IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 中国電力株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-物品管理システム 図1
  • 特許-物品管理システム 図2
  • 特許-物品管理システム 図3
  • 特許-物品管理システム 図4
  • 特許-物品管理システム 図5
  • 特許-物品管理システム 図6
  • 特許-物品管理システム 図7
  • 特許-物品管理システム 図8
  • 特許-物品管理システム 図9
  • 特許-物品管理システム 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-26
(45)【発行日】2023-07-04
(54)【発明の名称】物品管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/087 20230101AFI20230627BHJP
   B65G 1/137 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
G06Q10/087
B65G1/137 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019098801
(22)【出願日】2019-05-27
(65)【公開番号】P2020194300
(43)【公開日】2020-12-03
【審査請求日】2022-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126561
【弁理士】
【氏名又は名称】原嶋 成時郎
(72)【発明者】
【氏名】肥田 洋太郎
【審査官】橋沼 和樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-285548(JP,A)
【文献】特開2017-210310(JP,A)
【文献】特開2018-044983(JP,A)
【文献】特開2018-185146(JP,A)
【文献】特開2018-185208(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
B65G 1/137
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品が保管された構内を巡回して、物品の保管位置情報を含む地図データを作成する自律移動装置と、
前記自律移動装置に搭載されたカメラと、
保管物品の物品名、画像、保管位置及び主管部署を含む物品情報を入力する入力手段と、
前記物品情報及び前記地図データを記憶するデータベースと、
前記カメラにより撮影した物品の画像と前記データベースに記憶された物品情報とを照合し、前記物品の主管部署を判定する判定手段と、を備え、
前記データベースに記憶された物品情報と、前記自律移動装置が構内を巡回して取得した地図データとの物品の保管位置に関する情報の相違により物品の出入りを管理する物品管理システムであって、
物品の出入りがあったときに、前記判定手段により当該物品の主管部署を判定するとともに該主管部署に通知する、
ことを特徴とする物品管理システム。
【請求項2】
物品が保管された構内を巡回して、物品の保管位置を含む地図データを作成する自律移動装置と、
前記自律移動装置に搭載されたカメラと、
保管物品の物品名、保管物品の画像、保管位置及び主管部署を含む物品情報を入力する入力手段と、
前記物品情報及び前記地図データを記憶するデータベースと、
前記カメラにより撮影した物品の画像と前記データベースに記憶された物品情報とを照合し、前記カメラで撮影された物品の主管部署を判定する判定手段と、を備え、
データベースに記憶された物品情報と、前記自律移動装置が構内を巡回して取得した地図データの物品の保管位置に関する情報の相違により物品の出入りを管理する物品管理システムであって、
前記入力手段により物品の保管を禁止する禁止エリアを入力し、前記データベースに記憶するとともに、
自律移動装置の巡回により、前記禁止エリアに物品が保管されているか否かを判定し、
前記禁止エリアに物品が保管されている場合は、当該物品の主管部署に通知する、
ことを特徴とする物品管理システム。
【請求項3】
物品が保管された構内を巡回して、物品の保管位置を含む地図データを作成する自律移動装置と、
前記自律移動装置に搭載されたカメラと、
前記カメラで撮影した画像を処理する画像処理手段と、
保管物品の物品名、保管物品の画像、保管位置及び主管部署を含む物品情報を入力する入力手段と、
前記物品情報及び前記地図データを記憶するデータベースと、
前記カメラにより撮影した物品の画像と前記データベースに記憶された物品情報とを照合し、前記カメラで撮影された物品の主管部署を判定する判定手段と、を備え、
予めデータベースに記憶した物品情報と、前記自律移動装置が構内を巡回して取得した地図データとの物品の保管位置に関する情報の相違により物品の出入りを管理する物品管理システムであって、
前記自律移動装置の巡回時に物品の画像情報から当該物品の所定の状態を取得し、該所定の状態を状態情報として前記データベースに記憶するとともに、
前記データベースに記憶された前記状態情報と、巡回したときの当該物品の状態情報とを比較し、状態情報に関する所定の値が閾値を逸脱して変化している場合に、当該物品の主管部署に通知する、
ことを特徴とする物品管理システム。
【請求項4】
前記状態情報に関する所定の値がRGB値のR値であり、R値の変化が予め設定された閾値を超えていた場合に、当該物品に錆が発生していると判定する、
ことを特徴とする請求項3に記載の物品管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、発電所や変電所等の構内において、工事用の仮置物品や貯蔵品、在庫物品等の監視、管理する物品管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、発電所や変電所等の構内にある工事用の仮置物品や貯蔵品、在庫物品などは、その存否や状態を仮置き時や定期的なパトロールにより、配置や申請期限を確認し、貯蔵品、在庫物品の出入りについては担当者の立会いのもと、物品の出入を目視にて確認作業を行っている。
【0003】
しかしながら、構内全ての物品の有無や異常検知を人間系のパトロールや担当者立会等による目視確認により行っており、立会や確認のための移動に時間を必要としていることに問題がある。
【0004】
そこで、管理対象物品の位置を正確に把握するため、管理対象物品にICタグを取り付け、所定の場所に設置され、超音波距離測定器を備えた検知ユニットで、前記ICタグの情報を読み取るとともに、ICタグを取り付けた物品までの距離を測定することで、対象物品の位置を正確に割り出すことができる。(特許文献1)。
【0005】
このようなシステムを利用することで、物品の出入り、すなわち、物品管理を行うことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2010-211673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、各種センサやICやバーコード等の読取り機器を全ての物品や建物に設置するのは多額の費用を必要とする。しかも、構内への出入りが頻繁に行われる物品にあっては、なおさら、ICタグを取り付けたりすることが面倒なうえ、コスト面からも好ましくない。さらに、構内が広い場合には、ICタグを読み取る検知ユニットを多数、配置しなければならず、更に経済的負担が大きくなるという問題があった。
【0008】
また、近年、移動しつつ、リアルタイムで自己位置の推定と地図データの作成を行う技術としてSLAM(Simultaneous Localization and Mapping)が注目されており、対象物品が置かれた構内を移動して、所定の物品の存否確認を行う物品管理などに利用することも考えられているが、物品にICタグを取り付けることには変わりない。
【0009】
特に、発電所や変電所などの広く構内において、保管される工事用仮置物品や貯蔵品、在庫品などは物品が大きく、かつ、頻繁に出入りされるため、ICタグなどを物品に取り付けることは非現実的である。
【0010】
そこでこの発明は、保管場所が広く、保管される物品も大きなものが多い発電所や変電所などに特に有用な物品管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、物品が保管された構内を巡回して、物品の保管位置情報を含む地図データを作成する自律移動装置と、前記自律移動装置に搭載されたカメラと、保管物品の物品名、画像、保管位置及び主管部署を含む物品情報を入力する入力手段と、前記物品情報及び前記地図データを記憶するデータベースと、前記カメラにより撮影した物品の画像と前記データベースに記憶された物品情報とを照合し、前記物品の主管部署を判定する判定手段と、を備え、前記データベースに記憶された物品情報と、前記自律移動装置が構内を巡回して取得した地図データとの物品の保管位置に関する情報の相違により物品の出入りを管理する物品管理システムであって、物品の出入りがあったときに、前記判定手段により当該物品の主管部署を判定するとともに該主管部署に通知する、ことを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、自律移動装置により保管物品を画像として認識し、データベースの物品情報と照合し、判定手段により主管部署を判定する。
【0013】
請求項2に記載の発明は、物品が保管された構内を巡回して、物品の保管位置を含む地図データを作成する自律移動装置と、前記自律移動装置に搭載されたカメラと、保管物品の物品名、保管物品の画像、保管位置及び主管部署を含む物品情報を入力する入力手段と、前記物品情報及び前記地図データを記憶するデータベースと、前記カメラにより撮影した物品の画像と前記データベースに記憶された物品情報とを照合し、前記カメラで撮影された物品の主管部署を判定する判定手段と、を備え、データベースに記憶された物品情報と、前記自律移動装置が構内を巡回して取得した地図データの物品の保管位置に関する情報の相違により物品の出入りを管理する物品管理システムであって、前記入力手段により物品の保管を禁止する禁止エリアを入力し、前記データベースに記憶するとともに、自律移動装置の巡回により、前記禁止エリアに物品が保管されているか否かを判定し、前記禁止エリアに物品が保管されている場合は、当該物品の主管部署に通知する、ことを特徴とする。
【0014】
請求項3に記載の発明は、物品が保管された構内を巡回して、物品の保管位置を含む地図データを作成する自律移動装置と、前記自律移動装置に搭載されたカメラと、前記カメラで撮影した画像を処理する画像処理手段と、保管物品の物品名、保管物品の画像、保管位置及び主管部署を含む物品情報を入力する入力手段と、前記物品情報及び前記地図データを記憶するデータベースと、前記カメラにより撮影した物品の画像と前記データベースに記憶された物品情報とを照合し、前記カメラで撮影された物品の主管部署を判定する判定手段と、を備え、予めデータベースに記憶した物品情報と、前記自律移動装置が構内を巡回して取得した地図データとの物品の保管位置に関する情報の相違により物品の出入りを管理する物品管理システムであって、前記自律移動装置の巡回時に物品の画像情報から当該物品の所定の状態を取得し、該所定の状態を状態情報として前記データベースに記憶するとともに、前記データベースに記憶された前記状態情報と、巡回したときの当該物品の状態情報とを比較し、状態情報に関する所定の値が閾値を逸脱して変化している場合に、当該物品の主管部署に通知する、ことを特徴とする。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の物品管理システムにおいて、前記状態情報に関する所定の値がRGB値のR値であり、R値の変化が予め設定された閾値を超えていた場合に、当該物品に錆が発生していると判定する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の発明によれば、物品の保管状態を自律移動装置により画像としてリアルタイムで取得し、データベースとの交信により、保管された物品の正当性を判定し、保管物品が誤っている場合には、当該物品の主管部署への通知を行うことで、人間系に頼ることなく物品管理をより迅速に行うことができ、また、もし本来あるべき保管場所に物品が無くなった場合、或いは物品が無いはずの位置にあった場合に、このような情報も取得できるので、このような場合、盗難或いは不審物ではないかと推測可能として、盗難や不審物としての処理を早期に行うことに貢献することができる。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、構内に保管場所としては危険なエリアを禁止エリアとして設定し、そのエリアに物品が置かれた場合に、自律移動装置の巡回で容易に発見することができ、発見した場合には当該主管部署へ通知することで、危険なエリアでの物品の保管状態を回避することができる。自律移動装置の巡回毎にチェックが可能となるため、人間系でのパトロールなどを必要とせず、物品管理を迅速かつ正確に行うことができる。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、保管物品の経年劣化に伴う表面状態を目視でなく自律移動装置に搭載したカメラを用い、画像処理にて把握することができ、迅速かつ正確にチェックすることができる。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、保管物品の表面状態をRGB値のR値の変化に基づき、錆と判断するようにしたので、発電所などに多く保管される鋼材、鋼製の物品の劣化状態を把握するのに好適な指標であり、迅速かつ正確に劣化状態を把握することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】物品が最初に保管された状態の構内を模式的に表した概略平面図である。
図2図1の状態から別の物品が保管された状態の構内を模式的に表した概略平面図である。
図3】この発明の実施の形態1に係る物品管理システムを示す概略構成図である。
図4図3のシステムの地図作成タスクのフローチャートである。
図5図3のシステムの部署判定タスクのフローチャートである。
図6】物品増減判定システムのフローチャートである。
図7】この発明の実施の形態2に係る物品管理システムを示す概略構成図である。
図8】禁止エリア判定システムのフローチャートである。
図9】この発明の実施の形態3に係る物品管理システムを示す概略構成図である。
図10】物品状態判定システムのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0022】
図3は、この発明の実施の形態に係る物品管理システム1を示す概略構成図である。この物品管理システム1は、発電所や変電所などの構内Sおいて工事用仮置物品や貯蔵品、在庫等の物品Mの保管位置を監視、管理するシステムであり、例えば、構内Sにおける物品の増減判定するのに用いられる。
【0023】
そして、後述するように、保管物品が増えた場合にはその物品が適正なものか不審物であるかの判定を行い、保管物品が無くなった場合にはその無くなったことが適正に行われたものか盗難にあったものかの判定等に用いられる。
【0024】
主として、カメラ2が搭載され構内Sを自走する自律移動装置Rと、管理コンピュータCとを備え、自律移動装置Rと管理コンピュータCとは通信ネットワーク(NW)を介して通信可能に接続されている。
【0025】
自律移動装置Rは、いわゆるSLAMのロボットに相当するもので、自律移動装置Rが構S内を自走することで、自己位置推定と地図データ(構内Sに置かれた物品Mの保管位置などの情報も含む)の作成を同時に行う。
【0026】
一般にSLAMでは、
1.初期の自己位置を決定。
2.現在時刻t=0での地図を作成。
3.時刻t+1での自己位置を推定。
4.時刻tでの地図を基に推定した自己位置を修正。
5.時刻t+1での環境位置を測定。
6.時刻tで作成した地図を更新。
7.2から6を繰り返す。
ことにより、自己位置推定と地図データとを作成する。
【0027】
この実施の形態では、自律移動装置Rに搭載されたカメラ2により物品との距離を測定するとともに物品の画像を取得し、当該物品の置かれた保管位置情報も取得する。
【0028】
ここで、この実施の形態では、図1図2に示すように、構内Sに種々の物品(工事用仮置き物品、貯蔵品、在庫など)の管理対象物品M、M、・・・が、置かれている場合について説明する。
【0029】
図1図2は、物品M、M、・・・が置かれた構内Sを自律移動装置Rが走行している様子を模式的に表した概略平面図であり、図1は物品M、M、・・・が最初に保管された状態、図2図1の状態から新たに物品Mが1つ保管された状態で、当該物品Mに自律移動装置Rが近づきカメラ2で物品Mを撮影している様子を示す。
【0030】
なお、構内Sを矩形状に記したが、実際には発電所、変電所内の敷地或いはその中の所定の空地が物品Mの保管場所として割り当てられる。また、物品Mも矩形状に記したが、電柱や工事用材料の鉄骨など様々な形状のものが保管される。
【0031】
先ず、この実施の形態に用いられる管理コンピュータCの概略構成図を示す(図3参照)。
【0032】
管理コンピュータCは、パーソナルコンピュータなどの汎用コンピュータから構成され、主として、入力部3と、出力部4と、記憶部5と、物品Mに関する情報及び前記地図データが記憶されたデータベース6と、地図作成タスク(作図手段)7と、部署判定タスク8と、これらを制御などする中央処理部9とを備えている(図3参照)。
【0033】
また、自律移動装置Rは、カメラ2により撮影した物品Mの画像情報や測定した物品Mとの距離などを、通信ネットワーク(NW)を介して管理コンピュータCに送信するようになっている。
【0034】
入力部3は、キーボードやマウスなどから構成され、保管した物品Mの情報(物品名、画像、保管位置及び主管部署を含む)を入力する。
【0035】
出力部4は、LCD(液晶ディスプレイ)、プリンタなどから構成され、後述する地図作成タスク7による保管物品Mの配置図や物品名、画像、保管位置及び主管部署など物品Mに関する情報を表示するものである。
【0036】
記憶部5は、自律移動装置Rから受信した物品Mに関する画像情報や、物品Mが保管された位置情報などを記憶するメモリである。
【0037】
データベース6は、前記入力部3により入力された物品名、画像、主管部署名、保管位置などの物品情報及び自律移動装置Rの巡回により得られた地図データ(物品の保管位置も含む)を記憶したデータベースである。
【0038】
地図作成タスク7は、自律移動装置Rが動き回ることで、地図を作成するとともに保管された物品Mの位置情報を取得するプログラムである(図4参照)。
【0039】
地図作成タスク7は、先ず、自律移動装置Rで構内を巡回し(ステップS1)、保管された物品Mを撮影し、当該物品Mの位置情報を取得する(ステップS2)。
【0040】
このような自律移動装置Rによる構内の巡回を行い、すべての物品Mの位置情報を取得する(ステップS3)。
【0041】
保管された全ての物品Mの位置情報を取得すると、地図データを作成する(ステップS4)。作成した地図データには、主に物品Mの位置情報が含まれるが、画像なども含まれる。
【0042】
そして、作成された地図データはデータベース6に記憶され(ステップS5)、終了する。
【0043】
部署判定タスク8は、カメラ2により撮影した物品Mの画像と、データベース6に記憶された物品情報の物品画像とを画像処理して照合可能にするプログラムである(図5参照)。なお、画像処理は、画像処理手段としての機能を有する中央処理部9によって行われる。
【0044】
部署判定タスク8は、先ず、自律移動装置Rで構内を巡回し(ステップS10)、保管された物品Mを撮影し、当該物品Mの画像情報を取得する(ステップS11)。
【0045】
次に、データベース6の物品情報から物品Mの画像情報と取得し(ステップS12)これらの画像処理を行い、両物品Mを照合可能とする(ステップS13)。次に全ての物品Mについて照合可能にしたか判断する(ステップS14)。
【0046】
なお、主管部署の判定に関しては、データベース6に記憶された過去の物品情報から、撮影した物品の画像と同様な画像の物品を検索し、該物品に関する物品情報から主管部署を判定する。
【0047】
全ての物品Mについてその画像処理が完了していない時は、ステップS10に戻り、ステップS11~ステップS14を繰り返し、全ての物品Mについて照合可能となったところで、これらを記憶し(ステップS15)、終了する。
【0048】
部署判定タスク8では、構内Sに保管されカメラ2で撮影した物品Mとデータベース6の物品Mとを照合することで、構内Sの物品Mとその主管部署との関連付けがなされる。
【0049】
(実施の形態1)
次に、このような構成の物品管理システム1を用いて、構内における保管物品Mの増減に関して判定する場合について説明する(図6参照)。
【0050】
先ず、自律移動装置Rで構内Sを巡回し、上記地図作成タスク7を実行し(ステップS20)、以前に記憶された地図データとの比較で相違(物品Mの出入り)があったか判定する(ステップS21)。このような判定は、判定手段としての機能を有する中央処理部9によって行われる。
【0051】
相違がなかった場合にはそのまま終了し、相違があった場合には、部署判定タスク8を実行する(ステップS22)。
【0052】
部署判定タスク8の実行の結果、撮影された物品Mとその主管部署との関連付けがなされる。本来、全ての物品Mについて主管部署との関連付けができるが、後述する不審物(ステップS28)のように物品Mの主管部署が特定できないものがある場合がある。これについては後述する。
【0053】
次に、構内Sにおいて、保管物品Mの増減があったか否かを判定する(ステップS23)。
【0054】
保管物品Mの増加があった場合には、ステップS24に進み、保管物品Mの増加で無かった(減少であった)場合には、ステップS25に進む。
【0055】
ステップS24では、当該物品Mの主管部署が特定できたか判定する。その主管部署が特定できたら、ステップS26に進む。上記ステップS22において撮影した物品Mについて主管部署が特定できなければ、ステップS28に進む。
【0056】
保管物品Mの増加であって、その主管部署が特定できたときは当該主管部署に通知し(ステップS26)、ステップS27に進み、物品増加について当該主管部署が把握していたか否かの確認を行う。
【0057】
ステップS24で増加した物品Mの主管部署の特定ができなかった場合はステップS28に進み、当該物品Mを不審物として判定し、ステップS29に進み、当該物品Mについての物品情報を記憶する。
【0058】
ステップS27で増加した当該物品Mについて当該主管部署が把握していた場合には、ステップS29に進み、当該物品Mについての物品情報を記憶する。
【0059】
また、ステップS27で増加した当該物品Mについて当該主管部署が把握していなかった場合には、ステップS28に進んで不審物として判定する。
【0060】
ステップS23において、保管物品Mの増加でなく減少であった場合には、当該減少した物品Mの主管部署に通知し(ステップS25)、ステップS30に進み、物品Mの減少について当該主管部署が把握していたか否かの確認を行う。
【0061】
ステップS30で減少した当該物品Mについて当該主管部署が把握していた場合には、ステップS29に進み、当該物品Mについての物品情報を記憶する。
【0062】
また、ステップS30で減少した当該物品Mについて当該主管部署が把握していなかった場合には、ステップS31に進んで当該物品Mは盗難されたものとして判定し、これを、ステップS29に進んで、記憶する。
【0063】
以上のように、この実施の形態に係る物品監理システム1によれば、自律移動装置Rを構内で巡回させることで、保管された物品Mの出入りを把握することができ、その物品Mの出入りが適正であるものか、不適正である場合には盗難にあったものか不審物であるかを判定することができる。
【0064】
なお、自律移動装置Rを巡回させる前に、新たに構内Sに物品を置いたときに、前記入力部3によりその物品に関する物品情報を入力し、データベース6に記憶させておいても良い。このようにすることにより、自律移動装置Rの巡回して取得した物品関する物品情報とデータベース6に記憶した物品情報とに差分がなくなり、物品管理をスムーズに行うことができる。
【0065】
(実施の形態2)
次に、このような構成の物品管理システム1を用いて、構内においては物品Mの保管を禁止するエリアがあり、このような保管禁止エリアに物品Mが置かれていないかを判定する場合について説明する。発電所などの構内は、危険な場所であったり、保管場所として相応しくない場所などがあるため、予め、禁止エリアを設定しておくことが有用である。
【0066】
先ず、この実施の形態に用いられる管理コンピュータC1の概略構成図を示す(図7参照)。なお、上記実施の形態1で説明した管理コンピュータCの構成と同一の部分については同じ符号を付すことによりその説明を省略する。
【0067】
管理コンピュータC1は、パーソナルコンピュータなどの汎用コンピュータから構成され、主として、入力部3と、出力部4と、記憶部5と、物品Mに関する情報及び前記地図データが記憶されたデータベース6と、地図作成タスク(作図手段)7と、部署判定タスク8と、禁止エリア設定タスク19と、これらを制御などする中央処理部20とを備えている(図7参照)。
【0068】
先ず、禁止エリア設定タスク19により、構内Sにおいて物品Mの保管を禁止するエリアを管理コンピュータC1に設定する。具体的には、出力部4(LCD(液晶ディスプレイ))などを見ながら、入力部3により予め作成した地図データ上に禁止エリアを設定してデータベース6に記憶する。
【0069】
次に、禁止エリア設定タスク19により設定した禁止エリアに物品Mが置かれていないかを判定する禁止エリア判定システムについて説明する。
【0070】
先ず、自律移動装置Rを構内で巡回させ(ステップS40)、地図データを作成するとともに、上記禁止エリアに物品Mが無いかを判定する(ステップS41)。ステップS41において物品Mが保管されていないことが確認できた場合は、これを記憶し(ステップS42)、終了する。ステップS41において物品Mが置かれている場合には、上記部署判定タスク8を起動し当該物品Mの主管部署が特定できたかを判定する(ステップS43)。当該物品Mの主管部署が特定できた場合は当該主管部署に通知するとともに、物品の移動を促し(ステップS44)、ステップS45に進む。
【0071】
ステップS45では当該物品Mの主管部署に物品Mの移動を促した後は、当該物品Mの移動があったか否かを判定する。
【0072】
当該物品Mの移動が無ければ、ステップS44に戻り、移動を促す通知を行い、物品Mの移動があれば、すなわち、禁止エリアの物品Mが無くなれば、ステップS42に進み、禁止エリアに物品Mが無くなったことが記録され終了する。
【0073】
また、ステップS43において、当該物品Mの主管部署が特定できなかったときは、不審物と判定し(ステップS46)、ステップS42に進みこれを記憶する。
【0074】
これにより、禁止エリア設定タスク19で設定した禁止エリアに物品Mを置かれることを防止する。
【0075】
このように構内Sにおいて物品Mの保管場所として好ましくない場所を禁止エリアとして設定し、この物品管理システム1を用いて、その禁止エリアに物品Mを保管しないように管理することができる。
【0076】
また、このような禁止エリアの設定は、構内Sにおいて禁止エリアと認定される度に設定することができ、また、当該場所が危険ではなくなった場合には入力部3により禁止エリアの設定を解除することもできる。
【0077】
(実施の形態3)
次に、物品管理システム1を用いて、構内において保管している物品Mに関して、その物品Mの表面の腐食状態、例えば「錆」を判定する場合について説明する。
【0078】
先ず、この実施の形態に用いられる管理コンピュータC2の概略構成図を示す(図10参照)。なお、上記実施の形態1で説明した管理コンピュータCの構成と同一の部分については同じ符号を付すことによりその説明を省略する。
【0079】
管理コンピュータC2は、パーソナルコンピュータなどの汎用コンピュータから構成され、主として、入力部3と、出力部4と、記憶部5と、物品Mに関する情報及び前記地図データが記憶されたデータベース6と、地図作成タスク(作図手段)7と、部署判定タスク8と、物品状態把握タスク29と、これらを制御などする中央処理部30とを備えている(図9参照)。
【0080】
物品状態把握タスク29は、自律移動装置Rで構内Sを巡回して、保管されている物品の表面状態を取得して物品情報として取り込むプログラムである。
【0081】
具体的には、例えば、物品Mの表面のRGB値を部署判定タスク8により物品Mの表面状態を画像処理して取得する。そして、当該物品MのRGB値を物品情報としてデータベース6に記憶する。
【0082】
次に、構内Sに保管している物品Mについて、経年変化により物品の表面状態が劣化したか否かの物品状態判定システムについて説明する(図10参照)。
【0083】
先ず、入力部3により物品表面のRGB値のR値=100と入力して記憶部5に記憶させる(ステップS50)。このR値=100は後述する以前のR値と今回取得したR値との変化値として設定された閾値である。
【0084】
次に、自律移動装置Rを構内Sで巡回させ(ステップS51)、所定の物品Mについての画像を取得し、部署判定タスク8により撮影した画像を画像処理して物品表面のRGB値を取得し記憶部5に記憶する(ステップS52)。
【0085】
当該物品Mについて以前に取得しデータベース6に記憶した物品表面のRGB値のR値を取得する(ステップS53)。なお、ここで「以前に取得した」と表現したが、その保管物品Mを当該位置に保管した時の物品情報と比較することが好ましい。劣化状態は最も劣化が進んでいない状態を基準とすることが好ましいと考えられるからである。
【0086】
ステップS52とステップS53とでそれぞれ取得した当該物品Mに表面におけるR値を比較してステップS50で設定した閾値(R値=100)以上の変化があったか判定する(ステップS54)。
【0087】
閾値(R値=100)以上の変化がなかった場合は劣化(錆)が進んでないものとして、これを記憶して(ステップS56)終了する。
【0088】
一方、ステップS54において、閾値(R値=100)以上の変化があったと判定した場合は、劣化(錆)が進んで判定して、当該物品Mの主管部署に通知し(ステップS55)、これを記憶して(ステップS56)終了する。
【0089】
これにより、当該物品Mの主管部署は、当該物品Mについて保管場所に行くことなく適時、物品表面状態の劣化を把握できる。特に、発電所などの構内Sに保管される物品の多くが鋼材、鋼製などの物品でありその劣化状態を把握するのに好適な指標であり、迅速かつ正確に劣化状態を把握することが可能となる。
【0090】
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。
【符号の説明】
【0091】
1 物品管理システム
S 構内
M 物品
2 カメラ
R 自律移動装置
C 管理コンピュータ
3 入力部
4 出力部
5 記憶部
6 データベース
9 中央処理部(判定手段)
C1 管理コンピュータ
C2 管理コンピュータ
20 中央処理部(判定手段)
30 中央処理部(判定手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10