(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-26
(45)【発行日】2023-07-04
(54)【発明の名称】車載器、音声情報出力方法及び音声情報出力プログラム
(51)【国際特許分類】
G01C 21/36 20060101AFI20230627BHJP
【FI】
G01C21/36
(21)【出願番号】P 2019139332
(22)【出願日】2019-07-30
【審査請求日】2022-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(72)【発明者】
【氏名】木村 尚人
【審査官】佐々木 佳祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-361299(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00-25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された音声出力部と、
前記車両の走行に関連して発生し
、前記音声出力部から出力される音声情報が、
前記車両が走行する経路上のガイド地点である出力地点が規定された情報であるか否かを判定する判定部と、
前記音声出力部から出力される再生中の楽曲の曲間が到来する時点を検出する曲間検出部と、
前記出力地点が規定された情報でないと前記判定部が判定した前記音声情報に対して規定されている前記音声情報の出力時点が、前記曲間以外の時点に到来する場合に、前記出力時点を前記曲間の到来時点に変更する出力制御部と、
を備える車載器。
【請求項2】
前記出力制御部は、前記出力時点と前記到来時点との時間差が閾値以下の長さである場合に、前記出力時点を前記到来時点に変更させ、前記時間差が前記閾値を超える長さである場合は、前記音声出力部から前記音声情報を前記出力時点において出力させる請求項1記載の車載器。
【請求項3】
前記出力制御部は、前記出力時点と前記到来時点との時間差に応じて
前記出力時点の前記音声情報の内容を補正する請求項1又は2に記載の車載器。
【請求項4】
前記出力制御部は、前記出力地点が規定された情報であると前記判定部が判定した前記音声情報の前記出力地点に、前記車両が前記楽曲の再生中に到達すると、前記出力地点が規定された前記音声情報を前記音声出力部から出力させる請求項1~3のいずれか1項に記載の車載器。
【請求項5】
前記出力制御部は、前記出力地点又は前記出力時点において前記車両が前記楽曲の非再生中である場合に、前記音声出力部から前記音声情報を前記出力地点又は前記出力時点において出力させる請求項1~4のいずれか1項に記載の車載器。
【請求項6】
前記車両の現在位置から目的地までの経路を探索するナビゲーション部をさらに備えており、前記判定部は、前記ナビゲーション部が探索した前記経路上のガイド地点において今後の進路を案内する音声情報を、前記出力地点が規定された情報であると判定する請求項1~5のいずれか1項に記載の車載器。
【請求項7】
前記車両において前記楽曲を再生する楽曲再生部をさらに備えており、前記曲間検出部は、前記楽曲再生部が再生して前記音声出力部から出力される前記楽曲の前記到来時点を検出する請求項1~6のいずれか1項に記載の車載器。
【請求項8】
車両の走行に関連して発生し音声出力部から出力される音声情報が、
前記車両が走行する経路上のガイド地点である出力地点が規定された情報であるか否かを
、コンピュータが判定する判定ステップと、
前記音声出力部から出力される再生中の楽曲の曲間が到来する時点を
、前記コンピュータが検出する曲間検出ステップと、
前記出力地点が規定された情報でないと判定した前記音声情報に対して規定されている前記音声情報の出力時点が、前記曲間以外の時点に到来する場合に、
前記コンピュータが、前記出力時点を前記曲間の到来時点に変更する出力制御ステップと、
を含む音声情報出力方法。
【請求項9】
コンピュータに、
車両の走行に関連して発生し音声出力部から出力される音声情報が、
前記車両が走行する経路上のガイド地点である出力地点が規定された情報であるか否かを判定する判定ステップと、
前記音声出力部から出力される再生中の楽曲の曲間が到来する時点を検出する曲間検出ステップと、
前記出力地点が規定された情報でないと判定した前記音声情報に対して規定されている前記音声情報の出力時点が、前記曲間以外の時点に到来する場合に、前記出力時点を前記曲間の到来時点に変更する出力制御ステップと、
を実行させるための音声情報出力プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の走行に伴って発生した音声情報と再生された楽曲とを音声出力部から出力する車両の車載器、音声情報出力方法及び音声情報出力プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載される装置として、オーディオ装置と連係して動作するナビゲーション装置が知られている。その一例に係るナビゲーション装置では、オーディオ装置で再生中の楽曲が曲間となる時点で車両が走行する地点を予測する。そして、音声案内を行う走行経路上の案内ポイントが予測地点の周辺にある場合には、その案内ポイントを予測地点に移動させる。この移動により、案内ポイントの音声案内が楽曲の曲間に実行されやすくなる(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
再生中の楽曲が曲間となる時点の車両の走行地点を予測するには、楽曲が曲間となるまでの所要時間の他に、車両の走行速度及び現在位置が必要となる。特に、車両の走行速度は走行中の道路条件又はその他の条件によって将来変わる可能性がある。したがって、案内ポイントの音声案内を再生中の楽曲の曲間に精度良く実行させるには、車両の走行速度の変化に追従した走行地点の予測が欠かせない。このような走行地点の予測には、単なる音声案内の出力に比べて大量の演算処理が必要となる。
【0005】
本発明の目的は、大量の演算処理を行わなくても、車両の走行に伴って発生した音声情報が再生中の楽曲の曲間に出力されやすくなるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため本発明の第1の態様に係る車載器は、
車両に搭載された音声出力部と、
前記車両の走行に関連して発生し前記音声出力部から出力される音声情報が、前記音声情報の出力地点が規定された情報であるか否かを判定する判定部と、
前記音声出力部から出力される再生中の楽曲の曲間が到来する時点を検出する曲間検出部と、
前記出力地点が規定された情報でないと前記判定部が判定した前記音声情報に対して規定されている前記音声情報の出力時点が、前記曲間以外の時点に到来する場合に、前記出力時点を前記曲間の到来時点に変更する出力制御部と、
を備える。
【0007】
また、上記目的を達成するため本発明の第2の態様に係る音声情報出力方法は、
車両の走行に関連して発生し音声出力部から出力される音声情報が、前記音声情報の出力地点が規定された情報であるか否かを判定する判定ステップと、
前記音声出力部から出力される再生中の楽曲の曲間が到来する時点を検出する曲間検出ステップと、
前記出力地点が規定された情報でないと判定した前記音声情報に対して規定されている前記音声情報の出力時点が、前記曲間以外の時点に到来する場合に、前記出力時点を前記曲間の到来時点に変更する出力制御ステップと、
を含む。
【0008】
さらに、上記目的を達成するため本発明の第3の態様に係る音声情報出力プログラムは、
コンピュータに、
車両の走行に関連して発生し音声出力部から出力される音声情報が、前記音声情報の出力地点が規定された情報であるか否かを判定する判定ステップと、
前記音声出力部から出力される再生中の楽曲の曲間が到来する時点を検出する曲間検出ステップと、
前記出力地点が規定された情報でないと判定した前記音声情報に対して規定されている前記音声情報の出力時点が、前記曲間以外の時点に到来する場合に、前記出力時点を前記曲間の到来時点に変更する出力制御ステップと、
を実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、大量の演算処理を行わなくても、車両の走行に伴って発生した音声情報が再生中の楽曲の曲間に出力されやすくなるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る音声情報出力システムの基本的な構成を示す説明図である。
【
図2】
図1の音声情報出力システムにおいて実行される音声情報出力方法の手順を示すフローチャートである。
【
図3A】
図1の中央処理装置がマイクロコンピュータの記憶部に記憶されたプログラムを実行することで行う処理の手順の一部を示すフローチャートである。
【
図3B】
図1の中央処理装置がマイクロコンピュータの記憶部に記憶されたプログラムを実行することで行う処理の手順の一部を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一あるいは同等の部位、または構成要素には、同一の符号を付している。
【0012】
以下に示す実施形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものである。この発明の技術的思想は、各構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。
【0013】
図1は本発明の一実施形態に係る音声情報出力システム1の基本的な構成を示す説明図である。
図1に示す本実施形態の音声情報出力システム1は、不図示の車両に搭載して使用される。音声情報出力システムは、中央処理装置10、楽曲再生部20、アナウンスソース部30、デジタルアナログコンバータ(DAC)40、アンプ50(AMP)及びスピーカ60(請求項中の音声出力部に相当)を有している。
【0014】
なお、本実施形態の音声情報出力システム1は、カーナビゲーション機能付きのディスプレイオーディオ装置により単一の装置として構成することができる。この構成では、カーナビゲーション機能付きのディスプレイオーディオ装置が、請求項中の車載器に相当する。
【0015】
ここで、ディスプレイオーディオ装置とは、ディスプレイを有するカーオーディオ装置である。ディスプレイオーディオ装置は、プロセッサと記憶部とを有している。記憶部には、プロセッサが実行するオペレーティングシステム又は組み込みシステムのシステムソフトウェアがインストールされている。システムソフトウェアがオペレーションシステムである場合、記憶部には、オペレーティングシステム上で実行可能なアプリケーションプログラムをさらにインストールすることができる。
【0016】
組み込みシステム又はアプリケーションプログラムをプロセッサに実行させることで、ディスプレイオーディオ装置は、ディスプレイのタッチパネル操作等に応じて、各種の機能に応じた動作を行うことができる。
【0017】
また、本実施形態の音声情報出力システム1は、車両にビルトインされた単機能のディスプレイオーディオ装置とカーナビゲーション機能を有する外付けの端末機器とを連携させることで構成することができる。ディスプレイオーディオ装置と端末機器とは、例えば、USB(Universal Serial Bus)インタフェース又は無線通信等を介して接続することができる。この構成では、単機能のディスプレイオーディオ装置が、請求項中の車載器に相当する。カーナビゲーション機能を有する端末機器は、例えば、カーナビゲーション用のアプリケーションソフトウェアがインストールされたスマートフォン又はタブレット端末等で実現することができる。
【0018】
さらに、本実施形態の音声情報出力システム1は、車両にビルトインされた単機能のカーナビゲーション装置と楽曲再生機能を有する外付けの端末機器とを連携させることで構成することができる。カーナビゲーション装置と端末装置とは、例えば、USBインタフェース又は無線通信等を介して接続して構成することができる。この構成では、単機能のカーナビゲーション装置が、請求項中の車載器に相当する。楽曲再生機能を有する端末機器は、例えば、楽曲再生アプリケーションソフトウェアがインストールされたスマートフォン又はタブレット端末等で実現することができる。
【0019】
中央処理装置10(請求項中のコンピュータに相当)は、不図示のマイクロコンピュータが備えるプロセッサである。このプロセッサは、カーナビゲーション機能付きのディスプレイオーディオ装置、単機能のディスプレイオーディオ装置、あるいは、単機能のカーナビゲーション装置のマイクロコンピュータのプロセッサを用いることができる。
【0020】
中央処理装置10は、マイクロコンピュータの不図示の記憶部に記憶されたプログラムを実行することで、再生時間取得部11、ソース判断部12、アナウンス内容取得部13及びアナウンス間隔取得部14を仮想的に実現する。
【0021】
なお、再生時間取得部11、ソース判断部12、アナウンス内容取得部13及びアナウンス間隔取得部14は、例えば、シーケンサ等のプログラマブルロジックコントローラ、ディスクリート回路、あるいは、集積回路によって物理的に構成することもできる。また、再生時間取得部11、ソース判断部12、アナウンス内容取得部13及びアナウンス間隔取得部14は、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせによって構成してもよい。再生時間取得部11、ソース判断部12、アナウンス内容取得部13及びアナウンス間隔取得部14の詳細については後述する。
【0022】
楽曲再生部20は、スピーカ60から出力する楽曲を再生する。本実施形態の音声情報出力システム1に、カーナビゲーション機能付きの又は単機能のディスプレイオーディオ装置を用いる場合、楽曲再生部20は、ディスプレイオーディオ装置のディスクドライブ(図示せず)で構成することができる。ディスクドライブは、例えば、音楽コンパクトディスク(CD)等の音楽メディアから楽曲データを読み出す。
【0023】
また、本実施形態の音声情報出力システム1に、単機能のカーナビゲーション装置を用いる場合、楽曲再生部20は、単機能のカーナビゲーション装置に接続した楽曲再生機能を有する端末機器で構成することができる。楽曲再生機能を有する端末機器は、端末機器にインストールした楽曲再生アプリケーションソフトウェアを実行して、不図示のデータストレージデバイスから楽曲データを読み出す。
【0024】
なお、楽曲再生部20は、中央処理装置10からの要求に応じて、コンパクトディスク(CD)又はDVDディスク等の音楽メディア、あるいは、フラッシュメモリ等のデータストレージデバイスから楽曲データ及びその属性情報を読み出す。また、楽曲再生部20は、読み出した楽曲データ及びその属性情報を中央処理装置10に出力する。楽曲データの属性情報は、例えば、楽曲名、楽曲の演奏時間、アーティスト名、アルバムタイトル等を含むものとすることができる。
【0025】
アナウンスソース部30は、車両の走行に関連して発生しスピーカ60から出力される音声情報のデータを生成する。アナウンスソース部30は、ナビゲーション部31及び音声案内部32を含んでいる。
【0026】
ナビゲーション部31は、車両の現在位置から目的地までの経路を探索し、ナビ音声情報を生成する。ナビ音声情報は、探索した経路上のガイド地点(請求項中の出力地点に相当)に車両が到達するとスピーカ60から出力することを前提とした音声の情報である。この音声では、例えば、ガイド地点以降に走行すべき車両の今後の進路を、車両の運転者に対して案内することができる。車両の現在位置は、例えば、航法衛星システム、センサ等を用いて取得することができる。
【0027】
航法衛星システムには、例えば、全地球航法衛星システム(Global Navigation Satellite System)、地域航法衛星システム(Radio Navigation Satellite System )、あるいは、全地球測位システム(Global Positioning System )を用いることができる。センサには、例えば、ジャイロセンサ及び加速度センサの組み合わせを用いることができる。航法衛星システムとセンサとを併用してもよい。
【0028】
目的地までの経路は、例えば、道路情報を構成する複数のノード及びリンクの中から、車両の現在位置と目的地とを結ぶ経路として適切なノード及びリンクを選択することで、決定することができる。
【0029】
なお、本実施形態の音声情報出力システム1に、カーナビゲーション機能付きのディスプレイオーディオ装置を用いる場合、ナビゲーション部31は、ディスプレイオーディオ装置のカーナビゲーション機能部分で構成することができる。また、本実施形態の音声情報出力システム1に、単機能のカーナビゲーション装置を用いる場合、ナビゲーション部31は、カーナビゲーション装置で構成することができる。
【0030】
さらに、本実施形態の音声情報出力システム1に、単機能のディスプレイオーディオ装置を用いる場合、ナビゲーション部31は、単機能のディスプレイオーディオ装置に接続したカーナビゲーション機能を有する端末機器で構成することができる。
【0031】
音声案内部32は、車両の走行に関連して発生する情報を音声により案内する音声情報を生成する。音声案内部32は、カーナビゲーション機能付きの又は単機能のディスプレイオーディオ装置、あるいは、単機能のカーナビゲーション装置で構成することができる。音声案内部32が生成する音声情報は、ディスプレイオーディオ装置又はカーナビゲーション装置において設定されたメニューに応じた内容とすることができる。
【0032】
設定できるメニューの例としては、例えば、車両の運転者に対する休憩勧告、タイマの設定値に応じた運転者へのアラート通知、天候案内、再生した楽曲のアーティスト情報、前回通過時情報、燃料残量情報、道路交通情報、車両のメンテナンス情報がある。これらのメニューに関する設定操作は、例えば、ディスプレイオーディオ装置又はカーナビゲーション装置のディスプレイのタッチパネル(図示せず)上で行うことができる。
【0033】
休憩勧告のメニューが設定された場合は、音声案内部32は、車両の運転者に休憩取得を促すメッセージの音声情報を生成する。休憩勧告のメニューの設定時に指定された休憩間隔が2時間である場合、音声案内部32が生成する音声情報は、例えば、「運転時間が2時間になりました」というメッセージにすることができる。
【0034】
また、アラート通知のメニューが設定された場合は、音声案内部32は、設定された時刻までの残り時間又は指定された時間が経過するまでの残り時間が一定の時間に達したことを知らせるメッセージの音声情報を生成する。音声案内部32が生成する音声情報は、例えば、「設定した時間が経過しました」というメッセージにすることができる。
【0035】
さらに、天候案内のメニューが設定された場合は、音声案内部32は、ナビゲーション部31で把握された車両の現在位置の天候を案内するメッセージの音声情報を生成する。音声案内部32が生成する音声情報は、例えば、「この先、大雨注意報が発令されています」、あるいは、「この先、強風に注意して下さい」というメッセージにすることができる。
【0036】
天候案内のメニューは、中央処理装置10が搭載されるディスプレイオーディオ装置又はカーナビゲーション装置に、例えば、インターネット上のサービス提供元から天候情報を取得する機能を持たせることで、実現することができる。
【0037】
また、再生した楽曲のアーティスト情報のメニューが設定された場合は、音声案内部32は、楽曲再生部20において直前に再生された楽曲のアーティストの活動を案内するメッセージの音声情報を生成する。音声案内部32が生成する音声情報は、例えば、「自宅の近くで8月12日にライブが行われます」というメッセージにすることができる。
【0038】
アーティスト情報のメニューは、中央処理装置10が搭載されるディスプレイオーディオ装置又はカーナビゲーション装置に、例えば、インターネット上のサービス提供元からアーティスト情報を取得する機能を持たせることで、実現することができる。
【0039】
さらに、前回通過時情報のメニューが設定された場合は、音声案内部32は、現在位置を前回通過したときの状況を案内するメッセージの音声情報を生成する。この音声情報は、例えば、楽曲再生部20で把握された楽曲の再生履歴と、ナビゲーション部31で把握された現在位置の走行履歴とに基づいて生成することができる。音声案内部32が生成する音声情報は、例えば、「前回通過した時の再生曲は誰々の○○です」、あるいは、「前回通過したのは3月25日です」というメッセージにすることができる。
【0040】
前回通過時情報のメニューは、中央処理装置10が搭載されるディスプレイオーディオ装置又はカーナビゲーション装置に、履歴情報の蓄積機能を持たせることで実現することができる。履歴情報は、例えば、車両が過去に通過した箇所と、その箇所の通過日時又はその箇所の通過中に再生した楽曲とを関連付けたテーブルとすることができる。
【0041】
なお、履歴情報は、ディスプレイオーディオ装置又はカーナビゲーション装置以外に蓄積してもよい。具体的には、例えば、ディスプレイオーディオ装置又はカーナビゲーション装置と連携する端末機器に、履歴情報を蓄積してもよい。あるいは、例えば、ディスプレイオーディオ装置又はカーナビゲーション装置に無線通信によって接続されるサーバに、履歴情報を蓄積してもよい。
【0042】
また、燃料残量情報のメニューが設定された場合は、音声案内部32は、車両の燃料残量を案内するメッセージの音声情報を生成する。音声案内部32が生成する音声情報は、例えば、「ガソリンが残り僅かとなりました。近くのガソリンスタンドまで1キロメートルです」というメッセージにすることができる。
【0043】
燃料残量情報のメニューは、中央処理装置10が搭載されるディスプレイオーディオ装置又はカーナビゲーション装置に、車両の制御系から車両の燃料残量の情報を取得する機能を持たせることで、実現することができる。ディスプレイオーディオ装置又はカーナビゲーション装置が車両の制御系から車両の情報を取得する機能は、例えば、CAN(Controller Area Network )等の通信プロトコルによって実現することができる。
【0044】
さらに、道路交通情報のメニューが設定された場合は、音声案内部32は、ナビゲーション部31で把握された現在位置又は目的地への走行経路の道路交通情報を案内するメッセージの音声情報を生成する。音声案内部32が生成する音声情報は、例えば、「この先1キロメートルで渋滞が発生しています」というメッセージにすることができる。
【0045】
また、車両のメンテナンス情報のメニューが設定された場合は、音声案内部32は、車両のメンテナンス情報を案内するメッセージの音声情報を生成する。音声案内部32が生成する音声情報は、例えば、「オイルが少なくなっています」、あるいは、「タイヤの空気圧が下がっています」というメッセージにすることができる。
【0046】
メンテナンス情報のメニューは、中央処理装置10が搭載されるディスプレイオーディオ装置又はカーナビゲーション装置に、車両の制御系から車両のメンテナンス情報を取得する機能を持たせることで、実現することができる。
【0047】
DAC40は、楽曲再生部20からの楽曲データ又はアナウンスソース部30からの音声情報のデータをデジタルからアナログに変換してアンプ50に出力する。アンプ50は、DAC40からのアナログ信号を増幅してスピーカ60に出力する。スピーカ60は、アンプ50で増幅されたアナログ信号によって鳴動し、楽曲再生部20において再生された楽曲又はアナウンスソース部30から出力されたメッセージの音声を出力する。
【0048】
次に、中央処理装置10が仮想的に実現する再生時間取得部11、ソース判断部12、アナウンス内容取得部13及びアナウンス間隔取得部14が行う処理について説明する。なお、以下の説明では、音声案内部32を構成するディスプレイオーディオ装置又はカーナビゲーション装置において、休憩勧告のメニューが設定されているものとする。
【0049】
再生時間取得部11は、楽曲再生部20による再生中の楽曲の残り演奏時間を取得する。残り演奏時間は、楽曲再生部20が読み出した楽曲データの属性情報に含まれる再生中の楽曲の演奏時間から、既に経過した楽曲の再生時間を差し引くことで、取得することができる。ソース判断部12は、楽曲再生部20からの楽曲データとアナウンスソース部30からの音声情報のデータとのうちどちらのデータを、DAC40においてデジタルからアナログに変換させるかを決定する。
【0050】
アナウンス内容取得部13は、アナウンスソース部30が出力すべき音声情報のデータを取り込み、その内容を取得する。即ち、アナウンス内容取得部13は、アナウンスソース部30から取り込んだデータの内容が、ナビゲーション部31と音声案内部32とのどちらが生成した音声情報かを判別する。言い換えると、アナウンス内容取得部13は、ナビゲーション部31から出力される音声情報データの属性を判別する。
【0051】
アナウンス間隔取得部14は、音声案内部32を構成する装置に対する休憩勧告のメニューの設定時に指定された休憩間隔を、音声案内部32から取得する。休憩間隔は、例えば、2時間とすることができる。
【0052】
以上に説明した中央処理装置10の各部11~14が行う処理の結果を利用して、本実施形態の音声情報出力システム1では、音声情報出力方法が実行される。この音声情報出力方法では、アナウンスソース部30が生成したデータによる音声情報が、楽曲再生部20による楽曲の再生中又は曲間にスピーカ60から出力される。以下、本実施形態の音声情報出力システム1で実行される音声情報出力方法の一例を、
図2のフローチャートを参照して説明する。
【0053】
なお、本実施形態の音声情報出力システム1を単一の装置で構成する場合、不図示のマイクロコンピュータの記憶部には、
図2に示す各ステップの処理を中央処理装置10に実行させるための音声情報出力プログラムが記憶される。
【0054】
図2に示すように、本実施形態の音声情報出力方法は、判定、曲間検出及び出力制御の各ステップ(ステップS1~S5)を含んでいる。
【0055】
このうち、ステップS1の判定ステップは、車両の走行に関連して発生してスピーカ60から出力される音声情報が、その音声情報を出力する地点が規定された情報であるか否かを判定するステップである。即ち、この判定ステップは、
図1のアナウンスソース部30が出力したデータが、ナビゲーション部31によって生成された今後の進路をガイド地点で案内する音声情報であるか否かを、中央処理装置10が判定することで、実行することができる。
【0056】
次に、
図2のステップS3の曲間検出ステップは、スピーカ60から出力される再生中の楽曲の曲間が到来する時点を検出するステップである。この曲間検出ステップは、
図1の再生時間取得部11が取得した再生中の楽曲の演奏時間から、中央処理装置10が、楽曲再生部20による再生中の楽曲の曲間が到来する時点を特定することで、実行することができる。
【0057】
続いて、
図2のステップS5の出力制御ステップは、ステップS1において、音声情報を出力する地点が規定されていないと判定された音声情報を対象とするステップである。そして、出力制御ステップでは、スピーカ60から出力されている楽曲の曲間以外の時点に、音声情報に対して規定されている音声情報の出力時点が到来する場合に、音声情報の出力時点を曲間の到来時点に変更する。
【0058】
即ち、この出力制御ステップは、
図1のアナウンスソース部30が出力したデータが、音声案内部32によって生成された休憩間隔毎に休憩取得を促すメッセージの音声情報である場合に、実行することができる。そして、出力制御ステップでは、車両の運転者の休憩間隔が、ステップS3で特定した再生中の楽曲の曲間に近い前後の時点で到来する場合に、中央処理装置10が、休憩取得のメッセージをスピーカ60から出力する時点を曲間の到来時点に変更する。
【0059】
次に、
図2のステップS1~S5に示す音声情報出力方法を実施するために、
図1の中央処理装置10がマイクロコンピュータの記憶部に記憶されたプログラムにしたがって実行する処理の手順の一例を、
図3A及び
図3Bのフローチャートを参照して説明する。
【0060】
まず、中央処理装置10は、
図3Aに示すように、中央処理装置10が実行するプログラムの累計起動時間のカウントを行う(ステップS11)。続いて、中央処理装置10は、アナウンス間隔時間のカウントを開始する(ステップS13)。
【0061】
アナウンス間隔時間のカウント値は、休憩取得を促すメッセージをスピーカ60から出力した後の経過時間を表す数値となる。なお、休憩取得のメッセージを最初にスピーカ60から出力する前の段階では、アナウンス間隔時間のカウント値は、車両の運転開始からの経過時間を表す数値となる。
【0062】
次に、中央処理装置10は、楽曲が再生中である否かを確認する(ステップS15)。中央処理装置10は、例えば、再生時間取得部11が取得した再生中の楽曲の再生時間が、楽曲再生部20による再生中の楽曲の演奏時間に達したか否かによって、楽曲が再生中であるか否かを確認することができる。再生中の楽曲の演奏時間は、楽曲再生部20が読み出した楽曲データの属性情報から取得することができる。楽曲が再生中でない場合は(ステップS15でNO)、中央処理装置10は、アナウンス間隔時間のカウント値が休憩間隔に達したか否かを確認する(ステップS17)。
【0063】
そして、アナウンス間隔時間のカウント値が休憩間隔に達していない場合は(ステップS17でNO)、ステップS15にリターンする。また、アナウンス間隔時間のカウント値が休憩間隔に達した場合は(ステップS17でYES)、後述するステップS39に処理を移行する。
【0064】
一方、ステップS15において、楽曲が再生中である(YES)場合は、中央処理装置10は、ナビゲーション部31においてナビ音声情報が生成されたか否かを確認する(ステップS19)。ナビ音声情報が生成された場合は(ステップS19でYES)、中央処理装置10は、車両の今後の進路を案内するナビ音声をスピーカ60から出力させた後(ステップS21)、ステップS15にリターンする。なお、中央処理装置10は、ナビ音声のスピーカ60からの出力を、ナビゲーション部31が生成したナビ音声情報を用いて実行する。
【0065】
ナビ音声をスピーカ60から出力させる際に、中央処理装置10は、ナビ音声の聞き取りやすさに配慮して、楽曲再生部20による再生中の楽曲の出力レベルを、ミュートを含む低いレベルに落としてもよい。勿論、楽曲の出力レベルをナビ音声の出力中も落とさず今までのレベルに保ってもよい。
【0066】
また、ナビ音声情報が生成されていない場合は(ステップS19でNO)、中央処理装置10は、アナウンス間隔時間のカウント値が所定の数値に達したか否かを確認する(ステップS23)。
【0067】
ここで、所定の数値とは、休憩間隔よりも先に到来する再生中の楽曲の曲間にずらしてスピーカ60から出力する休憩取得のメッセージの対象を、時間の長さで定義するための数値である。例えば、楽曲の曲間の到来後5分以内に到来する休憩間隔の休憩取得を促すメッセージを、楽曲の曲間に繰り上げてスピーカ60から出力する対象とする場合は、休憩間隔の2時間から5分を減じた1時間55分を、所定の数値とすることができる。なお、ここで言う5分は、請求項中における音声情報の出力時点と曲間の到来時点との時間差に対する閾値に相当している。
【0068】
そして、アナウンス間隔時間のカウント値が所定の数値に達していない場合は(ステップS23でNO)、ステップS15にリターンする。また、アナウンス間隔時間のカウント値が所定の数値に達した場合は(ステップS23でYES)、中央処理装置10は、ステップS15で再生中であると確認した楽曲の残り演奏時間がα秒以内であるか否かを確認する(ステップS25)。
【0069】
ここで、α秒は、例えば、休憩間隔と所定の数値との差分である5分、即ち、300秒よりも短い秒数に設定することができる。また、楽曲の残り演奏時間は、上述した再生時間取得部11を用いて取得する。
【0070】
楽曲の残り演奏時間がα秒以内である場合は(ステップS25でYES)、中央処理装置10は、楽曲の再生が終了したか否かを確認する(ステップS27)。楽曲の再生が終了していない場合は(ステップS27でNO)、ステップS15にリターンする。また、楽曲の再生が終了した場合は(ステップS27でYES)、中央処理装置10は、休憩取得のメッセージの内容を補正してスピーカ60から出力させた後(ステップS29)、後述するステップS41に処理を移行する。
【0071】
なお、ステップS29の処理において、中央処理装置10は、休憩取得のメッセージのデータを、アナウンス内容取得部13によって取得する。また、休憩取得を促すメッセージのスピーカ60からの出力を、ソース判断部12を用いて実行する。
【0072】
メッセージをスピーカ60から出力させる際に、中央処理装置10は、メッセージの出力終了まで、楽曲再生部20による次の楽曲の再生開始を遅らせる。また、中央処理装置10は、メッセージの出力終了後に、楽曲再生部20による次の楽曲の再生を開始させる。
【0073】
また、ステップS29の処理において、中央処理装置10は、アナウンス内容取得部13によってデータを取得した、休憩取得を促すメッセージの内容を、休憩間隔前の楽曲の曲間にスピーカ60から出力するのに適した内容に補正する。例えば、中央処理装置10は、「運転時間が2時間になりました」というメッセージの内容を、「運転時間がもうすぐ2時間になります」に補正し、ソース判断部12を用いてスピーカ60から出力する。
【0074】
一方、ステップS25において、楽曲の残り演奏時間がα秒以内でない場合(NO)は、中央処理装置10は、ステップS15で再生中であると確認した楽曲の残り演奏時間がβ(β>α)秒以内であるか否かを確認する(ステップS31)。
【0075】
ここで、β秒とは、休憩間隔の後に到来する再生中の楽曲の曲間にずらしてスピーカ60から出力する休憩取得のメッセージの対象を、時間の長さで定義するための数値である。例えば、楽曲の曲間が1分以内に到来する休憩間隔の休憩取得を促すメッセージを、楽曲の曲間に繰り下げてスピーカ60から出力する対象とする場合は、1分、即ち、60秒をα秒に加えた秒数を、β秒に設定することができる。なお、ここで言う1分も、請求項中における音声情報の出力時点と曲間の到来時点との時間差に対する閾値に相当している。
【0076】
楽曲の残り演奏時間がβ秒以内である場合は(ステップS31でYES)、中央処理装置10は、再生中の楽曲の再生が終了したか否かを確認する(ステップS33)。楽曲の再生が終了していない場合は(ステップS33でNO)、ステップS15にリターンする。また、楽曲の再生が終了した場合は(ステップS33でYES)、中央処理装置10は、休憩取得を促すメッセージの内容を補正してスピーカ60から出力させた後(ステップS35)、ステップS41に処理を移行する。
【0077】
内容を補正したメッセージをスピーカ60から出力させる際に、中央処理装置10は、メッセージの出力終了まで、楽曲再生部20による次の楽曲の再生開始を遅らせる。また、中央処理装置10は、メッセージの出力終了後に、楽曲再生部20による次の楽曲の再生を開始させる。
【0078】
なお、ステップS35の処理において、中央処理装置10は、アナウンス内容取得部13によってデータを取得した、休憩取得を促すメッセージの内容を、休憩間隔後の楽曲の曲間にスピーカ60から出力するのに適した内容に補正する。例えば、中央処理装置10は、「運転時間が2時間になりました」というメッセージの内容を、「運転時間が先程2時間を超えました」に補正し、ソース判断部12を用いてスピーカ60から出力する。
【0079】
また、ステップS31において、楽曲の残り演奏時間がβ秒以内でない場合(NO)は、中央処理装置10は、アナウンス間隔時間のカウント値が休憩間隔に達したか否かを確認する(ステップS37)。
【0080】
そして、アナウンス間隔時間のカウント値が休憩間隔に達していない場合は(ステップS37でNO)、休憩間隔に達するまでステップS37をリピートする。また、アナウンス間隔時間のカウント値が休憩間隔に達した場合は(ステップS37でYES)、ステップS39に処理を移行する。
【0081】
このステップS37の処理は、休憩取得を促すメッセージの出力タイミングの正確性が著しく低下する場合に実行する処理である。即ち、休憩時間までの残り時間と楽曲の残り演奏時間とが乖離すると、ステップS35の処理でメッセージを出力する楽曲の再生終了が、休憩時間の到来から長時間が過ぎた時点となる。この時点で休憩取得を促すメッセージを出力しても、休憩取得を運転者に適切なタイミングで促すことができない。
【0082】
そこで、ステップS31の処理で楽曲の残り演奏時間と比較するβ秒を長めに設定し、ステップS37の処理が実質的に行われないようにしてもよい。この場合、β秒は、例えば、想定される楽曲の最長演奏時間よりも長い秒数に設定することができる。また、ステップS25の処理で楽曲の残り演奏時間と比較するα秒を長めに設定し、その結果、α秒よりも長いβ秒が、上述したような長めの秒数に設定されるようにしてもよい。
【0083】
ステップS39では、中央処理装置10は、アナウンス内容取得部13によってデータを取得した、「運転時間が2時間になりました」という休憩取得を促すメッセージを、ソース判断部12を用いてスピーカ60から出力する。そして、ステップS41に処理を移行する。
【0084】
なお、ステップS39の処理は、楽曲再生部20による楽曲の再生中に実行される。このため、ステップS39の処理では、休憩取得を促すメッセージが楽曲と一緒にスピーカ60から出力される。そこで、中央処理装置10は、メッセージをスピーカ60から出力させる際に、メッセージの聞き取りやすさに配慮して、楽曲再生部20による再生中の楽曲の出力レベルを、ミュートを含む低いレベルに落としてもよい。あるいは、中央処理装置10は、メッセージをスピーカ60から出力させる間、楽曲再生部20による楽曲の再生を一時停止させてもよい。
【0085】
ステップS41では、中央処理装置10は、
図3Bに示すように、アナウンス間隔時間のカウント値をクリアする。そして、中央処理装置10は、音声情報出力システム1の動作の終了指令が入力されたか否かを確認する(ステップS43)。音声情報出力システム1の動作の終了は、例えば、ディスプレイオーディオ装置又はカーナビゲーション装置のディスプレイのタッチパネル上で終了操作を行うことで、指示することができる。
【0086】
終了指令が入力されていない場合は(ステップS43でNO)、ステップS13にリターンする。また、終了指令が入力された場合は(ステップS43でYES)、中央処理装置10は、音声情報出力システム1のシャットダウンの処理を行った後(ステップS45)、一連の処理を終了する。
【0087】
以上の説明からも明らかなように、本実施形態の音声情報出力システム1では、
図3AのフローチャートにおけるステップS19及びステップS23が、請求項中の判定部及び判定ステップに対応する処理となっている。また、本実施形態の音声情報出力システム1では、
図3A中のステップS27及びステップS33が、請求項中の曲間検出部及び曲間検出ステップに対応する処理となっている。さらに、本実施形態の音声情報出力システム1では、
図3A中のステップS25~ステップS35が、請求項中の出力制御部及び出力制御ステップに対応する処理となっている。
【0088】
即ち、本実施形態の音声情報出力システム1では、中央処理装置10が、請求項中の判定部、曲間検出部及び出力制御部に相当している。
【0089】
以上に説明した本実施形態の音声情報出力システム1では、車両の今後の進路を案内するナビ音声の情報がナビゲーション部31で生成されると、楽曲再生部20による楽曲の再生が行われているかに拘わらず、ナビ音声がスピーカ60から出力される。また、休憩取得を促す音声のメッセージが音声案内部32で生成されると、運転者の休憩間隔が楽曲の曲間の5分前から1分後までの間に到来する場合に、休憩間隔の到来時から曲間の到来時にずらして音声のメッセージがスピーカ60から出力される。
【0090】
ここで、車両の今後の進路を案内するナビ音声は、ナビ音声で案内する今後の進路を車両が走行する前にスピーカ60から出力する必要がある。したがって、楽曲の曲間にナビ音声をスピーカ60から出力するには、楽曲の曲間における車両の走行地点を予測して、予測した走行地点がナビ音声で案内する今後の進路よりも進路の手前であることを確認することが欠かせない。
【0091】
車両の将来の走行地点を精度良く予測するには、車両の走行速度の変化を反映して走行地点を予測することが必要である。そのためには、車両の走行速度から走行距離を計算する処理を短い周期で頻繁に行う必要がある。また、車両の目的地を途中で変更し、あるいは、ナビゲーション部31が探索した経路から外れたルートを車両が走行すると、以後の車両が走行する目的地への経路が変わるので、車両の将来の走行地点を予測し直す必要がある。したがって、ナビ音声を楽曲の曲間に精度良く出力させるためには、大量の演算処理が必要となる。
【0092】
これに対し、本実施形態では、再生中の楽曲の曲間にスピーカ60から出力する音声の対象から、ナビゲーション部31が生成するナビ音声の情報を除外し、音声案内部32が生成する休憩取得を促すメッセージの音声情報を、楽曲の曲間に出力する対象とした。休憩取得のメッセージの音声情報は、ナビ音声の情報とは異なり、スピーカ60から出力する地点が規定されておらず、スピーカ60から出力する時点が特定の時点に規定されているに過ぎない。
【0093】
したがって、休憩取得を促すメッセージの音声の出力時点を休憩間隔の到来時から再生中の楽曲の曲間にずらすために、中央処理装置10は、楽曲の曲間を検出すればよい。即ち、中央処理装置10が、将来の走行地点を正確に予測するための大量の演算処理を行う必要はない。
【0094】
そして、本実施形態では、再生中の楽曲の曲間の5分前から1分後までの間に到来する休憩間隔の休憩取得を促すメッセージの音声を、楽曲の曲間にスピーカ60から出力して、音声のメッセージが楽曲の視聴を妨げにくいようにすることができる。また、本実施形態では、楽曲の曲間にずらしてスピーカ60から出力する対象からナビ音声を除外したので、車両の目的地又は走行経路の変更、あるいは、走行速度の変化が、楽曲の曲間に音声を出力する精度に影響しにくくなる。したがって、休憩取得を促すメッセージの音声を楽曲の曲間にずらして出力しても、車両の走行状態の変化に関係なく正確にメッセージを運転者に伝えることができる。
【0095】
また、本実施形態では、楽曲の再生中に、ナビゲーション部31が生成する進路案内のナビ音声を割り込みで出力し、音声案内部32が生成する休憩取得のメッセージの音声を曲間にずらして出力する。このため、ナビ音声と休憩取得のメッセージの音声とを運転者が容易に区別できるようにして、運転者が必要な音声情報を簡単に選べるようにすることができる。
【0096】
なお、本実施形態では、音声案内部32を構成するディスプレイオーディオ装置又はカーナビゲーション装置において、休憩勧告のメニューが設定されている場合について説明した。しかし、休憩勧告以外のメニューが設定されている場合にも、本発明は実施可能である。
【0097】
例えば、アラート通知のメニューが設定されている場合、中央処理装置10は、アラート設定した時間の前の曲間でスピーカ60から出力するメッセージを、「設定した時間がもうすく経過します」という内容に補正することができる。また、中央処理装置10は、アラート設定した時間の後の曲間でスピーカ60から出力するメッセージを、「設定した時間を先程超えました」という内容に補正することができる。
【0098】
また、本実施形態では、音声案内部32が生成した休憩取得を促す音声のメッセージを休憩間隔の到来時点よりも先に到来する曲間で出力するか、後に到来する曲間で出力するかによって、中央処理装置10によるメッセージの補正内容を変えるようにした。このため、曲間にずらして出力するメッセージの内容を、休憩間隔の到来前と到来後とでそれぞれの時点に応じた内容に補正して出力することができる。但し、本来の出力時点に対して曲間が先に到来するか後に到来するかに関係なく、中央処理装置10によるメッセージの補正内容を同じにしてもよい。
【0099】
さらに、本実施形態では、音声案内部32が生成した音声のメッセージを本来の出力時点とは異なる曲間の到来時にずらして出力するのに当たり、出力するメッセージの内容を中央処理装置10が補正する場合について説明した。しかし、曲間の到来時にずらして出力する音声のメッセージの内容を補正しないようにしてもよい。例えば、天候案内、アーティスト情報、前回通過時情報、燃料残量情報、道路交通情報、メンテナンス情報のメッセージは、曲間の到来時にずらして出力する場合でも同じ内容とすることができる。
【符号の説明】
【0100】
1 音声情報出力システム
10 中央処理装置(コンピュータ、判定部、曲間検出部、出力制御部)
11 再生時間取得部
12 ソース判断部
13 アナウンス内容取得部
14 アナウンス間隔取得部
20 楽曲再生部
30 アナウンスソース部
31 ナビゲーション部
32 音声案内部
40 デジタルアナログコンバータ(DAC)
50 アンプ(AMP)
60 スピーカ(音声出力部)