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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-26
(45)【発行日】2023-07-04
(54)【発明の名称】操舵装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 1/06 20060101AFI20230627BHJP
   B62D 5/04 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
B62D1/06
B62D5/04
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020131949
(22)【出願日】2020-08-03
(65)【公開番号】P2022028505
(43)【公開日】2022-02-16
【審査請求日】2022-07-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(72)【発明者】
【氏名】深谷 真啓
(72)【発明者】
【氏名】梅村 紀夫
(72)【発明者】
【氏名】野倉 邦裕
(72)【発明者】
【氏名】竹田 慎一
(72)【発明者】
【氏名】川端 教一
【審査官】田邉 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-081488(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0337566(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第110450846(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109278846(CN,A)
【文献】特開2016-078738(JP,A)
【文献】特開2018-083523(JP,A)
【文献】特開2016-196248(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 1/06
B62D 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の転舵輪を操舵するために、操舵中心軸回りで回転操舵するハンドルを備え、
該ハンドルが、
前記操舵中心軸側の中央部と、
該中央部と連結されるとともに、前記操舵中心軸から半径方向に離れた縁側に、操舵時に把持する把持部を設けた操舵部と、
を備えるとともに、
前記操舵部に、前記転舵輪の転舵方向を案内するように点灯される表示部を備えて構成される操舵装置であって、
前記操舵部における前記操舵中心軸を間にした左右両側の領域に、転舵方向に応じて点灯可能な前記表示部が配設されるとともに、
左右両側の前記表示部が、相互の点灯態様を、転舵方向に対応する前記操舵部の回転方向を案内表示する点灯態様として、ともに点灯され
前記操舵部の左右両側の前記表示部が、それぞれ、点灯状態と消灯状態とに切り替え可能な複数の点灯部を配設させて構成されるとともに、点灯態様を、転舵方向に対応する前記操舵部の回転方向を案内表示するように、複数の前記点灯部を点灯状態と消灯状態とに切り替える態様としており、
前記操舵部の左右両側の前記表示部が、それぞれ、左右方向に延びる横側点灯部と、該横側点灯部から上下に延びる上側点灯部及び下側点灯部と、を備えて構成されて、転舵方向に対応する前記操舵部の回転方向を案内表示する点灯態様が、横側点灯部を点灯させた状態として、対応する前記上側点灯部と前記下側点灯部とを、点灯状態と消灯状態とにする態様としていることを特徴とする操舵装置。
【請求項2】
左右両側の前記表示部における各々の前記横側点灯部が、左右方向に沿う直線状とし、かつ、前記操舵中心軸側への延長線を、前記操舵中心軸の上方で一致させるように、配設されていることを特徴とする請求項に記載の操舵装置。
【請求項3】
左右両側の前記表示部における各々の前記横側点灯部が、前記上側点灯部と前記下側点灯部とのそれぞれの点灯時に、対応して点灯する横上側点灯部と横下側点灯部とに、上下に二分割されて、配設されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の操舵装置。
【請求項4】
左右両側の各々の前記横側点灯部における前記横上側点灯部と前記横下側点灯部とが、前記上側点灯部と前記下側点灯部との交点を、前記操舵部における前記操舵中心軸から離れた端縁側に、配設させていることを特徴とする請求項に記載の操舵装置。
【請求項5】
車両の転舵輪を操舵するために、操舵中心軸回りで回転操舵するハンドルを備え、
該ハンドルが、
前記操舵中心軸側の中央部と、
該中央部と連結されるとともに、前記操舵中心軸から半径方向に離れた縁側に、操舵時に把持する把持部を設けた操舵部と、
を備えるとともに、
前記操舵部に、前記転舵輪の転舵方向を案内するように点灯される表示部を備えて構成される操舵装置であって、
前記操舵部における前記操舵中心軸を間にした左右両側の領域に、転舵方向に応じて点灯可能な前記表示部が配設されるとともに、
左右両側の前記表示部が、相互の点灯態様を、転舵方向に対応する前記操舵部の回転方向を案内表示する点灯態様として、ともに点灯され、
前記ハンドルが、車両の自動運転時に、前記転舵輪の転舵方向に応じて、前記操舵中心軸周りで回転駆動される駆動機構と接続される構成とし、
前記表示部が、前記駆動機構による前記ハンドルの回転に応じて点灯し、
前記駆動機構が、前記ハンドルの左右方向への操舵角を、それぞれ、20°以下の範囲内として、前記転舵輪の転舵角が最大転舵角に近い角度で自動運転される場合に比べて、前記転舵輪の転舵角が小さい角度で自動運転される場合では、対応する比率を大きくした操舵角として、前記ハンドルを回転駆動させることを特徴とする操舵装置。
【請求項6】
前記ハンドルの前記操舵部が、上方から見て、前後方向の幅寸法より左右方向の幅寸法を大きくする略長方形形状としていることを特徴とする請求項に記載の操舵装置。
【請求項7】
前記操舵部における前後の少なくとも一方の縁側が、左右方向に沿う略直線状の直線状縁部としていることを特徴とする請求項5又は6に記載の操舵装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の転舵輪を操舵するために、操舵中心軸回りで回転操舵するハンドルを備えた操舵装置に関し、特に、運転者が把持するハンドルの操舵部に、転舵輪の転舵方向を案内表示する表示部を設けた操舵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の操舵装置としては、車両の転舵輪を操舵するために、操舵中心軸回りで回転操舵するハンドルを備え、ハンドルが、操舵中心軸側の中央部と、中央部と連結されるとともに、操舵中心軸から半径方向に離れた縁側に、操舵時に把持する把持部を設けた操舵部と、を備えて構成され、そしてさらに、操舵部は、転舵輪の転舵方向を案内するように点灯される表示部を備えて構成されるものがあった(例えば、特許文献1~3参照)。これらの操舵装置では、車両が自動運転される際に、ハンドルの操舵部に設けた表示部が、車両の転舵輪の転舵方向を案内するように点灯したり(例えば、特許文献1参照)、あるいは、ナビゲーションシステムの案内により、ハンドルの操舵部に設けた表示部が、車両の転舵輪の転舵方向を案内するように、点灯していた(例えば、特許文献2,3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際出願公開第2015―145674号公報
【文献】特開2004-148911号公報
【文献】特表2006-521954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の操舵装置では、操舵部の表示部が、単独の光源部位を発光させたり、あるいは、並設させた光源部位を順次発光させるものの、操舵中心軸の周囲の前方側付近だけ、あるいは、操舵中心軸の前方側から転舵方向側に延びたエリアの片側付近だけ、で点灯させる態様であった。そのため、運転者は、点灯時、その点灯エリアの一領域だけに、意識を持って、目線を向けないと、見逃す等して、案内方向を判断し難い虞れが生じ、転舵方向の案内を、直感的に認知させて、円滑に、運転者に伝達させる点で、改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、転舵方向の案内を、円滑に運転者に伝達できる操舵装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る操舵装置は、車両の転舵輪を操舵するために、操舵中心軸回りで回転操舵するハンドルを備え、
該ハンドルが、
前記操舵中心軸側の中央部と、
該中央部と連結されるとともに、前記操舵中心軸から半径方向に離れた縁側に、操舵時に把持する把持部を設けた操舵部と、
を備えるとともに、
前記操舵部に、前記転舵輪の転舵方向を案内するように点灯される表示部を備えて構成される操舵装置であって、
前記操舵部における前記操舵中心軸を間にした左右両側の領域に、転舵方向に応じて点灯可能な前記表示部が配設されるとともに、
左右両側の前記表示部が、相互の点灯態様を、転舵方向に対応する前記操舵部の回転方向を案内表示する点灯態様として、ともに点灯されることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る操舵装置では、転舵方向の案内時、操舵部における操舵中心軸を間にした左右両側に配置された表示部が、転舵方向に対応する操舵部の回転方向を案内するように、ともに点灯表示される。すなわち、操舵部における操舵中心軸を間にした両側の二箇所で、かつ、それぞれ、転舵方向に対応する態様として、表示部が点灯されることから、漠然と、単に、前方を見ている運転者でも、両側の表示部の点灯により、注意喚起されて、少なくともどちらか一方側を視覚に入れたり、あるいは、漠然と両方側を視覚に入れることにより、転舵方向を、直感的に、認知できる。
【0008】
したがって、本発明に係る操舵装置では、左右両側の表示部の点灯により、転舵方向の案内を、円滑に運転者に伝達することができる。
【0009】
そして、本発明に係る操舵装置では、前記操舵部の左右両側の前記表示部が、それぞれ、点灯状態と消灯状態とに切り替え可能な複数の点灯部を配設させて構成されるとともに、点灯態様を、転舵方向に対応する前記操舵部の回転方向を案内表示するように、複数の前記点灯部を点灯状態と消灯状態とに切り替える態様としていること望ましい。
【0010】
このような構成では、転舵方向の案内時、左右の表示部が、操舵中心軸の左右両側で、各点灯部の点灯部位や消灯部位を、上下で逆方向とするように点灯させることから、運転者は、それらの左右両側の点灯部位の点灯態様により、転舵方向に対応する操舵部の回転方向を、容易に視認でき、直感的に認知できることとなって、一層、転舵方向の案内を円滑に運転者に伝達させることができる。
【0011】
この場合、前記操舵部の左右両側の前記表示部が、それぞれ、左右方向に延びる横側点灯部と、該横側点灯部から上下に延びる上側点灯部及び下側点灯部と、を備えて構成されて、
転舵方向に対応する前記操舵部の回転方向を案内表示する点灯態様が、横側点灯部を点灯させた状態として、対応する前記上側点灯部と前記下側点灯部とを、点灯状態と消灯状態とにする態様としていることが望ましい。
【0012】
このような構成では、横側点灯部から延びる上側点灯部若しくは下側点灯部が点灯すれば、点灯する上側点灯部と下側点灯部とが、横側点灯部から延びる矢印のような点灯態様となって、転舵方向に対応する操舵部の回転方向を、一層、認知し易くなって、転舵方向の案内が、一層、円滑に運転者に伝達させることができる。
【0013】
この場合、左右両側の前記表示部における各々の前記横側点灯部が、左右方向に沿う直線状とし、かつ、前記操舵中心軸側への延長線を、前記操舵中心軸の上方で一致させるように、配設されていることが望ましい。
【0014】
このような構成では、操舵中心軸を中心とした直径方向に沿って、左右両側の表示部における横側点灯部が、配設されることとなって、操舵中心軸を中心とした直径方向の両端で、操舵中心軸周りの回転方向に沿うように、表示部の所定の上側点灯部や下側点灯部とともに、横側点灯部が点灯することから、転舵方向に対応する操舵部の回転方向が、一層、認知し易くなって、転舵方向の案内を、一層、円滑に運転者に伝達させることができる。
【0015】
そして、横側点灯部を備えてなる表示部を有した操舵装置では、左右両側の前記表示部における各々の前記横側点灯部が、前記上側点灯部と前記下側点灯部とのそれぞれの点灯時に、対応して点灯する横上側点灯部と横下側点灯部とに、上下に二分割されて、配設されていることが望ましい。
【0016】
このような構成では、上側点灯部と下側点灯部とが、それぞれ点灯する際、横側点灯部も、上下二分割された横上側点灯部と横下側点灯部とが点灯することから、点灯状態と消灯状態とを、横側点灯部自体でも区別されて、点灯部における転舵方向の案内機能を向上させることができる。
【0017】
この場合、左右両側の各々の前記横側点灯部における前記横上側点灯部と前記横下側点灯部とが、前記上側点灯部と前記下側点灯部との交点を、前記操舵部における前記操舵中心軸から離れた端縁側に、配設させていることが望ましい。
【0018】
このような構成では、上側点灯部若しくは下側点灯部の点灯時、横上側点灯部若しくは横下側点灯部における操舵中心軸から最も離れた端縁側から、案内する回転方向に沿って、上側点灯部若しくは下側点灯部が点灯することから、回転方向の案内を、操舵部の外縁側となる大きな半径の周方向で表示できることとなって、より視覚的に把握しやすくなって、案内方向の伝達に好適となる。
【0019】
そして、本発明に係る操舵装置では、前記ハンドルが、車両の自動運転時に、前記転舵輪の転舵方向に応じて、前記操舵中心軸周りで回転駆動される駆動機構と接続される構成とし、
前記表示部が、前記駆動機構による前記ハンドルの回転に応じて、点灯する構成としてもよい。
【0020】
このような構成では、車両の自動運転時、表示部の点灯と併せて、操舵部自体も、所定の回転方向に操舵されて、転舵輪の転舵方向を、より好適に、運転者に伝達することができる。
【0021】
この場合、前記駆動機構が、前記ハンドルの左右方向への操舵角を、それぞれ、20°以下の範囲内として、前記転舵輪の転舵角が最大転舵角に近い角度で自動運転される場合に比べて、前記転舵輪の転舵角が小さい角度で自動運転される場合では、対応する比率を大きくした操舵角として、前記ハンドルを回転駆動させること望ましい。
【0022】
このような構成では、ハンドルの操舵角を±20°の範囲内として、殆どの場合、実際の転舵角に対応する操舵角より、より小さい操舵角となるものの、最大転舵角に近い角度で自動運転される場合に比べて、転舵輪の転舵角が小さい角度で自動運転される場合では、対応する比率を大きくした操舵角として、ハンドルが回転駆動される。すなわち、大きな転舵角の場合には、その大きな転舵角に対応する大きな操舵角で無く、転舵方向を案内できる範囲内として抑制するように、20°以内の相対的に小さな操舵角として、表示部の点灯とともに、転舵方向を案内し、小さな転舵角の場合には、その小さな転舵角に対応する小さな操舵角でなく、確実に転舵方向を案内できるように、相対的に大きな操舵角として(例えば、4~6°程度以上には転舵させるようにして)、表示部の点灯とともに、転舵方向を案内できることから、自動運転時の転舵角の転舵方向を、操舵部を回転させて、一層、好適に、運転者に伝達することができる。
【0023】
この場合、前記ハンドルの前記操舵部は、略円環状でなくともに、上方から見て、前後方向の幅寸法より左右方向の幅寸法を大きくする略長方形形状としていてもよい。
【0024】
このような構成では、自動運転において、ハンドルが操舵されると、左右方向の幅寸法の大きな異形ハンドルであれば、その転舵方向に対応する回転を、容易に視認できて、転舵方向の伝達が一層円滑となる。また、ハンドルの操舵角が±20°の範囲内であることから、最大転舵角に対応して操舵部が回転する際、左右方向に長いハンドルであっても、そのハンドルが運転者の膝等に干渉する虞れがない。
【0025】
また、この場合、前記操舵部における前後の少なくとも一方の縁側が、左右方向に沿う略直線状の直線状縁部としていることが望ましい。
【0026】
このような構成では、操舵部の回転が、直線状縁部の回転によって、容易に視認できて、転舵方向の伝達が一層円滑となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の一実施形態の操舵装置のハンドルを示す平面図である。
図2】実施形態の操舵装置を使用した操舵システムを説明する概略図である。
図3】実施形態のハンドルの表示部の点灯状態を示す平面図である。
図4】実施形態における自動運転時における転舵角に対応する操舵部の操舵角を示す線図である。
図5】実施形態のハンドルの表示部の点灯状態を示す平面図であり、図3に示す状態より、転舵角が大きい場合のハンドルを示す平面図である。
図6】実施形態のハンドルの表示部の変形例を示す平面図である。
図7】さらに他のハンドルの表示部の変形例を示す平面図である。
図8】さらに他のハンドルの表示部の変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明すると、実施形態の操舵装置55は、図1,2に示すように、操舵システム75を構成する一部として配設されており、操舵機構10と操舵制御部53とを備えて構成されている。操舵システム75は、操舵装置55と転舵装置70とを備えて構成されている。この操舵システム75は、操舵装置55の後述するハンドル14を操舵する際、機械式で無く、操舵装置55の操舵制御部53により、ハンドル14の操舵角が電気信号に変換され、その電気信号を入力した転舵装置70の転舵制御部68が、車両の転舵輪63を、対応する転舵角とするように、転舵する構成としたステア・バイ・ワイヤ・システムとしているものである。
【0029】
転舵装置70は、転舵機構60と転舵制御部68とを備えて構成されている。転舵機構60は、転舵制御部68に作動を制御される電動モータや減速機を備え構成される転舵用アクチュエータ61と、ステアリングギヤ62と、転舵輪63と、ステアリングロッド64と、タイロッド65と、ナックルアーム66と、転舵角センサ67と、を備えて構成されている。この転舵機構60では、転舵用アクチュエータ61の出力シャフトが回転し、ステアリングギヤ62が、転舵用アクチュエータ61の回転をステアリングロッド64の直線運動に変換し、そして、ステアリングロッド64の直線運動が、タイロッド65とナックルアーム66とを介して、転舵輪63を所定の転舵方向に向くように、動作させることとなる。そして、転舵装置70は、転舵制御部68が、操舵装置55におけるハンドル14の操舵角に応じた操舵制御部53からの信号を入力して、転舵用アクチュエータ61の作動を制御し、転舵角センサ67の検知信号を入力しつつ、転舵輪63を、所定の転舵角まで、転舵させることとなる。
【0030】
なお、転舵輪63の転舵角は、実施形態の場合、左右へそれぞれ最大30°としており、その際、運転者が操舵するハンドル14の操舵角は、左右へそれぞれ90°としている。
【0031】
操舵装置55は、既述したように、操舵機構10と操舵制御部53とを備えて構成されている。操舵機構10は、車両の運転席前方の図示しない軸支部に回動可能に支持されて配設されて、操舵中心軸Cを構成する操舵軸12と、操舵軸12の上端側に取り付けられるハンドル14と、操舵軸12に接続されて操舵方向と操舵角とを検出可能な操舵角センサ43と、操舵時の操舵軸12に加わるトルクを検出する反力検知手段45と、ハンドル14の操舵時に反力を操舵軸12に作用させる反力アクチュエータ47と、を備えて構成されている。
【0032】
実施形態の場合、反力アクチュエータ47は、電動モータと減速機とを備えて構成されて、運転者がハンドル14の異なる把持位置(操舵軸12からの異なる距離となる位置)で把持して操作しても、同様な力で操作できるように、操舵軸12に反力を作用可能に配設されている。なお、把持位置の検知のため、ハンドル14の操舵部18には、タッチセンサ等からなる把持検知センサ28が配設されており、操舵制御部53が、把持検知センサ28からの信号に基づき、操舵軸12からの把持位置の距離を判定して、反力アクチュエータ47の作動を制御することとなる。ちなみに、後述する把持部26(L,R)を把持していれば、通常の機械式の操舵時の反力が作用される状態としているが、把持部26(L,R)からずれた後述する連結部21を把持して操舵するような場合には、把持位置が把持部26より操舵軸12に接近して回し難くなることから、操作時の反力を離隔している場合と均等とするように、反力アクチュエータ47の作用する反力を低減させるように、調整することとなる。
【0033】
また、実施形態の場合、車両の自動運転時、反力アクチュエータ47は、ハンドル14を、転舵輪63の転舵方向に対応させて、回転させる駆動機構51の駆動アクチュエータ49、と兼用とされている。すなわち、車両の自動運転時には、操舵制御部53に制御されて、反力アクチュエータ47としての駆動アクチュエータ49が作動されて、後述するように、ハンドル14が、所定の操舵角で回転駆動されることとなる。
【0034】
操舵装置55のハンドル14は、転舵輪63を転舵させるように、操舵軸(操舵中心軸C)12回りで回転操舵するものであり、操舵軸12側の中央部16と、中央部16と連結されるとともに、操舵軸12から半径方向に離れた縁側に、操舵時に把持する把持部26(L,R)を設けた操舵部18と、を備えて構成されている。操舵部18は、左右の把持部26(L,R)と、中央部16と把持部26とを連結する連結部21と、を備えて構成されている。
【0035】
連結部21は、中央部16の前縁側と後縁側とから左右に延びる前側部22(22L,22R)と後側部23(23L,23R)と、を備えて構成されている。前側部22の前縁は、左右方向に略直線状に延びる直線状縁部24としている。
【0036】
左右の把持部26L,26Rは、前後方向に延びるような略棒状として、相互に略平行としているものの、詳しくは、相互に、前方側への延長方向を前方で交差させるように、前方狭まりとした後方開きとしている。そして、実施形態の操舵部18は、上方から見て、前後方向の幅寸法LLより左右方向の幅寸法HLを大きくする略長方形形状の略四角環状、詳しくは、等脚台形形状とした略四角環状としている。
【0037】
そして、実施形態の操舵部18には、転舵輪63の転舵方向を案内するように点灯される表示部30(L,R)が配設されている。表示部30L,30Rは、操舵部18における操舵中心軸Cを間にした左右両側の領域、実施形態の場合、各把持部26L,26Rの前後方向の中央付近に、配設されている。詳しくは、把持部26L.26Rの前後方向の中央付近に、操舵中心軸C側(内周側)へ突出する隆起部26aが配設され、隆起部26aの内周側へ突出した頂部26bの位置を基準として、前後に延びるように、表示部30(L,R)が配設されている。
【0038】
左右両側の表示部30L,30Rは、それぞれ、左右方向に延びる横側点灯部31と、横側点灯部31から上下に延びる上側点灯部35及び下側点灯部36と、を備えて構成されている。さらに、左右両側の横側点灯部31は、左右方向に沿う直線状とし、かつ、操舵中心軸C側への延長線Xを、操舵中心軸Cの上方で一致させるように、配設されている。
【0039】
さらに、実施形態の場合、横側点灯部31は、上側点灯部35と下側点灯部36とのそれぞれの点灯時に、対応して点灯するように、横上側点灯部32と横下側点灯部33とに、上下に二分割されて、配設されている。これらの横上側点灯部32と横下側点灯部33とは、上側点灯部35と下側点灯部36との交点を、操舵部18における操舵中心軸Cから離れた端縁(外縁)31a側に、配設させている。延長線Xは、横上側点灯部32と横下側点灯部33との境界部位を通過する構成としている。
【0040】
また、これらの点灯部32,33,35,36は、点灯状態と消灯状態とに切り替え可能とされており、実施形態の場合、点灯部32,35と点灯部33,36とが、それぞれ、1つの光源(LED)により点灯するように構成されている。勿論、各点灯部32,33,34,35は、それぞれ、1つずつ、あるいは、複数のLEDを配設させて、点灯するように構成してもよい。
【0041】
そして、点灯状態と消灯状態となる点灯部の構成は、実施形態の場合、左側の表示部30Lでは、上側点灯部35と横上側点灯部32とからなるL字状に点灯する左上点灯部38と、下側点灯部36と横下側点灯部33とからなる上下を反転させたL字状に点灯する左下点灯部39と、から構成されることとなる。右側の表示部30Rでは、上側点灯部35と横上側点灯部32とからなる左右を反転させたL字状の右上点灯部40と、下側点灯部36と横下側点灯部33とからなって、L字を点対称とするように左右と上下とに反転させた右下点灯部41と、から構成されている。左上点灯部38と右上点灯部40とは、操舵軸12を通る前後方向に沿う直線を基準に、左右対称形とし、左下点灯部39と右下点灯部41も、操舵軸12を通る前後方向に沿う直線を基準に、左右対称形としている。さらに、左上点灯部38と左下点灯部39とは、外縁38a,39aを、略直線状に連結させて、把持部26Lに沿うように傾斜させて、配設され、右上点灯部40と右下点灯部41も、外縁40a,41aを、略直線状に連結させて、把持部26Rに沿うように傾斜させて、配設されている。また、左上点灯部38、左下点灯部39、右上点灯部40、及び、右下点灯部41のそれぞれの上下方向に延びる先端38b,39b,40b,41bや操舵軸12側に延びる内側端38c,39c,40c,41cは、先細り状に形成されている。
【0042】
なお、光源の発光色は、実施形態の場合、操舵部18における表示部30の周囲の色が黒色としており、視認し易いように、青色で点灯するように設定されている。そして、各点灯部38,39,40,41の光源を覆っているカバー37は、消灯時には、周囲の黒色と同等となるように、発光時の光源を透過可能な黒色とし、そして、周縁に、白等の明色の縁取り37aが施されている。勿論、発光色やカバー37の色は、点灯時に、運転者に視認させ易ければ、青色に限定されず、種々の色が採用可能である。
【0043】
また、各点灯部32,33,35,36(38,39,40,41)は、操舵制御部53に制御されて点灯されるもので、相互の点灯態様を、転舵方向に対応する操舵部18の回転方向を案内表示できる点灯態様としている。具体的には、表示部30L,30Rは、操舵中心軸Cの軸周り方向に沿うように、点灯状態と消灯状態とに各点灯部31(32,33),35,36を切り替える構成として、相互に、操舵中心軸Cの両側で上下で逆に点灯するように(実施形態では、操舵中心軸Cを中心とした点対称となるように)、各点灯部31(32,33),35,36を、点灯状態と消灯状態とに切り替える態様としている。
【0044】
例えば、転舵輪63が左方向に向くように転舵させる際には、図3のA,Bに示すように、表示部30Rの点灯部32,35と表示部30Lの点灯部33,36、すなわち、右上点灯部40と左下点灯部39とを点灯させ、そして、他の右下点灯部41と左上点灯部38とは消灯させる。逆に、転舵輪63が右方向に向くように転舵させる際には、図3のA,Cに示すように、表示部30Lの点灯部32,35と表示部30Rの点灯部33,36、すなわち、左上点灯部38と右下点灯部41とを点灯させ、そして、左下点灯部39と右上点灯部40とは消灯させることとなる。
【0045】
さらに、実施形態の場合には、車両の自動運転時における転舵輪63の転舵方向に対応させて、表示部30(L,R)を点灯させるとともにハンドル14の操舵部18を回転駆動させて、ハンドル14から手を離している運転者等に対し、転舵輪63の転舵方向を案内するように構成されている。
【0046】
実施形態の場合、車両が自動運転される場合には、自動運転制御手段80の作動により、操舵システム75の操舵装置50と転舵装置70との両者が制御される。そして、転舵装置70では、自動運転制御手段80の制御信号を入力した転舵制御部68が、転舵機構60を作動させて、転舵輪63を所定方向に転舵する。また、操舵装置55では、自動運転制御手段80の制御信号を入力した操舵制御部53が、転舵輪63の転舵方向に対応して、駆動機構51の駆動アクチュエータ49を作動させるとともに、表示部30(L,R)を点灯する。
【0047】
すなわち、実施形態の場合、操舵装置55の操舵制御部53は、転舵輪63の転舵方向と転舵角に応じて、駆動機構51を作動させて、ハンドル14を回転させる。但し、実施形態の場合、転舵輪63の最大転舵角が、30°としており、自動運転でない場合では、最大転舵角まで操舵する際のハンドル14の操舵角を90°としているものの、自動運転時の転舵角に対応させて駆動させる操舵角としては、実施形態の場合、駆動機構51は、ハンドル14の操舵角を左右方向へ±20°の範囲内としている。さらに、駆動機構51は、転舵角の角度範囲である左右方向の0~30°に対応させて、操舵角の角度範囲を0~20°の範囲で、正比例させるように操舵させてもよいが、実施形態の場合、転舵輪63の転舵角が最大転舵角に近い角度で自動運転される場合に比べて、転舵輪63の転舵角が小さい角度で自動運転される場合では、対応する比率を大きくした操舵角として、ハンドルを回転駆動させる構成としている。
【0048】
具体的に説明すると、図4に示すように、自動運転時の転舵角θsが、0~30°まで、略比例的に増加しても、操舵角θhは、転舵角θsが2°程度でも、急激に4~6°程度(望ましくは5°程度)まで回転し、その後は、最大操舵角の20°に到るまでは、転舵角θsの増加に対応して漸増する操舵角θhとしている。
【0049】
そして、実施形態では、車両の自動運転時、自動運転制御手段80による転舵装置70の作動により、転舵輪63が、左方向に転舵角θsを約10°分、転舵されると、その転舵方向を案内するように、自動運転制御手段80による操舵装置50の駆動機構51の作動により、図5のA,Bに示すように、ハンドル14が、左方向への操舵角θhを約12°分として、左方向に回転し、また、表示部30Rの点灯部32,35と表示部30Lの点灯部33,36、すなわち、右上点灯部40と左下点灯部39とが点灯し、そして、他の右下点灯部41と左上点灯部38とが消灯した状態として、転舵輪63の左方へ向かう転舵方向を案内することとなる。
【0050】
逆に、自動運転制御手段80による転舵装置70の作動により、転舵輪63が、右方向に転舵角θsを10°分、転舵されると、その転舵方向を案内するように、自動運転制御手段80による操舵装置50の駆動機構51の作動により、図5のA,Cに示すように、ハンドル14が、右方向への操舵角θhを約12°分として、右方向に回転し、また、表示部30Lの点灯部32,35と表示部30Rの点灯部33,36、すなわち、左上点灯部38と右下点灯部41とが点灯し、そして、左下点灯部39と右上点灯部40とが消灯した状態として、転舵輪63の右方へ向かう転舵方向を案内することとなる。
【0051】
以上のように、実施形態の操舵装置55では、転舵方向の案内時、操舵部18における操舵中心軸Cを間にした左右両側に配置された表示部30(L,R)の点灯部41,38、若しくは、点灯部40,39が、転舵方向に対応する操舵部18の回転方向を案内するように、ともに点灯表示される。すなわち、操舵部18における操舵中心軸Cを間にした両側の二箇所で、かつ、それぞれ、転舵方向に対応する態様として、表示部30(L,R)が点灯されることから、漠然と、単に、前方を見ている運転者でも、両側の表示部30(L,R)の点灯により、注意喚起されて、少なくともどちらか一方側を視覚に入れたり、あるいは、漠然と両方側を視覚に入れることにより、転舵方向を、直感的に、認知できる。
【0052】
したがって、実施形態の操舵装置55では、左右両側の表示部30(L.R)の点灯により、転舵方向の案内を、円滑に運転者に伝達することができる。
【0053】
そして、実施形態では、操舵部18の左右両側の表示部30(L,R)が、それぞれ、点灯状態と消灯状態とに切り替え可能な複数の点灯部31(32,33),35,36(38,39,40,41)を配設させて構成されるとともに、点灯態様を、転舵方向に対応する操舵部18の回転方向を案内表示するように、複数の点灯部31(32,33),35,36(38,39,40,41)を点灯状態と消灯状態とに切り替える態様としている。
【0054】
そのため、実施形態では、転舵方向の案内時、左右の表示部30(L,R)が、操舵中心軸Cの左右両側で、各点灯部31(32,33),35,36(38,39,40,41)の点灯部位や消灯部位を、上下で逆方向とするように点灯させることから(図3,5参照)、運転者は、それらの左右両側の点灯部位の点灯態様により、転舵方向に対応する操舵部18の回転方向を、容易に視認でき、直感的に認知できることとなって、一層、転舵方向の案内を円滑に運転者に伝達させることができる。
【0055】
この場合、実施形態では、操舵部18の左右両側の表示部30(L,R)が、それぞれ、左右方向に延びる横側点灯部31と、横側点灯部31から上下に延びる上側点灯部35及び下側点灯部36と、を備えて構成されて、転舵方向に対応する操舵部18の回転方向を案内表示する点灯態様が、横側点灯部31を点灯させた状態として、対応する上側点灯部35と下側点灯部36とを、点灯状態と消灯状態とにする態様としている(図3,5参照)。
【0056】
そのため、実施形態では、横側点灯部31から延びる上側点灯部35若しくは下側点灯部36が点灯すれば、点灯する上側点灯部35と下側点灯部36とが、横側点灯部31から延びる矢印のような点灯態様となって、転舵方向に対応する操舵部18の回転方向を、一層、認知し易くなって、転舵方向の案内が、一層、円滑に運転者に伝達させることができる。
【0057】
この場合、実施形態では、左右両側の表示部30(L,R)における各々の横側点灯部31(32,33)が、左右方向に沿う直線状とし、かつ、操舵中心軸C側への延長線Xを、操舵中心軸Cの上方で一致させるように、配設されている。
【0058】
そのため、実施形態では、操舵中心軸Cを中心とした直径方向に沿って、左右両側の表示部30(L,R)における横側点灯部31(32,33)が、配設されることとなって、操舵中心軸Cを中心とした直径方向の両端で、操舵中心軸C周りの回転方向に沿うように、表示部30(L,R)の所定の上側点灯部35や下側点灯部36とともに、横側点灯部が点灯することから、転舵方向に対応する操舵部18の回転方向が、一層、認知し易くなって、転舵方向の案内を、一層、円滑に運転者に伝達させることができる。
【0059】
さらに、実施形態では、左右両側の表示部30(L,R)における各々の横側点灯部31が、上側点灯部35と下側点灯部36とのそれぞれの点灯時に、対応して点灯する横上側点灯部32と横下側点灯部33とに、上下に二分割されて、配設されている。
【0060】
そのため、実施形態では、上側点灯部35と下側点灯部36とが、それぞれ点灯する際、横側点灯部31も、上下二分割された横上側点灯部32と横下側点灯部33とが点灯することから、点灯状態と消灯状態とを、横側点灯部31自体でも区別されて、点灯部32,33,35,36における転舵方向の案内機能を向上させることができる。
【0061】
この場合、実施形態では、左右両側の各々の横側点灯部31における横上側点灯部32と横下側点灯部33とが、上側点灯部35と下側点灯部36との交点を、操舵部18における操舵中心軸Cから離れた端縁31a側に、配設させている。
【0062】
そのため、実施形態では、上側点灯部35若しくは下側点灯部36の点灯時、横上側点灯部32若しくは横下側点灯部33における操舵中心軸Cから最も離れた端縁31a側から、案内する回転方向に沿って、上側点灯部35若しくは下側点灯部36が点灯することから(図3,5参照)、回転方向の案内を、操舵部18の外縁18a側となる大きな半径の周方向で表示できることとなって、より視覚的に把握しやすくなって、案内方向の伝達に好適となる。
【0063】
そして、実施形態の操舵装置55では、ハンドル14が、車両の自動運転時に、転舵輪63の転舵方向に応じて、操舵中心軸C周りで回転駆動される駆動機構51と接続される構成とし、表示部30(L,R)が、駆動機構51によるハンドル14の回転に応じて、点灯する構成としている(図3,5参照)。
【0064】
そのため、実施形態では、車両の自動運転時、表示部30(L,R)の点灯と併せて、操舵部18自体も、所定の回転方向に操舵されて、転舵輪63の転舵方向を、より好適に、運転者に伝達することができる。
【0065】
特に、実施形態では、駆動機構51が、ハンドル14の左右方向への操舵角θhを、それぞれ、20°以下の範囲内として、転舵輪63の転舵角θsが最大転舵角に近い角度で自動運転される場合に比べて、転舵輪63の転舵角θsが小さい角度で自動運転される場合では、対応する比率を大きくした操舵角θhとして、ハンドル14を回転駆動させている。
【0066】
そのため、実施形態では、ハンドル14の操舵角θhを±20°の範囲内として、殆どの場合、実際の転舵角θsに対応する操舵角θhより、より小さい操舵角θhとなるものの、最大転舵角θsに近い角度で自動運転される場合に比べて、転舵輪63の転舵角θsが小さい角度で自動運転される場合では、対応する比率を大きくした操舵角θhとして、ハンドル14が回転駆動される。すなわち、大きな転舵角θsの場合には、その大きな転舵角θsに対応する大きな操舵角θhで無く、転舵方向を案内できる範囲内として抑制するように、20°以内の相対的に小さな操舵角θhとして、表示部30(L,R)の点灯とともに、転舵方向を案内し、小さな転舵角θsの場合には、その小さな転舵角θsに対応する小さな操舵角θhでなく、確実に転舵方向を案内できるように、相対的に大きな操舵角として(例えば、4~6°程度以上(例えば5°以上)には転舵させるようにして)、表示部30(L,R)の点灯とともに、転舵方向を案内できることから、自動運転時の転舵角θsの転舵方向を、操舵部18を回転させて、一層、好適に、運転者に伝達することができる。
【0067】
実施形態の場合、転舵角θsが、約2°で、駆動機構51により駆動されるハンドル14の操舵角θhが、約5°とし、転舵角θsが、約10°で、駆動機構51により駆動されるハンドル14の操舵角θhが、約12°とし、それ以上の転舵角θsと操舵角θhとの関係は、最大操舵角の30°までの転舵角θsの増加に応じて、操舵角θhは、最大操舵角の20°まで、漸増する状態としている。
【0068】
勿論、駆動機構51によるハンドル14の操舵角θhは、転舵角θsの増加に応じて、正比例的に増加させてもよい。
【0069】
さらに、駆動機構51によるハンドル14の操舵角θhは、転舵角θsの増減と無関係に、転舵方向の向きに対応させて、一定の例えば、5°としてもよい。
【0070】
また、実施形態では、ハンドル14の操舵部18は、略円環状でなくと、上方から見て、前後方向の幅寸法LLより左右方向の幅寸法HLを大きくする略長方形形状としている。
【0071】
そのため、自動運転において、ハンドル14が操舵されると、左右方向の幅寸法HLの大きな異形ハンドルであることから、その転舵方向に対応する回転を、容易に視認できて、転舵方向の伝達が一層円滑となる。また、ハンドル14の操舵角θhが±20°の範囲内であることから、最大転舵角θsに対応して操舵部18が回転する際(図5のAの二点鎖線参照)、左右方向に長いハンドル14であっても、そのハンドル14が運転者の膝等に干渉する虞れがない。
【0072】
さらに、実施形態の場合、操舵部18における前後の少なくとも一方の前縁側が、左右方向に沿う略直線状の直線状縁部24としている。
【0073】
そのため、実施形態では、操舵部18の回転が、直線状縁部24の回転によって、容易に視認できて、転舵方向の伝達が一層円滑となる。
【0074】
なお、直線状縁部は、操舵部の後縁側に設けてもよい。
【0075】
また、実施形態の操舵装置55では、自動運転される際に、表示部30(L,R)が点灯される場合を説明したが、ナビゲーションシステム85の案内時、表示部30(L,R)を点灯させて、転舵輪63の転舵方向を案内するようにしてもよい。
【0076】
この場合には、自動運転制御手段80で無く、ナビゲーションシステム85の信号を入力した操舵装置55の操舵制御部53が、転舵輪63の転舵方向を案内するように、表示部30(L,R)を点灯させることとなる。
【0077】
また、左右両側の表示部の点灯形態は、図6,7に示す操舵装置55A,55Bのハンドル14A,14Bにおける操舵部18A,18Bに設けた表示部30A(L,R),30B(L,R)のように、構成してもよい。
【0078】
図6に示す表示部30A(L,R)は、横側点灯部31Aと、横側点灯部31Aの上下に離れて配置された上側点灯部35A及び下側点灯部36Aと、が配設されている。そして、左向きの転舵方向の案内時には、図6のA,Bに示すように、表示部30ALの横側点灯部31Aと下側点灯部36A、及び、表示部30ARの横側点灯部31Aと上側点灯部35A、が点灯して、表示部30ALの上側点灯部35Aと表示部30ARの下側点灯部36Aとが消灯することとなる。右向きの転舵方向の案内時には、図6のA,Cに示すように、上記と逆に、表示部30ALの横側点灯部31Aと上側点灯部35A、及び、表示部30ARの横側点灯部31Aと下側点灯部36A、が点灯し、表示部30ALの下側点灯部36Aと表示部30ARの上側点灯部35Aとが消灯することとなる。
【0079】
図7に示す表示部30B(L,R)は、横側点灯部31Bと、横側点灯部31Bの上下に連続するように配置された上側点灯部35Bと、下側点灯部36Bと、が配設されるとともに、横側点灯部31Bの横上側点灯部32Bと横下側点灯部33bとが、縁取り37aにより区切られていない。そして、左向きの転舵方向の案内時には、図7のA,Bに示すように、表示部30BLの横側点灯部31Bの横下側点灯部33Bと下側点灯部36Bとからなる左下点灯部39B、及び、表示部30BRの横側点灯部31Bの横上側点灯部32Bと上側点灯部35Bとからなる右上点灯部40B、が点灯して、表示部30BLの横側点灯部31Bの横上側点灯部32Bと上側点灯部35Bとからなる左上点灯部38B、及び、表示部30BRの横側点灯部31Bの横下側点灯部33Bと下側点灯部36Bとからなる右下点灯部41B、が消灯することとなる。右向きの転舵方向の案内時には、図7のA,Cに示すように、上記と逆に、表示部30BLの横側点灯部31Bの横上側点灯部32Bと上側点灯部35Bとからなる左上点灯部38B、及び、表示部30BRの横側点灯部31Bの横下側点灯部33Bと下側点灯部36Bとからなる右下点灯部41B、が点灯し、表示部30BLの横側点灯部31Bの横下側点灯部33Bと下側点灯部36Bとからなる左下点灯部39、及び、表示部30BRの横側点灯部31Bの横上側点灯部32Bと上側点灯部35Bとからなる右上点灯部40B、が消灯することとなる。
【0080】
さらに、ハンドルに設ける表示部は、操舵部の把持部から外れた位置に配設されてもよい。例えば、図8に示す操舵装置55Cのハンドル14Cの操舵部18Cに設ける表示部30C(L,R)のように構成してもよい。この場合の表示部30C(L,R)は、操舵部18の前縁側の左右両側、すなわち、把持部26(L,R)の上端から連結部21の前側部22(L,R)にわたって、配設されている。左側の表示部30CLは、前側部22L側の左上点灯部38Cと、把持部26L側の左下点灯部39Cと、から構成されて、相互に隣接するとともに、先端側にかけて先細り状としている。右側の表示部30CRは、前側部22R側の右上点灯部40Cと、把持部26R側の右下点灯部41Cと、から構成されて、相互に隣接するとともに、先端側にかけて先細り状としている。
【0081】
このハンドル14Cでは、左向きの転舵方向の案内時には、図8のA,Bに示すように、表示部30CLの左下点灯部39Cと表示部30CRの右上点灯部40Cとが点灯して、表示部30CLの左上点灯部38Cと表示部30CRの右下点灯部41Cとが消灯することとなる。右向きの転舵方向の案内時には、図8のA,Cに示すように、上記と逆に、表示部30CLの左上点灯部38Cと表示部30CRの右下点灯部41Cとが点灯し、表示部30CLの左下点灯部39Cと表示部30CRの右上点灯部40Cとが消灯することとなる。
【0082】
このハンドル14Cでは、表示部30C(L,R)が、操舵部18Cの把持部26(L,R)から外れた位置に配設されていることから、運転者が把持部26(L,R)を把持していても、転舵方向の案内が可能となる。勿論、自動運転の場合を考慮すれば、ハンドル14,14A,14Bのように、表示部30,30A,30Bは、把持部26(L,R)の領域に配設させてもよい。
【符号の説明】
【0083】
12…操舵軸、14,14A,14B,14C…ハンドル、16…中央部、18,18A,18B,18C…操舵部、24…直線状縁部、26(L,R)…把持部、30,30A,30B,30C(L,R)…表示部、
31,31A,31B…横側点灯部、31a…端縁、32,32B…横上側点灯部、33,33B…横下側点灯部、35,35A,35B…上側点灯部、36,36A,36B…下側点灯部、
38,38B,38C…左上点灯部、39,39B,39C…左下点灯部、40,40B,40C…右上点灯部、41,41B,41C…右下点灯部、
49…駆動アクチュエータ、51…駆動機構、53…操舵制御部、55,55A,55B,55C…操舵装置、63…転舵輪、
C…操舵中心軸、HL…(操舵部の左右方向の)幅寸法、LL…(操舵部の前後方向の)幅寸法、X…延長線。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8