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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-26
(45)【発行日】2023-07-04
(54)【発明の名称】無人航空機、発射方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   B64D 1/18 20060101AFI20230627BHJP
   A01M 7/00 20060101ALI20230627BHJP
   A01M 29/12 20110101ALI20230627BHJP
   B05B 12/12 20060101ALI20230627BHJP
   B05B 12/14 20060101ALI20230627BHJP
   B05B 13/04 20060101ALI20230627BHJP
   B05B 17/00 20060101ALI20230627BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20230627BHJP
   B64D 47/08 20060101ALI20230627BHJP
   B64U 20/87 20230101ALI20230627BHJP
   F41G 1/46 20060101ALI20230627BHJP
   B64U 101/45 20230101ALN20230627BHJP
【FI】
B64D1/18
A01M7/00 S
A01M29/12
B05B12/12
B05B12/14
B05B13/04
B05B17/00 101
B64C39/02
B64D47/08
B64U20/87
F41G1/46
B64U101:45
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2019135211
(22)【出願日】2019-07-23
(65)【公開番号】P2021017188
(43)【公開日】2021-02-15
【審査請求日】2022-06-13
(73)【特許権者】
【識別番号】313005282
【氏名又は名称】東洋製罐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小南 敦嗣
(72)【発明者】
【氏名】荒木 宗司
【審査官】志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2018-0085099(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0154400(US,A1)
【文献】米国特許第10155587(US,B1)
【文献】特開2019-084868(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0053877(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第107902081(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 7/00
A01M 29/12
B05B 12/12
B05B 12/14
B05B 13/04
B05B 17/00
B64C 39/02
B64D 1/18
B64D 47/08
B64U 20/87
B64U 101/45
F41G 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体を検出する検出部と、
前記生体の検出結果に基づいて、前記生体の特定部位に照準を定める照準部と、
容器に収納された内容物を前記特定部位に対して発射する発射部と
それぞれ異なる内容物が収納された複数の容器と、
前記生体の検出結果に応じて使用する前記内容物を選択し、前記内容物を発射する容器を選択する選択部と
を備える無人航空機。
【請求項2】
生体を検出する検出部と、
前記生体の検出結果に基づいて、前記生体の部位から予め定められた特定部位に照準を定める照準部と、
前記照準を前記特定部位に合わせて、容器に収納された内容物を前記特定部位に対して発射する発射部と
を備える
無人航空機。
【請求項3】
それぞれ異なる内容物が収納された複数の容器と、
前記生体の検出結果に応じて使用する前記内容物を選択し、前記内容物を発射する容器を選択する選択部と
を備える
請求項2に記載の無人航空機。
【請求項4】
前記選択部は、発射した内容物に対する前記生体の反応に応じて、前記生体へ発射する内容物を切り替える
請求項1または3に記載の無人航空機。
【請求項5】
前記内容物は前記生体に対する忌避性能を有する
請求項4に記載の無人航空機。
【請求項6】
前記内容物は前記生体に対する誘引性能を有する
請求項4に記載の無人航空機。
【請求項7】
前記選択部は、前記生体へ発射する内容物の切り替えにおいて、性能を高めるように切り替える
請求項1、3から6のいずれか一項に記載の無人航空機。
【請求項8】
前記生体および前記内容物に関するデータを記憶する記憶部と、
記憶された前記データに基づいて、前記内容物の発射が可能か否かを判断する判断部と
を備える
請求項1から7のいずれか一項に記載の無人航空機。
【請求項9】
前記発射部の着弾予想位置を前記特定部位に合わせるための着弾制御部を備える
請求項1から8のいずれか一項に記載の無人航空機。
【請求項10】
前記発射部と連結された方向変更装置を備え、
前記着弾制御部は、前記方向変更装置を制御して、前記発射部の着弾予想位置を前記特定部位に合わせる
請求項に記載の無人航空機。
【請求項11】
前記発射部に設けられ、前記内容物を発射するノズルと、
前記ノズルと連結された方向変更装置と
を備え、
前記着弾制御部は、前記方向変更装置を制御して、前記発射部の着弾予想位置を前記特定部位に合わせる
請求項に記載の無人航空機。
【請求項12】
前記生体の検出用の第1カメラと、
前記無人航空機の操作用の第2カメラと
を備える
請求項1から11のいずれか一項に記載の無人航空機。
【請求項13】
前記内容物は、前記生体をマーキングするためのマーキング材料である
請求項1から12のいずれか一項に記載の無人航空機。
【請求項14】
前記発射部は、エアゾール容器または加圧タンクの少なくとも1つに接続される
請求項1から13のいずれか一項に記載の無人航空機。
【請求項15】
無人航空機を用いた内容物の発射方法であって、
生体を検出する段階と、
前記生体の検出結果に基づいて、前記生体への特定部位に照準を定める段階と
容器に収納された内容物を前記特定部位に対して発射する段階と
複数の内容物から前記生体の検出結果に応じた前記内容物を選択する段階と
を備える発射方法。
【請求項16】
無人航空機を用いた内容物の発射方法であって、
生体を検出する段階と、
前記生体の検出結果に基づいて、前記生体の部位から予め定められた特定部位に照準を定める段階と
前記照準を前記特定部位に合わせて、容器に収納された内容物を前記特定部位に対して発射する段階と
を備える発射方法。
【請求項17】
複数の内容物から前記生体の検出結果に応じた前記内容物を選択する段階を備える
請求項16に記載の発射方法。
【請求項18】
前記選択する段階は、発射した内容物に対する前記生体の反応に応じて、前記生体へ発射する内容物を切り替える段階を有する
請求項15または17に記載の発射方法。
【請求項19】
前記選択する段階は、前記生体へ発射する内容物の切り替えにおいて、性能を高めるように切り替える
請求項15、17または18のいずれか一項に記載の発射方法。
【請求項20】
前記生体および前記内容物に関するデータを記憶する段階と、
記憶された前記データに基づいて、前記内容物の発射が可能か否かを判断する段階と
を備える
請求項15から19のいずれか一項に記載の発射方法。
【請求項21】
前記内容物の着弾予想位置を前記特定部位に合わせる段階を備える
請求項15から20のいずれか一項に記載の発射方法。
【請求項22】
請求項15から21のいずれか一項に記載の発射方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人航空機、発射方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、害獣を駆除するための無人航空機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1 特開2018-68221号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の方法では、画像認識した害獣に対して、特定部位に照準を定めることができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様においては、生体を検出する検出部と、生体の検出結果に基づいて、生体の特定部位に照準を定める照準部と、容器に収納された内容物を特定部位に対して発射する発射部とを備える無人航空機を提供する。
【0005】
無人航空機は、生体および内容物に関するデータを記憶する記憶部を備えてよい。無人航空機は、記憶されたデータに基づいて、内容物の発射が可能か否かを判断する判断部を備えてよい。
【0006】
無人航空機は、発射部の着弾予想位置を特定部位に合わせるための着弾制御部を備えてよい。
【0007】
無人航空機は、発射部と連結された方向変更装置を備えてよい。着弾制御部は、方向変更装置を制御して、発射部の着弾予想位置を特定部位に合わせてよい。
【0008】
無人航空機は、発射部に設けられ、内容物を発射するノズルを備えてよい。無人航空機は、ノズルと連結された方向変更装置を備えてよい。着弾制御部は、方向変更装置を制御して、発射部の着弾予想位置を特定部位に合わせてよい。
【0009】
無人航空機は、生体の検出用の第1カメラを備えてよい。無人航空機は、無人航空機の操作用の第2カメラを備えてよい。
【0010】
無人航空機は、それぞれ異なる内容物が収納された複数の容器を備えてよい。無人航空機は、生体の検出結果に応じて使用する内容物を選択し、内容物を発射する容器を選択する選択部を備えてよい。
【0011】
選択部は、発射した内容物に対する生体の反応に応じて、生体へ発射する内容物を切り替えてよい。
【0012】
内容物は生体に対する忌避性能を有してよい。
【0013】
内容物は生体に対する誘引性能を有してよい。
【0014】
選択部は、生体へ発射する内容物の切り替えにおいて、性能を高めるように切り替えてよい。
【0015】
内容物は、生体をマーキングするためのマーキング材料であってよい。
【0016】
発射部は、エアゾール缶または加圧タンクの少なくとも1つに接続されてよい。
【0017】
本発明の第2の態様においては、無人航空機を用いた内容物の発射方法であって、生体を検出する段階と、生体の検出結果に基づいて、生体への特定部位に照準を定める段階と、容器に収納された内容物を特定部位に対して発射する段階とを備える発射方法を提供する。
【0018】
発射方法は、生体および内容物に関するデータを記憶する段階とを備えてよい。発射方法は、記憶されたデータに基づいて、内容物の発射が可能か否かを判断する段階を備えてよい。
【0019】
発射方法は、内容物の着弾予想位置を特定部位に合わせる段階を備えてよい。
【0020】
発射方法は、複数の内容物から生体の検出結果に応じた内容物を選択する段階を備えてよい。
【0021】
選択する段階は、発射した内容物に対する生体の反応に応じて、生体へ発射する内容物を切り替える段階を有してよい。
【0022】
選択する段階は、生体へ発射する内容物の切り替えにおいて、性能を高めるように切り替えてよい。
【0023】
本発明の第3の態様においては、本発明の第2の態様に記載の発射方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを提供する。
【0024】
なお、上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1A】無人航空機100の正面図の一例を示す。
図1B図1Aに係る無人航空機100の左側面図の一例を示す。
図2A】無人航空機100の正面図を示す他の例である。
図2B図2Aに係る無人航空機100の左側面図を示す。
図3】容器保持部40の構成の一例を示す。
図4】無人航空機100の操縦システム300の一例を示す。
図5A】無人航空機100の機能ブロックの一例を示す。
図5B】無人航空機100を用いた内容物の発射方法を示すフローチャートである。
図6A】表示部210の表示画面214の一例である。
図6B】表示部210の表示画面216の一例である。
図7A】操縦制御用のコントローラ230の一例を示す。
図7B】発射制御用のコントローラ240の一例を示す。
図7C】発射制御用のコントローラ240の一例を示す。
図7D】操縦制御用および発射制御用のコントローラ250の一例を示す。
図8A】生体600に対して内容物を発射する手順の一例を示す。
図8B】生体600に対して内容物を発射する手順の一例を示す。
図8C】生体600に対して内容物を発射する手順の一例を示す。
図9A】マーキング材料104の活用方法の一例である。
図9B】マーキング材料104の活用方法の一例である。
図10A】無人航空機100の正面図の一例を示す。
図10B図10Aに係る無人航空機100の左側面図の一例を示す。
図11】無人航空機100における発射装置500の一例を示す。
図12】本発明の複数の態様が全体的又は部分的に具現化されてよいコンピュータ2200の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0027】
図1Aは、無人航空機100の正面図の一例を示す。図1Bは、図1Aに係る無人航空機100の左側面図の一例を示す。
【0028】
無人航空機100は、空中を飛行する飛行体である。本例の無人航空機100は、本体部10と、推進部20と、可動カメラ30と、容器保持部40と、発射部50とを備える。なお、本明細書では、本体部10において、固定カメラ12が設けられた面を無人航空機100の正面と称するが、飛行方向が正面方向に限定されるものではない。
【0029】
本体部10は、無人航空機100の各種制御回路および電源等を格納する。また、本体部10は、無人航空機100の構成同士を連結する構造体として機能してよい。本例の本体部10は、推進部20に連結されている。本例の本体部10は、固定カメラ12を備える。
【0030】
固定カメラ12は、本体部10の側面に設けられる。固定カメラ12は、無人航空機100の正面を撮影する。一例において、固定カメラ12で撮影された映像は、利用者に送信される。無人航空機100の利用者は、固定カメラ12で撮影した映像に基づいて無人航空機100を操作してよい。
【0031】
推進部20は、無人航空機100を推進させる。推進部20は、回転翼21および回転駆動部22を有する。本例の無人航空機100は、4つの推進部20を備える。推進部20は、腕部24を介して本体部10に取り付けられている。
【0032】
推進部20は、回転翼21を回転させることにより推進力を得る。回転翼21は、本体部10を中心として4つ設けられているが、回転翼21の配置方法は本例に限られない。回転翼21は、腕部24の先端に回転駆動部22を介して設けられる。
【0033】
回転駆動部22は、モータ等の動力源を有し回転翼21を駆動させる。回転駆動部22は、回転翼21のブレーキ機構を有してよい。回転翼21および回転駆動部22は、腕部24を省略して本体部10に直接取り付けられてもよい。
【0034】
腕部24は、本体部10から放射状に延伸して設けられる。本例の無人航空機100は、4つの推進部20に対応して設けられた4つの腕部24を備える。腕部24は、固定式であっても可動式であってもよい。腕部24には、カメラ等の他の構成が固定されてよい。
【0035】
可動カメラ30は、無人航空機100の周囲の映像を撮影する。本例の可動カメラ30は、本体部10の下方に設けられる。一例において、下方とは、本体部10に対して回転翼21が設けられた側と反対側を指す。可動カメラ30は、本体部10に設けられた固定カメラ12と異なる領域の映像を撮影する。例えば、可動カメラ30は、発射部50からの発射を制御するために、固定カメラ12よりも狭い領域の映像を取得する。また、可動カメラ30は、固定カメラ12が進行方向を撮影している場合に、発射部50の発射方向の映像を撮影してよい。
【0036】
本例の無人航空機100が操縦用の固定カメラ12および発射制御用の可動カメラ30を備えることにより、利用者による操作が容易になる。即ち、操縦用の操作画面と発射制御用の操作画面を切り替える必要がないので、利用者の混乱を防止できる。また、発射制御しながら無人航空機100の周囲を容易に把握することができる。
【0037】
連結部32は、本体部10と可動カメラ30とを連結する。連結部32は、固定であっても可動であってもよい。連結部32は、可動カメラ30の位置を3軸方向に制御するためのジンバルであってよい。連結部32は、発射部50の発射方向に合わせて、可動カメラ30の向きを制御してよい。
【0038】
容器保持部40は、発射される内容物が充填された後述の容器150を保持する。容器保持部40は、方向変更装置52を介して本体部10に連結される。容器保持部40は、腕部24または脚部15等の本体部10以外の部材に連結されてもよい。一例において、容器保持部40は、容器150を収容する筒状のスリーブである。
【0039】
容器保持部40の材料は、容器150を収容する収容部の形状を保持することができるものであれば、特に限定されない。例えば、容器保持部40の材料は、アルミ等の金属、プラスチック、または炭素繊維等の強度の高い軽量の素材を含む。また、容器保持部40の材料は、硬質の材料に限らず、軟質の材料、例えば、シリコーンゴムまたはウレタンフォーム等のゴム材料を含んでもよい。なお、容器保持部40は、容器150を加熱または保温するための加熱機構を備えてよい。
【0040】
方向変更装置52は、本体部10と容器保持部40とを連結する。方向変更装置52は、容器保持部40の位置を3軸方向に制御するためのジンバルであってよい。一例において、方向変更装置52は、容器保持部40の位置を移動することにより、発射部50の発射方向を調整する。なお、方向変更装置52の規格を統一しておくことにより、容器150に合わせた任意の容器保持部40に交換することができる。これにより、サイズまたは種類の異なる容器150に対応できる。
【0041】
発射部50は、容器150と接続されて、内容物を発射する。発射部50は、発射口51およびノズル54を有する。発射部50は、ノズル54に流入した内容物を発射口51から発射する。発射口51の向きは、発射したい方向に応じて、自由に制御されてよい。
【0042】
内容物は、液体、気体または固体のいずれであってもよい。内容物は、粉状、粒状またはゲル状等の状態であってもよい。一例において、内容物は、生体に対する忌避性能を有して、生体を追い払うために用いられる。内容物は、生体に対する誘引性能を有して、生体を引き付けるために用いられてよい。内容物は、生体をマーキングするためのマーキング材料であってよい。内容物は、カプサイシン、レモン汁、塩水、ワサビエキス(アリルイソチオシアネート)、アンモニア、チオール、ミント、アリシン、硫化アリル、ジンジャー(ジンゲロール)、アルコール等の刺激物を含んでよく、温水または冷水を含んでよく、催涙ガスを含んでもよい。生体は、猿、猪、熊、鹿、鳥、爬虫類(トカゲ、ヘビ、ワニ)、両生類などであってよいが、これに限定されない。内容物の具体的な使用方法については後述する。
【0043】
容器150は、内容物を充填する容器である。一例において、容器150は、内部に充填された内容物を発射するエアゾール容器である。エアゾール容器は、内部に充填された液化ガスまたは圧縮ガスのガス圧によって、内容物を噴出する。本例の容器150は、金属製のエアゾール缶であるが、耐圧性を有するプラスチック容器であってもよい。容器150は、容器保持部40に収容された状態で搭載される。
【0044】
なお、噴射剤としては、炭化水素(液化石油ガス)(LPG)、ジメチルエーテル(DME)、フッ化炭化水素(HFO-1234ze)等の液化ガス、二酸化炭素(CO)、窒素(N)、亜酸化窒素(NO)等の圧縮ガスが用いられてよい。
【0045】
脚部15は、本体部10に連結されて、着陸時に無人航空機100の姿勢を保持する。脚部15は、姿勢保持部の一例である。姿勢保持部は、回転翼21を停止した状態で、無人航空機100の姿勢を保持する。本例の無人航空機100は、2本の脚部15を有する。複数の脚部15は、それぞれ異なる長さに伸びることにより傾斜地または凹凸のある面でも安定して無人航空機100の姿勢を保持できる。また、無人航空機100は、田畑等の植物に被害を与えない程度に、脚部15の長さを十分に伸ばしてよい。脚部15には、可動カメラ30または容器保持部40が取り付けられてもよい。
【0046】
図2Aは、無人航空機100の正面図を示す他の例である。図2Bは、図2Aに係る無人航空機100の左側面図を示す。本例の無人航空機100は、複数の容器保持部40を備える点で図1Aおよび図1Bの実施例と相違する。本例では、図1Aおよび図1Bの実施例と相違する点について、特に説明する。
【0047】
複数の容器保持部40は、それぞれ容器150を備える。複数の容器150は、同一の内容物を収容してもよいし、異なる内容物を収容してもよい。本例の無人航空機100は、3つの容器保持部40を備えるが、これに限定されない。複数の容器保持部40は、脚部15に取り付けられている。複数の容器保持部40は、同一の脚部15に取り付けられてもよいし、異なる脚部15に取り付けられてもよい。本例では、2つの容器保持部40が同一の脚部15に設けられ、残りの1つの容器保持部40が他方の脚部15に設けられている。
【0048】
発射部50は、複数の容器150に共通に設けられる。発射部50は、複数の容器150ごとに設けられてもよい。本例では、3つの容器150に対して3つの発射部50が設けられてよい。本例の発射部50は、方向変更装置52によって本体部10に連結されている。発射部50は、方向変更装置52によって位置が調整されてよい。本例の発射部50は、容器150から延伸して設けられた延伸部53により容器150と接続されている。
【0049】
方向変更装置52は、発射部50と連結されている。方向変更装置52は、ノズル54とも連結されており、発射部50の姿勢を制御することにより、ノズル54の方向を変更する。方向変更装置52が発射部50と連結することにより、発射方向を遠隔操作しやすくなる。
【0050】
延伸部53は、容器保持部40の容器150から発射部50まで延伸して設けられる。これにより、延伸部53は、発射部50を容器保持部40から離れた任意の位置に配置することができる。よって、無人航空機100のレイアウトの自由度が向上する。延伸部53は、容器保持部40の個数に応じた個数設けられてよい。本例の延伸部53は、3つの容器保持部40に対して1つずつ設けられている。発射部50は、時分割で複数の容器150からいずれかを選択して発射してもよいし、同時に複数の容器150から発射してもよい。
【0051】
図3は、容器保持部40の構成の一例を示す。図3は、容器保持部40の断面図を示している。容器保持部40は、容器150を保持する。本例の容器保持部40は、本体41と、第1端カバー部43と、第2端カバー部44とを備える。また、容器保持部40は、容器150からの発射を制御するための発射駆動部80を備える。
【0052】
本体41は、容器150を保持する。本体41は、容器150より大径の円筒状の形状を有する。本例の本体41は、第1端カバー部43および第2端カバー部44に挟まれている。
【0053】
第1端カバー部43は、本体41の一方の端部を覆う。本例の第1端カバー部43は、容器150の噴射側の端部を覆う。第1端カバー部43は、本体41に対してネジ部45を介して着脱可能にねじ込み固定される。本例の第1端カバー部43は、ドーム状のカバー本体を有する。第1端カバー部43は、空力特性を考慮して先端に向かって徐々に小径となるように縮径される。第1端カバー部43は、先端が丸みを帯びた円錐状またはドーム状の曲面を有する。このように空力特性のよい形状とすることにより、横風の影響が小さくなり、飛行の安定化を図ることができる。
【0054】
第2端カバー部44は、本体41において、第1端カバー部43が覆う端部の他方の端部を覆う。本例の第2端カバー部44は、容器150の噴射側と反対側の端部を覆う。第2端カバー部44は、本体41と一体に構成されている。また、第2端カバー部44は、本体41と取り外し可能に設けられてよい。
【0055】
発射駆動部80は、容器150から内容物を発射させる。発射駆動部80は、容器150の底部側に位置する第2端カバー部44に収納されている。第2端カバー部44は、発射駆動部80の筐体として機能している。発射駆動部80は、カム81と、カムフォロワ82と、可動板83とを備える。発射駆動部80が容器保持部40に設けられているので、容器150の交換時に発射駆動部80を交換する必要がない。
【0056】
カム81は、駆動源によって回転駆動される。一例において、駆動源としてモータが用いられる。カム81は、回転中心から外周までの距離が異なる構造を有する。なお、図示例では、カム81の形状が誇張されている。カム81は、外周において、カムフォロワ82と接触している。
【0057】
カムフォロワ82は、カム81と可動板83との間に設けられる。カムフォロワ82は、カム81および可動板83に接続され、カム81の回転運動を可動板83に直線運動として伝達する。
【0058】
可動板83は、容器150の底面と接して設けられ、容器150のバルブの開閉を制御する。可動板83は、カムフォロワ82によって前後に移動する。例えば、カム81の回転中心と、カムフォロワ82が当接するカム81の接触領域との距離が短い場合、可動板83が容器150に対して後退し、容器150のバルブが閉じる。一方、カム81の回転中心と、カムフォロワ82が当接するカム81の接触領域との距離が長い場合、可動板83が容器150に対して前進し、容器150のバルブが開く。
【0059】
なお、発射駆動部80は、モータの回転運動をカム機構によって直線運動に変換する構成を有するが、カム機構に限定されない。例えば、発射駆動部80の機構は、ねじ送り機構、ラックアンドピニオン等、モータの回転運動を直線運動に変換する機構であればよい。また、駆動源としては、回転モータではなく、直線駆動用のリニアモータ、または電磁ソレノイド等を備えてよい。
【0060】
ステム145は、容器150に設けられる。ステム145がアクチュエータ143によって押圧されることにより、容器150から内容物を発射する。アクチュエータ143は、発射方向および発射形態に応じた流路を有する。一例において、アクチュエータ143は、内容物を霧状にして発射する。
【0061】
なお、本例では、容器150が容器保持部40に直接搭載されているが、容器150が収容部材によって収容され、収容部材を容器保持部40に搭載してもよい。収容部材が衝撃から容器150を保護するので事故時の安全性が高まる。
【0062】
本例の容器150は、エアゾール容器であるので、容器150が空になった場合であっても新たな容器150を搭載するだけで、容易に交換することができる。また、内容物が人体に付着しにくく交換時の安全性が高い。
【0063】
図4は、無人航空機100の操縦システム300の一例を示す。本例の操縦システム300は、無人航空機100および端末装置200を備える。端末装置200は、表示部210およびコントローラ220を含む。
【0064】
表示部210は、無人航空機100に搭載されたカメラで撮影した映像を表示する。表示部210は、固定カメラ12および可動カメラ30のそれぞれで撮影した映像を表示してよい。例えば、表示部210は、固定カメラ12および可動カメラ30の映像を分割した画面で表示する。表示部210は、無人航空機100と直接通信してもよいし、コントローラ220を介して間接的に無人航空機100と通信してもよい。表示部210は、外部のサーバと接続されてもよい。
【0065】
コントローラ220は、利用者によって操作され、無人航空機100を操縦する。コントローラ220は、無人航空機100の飛行に加えて、発射部50による内容物の発射を指示してもよい。コントローラ220は、有線または無線により表示部210と接続されてよい。複数のコントローラ220が設けられ、無人航空機100の操縦用と、発射部50の発射制御用で使い分けてもよい。
【0066】
なお、本例の利用者は、端末装置200を用いて手動で無人航空機100を操縦する。但し、利用者は、手動ではなく、プログラムによって自動で操縦してもよい。また、利用者は、表示部210に表示された画面を使用せず、直接、無人航空機100を見て操縦してもよい。また、無人航空機100の操縦を自動制御して、発射部50の発射を手動で操作してもよい。
【0067】
図5Aは、無人航空機100の機能ブロックの一例を示す。無人航空機100は、検出部35と、選択部37と、発射部50と、照準部60と、着弾制御部70と、判断部90と、記憶部95とを備える。
【0068】
検出部35は、生体を検出する。生体については後述する。一例において、検出部35は、固定カメラ12または可動カメラ30である。可動カメラ30は、生体の検出用の第1カメラの一例である。固定カメラ12は、無人航空機100の操作用の第2カメラの一例である。また、生体の検出用の第1カメラは赤外線カメラでもよい。また、カメラの撮像画像データを機械学習による判断プログラムで処理することで生体を検出してもよい。
【0069】
選択部37は、生体の検出結果に応じて使用する内容物を選択し、当該内容物を発射する容器150を選択する。選択部37は、発射した内容物に対する生体の反応に応じて、生体へ発射する内容物を切り替えてよい。選択部37は、生体へ発射する内容物の切り替えにおいて、性能を高めるように切り替えてよい。性能を高めるとは、一例として、内容物の濃度、効果、刺激度等のより強い内容物を選択することを指す。
【0070】
照準部60は、生体の検出結果に基づいて、生体の特定部位に照準を定める。照準部60は、検出部35が検出した生体の画像を取得する。照準部60は、生体を画像認識して、生体の部位から予め定められた特定部位に照準を定める。例えば、移動する生体において、生体の進行方向の端部を検知することで、頭部を特定する。
【0071】
生体の特定部位とは、内容物を発射して、内容物を着弾させる対象となる生体の部位を指す。着弾とは、発射部50から発射された内容物が特定部位に到着したことを指す。例えば、生体の特定部位は、鼻、目、足、胴体または尻などである。生体の特定部位は、発射する状況、生体の習性または内容物に応じて選択されてよい。一例において、無人航空機100は、生体の尻に向けて発射することにより、生体は高い確率で頭部方向へ逃走するため、遠ざける方向に指向性を持たせることができ、安全に追い払うことができる。また、無人航空機100は、生体の急所を狙い発射して、より効果的な発射を実現できる。
【0072】
着弾制御部70は、発射部50の着弾予想位置を生体の特定部位に合わせる。例えば、着弾制御部70は、方向変更装置52を制御して、発射部50の着弾予想位置を特定部位に合わせる。着弾制御部70は、内容物の性質または風の影響等に応じて、発射部50の姿勢を制御してもよい。
【0073】
記憶部95は、生体および内容物に関するデータを記憶する。例えば、記憶部95は、発射対象となる生体の特徴を記憶する。記憶部95は、内容物の発射可能な領域であるか否かを示す発射許可情報を記憶してよい。
【0074】
判断部90は、記憶部95に記憶されたデータに基づいて、内容物の発射が可能か否かを判断する。例えば、判断部90は、特定された生体が発射対象であるか否か、生体の特定部位が十分に露出しているか否か等に基づいて発射の可否を判断する。判断部90は、GPSで取得された無人航空機100の位置情報に基づいて、内容物の発射が可能な地域であるか否かに基づいて発射の可否を判断してもよい。
【0075】
発射部50は、内容物を特定部位に対して発射する。本例の発射部50は、生体の特定部位に照準を合わせて、適切なタイミングで発射することができる。これにより、無駄な発射が抑制される。なお、無人航空機100の発射機構は、内容物を特定部位に対して発射できるものであればよく、エアゾール缶を用いた発射機構であっても、後述するタンク加圧方式による発射機構であってもよい。
【0076】
図5Bは、無人航空機100を用いた内容物の発射方法を示すフローチャートである。本例の発射方法は一例であり、これに限定されない。
【0077】
ステップS100において、生体を検出する。ステップS100は、誘引性能を有する内容物で生体を誘い出して、生体を検出する段階を有してもよい。例えば、餌を撒いて生体を誘い出す。
【0078】
ステップS102において、生体の検出結果に基づいて、生体の特定部位に照準を定める。生体の特定部位は、予め記憶されたデータに基づいて判断されてよい。
【0079】
ステップS104において、内容物を特定部位に対して発射する。内容物の発射の後に、生体の反応に応じて、異なる内容物を発射する段階をさらに備えてもよい。
【0080】
図6Aは、表示部210の表示画面214の一例である。表示画面214は、固定カメラ12が撮影した無人航空機100の周囲の映像を表示した操縦画面である。表示画面214は、無人航空機100の高度、水平方向の速度、鉛直方向の速度およびバッテリ残量を表示している。中央位置212は、表示画面214の中央を示しており、固定カメラ12の中央位置に対応する。
【0081】
表示画面214は、固定カメラ12でされた無人航空機100の進行方向を表示している。表示画面214により無人航空機100の周囲の状況を把握できる。本例の表示画面214には、ヘリコプターである飛行体700が映し出されており、操縦者は周囲の接近物に注意できる。無人航空機100は、表示部210に映し出された映像に基づいて自動で飛行経路を制御してもよいし、利用者によって手動で操縦されてもよい。
【0082】
図6Bは、表示部210の表示画面216の一例である。表示画面216は、可動カメラ30で取得した映像を用いた発射制御画面である。表示画面216は、発射部50の発射方向の映像を表示している。本例の表示画面216は、発射対象である生体600を表示している。本例の可動カメラ30は、生体600aを猪であると認識して、生体600bを猿であると認識している。
【0083】
図7Aは、操縦制御用のコントローラ230の一例を示す。無人航空機100の飛行は、コントローラ230により遠隔操作される。コントローラ230は、制御スティック231と、アンテナ232と、電源ボタン233と、リターンボタン234と、離陸ボタン235とを備える。
【0084】
制御スティック231は、無人航空機100の飛行を制御する。本例のコントローラ230は、2つの制御スティック231aおよび制御スティック231bを有する。例えば、制御スティック231は、無人航空機100のスロットル、エレベータ、ラダーおよびエルロンを制御するために用いられる。
【0085】
アンテナ232は、無人航空機100と通信するために用いられる。本例のコントローラ230は、2本のアンテナ232を備える。アンテナ232は、表示部210または外部のコンピュータとの通信に用いられてもよい。
【0086】
電源ボタン233は、無人航空機100の電源のオンオフを切り替えるためのボタンである。リターンボタン234は、無人航空機100を予め定められたホーム位置に帰還させるためのボタンである。離陸ボタン235は、無人航空機100の離陸を開始させるためのボタンである。これらのボタンは一例であり、機能が追加または省略されてもよい。
【0087】
図7Bは、発射制御用のコントローラ240の一例を示す。本例のコントローラ240は、発射制御用のコントローラであり、無人航空機100の操縦は他のコントローラにより操縦されてよい。コントローラ230およびコントローラ240を2人で分担して使用してよい。また、無人航空機100の操縦を自動で行い、発射制御を手動で行ってよい。逆に、無人航空機100の操縦を手動で行い、発射制御を自動で行ってもよい。
【0088】
コントローラ240は、アンテナ232と、カメラ操作スティック236と、第1発射ボタン241と、第2発射ボタン242と、第3発射ボタン243とを備える。発射ボタンの個数および機能は本例に限られない。
【0089】
カメラ操作スティック236は、無人航空機100が搭載した検出部35の撮影位置を制御する。例えば、カメラ操作スティック236は、可動カメラ30の姿勢を制御して、発射対象に照準を合わせるために用いられる。
【0090】
第1発射ボタン241~第3発射ボタン243には、それぞれ異なる内容物が割り当てられている。第1発射ボタン241を押すことにより、水などの無害な内容物が発射される。第2発射ボタン242を押すことにより、マーキングするためのペイント材料が発射される。第3発射ボタン243を押すことにより、カプサイシンなどの刺激物が発射される。
【0091】
図7Cは、発射制御用のコントローラ240の一例を示す。コントローラ240は、アンテナ232と、カメラ操作スティック236と、選択ダイヤル244と、発射ボタン245とを備える。本例のコントローラ240は、内容物を選択ダイヤル244で選択する点で図7Bと相違する。本例では、図7Bと相違する点について特に説明する。
【0092】
選択ダイヤル244は、発射部50から発射する内容物を選択する。本例の選択ダイヤル244は、内容物として、水、ペイントまたはカプサイシンを選択する。また、選択ダイヤル244は、セーフ状態を選択できる。セーフ状態では、発射部50からの発射を禁止して、内容物の誤射を回避する。発射の禁止は、電子的な制御によって発射を禁止するソフトロックであっても、機械的な制御によって発射を禁止するハードロックであってもよい。
【0093】
発射ボタン245は、発射制御用のボタンである。発射ボタン245を押すことにより、選択ダイヤル244で選択された内容物が発射される。発射ボタン245を離すと、内容物の発射が停止する。
【0094】
図7Dは、操縦制御用および発射制御用のコントローラ250の一例を示す。本例のコントローラ220は、制御スティック231と、アンテナ232と、カメラ操作スティック236と、第1発射ボタン241と、第2発射ボタン242と、第3発射ボタン243とを備える。本例のコントローラ250は、操縦制御および発射制御の両方のコントローラを兼用しており、一人で操縦できる。
【0095】
図8Aは、生体600に対して内容物を発射する手順の一例を示す。本例の無人航空機100は、内容物101を生体600に発射している。無人航空機100は、内容物101として水を生体600に発射している。このように、無害な内容物であっても、生体600を驚かせて追い払うことができる。無害な内容物を用いれば、誤射した場合の安全性が高い。
【0096】
図8Bは、生体600に対して内容物を発射する手順の一例を示す。図8Bは、図8Aで示した例の後に、生体600が内容物101の発射に慣れてしまい、追い払うことができなくなった状況を示している。このように、生体600は、内容物101が無害であることを学習する場合がある。この場合、選択部37は、より忌避性能の高い内容物を選択してよい。
【0097】
図8Cは、生体600に対して内容物を発射する手順の一例を示す。図8Cは、図8Bで示した例の後に、別の内容物を選択して生体600を追い払う状況を示している。本例の生体600は、内容物101が無害であることを学習していたものの、内容物101よりも刺激性の強い内容物103が発射されて逃げている。
【0098】
本例の無人航空機100は、初めに安全な内容物101を発射することにより、誤射による被害を回避することができる。一方で、生体600が学習して内容物101の効果がなくなった場合に、異なる内容物103を選択して発射することができる。このように、無人航空機100は、安全で効果的な発射を実現できる。
【0099】
また、無人航空機100は、誘引性能を有する内容物を発射して生体600を誘い出した後に、マーキング材料または忌避性能を有する内容物を発射してもよい。生体600を誘い出すことにより、生体600への命中率が向上する。
【0100】
図9Aは、マーキング材料104の活用方法の一例である。本例では、狩猟対象である生体600にマーキング材料104を発射している。
【0101】
マーキング材料104は、一例において、生体600を着色するための蛍光塗料である。マーキング材料104は、生体600の足跡を付ける材料であっても、においを付ける材料であってもよい。例えば、マーキング材料104で生体600を着色すると、夜間でも狩猟者800が生体600を発見しやすくなる。本例では、生体600の胴体にマーキング材料104が付着している。
【0102】
図9Bは、マーキング材料104の活用方法の一例である。本例では、生体600をマーキングすることにより、捕獲した生体600を過去の発射データから特定して、捕獲した生体600の個体を認証できる。例えば、無人航空機100は、生体600にマーキングした内容物の内容、発射した地域、または発射した時間等の内容を記憶しておく。生体600の捕獲後に、生体600に塗布されたマーキング材料104を、データベースから検索することにより、生体600の生態、出没位置等の情報を取得することができる。
【0103】
図10Aは、無人航空機100の正面図の一例を示す。図10Bは、図10Aに係る無人航空機100の左側面図の一例を示す。本例の無人航空機100は、支持フレーム42および発射装置500を備える。
【0104】
支持フレーム42は、本体部10と発射装置500とを連結する。支持フレーム42は、固定であっても可動であってもよい。支持フレーム42は、発射装置500の位置を3軸方向に制御するためのジンバルであってよい。一例において、支持フレーム42は、発射装置500の位置を移動することにより、発射装置500の発射方向を調整する。支持フレーム42は、図10Aおよび図10Bに示すように発射装置500の保持容器510(後述)と脚部15とを連結してもよいが、発射装置500の他の部分と無人航空機100の他の部分とを連結してもよい。また、図1Aおよび図1Bに示すように、支持フレーム42によって発射装置500の保持容器510を無人航空機100の脚部15と連結するのに加えて、発射装置500の加圧部520(後述)が脚部15に直接取り付けられてもよい。また、支持フレーム42を固定とし、発射装置500の発射部50を可動とすることで、発射装置500の発射方向を調整してもよい。
【0105】
図11は、無人航空機100における発射装置500の一例を示す。
【0106】
発射装置500は、発射部50、保持容器510、加圧部520、内圧検知部540、および制御部550を備える。保持容器510は、第1接続部522により加圧部520と接続され、第2接続部532により発射部50と接続される。第1接続部522は、保持容器510と加圧部520との間に第1切替部524を有し、第2接続部532は、保持容器510と発射部50との間に第2切替部534を有する。第1切替部524および第2切替部534は、例えば電磁弁である。第1切替部524、第2切替部534、および内圧検知部540は、導線等の制御線を介して制御部550に電気的に接続される。
【0107】
保持容器510は、発射装置500から発射するための内容物を保持する。保持容器510は、加圧タンクの一例である。保持容器510は、例えば金属または繊維強化プラスチック等の複合材料から作製され、加圧部520による加圧によって破損しない耐圧性を有する。保持容器510は、内容物を補充するための保持容器注入口517および保持容器注入口517を閉じるための保持容器キャップ518を有する。
【0108】
加圧部520は、エアゾール容器により保持容器510の内部に充填物を噴射して、保持容器510を加圧する。加圧部520は、図3で示した容器保持部40と同様の原理で駆動してよい。
【0109】
加圧部520によって噴射された充填物は、第1接続部522を通して保持容器510の内部に供給され、保持容器510を加圧する。この加圧によって保持容器510の内容物が押し出され、第2接続部532を通して発射部50から外部に発射される。
【0110】
第1切替部524は、制御部550からの電気的信号に応じて開閉することで、保持容器510と加圧部520とを連通させるか否かを切り替える。
【0111】
同様に、第2切替部534は、制御部550からの電気的信号に応じて開閉することで、保持容器510と発射部50とを連通させるか否かを切り替える。
【0112】
内圧検知部540は、保持容器510の内圧を検知し、検知した保持容器510の内圧を制御部550に出力する。
【0113】
制御部550は、内圧検知部540の検知結果に応じて、第1切替部524の動作を制御してよい。例えば、保持容器510の内容物の残量が減少して、保持容器510の内圧が予め定められた下限閾値を下回った場合に、制御部550が第1切替部524を開いて保持容器510と加圧部520とを連通させ、加圧部520による加圧を行ってよい。なおここで、加圧部520が保持容器510を加圧するために充填物を噴射する動作は、第1切替部524を開く前に行ってもよく、第1切替部524を開いた後に行ってもよい。そして、加圧部520による加圧によって保持容器510の内圧が予め定められた上限閾値を上回った場合に、制御部550が第1切替部524を閉じて加圧部520による加圧を停止してよい。
【0114】
保持容器510の内容物を発射部50から発射させる必要があるときに、制御部550が第2切替部534を開いて保持容器510と発射部50とを連通させ、発射部50からの発射を行ってよい。このとき、保持容器510の内圧が十分に高ければ、保持容器510の内容物が発射部50から発射される。
【0115】
保持容器510と第1接続部522の接続位置は保持容器510と第2接続部532の接続位置よりも上方側に設けられてよい。図11に示す例では、第1接続部522が保持容器510の上面に設けられる。これにより、第1接続部522が保持容器510の内容物に触れず、第1接続部522が内容物により汚染されることを防ぐことができる。
【0116】
図12は、本発明の複数の態様が全体的又は部分的に具現化されてよいコンピュータ2200の例を示す。コンピュータ2200にインストールされたプログラムは、コンピュータ2200に、本発明の実施形態に係る装置に関連付けられる操作又は当該装置の1又は複数のセクションとして機能させることができ、又は当該操作又は当該1又は複数のセクションを実行させることができ、及び/又はコンピュータ2200に、本発明の実施形態に係るプロセス又は当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ2200に、本明細書に記載のフローチャート及びブロック図のブロックのうちのいくつか又はすべてに関連付けられた特定の操作を実行させるべく、CPU2212によって実行されてよい。
【0117】
本実施形態によるコンピュータ2200は、CPU2212、RAM2214、グラフィックコントローラ2216、及びディスプレイデバイス2218を含み、それらはホストコントローラ2210によって相互に接続されている。コンピュータ2200はまた、通信インタフェース2222、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROMドライブ2226、及びICカードドライブのような入/出力ユニットを含み、それらは入/出力コントローラ2220を介してホストコントローラ2210に接続されている。コンピュータはまた、ROM2230及びキーボード2242のようなレガシの入/出力ユニットを含み、それらは入/出力チップ2240を介して入/出力コントローラ2220に接続されている。
【0118】
CPU2212は、ROM2230及びRAM2214内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。グラフィックコントローラ2216は、RAM2214内に提供されるフレームバッファ等又はそれ自体の中にCPU2212によって生成されたイメージデータを取得し、イメージデータがディスプレイデバイス2218上に表示されるようにする。
【0119】
通信インタフェース2222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。ハードディスクドライブ2224は、コンピュータ2200内のCPU2212によって使用されるプログラム及びデータを格納する。DVD-ROMドライブ2226は、プログラム又はデータをDVD-ROM2201から読み取り、ハードディスクドライブ2224にRAM2214を介してプログラム又はデータを提供する。ICカードドライブは、プログラム及びデータをICカードから読み取り、及び/又はプログラム及びデータをICカードに書き込む。
【0120】
ROM2230はその中に、アクティブ化時にコンピュータ2200によって実行されるブートプログラム等、及び/又はコンピュータ2200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。入/出力チップ2240はまた、様々な入/出力ユニットをパラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入/出力コントローラ2220に接続してよい。
【0121】
プログラムが、DVD-ROM2201又はICカードのようなコンピュータ可読媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読媒体から読み取られ、コンピュータ可読媒体の例でもあるハードディスクドライブ2224、RAM2214、又はROM2230にインストールされ、CPU2212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ2200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置又は方法が、コンピュータ2200の使用に従い情報の操作又は処理を実現することによって構成されてよい。
【0122】
例えば、通信がコンピュータ2200及び外部デバイス間で実行される場合、CPU2212は、RAM2214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インタフェース2222に対し、通信処理を命令してよい。通信インタフェース2222は、CPU2212の制御下、RAM2214、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROM2201、又はICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ処理領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、又はネットワークから受信された受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ処理領域等に書き込む。
【0123】
また、CPU2212は、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROMドライブ2226(DVD-ROM2201)、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイル又はデータベースの全部又は必要な部分がRAM2214に読み取られるようにし、RAM2214上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU2212は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックする。
【0124】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、及びデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理を受けてよい。CPU2212は、RAM2214から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプの操作、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM2214に対しライトバックする。また、CPU2212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU2212は、第1の属性の属性値が指定される、条件に一致するエントリを当該複数のエントリの中から検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0125】
上で説明したプログラム又はソフトウェアモジュールは、コンピュータ2200上又はコンピュータ2200近傍のコンピュータ可読媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワーク又はインターネットに接続されたサーバーシステム内に提供されるハードディスク又はRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読媒体として使用可能であり、それによりプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ2200に提供する。
【0126】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0127】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0128】
10・・・本体部、12・・・固定カメラ、15・・・脚部、20・・・推進部、21・・・回転翼、22・・・回転駆動部、24・・・腕部、30・・・可動カメラ、32・・・連結部、35・・・検出部、37・・・選択部、40・・・容器保持部、41・・・本体、42・・・支持フレーム、43・・・第1端カバー部、44・・・第2端カバー部、45・・・ネジ部、50・・・発射部、51・・・発射口、52・・・方向変更装置、53・・・延伸部、54・・・ノズル、60・・・照準部、70・・・着弾制御部、80・・・発射駆動部、81・・・カム、82・・・カムフォロワ、83・・・可動板、90・・・判断部、95・・・記憶部、100・・・無人航空機、101・・・内容物、103・・・内容物、104・・・マーキング材料、143・・・アクチュエータ、145・・・ステム、150・・・容器、200・・・端末装置、210・・・表示部、212・・・中央位置、214・・・表示画面、216・・・表示画面、220・・・コントローラ、230・・・コントローラ、231・・・制御スティック、232・・・アンテナ、233・・・電源ボタン、234・・・リターンボタン、235・・・離陸ボタン、236・・・カメラ操作スティック、240・・・コントローラ、241・・・第1発射ボタン、242・・・第2発射ボタン、243・・・第3発射ボタン、244・・・選択ダイヤル、245・・・発射ボタン、250・・・コントローラ、300・・・操縦システム、500・・・発射装置、510・・・保持容器、517・・・保持容器注入口、518・・・保持容器キャップ、520・・・加圧部、522・・・第1接続部、524・・・第1切替部、532・・・第2接続部、534・・・第2切替部、540・・・内圧検知部、550・・・制御部、600・・・生体、700・・・飛行体、800・・・狩猟者、2200・・・コンピュータ、2201・・・ROM、2210・・・ホストコントローラ、2212・・・CPU、2214・・・RAM、2216・・・グラフィックコントローラ、2218・・・ディスプレイデバイス、2220・・・出力コントローラ、2222・・・通信インタフェース、2224・・・ハードディスクドライブ、2226・・・ROMドライブ、2230・・・ROM、2240・・・出力チップ、2242・・・キーボード
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B
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図9A
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図10A
図10B
図11
図12