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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-26
(45)【発行日】2023-07-04
(54)【発明の名称】電子ユニット
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/02 20060101AFI20230627BHJP
   H01R 13/52 20060101ALI20230627BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
H05K5/02 L
H01R13/52 301D
B60R16/02 610B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019187756
(22)【出願日】2019-10-11
(65)【公開番号】P2021064667
(43)【公開日】2021-04-22
【審査請求日】2022-01-24
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100117662
【弁理士】
【氏名又は名称】竹下 明男
(74)【代理人】
【識別番号】100103229
【弁理士】
【氏名又は名称】福市 朋弘
(72)【発明者】
【氏名】角田 達哉
【審査官】五貫 昭一
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-205002(JP,A)
【文献】特開2013-93408(JP,A)
【文献】特開2014-229489(JP,A)
【文献】特開2017-103915(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/02
H01R 13/52
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有するケースと、
前記ケースに収められた回路基板と、
前記開口に取付けられるカバーと、
を備え、
前記回路基板にコネクタが設けられ、
前記カバーには貫通孔が形成され、
前記コネクタのうち相手側コネクタと接続される部分は前記貫通孔を通じて外側に露出しており、
前記開口の位置における前記カバーと前記ケースとの間、及び前記貫通孔の位置における前記カバーと前記コネクタとの間の少なくとも一方の間には、第1クリアランス部及び第2クリアランス部が設けられ、
前記第1クリアランス部及び前記第2クリアランス部には、他の部材が充填されておらず、
前記第1クリアランス部におけるクリアランスは、前記第2クリアランス部におけるクリアランスよりも大きく、
前記第2クリアランス部は前記第1クリアランス部よりも前記ケースの内側に位置し、
前記第1クリアランス部は、一定のクリアランスを保ちつつ前記第2クリアランス部に達するまで続いており、
前記一定のクリアランスを直径とする円管と、水との組み合わせによる毛細管現象において、液面の上昇高さを想定高さとすると、
前記第1クリアランス部は、前記一定のクリアランスを保ちつつ前記第2クリアランス部まで前記想定高さ以上続いており、
前記一定のクリアランスは、5mm以下である、電子ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の電子ユニットであって、
前記開口の位置における前記カバーと前記ケースとの間に、前記第1クリアランス部及び前記第2クリアランス部が設けられている、電子ユニット。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の電子ユニットであって、
前記貫通孔の位置における前記カバーと前記コネクタとの間に、前記第1クリアランス部及び前記第2クリアランス部が設けられている、電子ユニット。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電子ユニットであって、
前記開口は、前記回路基板を挿入可能な大きさに形成され、
前記ケースは直方体箱状に形成され、直方体の一つの面に相当する部分に前記開口が形成されている、電子ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ケース内に浸入した水滴を排出することによって回路基板の被水を抑制する車両電子制御ユニットを開示している。特許文献1では、ケースに拡散ポケットが形成されることによってケース内に浸入した水滴が拡散される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-60708号公報
【文献】特開2019-71376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、拡散ポケットが設けられる分、回路基板に対して水平方向へのコネクタの突出量が大きくなり、電子制御ユニットが大きくなる恐れがある。
【0005】
そこで、電子ユニットをなるべくコンパクトにしつつ、防水性を向上させることができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の電子ユニットは、開口を有するケースと、前記ケースに収められた回路基板と、前記開口に取付けられるカバーと、を備え、前記回路基板にコネクタが設けられ、前記カバーには貫通孔が形成され、前記コネクタのうち相手側コネクタと接続される部分は前記貫通孔を通じて外側に露出しており、前記開口の位置における前記カバーと前記ケースとの間、及び前記貫通孔の位置における前記カバーと前記コネクタとの間の少なくとも一方の間には、第1クリアランス部及び第2クリアランス部が設けられ、前記第1クリアランス部におけるクリアランスは、前記第2クリアランス部におけるクリアランスよりも大きく、前記第2クリアランス部は前記第1クリアランス部よりも前記ケースの内側に位置し、前記第1クリアランス部は、一定のクリアランスを保ちつつ前記第2クリアランス部に達するまで続いている、電子ユニットである。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、電子ユニットをなるべくコンパクトにしつつ、防水性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は実施形態にかかる電子ユニットを示す斜視図である。
図2図2は実施形態にかかる電子ユニットを示す正面図である。
図3図3は実施形態にかかる電子ユニットを示す平面図である。
図4図4は実施形態にかかる電子ユニットを示す側面図である。
図5図5は実施形態にかかる電子ユニットを示す分解斜視図である。
図6図6図2のVI-VI線に沿った断面図である。
図7図7図6における領域Aの拡大図である。
図8図8図2のVIII-VIII線に沿った断面図である。
図9図9図8における領域Bの拡大図である。
図10図10は毛細管現象におけるクリアランスと想定高さとの関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0010】
本開示の電子ユニットは、次の通りである。
【0011】
(1)開口を有するケースと、前記ケースに収められた回路基板と、前記開口に取付けられるカバーと、を備え、前記回路基板にコネクタが設けられ、前記カバーには貫通孔が形成され、前記コネクタのうち相手側コネクタと接続される部分は前記貫通孔を通じて外側に露出しており、前記開口の位置における前記カバーと前記ケースとの間、及び前記貫通孔の位置における前記カバーと前記コネクタとの間の少なくとも一方の間には、第1クリアランス部及び第2クリアランス部が設けられ、前記第1クリアランス部におけるクリアランスは、前記第2クリアランス部におけるクリアランスよりも大きく、前記第2クリアランス部は前記第1クリアランス部よりも前記ケースの内側に位置し、前記第1クリアランス部は、一定のクリアランスを保ちつつ前記第2クリアランス部に達するまで続いている、電子ユニットである。クリアランスの大きい第1クリアランス部が外側に位置することによって、毛細管現象が生じても第2クリアランス部まで水が達しにくくなり、ケース内への水の浸入を抑制できる。また、第1クリアランス部が一定のクリアランスを保ちつつ第2クリアランス部に達するまで続いているため、第1クリアランス部と第2クリアランス部との間に水たまり部を設けずに済み、電子ユニットをコンパクトに保てる。これらより、電子ユニットをなるべくコンパクトにしつつ、防水性を向上させることができる。
【0012】
(2)前記開口の位置における前記カバーと前記ケースとの間に、前記第1クリアランス部及び前記第2クリアランス部が設けられていてもよい。これにより、カバーとケースとの隙間から水がケース内へ浸入することを抑制できる。
【0013】
(3)前記貫通孔の位置における前記カバーと前記コネクタとの間に、前記第1クリアランス部及び前記第2クリアランス部が設けられていてもよい。これにより、カバーとコネクタとの隙間から水がケース内へ浸入することを抑制できる。
【0014】
(4)前記開口は、前記回路基板を挿入可能な大きさに形成され、前記ケースは直方体箱状に形成され、直方体の一つの面に相当する部分に前記開口が形成されていてもよい。これにより、ケースに対して開口が設けられる領域を少なくできる。
【0015】
(5)前記一定のクリアランスを直径とする円管と、水との組み合わせによる毛細管現象において、液面の上昇高さを想定高さとすると、前記第1クリアランス部は、前記一定のクリアランスを保ちつつ前記第2クリアランス部まで前記想定高さ以上続いている。これにより、第1クリアランス部において水が浸入して毛細管現象が生じてもその水が第2クリアランス部まで達しにくい。
【0016】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の電子ユニットの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0017】
[実施形態]
以下、実施形態にかかる電子ユニットについて説明する。図1は実施形態にかかる電子ユニット10を示す斜視図である。図2は実施形態にかかる電子ユニット10を示す正面図である。図3は実施形態にかかる電子ユニット10を示す平面図である。図4は実施形態にかかる電子ユニット10を示す側面図である。図5は実施形態にかかる電子ユニット10を示す分解斜視図である。図6図2のVI-VI線に沿った断面図である。図7図6における領域Aの拡大図である。図8図2のVIII-VIII線に沿った断面図である。図9図8における領域Bの拡大図である。
【0018】
電子ユニット10は、ケース20と回路基板30とカバー40とを備える。電子ユニット10は例えば、電子制御ユニットとして用いられる。電子ユニット10は車両などに搭載される。電子ユニット10は車両において例えば車室内等、比較的水かかりの恐れが低い箇所に配置されることが想定されている。
【0019】
ケース20は開口21を有する。ケース20は、直方体箱状に形成されている。直方体の六面のうちの一の面に相当する部分が開口21となっている。直方体の六面のうち開口21の周囲を囲む四面が側壁22、23、24、25とされる。側壁22が第1側壁22に相当する。側壁23、24が第2側壁23、24に相当する。直方体の六面のうち開口21の反対側に位置する面が底壁26とされる。以下、本明細書では、開口21と底壁26とを結ぶ方向がX方向とされる。X方向は回路基板30の挿入方向である。X方向に直交する2方向がY方向及びZ方向とされる。Y方向は側壁22、25に平行である。Z方向は側壁23、24に平行である。
【0020】
回路基板30は、開口21を通じてケース20に収められている。回路基板30には、電子部品が実装されていてもよい。回路基板は、1層でもよいし、2層でもよいし、3層以上であってもよい。回路基板30にはコネクタCが設けられている。回路基板30は、X方向に沿った全体がケース20に収められている。
【0021】
コネクタCは、コネクタハウジングHと端子Tとを含む。コネクタハウジングHは回路基板30に載置されている。コネクタハウジングHの一部はX方向に沿って回路基板30より外側に突出している。コネクタハウジングHの一部はX方向に沿ってケース20より外側に突出している。当該突出部分には相手側コネクタが接続される。当該突出部分には、凹部が形成されている。凹部には、相手側コネクタが挿入される。端子Tの一端部は回路基板30における回路と接続されている。端子Tの他端部は凹部内に突出している。凹部に相手側コネクタが挿入された状態で、端子Tの他端部は相手側コネクタに設けられた相手側端子と接続される。
【0022】
ケース20の内面には、回路基板30を位置決めする位置決め部が設けられていてもよい。例えば、図5には、かかる位置決め部としてガイド部27が図示されている。ガイド部27は、側壁23、24の内面に形成されている。ガイド部27は、X方向に沿って延びる溝状に形成されている。開口21から挿入された回路基板30はガイド部27に案内されてケース20に収容される。回路基板30がケース20に収容された状態でガイド部27は、回路基板30の側縁を支持可能に形成されている。このほか位置決め部として、例えば、ケース20の内面と回路基板30とのいずれか一方に凸部が設けられ、他方に凸部が嵌る凹部が設けられていてもよい。
【0023】
ケース20の外面にはカバー40を係止可能な係止部28が設けられている。ここでは側壁23、24の外面に係止部28が設けられている。係止部28は側壁23、24の外面から突出する突起状に形成されている。カバー40は係止部28に引っ掛かって係止している。
【0024】
カバー40は開口21に取付けられている。カバー40は、枠部41、外向フランジ42、フード43、内向フランジ44を含む。カバー40は、リブ45及び係止片46をさらに含む。
【0025】
枠部41は、開口21からケース20内に挿入されている。枠部41は開口21の周縁部の内周面に沿った形状に形成されている。側壁22、23、24、25が開口21の周縁部とされているため、枠部41は側壁22、23、24、25の内面形状に応じて直方体筒状に形成されている。枠部41の外面は、側壁22、23、24、25の内面と間隔をあけて対向するように設けられている。
【0026】
外向フランジ42は、枠部41からケース20の内面に向けて張り出している。外向フランジ42は、枠部41のうちケース20の奥側に位置する一端部につながっている。外向フランジ42は、枠部41とケース20との隙間を遮っている。
【0027】
フード43は、コネクタハウジングHの周囲を囲うように形成されている。ここではコネクタCが3つ設けられている。3つのコネクタハウジングHの周囲をそれぞれ囲うように、フード43も3つ設けられている。各フード43は、枠部41のうち他端部につながっている。各フード43は、枠部41よりもX方向に沿ってケース20の外側に突出している。各フード43は、コネクタハウジングHの外面に応じた内面を有している。ここでは各コネクタハウジングHの外面が方形状に形成されているため、各フード43は、直方体筒状に形成されている。フード43の一端は、コネクタハウジングHよりもX方向に沿って外側に突出している。フード43に囲まれた部分が貫通孔とされている。当該貫通孔を通じて、コネクタCのうち相手側コネクタと接続される部分が外側に露出している。
【0028】
内向フランジ44は、フード43からコネクタハウジングHの外面に向けて突出している。内向フランジ44は、フード43のうちケース20の奥側に位置する端部につながっている。枠部41とフード43とをつなぐ部分が、フード43に対して内向フランジ44の反対側に設けられている。内向フランジ44の延長部分に枠部41がつながっている。内向フランジ44の端部にはリブ45が設けられている。内向フランジ44は、フード43とコネクタハウジングHとの隙間を遮っている。
【0029】
リブ45は、内向フランジ44の先端部からケース20の奥側に突出している。リブ45は、コネクタハウジングHを囲っている。またリブ45は枠部41に対向するように設けられている。リブ45は、枠部41の奥行寸法と同じ奥行寸法を有している。側壁25側において、枠部41とリブ45との間に回路基板30のうち開口21側の端部が収容されている。この際、枠部41とリブ45との間に回路基板30の端部を挟持する挟持部が設けられていてもよい。これにより、回路基板30のうち開口21側の端部が支持される。
【0030】
係止片46は、枠部41の外側に設けられている。係止片46は、枠部41から突出している。係止片46は、第1片及び第2片を含む。第1片は、枠部41からY方向に沿って突出する。第2片は、第1片の先端からX方向に沿って突出する。第2片は側壁23、24に対向する。第2片には係止凹部が形成されている。係止凹部に係止部28が収まることによって、係止片46が係止部28に引っ掛かって係止した状態となる。
【0031】
係止凹部は第1片から第2片の中間部までの領域に形成されている。これにより、第1片から第2片の中間部までの間は、L字状の2片が平行に存在している。側壁23、24の開口21周縁には、L字状の2片を位置決めする位置決め凹部が形成されている。
【0032】
本開示の電子ユニットでは、側壁22、23、24に設けられた突出部50、52、54及びカバー40に設定されたクリアランスによって、ケース20の外面を伝う水がケース20内へ浸入することが抑制されている。
【0033】
<突出部>
まず突出部50、52、54について説明する。突出部50、52、54は、カバー40とケース20との隙間、及びカバー40とコネクタハウジングHとの隙間などに水が達することを抑制するために設けられている。ここでは、側壁22に複数の突出部50、52が設けられている。また側壁23、24にそれぞれ突出部54が設けられている。各突出部50、52、54は側壁22、23、24における開口21側部分を奥側部分よりも外側に突出させる段差Sを含む。各突出部50、52、54は、開口21の周りに沿って延びるように設けられている。
【0034】
側壁22において、奥側部分から開口21側部分に向けて複数(ここでは2つ)の突出部50、52が設けられている。複数の突出部50、52はX方向に間隔をあけて設けられている。複数の突出部50、52のうち最も開口21の近くに位置するものは開口側突出部50と称される。また複数の突出部50、52のうち開口側突出部50よりも開口21から遠くに位置するものは奥側突出部52と称される。
【0035】
開口側突出部50では、段差Sよりも開口21側が外側に突出した形状がX方向に沿って開口21側に続いている。また側壁22のうち開口側突出部50が形成された部分の内面も段差状になっている。このため、開口側突出部50が形成された部分において、ケース20における収容空間が大きくなっている。この大きくなった収容空間にカバー40が収められている。従って、開口側突出部50は、カバー40を収めるためにケース20における収容空間を大きくする機能を兼ねる。
【0036】
奥側突出部52でも、同様に、段差Sよりも開口21側が外側に突出した形状がX方向に沿って開口21側に続いている。また側壁22のうち奥側突出部52が形成された部分の内面も段差状になっている。このため、奥側突出部52が形成された部分において、ケース20における収容空間が大きくなっている。この大きくなった収容空間にコネクタハウジングHが収められている。従って、奥側突出部52は、コネクタハウジングHを収めるためにケース20における収容空間を大きくする機能を兼ねる。
【0037】
開口側突出部50においてX方向を向く面は、Y方向中間部がX方向に最も突出している。そして、開口側突出部50においてX方向を向く面は当該Y方向中間部からY方向端部に向けて徐々に開口21側に近づくように傾斜している。これにより、開口側突出部50においてX方向を向く面に当たる水がY方向端部に案内されやすくなる。
【0038】
開口側突出部50においてX方向を向く面は、XY平面に対して直交している。一方、奥側突出部52においてX方向を向く面は、XY平面に対して90度より小さい角度をなしている。もっとも、開口側突出部50においてX方向を向く面は、XY平面に対して90度より小さい角度をなしていてもよい。また奥側突出部52においてX方向を向く面は、XY平面に対して直交していてもよい。
【0039】
側壁23、24における突出部54は、第1帯状突出部55及び第2帯状突出部56を有する。第1帯状突出部55及び第2帯状突出部56は、帯状に形成されている。第1帯状突出部55及び第2帯状突出部56は、自身の両側に位置する部分よりも外側に凸となるように形成されている。
【0040】
第1帯状突出部55は、係止部28よりも開口21から離れた位置において、開口21の周方向に沿って延びるように設けられている。第1帯状突出部55は、係止部28よりも第2側壁23、24の外側に大きく突出するように設けられている。第1帯状突出部55は、係止部28よりもY方向に沿って大きく突出するように設けられている。第1帯状突出部55は、X方向に沿って開口側突出部50よりも開口21から遠い位置に設けられている。つまり開口側突出部50は、X方向に沿って第1帯状突出部55よりも開口21に近い位置に設けられている。第1帯状突出部55は、Z方向に沿って延びている。第1帯状突出部55の一端部は側壁25に達している。第1帯状突出部55の他端部は、側壁22、23の中間部で止まっている。側壁25に対する第1帯状突出部55の他端部のZ方向に沿った位置は、側壁25に対する側壁22のうち奥側突出部52よりも奥側部分の位置と同じかそれよりも離れた位置に位置している。
【0041】
第2帯状突出部56は、開口側突出部50と第1帯状突出部55とをつなぐ。第2帯状突出部56は、第1部分57及び第2部分58を有する。
【0042】
第1部分57は、Z方向に沿って延びる部分である。第1部分57は、X方向に沿って第1帯状突出部55と離れた位置に設けられている。第1部分57は、X方向に沿って第1帯状突出部55よりも開口21に近い位置に設けられている。第1部分57は第1帯状突出部55と平行に延びている。第1部分57の一端部は、開口側突出部50に連なる。第1部分57の他端部は、第1帯状突出部55の他端部とZ方向に沿った同じ位置に位置する。
【0043】
第2部分58は、第1帯状突出部55と第1部分57とをつないでいる。第2部分58はX方向に沿って延びている。第2部分58の一端部は、第1帯状突出部55の他端部とつながっている。第2部分58の他端部は、開口21まで達している。第2部分58の中間部に第1部分57の他端部がつながっている。
【0044】
第1帯状突出部55及び第2帯状突出部56は、第2側壁23、24を開口側領域及び奥側領域に仕切っている。開口側領域は、係止部28が位置する側の領域である。奥側領域は底壁26に連なる側の領域である。第1帯状突出部55及び第2帯状突出部56のうち奥側領域側を向く面は傾斜面である。傾斜面は、第2側壁23、24とつながる基端から先端に向けて奥側領域から離れるように傾斜している。
【0045】
具体的には、第1帯状突出部55のうち奥側(X方向正の側)を向く面が傾斜面である。また第1部分57のうち奥側(X方向正の側)を向く面が傾斜面である。第1帯状突出部55の傾斜面は、側壁23、24をZ方向負の側に延びるにつれて、X方向負の側に傾斜している(図4参照)。第1部分57の傾斜面は、側壁23、24からY方向に沿って突出するにつれて、X方向負の側に傾斜している。第2部分58のうち側壁22の側(Z方向正の側)を向く面が傾斜面である。第2部分58の傾斜面は、側壁23、24からY方向に沿って突出するにつれて、Z方向負の側に傾斜している。
【0046】
<クリアランス>
次にクリアランスについて説明する。カバー40に設定されたクリアランスによって、カバー40とケース20との隙間又はカバー40とコネクタCとの隙間に水が達しても、その水がケース20内に浸入しにくい。
【0047】
ここでは、開口21の位置におけるカバー40とケース20との間、及び貫通孔の位置におけるカバー40とコネクタCとの間の両方の間には、第1クリアランス部及び第2クリアランス部が設けられている。
【0048】
開口21の位置におけるカバー40とケース20との間では、枠部41の外面とケース20の内面との間が第1クリアランス部とされている。また外向フランジ42の外面とケース20の内面との間が第2クリアランス部とされている。
【0049】
貫通孔の位置におけるカバー40とコネクタCとの間では、フード43の内面とコネクタハウジングHの外面との間が第1クリアランス部とされている。また内向フランジ44の内面とコネクタハウジングHの外面との間が第2クリアランス部とされている。
【0050】
第1クリアランス部におけるクリアランスは、第2クリアランス部におけるクリアランスよりも大きい。また第2クリアランス部は第1クリアランス部よりもケース20の内側に位置する。第1クリアランス部は、一定のクリアランスを保ちつつ第2クリアランス部に達するまで続いている。ここでは第1クリアランス部における一定のクリアランスを直径とする円管と、水との組み合わせによる毛細管現象において、液面の上昇高さを想定高さとした場合に、第1クリアランス部は、一定のクリアランスを保ちつつ第2クリアランス部まで想定高さ以上続いている。
【0051】
具体的には、図7及び図9において、寸法C1は、枠部41の外面とケース20の内面との間隔である。寸法C1は、カバー40とケース20との間での第1クリアランス部におけるクリアランスである。寸法Z1は、枠部41の外面とケース20の内面とが対向する部分のX方向(奥行方向)に沿った寸法である。寸法Z1は、カバー40とケース20との間での第1クリアランス部において一定のクリアランスが続く部分の寸法である。この寸法C1及び寸法Z1は、次の式(1)に応じて決定される。
【0052】
【数1】
【0053】
ここで式(1)は、円管において毛細管現象が生じた場合の液面高さを表す式である。式(1)中のZは、液面高さ(m)である。またTは、表面張力(N/m)である。またΘは、接触角(rad)である。またρは液体の密度(kg/m)である。gは重力加速度(m/s)である。rは円管の半径(m)である。式(1)において、液面高さZは、円管の半径rに反比例する。T及びρは液体に固有の値である。またΘは、円管をなす物質と液体とによって決定される値である。従って、円管をなす物質及び液体の種類が決まると、変数は、Z、rのみとなる。
【0054】
Z1の値は、例えば、式(1)においてrの値に上記C1の2分の1の値を代入したときに得られるZの値と同じかそれよりも大きい値に設定される。なお、C1及びそのときのZは実験的に求められてもよい。つまり、Z1の値は、C1の2分の1の値の半径を有する円管及び水を用いて実験したときに得られるZの値と同じかそれよりも大きい値に設定される。この際、円管がカバー40をなす物質製である場合と、ケース20をなす物質製である場合との2つの場合において、それぞれZの値が求められてもよい。この場合、Z1の値は、2つのZの値のうち大きい方の値と同じかそれよりも大きい値とされてもよいし、小さい方の値と同じかそれよりも大きい値とされてもよいし、2つのZの値の平均値と同じかそれよりも大きい値とされてもよい。
【0055】
このようにC1、Z1の値が設定されることにより、枠部41の外面とケース20の内面との間に浸入した水は、毛細管現象が生じても、ケース20内に浸入しにくい。
【0056】
さらに、枠部41の外面とケース20の内面との間隔が大きい場合にその隙間を通ってケース20内に埃、ゴミ等が侵入する恐れがある。しかしながら、外向フランジ42が設けられているため、枠部41の外面とケース20の内面との隙間を通った埃、ゴミ等がケース20内に侵入することが抑制されている。ここで枠部41の外面とケース20の内面との間に浸入した水は、毛細管現象が生じても、外向フランジ42まで達しにくくなる。このため、本例のように外向フランジ42が設けられる場合でも、外向フランジ42の外面とケース20の内面との間に小さい隙間があっても、その隙間に水が達しにくいため、その隙間を通って水がケース20内に浸入しにくい。
【0057】
同様に、図7及び図9において、寸法C2は、フード43の内面とコネクタハウジングHの外面との間隔である。寸法C2は、カバー40とコネクタCとの間での第1クリアランス部におけるクリアランスである。寸法Z2は、フード43の内面とコネクタハウジングHの外面とが対向する部分のX方向(奥行方向)に沿った寸法である。寸法Z2は、カバー40とコネクタCとの間での第1クリアランス部において一定のクリアランスが続く部分の寸法である。この寸法C2及び寸法Z2も、上記の式(1)に応じて決定される。
【0058】
Z2の値は、例えば、式(1)においてrの値に上記C2の2分の1の値を代入したときに得られるZの値と同じかそれよりも大きい値に設定される。なお、C2及びそのときのZは実験的に求められてもよい。つまり、Z2の値は、C2の2分の1の値の半径を有する円管を用いて実験したときに得られるZの値と同じかそれよりも大きい値に設定される。この際、円管がカバー40をなす物質製である場合と、コネクタハウジングHをなす物質製である場合との2つの場合において、それぞれZの値が求められてもよい。この場合、Z2の値は、2つのZの値のうち大きい方の値と同じかそれよりも大きい値とされてもよいし、小さい方の値と同じかそれよりも大きい値とされてもよいし、2つのZの値の平均値と同じかそれよりも大きい値とされてもよい。
【0059】
このようにC2、Z2の値が設定されることにより、フード43の内面とコネクタハウジングHの外面との間に浸入した水は、毛細管現象が生じても、ケース20内に浸入しにくい。
【0060】
さらに、フード43の内面とコネクタハウジングHの外面との間隔が大きい場合にその隙間を通ってケース20内に埃、ゴミ等が侵入する恐れがある。しかしながら、内向フランジ44が設けられているため、フード43の内面とコネクタハウジングHの外面との隙間を通った埃、ゴミ等がケース20内に侵入することが抑制されている。ここでフード43の内面とコネクタハウジングHの外面との間に浸入した水は、毛細管現象が生じても、内向フランジ44まで達しにくくなる。このため、本例のように内向フランジ44が設けられる場合でも、内向フランジ44の外面とコネクタハウジングHの外面との間に小さい隙間があっても、その隙間に水が達しにくいため、その隙間を通って水がケース20内に浸入しにくい。
【0061】
ここで図10は毛細管現象におけるクリアランスと想定高さとの関係を示すグラフである。図10のグラフは、以下の条件のときに毛細管現象の式(1)を用いたシミュレーション結果を示している。すなわち、円管の材料はABS樹脂である。液体は水である。海水面高度で、温度は20℃である。
【0062】
第1クリアランス部におけるクリアランスの上限及び下限は適宜決定されていればよい。ここで第1クリアランス部におけるクリアランスが大きすぎると第1クリアランス部におけるクリアランスが大きすぎると、電子ユニット10が大型化してしまう。このため、第1クリアランス部におけるクリアランスC1、C2の上限は、許容される範囲でなるべく小さいことが好ましい。例えば、第1クリアランス部におけるクリアランスC1、C2の上限は、3~5mmのうちのいずれかの値とされてもよい。また第1クリアランス部におけるクリアランスC1、C2が小さすぎると、毛細管現象の式(1)に応じて決定される想定高さが大きくなりすぎる。このため、第1クリアランス部におけるクリアランスC1、C2の下限は、想定高さが大きくなりすぎない値であるとよい。例えば、想定高さが10mm、7mm又は5mmより小さくなるように第1クリアランス部におけるクリアランスC1、C2の下限が設定されてもよい。
【0063】
上述のように、第1クリアランス部において一定のクリアランスC1、C2が続く寸法Z1、Z2の下限値は毛細管現象の式(1)に応じて求められた想定高さとされることができる。第1クリアランス部において一定のクリアランスC1、C2が続く寸法Z1、Z2の上限値は、例えば、下限値とαmmとの和であってもよい。αの値は、例えば、1mm、2mm、3mmなどであってもよい。また例えば、第1クリアランス部において一定のクリアランスC1、C2が続く寸法Z1、Z2の上限値は、下限値とβとの積であってもよい。βの値は、例えば、1.1、1.2、1.3などであってもよい。
【0064】
図10に示される場合、第1クリアランス部におけるクリアランスC1、C2が1.5mm以上であると、想定高さは5mmよりも小さくなる。この場合、例えば、第1クリアランス部におけるクリアランスC1、C2は、1.5mm以上3mm以下とされても良い。図10に示される場合以外の場合でも、第1クリアランス部におけるクリアランスC1、C2は、1.5mm以上3mm以下とされても良い。
【0065】
<動作>
ケース20が、側壁22が鉛直上方を向いた状態で配置されている場合において、水が側壁22にかかった場合の水の動作について考える。
【0066】
側壁22の外面を伝う水は、奥側から開口21側に向けて進む場合がある。例えば、ケース20は、開口21がわずかに下を向くように取付けられることがある。この場合、側壁22の外面を伝う水は、奥側から開口21側に向けて進む。側壁22の外面を伝う水が奥側から開口21側に向けて進むと、まず奥側突出部52に達する。この際、奥側突出部52に段差Sが設けられているため、段差Sによって水がせき止められる。また奥側突出部52における段差Sを越えた水は、開口側突出部50に達する。この際、開口側突出部50に段差Sが設けられているため、段差Sによって水がせき止められる。
【0067】
開口側突出部50及び奥側突出部52における段差Sは、開口21の周囲に沿って延びるように形成されている。このため、段差Sによってせき止められた水は段差Sに沿って隣の側壁23、24に向けて進む。そして水は、隣の側壁23、24に沿って下方に流れる。
【0068】
また側壁23、24にも突出部54が設けられているため、側壁23、24に達した水は突出部54における段差Sによってせき止められ、下方に案内される。このとき、突出部54の近くに係止部28があるが、突出部54が係止部28よりも大きく突出しているため、水が係止部28に達しにくい。
【0069】
これらより、水がカバー40とケース20との隙間及びカバー40とコネクタCとの隙間に達しにくい。
【0070】
次に一部の水がカバー40とケース20との隙間及びカバー40とコネクタCとの隙間に達した場合について考える。上述のように突出部50、52、54によって、水がカバー40とケース20との隙間及びカバー40とコネクタCとの隙間に達することは抑制されている。しかしながら、一部の水がカバー40とケース20との隙間及びカバー40とコネクタCとの隙間に直接達したりすることは起こり得る。
【0071】
この場合、カバー40とケース20との間及びカバー40とコネクタCとの間にそれぞれ第1クリアランス部及び第2クリアランス部が設けられているため、カバー40とケース20との間及びカバー40とコネクタCとの間からケース20内へ水が浸入しにくい。
【0072】
特に寸法C1及び寸法Z1が上記式(1)に応じた寸法に設定されているため、カバー40とケース20との隙間からケース20内のうちカバー40よりも奥側へ水が浸入しにくい。より詳細には、カバー40とケース20との隙間に水が達した場合、毛細管現象によって、水がケース20の内側に進みうる。しかしながら、Z1が寸法C1に対応する想定高さ以上に設定されているため、枠部41とケース20との間に浸入した水は、外向フランジ42の位置まで達しにくい。これにより、毛細管現象が生じても、カバー40とケース20との隙間からケース20内のうちカバー40よりも奥側へ水が浸入しにくい。
【0073】
同様に、寸法C2及び寸法Z2も上記式(1)に応じた寸法に設定されているため、カバー40とコネクタハウジングHとの隙間からケース20内のうちカバー40よりも奥側へ水が浸入しにくい。より詳細には、カバー40とコネクタハウジングHとの隙間に水が達した場合、毛細管現象によって、水がケース20の内側に進みうる。しかしながら、Z2が寸法C2に対応する想定高さ以上に設定されているため、フード43とコネクタハウジングHとの間に浸入した水は、内向フランジ44の位置まで達しにくい。これにより、毛細管現象が生じても、カバー40とケース20との隙間からケース20内のうちカバー40よりも奥側へ水が浸入しにくい。
【0074】
以上より、ケース20の外面を伝う水は、ケース20内へ浸入しにくい。
【0075】
<実施形態の効果等>
以上のように構成された電子ユニット10によると、クリアランスの大きい第1クリアランス部が外側に位置することによって、毛細管現象が生じても第2クリアランス部まで水が達しにくくなり、ケース20内への水の浸入が抑制される。また、第1クリアランス部が一定のクリアランスを保ちつつ第2クリアランス部に達するまで続いているため、第1クリアランス部と第2クリアランス部との間に水たまり部を設けずに済み、電子ユニット10をコンパクトに保てる。これらより、電子ユニット10をなるべくコンパクトにしつつ、防水性を向上させることができる。
【0076】
またカバー40とケース20との間に、第1クリアランス部及び第2クリアランス部が設けられているため、カバー40とケース20との隙間から水がケース20内へ浸入することを抑制できる。同様にカバー40とコネクタCとの間においても、第1クリアランス部及び第2クリアランス部が設けられているため、カバー40とコネクタCとの隙間から水がケース20内へ浸入することを抑制できる。
【0077】
また開口21は、回路基板30を挿入可能な大きさに形成され、ケース20は直方体箱状に形成され、直方体の一つの面に相当する部分に開口21が形成されているため、ケース20に対して開口21が設けられる領域を少なくできる。
【0078】
また第1クリアランス部における一定のクリアランスを直径とする円管と、水との組み合わせによる毛細管現象において、液面の上昇高さを想定高さとした場合に、第1クリアランス部は、一定のクリアランスを保ちつつ第2クリアランス部まで想定高さ以上続いている。このため、第1クリアランス部において水が浸入して毛細管現象が生じてもその水が第2クリアランス部まで達しにくい。
【0079】
さらにケース20の側壁22、23、24に突出部50、52、54が形成されているため、ケース20の側壁22、23、24を伝う水が突出部50、52、54によってせき止められ、ケース20とカバー40との隙間に達しにくい。
【0080】
ここで電子ユニット10に防水性を持たせるために、パッキンが付けられたり、防水コネクタが採用されたりすることが考えられる。しかしながら、これらの構造は高価であったり、製造が複雑であったりする。また水かかりの恐れが低い箇所ではオーバースペックとなり得る。これに対して上記電子ユニット10では、簡易に防水性を持たせることが可能となるため、水かかりの恐れが低い箇所への配置に有効となる。
【0081】
またケース20のうち3つ以上の側壁22、23、24に突出部50、52、54が設けられているため、ケース20の配置が縦置きであっても、横置きであっても、鉛直方向上向きとなる側壁22、23、24に突出部50、52、54のいずれかが位置できる。つまり、側壁22、23、24のいずれが鉛直方向上向きとなっても突出部50、52、54のいずれかが存在できる。
【0082】
またケース20の側壁22に複数の突出部50、52が設けられているため、ケース20の側壁22を伝う水が突出部50、52によってせき止められやすくなる。
【0083】
また第1帯状突出部55は、係止部28よりも開口21から離れた位置に設けられているため、係止部28に水が達しにくくなる。係止部28における隙間から水の浸入を抑制できる。
【0084】
また第1帯状突出部55は、係止部28よりも第2側壁23、24の外側に大きく突出するように設けられているため、係止部28に水が達しにくくなる。
【0085】
また開口側突出部50及び第2帯状突出部56が設けられているため、開口側突出部50における段差Sが開口21に近い位置に位置することができる。これにより、側壁22のうち開口21の近くに水がかかっても、開口側突出部50によって水がせき止められる。
【0086】
また側壁22が鉛直方向上方を向くように電子ユニット10が車両等に配置されたときに、水が第1帯状突出部55及び第2帯状突出部56における傾斜面を伝わりやすくなる。これにより、水が下方に伝わりやすくなる。
【0087】
[変形例]
実施形態において、カバー40とケース20との間及びカバー40とコネクタCとの間の両方に第1クリアランス部及び第2クリアランス部を用いた防水構造が採用されていたが、このことは必須の構成ではない。例えば、カバー40とケース20との間及びカバー40とコネクタCとの間のうちいずれか一方の間のみに第1クリアランス部及び第2クリアランス部を用いた防水構造が採用されていてもよい。つまり、カバー40とケース20との間及びカバー40とコネクタCとの間のうち少なくとも一方の間に第1クリアランス部及び第2クリアランス部を用いた防水構造が採用されているとよい。
【0088】
実施形態において、ケース20が直方体箱状に形成されていたが、このことは必須の構成ではない。ケース20は他の形状に形成されていてもよい。
【0089】
実施形態において、寸法C1及び寸法Z1の組み合わせと、寸法C2及び寸法Z2の組み合わせとが、毛細管現象の式(1)に応じて決定されるものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。寸法C1及び寸法Z1の組み合わせと、寸法C2及び寸法Z2の組み合わせとは、毛細管現象の式(1)によらずに決定されてもよく、例えば、実験的に求められてもよい。
【0090】
実施形態において、開口21及び貫通孔を通じて外側に露出するコネクタCが複数設けられていたが、このことは必須の構成ではない。開口21及び貫通孔を通じて外側に露出するコネクタCは1つのみ設けられていてもよい。
【0091】
またケース20の外面に段差Sによる防水構造が設けられていたが、このことは必須の構成ではない。段差Sによる防水構造が省略されていてもよい。この場合、ケース20の外面は平坦に形成されていてもよい。
【0092】
なお、上記実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0093】
10 電子ユニット
20 ケース
21 開口
22 側壁(第1側壁)
23 側壁(第2側壁)
24 側壁(第2側壁)
25 側壁
26 底壁
27 ガイド部
28 係止部
30 回路基板
40 カバー
41 枠部
42 外向フランジ
43 フード
44 内向フランジ
45 リブ
46 係止片
50 突出部(開口側突出部)
52 突出部(奥側突出部)
54 突出部
55 第1帯状突出部
56 第2帯状突出部
57 第1部分
58 第2部分
C コネクタ
H コネクタハウジング
T 端子
S 段差
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10