(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-26
(45)【発行日】2023-07-04
(54)【発明の名称】産業車両
(51)【国際特許分類】
B60K 13/04 20060101AFI20230627BHJP
B60K 11/04 20060101ALI20230627BHJP
F01N 13/08 20100101ALI20230627BHJP
【FI】
B60K13/04 B
B60K11/04 E
F01N13/08 Z
(21)【出願番号】P 2019145543
(22)【出願日】2019-08-07
【審査請求日】2021-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【氏名又は名称】中山 浩光
(72)【発明者】
【氏名】太田 祐平
(72)【発明者】
【氏名】近藤 秀仁
【審査官】中川 隆司
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-145836(JP,U)
【文献】実開平06-043218(JP,U)
【文献】特開2015-165097(JP,A)
【文献】特開2013-049405(JP,A)
【文献】実開昭56-039324(JP,U)
【文献】国際公開第2016/027345(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 13/04
B60K 11/04
F01N 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の後部に配置されたカウンタウエイトと、
前記カウンタウエイトの前側に配置されたラジエータと、
前記車体の後方に流れる冷却風を発生させるラジエータファンと、
前記カウンタウエイト内に配置され、エンジンからの排気ガスを大気中に放出する排気管とを備えた産業車両において、
前記排気管は、前記車体の車幅方向に延在するテールパイプを有し、
前記テールパイプの先端部には、前記テールパイプの開口を閉塞する閉塞部が設けられており、
前記テールパイプの周面部には、前記排気ガスを前記車体の後方に向けて排出する第1排気口と、前記第1排気口よりも前記テールパイプの先端側において前記排気ガスを前記車体の後方に向けて排出する第2排気口とが設けられており、
前記第1排気口及び前記第2排気口は、前記冷却風が流れる領域に配置されており、
前記テールパイプ内における前記第1排気口と前記第2排気口との間には、前記排気ガスの流路面積を変化させる絞り部が配置されている産業車両。
【請求項2】
前記絞り部は、前記テールパイプ内における前記第1排気口及び前記第2排気口の側に配置されている請求項1記載の産業車両。
【請求項3】
前記絞り部は、前記テールパイプに固定された略U字状の板状部材で構成されており、
前記板状部材の前記第2排気口側には、前記車体の前後方向及び車幅方向に対して傾斜した傾斜部が設けられている請求項2記載の産業車両。
【請求項4】
前記閉塞部は、前記第1排気口及び前記第2排気口の反対側から前記第1排気口及び前記第2排気口の側に向かって先細りとなるように、前記車体の前後方向及び車幅方向に対して傾斜した傾斜部分を有する請求項1~3の何れか一項記載の産業車両。
【請求項5】
前記テールパイプは、前記第1排気口を有する第1パイプと、前記第2排気口を有する第2パイプとを有し、
前記第1パイプ及び前記第2パイプの一方の一端部には、前記第1パイプ及び前記第2パイプの他方と嵌合する嵌合部が設けられており、
前記絞り部は、前記嵌合部と一体化されている請求項1記載の産業車両。
【請求項6】
前記第1排気口及び前記第2排気口は、前記冷却風が流れる領域において前記ラジエータファンの中心部に対応する位置を避けるように配置されている請求項1~5の何れか一項記載の産業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
産業車両としては、例えば特許文献1に記載されているようなフォークリフトが知られている。特許文献1に記載のフォークリフトは、ディーゼルエンジンから排出された排気ガスに含まれる粒子状物質を捕集して除去するDPFと、このDPFの排気ガス送出側に接続された排気管と、この排気管に管継手構造を介して接続されたテールパイプとを備えている。排気管の先端部がテールパイプの開口部内に挿入されていることで、排気管の先端部とテールパイプの開口部との間には隙間が形成されている。排気管からテールパイプへの排気時には、ベンチュリ効果によりテールパイプ内に外気が導入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術においては、テールパイプ内に外気が導入されることにより、排気ガスの排気温度が低減される。しかし、フォークリフト等の産業車両では、屋外だけでなく、工場や倉庫等の屋内でも使用されるため、排気ガスの排気温度が確実に且つ均等に低減されることが望まれている。
【0005】
本発明の目的は、排気ガスの排気温度を確実に且つ均等に低減することができる産業車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、車体の後部に配置されたカウンタウエイトと、カウンタウエイトの前側に配置されたラジエータと、車体の後方に流れる冷却風を発生させるラジエータファンと、カウンタウエイト内に配置され、エンジンからの排気ガスを大気中に放出する排気管とを備えた産業車両において、排気管は、車体の車幅方向に延在するテールパイプを有し、テールパイプの先端部には、テールパイプの開口を閉塞する閉塞部が設けられており、テールパイプの周面部には、排気ガスを車体の後方に向けて排出する第1排気口と、第1排気口よりもテールパイプの先端側において排気ガスを車体の後方に向けて排出する第2排気口とが設けられており、第1排気口及び第2排気口は、冷却風が流れる領域に配置されており、テールパイプ内における第1排気口と第2排気口との間には、排気ガスの流路面積を変化させる絞り部が配置されている。
【0007】
このような産業車両においては、テールパイプの周面部に設けられた第1排気口及び第2排気口は、カウンタウエイト内における冷却風が流れる領域に配置されている。このため、第1排気口及び第2排気口から排出された排気ガスは、カウンタウエイト内において冷却風と撹拌された状態で、車体の後方に向けて排出される。従って、排気ガスの排気温度を確実に低減することができる。また、テールパイプ内における第1排気口と第2排気口との間には、排気ガスの流路面積を変化させる絞り部が配置されている。従って、テールパイプ内の圧力が均一化されるため、第1排気口及び第2排気口から均等に排気ガスが排出されやすくなる。よって、排気ガスの排気温度を均等に低減することができる。また、例えば第2排気口のみから排気ガスが排出される場合に比べて、排気ガスの排出流速が低減されるため、排気騒音を抑制することができる。
【0008】
絞り部は、テールパイプ内における第1排気口及び第2排気口の側に配置されていてもよい。このような構成では、テールパイプ内の圧力がより均一化されるため、第1排気口及び第2排気口から更に均等に排気ガスが排出されやすくなる。このため、排気ガスの排気温度を一層均等に低減することができる。
【0009】
絞り部は、テールパイプに固定された略U字状の板状部材で構成されており、板状部材の第2排気口側には、車体の前後方向及び車幅方向に対して傾斜した傾斜部が設けられていてもよい。このような構成では、略U字状の板状部材によって、絞り部を容易に且つ安価に作ることができる。また、板状部材の第2排気口側に傾斜部を設けることにより、テールパイプ内における絞り部の近傍に渦巻き流(乱流)が生じにくくなる。従って、第1排気口及び第2排気口から排気ガスを効率良く排出することができる。
【0010】
閉塞部は、第1排気口及び第2排気口の反対側から第1排気口及び第2排気口の側に向かって先細りとなるように、車体の前後方向及び車幅方向に対して傾斜した傾斜部分を有してもよい。このような構成では、テールパイプ内における閉塞部の近傍に渦巻き流(乱流)が生じにくくなる。従って、第1排気口及び第2排気口から排気ガスを効率良く排出することができる。
【0011】
テールパイプは、第1排気口を有する第1パイプと、第2排気口を有する第2パイプとを有し、第1パイプ及び第2パイプの一方の一端部には、第1パイプ及び第2パイプの他方と嵌合する嵌合部が設けられており、絞り部は、嵌合部と一体化されていてもよい。このような構成では、第1排気口を有する第1パイプと第2排気口を有する第2パイプとを嵌合部により嵌合させることで、第1排気口と第2排気口との間に配置された絞り部を有するテールパイプが得られる。従って、例えばテールパイプが長くなっても、絞り部を有するテールパイプを容易に作ることができる。
【0012】
第1排気口及び第2排気口は、冷却風が流れる領域においてラジエータファンの中心部に対応する位置を避けるように配置されていてもよい。このような構成では、第1排気口及び第2排気口から排出された排気ガスは、カウンタウエイト内において冷却風と十分に撹拌された状態で、車体の後方に向けて排出されることとなる。従って、排気ガスの排気温度をより確実に低減することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、排気ガスの排気温度を確実に且つ均等に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係る産業車両であるフォークリフトを示す背面図である。
【
図2】
図1に示されたフォークリフトの後部の内部構造を示す側断面図である。
【
図5】
図4に示されたテールパイプの断面図である。
【
図6】本発明の他の実施形態に係る産業車両であるフォークリフトを示す背面図である。
【
図7】
図6に示されたフォークリフトの後部の内部構造を示す側断面図である。
【
図8】
図6に示された排気浄化装置を含むフォークリフトの拡大背面図である。
【
図9】
図5に示されたテールパイプの変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、図面において、同一または同等の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係る産業車両であるフォークリフトを示す背面図である。
図2は、
図1に示されたフォークリフトの後部の内部構造を示す側断面図である。
図1及び
図2において、本実施形態のフォークリフト1は、車体2と、この車体2の下部に回転可能に取り付けられた4つの車輪3と、車体2の前端部に取り付けられた荷役装置(図示せず)とを備えている。
【0017】
車体2の後部には、フォークリフト1の重量バランスを取るためのカウンタウエイト4が配置されている。カウンタウエイト4の前側には、エンジン5が配置されている。ここでのエンジン5は、ディーゼルエンジンである。
【0018】
カウンタウエイト4とエンジン5との間には、エンジン冷却水を冷却するラジエータ6が配置されている。ラジエータ6の前側には、車体2の後方に流れる冷却風を発生させるラジエータファン7が配置されている。ラジエータファン7は、複数枚の羽根7aを有している。ラジエータファン7の各羽根7aが回転すると、車体2の後方に流れる冷却風が生じ、その冷却風がラジエータ6を通過することで、ラジエータ6内を流れる高温のエンジン冷却水が冷却される。
【0019】
また、フォークリフト1は、エンジン5から排出された排気ガスを浄化する排気浄化装置8を備えている。排気浄化装置8は、
図3にも示されるように、上流側排気管9と、DPF10と、下流側排気管11とを有している。上流側排気管9は、エンジン5とDPF10の入口部10aとを接続する。
【0020】
DPF10は、ディーゼル微粒子捕集フィルタ(Diesel particulatefilter)であり、エンジン5から排出された排気ガスに含まれる粒子状物質(PM)を捕集して除去する。DPF10は、カウンタウエイト4に覆われるように配置されている。カウンタウエイト4内には、DPF10に触れることを防止するためのDPFガード12が配置されている。
【0021】
下流側排気管11は、DPF10の出口部10bと接続された連結パイプ13と、この連結パイプ13の先端部と接続されたテールパイプ14とを有している。つまり、テールパイプ14は、連結パイプ13よりも下流側に配置されている。DPF10及び連結パイプ13同士は、ボルト15(
図4参照)で連結されている。連結パイプ13及びテールパイプ14同士は、ボルト16で連結されている。
【0022】
連結パイプ13は、略U字状に曲げられている。テールパイプ14は、DPF10の上方に配置されている。テールパイプ14は、ラジエータファン7の中心部に対応する位置よりも上側に配置されている。テールパイプ14は、車体2の車幅方向(Y方向)にまっすぐ延在している。
【0023】
テールパイプ14の先端部には、
図4及び
図5に示されるように、テールパイプ14の開口を閉塞する閉塞部17が設けられている。テールパイプ14の周面部14aの後側部分には、第1排気口18及び第2排気口19が上下2つずつ設けられている。第1排気口18は、テールパイプ14内を流れる排気ガスを車体2の後方に向けて排出する。第2排気口19は、第1排気口18よりもテールパイプ14の先端側(下流側)において、テールパイプ14内を流れる排気ガスを車体2の後方に向けて排出する。第1排気口18及び第2排気口19は、例えば矩形状を呈している。
【0024】
第1排気口18及び第2排気口19は、車体2の車幅方向に並んで配置されている。第2排気口19は、第1排気口18よりも車幅方向の外側に配置されている。第1排気口18及び第2排気口19は、ラジエータファン7の回転により発生する冷却風が流れる領域に配置されている。具体的には、第1排気口18及び第2排気口19は、ラジエータファン7の羽根7aの配置位置に対応する領域に配置されている。従って、第1排気口18及び第2排気口19は、冷却風が流れる領域においてラジエータファン7の中心部に対応する位置を避けるように配置されている。
【0025】
テールパイプ14の周面部14aの上側に位置する第1排気口18及び第2排気口19は、僅かに斜め上向きとなるように形成されている。テールパイプ14の周面部14aの下側に位置する第1排気口18及び第2排気口19は、僅かに斜め下向きとなるように形成されている。これにより、第1排気口18及び第2排気口19から排出された排気ガスは、カウンタウエイト4内において拡散及び分散されやすくなる。
【0026】
このとき、第1排気口18及び第2排気口19の向きは、例えば第1排気口18及び第2排気口19から排出された排気ガスがカウンタウエイト4の内壁面に当たらないような角度に設定されている。これにより、排気ガスによってカウンタウエイト4の塗装が剥がれることが防止される。
【0027】
テールパイプ14の閉塞部17は、第1排気口18及び第2排気口19の反対側から第1排気口18及び第2排気口19の側に向かって先細りとなるように、車体2の前後方向(X方向)及び車幅方向(Y方向)に対して傾斜した傾斜部分17aと、この傾斜部分17aよりも第1排気口18及び第2排気口19の側に配置された弓形部分17bとを有している。第1排気口18及び第2排気口19の側の部分の先端は、第1排気口18及び第2排気口19の反対側の部分の先端よりも車幅方向の外側に位置している。
【0028】
テールパイプ14内における第1排気口18と第2排気口19との間には、排気ガスの流路面積を変化させる絞り部20が配置されている。絞り部20は、テールパイプ14に固定された略U字状の板状部材21で構成されている。板状部材21は、テールパイプ14内における第1排気口18及び第2排気口19の側(後側)に配置されている。板状部材21の両端部は、テールパイプ14の内側からテールパイプ14の周面部14aを貫通した状態で、周面部14aに溶接接合されている。板状部材21の両端部は、テールパイプ14の周面部14aからテールパイプ14の外側に突き出ている。
【0029】
板状部材21の第2排気口19側には、車体2の前後方向及び車幅方向に対して傾斜した傾斜部21aが設けられている。傾斜部21aは、閉塞部17の傾斜部分17aに対して略平行となっている。傾斜部分17a及び傾斜部21aを設けることにより、絞り部20を通過した排気ガスが第2排気口19に向けて流れやすくなる。
【0030】
このようにテールパイプ14内に絞り部20を配置することにより、テールパイプ14内における第1排気口18と第2排気口19との間で排気ガスの流路が遮られ、テールパイプ14内の圧力が均一化される。このとき、テールパイプ14内を流れる排気ガスが第1排気口18及び第2排気口19からほぼ同じ流速で排出されるように、第1排気口18及び第2排気口19の開口面積と絞り部20の配置位置とが設定されている。例えば、第1排気口18の開口面積は、第2排気口19の開口面積よりも大きくなっている。また、絞り部20は、第2排気口19よりも第1排気口18の近くに配置されている。
【0031】
なお、排気ガスが第1排気口18及び第2排気口19からほぼ同じ流速で排出されるのであれば、第1排気口18及び第2排気口19の開口面積と絞り部20の配置位置とは、特にそれには限られない。
【0032】
以上のようなフォークリフト1において、エンジン5から排出された排気ガスは、上流側排気管9内を流れてDPF10に供給される。そして、排気ガスは、DPF10においてPMが除去された状態で下流側排気管11内を流れる。そして、下流側排気管11内を流れる排気ガスは、テールパイプ14の周面部14aに設けられた第1排気口18及び第2排気口19から車体2の後方に向けて排出される。
【0033】
ところで、DPF10の再生としては、フォークリフト1の走行中に排気温度を上げてPMを燃焼させる自動再生と、フォークリフト1の停車中に排気温度を上げてPMを燃焼させる手動再生とがある。また、フォークリフト1は、屋外だけで使用されるとは限られず、工場や倉庫等の屋内でも使用される。従って、排気ガスが大気中に放出される前に、排気ガスの排気温度を低減する必要がある。
【0034】
そのような要求に対し、本実施形態では、テールパイプ14の周面部14aに設けられた第1排気口18及び第2排気口19は、カウンタウエイト4内における冷却風が流れる領域に配置されている。このため、第1排気口18及び第2排気口19から排出された排気ガスは、カウンタウエイト4内において冷却風と撹拌された状態で、車体2の後方に向けて排出される。従って、排気ガスの排気温度を確実に低減することができる。
【0035】
また、テールパイプ14内に絞り部20が配置されていない場合には、排気の慣性によりテールパイプ14内の下流側(第2排気口19側)の圧力が高まるため、第2排気口19のみから排気ガスが排出される可能性がある。この場合には、排気ガスの排出流速が上がるため、大きな騒音及び異音が発生する。
【0036】
しかし、本実施形態では、テールパイプ14内における第1排気口18と第2排気口19との間には、排気ガスの流路面積を変化させる絞り部20が配置されている。従って、テールパイプ14内の圧力が均一化されるため、第1排気口18及び第2排気口19から均等に排気ガスが排出されやすくなる。このため、排気ガスの排気温度を均等に低減することができる。また、例えば第2排気口19のみから排気ガスが排出される場合に比べて、排気ガスの排出流速が低減されるため、排気騒音を抑制することができる。
【0037】
また、本実施形態では、絞り部20は、テールパイプ14内における第1排気口18及び第2排気口19の側に配置されている。従って、テールパイプ14内の圧力がより均一化されるため、第1排気口18及び第2排気口19から更に均等に排気ガスが排出されやすくなる。このため、排気ガスの排気温度を一層均等に低減することができる。
【0038】
また、本実施形態では、略U字状の板状部材21によって、絞り部20を簡単に且つ安価に作ることができる。また、板状部材21の第2排気口19側に傾斜部21aを設けることにより、テールパイプ14内における絞り部20の近傍に渦巻き流(乱流)が生じにくくなる。従って、第1排気口18及び第2排気口19から排気ガスを効率良く排出することができる。
【0039】
また、本実施形態では、テールパイプ14の閉塞部17は、第1排気口18及び第2排気口19の反対側から第1排気口18及び第2排気口19の側に向かって先細りとなるように傾斜した傾斜部分17aを有している。従って、テールパイプ14内における閉塞部17の近傍に渦巻き流(乱流)が生じにくくなる。従って、第1排気口18及び第2排気口19から排気ガスをより効率良く排出することができる。
【0040】
また、本実施形態では、第1排気口18及び第2排気口19は、ラジエータファン7の回転により発生する冷却風が流れる領域においてラジエータファン7の中心部に対応する位置を避けるように配置されている。従って、第1排気口18及び第2排気口19から排出された排気ガスは、カウンタウエイト4内において冷却風と十分に撹拌された状態で、車体2の後方に向けて排出されることとなる。従って、排気ガスの排気温度をより確実に低減することができる。
【0041】
図6は、本発明の他の実施形態に係る産業車両であるフォークリフトを示す背面図である。
図7は、
図6に示されたフォークリフトの後部の内部構造を示す側断面図である。
図6及び
図7において、本実施形態のフォークリフト1Aは、上記実施形態のフォークリフト1とはタイプが異なっている。
【0042】
フォークリフト1Aは、上記実施形態のフォークリフト1と同様に、カウンタウエイト4、エンジン5、ラジエータ6、ラジエータファン7及び排気浄化装置8を備えている。ラジエータファン7は、ラジエータ6の後側に配置されている。
【0043】
排気浄化装置8は、
図8にも示されるように、上記実施形態と同様に、上流側排気管9と、DPF10と、下流側排気管11とを有している。下流側排気管11は、DPF10の出口部10bと接続された連結パイプ13と、この連結パイプ13の先端部と接続されたテールパイプ14とを有している。テールパイプ14は、DPF10の下方に配置されている。テールパイプ14は、ラジエータファン7の中心部7bの真後ろ位置に配置されている。テールパイプ14は、車体2の車幅方向(Y方向)にまっすぐ延びている。テールパイプ14は、取付棒30を介して車体2に固定されている。
【0044】
テールパイプ14の周面部14aには、上記実施形態と同様に、第1排気口18及び第2排気口19が上下2つずつ設けられている。第1排気口18及び第2排気口19は、ラジエータファン7の羽根7aの配置位置に対応する領域に配置されている。従って、第1排気口18及び第2排気口19は、ラジエータファン7の回転により発生する冷却風が流れる領域においてラジエータファン7の中心部7bに対応する位置を避けるように配置されている。
【0045】
テールパイプ14内における第1排気口18と第2排気口19との間には、上記実施形態と同様に、排気ガスの流路面積を変化させる絞り部20が設けられている。ここでは、第1排気口18及び第2排気口19の開口面積は、ほぼ等しい。また、絞り部20は、第2排気口19よりも第1排気口18の近くに配置されている。
【0046】
以上のような本実施形態においても、テールパイプ14の周面部14aに設けられた第1排気口18及び第2排気口19は、カウンタウエイト4内における冷却風が流れる領域に配置されている。このため、第1排気口18及び第2排気口19から排出された排気ガスは、カウンタウエイト4内において冷却風と撹拌された状態で、車体2の後方に向けて排出される。従って、排気ガスの排気温度を確実に低減することができる。また、テールパイプ14内における第1排気口18と第2排気口19との間には、排気ガスの流路面積を変化させる絞り部20が配置されている。従って、テールパイプ14内の圧力が均一化されるため、第1排気口18及び第2排気口19から均等に排気ガスが排出されやすくなる。よって、排気ガスの排気温度を均等に低減することができる。また、排気ガスの排出流速が低減されるため、排気騒音を抑制することができる。
【0047】
また、本実施形態では、テールパイプ14は、ラジエータファン7の中心部7bの真後ろ位置に配置されている。しかし、第1排気口18及び第2排気口19は、ラジエータファン7の回転により発生する冷却風が流れる領域においてラジエータファン7の中心部7bに対応する位置を避けるように配置されている。従って、第1排気口18及び第2排気口19から排出された排気ガスは、カウンタウエイト4内において冷却風と十分に撹拌された状態で、車体2の後方に向けて排出されることとなる。従って、排気ガスの排気温度をより確実に低減することができる。
【0048】
図9は、上記のテールパイプ14の変形例を示す断面図である。
図9において、本変形例のテールパイプ14は、連結パイプ13と接続された第1パイプ41と、この第1パイプ41と接続された第2パイプ42とを有している。第2パイプ42は、第1パイプ41よりも下流側に配置されている。第1パイプ41及び第2パイプ42の外径は等しい。第1パイプ41は、上記の第1排気口18を有している。第2パイプ42は、上記の第2排気口19を有している。
【0049】
第2パイプ42の上流側端部(一端部)には、第1パイプ41と嵌合する段差状の嵌合部43が設けられている。嵌合部43の先端部の外径は、第1パイプ41の内径と同等である。嵌合部43の先端部には、円錐台状の絞り部44が一体化されている。絞り部44は、テールパイプ40内における第1排気口18と第2排気口19との間に配置され、排気ガスの流路面積を変化させる。嵌合部43の先端部の外周面は、第1パイプ41の内周面に溶接接合されている。
【0050】
このような本変形例では、第1排気口18を有する第1パイプ41と第2排気口19を有する第2パイプ42とを嵌合部43により嵌合させることで、第1排気口18と第2排気口19との間に配置された絞り部44を有するテールパイプ14が得られる。従って、例えばテールパイプ14が長くなっても、絞り部44を有するテールパイプ14を容易に作ることができる。
【0051】
なお、本変形例では、下流側の第2パイプ42に嵌合部43が設けられており、第2パイプ42の嵌合部43が上流側の第1パイプ41と嵌合しているが、特にその形態には限られず、上流側の第1パイプ41に嵌合部43を設け、第1パイプ41の嵌合部43を下流側の第2パイプ42に嵌合させてもよい。
【0052】
以上、本発明の実施形態について幾つか説明してきたが、本発明は上記実施形態には限定されない。例えば上記実施形態では、絞り部20を構成する略U字状の板状部材21は、車体2の前後方向及び車幅方向に対して傾斜した傾斜部21aを有しているが、そのような傾斜部21aは特に無くてもよい。また、テールパイプ14内における第1排気口18と第2排気口19との間に配置される絞り部としては、特に上記実施形態及び上記変形例の構造には限られず、排気ガスの流路面積を変化させる構造であれば、種々変更可能である。
【0053】
また、上記実施形態では、テールパイプ14の閉塞部17は、車体2の前後方向及び車幅方向に対して傾斜した傾斜部分17aを有しているが、閉塞部17としては、特に傾斜部分17aが無くてもよく、単なる円形板構造であってもよい。
【0054】
上記実施形態では、テールパイプ14に第1排気口18及び第2排気口19が2つずつ設けられているが、第1排気口18及び第2排気口19の数としては、特にそれには限られず、1つずつでもよい。また、第1排気口18及び第2排気口19の数及び形状が異なっていてもよい。
【0055】
また、上記実施形態では、排気浄化装置8は、エンジン5からの排気ガスに含まれる粒子状物質を除去するDPF10を有しているが、本発明は、排気ガスの排気温度が高くなるのであれば、DPFが具備されていないフォークリフトにも適用可能である。また、上記実施形態では、エンジン5がディーゼルエンジンであるが、本発明は、排気ガスの排気温度が高くなるのであれば、例えばガソリンエンジンが搭載されたフォークリフトにも適用可能である。
【0056】
また、上記実施形態は、荷役装置を備えたフォークリフト1であるが、本発明は、カウンタウエイト、ラジエータ、ラジエータファン及び排気管を備え、排気管内を流れる排気ガスの排気温度が上昇する産業車両であれば、適用可能である。
【符号の説明】
【0057】
1,1A…フォークリフト(産業車両)、2…車体、4…カウンタウエイト、5…エンジン、6…ラジエータ、7…ラジエータファン、7a…羽根、7b…中心部、11…下流側排気管(排気管)、14…テールパイプ、14a…周面部、17…閉塞部、17a…傾斜部分、18…第1排気口、19…第2排気口、20…絞り部、21…板状部材、21a…傾斜部、41…第1パイプ、42…第2パイプ、43…嵌合部、44…絞り部。