノードは、配信パスに従った接続相手との通信路を確保する。
【0080】
配信元ノード20は、自ノードが持つマルチメディアデータを、複数の受信ノード30から要求されるメディア種別を含むメディア情報に基づいてメディア種別制御を行ない、各受信ノード30が要求するメディア種別のメディアデータを含むマルチメディアデータを作成して送信する。
【0081】
受信ノード30は、親ノードから配信データを受信すると、その配信データに基づいて、自ノードで再生するメディア種別のメディアを再生する。また、受信ノード30は、自ノードが子ノードや子孫ノードを持つ場合には、受信した配信データに基づいて、子ノードや子孫ノードが再生を要求するメディア種別を含むメディ情報に基づいてメディア種別制御を行い、子ノードや子孫ノードが要求するメディア種別のメディアデータを含むマルチメディアデータを作成して子ノードに再送信を行う。
【0082】
新規に受信ノード30が配信ツリーに参加する場合は、マルチメディア配信管理サーバー10は、新規の受信ノード30から通知されるノード情報にしたがって、配信元となる親ノード(配信元ノード20もしくはすでに配信を受けている受信ノード30)を割り当てる。そして、その割り当てられた親ノードが、新規の受信ノード30への配信を開始することにより、配信ツリーの構築(再構築)が行なわれる。
【0083】
配信ツリーに参加している受信ノード30の内の1つが配信ツリーから離脱した場合は、離脱したノードを親ノード(や祖先ノード)としていた受信ノード30への配信が停止してしまう。そのため、配信が停止してしまう受信ノード30に対して新たな親ノードの割り当てを行う。マルチメディア配信管理サーバー10における親ノードの再割り当ては、離脱ノードの直接の子ノードに対してのみ行っても良いし、直接の子ノード以外にも、子ノードの子孫のノードに対しても再割り当てを行っても良い。マルチメディア配信管理サーバー10は、これらの受信ノード30に対して、親ノードの再割り当てを行うことにより、配信ツリーの再構築を行う。
【0084】
(A-2-2)配信元ノードにおける動作
図8に示すように、配信元ノード20には、配信したいマルチメディアデータである配信データが入力される。このとき、配信元ノード20は、配信データとしてのマルチメディアデータをそのまま送信するのではなく、子ノードから通知される、子ノード及び子孫ノードが要求するメディア種別を含むメディア情報に従ったメディア種別制御処理を行ったうえで送信を行う。
【0085】
[メディア情報の送受信処理]
配信元ノード20では、子ノードから送信されたメディア情報が、メディア情報受信部205で受信される。ここで、子ノードから受信したメディア情報には、当該子ノードと、配信ツリー上の子ノード以下のツリーを構成する他の受信ノード30(すなわち子孫ノード)とが、再生要求している全てのメディア種別を含む情報としてもよい。
【0086】
メディア情報受信部205で受信されたメディア情報は、メディア情報管理部206に供給される。メディア種別制御部203では、配信するマルチメディアデータのうち、各受信ノード30が再生要求しているメディア種別を認識できるようにするため、各受信ノード30の識別情報と、メディア種別とを対応付けた情報を管理する。
【0087】
[マルチメディアデータの配信処理]
入力された配信データであるマルチメディアデータは、メディア種別制御部203により、配信元ノード20から直接配信を受ける子ノード(受信ノード30)への配信用にメディア種別制御する処理を行う。具体的には、入力されるマルチメディアデータのうち、子ノードから要求されるメディア種別のメディアデータのみを選択して、配信用マルチメディアデータを生成するような処理などを行う。
【0088】
例えば、配信元ノード20が配信データを配信する際に、メディア情報管理部206で保持されている情報がメディア種別制御部203に供給され、メディア種別制御部203は、子ノードや子孫ノードが再生要求しているメディア種別のメディアデータを含むマルチメディアデータを生成する。
【0089】
メディア種別制御部203から得られたマルチメディアデータは、送信部204からそれぞれの子ノードに対して送信される。
【0090】
(A-2-3)受信ノードにおける動作
[自ノードにおける再生メディア情報の指定処理]
図1に示すように、受信ノード30では、自ノードで再生したいメディア種別を示す再生メディア情報が入力される。
【0091】
例えば、再生メディア情報は再生メディア情報指定部32を通じてユーザーにより指定されるようにしても良く、再生メディア情報指定部32によりユーザーにより指定されたメディア種別を含む再生メディア情報が、再生処理部302やメディア情報管理部306に入力される。再生メディア情報は、
図5に例示するように、例えば映像と音声の双方を再生(
図5(A)参照)、映像のみを再生(
図5(B)参照)、音声のみを再生(
図5(C)参照)などのように、自ノードにおいて再生するメディ種別の組み合わせに関する情報である。
【0092】
[メディア再生処理]
受信ノード30は、マルチメディアデータの直接の配信元である親ノード(配信元ノード20若しくは他の受信ノード30)からマルチメディアデータを受信部301で受信する。
【0093】
受信したマルチメディアデータは再生処理部302で、入力される再生メディア情報に従ったメディア種別のメディアが再生される。例えば、マルチメディアデータのうち、映像の場合には、再生される映像がディスプレイ等の表示部に表示され、音声の場合には、再生される音声がスピーカー等から出力される。
【0094】
[メディア情報の送受信処理]
受信ノード30では、子ノードから送信されたメディア情報が、メディア情報受信部305で受信される。ここで、子ノードから受信したメディア情報には、当該子ノードの再生メディア情報と、配信ツリー上の子ノード以下のツリーを構成する他の受信ノード30(すなわち子孫ノード)の再生メディア情報とが含まれている。
【0095】
メディア情報受信部305で受信されたメディア情報は、メディア情報管理部306に供給される。また、メディア情報管理部306には、自ノードにおいて再生要求されるメディア種別を含む再生メディア情報が入力される。
【0096】
したがって、メディア情報管理部306では、配信されるマルチメディアデータのうち、自ノードの再生メディア情報と、子ノード及び子孫ノードとしての他の各受信ノード30のメディア情報を管理する。より具体的には、各ノードの識別情報と、メディア種別とを対応付けた情報を管理するようにしてもよい。
【0097】
そして、後述するように自ノードが他の受信ノード30に対してマルチメディアデータを再配信する中継ノードとして機能する場合には、メディア情報管理部306は、メディア種別制御部303におけるメディア種別制御に必要な情報を提供するため、子ノード及び子孫ノードの識別情報とメディア種別とを対応付けた情報をメディア種別制御部303に供給する。
【0098】
また、メディア情報管理部306は、子ノード及び子孫ノードからの再生メディア情報を含むメディア情報と、自ノードの再生メディア情報とを、親ノード(配信元ノード20若しくは他の受信ノード30)に通知するために、メディア情報をメディア情報送信部307に供給する。
【0099】
そして、メディア情報送信部307は、自ノードの再生メディア情報と、子ノード及び子孫ノードの再生メディア情報を含むメディア情報とを統合したメディア情報を、親ノードに対して通知を行う。すなわち、メディア情報送信部307が親ノードに通知するメディア情報は、自ノードの再生メディア情報と、子ノード及び子孫ノードの再生メディア情報を含むものである。メディア情報の統合は、自ノードと、子ノード及び子孫ノードのいずれかで要求されている全てのメディア種別を、親ノードへのメディア情報とする。換言すると、自ノードが要求するメディア種別だけでなく、配信ツリー上で自ノードが存在する経路における子ノード及び子孫ノードの全てが要求するメディア種別の全てを含むようにする。
【0100】
[マルチメディアデータの再配信処理]
受信ノード30が子ノード(他の受信ノード30)への再配信を行う中継ノードである場合は、メディア種別制御部303で、メディア情報管理部306に保持している子ノードや子孫ノードの再生メディア情報を含むメディア情報に応じて、子ノードへの配信用にメディアの種別を制御する。そして、メディア種別制御部制御部303により得られたマルチメディアデータが、再送信部304からそれぞれの子ノードに対して送信される。
【0101】
子ノードが存在しない場合は、メディア種別制御処理及び再送信処理は行わない。
【0102】
また、受信ノード30では、メディア種別制御部303を省略した構成として、受信部301で受信したマルチメディアデータのメディア種別はそのままとし、受信した全てのメディア種別のメディアデータを含むメディアデータを再送信部304から再送信するようにしてもよい。ここで、メディア種別制御部303の省略は、それぞれの受信ノード30ごとに混在していてもよく、また、同じ受信ノード30内でも処理負荷等の判断によって動的に処理を省略するような構成としてもよい。
【0103】
つまり、配信ツリーのある経路上の複数の受信ノード30のうち、メディア種別制御部303を機能させない受信ノード30と、機能させる受信ノード30とが混在するようにしても良い。メディア種別制御部303を機能させる複数の受信ノード30で配信ツリーの経路が構築される場合であっても、メディア種別制御に係る処理負荷等が大きくなるような受信ノード30は、自ノードの判断若しくはマルチメディア配信管理サーバー10等の判断で、メディア種別制御部303を動的に機能させないようにしてもよい。
【0104】
(A-2-4)各ノード間で授受されるメディア情報の説明
図9は、第1の実施形態に係るデータ配信システム1において各ノードが再生を要求しているメディア種別を説明する説明図である。
【0105】
図10は、配信元ノード20と受信ノード30との間でやり取りするメディア情報の様子を示す説明図である。
【0106】
図9に例示するように、配信元(配信元ノード20)からのマルチメディア配信を受けるユーザーであるそれぞれの受信ノード30は、それぞれが再生したいメディアの種別を表す再生メディア情報が与えられている。再生メディア情報は、例えば、映像のみ、音声のみ、映像・音声すべてといったメディアの種別情報である。
【0107】
図10に示すように、それぞれの受信ノード30は、子ノードから通知されるメディア情報に自身の再生メディア情報を統合したうえで親ノードへのメディア情報として通知する。すなわち、自ノード若しくは子ノード、子孫ノードで要求されているすべてのメディアを含むメディアの種別を親ノードへのメディア情報とする。
図10では、映像のみ、音声のみ、映像・音声両方を表すメディア情報を、それぞれ「V」、「A」、「A,V」と記している。
【0108】
これらのメディア情報は順次経路上の受信ノード30の再生メディアが統合されながら親ノードに伝搬し、配信元ノード20まで通知される。
【0109】
次に、
図9、
図10を参照しながら、各ノード(配信元ノード20および受信ノード30)でのメディア種別制御の様子を説明する。
【0110】
図10に示すように、各ノード(配信元ノード20および受信ノード30)は、子ノードから、子ノードやその子孫ノード(配信ツリー上の子ノード以下のツリーを構成する他の受信ノード30)の再生メディア情報を統合したメディア情報が通知されている。すなわち、各ノードは、その子ノード以下のいずれかの他の受信ノード30で再生されるメディアをすべて含むようなメディア情報が通知されている。
【0111】
各ノード(配信元ノード20および受信ノード30)におけるメディア種別制御部203およびメディア種別制御部303では、入力したマルチメディアデータのうち、子ノードからのメディア情報で要求されるメディアの種別のメディアのみを選択して、
図9に示すようにそれぞれの子ノードに対して送信する。
【0112】
受信ノード30でのメディア種別制御部303を省略するケースは前述のとおりである。これによって、子ノード以下では要求されていないメディアも送信する場合があることとなるが、受信ノード30の処理負荷の低減となる場合がある。
【0113】
前述したような、マルチメディア配信管理サーバー10が各ノード間のメディア情報を中継する構成では、マルチメディア配信管理サーバー10が、配信ツリーを構成する各ノードがどのような再生メディアを要求しているかを把握することができる。また、配信元ノード20や受信ノード30から、配信ツリーへの新規参加時等に通知されるノード情報の一部として、配信元ノード20が提供可能なメディアの種別や、受信ノード30自身の再生メディア情報を通知することにより、マルチメディア配信管理サーバー10が各ノードで要求されるメディアの種別を把握する構成としてもよい。
【0114】
マルチメディア配信管理サーバー10では、新規の受信ノードの参加や、離脱等による配信ツリーの再構築時に、配信元となる親ノードを選択する際に子ノード以下で要求されているメディアの種別をすべて提供可能なノードのみから親ノードを選択することができる。なお、配信元ノード20に入力されている配信データがすべてのメディアを含んでいない場合は、含まれないメディアに関する提供可能性は無視して選択してもよい。つまり、例えば、配信元ノード20に映像のみが入力されている場合に、受信ノード30が映像と音声のすべてを要求していたとしても、音声に関する提供可能性は無視して選択してもよい(無音の映像が提供されることに相当する)。
【0115】
また、マルチメディア配信管理サーバー10は、例えば、各ノードから通知される配信パスのネットワーク状況等に応じて、動的に配信ツリーの構成を更新していくような構成が可能である。このとき、各ノードの要求しているメディア情報も考慮して、配信ツリーの構成を更新していくように構成してもよい。すなわち、親ノード自身では再生しないようなメディアを、子ノードや子孫ノードから要求されているような親ノードでは、親自身では必要としていないようなメディアの送受信が必要となるという無駄が生じるため、このようなノードが減少するように動的に配信ツリーの構成を更新していくように構成することができる。
【0116】
以上のような処理により、アプリケーションレベルマルチキャストを用いたマルチメディアデータの配信を行う。
【0117】
(A-3)第1の実施形態の効果
以上のように、第1の実施形態によれば、以下のような効果が得られる。
【0118】
アプリケーションレベルマルチキャストを用いたマルチメディアデータの配信システムにおいて、配信元ノードおよび受信ノードのメディア種別制御部によって、子ノードやその子孫ノードの要求するメディアのみを選択的に送信することが可能となるため、ネットワーク帯域の浪費を低減することができる。
【0119】
マルチメディア配信管理サーバーでは、各受信ノードが要求している種別のメディアを提供可能なノードを親ノードとするように配信ツリーを構築することができ、効率的な配信ツリーを構築することができる。
【0120】
また、ネットワーク帯域に余裕ができることによって、映像や音声の符号化に用いるビットレートを高く保つことができ、より高画質の映像や、より高音質の音声を配信することが可能となる。
【0121】
(B)第2の実施形態
次に、本発明に係る通信装置、通信制御装置、データ配信システム、通信プログラム及び通信制御プログラムの第2の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0122】
(B-1)第2の実施形態の構成及び動作
第2の実施形態は、少なくともメディア種別制御部303を省略した受信ノードによってデータ配信システム1を構成する場合や、データ配信システム1を構成する複数の受信ノードのうち一部の受信ノードが、少なくともメディア種別制御部303を省略した構成等とする場合を説明する。
【0123】
つまり、データ配信システム1を構成する複数の受信ノードのうち、全て又は一部の受信ノードが少なくともメディア種別制御部303を省略した構成とする場合を例示する。換言すると、データ配信システム1を構成する全ての受信ノードが、少なくともメディア種別制御部303を省略したものであっても良いし、第1の実施形態で説明した受信ノード30と、後述する第2の実施形態の受信ノード30Aとが混在してもよい。
【0124】
[受信ノード]
図11は、第2の実施形態に係る受信ノード30の内部構成を示す内部構成図である。
【0125】
図11に示すように、第2の実施形態の受信ノード30Aは、受信部301、再生処理部302、再送信部304、メディア情報管理部306、メディア情報送信部307、配信制御部308を有する。
【0126】
図11の受信ノード30Aは、第1の実施形態で例示した受信ノード30が有する構成要素のうち、少なくともメディア種別制御部303を機能させない若しくは備えていない(省略した)構成である。また、必要に応じて、メディア種別制御部303に加えて、メディア情報受信部305を機能させない若しくは備えていない(省略した)構成としてもよい。
図11では、受信ノード30Aが、メディア種別制御部303とメディア情報受信部305とを省略した構成を例示している。
【0127】
以下では、第2の実施形態の受信ノード30Aの特徴とする機能(すなわち、第1の実施形態の受信ノード30と異なる機能)を中心に説明する。
【0128】
受信ノード30Aは、自ノードにおいて再生を要求するメディア種別を示す再生メディア情報を含むメディア情報を、直接マルチメディア配信管理サーバー10に通知する。つまり、受信ノード30Aは、自ノードにおいてユーザーにより指定された再生メディア情報は、メディア情報管理部306に管理され、メディア情報送信部307は、自ノードの再生メディア情報のみを含むメディア情報を、マルチメディア配信管理サーバー10に送信する。
【0129】
なお、メディア情報送信部307は、マルチメディア配信管理サーバー10に自ノードが少なくともメディア種別制御部303を備えていないことを認識させるために、その旨を示す情報を付与したメディア情報を、マルチメディア配信管理サーバー10に送信するようにしてもよい。
【0130】
受信ノード30Aは、メディア種別制御部303を備えていないので、自ノードが子ノードに配信データを再配信する中継ノードとして機能する場合には、受信部301が受信した配信データをそのまま子ノードに送信する。
【0131】
[マルチメディア配信管理サーバー]
図12は、第2の実施形態に係るマルチメディア配信管理サーバー10の内部構成を示す内部構成図である。
【0132】
図12において、第2の実施形態に係るマルチメディア配信管理サーバー10は、配信構成管理部11Aを有する。配信構成管理部11Aは、受信部111A、ノード情報管理部112A、配信構成形成部113、送信部114Aを有する。
【0133】
受信部111Aは、第1の実施形態と同様に、各ノード(配信元ノード20及び受信ノード30)からメディア種別に関する情報を含むノード情報を受信する。
【0134】
ノード情報管理部112Aは、受信部111Aが受信した各ノードのノード情報を管理する。さらに、ノード情報管理部112Aは、各ノードのノード情報に含まれている各受信ノードが要求するメディア種別を含む再生メディア情報を管理するメディア情報管理部として機能する。具体的には、各ノードの識別情報と、各ノードが再生を要求するメディア種別とを対応つけた情報を管理する。
【0135】
送信部114Aは、第1の実施形態と同様に、ノード情報管理部112から取得した各配信パスに関する情報を、配信元ノード20と各受信ノード30に送信する。さらに、送信部114Aは、配信ツリーを構成する各ノードの内、メディア情報受信部205やメディア情報受信部305を有するノード(メディア種別制御部203やメディア種別制御部303を有し機能させているノード)に、メディア情報を送信する。
【0136】
第1の実施形態では、配線ツリー上の各配線パスで接続するノード間でメディア情報を送受信し、各ノードが経路上の子ノードや子孫ノードを統合したメディア情報を親ノードに通知する場合を説明した。
【0137】
これに対して、第2の実施形態では、マルチメディア配信管理サーバー10が、各配信パスで接続する各ノードに、対応するメディア情報の送受信を仲介する構成としている。つまり、マルチメディア配信管理サーバー10が、配信ツリーにおける各配信パスに基づいて、各ノードに対して、当該ノードの接続相手となるノードとの間のメディア情報を送信するようにしてもよい。
【0138】
例えば、マルチメディア配信管理サーバー10でメディア情報を中継するような場合には、受信ノード30や受信ノード30Aのメディア情報送信部307からは自ノードの再生メディア情報のみを送信し、マルチメディア配信管理サーバー10は、配信ツリーの構成状態に従って、それぞれの受信ノード30や受信ノード30Aごとにメディア情報の統合を行ったうえで、メディア情報受信部305やメディア情報受信部205に送信するような構成としても良い。つまり、マルチメディア配信管理サーバー10は、配信ツリーにおける親ノードに対して、当該親ノードの子ノード及び子孫ノードの再生メディア情報を統合したメディア情報を送信するようにしてもよい。
【0139】
このような構成の場合、受信ノード30でメディア種別制御部303を省略する場合は、子ノードからのメディア情報は不要となるため、メディア情報受信部305も省略することができ、マルチメディア配信管理サーバー10も、このような受信ノード30Aへはメディア情報の送信を省略できる。
【0140】
受信ノード30Aでのメディア種別制御部303を省略するケースは前述のとおりである。これによって、子ノード以降では要求されていないメディアも送信する場合があることとなるが、受信ノード30Aの処理負荷の低減となる場合がある。
【0141】
また、前述したような、マルチメディア配信管理サーバー10が各ノード間のメディア情報を中継する構成では、マルチメディア配信管理サーバー10が、配信ツリーを構成する各ノードがどのような再生メディアを要求しているかを把握することができる。
【0142】
さらに、配信元ノード20や受信ノード30から、配信ツリーへの新規参加時等に通知されるノード情報の一部として、配信元ノード20が提供可能なメディアの種別や、受信ノード30自身の再生メディア情報を通知することにより、マルチメディア配信管理サーバー10が各ノードで要求されるメディアの種別を把握する構成としてもよい。
【0143】
(B-2)第2の実施形態の効果
第2の実施形態によれば、第1の実施形態で説明した効果に加えて、マルチメディア配信管理サーバーが、各ノードの再生要求するメディアの種別を把握することでき、メディアの種別を考慮した配信ツリーの構築を効率よく行うことができる。
【0144】
(C)他の実施形態
上述した実施形態においても本発明の種々の変形実施形態を言及したが、本発明は、以下の変形実施形態にも適用できる。
【0145】
(C-1)本発明は、上述した実施形態に限定されず、その他のさまざまなマルチメディア配信システムに利用可能である。
【0146】
例えば、映像や音声データ以外に文書やプレゼンテーション等の情報も同時に配信するなど様々なデータ配信を含むマルチメディア配信に利用可能である。すなわち、上記実施形態で説明した、映像と音声の種別だけでなく、映像、音声、データの組み合わせ方の種別によってメディア種別制御したり、音声にも複数の種別(例えば言語ごとなど)があるなど様々なメディアの組み合わせについて制御したりするようなシステムに利用可能である。
【0147】
(C-2)本発明は、上記構成を有するようなシステム、装置として構成する場合や、上記システムを構成する各装置の処理を実現するようなプログラムとしても実施可能である。
【0148】
例えば、配信元ノードや受信ノードの機能を実現するようなダウンロード可能なプログラム(例えばJava(登録商標)scriptプログラム)をサーバー上(Webサーバーやマルチメディア配信管理サーバー)に配置し、PCなどにダウンロードして(Webブラウザにダウンロードして)システムを構成するようなサーバー装置(サーバープログラム)として構成することも可能である。
【符号の説明】
【0149】
1…データ配信システム、
10…マルチメディア配信管理サーバー、11及び11A…配信構成管理部、111及び111A…受信部、112及び112A…ノード情報管理部、113…配信構成形成部、114及び114A…送信部、
20…配信元ノード、203…メディア種別制御部、204…送信部、205…メディア情報受信部、206…メディア情報管理部、208…配信制御部、
30(30-1~30-5)及び30A…受信ノード、301…受信部、302…再生処理部、303…メディア種別制御部、304…再送信部、305…メディア情報受信部、306…メディア情報管理部、307…メディア情報送信部、308…配信制御部。