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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-26
(45)【発行日】2023-07-04
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 24/44 20110101AFI20230627BHJP
   H01R 13/6474 20110101ALI20230627BHJP
【FI】
H01R24/44
H01R13/6474
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019110138
(22)【出願日】2019-06-13
(65)【公開番号】P2020202145
(43)【公開日】2020-12-17
【審査請求日】2022-05-23
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村林 頼一
(72)【発明者】
【氏名】兒玉 博之
(72)【発明者】
【氏名】小林 和也
(72)【発明者】
【氏名】山岸 傑
(72)【発明者】
【氏名】高野 豊久
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】特開平1-209679(JP,A)
【文献】特開2005-317267(JP,A)
【文献】特開2002-190356(JP,A)
【文献】実用新案登録第2571132(JP,Y2)
【文献】米国特許出願公開第2018/0241151(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 24/38 - 24/44
H01R 13/6473 - 13/6477
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
雌端子モジュールと、前記雌端子モジュールと嵌合する雄端子モジュールと、を有するコネクタであって、
前記雌端子モジュールは、導電性の雌側内導体と、絶縁性の雌側誘電体と、導電性の雌側外導体とを有し、
前記雌側外導体は、前記雌側誘電体を介在させた状態で前記雌側内導体を収容しており、
前記雄端子モジュールは、導電性の雄側内導体と、絶縁性の雄側誘電体と、導電性の雄側外導体とを有し、
前記雄側外導体は、前記雄側誘電体を介在させた状態で前記雄側内導体を収容すると共に、前記雌端子モジュールと前記雄端子モジュールとが嵌合した状態では、前記雌側外導体と接続され、
前記雌側誘電体は、雌側嵌合部を有し、
前記雄側誘電体は、雄側嵌合部を有し、
前記雌側嵌合部と前記雄側嵌合部とは、前記雌端子モジュールと前記雄端子モジュールとが嵌合した状態では、前記雌端子モジュールと前記雄端子モジュールとの嵌合方向に凹凸嵌合し、
前記雄側内導体は、雄型接続部を有しており、
前記雄型接続部は、前記雄側嵌合部から前記雌端子モジュール側に向けて延びて形成されており、
前記雄型接続部は、前記雌端子モジュールと前記雄端子モジュールとが嵌合した状態では、前記雌側嵌合部内に進入して前記雌側内導体と接続されており、
前記雌側嵌合部および前記雄側嵌合部のうちの一方の嵌合部のみが第1テーパ面を有する凸型に形成されており、他方の嵌合部のみが第2テーパ面を有する凹型に形成されており、
前記第1テーパ面は、前記他方の嵌合部側に向かうほど前記雄型接続部の軸心に向かって傾斜しており、
前記第2テーパ面は、前記一方の嵌合部側から離れるほど前記雄型接続部の軸心に向けて傾斜して前記第1テーパ面に沿って配置されるコネクタ。
【請求項2】
前記第1テーパ面は、先細りとなる円錐状に形成されており、
前記第2テーパ面は、凹型の奥部に向かうほど円錐状に縮径して形成されている請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記第1テーパ面と前記第2テーパ面とは、前記雌端子モジュールと前記雄端子モジュールとが嵌合した状態では密着している請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記雌端子モジュールを収容する雌ハウジングと、
前記雄端子モジュールを収容すると共に、前記雌ハウジングと嵌合可能な雄ハウジングとをさらに備える請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両に搭載される高周波信号用のコネクタは、特開2005-317267号公報が知られている。このコネクタは、同軸ケーブルに接続された内導体を誘電体が介在した状態で収容する外導体を有する雌コネクタと、基板に接続される芯線端子を雄側の誘電体が介在した状態で収容する接地体を有する雄コネクタとを備えている。
【0003】
このコネクタは、雌コネクタと雄コネクタとを嵌合させると、雌コネクタにおける誘電体と雄コネクタにおける誘電体とが嵌合方向に対向した状態となると共に、雄コネクタの誘電体から前方に突出した芯線端子が雌コネクタの誘電体内に進入することによって芯線端子と内導体とが接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-317267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、一般に、高周波信号の伝送経路では、特性インピーダンスが所定値に設定されることによってインピーダンス整合が図られる。したがって、上記のコネクタにおける同軸ケーブルから内導体、芯線端子においてもインピーダンス整合が図られている。しかしながら、上記のコネクタでは、雌コネクタと雄コネクタとを嵌合させた際に、雌コネクタにおける誘電体と、雄コネクタにおける誘電体との間に隙間が生じる場合がある。すると、誘電体間に生じる隙間では、芯線端子と接地体との間に誘電体が配置されなくなるため、隙間部分における比誘電率が変化して高インピーダンス状態となってしまう。この結果、隙間部分においてインピーダンスの不整合が生じ、伝送信号が反射することによって伝送効率が低下してしまう。
【0006】
本明細書では、インピーダンスの変化を抑制する技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のコネクタは、雌端子モジュールと、前記雌端子モジュールと嵌合する雄端子モジュールと、を有するコネクタであって、前記雌端子モジュールは、導電性の雌側内導体と、絶縁性の雌側誘電体と、導電性の雌側外導体とを有し、前記雌側外導体は、前記雌側誘電体を介在させた状態で前記雌側内導体を収容しており、前記雄端子モジュールは、導電性の雄側内導体と、絶縁性の雄側誘電体と、導電性の雄側外導体とを有し、前記雄側外導体は、前記雄側誘電体を介在させた状態で前記雄側内導体を収容すると共に、前記雌端子モジュールと前記雄端子モジュールとが嵌合した状態では、前記雌側外導体と接続され、前記雌側誘電体は、雌側嵌合部を有し、前記雄側誘電体は、雄側嵌合部を有し、前記雌側嵌合部と前記雄側嵌合部とは、前記雌端子モジュールと前記雄端子モジュールとが嵌合した状態では、前記雌端子モジュールと前記雄端子モジュールとの嵌合方向に凹凸嵌合し、前記雄側内導体は、雄型接続部を有しており、前記雄型接続部は、前記雄側嵌合部から前記雌端子モジュール側に向けて延びて形成されており、前記雄型接続部は、前記雌端子モジュールと前記雄端子モジュールとが嵌合した状態では、前記雌側嵌合部内に進入して前記雌側内導体と接続される。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、インピーダンスの変化を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係るコネクタの側面図である。
図2図2は、図1のA-A線の断面に相当する断面図である。
図3図3は、図2の要部拡大断面図である。
図4図4は、雄端子モジュールの斜視図である。
図5図5は、雄側前誘電体の斜視図である。
図6図6は、雄側前誘電体の正面図である。
図7図7は、雄側前誘電体の側面図である。
図8図8は、ケーブル芯線に接続された雄側内導体の斜視図である。
図9図9は、雌端子モジュールの斜視図である。
図10図10は、雌側前誘電体の斜視図である。
図11図11は、雌側前誘電体の正面図である。
図12図12は、雌側前誘電体の側面図である。
図13図13は、ケーブル芯線に接続された雌側内導体の斜視図である。
図14図14は、他の実施形態に係るコネクタの要部拡大断面図であって、図3の断面に相当する要部拡大断面図である。
図15図15は、従来のコネクタの要部拡大断面図であって、図3の断面に相当する要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態を列挙して説明する。
【0011】
(1)雌端子モジュールと、前記雌端子モジュールと嵌合する雄端子モジュールと、を有するコネクタであって、前記雌端子モジュールは、導電性の雌側内導体と、絶縁性の雌側誘電体と、導電性の雌側外導体とを有し、前記雌側外導体は、前記雌側誘電体を介在させた状態で前記雌側内導体を収容しており、前記雄端子モジュールは、導電性の雄側内導体と、絶縁性の雄側誘電体と、導電性の雄側外導体とを有し、前記雄側外導体は、前記雄側誘電体を介在させた状態で前記雄側内導体を収容すると共に、前記雌端子モジュールと前記雄端子モジュールとが嵌合した状態では、前記雌側外導体と接続され、前記雌側誘電体は、雌側嵌合部を有し、前記雄側誘電体は、雄側嵌合部を有し、前記雌側嵌合部と前記雄側嵌合部とは、前記雌端子モジュールと前記雄端子モジュールとが嵌合した状態では、前記雌端子モジュールと前記雄端子モジュールとの嵌合方向に凹凸嵌合し、前記雄側内導体は、雄型接続部を有しており、前記雄型接続部は、前記雄側嵌合部から前記雌端子モジュール側に向けて延びて形成されており、前記雄型接続部は、前記雌端子モジュールと前記雄端子モジュールとが嵌合した状態では、前記雌側嵌合部内に進入して前記雌側内導体と接続される。
【0012】
雌端子モジュールと雄端子モジュールとが嵌合し、雄側嵌合部から延びる雄型接続部が雌側嵌合部内に進入して雌側内導体と接続された状態では、雌側誘電体と雄側誘電体とが嵌合方向に凹凸嵌合した状態となる。したがって、雄型接続部の周りには、少なくとも雄側嵌合部または雌側嵌合部のいずれか一方が配置されることになる。
【0013】
これにより、雄型接続部における比誘電率の変化が抑制され、インピーダンスの変化を小さく抑えることができる。つまりは、高周波信号の反射損失を小さくでき、伝送効率が低下することを抑制できる。
【0014】
(2)前記雌側嵌合部および前記雄側嵌合部うちの一方の嵌合部は、第1テーパ面を有する凸型に形成されており、他方の嵌合部は、第2テーパ面を有する凹型に形成されており、前記第1テーパ面は、他方の嵌合部側に向かうほど前記雄型接続部の軸心に向かって傾斜しており、前記第2テーパ面は、前記一方の嵌合部側から離れるほど前記雄型接続部の軸心に向けて傾斜して前記第1テーパ面に沿って配置される。
【0015】
一般に、雄型接続部が雌側嵌合部内に進入する部分では、雄側嵌合部と雌側嵌合部とが嵌合方向に突き当たって嵌合できなくなることを回避するために、雄側嵌合部の先端と雌側嵌合部の先端と間に隙間が生じるように構成される。
【0016】
ここで、例えば、雄側嵌合部および雌側嵌合部のうちいずれか一方の嵌合部が円柱状に形成され、他方の嵌合部が円柱状に窪んだ凹部として形成される場合、他方の嵌合部における凹部の奥部では、雄型接続部の外周に凹部の内径と同じ大きさの隙間が生じてしまうため、雄型接続部におけるインピーダンスの変化が大きくなる傾向にある。
【0017】
ところが、上記の構成によると、一方の嵌合部が第1テーパ面を有する凸型に形成され、他方の嵌合部が第2テーパ面を有する凹型に形成されている。
つまり、凹型に形成された他方の嵌合部は、奥部に向かうほど空間が狭くなるから、他方の嵌合部における凹型の奥部に配された雄型接続部の外周の隙間を小さくできる。これにより、雄型接続部におけるインピーダンスの変化をさらに小さく抑えることができ、雄型接続部における高周波信号の反射損失をさらに小さくできる。また、第1テーパ面と第2テーパ面とが完全に接触しない場合でも、第1テーパ面と第2テーパ面との隙間を一様とすることができるため、インピーダンスの局所的変化を抑えることができる。
【0018】
(3)前記第1テーパ面は、先細りとなる円錐状に形成されており、前記第2テーパ面は、凹型の奥部に向かうほど円錐状に縮径して形成されている。
第2テーパ面によって凹型に形成された他方の嵌合部の奥部が雄型接続部を中心に狭い構成となるから、例えば、他方の嵌合部の一部に第2テーパ面を構成する場合に比べて、雄側嵌合部と雌側嵌合部との間の隙間を小さくできる。これにより、インピーダンスの変化をさらに小さく抑えることができ、高周波信号の反射損失をさらに小さくできる。
【0019】
(4)前記第1テーパ面と前記第2テーパ面とは、前記雌端子モジュールと前記雄端子モジュールとが嵌合した状態では密着している。
第1テーパ面と第2テーパ面とが密着することによって雌側嵌合部と雄側嵌合部との間の隙間をさらに小さくできる。これにより、インピーダンスの変化をさらに小さく抑えることができ、高周波信号の反射損失をさらに小さくできる。
【0020】
(5)前記雌端子モジュールを収容する雌ハウジングと、前記雄端子モジュールを収容すると共に、前記雌ハウジングと嵌合可能な雄ハウジングとを備えている。
【0021】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のコネクタの具体例を、以下の図面を参照しつつ説明する。なお、本開示は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0022】
<実施形態1>
本開示における実施形態1について図1から図13を参照して説明する。
本実施形態に係るコネクタ10は、車両に搭載される電気機器間を接続するものであって、高周波の電気信号を伝送する。
【0023】
[コネクタ10]
コネクタ10は、図1および図2に示されるように、シールド電線Wの端部に接続される雄コネクタ20と、シールド電線Wの端部に接続されると共に雄コネクタ20に嵌合される雌コネクタ60とを有している。なお、以下の説明において、前後方向については雄コネクタ20と雌コネクタ60との嵌合方向を基準として互いに嵌合する側を前側として説明する。
【0024】
[シールド電線W]
シールド電線Wは、図2に示されるように、ケーブル芯線W1と、絶縁体によって覆われたケーブル芯線W1の外周を覆う編組体W2と、編組体W2の外周を覆う外被覆W3とを備えた、いわゆる同軸ケーブルとされている。シールド電線Wの前端部では、編組体W2および外被覆W3が皮剥ぎされると共に、絶縁体が除去されることによってケーブル芯線W1が露出している。露出したケーブル芯線W1の後方では、外被覆W3のみが皮剥ぎされることにより編組体W2が露出している。
【0025】
[雄コネクタ20]
雄コネクタ20は、図1および図2に示されるように、雄ハウジング21と、雄端子モジュール30とを備えている。
[雄ハウジング21]
雄ハウジング21は、絶縁性の合成樹脂製によって筒状に形成されている。雄ハウジング21内には、雄端子モジュール30が後方から収容可能とされている。雄ハウジング21内には、雄端子モジュール30が雄ハウジング21内の正規の位置に至った際に、雄端子モジュール30に係止する図示しない係止部が形成されている。これにより、雄端子モジュール30が雄ハウジング21内に抜け止めされた状態で保持されるようになっている。
【0026】
[雄端子モジュール30]
雄端子モジュール30は、図2に示されるように、雄側内導体31と、雄側誘電体40と、雄側外導体50とを備えている。
[雄側内導体31]
雄側内導体31は、導電性を有する金属板材を加工することによって形成されている。雄側内導体31は、図2図3および図8に示されるように、雄型接続部32と、雄型接続部32の後方に設けられた電線接続部33とを備えている。
【0027】
雄型接続部32は、前後方向に延びるピン型に形成されている。雄型接続部32は、雄コネクタ20と雌コネクタ60とが嵌合すると、雌コネクタ60の後述する雌側誘電体80内に収容された雌側内導体71に接続される。
【0028】
電線接続部33は、図8に示されるように、シールド電線Wの先端部において露出したケーブル芯線W1に圧着されて固定されている。これにより、雄側内導体31は、シールド電線Wのケーブル芯線W1に電気的に接続されている。
【0029】
[雄側誘電体40]
雄側誘電体40は、図2および図3に示されるように、所定の比誘電率を有する絶縁性の合成樹脂によって筒状に形成されている。
雄側誘電体40は、絶縁体および編組体W2から前方に露出したケーブル芯線W1と、ケーブル芯線W1に接続された雄側内導体31とを内部に収容する。また、雄側誘電体40は、雄側前誘電体41と、雄側前誘電体41の後方に配置される雄側後誘電体48とを有している。
【0030】
雄側前誘電体41は、図3図5から図7に示されるように、前後方向に長い筒状に形成されている。雄側前誘電体41は、雄側本体部42と、雄側本体部42の前方に連なる雄側嵌合部44とを有している。
【0031】
雄側本体部42は、前後方向に延びる円筒状に形成されている。雄側本体部42内には、雄側内導体31の電線接続部33が収容可能とされている。
【0032】
雄側嵌合部44は、雄側本体部42の前端部から前方に突出して形成されている。
雄側嵌合部44には、雄型接続部32が前方に向かって突出するように前後方向に挿通されている。雄側嵌合部44は、第1テーパ面45と、先端面46とを有している。
【0033】
第1テーパ面45は、雄側本体部42の前端部から前方に向かうほど雄側嵌合部44の軸心に向かって傾斜する円錐状に形成されている。また、第1テーパ面45は、雄型接続部32が雄側嵌合部44に挿通された状態では、雄型接続部32を囲うように雄型接続部32の外周に全周にわたって配置された状態となる。
【0034】
先端面46は、第1テーパ面45の前端部において雄側嵌合部44の軸心と直交するように前方視円形状に形成されている。雄型接続部32が雄側嵌合部44に挿通されると、雄型接続部32が先端面46から前方に突出した状態となる。
【0035】
雄側後誘電体48は、図2に示されるように、シールド電線Wにおいて編組体W2から露出したケーブル芯線W1の外周に組み付けられる。雄側後誘電体48は、後述する雄側外導体50が外周に圧着されることによってケーブル芯線W1を全周にわたって囲むようにケーブル芯線W1の外周に配置されている。ケーブル芯線W1と雄側後誘電体48との間には、インピーダンスを調整するための隙間が設けられている。
【0036】
[雄側外導体50]
雄側外導体50は、導電性を有する金属板材を加工することによって形成されている。雄側外導体50は、図2および図4に示されるように、雄側前外導体51と、雄側前外導体51が外側から組み付けられる雄側後外導体58とを有している。
【0037】
雄側後外導体58は、円筒状に形成されており、シールド電線Wにおける露出した編組体W2から外被覆W3の前端部までの領域の外周に配置される。雄側後外導体58の前部は、編組体W2に圧着されることによって編組体W2と電気的に接続されている。雄側後外導体58の後部は、外被覆W3に圧着されることによってシールド電線Wに固定されている。
【0038】
雄側前外導体51は、図2に示されるように、雄側後外導体58とほぼ同径の円筒状に形成されており、雄側後外導体58の前端部から雄側内導体31の前後方向中央部までの領域の外周に配置される。雄側前外導体51の後端部は、雄側後外導体58の前端部に圧着されるバレル状の導体圧着部54とされている。導体圧着部54が雄側後外導体58に圧着されることにより雄側前外導体51と雄側後外導体58とが一体となって雄側外導体50を構成する。
【0039】
雄側前外導体51の前後方向中央部は、雄側後誘電体48の外周に圧着される中央圧着部55とされている。中央圧着部55の内径は、雄側後誘電体48への圧着時に、雄側後誘電体48を圧縮し過ぎないように(ケーブル芯線W1と雄側後誘電体48との間の隙間が小さくならないように)、小さくなっている。
【0040】
雄側前外導体51の前端部は、図2および図3に示されるように、円筒状の接続筒部56とされている。接続筒部56は、雄側前誘電体41の後端部から雄型接続部32の前後方向中央部までの領域を内部に収容するように雄側前誘電体41および雄型接続部32の外周に配置されている。
したがって、雄側外導体50は、図2に示されるように、シールド電線Wの編組体W2に接続された状態で雄型接続部32の前後方向中央部から外被覆W3の前端部までの領域を覆っている。
【0041】
[雌コネクタ60]
雌コネクタ60は、図1および図2に示されるように、雌ハウジング61と、雌端子モジュール70とを備えている。
[雌ハウジング61]
雌ハウジング61は、絶縁性の合成樹脂製によって筒状に形成されている。雌ハウジング61内には、雌端子モジュール70が後方から収容可能とされている。雌ハウジング61内には、雌端子モジュール70が雌ハウジング61内の正規の位置に至った際に、雌端子モジュール70に係止する図示しない係止部が形成されている。これにより、雌端子モジュール70が雌ハウジング61内に抜け止めされた状態で保持されるようになっている。
【0042】
[雌端子モジュール70]
雌端子モジュール70は、図1および図2に示されるように、雄コネクタ20と雌コネクタ60とが嵌合する際に、雄端子モジュール30と嵌合する。したがって、雌端子モジュール70と雄端子モジュール30とがコネクタ10の一部を構成している。雌端子モジュール70は、図2に示されるように、雌側内導体71と、雌側誘電体80と、雌側外導体90とを備えている。
【0043】
[雌側内導体71]
雌側内導体71は、導電性を有する金属板材を加工することによって形成されている。雌側内導体71は、図2図3および図13に示されるように、弾性接続部72と、弾性接続部72の後方に配置される電線接続部73とを備えている。
【0044】
弾性接続部72は、図9および図13に示されるように、対向して配置された一対の弾性片72Aを有している。一対の弾性片72Aは、互いに離れる方向に弾性変位可能とされている。一対の弾性片72Aの間には、雄コネクタ20と雌コネクタ60とが嵌合する過程において雄型接続部32が前方から進入する。雄コネクタ20と雌コネクタ60とが嵌合すると、図3に示されるように、一対の弾性片72Aは雄型接続部32に弾性的に接触し、雌側内導体71と雄側内導体31とが電気的に接続される。
電線接続部73は、図13に示されるように、シールド電線Wの先端部において露出したケーブル芯線W1に圧着されて固定されている。これにより、雌側内導体71は、シールド電線Wのケーブル芯線W1に電気的に接続されている。
【0045】
[雌側誘電体80]
雌側誘電体80は、図2および図3に示されるように、所定の比誘電率を有する絶縁性の合成樹脂によって前後方向に長い筒状に形成されている。雌側誘電体80は、編組体W2から前方に露出したケーブル芯線W1とケーブル芯線W1に接続された雌側内導体71とを内部に収容する。また、雌側誘電体80は、雌側前誘電体81と、雌側前誘電体81の後方に配置される雌側後誘電体87とを有している。
【0046】
雌側前誘電体81は、図3図10から図12に示されるように、前後方向に長い円筒状に形成されている。雌側前誘電体81は、雌側本体部82と、雌側嵌合部84とを有している。
【0047】
雌側本体部82は、前端部および後端部が前後方向中央部よりも小径に形成されている。雌側本体部82の前端部から前後方奥中央部の位置には雌側内導体71の弾性接続部72が収容されている。雌側本体部82の後端部には、雌側内導体71の電線接続部73が収容されている。また、雌側本体部82の後端部は、図2に示されるように、後述する雌側外導体90の雌側前外導体91が圧着されることによって上下方向に圧縮されて電線接続部73に固定される。
【0048】
雌側嵌合部84は、図3図10から図12に示されるように、雌側本体部82の前端部から前方に突出する円筒状に形成されている。雌側嵌合部84の内部は、奥部(後部)に向かうほど円錐状に縮径した凹型に形成されている。したがって、雌側嵌合部84の内部は、奥部に向かうほど狭くなっている。また、雌側嵌合部84の内周面は、前方から後方に向かうほど軸心に向けて円錐状に傾斜する第2テーパ面85とされている。
【0049】
第2テーパ面85の傾斜角度は、雄側誘電体40における雄側嵌合部44の第1テーパ面45の傾斜角度と同一に設定されている。ここで、第2テーパ面85の傾斜角度が第1テーパ面45の傾斜角度と同一とは、第2テーパ面85の傾斜角度が第1テーパ面45の傾斜角度と同一の場合と、第2テーパ面85の傾斜角度が第1テーパ面45の傾斜角度と同一でない場合でも実質的に同一と見なしうる場合を含む。
【0050】
また、雌側嵌合部84の内部には、雄コネクタ20と雌コネクタ60とが嵌合する過程において、雄側誘電体40の雄側嵌合部44が前方から進入する。そして、雄コネクタ20と雌コネクタ60とが嵌合した状態に至ると、図2および図3に示されるように、雄側嵌合部44の第1テーパ面45が雌側嵌合部84の第2テーパ面85と全周にわたって密着する。つまり、第1テーパ面45と第2テーパ面85とが全周にわたって面接触することにより、第1テーパ面45と第2テーパ面85との間の隙間がなくなった状態となる。
また、雌側嵌合部84は、奥部に向かうほど狭くなっているから、雄コネクタ20と雌コネクタ60とが嵌合した状態に至ると、雌側嵌合部84の奥部において生じる隙間Sは小さくなる。
【0051】
雌側後誘電体87は、図2に示されるように、シールド電線Wにおいて編組体W2から露出したケーブル芯線W1の外周に組み付けられている。雌側後誘電体87は、後述する雌側外導体90に押圧されることによってケーブル芯線W1を全周にわたって囲むようにケーブル芯線W1の外周に配置されている。ケーブル芯線W1と雌側後誘電体87との間には、インピーダンスを調整するための隙間が設けられている。
【0052】
[雌側外導体90]
雌側外導体90は、導電性を有する金属板材を加工することによって形成されている。雌側外導体90は、図1図2および図9に示されるように、雌側前外導体91と、雌側中央外導体95と、雌側後外導体97とを有している。
【0053】
雌側後外導体97は、円筒状に形成されており、図2に示されるように、シールド電線Wにおいて露出した編組体W2から外被覆W3の前端部までの領域の外周に配置される。雌側後外導体97の前部は、編組体W2に圧着されることによって編組体W2と電気的に接続されている。雌側後外導体97の後部は、外被覆W3に圧着されることによってシールド電線Wに固定されている。
【0054】
雌側中央外導体95は、図2および図9に示されるように、雌側後外導体97とほぼ同径の円筒状に形成されており、雌側後誘電体87の前端部から雌側後外導体97の前端部までの領域外周に配置される。雌側中央外導体95の前部は、雌側後誘電体87を圧縮し過ぎないように、雌側後誘電体87に圧着されている。雌側中央外導体95の後部は、雌側後外導体97の前部に圧着されることにより、雌側後外導体97と電気的に接続されている。
【0055】
雌側前外導体91は、図2および図9に示されるように、雌側中央外導体95とほぼ同径の円筒状に形成されており、雌側中央外導体95の前端部から雌側誘電体80の前端部までの領域の外周に配置されている。雌側前外導体91の後端部は、雌側中央外導体95の前端部および雌側前誘電体81の後端部に圧着される筒状圧着部92とされている。筒状圧着部92が雌側前誘電体81に圧着されることにより雌側前誘電体81が雌側内導体71に固定される。また、筒状圧着部92が雌側中央外導体95に圧着されることにより、雌側前外導体91と雌側中央外導体95とが電気的に接続される。これにより、雌側前外導体91と雌側中央外導体95と雌側後外導体97とが一体となって雌側外導体90を構成する。
【0056】
雌側前外導体91の前後方向中央部よりも前側の部分は、図2および図3に示されるように、筒状圧着部92の前端縁に連なる円筒状の接続大筒部93とされている。接続大筒部93は、雌側前誘電体81の前後方向中央部よりも前側の部分を内側に収容している。
【0057】
したがって、雌側外導体90は、シールド電線Wの編組体W2に接続された状態で雌側内導体71の弾性接続部72から外被覆W3の前端部までの領域を覆っている。
つまり、雄コネクタ20と雌コネクタ60とは、互いに嵌合されると、図2に示されるように、前後方向にほぼ同径に構成された雄側外導体50と、前後方向にほぼ同径に構成された雌側外導体90とによって前後方向に覆われるようになっている。
【0058】
また、接続大筒部93は、図1および図9に示されるように、前後方向に延びる複数のスリット93Aの間に形成された複数の弾性接続片94を有している。それぞれの弾性接続片94は、径方向外側に向かって弾性変位可能とされている。
【0059】
接続大筒部93と雌側前誘電体81との間には、図2および図3に示されるように、雄側外導体50における接続筒部56が進入可能とされている。接続大筒部93と雌側前誘電体81との間には、雄コネクタ20と雌コネクタ60とが嵌合する際に接続筒部56が進入し、接続大筒部93内に進入した接続筒部56が複数の弾性接続片94に弾性的に接触することによって雌側外導体90と雄側外導体50とが電気的に接続される。
【0060】
[コネクタ10の作用および効果]
本実施形態は、以上のような構成であって、続いて、コネクタ10およびの作用および効果について説明する。
一般に、高周波信号の伝送経路では、特性インピーダンスが所定値に設定されることによってインピーダンス整合が図られる。
ここで、例えば、図15に示されるように、雌側内導体5を雌側誘電体4が介在した状態で収容する雌側外導体3を有する雌コネクタ2と、雄側内導体9を雄側誘電体8が介在した状態で収容する雄側外導体7を有する雄コネクタ6とを備えたコネクタ1において、雌コネクタ2と雄コネクタ6とを嵌合させる。すると、雌側誘電体4と雄側誘電体8とが嵌合方向に対向した状態となると共に、雄側誘電体8から前方に突出した雄側内導体9が雌側誘電体4内に進入し、雄側内導体9と雌側内導体5とが接続される。
【0061】
しかしながら、雌側誘電体4と雄側誘電体8との間には、雌側誘電体4と雄側誘電体8とが突き当たることを防止するためや、製造公差や組付公差などの影響により隙間Sが生じる場合がある。雌側誘電体4と雄側誘電体8との間に隙間Sが生じると、雄側内導体9の外周にいずれの誘電体4,8も配置されなくなる部分が生じ、隙間S部分における雄側内導体9の比誘電率が変化して雄側内導体が高インピーダンス状態となってしまう。この結果、隙間S部分においてインピーダンスの不整合が生じ、伝送信号が反射することによって伝送効率の低下してしまうことが懸念される。
【0062】
そこで、本発明者らは、上記の課題を解決するため、鋭意検討を行った結果、本実施形態の構成を見出した。すなわち、本実施形態は、雌端子モジュール70と、雌端子モジュール70と嵌合する雄端子モジュール30と、を備えたコネクタ10であって、雌端子モジュール70は、導電性の雌側内導体71と、絶縁性の雌側誘電体80と、導電性の雌側外導体90とを有し、雌側外導体90は、雌側誘電体80を介在させた状態で雌側内導体71を収容している。雄端子モジュール30は、導電性の雄側内導体31と、絶縁性の雄側誘電体40と、導電性の雄側外導体50とを有し、雄側外導体50は、図2および図3に示されるように、雄側誘電体40を介在させた状態で雄側内導体31を収容すると共に、雌端子モジュール70と雄端子モジュール30とが嵌合した状態では、雌側外導体90と接続される。雌側誘電体80は、雌側嵌合部84を有し、雄側誘電体40は、雄側嵌合部44を有している。
【0063】
雌側嵌合部84と雄側嵌合部44とは、雌端子モジュール70と雄端子モジュール30とが嵌合した状態では、図2および図3に示されるように、雌端子モジュール70と雄端子モジュール30との嵌合方向に凹凸嵌合する。雄側内導体31は、雄型接続部32を有しており、雄型接続部32は、雄側嵌合部44から雌端子モジュール70側である前方に向けて延びて形成されており、雄型接続部32は、雌端子モジュール70と雄端子モジュール30とが嵌合した状態では、図2および図3に示されるように、雌側嵌合部84内に進入して雌側内導体71と接続される。
【0064】
すなわち、本実施形態によると、雌端子モジュール70と雄端子モジュール30とが嵌合し、雄側嵌合部44から延びる雄型接続部32が雌側嵌合部84内に進入して雌側内導体71と接続された状態では、雌側嵌合部84と雄側嵌合部44とが嵌合方向に凹凸嵌合した状態となる。
したがって、雄型接続部32の周りには、少なくとも雄側嵌合部44または雌側嵌合部84のいずれか一方が配置されることになる。これにより、雄型接続部32における比誘電率の変化が抑制され、インピーダンスの変化が小さく抑えられる。つまりは、雄型接続部32における高周波信号の反射損失を小さくすることでき、コネクタ10において伝送効率が低下することを抑制できる。
【0065】
雌側嵌合部84および雄側嵌合部44うちの一方の嵌合部である雄側嵌合部44は、第1テーパ面45を有する凸型に形成されており、他方の嵌合部である雌側嵌合部84は、第2テーパ面85を有する凹型に形成されており、第1テーパ面45は、前側(他方の嵌合部側)に向かうほど雄型接続部32の軸心に向かって傾斜しており、第2テーパ面85は、雄側嵌合部44側から離れるほど雄型接続部32の軸心に向けて傾斜して第1テーパ面45に沿って配置される。
【0066】
一般に、雄型接続部が雌側嵌合部内に進入する部分では、雄側嵌合部の先端と雌側嵌合部の先端とが嵌合方向に突き当たって嵌合できなくなることを回避するために、雄側嵌合部の先端と雌側嵌合部の先端と間に隙間が生じるように構成される。
【0067】
ここで、例えば、雄側嵌合部および雌側嵌合部のうちいずれか一方の嵌合部が円柱状に形成され、他方の嵌合部が円柱状に窪んだ凹部として形成される場合、他方の嵌合部における凹部の奥部では、雄型接続部の外周に凹部の内径と同じ大きさの隙間が生じてしまうため、雄型接続部におけるインピーダンスの変化が大きくなる傾向にある。
【0068】
しかしながら、本実施形態によると、一方の嵌合部である雄側嵌合部44が第1テーパ面45を有する凸型に形成され、他方の嵌合部である雌側嵌合部84が第2テーパ面85を有する凹型に形成されている。
【0069】
つまり、凹型に形成された雌側嵌合部84は、図3に示されるように、奥部に向かうほど空間が狭くなっているから、雌側嵌合部84の奥部における雄型接続部32の外周の隙間Sを小さくできる。これにより、雄型接続部32におけるインピーダンスの変化をさらに小さく抑えることができ、雄型接続部32における高周波信号の反射損失をさらに小さくできる。
【0070】
第1テーパ面45は、図5から図7に示されるように、先細りとなる円錐状に形成されており、第2テーパ面85は、図10から図12に示されるように、凹型の奥部に向かうほど円錐状に縮径して形成されている。
つまり、第2テーパ面85によって凹型に形成された雌側嵌合部84の奥部が雄型接続部32を中心に狭い構成となるから、例えば、雌側嵌合部の一部に第2テーパ面を構成する場合に比べて、図3に示されるように、雄側嵌合部44と雌側嵌合部84との間の隙間を小さくできる。これにより、インピーダンスの変化をさらに小さく抑えることができ、高周波信号の反射損失をさらに小さくできる。
【0071】
第1テーパ面45と第2テーパ面85とは、図3に示されるように、雌端子モジュール70と雄端子モジュール30とが嵌合した状態では密着している。つまり、第1テーパ面45と第2テーパ面85とが密着することによって雌側嵌合部84と雄側嵌合部44との間の隙間をさらに小さくできる。これにより、インピーダンスの変化をさらに小さく抑えることができ、高周波信号の反射損失をさらに小さくできる。
【0072】
以上のように本実施形態は、雄型接続部32の外周に、少なくとも雌側誘電体80または雄側誘電体40を配置すると共に、雄側嵌合部44と雌側嵌合部84との間の隙間を小さくしている。つまり、本実施形態のコネクタ10は、雄型接続部32におけるインピーダンスの変化を小さく抑えて高周波信号の反射損失を小さくし、伝送効率が低下することを抑制できる。
【0073】
<他の実施形態>
本明細書で開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような種々の態様も含まれる。
(1)上記実施形態では、シールド電線Wは、同軸ケーブルとして構成されている。しかしながら、これに限らず、シールド電線が複数のケーブル芯線を有し、雄側誘電体に複数の雄側嵌合部を形成すると共に、雌側誘電体に複数の雌側嵌合部を形成してもよい。
【0074】
(2)上記実施形態では、雌側誘電体80を2つの誘電体によって構成し、雄側誘電体40を2つの誘電体によって構成した。しかしながら、これに限らず、雌側誘電体や雄側誘電体が1つの誘電体によって構成されてもよい。
【0075】
(3)上記実施形態では、雌側外導体90を3つの外導体によって構成し、雄側外導体50を2つの外導体によって構成した。しかしながら、これに限らず、雌側外導体や雄側外導体が1つの外導体によって構成されてもよい。
【0076】
(4)上記実施形態では、第1テーパ面45を有する円錐状に突出する雄側嵌合部44と、第2テーパ面85を有する円錐状に窪んだ雌側嵌合部84とが前後方向に凹凸嵌合する構成とした。しかしながら、これに限らず、雌側嵌合部を円錐状に突出させ、雄側嵌合部を円錐状に窪ませて構成してもよく、雌側嵌合部を多角円錐状に窪ませて、雄側嵌合部を多角円錐状に突出させて構成してもよい。
また、図14に示すように、雄側誘電体140に円柱状に突出して設けられた雄側嵌合部144と、雌側誘電体180に円柱状に凹んで設けられた雌側嵌合部184とが前後方向に凹凸嵌合する構成にしてもよい。なお、このとき、第1テーパ面と第2テーパ面とが完全に接触しない場合でも、第1テーパ面と第2テーパ面との隙間を一様とすることができるため、インピーダンスの局所的変化を抑えることができる。
【符号の説明】
【0077】
10: コネクタ
20: 雄コネクタ
21: 雄ハウジング
30: 雄端子モジュール
31: 雄側内導体
32: 雄型接続部
33: 電線接続部
40: 雄側誘電体
41: 雄側前誘電体
42: 雄側本体部
44: 雄側嵌合部
45: 第1テーパ面
46: 先端面
48: 雄側後誘電体
50: 雄側外導体
51: 雄側前外導体
54: 導体圧着部
55: 中央圧着部
56: 接続筒部
58: 雄側後外導体
60: 雌コネクタ
61: 雌ハウジング
70: 雌端子モジュール
71: 雌側内導体
72: 弾性接続部
72A: 弾性片
73: 電線接続部
80: 雌側誘電体
81: 雌側前誘電体
82: 雌側本体部
84: 雌側嵌合部
85: 第2テーパ面
87: 雌側後誘電体
90: 雌側外導体
91: 雌側前外導体
92: 筒状圧着部
93: 接続大筒部
93A: スリット
94: 弾性接続片
95: 雌側中央外導体
97: 雌側後外導体
W1: ケーブル芯線
W2: 編組体
W3: 外被覆
W: シールド電線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15