(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-26
(45)【発行日】2023-07-04
(54)【発明の名称】冷却装置
(51)【国際特許分類】
H01M 10/633 20140101AFI20230627BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20230627BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20230627BHJP
H01M 10/651 20140101ALI20230627BHJP
H01M 10/6563 20140101ALI20230627BHJP
H01M 10/6556 20140101ALI20230627BHJP
H01M 10/658 20140101ALI20230627BHJP
H01M 10/6566 20140101ALI20230627BHJP
H01M 10/635 20140101ALI20230627BHJP
H01M 10/6551 20140101ALI20230627BHJP
B60K 1/04 20190101ALI20230627BHJP
B60K 11/06 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
H01M10/633
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/651
H01M10/6563
H01M10/6556
H01M10/658
H01M10/6566
H01M10/635
H01M10/6551
B60K1/04 Z
B60K11/06
(21)【出願番号】P 2020081440
(22)【出願日】2020-05-01
【審査請求日】2022-08-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【氏名又は名称】中山 浩光
(72)【発明者】
【氏名】村木 俊博
【審査官】佐藤 卓馬
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-083156(JP,A)
【文献】特開2010-143669(JP,A)
【文献】特開2014-134055(JP,A)
【文献】特開2014-125868(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/633
H01M 10/613
H01M 10/625
H01M 10/651
H01M 10/6563
H01M 10/6556
H01M 10/658
H01M 10/6566
H01M 10/635
H01M 10/6551
B60K 1/04
B60K 11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電装置と前記蓄電装置の周囲に配置されたカウンタウェイトとを備えた産業車両に搭載され、前記蓄電装置を冷却する冷却装置であって、
外気を導入して冷却風を発生させる冷却器と、
前記冷却器で発生した冷却風を前記蓄電装置に供給する供給用ダクトと、
前記蓄電装置の温度を検出する温度検出部と、
前記温度検出部により検出された前記蓄電装置の温度が規定温度以上であるときに、前記冷却器を作動させるように制御する制御部とを備え、
前記供給用ダクトは、前記冷却器から前記蓄電装置を通って前記カウンタウェイトまで延びており、
前記カウンタウェイトには、前記蓄電装置を通過した後の冷却風が流れる冷却流路が設けられている冷却装置。
【請求項2】
前記冷却流路の下流側には、前記冷却流路を流れた冷却風を外気に排出する排出口が設けられている請求項1記載の冷却装置。
【請求項3】
前記冷却流路を流れた冷却風を前記排出口から強制的に外気に排出する排出ファンを更に備える請求項2記載の冷却装置。
【請求項4】
前記冷却流路を流れた冷却風を前記冷却器に戻す還流用ダクトを更に備える請求項1記載の冷却装置。
【請求項5】
前記蓄電装置と前記カウンタウェイトとの間に存在する空気を循環させる循環ファンを更に備え、
前記制御部は、前記温度検出部により検出された前記蓄電装置の温度が前記規定温度よりも低くなると、前記冷却器の作動を停止させるように前記冷却器を制御すると共に、前記循環ファンを作動させるように制御する請求項1~4の何れか一項記載の冷却装置。
【請求項6】
前記産業車両の周囲の外気温を検出する外気温検出部を更に備え、
前記制御部は、前記外気温検出部により検出された前記外気温が規定値以上であると共に、前記温度検出部により検出された前記蓄電装置の温度が前記規定温度以上であるときに、前記冷却器を作動させるように制御し、前記外気温検出部により検出された前記外気温が前記規定値よりも低いときは、前記冷却器を作動させずに前記供給用ダクトに外気を直接導入するように前記冷却器を制御する請求項1~5の何れか一項記載の冷却装置。
【請求項7】
前記冷却流路は、前記カウンタウェイトに螺旋状に形成されている請求項1~6の何れか一項記載の冷却装置。
【請求項8】
前記冷却流路は、凹凸形状を有している請求項1~6の何れか一項記載の冷却装置。
【請求項9】
前記カウンタウェイトは、断熱材で覆われている請求項1~8の何れか一項記載の冷却装置。
【請求項10】
前記蓄電装置がリチウムイオン二次電池である請求項1~9の何れか一項記載の冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、複数のリチウムイオン電池及び複数のカウンタウェイトが一体化されたバッテリを備えたフォークリフトが記載されている。カウンタウェイトは、リチウムイオン電池の間にリチウムイオン電池と熱的に結合する状態で配置されている。これにより、リチウムイオン電池で発生した熱をカウンタウェイトに逃がすことで、リチウムイオン電池を冷却することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術においては、カウンタウェイトの熱は外気に逃がされる。しかし、外気の温度(雰囲気温度)が高い環境下では、蓄電装置であるリチウムイオン電池の温度を雰囲気温度よりも下げることができない。このため、フォークリフトが雰囲気温度が高い環境下で稼動することが多い場合には、リチウムイオン電池の寿命が短くなりやすい。
【0005】
本発明の目的は、蓄電装置の温度を雰囲気温度よりも下げることができる冷却装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、蓄電装置と蓄電装置の周囲に配置されたカウンタウェイトとを備えた産業車両に搭載され、蓄電装置を冷却する冷却装置であって、外気を導入して冷却風を発生させる冷却器と、冷却器で発生した冷却風を蓄電装置に供給する供給用ダクトと、蓄電装置の温度を検出する温度検出部と、温度検出部により検出された蓄電装置の温度が規定温度以上であるときに、冷却器を作動させるように制御する制御部とを備え、供給用ダクトは、冷却器から蓄電装置を通ってカウンタウェイトまで延びており、カウンタウェイトには、蓄電装置を通過した後の冷却風が流れる冷却流路が設けられている。
【0007】
このような冷却装置においては、蓄電装置の温度が規定温度以上であるときに、冷却器が作動することにより、冷却器によって外気が導入されて冷却風が発生する。そして、冷却風は、供給用ダクトを流れて蓄電装置に供給される。このため、冷却風と蓄電装置との熱交換により蓄電装置が冷却される。蓄電装置を通過した後の冷却風は、供給用ダクトを流れてカウンタウェイトに供給され、カウンタウェイトの冷却流路を流れる。このため、冷却風とカウンタウェイトとの熱交換によりカウンタウェイトが冷却される。このように冷却器から発生した冷却風によって蓄電装置を冷却することにより、例えば外気の温度(雰囲気温度)が高い環境下でも、蓄電装置の温度を雰囲気温度よりも下げることができる。
【0008】
冷却流路の下流側には、冷却流路を流れた冷却風を外気に排出する排出口が設けられていてもよい。このような構成では、カウンタウェイトを流れた冷却風は、排出口から外気に排出される。従って、冷却器を冷却しすぎないように冷却器を頻繁にON/OFFしなくて済むため、制御部による冷却器の制御を簡単化することができる。
【0009】
冷却装置は、冷却流路を流れた冷却風を排出口から強制的に外気に排出する排出ファンを更に備えてもよい。このような構成では、排出ファンによって冷却風が供給用ダクト及び冷却流路を流れやすくなるため、冷却風と蓄電装置及びカウンタウェイトとの熱交換効率が向上する。
【0010】
冷却装置は、冷却流路を流れた冷却風を冷却器に戻す還流用ダクトを更に備えてもよい。このような構成では、冷却流路を流れた冷却風が冷却器において有効利用されるため、冷却器の消費電力を低減することができる。
【0011】
冷却装置は、蓄電装置とカウンタウェイトとの間に存在する空気を循環させる循環ファンを更に備え、制御部は、温度検出部により検出された蓄電装置の温度が規定温度よりも低くなったときは、冷却器の作動を停止させるように冷却器を制御すると共に、循環ファンを作動させるように制御してもよい。このような構成では、蓄電装置の温度が規定温度よりも低くなると、冷却器の作動が停止すると共に、循環ファンが作動し、循環ファンによって蓄電装置とカウンタウェイトとの間に存在する空気が循環する。従って、循環空気によってカウンタウェイトと蓄電装置とが熱交換されるため、カウンタウェイトの熱容量を利用して、蓄電装置の温度上昇が抑制されることになる。このように冷却器を作動させなくても、蓄電装置の温度上昇が抑制される。これにより、冷却器の作動時間を短縮し、冷却器の消費電力を低減することができる。
【0012】
冷却装置は、産業車両の周囲の外気温を検出する外気温検出部を更に備え、制御部は、外気温検出部により検出された外気温が規定値以上であると共に、温度検出部により検出された蓄電装置の温度が規定温度以上であるときに、冷却器を作動させるように制御し、外気温検出部により検出された外気温が規定値よりも低いときは、冷却器を作動させずに供給用ダクトに外気を直接導入するように冷却器を制御してもよい。このような構成では、産業車両の周囲の外気温が規定値よりも低いときは、冷却器が作動せず、外気が供給用ダクトに直接導入される。そして、外気が供給用ダクトを流れて蓄電装置に供給される。このため、冷たい外気により蓄電装置が冷却される。このように冷却器が作動しないため、冷却器の作動時間を短縮し、冷却器の消費電力を低減することができる。
【0013】
冷却流路は、カウンタウェイトに螺旋状に形成されていてもよい。このような構成では、冷却流路が長くなるため、冷却風とカウンタウェイトとの熱交換量が増加する。従って、冷却流路の構造を簡単にしつつ、カウンタウェイトを十分に冷却することができる。
【0014】
冷却流路は、凹凸形状を有していてもよい。このような構成では、冷却風とカウンタウェイトとの熱交換面積が増加する。従って、冷却流路を短くしつつ、カウンタウェイトを十分に冷却することができる。
【0015】
カウンタウェイトは、断熱材で覆われていてもよい。このような構成では、カウンタウェイトと周囲との熱交換が起こりにくくなるため、カウンタウェイトを効果的に冷却することができる。
【0016】
蓄電装置がリチウムイオン二次電池であってもよい。リチウムイオン二次電池は、例えば鉛蓄電池と比較して軽量である。このため、例えば産業車両が荷物の持ち上げ時に転倒しないように、リチウムイオン二次電池の周囲にカウンタウェイトを配置する必要がある。従って、本発明をリチウムイオン二次電池に適用することが有効である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、蓄電装置の温度を雰囲気温度よりも下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係る冷却装置を備えた産業車両であるフォークリフトを示す側面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る冷却装置の一部を含む電池パックを示す断面図である。
【
図3】
図2に示されたカウンタウェイトの冷却流路を示す概略図である。
【
図5】
図1に示された冷却装置の制御系の構成図である。
【
図6】
図5に示されたコントローラにより実行される制御処理の手順の詳細を示すフローチャートである。
【
図7】
図2に示された冷却装置の一部の変形例を含む電池パックを示す断面図である。
【
図8】
図7に示されたカウンタウェイトの冷却流路を示す概略図である。
【
図9】
図7に示されたカウンタウェイトの拡大概略断面図である。
【
図10】
図2に示された冷却装置の一部の他の変形例を含む電池パックを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、図面において、同一または同等の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態に係る冷却装置を備えた産業車両であるフォークリフトを示す側面図である。
図1において、フォークリフト1は、カウンタバランス式の電動フォークリフトである。フォークリフト1は、荷役を行う産業車両である。
【0021】
フォークリフト1は、車体2と、この車体2の前部に配置された1対の駆動輪3と、車体2の後部に配置された1対の操舵輪4と、車体2の前側に配置された荷役装置5とを備えている。車体2の後部には、車体2の前後方向のバランスを取るためのカウンタウェイト6が搭載されている。荷役装置5は、車体2の前端部に立設されたマスト7と、このマスト7にリフトブラケット(図示せず)を介して取り付けられた1対のフォーク8とを有している。
【0022】
また、フォークリフト1は、車体2の内部に配置された電池パック10を備えている。電池パック10は、
図2及び
図3に示されるように、直方体形状のケース11と、このケース11内に収容されたリチウムイオン二次電池12及びカウンタウェイト13とを有している。
【0023】
リチウムイオン二次電池12は、フォークリフト1に搭載された電気機器に電力を供給する蓄電装置である。リチウムイオン二次電池12は、例えばセルがモジュール化された構造を有している。
【0024】
カウンタウェイト13は、リチウムイオン二次電池12を覆うようにリチウムイオン二次電池12の周囲に配置されている。カウンタウェイト13は、ケース11の内壁面に結合されている。カウンタウェイト13は、荷役装置5のフォーク8により荷物を持ち上げるときにフォークリフト1が転倒しないように、バランスを取るための部材である。カウンタウェイト13は、例えばケース11と同じ金属材料からなっている。リチウムイオン二次電池12は、カウンタウェイト13の底面に載置されている。
【0025】
ケース11及びカウンタウェイト13は、断熱材14で覆われている。断熱材14としては、例えば繊維系断熱材または発泡系断熱材が用いられる。なお、断熱材14は、ケース11とカウンタウェイト13との間に配置されていてもよい。
【0026】
本実施形態の冷却装置100は、リチウムイオン二次電池12を冷却する装置であり、フォークリフト1に搭載されている。冷却装置100は、
図1~
図3に示されるように、クーラ15と、供給用ダクト16とを備えている。
【0027】
クーラ15は、外気を導入して冷却風を発生させる冷却器である。冷却風は、冷却された空気(冷気)である。クーラ15は、例えばスペース上の観点から、車体2の屋根上に配置されている。なお、クーラ15の配置箇所としては、スペースがあれば、特に車体2の屋根には限られない。
【0028】
クーラ15は、
図4に示されるように、コンプレッサ17と、コンデンサ18と、膨張弁19と、エバポレータ20とを有している。クーラ15では、コンプレッサ17、コンデンサ18、膨張弁19及びエバポレータ20の順に冷媒が循環して流れる。
【0029】
コンプレッサ17は、エバポレータ20により気化された冷媒ガスを高温・高圧に圧縮する。コンデンサ18は、コンプレッサ17により圧縮された高温・高圧の冷媒ガスを冷却して液化する。コンデンサ18は、外気導入ファン21により外気を取り込むことで、高温・高圧の冷媒ガスを冷却する。膨張弁19は、コンデンサ18により液化された高温・高圧の冷媒を膨張させて、低温・低圧の冷媒に変化させる。
【0030】
エバポレータ20は、膨張弁19により得られた低温・低圧の冷媒を気化(蒸発)させる。このとき、液体が蒸発する際に周りの熱を奪うことで、エバポレータ20が冷却される。そして、外気導入ファン21により導入された外気がエバポレータ20を通過することで冷却され、冷却風が発生する。
【0031】
供給用ダクト16は、クーラ15で発生した冷却風をリチウムイオン二次電池12に供給する。供給用ダクト16は、クーラ15から電池パック10の内部まで車体2の上下方向に延びている。そして、供給用ダクト16は、電池パック10のケース11内において、リチウムイオン二次電池12を通ってカウンタウェイト13の内側面まで、車体2の上下方向に垂直な方向に延びている。
【0032】
カウンタウェイト13には、リチウムイオン二次電池12を通過した後の冷却風が流れる冷却流路22が設けられている。冷却流路22の上流側端部には、リチウムイオン二次電池12を通過した後の冷却風が導入される導入部23が設けられている。導入部23は、カウンタウェイト13の内側面に開口し、供給用ダクト16と接続されている。導入部23は、カウンタウェイト13の下部に配置されている。
【0033】
冷却流路22の下流側端部には、冷却流路22を流れた冷却風が排出される排出部24が設けられている。排出部24は、カウンタウェイト13の上面に開口している。ケース11及び断熱材14の上部には、排出部24と連通された排出口25が設けられている。排出口25は、冷却流路22の下流側に配置されている。排出口25は、冷却流路22を流れた冷却風を外気に排出する。
【0034】
冷却流路22は、カウンタウェイト13に上下方向に沿って螺旋状に形成されている。リチウムイオン二次電池12を通過した後の冷却風は,冷却流路22を電池パック10の下側から上側に向かって螺旋状に流れる。冷却流路22は、冷却風がケース11内の空気と混合しないように形成されている。
【0035】
このような冷却流路22を有するカウンタウェイト13は、図示はしないが、例えば螺旋状の溝部が設けられたウェイト外壁部及びウェイト内壁部を組み付けることにより作製される。
【0036】
また、冷却装置100は、ケース11の外部に配置された排出ファン26と、ケース11の内部に配置された循環ファン27とを備えている。
【0037】
排出ファン26は、ケース11の外部における排出口25に面した位置に配置されている。排出ファン26は、例えばケース11に取り付けられている。排出ファン26は、カウンタウェイト13の冷却流路22を流れた冷却風を排出口25から強制的に外気に排出するファンである。
【0038】
循環ファン27は、ケース11内におけるリチウムイオン二次電池12の上面12aとカウンタウェイト13の内壁上面13aとの間に配置されている。循環ファン27は、例えばカウンタウェイト13に取り付けられている。循環ファン27は、ケース11内に存在する空気を循環させるファンである。つまり、循環ファン27は、リチウムイオン二次電池12とカウンタウェイト13との間に存在する空気を循環させる。
【0039】
また、冷却装置100は、
図5に示されるように、外気温センサ28と、温度センサ29と、コントローラ30とを備えている。外気温センサ28は、フォークリフト1の周囲の外気温を検出する外気温検出部である。温度センサ29は、リチウムイオン二次電池12の温度を検出する温度検出部である。
【0040】
コントローラ30は、CPU、RAM、ROM及び入出力インターフェース等により構成されている。コントローラ30は、フォークリフト1が始動されると、排出ファン26を作動させるように制御する。また、コントローラ30は、外気温センサ28により検出されたフォークリフト1の周囲の外気温と温度センサ29により検出されたリチウムイオン二次電池12の温度とに基づいて、クーラ15及び循環ファン27を制御する制御部を構成している。
【0041】
コントローラ30は、フォークリフト1の周囲の外気温が規定値以上であると共に、リチウムイオン二次電池12の温度が規定温度以上であるときに、クーラ15を作動させるように制御する。また、コントローラ30は、リチウムイオン二次電池12の温度が規定温度よりも低くなると、クーラ15の作動を停止させるようにクーラ15を制御すると共に、循環ファン27を作動させるように制御する。さらに、コントローラ30は、フォークリフト1の周囲の外気温が規定値よりも低いときは、クーラ15を作動させずに供給用ダクト16に外気を直接導入するようにクーラ15を制御する。
【0042】
図6は、コントローラ30により実行される制御処理の手順の詳細を示すフローチャートである。本処理は、フォークリフト1が始動されると、実行される。
【0043】
図6において、コントローラ30は、まず外気温センサ28及び温度センサ29の検出値を取得する(手順S101)。そして、コントローラ30は、外気温センサ28の検出値に基づいて、フォークリフト1の周囲の外気温が予め決められた規定値以上であるかどうかを判断する(手順S102)。コントローラ30は、フォークリフト1の周囲の外気温が規定値以上であると判断したときは、クーラ15をON状態とするように制御する(手順S103)。
【0044】
続いて、コントローラ30は、温度センサ29の検出値に基づいて、リチウムイオン二次電池12の温度が予め決められた規定温度以上であるかどうかを判断する(手順S104)。コントローラ30は、リチウムイオン二次電池12の温度が規定温度以上であると判断したときは、クーラ15をON状態に維持するように制御する(手順S105)。また、コントローラ30は、循環ファン27をOFF状態とするように制御する(手順S106)。
【0045】
コントローラ30は、手順S104でリチウムイオン二次電池12の温度が規定温度よりも低いと判断したときは、クーラ15をOFF状態とするように制御する(手順S107)。また、コントローラ30は、循環ファン27をON状態とするように制御する(手順S108)。
【0046】
コントローラ30は、手順S102でフォークリフト1の周囲の外気温が規定値よりも低いと判断したときは、クーラ15をOFF状態とするように制御する(手順S109)。
【0047】
以上のような冷却装置100において、フォークリフト1が高温環境下で稼動することで、フォークリフト1の周囲の外気温が高く、且つリチウムイオン二次電池12の温度が高いときは、クーラ15が作動する。すると、クーラ15によって外気が導入されて冷却風が発生し、その冷却風が供給用ダクト16を通ってリチウムイオン二次電池12に供給される。このため、冷却風とリチウムイオン二次電池12との熱交換が行われ、リチウムイオン二次電池12が冷却される。
【0048】
リチウムイオン二次電池12を通過した後の冷却風は、供給用ダクト16を通ってカウンタウェイト13に供給され、カウンタウェイト13の冷却流路22を流れる。このため、冷却風とカウンタウェイト13との熱交換が行われ、カウンタウェイト13が冷却される。冷却流路22を流れた冷却風は、排出ファン26によってケース11の排出口25から強制的に外気に排出される。
【0049】
その後、リチウムイオン二次電池12が冷却されることで、リチウムイオン二次電池12の温度が低くなると、クーラ15の作動が停止すると共に、循環ファン27が作動する。すると、ケース11内を空気が循環し、冷却されたカウンタウェイト13と空気の循環風との熱交換が行われると共に、空気の循環風とリチウムイオン二次電池12との熱交換が行われる。つまり、ケース11内の空気の循環風によって、カウンタウェイト13とリチウムイオン二次電池12との熱交換が行われることになる。従って、リチウムイオン二次電池12の温度上昇が抑制される。
【0050】
また、フォークリフト1の周囲の外気温が低いときは、クーラ15が作動せずに、冷たい外気が供給用ダクト16に直接導入される。すると、冷たい外気が供給用ダクト16を通ってリチウムイオン二次電池12に供給され、冷たい外気とリチウムイオン二次電池12との熱交換によって、リチウムイオン二次電池12が冷却される。
【0051】
以上のように本実施形態にあっては、リチウムイオン二次電池12の温度が規定温度以上であるときに、クーラ15が作動することにより、クーラ15によって外気が導入されて冷却風が発生する。そして、冷却風は供給用ダクト16を流れてリチウムイオン二次電池12に供給される。このため、冷却風とリチウムイオン二次電池12との熱交換によりリチウムイオン二次電池12が冷却される。リチウムイオン二次電池12を通過した後の冷却風は、供給用ダクト16を流れてカウンタウェイト13に供給され、カウンタウェイト13の冷却流路22を流れる。このため、冷却風とカウンタウェイト13との熱交換によりカウンタウェイト13が冷却される。このようにクーラ15から発生した冷却風によってリチウムイオン二次電池12を冷却することにより、例えば外気の温度(雰囲気温度)が高い環境下でも、リチウムイオン二次電池12の温度を雰囲気温度よりも下げることができる。その結果、リチウムイオン二次電池12の長寿命化を図ることが可能となる。
【0052】
また、本実施形態では、冷却流路22を流れた冷却風は、排出口25から外気に排出される。従って、リチウムイオン二次電池12を冷却しすぎないようにクーラ15を頻繁にON/OFFしなくて済むため、コントローラ30によるクーラ15の制御を簡単化することができる。
【0053】
また、本実施形態では、カウンタウェイト13の冷却流路22を流れた冷却風を排出口25から強制的に外気に排出する排出ファン26が備えられている。従って、排出ファン26によって冷却風が供給用ダクト16及び冷却流路22を流れやすくなるため、冷却風とリチウムイオン二次電池12及びカウンタウェイト13との熱交換効率が向上する。
【0054】
また、本実施形態では、リチウムイオン二次電池12の温度が規定温度よりも低くなると、クーラ15の作動が停止すると共に、循環ファン27が作動し、循環ファン27によってリチウムイオン二次電池12とカウンタウェイト13との間に存在する空気が循環する。従って、循環空気によってカウンタウェイト13とリチウムイオン二次電池12とが熱交換されるため、カウンタウェイト13の熱容量を利用して、リチウムイオン二次電池12の温度上昇が抑制されることになる。このようにクーラ15を作動させなくても、リチウムイオン二次電池12の温度上昇が抑制される。これにより、クーラ15の作動時間を短縮し、クーラ15の消費電力を低減することができる。その結果、フォークリフト1の稼動時間を長くすることが可能となる。また、リチウムイオン二次電池12の充電回数を減少させ、リチウムイオン二次電池12の更なる長寿命化を図ることができる。
【0055】
また、本実施形態では、フォークリフト1の周囲の外気温が規定値よりも低いときは、クーラ15が作動せず、外気が供給用ダクト16に直接導入される。そして、外気が供給用ダクト16を流れてリチウムイオン二次電池12に供給される。このため、冷たい外気によりリチウムイオン二次電池12が冷却される。このようにクーラ15が作動しないため、クーラ15の作動時間を更に短縮し、クーラ15の消費電力を一層低減することができる。
【0056】
また、本実施形態では、冷却流路22は、カウンタウェイト13に螺旋状に形成されている。従って、冷却流路22が長くなるため、冷却風とカウンタウェイト13との熱交換量が増加する。従って、冷却流路22の構造を簡単にしつつ、カウンタウェイト13を十分に冷却することができる。
【0057】
また、本実施形態では、カウンタウェイト13は、断熱材14で覆われている。従って、カウンタウェイト13と周囲との熱交換が起こりにくくなるため、カウンタウェイト13を効果的に冷却することができる。
【0058】
図7は、
図2に示された冷却装置の一部の変形例を含む電池パックを示す断面図である。
図8は、
図7に示されたカウンタウェイトの冷却流路を示す概略図である。
【0059】
図7及び
図8において、本変形例におけるカウンタウェイト13の冷却流路22は、リチウムイオン二次電池12の周囲に沿うように形成された流路部22aと、この流路部22aと接続され、カウンタウェイト13の上下方向に延びるように形成された流路部22bとを有している。流路部22aは、リチウムイオン二次電池12の周囲に沿って1周近く周回するように形成されている。流路部22bは、流路部22aの下流端から排出部24まで延びている。
【0060】
このような冷却流路22は、
図9に示されるように、冷却流路22の延在方向に沿うような凹凸形状を有している。具体的には、冷却流路22は、冷却流路22の延在方向に垂直な方向の両側に突出した複数の断面矩形状の凸部35を有している。凸部35は、例えば冷却流路22の延在方向に沿って等間隔に配列されている。なお、凸部35は、冷却流路22の延在方向に垂直な方向の片側のみに突出していてもよい。また、凸部35の形状としては、特に断面矩形状には限られず、例えば断面三角形状や断面半円状等であってもよい。
【0061】
本変形例においては、カウンタウェイト13の冷却流路22は凹凸形状を有しているので、冷却風とカウンタウェイト13との熱交換面積が増加する。従って、冷却流路22を短くしつつ、カウンタウェイト13を十分に冷却することができる。
【0062】
なお、本発明は、上記実施形態には限定されない。例えば上記実施形態では、フォークリフト1が始動されると、排出ファン26が常時作動しているが、特にその形態には限られず、クーラ15を作動させる際に、排出ファン26を作動させてもよい。また、排出ファン26は、特に無くてもよい。この場合でも、カウンタウェイト13の冷却流路22を流れた冷却風が排出口25から外気に排出される。
【0063】
また、上記実施形態では、リチウムイオン二次電池12を通過した後の冷却風は、カウンタウェイト13の冷却流路22を流れてから外気に排出されているが、特にそのような形態には限られない。例えば
図10に示されるように、上記の実施形態における排出ファン26に代えて、カウンタウェイト13の冷却流路22を流れた冷却風をクーラ15に戻す還流用ダクト40を備えてもよい。
【0064】
還流用ダクト40は、電池パック10の排出口25からクーラ15まで車体2の上下方向に供給用ダクト16に平行に延びている。なお、還流用ダクト40は、電池パック10の排出口25ではなく冷却流路22の排出部24に接続されていてもよい。
【0065】
この場合には、リチウムイオン二次電池12を通過した後の冷却風は、カウンタウェイト13の冷却流路22を流れてから、還流用ダクト40により閉ループとしてクーラ15に還流される。従って、冷却流路22を流れた冷却風がクーラ15において有効利用されるため、クーラ15の消費電力を低減することができる。
【0066】
また、上記実施形態では、リチウムイオン二次電池12とカウンタウェイト13との間に存在する空気を循環させる循環ファン27が配置されているが、そのような循環ファン27は、特に無くてもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、フォークリフト1の周囲の外気温が規定値よりも低いときは、クーラ15が作動せず、外気が供給用ダクト16に直接導入されているが、特にその形態には限られず、フォークリフト1の周囲の外気温が規定値よりも低くても、クーラ15を作動させてもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、電池パック10のケース11内にカウンタウェイト13が配置されているが、特にその形態には限られず、ケース11は無くてもよい。つまり、カウンタウェイト13は、リチウムイオン二次電池12を収容するケースを兼ねていてもよい。この場合でも、カウンタウェイト13が断熱材14で覆われていてもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、クーラ15は、コンプレッサ17、コンデンサ18、膨張弁19及びエバポレータ20を有しているが、外気を導入して冷却風を発生させる冷却器であれば、特にその形態には限られず、種々変形可能である。
【0070】
また、上記実施形態では、フォークリフト1にリチウムイオン二次電池12が搭載されているが、フォークリフト1に搭載される蓄電装置としては、特にリチウムイオン二次電池12には限られず、例えばニッケル水素電池、電気二重層キャパシタまたはリチウムイオンキャパシタ等であってもよい。
【0071】
また、上記実施形態の冷却装置100は、フォークリフト1に搭載されているが、本発明は、蓄電装置の周囲にカウンタウェイトが配置されている電動式の産業車両であれば、適用可能である。
【符号の説明】
【0072】
1…フォークリフト(産業車両)、12…リチウムイオン二次電池(蓄電装置)、13…カウンタウェイト、14…断熱材、15…クーラ(冷却器)、16…供給用ダクト、22…冷却流路、25…排出口、26…排出ファン、27…循環ファン、28…外気温センサ(外気温検出部)、29…温度センサ(温度検出部)、30…コントローラ(制御部)、40…還流用ダクト、100…冷却装置。