(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-26
(45)【発行日】2023-07-04
(54)【発明の名称】包装箱及び梱包方法
(51)【国際特許分類】
B65D 5/54 20060101AFI20230627BHJP
B65D 5/02 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
B65D5/54 301D
B65D5/02 K
(21)【出願番号】P 2019186626
(22)【出願日】2019-10-10
【審査請求日】2022-02-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】夏川 準司
(72)【発明者】
【氏名】中路 哲也
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-090292(JP,A)
【文献】特開2018-127255(JP,A)
【文献】実開昭63-049317(JP,U)
【文献】特開2016-210428(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/54
B65D 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後一対の端壁及び左右一対の側壁を有する胴部と、
前記胴部の下側開口部を閉じている底壁と、
前記胴部の上側開口部を閉じている頂壁と、を備え、
前記底壁及び前記頂壁の少なくとも一方は、前記両端壁の縁部に連設された前後一対の内フラップと、前記両側壁の縁部に連設され、前記内フラップの外面に重ねられた左右一対の外フラップと、を有し、
一方の前記端壁から左右一対の前記外フラップ同士の突き合わせ部を経て他方の前記端壁に亘るように粘着テープが貼り付けられることで、前記底壁及び前記頂壁の少なくとも一方の壁が封緘される包装箱であって、
少なくとも一方の前記端壁には、破断誘導線で区画されて前記端壁から分離可能とされた破断部が形成されており、
前記破断部は、
前記粘着テープの端部で覆われる第一部分と、前記第一部分に連続して前記粘着テープの端部から前記粘着テープの延長上に露出する第二部分と、を備えており、
前記端壁には、前記粘着テープが貼り付けられる幅狭領域及び幅広領域が前記第一部分の側方に備わり、
前記幅狭領域よりも前記幅広領域の方が幅寸法が大きくなっており、
前記幅狭領域と前記幅広領域とは前記粘着テープの長手方向に連続して
おり、
前記幅狭領域の前記外フラップ側に前記幅広領域が連続し、さらに当該幅広領域の前記外フラップ側に前記幅狭領域が連続していることを特徴とする包装箱。
【請求項2】
前記破断部は、前記端壁の縁部に連設されていることを特徴とする請求項1に記載の包装箱。
【請求項3】
前後一対の端壁及び左右一対の側壁を有する胴部と、
前記胴部の下側開口部を閉じている底壁と、
前記胴部の上側開口部を閉じている頂壁と、を備え、
前記底壁及び前記頂壁の少なくとも一方は、前記両端壁の縁部に連設された前後一対の内フラップと、前記両側壁の縁部に連設され、前記内フラップの外面に重ねられた左右一対の外フラップと、を有し、
一方の前記端壁から左右一対の前記外フラップ同士の突き合わせ部を経て他方の前記端壁に亘るように粘着テープが貼り付けられることで、前記底壁及び前記頂壁の少なくとも一方の壁が封緘される包装箱であって、
少なくとも一方の前記端壁には、
前記端壁の縁部に連設され破断誘導線で区画されて前記端壁から分離可能とされた破断部が形成されており、
前記破断部は、
前記端壁の縁部に連設される部分の全体を含み前記粘着テープの端部で覆われる第一部分と、前記第一部分に連続して前記粘着テープの端部から前記粘着テープの延長上に露出する第二部分と、を備えており、
前記端壁には、前記粘着テープが貼り付けられる幅狭領域及び幅広領域が前記第一部分の側方
の全体に亘って備わり、
前記幅狭領域よりも前記幅広領域の方が幅寸法が大きくなっており、
前記幅狭領域と前記幅広領域とは前記粘着テープの長手方向に連続していることを特徴とする包装箱。
【請求項4】
前記破断部は、前記内フラップに形成された延在部を備えていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の包装箱。
【請求項5】
底壁及び頂壁の少なくとも一方を、対向する一対の端壁の縁部に連設された内フラップと、残りの対向する一対の側壁の縁部に連設された外フラップと、で閉じ、一方の前記端壁から前記外フラップ同士の突合せ部を経て他方の前記端壁に亘るように粘着テープを貼り付けて封緘するようにした包装箱の梱包方法において、
前記包装箱は、少なくとも一方の前記端壁に、破断誘導線で区画されて前記端壁から分離可能とされた破断部を備えており、
前記破断部は、前記粘着テープの端部で覆われる第一部分と、前記第一部分に連続して前記粘着テープの端部から前記粘着テープの延長上に露出する第二部分と、を備えており、
前記端壁には、前記第一部分の側方に、前記粘着テープが貼り付けられる幅狭領域及び幅広領域が備わり、
前記幅狭領域よりも前記幅広領域の方が幅寸法が大きくなっており、
前記幅狭領域と前記幅広領域とは前記粘着テープの長手方向に連続しており、
前記幅狭領域の前記外フラップ側に前記幅広領域が連続し、さらに当該幅広領域の前記外フラップ側に前記幅狭領域が連続しており、
前記粘着テープは、
前記第一部分の側方
に連続する前記幅狭領域
、前記幅広領域
及び前記幅狭領域を前記粘着テープの端部で覆い、かつ、前記粘着テープの端部から前記粘着テープの長手方向の延長上に前記第二部分が露出するように貼り付けられることを特徴とする包装箱の梱包方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装箱及び梱包方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通販用の包装箱として段ボール製の包装箱が広く用いられている。通販用の包装箱は、筒状の胴部に連続して設けられた外フラップを粘着テープで封緘した状態で配達されることが多い。
従来、粘着テープで封緘した状態の包装箱を、刃物等の道具を使用せずに開封できるようにしたものとして、特許文献1に記載された技術が知られている。
特許文献1の包装箱は、端壁に位置する粘着テープの端部の周りが破断誘導線で囲われており、この破断誘導線で囲われた部分を破断操作によって独立のダンボール片として切り離すものである。この包装箱では、ダンボール片とともに粘着テープの端部が切り離されるので、開封作業が容易である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記した従来の包装箱は、粘着テープの端部の周りを破断誘導線で囲った構成であり、破断誘導線で囲われる領域の面積が大きかった。このため、包装箱の輸送時等に破断誘導線で囲われる領域に外力が作用した場合に、意図しない破断を生じ易いという問題があった。
このような意図しない破断を防止するためには、破断誘導線で囲われる領域を狭く形成することが挙げられるが、そうすると、開封性が悪くなるという別の問題が生じる。
【0005】
本発明は、前記した問題を解決し、粘着テープの開封作業に優れるとともに、意図しない破断が生じ難い包装箱および梱包手段を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため本発明の包装箱は、前後一対の端壁及び左右一対の側壁を有する胴部と、前記胴部の下側開口部を閉じている底壁と、前記胴部の上側開口部を閉じている頂壁と、を備えている。また、包装箱は、前記底壁及び前記頂壁の少なくとも一方の壁に、前記両端壁の縁部に連設された前後一対の内フラップと、前記両側壁の縁部に連設され、前記内フラップの外面に重ねられた左右一対の外フラップと、を有している。包装箱は、一方の前記端壁から左右一対の前記外フラップ同士の突き合わせ部を経て他方の前記端壁に亘るように粘着テープが貼り付けられることで、前記底壁及び前記頂壁の少なくとも一方の壁が封緘される。少なくとも一方の前記端壁には、破断誘導線で区画されて前記端壁から分離可能とされた破断部が形成されている。前記破断部は、前記粘着テープの端部で覆われる第一部分と、前記第一部分に連続して前記粘着テープの端部から前記粘着テープの延長上に露出する第二部分と、を備えている。前記端壁には、前記粘着テープが貼り付けられる幅狭領域及び幅広領域が前記第一部分の側方に備わる。前記幅狭領域よりも前記幅広領域の方が幅寸法が大きくなっている。前記幅狭領域と前記幅広領域とは前記粘着テープの長手方向に連続している。前記幅狭領域の前記外フラップ側に前記幅広領域が連続し、さらに当該幅広領域の前記外フラップ側に前記幅狭領域が連続している。
【0007】
本発明の包装箱では、粘着テープの端部から露出する破断部の第二部分を手指で破断し、破断した部分を手指でつまみながら粘着テープに沿って破断部の第一部分を破断することによって、破断部とともに粘着テープを容易に剥がすことができる。
破断部の第一部分の側方には、粘着テープが貼り付けられる幅狭領域と幅広領域とが設けられている。これによって、例えば、意図しない外力が作用して破断部の第二部分が部分的に破断しても、粘着テープの粘着面積が大きくなる幅広領域に、破断誘導線を跨いで粘着テープが貼着しているので、幅広領域によって破断が好適に食い止められ、その先に破断箇所が広がることが防止される。また、同時に、破断部の第一部分に粘着面積が小さくなる幅狭領域が備わるので、破断部とともに粘着テープを剥がす際の剥がし易さも有している。
【0009】
また、例えば、第二部分に隣接する部分が粘着面積の小さい幅狭領域である場合には、粘着テープを剥がす初期段階の破断がスムーズに進行し易く、粘着テープが剥がし易くなる。また、幅狭領域に連続する領域が粘着面積の大きい幅広領域であるので、例えば、意図しない外力が作用して第二部分や幅狭領域が部分的に破断しても、幅広領域において破断が好適に食い止められる。したがって、その先に破断箇所が広がることが防止される。また、幅広領域に連続して幅狭領域が形成されているので、粘着テープを剥がす際に破断箇所が幅広領域を過ぎて幅狭領域に至ると、破断がスムーズに進行するようになり、粘着テープが剥がし易くなる。
【0011】
また、幅広領域に連続して粘着面積の小さい幅狭領域が形成されているので、粘着テープを剥がす際に破断箇所が幅広領域を過ぎて幅狭領域に至ると、破断がスムーズに進行するようになり、粘着テープが剥がし易くなる。
また、前記破断部は、前記端壁の縁部に連設されていることが好ましい。
前記課題を解決するため本発明の包装箱は、前後一対の端壁及び左右一対の側壁を有する胴部と、前記胴部の下側開口部を閉じている底壁と、前記胴部の上側開口部を閉じている頂壁と、を備えている。また、包装箱は、前記底壁及び前記頂壁の少なくとも一方の壁に、前記両端壁の縁部に連設された前後一対の内フラップと、前記両側壁の縁部に連設され、前記内フラップの外面に重ねられた左右一対の外フラップと、を有している。包装箱は、一方の前記端壁から左右一対の前記外フラップ同士の突き合わせ部を経て他方の前記端壁に亘るように粘着テープが貼り付けられることで、前記底壁及び前記頂壁の少なくとも一方の壁が封緘される。少なくとも一方の前記端壁には、前記端壁の縁部に連設され破断誘導線で区画されて前記端壁から分離可能とされた破断部が形成されている。前記破断部は、前記端壁の縁部に連設される部分の全体を含み前記粘着テープの端部で覆われる第一部分と、前記第一部分に連続して前記粘着テープの端部から前記粘着テープの延長上に露出する第二部分と、を備えている。前記端壁には、前記粘着テープが貼り付けられる幅狭領域及び幅広領域が前記第一部分の側方の全体に亘って備わる。前記幅狭領域よりも前記幅広領域の方が幅寸法が大きくなっており、前記幅狭領域と前記幅広領域とは前記粘着テープの長手方向に連続している。
【0012】
また、前記破断部は、前記内フラップに形成された延在部を備えていることが好ましい。
【0013】
この構成では、粘着テープを剥がす過程で、端壁から内フラップにかけて破断がスムーズに進行するようになり、粘着テープが剥がし易い。したがって開封作業に優れる。
【0014】
また、本発明の梱包方法は、底壁及び頂壁の少なくとも一方を、対向する一対の端壁の縁部に連設された内フラップと、残りの対向する一対の側壁の縁部に連設された外フラップと、で閉じ、一方の前記端壁から前記外フラップ同士の突合せ部を経て他方の前記端壁に亘るように粘着テープを貼り付けて封緘するようにした包装箱の梱包方法である。前記包装箱は、少なくとも一方の前記端壁に、破断誘導線で区画されて前記端壁から分離可能とされた破断部を備えている。前記破断部は、前記粘着テープの端部で覆われる第一部分と、前記第一部分に連続して前記粘着テープの端部から前記粘着テープの延長上に露出する第二部分と、を備えている。前記端壁には、前記第一部分の側方に、前記粘着テープが貼り付けられる幅狭領域及び幅広領域が備わり、前記幅狭領域よりも前記幅広領域の方が幅寸法が大きくなっている。前記幅狭領域と前記幅広領域とは前記粘着テープの長手方向に連続している。前記幅狭領域の前記外フラップ側に前記幅広領域が連続し、さらに当該幅広領域の前記外フラップ側に前記幅狭領域が連続している。前記粘着テープは、前記第一部分の側方に連続する前記幅狭領域、前記幅広領域及び前記幅狭領域を前記粘着テープの端部で覆い、かつ、前記粘着テープの端部から前記粘着テープの長手方向の延長上に前記第二部分が露出するように貼り付けられるものである。
【0015】
本発明の梱包方法では、粘着テープの端部で覆われる部分のうち、第一部分の側方において、粘着面積の大きさに変化をもたせることができる。したがって、例えば、意図しない外力が作用して第二部分が部分的に破断しても、粘着面積の大きい幅広領域において破断が好適に食い止められ、破断箇所が広がることが防止される。また、同時に、破断部の第一部分の側方には、破断する際の粘着面積が小さい幅狭領域も備わるので、破断部とともに粘着テープを剥がす際の剥がし易さも備えている。したがって、粘着テープの開封作業に優れるとともに、意図しない破断が生じ難い梱包手段が得られる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の包装箱及び梱包方法では、粘着テープの開封作業に優れるとともに、意図しない破断が生じ難い。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る包装箱を前方右上から見た斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る包装箱のブランクシートを示した図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る包装箱の破断部を示した拡大前面図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る包装箱の破断部と粘着テープの端部で覆われる粘着領域を示した拡大前面図である。
【
図5】(a)~(c)は本発明の第1実施形態に係る包装箱の破断部を用いて粘着テープを剥離する際の手順を示した模式斜視図である。
【
図6】本発明の第2実施形態に係る包装箱の破断部を示した拡大前面図である。
【
図7】本発明の第3実施形態に係る包装箱の破断部を示した拡大前面図である。
【
図8】本発明の第4実施形態に係る包装箱の破断部を示した拡大前面図である。
【
図9】本発明の第5実施形態に係る包装箱の破断部を示した拡大前面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
以下の説明において、前後左右方向は、実施形態の包装箱を説明する上で便宜上設定したものであり、本発明の包装箱の構成を限定するものではない。なお、各実施形態において、同様の部分には同様の符号を付している。
【0019】
(第1実施形態)
包装箱1は、
図1に示すように、角筒状の胴部10と、胴部10の上縁部に連設された頂壁20と、胴部10の下縁部に連設された底壁30と、を備えている。包装箱1は、A式の段ボール箱である。頂壁20は、後記するように、内フラップ21と外フラップ22とからなり、外フラップ22,22同士の突き合わせ部分23を粘着テープTで封緘することで閉じられている。また、底壁30は、後記するように、内フラップ31と外フラップ32とからなり、外フラップ32,32同士の突き合わせ部分33を粘着テープTで封緘することで閉じられている。
【0020】
包装箱1は、
図2に示すように、段ボール製のシートを切り抜いたブランクシートSを各罫線において山折りまたは谷折りすることで形成される。
図2に示すブランクシートSは内面側が見えるように配置されている。
ブランクシートSの各罫線(折線)は、ブランクシートSの表面を押し込んで形成された線状の溝(押罫)である。なお、罫線に切れ込みを形成してもよい。このようにすると、罫線においてブランクシートSを折り曲げ易くなる。
【0021】
胴部10は、
図1に示すように、前後一対の端壁11,12と、左右一対の側壁13,14と、を有している。前端壁11,後端壁12及び左側壁13,右側壁14は、それぞれ四角形の側板である。
【0022】
前端壁11の左縁部には、罫線を介して左側壁13が連設されている。また、前端壁11の右縁部には、罫線を介して右側壁14が連設されている。また、右側壁14の後縁部には、罫線を介して後端壁12が連設されている。また、左側壁13の後縁部には、罫線を介して帯状の接合片15が連設されている。接合片15は、後端壁12の左端部の内面にホットメルト等の接着手段によって接合されている。
【0023】
そして、ブランクシートS(
図2参照)を各罫線で折り曲げると、前端壁11,後端壁12、左側壁13,右側壁14によって、四角形の角筒状の胴部10が形成される。
【0024】
頂壁20は、
図1に示すように、胴部10の上側開口部を閉じている。頂壁20は、前端壁11,後端壁12の上縁部L11,L12に連設された前後一対の上側内フラップ21,21と、左側壁13,右側壁14の上縁部L13,L14に連設された左右一対の上側外フラップ22,22と、を備えている。左右一対の上側外フラップ22,22は、前後一対の上側内フラップ21,21の外面に重ねられている。
【0025】
底壁30は、胴部10の下側開口部を閉じている。底壁30は、前端壁11,後端壁12の下縁部L11a,L12aに連設された前後一対の下側内フラップ31,31と、左側壁13,右側壁14の下縁部L13a,L14aに連設された左右一対の下側外フラップ32,32と、を備えている。左右一対の下側外フラップ32,32は、前後一対の下側内フラップ31,31の外面に重ねられている。
【0026】
包装箱1の前部及び後部には、破断部50,50が設けられている。前部の破断部50は、前端壁11の上部から上縁部L11を跨いで上側内フラップ21の前端部に形成されている。後部の破断部50は、後端壁12の下部から下縁部L12aを跨いで下側内フラップ31の後端部に形成されている。破断部50,50は、粘着テープT,Tを引き剥がす際のきっかけとなる部分として機能し、粘着テープT,Tの端部T1,T1の貼り付け位置に配置されている。
前部の破断部50と後部の破断部50とは、配置形態が上下逆であることが異なるだけで構成は同一である。このため、以下では、前部の破断部50について説明する。
【0027】
破断部50は、
図3に示すように、前端壁11の一部である上部破断部51及び下部破断部52と、上側内フラップ21の一部である延在部53と、を備えている。上部破断部51及び下部破断部52は、破断誘導線L50により前端壁11のその他の部位と区画されている。また、延在部53は、破断誘導線L53により上側内フラップ21のその他の部位と区画されている。破断誘導線L50,L53は、いずれも切れ込みを断続的に形成した線である。破断部50は、粘着テープTを引き剥がす際に、前端壁11及び上側内フラップ21から粘着テープT(端部T1)とともに切り離されるようになっている。
【0028】
上部破断部51は、前面視で逆台形状を呈している。上部破断部51を形成している左右の破断誘導線L50,L50の間隔は、上側から下側に向かうにつれて幅狭となっている。上部破断部51の下側には下部破断部52が連続している。上部破断部51と下部破断部52との境界部分54は、破断部50の中央部に向けて最もくびれた形状となっている。上部破断部51の上端部の幅は、
図4に示すように、粘着テープTの幅L1と略同じである。
【0029】
下部破断部52は、略円形状を呈している。下部破断部52は、粘着テープTの幅L1よりも小さい直径を有している。下部破断部52の下部には指掛け部52aが形成されている。指掛け部52aは、左右方向に延びる折曲誘導線51aと、折曲誘導線51aの両端部に接続された破断誘導線51b,51bとを備えている。折曲誘導線51aは前端壁11の上縁部L11と平行である。
【0030】
延在部53は、上縁部L11を介して上部破断部51の上端部に連続して形成されている。延在部53は、上部破断部51の上端部と同じ幅を有している。延在部53は、粘着テープTを引き剥がす際に、上部破断部51に連続して上側内フラップ21から切り離される。
【0031】
破断部50は、
図4に示すように、梱包時に貼り付けられる粘着テープTの端部T1によって覆われる第一部分P1と、粘着テープTの端部T1から粘着テープTの長手方向の延長上に露出する第二部分P2と、を備えている。第一部分P1は、上部破断部51の全体及び下部破断部52の上側半分が含まれている。つまり、包装箱1を粘着テープTで梱包する際には、上部破断部51の全体及び下部破断部52の上側半分を粘着テープTの端部T1で覆う。
【0032】
前端壁11には、第一部分P1の左右側方となる部位に、粘着テープTが貼り付けられる領域(図中斜線部分)が確保されている。図中符号R1,R2の矢印で示す領域は、左右方向に幅狭となる幅狭領域である。また、図中符号R3の矢印で示す領域は、左右方向に幅広となる幅広領域である。
第一部分P1に粘着テープTの端部T1を貼り付けると、粘着テープTの端部T1のうち、破断誘導線L50で区画される第一部分P1からはみ出した部分(粘着テープTの幅方向端部)が、幅狭領域及び幅広領域に貼り付けられる。つまり、粘着テープTは、破断誘導線L50を跨いで、第一部分P1とその両側方となる部分に貼り付けられる。
【0033】
第一の幅狭領域R1は、上部破断部51の上部周りの領域であり、上部破断部51の外形に沿って上部破断部51の上端部に近づくほど幅狭となっている。第二の幅狭領域R2は、下部破断部52の上部周りの領域であり、下部破断部52の上部の外形に沿って上部破断部51と下部破断部52との境界部分54に近づくほど幅広に、また、境界部分54から離れると幅狭になっている。
【0034】
幅広領域R3は、破断部50における境界部分54周りの領域である。幅広領域R3は、第一の幅狭領域R1,第二の幅広領域R2よりも幅広(幅寸法が大)となっている。
このように、第一部分P1に粘着テープTの端部T1を貼り付けると、破断部50の左右側方に、幅狭領域R1、幅広領域R3、幅狭領域R2がそれぞれ形成される。つまり、破断部50の左右側方に形成される領域は、粘着テープTの長手方向に一定ではなく、粘着テープTの長手方向に変化するものとなっている。このような領域(粘着面積)の変化によって、破断部50の破断強度に変化をもたせることができ、また、前端壁11に対する粘着テープTの引き剥がし易さに変化をもたせることができる。
【0035】
次に、破断部50を用いて粘着テープTを引き剥がす際の作用について説明する。粘着テープTの端部T1は、破断部50に対して、
図4に示す状態に貼り付けられている。つまり、破断部50の第一部分P1である、上部破断部51の全体及び下部破断部52の上側半分が粘着テープTの端部T1によって覆われ、また、下部破断部52の下側半分が粘着テープTの端部T1から露出する状態となるように、粘着テープTの端部T1を前端壁11に貼り付ける。このことは、底壁30側の粘着テープTについても同様である。なお、粘着テープTの端部T1から下部破断部52が露出する大きさは、破断し易さを考慮して適宜設定することができる。
【0036】
粘着テープTを引き剥がす際には、まず、
図5(a)に示すように、粘着テープTの端部T1から露出している下部破断部52に手指を近づけ、指掛け部52aを押し開きつつ、下部破断部52を胴部10内に押し込むようにして、開口を形成する。
【0037】
その後、形成した開口を通じて手指を挿入し、押し込んだ下部破断部52に内側から手指を当てるようにして下部破断部52を上部破断部51の内面に重ね合わせる(
図5(b)は重ね合わせる途中の様子を示している)。そして、重ね合わせた下部破断部52及び上部破断部51を内外から手指で把持し、これを上方に持ち上げるようにする。
【0038】
そうすると、
図5(c)に示すように、上部破断部51が破断誘導線L50に沿って粘着テープTと一緒に前端壁11から切り離されるとともに、上部破断部51に連続する延在部53が粘着テープTと一緒に上側内フラップ21から切り離される。
【0039】
このようにして、破断部50をきっかけとして、頂壁20を封緘している粘着テープTを引き剥がすことができる。
なお、底壁30を封緘している粘着テープTも、後端壁12側の破断部50を用いて容易に引き剥がすことができる。
【0040】
なお、粘着テープTを引き剥がす際には、下部破断部52を胴部10内に押し込まずに直接手指でつまんで、そのまま、上方に持ち上げるようにして破断部50を破断してもよい。
【0041】
以上説明した本実施形態の包装箱1によれば、破断部50とともに粘着テープTを容易に剥がすことができる。したがって開封作業に優れる。
破断部50の第一部分P1及びこの両側となる部分には、破断誘導線L50を跨いで粘着テープTの端部T1が貼り付けられており、第一部分P1の両側となる部分には、粘着テープTの長手方向に幅狭領域R1、幅広領域R3、及び幅狭領域R2が連続している。これによって、例えば、意図しない外力が作用して、第一部分P1や第二部分P2が部分的に破断しても、破断部50以外の前端壁11に確保された幅広領域R3(前端壁11から分離されない領域)に粘着テープTの端部T1が貼着されたままとなるので、破断が好適に食い止められる。したがって、その先に破断箇所が広がることが防止される。
【0042】
また、同時に、破断部50の第一部分P1は、幅広領域R3よりも粘着テープTの貼り付け幅が狭い幅狭領域R1,R2を備えている。したがって、粘着テープTの端部T1を剥がす際には、破断部50以外の前端壁11から端部T1が容易に分離する。この結果、破断部50とともに粘着テープTの端部T1が剥がし易くなる。
【0043】
また、第一部分P1は、第二部分P2に隣接する幅狭領域R2を有し、幅狭領域R2に連続する幅広領域R3を有している。このため、例えば、意図しない外力が作用して第二部分P2や幅狭領域R2が部分的に破断しても、幅広領域R3において破断が好適に食い止められる。したがって、その先に破断箇所が広がることが防止される。また、幅広領域R3に連続して幅狭領域R1が形成されているので、粘着テープTを剥がす際に破断箇所が幅広領域R3を過ぎて幅狭領域R1に至ると、破断がスムーズに進行するようになり、粘着テープTが剥がし易くなる。
【0044】
また、破断部50は、延在部53を備えているので、粘着テープTを剥がす過程で、前端壁11から頂壁20(上側外フラップ22,22)にかけて破断がスムーズに進行するようになる。したがって、粘着テープTが剥がし易い。
【0045】
また、梱包時には、第一部分P1の両側の幅狭領域R1,R2及び幅広領域R3が粘着テープTの端部T1で覆われるように、かつ、粘着テープTの端部T1から第二部分P2が露出するように、粘着テープTを貼り付ける。
したがって、本実施形態の梱包方法では、粘着テープTの端部T1で覆われる部分のうち、第一部分P1の側方において、粘着面積の大きさに変化をもたせることができる。したがって、例えば、意図しない外力が作用して第二部分P2が部分的に破断しても、粘着面積の大きい幅広領域R3において破断が好適に食い止められ、破断箇所が広がることが防止される。また、同時に、破断部50の第一部分P1の側方には、破断する際の粘着面積が小さい幅狭領域R1,R2も備わるので、破断部50とともに粘着テープTの端部T1を剥がす際の剥がし易さも備えている。したがって、粘着テープTの開封作業に優れるとともに、意図しない破断が生じ難い梱包手段が得られる。
したがって、本実施形態の梱包方法によれば粘着テープTの開封作業に優れるとともに、意図しない破断が生じ難い。
【0046】
(第2実施形態)
図6を参照して第2実施形態の包装箱の破断部について説明する。本実施形態の破断部50Aは、上部破断部51に連続する略ひし形形状の下部破断部52Aを備えている。
【0047】
下部破断部52Aのうち、粘着テープTの長手方向の延長上に露出する部分(前記した第二部分P2に相当する部分)は、略二等辺三角形状を呈する。なお、下部破断部52Aは、粘着テープTの幅L1と同様の幅を備えている。
【0048】
また、破断部50Aは、略三角形状の粘着領域を備えており、この領域内に、幅狭領域R1,R2及び幅広領域R3が備わる。
【0049】
本実施形態においても、第1実施形態で説明した作用効果と同様の作用効果が得られる。加えて、下部破断部52Aが粘着テープTの幅L1と同様の幅を備えているので、梱包時に端部T1を貼り付ける際の位置合わせが行い易く、梱包作業が行い易い。
【0050】
(第3実施形態)
図7を参照して第3実施形態の包装箱の破断部について説明する。本実施形態の破断部50Bは、上部破断部51に連続する略台形状の下部破断部52Bを備えている。
【0051】
破断部50Bは、前面視で全体が砂時計の容器のような上下対称形状を呈する。なお、下部破断部52Bは、粘着テープTの幅L1と略同様の幅を備えている。
【0052】
本実施形態においても、第1実施形態で説明した作用効果と同様の作用効果が得られる。加えて、下部破断部52Bが粘着テープTの幅L1と同様の幅を備えているので、梱包時に粘着テープTの端部T1を貼り付ける際の位置合わせが行い易く、梱包作業が行い易い。
【0053】
(第4実施形態)
図8を参照して第4実施形態の包装箱の破断部について説明する。本実施形態の破断部50Cは、前面視で全体が縦長の略ひし形形状を呈している。
【0054】
破断部50Cは、粘着テープTの長手方向の延長上に露出する下部破断部52Cを有している。下部破断部52Cは、逆台形状を呈しており、下方へ向けて先端部がすぼまっている。
【0055】
破断部50Cは、第一部分P1(
図4参照)に相当する部分の両側方における、粘着テープTの端部T1が貼り付けられる領域が、第1,第2実施形態のものと異なっている。
本実施形態では、破断部50Cの外形状に沿うようにして、端部T1の下側から上側に向けて順に、幅広領域R14、幅狭領域R11、幅広領域R13が連続している。つまり、破断部50Cの下部破断部52Cに隣接して幅広領域R14が存在している。
【0056】
幅広領域R13は、幅広領域R14よりも幅広となっている。幅狭領域R11は、破断部50Cの中央部の左右角部周りに形成される領域であり、幅広領域R13,R14に比べて粘着面積が小さくなっている。
【0057】
本実施形態においても、第1実施形態で説明した作用効果と同様の作用効果が得られる。加えて、下部破断部52Cに隣接して幅広領域R14を有するので、例えば、意図しない外力が作用して下部破断部52Cが部分的に破断しても、粘着テープTの粘着面積が大きくなる幅広領域R14に、破断部50Cを跨いで粘着テープTの端部T1が貼着しているので、幅広領域R14によって破断が好適に食い止められ、その先に破断箇所が広がることが防止される。
【0058】
また、幅広領域R14に連続して幅狭領域R11が形成されているので、粘着テープTの端部T1を剥がす際に破断箇所が幅広領域R14を過ぎて幅狭領域R11に至ると、破断がスムーズに進行するようになり、粘着テープTが剥がし易くなる。
【0059】
また、幅狭領域R11に連続して幅広領域R13が形成されているので、仮に、意図しない外力が作用して幅狭領域R11まで破断が進行したとしても、幅広領域R13において破断が好適に食い止められる。したがって、その先に破断箇所が広がることが防止される。
なお、幅広領域R13は、幅広領域R14よりも幅寸法が大きいので、幅広領域R13において破断が食い止められ易い。
【0060】
また、下部破断部52Cは、前記実施形態のものに比べて、粘着テープTの長手方向の延長上に露出する面積が最も小さくなっているので、外力を受け難い。なお、下部破断部52Cは、開封時に手指を挿入し易いように、前記第1実施形態の指掛け部52aの大きさと同等か、それよりも一回り大きく形成したものが好ましい。
【0061】
(第5実施形態)
図9を参照して第5実施形態の包装箱の破断部について説明する。本実施形態の破断部50Dは、粘着テープTの長手方向の延長上に露出する部分が略四角形状とされた下部破断部52Dを備えている。
【0062】
下部破断部52Dは、粘着テープTの幅L1に略等しい幅を備えており、前記各実施形態のものに比べて、露出面積が大きくなっている。
【0063】
本実施形態においても、第1実施形態で説明した作用効果と同様の作用効果が得られる。加えて、下部破断部52Dの露出面積が前記各実施形態のものよりも大きくなっているので、開封作業が行い易い。
【0064】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記各実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
例えば、延在部53は、必ずしも設けなくてもよい。延在部53を有しない場合でも、前端壁11から頂壁20への粘着テープTの引き剥がし作業、及び後端壁12から底壁30への粘着テープTの引き剥がし作業がスムーズである。
【0065】
また、前記各実施形態では、前端壁11及び後端壁12に破断部50(50A~50D)を一つずつ設けたものを示したが、これに限られることはなく、前端壁11及び後端壁12の一方または両方の上下に破断部50(50A~50D)を設けてもよい。
【0066】
また、幅狭領域R1,R2,R11や幅広領域R3,R13,R14は、破断部50(50A~50D)において複数個ずつ設けてもよい。
【0067】
また、破断部50(50A~50D)の形状は、幅狭領域R1,R2,R11や幅広領域R3,R13,R14等が備わるものであれば、適宜の形状のものを採用することができる。幅狭領域R1,R2,R11や幅広領域R3,R13,R14等も適宜の形態のものを採用することができる。
【0068】
また、破断誘導線L50は、粘着テープTの端部T1の左右縁部から左右方向にはみ出すように形成してもよい。
【0069】
また、前記各実施形態では、破断部50,50A~50Dの第一部分P1の両側方に、粘着テープが貼り付けられる幅狭領域と幅広領域とを設けたが、いずれか片側だけに設けてもよい。
【0070】
本実施形態の包装箱1は段ボール製であるが、各種公知の板紙によって包装箱を形成してもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 包装箱
10 胴部
11 前端壁
12 後端壁
13 左側壁
14 右側壁
20 頂壁
21 上側内フラップ
22 上側外フラップ
23,33 突き合わせ部分
30 底壁
31 下側内フラップ
32 下側外フラップ
50 破断部
50A~50D 破断部
51 上部破断部
52 下部破断部
52A~52D 下部破断部
L50 破断誘導線
L53 破断誘導線
P1 第一部分
P2 第二部分
R1,R2,R11 幅狭領域
R3,R13,R14 幅広領域
S ブランクシート
T 粘着テープ
T1 端部