(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-26
(45)【発行日】2023-07-04
(54)【発明の名称】米大豆兼用自主検定装置
(51)【国際特許分類】
B02B 7/00 20060101AFI20230627BHJP
B07B 1/20 20060101ALI20230627BHJP
B07B 13/11 20060101ALI20230627BHJP
B02B 5/02 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
B02B7/00 C
B07B1/20 A
B07B13/11 D
B02B5/02 102
B02B7/00 J
B02B7/00 101Z
(21)【出願番号】P 2020010243
(22)【出願日】2020-01-24
【審査請求日】2022-11-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000001812
【氏名又は名称】株式会社サタケ
(74)【代理人】
【識別番号】110000888
【氏名又は名称】弁理士法人山王坂特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梶山 慎介
(72)【発明者】
【氏名】金滿 圭右
【審査官】星野 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭58-180278(JP,A)
【文献】特開2000-342983(JP,A)
【文献】実開昭56-62178(JP,U)
【文献】特開平3-269336(JP,A)
【文献】登録実用新案第3197017(JP,U)
【文献】特開平7-185370(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02B 7/00
B07B 1/20
B07B 13/11
B02B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
籾摺部と、前記籾摺部の下部に配置された粒選別機と、前記粒選別機で選別された粒径の異なる穀物を計量する粒選別後計量器と、原料穀物を前記籾摺部に投入する搬送ユニットとを有し、
前記搬送ユニットは、投入経路切換部と、転選後搬送部とを含み、
前記投入経路切換部は、前記原料穀物の投入経路を、前記籾摺部に向かう第1経路と外部の転選機に向かう第2経路とに分岐する分岐部と、前記分岐部に配置され、前記投入経路として第1経路および第2経路の一方を選択する投入経路切換弁とを備え、
前記転選後搬送部は、前記転選機により屑粒が除去された穀物を受け入れる受入部と、前記受入部が受け入れた穀物を前記第1経路まで搬送して投入する搬送機構とを含むことを特徴とする米大豆兼用自主検定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の米大豆兼用自主検定装置であって、検定する穀物の種類の選択操作をユーザから受け付ける操作部と、制御部とをさらに有し、
前記籾摺部は、一対の籾摺ローラを含み、前記一対の籾摺ローラは少なくとも一方が着脱可能であり、
前記制御部は、ユーザが前記操作部を介して前記検定する穀物として大豆を選択した場合、前記一対の籾摺ローラの少なくとも一方を取り外すようにユーザに促す表示を、接続されている表示装置に表示させることを特徴とする米大豆兼用自主検定装置。
【請求項3】
請求項2に記載の米大豆兼用自主検定装置であって、前記粒選別機は、第1および第2の網筒を含み、
前記制御部は、ユーザが前記操作部を介して前記検定する穀物として大豆を選択した場合、前記第1の網筒を所定の網目幅の網筒に、前記第2の網筒を前記第1の網筒の網目幅よりも小さい所定の網目幅の網筒に交換するようにユーザに促す表示を、接続されている表示装置に表示させることを特徴とする米大豆兼用自主検定装置。
【請求項4】
請求項3に記載の米大豆兼用自主検定装置であって、前記粒選別機は、前記籾摺部との間に粒選別前切換部を、前記粒選別後計量器との間に粒選別後切換部をそれぞれ備え、
前記粒選別前切換部は、前記籾摺部を通過した穀物を前記第1および第2の網筒のうちの一方または両方に選択的に到達させ、
前記粒選別後切換部は、前記第1および第2の網筒により粒選別された穀物を前記粒選別後計量器または前記搬送機構に選択的に到達させることを特徴とする米大豆兼用自主検定装置。
【請求項5】
請求項4に記載の米大豆兼用自主検定装置であって、前記制御部は、前記粒選別前切換部と前記粒選別後切換部を制御することにより、前記籾摺部を通過した穀物を前記第1の網筒に到達させ、前記第1の網筒を通過しなかった大粒の穀物を前記粒選別後計量器に到達させて計量させ、前記第1の網筒を通過した中粒および小粒の穀物を、前記搬送機構に到達させ、前記搬送機構により搬送させることにより、前記第1経路から前記籾摺部を通過させて前記第2の網筒に到達させ、前記第2の網筒により小粒と中粒とを粒選別することを特徴とする米大豆兼用自主検定装置。
【請求項6】
請求項5に記載の米大豆兼用自主検定装置であって、前記制御部は、前記第2の網筒により粒選別された小粒と中粒の穀物を、前記粒選別後切換部により、順に前記粒選別後計量器に到達させてそれぞれ計量させることを特徴とする米大豆兼用自主検定装置。
【請求項7】
請求項1に記載の米大豆兼用自主検定装置であって、前記転選後搬送部の前記搬送機構は、前記原料穀物を前記第1経路まで搬送する原料搬送部を兼用していることを特徴とする米大豆兼用自主検定装置。
【請求項8】
請求項7に記載の米大豆兼用自主検定装置であって、前記原料穀物をユーザが投入する投入口を備え、前記投入口と前記転選後搬送部との間には、前記原料穀物を計量する原料計量器が配置されていることを特徴とする米大豆兼用自主検定装置。
【請求項9】
請求項1に記載の米大豆兼用自主検定装置であって、前記搬送ユニットの前記第2経路には、ホースの一端が固定され、前記ホースの他端は、前記転選機の投入口に挿入されることを特徴とする米大豆兼用自主検定装置。
【請求項10】
請求項1に記載の米大豆兼用自主検定装置であって、前記転選後搬送部の前記受入部には、前記屑粒が除去された穀物を受け入れる状態と受け入れ待機状態とを切り替え可能な開閉弁が備えられ、前記開閉弁の動作は、前記投入経路切換弁の切換動作と連動していることを特徴とする米大豆兼用自主検定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀物の共同乾燥調製施設等において米や麦の整粒と屑粒の重量比率の計測に用いられる自主検定装置に関し、特に、大豆についても粒径ごとの重量比率を計測可能な自主検定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
穀物の共同乾燥調製施設等に配置された自主検定装置は、施設に持ち込まれた穀物から抜き取られた数百グラム程度のサンプルを、籾摺り(脱ぷ)した後、整粒と整粒よりも粒径の小さい屑粒とに粒選別し、それぞれの重量を測定する(特許文献1~4参照)。これにより、自主検定装置は、整粒と屑粒の重量比を算出し、整粒の歩留まり等を検定する。このような自主検定装置の通常の検定対象は、米や麦である。
【0003】
一方、大豆用自主検定装置は、大豆乾燥施設に持ち込まれた大豆の大粒・中粒・小粒・屑粒を選別し、それぞれ重量を測定することにより、重量比を検定する装置である。大豆用自主検定装置は、屑粒を分ける転選機と、大粒・中粒・小粒の粒径を分ける選別機と、計量機とを備えて構成される(非特許文献1)。転選機は、傾斜させたベルトコンベア上での大豆の転がり方向が屑粒と整粒とで異なることを利用する傾斜コンベア構造である。選別機としては、所定の網目サイズの網筒を回転させて大豆が網目を通過できるか否かで粒径を分ける回転式と、転選機と同様の傾斜させたベルトコンベアを用いる傾斜コンベア式のものがある(特許文献5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平2-25727号公報
【文献】特開平10-15409号公報
【文献】特開2014-210247号公報
【文献】特開2014-210248号公報
【文献】特開2003-200114号公報
【非特許文献】
【0005】
【文献】農林水産省ホームページ(https://www.maff.go.jp/j/seisan/ryutu/daizu/d_kansou/1_05/)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
大豆用自主検定装置の屑粒を整粒から分ける転選機は、傾斜コンベアを用いるため設置面積が大きい。これに、粒径を分ける選別機や計量機が加わるため、大豆用自主検定装置は設置面積が大きな装置である。そのため、一つの共同乾燥調製施設等に、米麦用の自主検定装置と、大豆用の自主検定装置とを設置すると、設置面積が広大になるという問題があり、装置のコンパクト化が望まれていた。
【0007】
本発明の目的は、米麦用と大豆用とを兼用できるコンパクトな自主検定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1の発明は、籾摺部と、籾摺部の下部に配置された粒選別機と、粒選別機で選別された粒径の異なる穀物を計量する粒選別後計量器と、原料穀物を籾摺部に投入する搬送ユニットとを有する。搬送ユニットは、投入経路切換部と、転選後搬送部とを含む。投入経路切換部は、原料穀物の投入経路を、籾摺部に向かう第1経路と外部の転選機に向かう第2経路とに分岐する分岐部と、分岐部に配置され、投入経路として第1経路および第2経路の一方を選択する投入経路切換弁とを備えている。転選後搬送部は、転選機により屑粒が除去された穀物を受け入れる受入部と、受入部が受け入れた穀物を第1経路まで搬送して投入する搬送機構とを含む。
【0009】
また、請求項2の発明は、請求項1の構成において、検定する穀物の種類の選択操作をユーザから受け付ける操作部と、制御部とをさらに有する。籾摺部は、一対の籾摺ローラを含み、一対の籾摺ローラは少なくとも一方が着脱可能である。制御部は、ユーザが前記操作部を介して検定する穀物として大豆を選択した場合、一対の籾摺ローラの少なくとも一方を取り外すようにユーザに促す表示を、接続されている表示装置に表示させる。
【0010】
また、請求項3の発明は、請求項2の構成において、粒選別機が、第1および第2の網筒を含む。制御部は、ユーザが操作部を介して検定する穀物として大豆を選択した場合、第1の網筒を所定の網目幅の網筒に、第2の網筒を第1の網筒の網目幅よりも小さい所定の網目幅の網筒に交換するようにユーザに促す表示を、接続されている表示装置に表示させる。
【0011】
また、請求項4の発明は、請求項3の構成において、粒選別機が、籾摺部との間に粒選別前切換部を、粒選別後計量器との間に粒選別後切換部をそれぞれ備えている。粒選別前切換部は、籾摺部を通過した穀物を第1および第2の網筒のうちの一方または両方に選択的に到達させる。粒選別後切換部は、第1および第2の網筒により粒選別された穀物を粒選別後計量器または搬送機構に選択的に到達させる。
【0012】
また、請求項5の発明は、請求項4の構成において、制御部が、粒選別前切換部と粒選別後切換部を制御する。これにより、籾摺部を通過した穀物を第1の網筒に到達させ、第1の網筒を通過しなかった大粒の穀物を粒選別後計量器に到達させて計量させる。また、第1の網筒を通過した中粒および小粒の穀物を、搬送機構に到達させ、搬送機構により搬送させることにより、第1経路から籾摺部を通過させて第2の網筒に到達させる。第2の網筒により小粒と中粒とが粒選別される。
【0013】
また、請求項6の発明は、請求項5の構成において、制御部が、第2の網筒により粒選別された小粒と中粒の穀物を、粒選別後切換部により順に粒選別後計量器に到達させてそれぞれ計量させる。
【0014】
また、請求項7の発明は、請求項1の構成において、転選後搬送部の搬送機構が、原料穀物を前記第1経路まで搬送する原料搬送部を兼用している。
【0015】
また、請求項8の発明は、請求項7の構成において、原料穀物をユーザが投入する投入口を備え、投入口と転選後搬送部との間には、原料穀物を計量する原料計量器が配置されている。
【0016】
また、請求項9の発明は、請求項1の構成において、搬送ユニットの第2経路には、ホースの一端が固定される。ホースの他端は、転選機の投入口に挿入される。
【0017】
また、請求項10の発明は、請求項1の構成において、転選後搬送部の受入部に、屑粒が除去された穀物を受け入れる状態と受け入れ待機状態とを切り替え可能な開閉弁が備えられる。開閉弁の動作は、投入経路切換弁の切換動作と連動している。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、米を籾摺りした後、屑粒と整粒を粒選別して計量でき、しかも、大豆についても屑粒を除去して粒選別して計量できるコンパクトな自主検定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】(a)および(b)本実施形態の自主検定装置1全体の斜視図である。
【
図2】(a)は、本実施形態の自主検定装置1の前面ドアの裏面図であり、(b)は、前面ドアを開けた本体の正面図である。
【
図3】前面ドアを取り払った実施形態の自主検定装置1の正面図である。
【
図4】(a)は、前面ドアの板状部材と、籾摺部の前面の覆いを取り除いた実施形態の自主検定装置1本体の正面図であり、(b)は、図(a)のA-A’断面図であり、図(c)は、図(b)の拡大断面図である。
【
図5】(a)および(b)は、実施形態の自主検定装置1の搬送ユニット50の正面図であり、(c)は、搬送ユニット50の側面図である。
【
図6】(a)および(b)は、実施形態の自主検定装置1の搬送ユニット50の側面図であり、(c)は、搬送ユニット50の正面図である。
【
図7】実施形態の自主検定装置1の米検定時の動作を示すフローチャートである。
【
図8】実施形態の自主検定装置1の大豆検定時の動作を示すフローチャートである。
【
図9】(a)から(d)実施形態の自主検定装置1の画面表示例である。
【
図10】(a)および(b)実施形態の自主検定装置1の画面表示例である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施の形態の米大豆兼用自主検定装置1について説明する。
【0021】
図1(a),(b)は、本実施形態の自主検定装置1全体の斜視図であり、
図2(a)は、自主検定装置1の前面ドアの裏面図であり、
図2(b)は、前面ドアを開けた本体の正面図である。
図3は、前面ドアを取り払った自主検定装置の正面図であり、
図4(a)は、前面ドアの板状部材と、籾摺部の前面の覆いを取り除いた自主検定装置1本体の正面図であり、
図4(b)は、
図4(a)のA-A’断面図であり、
図4(c)は、その拡大断面図である。
図5(a)、(b)は、正面から見た搬送ユニット50の拡大図であり、
図5(c)は、側面から見た搬送ユニット50の拡大図である。
【0022】
図1(a)、(b)に示すように、自主検定装置1は、直方体の筐体11の前面ドア11aに、ユーザが原料穀物を投入する投入口12と、操作部(タッチパネル)13が備えられている。筐体11内には、
図2(b)に示すように、籾摺部20と、籾摺部20の下部に配置された粒選別機30と、粒選別機30で選別された粒径の異なる穀物を計量する計量器40と、原料穀物を計量する計量器80が配置されている。
【0023】
筐体11の右側面には、原料穀物を籾摺部20に投入する搬送ユニット50が取り付けられている。筐体11の左側面には、原料穀物の一部や、粒選別後の整粒や屑粒をそれぞれパック詰めするサンプルパッカ60が配置されている。
【0024】
さらに、本実施形態では、筐体11の右側面後方に、原料穀物が大豆である場合に、屑粒を取り除く転選機70が配置されている。転選機70は、傾斜したベルトコンベア上で大豆を転がすことにより、屑粒と整粒とを選別する公知の装置である。転選機70は、自主検定装置1によって大豆を検定するときにだけ配置すればよい。米や麦を検定するときには用いないため、転選機70を別の場所に保管しておいてもよい。
【0025】
本実施形態の自主検定装置1では、投入口12から米(籾)を投入して検定する場合、計量器80で計量した後、籾摺部20で籾摺りし、粒選別機30により屑粒と整粒に選別し、計量器40で屑粒と整粒をそれぞれ計量する。一方、投入口12から大豆を投入して検定する場合、計量器80で計量した後、転選機70で屑粒を除去し、籾摺部20は内部の少なくとも一部の部品を取り外して通路とし、粒選別機30において大粒・中粒・小粒の3段階に粒選別して計量する。そのため、以下のように各部を構成している。
【0026】
図5(a)、(b)に示すように、搬送ユニット50は、投入経路切換部51と、搬送部52とを含む。搬送部52は、計量器80で計量した原料穀物を投入経路切換部51まで搬送する原料搬送部と、転選機70から排出される転選後の穀物も投入経路切換部51の第1経路まで搬送する転選後搬送部とを兼用している。
【0027】
投入経路切換部51は、分岐部53と、分岐部に配置された投入経路切換弁54と、その駆動部55と備えている(
図5(c)参照)。
【0028】
分岐部53は、投入された原料穀物の経路を、籾摺部20に向かう第1経路53aと外部の転選機に向かう第2経路53bとに分岐させている。第2経路53bには、ホース56の一端が固定されている。ホース56の他端は、転選機70の投入口70aに挿入される。
【0029】
投入経路切換弁54は、分岐部53に配置され、原料穀物の投入経路として第1経路53aおよび第2経路53bのうちの一方を選択する。よって、駆動部55が、投入経路切換弁54を第1経路53aを開にする向きに倒している場合には、投入された穀物は、第1経路53aを通って籾摺部20に投入される。一方、駆動部55が投入経路切換弁54を第2経路53bを開にする向きに倒している場合には、投入された穀物は第2経路53bおよびホース56を通って転選機70に投入される。
【0030】
図5(a)および
図6(a)~(c)に示すように、搬送部52は、受入部(可動ホッパ)52aと、可動ホッパ52aが受け入れた穀物を第1経路53aまで搬送して投入する搬送機構(ロッドレスシリンダ)52bと、転選機70の排出シュート70bが挿入または連結された受入シリンダ52cを備えている。可動ホッパ52aは、原料穀物の搬送時には、計量部80の下部に配置され、計量部80が計量した原料穀物を受け入れる。また、可動ホッパ52cは、転選機70により屑粒が除去された穀物を転選機70の排出シュート70bから受け入れる場合には、受入シリンダ52cから受け入れる。
【0031】
ロッドレスシリンダ52bは、可動ホッパ52aを投入経路切換部51の上部まで垂直方向に移動させ、原料穀物または転選後の屑粒除去穀物を、投入経路切換部51に投入する。
【0032】
なお、
図6(a)、(b)に示したように、受入部(受入シリンダ52c)には、屑粒が除去された穀物を受け入れる状態と受け入れ待機状態とを切り替え可能な開閉弁52dと、その駆動部52eが備えられている。開閉弁52dの動作は、投入経路切換弁54の切換動作と連動している。
【0033】
また、原料穀物を計量する計量器80は、原料穀物をユーザが投入する投入口12の下部であって、可動ホッパ52aが原料穀物を受け取る位置との間に配置されている。
【0034】
また、自主検定装置1内には、制御部100が配置され、操作部13に設定された操作を受け付け、籾摺部20の動作や粒選別機30の動作や、投入経路切換弁54や開閉弁52dや、可動ホッパ52aの動作を制御している。制御部100は、CPUとメモリを内蔵し、メモリ内に予め格納されたプログラムを読み込んで実行することにより、ソフトウェアによりその制御動作を実現する構成である。ただし、本実施形態は、ソフトウェアにより制御部100の機能を実現するものに限定されるものではなく、機能の一部または全部をハードウェアによって実現することも可能である。例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)のようなカスタムICや、FPGA(Field-Programmable Gate Array)のようなプログラマブルICを用いて制御部100を構成し、その制御動作を実現するように回路設計を行えばよい。
【0035】
籾摺部20は、一対の籾摺ローラ21、22を備え、一対の籾摺ローラ21,22は少なくとも一方のローラ(主軸ローラ)21が、ローラ21を回転させるシャフト23に対して着脱可能な構成である。ここでは、
図4(a)、(c)に示すように、シャフト23の先端にねじが形成されており、リテーナ24とカップ25で主軸ローラ21のつば21aを挟んでナット26で締めることにより、シャフト23に主軸ローラ21を着脱可能に固定している。
【0036】
これにより、米(籾)を検定する際には、主軸ローラ21をシャフト23に固定し、ローラ22とともに回転させることにより、主軸ローラ21とローラ22との間を籾が通過することにより脱ぷされる。
【0037】
また、籾摺部20は、送風機27を備え、脱ぷ後の玄米に送風することにより、玄米ともみ殻とを分離する。
【0038】
制御部100は、ユーザが操作部(タッチパネル)13を介して検定する穀物として大豆を選択した場合、一対の籾摺ローラの少なくとも一方を取り外すようにユーザに促す表示を、接続されている表示装置(またはタッチパネル13の画面)に表示させる。
【0039】
粒選別機は、第1および第2の網筒31,32と、第1および第2の網筒を回転させる駆動部(図示せず)とを含む。制御部は、ユーザが操作部13を介して検定する穀物を選択した場合、選択した穀物に応じて、第1及び第2の網筒31,32の網目幅を指定し、網筒を交換するように促す表示を表示装置(またはタッチパネル13の画面)に表示する。
【0040】
例えば、米がユーザにより選択された場合、制御部100は、第1及び第2の網筒31,32の網目幅として、所定の同じ大きさを指定する。一方、大豆がユーザにより選択された場合、制御部100は、第1の網筒31を所定の網目幅の網筒に、第2の網筒32を1の網筒の網目幅よりも小さい所定の網目幅の網筒に交換するようにユーザに促す表示を表示装置に表示させる。
【0041】
また、粒選別機30は、籾摺部20との間に粒選別前切換部33を
図4(a)のように備えている。粒選別前切換部33をその駆動部34によって切り替えることにより、籾摺部20を通過した穀物を第1および第2の網筒31、32のうちの一方または両方に選択的に到達させて粒選別させることができる。
【0042】
また、粒選別機30は、計量器40との間に粒選別後切換部35、36、37を備えている。粒選別後切換部35,36,37は、第1および第2の網筒31,32により粒選別された穀物を計量器40または可動ホッパ52aに選択的に到達させることができる。
【0043】
制御部100は、粒選別前切換部33と粒選別後切換部35~37を制御することにより、籾摺部20を通過した穀物を第1の網筒31に到達させ、第1の網筒31を通過しなかった大粒の穀物を計量器40に到達させて計量させる。また、第1の網筒31を通過した中粒および小粒の穀物を、可動ホッパ52aに到達させ、ロッドレスシリンダ52bにより搬送させることにより、第1経路53aから籾摺部20を通過させて第2の網筒32に到達させ、第2の網筒32により小粒と中粒とに粒選別させることができる。そして、制御部100は、第2の網筒32により粒選別された小粒と中粒の穀物を、粒選別後切換部36により、順に計量器40に到達させてそれぞれ計量させる。
【0044】
また、自主検定装置1には、計量器40により計量後の穀物をサンプルパッカまで搬送する搬送部90が備えられている。搬送部90は、ここでは排出ホッパ90aと、排出ホッパ90aを搬送する搬送機構90bとを含む。
【0045】
また、投入口12には、投入された原料穀物を計量器80まで導く経路12aと、原料穀物の一部を保存原料として分岐させて待機ホッパ12cまで導く経路12bが接続されている。待機ホッパ12cに導かれた保存原料は、排出ホッパ90aと搬送機構90bによりサンプルパッカ60に投入され、パック詰めされる。
【0046】
つぎに
図7、
図8のフローおよび
図9、
図10のタッチパネル13の表示画面例を用いて、米検定時と大豆検定時の自主検定装置1の各部の動作をさらに説明する。
【0047】
図10(a)に設定画面を示すように、米(うるち米、もち米)、麦、大豆の検定に適した網筒の網目幅が予めユーザにより、または、デフォルトにより設定されており、制御部100内のメモリに格納されている。また、網目筒31,32としては、初期設定として、米(うるち米)の検定に適した網目幅のものが粒選別機30に取り付けられているものとする。
【0048】
制御部100は、
図9(a)のような、検定する穀物の種類を受け付ける画面を操作パネル13に表示させる。ユーザが、この画面において、米(うるち米)を選択した場合、
図7のフローに沿って各部の動作を制御する。
【0049】
まず、制御部100は、ユーザにテスト乾燥機で原料穀物(米(うるち米))を乾燥させるように促す表示をタッチパネル13の画面に表示した後、乾燥後の米を投入口12から投入するように促す表示を表示する(ステップ101,102)。これを受けてユーザが乾燥させた米を投入口12から投入したならば、米の一部は経路12aを通って計量器80に到達する。また、米の他の一部は、経路12bを通って待機ホッパ103に到達し、保存原料となる。制御部100は、待機ホッパ103から保存原料を払い出させ、搬送部90により搬送させる(ステップ103~105)。搬送部90は、保存原料をサンプルパッカ60に投入し、サンプルパッカは、保存原料をパック詰めする(ステップ106)。なお、ユーザの選択により、保存原料をパック詰めせず、機外に排出することもできる(ステップ107)。
【0050】
制御部100は、計量器80に米を計量させた後、計量器80を制御して下方に払い出させる(ステップ108~110)。計量器80から払い出された米は、可動ホッパ52aに受け入れられる。制御部100は、搬送部52を動作させて、可動ホッパ52aを投入経路切換部51の上部まで移動させ、米を投入させる(ステップ111)。このとき、制御部100は、投入経路切換部51の投入経路切換弁54は、米を第1経路53aに導く側に切り換える。これにより、米は第1経路53aを通って、籾摺部20に到達し、籾摺ローラ21、22の間を通過することにより脱ぷされ、送風機27の風を受けてもみ殻から分離されて粒選別機30に達する(ステップ112、113)。
【0051】
制御部100は、切換部33を切換えて米を第1および第2の網筒31,32にそれぞれ投入し、第1及び第2の網筒31,32を回転させる。第1および第2の網筒31,32の網目幅は同じであり、屑粒が網目を通過し、整粒は網筒31、32内に残る(ステップ114,115)。
【0052】
制御部100は、切換部35、36、37を切り替えて、まず、第1及び第2の網筒31、32の外側の屑粒を計量器40へ払い出させる(ステップ116,118)。制御部100は、計量器40に、屑粒を計量させた後、計量器40に屑粒を払い出させ、屑粒を搬送部90によってサンプルパッカ60まで搬送させる(ステップ120~123)。サンプルパッカ60は、屑粒をパック詰めする(ステップ124)。
【0053】
つぎに、制御部100は、切換部35、36、37を切り替えて、第1及び第2の網筒31、32の内側の整粒を計量器40へ払い出させる(ステップ117,119)。制御部100は、計量器40に、整粒を計量させ、計量結果とステップ108の原料の計量結果から整粒の歩留まりを算出する(ステップ126)。算出結果は、前面ドア11aに備えられたプリンタ14により印刷する。その後、計量器40に整粒を払い出させ、整粒を搬送部90によってサンプルパッカ60まで搬送させる(ステップ127~128)。サンプルパッカ60は、整粒をパック詰めする(ステップ129)。
【0054】
以上により、
図7のように保存原料と屑粒と整粒がパック詰めされたサンプルパック130と、整粒の歩留まりが印刷された伝票を作成することができる。
【0055】
つぎに、
図9(a)の画面において、ユーザが、この画面において、大豆2を選択した場合、
図8のフローに沿って各部の動作を制御する。
【0056】
まず、制御部100は、ナビゲーションモードに移行し(ステップ200)、
図9(b)~(d)の画面を順に表示して、第1及び第2の網筒31,32の交換(
図9(a))と、ローラ21の取り外し(
図9(b))と、転選機70の設置(
図9(c))を促す。具体的には、
図9(b)の画面により、第1及び第2の網筒31,32の交換手順を表示し、ユーザに第1および第2の網筒31,32をそれぞれ大豆用の所定の網目幅のものに交換するように促す。ユーザが、第1および第2の網筒31,32を交換したならば、
図9(c)の画面により、ローラ21の取り外し手順を表示し、ユーザに取り外しを促す。ユーザが、ローラ21を取り外したならば、
図9(d)の画面により、転選機70の設置と、ホース56の受入部70aへの挿入と、排出シュータ70bの受入シリンダ52cへの連結を促す。
【0057】
転選機70が設置されたならば、ユーザにテスト乾燥機で原料穀物(大豆)を乾燥させるように促す表示をタッチパネル13の画面に表示した後、乾燥後の大豆を投入口12から投入するように促す表示を表示する(ステップ201,202)。これを受けてユーザが乾燥させた大豆を投入口12から投入したならば、大豆の一部は経路12aを通って計量器80に到達する。また、大豆の他の一部は、経路12bを通って待機ホッパ103に到達し、保存原料となる。制御部100は、待機ホッパ103から保存原料を払い出させ、搬送部90により搬送させ、サンプルパッカ60に投入させ、パック詰めさせる(ステップ203~206)。なお、ユーザの選択により、パック詰めせず機外に排出させてもよい(ステップ207)。
【0058】
制御部100は、計量器80に大豆を計量させた後、下方に払い出させると(ステップ208~210)、
図5(a)のように、大豆は可動ホッパ52aに入る。制御部100は、可動ホッパ52aを搬送部52により搬送して、投入経路切換部51から投入させる(ステップ211)。このとき、制御部100は、投入経路切換部51の投入経路切換弁54を、大豆を第2経路53bに導く側に切り換える。これにより、大豆は、
図5(b)のように第2経路53bおよびホース56を通って、転選機70に入る。転選機70は、大豆を屑粒と整粒に選別する。整粒は、
図6(a)のように排出シュータ70bから受入シリンダ52cに達する(ステップ212)。このとき、制御部100は、開閉弁52dを閉状態として、受入シリンダ52cの中で大豆の整粒を待機させ、その間に可動ホッパ52aを下降させる。可動ホッパ52aが下降したならば、制御部100は、
図6(b)のように、開閉弁52dを開状態とし、大豆の整粒を可動ホッパ52aに移動させる。
【0059】
制御部100は、再び可動ホッパ52aを搬送部52により搬送して、投入経路切換部51から投入させる(ステップ213)。このとき、制御部100は、投入経路切換部51の投入経路切換弁54を、大豆を第1経路53aに導く側に切り換える。これにより、大豆は、
図6(c)のように第1経路53aを通って、籾摺部20に入る。籾摺部20のローラ21は取り外されているため、大豆は、籾摺部20を通過して、粒選別機30に達する(ステップ214)。
【0060】
制御部100は、切換部33を切換えて大豆を第1の網筒31に投入し、第1の網筒31を回転させる。第1の網筒31の網目幅は大きいため、中粒と小粒が網目を通過し、大粒は網筒31内に残る(ステップ214)。
【0061】
制御部100は、切換部35、36、37を切り替えて、まず、第1の網筒31内の大粒を計量器40へ払い出させる(ステップ215)。制御部100は、計量器40に、大粒を計量させた後、計量器40に大粒を払い出させ、大粒を搬送部90によってサンプルパッカ60まで搬送させる(ステップ216~219)。サンプルパッカ60は、大粒をパック詰めする(ステップ220)。
【0062】
つぎに、制御部100は、切換部35、36、37を切り替えて、第1の網筒31の外側の中粒と小粒を計量器80へ払い出させ、計量器80を通過させて払い出させる(ステップ221~223)。中粒と小粒は、可動ホッパ52aに入り、制御部100は、再び搬送部52により搬送させて、投入経路切換部51から投入させる。このとき、制御部100は、投入経路切換部51の投入経路切換弁54を、中粒と小粒を第1経路53aに導く側に設定しておく。これにより、中粒と小粒は、第1経路53aを通って、籾摺部20に入り、ローラ21がはずされている籾摺部20を通過して、粒選別機30に達する(ステップ224)。
【0063】
制御部100は、切換部33を切換えて大豆を第2の網筒32に投入させ、第2の網筒32を回転させる。第2の網筒32の網目幅は、第1の網筒31の網目幅より小さいため、小粒が網目を通過し、中粒は網筒32内に残る(ステップ225)。
【0064】
制御部100は、切換部35、36、37を切り替えて、まず、第2の網筒32の外側の小粒を計量器40へ払い出させる(ステップ226)。制御部100は、計量器40に、小粒を計量させた後、計量器40から小粒を払い出させ、小粒を搬送部90によってサンプルパッカ60まで搬送させる(ステップ227~230)。サンプルパッカ60は、小粒をパック詰めする(ステップ231)。
【0065】
つぎに、制御部100は、切換部35、36、37を切り替えて、第2の網筒32内の中粒を計量器40へ払い出させる(ステップ232)。制御部100は、計量器40に、中粒を計量させた後、計量結果とステップ209の原料の計量結果から中粒の歩留まりを算出する(ステップ235)。算出結果は、前面ドア11aに備えられたプリンタ14により印刷する。その後、計量器40に整粒を払い出させ、中粒を搬送部90によってサンプルパッカ60まで搬送させる(ステップ236~127)。サンプルパッカ60は、中粒をパック詰めする(ステップ238)。
【0066】
以上により、大粒と中粒と小粒の3段階に粒選別された大豆と、保存原料とがそれぞれパック詰めされたサンプルパック240と、歩留まり値が印刷された伝票を作成することができる。また、
図10(b)のように、検定結果を画面表示することもできる。
【0067】
上述してきた本実施形態の自主検定装置1は、従来の米や麦用の自主検定装置1と本体サイズは変わらず、転選機70を設置して接続するのみで大豆の検定を行うことができる。よって、コンパクトでありながら、米の検定のみならず、大豆の検定を行うことが可能な自主検定装置を提供できる。
【0068】
なお、本実施形態の自主検定装置では、籾摺部20のローラ21とローラ22の間隙を広げることにより、麦の検定を行うことも可能である。また、大豆についても、屑粒と整粒を分離するだけの場合には、麦と同様にローラ21とローラ22の間隙を広げ、粒選別機30により、屑粒と整粒を分離することも可能である。
【符号の説明】
【0069】
1…自主検定装置、11…筐体、11a…前面ドア、12…投入口、12a…経路、12b…経路、13…操作部(タッチパネル)、14…プリンタ、20…籾釣り部、21、22…籾摺ローラ、27…送風機、30…粒選別部、31、32…第1および第2の網筒、33…粒選別前切換部、34…駆動部、35、36,37…粒選別後切換部、40…計量器、50…搬送ユニット、51…投入経路切換部、52…搬送部、52a…受入部(可動ホッパ)、52b…搬送機構(ロッドレスシリンダ)、52c…受入部(受入シリンダ)、52d…開閉弁、52e…駆動部、53…分岐部、53a…第1経路、53b…第2経路、54…投入経路切換弁、70…転選機、70b…排出シュート、80…計量器