(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-26
(45)【発行日】2023-07-04
(54)【発明の名称】水中ポンプ
(51)【国際特許分類】
F04D 13/08 20060101AFI20230627BHJP
F04D 29/02 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
F04D13/08 Z
F04D13/08 U
F04D29/02
(21)【出願番号】P 2019186416
(22)【出願日】2019-10-09
【審査請求日】2022-04-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000150844
【氏名又は名称】株式会社鶴見製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 剛
【審査官】大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-242880(JP,A)
【文献】特開2019-015204(JP,A)
【文献】特開2007-046489(JP,A)
【文献】特開2003-147557(JP,A)
【文献】特開2002-242883(JP,A)
【文献】特開2019-78218(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 13/08
F04D 29/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製のポンプケーシングと、
回転軸の一端に固定され、前記ポンプケーシングの内側のポンプ室に配置される金属製の羽根車と、
前記羽根車の近傍に設置され、前記羽根車を形成する金属材料および前記ポンプケーシングを形成する金属材料よりも貴な金属材料により形成され、前記羽根車および前記ポンプケーシングへの付着物の付着を防止するための付着防止用電極とを備え
、
前記ポンプケーシングは、前記ポンプ室が内側に設けられるポンプケーシング本体と、前記ポンプ室への吸込口を有し、前記ポンプケーシング本体に設置されるカバー部材とを含み、
前記付着防止用電極は、前記ポンプ室の内側で前記カバー部材の前記羽根車に対向する対向面に対して反対側に位置するとともに、前記ポンプ室の外側に位置する外表面に設置されている、水中ポンプ。
【請求項2】
前記カバー部材を前記ポンプケーシング本体に固定するカバー部材用固定部材をさらに備え、
前記付着防止用電極は、前記カバー部材用固定部材により、前記カバー部材とともに前記ポンプケーシング本体に固定されている、請求項
1に記載の水中ポンプ。
【請求項3】
前記付着防止用電極は、前記吸込口を取り囲む円環状の板状部材である、請求項
1または
2に記載の水中ポンプ。
【請求項4】
金属製のポンプケーシングと、
回転軸の一端に固定され、前記ポンプケーシングの内側のポンプ室に配置される金属製の羽根車と、
前記羽根車の近傍に設置され、前記羽根車を形成する金属材料および前記ポンプケーシングを形成する金属材料よりも貴な金属材料により形成され、前記羽根車および前記ポンプケーシングへの付着物の付着を防止するための付着防止用電極とを備え、
前記羽根車は、前記回転軸の軸方向と交差する方向に延びる板状部と、前記板状部から前記ポンプ室への吸込口側に突出する羽根部とを含み、
前記付着防止用電極は、前記ポンプ室の内側で前記板状部の前記羽根部側の一方面とは反対側の他方面に設置されている
、水中ポンプ。
【請求項5】
金属製のポンプケーシングと、
回転軸の一端に固定され、前記ポンプケーシングの内側のポンプ室に配置される金属製の羽根車と、
前記羽根車の近傍に設置され、前記羽根車を形成する金属材料および前記ポンプケーシングを形成する金属材料よりも貴な金属材料により形成され、前記羽根車および前記ポンプケーシングへの付着物の付着を防止するための付着防止用電極とを備え、
前記付着防止用電極は、前記羽根車を前記回転軸の前記一端に固定する羽根車用固定部材である
、水中ポンプ。
【請求項6】
前記付着防止用電極は、前記羽根車を前記回転軸との間に挟み込むことにより、前記羽根車を前記回転軸の前記一端に固定する袋ナットである、請求項
5に記載の水中ポンプ。
【請求項7】
金属製のポンプケーシングと、
回転軸の一端に固定され、前記ポンプケーシングの内側のポンプ室に配置される金属製の羽根車と、
前記羽根車の近傍に設置され、前記羽根車を形成する金属材料および前記ポンプケーシングを形成する金属材料よりも貴な金属材料により形成され、前記羽根車および前記ポンプケーシングへの付着物の付着を防止するための付着防止用電極とを備え、
前記付着防止用電極は、水中ポンプ本体に取り付けられる取付部材を介して、前記ポンプ室の外側の前記ポンプケーシングの側方に設置されている
、水中ポンプ。
【請求項8】
金属製のポンプケーシングと、
回転軸の一端に固定され、前記ポンプケーシングの内側のポンプ室に配置される金属製の羽根車と、
前記羽根車の近傍に設置され、前記羽根車を形成する金属材料および前記ポンプケーシングを形成する金属材料よりも貴な金属材料により形成され、前記羽根車および前記ポンプケーシングへの付着物の付着を防止するための付着防止用電極とを備え、
前記ポンプケーシングは、鉄またはアルミニウムにより形成され、
前記付着防止用電極は、銅により形成されている
、水中ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中ポンプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、回転軸の腐食を抑制する防食電極を備える水中ポンプが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、羽根車と、金属製のハウジング(ポンプケーシング)と、ハウジングを形成する金属材料よりも卑な金属材料(イオン化傾向の大きい金属材料)により形成された防食電極とを備える水中ポンプが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1には明記されていないが、水中ポンプがトンネル作業現場などで使用される場合、ハウジング(ポンプケーシング)および羽根車の表面に付着物が付着する場合がある。たとえば、炭酸カルシウムの付着物が、ハウジングおよび羽根車の表面に付着することが知られている。このような場合、付着物が徐々にハウジングおよび羽根車の表面に堆積し、羽根車が堆積した付着物に接触することにより羽根車の回転が阻害されるという問題点がある。なお、付着物が羽根車の回転を阻害するとポンプ効率が低下するため好ましくない。上記特許文献1に記載の水中ポンプにおいても同様の問題点があると考えられる。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、羽根車に付着物が接触することにより羽根車の回転が付着物によって阻害されることを防止(抑制)することが可能な水中ポンプを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本願発明者が鋭意検討した結果、羽根車およびポンプケーシングよりも卑な金属材料により形成された防食電極を備える水中ポンプにおいては、防食電極を備えない水中ポンプと比較して羽根車およびポンプケーシングに付着物が特に付着しやすくなるとともに、腐食する側の構成である防食電極には付着物が付着しない(付着しにくい)ことを見出した。すなわち、水中ポンプに羽根車およびポンプケーシングよりも貴な金属材料により形成された付着防止用電極を設けて、羽根車およびポンプケーシングを積極的に腐食する側にすることによって、羽根車およびポンプケーシングへの付着物の付着を効果的に防止(抑制)することができるという知見を得るとともに、この知見に着目して本発明に想到した。そこで、この発明の第1の局面による水中ポンプは、金属製のポンプケーシングと、回転軸の一端に固定され、ポンプケーシングの内側のポンプ室に配置される金属製の羽根車と、羽根車の近傍に設置され、羽根車を形成する金属材料およびポンプケーシングを形成する金属材料よりも貴な金属材料により形成され、羽根車およびポンプケーシングへの付着物の付着を防止するための付着防止用電極とを備え、ポンプケーシングは、ポンプ室が内側に設けられるポンプケーシング本体と、ポンプ室への吸込口を有し、ポンプケーシング本体に設置されるカバー部材とを含み、付着防止用電極は、ポンプ室の内側でカバー部材の羽根車に対向する対向面に対して反対側に位置するとともに、ポンプ室の外側に位置する外表面に設置されている。
【0008】
この発明の第1の局面による水中ポンプでは、上記のように、羽根車を形成する金属材料およびポンプケーシングを形成する金属材料よりも貴な金属材料により形成され、羽根車およびポンプケーシングへの付着物の付着を防止するための付着防止用電極を設ける。これにより、羽根車およびポンプケーシングと付着防止用電極とのイオン化傾向の大小関係を、従来のポンプケーシングと防食電極とのイオン化傾向の大小関係と逆にすることができる。すなわち、羽根車およびポンプケーシングを積極的に腐食する側にすることができる。したがって、羽根車およびポンプケーシングに付着物が付着するのを防止(抑制)することができる。その結果、羽根車に付着物が接触(または付着)することにより羽根車の回転が付着物により阻害されることを防止(抑制)することができる。これにより、ポンプ効率が低下することを防止(抑制)することができる。ここで、付着物による羽根車の回転の阻害は、特に、対向面(羽根車とカバー部材との間)に付着物が付着することに起因して発生すると考えられる。そこで、上記のように構成すれば、対向面の比較的近くに付着防止用電極を配置することができるので、対向面に付着物が付着するのを効果的に防止(抑制)することができる。したがって、対向面に付着した付着物が羽根車に接触することにより羽根車の回転が阻害されることを効果的に防止(抑制)することができる。
【0012】
上記第1の局面による水中ポンプにおいて、好ましくは、カバー部材をポンプケーシング本体に固定するカバー部材用固定部材をさらに備え、付着防止用電極は、カバー部材用固定部材により、カバー部材とともにポンプケーシング本体に固定されている。このように構成すれば、付着防止用電極を固定するための専用の構成を設けることなく、既存の構成であるカバー部材用固定部材により付着防止用電極を固定することができる。すなわち、装置構成が複雑化するのを抑制することができる。
【0013】
上記第1の局面による水中ポンプにおいて、好ましくは、付着防止用電極は、吸込口を取り囲む円環状の板状部材である。このように構成すれば、対向面のより広い範囲にわたり、対向面の比較的近くに付着防止用電極を配置することができるので、対向面に付着物が付着するのをより効果的に防止(抑制)することができる。したがって、対向面に付着した付着物が羽根車に接触することにより羽根車の回転が阻害されることを効果的に防止(抑制)することができる。
【0014】
この発明の第2の局面による水中ポンプは、金属製のポンプケーシングと、回転軸の一端に固定され、ポンプケーシングの内側のポンプ室に配置される金属製の羽根車と、羽根車の近傍に設置され、羽根車を形成する金属材料およびポンプケーシングを形成する金属材料よりも貴な金属材料により形成され、羽根車およびポンプケーシングへの付着物の付着を防止するための付着防止用電極とを備え、羽根車は、回転軸の軸方向と交差する方向に延びる板状部と、板状部からポンプ室への吸込口側に突出する羽根部とを含み、付着防止用電極は、ポンプ室の内側で板状部の羽根部側の一方面とは反対側の他方面に設置されている。
この発明の第2の局面による水中ポンプでは、上記のように、羽根車を形成する金属材料およびポンプケーシングを形成する金属材料よりも貴な金属材料により形成され、羽根車およびポンプケーシングへの付着物の付着を防止するための付着防止用電極を設ける。これにより、上記第1の局面による水中ポンプと同様に、羽根車に付着物が接触(または付着)することにより羽根車の回転が付着物により阻害されることを防止(抑制)することができる。また、ポンプケーシングに囲まれる羽根車に付着防止用電極を直接設置することができるので、羽根車およびポンプケーシングに付着物が付着するのを効果的に防止(抑制)することができる。
【0015】
この発明の第3の局面による水中ポンプは、金属製のポンプケーシングと、回転軸の一端に固定され、ポンプケーシングの内側のポンプ室に配置される金属製の羽根車と、羽根車の近傍に設置され、羽根車を形成する金属材料およびポンプケーシングを形成する金属材料よりも貴な金属材料により形成され、羽根車およびポンプケーシングへの付着物の付着を防止するための付着防止用電極とを備え、付着防止用電極は、羽根車を回転軸の一端に固定する羽根車用固定部材である。
この発明の第3の局面による水中ポンプでは、上記のように、羽根車を形成する金属材料およびポンプケーシングを形成する金属材料よりも貴な金属材料により形成され、羽根車およびポンプケーシングへの付着物の付着を防止するための付着防止用電極を設ける。これにより、上記第1の局面による水中ポンプと同様に、羽根車に付着物が接触(または付着)することにより羽根車の回転が付着物により阻害されることを防止(抑制)することができる。また、羽根車を回転軸に固定するための既存の構成である羽根車用固定部材を付着防止用電極として利用することができるので、付着防止用電極として専用の構成を設ける場合と比較して、部品点数を減らすことができる。その結果、装置構成が複雑化するのを防止することができる。
【0016】
上記第3の局面による水中ポンプにおいて、好ましくは、付着防止用電極は、羽根車を回転軸との間に挟み込むことにより、羽根車を回転軸の一端に固定する袋ナットである。このように構成すれば、既存の構成である袋ナットの材質を変えるだけで、羽根車およびポンプケーシングに付着物が付着するのを防止(抑制)することができる。
【0017】
この発明の第4の局面による水中ポンプは、金属製のポンプケーシングと、回転軸の一端に固定され、ポンプケーシングの内側のポンプ室に配置される金属製の羽根車と、羽根車の近傍に設置され、羽根車を形成する金属材料およびポンプケーシングを形成する金属材料よりも貴な金属材料により形成され、羽根車およびポンプケーシングへの付着物の付着を防止するための付着防止用電極とを備え、付着防止用電極は、水中ポンプ本体に取り付けられる取付部材を介して、ポンプ室の外側のポンプケーシングの側方に設置されている。
この発明の第4の局面による水中ポンプでは、上記のように、羽根車を形成する金属材料およびポンプケーシングを形成する金属材料よりも貴な金属材料により形成され、羽根車およびポンプケーシングへの付着物の付着を防止するための付着防止用電極を設ける。これにより、上記第1の局面による水中ポンプと同様に、羽根車に付着物が接触(または付着)することにより羽根車の回転が付着物により阻害されることを防止(抑制)することができる。また、水中ポンプ本体の外側で、取付部材により付着防止用電極を水中ポンプ本体に取り付けることができるので、付着防止用電極の交換作業(取付作業および取外作業)を容易に行うことができる。
【0018】
この発明の第5の局面による水中ポンプは、金属製のポンプケーシングと、回転軸の一端に固定され、ポンプケーシングの内側のポンプ室に配置される金属製の羽根車と、羽根車の近傍に設置され、羽根車を形成する金属材料およびポンプケーシングを形成する金属材料よりも貴な金属材料により形成され、羽根車およびポンプケーシングへの付着物の付着を防止するための付着防止用電極とを備え、ポンプケーシングは、鉄またはアルミニウムにより形成され、付着防止用電極は、銅により形成されている。
この発明の第5の局面による水中ポンプでは、上記のように、羽根車を形成する金属材料およびポンプケーシングを形成する金属材料よりも貴な金属材料により形成され、羽根車およびポンプケーシングへの付着物の付着を防止するための付着防止用電極を設ける。これにより、上記第1の局面による水中ポンプと同様に、羽根車に付着物が接触(または付着)することにより羽根車の回転が付着物により阻害されることを防止(抑制)することができる。また、鉄またはアルミニウムにより形成されたポンプケーシングよりも貴な金属材料(イオン化傾向が小さい金属材料)である銅により形成された付着防止用電極により、ポンプケーシングに付着物が付着するのを防止(抑制)することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、上記のように、羽根車に付着物が接触することにより羽根車の回転が付着物によって阻害されることを防止(抑制)することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】第1実施形態による水中ポンプの全体構成を示した概略図である。
【
図2】
図1の900-900線に沿った矢視図である。
【
図3】第2実施形態による水中ポンプの全体構成を示した概略図である。
【
図4】第3実施形態による水中ポンプの付着防止用電極を拡大して示した図である。
【
図5】第4実施形態による水中ポンプの付着防止用電極を拡大して示した図である。
【
図7】第5実施形態による水中ポンプの全体構成を示した概略図である。
【
図8】変形例による水中ポンプの全体構成を示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
[第1実施形態]
(水中ポンプの構成)
図1および
図2を参照して、第1実施形態の水中ポンプ100について説明する。水中ポンプ100は、回転軸1が上下方向(Z方向)に延びる縦型の水中電動ポンプである。なお、各図では、回転軸1の軸方向をZ方向により示し、Z方向のうち羽根車5側からモータ2側を向く方向をZ1方向とし、Z1方向の反対方向をZ2方向により示す。
【0024】
水中ポンプ100は、回転軸1と、モータ2と、ポンプケーシング3と、羽根車5と、付着防止用電極6と、水位検知部7とを備えている。
【0025】
ここで、一般的に、トンネルの延伸作業が行われる現場などで使用される水中ポンプは、経時的な使用に伴って表面に付着物が付着(堆積)し、徐々に付着物の付着量(堆積量)が大きくなることが知られている。具体的な一例としては、炭酸カルシウムが水中ポンプの羽根車およびポンプケーシングに付着することが知られている。羽根車およびポンプケーシングへの付着物の付着が進行した場合、付着物によりポンプケーシングの内側のポンプ室に配置された羽根車の回転が阻害されて、ポンプ効率が低下してしまうことがある。そこで、第1実施形態の水中ポンプ100は、羽根車5およびポンプケーシング3への付着物の付着を防止するために付着防止用電極6を備えている。
【0026】
回転軸1は、概して上下方向(Z方向)に延びる円柱形状を有している。回転軸1は、一端1a(下端)に羽根車5が固定されており、他端1b(上端)側にモータ2(回転子21)が固定されている。
【0027】
回転軸1には、一端1aに、羽根車5が嵌合により設置される嵌合部10が設けられている。嵌合部10は、直径(外径)が、嵌合部10よりも上方の部分の直径(外径)よりも僅かに小さくなるように形成されている。また、嵌合部10の上端には、嵌合部10に嵌合した羽根車5の上方への移動を当接により規制する当接面11が設けられている。なお、当接面11は、羽根車5の上下方向(回転軸1の軸方向)の位置決めとして機能する。羽根車5は、嵌合部10に嵌合して当接面11に下方から当接した状態で、固定部材B1により回転軸1の一端1aに固定されている。
【0028】
モータ2は、回転軸1を回転駆動させるように構成されている。そして、モータ2は、回転軸1を介して羽根車5を回転駆動させるように構成されている。詳細には、モータ2は、コイルを有する固定子20と、固定子20の内周側に配置された回転子21とを含んでいる。回転子21には、回転軸1が固定されている。モータ2は、固定子20により磁界を発生させることによって、回転子21とともに回転軸1を回転駆動させるように構成されている。
【0029】
ポンプケーシング3は、金属製である。具体的には、ポンプケーシング3は、鉄(鉄を主成分とする合金を含む)により形成されている。ポンプケーシング3の内側には、ポンプ室3aが設けられている。ポンプ室3aの上方には、メカニカルシール80およびオイルリフター81が配置されたオイル室8が設けられている。ポンプケーシング3の下方には、ストレーナスタンド30が設置されている。ポンプケーシング3は、ポンプ室3aが内側に設けられるポンプケーシング本体3bと、吸込口4aを有し、ポンプケーシング本体3bに設置されるサクションカバー4とを含んでいる。サクションカバー4は特許請求の範囲の「カバー部材」の一例である。
【0030】
サクションカバー4は、ポンプケーシング3に対して下方から設置されるように構成されている。サクションカバー4は、回転軸1の軸方向(Z方向)から見て、円形状の外縁形状を有している(
図2参照)。サクションカバー4は、内周側(回転軸1側)に、上方に窪む凹部40を有している。また、サクションカバー4は、ポンプ室3aへの吸込口4aを有している。吸込口4aは、平面視で、円形状を有する貫通穴である。吸込口4aは、回転軸1および羽根車5の直下に配置されている。
【0031】
また、水中ポンプ100は、サクションカバー4をポンプケーシング本体3bに固定するサクションカバー用ボルト6aを備えている。なお、サクションカバー用ボルト6aは特許請求の範囲の「カバー部材用固定部材」の一例である。
【0032】
図2に示すように、サクションカバー用ボルト6aは、後述する外表面4cに下方から設置されるように構成されている。サクションカバー用ボルト6aは、回転軸1の軸方向(Z方向)から見て、凹部40よりも外周側に配置されている。サクションカバー用ボルト6aは、吸込口4a(回転軸1)を取り囲むように、等角度間隔で複数(4つ)設けられている。サクションカバー4には、サクションカバー用ボルト6aにより、付着防止用電極6が設置されている。詳細については後述する。
【0033】
図1に示すように、羽根車5は、回転軸1の一端1aに固定され、ポンプケーシング3の内側のポンプ室3aに配置されている。羽根車5は、板状部50(シュラウド)と、羽根部51(ベーン)とを含んでいる。板状部50は、回転軸1の軸方向と交差する水平方向に延びている。板状部50は、円板形状を有している。羽根部51は、板状部50からポンプ室3aへの吸込口4a側(下側)に突出している。
【0034】
羽根車5は、金属製である。具体的には、羽根車5は、鉄(鉄を主成分とする合金を含む)により形成されている。より具体的な一例として、羽根車5は、ダクタイル鋳鉄(Ferrum Casting Ductile)またはハイクロム鋳鉄などにより形成されている。
【0035】
付着防止用電極6は、細長い板状部材である。付着防止用電極6は、複数(4つ)設けられている(
図2参照)。付着防止用電極6は、羽根車5の近傍で、かつ、ポンプケーシング3の外側に配置されている。また、付着防止用電極6は、ポンプケーシング3の内側のポンプ室3aへの吸込口4a近傍に設けられている。
【0036】
詳細には、付着防止用電極6は、ポンプ室3aの内側でサクションカバー4の羽根車5に対向する対向面4b(サクションカバー4の上面)に対して反対側に位置するとともに、ポンプ室3aの外側に位置する外表面4c(サクションカバー4の下面)に設置されている。付着防止用電極6は、サクションカバー用ボルト6aにより、サクションカバー4とともにポンプケーシング本体3bに固定されている。すなわち、付着防止用電極6は、付着防止用電極6とポンプケーシング本体3bとの間に、サクションカバー4を挟み込むようにして、サクションカバー用ボルト6aにより、ポンプケーシング本体3bに対して固定されている。
【0037】
図2に示すように、付着防止用電極6は、長手方向が回転軸1の半径方向と略一致するように配置されている。付着防止用電極6の内周側端部61は、回転軸1の軸方向(Z方向)から見て、吸込口4aとは重ならない吸込口4aよりも外周側の位置で、かつ、吸込口4aの近傍に配置されている。内周側端部61は、回転軸1の軸方向(Z方向)から見て、凹部40と重なる位置に配置されている。付着防止用電極6の外周側端部62は、回転軸1の軸方向(Z方向)から見て、サクションカバー4の外周側端部の近傍に配置されている。また、付着防止用電極6は、凹部40よりも下方側(凹部40の外側)に配置されている(
図1参照)。
【0038】
図1に示す付着防止用電極6は、ポンプケーシング3および羽根車5を形成する金属材料よりも貴な金属材料(イオン化傾向が小さい金属材料)により形成されている。すなわち、付着防止用電極6は、鉄(鉄を主成分とする合金を含む)よりも貴な金属材料により形成されている。具体的には、付着防止用電極6は、銅(銅を主成分とする合金を含む)により形成されている。
【0039】
ここで、互いにイオン化傾向が異なる2つの金属材料を近接させて水中に配置した場合、イオン化傾向が小さい金属材料には付着物が積極的に付着する一方、イオン化傾向が大きい金属材料には付着物が付着しない(付着しにくい)。このため、ポンプケーシング3および羽根車5は、付着防止用電極6により付着物の付着を防止することができる。すなわち、水中ポンプ100は、付着防止用電極6によりポンプケーシング3および羽根車5を積極的に腐食する側にすることによって、ポンプケーシング3および羽根車5の腐食を防止することが可能に構成されている。
【0040】
水位検知部7は、フロート式の水位検知部である。水位検知部7は、水中ポンプ本体9が設置される領域Rの水位を検知するように構成されている。水中ポンプ100は、水位検知部7の検知結果に基づいてポンプケーシング3の水没状態を保持するように構成されている。
【0041】
詳細には、水位検知部7は、第1フロート70と、第1フロート70の下方に配置された第2フロート71とを含んでいる。第2フロート71は、ポンプケーシング3の上端よりも上方に配置されている。また、第2フロート71は、上下方向(Z方向)において、ポンプケーシング3の上端の近傍に配置されている。
【0042】
第1フロート70は、水中ポンプ100を始動させる機能を有している。すなわち、領域Rの水位が上昇に伴い、第1フロート70が上方に移動して所定のポンプ始動水位が検知される。そして、水中ポンプ100は、第1フロート70のポンプ始動水位の検知に基づいて始動する。
【0043】
第2フロート71は、水中ポンプ100を停止させる機能を有している。すなわち、領域Rの水位が低下に伴い、第2フロート71が下方に移動して所定のポンプ停止水位が検知される。そして、水中ポンプ100は、第2フロート71のポンプ停止水位の検知に基づいて停止する。なお、水中ポンプ100は、ポンプ停止水位の検知から所定時間経過後に停止するように構成されている。一例ではあるが、水中ポンプ100は、ポンプ停止水位の検知から10秒経過後に停止するように構成されている。
【0044】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0045】
第1実施形態では、上記のように、羽根車5を形成する金属材料およびポンプケーシング3を形成する金属材料よりも貴な金属材料により形成され、羽根車5およびポンプケーシング3への付着物の付着を防止するための付着防止用電極6を設ける。これにより、羽根車5およびポンプケーシング3と付着防止用電極6とのイオン化傾向の大小関係を、従来のポンプケーシング3と防食電極とのイオン化傾向の大小関係と逆にすることができる。すなわち、羽根車5およびポンプケーシング3を積極的に腐食する側にすることができる。したがって、羽根車5およびポンプケーシング3に付着物が付着するのを防止(抑制)することができる。その結果、羽根車5に付着物が接触(または付着)することにより羽根車5の回転が付着物によって阻害されることを防止(抑制)することができる。これにより、ポンプ効率が低下することを防止(抑制)することができる。
【0046】
第1実施形態では、上記のように、付着防止用電極6は、羽根車5の近傍で、かつ、ポンプケーシング3の外側に配置されている。これにより、付着防止用電極6の交換作業(取付作業および取外作業)を容易に行うことができる。
【0047】
第1実施形態では、上記のように、付着防止用電極6は、ポンプケーシング3の内側のポンプ室3aへの吸込口4a近傍に設けられている。これにより、吸込口4a近傍において、羽根車5およびポンプケーシング3に付着物が付着するのを効果的に防止(抑制)することができる。
【0048】
第1実施形態では、上記のように、ポンプケーシング3は、ポンプ室3aが内側に設けられるポンプケーシング本体3bと、吸込口4aを有し、ポンプケーシング本体3bに設置されるサクションカバー4とを含み、付着防止用電極6は、ポンプ室3aの内側でサクションカバー4の羽根車5に対向する対向面4bに対して反対側に位置するとともに、ポンプ室3aの外側に位置する外表面4cに設置されている。ここで、付着物による羽根車の回転の阻害は、特に、対向面4b(羽根車5とサクションカバー4との間)に付着物が付着することに起因して発生すると考えられる。そこで、上記のように構成することによって、対向面4bの比較的近くに付着防止用電極6を配置することができるので、対向面4bに付着物が付着するのを効果的に防止(抑制)することができる。したがって、対向面4bに付着した付着物が羽根車5に接触することにより羽根車5の回転が阻害されることを効果的に防止(抑制)することができる。
【0049】
第1実施形態では、上記のように、サクションカバー4をポンプケーシング本体3bに固定するサクションカバー用ボルト6aをさらに備え、付着防止用電極6は、サクションカバー用ボルト6aにより、サクションカバー4とともにポンプケーシング本体3bに固定されている。これにより、付着防止用電極6を固定するための専用の構成を設けることなく、既存の構成であるサクションカバー用ボルト6aにより付着防止用電極6を固定することができる。すなわち、装置構成が複雑化するのを抑制することができる。
【0050】
第1実施形態では、上記のように、ポンプケーシング3は、鉄またはアルミニウムにより形成され、付着防止用電極6は、銅により形成されている。これにより、鉄またはアルミニウムにより形成されたポンプケーシング3よりも貴な金属材料(イオン化傾向が小さい金属材料)である銅により形成された付着防止用電極6により、ポンプケーシング3に付着物が付着するのを防止(抑制)することができる。
【0051】
第1実施形態では、上記のように、水中ポンプ本体9が設置される領域Rの水位を検知する水位検知部7をさらに備え、水位検知部7の検知結果に基づいてポンプケーシング3の水没状態を保持するように構成されている。ここで、ポンプケーシング3の水没状態を保持した場合、付着物を含む水がポンプケーシング3の表面に付着した状態で水面上に露出して乾燥することがなくなるため、ポンプケーシング3への付着物の付着が抑制されると考えられる。そこで、上記のように構成することによって、水位検知部7によりポンプケーシング3の水没状態を保持して、ポンプケーシング3への付着物の付着を効果的に抑制することができる。
【0052】
[第2実施形態]
図3を参照して、第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、付着防止用電極6をサクションカバー4の凹部40よりも下方側(凹部40の外側)に配置した上記第1実施形態とは異なり、付着防止用電極206をサクションカバー4の凹部40の内側に配置する例について説明する。なお、図中において、上記第1実施形態と同様の構成の部分には、同一の符号を付している。
【0053】
第2実施形態の水中ポンプ200は、付着防止用電極206を備えている。
【0054】
付着防止用電極206は、サクションカバー4の上方に窪む凹部40の内側に配置されている。詳細には、付着防止用電極206は、凹部40の上方側の底部分に配置されている。付着防止用電極206は、吸込口4aを取り囲む円環状の板状部材である。付着防止用電極206は、ボルトB2によりサクションカバー4に固定されている。なお、ボルトB2は、付着防止用電極206をサクションカバー4に固定するための専用のボルトである。
【0055】
付着防止用電極206の回転軸1の軸方向(Z方向)の厚みは、サクションカバー4の付着防止用電極206が設置された部分の厚みよりも小さい。一例ではあるが、付着防止用電極206の厚みは、サクションカバー4の厚みの約半分の大きさである。
【0056】
サクションカバー4は、サクションカバー用ボルトB3によりポンプケーシング3に固定されている。サクションカバー用ボルトB3は、第1実施形態とは異なり、サクションカバー4のみを固定するためのボルトである。以降の実施形態においても同様である。
【0057】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0058】
第2実施形態では、上記のように構成することによって、上記第1実施形態と同様に、羽根車5に付着物が接触(または付着)することにより羽根車5の回転が付着物によって阻害されることを防止(抑制)することができる。
【0059】
第2実施形態では、上記のように、付着防止用電極206は、吸込口4aを取り囲む円環状の板状部材である。これにより、対向面4bのより広い範囲にわたり、対向面4bの比較的近くに付着防止用電極206を配置することができるので、対向面4bに付着物が付着するのをより効果的に防止(抑制)することができる。したがって、対向面4bに付着した付着物が羽根車5に接触することにより付着物が羽根車5の回転を阻害することをより効果的に防止(抑制)することができる。
【0060】
[第3実施形態]
図4を参照して、第3実施形態について説明する。この第3実施形態では、サクションカバー4に付着防止用電極6を設置した上記第1実施形態とは異なり、回転軸1に付着防止用電極306を設置する例について説明する。なお、図中において、上記第1実施形態と同様の構成の部分には、同一の符号を付している。
【0061】
第3実施形態の水中ポンプ300は、付着防止用電極306を備えている。
【0062】
付着防止用電極306は、羽根車5を回転軸1の一端1aに固定する羽根車用固定部材である。詳細には、付着防止用電極306は、羽根車5を回転軸1(当接面11)との間に挟み込むことにより、羽根車5を回転軸1の一端1aに固定する袋ナットである。付着防止用電極306は、羽根車5の近傍で、かつ、ポンプケーシング3の内側のポンプ室3aに配置されている。付着防止用電極306は、回転軸1の一端1a(下端)に螺合により設置されている。
【0063】
(第3実施形態の効果)
第3実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0064】
第3実施形態では、上記のように構成することによって、上記第1実施形態と同様に、羽根車5に付着物が接触(または付着)することにより羽根車5の回転が付着物によって阻害されることを防止(抑制)することができる。
【0065】
第3実施形態では、上記のように、付着防止用電極306は、羽根車5の近傍で、かつ、ポンプケーシング3の内側のポンプ室3aに配置されている。これにより、羽根車5の比較的近くに付着防止用電極306を配置することができるので、羽根車5に付着物が接触(または付着)することにより羽根車5の回転が付着物によって阻害されることを効果的に防止(抑制)することができる。
【0066】
第3実施形態では、上記のように、付着防止用電極306は、羽根車5を回転軸1の一端1aに固定する羽根車用固定部材である。これにより、羽根車5を回転軸1に固定するための既存の構成である羽根車用固定部材を付着防止用電極306として利用することができるので、付着防止用電極306として専用の構成を設ける場合と比較して、部品点数を減らすことができる。その結果、装置構成が複雑化するのを防止することができる。
【0067】
第3実施形態では、上記のように、付着防止用電極306は、羽根車5を回転軸1との間に挟み込むことにより、羽根車5を回転軸1の一端1aに固定する袋ナットである。これにより、既存の構成である袋ナットの材質を変えるだけで、羽根車5およびポンプケーシング3に付着物が付着するのを防止(抑制)することができる。
【0068】
[第4実施形態]
図5および
図6を参照して、第4実施形態について説明する。この第4実施形態では、サクションカバー4に付着防止用電極6を設置した上記第1実施形態とは異なり、羽根車5に付着防止用電極406を設置する例について説明する。なお、図中において、上記第1実施形態と同様の構成の部分には、同一の符号を付している。
【0069】
図5に示すように、第4実施形態の水中ポンプ400は、付着防止用電極406を備えている。
【0070】
ここで、羽根車5は、上記第1実施形態において説明したように、回転軸1の軸方向と交差する方向に延びる板状部50と、板状部50からポンプ室3aへの吸込口4a側に突出する羽根部51とを含んでいる。付着防止用電極406は、ポンプ室3aの内側で板状部50の羽根部51側の一方面50aとは反対側の他方面50bに設置されている。付着防止用電極406は、回転軸1を取り囲む円環形状に形成されている。付着防止用電極406は、他方面50bの(略)全体に接触するように設置されている。
【0071】
図6に示すように、付着防止用電極406は、上方から取り付けられる複数の皿ネジB4により、板状部50に設置(固定)されている。皿ネジB4は、付着防止用電極406の上面406aから上方に突出することがないように、付着防止用電極406および板状部50に取り付けられている。すなわち、皿ネジB4は、付着防止用電極406の上面406aよりもZ2方向側に配置されている。
【0072】
図5に示すように、付着防止用電極406の上面406aとポンプケーシング3との間の隙間(上下方向の隙間)は、羽根部51とサクションカバー4との間の隙間(上下方向の隙間)と比較して十分に大きく設定されている。この場合、付着防止用電極406の上面406aとポンプケーシング3との間には、付着物が上面406aに付着したとしても、付着物が羽根車5の回転を阻害することがない程度の所定の隙間(比較的大きな隙間)が必要である。
【0073】
(第4実施形態の効果)
第4実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0074】
第4実施形態では、上記のように構成することによって、上記第1実施形態と同様に、羽根車5に付着物が接触(または付着)することにより羽根車5の回転が付着物によって阻害されることを防止(抑制)することができる。
【0075】
第4実施形態では、上記のように、羽根車5は、回転軸1の軸方向と交差する方向に延びる板状部50と、板状部50からポンプ室3aへの吸込口4a側に突出する羽根部51とを含み、付着防止用電極406は、ポンプ室3aの内側で板状部50の羽根部51側の一方面50aとは反対側の他方面50bに設置されている。これにより、ポンプケーシング3に囲まれる羽根車5に付着防止用電極406を直接設置することができるので、羽根車5およびポンプケーシング3に付着物が付着するのを効果的に防止(抑制)することができる。
【0076】
[第5実施形態]
図7を参照して、第5実施形態について説明する。この第5実施形態では、ポンプケーシング3の下方に付着防止用電極6を配置した上記第1実施形態とは異なり、ポンプケーシング3の側方に付着防止用電極506を配置する例について説明する。なお、図中において、上記第1実施形態と同様の構成の部分には、同一の符号を付している。
【0077】
第5実施形態の水中ポンプ500は、付着防止用電極506を備えている。
【0078】
付着防止用電極506は、羽根車5の近傍で、かつ、ポンプケーシング3の外側に配置されている。付着防止用電極506は、水中ポンプ本体9に取り付けられる取付部材506aを介して、ポンプ室3aの外側のポンプケーシング3の側方に設置されている。すなわち、付着防止用電極506は、上下方向(回転軸の軸方向)において、少なくとも一部分がポンプケーシング3と重なる位置に配置されている。
【0079】
(第5実施形態の効果)
第5実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0080】
第5実施形態では、上記のように構成することによって、上記第1実施形態と同様に、羽根車5に付着物が接触(または付着)することにより羽根車5の回転が付着物によって阻害されることを防止(抑制)することができる。
【0081】
第5実施形態では、上記のように、付着防止用電極506は、水中ポンプ本体9に取り付けられる取付部材506aを介して、ポンプ室3aの外側のポンプケーシング3の側方に設置されている。これにより、水中ポンプ本体9の外側で、取付部材506aにより付着防止用電極506を水中ポンプ本体9に取り付けることができるので、付着防止用電極506の交換作業(取付作業および取外作業)を容易に行うことができる。
【0082】
(変形例)
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0083】
たとえば、上記第1および第2実施形態では、付着防止用電極を、サクションカバーの外表面(下面)に設置した例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、
図8に示す変形例の水中ポンプ600のように、付着防止用電極606を、サクションカバー4の対向面4b(上面)に設置してもよい。付着防止用電極606は、上方から取り付けられる複数の皿ネジB4aによりサクションカバー4に設置(固定)されている。この場合、羽根部51と付着防止用電極606との間には、付着物が付着したとしても、付着物が羽根車5の回転を阻害することがない程度の所定の隙間(比較的大きな隙間)が必要である。なお、付着防止用電極606に付着物が付着したとしても、羽根車5の接触により剥がすことが可能な程度の付着量であれば、問題ない。
【0084】
また、上記第1~第5実施形態では、付着防止用電極を、銅により形成した例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、羽根車およびポンプケーシングよりも貴な金属材料であるならば、付着防止用電極を、銀や鉛などの銅以外の金属材料により形成してもよい。ただし、羽根車およびポンプケーシングの腐食を小さく抑える観点では、付着防止用電極のイオン化傾向は、羽根車およびポンプケーシングのイオン化傾向に近い方が好ましい。
【0085】
また、上記第1~第5実施形態では、ポンプケーシングを、鉄により形成した例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、付着防止用電極よりも卑な金属材料であるならば、ポンプケーシングを、アルミニウムなどの鉄以外の金属材料により形成してもよい。ただし、ポンプケーシングの腐食を小さく抑える観点では、ポンプケーシングのイオン化傾向は、付着防止用電極のイオン化傾向に近い方が好ましい。
【0086】
また、上記第1~第5実施形態では、羽根車を、鉄(ダクタイル鋳鉄またはハイクロム鋳鉄など)により形成した例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、付着防止用電極よりも卑な金属材料であるならば、羽根車を、鉄以外の金属材料により形成してもよい。ただし、羽根車の腐食を小さく抑える観点では、羽根車のイオン化傾向は、付着防止用電極のイオン化傾向に近い方が好ましい。なお、羽根車は、ポンプケーシングと同質の金属材料および異質の金属材料のいずれであってもよい。
【0087】
また、上記第1~第5実施形態では、水位検知部を、フロート式の水位検知部とした例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、水位検知部を、電極式の水位検知部などの異なる方式の水位検知部としてもよい。
【0088】
また、上記第1~第5実施形態では、ポンプケーシングがサクションカバーを含む例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、ポンプケーシングがサクションカバーを含んでなくてもよく、ポンプケーシング本体が吸込口を有していてもよい。この場合、ポンプケーシング本体に付着防止用電極を直接設置してもよい。
【0089】
また、上記第1~第5実施形態では、水中ポンプを縦型の水中電動ポンプとした例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、水中ポンプを横型の水中電動ポンプとしてもよい。
【0090】
また、上記第1実施形態では、水中ポンプが複数の付着防止用電極を備える例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、水中ポンプが1つの付着防止用電極を備えていてもよい。この場合、1つの付着防止用電極を、吸込口を取り囲む円環形状の板状部材としてもよい。
【0091】
また、上記第2~第5実施形態では、水中ポンプが1つの付着防止用電極を備える例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、水中ポンプが複数の付着防止用電極を備えていてもよい。
【0092】
また、上記第2および第4実施形態では、付着防止用電極を円環形状に形成した例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、付着防止用電極を半円形状や矩形状などの形状に形成してもよい。
【0093】
また、上記第2実施形態では、付着防止用電極の回転軸の軸方向の厚みは、サクションカバーの付着防止用電極が設置された部分の厚みよりも小さく構成し、一例として付着防止用電極の厚みをサクションカバーの厚みの約半分で構成した例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、付着防止用電極の回転軸の軸方向の厚みは、サクションカバーの付着防止用電極が設置された部分の厚みよりも厚く構成してもよいし、付着防止用電極の厚みをサクションカバーの厚みの約半分よりも小さく構成してもよい。
【0094】
また、上記第4実施形態では、付着防止用電極を、皿ネジによりサクションカバーに対して固定した例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、付着防止用電極を、接着などによりサクションカバーに対して固定してもよい。
【0095】
また、上記第3実施形態では、付着防止用電極である袋ナットにより、羽根車を回転軸に固定した例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、付着防止用電極をボルトにより構成するとともに、付着防止用電極であるボルトにより、羽根車を回転軸に固定してもよい。
【符号の説明】
【0096】
1 回転軸
1a 一端
3 ポンプケーシング
3a ポンプ室
3b ポンプケーシング本体
4 サクションカバー(カバー部材)
4a 吸込口
4b 対向面
4c 外表面
5 羽根車
6、206、306、406、506、606 付着防止用電極
6a サクションカバー用ボルト(カバー部材用固定部材)
7 水位検知部
9 水中ポンプ本体
50 板状部
50a 一方面
50b 他方面
51 羽根部
100、200、300、400、500、600 水中ポンプ
506a 取付部材
R 領域