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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-26
(45)【発行日】2023-07-04
(54)【発明の名称】車両のドア
(51)【国際特許分類】
   B60J 5/04 20060101AFI20230627BHJP
【FI】
B60J5/04 N
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020013556
(22)【出願日】2020-01-30
(65)【公開番号】P2021120243
(43)【公開日】2021-08-19
【審査請求日】2022-04-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】益山 司
【審査官】菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-145926(JP,U)
【文献】特開2005-053288(JP,A)
【文献】米国特許第04200327(US,A)
【文献】西独国特許出願公開第03544585(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降可能なドアガラスを収納できるドア本体部と、そのドア本体部の上側に設けられた窓枠部とを備える車両のドアであって、
前記窓枠部は、上限位置まで上昇した前記ドアガラスの端縁を受けるフレームで、前記ドア本体部に接続される傾斜部を備えるドアフレームと、前記ドアガラスの昇降をガイドするフレームで、上端部が前記ドアフレームの傾斜部の下側面に接続されているガイドフレームとを備えており、
前記ドアフレームとガイドフレームとの接続部より下側では、前記ドアフレームの室内側の壁部と前記ガイドフレームの室内側の壁部とが第1連結部材によって連結されており、前記ドアフレームの室外側の壁部と前記ガイドフレームの室外側の壁部とが第2連結部材によって連結されており、
前記ドアフレームとガイドフレームとの接続部より下側では、前記ドアフレームの室外側の壁部と第1連結部材とが第3連結部材によって連結されている車両のドア。
【請求項2】
請求項1に記載された車両のドアであって、
前記ドアフレームとガイドフレームとの接続部より下側では、前記ドアフレームと、前記ガイドフレームと、前記ドア本体部の上端面とに囲われた空間が、車室の内外から板状の前記第1連結部材と前記第2連結部材とによって覆われている車両のドア。
【請求項3】
請求項1又は請求項2のいずれかに記載された車両のドアであって、
前記第1連結部材と前記第3連結部材とがミラー取付け用の締結部材によって連結されている車両のドア。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載された車両のドアであって、
前記ドアフレームの室内側の壁部は、車幅方向に沿って形成された横壁部を備えており、
前記第1連結部材は、前記ドアフレームを室内側から覆った状態で、その第1連結部材の端縁が前記横壁部に固定されている車両のドア。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載された車両のドアであって、
前記ドアフレームの室外側の外壁部は車両前後方向に沿って形成されており、
前記第2連結部材の端縁と前記第3連結部材の端縁とが前記外壁部に重ねられた状態でその外壁部に固定されている車両のドア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昇降可能なドアガラスを収納できるドア本体部と、そのドア本体部の上側に設けられた窓枠部とを備える車両のドアに関する。
【背景技術】
【0002】
車両のドアに関する技術が特許文献1に記載されている。特許文献1に記載の技術は、図9に示すように、車両のフロントドア100に関するものである。フロントドア100は、昇降可能なドアガラス103を収納できるドア本体部102と、そのドア本体部102の上側に設けられた窓枠部105とを備ている。窓枠部105は、その窓枠部105の上縁部を構成するドアフレーム106と、ドアガラス103の昇降をガイドする前部ガイドフレーム107と後側の支柱状ガイドフレーム108とを備えている。
【0003】
前部ガイドフレーム107は、ドア本体部102の内部から上方に突出する突出部107tを備えており、その突出部107tの上端部がドアフレーム106の傾斜部106kの下側面に接続されている。そして、ドアフレーム106と前部ガイドフレーム107との接続部より下側、即ち、ドアフレーム106と前部ガイドフレーム107とドア本体部102の上端面とに囲まれた空間に、ドアミラーが取付けられる板状のミラーブラケット110が設けられている。ミラーブラケット110は、図9図10に示すように、前記空間に嵌め込まれるように三角形状に形成されており、車両外側が凹となるように断面略U字形に成形されている。そして、ドアフレーム106の壁部と前部ガイドフレーム107の壁部とがミラーブラケット110を介して連結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-53288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
フロントドア100のドアガラス103、及び窓枠部105には、車両の高速走行時に風圧により車両外側方向に吸い出されるような荷重が加わる。このため、ドアフレーム106と前部ガイドフレーム107とミラーブラケット110からなる窓枠部105の下部の強度を向上させる必要がある。しかし、ミラーブラケット110は、ドアフレーム106と前部ガイドフレーム107とを一枚の成形鋼板によって連結する構成である。このため、ドアフレーム106を捩じる方向の荷重に対して剛性を確保するためには、ミラーブラケット110の板厚寸法を十分に大きくする必要があり、効率的でない。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、ドアフレームと、前部ガイドフレームと、両者の連結部材(例えば、ミラーブラケット)とからなる窓枠部の下部の剛性を効率的に向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題は、各発明によって解決される。第1の発明は、昇降可能なドアガラスを収納できるドア本体部と、そのドア本体部の上側に設けられた窓枠部とを備える車両のドアであって、前記窓枠部は、上限位置まで上昇した前記ドアガラスの端縁を受けるフレームで、前記ドア本体部に接続される傾斜部を備えるドアフレームと、前記ドアガラスの昇降をガイドするフレームで、上端部が前記ドアフレームの傾斜部の下側面に接続されているガイドフレームとを備えており、前記ドアフレームとガイドフレームとの接続部より下側では、前記ドアフレームの室内側の壁部と前記ガイドフレームの室内側の壁部とが第1連結部材によって連結されており、前記ドアフレームの室外側の壁部と前記ガイドフレームの室外側の壁部とが第2連結部材によって連結されており、前記ドアフレームとガイドフレームとの接続部より下側では、前記ドアフレームの室外側の壁部と第1連結部材とが第3連結部材によって連結されている
【0008】
本発明によると、ドアフレームとガイドフレームとの接続部より下側では、前記ドアフレームの室内側の壁部と前記ガイドフレームの室内側の壁部とが第1連結部材によって連結されている。また、前記ドアフレームの室外側の壁部と前記ガイドフレームの室外側の壁部とが第2連結部材によって連結されている。即ち、ドアフレームとガイドフレームとの壁部が室内側と室外側との両側で連結されているため、窓枠部の下部におけるドアフレームの捻じれ変形を効率的に抑制できる。
さらに、ドアフレームの室外側の壁部と第1連結部材とが第3連結部材によって連結されているため、ドアフレームの捻じれ荷重に対する剛性をさらに向上できる。
【0010】
第2の発明の発明によると、ドアフレームとガイドフレームとの接続部より下側では、前記ドアフレームと、前記ガイドフレームと、ドア本体部の上端面とに囲われた空間が、車室の内外から板状の前記第1連結部材と前記第2連結部材とによって覆われている。
【0011】
第3の発明によると、第1連結部材と第3連結部材とがミラー取付け用の締結部材によって連結されている。即ち、第1連結部材と第3連結部材とをドアミラーの取付け用のミラーブラケットとして使用できる。
【0012】
第4の発明によると、ドアフレームの室内側の壁部は、車幅方向に沿って形成された横壁部を備えており、第1連結部材は、前記ドアフレームを室内側から覆った状態で、その第1連結部材の端縁が前記横壁部に固定されている。即ち、第1連結部材の端縁と車幅方向に延びるドアフレームの横壁部とが固定されるため、ドアフレームが車幅方向に変形し難くなる。
【0013】
第5の発明によると、ドアフレームの室外側の外壁部は車両前後方向に沿って形成されており、第2連結部材の端縁と第3連結部材の端縁とが前記外壁部に重ねられた状態でその外壁部に固定されている。このため、ドアフレームの室外側の外壁部と第2連結部材、第3連結部材の端縁とをまとめて、例えば、溶接等で固定できるため、施工効率が向上する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、ドアフレームと、ガイドフレームと、両者の連結部材とからなる窓枠部の下部の剛性を効率的に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態1に係る車両のフロントドアを室内側から見た模式図である。
図2】前記フロントドアの窓枠部の模式側面図である。
図3】前記窓枠部を構成するドアフレームの断面図(図2のIII-III矢視断面図)である。
図4】前記窓枠部を構成する前部ガイドフレームの断面図(図2のIV-IV矢視断面図)である。
図5】前記フロントドアのミラーブラケットを車室内前方から見た斜視図である。
図6】前記フロントドアのミラーブラケットを車室外前方から見た斜視図(図5のVI矢視図)である。
図7】前記フロントドアのドアフレーム、前部ガイドフレーム、及びミラーブラケットの平断面図(図5のVII-VII矢視断面図)である。
図8】前記ミラーブラケットに対してドアミラーが取付けられた状態を表す平断面図である。
図9】従来のフロントドアを室内側から見た模式図である。
図10図9のX-X矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[実施形態1]
以下、図1から図8に基づいて、本発明の実施形態1に係る車両のドアの説明を行う。本実施形態に係るドアは、車両の右側のフロントドアである。ここで、図中における前後左右及び上下は、前記フロントドアを備える車両の前後左右及び上下に対応している。
【0017】
<フロントドア10の概要ついて>
フロントドア10は、図1に示すように、昇降可能なドアガラス31を収納できるドア本体部20と、そのドア本体部20の上側に設けられた窓枠部30とから構成されている。ドア本体部20は、フロントドア10の意匠面を構成するアウタパネル(図示省略)とインナパネル23とが表裏から合わせられて互いの周縁部分で接合されることで、内部空間を有する浅い角箱状に構成されている。そして、ドア本体部20の内部空間にドアガラス31を上下動させる機構やドア補強部材等が収納されている。
【0018】
また、ドア本体部20の前端位置には、上下一対のヒンジ機構(図示省略)が設けられており、それらのヒンジ機構を介してドア本体部20は車両ボディ(図示省略)のドア開口部の前端縁に取付けられている。これにより、フロントドア10は、ドア開口部を閉じる全閉位置と乗降口を全開にする全開位置との間で水平回動が可能になる。また、ドア本体部20の後端位置には、フロントドア10が前記ドア開口部を閉じた状態で車体のストライカと係合するドアロック機構(図示省略)が設けられている。
【0019】
<フロントドア10の窓枠部30について>
フロントドア10の窓枠部30は、図1図2に示すように、その窓枠部30の縁部を構成して、上限位置まで上昇したドアガラス31の端縁を受けるドアフレーム33と、ドアガラス31の昇降を前側でガイドする前部ガイドフレーム35と、同じくドアガラス31の昇降を後側でガイドする支柱状フレーム37とを備えている。
【0020】
<ドアフレーム33について>
ドアフレーム33は、図1図2に示すように、ドア本体部20の前端に接続されて、斜め後上方に延びる傾斜部33kと、傾斜部33kの後端につながる曲がり部33wと、曲がり部33wの後端から後方に延びて支柱状フレーム37の上端につながる直線部33uとから構成されている。ドアフレーム33は、図3の断面図に示すように、鋼板を、例えば、ロールフォーミング成形により連続して折り曲げることで断面略T字形に成形されており、傾斜部33k、曲がり部33w、及び直線部33uの断面形状が等しくなるように構成されている。
【0021】
ドアフレーム33は、図3に示すように、フロントドア10の意匠面を構成し、車両前後方向に沿って形成された外壁部331と、フロントドア10の内外方向(左右方向)に沿って斜めに延びる横壁部332とにより断面略T字形に成形されている。ドアフレーム33の横壁部332の室内側の端部には、断面台形状の角筒部333が形成されている。そして、ドアフレーム33の外壁部331と平行な角筒部333の平面がフロントドア10を閉じたときのシール面333fとなる。
【0022】
ドアフレーム33の内周側には、図3に示すように、外壁部331と角筒部333との間に内周溝部336がドアフレーム33に沿って形成されており、その内周溝部336にドアガラス31の端縁を挟んで受けるガラスラン43が嵌め込まれている。さらに、ドアフレーム33の外周側には、外周溝部335がドアフレーム33に沿って形成されており、その外周溝部335にフロントドア10と車両ボディのドア開口部(図示省略)の周縁間をシールするウエザーストリップ45が嵌め込まれている。
【0023】
<前部ガイドフレーム35等について>
前部ガイドフレーム35は、上記したように、ドアガラス31の昇降を前側でガイドするフレームであり、図4に示すように、断面略U字形に成形されている。前部ガイドフレーム35は、図1図2に示すように、若干後傾した状態で立てられており、下端部がドア本体部20の内部に固定されている。前部ガイドフレーム35の上部は、ドア本体部20から上方に突出しており、その前部ガイドフレーム35の上端部がドアフレーム33の傾斜部33kの下側面に接続されている。
【0024】
前部ガイドフレーム35は、図4に示すように、後側で開放する溝部35mを備えており、その溝部35mがドアフレーム33の内周溝部336に接続されている。そして、前部ガイドフレーム35の溝部35mには、ドアフレーム33の内周溝部336に嵌め込まれたガラスラン43の延長部分が嵌め込まれている。また、窓枠部30の後側に設けられた支柱状フレーム37にも前側で開放する溝部(図示省略)が設けられており、その溝部がドアフレーム33の内周溝部336に接続されている。そして、支柱状フレーム37の溝部にガラスラン43が嵌め込まれている。
【0025】
ドアフレーム33の傾斜部33kと前部ガイドフレーム35との接続部Cの下側には、図1図2に示すように、ドアフレーム33と前部ガイドフレーム35とドア本体部20の上端面とに囲われた三角形状の空間(三角空間Sという)が形成されている。そして、前記三角空間Sを室内外から塞ぐようにミラーブラケット50が取付けられている。
【0026】
<ミラーブラケット50の概要について>
ミラーブラケット50は、ドアミラー60(後記する)が取付けられる板状ブラケットであり、図5図7に示すように、プレス成形されたプレートアウタ52とプレートインナ54と補強プレート56とから構成されている。
【0027】
<プレートアウタ52について>
プレートアウタ52は、室外側から前記三角空間Sを塞ぐプレートであり、図6図7に示すように、中央部にドアミラー60が嵌合する略三角形状の開口部52hが形成されている。そして、プレートアウタ52の開口部52hの周縁には、図7図8に示すように、ドアミラー60のミラー支持部65を周方向から支える傾斜壁52wが形成されている。また、プレートアウタ52の前端縁には、図6図7に示すように、ドアフレーム33の傾斜部33kに沿ってフランジ部52fが形成されており、このフランジ部52fがドアフレーム33の外壁部331に重ねられた状態で溶接により接合されている。
【0028】
プレートアウタ52の後端縁には、図7に示すように、前部ガイドフレーム35の外側壁35fに連結されるヘミング曲げ部52zが前部ガイドフレーム35に沿って形成されている。そして、前部ガイドフレーム35の外側壁35fがプレートアウタ52のヘミング曲げ部52zに挟まれることで、前部ガイドフレーム35の外側壁35fとプレートアウタ52のヘミング曲げ部52zとが連結される。即ち、ドアフレーム33(傾斜部33k)の室外側の外壁部331と前部ガイドフレーム35の室外側の外側壁35fとがプレートアウタ52によって連結されている。
【0029】
<プレートインナ54について>
プレートインナ54は、室内側から前記三角空間Sを塞ぐプレートであり、図5に示すように、中央部に菱形開口部54xが形成されており、その菱形開口部54xを囲んでドアミラー60のボルト60bが通されるボルト孔54kが複数形成されている。プレートインナ54の前端縁には、図5図7に示すように、ドアフレーム33の傾斜部33kに沿って溝形カバー部54dが形成されており、この溝形カバー部54dがドアフレーム33の角筒部333を室内側から覆っている。プレートインナ54の溝形カバー部54dは、断面略U字形に成形されており、ドアフレーム33の角筒部333のシール面333fに平行な溝形カバー部54dの外側面がシール面54sを構成している。また、溝形カバー部54dは、ドアフレーム33の角筒部333を覆った状態で、その溝形カバー部54dの端縁54eがドアフレーム33の横壁部332に重ねられ、溶接により接合されている。
【0030】
ここで、プレートインナ54の溝形カバー部54dは、図5に示すように、上端から下端側に近づくにつれて徐々にサイズが大きくなるように構成されている。このため、溝形カバー部54dのシール面54sを構成する底板は、上端位置でドアフレーム33の角筒部333のシール面333fに接続されている。そして、溝形カバー部54dのシール面54sを構成する底板は、図7に示すように、上端位置から下端側に近づくにつれてドアフレーム33の角筒部333のシール面333fから徐々に離れるようになる。このように、プレートインナ54の溝形カバー部54dは下端側に近づくにつれて徐々にサイズが大きくなるため、その剛性も下端側に近づくにつれて大きくなる。
【0031】
プレートインナ54の後端縁には、図7に示すように、前部ガイドフレーム35の内側壁35eに接合されるフランジ部54fが前部ガイドフレーム35に沿って形成されている。そして、プレートインナ54のフランジ部54fがスポット溶接等により前部ガイドフレーム35の内側壁35eに接合される。即ち、ドアフレーム33の傾斜部33kの室内側の横壁部332と前部ガイドフレーム35の室内側の内側壁35eとがプレートインナ54によって連結されている。
【0032】
<補強プレート56について>
補強プレート56は、ドアフレーム33と前部ガイドフレーム35とプレートアウタ52とプレートインナ54とに囲まれた空間、即ち、三角空間Sの断面形状崩れを抑制するプレートである。補強プレート56は、ドアフレーム33(傾斜部33k)の外壁部331とプレートアウタ52の前端部とをプレートインナ54の前端部に連結するとともに、プレートインナ54のボルト孔54kの周囲を補強する。
【0033】
補強プレート56は、図7に示すように、前端縁に形成されたフランジ部56fと、ドアフレーム33の近傍で前記三角空間Sを横断する横断壁部56yと、プレートインナ54に重ねられる重複壁部56tとから断面略Z字形に形成されている。補強プレート56のフランジ部56fは、ドアフレーム33の傾斜部33kに沿って形成されており、このフランジ部56fがプレートアウタ52のフランジ部52fと共にドアフレーム33の外壁部331に重ねられた状態で溶接により接合されている。
【0034】
補強プレート56の横断壁部56yは、図7に示すように、ドアフレーム33の傾斜部33kに沿って形成されており、ドアフレーム33の内周溝部336と角筒部333の内周側を覆えるように構成されている。補強プレート56の重複壁部56tには、プレートインナ54のボルト孔54kに重なる位置にボルト孔56kが形成されており、それらのボルト孔56kにドアミラー60のボルト60bが通されるようになっている。また、補強プレート56の重複壁部56tは、プレートインナ54のボルト孔54kの周囲にスポット溶接等により接合される。
【0035】
<ドアミラー60の取付けについて>
ドアミラー60は、図8に示すように、バックミラー部62と、前記バックミラー部62を格納位置と使用位置間で回動可能に支持するミラー支持部65とを備えている。ミラー支持部65は、ドアフレーム33の外壁部331とミラーブラケット50のプレートアウタ52とを覆えるように形成されている。そして、ミラー支持部65の裏面側にプレートアウタ52の開口部52h、及び傾斜壁52wに嵌め込まれる連結部65cが突出形成されている。ミラー支持部65の連結部65cには、ドアミラー60をミラーブラケット50に取付けるための複数のボルト60bがネジ軸を突出させた状態で固定されている。このため、ミラー支持部65の連結部65cに固定されたボルト60bがネジ軸をミラーブラケット50(補強プレート56、プレートインナ54)のボルト孔54k,56kに通し、ナット60n締めすることで、ドアミラー60をミラーブラケット50に取付けることができる。
【0036】
<本実施形態における用語と本発明における用語との対応について>
本実施形態におけるプレートインナ54が本発明の第1連結部材に相当し、プレートアウタ52が本発明の第2連結部材に相当する。また、補強プレート56が本発明の第3連結部材に相当する。さらに、ドアフレーム33の外壁部331が本発明のドアフレームにおける室外側の壁部に相当し、ドアフレーム33の横壁部332が本発明のドアフレームにおける室内側の壁部に相当する。また、前部ガイドフレーム35が本発明のガイドフレームに相当し、前部ガイドフレーム35の外側壁35fが本発明のガイドフレームにおける室外側の壁部に相当し、前部ガイドフレーム35の内側壁35eが本発明のガイドフレームにおける室内側の壁部に相当する。さらに、ボルト60bとナット60nとが本発明の締結部材に相当する。
【0037】
<本実施形態に係るフロントドア10の長所について>
本実施形態に係るフロントドア10によると、ドアフレーム33と前部ガイドフレーム35(ガイドフレーム)との接続部Cより下側では、ドアフレーム33の室内側の横壁部332と前部ガイドフレーム35の内側壁35eとがプレートインナ54(第1連結部材)によって連結されている。また、ドアフレーム33の室外側の外壁部331と前部ガイドフレーム35の室外側の外側壁35fとがプレートアウタ52(第2連結部材)によって連結されている。即ち、ドアフレーム33と前部ガイドフレーム35との壁部が室内側と室外側との両側で連結されているため、ドアフレーム33の捻じれ変形を効率的に抑制できる。
【0038】
また、ドアフレーム33と前部ガイドフレーム35との接続部Cより下側では、ドアフレーム33の室外側の外壁部331とプレートインナ54(第1連結部材)とが補強プレート56(第3連結部材)によって連結されている。このため、ドアフレーム33の捻じれ荷重に対する剛性をさらに向上できる。また、プレートインナ54の溝形カバー部54dの端縁54eとドアフレーム33の横壁部332とが溶接により固定されるため、ドアフレーム33が車幅方向に変形し難くなる。また、ドアフレームの室外側の外壁部331とプレートアウタ52、及び補強プレート56のフランジ部52f,56fとをまとめて、例えば、溶接等で固定できるため、施工効率が向上する。
【0039】
<変更例>
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更が可能である。例えば、本実施形態では、ミラーブラケット50を構成するプレートインナ54と補強プレート56とを別部材とする例を示した。しかし、補強プレート56のフランジ部56fと横断壁部56yとをプレートインナ54側に形成することも可能である。また、本実施形態では、ミラーブラケット50にドアミラー60を取付ける例を示した。しかし、ドアミラー60を取付けずに、ミラーブラケット50のプレートアウタ52をカバー部材等で覆う構成でも可能である。
【符号の説明】
【0040】
10・・・・フロントドア(ドア)
20・・・・ドア本体部
30・・・・窓枠部
31・・・・ドアガラス
33・・・・ドアフレーム
33k・・・傾斜部
331・・・外壁部(室外側の壁部)
332・・・横壁部(室内側の壁部)
35・・・・前部ガイドフレーム(ガイドフレーム)
35f・・・外側壁(室外側の壁部)
35e・・・内側壁(室内側の壁部)
50・・・・ミラーブラケット
52・・・・プレートアウタ(第2連結部材)
54・・・・プレートインナ(第1連結部材)
54e・・・端縁
56・・・・補強プレート(第3連結部材)
60n・・・ナット(締結部材)
60b・・・ボルト(締結部材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10