(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-26
(45)【発行日】2023-07-04
(54)【発明の名称】照明制御システム
(51)【国際特許分類】
H04Q 9/00 20060101AFI20230627BHJP
H05B 47/18 20200101ALI20230627BHJP
【FI】
H04Q9/00 311J
H05B47/18
(21)【出願番号】P 2019121102
(22)【出願日】2019-06-28
【審査請求日】2022-03-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100142642
【氏名又は名称】小澤 次郎
(72)【発明者】
【氏名】岩坪 幸喜
【審査官】北村 智彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-353997(JP,A)
【文献】特開2008-066074(JP,A)
【文献】特開2006-186665(JP,A)
【文献】特開平11-262075(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0035519(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04Q 9/00
H05B 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作器と、
LANを介して前記操作器と通信可能に接続された照明コントローラと、
通信線を介して前記照明コントローラと通信可能に接続されて、前記照明コントローラからの信号によって制御される端末器と、
を備え、
前記端末器は、
前記照明コントローラからの信号を伝達する通信である第1の通信を受信するときの通信エラーの情報を、少なくとも当該通信エラーが発生した時刻の情報を含む第1の通信エラーログとして記録し、
前記照明コントローラは、
前記端末器からの信号を伝達する通信である第2の通信を受信するときの通信エラーの情報を、少なくとも当該通信エラーが発生した時刻の情報を含む第2の通信エラーログとして記録し、
前記端末器から、前記第1の通信エラーログを収集し、
前記操作器は、
前記照明コントローラが収集した前記第1の通信エラーログ及び前記照明コントローラに記録された前記第2の通信エラーログを
、通信エラーログとして収集する、
ように構成されている照明制御システム。
【請求項2】
前記照明制御システムは、
前記操作器と前記照明コントローラとの間に配置され、前記操作器と前記照明コントローラとの間で伝達される信号を中継する中継器を、
更に備え、
前記照明コントローラは、
前記中継器からの信号を伝達する第3の通信を受信するときの通信エラーの情報を、少なくとも当該通信エラーが発生した時刻の情報を含む第3の通信エラーログとして記録し、
前記中継器は、
前記照明コントローラからの信号を伝達する第4の通信を受信するときの通信エラーの情報を、少なくとも当該通信エラーが発生した時刻の情報を含む第4の通信エラーログとして記録し、
前記操作器は、
前記中継器からの信号を伝達する第5の通信を受信するときの通信エラーの情報
であり、少なくとも当該通信エラーが発生した時刻の情報を含む第5の通信エラーログ
を、前記通信エラーログとして記録し、
前記第3の通信エラーログ及び前記第4の通信エラーログを
、前記通信エラーログとして収集する、
ように構成されている請求項1に記載の照明制御システム。
【請求項3】
前記照明コントローラは、
前記操作器からの信号を伝達する第6の通信を受信するときの通信エラーの情報を、少なくとも当該通信エラーが発生した時刻の情報を含む第6の通信エラーログとして記録し、
前記操作器は、
前記照明コントローラからの信号を伝達する第7の通信を受信するときの通信エラーの情報
であり、少なくとも当該通信エラーが発生した時刻の情報を含む第7の通信エラーログ
を、前記通信エラーログとして記録し、
前記第6の通信エラーログを
、前記通信エラーログとして収集する、
ように構成されている請求項1に記載の照明制御システム。
【請求項4】
前記照明制御システムは、
広域ネットワークを介して前記操作器に接続された遠隔端末を、
更に備え、
前記遠隔端末は、
前記操作器が収集
又は記録した前記通信エラーログを収集する、
ように構成されている請求項1から3のいずれか1項に記載の照明制御システム。
【請求項5】
前記照明コントローラは、更に、前記第3の通信の通信トラフィック及び当該通信トラフィックを計測した時刻を、第3の通信トラフィックログとして記録するように構成され、
前記中継器は、更に、前記第4の通信の通信トラフィックを計測し、計測された通信トラフィック及び当該通信トラフィックを計測した時刻を、第4の通信トラフィックログとして記録するように構成され、
前記操作器は、更に、
前記第5の通信の通信トラフィックを計測し、計測された通信トラフィックと当該通信トラフィックを計測した時刻と
を含む第5の通信トラフィックログ
を、通信トラフィックログとして記録し、
前記第3の通信トラフィックログ及び前記第4の通信トラフィックログを
、前記通信トラフィックログとして収集する、
ように構成されている請求項2に記載の照明制御システム。
【請求項6】
前記照明コントローラは、更に、前記第6の通信の通信トラフィック及び当該通信トラフィックを計測した時刻を、第6の通信トラフィックログとして記録するように構成され、
前記操作器は、更に、
前記第7の通信の通信トラフィックを計測し、計測された通信トラフィック及び当該通信トラフィックを計測した時刻
を含む第7の通信トラフィックログ
を、前記通信トラフィックログとしてとして記録し、
前記第6の通信トラフィックログを
、前記通信トラフィックログとして収集する、
ように構成されている請求項3に記載の照明制御システム。
【請求項7】
前記端末器は、更に、
前記第1の通信の通信トラフィックを計測し、計測された通信トラフィック及び当該通信トラフィックを計測した時刻を、第1の通信トラフィックログとして記録するように構成され、
前記照明コントローラは、更に、
前記第2の通信の通信トラフィックを計測し、計測された通信トラフィック及び当該通信トラフィックを計測した時刻を、第2の通信トラフィックログとして記録し、
前記端末器から、前記第1の通信トラフィックログと収集する、
ように構成され、
前記操作器は、更に、前記照明コントローラが収集した前記第1の通信トラフィックログ及び前記照明コントローラに記録された前記第2の通信トラフィックログを
、前記通信トラフィックログとして収集するように構成されている請求項1、5及び6のいずれか1項に記載の照明制御システム。
【請求項8】
前記照明制御システムは、広域ネットワークを介して前記操作器に接続された遠隔端末を、更に備え、
前記遠隔端末は、前記操作器が収集
又は記録した前記通信エラーログ及び前記通信トラフィックログを収集するように構成されている請求項5から7のいずれか1項に記載の照明制御システム。
【請求項9】
照明コントローラと、
通信線を介して前記照明コントローラと通信可能に接続されて、前記照明コントローラからの信号によって制御される端末器と、
を備え、
前記端末器は、
前記照明コントローラからの信号を伝達する通信である第1の通信を受信するときの通信エラーの情報を、少なくとも当該通信エラーが発生した時刻の情報を含む第1の通信エラーログとして記録し、
前記照明コントローラは、
前記端末器からの信号を伝達する通信である第2の通信を受信するときの通信エラーの情報
であり、少なくとも当該通信エラーが発生した時刻の情報を含む第2の通信エラーログ
を、通信エラーログとして記録し、
前記端末器から、前記第1の通信エラーログを前記
通信エラーログとして収集する、
ように構成されている照明制御システム。
【請求項10】
前記照明制御システムは、
広域ネットワークを介して前記照明コントローラに接続された遠隔端末を、
更に備え、
前記遠隔端末は、
前記照明コントローラから前記通信エラーログを収集する、
ように構成されている請求項9に記載の照明制御システム。
【請求項11】
前記端末器は、更に、前記第1の通信の通信トラフィックを計測し、計測された通信トラフィック及び当該通信トラフィックを計測した時刻を、第1の通信トラフィックログとして記録するように構成され、
前記照明コントローラは、更に、
前記第2の通信の通信トラフィックを計測し、計測された通信トラフィック及び当該通信トラフィックを計測した時刻を
含む第2の通信トラフィックログを
、前記通信トラフィックログとして記録し、
前記端末器から、前記第1の通信トラフィックログを
前記通信トラフィックログとして収集する、
ように構成されている請求項9に記載の照明制御システム。
【請求項12】
前記照明制御システムは、広域ネットワークを介して前記照明コントローラに接続された遠隔端末を、更に備え、
前記遠隔端末は、前記照明コントローラから前記通信エラーログ及び前記通信トラフィックログを収集するように構成されている請求項11に記載の照明制御システム。
【請求項13】
前記照明制御システムは、
前記通信エラーログに含まれる、通信エラー発生時刻の情報に基づいて、当該通信エラーの発生原因を解析する解析手段を、
更に、備える請求項1から4及び9及び10のいずれか1項に記載の照明制御システム。
【請求項14】
前記照明制御システムは、
前記通信エラーログ及び前記通信トラフィックログに含まれる、通信エラー発生時刻の情報及び当該通信エラー発生時刻の通信トラフィックの情報に基づいて、当該通信エラーの発生原因を解析する解析手段を、
更に、備える請求項5から8及び11及び12のいずれか1項に記載の照明制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ネットワークを介して建物内の機器を監視制御する監視システムが開示されている。具体的に、この監視システムは、監視装置と複数の機器とのそれぞれと通信する通信装置を有している。この監視システムの監視装置は、定期的に通信装置に要求信号を送信し、これに対する通信装置からの応答信号を受信することで、各機器の故障、電池切れ、及び、通信エラー等の状態を監視する。また通信装置は、各機器から非常時の状態であることを示す特定信号を受信した場合に、特定信号を受信した旨の通知及び特定信号に含まれる映像等の情報を、監視信号として監視装置に送信する。これにより特許文献1の監視装置では建物内の状態を確認することができる。
【0003】
また、特許文献2には、複数の照明器具が接続された複数の制御装置を1つの管理装置に接続した照明制御システムが開示されている。この照明制御システムでは、管理装置が制御装置に電圧信号を送信し、制御装置はこの電圧信号に従って照明器具を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-27362号公報
【文献】特許第6366617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、特許文献2に記載されているような照明制御システムを建物に導入することで、テナント工事における照明器具のリレイアウトを容易にすることができる。しかし、このような照明制御システムが導入された建物でテナント工事が行われる場合、照明制御システムのそのテナントに関する部分において、通信線に接続される照明器具及び各種センサ等の機器の台数、通信線の配線長さ、及び、通信線の分岐といった条件が変化する場合がある。このようなテナント工事による条件の変化は、通信トラフィックの増加、通信線を流れる通信の通信波形の歪み、又は、通信波形の歪みによる遅延を発生させ、通信エラーの増加及び通信再送信によって更なる通信波形の歪みによる遅れ等の不調を引き起こす虞がある。
【0006】
この点、特許文献1の監視システムによれば、要求信号を送信した定期的なタイミングで応答信号によって通信エラー等の状態を検知することはできるものの、その通信エラー発生時刻情報及びそのときの通信トラフィックの変動についての情報は取得することができない。また特許文献2の照明制御システムは、通信の安定化を図るものであり、通信トラフィックや通信エラーの検出に関して何ら記載されていない。
【0007】
通信エラーは、例えば、特定の日のテナント工事によって増加したりする場合など、その発生の契機は様々である。しかし、従来のシステムでは、通信トラフィックや通信エラーの発生時刻情報を取得することができないため、通信エラー発生の契機を捉えることができず、通信エラーに対する十分な対策を採ることが困難であった。
【0008】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、通信エラーが発生した場合に、その通信エラーを発生時刻情報付きで取得すると共に、そのときの通信トラフィックに関する情報を取得することができるように改良された照明制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の照明制御システムは、操作器と、LANを介して操作器と通信可能に接続された照明コントローラと、通信線を介して照明コントローラと通信可能に接続されて、照明コントローラからの信号によって制御される端末器と、を備える。端末器は、照明コントローラからの信号を伝送する通信である第1の通信を受信するときの通信エラーの情報を、少なくとも当該通信エラーが発生した時刻の情報を含む第1の通信エラーログとして記録する。照明コントローラは、端末器からの信号を伝送する通信である第2の通信を受信するときの通信エラーの情報を、少なくとも当該通信エラーが発生した時刻の情報を含む第2の通信エラーログとして記録する。更に、照明コントローラは、端末器から、第1の通信エラーログを収集する。操作器は、照明コントローラが収集した第1の通信エラーログ及び照明コントローラに記録された第2の通信エラーログを収集する。
【0010】
照明制御システムは、操作器と照明コントローラとの間に配置され、操作器と照明コントローラとの間で伝達される信号を中継する中継器を、更に備える構成であってもよい。この場合、照明コントローラは、中継器からの信号を伝達する第3の通信を受信するときの通信エラーの情報を、少なくとも当該通信エラーが発生した時刻の情報を含む第3の通信エラーログとして記録する構成としてもよい。また、中継器は、照明コントローラからの信号を伝達する第4の通信を受信するときの通信エラーの情報を、少なくとも当該通信エラーが発生した時刻の情報を含む第4の通信エラーログとして記録する構成としてもよい。操作器は、中継器からの信号を伝達する第5の通信を受信するときの通信エラーの情報を、少なくとも当該通信エラーが発生した時刻の情報を含む第5の通信エラーログとして記録する構成としてもよい。また、操作器は、更に、第3の通信エラーログ及び第4の通信エラーログを収集するように構成されたものとしてもよい。
【0011】
また、端末器は、更に、第1の通信の通信トラフィックを計測し、計測された通信トラフィック及び当該通信トラフィックを計測した時刻を、第1の通信トラフィックログとして記録するように構成されたものであってもよい。この場合、照明コントローラは、更に、第2の通信の通信トラフィックを計測し、計測された通信トラフィック及び当該通信トラフィックを計測した時刻を、第2の通信トラフィックログとして記録し、端末器から、第1の通信トラフィックログと収集するように構成されたものとしてもよい。また、操作器は、更に、照明コントローラが収集した第1の通信トラフィックログ及び照明コントローラに記録された第2の通信トラフィックログを収集するように構成されたものとしてもよい。
【0012】
また、照明コントローラは、更に、第3の通信の通信トラフィック及び当該通信トラフィックを計測した時刻を、第3の通信トラフィックログとして記録するように構成されたものであってもよい。この場合、中継器は、更に、第4の通信の通信トラフィックを計測し、計測された通信トラフィック及び当該通信トラフィックを計測した時刻を、第4の通信トラフィックログとして記録するように構成されたものとしてもよい。また、操作器は、更に、第5の通信の通信トラフィックを計測し、計測された通信トラフィックと当該通信トラフィックを計測した時刻とを、第5の通信トラフィックログとして記録し、第3の通信トラフィックログ及び第4の通信トラフィックログを収集する、ように構成されたものとしてもよい。
【0013】
また、照明コントローラは、更に、第6の通信の通信トラフィック及び当該通信トラフィックを計測した時刻を、第6の通信トラフィックログとして記録するように構成されたものとしてもよい。また、操作器は、更に、第7の通信の通信トラフィックを計測し、計測された通信トラフィック及び当該通信トラフィックを計測した時刻を、第7の通信トラフィックログとして記録し、第6の通信トラフィックログを収集する、ように構成されたものとしてもよい。
【0014】
あるいは、本発明の照明制御システムは、照明コントローラと、通信線を介して照明コントローラと通信可能に接続されて、照明コントローラからの信号によって制御される端末器と、を備える。端末器は、照明コントローラからの信号を伝達する通信である第1の通信を受信するときの通信エラーの情報を、少なくとも当該通信エラーが発生した時刻の情報を含む第1の通信エラーログとして記録する。また、端末器は、更に、第1の通信の通信トラフィックを計測し、計測された通信トラフィック及び当該通信トラフィックを計測した時刻を、第1の通信トラフィックログとして記録する構成としてもよい。照明コントローラは、端末器からの信号を伝達する通信である第2の通信を受信するときの通信エラーの情報を、少なくとも当該通信エラーが発生した時刻の情報を含む第2の通信エラーログとして記録する。更に、照明コントローラは、第2の通信の通信トラフィックを計測し、計測された通信トラフィック及び当該通信トラフィックを計測した時刻を、第2の通信トラフィックログとして記録する構成としてもよい。また、照明コントローラは、端末器から、第1の通信エラーログを収集する。照明コントローラは、第1の通信エラーログの収集に加え、第1の通信トラフィックログの収集を行う構成としてもよい。
【発明の効果】
【0015】
通信エラーが発生した場合に、通信エラーの発生情報と共に、その通信エラーの発生時刻情報や通信トラフィックに関する情報を取得することができる。これらの情報により、照明制御システムの不調の要因及び不調となった契機を解析することができる。これにより、照明制御システムの通信品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る照明制御システムの構成を模式的に示す図である。
【
図2】本発明の実施の形態1に係る照明制御システムの通信線を流れる下り伝送信号の通常時の通信波形の一例を示す図である。
【
図3】本発明の実施の形態1に係る照明制御システムの通信線を流れる上り伝送信号の正常時の通信波形の一例を示す図である。
【
図4】本発明の実施の形態1に係る照明制御システムの通信線を流れる伝送信号の立ち上がりエッジ、立ち下がりエッジの検出について説明する波形図である。
【
図5】本発明の実施の形態1に係る照明制御システムの通信線を流れる上り伝送信号及び下り伝送信号の通信フレーム構成の一例を示す図である。
【
図6】本発明の実施の形態1に係る照明制御システムの通信線の等価回路を示す図である。
【
図7】本発明の実施の形態1に係る照明制御システムにおいて、分岐が多い場合の通信線の通信波形の一例を示す図である。
【
図8】本発明の実施の形態1に係る照明制御システムにおいて、通信線の距離が長く端末器の接続台数が多い場合の通信波形の例を示す図である。
【
図9】本発明の実施の形態1に係る照明制御システムにおいて、通信線の長さが長く端末器の接続台数が多い場合の通信波形の他の例を示す図である。
【
図10】本発明の実施の形態1に係る照明制御システムの操作器が通信エラーを収集する通信シーケンスの一例を示す図である。
【
図11】本発明の実施の形態1に係る照明制御システムの操作器が通信トラフィックを収集する通信シーケンスの一例を示す図である。
【
図12】本発明の実施の形態1に係る照明制御システムによって収集した通信トラフィック及び通信エラーのデータの通信解析例を示す図である。
【
図13】本発明の実施の形態1に係る照明制御システムの他の構成例を模式的に示す図である。
【
図14】本発明の実施の形態1に係る照明制御システムの他の構成例を模式的に示す図である。
【
図15】本発明の実施の形態1に係る照明制御システムの他の構成例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態に係る照明制御システムについて図面を参照して説明する。同じ又は対応する構成要素には同じ符号を付し、説明の繰り返しを省略する場合がある。
【0018】
実施の形態1.
1.照明制御システムの基本的な構成
図1は、実施の形態1に係る照明制御システム1の構成を模式的に示すブロック図である。照明制御システム1は、操作器2、中継器3、照明コントローラ4、端末器5を備える。
【0019】
操作器2は、照明統合操作器である。操作器2は、例えばパソコンで構成される。操作器2は、照明制御システム1の点灯、消灯、調光点灯、及び、スケジュール制御等の設定操作を行う。また、操作器2は、消費電力の見える化、故障箇所の把握等の管理を行う機能を有していてもよい。
【0020】
操作器2は、広域ネットワーク13に接続され、広域ネットワーク13を介して、遠隔端末21に接続されている。また、操作器2は、第1のローカルエリアネットワーク(LAN)11を介して中継器3に接続されている。中継器3は、操作器2と照明コントローラ4との間で伝達される信号を中継する。
図1には、1台の中継器3のみが記載されているが、中継器3の台数に限定はなく、第1のLAN11に複数台の中継器3が接続されている構成であってもよい。
【0021】
中継器3には、第2のLAN12を介して照明コントローラ4が接続されている。
図1には、2台の照明コントローラ4が接続されている例が示されているが、照明コントローラ4の台数に限定はなく、照明コントローラ4は1台であってもよいし、2以上の照明コントローラ4が接続されていてもよい。照明コントローラ4を複数台接続することで、照明コントローラ4と端末器5との間の通信トラフィックを分散することができる。
【0022】
照明コントローラ4のそれぞれに、通信線14を介して端末器5が接続されている。端末器5のそれぞれは、照明コントローラ4からの制御信号によって制御される。
図1の例では、端末器5として、リレー制御端末器51、調光信号端末器52、照度センサユニット53、人感センサユニット54、照度センサ人感センサユニット55、及び、画像センサユニット56が接続されている。これらのセンサユニット53~56により、照度及び人の通過の有無等がセンシングされ、又は、照明領域内の画像が撮影され、センシング又は撮影された情報が照明コントローラ4に送信される。
【0023】
なお、端末器5として、上述した全てのセンサユニット53~56が接続されている必要はなく、いずれかのセンサユニットが接続されていればよい。また、
図1では、2つの照明コントローラ4のうち、一方の照明コントローラ4に接続された端末器5のみを図示しているが、他方の照明コントローラ4にも同様にリレー制御端末器51及び調光信号端末器52及びセンサユニット等の端末器5が接続されている。
【0024】
照明コントローラ4は、リレー制御端末器51及び調光信号端末器52を制御する。リレー制御端末器51は、電源線15に接続され内部のリレーを介して、器具電源線15-1により照明器具8に接続されている。電源線15はブレーカ17に接続されている。リレー制御端末器51を介してブレーカ17からの電力が照明器具8に供給される。調光信号端末器52は、調光信号線16を介して照明器具8の調光端子に接続されている。調光端子の図示は省略する。
【0025】
リレー制御端末器51又は調光制御端末器52に接続された照明器具8は、調光制御端末器52により、点灯、消灯、及び調光点灯といった点灯状態及び調光率が制御される。ただし、照明制御システム1は、リレー制御端末器51のみを有し、調光信号端末器52を有さない構成としてもよい。照明器具8がリレー制御端末器51のみに接続されている構成の場合、照明制御システム1は、照明器具8の点灯又は消灯を制御することができる。同様に、照明制御システム1は、調光信号端末器52のみを有し、リレー制御端末器51を有さない構成としてもよい。電源供給された照明器具8が調光信号端末器52のみに接続されている構成の場合、点灯時の調光率を制御することができる。
【0026】
また、照明器具8を、器具電源線15-1及び調光信号線16を介して、リレー制御端末器51及び調光信号端末器52に接続する構成に替えて、通信線14に、直接、通信機能付きの照明器具8を接続する構成としてもよい。この場合にも同様に、照明器具8の点灯状態又は調光率を制御することができる。
【0027】
電源線15には、電流センサ9が設置されている。電流センサ9は、電力測定システム10に接続されており、電力測定システム10は、第1のLAN11を介して操作器2に接続されている。
【0028】
広域ネットワーク13は、例えば有線通信網または無線通信網で構築されたインターネットである。
【0029】
第1のLAN11は、ビル管理システムのLANである。第1のLAN11で接続された各機器間の通信には、例えば、BACnet(登録商標)の通信プロトコルが用いられる。
【0030】
第2のLAN12は、照明制御システム1のLANである。第2のLAN12で接続された各機器間の通信には、例えばUDP(User Datagram Protocol)の通信プロトコルが用いられる。
【0031】
通信線14は、2線式の通信線である。通信線14にて接続された機器は、双極性の時分割多重信号で互いに通信する。双極性の時分割多重信号は、例えば±24Vの信号である。即ち、通信線14には、照明コントローラ4から±24Vの双極性の信号電圧が供給され、端末器5と通信を行う。
【0032】
調光信号線16は、PWM(Pulse width modulation)方式またはシリアル双方向通信方式の信号を伝送する。
【0033】
2.通信線14を流れるフィールドバス通信について
2-1.フィールドバス通信について
通信線14を流れる通信であるフィールドバス通信について説明する。以下において、フィールドバス通信を「Fバス通信」とも称する。Fバス通信には、アドレスを指定した通信とアドレスを指定しない一斉通信がある。
【0034】
ここで、まず、端末器5それぞれに固有のアドレスである機器番号を割り当てる方法を説明する。図示を省略するが、端末器5は、ディップスイッチと赤外線入力部のいずれかを備えている。ディップスイッチを備えた端末器5は、照明コントローラ4と同様に、ディップスイッチの設定により機器番号が割り当てられる。赤外線入力部を備えた端末器5は、赤外線リモコンである設定端末器(図示省略)を用いて機器番号が割り当てられる。
【0035】
Fバス通信では、照明コントローラ4から端末器5への下り伝送である第1の通信と、端末器5から照明コントローラ4への上り伝送である第2の通信とが交互に行われる。
【0036】
図2に通信線14を流れる第5の下り伝送信号の正常時の通信波形の一例を示す。
図2に示されるように、下り伝送では、例えば、照明コントローラ4が、通信線14を流れる双極性信号の正負の極性及び正負それぞれの信号の時間幅を変化させることによりデータが伝送される。
図2では、後述するように、短い時間幅が0、長い時間幅が1を表している。
【0037】
図3に、通信線14を流れる上り伝送信号の一例を示す。
図3に示されるように、端末器5から照明コントローラ4への上り伝送は、例えば、端末器5が+24Vの同期信号によって区切られる-24Vの応答期間内に、電流信号を送信することで行われる。同期信号と応答期間とは、正負が反転したものであってもよい。
図3の例では、応答期間中に、端末器5が電流信号を送らない場合を応答0、電流信号を送る場合を応答1として伝送している。また、0と1とが反転したものであってもよい。
【0038】
図3の例では、照明コントローラ4が端末器5の応答1を受信した旨である応答リターンを、応答期間のパルス時間幅を短くし、その分同期信号のパルス時間幅を長く変更することにより端末器5に伝送している。照明コントローラ4が応答0を受信した場合、照明コントローラ4は応答リターンを伝送しない。
【0039】
次に、下り伝送信号の端末器5による復号処理を説明する。上述したように、照明コントローラ4は、下り伝送信号の「1」「0」を、双極性信号のパルス幅の長短によって送信する。端末器5は、受信した双極性信号のプラス側への立ち上がりエッジをHigh信号に変換し、マイナス側への立ち下がりエッジをLow信号に変換する。そして、High信号及びLow信号を検出し、次のエッジを検出するまでの双極性信号のパルス時間幅を測定し、照明コントローラ4から伝送された信号を信号データ列に復号する。
【0040】
図4は、端末器5が立ち上がりエッジ、立ち下がりエッジの検出について説明するための図である。端末器5は、
図4に示されるように、起動時及びエッジ極性が反転した際に、High信号又はLow信号に変換された双極性信号をサンプリング周期毎に例えば3回読み込み、High信号及びLow信号それぞれの多数決で双極性信号の反転を検出する。サンプリング周期は、例えば10μsである。ここではサンプリング回数を3回としているが、サンプリング周期と回数とをノイズに併せて最適化してもよい。
【0041】
次に、立ち上がりエッジと立ち下がりエッジとの間の時間であるパルス幅時間の測定方法を説明する。本実施の形態では、例えば、パルス幅の短い時間幅である200μsが「0」、長い時間幅である400μsが「1」を表す。パルス幅時間から「0」又は「1」の判定を行うため、それぞれに対し、最小パルス幅時間、最大パルス幅時間で規定される有効パルス幅時間が予め定められている。具体的に、例えば、有効パルス幅時間150μs~250μsであれば「0」と判定され、有効パルス幅時間350μs~450μsであれば「1」と判定される。これら有効パルス幅時間以外のパルス時間幅である場合には、無効なパルス幅であると判定される。
【0042】
パルス幅時間が有効パルス幅時間の範囲内に収まる場合、有効パルスを受信したと判定されて、データが「1」又は「0」に変換される。パルス幅時間の測定結果が、有効パルス幅時間内に収まらない場合、無効パルスと判定され、前回判定されたエッジ判定結果からのパルス幅時間の測定が継続される。
【0043】
なお、照明コントローラ4による上り伝送信号の複合処理についても同様に行われる。下り伝送信号の詳細な説明は省略する。
【0044】
次に、通信線14を流れる上り伝送信号及び下り伝送信号の通信フレームの構成について説明する。
図5は、通信線14を流れる上り伝送信号及び下り伝送信号の通信フレーム構成の一例を示す図である。
図5に示される例では、上り伝送信号及び下り伝送信号の通信フレームは、スタートビット領域30、アドレス領域31、コマンド領域32、データ領域33、チェックサム領域34、及び、応答リターン領域35の各領域を備えている。
【0045】
スタートビット領域30は、伝送信号の先頭パルスを格納する。アドレス領域31は、送信先アドレス及び送信元アドレスをそれぞれ格納する。コマンド領域32は、通信コマンドを格納する。データ領域33は、通信コマンドのデータを格納する。チェックサム領域34は、通信データの誤り検出のための通信データの2の補数を格納する。応答リターン領域35は、照明コントローラ4が上り伝送信号を受信した旨の応答リターンを格納する。
【0046】
2-2.通信線14の通信エラーについて
図6は、通信線14の等価回路を示す図である。
図6(a)に示すように通信線14は、抵抗R、インダクタンスL、キャパシタンスCを持つ二端子対回路の等価回路で表現することができる。
【0047】
図1では、照明コントローラ4に対して直列に複数の端末器5が接続されている場合を例示したが、照明コントローラ4に対する端末器5の接続には様々なパターンがある。例えば
図6(b)及び(c)に示されるように、通信線14が1又は2以上の分岐点Aにおいて分岐し、複数の端末器5が並列に接続されている場合がある。
【0048】
通信線14の分岐が増えると通信線14のキャパシタンスCが大きくなる。その結果、通信線14のLC共振により、通信線14を流れる通信信号の波形に歪みが生じることとなる。
図7に、通信線14の分岐が多い場合の、下り伝送信号の通信波形の一例を示す。
図7に示されるように、通信線14の分岐が多い場合、下り伝送信号の通信波形は、
図2に示すような正常時の波形に共振ノイズが重畳された波形となる。
【0049】
このようなノイズの重畳により、例えば、
図7の破線Bで囲まれた部分に示されるように、伝送信号の復号時にHigh信号がLow信号と誤検知されたり、
図7の破線Cに囲まれた部分に示されるように、Low信号がHigh信号と誤検知されたりする虞がある。この信号電圧の誤検知の結果、パルス幅の「長」又は「短」が誤って復号化され、信号の「1」又は「0」の判定に、誤判定が生じる場合がある。
【0050】
また、
図8は、端末器の接続台数が多く通信線14の距離が長い場合の伝送信号の通信波形の例を示す図である。通信線14の長さが長くなると通信線14の直流抵抗が大きくなる。その結果、
図8に示されるように信号電圧が小さくなる虞がある。その結果、分岐が多い場合と同様に、High信号又はLow信号の誤検知によって、信号の「1」又は「0」の判定に誤判定が生じる虞がある。
【0051】
図9は、通信線14の長さが長く、かつ分岐が多い場合の伝送信号の通信波形の例を示す。通信線14の長さが長くなり、かつ分岐が多くなると、
図9に示されるように、立ち上がり及び立ち下がりの波形がなまる。このため、通信の遅延が発生する虞がある。
【0052】
以下に、通信線14を流れる下り伝送信号及び上り伝送信号の、代表的な通信エラーの例を示す。
(1)チェックサムエラー
通信データの受信途中に、上述したノイズによる「1」又は「0」の取り違えを検出した場合のエラーである。このエラー発生は、受信データのチェックサムと復号データから計算したチェックサムとの不一致によって検出される。
(2)スタートビット検出エラー
ノイズにより受信データのスタートビットを検出できない場合のエラーである。
(3)ビット不足エラー
送信元が何らかの要因により送信を中止した場合に記録されるエラーである。
(4)ビット超過エラー
通信データに重畳したノイズを誤認識した場合に記録されるエラーである。
(5)リターン検出エラー
ノイズにより、端末器5からの受信成功(即ち、応答リターン)を検出できなかった場合に記録されるエラーである。
(6)3回判定エラー
上述した立ち上がりエッジ又は立ち下がりエッジの3回読み込み結果が、期待するデータと相違した場合に記録されるエラーである。
(7)無効パルス幅エラー
パルス幅の測定結果がノイズによる誤認識で規定パルス幅の有効範囲である有効パルス幅時間内に収まらなかった場合に記録されるエラーである。
(8)電圧不足エラー
通信波形の正負の電圧が予め定められた最低電圧よりも低い場合に記録されるエラーである。なお通信信号は、エッジ検出及びパルス幅検出に用いるコンパレータ入力端子及び電圧不足検出に用いるアナログ/デジタル変換入力端子にも入力される。
(9)遅延エラー
通信信号へのノイズの重畳により、規定時間内に信号を検出できなかった場合に記録されるエラーである。
【0053】
2-3.通信線14での通信エラーの記録
上述したFバス通信の通信エラーは、端末器5又は照明コントローラ4に格納される。具体的に、各端末器5は、下り伝送信号受信時のFバス通信エラーを、第1の通信エラーログとしてメモリに格納する。また、各照明コントローラ4は、上り伝送信号受信時のFバス通信エラーを、第2の通信エラーログとしてメモリに格納する。第1の通信エラーログ及び第2の通信エラーログには、エラー通し番号、エラー発生時刻、異常の種類、及び、異常の直前に発生したイベント等の情報が含まれる。
【0054】
3.中間バス通信について
中継器3と照明コントローラ4との間を接続する第2のLAN12を流れるUDPプロトコルである中間バス通信について説明する。以下、中間バス通信を「Mバス通信」とも称する。Mバス通信には、アドレスを指定した通信とアドレスを指定しない一斉通信とがあり、中継器3と照明コントローラ4とはそれぞれ、固有のアドレスを有する。
【0055】
Mバス通信では、中継器3又は照明コントローラ4である送信元から、照明コントローラ4又は中継器3である送信先に要求コマンドが送信され、それに対し送信先から送信元に応答コマンドが送信される。
【0056】
要求コマンドを送信しても応答コマンドが伝送されない場合、要求コマンドの送信元は、要求コマンドを再送する。送信元が予め定められた回数再送しても応答コマンドが伝送されない場合、送信元は、応答なしエラーと判断する。なお、予め定められた再送回数は、適宜設定することができる数であり、送信元が中継器3である場合と照明コントローラ4である場合とで、異なる回数であってもよい。
【0057】
要求コマンドの送信元は、応答なしエラーが発生した場合、送信元である中継器3又は照明コントローラ4のメモリに、第4の通信エラーログまたは第3の通信エラーログとして格納される。格納される第3の又は第4の通信エラーログのデータには、応答なしエラーが発生した時刻、送信元アドレス、送信先アドレス、及び、要求コマンドの情報が含まれる。
【0058】
また、Mバス通信では、応答を待たずに次のコマンドが送信される可能性があるため、受信したコマンドは、一時バッファに蓄積され、先入れ先出しにて順次処理される。バッファからあふれたコマンドは廃棄される。このようなバッファあふれが発生した場合にも、通信エラーと判断される。バッファあふれによる通信エラーは、要求コマンドの送信先である照明コントローラ4又は中継器3のメモリに、第3の通信エラーログ又は第4の通信エラーログとして格納される。格納されるデータには、バッファあふれのエラーが発生した時刻、送信元アドレス、送信先アドレス、及び、廃棄したコマンドの情報が含まれる。ただし、格納する情報はこれに限られず、エラー発生時刻以外の格納情報は照明コントローラのメモリ量に応じて適宜決定すればよい。
【0059】
Mバス通信で発生するその他の通信エラーについても、第3の通信エラーログ又は第4の通信エラーログとして記録される。これらの通信エラーログには、同様に、エラーが発生した時刻、送信元アドレス、送信先アドレス、及び、要求コマンドの情報が含まれる。
【0060】
第1のLAN11を流れる操作器2と中継器3との間の通信については、第2のLAN12を流れる通信と同様であるから詳細な説明を省略する。第1のLAN11においても第2のLAN12を流れる通信と同様の通信エラーが発生する場合がある。発生したエラーは、第1の通信エラーログ又は第2の通信エラーログとして、操作器2又は中継器3のメモリに格納される。格納されるデータには、エラーが発生した時刻、送信元アドレス、送信先アドレス、及び、要求コマンドの情報が含まれる。なお、各通信エラーログは、指定されたメモリ容量を超えると、例えば、古いログから順に削除されるように構成されている。
【0061】
4.時刻の同期設定について
中継器3は、時刻同期コマンドにより、照明コントローラ4と時刻を同期させる。また、照明コントローラ4は、定期的に全ての端末器5への時刻同期コマンドを送信することにより、全ての端末器5の時刻を照明コントローラ4の時刻に合わせている。時刻同期コマンドの送信間隔は適宜設定することができるが、例えば、一日毎とすることができる。これにより、中継器3、照明コントローラ4、及び、端末器5の時刻は、一致している状態が確保されている。
【0062】
5.操作器2による通信エラーの収集について
図10は、通信エラー収集の通信シーケンスの一例を示す図である。
図10を用いて、まず、照明コントローラ4による第1の通信エラーログ収集について説明する。
図10のシーケンスのステップS1では、照明コントローラ4は、エラーログモニタ要求を端末器5に送信する。ステップS1の処理は、定期的に実行される。実行の間隔は、適宜設定すればよいが、例えば、1日毎又は1時間毎とすることができる。
【0063】
次に、ステップS2においてエラーログモニタ要求を受信した端末器5は、エラーログモニタ応答として、メモリに格納された第5の通信エラーログのうち、照明コントローラ4が指定した通し番号のエラーデータをエラー発生時刻情報付きで照明コントローラ4に送信する。エラーログモニタ応答を受信した照明コントローラ4は、受信した第5の通信エラーログを、照明コントローラ4のメモリに格納する。
【0064】
次に、操作器2による、第1の、第2の、及び、第3のエラーログ収集について、
図10を用いて説明する。上述したステップS1及びS2のシーケンスにより、照明コントローラ4には第1の通信エラーログが格納されている。また、照明コントローラ4は、Fバス通信の上り伝送信号受信時の通信エラーをエラー発生時刻情報付きで第2の通信エラーログとしてメモリに格納している。また、照明コントローラ4は、中継器3とのMバス通信で発生したエラーに関する情報を、エラー発生時刻情報付きで第3の通信エラーログとしてメモリに格納している。操作器2は、照明コントローラ4に格納されたこれら第1の~第3の通信エラーログを以下の手順で収集する。
【0065】
まず、ステップS3では、操作器2は、中継器3を介して照明コントローラ4に、エラーログモニタ要求を送信する。エラーログモニタコマンドは、要求パラメータの格納領域と、応答パラメータの格納領域とを備える。エラーログモニタコマンドは、要求コマンドと応答コマンドとで同一のコマンドを用いる。
【0066】
エラーログモニタ要求を受信した照明コントローラ4は、受信したエラーログモニタコマンドの要求パラメータ内のエラー通し番号を読み、該当するエラー通し番号の通信エラーデータをエラー発生時刻情報付きで応答パラメータ領域に格納する。照明コントローラ4は、中継器3を介して、操作器2にエラーログモニタ応答を送信する。この一連の通信シーケンスを繰り返すことにより、操作器2は、照明コントローラ4から第1の~第3の通信エラーログを、エラー発生時刻情報付きで収集することができる。
【0067】
同様にして、操作器2は、送信先アドレスを中継器3として、エラーログモニタ要求を送信する。エラーログモニタ要求を受信した中継器3は、中継器3のメモリに記録された第4の通信エラーログから、該当する通信エラーデータを、エラーログモニタ応答として送信する。この通信を繰り返すことにより、操作器2は、中継器3から第4の通信エラーを、エラー発生時刻情報付きで収集することができる。
【0068】
以上のシーケンスにより、操作器2は、照明制御システムにおける各機器間の通信で発生した通信エラーを、発生時刻情報付きで収集することができる。
【0069】
6.通信トラフィックの収集
図11は、第1のLAN11及び第2のLAN12の通信トラフィックを収集するシーケンスを示す図である。
図11を用いて、中継器3から第1のLAN11側(
図1のA点)、中継器3から第2のLAN12側(
図1のB点)、及び、照明コントローラ4から第2のLAN12側(
図1のC点)のそれぞれの通信トラフィックを収集する通信シーケンスを例に説明する。
【0070】
図11のステップS11において、操作器2は、第1のLAN11の通信トラフィックを要求するトラフィックモニタ要求を中継器3に送信する。トラフィックモニタ要求コマンドを受信した中継器3は、指定された通信トラフィックを応答する。なお、通信トラフィックの算出は、定期的に実施されている。具体的な算出周期は例えば1秒ごとである。また、一定周期のなかの複数回の通信トラフィックの平均を算出し、これを通信トラフィックとして応答してもよい。
【0071】
通信トラフィックは、以下の式(1)により算出される。
(LANを流れるパケット数)/(規定パケット数)×100% ・・・(1)
上記式(1)において、LANを流れるパケット数及び規定パケット数は、共に1秒当たり又は単位時間当たりのパケット数である。1秒当たりの規定パケット数は、例えば、80パケット/秒である。通信トラフィックをこのように規定することにより、通信トラフィックが100%を超えた場合を、通信トラフィックが多い目安とすることができる。なお、本システムでは80パケットを規定パケット数としたが、システムによって適宜変更してもよい。
【0072】
ステップS12において、中継器3は、計測した第1のLAN11側の通信トラフィックを、トラフィックモニタ応答として計測時刻情報付きで操作器2に送信する。
【0073】
ステップS13において、操作器2は、中継器3から第2のLAN12の分岐までの通信トラフィックを要求するトラフィックモニタ要求を中継器3に送信する。トラフィックモニタ要求を受信した中継器3は、指定された時間にその直前の通信トラフィックを応答し、ステップS14において、自己が収集した第2のLAN12の通信トラフィックを、通信トラフィックモニタ応答として計測時刻情報付きで操作器2に送信する。
【0074】
ステップS15において、操作器2は、第2のLAN12の照明コントローラ4側の通信トラフィックを要求するトラフィックモニタ要求を中継器3に送信する。トラフィックモニタ要求を受信した中継器3は、ステップS16において、受信したトラフィックモニタ要求コマンドを、照明コントローラ4に送信する。
【0075】
ステップS17において、トラフィックモニタ要求を受信した照明コントローラ4は、通信トラフィックを計測し、計測した照明コントローラ4から第2のLAN12側の通信トラフィックを、通信トラフィックモニタ応答として計測時刻情報付きで中継器3に送信する。ステップS18において、トラフィックモニタ応答を受信した中継器3は、受信したトラフィックモニタ応答を操作器2に送信する。
【0076】
このようにして、操作器2は、第1のLAN11及び第2のLAN12の通信トラフィックログを定期的に計測時刻情報付きで収集することができる。
【0077】
同様の手法により、照明コントローラ4は、端末器5に通信トラフィックモニタ要求を送信し、端末器5が計測した下り伝送信号の通信トラフィックを計測情報付きで取得する。また、照明コントローラ4は、上り伝送信号の通信トラフィックを計測し、計測時刻情報付きでメモリに格納する。そして、照明コントローラは、操作器2からの通信トラフィックモニタ要求に応じて、これらの通信トラフィック情報を計測時刻情報付きで操作器2に送信する。
【0078】
以上の処理により、操作器2は、第1のLAN11又は第2のLAN12上を流れる信号の通信エラーである第3の~第の5の通信エラーのログ、並びに通信線14上を流れる下り伝送信号の通信エラーである第1の通信エラーのログ、及び、通信線14上を流れる上り伝送信号の通信エラーである第2の通信エラーのログを、それぞれエラー発生時刻情報付きで定期的に収集することができると共に、各通信の通信トラフィックを計測時刻情報付きで収集することができる。
【0079】
操作器2が定期的に収集する通信トラフィックログ及び第1の~第5の通信エラーログは、広域ネットワーク13を介して遠隔端末21に定期的に送信される。遠隔端末21のユーザは、例えば、照明制御システム1のサービスプロバイダである。照明制御システム1のサービスプロバイダは、例えば、照明制御システム1の管理者とサービス保守契約を締結する等の手続きを行うことを条件として、操作器2が定期的に収集する情報が、広域ネットワーク13を介して、遠隔端末21に定期的に送信されるようにすることができる。これらの情報には、上述した、通信トラフィックログ及び第1の~第5の通信エラーログが含まれる。これにより、遠隔端末21のユーザは、照明制御システム1が設置された建物に行かずに、通信トラフィックのログ通信エラーログを解析することができる。
【0080】
図12に、上述のシーケンスにより収集された通信トラフィック及び通信エラーの時間推移データの一例を示す。
図12の例では、5:00付近のパケット数の急増後、10:00付近に通信エラーログが発生している。このような場合、個々の通信エラーログには、通信エラーを収集した端末器5のアドレスが付されているので、通信エラーログから、通信エラーを収集した端末器5を特定することができる。遠隔端末21のユーザであるサービスプロバイダ等は、例えば、特定した端末器5の通信線14の接続を確認することを照明制御システム1の管理者に提案してもよい。
【0081】
このような通信エラー及び通信トラフィックの変動は、例えば、1日又は時間単位で解析される。例えば、通信エラーが増加している場合、別途入手したテナント工事が行われた日時と照合し、テナント工事が通信エラーの契機になっていないか確認する。また、特定の端末で通信エラーが増加している場合、特定の端末の通信線14の接続不良を確認する。また、例えば、通信トラフィックが急に増加し、増加した状態のまま通信トラフィックが維持されていることが確認された場合、テナント工事による端末器5等の接続台数の増加等が考えられる。従って、通信トラフィックが急増し、急増した状態が維持されている場合には、通信トラフィックが増加した以降の通信エラーログを確認し、通信エラーが増加していないか確認する。また、操作器2から、端末送信要求チェックコマンド送信し、送信データがある端末機器の台数を確認する。その結果、端末台数の増加によって通信トラフィックの負荷が大きくなっていると判断される場合、サービスプロバイダ等は、照明コントローラ4の増設等によって、通信トラフィック負荷を分散させる等を検討又は提案する。
【0082】
また、上記の通信トラフィック及び通信エラーの解析は、上記のような解析をプログラムとして記録した解析手段を用いてもよい。また、解析手段として、AIシステムを搭載し、AIシステムにより解析を行う構成としてもよい。また、遠隔端末21により使用状況レポート及び点検ポイントを提案する構成としてもよい。
【0083】
なお、実施の形態1では、照明制御システム1が、LANによって接続された照明コントローラ4と中継器3と操作器2と、更に、インターネットを介して接続された遠隔端末21とを有する場合について説明した。しかし、この構成に限られない。その他の構成例を
図13~
図15に示す。
【0084】
図13の例は、照明コントローラ4が広域ネットワーク13を介して遠隔端末21に接続されている例である。この場合、照明コントローラ4が、操作器2としての機能を有する。この構成例では、照明コントローラ4は、通信線14を流れるFバス通信で発生した通信エラーをエラー発生時刻情報付きで収集するとともに、通信線14の通信トラフィックを計測時刻情報付きで収集する機能を有している。
【0085】
図14の例は、操作器2を有さず、中継器3が広域ネットワーク13を介して遠隔端末21に接続されている例である。この場合、中継器3が、操作器2としての機能を兼ねる。従って、中継器3は、第2のLAN12で発生した通信エラーのログ、及び、通信線14で発生したエラー情報であるの第1の及び第2の通信エラーログを、発生時刻情報付きで収集すると共に、第2のLAN12及び通信線14の通信トラフィックログを計測時刻データ付で収集する機能を有している。なお、照明コントローラ4を複数有する構成の場合には、中継器3は必須である。
【0086】
図15の例は、中継器3を有さず、操作器2と1又は2以上の照明コントローラ4とがLAN22を介して接続されている例である。この場合、操作器2が中継器3の機能を兼ねる。この場合にも、実施の形態1で説明したのと同様であるが、照明コントローラ4は、LAN22で発生した通信エラー及びエラー発生時刻情報を第6の通信エラーとして記録する。操作器2は、LAN22の通信で発生した通信エラー及び発生時刻情報を第7の通信エラーログとして記録する。また、操作器2は、照明コントローラ4にエラーログ要求を送信することで、照明コントローラ4から、第6の通信エラーログ及び通信線14の通信で発生した第4の及び第5の通信エラーログを、発生時刻データ付で収集する。また、同様に、LAN22及び通信線14の通信トラフィックを計測時刻情報付きで収集する。
【符号の説明】
【0087】
1 照明制御システム、 2 操作器、 3 中継器、 4 照明コントローラ、 5 端末器、 51 リレー制御端末器、 52 調光信号端末器、 53 照度センサユニット、 54 人感センサユニット、 55 照度センサ人感センサユニット、 56 画像センサユニット、 8 照明器具、 9 電流センサ、 10 電力測定システム、 13 広域ネットワーク、 14 通信線、 15 電源線、15-1 器具電源線、 16 調光信号線、 17 ブレーカ、 21 遠隔端末、 30 スタートビット領域、 31 アドレス領域、 32 コマンド領域、 33 データ領域、 34 チェックサム領域、 35 応答リターン領域