(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-26
(45)【発行日】2023-07-04
(54)【発明の名称】LED駆動装置
(51)【国際特許分類】
H05B 45/50 20220101AFI20230627BHJP
H05B 45/14 20200101ALI20230627BHJP
H05B 47/25 20200101ALI20230627BHJP
H05B 47/20 20200101ALI20230627BHJP
H01L 33/00 20100101ALI20230627BHJP
【FI】
H05B45/50
H05B45/14
H05B47/25
H05B47/20
H01L33/00 J
(21)【出願番号】P 2020016933
(22)【出願日】2020-02-04
【審査請求日】2022-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 一久
【審査官】坂口 達紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-119171(JP,A)
【文献】特開2015-079857(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0296354(US,A1)
【文献】特開平10-092560(JP,A)
【文献】特開2003-051366(JP,A)
【文献】特開平03-185249(JP,A)
【文献】特開2009-296852(JP,A)
【文献】特開2001-095232(JP,A)
【文献】特開2017-204977(JP,A)
【文献】特開2018-064324(JP,A)
【文献】特開2014-117048(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 39/00-39/10
45/00-45/58
47/00-47/29
H01L 33/00-33/46
G09F 5/00-5/40
13/00-13/46
G02F 1/13357
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光制御素子を内蔵するLED素子が複数接続されて表示グループを構成し、前記表示グループを複数備えて表示領域を形成する表示部と、
前記表示部に電源を供給する電源部と、
前記電源部と前記各表示グループとの接続を選択的に実行する
複数のスイッチ部と、
前記電源部への電源投入時に、前記電源部の出力値の正常判断を実行することにより、前記電源部から前記表示グループへの電力供給を順次接続する接続制御を実行する制御部と、
を有
し、
前記制御部は、前記複数のスイッチ部のうち第1スイッチ部をオンして前記電源部と前記複数の表示グループのうち第1表示グループを接続し、前記電源部の前記出力値が出力許容閾値以下の場合、前記電源部の出力値を正常と判定する一方、前記電源部の前記出力値が出力許容閾値以上の場合、前記電源部の出力値を異常と判定する、LED駆動装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記電源部と前記第1表示グループを接続したときに前記電源部の出力値を正常と判定した場合、前記複数のスイッチ部のうち第nスイッチ部(n≧2)~前記第1スイッチ部をオンして前記電源部と前記複数の表示グループのうち第n表示グループ(n≧2)~前記第1表示グループを接続するとともに、前記第n表示グループ以外の表示グループを最小消費電力W
min
に設定し、前記電源部の前記出力値が出力許容閾値以下の場合、前記電源部の出力値を正常と判定する一方、前記電源部の出力値が出力許容閾値以上の場合、前記電源部の出力値を異常と判定する、請求項1に記載のLED駆動装置。
【請求項3】
前記電源部の電源出力許容値は、前記各表示グループの最大使用電力値の合計値である、請求項1
又は2に記載のLED駆動装置。
【請求項4】
前記LED素子は、各LED素子の前記発光制御素子がそれぞれのLED素子間で接続され、シリアル通信により、各LED素子の発光制御が実行される、請求項1
から3のいずれか1項に記載のLED駆動装置。
【請求項5】
前記スイッチ部は、前記各表示グループと前記電源部をそれぞれ無接点リレーで接続する構成とされている、請求項1から
4のいずれか1項に記載のLED駆動装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記電源部の前記出力値として前記電源部から出力される電流値を監視し、この電流値に基づいて前記正常判断を実行する、請求項1から
5のいずれか1項に記載のLED駆動装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記表示部の異常動作後の復帰動作において、前記接続制御を実行する、請求項1から
6のいずれか1項に記載のLED駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、LEDアレイに大電流を流す場合であっても実装面積の増大を抑制して定電流駆動することができ、また、定常動作時だけでなくデジタル調光時にも有効なLED駆動回路が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このLED駆動装置は、各LEDストリングにそれぞれ直列に接続され、各LEDストリングを定電流駆動するn個の縦型構造の定電流駆動素子と、各LEDストリングに流れる電流が定電流となるように各定電流駆動素子のオン電圧を制御するn個の定電流制御回路と、各定電流駆動素子におけるLEDストリング側の各端子電圧を入力として、各端子電圧のうちの最小電圧を選択し、最小電圧と所定の設定電圧との差分に基づいて指令信号を出力する最小電圧検出回路と、指令信号に基づいてLEDアレイへの印加電圧を初期設定電圧より小さい電圧に制御する電源制御回路と、を有する構成とされている。これにより、LED電流を定電流からゼロ電流、あるいはゼロ電流から定電流へ急激に変化させる場合にも対応が可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来のLED駆動装置では、LED素子が熱の影響等により異常動作してしまうと、全LED素子が全点灯する最大動作モードとなる場合がある。例えば、光量等を制御する発光制御素子を内蔵するLED素子が複数接続されて構成されるLED駆動装置では、上記のような場合に電源投入直後に大きな電流が流れ、発光制御素子の上書きができずリセットされないために、LED駆動装置の復帰動作ができないおそれがあった。このため、電源側の電源出力許容値(全容量)を大きく設定しておかなければならない、という問題があった。
【0006】
したがって、本発明の目的は、電源容量を最小化でき、低コスト化が可能なLED駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、下記[1]~[6]のLED駆動装置を提供する。
【0008】
[1]発光制御素子を内蔵するLED素子が複数接続されて表示グループを構成し、前記表示グループを複数備えて表示領域を形成する表示部と、前記表示部に電源を供給する電源部と、前記電源部と前記各表示グループとの接続を選択的に実行するスイッチ部と、前記電源部への電源投入時に、前記電源部の出力値の正常判断を実行することにより、前記電源部から前記表示グループへの電力供給を順次接続する接続制御を実行する制御部と、を有するLED駆動装置を提供する。
[2]前記電源部の電源出力許容値は、前記各表示グループの最大使用電力値の合計値であってもよい。
[3]また、前記LED素子は、各LED素子の前記発光制御素子がそれぞれのLED素子間で接続され、シリアル通信(シリアル制御)により、各LED素子の発光制御が実行されるものであってもよい。
[4]また、前記スイッチ部は、前記各表示グループと前記電源部をそれぞれ無接点リレーで接続する構成とされているものであってもよい。
[5]また、前記制御部は、前記電源部から出力される電流値を監視し、この電流値に基づいて前記正常判断を実行するものであってもよい。
[6]また、前記制御部は、前記表示部の異常動作後の復帰動作において、前記接続制御を実行するものであってもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電源容量を最小化でき、低コスト化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態に係るLED駆動装置の概略構成を示す構成ブロック図である。
【
図2】
図2(a)は、1つのLED素子の概略構成を示す平面図であり、
図2(b)は、LED素子が接続されて表示グループを構成し、複数の表示グループが並列的に配置された構成を示す表示部の概略構成図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施の形態に係るLED駆動装置の異常動作後の復帰動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔本発明の実施の形態〕
(本発明の実施の形態に係るLED駆動装置の構成)
本発明の実施の形態に係るLED駆動装置1は、
図1に示すように、発光制御素子7を内蔵するLED素子5が複数接続されて表示グループ(101、102、103、104)を構成し、表示グループを複数備えて表示領域を形成する表示部10と、表示部10に電源を供給する電源部20と、電源部20と各表示グループ(101、102、103、104)との接続を選択的に実行するスイッチ部(31、32、33、34)と、電源部20への電源投入時に、電源部20の出力値の正常判断を実行することにより、電源部20から表示グループ(101、102、103、104)への電力供給を順次接続する接続制御を実行する制御部40と、を有して構成されている。
【0012】
ここで、順次接続する、とは、制御部40が、電源部20と第1表示グループ101をまず接続し、電源部20の出力許容値の判断結果に基づいて正常判定がされた場合に、電源部20と第1表示グループ101及び第2表示グループ102を接続し、順次接続するグループ数を拡大して接続していくこと、をいう。最終的には、すべての表示グループ(101、102、103、104)を電源部20と接続する。すなわち、本実施の形態に係るLED駆動装置1は、上記のような異常動作回復アルゴリズムを備えたものとして構成されている。
【0013】
本実施の形態では、表示グループは複数であり、n=1として、4つの表示グループで表示部10が形成される構成として説明するが、表示グループ数nは、任意に設定可能である。
【0014】
本実施の形態に係るLED駆動装置1は、例えば、LED素子の発光制御素子が熱暴走等により異常動作した場合、全てのLED素子がフルパワー動作モードとなっており、電源投入直後に大きな電流が流れるため、電源容量が追い付かず、復帰動作ができないことがある。このため、負荷としての表示部10を複数の表示グループに分割し、それぞれに電源遮断の無接点リレーを配備した上で、表示グループ毎に電源投入/出力最低指示を順番に送る制御とした。このような構成にすることで、電源部の容量不足による電圧低下等の問題がなく、確実にLED素子の発光制御素子の上書きを実行してリセットでき、異常復帰動作が可能となる。また、このような構成とすることで、電源部を大容量とせずに出力許容値(電源容量)を最小化することができ、低コスト化も可能となる。
【0015】
(表示部10)
表示部10は、分割されて複数の表示グループから構成されている。本実施の形態では、表示部10は、4つの表示グループ(第1表示グループ101、第2表示グループ102、3表示グループ103、第4表示グループ104)で分割されて形成されている。表示部10は、各表示グループを構成する各LED素子の輝度、RGB等を制御することにより、任意の動画、静止画等を表示することができる。例えば、表示部10は、サイネージ、デジタルサイネージ(電子看板、デジタル看板)として使用できる。車両に表示部10を装着することにより、種々の情報の表示が可能である。また、表示部10は、分割された複数の表示グループから構成されているので、大面積の表示が可能である。
【0016】
図2(a)に示すように、LED素子5は、LEDチップである発光部6と、発光部6の発光制御を行なう発光制御素子(IC)7を有して構成されている。LED素子5は、電源接続端子(Vcc端子)5a、グランド端子(GND端子)5b、発光制御素子7の制御入力端子5c、制御出力端子5dを備えている。
【0017】
Vcc端子5aは、各スイッチ部(31、32、33、34)を介して電源部20の電力出力部Vccと接続されている。GND端子5bは、電源部20のグランド部GNDと接続されている。また、制御入力端子5cは1つ前に接続されるLED素子5の制御出力端子5dと接続され、制御出力端子5dは1つ後に接続されるLED素子5の制御入力端子5cと接続される。
【0018】
図2(b)に示すように、各表示グループ(101、102、103、104)は、各表示グループ内において、発光制御素子7を内蔵するLED素子5が複数接続されている。第1表示グループ101について説明すると、例えば、J個のLED素子5が複数接続され、各LED素子(LED1-1、LED1-2、・・・・、LED1-J)は、それぞれのVcc端子5a、GND端子5bがそれぞれ並列に電源部20の電力出力部Vcc、グランド部GNDと接続されている。
【0019】
また、各LED素子5の制御入力端子5c、制御出力端子5dは、前後の制御出力端子5d、制御入力端子5cと直列に接続されている。このように、各LED素子5が直列接続されることにより、各LED素子5の発光制御素子7がそれぞれのLED素子間で接続され、各LED素子5は、シリアル通信により、発光制御が実行できる。シリアル通信(Serial communication)は、電気通信において伝送路上を一度に1ビットずつ、逐次的にデータを送る通信方法をいう。本実施の形態では、例えば、各LED素子の輝度データ、色データ(RGB)、また、アドレス等のシリアル信号Ssを1本の通信線51で送ることができる。
【0020】
図2(b)に示すように、第1表示グループ101の最後のLED素子(LED1―J)の制御出力端子5dは、第2表示グループ102の最初のLED素子(LED2―1)の制御入力端子5cと接続されている。第2表示グループ102と第3表示グループ103、第3表示グループ103と第4表示グループ104との接続も同様である。これにより、制御部40から出力されるシリアル通信の制御信号Ssは、1本の通信線51を介して、第1表示グループ101の最初のLED素子(LED1―1)の制御入力端子5cに入力され、第2表示グループ102、第3表示グループ103、第4表示グループ104に順次送られる。
【0021】
なお、LED素子以外の表示素子にも適用可能である。発光制御素子を内蔵して、シリアル通信(シリアル制御)により各素子の発光制御が実行できる表示素子に適用可能である。
【0022】
(電源部20)
電源部20は、電源出力許容値(全容量)が設定されたものとして構成されている。この電源出力許容値は、各表示グループ(101、102、103、104)の最大使用電力値の合計値である。
【0023】
ここで、各表示グループの最大消費電力をWmaxとする。最大消費電力Wmaxは、各表示グループ内の全LED素子が全点灯し、全発光制御素子がオンとなっている状態での消費電力である。また、各表示グループの最小消費電力をWminとする。最小消費電力Wminは、各表示グループ内の全LED素子が全消灯し、全発光制御素子(制御IC)がオンとなっている状態での消費電力である。
【0024】
電源部の電源出力許容値(全容量)は、各表示グループの最大使用電力値の合計値とされる。表示グループ数をnとすると、電源部の電源出力許容値は、n・Wmaxである。異常動作後の復帰動作における電源立上げ時には、第n表示グループのLED素子がフルパワー動作モードとなっているので、全点灯する第n表示グループ以外の表示グループを上記した最小消費電力Wminで駆動する。第n表示グループよりも前のグループ(第(n-1)表示グループ、・・・、第1表示グループ)は、既に発光制御素子の異常コードの上書きが出来ており、制御可能な状態となっている。これにより、電源部に要求される所要電力は、Wmax+(n-1)Wminである。このように、第n表示グループ以外の表示グループを最小消費電力Wminに設定することを制御出力最小指示という。
【0025】
ここで、電源立上げ時の電源部所要電力Wmax+(n-1)Wminと、電源部の電源出力許容値(全容量)n・Wmaxを比較する。nが1以上の整数とすると、
Wmax+(n-1)Wmin-n・Wmaxは、(n-1)(Wmin-Wmax)と式変形でき、この値は負数となる。すなわち、電源立上げ時の電源部所要電力は、電源部の電源出力許容値(全容量)よりも小さいことがわかる。
【0026】
これにより、異常復帰動作の時、仮に最大電力消費になっても、電源容量としては許容範囲となり、グループ単位でなら異常コードの上書きができる。したがって、異常動作後の復帰動作における電源立上げ時において、電源の容量不足による電圧低下等が発生せずに、発光制御素子(制御IC)内の異常コードを上書きしてリセットすることができる。これにより、異常動作後の電源復帰動作を確実に行なうことができる。
【0027】
また、電源部の電源出力許容値(全容量)を、各表示グループの最大使用電力値の合計値とすればよく、電源復帰動作を考慮して大容量の電源を備えなくてもよいことから、電源部の出力許容値(電源容量)を最小化することができ、低コスト化も可能となる。
【0028】
(スイッチ部31、32、33、34)
スイッチ部31、32、33、34は、各表示グループ(101、102、103、104)と電源部20をそれぞれ無接点リレーで接続する構成とされている。無接点リレーは、接点部のような機械的な可動部を持たず、内部は、サイリスタ、トライアック、MOSFETなどの半導体・電子部品で構成され、信号や電流・電圧のオンオフはこれらの電子回路の働きで電子的に行うものである。
【0029】
スイッチ部31、32、33、34は、制御部40から入力されるスイッチ制御信号(S1、S、S3、S4)により、オンオフ制御される。なお、
図1において、スイッチ部31、32、33、34は、機械的接点を有するスイッチとして図示されているが、これはスイッチを模式的に図示したものであって、無接点スイッチを使用するものである。
【0030】
(制御部40)
制御部40は、電源部20への電源投入時に表示グループ(101、102、103、104)を電源部20と接続し、電源部20の出力許容値の正常判断を実行する。なお、制御部40は、電流計50による電流監視により行なうことから、前記した電力値である電源出力許容値(全容量)に基づいて、電流値に換算して行なうことができる。制御部40は、電源部20から出力される電流値Iを監視し、この電流値Iに基づいて正常判断を実行する。これにより、制御部40は、電源部20から表示グループ(101、102、103、104)への電力供給を順次接続する接続制御を実行する。
【0031】
電流値Iの監視は、電流計50により行なうことができる。電流計50は、電源部20から各表示グループ(101、102、103、104)に供給される電源線52の周りに磁気コアを配置し、磁気コアの2次巻線の測定電流を巻線比に応じた2次電流に変換することにより電流値を測定するCT方式電流センサ、また、測定電流の周りに生じる磁界をホール効果を利用して電圧に変換するホール素子方式電流センサ、等を使用することができる。
【0032】
制御部40は、例えば、記憶されたプログラムに従って、取得したデータに基づいて検出、判定、判断などを行うCPU(Central Processing Unit)、半導体メモリであるRAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)などから構成されるマイクロコンピュータである。
【0033】
RAMは、例えば、一時的に演算結果などを格納する記憶領域として用いられる。ROMには、例えば、制御部40が動作するためのプログラム、電源部20の出力許容値の正常判断を実行する際に参照する出力許容閾値Iref等が格納されている。
【0034】
(LED駆動装置の異常動作後の復帰動作)
図3は、本発明の実施の形態に係るLED駆動装置の異常動作後の復帰動作を示すフローチャートであり、これに基づいて各ステップ毎に説明する。
【0035】
(Step1)
LED駆動装置の異常動作後に、電源投入されると、制御部40は、まず、第1表示グループ101に電源を接続するように、n--=1とする。これにより、制御部40は、第1スイッチ部31にスイッチ制御信号S1を送出して、電源部20と第1表示グループ101を接続する。
【0036】
(Step2)
制御部40は、電源部20から出力される電流値Iが出力許容閾値Iref以下であるかどうかを判断する。電流値Iが出力許容閾値Iref以下である場合は、Step6へ進み(Step2:Yes)、電流値Iが出力許容閾値Iref以下でない場合(Step2:No)は、Step3へ進む。
【0037】
(Step3、4、5)
制御部40は、電源破損、配線ショート破損と判定(Step3)し、電源出力遮断を実行(Step4)し、上位システム破損情報をアップロード(Step5)する。Step5の処理実行後に、LED駆動装置の復帰動作を終了する。
【0038】
(Step6)
制御部40は、スイッチ制御信号Snにより、第nスイッチ部をオンにする。なお、n=1の場合は、既にオンとなっている。nが2~4の場合は、第nスイッチ部、第(n-1)スイッチ部、・・・、第1スイッチ部31をオンにする。
【0039】
(Step7)
制御部40は、シリアル信号Ssにより、制御出力最低指示を実行する。すなわち、制御部40は、第n表示グループ以外の表示グループを最小消費電力Wminに設定する。これにより、制御部40は、第n表示グループ以外の表示グループの全LED素子の出力状態を全消灯させ、全発光制御素子(制御IC)をオンとするシリアル信号Ssを送出する。なお、nが2~4の場合は、第(n-1)表示グループ、・・・、第1表示グループ101を最小消費電力Wminに設定する。
【0040】
(Step8)
制御部40は、電源部20の出力値の正常判断を実行する。制御部40は、電流計50により計測した電流値Iが出力許容閾値Irefを超えてないかどうかにより判断することができる。電流値Iが出力許容閾値Irefを超えてない場合は、Step12へ進み(Step8:Yes)、電流値Iが出力許容閾値Irefを超えている場合(Step8:No)は、Step9へ進む。
【0041】
(Step9、10、11)
制御部40は、第n表示グループが異常と判定(Step9)し、第n表示グループの第nスイッチ部をオフ(Step10)にし、上位システム破損情報をアップロード(Step11)する。Step11の処理実行後に、Step13へ進む。
【0042】
(Step12)
制御部40は、電流値は正常、すなわち、電源部の出力許容値が正常であると判定する。
【0043】
(Step13)
制御部40は、n=4かどうかを判定する。すなわち、第4表示グループ104までの正常判定が終了したかどうかを判定する。n=4の場合(Step13:Yes)は、LED駆動装置の復帰動作を終了し、n=4でない場合(Step13:No)は、Step14へ進む。
【0044】
(Step14)
制御部40は、n=n+1として、Step6へ戻る。
【0045】
(Step6~13)
制御部40は、Step6~13を繰り返して実行する。これにより、正常判定が行われた場合は、電源部20から表示グループ(101、102、103、104)への電力供給を順次接続する接続制御が実行される。Step6~13を繰り返して実行することにより、各表示グループ内の発光制御素子の異常コードの上書きが順次実行される。
【0046】
以上説明したLED駆動装置の異常動作後の復帰動作により、n=1で第1表示グループ101が復帰し、n=2で第2表示グループ102が復帰し、n=3で第3表示グループ103が復帰し、n=4で第4表示グループ104が復帰して全ての表示グループ(101、102、103、104)が復帰する。
【0047】
上記示した異常動作回復アルゴリズムにより、電源20は正常に復帰し、全ての発光制御素子7の異常コードの上書きが出来てリセットされる。これにより、全ての表示グループ(101、102、103、104)、すなわち、表示部10が正常動作可能な状態となる。したがって、制御部40から表示部10に出力されるシリアル通信の制御信号Ssに基づいて、各LED素子の輝度、RGB等を制御することにより、表示部10の全体に、任意の動画、静止画等を表示することができるようになる。
【0048】
(本発明の実施の形態の効果)
本発明の実施の形態に係るLED駆動装置1によれば、以下のような効果を有する。
(1)本実施の形態に係るLED駆動装置1は、発光制御素子7を内蔵するLED素子5が複数接続されて表示グループ(101、102、103、104)を構成し、表示グループを複数備えて表示領域を形成する表示部10と、表示部10に電源を供給する電源部20と、電源部20と各表示グループ(101、102、103、104)との接続を選択的に実行するスイッチ部(31、32、33、34)と、電源部20への電源投入時に、電源部20の出力許容値の正常判断を実行することにより、電源部20から表示グループ(101、102、103、104)への電力供給を順次接続する接続制御を実行する制御部40と、を有して構成されている。異常動作後の復帰動作において、電源部20から表示グループ(101、102、103、104)への電力供給を順次接続するように構成しているので、電源部の容量不足による電圧低下等の問題がない。
(2)電源部の電源出力許容値(全容量)を、各表示グループの最大使用電力値の合計値とすることにより、電源復帰動作を考慮して大容量の電源を備えなくてもよいことから、電源部の出力許容値(電源容量)を最小化することができ、低コスト化も可能となる。
(3)また、復帰動作を順次行なうことから、電電サイズを最小化でき、また、スイッチ部の容量も小さくなるため、従来の単一大型電源で行なう回路よりも小型化できる。
(4)さらに、異常時の電流を検出した場合は、即座に負荷電流を遮断できるため、電流容量が最小化できる。
【0049】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されず、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施が可能である。また、上記の実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【符号の説明】
【0050】
1…LED駆動装置
5…LED素子
7…発光制御素子
10…表示部
20…電源部
31、32、33、34…スイッチ部
40…制御部
101、102、103、104…表示グループ